説明

ベンゾジアゼピン誘導体、それらの調製およびそれらの治療への使用

本発明は、PDE2阻害活性を有するベンゾジアゼピン誘導体に、ならびに前記化合物を、特に中枢または末梢神経系の各種疾病の治療のために、投与することによる治療方法に、関する。本発明は、さらに前記化合物を含む医薬品組成物、および前記化合物を調製するための方法を取り扱う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物およびそれらの使用、特に医薬品工業での使用に関する。本発明は、PDE2阻害活性を含む異なる興味深い生物学的特性を有する化合物、並びに特に中枢または末梢神経系の各種疾病の治療のために前記化合物を投与することによる治療方法を開示する。本発明はさらに、前記化合物を含む医薬品組成物、および前記化合物を調製するための方法を取り扱う。
【0002】
本発明の化合物は、それらがサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの、特にcGS−PDE(cGMP刺激PDE、2型ホスホジエステラーゼまたはPDE2)の阻害剤であるので、非常に興味深い薬理学的特性を示す。
【0003】
細胞内セカンドメッセンジャー、cAMPまたはcGMPは、少なくともI〜XI型に分類されるホスホジエステラーゼ(PDE)によって分解され、非活性化される。PDEは、身体の組織および器官に広く分布している。これらの中で、II型ホスホジエステラーゼはcAMPとcGMPの両方を分解し、またcGMPによって活性化されることができる。このII型ホスホジエステラーゼは、多数の組織(脂肪細胞、脳、心臓、肺、腎臓、血管、その他)で見出される。PDE2阻害剤は、細胞内のcAMPおよびcGMPの割合を増加させるかまたは維持し、それによって様々な病状に対する治療上の重要性がある。
【0004】
本発明は、PDE2に対して高い阻害活性を有し、好ましくは他のPDEアイソフォームに対して選択性プロフィールを有する化合物を提供する。この選択性プロフィールは、アデノシンデアミナーゼなどの他の型の酵素にまで拡張し得る。さらに、本発明の化合物は、中枢神経系(抗痙攣剤、抗不安剤、鎮静剤、向知性剤、抗うつ剤)または末梢神経系(リウマチ、自己炎症疾病に対して、加齢による肝臓機能不全、糖尿病によって誘起される病状、特に心血管疾病、癌(血管形成、アポトーシス)、または敗血症に対して)に、興味深い効果を示す。それらはまた、Trypanosoma(睡眠病およびナガナなど)およびCandida albicansによる疾病または障害の治療を目的とし得る。それらはまた、有利なことに記憶に対する混乱効果を示さない。
【0005】
本発明による化合物は、5HT輸送体を阻害することがさらに判明した。5HT輸送体は、シナプス間隙からの5HTの再取込みを媒介することにより、セロトニン作動性神経伝達を調節する。5−HT(それはシナプスで放出され、シナプス前セロトニン輸送運搬体(5−HT−T)によってシナプス間隙から能動的に取除かれる)の再取込みを阻害することにより主として作用する選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)は、最近処方される薬剤である。現在入手可能なSSRIには、シタロプラム、フルオキセチン(プロザック)、フルボキサミン、パロキセチン(パキシル)、およびセルトラリン(ゾロフトが含まれる。したがって、本発明による化合物は、うつ病、不安ならびにセロトニンに関連する他の障害の治療に有用である可能性がある。
【0006】
さらに、本発明による化合物はまた、σレセプターに対してアゴニスト活性を示す。σレセプターの生物学および機能に関する研究から、σレセプターのリガンドは、精神病ならびにジストニアおよび遅発性ジスキネシアなどの運動障害、ハンチントン舞踏病またはトゥレット症侯群に関連する運動障害、の治療、ならびにパーキンソン病の治療、に有用である可能性があるという証拠が示された(Walker, J. M. et al., Pharmacological Reviews, 1990, 42, 355)。公知のσレセプターのリガンドであるリムカゾールは、臨床的に精神病の治療に効果を示し(Snyder, S. H., Largent, B. L. J. Neuropsychiatry l989, 1, 7)、一群のσレセプターリガンドは動物モデル中で抗幻覚誘発活性を示すことが報告されている(International Patent Publication No. WO 91/03243)。さらに、σレセプターのリガンドは、脳中のNMDAレセプターを介する事象のモジュレーションに関係し、インビボ試験で抗虚血剤として作用することが報告されている(Rao, T. S. et al, Molecular Pharmacology, 1990, 37, 978)。虚血に加えて、他のそのようなNMDAレセプターを介する事象(例えば癲癇、痙攣)の治療にもまた有用であろう。さらに、いくつかのσレセプターのリガンドは、動物モデル中で抗記憶喪失効果を示すことが判明した(Early et al., Brain Research 1991, 546, 281-286)。σリガンドは、動物モデルで中枢のアセチルコリンレベルに影響を与えることが示されており(Matsuno et al, Brain Research 1992, 575, 315-319; Junien et al, Eur. J. Pharm. 1991, 200, 343-345)、したがってアルツハイマー型老人性認知症の治療に有力であろう。最後に、σレセプター活性を有するいくつかのグアニジン誘導体が抗不安剤として有用であることが開示された(International Patent Application No. WO 90/14067)。したがって、本発明による化合物は、これらの適応症に有用である可能性がある。
【0007】
従って、中枢神経系のσレセプターに強力に作用する薬剤は、そのような症状の治療に役立つ可能性があると信じられている。
【0008】
これらの異なる活性、特に神経系(末梢および中枢神経系)に対する活性を考慮すれば、本発明による化合物は、大きな治療上の重要性を示す。
【0009】
本発明は、したがって下記の一般式(I)を有する化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物を開示する:
【化2】


(式中、
・R1は、水素原子、アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基を表わし、前記の基は任意で、好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、またはトリフルオロメチルまたはジフルオロメチル基などのハロゲノアルキル基より選ばれる少なくとも一つの基によって置換され、
・R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルキニル、アミノアルキル、トリフルオロメチル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキニル、ヒドロキシ基、CN、CHO、CONH2基、あるいは式:−(R5nNHCOR6(式中、R5はアルキル、アルケニルまたはアルキニル基であり、nは0〜3の整数であり、例えばnは0、1、2または3であり、またR6は、アルキル、アリール、アリールオキシまたはアルコキシ基である)の基を表し、
・R3は、同じであるか異なり、水素原子、アルキル、またはトリフルオロメチルまたはジフルオロメチルなどのハロゲノアルキル基であり、
・R4は、アリールまたはヘテロアリール基を表し、前記アリールまたはヘテロアリール基は任意で、好ましくはハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチルまたはジフルオロメチルなどのハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも一つの基によって置換される)。
【0010】
本発明はまた、薬学的に許容される基剤または支持剤中に、上に定義した少なくとも一つの化合物を、任意で別の活性薬剤と組み合わせて含む、医薬品組成物に関する。
【0011】
その医薬品組成物で、特に細胞内cAMPおよび/またはcGMP濃度の異常調節に関連した疾病を治療することを意図する。
【0012】
本発明はまた、上に定義した化合物の、細胞内cAMPおよび/またはcGMP濃度の異常な調節に関連した疾病の治療用の医薬品組成物を調製するための、使用に関する。
【0013】
本発明はまた、上に定義した化合物の有効量の、必要とする対象への投与を含む、細胞内cAMPおよび/またはcGMP濃度の調節異常に関連した疾病を治療する方法を含む。
【0014】
本出願の範囲内でアルキル基は、直鎖状、環状または分岐した1〜10個の炭素原子を含む飽和基であってよい。1〜10個の炭素原子を有するアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、2−エチルヘキシル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、1−メチルヘキシル、3−メチルヘプチル、およびそれらの他の異性体型が挙げられる。環状アルキル基には、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチル基が含まれる。それらにはまた、例えばシクロプロピルメチルラジカルなどの(シクロアルキル)アルキル基を含む、直鎖部分、分岐部分および/または環状部分を同時に含むアルキル基が含まれる。好ましくは、アルキル基は1〜6個の炭素原子を有する。アルキル基は、下記に述べるように、例えばアリール(例えばアリールアルキル)、ハロゲン原子(例えばハロゲノアルキル)またはアルコキシ基(例えばアルコキシアルキル)によって置換されることができる。
【0015】
用語アルコキシとは、酸素原子によって分子の残りの部分に付着される、上に定義したアルキル基を表す。
【0016】
用語アルケニルとは、2〜10個の、好ましくは2〜6個の炭素原子を含み、少なくとも一つのC=C二重結合を示す直鎖状のまたは分岐した基を表す。アルケニル基の例には、特にアリル基が含まれる。
【0017】
用語アルキニルとは、2〜8個の炭素原子を含み、少なくとも1つのC≡C三重結合を示す直鎖状のまたは分岐した基を表す。アルキニル基の例には、特にエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル基が含まれる。そのような基は、特にアミノ、アルコキシ、NHCOR6、または下に定義するアリールによって置換されてもよい。
【0018】
用語アルコキシアルキニル、またはアミノアルキニルとは、上に定義したアルキニル基によって分子に付着される、上に定義したアルコキシ基またはアミノ基(NH2)をそれぞれ表す。
【0019】
用語アミノアルキルとは、上に定義したアルキル基によって分子に付着されるNH2基を表す。
【0020】
用語アリールには、6〜18個の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子を含む任意の芳香族基が含まれる。最も好ましいアリール基は、単環式または二環式であり、6〜10個の炭素原子を含む(例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなど)。
【0021】
別の最も好ましいアリール基は、三環式であり、アントラセニル、またはフルオレニル基を含む。R4がアリール基である場合は、それは好ましくはフェニル、1−ナフチル、または2−ナフチル基である。
【0022】
用語ヘテロアリールには、4〜18個の炭素原子、好ましくは4〜14個の炭素原子を含み、N、O、Sから選ばれる一つまたはいくつかのヘテロ原子が割り込んだ任意の芳香族基が含まれる。最も好ましいヘテロアリール基は、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソキノリル、キノリル、チアゾリル、フリル、ピラニル、ピロリル、2H−ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリルおよびインドリル基である。
【0023】
用語アリールアルキル基とは一般に、上に定義したアルキル基によって分子に付着されるアリール基、好ましくはフェニルを表す(例えば、ベンジルまたはフェネチル)。用語アルキルアリール基とは一般に、上に定義したアリール基によって分子に付着されるアルキル基を表わす。
【0024】
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指すものと理解する。
【0025】
ヘテロ原子とは、O、NおよびSを指すものと理解する。
【0026】
ある特定の実施態様によれば、本発明による化合物は一般式(I)に対応し、式中、R1は水素原子またはアルキル基、好ましくは水素原子、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピルメチル基を表す。
【0027】
別の実施態様によれば、本発明による化合物は一般式(I)に対応し、式中、R1はアリールアルキル基、特にベンジル、フェネチルまたは3−フェニル−プロピルなどのフェニルアルキル基を表わし、ここでアリール基は、トリフルオロメチルなどのハロゲノアルキル基によって置換されてもよい。
【0028】
本発明の特定の局面によれば、本発明による化合物は一般式(I)に対応し、式中、R2は、水素とは異なり、フェニル基の3位に存在する。
【0029】
本発明の特定の局面によれば、本発明による化合物は一般式(I)に対応し、式中、R2は水素原子、ハロゲン原子(好ましくはBr)、CN、またはCONH2を表す。
【0030】
本発明による他の好ましい化合物は、一般式(I)の化合物に対応し、式中、R2は3−アルコキシプロピニル(好ましくは3−メトキシプロピニル)、3−アミノプロピニル、3−アルコキシプロピル(好ましくは3−メトキシプロピル)、または3−アミノプロピルを表わす。
【0031】
本発明の別の特定の局面によれば、本発明による化合物は一般式(I)に対応し、式中、R2は式−(R5nNHCOR6(式中、R5はアルキル(好ましくはプロピル)またはアルキニル(好ましくはプロピニル)基であり、nは1〜3であり、またR6はアルコキシ(好ましくはtert−ブトキシ)基である)の基を表わす。
【0032】
好ましい実施態様では、化合物は式(I)を有し、式中、R3は、同じであるかまたは異なり、アルキル基、好ましくはメチル基を表わす。
【0033】
一つの局面によれば、本発明による化合物は一般式(I)に対応し、式中、R4は置換されたまたはされていないフェニル基である。フェニル基が置換される場合、好ましくはハロゲン原子によって置換される。
【0034】
別の局面によれば、本発明の化合物は一般式(I)を有し、式中、R4は置換されたまたはされていないピリジン基である。ピリジン基が置換される場合、好ましくはハロゲン原子によって置換される。
【0035】
本発明による化合物が塩の形である場合は、それらは、好ましくは薬学的に許容される塩である。そのような塩には、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される塩基付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウム塩およびよびアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸並びに有機酸の塩が含まれる。適当な無機酸の代表的な例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸、その他が含まれる。適当な有機酸の代表的な例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、その他が含まれる。薬学的に許容される無機または有機酸付加塩のさらなる例には、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2、およびHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use edited by P. Heinrich Stahl and Camille G. Wermuth 2002中にリストされている、薬学的に許容される塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩、その他が含まれる。アンモニウム塩およびアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩、その他が含まれる。有機塩基の例には、リジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミン(diethanolamineoline)その他が含まれる。
【0036】
本発明の範囲内にある式(I)の化合物の具体的な例には、以下の化合物が含まれる:
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
6,8−ジメトキシ−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
6,8−ジメトキシ−1−メチル−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロピル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
5−[3−(3−アミノ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
5−[3−(3−アミノ−プロピル)−フェニル]−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン。
【0037】
本発明による化合物は、当業者に公知の様々な方法によって調製することができる。異なる化学的経路が実行されてきており、それを下記に述べる。
【化3】

【0038】
一般式XIおよびXIIの生成物を、一般式IXまたはXの化合物から、末端のアミノ保護基(=Rx、Rx=NHCOOtBuなど)の加水分解により調製することができる。特に、保護基がtert−ブトキシカルボニルである場合は、化合物XIを、プロトン性の酸(例えば塩酸、トリフルオロ酢酸)を用いる、0℃〜80℃の間の温度、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、脂肪族または芳香族炭化水素のような非プロトン性の溶媒中、での酸加水分解によって、得ることができる。
【化4】

【0039】
一般式Xの化合物を、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのプロトン性溶媒中で、大気圧で、炭素上のパラディウムを用いる、金属触媒による一般式IXの化合物の水素化によって、調製することができる。
【化5】

【0040】
一般式IXの化合物を、一般式VII(式中、R1、RxおよびR3は上述の通りである)の化合物と置換アルキンXIII(式中、Rxは上述の意味を持つ)を用いて、薗頭カップリングおよび置換アルキンによる求核置換によって、調製することができる。そのようなアルキンの例には、Rxがアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アミドアルキルおよびカルバモイルアルキルである、式XIIIの化合物が非限定的に含まれる。
【化6】

【0041】
一般式VIII(式中、R3、R1およびR4は上と同じ意味を持つ)の化合物を、エタノール中0〜80℃の温度で、過酸化水素および水酸化ナトリウムによって酸化することにより、調製することができる(スキーム13)。一般式VIIIの化合物はまた、一般式VIIから出発して、アルコール中で硫酸など鉱酸を用いて調製することができよう。
【化7】

【0042】
一般式VII(式中、R3、RxおよびR4は上述の通りである)の化合物を、相間移動条件において、一般式R1Yのアルキル化剤(式中、R1は上述の通りであり、Yは塩素、臭素、ヨウ素、メシレートおよびトシラートなどの適当な脱離基でよい)を用いることにより得ることができる。反応は、室温または沸点のハロゲン化炭化水素、トルエンなどの適当な溶媒中で行なうことができる。
【化8】

【0043】
一般式VIの化合物中のベンゾジアゼピノン環の構築を、ピリジン中還流で一般式IVの化合物とエチルグリシネート塩酸塩を熱することにより、行なう。一般式VIの化合物の別の合成を2段階で、一般式Vの中間体を得て、それをブロモアセチルブロミドおよびアンモニアで処理して一般式VIの環式化合物を生成する。
【化9】

【0044】
一般式IVの主要中間体を、一般式IIIの化合物から、適切に置換されたベンゾニトリルを用いて、ルイス酸混合物(例えばGaCl3/BCl3、InCl3/BCl3、FeCl3/BCl3、SbCl5/BCl3、AgOTf/BCl3、そして最も好ましくはAlCl3/BCl3)を含む、ハロゲン化または芳香族溶媒(例えばジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、そして最も好ましくは1,2−ジクロロエタン)中で、スガサワ(Sugasawa)反応ならびにそれに続くHCl中の加水分解により、得ることができる。
【化10】

【0045】
一般式IIIの化合物を、化合物II(式中、RおよびXは上述の通りであり、Xはハロゲン原子、好ましくは臭素またはヨウ素である)とボロン酸またはエステルRB(OR’)2(式中、Rは上述の意味を有し、R’はH、アルコキシを表わすか、または両方のR’が、ホウ素原子および酸素原子と共に5員環を形成する)との間のパラジウム触媒による交差カップリングを用いて、調製することができる。
【化11】

【0046】
3がCH3である一般式IIの中間体を、J. Med. Chem. 1989, Vol. 32, No 8, 1936-1942に報告された方法と類似の方法を用いて、対応する市販の3,5−ジメトキシアニリンの臭素化によって調製することができる。
【0047】
一般常識および本出願に含まれる以下の指針に基づいて、当業者はこれらの化合物を生成する他の方法を設計することができることを理解すべきである。
【0048】
上に示したように、本発明のさらなる目的は、少なくとも一つの上に定義した式(I)の化合物および薬学的に許容される基剤または支持剤を含む医薬品組成物に関する。
【0049】
化合物を、錠剤、ゲル、シロップ、粉末、エアロゾルなどの固体および液体形を含む様々な形式で調剤することができる。
【0050】
本発明の組成物は、生理学的に許容される希釈剤、増量剤、滑沢剤、賦形剤、溶媒、結合剤、安定化剤、その他を含んでもよい。組成物に用いることのできる希釈剤には、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、粉糖、および持続放出錠剤用のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、が非限定的に含まれる。組成物に用いることのできる結合剤には、デンプン、ゼラチン、ならびにスクロース、グルコース、デキストロースおよびラクトースなどの増量剤が非限定的に含まれる。組成物に用いることのできる天然または合成ゴムには、アルギン酸ナトリウム、ガティガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびveegum、が非限定的に含まれる。組成物に用いることのできる賦形剤には、微結晶セルロース、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、およびスクロースが非限定的に含まれる。用いることのできる安定化剤には、アカシア、寒天、アルギン酸、グアーガム、およびトラガカントなどの多糖類、ゼラチンなどの両性物質、ならびにカルボマー樹脂、セルロースエーテルおよびカルボキシメチルキチンなどの、合成および半合成高分子が非限定的に含まれる。用いることのできる溶媒には、リンゲル液、水、蒸留水、水中の50%までのジメチルスルホキシド、プロピレングリコール(純粋なまたは水中の)、リン酸緩衝生理食塩水、平衡塩溶液、グリコール、および他の従来の液体が非限定的に含まれる。
【0051】
式(I)の化合物を投与する投薬量および投与計画は、剤形、投与様式、治療されている症状、および治療を受けている患者の特色によって変化するであろう。従って、実験を通じて、時と場所に最適な治療濃度を最善に決定することになろう。
【0052】
本発明による化合物を経腸的に用いることができる。経口的には、本発明による化合物を、1kg体重当たり1日当たり100μg〜100mgの割合で投与するのが適当である。必要な服用量を、一つまたは複数の部分で投与することができる。経口投与については、適当な形は、例えば錠剤、ゲル、エアロゾル、ピル、糖衣錠、シロップ、懸濁剤、乳剤、溶液、粉末および顆粒であり;好ましい投与方法は、1mg〜約500mgの活性物質を含む適当な形式を用いることである。
【0053】
本発明による化合物はまた、非経口的に、例えば静脈内へまたは筋肉内への潅流または注入用の溶液または懸濁液の形で、投与することができる。その場合は、本発明による化合物を、一般に1kg体重当たり1日当たり約10μg〜10mgの割合で投与し;好ましい投与方法は、1mL当たり約0.01mg〜1mgの活性物質を含む溶液または懸濁液を用いることである。
【0054】
本発明の化合物について、投与するべき用量は、それが一回用量、複数回用量、または一日当たり用量のどれかにかかわらず、使用した個々の化合物(化合物によって効能が異なるので)、選ばれた投与経路、受容者のサイズ、疾病の型および患者の症状の性質に応じて、もちろん変化する。投与するべき投薬量は一定の範囲に従うわけではなく、それは、通常はその望ましい薬理学的および生理学的効果を達成するために有効な量、または活性薬物の代謝放出の際に投薬製剤から生成される薬理学的活性を有する遊離形態のモルベースでの等価量になるであろう。疾病を治療する技術分野の当業者の医師は、過度な実験なしに、治療するべき疾病に効果があることが分かっている化合物に関する以前に公表された研究を参照することなどによって、本発明の化合物の有効な投与のための適切なプロトコルを決めることができるであろう。
【0055】
本発明による使用のための好ましい化合物には、上に定義した任意のサブグループまたは化合物が含まれる。
【0056】
本発明による化合物は、有利にPDE2に作用する可能性がある。本発明の化合物は、好ましくはPDE2の選択的阻害剤である。即ちそれらは、阻害効果を、例えばPDE3およびPDE4を含む他のホスホジエステラーゼに対して、より少ない程度に示す。いくつかの化合物はまた、PDE2に対する特異的阻害プロフィール(アデノシンデアミナーゼに関するものを含めて)を示し、この点で有利な治療特性を示す。本発明のほとんどの化合物はまた、σレセプターアゴニスト活性および/またはセロトニン再取込み阻害活性を示す。
【0057】
式(I)の化合物は、中枢神経系の疾病、特に神経伝達物質の効果の異常調節または神経伝達物質の一つ(例えばドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、...)の放出欠損に関連した疾病、を治療するために特に有用である。特にそれらを、うつ病、統合失調症、自閉症、不安、双極性障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、睡眠障害、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、線維筋痛、トゥレット症侯群、薬物またはアルコール依存症、癲癇、ジストニアおよび遅発性ジスキネジアなどの運動障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、肥満、不隠下肢症候群(RLS)、精神病、脳血管障害、片頭痛、痙攣、健忘症、月経前不快気分障害(PMDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック障害、社会性障害、神経性過食症、および認知症(特にレビー小体認知症またはアルツハイマー型老人性認知症)からなる群より選ばれる疾病を治療するために、用いることができる。
【0058】
本発明はまた、本発明の化合物またはそれらを含む組成物の、抗不安剤、抗痙攣剤、向知性剤、鎮静剤としての使用、あるいは記憶欠損または認知障害を治療するための使用、を取り扱う。
【0059】
本発明はまた、本発明の化合物またはそれらを含む組成物の、リウマチ、自己炎症性疾病、加齢による肝臓機能不全、糖尿病により誘起される病状、特に心血管疾病、癌(血管形成、アポプトーシス)または敗血症、の治療のための使用を取り扱う。
【0060】
本発明はまた、本発明の化合物またはそれらを含む組成物の、Trypanosoma(睡眠病およびナガナなどの)またはCandida albicansによる障害を治療するための使用に関する。
【0061】
別の局面によれば、本発明は、細胞内のcAMPおよび/またはcGMPの割合の異常調節に関連する疾病または以前に同定した任意の疾病の治療のための方法であって、そのような治療を必要とする患者に少なくとも一つの上述の一般式(I)の化合物の有効量を投与する工程を含む方法に関する。
【0062】
本発明の範囲内では、用語治療とは、治癒的、対症的、および予防的治療を意味する。本発明の化合物を、疾病進行の初期または後期を含む既存の疾病を有する人に用いることができる。本発明の化合物は、必ずしも疾病を有する患者を治癒するわけではないが、特にPDE2活性を低下させ、および/またはσレセプター活性を活性化させ、および/またはセロトニン再取込みを阻害することによって、疾病の進行を遅延させるか緩慢にし、またはさらなる進行を予防し、それにより患者の病状を改善することになろう。本発明の化合物を、罹患はしていないが、通常ならはその疾病を発病することになるであろう、またはその疾病の危険性が増大している人々に投与することもでき、その人々はその疾病を発病しないであろう。治療はまた、年齢、家族歴、遺伝性または染色体の異常によって、および/または、組織または体液中の公知の遺伝子突然変異などの、疾病に対する一つ以上の生物学的マーカーの存在によって、最終的にはその疾病を発病するあるいはその疾病の危険に瀕しているであろう個体における疾病の発病を遅延させること、を含む。その疾病の発症を遅延させることによって、本発明の化合物は、個体が通常ならその疾病に罹患していたであろう期間中、個体がその疾病に罹患するのを妨げる、あるいは個体が最終的にその疾病に罹患する時まで、本発明の化合物の投与がなかった場合のその疾病の発病の割合またはそのいくつかの影響を減少させる。治療にはまた、その疾病に罹患しやすいと思われる個体への本発明の化合物の投与が含まれる。上記の疾病を治療する場合は、本発明の化合物を治療上有効な量で投与する。
【0063】
そのような化合物、それらを含む組成物、または治療を、単独で、または他の活性成分、組成物または治療と組み合わせて実施することができる。さらに、それは慢性または急性の障害の治療に対応することができる。
【0064】
本発明のさらなる局面および長所を、以下の実施例において開示する。それは説明のためであり、本出願の範囲を制限するものではないと考えるべきである。
【0065】
実施例
調製および実施例において、そうではないと述べない限り、次のように実施した:
陽子磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルを、Bruker Avance DRXの200、300および400MHzで記録した。化学シフトを、内部標準として用いられるMe4Siから低磁場側(d)へのppmで報告し、一重項(s)、二重項(d)、二重項の二重項(dd)、三重項(t)、四重項(q)、または多重項(m)に帰属させる。
クロマトグラフィー分析の条件は次の通りであった:カラム:Waters XTerra MS C18(4.6×30mm、5μm);流速:1.0mL/分;移動相:0.05%のTFA(B)およびアセトニトリルの水溶液。
融点測定を、キャピラリー融点測定装置 7SMP3−0 Bibbyを用いて行なった。
【0066】
1.化合物の調製
一般式IIIの中間体の調製(スキーム1)
【表1】

【0067】
中間体1
2,6−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルアミン
脱気した5mLのDMFに、4−ブロモ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン中間体II(300mg、1.29mmol)、ベンゼンボロン酸(400mg、3.28mmol)、リン酸カリウム(800mg、3.55mmol)、Pd(PPh(75mg、0.07mmol)を加えた。混合物を、窒素雰囲気下120℃で24時間撹拌した。作業溶液を水で10倍に薄め、酢酸エチルで3回抽出した。有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮乾固した。残渣をクロマトグラフィーにかけた:溶出液: AcOEt/ヘキサン:1/1。得られた化合物を、エーテル/ペンタンより結晶させ、表題化合物(235mg)を得た:ベージュ色固形物(収率=79%)。
【表2】

【0068】
中間体2
4’−クロロ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルアミン
4−ブロモ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン中間体IIから、中間体1について記述した同じ方法を用い、およびベンゼンボロン酸を用いる代わりに、p−クロロフェニルボロン酸を用いて、調製した。表題化合物(210mg)を、白色固形物として得た(収率=62%)。
【表3】

【0069】
中間体3
3,5−ジメトキシ−4−ピリジン−3−イル−フェニルアミン
4−ブロモ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン中間体IIから、中間体1について記述した同じ方法を用い、およびベンゼンボロン酸を用いる代わりに、3−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル−ピリジンを用いて、調製した。表題化合物(610mg)をベージュ色固形物として得た(収率=72%)。
【表4】

【0070】
一般式IVの中間体の調製(スキーム2)
【表5】

【0071】
中間体4
3−(4−アミノ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−ベンゾニトリル
ジクロロエタン(1.5mL)中の2,6−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルアミン中間体1(260mg、1.13mmol)の溶液を、アルゴン雰囲気下で氷冷した攪拌中のBCl3(CH2Cl2中の1.0M、1.25mL、1.25mmol)溶液に、滴下して加えた。次に、イソフタロニトリル(218mg、1.70mmol)および無水AlCl3(166mg、1.25mmol)を加え、混合物を30分間室温で撹拌した。次に、混合物をゆっくり60℃に加熱し、CHClを蒸留によって除去した。次に、その溶液を78℃で16時間還流した。反応物を室温に冷却し、2N HCl水溶液(0.7mL)で処理し、78℃で3時間加熱した。CH2Cl2(2×10mL)による混合物の抽出および溶媒の除去により、中間体1が粗製混合物として得られた。粗製品を、シリカゲルを通すクロマトグラフィー(溶出剤:CH2Cl2 100%、次にAcOEt/ヘキサン:1/2)にかけた。表題化合物(157mg)を、収率39%で白色固形物として得た。
【表6】

【0072】
中間体5
3−(4−アミノ−4’−クロロ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−ベンゾニトリル
4’−クロロ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルアミン中間体2から、中間体4について記述した同じ方法を用いて調製した。表題化合物(340mg)を収率55%で黄色固形物として得た。
【表7】

【0073】
中間体6
3−(6−アミノ−2,4−ジメトキシ−3−ピリジン−3−イル−ベンゾイル)−ベンゾニトリル
3,5−ジメトキシ−4−ピリジン−3−イル−フェニルアミン中間体3から、中間体4について記述した同じ方法を用いて調製した。表題化合物(360mg)を、収率39%で黄色固形物として得た。
【表8】

【0074】
中間体7
(4−アミノ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−イル)−フェニル−メタノン
2,6−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルアミン中間体1から、中間体4について記述した同じ方法を用いて、またイソフタロニトリルを用いる代わりにベンゾニトリルを用いて、調製した。表題化合物(211mg)を黄色固形物として得た(収率=45%)。
【表9】

【0075】
中間体8
(4−アミノ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−イル)−(3−ブロモ−フェニル)−メタノン
2,6−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルアミン中間体1から、中間体4について記述した同じ方法を用いて、またイソフタロニトリルを用いる代わりに3−ブロモベンゾニトリルを用いて、調製した。表題化合物(1.05g)を黄色固形物として得た(収率=35%)。
【表10】

【0076】
一般式VIの例の調製(スキーム3)
【表11】

【0077】
実施例1
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
0〜5℃の塩化メチレン(5mL)中の3−(4−アミノ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−ベンゾニトリル中間体4(0.44mmol)溶液に、ブロモアセチルブロミド(0.05mL、0.55mmol)を加え、Na2CO3の10%水溶液(0.55mL)を滴下して加えた。溶液をこの温度で30分間攪拌した。二層を分離し;有機層を水(10mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて粗物質を得て、それを0℃で2〜4時間NH3(7N)/MeOH(10mL)中で撹拌し、次に16時間還流した。作業溶液を真空中で蒸発させ、次に水(30mL)中で細かく砕き、濾過した。表題化合物(116mg)を、収率67%で黄色を帯びた固形物として得た。
【表12】

【0078】
実施例2
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−(4−アミノ−4’−クロロ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−ベンゾニトリル中間体5から、中間体1の調製に用いた同じ条件を用いて調製した。表題化合物(190mg)を黄色固形物として得た(収率=63%)。
【表13】

【0079】
一般式VIの例の調製(スキーム4)
【表14】

【0080】
実施例3
6,8−ジメトキシ−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
グリシンエチルエステル塩酸塩(177mg、1.26mmol)と中間体1(211mg、0.63mmol)の乾燥ピリジン(5mL)中の混合物を、16時間撹拌して還流した。グリシンエチルエステル塩酸塩の1当量を、t=4時間、8時間および24時間に加えた。減圧蒸留下のピリジンの除去により、タール状残渣が得られ、それを酢酸エチル(10mL)/H2O(10mL)間で分配した。水相を10mLの酢酸エチルで1回抽出し;合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗製物質をクロマトグラフィーにかけた:溶出液:AcOEt/ヘキサン:1/1。表題化合物を白色固形物(58mg)として得た:(収率25%)。
【表15】

【0081】
実施例4
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(6−アミノ−2,4−ジメトキシ−3−ピリジン−3−イル−ベンゾイル)−ベンゾニトリル中間体6から、中間体3の合成にしたがって調製した。表題化合物(145mg)を黄色固形物として得た(収率52%)。
【表16】

【0082】
実施例5
5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
(4−アミノ−2,6−ジメトキシ−ビフェニル−3−イル)−(3−ブロモ−フェニル)−メタノン中間体8から、実施例3の合成にしたがって調製した。表題化合物(680mg)を黄色固形物として得た(収率62%)。
【表17】

【0083】
一般式VIIの例の調製(スキーム5)
【表18】

【0084】
実施例6
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
トルエン(30mL)およびAliquat336(30μL)の混合物を攪拌しながら、ヨウ化メチル(750μL、11.58mmol)を導入し、粉末にした実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル(2.3g、5.8mmol)および50%の水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を反応混合物に加えた。二相系を16時間激しく撹拌した。相を分離し、水層を酢酸エチル(30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を冷水(20mL)で洗浄した;次に、有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮乾固した。表題化合物をMeOH/ジイソプロピルエーテルから結晶させ、2.25gの白色粉末を得た(収率94%)。
【表19】

【0085】
実施例7
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
実施例2の3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリルから、実施例6の合成にしたがって調製した。表題化合物(75mg)を白色固形物として得た(収率73%)。
【表20】

【0086】
実施例8
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
実施例4の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成にしたがって調製した。表題化合物(80mg)をベージュ色固形物として得た(収率86%)。
【表21】

【0087】
実施例9
6,8−ジメトキシ−1−メチル−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
実施例3の6,8−ジメトキシ−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンから、実施例6の合成にしたがって調製した。表題化合物(27mg)をベージュ色固形物として得た(収率57%)。
【表22】

【0088】
実施例10
5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
実施例5の5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンから、実施例6の合成にしたがって調製した。表題化合物(590mg)を、ベージュ色固形物として得た(収率92%)。
【表23】

【0089】
実施例11
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成にしたがい、およびヨウ化メチルを用いる代わりにヨウ化エチルを用いて、調製した。表題化合物(105mg)をベージュ色固形物として得た(収率76%)。
【表24】

【0090】
実施例12
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成に従い、およびヨウ化メチルを用いる代わりにヨウ化プロピルを用いて、調製した。表題化合物(105mg)をベージュ色の固形物として得た(収率76%)。
【表25】

【0091】
実施例13
3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成に従い、およびヨウ化メチルを用いる代わりにブロモメチル−シクロプロパンを用いて、調製した。表題化合物(85mg)をベージュ色固形物として得た(収率60%)。
【表26】

【0092】
実施例14
3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成に従い、およびヨウ化メチルを用いる代わりにブロモメチル−ベンゼンを用いて、調製した。表題化合物(95mg)を白色固形物として得た(収率62%)。
【表27】

【0093】
実施例15
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成に従い、およびヨウ化メチルを用いる代わりに1−ブロモメチル−4−トリフルオロメチル−ベンゼンを用いて、調製した。表題化合物(120mg)を白色固形物として得た(収率69%)。
【表28】

【0094】
実施例16
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
実施例1の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例6の合成に従い、およびヨウ化メチルを用いる代わりに(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼンを用いて、調製した。表題化合物(100mg)を白色固形物として得た(収率62%)。
【表29】

【0095】
一般式VIIIの例の調製(スキーム6)
【表30】

【0096】
実施例17
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
無水エタノール(2mL)中の実施例6の化合物3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル(90mg、0.22mmol)の溶液に、H22水溶液(水中の30重量%、110μL)を滴下して加え、それに続いてNaOH水溶液(0.5M、40μL)を加えた。溶液を室温で16時間攪拌した。真空中でのエタノールの除去により、粗製物が得られ、それをCH2Cl2/MeOH:95/5によるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、エーテル中での粉砕の後に、表題化合物(35mg)を白色固形物として得た(収率37%)。
【表31】

【0097】
実施例18
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
実施例7の3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリルから、実施例17の合成に従って調製した。表題化合物(28mg)を黄色固形物として得た(収率77%)。
【表32】

【0098】
実施例19
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
実施例4の3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリルから、実施例17の合成に従って、調製した。表題化合物(28mg)を黄色固形物として得た(収率70%)。
【表33】

【0099】
実施例20
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
実施例9の3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例17の合成に従って調製した。表題化合物(25mg)を黄色固形物として得た(収率68%)。
【表34】

【0100】
実施例21
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
実施例11の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例17の合成にしたがって調製した。表題化合物(65mg)を白色固形物として得た(収率89%)。
【表35】

【0101】
実施例22
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
実施例12の3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例17の合成にしたがって調製した。表題化合物(70mg)を白色固形物として得た(収率93%)。
【表36】

【0102】
実施例23
3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
実施例13の3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例17の合成にしたがって調製した。表題化合物(60mg)を白色固形物として得た(収率97%)。
【表37】

【0103】
実施例24
3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)ベンズアミド
実施例14の3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリルから、実施例17の合成にしたがって調製した。表題化合物(60mg)を白色固形物として得た(収率90%)。
【表38】

【0104】
実施例25
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
実施例15の3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリルから、実施例17の合成にしたがって調製した。表題化合物(75mg)を白色固形物として得た(収率97%)。
【表39】

【0105】
実施例26
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
実施例16の3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリルから、実施例17の合成にしたがって調製した。表題化合物(50mg)を白色固形物として得た(収率71%)。
【表40】

【0106】
一般式IXの例の調製(スキーム7)
【表41】

【0107】
実施例27
6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
脱気した5mLのアセトニトリルに、実施例10の5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン(150mg、0.32mmol)、3−メトキシ−プロピン(250μL、0.96mmol)、ヨウ化銅(3mg、0.016mmol)、(PPh32PdCl2(23mg、0.032mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL)を加えた。混合物を、窒素雰囲気下60℃で16時間撹拌した。作業溶液を真空下で蒸発させた。残渣を水と酢酸エチルで分配し、酢酸エチルでもう2回抽出した。有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮乾固した。残渣をクロマトグラフィーにかけた:(溶出液 AcOEt/CH2Cl2:1/2)。表題化合物(85mg)をベージュ色固形物として得た(収率58%)。
【表42】

【0108】
実施例28
{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例10の5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オンから、実施例27の合成に従い、および3−メトキシ−プロピンを用いる代わりにプロプ−2−イニル−カルバミン酸tert−ブチルエステルを用いて、調製した。表題化合物(130mg)を、茶色固形物として得た(収率56%)。
【表43】

【0109】
一般式Xの例の調製(スキーム8)
【表44】

【0110】
実施例29
6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロピル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
MeOH/CH2Cl2:8/2中の実施例27の6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン(70mg、0.54mmol)の溶液をアルゴンで脱気した。次に、Pd/C 10%(10mg)を加えて、フラスコを6〜24時間水素下に置いた。Pd/Cを濾過して除き、CH2Cl2で2回洗浄した。表題化合物をエーテル/ペンタンから結晶させ、ベージュ色固形物45mgを得た(収率64%)。
【表45】

【0111】
実施例30
{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例28の{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−(ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルから、実施例29の合成にしたがって、調製した。表題化合物(65mg)をベージュ色固形物として得た(収率92%)。
【表46】

【0112】
一般式XIおよびXIIの例の調製(スキーム9)
【表47】

【0113】
実施例31
5−[3−(3−アミノ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
0℃の、脱気したジクロロメタン1mL中の、実施例28の{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(55mg、0.1mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(0.5mL)を加えた。混合物を、窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。作業溶液を真空下で蒸発させた。残渣を、炭酸カリウム(水中10%)溶液および酢酸エチルで分配し、酢酸エチルにより、もう2回抽出した。Na2SO4上で有機相を乾燥させ、濃縮乾固した。表題化合物をエーテル/ペンタンから結晶させ、35mgの表題化合物を得た:ベージュ色固形物(収率79%)。
【表48】

【0114】
実施例32
5−[3−(3−アミノ−プロピル)−フェニル]−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
実施例30の{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルから、実施例31の合成にしたがって調製した。表題化合物(25mg)をベージュ色固形物として得た(収率75%)。
【表49】

【0115】
2. 薬理学的活性:
2.1.ホスホジエステラーゼの阻害。
【0116】
2.1.1.平滑筋からのホスホジエステラーゼの単離
はさみで小片に切断したウシ大動脈中膜切片3gを、プロテアーゼインヒビターカクテル(20mMトリス−HCl、0.25Mサッカロース、2mM酢酸マグネシウム、1mMジチオスレイトール、5mM EGTA、2000U/mLアプロチニン、10mg/L ロイペプチン、および10mg/Lダイズトリプシンインヒビター)を含む7重量容量の緩衝液A中で、ultra−turraxで、次にポッター型ガラス/ガラスホモジナイザーで、ホモジナイズした。ホモジネートを1時間105,000gで遠心した。上清を、緩衝液B(サッカロース、EGTA、およびプロテアーゼインヒビターを除いた緩衝液A)であらかじめ平衡に保っておいたDEAE−Sephacelカラム(15×1.6cm)に載せた。カラムを280nmで検出可能な吸収がなくなるまで洗浄し、次に、緩衝液B中のNaClの直線濃度勾配(0〜0.5M)で溶出した。3mLずつの画分を集め、以下に記述した条件下で酵素活性を測定し、異なる酵素PDE1、PDE3、PDE4、およびPDE5の位置を決定して、それらを小分けにし、−80℃で凍結させた(Lugnier et al., Biochem. Phamacol.,1986, 35: 1746- 1751)。PDE2をEtablissement Francais du Sang-Alsaceによって提供されたヒトの血小板から、Kameni Tcheudji JF et al., (J. MoI. Biol. 2001; 310: 181-791)にしたがって単離し、小分けにして−80℃で、使用するまで保存した。
【0117】
2.1.2. ホスホジエステラーゼ活性を測定するためのプロトコル
サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性を、基質としてトリチウムラベルされたサイクリックGMPまたはサイクリックAMP(1μM)を用いる放射酵素的方法により測定した(Lugnier et al., 1986)。放射性ラベルされたサイクリックヌクレオチドの加水分解によって形成された3Hラベルアデノシン一リン酸またはグアノシン一リン酸を次に、過剰の一つのヌクレオチダーゼによる第二の反応によって、3Hラベルアデノシンまたはグアノシンに変換した。形成されたヌクレオシドを、陰イオン交換クロマトグラフィーによってヌクレオチドから分離した。ヌクレオシドの放射能を、液体シンチレーション計数によって決定した。基質の15%以下を加水分解する条件下で、酵素のインキュベーションを実行した;各点を二連で行った。
【0118】
2.1.3. PDE2の阻害の測定。
1μMサイクリックAMPにおける酵素活性を50%阻害する物質の濃度(IC50)を、加水分解速度の実験値からの非線形回帰によって計算した(Prism, GraphPad)。
【0119】
2.1.4. 選択性
他のホスホジエステラーゼアイソフォーム、特に基底状態のまたはカルモジュリンで活性化された、血管平滑筋からのPDE1、血管平滑筋からのPDE3、PDE4およびPDE5、に対する化合物の活性を、評価した。
【0120】
得られた結果を以下の表1および2に示し、試験化合物10μmolにより生じた酵素活性のパーセント阻害率として表す。
【0121】
【表50】

【0122】
【表51】

【0123】
試験したすべての化合物が、PDE2に対する強力な阻害を示した。本発明による好ましい化合物は、該化合物が他のPDEのより弱い阻害剤である限りにおいて、ホスホジエステラーゼ2に対する優れた効力および選択性プロフィールを有する。
【0124】
2.2. 5−HT輸送体の阻害
【0125】
2.2.1 5−HT輸送体の単離
セロトニン作動性5−HT輸送体を、ヒト組換えHEK−293細胞から、Tatsumi et al.(1997), Pharmacological profile of antidepressants and related compounds at human monoamine transporters, Eur. J. Pharmacol., 340: 249-258に記述された方法によって単離した。
【0126】
2.2.2 セロトニン作動性輸送体の結合を測定するためのプロトコル
セロトニン作動性輸送体の結合を、基質としてトリチウムラベルされたイミプラミン(2nM)を用いる放射性リガンド法によって測定した(Tatsumi et al., 1999)。リガンドの放射活性を、液体シンチレーション計数により測定した。リガンドのインキュベーションを30分間22℃で行った。実験は二連で行なった。
【0127】
2.2.3. 特異的なリガンドの結合の測定
セロトニン作動性輸送体への特異的なリガンド結合を、全結合と、過剰の非ラベルリガンドの存在下で測定された非特異的結合との間の差として定義した。得られた結果を以下の表3に示し、対照の特異的結合のパーセント、および10μMの物質の存在下で得られた対照の特異的結合のパーセント阻害率として表す。
【0128】
【表52】

【0129】
2.3. σレセプターのアゴニズム特性
【0130】
2.3.1 σレセプターの単離
σレセプターを、Shirayama et al., 1993, p-Chlorophenylalanine-reversible reduction of s binding sites by chronic imipramine treatment in rat brain, Eur. J. Pharmacol, 237: 117-126.に記述された方法により、ラット大脳皮質から単離した。
【0131】
2.3.2. σレセプターの結合を測定するためのプロトコル
σ1レセプターの結合を、基質としてトリチウムラベルされたDTG(8nM)を用いる放射性リガンド法により測定した(Shirayama et al., 1993)。リガンドの放射活性を、液体シンチレーション計数により測定した。σの結合を評価するために、120分間22℃でリガンドのインキュベーションを行った。実験は二連で行った。
【0132】
2.3.3. 特異的なリガンド結合の測定
σレセプターへの特異的なリガンド結合を、全結合と、過剰の非ラベルリガンドの存在下で測定された非特異的結合との間の差として定義した。得られた結果を以下の表4に示し、対照の特異的結合のパーセント、および10μMの物質の存在下で得られた対照の特異的結合のパーセント阻害率として表す。
【0133】
【表53】

【0134】
2.3.4. σ1レセプターおよびσ2レセプターの単離
σ1レセプターを、モルモット大脳皮質からBowen et al., 1993 に記述された方法により単離した。σ2レセプターを、ラット大脳皮質からBowen et al., 1993 (BOWEN, W.D., de COSTA, B.R., HELLEWELL, S.B., WALKER, M. and RICE, K.C. (1993) [3H]-(+)- pentazocine: a potent and highly selective benzomorphan-based probe for sigm1 receptors. Mol. Neuropharmacol., 3: 117-126) に記述された方法により単離した。
【0135】
2.3.5. σレセプターの結合を測定するためのプロトコル
σ1レセプターの結合を、基質としてトリチウムラベルされた(+)ペンタゾシン(2nM)を用いる放射性リガンド法により、測定した(Bowen et al., 1993)。σ2レセプターの結合を、基質としてトリチウムラベルされたDTG(+300nM(+)ペンタゾシン)(5nM)を用いる放射性リガンド法により、測定した(Bowen et al., 1993)。リガンドの放射活性を、液体シンチレーション計数により測定した。σ1の結合を評価するために、150分間22℃でリガンドのインキュベーションを行った。σ2の結合を評価するために、120分間22℃でリガンドのインキュベーションを行った。実験は二連で行なった。
【0136】
2.3.6. 特異的なリガンド結合の測定
σレセプターへの特異的なリガンド結合を、全結合と、過剰の非ラベルリガンドの存在下で測定された非特異的結合との間の差として定義した。得られた結果を、以下の表4に示し、対照の特異的結合のパーセント、および10μMの物質の存在下で得られた対照の特異的結合のパーセント阻害率として表す。
【0137】
【表54】

【0138】
2.4. インビトロの薬理学:σレセプター
【0139】
2.4.1. 単離器官バイオアッセイ
【表55】


VAUPEL, D.B. and SU, T.P. (1987), Guinea-pig vas deferens preparation may contain bothσand phencyclidine receptors, Eur. J. Pharmacol., 139: 125-128.
【0140】
実験条件
モルモット輸精管の切片を、酸素添加され(95%O2および5%CO2)予熱された(37℃)次の組成(mM):(NaCl 118.0、KCl 4.7、MgSO4 1.2、CaCl2 2.5、KH2PO4 1.2、NaHCO3 25.0、およびグルコース 11.0)の生理的食塩水(pH7.4)を含む20mLの臓器槽に浮遊させた。α2−アドレナリン作動性レセプター、ドーパミンD2レセプター、ムスカリンレセプターおよびオピオイドレセプターを、それぞれ遮断するために、ヨヒンビン(1μM)、(−)スルピリド(1μM)、アトロピン(1μM)およびナロキソン(1μM)もまた、実験の全体にわたって、存在した。
【0141】
組織を、等尺性張力記録用の力変換器に接続した。その組織を、0.5gの静止張力になるように伸ばし、少なくとも30分間平衡に保ち、その期間それを繰り返し洗浄し、張力を再調節した。その後、それらを定電流刺激装置を用いて電気的に刺激した。実験を、8つの臓器槽を有する半自動の単離臓器システムを用い、多重チャンネルデータ収集で行なった。
【0142】
2.4.2. 実験のプロトコル
アゴニスト活性の試験
組織を、最大下濃度の参照アゴニスト(+)SKF−10047(100μM)に曝して、応答性を確認し、対照応答を得た。洗浄および攣縮振幅の回復に続いて、組織を、漸増濃度の物質または同じアゴニストに曝した。異なる濃度を累積的に加え、各々を、安定した応答を得るまで、または最大15分間、組織に接触させ続けた。アゴニスト様の応答(攣縮の増強)を得た場合は、この応答へのσレセプターの関与を確認するために、最高濃度の物質に対して参照アンタゴニスト、リムカゾール(10μM)を試験した。
【0143】
アンタタゴニスト活性の試験
組織を、最大下濃度の参照アゴニスト(+)SKF−10047(100μM)に曝して、対照応答を得た。(+)SKF−10047によって誘起された応答が安定した後に、漸増濃度の物質または参照アンタゴニストのリムカゾールを累積的に加えた。各濃度を、安定した応答を得るまで、または最大15分間、組織に接触させておいた。
(+)SKF−10047によって誘起された攣縮振幅増大の、物質による阻害がもし起った場合は、それはσレセプターにおけるアンタゴニスト活性を示すものである。
【0144】
2.4.3. 結果の分析および表示
測定されたパラメーターは、各化合物濃度によって誘起された攣縮振幅の最大変化であった。結果を、対照の攣縮振幅のパーセント変化として表す(平均値)。
【0145】
表6〜7に、モルモット輸精管のバイオアッセイにおける、σレセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト活性について1.0 10-6 M、3.0 10-6 M、および1.0 10-5 Mで試験された物質の効果を要約し、ここで参照化合物の効果も報告する。
【0146】
表6〜7
モルモット輸精管におけるσレセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト活性について調べた化合物17の効果
【0147】
【表56】

【0148】
【表57】


結果を、対照攣縮振幅のパーセント変化として表す(平均値;n=2)。+および−記号は、それぞれ増加と減少を示す。
【0149】
電場刺激されたモルモット輸精管において、σレセプターのアゴニスト(+)SKF 10,047が、攣縮振幅の濃度依存性増強を引き起こし、それをアンタゴニスト、リムカゾールが阻害した。未処理の組織では、物質は、1.0 10-6 Mおよび3.0 10-6 Mで不活性であった。1.0 10-5 Mでは、それは、攣縮振幅のリムカゾール感受性増強を引き起こした。以前に(+)SKF10,047に曝されている組織においては、物質は1.0 10-6 Mおよび3.0 10-6 Mでは、このアゴニストに対する応答に影響を与えなかった。1.0 10-5 Mでは、それは、攣縮振幅のさらなる増強を引き起こした。これらの結果は、この組織では、化合物が3.0 10-6 Mより高濃度ではσレセプターのアゴニストとして作用することを示す。
【0150】
3. 行動試験
水泳試験
この試験は、急性ストレスに供されたげっ歯動物の選択的行動の誘導に基づく。このモデルでは、水で満たされた容器中に置かれたラットまたはマウスは、増大した水泳活動の期間および相対的不動の期間を示す。臨床的活性を有する抗うつ剤は、最初の不動相の開始を遅らせて、相対的不動の総時間を減少させることが判明している。
【0151】
Swissマウスを用いた。動物を個々に水中に置き、6分間そのままにした。動物は、2分間の順応期間を与えられた。最後の4分間の観察期間に、最初の不動期間の開始、および不動期間の持続時間を記録した。
【0152】
試験の60分前に処置を施した。動物を無作為に4つの群に割り当てた。対照群には基剤を与え、一方他の3つの群には、試験化合物の異なる一回用量を与えた。
【0153】
結果を図1aおよび1bに示す:不動相の平均持続時間(s);N=10;p<0.005(Dunnett検定)。
【0154】
結果は、図1a(不動時間の開始)および1b(総不動時間)により与えられている。統計分析により、総不動期間について、群間の有意差が明かになった(p=0.005)。0.3、3または30mg/kgの試験化合物で処置されたマウスは、対照動物より有意に短い相対的不動時間を示した。
【0155】
明暗試験
【0156】
1. 目的
明暗(LD)試験を用いて、マウスの相対的不安状態を評価する。
【0157】
2. 背景
げっ歯動物における明暗パラダイムは、明るく照明された領域に対する生得的嫌悪と自然な探索活動との間の葛藤に基づく。もし大きな明るい区画と小さな暗い区画との間での選択が与えられれば、動物は自然に暗さを好む。抗不安化合物は、明るい区画へ入る数、およびそこで費やす持続時間の合計を増加させることが分かっている。不安誘発化合物は、逆の方向に働くことが観察された。
【0158】
3. 材料
装置
装置は、プレキシグラスで閉じられた二つのポリ塩化ビニル箱(19×19×15cm)からなる。これらの箱の一方を、15cm上に置かれた100Wの卓上スタンドによって照明して、約4400ルクスの照度を与え、他方の箱は暗い。不透明なプラスチックのトンネル(5×7×10cm)が、照明された箱から暗い箱を分ける。
【0159】
4. 方法
ステップ1 − 薬物処置:
動物を、本発明の試験化合物(試験物質)の群および対照の群に、無作為に割り当てる。各動物を試験の1時間前に、適切な用量の基剤または試験化合物で、経口投与経路を用いて処置する。
【0160】
ステップ2 − 試験の実施:
動物を、トンネルの方へ頭を向けて、照明された箱に置く。動物が最初に暗い箱へ入った後の5分間に亘る期間での、照明された箱で費した時間を記録する。各動物の間で、装置をアルコール(70°)を用いて清浄にする。
【0161】
5. データ分析および結果
照明された箱へ入らなかったと判定された動物はすべて分析から除外する。
一元配置分散分析(ANOVA)を用いて、照明された箱へ入った数の平均または照明された箱で費やした時間の平均が、3つ以上の群の間で異なるかどうか検定する。ANOVAが有意差(p≦0.05)を示す場合には、Fisherの保護最小有意差法を用いて群平均の対を比較する。結果を図1cに示す。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、本発明による化合物の異なる濃度での、不動相の平均持続時間として示した水泳試験の結果(図1aおよび1b)、および本発明による化合物の異なる濃度における、照明された箱で費やされた時間として示した明暗試験の結果(図1c)を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩または溶媒和物:
【化1】


(式中:
・R1は、水素原子、アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基を表わし、前記の基は任意で、好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチルまたはジフルオロメチル基などのハロゲノアルキル基より選ばれる少なくとも一つの基によって置換され、
・R2は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルキニル、アミノアルキル、トリフルオロメチル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキニル、ヒドロキシ基、CN、CHO、CONH2基、あるいは式−(R5nNHCOR6(式中、R5はアルキル、アルケニルまたはアルキニル基であり、nは0〜3の整数であり、R6は、アルキル、アリール、アリールオキシまたはアルコキシ基である)の基を表わし、
・R3は、同じであるか異なり、水素原子、アルキル、またはトリフルオロメチルまたはジフルオロメチルなどのハロゲノアルキル基であり、
・R4は、アリールまたはヘテロアリール基を表し、前記アリールまたはヘテロアリール基は任意で、好ましくはハロゲン原子、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチルまたはジフルオロメチルなどのハロゲノアルキル基から選ばれる少なくとも一つの基によって置換される)。
【請求項2】
1が、水素原子またはアルキル基を、好ましくは水素原子、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルメチル基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1が、アリールアルキル基を、特にベンジル、フェネチルまたは3−フェニル−プロピルなどのフェニルアルキル基を表し、ここでアリール基はハロゲノアルキル基によって置換されてもよい、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
2が、水素とは異なり、フェニル基の3位に存在する、請求項1〜3のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
2が、水素原子、ハロゲン原子(好ましくはBr)、CN、またはCONH2を表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
2が、3−アルコキシプロピニル(好ましくは3−メトキシプロピニル)、3−アミノプロピニル、3−アルコキシプロピル(好ましくは3−メトキシプロピル)、または3−アミノプロピルを表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
2が、式 −(R5nNHCOR6(式中、R5はアルキル(好ましくはプロピル)またはアルキニル(好ましくはプロピニル)基であり、nは1〜3であり、またR6はアルコキシ(好ましくはtert−ブトキシ)基である)の基を表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
3が、同じであるか異なり、アルキル基、好ましくはメチル基を表す、請求項1〜7のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
4が、置換されたまたはされていないフェニル基である、請求項1〜8のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
4が、置換されたまたはされていないピリジン基である、請求項1〜8のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
以下の化合物からなる群より選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物:
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
6,8−ジメトキシ−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
6,8−ジメトキシ−1−メチル−5,7−ジフェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
5−(3−ブロモ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンゾニトリル
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンゾニトリル
3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−[7−(4−クロロ−フェニル)−6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(1−シクロプロピルメチル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−(1−ベンジル−6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−ベンズアミド
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
3−[6,8−ジメトキシ−2−オキソ−7−フェニル−1−(3−フェニル−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル]−ベンズアミド
6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
6,8−ジメトキシ−5−[3−(3−メトキシ−プロピル)−フェニル]−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
{3−[3−(6,8−ジメトキシ−1−メチル−2−オキソ−7−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−5−イル)−フェニル]−プロプ−2−イニル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
5−[3−(3−アミノ−プロプ−1−イニル)−フェニル]−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン
5−[3−(3−アミノ−プロピル)−フェニル]−6,8−ジメトキシ−1−メチル−7−フェニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2−オン。
【請求項12】
少なくとも一つの、請求項1〜11のいずれか1項中で定義される式(I)の化合物、および薬学的に許容される基剤または支持剤を含む、医薬品組成物。
【請求項13】
細胞内cAMPおよび/またはcGMPの割合の異常調節に関連する疾病の治療のための、請求項12記載の医薬品組成物。
【請求項14】
中枢神経系の疾病の、特に神経伝達物質の効果の異常調節または神経伝達物質の一つの放出欠損に関連した疾病の、治療のための医薬品組成物を調製するための、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項15】
以下の疾病からなる群より選ばれる疾病の治療のための医薬品組成物を調製するための、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物の使用:うつ病、統合失調症、自閉症、不安、双極性障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、痙攣、睡眠障害、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、線維筋痛、トゥレット症侯群、薬物またはアルコール依存症、癲癇、ジストニアおよび遅発性ジスキネジアなどの運動障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、肥満、不隠下肢症候群(RLS)、精神病、脳血管疾病、片頭痛、痙攣、健忘症、月経前不快気分障害(PMDD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック障害、記憶欠損、認知障害、社会性障害、神経性過食症、認知症(特にレビー小体認知症またはアルツハイマー型老人性認知症)、リウマチ、敗血症、糖尿病により誘起される病状、癌、自己炎症性疾病、加齢による肝臓機能不全、Trypanosoma(睡眠病およびナガナなどの)およびCandida albicansによる障害。

【図1】
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【公表番号】特表2009−503053(P2009−503053A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524626(P2008−524626)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003295
【国際公開番号】WO2007/026254
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(506217368)
【氏名又は名称原語表記】NEURO3D
【Fターム(参考)】