説明

ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン誘導体

本発明は、式(I)(B、X、Y、Z、R1およびR2は、記載中に定義されたとおり)で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩に関する。本発明は、更に、そのような化合物を含有する医薬組成物、その製造、ならびにACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のためのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【0002】
【化13】

【0003】
[式中、
Bは、−C≡C−または−CHR3−O−であり;
3は、HまたはC1〜C3アルキルであり;
X、YおよびZは、C−R4またはNであり、X、YおよびZのうち少なくとも1個は、C−R4であり;
4は、HまたはC1〜C7アルキルであり;
1およびR2は、互いに独立して、
H、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5または−COR5(ここでR5は、HまたはC1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、
−SR8(ここでR8は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキルまたは−(CH2m−ヘテロシクリルであって、mは0、1、2または3である)、
−CONR910(ここでR9およびR10は、H、C1〜C7アルキルであるか、またはNR910は、3〜7個の原子を有する環を形成することができ、該環は、場合により、1個またはそれ以上の更なるNもしくはO原子を含む)、および
HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環
からなる群より選ばれるか、または
1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜7個の原子を有する環を形成することができて、該環は、場合により、1個またはそれ以上のNもしくはO原子を含む]
で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩に関する。
【背景技術】
【0004】
式(I)の化合物は、ヒトアセチル補酵素Aカルボキシラーゼ(ACC)のインヒビターとして役立ち、更に、肝臓および筋における脂肪酸酸化を刺激して、そのために、たとえば糖尿病、肥満症および異常脂質血症のような疾患との関連で、医薬としての使用に適切であることが見出された。
【0005】
アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ(ACC:EC6.4.1.2)は、マロニル補酵素A(CoA)の形成を触媒し、脂肪酸の生合成および酸化を調節する[A.W. Alberlts, P.R. Vagelos; The Enzymes, Ed., P.D. Boyer, Academic Press New York, 1972, Vol. 6, 37-82]。哺乳動物のACCには、二つのイソ型がある。ACC1またはACCαは、細胞質ゾルの酵素であり、そのマロニルCoAの生成は、長鎖脂肪酸の生合成に深く関与する段階である。それに比べて、ACC2またはACCβは、ミトコンドリアの酵素であり、そのマロニルCoAである生成物は、ミトコンドリアの酵素であるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(長鎖アシルCoAを、細胞質ゾルからミトコンドリアへと、酸化のために輸送する)を強力に阻害することによって、脂肪酸酸化を調節する[J.D. McGarry および N.F. Brown, Eur. J. Biochem., 1977, 244:1]。ACC2を欠くマウスは、正常より高い脂肪酸酸化の速度、ならびに減少した体脂肪および体重を有する[L. Abu-Elheiga, N.M. Matzuk, K.A.H. Abo-Hashema, S.J. Wakil, Science 2001, 291:2613-1616]。
【0006】
ACCβは、ミトコンドリアの脂肪酸酸化を調節すると仮定されており[Ruderman ら, Am. J. Physiol. 276, E1-E18, 1999]、ACCβは、様々な疾患にも結び付けられている[Abu-Elheiga ら, Science 291, 1613-1616, 2001]。ACCインヒビターは、医薬、特にACCβに関連する疾患の治療および/または予防のためのそれとしての使用に適切であると思われる。更に、それらは、肥満症、異常脂質血症および糖尿病のような、脂肪酸酸化の低下した速度に関連する疾患の治療および/または予防に用いることができる。
【0007】
一つの可能な適用は、肝臓における低レベルの脂肪酸酸化が、たとえば血中の高い脂肪酸レベル、血中の高いトリグリセリド(TG)レベル、リポタンパク質プロフィルにおける障害という形態での異常脂質血症、超低密度リポタンパク質(VLDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)における平衡失調、VLDL結合TGの肝臓での過剰産生、ならびに上記の代謝異常に付随する、アテローム性動脈硬化症、高血圧および心血管合併症を含む血管疾患のような問題となる、代謝性疾患に関するものである。
【0008】
したがって、ACCβインヒビターは、骨格筋における低レベルの脂肪酸酸化が、筋内の高いTGレベル;長鎖脂肪族アシルCoA、カルニチンCoAおよびジアシルグリセロール(DAG)のような、筋内の反応性脂肪酸エステルの上昇したレベル;筋内の高いTG、または反応性脂肪酸エステルの上昇したレベルに起因する、インスリンの作用に対する筋の低感受性もしくは不感受性;低下したインスリン感受性の結果としての損なわれた耐糖能;高インスリン血症およびインスリン耐性を招く、低インスリン感受性の進行期;高い血糖レベル(高血糖症)、および非インスリン依存性糖尿病(NIDDM、2型糖尿病)の発症のような、インスリン耐性の更なる結果;高血糖症によって生じた更なる結果、たとえば腎症、神経障害、網膜症および失明の形態での、糖尿性微小血管疾患のような問題となる、代謝性合併症との関連で、医薬として役立つことができる。
【0009】
ACCβインヒビターは、脂肪酸酸化の増大が有益と見なされる肥満症候群、たとえば、内因性脂質(脂肪)の過剰な貯蔵、低い脂肪利用および炭水化物貯蔵の定常的な枯渇の結果としての、食欲および食物消費の損なわれた制御;炭水化物貯蔵の節約;炭水化物貯蔵供給の要求の低下;食欲の抑制;脂肪の低下した酸化への遺伝的または行動的傾向を有するすべての者に対する、長期間の体重の制御および維持のような医学的適応症との関連で、医薬として役立つこともできる。
【0010】
上に列挙された疾患のうち、筋および肝臓におけるミトコンドリアの脂肪酸酸化の増大、ならびに末梢(筋)組織におけるエネルギー消費の正味の増加を通じての肥満症の関連、超低密度リポタンパク質結合トリグリセリド(VLDL−TG)のヒト肝による減少した(再均衡化された)出力を通じての異常脂質血症との関連、ならびに末梢組織における高いTGレベルの低下、およびアシルCoA、カルニチンCoA、ジアシルグリセロール(DAG)のような、脂肪酸の高度に反応性に富むエステルの上昇した濃度の低下を通じての、インスリン耐性および2型糖尿病の関連での、医薬としての式(I)の化合物の使用は、特に関心が払われるものと思われる。
【0011】
発明の開示
それゆえ、本発明の目的は、上に列挙された基準を満たすべき化合物を提供することである。本発明の式(I)の化合物は、高度に選択的なACCβインヒビターである能力を示すことが見出された。本発明の主題は、更に、式(I)の化合物を製造する方法、ならびにACCβインヒビターが介在する疾患の制御または防止における式(I)の化合物の使用、およびそれぞれ、対応する医薬の製造のためのその使用である。
【0012】
別途指示されない限り、以下の定義は、本明細書で発明を記載するのに用いられる、様々な用語の意味および範囲を例示かつ規定するために説明される。
【0013】
用語「低級アルキル」または「C1〜C7アルキル」は、単独でか、または他の基と組み合わされて、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する1価の分枝鎖または直鎖アルキル基を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、および本明細書に具体的に例示される基のような基によって更に例示される。
【0014】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0015】
用語「アルコキシ」は、基R’−O−(R’はアルキルである)を意味する。用語「低級アルコキシ」または「C1〜C7アルコキシ」は、基R’−O−(R’は低級アルキルである)を意味する。低級アルコキシ基の例は、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシおよびヘキシルオキシである。好ましいのは、本明細書に具体的に例示される低級アルコキシ基である。
【0016】
用語「シクロアルキル」または「C3〜C7シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を有する、飽和された炭素環の基、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを指す。
【0017】
「ヘテロシクリル」は、1環あたり3〜8原子を有する、1個またはそれ以上の、好ましくは1個または2個の環からなる、(N、OまたはS(O)0-2から選ばれる)1、2もしくは3個の環ヘテロ原子を含む飽和された複素環の基であって、場合により、ハロゲン、CF3、低級アルキルおよび/または低級アルコキシでモノもしくは多置換されている、特にモノもしくはジ置換されていることができる基を意味する。複素環基の例は、オキシラニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニルまたはキヌクリジニルである。好ましいのは、本明細書に具体的に例示されるヘテロシクリル基である。
【0018】
用語「HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環」は、窒素、酸素および/または硫黄から選ばれる1、2、3もしくは4個の原子を含むことができる、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、ペンタゾリルおよびそれらのジヒドロ誘導体を包含するような、芳香族五もしくは六員環を意味する。ヘテロアリール基は、場合により、C1〜C7アルキルで置換されている。好ましいのは、本明細書に具体的に例示されるヘテロアリール基である。
【0019】
用語「保護基」は、たとえばアシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シリルまたはイミン誘導体のような、官能基の反応性を一時的に閉塞するのに用いられる基を意味する。周知の保護基は、たとえば、低級アルキル−、β−トリメチルシリルエチル−およびβ−トリクロロエチル−エステルであって、カルボキシル基の保護に用いることができる。
【0020】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る塩基との式(I)の化合物の、アルカリ塩、たとえばNa−およびK−塩、アルカリ土類塩、たとえばCa−およびMg−塩、ならびにたとえばトリメチルアンモニウム塩のような、アンモニウムまたは置換アンモニウム塩のような塩を包含する。用語「薬学的に許容され得る塩」は、そのような塩にも関する。
【0021】
式(I)の化合物は、溶媒和する、たとえば水和することもできる。溶媒和は、製造工程の途中で実施することができるか、またはたとえば、当初は無水性である式(I)の化合物の吸湿性の特性の結果として生じる(水和)ことができる。用語「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る溶媒和物も包含する。
【0022】
用語「薬学的に許容され得るエステル」は、利用できるカルボキシル基を有する式(I)の化合物の、in vivoで加水分解できるエステルを意味する。より具体的には、基R1および/またはR2が基COOR5である場合、水素または低級アルキルに加えて、R5も、薬学的に許容され得る、容易に加水分解できるどのような部分へも、役立つように更に誘導されてもよい。
【0023】
詳しくは、本発明は、式(I):
【0024】
【化14】

【0025】
[式中、
Bは、−C≡C−または−CHR3−O−であり;
3は、HまたはC1〜C3アルキルであり;
X、YおよびZは、C−R4またはNであり、X、YおよびZのうち少なくとも1個は、C−R4であり;
4は、HまたはC1〜C7アルキルであり;
1およびR2は、互いに独立して、
H、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5または−COR5(ここでR5は、HまたはC1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、
−SR8(ここでR8は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキルまたは−(CH2m−ヘテロシクリルであって、mは0、1、2または3である)、
−CONR910(ここでR9およびR10は、H、C1〜C7アルキルであるか、またはNR910は、3〜7個の原子を有する環を形成することができ、該環は、場合により、1個またはそれ以上の更なるNもしくはO原子を含む)、および
HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環
からなる群より選ばれるか、または
1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜7個の原子を有する環を形成することができて、該環は、場合により、1個またはそれ以上のNもしくはO原子を含む]
で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩に関する。
【0026】
本発明の式(I)の好適な化合物は、R1またはR2の一方が水素である、式(I)の化合物である。
【0027】
更に好ましいのは、R1またはR2が、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5(ここでR5は、C1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、
−SR8(ここでR8は、C1〜C7アルキルである)、
−CONR910(ここでR9およびR10は、H、C1〜C7アルキルであるか、またはNR910は、3〜7個の原子を有する環を形成することができ、該環は、場合により、1個またはそれ以上の更なるNもしくはO原子を含む)、および
HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環
からなる群より選ばれる、式(I)の化合物である。
【0028】
特に好ましいのは、R1またはR2が、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5(ここでR5は、HまたはC1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、および
−SR8(ここでR8は、C1〜C7アルキルである)
からなる群より選ばれる、式(I)の化合物である。
【0029】
より好ましいのは、R1またはR2が、−COOR5であり、R5が、HまたはC1〜C7アルキルである、本発明による式(I)を有するような化合物である。
【0030】
更に、R1またはR2が、C1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、および−SR8(ここでR8は、C1〜C7アルキルである)からなる群より選ばれる、式(I)の化合物が好ましい。
【0031】
やはり好ましいのは、R1またはR2が、HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環である、式(I)の化合物である。
【0032】
1およびR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜7個の原子を有する環を形成し、該環は、場合により、1個またはそれ以上のNもしくはO原子を含む、本発明による式(I)の化合物も好ましい。
【0033】
更に好ましいのは、式(I−A):
【0034】
【化15】

【0035】
[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容され得るその塩および/またはエステルである。
【0036】
特に好ましいのは、X、YおよびZが−CR4であり、R4が水素であるような式(I−A)の化合物である。
【0037】
そのような化合物の例は、下記の化合物:
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル;
3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル;
3,3−ジメチル−7−(4−メチルスルファニル−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−メトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール;
7−(4−エトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−エトキシメチル−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
2−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール;
7−(4−シクロプロピルメトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
3,3−ジメチル−7−(4−プロポキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;および
3,3−ジメチル−7−(4−オキシラニルメトキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンである。
【0038】
やはり好ましいのは、X、YまたはZのうち1個がNであり、その他が−CR4であり、R4が水素である、式(I−A)の化合物である。
【0039】
下記の化合物は、その例である:
6−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ニコチン酸エチルエステル、および
5−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル。
【0040】
更に、式(I−B):
【0041】
【化16】

【0042】
[式中、X、Y、Z、R1、R2およびR3は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容され得るその塩および/またはエステルも好適である。
【0043】
特に好ましいのは、X、YおよびZが−CR4であり、R4が水素である、式(I−B)の化合物である。
【0044】
そのような化合物の例は、下記の化合物である:
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルメトキシ)安息香酸エチルエステル、および
7−(3−エトキシフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン。
【0045】
更に、下記の化合物は、本発明の好適な化合物の例である:
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル;
3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル;
3,3−ジメチル−7−(4−メチルスルファニル−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
1−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]エタノン;
7−(4−メトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール;
7−(4−エトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルエチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;7−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]モルホリン−4−イルメタノン;
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)−N,N−ジメチルベンズアミド;
6−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ニコチン酸エチルエステル;
7−(4−エトキシメチル−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
2−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール;
5−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル;
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルメトキシ)安息香酸エチルエステル;
7−(4−シクロプロピルメトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニルエチニル]−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノキシ]アセトニトリル;
3,3−ジメチル−7−(4−プロポキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
3,3−ジメチル−7−(4−オキシラニルメトキシフェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−イソプロピルフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
3,3−ジメチル−7−(4−メチルスルファニルフェノキシメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(3−エトキシフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−エチルフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−メトキシフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;および
5−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−2−メチル−2H−テトラゾール。
【0046】
式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩も、本発明の好適実施態様を構成する。
【0047】
本発明における一般式(I)の化合物は、in vivoで親化合物に戻る転換ができる誘導体を与えるよう、官能基において誘導体化できることが理解されよう。in vivoで一般式(I)の親化合物を生成することが可能な、生理学的に許容され得る、かつ代謝的に不安定な誘導体も、本発明の範囲内にある。
【0048】
本発明の更に一つの態様は、上記に定義されたとおりの式(I)の化合物を製造する方法であって、
(a)式(II):
【0049】
【化17】

【0050】
の化合物を、式(III):
【0051】
【化18】

【0052】
[式中、Halは、臭素またはヨウ素であって、X、Y、Z、R1およびR2は、これまでに定義されたとおりである]
で示されるハロゲン化アリールまたはハロゲン化へテロアリールと反応させて、式(I−A):
【0053】
【化19】

【0054】
[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、これまでに定義されたとおりである]
で示される化合物を得るか、またはこれに代えて、
(b)式(IV):
【0055】
【化20】

【0056】
の化合物を、式(V):
【0057】
【化21】

【0058】
[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、これまでに定義されたとおりである]
で示されるアルキンと反応させて、式(I−A):
【0059】
【化22】

【0060】
[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、これまでに定義されたとおりである]
で示される化合物を得るか、またはこれに代えて、
(c)式(VI):
【0061】
【化23】

【0062】
[式中、R3は、HまたはC1〜C3アルキルである]
で示される化合物を、式(VII):
【0063】
【化24】

【0064】
[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、これまでに定義されたとおりである]
で示される化合物と反応させて、式(I−B):
【0065】
【化25】

【0066】
[式中、X、Y、Z、R1、R2およびR3は、これまでに定義されたとおりである]
で示される化合物を得る
工程を含む方法である。
【0067】
上記のとおり、本発明の式(I)の化合物は、ACCβおよび/または脂肪酸酸化に関連する、たとえば、糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、上昇した脂質とコレステロールのレベル、特に低HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル、または高トリグリセリドレベル、アテローム性動脈硬化疾患、代謝症候群(X症候群)、高血圧、内皮機能不全、凝血促進状態、ならびに異常脂質血症のような疾患の治療および/または予防のための医薬として用いることができる。糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、肥満症ならびに異常脂質血症の治療および/または予防のための、医薬としての使用が好適である。
【0068】
上記により、本発明は、上記に定義されたとおりの化合物、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または佐剤を含む医薬組成物にも関する。
【0069】
更に、本発明は、治療活性物質として、特にACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のための治療活性物質として用いるための、上記に定義されたとおりの化合物に関する。そのような疾患の例は、糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、上昇した脂質とコレステロールのレベル、特に低HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル、または高トリグリセリドレベル、アテローム性動脈硬化疾患、代謝症候群(X症候群)、高血圧、内皮機能不全、凝血促進状態、肥満症ならびに異常脂質血症である。
【0070】
もう一つの実施態様では、本発明は、ACCβインヒビターによって調整される疾患を治療および/または予防する方法であって、式(I)の化合物をヒトまたは動物に投与する工程を含む方法に関するものである。そのような疾患の好適な例は、糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、上昇した脂質とコレステロールのレベル、特に低HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル、または高トリグリセリドレベル、アテローム性動脈硬化疾患、代謝症候群(X症候群)、高血圧、内皮機能不全、凝血促進状態、肥満症、ならびに異常脂質血症である。上記に定義されたとおりの好適な方法は、疾患が糖尿病、より好ましくは非インスリン依存性糖尿病、肥満症または異常脂質血症である、それである。
【0071】
本発明は、更に、ACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のための、上記に定義されたとおりの化合物の使用に関するものである。そのような疾患の好適な例は、糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、上昇した脂質とコレステロールのレベル、特に低HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル、または高トリグリセリドレベル、アテローム性動脈硬化疾患、代謝症候群(X症候群)、高血圧、内皮機能不全、凝血促進状態、肥満症、ならびに異常脂質血症である。好適実施態様では、本発明は、疾患が糖尿病、より好ましくは非インスリン依存性糖尿病、肥満症および異常脂質血症である、上記に定義されたとおりの使用に関するものである。
【0072】
加えて、本発明は、ACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のための医薬を製造するための、上記に定義されたとおりの化合物の使用に関するものである。そのような疾患の好適な例は、糖尿病、特に非インスリン依存性糖尿病、上昇した脂質とコレステロールのレベル、特に低HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル、または高トリグリセリドレベル、アテローム性動脈硬化疾患、代謝症候群(X症候群)、高血圧、内皮機能不全、凝血促進状態、肥満症、ならびに異常脂質血症である。そのような医薬は、上記に定義されたとおりの化合物を含む。
【0073】
式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、または類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程に適切な反応条件は、当業者に公知である。出発材料は、商業的に入手可能であるか、あるいは以下に示す方法に類似する方法、本文もしくは実施例に引用された参考文献に記載された方法、または当技術に公知の方法によって製造することができるかのいずれかである。
【0074】
Bが−C≡C−である式(I)の化合物(アセチレン誘導体)は、適切なヨウ化または臭化アリールとトリメチルシリルアセチレンとの園頭交差カップリング反応、次いでTMS脱保護、および第二の園頭反応によって製造する(交差カップリング工程の一般的な条件:[PdCl2(PPh32]、CuI、iPr2NH3、THF、熱)。
【0075】
枢要なヨウ化アリール(5)の合成を、スキーム1に示す。
【0076】
7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5)は、CH2Cl2中でのトリフルオロ酢酸銀による3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(4)のヨード化によって得られる。3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(4)は、M. Klaus, P. Mohr, E. Weissによる欧州特許出願公開第0 350 846号公報(EP 0 350 846 A2 (1990))に従って製造する。
【0077】
【化26】

【0078】
ほとんどの実施例は、THF/MeOH中でのトリメチルシリルアセチレンによる交差カップリング、およびその後のK2CO3によるTMS部分の切断によってヨウ化物(5)から得られる、進歩したアセチレン性中間体(6)から製造される(スキーム2)。第二の園頭交差カップリング反応(6)では、(7)型の適切なハロゲン化アリールまたはハロゲン化ヘテロアリールと反応させて、式(I−A)の化合物を得る。
【0079】
【化27】

【0080】
これに代えて、式(I)の化合物は、カップリング工程を逆にすることによって、同様にして製造することができる(スキーム3)。式(9)の化合物は、T. Iijima, Y. Endo, M. Tsuji, E. Kawachi, H.Kagechika, K. Shudo, Chem. Pharm. Bull. 1999, 47,3:398-404に記載された方法と同様にして製造する。
【0081】
出発材料として用いられるハロゲン化アリールまたはハロゲン化ヘテロアリール(たとえば8および11)は、商業的に入手可能であるか、または下記のとおりに製造することができる。
【0082】
(12)の型のアミドは、CH2Cl2およびEt3N中での4−ヨードベンゾイルクロリド(11)および対応するアミンの反応から得られる。
【0083】
【化28】

【0084】
臭化物(16)は、還流させているエタノール中において、4−ブロモベンゾイルブロミド(15)から得られる(スキーム4を参照されたい)。
【0085】
【化29】

【0086】
1,3,4−オキサジアゾール(19)は、100℃の塩化ホスホリル(POCl3)中において、4−ヨード安息香酸(17)とアセトヒドラジド(18)の反応から得られる(スキーム5を参照されたい)。
【0087】
【化30】

【0088】
ピリジン(22)は、5−ブロモ−2−メチルピリジン(20)から、G.M. Sanders, M. van Dijk & H.C. van der Plas, Heterocycles 1981, 15:213-223に記載されたような、5−ブロモ−2−ピリジンカルボン酸(21)への酸化、およびSOCl2による塩素化、次いでEtOHとの反応によって、2工程で得られる(スキーム6を参照されたい)。
【0089】
【化31】

【0090】
4−ヨードベンゾニトリル(23)とアジ化ナトリウムとの反応は、テトラゾール(24)を与えて、これを25/26の混合物へとメチル化することができる。この二つの位置異性体は、フラッシュクロマトグラフィーによって容易に分割することができる(スキーム7を参照されたい)。
【0091】
【化32】

【0092】
1が−OR5であり、R5がC1〜C7アルキル、−(CH2n−シクロアルキル−(CH2n−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR6であり、R6がHまたはC1〜C6アルキルである、本発明の式(I)の化合物は、対応するフェノール(27)のアルキル化によって得ることができる(スキーム8を参照されたい)。
【0093】
【化33】

【0094】
Bが−CH2O−である式(I)の化合物(ベンジルエーテル誘導体)は、光延の条件下におけるアルコール(31)のアルキル化によって製造される(スキーム9を参照されたい)。エステル(30)は、(4)の合成[M. Klaus, P. Mohr, E. Weissによる欧州特許出願公開第0 350 846号公報(EP 0 350 846 A2 )]に類似する手順を追って、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチルから得られる。DIBAL−Hによる(30)の還元が、アルコール(31)を与える。
【0095】
【化34】

【0096】
本発明の一般式(I)の化合物は、in vivoで親化合物に戻る転換が可能な誘導体を与えるよう、官能基において誘導体化し得ることが理解されよう。
【0097】
以下の試験は、式(I)の化合物の活性を決定するために実施した。
【0098】
ヒトACCβ酵素の製造および特性記述、ACC活性アッセイにおける、ならびに阻害研究のための、その使用
完全長のヒト筋型ACCβcDNAのクローニング、およびHEK293細胞(ATCC第CRL−1573号)における発現を、以下のとおりに実施した。ACCβcDNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅し、標準的な組換えDNAの手法を用いてクローニングした。PCRの反応は、拡大長鋳型PCRシステム(Expand Long Template PCR System:Roche Molecular Biochemicals, #1 681 8340)、および鋳型としてのヒト骨格筋からのcDNA0.5ngによって実施した。PCR増幅に用いたプライマーは、ヒト肝cDNAライブラリーから単離されたヒトACCβcDNAの刊行された配列[Abul-Elheiga ら, J. Biol. Chem. 272:10669-10677]に基づいて設計した。前進プライマーACCB1の配列は、5’−TTACGCGTGCTAGCCACCATGGTCTTGCTTCTTTGTCTATC−3’であった(サブクローニングのためのNheI制限切断部位、およびATG開始コドンの前方にコザックの翻訳開始共通配列を含む)。逆行プライマーACCB8の配列は、5’−TTCTCGAGTCAGGTGGAGGCCGGGCTGTC−3’であった(終止コドン、およびサブクローニングのためのXhoI制限切断部位を含む)。増幅されたほぼ7.4kbのDNAフラグメントを、哺乳動物の発現ベクターにクローニングした。得られたプラスミド単離体、すなわちpRF33A、B、C、DおよびEを、標準的な脂質トランスフェクション法を用いて、ヒト胚性腎293細胞(HEK293)に個別に移入した。移入された細胞の細胞抽出物を、0.4mg/mlのジギトニンを含有する溶解緩衝液中で調製し、酵素活性を、以下に述べる放射分析によるACC活性アッセイを用いて決定した。プラスミドpRF33Dが最高の活性を示し、HEK293細胞の大規模トランスフェクションおよび酵素精製のために選択した。
【0099】
未精製の細胞溶解物におけるACC酵素活性は、非常に低いことから、HEK293細胞で発現されるACCβ酵素の富裕化を、単一の陰イオン交換クロマトグラフィー工程によって達成した。細胞溶解物を、5mlのEcono Pac High Qカラム(Biorad, #732-0027)にかけた。結合したタンパク質を、50mMトリスHCl、pH7.5、1mMDTT、5%グリセリン中の0〜1MのNaCl勾配によって溶離した。高いACCβ酵素活性を有する画分を、寄せ集め、−20℃で貯蔵した。
【0100】
標準的なACCβ酵素アッセイは、50mMHEPES−KOH、pH7.5、10mMクエン酸K、10mMMgSO4、1mMATP、0.1mMDTT、2%DMSO、0.1mg/mlの脂肪酸除去BSA、0.2mMアセチルCoA、2mMKHCO3、0.2mM[14C]NaHCO3(50〜60mCi/mmol)を含有する100μlの総量中で、細胞溶解物または精製ACCβ酵素について実施した。反応を、37℃で45分間インキュベートし、2NHCl50μlの添加によって停止させた。終結した反応を、50℃で終夜インキュベートして、取り込まれなかった[14C]NaHCO3を蒸発させた。[14C]標識化されたマロニルCoAである反応生成物を、Microscint 20(Canberra Packard, #6013621)20μlの添加後に、マイクロプレートシンチレーション計数機TopCount NXT(Canberra Packard)により、液体シンチレーション計数によって定量した。
【0101】
ACCβ活性の阻害は、試験した化合物の少なくとも2対数単位の範囲濃度にわたる二倍系統希釈を用い、飽和基質濃度で決定した。IC50値は、ソフトウエアGraFit(Erithacus Software Ltd.)を用いて算出した。
【0102】
本発明の好適な化合物は、5nM〜100μM、好ましくは1〜1,000nMのIC50値を示す。
【0103】
下表は、本発明の選ばれたいくつかの化合物について測定された値を示す。
【0104】
【表1】

【0105】
式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容され得るその塩およびエステルは、医薬として、たとえば経口、非経口または局所投与のための医薬調製品の形態でのそれとして用いることができる。それらは、たとえば、たとえば錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、硬質および軟質ゼラチンカプセル剤、溶液、乳剤もしくは懸濁液の形態で、経口的にか、たとえば坐剤の形態で直腸に、たとえば注射液もしくは輸注液の形態で非経口的に、またはたとえば軟膏、クリーム剤もしくは油剤の形態で、局所的に投与することができる。
【0106】
医薬調製品の製造は、記載された式(I)の化合物、および薬学的に許容され得るものを、適切で、非毒性かつ不活性の治療上適合する固体または液体の担体材料、および望みであれば常用の医薬佐剤とともに、ガレヌス投与形態にすることによって、いかなる当業者も精通しているような方式で実施することができる。
【0107】
適切な担体材料は、無機担体材料ばかりでなく、有機担体材料でもある。したがって、たとえば乳糖、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を、錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセル剤として用いることができる。軟質ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、たとえば植物油、蝋、脂肪、ならびに半固体および液体ポリオールである(しかし、軟質ゼラチンカプセル剤の場合は、活性成分の性質によっては、担体は全く不要である)。溶液およびシロップ剤の製造に適切な担体材料は、たとえば水、ポリオール、ショ糖、転化糖などである。注射液に適切な担体材料は、たとえば水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油である。坐剤に適切な担体材料は、たとえば天然油または硬化油、蝋、脂肪、および半液体または液体ポリオールである。局所投与に適切な担体材料は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、硬化油、液体の蝋、流動パラフィン、液体の脂肪性アルコール類、ステロール類、ポリエチレングリコール、ならびにセルロース誘導体である。
【0108】
常用の安定剤、防腐剤、湿潤および乳化剤、粘性改質剤、風味改質剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤およびマスキング剤、ならびに抗酸化剤が、医薬佐剤として考慮される。
【0109】
式(I)の化合物の投与量は、制御しようとする疾患、患者の年齢および個人的条件、ならびに投与方式に応じて、広い限度内で変動することができ、当然、それぞれの特定の症例における個別的要件に合わせることになる。成人の患者に対しては、約1〜約1,000mg、特に約1〜約100mgの日次投与量が考慮される。投与量に応じて、日次投与量をいくつかの投与量単位として投与するのが好都合である。
【0110】
この医薬調製品は、好都合には、約0.1〜500mg、好ましくは0.5〜100mgの式(I)の化合物を含有する。
【実施例】
【0111】
下記の実施例は、本発明をより詳しく例示するのに役立つ。しかし、その範囲をいかなる方式でも制限しようとするものではない。
【0112】
〔実施例1〕
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル
(a)3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(4)
標記化合物は、M. Klaus, P. Mohr, E. Weissの欧州特許出願公開第0 350 846号公報(EP 0 350 846 A2 (1990)に記載されたとおりの方法に従って製造した。
【0113】
(b)7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5)
CH2Cl2(40ml)中の3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(4)(726mg)の溶液を調製し、トリフルオロ酢酸銀(1.13g)およびヨウ素(1.06g)を、逐次加えた。直ちにヨウ化銀の沈殿が観察された。混合物を、16時間撹拌してから、ダイカライト(dicalite)越しに濾過した。有機相を、Na232飽和水溶液(2x50ml)および水(2x50ml)で洗浄した。水相を、更に一回、CH2Cl2(50ml)で抽出した。乾燥(MgSO4)した後、溶媒を蒸発させて、7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5)を、明褐色の油状物として得た。MS(ESI):304.1(M)+
【0114】
(c)(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)トリメチルシラン(6b)
[PdCl2(PPh32](1.73g)およびヨウ化銅(I)(845mg)のAr下の混合物に、ジイソプロピルアミン(225ml)およびTHF(225ml)中の7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(7)(15.0g)の脱気した溶液を加えた。トリメチルシリルアセチレン(7.27g)を加え、混合物を57℃で終夜撹拌した。AcOEt(1L)の添加、およびダイカライト越しの濾過の後、溶液を、1NのHCl水溶液(3x1L)および食塩水(2x1L)で洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させて、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)トリメチルシラン(6b)を、褐色の油状物として得た。
【0115】
(d)7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)
工程(c)からのすべての物質を、THF(200ml)およびMeOH(1L)に溶解し、K2CO3(3.98g)を加えた。混合物を、室温で1時間撹拌し、Et2O(1.2L)で希釈し、H2O(2x500ml)で抽出した。Na2SO4上で乾燥した後、溶媒を蒸発させて、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)8.7gを、暗褐色の油状物として得た。MS(ESI):202.2(M+
【0116】
(e)4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル
7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(1.0g)、4−ブロモ安息香酸エチル(1.13g)、[PdCl2(PPh32](174mg)およびヨウ化銅(I)(94mg)のAr下の混合物に、ジイソプロピルアミン(20ml)とTHF(20ml)の脱気した溶液を加えた。反応混合物を、57℃で終夜撹拌した。AcOEt(100ml)の添加、およびダイカライト越しの濾過の後、溶液を、1NのHCl水溶液(3x50ml)およびH2O(3x50ml)で洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。未精製生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン/AcOEt=9:1)、次いで分取HPLCによって精製した。4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル756mgを白色固体として得た。MS(ESI):350.2(M+
【0117】
〔実施例2〕
3,3−ジメチル−7−(4−メチルスルファニル−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)およびブロモチオアニソールから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):324.2(M+
【0118】
〔実施例3〕
1−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]エタノン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および1−(4−ヨードフェニル)エタノンから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):320.2(M+
【0119】
〔実施例4〕
7−(4−メトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および1−ヨード−4−メトキシベンゼンから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):308.2(M+
【0120】
〔実施例5〕
7−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および1−ヨード−3−メトキシベンゼンから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):308.2(M+
【0121】
〔実施例6〕
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および4−ヨードフェノールから、実施例1と同様にして、褐色固体として製造した。MS(ESI):293.1(M−H)-
【0122】
〔実施例7〕
7−(4−エトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および1−エトキシ−4−ヨードベンゼンから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):322.2(M+
【0123】
〔実施例8〕
7−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルエチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および5−ヨードベンゾ[1,3]ジオキソールから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):322.2(M+
【0124】
〔実施例9〕
7−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および5−ヨード−2,3−ジヒドロベンゾフランから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):320.1(M+
【0125】
〔実施例10〕
6−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ニコチン酸エチルエステル
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および6−クロロニコチン酸エチルから、実施例1と同様にして製造した。MS(ESI):352.4(M+H)+
【0126】
〔実施例11〕
7−(4−エトキシメチル−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
(a)1−ブロモ−4−エトキシメチルベンゼン(16)
EtOH20ml中の4−ブロモベンジルブロミド1.00gの溶液を、還流下で5時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、1−ブロモ−4−エトキシメチルベンゼン766mgを、黄色の油状物として得た。MS(ESI):216.1(M+H)+
【0127】
(b)7−(4−エトキシメチル−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
実施例1と同様にして、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および1−ブロモ−4−エトキシメチルベンゼン(16)から、標記化合物を白色固体として得た。MS(ESI):336.2(M+
【0128】
〔実施例12〕
2−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール
(a)2−(4−ヨードフェニル)−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール(19)
POCl3(4ml)中の4−ヨード安息香酸(1.0g)およびアセトヒドラジド(329mg)の混合物を、80℃で終夜、次いで100℃でもう1日撹拌した。AcOEt(50ml)を加え、混合物を、H2O(50ml)、Na2CO3飽和水溶液(50ml)およびH2O(50ml)で洗浄した。Na2SO4上で乾燥した後、溶媒を蒸発させ、生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH/25%NH4OH水溶液=90:9:1)によって精製した。2−(4−ヨードフェニル)−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール(19)368mgを、帯黄色固体として得た。MS(ESI):287.0(M+H)+
【0129】
(b)2−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール
実施例1と同様にして、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および2−(4−ヨードフェニル)−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾールから、標記化合物を白色固体として得た。MS(ESI):360.1(M+
【0130】
〔実施例13〕
5−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
(a)5−ブロモピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(22)
G.M. Sanders, M. van Dijk & H.C. van der Plas, Heterocycles 1981, 15:213-223
に従って製造した5−ブロモ−2−ピリジンカルボン酸(21)1.17gを、SOCl2(6ml)に入れ、混合物を、還流下で2時間加熱した。SOCl2を蒸発させた後、残渣を還流下で、トルエン(3ml)および無水EtOH(6ml)で処理した。NaCO3飽和水溶液の添加によって、pHを8に調整し、生成物をEt2Oで抽出した。有機層を、区分したH2Oで中性まで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させて、5−ブロモピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(22)を白色固体として得た。MS(ESI):232.0(M+H)+
【0131】
あるいは、5−ブロモピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(22)は、R.J. Chambers, A. Marfat, Synthetic Communications 1997, 27(3):515-521によって記載されたとおりに製造することもできる。
【0132】
(b)5−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および5−ブロモピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(22)から、実施例1と同様にして、ガム状物として製造した。MS(ESI):351.1(M+
【0133】
〔実施例14〕
5−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−2−メチル−2H−テトラゾール
(a)5−(4−ヨードフェニル)−1H−テトラゾール(24)
DMF中の4−ヨードベンゾニトリル(2.0g)、アジ化ナトリウム(624mg)および塩化アンモニウム(514mg)の混合物を、100℃で22時間撹拌した。DMFを蒸発させ、残渣をH2Oに懸濁させ、濃HCl水溶液で処理した。固体物質を濾過によって捕集し、1NのHCl水溶液およびH2Oで洗浄し、高真空下で乾燥した。5−(4−ヨードフェニル)−1H−テトラゾール(24)2.32gを、白色粉末として得た。MS(ESI):270.9(M−H)-
【0134】
(b)5−(4−ヨードフェニル)−2−メチル−2H−テトラゾール(25)
1NのNaOH水溶液(10ml)とCH2Cl2(10ml)中の、5−(4−ヨードフェニル)−1H−テトラゾール(24)(500mg)および臭化アンモニウム(1.18g)の混合物を、ヨードメタンで処理し、室温で26時間激しく撹拌した。有機層を分離し、1NのNaOH水溶液、NH4Cl水溶液および食塩水で洗浄した。MgSO4上で乾燥した後、溶媒を蒸発させ、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン/CH2Cl2=1:1〜純CH2Cl2)によって精製した。
【0135】
5−(4−ヨードフェニル)−2−メチル−2H−テトラゾール(25)387mgを、結晶質の白色固体として得た。MS(ESI):286.0(M+
【0136】
副生物として、5−(4−ヨードフェニル)−1−メチル−1H−テトラゾール(26)105mgを、結晶質の乳白色粉末として得た。MS(ESI):286.0(M+
【0137】
(c)5−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−2−メチル−2H−テトラゾール
標記化合物は、7−エチニル−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(6)(実施例1d)および5−(4−ヨードフェニル)−2−メチル−2H−テトラゾール(25)から、実施例1と同様にして、白色粉末として得た。MS(ESI):361.2(M+H)+
【0138】
〔実施例15〕
3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル(10)
(a)3−エチニル安息香酸エチルエステル(9)
標記化合物は、T. Iijima, Y. Endo, M. Tsuji, E. Kawachi, H.Kagechika, K. Shudo, Chem. Pharm. Bull. 1999, 47,3:398-404と同様にして製造した。
【0139】
(b)7−(4−エトキシメチル−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
3−エチニル安息香酸エチルエステル(9)(50mg)、7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5)(87mg)(実施例1b)、[PdCl2(PPh32](10mg)、およびヨウ化銅(I)(5.5mg)のN2下の混合物に、THF(2.5ml)およびジイソプロピルアミン(2.5ml)の脱気した混合物を加えた。室温で5.5時間の撹拌の後、ヘキサン(15ml)を加え、混合物を、1NのHCl水溶液(2x15ml)、H2O(15ml)および食塩水(15ml)で洗浄した。MgSO4上で乾燥した後、溶媒を蒸発させ、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/1%AcOEt)によって精製した。3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル(10)55mgを、無色のガム状物として得た。MS(ESI):350.2(M+
【0140】
〔実施例16〕
[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]モルホリン−4−イルメタノン
(a)(4−ヨードフェニル)モルホリン−4−イルメタノン
CH2Cl2(20ml)中の4−ヨードベンゾイルクロリド(500mg)、モルホリン(163mg)およびトリエチルアミン(380mg)の混合物を、2時間撹拌してから、H2O(20ml)および食塩水(20ml)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させて、帯黄色半固体の(4−ヨードフェニル)モルホリン−4−イルメタノン482mgを得た。MS(ESI):318.0(M+H)+
【0141】
(b)モルホリン−4−イル(4−トリメチルシラニルエチニル−フェニル)メタノン
(4−ヨードフェニル)モルホリン−4−イルメタノン(273mg)、トリメチルシリルアセチレン(169mg)、[PdCl2(PPh32](30mg)およびヨウ化銅(I)(15mg)のAr下の混合物に、THF(4.5ml)およびジイソプロピルアミン(4.5ml)の脱気した混合物を加えた。57℃で終夜撹拌し、水で処理した後、有機層をMgSO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH/25%NH4OH=97:3:0.3)によって、モルホリン−4−イル(4−トリメチルシラニルエチニル−フェニル)メタノン247mgを、明褐色の固体として得た。1H−NMR(300MHz):0.26(s, 3H); 3.32-3.91(br, 8H); 7.34(d, J=6.5, 2H); 7.51(d, J=6.5, 2H)。
【0142】
(c)(4−エチニルフェニル)モルホリン−4−イルメタノン
工程(b)で得た物質を、室温で1時間、MeOH(30ml)/THF(6ml)混合物中でK2CO3で処理した。反応混合物を、Et2O(60ml)上に注ぎ、H2O(2x60ml)で洗浄した。Na2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた後、(4−エチニルフェニル)モルホリン−4−イルメタノン110mgを得た。1H−NMR(300MHz):3.15(s, 1H); 3.33-3.94(br, 8H); 7.37(d, J=6.6, 2H); 7.53(d, J=6.6, 2H)。
【0143】
(d)[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]モルホリン−4−イルメタノン
標記化合物は、3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル(10)と同様にして、(4−エチニルフェニル)モルホリン−4−イルメタノンおよび7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5)から、帯黄色の粘稠な油状物として得た。MS(ESI):392.3(M+H)+
【0144】
〔実施例17〕
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)−N,N−ジメチルベンズアミド
(a)4−ヨード−N,N−ジメチルベンズアミド
標記化合物は、実施例16aと同様にして、CH2Cl2中の4−ヨードベンゾイルクロリド、N,N−ジメチルアミンおよびトリエチルアミンから、帯黄色の油状物として製造した。MS(ESI):276.0(M+H)+
【0145】
(b)N,N−ジメチル−4−トリメチルシラニルエチニル−ベンズアミド
4−ヨード−N,N−ジメチルベンズアミド(237mg)、トリメチルシリルアセチレン(169mg)、[PdCl2(PPh32](30mg)、およびヨウ化銅(I)(15mg)のAr下の混合物に、THF(4.5ml)とジイソプロピルアミン(4.5ml)の脱気した混合物を加えた。57℃で終夜撹拌し、水で処理した後、有機層をNa2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH/25%NH4OH=97:3:0.3)によって、N,N−ジメチル−4−トリメチルシラニルエチニル−ベンズアミドを褐色の油状物として得た。1H−NMR(300MHz):0.25(s, 3H); 2.96(s, 3H); 3.10(s, 3H); 7.35(d, J=8.5, 2H); 7.49(d, J=8.5, 2H)。
【0146】
(c)4−エチニル−N,N−ジメチルベンズアミド
標記化合物は、(4−エチニルフェニル)モルホリン−4−イルメタノン(実施例16c)と同様にして、N,N−ジメチル−4−トリメチルシラニルエチニル−ベンズアミドから製造した。1H−NMR(300MHz):3.15(s, 1H); 3.33-3.94(br, 8H); 7.37(d, J=6.6, 2H); 7.53(d, J=6.6, 2H)。
【0147】
(d)4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)−N,N−ジメチルベンズアミド
標記化合物は、3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル(10)と同様にして、4−エチニル−N,N−ジメチルベンズアミドおよび7−ヨード−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5)から、明褐色の油状物として得た。MS(ESI):699.4(100,[2M+H]+)、350.4(15、[M+H]+)。
【0148】
〔実施例18〕
7−(4−シクロプロピルメトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール(実施例6)のアルキル化のための一般的手順:
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール(実施例6)(100mg)を、DMF2mlとK2CO3(141mg)に溶解し、KI(59mg)および臭化アルキル1.25当量を加えた。混合物を、80℃で22時間撹拌した。室温まで冷却した後、H2Oを加え、生成物を3部分のAcOEtで抽出した。併せた有機層を、更にH2Oおよび食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させて、生成物を得た。
【0149】
シクロプロピルメチルブロミドによるアルキル化によって、7−(4−シクロプロピルメトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンを、帯褐色の固体として得た。MS(ESI):349.4(M+H)+
【0150】
〔実施例19〕
7−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニルエチニル]−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、実施例18に記載された一般的手順に従って、4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール(実施例6)の2−メトキシエチルブロミドによるアルキル化によって、帯褐色の固体として製造した。MS(ESI):353.3(M+H)+
【0151】
〔実施例20〕
[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノキシ]アセトニトリル
標記化合物は、実施例18に記載された一般的手順に従って、4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール(実施例6)の2−ブロモアセトニトリルによるアルキル化によって、帯褐色の固体として得た。MS(ESI):334.3(M+H)+
【0152】
〔実施例21〕
3,3−ジメチル−7−(4−プロポキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、実施例18に記載された一般的手順に従って、4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール(実施例6)の臭化n−プロピルによるアルキル化によって、帯褐色の固体として得た。MS(ESI):337.4(M+H)+
【0153】
〔実施例22〕
3,3−ジメチル−7−(4−オキシラニルメトキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
標記化合物は、実施例18に記載された一般的手順に従って、4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール(実施例6)のエピブロモヒドリンによるアルキル化によって、帯褐色の固体として得た。MS(ESI):351.4(M+H)+
【0154】
〔実施例23〕
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルメトキシ)安息香酸エチルエステル
(a)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジトシラート(2)
標記化合物は、R. Bird, G. Griffiths, G.F. Griffiths, C.J.M. Stirling, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2, 1982, 579、またはM. Klaus, P. Mohr, E. Weissの欧州特許出願公開第0 350 846号公報(EP 0 350 846 A2 (1990)に記載されたとおりの方法に従って製造した。
【0155】
(b)3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−カルボン酸エチルエステル(30)
3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル(20.0g)を、DMF(300ml)に溶解し、溶液を40℃に加熱した。K2CO3の添加後、混合物を、同じ温度で1時間撹拌してから、DMF(240ml)中の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジトシラート(49.9g)を加えた。混合物を140℃で5時間撹拌し、次いで、氷上に注ぎ、生成物をEt2Oで抽出した。有機層をH2Oで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。蒸留(126℃、0.5mbar)によって、3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−カルボン酸エチルエステル(30)19.8gを、無色の液体として得た。MS(ESI):250.1(M+
【0156】
(c)(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)
3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−カルボン酸エチルエステル(30)(9.00g)をTHF(150ml)に溶解し、トルエン(120ml)中の水素化ジイソブチルアルミニウムの1.5M溶液を徐々に加えた。得られた反応混合物を、室温で1時間撹拌し、次いで−30℃に冷却し、H2O(120ml)を注意深く加えた。温度を室温まで上昇させた後、20%HCl水溶液(100ml)を加えた。エーテル層を捕集し、H2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/AcOEt=4:1)によって、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)7.25gを得た。MS(ESI):208.1(M+
【0157】
(d)4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルメトキシ)安息香酸エチルエステル
CH2Cl2(4ml)中の(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンー7−イル)メタノール(31)(100mg)、重合体に結合したPPh3(412mg、ポリスチレン上3mmol/g以下)、および4−ヒドロキシ安息香酸エチルの混合物に、ジtert−ブチルアゾジカルボキシラート(111mg)を加えた。混合物を1時間振盪し、次いで重合体を濾去し、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィーによって、4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルメトキシ)安息香酸エチルエステル74mgを、無色の油状物として得た。MS(ESI):357.2(M+H)+
【0158】
〔実施例24〕
7−(4−イソプロピルフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
実施例23に記載した方法と同様にして、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)および4−イソプロピルフェノールから、7−(4−イソプロピルフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンを製造した。MS(ESI):344.4(M+NH4+
【0159】
〔実施例25〕
3,3−ジメチル−7−(4−メチルスルファニル−フェノキシメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
実施例23に記載した方法に従って、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)および4−(メチルチオ)フェノールから、標記化合物を製造した。MS(ESI):331.3(M+H)+
【0160】
〔実施例26〕
7−(3−エトキシ−フェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
実施例23に記載した方法に従って、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)および3−エトキシフェノールから、標記化合物を得た。MS(ESI):346.2(M+NH4+
【0161】
〔実施例27〕
7−(4−エチル−フェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
実施例23に記載した方法に従って、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)および4−エチルフェノールから、7−(4−エチル−フェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンを得た。MS(ESI):346.2(M+NH4+
【0162】
〔実施例28〕
7−(4−メトキシ−フェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
実施例23に記載した方法に従って、(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)メタノール(31)および4−メトキシフェノールから、標記化合物を製造した。MS(ESI):332.3(M+NH4+
【0163】
〔実施例A〕
下記の成分を含有するフィルムコーティング錠剤を、慣用の方式で製造することができる。
成分 1錠あたり
中心部:
式(I)の化合物 10.0mg 200.0mg
微結晶質セルロース 23.5mg 43.5mg
加水乳糖 60.0mg 70.0mg
ポビドンK30 12.5mg 15.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.5mg 17.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 4.5mg
(中心部重量) 120.0mg 350.0mg
フィルムコーティング部:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.5mg 7.0mg
ポリエチレングリコール6000 0.8mg 1.6mg
タルク 1.3mg 2.6mg
黄色酸化鉄 0.8mg 1.6mg
二酸化チタン 0.8mg 1.6mg
【0164】
活性成分をふるいにかけ、微結晶質セルロースと混合し、混合物を、水中のポリビニルピロリドンの溶液とともに造粒した。造粒物を、デンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、打錠して、それぞれ120mgおよび350mgの中心部を得た。中心部を、上記のフィルムコーティングの水溶液/懸濁液で塗装した。
【0165】
〔実施例B〕
下記の成分を含有するカプセル剤を、慣用の方式で製造することができる。
成分 1カプセルあたり
式(I)の化合物 25.0mg
乳糖 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg
【0166】
成分を、ふるいにかけ、混合し、サイズ2のカプセルに充填した。
【0167】
〔実施例C〕
注射溶液は、下記の組成を有することができる。
式(I)の化合物 3.0mg
ゼラチン 150.0mg
フェノール 4.7mg
炭酸ナトリウム 最終pH7を得るまで
注射溶液用の水 全量1.0ml
【0168】
〔実施例D〕
下記の成分を含有する軟質ゼラチンカプセル剤を、慣用の方式で製造することができる。
カプセル内容
式(I)の化合物 5.0mg
黄蝋 8.0mg
硬化大豆油 8.0mg
部分硬化植物油 34.0mg
大豆油 110.0mg
カプセル内容の重量 165.0mg
ゼラチンカプセル
ゼラチン 75.0mg
85%グリセリン 32.0mg
カリオン(Karion)83 (乾燥体)8.0mg
二酸化チタン 0.4mg
黄色酸化鉄 1.1mg
【0169】
活性成分を、その他の成分の温かい融成物に溶解し、混合物を、適切な大きさの軟質ゼラチンカプセルに充填した。充填した軟質ゼラチンカプセルを、通常の手順に従って処理した。
【0170】
〔実施例E〕
下記の成分を含有する薬袋剤を、慣用の方式で製造することができる。
式(I)の化合物 50.0mg
乳糖、微粉末 1015.0mg
微結晶質セルロース(AVICEL PH 102) 1400.0mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 14.0mg
ポリビニルピロリドンK30 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 10.0mg
香味添加物 1.0mg
【0171】
活性成分を、乳糖、微結晶質セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物とともに造粒した。造粒物を、ステアリン酸マグネシウムおよび香味添加物と混合し、薬袋に充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
Bは、−C≡C−または−CHR3−O−であり;
3は、HまたはC1〜C3アルキルであり;
X、YおよびZは、C−R4またはNであり、X、YおよびZのうち少なくとも1個は、C−R4であり;
4は、HまたはC1〜C7アルキルであり;
1およびR2は、互いに独立して、
H、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5または−COR5(ここでR5は、HまたはC1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、
−SR8(ここでR8は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキルまたは−(CH2m−ヘテロシクリルであって、mは0、1、2または3である)、
−CONR910(ここでR9およびR10は、H、C1〜C7アルキルであるか、またはNR910は、3〜7個の原子を有する環を形成することができ、該環は、場合により、1個またはそれ以上の更なるNもしくはO原子を含む)、および
HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環
からなる群より選ばれるか、または
1およびR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜7個の原子を有する環を形成することができて、該環は、場合により、1個またはそれ以上のNもしくはO原子を含む]
で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩。
【請求項2】
1またはR2の一方が水素である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
1またはR2が、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5(ここでR5は、C1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、
−SR8(ここでR8は、C1〜C7アルキルである)、
−CONR910(ここでR9およびR10は、H、C1〜C7アルキルであるか、またはNR910は、3〜7個の原子を有する環を形成することができ、該環は、場合により、1個またはそれ以上の更なるNもしくはO原子を含む)、および
HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環
からなる群より選ばれる、請求項1または2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
1またはR2が、
1〜C7アルキル、
1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、
−COOR5(ここでR5は、HまたはC1〜C7アルキルである)、
−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、および
−SR8(ここでR8は、C1〜C7アルキルである)
からなる群より選ばれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
1またはR2が、−COOR5であり、R5が、HまたはC1〜C7アルキルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
1またはR2が、C1〜C7アルコキシ−C1〜C7アルキル、−OR6(ここでR6は、H、C1〜C7アルキル、−(CH2m−シクロアルキル、−(CH2m−ヘテロシクリル、−(CH2n−CNまたは−(CH2n−OR7であり、R7は、HまたはC1〜C7アルキルであって、mは0、1、2または3であり、nは1、2または3である)、および−SR8(ここでR8は、C1〜C7アルキルである)からなる群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
1またはR2が、HまたはC1〜C7アルキルで置換された、N、OもしくはSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む、五員複素芳香環である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
1およびR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜7個の原子を有する環を形成し、該環は、場合により、1個またはそれ以上のNもしくはO原子を含む、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
式(I−A):
【化2】


[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容され得るその塩および/またはエステル。
【請求項10】
X、YおよびZが−CR4であり、R4が水素である、請求項9記載の式(I−A)の化合物。
【請求項11】
下記の化合物:
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル;
3−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)安息香酸エチルエステル;
3,3−ジメチル−7−(4−メチルスルファニル−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−メトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェノール;
7−(4−エトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
7−(4−エトキシメチル−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
2−[4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)フェニル]−5−メチル[1,3,4]オキサジアゾール;
7−(4−シクロプロピルメトキシ−フェニルエチニル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;
3,3−ジメチル−7−(4−プロポキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;および
3,3−ジメチル−7−(4−オキシラニルメトキシ−フェニルエチニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
からなる群より選ばれる、請求項9または10記載の式(I−A)の化合物。
【請求項12】
X、YまたはZのうち1個がNであり、その他が−CR4であり、R4が水素である、請求項9記載の式(I−A)の化合物。
【請求項13】
6−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ニコチン酸エチルエステル、および
5−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルエチニル)ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
からなる群より選ばれる、請求項9または12記載の式(I−A)の化合物。
【請求項14】
式(I−B):
【化3】


[式中、X、Y、Z、R1、R2およびR3は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容され得るその塩および/またはエステル。
【請求項15】
X、YおよびZが−CR4であり、R4が水素である、請求項14記載の式(I−B)の化合物。
【請求項16】
4−(3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イルメトキシ)安息香酸エチルエステル、および
7−(3−エトキシフェノキシメチル)−3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン
からなる群より選ばれる、請求項14または15記載の式(I−B)の化合物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物を製造する方法であって、
(a)式(II):
【化4】


の化合物を、式(III):
【化5】


[式中、Halは、臭素またはヨウ素であって、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示されるハロゲン化アリールまたはハロゲン化へテロアリールと反応させて、式(I−A):
【化6】


[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される化合物を得るか、またはこれに代えて、
(b)式(IV):
【化7】


の化合物を、式(V):
【化8】


[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示されるアルキンと反応させて、式(I−A):
【化9】


[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される化合物を得るか、またはこれに代えて、
(c)式(VI):
【化10】


[式中、R3は、HまたはC1〜C3アルキルである]
で示される化合物を、式(VII):
【化11】


[式中、X、Y、Z、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される化合物と反応させて、式(I−B):
【化12】


[式中、X、Y、Z、R1、R2およびR3は、請求項1に定義されたとおりである]
で示される化合物を得る
工程を含む方法。
【請求項18】
請求項17に従って製造された、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または佐剤を含む医薬組成物。
【請求項20】
ACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のための、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
治療活性物質として用いるための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
ACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のための治療活性物質として用いるための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
ACCβインヒビターによって調整される疾患を治療かつ/または予防する方法であって、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物をヒトまたは動物に投与する工程を含む方法。
【請求項24】
ACCβインヒビターによって調整される疾患の治療および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
糖尿病、非インスリン依存性糖尿病、上昇した脂質とコレステロールのレベル、特に低HDLコレステロールレベル、高LDLコレステロールレベル、または高トリグリセリドレベル、アテローム性動脈硬化疾患、代謝症候群(X症候群)、高血圧、内皮機能不全、凝血促進状態、肥満症および異常脂質血症の治療ならびに/または予防のための、請求項23または24記載の使用および/もしくは方法。
【請求項26】
糖尿病、好ましくは非インスリン依存性糖尿病、肥満症あるいは異常脂質血症の治療ならびに/または予防のための、請求項25記載の使用および/もしくは方法。
【請求項27】
実質的に前項までに記載されたとおりの新規な化合物、工程および方法、ならびにそのような化合物の使用。

【公表番号】特表2007−509997(P2007−509997A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538706(P2006−538706)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012198
【国際公開番号】WO2005/044814
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】