説明

ベンゾフラン誘導体、その製造方法およびその中間体

式(I)の化合物:
【化1】


(式中、Aはピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルから選択され、かつR、RおよびRは明細書に記載のものである)およびグルコキナーゼで媒介される疾患または症状の治療または予防におけるその使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、インスリン分泌に対するグルコース閾値の減少をもたらす、グルコキナーゼ(GLK)で媒介される疾患または症状の治療または予防に有用な化学化合物に関する。さらに、本化合物は、肝臓へのグルコース取り込みを増加させることにより血糖を低下させることが予測される。かかる化合物は、2型糖尿病および肥満症の治療において有用であることができる。本発明はまた、前記化合物の製造方法、前記化合物を含んでなる医薬組成物および前述の疾患におけるかかる化合物の使用にも関する。
【0002】
膵臓β細胞および肝実質細胞における主要な細胞膜グルコース輸送体はGLUT2である。生理的グルコース濃度下において、GLUT2が膜を横切ってグルコースを輸送する速度は、これらの細胞におけるグルコース取り込みの全体の速度に対して律速ではない。グルコース取り込み速度は、グルコキナーゼ(GLK)により触媒される、グルコース−6−リン酸(G−6−P)へのグルコースのリン酸化速度により律速される[1]。GLKは、グルコースに対して高い(6〜10mM)Kmを有し、生理的濃度のG−6−Pにより阻害されない[1]。GLKの発現は、少数の組織および細胞型(最も代表的には膵臓β細胞および肝臓細胞(肝細胞))に限定されている[1]。これらの細胞においては、GLK活性はグルコース利用に対して律速であり、したがってグルコース誘導性インスリン分泌および肝グリコーゲン合成の程度を制御する。これらのプロセスは全身のグルコース恒常性の維持に重要であり、糖尿病においては両方とも正常に機能していない[2]。
【0003】
糖尿病の1つのサブタイプである若年発症2型糖尿病(MODY−2)において、糖尿病はGLK機能喪失型変異により引き起こされる[3、4]。MODY−2患者における高血糖は、膵臓および肝臓の両方におけるグルコース利用障害によって引き起こされる[5]。MODY−2患者の膵臓におけるグルコース利用障害は、グルコース応答性インスリン分泌に対する閾値の上昇をもたらす。逆に、まれに起こるGLKの活性化変異はこの閾値を低下させ、家族性高インスリン血症の原因となる[6、7]。MODY−2糖尿病患者で観察されるGLK活性減少に加えて、2型糖尿病患者においては肝グルコキナーゼ活性もまた減少している[8]。重要なことには、GLKの全体または肝臓選択的過剰発現は、この疾患の食および遺伝モデルにおける糖尿病性表現型の発症を予防するかまたはくい止める[9〜12]。その上、フルクトースを用いる2型糖尿病患者の急性期治療により、肝グルコース利用の促進を介して耐糖能が改善される[13]。この効果は、以下に示すメカニズムにより、肝細胞における細胞質内GLK活性のフルクトースで誘導される増加によって媒介されると考えられている[13]。
【0004】
肝GLK活性は、GLK制御タンパク質(GLKRP)との結合により抑制される。GLK/GLKRP複合体はGLKRPに結合したフルクトース−6−リン酸(F6P)により安定化され、この糖リン酸がフルクトース−1−リン酸(F1P)で置換されることにより不安定化される。F1Pは、フルクトキナーゼで媒介される、食事中のフルクトースのリン酸化により生成される。その結果として、GLK/GLKRP複合体の完全性および肝GLK活性は、食後の状態ではF1Pが優位であるのに対し吸収後ではF6Pが増加しているように、栄養にしたがって調節される。肝細胞と対照的に、膵臓β細胞はGLKRPの非存在下でGLKを発現する。したがって、β細胞のGLK活性は、もっぱらその基質であるグルコースの利用可能性により調節される。小分子は、直接に、またはGLK/GLKRP複合体の不安定化を介してGLKを活性化することが可能である。前者のクラスの化合物は、肝臓および膵臓の両方においてグルコース利用を促進すると予測されるが、後者はもっぱら肝臓において作用すると予測される。しかしながら、いずれかの特徴を有する化合物は、2型糖尿病が両方の組織におけるグルコース利用障害により特徴づけられるので、2型糖尿病の治療において治療上の利点を有することが予測される。
【0005】
GLKおよびGLKRPならびにKATPチャンネルは、エネルギーバランスの調節および食物摂取の調節に重要な役割を持つ脳の領域である視床下部のニューロン中で発現されている[14〜18]。これらのニューロンは、食欲亢進および食欲抑制神経ペプチドを発現していることが見出され[15、19、20]、周囲のグルコース濃度変化により抑制または活性化のいずれかを受ける視床下部内のグルコースセンシングニューロンと推測されている[17、19、21、22]。グルコース濃度変化を感知するニューロンの能力は、種々の遺伝的および実験的に誘導された肥満症モデルにおいて障害を受けている[23〜28]。グルコキナーゼの競合阻害剤であるグルコース類似体の脳室内(icv)注入により、やせたラットにおける食物摂取が促進される[29、30]。これと対照的に、グルコースのicv注入により摂食行動が抑制される[31]。したがって、GLKの小分子活性化剤は、GLKへの中枢効果を介して食物摂取および重量増を抑制することができる。したがって、GLK活性化剤は糖尿病および肥満症を含む摂食障害の治療における治療的使用に有用であることができる。2型糖尿病の治療のために肝臓および/または膵臓におけるグルコース恒常性の正常化において作用する同一の化合物の効果に対して、視床下部効果は相加効果あるいは相乗効果である。したがってGLK/GLKRPシステムは、”糖尿肥満”標的としての見込みがある(糖尿病および肥満症の両方において利点を有する)と言うことができる。
【0006】
WO00/58293およびWO01/44216(Roche)において、一連のベンジルカルバモイル化合物がグルコキナーゼ活性化剤として記載されている。かかる化合物がGLKを活性化するメカニズムは、GLK活性がNADH産生と関連しているアッセイにおいて、かかる化合物の直接効果を測定し、ついでこれを光学的に測定することにより分析される(下記のインビトロアッセイの詳細を参照のこと)。本発明の化合物は、GLKを直接に活性化する場合もあり、あるいはGLKRPとGLKの相互作用を阻害することによりGLKを活性化する場合もある。本発明の化合物の多くは、公知のGLK活性化剤と比較して良好な選択性を示すことができる。
【0007】
国際出願番号:WO03/000267は、酵素であるグルコキナーゼ(GLK)の活性化剤であるベンゾイルアミノピリジルカルボン酸のグループを記載しており、国際出願番号WO03/015774は、グルコキナーゼ活性化剤としてベンゾイルアミノ複素環化合物のグループを記載しており、国際出願番号WO03/000262は、グルコキナーゼ活性化剤としてビニルフェニル誘導体のグループを記載している。
【0008】
本発明によれば、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが提供される:
【0009】
【化1】

【0010】
(式中:
環Aはピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルであり;ここで前記ピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルはRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;
およびRの1つは水素であり、他方は水素またはC1−4アルキルであり;ここでRおよびRはRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;
はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含む場合、該窒素はC1−4アルキルで置換されていても良く;
はハロ、カルボキシおよびC1−4アルキルから選択され;
およびRは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、N−(C1−4アルキル)アミノ、N,N−(C1−4アルキル)アミノ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシおよびカルボシクリリデニルから選択され;ここでRおよびRは独立して1以上のRで炭素上に置換されていても良く;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含む場合、該窒素はC1−4アルキルで置換されていても良く;
はハロ、カルボキシ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびN−メチル−N−エチルアミノから選択される)。
【0011】
式(I)の化合物は、本発明の範囲内である塩を形成することができる。薬学的に許容される塩が好ましいが、他の塩も、例えば化合物の単離または精製などに有用であることができる。
【0012】
”ハロ”という用語は、クロロ、ブロモ、フルオロおよびヨードを含み;好ましくはクロロ、ブロモおよびフルオロを含み;最も好ましくはフルオロを含む。
本明細書においては、”アルキル”という用語は、直鎖および分枝鎖の両方のアルキル基を含む。例えば”C1−4アルキル”および”C1−6アルキル”は、プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルを含む。
【0013】
”カルボシクリル”は、3〜12原子を含む飽和、部分飽和または不飽和の、単環式または2環式炭素環であり;ここで−CH−基は所望により−C(O)−で置換されることができる。好ましくは”カルボシクリル”は5〜6原子を含む単環式環または9〜10原子を含む2環式環である。”カルボシクリル”の適切な例は、シクロプロピル、シクロブチル、1−オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、テトラリニル、インダニルまたは1−オキソインダニルを含む。具体的には、”カルボシクリル”はシクロヘキシルまたはフェニルである。最も具体的にはフェニルである。
【0014】
”ヘテロシクリル”は少なくとも1つの原子が窒素、硫黄または酸素から選択される3〜12原子を含む飽和、部分飽和または不飽和の、単環式または2環式環であり、ここで−CH−基は所望により−C(O)−で置換されていることができ、あるいは複素環中の硫黄原子はS(O)またはS(O)に酸化されていることができる。‘ヘテロシクリル環は、窒素を介する結合が四級窒素を導く以外は、特記しない限り、炭素または窒素で結合していることができる。好ましくは”ヘテロシクリル”は飽和、部分飽和または不飽和の、単環式または2環式環であり、ここで各環は1〜3原子が窒素、硫黄または酸素である5〜6原子を含み、各環は、特記しない限り、炭素または窒素で結合していることができ、ここで−CH−基は所望により−C(O)−で置換されていることができ、あるいは複素環中の硫黄原子はS(O)またはS(O)基に酸化されていても良い。さらに好ましくは、”ヘテロシクリル”は飽和、部分飽和または不飽和の単環式環であり、ここで各環は1〜3原子が窒素、硫黄または酸素である5〜6原子を含む。さらに好ましくは、”ヘテロシクリル”は部分飽和または不飽和の単環式環であり、ここで各環は1〜2原子が窒素、硫黄または酸素である5〜6原子(好ましくは5原子)を含む。
【0015】
”ヘテロシクリル”という用語の例および適切な例は、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2−ピロリドニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2−ベンゾオキサゾリノニル、1,1−ジオキソテトラヒドロチエニル、2,4−ジオキソイミダゾリジニル、2−オキソ−1,3,4−(4−トリアゾリニル)、2−オキサゾリジノニル、5,6−ジヒドロウラシニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,2,4−オキサジアゾリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、4−チアゾリドニル、モルホリノ、2−オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソオキサゾリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドリル、ピペラジニル、チオモルホリノ、1,1−ジオキソチオモルホリノ、テトラヒドロピラニル、1,3−ジオキソラニル、ホモピペラジニル、チエニル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、4−ピリドニル、キノリルおよび1−イソキノロニルである。好ましくは、”ヘテロシクリル”という用語は、イソオキサゾリル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、2,5−ジオキソピロリジニル、モルホリノ、テトラヒドロフラニル、ピペリジル、ピペラジニル、チオモルホリノ、テトラヒドロピラニル、チエニル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、インドリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニルおよびピリジルなどの単環式5〜6員複素環を言う。5/6および6/6二環系の好ましい例は、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリミドイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、シンノリニルおよびナフチリジニルを含む。
【0016】
1−4アルキルおよびC1−6アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを含み;C1−4アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびtert−ブトキシを含み;N−(C1−4アルキル)アミノの例は、メチルアミノ、エチルアミノおよびイソプロピルアミノを含み;N,N−(C1−4アルキル)アミノの例は、ジメチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノおよびN−エチル−N−イソプロピルアミノを含み;カルボシクリリデニルの例は、シクロペンチリデニルおよびおよび2,4−シクロヘキサジエン−1−イリデニルである。
【0017】
前記の特定の式(I)の化合物が1以上の不斉炭素原子に基づいて光学活性形またはラセミ形で存在できる場合、本発明は、GLKを直接に活性化するかあるいはGLK/GLKRP相互作用を抑制する性質を有する、任意のかかる光学活性形またはラセミ形をその定義中に含むことが理解されなければならない。光学活性体の合成は、例えば光学活性出発物質からの合成またはラセミ体の分割などの、有機化学業界に公知の標準法により実施できる。特定の化合物は互変異性体で存在できるが、本発明は、GLKを活性化する本発明の化合物のありとあらゆる互変異性体に関することもまた理解されなければならない。
【0018】
適切な式(I)の化合物は、以下のいずれか1つ以上が当てはまるものである。かかる例は、適切な場合には、前記または後記の定義、特許請求の範囲または実施態様のいずれかで使用することができる。
【0019】
環Aは、Rから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良いピリジン−2−イルである。
環Aは、Rから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良いチアゾール−2−イルである。
【0020】
環Aは、ピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルであり;ここで前記ピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルは、Rから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く、ここでRはカルボキシである。
【0021】
環Aは、非置換であるかまたはカルボキシで置換されている。
環Aは、ピリジン−2−イル、5−カルボキシピリジン−2−イル、チアゾール−2−イルまたは5−カルボキシチアゾール−2−イルである。
【0022】
環Aは、5−カルボキシピリジン−2−イル、チアゾール−2−イルまたは5−カルボキシチアゾール−2−イルである。
は水素であり、かつRはC1−4アルキルであり;ここでRは、Rから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良い。
【0023】
はC1−4アルキルであり、かつRは水素であり;ここでRは、Rから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良い。
およびRの1つは水素であり、かつ他方は水素またはC1−4アルキルである。
【0024】
は水素またはC1−4アルキルであり、かつRは水素である。
およびRは両方とも水素である。
はメチルまたは水素であり、かつRは水素である。
【0025】
はC1−4アルコキシおよびカルボシクリルオキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;ここで:Rはハロ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリリデニルから選択され;ここでRは1以上のRで炭素上に置換されていても良く;ここで:Rはハロおよびメチルから選択される。
【0026】
はC1−4アルコキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;ここで:Rはカルボシクリルおよびヘテロシクリルから選択され;ここでRは1以上のRで炭素上に置換されていても良く;Rはハロおよびメチルから選択される。
【0027】
はメトキシ、エトキシ、iso−ブトキシ、フェノキシおよびベンゾシクロペント−1−イルオキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;ここで:Rはフルオロ、フェニル、イソオキサゾリル、チエニルおよびシクロペンチリデニルから選択され;ここでRは1以上のRで炭素上に置換されていても良く;ここで:Rはフルオロおよびメチルから選択される。
【0028】
はメトキシ、エトキシおよびiso−ブトキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;ここで:Rはフェニル、イソオキサゾリルおよびチエニルから選択され;ここでRは1以上のRで炭素上に置換されていても良く;ここでRはフルオロおよびメチルから選択される。
【0029】
は2−フルオロベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシ、2−チエン−3−イルエトキシ、シクロペンチリデニルメトキシ、1−シクロペンチリデニルエトキシ、フェノキシ、ベンゾシクロペント−1−イルオキシおよび2−フェニル−2,2−ジフルオロエトキシから選択される。
【0030】
は2−フルオロベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシおよび2−チエン−3−イルエトキシから選択される。
したがって、本発明の他の側面において、式(I)の化合物(上記の)またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが提供される(式中、環Aはピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルであり;ここで前記ピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルはRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く、ここで:
はカルボキシであり;
はメチルまたは水素であり、かつRは水素であり;そして
はC1−4アルコキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;ここで:
はカルボシクリルおよびヘテロシクリル;好ましくはフェニル、チエニルまたはイソオキサゾリルから選択され、ここでRは1以上のRで炭素上に置換されていても良く;ここで:
はハロおよびメチルから選択される)。
【0031】
したがって、本発明の他の側面において、式(I)の化合物(上記の)またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが提供される(式中、
環Aは5−カルボキシピリジン−2−イル、チアゾール−2−イルまたは5−カルボキシチアゾール−2−イルであり;
はメチルまたは水素であり、かつRは水素であり;そして
は2−フルオロベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシおよび2−チエン−3−イルエトキシから選択される)。
【0032】
本発明の他の側面において、好ましい本発明の化合物は:
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−(2−フルオロフェニルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−カルボキシチアゾール−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−(5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
4−(2−フルオロフェニルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
4−(5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−(チエン−2−イルエトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;および
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(チアゾール−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン
またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む。
【0033】
本発明の化合物はプロドラッグの形で投与することができる。プロドラッグは、生物前駆体(bioprecursor)すなわち体内で分解可能で本発明の化合物を産生する薬学的に許容される化合物である(例えば本発明の化合物のエステルまたはアミド、特にインビボで加水分解可能なエステル)。種々の形のプロドラッグが当該技術分野で知られている。かかるプロドラッグ誘導体の例は、以下を参照のこと:
a)Design of Prodrug, edited by H. Bundgaard, (Elsevier、1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Acacemic Press, 1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen;
c)H. Bundgaard, Chapter 5 ”プロドラッグの設計と応用”, by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);
d)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992);
e)H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285 (1988); and
f)N. Kakeya, et al., Chem Pharm Bull, 32, 692 (1984)。
上記の文献の内容を本願に引用して援用する。
【0034】
プロドラッグの例は、以下の通りである。カルボキシまたはヒドロキシ基を含む本発明の化合物のインビボで加水分解可能なエステルは、例えば、人体または動物体中で加水分解されて元の酸またはアルコールを生成する、薬学的に許容されるエステルである。薬学的に許容されるカルボキシに対する適切なエステルは、メトキシメチルなどのC−Cアルコキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルなどのC−Cアルカノイルオキシメチルエステル、フタリジルエステル、1−シクロカルボニルオキシエチルなどのC−CシクロアルコキシカルボニルオキシC−Cアルキルエステル;5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オンイルメチルなどの1,3−ジオキソレン−2−オンイルメチルエステル;およびC1−6アルコキシカルボニルオキシエチルエステルを含む。
【0035】
ヒドロキシ基を含む本発明の化合物のインビボで加水分解可能なエステルは、インビボ加水分解の結果として元のヒドロキシ基(単数または複数)を生成する、リン酸エステル(ホスホラミドン環状エステルを含む)などの無機酸エステルならびにa−アシルオキシアルキルエーテルおよび関連化合物を含む。a−アシルオキシアルキルエーテルの例は、アセトキシメトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシ−メトキシを含む。ヒドロキシに対するインビボで加水分解可能なエステルを形成する基の選択肢は、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル、置換ベンゾイル、置換フェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキル炭酸エステルを生成する)、ジアルキルカルバモイルおよびN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを生成する)、ジアルキルアミノアセチルならびにカルボキシアセチルを含む。
【0036】
本発明の化合物の薬学的に許容される適切な塩は、例えば、十分な塩基性を有する本発明の化合物の酸付加塩であり、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸などの無機酸または有機酸との酸付加塩である。さらに、十分な酸性を有する本発明のベンゾオキサジノン誘導体の薬学的に許容される適切な塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンもしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどとの塩などの生理学的に許容されるカチオンを生成する有機塩基との塩である。
【0037】
本発明のさらなる特徴は、薬学的に許容される希釈剤または担体とともに、上記で定義した式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含んでなる医薬組成物である。
【0038】
本発明の他の側面によれば、医薬としての使用のための、上記で定義した式(I)の化合物が提供される。
さらに本発明によれば、GLK媒介性疾患(特に2型糖尿病)の治療のための、医薬の製造における使用のための式(I)の化合物が提供される。
【0039】
本化合物は、かかる使用のための医薬組成物として適切に製剤化される。
本発明の他の側面によれば、GLK媒介性疾患(特に2型糖尿病)の治療を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの有効量を投与することによる、かかる疾患の治療方法が提供される。
【0040】
本発明の化合物または組成物により治療できる特定の疾患は:低血糖症の深刻なリスクを伴わない2型糖尿病における血糖低下(および1型の治療の可能性)、脂質代謝異常、肥満症、インスリン抵抗性、代謝症候群X、耐糖能異常を含む。
【0041】
上記のように、GLK/GLKRP系は”糖尿肥満”の有力な標的(糖尿病および肥満症の両方において利点を有する)ということができる。したがって、本発明の他の側面によれば、糖尿病および肥満症の併用治療または予防における使用のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用が提供される。
【0042】
本発明の他の側面によれば、肥満症の治療または予防における使用のための医薬の製造における式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用が提供される。
【0043】
本発明の他の側面によれば、肥満症および糖尿病の治療を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの有効量を投与することによる、かかる疾患の併用治療のための方法が提供される。
【0044】
本発明の他の側面によれば、肥満症の治療を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの有効量の投与による、肥満症の治療のための方法が提供される。
【0045】
本発明の組成物は、経口投与(例えば錠剤、ロゼンジ剤、硬もしくは軟カプセル剤、水性もしくは油性サスペンジョン、エマルジョン、分散性粉剤もしくは顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤で)、局所投与(例えばクリーム剤、軟膏、ゲル、または水性もしくは油性の溶液もしくはサスペンジョンで)、吸入投与(例えば細粒粉剤または液体噴霧剤で)、通気投与(例えば細粒粉剤で)または非経口投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内もしくは筋肉内投与のための滅菌水性もしくは油性の溶液または直腸投与のための座剤で)のために適切な形であることができる。
【0046】
本発明の組成物は、当業界に公知の通常の医薬品賦形剤を用いて慣用法で製造することができる。したがって、経口投与用の組成物は、例えば、1以上の着色剤、甘味剤、風味剤および/または保存剤を含むことができる。
【0047】
錠剤のための薬学的に許容される適切な賦形剤は、例えばラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムなどの不活性希釈剤、コーンスターチもしくはアルゲン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;デンプンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤;p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピルなどの保存剤ならびにアスコルビン酸などの抗酸化薬を含む。錠剤は、その崩壊とそれに続く消化管内での活性成分の吸収を修飾するために、あるいはその安定性および/または外観を改善するために、いずれの場合においても、通常のコーティング剤および当業界に公知の方法を用いて、コーティングされていなくともあるいはコーティングされていても良い。
【0048】
経口投与のための組成物は、活性成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油などの水またはオイルと混合されている軟ゼラチンカプセル剤の形であることができる。
【0049】
水性サスペンジョンは、一般的に、微細粉末状の活性成分と共に、1以上の、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガムおよびアカシアゴムなどの縣濁化剤;レシチンもしくはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、もしくはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、もしくは脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなど)、もしくはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、もしくは脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなど)、もしくは脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)などの分散剤または湿潤剤を含む。水性サスペンジョンはまた、1以上の、防腐剤(p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピルなど、抗酸化薬(アスコルビン酸など)、着色剤、風味剤、および/または甘味剤(ショ糖、サッカリンまたはアスパルテームなど)を含むことができる。
【0050】
油性サスペンジョンは、活性成分を植物油(落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油など)、または鉱油(流動パラフィンなど)中に縣濁化させることにより製剤化できる。油性サスペンジョンはまた、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含むことができる。味の良い経口製剤を提供するために、上記のような甘味剤および風味剤を添加することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加により保存することができる。
【0051】
水を加えることによる水性サスペンジョンの製造に適切な分散性粉剤および顆粒剤は、一般的に、分散剤または湿潤剤、縣濁化剤および1以上の防腐剤とともに活性成分を含む。適切な分散剤または湿潤剤および縣濁化剤は、既に上記で述べたもので例示される。甘味剤、風味剤および着色剤などの追加の賦形剤もまた存在させることができる。
【0052】
本発明の医薬組成物は、水中油形エマルジョンの形であることもできる。油相は植物油(オリーブ油もしくは落花生油など)、もしくは鉱油(例えば流動パラフィンなど)またはこれらの任意の混合物であることができる。適切な乳化剤は、例えば、アカシアゴムもしくはトラガントガムなどの天然に存在する増粘剤、大豆、レシチンなどの天然に存在するホスファチド、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル(モノオレイン酸ソルビタンなど)、およびポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタンなどの前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物であることができる。エマルジョンはまた甘味剤、風味剤および保存剤を含むことができる。
【0053】
シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはショ糖などの甘味剤と製剤化することができ、これらはまた粘滑剤、防腐剤、風味剤および/または着色剤を含むこともできる。
【0054】
医薬組成物はまた、滅菌注射用水性または油性サスペンジョンであることができ、これらは、前記の適切な分散剤または湿潤剤および縣濁化剤の1以上を用い、公知の方法にしたがって製剤化することができる。滅菌注射剤はまた、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液またはサスペンジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であることができる。
【0055】
吸入投与のための組成物は、エアゾール含有微細固体または液体飛沫のいずれかで、活性成分を投薬するように用意された通常の加圧エアゾールの形であることができる。揮発性フッ化炭化水素または炭化水素などの通常のエアゾール噴射剤を使用することができ、所定量の活性成分を投薬するためのエアゾール装置が好都合に設計される。
【0056】
製剤に関するさらなる情報のために、読者は、Chapter 25.2 in Volume 5 of Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press 1990. を参照されたい。
【0057】
1以上の賦形剤と混合して単回製剤を作製する活性成分の量は、治療受容者および特定の投与経路にしたがって必然に変化する。例えば、ヒトへの経口投与のための製剤は、一般的に、例えば、適切かつ好便な量の賦形剤(全組成物の約5〜約98重量%の範囲で変化できる)と混合した0.5mg〜2gの活性成分を含む。単位用量形は、一般的に約1mg〜約500mgの活性成分を含む。投与経路および投与計画についてのさらなる情報に関して、読者はChapter 25.3 in Volume 5 of Comprehensive Medicinal Chemistry (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board)、Pergamon Press 1990. を参照されたい。
【0058】
式(I)の化合物の治療または予防目的のための投与量は、疾患の性質もしくは重篤度、動物もしくは患者の年齢および性別、ならびに投与経路によって、医学の公知の原則にしたがって、必然的に変化する。
【0059】
治療または予防目的のための式(I)の化合物の使用において、分割量での投与が所望される場合、例えば0.5mg〜75mg/体重(kg)の範囲の1日量が投与されるように化合物が投与される。一般に、非経口経路が用いられる場合、低めの投与量が投与される。したがって、例えば、静脈内投与のためには、例えば、0.5mg〜30mg/体重(kg)の範囲の投与量が一般的に用いられる。同様に、吸入投与のためには、例えば、0.5mg〜25mg/体重(kg)の範囲の投与量が用いられる。しかしながら、経口投与が好ましい。
【0060】
本明細書に記載のGLK活性の上昇は、単独療法で適用できるが、あるいはまた、本発明の対象に加えて、1以上の他の物質および/または治療を含むこともできる。かかる併用療法は、治療の各成分の同時、順次または分離投与により達成できる。同時治療は、単一錠剤または分離錠剤で行うことができる。例えば、糖尿病の治療において、化学療法は以下の治療カテゴリーを含むことができる:
1)インスリンおよびインスリン類似体;
2)スルホニル尿素(例えばグリベンクラミド、グリピジド)および食後血糖調節薬(例えばレパグリニド、ナテグリニド)を含むインスリン分泌促進剤;
3)PPARgアゴニストを含むインスリン抵抗性改善薬(例えばピオグリタゾンおよびロシグリタゾン);
4)肝グルコース放出抑制薬(例えばメトホルミン);
5)腸からのグルコースの吸収を減少させるようにデザインされた薬剤(例えばアカルボース);
6)長期にわたる高血糖の合併症の治療のためにデザインされた薬剤;
7)抗肥満薬(例えばシブトラミンおよびオルリスタット);
8)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤などの抗脂質代謝異常薬(スタチン系薬剤、例えばプラバスタチン);PPARaアゴニスト(フィブラート、例えばゲムフィブロジル);胆汁酸排泄促進薬(コレスチラミン);コレステロール吸収抑制剤(植物スタノール、合成阻害剤);胆汁酸吸収抑制剤(IBATi)ならびにニコチン酸および類似体(ナイアシンおよび徐放性製剤);
9)β遮断薬(例えばアテノロール、インデラル);ACE阻害剤(例えばリシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えばニフェジピン);アンジオテンシン受容体アンタゴニスト(例えばカンデサルタン)、aアンタゴニストおよび利尿薬(例えばフロセミド、ベンゾチアジド)などの降圧剤;
10)抗血栓剤、フィブリン溶解活性化剤および抗血小板剤などの止血モジュレーター;トロンビンアンタゴニスト;第Xa因子阻害剤;第VIIa因子阻害剤);抗血小板剤(例えばアスピリン、クロピドグレル);抗凝血物質(ヘパリンおよび低分子量類似体、ヒルジン)およびワルファリン;ならびに
11)非ステロイド性抗炎症剤(例えばアスピリン)およびステロイド性抗炎症剤(例えばコルチゾン)などの抗炎症剤。
【0061】
本発明の他の側面によれば、以下の実施例に記載されている最終生成物として製造される各化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグが提供される。
本発明の他の側面によれば、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの製造方法であって、以下を含む該方法(ここで、特記しない限り可変基は式(I)に記載のものである)が提供される:
方法1):式(II)の酸:
【0062】
【化2】

【0063】
またはその活性化誘導体と式(III)の化合物:
【0064】
【化3】

【0065】
の反応;または
方法2)Rがカルボキシである式(I)の化合物のための;式(III)の化合物:
【0066】
【化4】

【0067】
(式中、RC(O)O−はエステル基である)の脱保護と必要または所望によるその後の:
i)式(I)の他の化合物への式(I)の化合物の変換;および/または
ii)任意の保護基の除去;および/または
iii)その塩、溶媒和物またはプロドラッグの形成。
【0068】
適切な活性化酸誘導体は、酸ハロゲン化物(例えば酸塩化物)および活性エステル(例えばペンタフルオロエステル)を含む。このタイプの化合物とアミンとの反応は、当業界に公知である。
【0069】
基ROC(O)−はエステルである。Rのための適切な例は、C1−6アルキルおよびベンジルであり、特にメチルおよびエチルである。
前述の反応は、標準的な条件で実施できる。前述の中間体は、市販のものであるか、当該技術分野で知られているものか、あるいは公知の方法で製造できるものである。
【0070】
本明細書に記載の中間体の一部は新規であり、したがって、本発明のさらなる特徴として提供される。例えば、式(III)の化合物は、本発明のさらなる特徴として提供される。
【0071】
製造プロセスの間、保護基の使用が有用な場合がある。保護基は、当該保護基の除去の必要に応じて、文献記載あるいは当業者に公知の任意の便利な方法により除去でき、かかる方法は、分子中の他の基の分解を最小限に抑えて保護基を除去するように選択される。
【0072】
保護基の具体例を、便宜のため以下に示すが、ここで”低級”は、これに当てはまる基が、好ましくは、1〜4炭素原子を有することを意味する。これらの例は、網羅的ではないことが理解されなければならない。保護基の除去法の具体例が以下に示されている場合は、これらも同様に網羅的ではない。具体的に述べられていない保護基の使用および脱保護法は、もちろん本発明の範囲内である。
【0073】
カルボキシ保護基は、エステルを形成する脂肪族もしくはアラリファティックアルコールまたはエステルを形成するシラノールの残余であることができる。(前記アルコールまたはシラノールは好ましくは1〜20炭素原子を含む)。カルボキシ保護基の例は、直鎖または分枝鎖C1−12アルキル基(例えばイソプロピル、t−ブチル);低級アルコキシ低級アルキル基(例えばメトキシメチル、エトキシメチル、イソブトキシメチル;低級脂肪族アシルオキシ低級アルキル基(例えばアセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル);低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基(例えば1−メトキシカルボニルオキシエチル、1−エトキシカルボニルオキシエチル);アリール低級アルキル基(例えばp−メトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、ベンズヒドリルおよびフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(例えばトリメチルシリルおよびt−ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル低級アルキル基(例えばトリメチルシリルエチル);およびC2−6アルケニル基(例えばアリルおよびビニルエチル)を含む。
【0074】
カルボキシル保護基の除去に特に適切な方法は、例えば、酸、金属または酵素触媒加水分解を含む。
ヒドロキシ保護基の例は、低級アルケニル基(例えばアリル);低級アルカノイル基(例えばアセチル);低級アルコキシカルボニル基(例えばt−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(例えばアリルオキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(例えばベンゾイルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ低級アルキル/アリールシリル基(例えばトリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル);アリール低級アルキル基(例えばベンジル)基;およびトリアリール低級アルキル基(例えばトリフェニルメチル)を含む。
【0075】
アミノ保護基の例は、ホルミル、アラルキル基(例えばベンジルおよび置換ベンジル(例えばp−メトキシベンジル、ニトロベンジルおよび2,4−ジメトキシベンジル)、およびトリフェニルメチル);ジ−p−アニシルメチルおよびフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル(例えばt−ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(例えばアリルオキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(例えばベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル;トリアルキルシリル(例えばトリメチルシリルおよびt−ブチルジメチルシリル);アルキリデン(例えばメチリデン);ベンジリデンおよび置換ベンジリデン基を含む。
【0076】
ヒドロキシおよびアミノ保護基の除去のために適切な方法は、例えば、酸、塩基、金属または酵素触媒加水分解、またはo−ニトロベンジルオキシカルボニルなどの基の光加水分解またはシリル基に対してフッ素イオンを用いる加水分解を含む。
【0077】
アミド基に対する保護基の例は、アラルコキシメチル(例えばベンジルオキシメチルおよび置換ベンジルオキシメチル);アルコキシメチル(例えばメトキシメチルおよびトリメチルシリルエトキシメチル);トリアルキル/アリールシリル(例えばトリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル);トリアルキル/アリールオキシメチル(例えばt−ブチルジメチルシリルオキシメチル、t−ブチルジフェニルシリルオキシメチル);4−アルコキシフェニル(例えば4−メトキシフェニル);2,4−ジ(アルコキシ)フェニル(例えば2,4−ジメトキシフェニル);4−アルコキシベンジル(例えば4−メトキシベンジル);2,4−ジ(アルコキシ)ベンジル(例えば2,4−ジ(メトキシ)ベンジル);およびアルク−1−エニル(例えばアリル、ブト−1−エニルおよび置換ビニル(例えば2−フェニルビニル))を含む。
【0078】
アラルコキシメチル基は、アミド基と適切な塩化アラルコキシメチルとを反応させることによりアミド基に導入することができ、接触水素化により除去できる。アルコキシメチル、トリアルキル/アリールシリルおよびトリアルキル/シリルオキシメチル基は、適切な塩化物をアミドを反応させることにより導入でき、酸により除去できる;あるいはシリル含有基の場合、フッ素イオンにより除去できる。アルコキシフェニルおよびアルコキシベンジル基は、好都合に、適切なハロゲン化物を用いるアリール化またはアルキル化により導入でき、硝酸第二セリウムアンモニウムを用いる酸化により除去できる。最後に、アミドと適切なアルデヒドを反応させることによりアルク−1−エニル基を導入でき、酸により除去できる。
【0079】
生物学的試験:
式(I)の化合物の生物学的作用は、以下の方法で試験できる:
(1)GLKの酵素活性はGLK、ATPおよびグルコースをインキュベートすることにより測定できる。生成物の生成は、G−6−P脱水素酵素、NADP/NADPH系へのアッセイを共役させ、340nmにおける吸光度の増加を測定することにより測定できる(Matschinsky et al 1993)。
【0080】
(2)GLKおよびGLKRP間の結合相互作用を測定するためのGLK/GLKRP結合アッセイ。本方法は、GLKおよびGLKRP間の相互作用をモジュレートすることによりGLKをモジュレートする化合物を特定するために使用することができる。GLKRPおよびGLKを、所望により試験化合物を存在させて、阻害濃度のF−6−Pとインキュベートし、GLKおよびGLKRP間の相互作用の程度を測定する。F−6−Pと置換するかあるいは他の何らかの方法でGLK/GLKRP相互作用を減少させる化合物を、生成するGLK/GLKRP複合体の量の減少により検出する。F−6−P結合を促進するかあるいは他の何らかの方法でGLK/GLKRP相互作用する化合物を、生成するGLK/GLKRP複合体の量の増加で検出する。かかる結合アッセイの具体例を以下に示す。
【0081】
GLK/GLKRPシンチレーション近接アッセイ
本発明の化合物は、以下に記載するGLK/GLKRPシンチレーション近接アッセイで試験する時、10μm未満の活性を有することが見出された。WO01/20327(その内容を本願に引用して援用する)に記載されているようにして、組換えヒトGLKおよびGLKRPを、”添加するだけで測定が可能な(mix and measure)”96ウェルSPA(シンチレーション近接アッセイ)を発色させるために用いた。GLK(ビオチン化)およびGLKRPを、阻害濃度の放射性標識[3H]F−6−P(Amersham Custom Synthesis TRQ8689)の存在下で、ストレプトアビジン結合SPAビード(Amersham)とインキュベートし、シグナルを得る。F−6−Pと置換するかあるいは他の何らかの方法でGLK/GLKRP結合相互作用を阻害する化合物は、このシグナルを消失させる原因となる。
【0082】
結合アッセイは、室温で2時間行った。反応混合物は、50mMトリス−HCl(pH7.5)、2mM ATP、5mM MgCl、0.5mM DTT、組換えビオチン化GLK(0.1mg)、組換えGLKRP(0.1mg)、0.05mCi[3H]F−6−P(Amersham)を混合して100mlの最終容量にした。インキュベーションに続いて、GLK/GLKRP複合体形成の程度を、0.1mg/ウェルアビジン結合SPAビード(Amersham)を添加し、Packard TopCount NXTでシンチレーション計数して測定した。
【0083】
(3)GLKRPおよびF−6−P間の結合相互作用を測定するためのF−6−P/GLKRP結合アッセイ。この方法は、化合物の作用メカニズムに関するさらなる情報を提供するために使用することができる。GLK/GLKRP結合アッセイで特定された化合物は、F−6−Pと置換するかあるいは他のいずれかの方法でGLK/GLKRP相互作用をモジュレートすることにより、GLKおよびGLKRPの相互作用をモジュレートすることができる。例えば、タンパク質−タンパク質相互作用は、一般的に複数の結合部位を介して相互作用が起こる事が知られている。したがって、GLKおよびGLKRP間の相互作用を修飾させるは、いくつかの異なる結合部位の1以上と結合することにより作用できる。
【0084】
F−6−P/GLKRP結合アッセイは、F−6−Pを、そのGLKRP上の結合部位から置換することによりGLKおよびGLKRPの相互作用をモジュレートする化合物のみを特定する。
GLKの非存在下で、GLKRPを試験化合物および阻害濃度のF−6−Pとインキュベートし、F−6−PおよびGLKRP間の相互作用の程度を測定する。F−6−PのGLKRPへの結合を置換する化合物は、形成されるGLKRP/F−6−P複合体の量の変化により検出できる。かかる結合アッセイの具体例を以下に記載する。
【0085】
F−6−P/GLKRPシンチレーション近接アッセイ
WO01/20327(その内容を本願に引用して援用する)に記載されているようにして、組換えヒトGLKおよびGLKRPを、”添加するだけで測定が可能な(mix and measure)”96ウェルSPA(シンチレーション近接アッセイ)を発色させるために用いた。阻害濃度の放射性標識[3H]F−6−Pの存在下で、FLAGタグGLKRPを、プロテインAでコーティングしたSPAビード(Amersham)および抗FLAG抗体でインキュベートする。シグナルが生成される。F−6−Pと置換する化合物は、このシグナルの消失の原因となる。このアッセイおよびGLK/GLKRP結合アッセイの組み合わせを用いて、F−6−Pを置換することによりGLK/GLKRP結合相互作用を抑制する化合物を特定することが観測者に可能になる。
【0086】
結合アッセイを室温で2時間実施した。反応混合物は、50mMトリス−HCl(pH7.5)、2mM ATP、5mM MgCl、0.5mM DTT、組換えFLAGタグGLKRP(0.1mg)、抗Flag M2抗体(0.2mg)(IBI Kodak)、0.05mCi[3H]F−6−P(Amersham)を混合して100mlの最終容量にした。インキュベーションに続いて、F−6−P/GLKRP複合体形成の程度を、0.1mg/ウェルプロテインA結合SPAビード(Amersham)を加え、Packard TopCount NXTでシンチレーション計数して測定した。
【0087】
組換えGLKおよびGLKRPの産生:
mRNAの調整
ヒト肝臓総mRNAを、Sambrook J, Fritsch EF & Maniatis T, 1989. に記載されているようにして、4Mイソチオシアン酸グアニジン、2.5mMクエン酸、0.5%サルコシル、100mM b−メルカプトエタノール中でポリトロンにより均質化し、ついで135,000g(最大)で5.7M CsCl、25mM酢酸ナトリウムで遠心分離することにより調整した。ポリAmRNAはFastTrack(登録商標)mRNA単離キット(Invitrogen)を用いて直接調整した。
【0088】
GLKおよびGLKRP cDNA配列のPCR増幅
ヒトGLKおよびGLKRP cDNAは、Sambrook, Fritsch & Maniatis, 1989.に記載の確立された技術を用いて、ヒト肝臓mRNAからPCRで得た。Tanizawa et al 1991 and Bonthron, D.T. et al 1994 (後に、Warner, J.P. 1995 において訂正された)に記載のGLKおよびGLKRP cDNA配列にしたがってPCRプライマーをデザインした。
【0089】
Bluescript IIベクターのクローニング
バクテリオファージT3およびT7プロモーター配列が側面に位置する複数の固有の制限部位;線状ファージ複製起点ならびにアンピシリン薬剤耐性マーカー遺伝子を含むポリリンカーDNAフラグメントを有するcolEIに基づくレプリコンを含んでなる、Yanisch-Perron C et al (1985) により用いられたものと同様な組換えクローニングベクター系である、pBluescript II(Short et al 1998)を用いて、GLKおよびGLKRP cDNAを大腸菌にクローニングした。
【0090】
形質転換
大腸菌の形質転換は、一般的にエレクトロポレーションで実施することができる。DH5aまたはBL21(DE3)株の培養液400mlを、OD600が0.5になるまでL−ブロス中で培養し、2,000gの遠心分離で回収した。細胞を氷冷した脱イオン水中で2度洗浄し、アリコートにして−70℃で保存した。ライゲーション混合物をMillipore V series(登録商標)膜(0.0025mm)孔径)を用いて脱塩した。40mlの細胞を、0.2cmエレクトロポレーションキュベット中氷上で10分間、1mlのライゲーション混合物またはプラスミドDNAでインキュベートし、ついでGene Pulser(登録商標)装置(BioRad)を用い、0.5kVcm−1、250mF、250でパルスした。形質転換体を、10mg/mlのテトラサイクリンまたは100mg/mlのアンピシリンを加えたL−寒天上で選別した。
【0091】
発現
GLKをE.coli BL21細胞内のベクターpTB375NBSEより発現させ、N−末端メチオニンに直接隣接した6−Hisタグを含む組換えタンパク質を産生させた。あるいはまた、他の適切なベクターは、pET21(+)DNA, Novagen, Cat番号697703である。6−Hisタグは、Qiagen(cat番号30250)から購入したニッケルニトリロ三酢酸アガロースを充填したカラム上で組換えタンパク質を精製するために用いた。
【0092】
GLKRPは、E.coli BL21細胞内のベクターpFLAG CTC(IBI Kodak)から発現させ、C末端FLAGタグを含む組換えタンパク質を産生させた。このタンパク質を、最初はDEAEセファロースイオン交換で精製し、ついでSigma-Aldrich(cat番号A1205)から購入したM2抗FLAGイムノアフィニティカラム上で、FLAGタグを利用して最終精製を行った。
【0093】
GLKのビオチン化:
Sigma-Aldrich(cat番号B2643)から購入したビオチンアミドカプロアートN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ビオチン−NHS)と反応させることによりGLKをビオチン化した。簡潔に言えば、標的タンパク質(GLK)の遊離アミノ基を所定のモル比でビオチン−NHSと反応させて安定なアミド結合を生成させ、共有結合したビオチンを含む生成物を得る。結合していない過剰のビオチン−NHSを透析で生成物から除去する。具体的には、4mLの25mM HEPES pH7.3、0.15M KCl、1mMジチオスレイトール、1mM EDTA、1mM MgCl(緩衝液A)中の0.31mgのビオチン−NHSに7.5mgのGLKを加えた。この反応混合物をさらなる22mgのビオチン−NHSを含む100mLの緩衝液Aに対して透析した。4時間後、過剰のビオチン−NHSを緩衝液Aに対して十分に透析することにより除去した。
【0094】
以下の実施例は、例示目的のものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。例示された各化合物は、本発明の具体的かつ個々の側面を示す。以下の非限定的な実施例において、特記しない限り:
(i)溜去は、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて実施し、後処理は、乾燥剤などの残存固体を濾過などにより除去した後実施した;
(ii)操作は室温(すなわち18〜25℃の範囲)で、アルゴンまたは窒素などの不活性ガス雰囲気下で行った;
(iii)収率は、例として示したもので、必ずしも達成できる最大限ではない;
(iv)式(I)の最終生成物の構造は、核(通常はプロトン)磁気共鳴(NMR)およびマススペクトル法により確認し;プロトン磁気共鳴化学シフト値は、特記しない限り、重水素化ジメチルスルホキシド中、δ値で測定したが、ピーク多重度は以下のように示す:s,一重線;d,二重線;t,三重線;m,多重線;br,広い;q,四重線、quin,五重線。
(v)中間体は、通常完全には特徴づけず、純度は薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)またはNMR分析により評価した;
(vi)クロマトグラフィーはシリカ(メルクシリカゲル60,0.040〜0.063mm,230〜400メッシュ)で行った;そして
(vi)”Bondelut”カラムと言う場合、シリカが60ml使い捨てシリンジ中に入れられ、多孔性ディスクで支持された、10gもしくは20gもしくは50gもしくは70gの40ミクロン粒子径のシリカを含むカラムのことをいい、”Mega Bond Elut SI”の商品名でVarian, Harbor City, California, USAから入手される;”Mega Bond Elut”は商標である;
(vii)以下の略語を用いる:
DCM ジクロロメタン;
DMF ジメチルホルムアミド;
LCMS 液体クロマトグラフィー/質量分析法;
THF テトラヒドロフラン。
【0095】
実施例1
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−メトキシカルボニルピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン(方法1;120mg,0.314mM)のメタノール/THF混合物(1ml+4ml)溶液に、水酸化ナトリウム溶液(0.94mlの1M溶液,0.94mM)を加え、得られた溶液を周囲温度で撹拌した。4時間後、反応混合物を水(5ml)で希釈し、減圧下で半量まで濃縮した。得られた混合物を1M HClを用いてpH6まで酸性化した。得られた固体沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥して淡黄色固体を得た。これをクロマトグラフ(10g Bondelut)にかけ、メタノール(0〜10%勾配溶離)含有DCMで溶離し、表題化合物を無色固体で得た。NMR: 1.03 (d, 6H), 2.09 (sept, 1H), 2.45 (s, 3H), 3.97 (d, 2H), 6.66 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 8.31 (t, 2H), 8.87 (s, 1H), 11.10 (bs, 1H); m/z 367 (M+H)+.
【0096】
実施例2〜7
適切なエステルから出発して、実施例1の手順で以下の化合物を製造した。
【0097】
【表1】

【0098】
実施例8
2−アミノチアゾールを用いて、方法1の手順に従って、以下の化合物を製造した。
【0099】
【表2】

【0100】
出発物質の製造方法
上記の実施例の出発物質は、市販されているか、あるいは公知の物質から標準的な方法で容易に製造できる。例えば、以下の反応は例示であって、上記反応において用いられる出発物質の一部の製造方法を制限するものではない。
【0101】
方法1
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−メトキシカルボニルピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン
塩化オキサリル(410mg,282μl,3.225mmol,5当量)を、2−メチル−4−イソブトキシ−6−カルボキシベンゾフラン(方法2;0.160mg,0.645mmol)のDCM(5ml)溶液に加え、反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。試薬を添加後、反応混合物を16時間撹拌し、ついで40℃に加温した。出発酸が残存している場合、溶媒を減圧下で除去し、残渣をニートの塩化オキサリルで処理した。ついで反応混合物を減圧下で濃縮し、ピリジン(5ml)に溶解した。得られた溶液に2−アミノピリジン−5−カルボン酸メチル(98mg,0.645mmol)を加えた。16時間撹拌後、赤みをおびた溶液を減圧下で濃縮し、得られた樹脂をDCMに溶解し、クロマトグラフ(20g Bondelut,酢酸エチルを0〜100%含有するヘキサンで溶離)にかけ、無色樹脂で表題化合物(122mg,収率49.5%)を得た。これはゆっくり固化した;LC−MS 383 (M+H),純度94.4%。
【0102】
方法2
2−メチル−4−イソブトキシ−6−カルボキシベンゾフラン
水酸化ナトリウム溶液(2.28mlの1M溶液,2.28mmol,3当量)を、2−メチル−4−イソブトキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン(方法7;200mg,0.76mmol;約15mol%のイソブチルエステルを含む)のMeOH(2.28ml)/THF(2.28ml)溶液に加えた。50℃で2時間後、反応混合物を周囲温度で終夜撹拌し、ついで減圧下で半量まで濃縮した。得られた溶液を水で希釈し、pH5に酸性化し(1M HCl)、得られた綿状沈殿を濾過し、乾燥して表題化合物を無色固体(165mg,88%)で得た。 NMR: 1.02 (d, 6H), 2.06 (sept, 1H), 2.45 (s, 3H), 3.90 (d, 2H), 6.64 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 12.83 (bs, 1H); m/z 247 (M-H)-, LC−MSにより純度94.6%。
【0103】
方法3〜6
方法2の手順で、以下の化合物を製造した。
【0104】
【表3】

【0105】
方法7
2−メチル−4−イソブトキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン
2−メチル−4−ヒドロキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン(方法12;412mg,1.0mmolと仮定)を無水DMF(10ml)中で撹拌し、溶液を炭酸カリウム(690mg,5mmol,5当量)および1−ヨード−2−メチルプロパン(442mg,276μl,2.4mmol,2.4当量)で順次処理した。反応混合物を90℃で3時間撹拌し、ついで冷却して水に注いだ。得られた混合物を酢酸エチルで2度抽出し、抽出物を乾燥(MgSO)し、減圧下で溜去して褐色オイルを得た。これをクロマトグラフ(50g Bondelut,酢酸エチルを0〜100%含有するヘキサンで溶離)にかけ、約15%の対応するイソブチルエステルの不純物を有する表題化合物を透明オイルで得た。NMR: 1.02 (d、6H)、2.06 (sept、1H)、2.45 (s、3H)、3.84 (s、3H)、3.91 (d、2H)、6.66 (s、1H)、7.24 (s、1H)、7.66 (s、1H);(スペクトルは、約15mol%のイソブチルエステルに対応するシグナルも含んでいた)。
【0106】
方法8〜11
方法7の手順で、以下の化合物を製造した。
【0107】
【表4】

【0108】
方法12
2−メチル−4−ヒドロキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン
2−メチル−4−アセトキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン(方法14;1.275g,5.14mmol)を、炭酸カリウム(1.408g,10.3mmol,2当量)のMeOH(100ml)および水(2ml)縣濁液に加え、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。上澄み液を不溶性物質からデカンテーションし、減圧下で溜去してクリーム色固体(2.19g,無機物の不純物を含むと推定)を得た。NMR: 2.35 (s, 3H), 3.56 (br s, 1H), 3.73 (s, 3H), 6.46 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.86 (s, 1H); m/z 205 (M-H)-,LC−MSで純度83%。
【0109】
方法13
4−アセトキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン(J Chem Soc (C); 1968, 867-9)から出発して、方法12の手順で以下の化合物を製造した。
【0110】
【表5】

【0111】
方法14
2−メチル−4−アセトキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン
E−3−メトキシカルボニル−4−(5−メチルフル−2−イル)−ブト−3−エン酸(方法15;1.39g,6.2mmol)および酢酸カリウム(620mg,6.3mmol)の無水酢酸(12.5ml)中の混合物を、140℃で15分間加熱した。反応混合物を冷却し、水/酢酸エチル混合物中に注いだ。水層を分離し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインで順次洗浄し、乾燥(MgSO)し減圧下で溜去して、暗色の結晶性塊として粗生成物を得た。これをクロマトグラフ(50g Bondelut,酢酸エチルを0〜100%含有するヘキサンで溶離)にかけ、表題化合物を黄白色固体(1.42g,92%)で得た。NMR: 2.36 (s, 3H), 3.34 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 6.68 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.96 (s, 1H); m/z 247 (M-H)-, LC−MSで純度97.1%。
【0112】
方法15
E−3−メトキシカルボニル−4−(5−メチルフル−2−イル)−ブト−3−エン酸
E−3−メトキシカルボニル−4−(5−メチルフル−2−イル)−ブト−3−エン酸t−ブチルエステル(方法16;1.39g,4.96mmol)のトリフルオロ酢酸/水(90:10v/vの20ml)溶液を、周囲温度で20分間撹拌した。ついで、反応混合物をトルエン(30ml)で希釈し、減圧下で溜去して褐色オイルを得た。トルエン(30ml)でさらに共沸除去した後、これが固化した。イソヘキサンで粉末化し残渣を回収して、表題化合物を褐色固体(1.05g,95%)で得た。NMR 2.33 (s, 3H), 3.65 (s, 2H), 3.72 (s, 3H), 6.29 (d, 1H), 6.85 (d, 1H), 7.41 (s, 1H), 12.34 (bs, 1H).
【0113】
方法16
E−3−メトキシカルボニル−4−(5−メチルフル−2−イル)−ブト−3−エン酸t−ブチルエステル
1−メトキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニルエチルホスホラン(JCS Perkin II, 1975, p1030;2.69g, 6 mmol, 1.2当量)および5−メチルフラン−2−アール(0.5ml,5mmol)の無水トルエン(10ml)溶液を、80℃で48時間撹拌し、ついで溶媒がなくなるまで溜去した。残渣をクロマトグラフ(50g Bondelut,10%v/v酢酸エチルを含有するヘキサンで溶離)にかけ、表題化合物を褐色オイル(1.39g,100%)で得た。NMR: 1.38 (s, 9H), 2.33 (s, 3H), 3.62 (s, 2H), 3.71 (s, 3H), 6.31 (d, 1H), 6.85 (d, 1H), 7.42 (s, 1H).
【0114】
方法17
2−メチル−4−(2−フルオロベンジルオキシ)−6−[N−(4−メトキシカルボニルフェニル)カルバモイル]ベンゾフラン
2−メチル−4−(2−フルオロベンジルオキシ)−1−ベンゾフラン−6−カルボン酸(方法3;0.60mg,0.2mmol)および2−アミノピリジン−5−カルボン酸メチル(61mg,0.4mmol,2当量)のピリジン(1ml)溶液をオキシ塩化リン(20.5μl,0.22mmol,1.1当量)で処理し、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2度抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)し溜去して黄色樹脂を得た。これをクロマトグラフ(10g Bondelut,酢酸エチルを0〜100%含有するヘキサンで溶離)にかけ、表題化合物を固体(61mg,70%)で得た。NMR: 2.46 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 5.37 (s, 2H), 6.66 (s, 1H)、7.25 (m, 2H), 7.42 (m, 1H), 7.62 (m, 2H), 7.91 (s, 1H), 8.36 (m, 2H), 8.91 (s, 1H), 11.20 (bs, 1H); m/z 435 (M+H)+,LC−MSで純度100%。
【0115】
方法18〜22
以下の化合物を方法17の手順で製造した。
【0116】
【表6】

【0117】
方法23
2−メチル−4−(2−チエン−3−イルエトキシ)−6−メトキシカルボニルベンゾフラン
2−メチル−4−ヒドロキシ−6−メトキシカルボニルベンゾフラン(方法12;1.24g,6.0mmol)および2−(3−チエニル)エタノール(768mg,0.67ml,6.0mmol)のDCM(DCM,50ml)溶液に、高分子担持トリフェニルホスフィン(2.5g,約3mmol/g,1.5当量)を加え、この縣濁液をアルゴン雰囲気下で5℃に冷却した。これにアゾジカルボン酸ジt−ブチル(1.725g,7.5mmol,1.5当量)を加え、反応混合物を終夜撹拌して周囲温度に暖めた。ついで珪藻土を通過させて濾過し、DCMで洗浄し、濾液および洗浄液を減圧下で溜去して総量約50mlにした。これにトリフルオロ酢酸(2ml)を加え、溶液を減圧下で溜去して赤色オイルを得た。これをクロマトグラフ(70g Bondelut,酢酸エチルを0〜50%含有するヘキサンで溶離)にかけ、赤色固体を得た。これを再度クロマトグラフ(前記と同様)にかけ、表題化合物を無色結晶性固体(150mg,収率8%)で得た。NMR: 2.46 (s, 3H), 3.10 (t, 2H), 3.83 (s, 3H), 4.33 (t, 2H), 6.64 (s, 1H), 7.12 (dd, 1H), 7.28 (s ,1H), 7.32 (d, 1H), 7.46 (dd, 1H), 7.66 (s, 1H).
【0118】
医薬組成物
ヒトにおける治療または予防的使用のための、本明細書に記載の本発明の代表的医薬製剤(活性成分を”化合物X”と呼ぶ)を以下に例示する:
(a)錠剤I mg/錠剤
化合物X..............................................................100
ラクトースPh.Eur...........................................182.75
クロスカルメロースナトリウム........................................12.0
トウモロコシデンプンペースト(5%w/vペースト)...................2.25
ステアリン酸マグネシウム..............................................3.0
(b)錠剤II mg/錠剤
化合物X................................................................50
ラクトースPh.Eur...........................................223.75
クロスカルメロースナトリウム...........................................6.0
トウモロコシデンプン.................................................15.0
ポリビニルピロリドン(5%w/vペースト)...........................2.25
ステアリン酸マグネシウム...............................................3.0
(c)錠剤III mg/錠剤
化合物X..............................................................1.0
ラクトースPh.Eur.............................................93.25
クロスカルメロースナトリウム..........................................4.0
トウモロコシデンプンペースト(5%w/vペースト)..................0.75
ステアリン酸マグネシウム..............................................1.0
(d)カプセル剤 mg/カプセル剤
化合物X................................................................10
ラクトースPh.Eur............................................488.5
マグネシウム.........................................................1.5
(e)注射剤I (50mg/ml)
化合物X.....................................................5.0%w/v
1M水酸化ナトリウム溶液...................................15.0%v/v
0.1M塩酸(pHを7.6に調節する)
ポリエチレングリコール400.................................4.5%w/v
注射用蒸留水で100%にする
(f)注射剤II (10mg/ml)
化合物X.......................................................1.0%w/v
リン酸ナトリウムBP...........................................3.6%w/v
0.1M水酸化ナトリウム溶液.................................15.0%v/v
注射用蒸留水で100%にする
(g)注射剤III (1mg/ml,pH6に緩衝化)
化合物X.......................................................0.1%w/v
リン酸ナトリウムBP.........................................2.26%w/v
クエン酸.....................................................0.38%w/v
ポリエチレングリコール400...................................3.5%w/v
注射用蒸留水で100%にする
(h)エアゾール Img/ml
化合物X............................................................10.0
トリオレイン酸ソルビタン............................................13.5
トリクロロフルオロメタン...........................................910.0
ジクロロジフルオロメタン...........................................490.0
(i)エアゾールII mg/ml
化合物X..............................................................0.2
トリオレイン酸ソルビタン..............................................0.27
トリクロロフルオロメタン..............................................70.0
ジクロロジフルオロメタン............................................280.0
ジクロロテトラフルオロエタン......................................1094.0
(j)エアゾールIII mg/ml
化合物X..............................................................2.5
トリオレイン酸ソルビタン.............................................3.38
トリクロロフルオロメタン.............................................67.5
ジクロロジフルオロメタン..........................................1086.0
ジクロロテトラフルオロエタン........................................191.6
(k)エアゾールIV mg/ml
化合物X...............................................................2.5
大豆レシチン...........................................................2.7
トリクロロフルオロメタン.............................................67.5
ジクロロジフルオロメタン.........................................1086.0
ジクロロテトラフルオロエタン.......................................191.6
(l)軟膏 ml
化合物X............................................................40mg
エタノール.........................................................300μl
水.................................................................300μl
1−ドデシルアザシクロヘプテン−2−オン.............................50μl
プロピレングリコール.............................................1mlにする

上記製剤は、医薬品業界に公知の慣用法で製造することができる。錠剤(a)〜(c)は、慣用法により腸溶性コーティングすることができ、例えば酢酸フタル酸セルロースでコーティングすることができる。エアゾール製剤(h)〜(k)は、定量投与エアゾールディスペンサーと組み合わせて使用することができ、縣濁化剤であるトリオレイン酸ソルビタンおよび大豆レシチンは、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80、オレイン酸ポリグリセロールまたはオレイン酸などの代替的な縣濁化剤で置き換えることができる。
【0119】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
【化1】

(式中:
環Aはピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルであり;ここで前記ピリジン−2−イルまたはチアゾール−2−イルはRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;
およびRの1つは水素であり、他方は水素またはC1−4アルキルであり;ここでRおよびRはRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;
はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択され;ここでRは独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良く;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含む場合、該窒素はC1−4アルキルで置換されていても良く;
はハロ、カルボキシおよびC1−4アルキルから選択され;
およびRは独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、N−(C1−4アルキル)アミノ、N,N−(C1−4アルキル)アミノ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシおよびカルボシクリリデニルから選択され;ここでRおよびRは独立して1以上のRで炭素上に置換されていても良く;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含む場合、該窒素はC1−4アルキルで置換されていても良く;
はハロ、カルボキシ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびN−メチル−N−エチルアミノから選択される)。
【請求項2】
環Aが非置換であるかまたはカルボキシで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRの1つが水素であり他方は水素またはC1−4アルキルである、前記請求項のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項4】
がC1−4アルコキシから選択され、ここでRが独立してRから選択される1以上の基で炭素上に置換されていても良い、前記請求項のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
が2−フルオロベンジルオキシ、5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシおよび2−チエン−3−イルエトキシから選択される、前記請求項のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ:
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−(2−フルオロフェニルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(5−カルボキシチアゾール−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−(5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
4−(2−フルオロフェニルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
4−(5−メチルイソオキサゾール−3−イルメトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;
2−メチル−4−(チエン−2−イルエトキシ)−6−[N−(5−カルボキシピリジン−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン;および
2−メチル−4−イソブトキシ−6−[N−(チアゾール−2−イル)カルバモイル]ベンゾフラン。
【請求項7】
薬学的に許容される希釈剤または担体とともに、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物またはその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
GLK媒介性疾患の治療のための医薬の製造における使用のための、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの製造方法であって、以下を含む該方法(ここで、特記しない限り可変基は請求項1に記載のものである):
方法1):式(II)の酸:
【化2】

またはその活性化誘導体と式(III)の化合物:
【化3】

の反応;または
方法2)Rがカルボキシである式(I)の化合物のための;式(III)の化合物:
【化4】

(式中、RC(O)O−はエステル基である)の脱保護と必要または所望によるその後の:
i)式(I)の他の化合物への式(I)の化合物の変換;および/または
ii)任意の保護基の除去;および/または
iii)その塩、溶媒和物またはプロドラッグの形成。
【請求項10】
請求項9に記載の式(III)の化合物。

【公表番号】特表2006−509749(P2006−509749A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552856(P2004−552856)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004919
【国際公開番号】WO2004/046139
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】