説明

ペタンクボール

【課題】 着色および比重コントロ−ルが自由にでき、長期に使用しても錆びが発生しない安価なペタンクボールを提供し、広くペタンクゲームを普及させることにある。
【解決手段】 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と金属または金属化合物粉末および着色剤からなる材料を成形加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスポ−ツ競技用ペタンクボール、さらに詳しくは、小中学生から高齢者まで使用できる意匠性のあるペタンクボールとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペタンクとは南仏生まれの球技で、ヨーロッパを中心に普及している。金属製のボール(これを「ペタンクボール」という。)を木製又は樹脂製のビュットとよばれる目標球に近づけるために、地面に描いたサークルを基点として投げ合うボールゲームである。
【0003】
同じボールゲームであるゴルフやゲートボールなどでは、そこで使用されるボールについて種々の研究・開発がなされ、その結果として特許文献1など多くの文献が存在している。これに対して、ペタンクボールについての新規な発明はこれまでに開示されていない。
【特許文献1】特開2003−266473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から使用されてきたペタンクボールは 、中空の鉄またはステンレスの金属製であるため、敵・味方或いはマイボールの見分けが表面的に刻まれたラインや文字によって判別するしかなかった。すなわち、金属表面は銀色であり、色による識別は不可能である。また、塗装若しくはカラーメッキで表面処理したとしても一時的であり、耐用性に乏しく、観客がゲームの進行状況を見極めることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と金属または金属化合物粉末および着色剤からなる材料を成形加工して得られるペタンクボールが比重コントロ−ルが自由にでき、また、長期に使用しても錆が発生しないことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明に基づくペタンクボールは、従来と同様の品質・性能を備えながら、安価に製造できる他に、容易に着色ができるので、色彩でボールの識別ができ、写真やVTRなど映像において誰が見ても進行状況や勝敗の判断ができるものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のことから、本発明に基づくペタンクボールは、鉄またはステンレスの代わりにプラスチック基材からなるため着色および比重コントロ−ルが自由にでき、長期に使用しても錆が発生しない。このため、本発明に基づくペタンクボールを用いることで、VTRやTV放映が容易に可能となり、直接講習会やインストラクターによる指導を受けなくても、ペタンクゲームを理解しプレーすることが可能になる。その結果、ペタンクゲームを広く一般に普及させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において用いられる熱可塑性樹脂は、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、AS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、ポリオレフィンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体などとされるが、機械的性質の観点からポリアミドが特に好ましい。
ポリアミドとしては、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、MXD6−ナイロンなどで例示されるナイロン類が好ましく、単独または二種類以上ブレンドして使用される。
【0008】
本発明にて用いられる熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルシラップ、エポキシ樹脂、ジアリルフタレ−ト樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノ−ル樹脂などとされるが、機械的性質や価格の観点から不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0009】
本発明において用いられる金属または金属化合物粉末は、タングステン、タンタル、モリブテン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、およびこれらの合金またはモリブテン酸亜鉛、モリブテン酸カルシュウム、酸化亜鉛、酸化アルミニュウム、酸化バリュウム、リトポン、硫化亜鉛、硫酸バリュウム、炭酸バリュウム、酸化チタンなどが使用されるが、意匠性と低価格を考慮すると比重の高い酸化亜鉛をはじめとする白色系の金属化合物を主成分とすることが好ましい。 さらに、必要に応じて屈折率の低い体質顔料、例えば炭酸カルシュウム、アルミナ白、クレ−、シリカ、シリカ白、タルク、珪酸カルシュウム、沈降性炭酸マグネシュウムなどを併用してもよい。
【0010】
本発明の構成成分である熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と金属または金属化合物の配合比率は、ペタンクボールの使用目的に応じて変わる。公式競技に使用されるペタンクボールは、直径が70、5mm〜80mmで、重量が650g〜800gと決められているが、小中学生から高齢者まで競技用または練習用としては500g〜800gの重量となるように適時、配合量を変更する。しかし、公式競技用以外は特に、重量を制限するものではない。
【0011】
本発明において用いられる着色剤は、一般に使用されている顔料または染料でよく、特に、限定されものではない。
顔料は、無機または有機顔料のいずれでもよく、また、必要に応じて蛍光顔料も使用してもよい。
【0012】
本発明に基づく構成成分以外に、潤滑剤、顔料分散剤、相溶解剤、繊維状補強剤、カップリング剤などを熱流動性の向上またはペタンクボールの対摩耗性や耐衝撃性などの機械的強度向上のため添加してもよい。
【0013】
本発明に基づくペタンクボールは、通常、研磨を必要としないが価格の許容する範囲内で成形表面をバフ、バレルまたは化学研磨をしてもよい。
【0014】
研磨以外に、成形表面を塗装剤で被覆してもよい。
塗装剤としては、アクリル、ポリエステルまたはウレタン系プレポリマ−などの紫外線硬化樹脂が最も好ましいが、他の塗装剤、アクリルラッカ−または熱硬化性樹脂も使用できる。いずれにせよ塗装剤の選定は、成型表面との付着性や塗膜強度により決定されるべきものである。
【0015】
本発明に基づく成形材料は、射出成形、圧縮成形、トランスファ−成形、押し出し成形、注入成形などにより容易に成形加工できるが生産性の観点から射出成形加工が最も好ましい。 但し、不飽和ポリエステル樹脂やアクリルシラップなどの液状熱硬化性樹脂においては注入成形加工が適用される。
【0016】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
粉末状66−ナイロン樹脂、UBEナイロン2020B(宇部興産社製品)6、75kg、ボンダイン(住友化学社製品)0、6kg、亜鉛華(堺化学社製品)22、65kg、テスモD(大塚化学社製品)0、3kg、ファ−ストゲンGB−8HS(大日本インキ化学社製品)0、2kgを予備混合した後、スクリュ−径が25mmの単軸押出機で二回溶融混合してペレットを得た。
【0018】
このペレットを射出成型機によって溶融、射出成形し、直径70mm、重量500grのペタンクボールを得た。該ボールは、20mの高さから地上の鉄板の上に10回繰り返し落下させたが破損などの異常はなかった。
【実施例2】
【0019】
粉末状6−ナイロン樹脂、UBEナイロン10181(宇部興産社製品)13重量%、亜鉛華78、3重量%、タングステン8、7重量%を実施例1と同様の手法でペレット化し、更に、射出成形して直径70mm、重量700grの ペタンクボールを得た。該ボールは、20mの高さから地上の鉄板の上に10回繰り返し落下させたが破損などの異常はなく、また、試合にも支障なく使用できた。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、小中学生から高齢者まで競技用または練習用として幅広く使用できるペタンクボールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と金属または金属化合物粉末および着色剤からなる材料を成形加工して得られるプラスチックを基体とするペタンクボール。
【請求項2】
熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、AS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、ポリオレフィンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体などとする請求項1記載のペタンクボール。
【請求項3】
ポリアミドが、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、MXD6−ナイロンなどとする請求項2記載のペタンクボール。
【請求項4】
熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレ−ト樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノ−ル樹脂などとする請求項1記載のペタンクボール。
【請求項5】
金属または金属化合物がタングステン、タンタル、モリブテン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、およびこれ等の合金またはモリブテン酸亜鉛、モリブテン酸カルシュウム、酸化亜鉛、酸化アルミニュウム、酸化バリュウム、リトポン、硫化亜鉛、硫酸バリュウム、炭酸バリュウム、酸化チタンなどとする請求項1記載のペタンクボール。
【請求項6】
着色剤が顔料または染料とする請求項1記載のペタンクボール。
【請求項7】
成形表面の研磨された請求項1記載のペタンクボール。
【請求項8】
成形表面を塗装剤で被覆された請求項1記載のペタンクボール。

【公開番号】特開2006−20876(P2006−20876A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202346(P2004−202346)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(592262532)ダイセー工業株式会社 (10)
【出願人】(504263060)
【Fターム(参考)】