説明

ペプチド混合物を評価する方法

本明細書で開示された主題は、ペプチド、ペプチド混合物、およびポリペプチド混合物を評価するおよび特徴付ける方法を提供する。より詳細に述べると、本明細書で開示された主題は、グルタミン酸、アラニン、チロシン、およびリシンを含む複合ペプチドまたはポリペプチド混合物、例えばコポリマー-1または酢酸グラチラマーを評価するまたは特徴付ける方法を提供し、これはC末端に存在するカルボキシル基の代わりにジエチルアミド基を有するアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびそれらの組合せを同定、単離、定量、および精製する方法を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書で開示された方法を、そのC末端にジエチルアミド基を有するポリペプチドのモル%を決定するために使用することができ、および1つのポリペプチド混合物の試料の1つまたは複数の特性を、ポリペプチド混合物の異なる試料の1つまたは複数の特性と比較した場合に、評価するために使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本明細書で開示された主題は全般的に、ペプチド、ペプチド混合物、およびポリペプチド混合物を特徴付ける方法に関する。より詳細に述べると、本明細書で開示された主題は、その少なくとも1つの末端上に存在するカルボキシル基の代わりにジエチルアミド基を有するアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびそれらの組合せを、同定、単離、定量、および精製する方法を含むが、これらに限定されるものではない、グルタミン酸、アラニン、チロシン、およびリシンを含有する複合ペプチドまたはポリペプチド混合物を特徴付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
コポリマー-1は、アミノ酸であるグルタミン酸、リシン、アラニンおよびチロシンの重合から調製されるポリペプチドの複合混合物である。コポリマー-1は、酢酸グラチラマー(CAS No. 147245-92-9)としても公知であり、下記構造式を有する。
(Glu, Ala, Lys, Tyr)xXCH3COOH
(C5H9NO4・C3H7NO2・C6H14N2O2・C9H11NO3)x・XC2H4O2
Physician's Desk Reference, Thomson PDR, モントヴェール, ニュージャージー州, p.3297(2007)(非特許文献1)を参照のこと。
【0003】
酢酸グラチラマー(GA)は、COPAXONE(登録商標)(Teva Pharmaceutical Industries Ltd., イスラエル)の活性成分であり、これは、報告された平均モル分率が各々、0.141、0.427、0.095、および0.338である、L-グルタミン酸、L-アラニン、L-チロシン、およびL-リシンの4つの天然アミノ酸を含み、合成ポリペプチドの酢酸塩を含有する。同文献。酢酸グラチラマーは、多発性硬化症の治療において広く使用されており、これは再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者における平均再発率を低下することが、臨床において示されている。
【0004】
酢酸グラチラマーの特徴決定に使用することができる分析試験は、この複合ペプチド混合物および類似の複合ペプチド混合物の構造の決定に役立つ。このような分析法は、本混合物の特定のバッチの特性もしくは品質の分析、酢酸グラチラマー調製における中間段階の分析、または複合混合物の生体反応性成分もしくはこれを製造する過程のサイン成分の同定および単離にも有用である。従って、当技術分野において、酢酸グラチラマーおよび同様の複合ペプチド混合物を特徴付けるために使用することができる分析試験が必要である。本明細書で開示された主題は、当技術分野におけるこれらおよび他の必要に全体的または部分的に答えるものである。
【0005】
【非特許文献1】Physician's Desk Reference, Thomson PDR, モントヴェール, ニュージャージー州, p.3297(2007)
【発明の開示】
【0006】
簡単な概要
一部の態様において、本明細書で開示された主題は、試料中の1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せの少なくとも1つのC末端の修飾を検出する方法を提供し、この方法は、(a)少なくとも1つの修飾されたC末端を有する、1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せを含むことが疑われる試料を提供する工程;ならびに、(b)試料中のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せの少なくとも1つのC末端の修飾を検出することが可能である方法により、試料を分析する工程を含む。この試料は、コポリマー-1またはそれらのポリマー前駆体(例えば、図1に示された中間体I、IIおよびIII)、誘導体化されたコポリマー-1またはそれらのポリマー前駆体、断片化されたコポリマー-1またはそれらのポリマー前駆体、分画されたコポリマー-1またはそれらのポリマー前駆体、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではないポリペプチド混合物であることができる。
【0007】
少なくとも1つのC末端の修飾は、結合したジエチルアミド部分を有する試料中の1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せの少なくとも1つのC末端を含む。試料中の1つまたは複数のポリペプチド鎖の少なくとも1つのC末端の修飾を検出することが可能な方法は、液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、質量分析、液体クロマトグラフィー/質量分析、NMR分光法、抗体検出法、ラマン分光法、赤外分光法、蛍光分光法、UV-可視分光法、ゲル電気泳動法、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。本明細書で開示された方法は、試料の解重合または断片化、試料の分画、および試料の精製を含むこともできる。
【0008】
一部の態様において、本明細書で開示された主題は、ポリペプチド混合物を含有する試料を評価する方法を提供し、この方法は、(a)1つまたは複数のポリペプチドが、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有することが疑われる、ポリペプチドの混合物を含有する試料を提供する工程;(b)C末端に結合したジエチルアミド部分を有する1つまたは複数のポリペプチドが試料中に存在する場合に、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有する1つまたは複数のポリペプチドからジエチルアミンを遊離させるために、試料を解重合する工程;ならびに、(c)その中の遊離されたジエチルアミンの存在または量を決定するために、解重合された試料を分析する工程を含む。
【0009】
ジエチルアミンは、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC-MS、HPLC、LC-MS、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、キャピラリー電気泳動法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、およびイオンクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されるものではない方法により検出することができるか、または一部の態様において、本方法は、誘導体化されたジエチルアミンを形成するために遊離されたジエチルアミンを発色団で誘導体化する工程、およびHPLCにより誘導体化されたジエチルアミンを検出する工程をさらに含む。
【0010】
一部の態様において、本明細書で開示された主題は、コポリマー-1の試料をアッセイする方法を提供し、この方法は:(a)そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有する1つまたは複数のポリペプチドを含有することが疑われる、コポリマー-1の試料を提供する工程;(b)そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の存在または量を決定する工程を含む。
【0011】
一部の態様において、本方法は、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の量を、予め決定された参照値と比較し、参照値が、基準値、対照値、および酢酸グラチラマーのようなコポリマー-1またはそれらのポリマー前駆体(例えば、図1に示された中間体I、IIおよびIIIの1つ)の参照試料を直接測定して得られた値を含むが、これらに限定されるものではない工程をさらに含む。
【0012】
上記に言及される本明細書で開示された主題のある局面は、本明細書で開示された主題により全体的または部分的に対処されており、他の局面は、以下に説明される最良のものとして添付された実施例および図面と組合せて考慮する場合に、その説明が進むにつれ、明らかになると考えられる。
【0013】
一般的用語で本明細書で開示された主題を説明するに当たり、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない添付図面を参照することができる。
【0014】
詳細な説明
本明細書で開示された主題は、ここで、本明細書で開示された主題の全てではないが一部の態様が示されている添付図面を参照して、より十分に以下に説明される。本明細書で開示された主題が関連する技術分野の当業者には、前記説明および関連する図面に示された内容の助けを借りて、以下に説明される本明細書で開示された主題の多くの修飾および他の態様を相当されると思われる。従って、本明細書で開示された主題が明らかにされた特定の態様に限定されないこと、ならびに修飾および他の態様が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されることが理解されるべきである。具体的用語が本明細書において使用されるが、これらは一般的かつ記述的意味のみで使用され、限定を目的として使用されるものではない。
【0015】
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特許請求の範囲を含む本出願において使用される場合「1つまたは複数」を意味する。従って例えば「1つの試料(a sample)」は、その状況が明確に反対(例えば、複数の試料)などでない限りは、複数の試料を含む。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、排他的でない意味で使用される。
【0017】
全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、別に記されない限りは、個々の刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献の各々が、本明細書に参照により組み入れられることを具体的かつ個別に記されるのと同じ程度に、それらの内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。多くの特許出願、特許および他の参照文献が本明細書において言及されているが、このような参照文献は、これらの文書が当技術分野の一般的知識の一部を形成することの容認を構成するものではないことは理解されると思われる。
【0018】
I. 全般的考察
本明細書で開示された方法は、例えば本明細書において酢酸グラチラマーとも称されるコポリマー-1のような、アラニン、グルタミン酸、チロシンおよびリシンからなるポリペプチドの不均一な集団を含むポリペプチド混合物、または同様の特性を有する他のポリペプチド混合物のようなコポリマーを含むが、これらに限定されるものではない、1つまたは複数のペプチド、ペプチド混合物、および/またはポリペプチド混合物を特徴付けるために使用することができる。本明細書において使用される「ポリペプチド」とは、通常ペプチド結合と称されるアミド連結により一緒に結合されるアミノ酸残基を含むポリマーを意味する。ペプチド連結は、アミノ酸のC末端上のカルボニル基と、別のアミノ酸のN末端上の窒素基との間の結合により作製される。多くのアミノ酸が、これらのペプチド連結を用いて連結される場合、これらはポリペプチドを形成する。例えば語句「ポリペプチド混合物」において使用されるような、本明細書において使用される用語「混合物」は、一部の態様において、L-グルタミン酸、L-アラニン、L-チロシン、およびL-リシンを含むアミノ酸のコポリマーの混合物を意味する。
【0019】
本明細書において使用される「コポリマー」、「アミノ酸コポリマー」または「アミノ酸コポリマー調製品」は、規定された複数の異なるアミノ酸(典型的には2〜10個、例えば3〜6個の異なるアミノ酸)からなるポリペプチドの不均一な混合物である。コポリマーは、個々のアミノ酸の重合から調製されるか、または組換えにより作出されてよい。用語「アミノ酸」は、天然のアミノ酸に限定されるものではないが、アミノ酸誘導体および/またはアミノ酸類似体を含むことができる。例えば、チロシンアミノ酸を含むアミノ酸コポリマーにおいて、1つまたは複数のアミノ酸は、ホモチロシンであることができる。さらに2個の隣接残基間に1つまたは複数の非ペプチド結合またはペプチド模倣結合を有するアミノ酸コポリマーは、本定義に含まれる。コポリマーは典型的には、混合物内のポリペプチドの各種の分子の量に関して均一ではない。
【0020】
本発明の1つの態様において、アミノ酸コポリマーは、アミノ酸Y、E、AおよびK;Y、F、AおよびK;V、Y、AおよびK;V、W、AおよびK;V、E、AおよびKまたは、F、E、AおよびKを含むポリペプチドの混合物である。別の本発明の態様において、アミノ酸コポリマーは、各々が下記の群のうちの異なる1つに由来する、4つの異なるアミノ酸を含む:(a)リシンおよびアルギニン;(b)グルタミン酸およびアスパラギン酸;(c)アラニンおよびグリシン;ならびに、(d)チロシンおよびトリプトファン。本発明のこの態様に従う具体的コポリマーは、アラニン、グルタミン酸、リシンおよびチロシンを含有するポリペプチドの混合物を含む。1つの態様において、コポリマーは、アミノ酸Y、E、AおよびKからなるポリペプチドの混合物を含み、これはコポリマー-1(Cop 1)または酢酸グラチラマーとも称される。別の態様において、アミノ酸コポリマーは、前述の群(a)から(d)の3つのうちの異なる1つに由来する、3つの異なるアミノ酸、例えば、Y、AおよびK;Y、EおよびK;K、EおよびA;または、Y、EおよびAを含む。
【0021】
別の態様において、アミノ酸コポリマーは、アラニン-グルタミン酸-リシン-チロシン-アラニン(AEKYA)、アラニン-グルタミン酸-リシン-バリン-アラニン(AEKVA)、アラニン-グルタミン酸-リシン-フェニルアラニン-アラニン(AEKFA)、アラニン-リシン-チロシン-アラニン-グルタミン酸(AKYAE)、グルタミン酸-アラニン-リシン-チロシン-アラニン(EAKYA)、アラニン-リシン-バリン-アラニン-グルタミン酸(AKVAE)、およびグルタミン酸-アラニン-リシン-バリン-アラニン(EAKVA)、アラニン-リシン-フェニルアラニン-アラニン-グルタミン酸(AKFAE)、およびグルタミン酸-アラニン-リシン-フェニルアラニン-アラニン(EAKFA)を含むが、これらに限定されるものではない、アミノ酸を含む。
【0022】
本明細書で開示された方法は、任意の当技術分野において公知の方法により調製された複合ポリペプチド混合物を特徴付けるために適している。図1に提供された非限定的反応スキームのような一部の酢酸グラチラマー生成過程および当技術分野において公知の関連過程において、ジエチルアミド基は、製造過程時に形成される。多くの過程において、L-アラニン、L-グルタミン酸、L-チロシンおよびL-リシンのN-カルボキシ無水物の共重合は、ジエチルアミンの添加により開始される。いずれか1つの特定の理論に縛られることを望むものではないが、本過程時に、ジエチルアミンは、C末端カルボン酸に共有結合し(以後これはジエチルアミド基または部分と称される)、かつ、カルボキシル基が他の状態で存在する場合に、アミド結合の形成の結果、保護されたポリペプチドのポリペプチド鎖末端に結合したままであると考えられる。その1つの末端にカルボキシル基の代わりにジエチルアミド部分を有するアミノ酸またはポリペプチド鎖は、本明細書において、各々、「修飾されたアミノ酸」または「修飾された巨大分子鎖」とも称される。
【0023】
ジエチルアミド基は、酢酸グラチラマーを生成するために使用される4つのアミノ酸のいずれかから形成することができる。例えば臭化水素酸/酢酸による連鎖解重合、それに続く保護基の除去、および透析または超遠心分離は、ジエチルアミド部分を完全には加水分解しないか、またはそうでなければ、これをポリペプチド混合物から取り除くことはない。結果的に2種のC末端残基が、このポリペプチド混合物中に存在する:遊離カルボキシル基を有する、4つの天然のアミノ酸、すなわちリシン、チロシン、グルタミン酸およびアラニンのC末端残基、ならびに遊離カルボキシル基の代わりにジエチルアミド基を有するC末端残基。
【0024】
II. 複合ポリペプチド混合物を評価する方法
本明細書で開示された主題は、コポリマー-1のような複合ポリペプチド混合物および類似の複合ポリペプチド混合物を含む、1つまたは複数のペプチド、ペプチド混合物、およびポリペプチド混合物を評価するまたは特徴付ける方法を提供する。一部の態様において、この方法は、ペプチドまたはポリペプチド混合物の分画(例えば、混合物の単純な混合物への分離、または混合物中のある種の濃厚化);ある種の巨大分子の存在の検出、および/または、その中の巨大分子の同定;ならびに、任意に、その少なくとも1つの末端上に存在するカルボキシル基の代わりにジエチルアミド部分を有するペプチドまたはポリペプチドのような、修飾されたアミノ酸構造または巨大分子を含む、ある種の巨大分子の量の定量を含む。一部の態様において、定量工程は、ポリペプチドまたはポリペプチド混合物中の修飾されたアミノ酸構造の相対質量またはモル量もしくはポリペプチド混合物中の修飾された巨大分子鎖の相対モル量を定量する工程を含むことができる。
【0025】
本明細書で開示された主題の1つの態様は、コポリマー-1、または断片化された、分画された、もしくは誘導体化されたコポリマー-1、すなわちコポリマー中の1つまたは複数の残基上の結合された化学部分を有するコポリマー、またはそれらのポリマー前駆体(例えば、図1に示された中間体I、IIおよびIII)からなる群より選択される選択された試料をアッセイする方法を含み、この方法は、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)、核磁気共鳴(NMR)分光法、抗体検出法、ラマン分光法、およびキャピラリー電気泳動法を含むが、これらに限定されるものではない方法により、試料を分析する工程を含む。
【0026】
一部の態様において、本明細書で開示された方法は、ポリペプチド試料を化学的または酵素的方法により部分的または完全に解重合し、その後部分的または完全に解重合された試料を、MS、LC-MS、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、キャピラリー電気泳動法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、およびイオンクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されるものではない方法により分析する工程を含む。
【0027】
本明細書で開示された主題の1つの態様は、その少なくとも1つの末端上にカルボキシル基の代わりにジエチルアミド基を有するポリペプチドからジエチルアミンが遊離させられる、ポリペプチド試料を化学的または酵素的方法により部分的または完全に解重合する工程、ならびに部分的または完全に解重合された試料を、MS、LC-MS、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、キャピラリー電気泳動法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、およびイオンクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されるものではない方法により分析する工程を含む。一部の態様において、本明細書で開示された方法は、そこから遊離させられたジエチルアミンに関して、部分的または完全に解重合された試料を分析する。
【0028】
一部の態様において、本明細書で開示された主題は、ポリペプチドまたはポリペプチド混合物中の修飾されたアミノ酸の相対モル量を検出、同定および/または定量する方法を提供する。一部の態様において、本方法は、ポリペプチド分子を酵素的または化学的消化により解重合する工程を含むことができる。この方法は、酢酸グラチラマーのような、グルタミン酸、リシン、アラニンおよびチロシンのポリペプチド混合物中のC末端ジエチルアミド部分のモル量、または遊離ジエチルアミンのモル量を決定する工程を含むこともできる。分析法は、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、質量分析、液体クロマトグラフィー質量分析、NMR、抗体法、ラマン分光法、およびキャピラリー電気泳動法を含むことができ、好ましくは多次元NMR法である。
【0029】
1つの態様において、本明細書で開示された主題は、コポリマー-1またはそれらのポリマー前駆体(例えば、図1に示されたような中間体-I、中間体-II、および中間体-III)の試料を分析する方法を提供し、この方法は、ジエチルアミド構造部分または特定のペプチドのいずれかへ特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分と、結合を可能にする条件下でコポリマー-1試料またはそれらのポリマー前駆体を接触させ、これにより、コポリマー-1試料中のジエチルアミド構造部分、またはその1つの末端にジエチルアミド部分を有するアミノ酸残基もしくはポリペプチド鎖の分析、例えば定量分析を可能にする工程を含む。別の態様において、本方法は、ジエチルアミド部分に結合した抗体またはその抗原結合部分を検出することにより、ジエチルアミド部分の存在を決定する工程を含む。一部の態様において、抗体は、表面へ吸着されるかまたはそうでなければ例えば連結基により表面へ結合される。一部の態様において、抗体は、蛍光ラベルまたは放射性同位元素ラベルのようなラベルにより標識されることができる。
【0030】
別の態様において、試料、例えばコポリマー-1試料は、サイズ分画された試料であることができる。この方法はさらに、ジエチルアミド構造部分の存在を検出するために、ジエチルアミド部分を含む種を単離することなく、試料の1つまたは複数の画分を分析する工程を含む。一部の態様において、本明細書で開示された主題は、ジエチルアミド構造部分の量および/またはサイズ分布を決定する工程を含む。別の態様において、この方法は、少なくとも一部はジエチルアミド構造部分の決定、例えばその1つの末端にカルボキシル基の代わりにC末端ジエチルアミド基を有するペプチド鎖の全体の百分率を基に、試料を分類、選択または廃棄する工程をさらに含む。一部の態様において、この決定は、絶対値を基にすることができるのに対し、別の態様では、この決定は、参照標準に対し被験試料を比較することを基にすることができる。
【0031】
別の態様において、本明細書で開示された主題は、試料、例えばコポリマー-1またはより詳細にはCOPAXONE(登録商標)のような混合されたペプチドの組成物を分析し、およびジエチルアミド構造部分またはジエチルアミド構造部分の混合物が、参照標準中に存在するかどうかを決定することにより、組成物、例えば薬物に関する参照標準をアッセイする方法を提供する。一部の態様において、本明細書で開示された方法は、ジエチルアミド構造部分の存在、サイズ分布および/または量を表す、値またはパラメータを評価する。より詳細に述べると、本明細書で開示された方法は、酢酸グラチラマーのような、グルタミン酸、リシン、アラニンおよびチロシンのポリペプチド混合物のC末端に存在するカルボキシル基の代わりにジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチドのモル量を決定するために使用することができる。一部の態様において、本方法は、評価される種の単離を必要としない。
【0032】
1つの態様において、本明細書で開示された主題は、コポリマーのポリペプチド鎖のカルボキシル末端における修飾または修飾された基の存在および/または量に関して、例えばそのC末端におけるジエチルアミド部分の存在または量に関して、もしくはそのようなポリペプチドから遊離されたジエチルアミンに関して、コポリマー-1のようなコポリマーの調製品を試験する方法を提供する。本方法は、試料コポリマー調製品中のジエチルアミド部分、またはその1つの末端にジエチルアミド部分を有するアミノ酸残基、ペプチド、もしくはポリペプチド鎖の量を評価する工程、ならびに参照値、例えば基準値もしくは対照値と、または参照コポリマー調製品の直接測定から得られた値と、調製品中のジエチルアミド部分の量を比較する工程を含む。この試料調製品は、例えば、コポリマー-1または断片化された、分画されたもしくは誘導体化されたコポリマー-1を含むそのポリマー前駆体、またはそのポリマー前駆体(例えば、図1に示された中間体-I、中間体-II、および中間体-III)であることができる。本方法は、評価を基に調製品を処分する(disposing)(すなわち、運命を決定する)工程(例えば、調製品が薬学的用途に適しているかどうかを決定する工程、調製品が更なる加工工程に供するのに適しているかどうかを決定する工程(例えば、コポリマー-1の製造過程において)、または少なくとも部分的に評価を基に薬学的用途のために試料調製品を放出する工程)を含むことができる。
【0033】
1つの態様において、参照値は、予め決定された値、例えば酢酸グラチラマーに関する薬学的基準値であり、これは一部の態様において、ポリペプチドが約7〜約20モル%、例えば、ポリペプチドが7モル%、8モル%、9モル%、10モル%、11モル%、12モル%、13モル%、14モル%、15モル%、16モル%、17モル%、18モル%、19モル%および20モル%であることができ、中間値、例えば7.5モル%、8.5モル%、9.5モル%、10.5モル%などを含み;一部の態様において、ポリペプチドが約8〜約18モル%であり;一部の態様において、ポリペプチドが約10〜約15モル%であり、一部の態様において、ポリペプチドが約12〜約14モル%であり、ならびに一部の態様においてポリペプチドが約13モル%である。
【0034】
別の態様において、この値は、参照調製品、例えばコポリマー-1前駆体調製品(例えば、図1に示されたような中間体-I、中間体-II、および中間体-III)において、その1つの末端においてカルボキシル基の代わりにジエチルアミド部分を有するポリペプチドの量に対応して予め決定される。一部の態様において、参照コポリマー-1前駆体調製品は、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を約60%〜約100%、例えば60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.9%、および100%有し;一部の態様において、約75%〜約100%;ならびに、一部の態様において、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を約60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%より多く有する。被験ポリペプチド混合物中に存在するその末端にジエチルアミド基を有するペプチド鎖の全体の百分率は、絶対百分率として、または参照標準、例えば公知の特性を有する酢酸グラチラマーの試料に対する百分率として報告することができる。これらの値は、当技術分野において公知の適切な換算係数を適用することにより、別の様式で、例えば残基のモル%、または重量%(ppm)として報告され得る。
【0035】
1つの態様において、その1つの末端にジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料調製品中の量は、一次元(1D)1H NMR;化学的解重合、それに続く例えばガスクロマトグラフィーまたはLC-MSによる、遊離されたジエチルアミンの検出;化学的またはタンパク質分解性の消化、それに続くHPLC;または、ジエチルアミンの遊離、およびジエチルアミンの発色団による誘導体化、その後のHPLCによる検出を含むが、これらに限定されるものではない技術により評価することができる。
【0036】
別の態様において、本明細書で開示された主題は、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を約7%〜約20%、例えばジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%)を7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、および20%;一部の態様において、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を約8%〜約18%;一部の態様において、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を10%〜15%;一部の態様において、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を12%〜14%;ならびに、一部の態様において、ジエチルアミド部分(ポリペプチドのモル%で)を約13%有する、コポリマー-1調製品(例えば、酢酸グラチラマー調製品)を提供する。1つの態様において、コポリマー-1調製品は、薬学的調製品、例えば平均分子量(最大ピーク)約13,000ダルトン未満、13,100ダルトン未満、13,200ダルトン未満、13,300ダルトン未満および/または13,400ダルトン未満を有する、酢酸グラチラマーの薬学的調製品であり、これはPCT特許公報である国際公開公報第2006/029411号の55頁25行から56頁8行、および60〜63頁を参照のこと。
【0037】
そのようなポリペプチド混合物を特徴付ける能力は、調製過程時のバッチ毎のコンシステンシーまたは品質のモニタリングまたは保証のため、ならびに構造-活性の観点からの特定のポリペプチド混合物の参照物質に対する類似性のモニタリングまたは評価のため、例えば被験試料のおよび/または放出試験の一部としての生物学的同等性の評価または保証のために使用することができる。
【0038】
II. 複合ポリペプチド混合物を評価または特徴決定する一般的方法
一部の態様において、複合ポリペプチド混合物を特徴付けるために本明細書で開示された方法は、以下の工程の1つまたは複数を含む:複合ポリペプチド混合物を含有するポリペプチドを断片化、または解重合する工程;ペプチド、ポリペプチド、またはその断片を分離する工程;ペプチド、ポリペプチド、またはその断片を検出および/または定量する工程;ならびに、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片を精製する工程。これらの個別の工程の代表的態様を、以下に提示するが、これらに限定されるものではない。
【0039】
A. 断片化
一部の態様において、複合混合物中に存在するポリペプチド分子は、化学的、酵素的、または物理的方法を含む当技術分野において公知の任意の方法により、ポリペプチドのより小さい断片へ断片化または切断することができる。切断は一般に、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチド「断片」を作製するための、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチド内の化学結合の分裂を意味する。一部の態様において、複合混合物中のタンパク質分子、ペプチド、またはポリペプチドの断片化は、強酸、例えば6N塩酸、弱酸、例えば40℃の70%ギ酸、ヒドロキシルアミン、強塩基、例えば1N水酸化ナトリウム、臭化シアン、ヨードソ安息香酸、もしくは2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸エステル、その後のアルカリ塩基の使用などを含むが、これらに限定されるものではない化学試薬を用いて遂行されることができる。化学的断片化は、フェニルイソチオシアネートおよび当技術分野において公知の他のそのような試薬などのエドマン分解法に使用される化学試薬も含むことができる。
【0040】
さらに断片化試薬は、タンパク質分解酵素であることができる。断片化は、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、フィシン、パパイン、ペプシン、プラスミン、サーモリシン、エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ウシ胆汁、レモンペクチン、西洋ワサビペルオキシダーゼ、gluc-C、endo lys-C、カルボキシペプチダーゼ、カルパイン、およびスブチリシンを含む、1つまたは複数のプロテアーゼを使用することにより遂行されることができる。複数のプロテアーゼ酵素の使用は、重複する断片を作製することができる。タンパク質分解剤は、溶液中に遊離しているか、または支持体内もしくは支持体上に固定することができる。本明細書で開示された方法での使用に適したプロテアーゼ酵素は、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、およびラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)を含むが、これらに限定されるものではない任意の生物から単離することができる。
【0041】
別の態様において、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドは、煮沸、音波処理、または剪断を含むが、これらに限定されるものではない物理的技術を用いて断片化することができる。
【0042】
B. 分離
一部の態様において、複合混合物中に存在するポリペプチドまたは断片化されたポリペプチドは、分離され、これによりポリペプチドまたは断片化されたポリペプチドが巨大分子の亜集団に単離されることができる。この分離は、複合混合物内の巨大分子のクラスにより共有される特性、例えばサイズ、電荷、疎水性、または本明細書に記載の巨大分子の特性のいずれかに基づくことができる。より詳細に述べると、複合混合物中の巨大分子、または巨大分子の画分は、例えば、ゲルを通る移動率;サイズ;分子量;印加された電界に反応した移動;電荷;疎水性;例えば溶媒抽出の間中の、沸点、溶解度;沈殿;親和性;リン酸化;または、チロシンのような低い存在量のアミノ酸残基の存在に基づいて、混合物中の他の巨大分子から単離されることができる。従って、分離は、複合混合物中の巨大分子の集団によって、または例えばジエチルアミンのような関心対象の切断された部分によって共有される任意の化学的、物理的または機能的な特性を基にすることができる。
【0043】
一部の態様において、単独の分離工程を使用することができる。別の態様において、1つまたは複数の分離工程を使用することができる。当業者は、所望の巨大分子を複合混合物中の残りの巨大分子から分離するために、任意の組合せおよび任意の順番で、任意の分離技術を使用することができる。さらに分離技術は、単独の一次元的方法として、または多次元的方法として行われることができる。分離技術は、ゲル法またはクロマトグラフィー法を用い行われることができる。例えば電気泳動分離法のような分離工程は、未変性の条件下または変性条件下(例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)または尿素)で行われることができる。非限定的分離技術の例は、本明細書の真下の下記に提示される。下記例は、本明細書で開示された方法に従い、使用されることができる。これらの例は、本明細書で開示された方法の理解を促進するために提示されており、決して特許請求された主題の範囲を限定することを意図されていない。
【0044】
1. ゲル電気泳動法
本分離法は、巨大分子のマトリックスまたはゲルを通した移動を基にすることができる。ゲル電気泳動法は、巨大分子の分離および/または可視化を提供し、その等電点および/またはおおよその分子量を含む、巨大分子のある種の特性の決定を可能にする。
【0045】
タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片である巨大分子に関して、アミノ酸配列、アミノ酸の数および/または異なるR基は、分子量および/または総(正味)電荷の特性を決定づけることができる。タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片が、より正電荷を持つアミノ酸であり、その結果正電荷の合計が負電荷の合成を上回る場合、このタンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたはその断片は、全体が正電荷を有し、電界内を負電荷を持つ電極に向かって移動する。1つのアミノ酸の変化を有するタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片は、異なる総電荷を有し、従って電気泳動法により識別可能である。
【0046】
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、広いpH範囲にわたって水溶液中のほとんどの可溶性タンパク質またはペプチドに結合する陰イオン性界面活性剤である。SDSのタンパク質またはペプチドの結合量は、タンパク質またはペプチド分子のサイズに比例する。アクリルアミド含量が臨界密度を上回るポリアクリルアミドゲルは、比較的大きい分子が比較的小さい分子と同じように迅速に移動することを制限する。電荷-質量比は、SDS変性されたタンパク質またはペプチドの間でほぼ同じであるので、タンパク質またはペプチドの最終の分離は、タンパク質またはペプチドの分子量(MW)の差によって主に決まる。SDS-PAGEゲル電気泳動法によるタンパク質またはペプチドの分離を使用し、試料(例えば、複合混合物由来の試料)中のタンパク質またはペプチドの相対存在量、それらのおおよその分子量、およびどの画分にそれらを認めることができるかを決定することができる。さらに試料中のタンパク質またはペプチドの純度を、この技術により評価することができる。異なる染色手順または親和性手順を使用し、稀なタンパク質を検出し、それらの生化学特性を特徴付けることができる。ウェスタンブロット、二次元電気泳動法、およびペプチドマッピングのような特別な技術も、使用することができる。
【0047】
2. サイズ
一部の態様において、分離法は、サイズ、分子量、または分子質量を基にすることができ、かつサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、またはゲル濾過クロマトグラフィー(GFC)を使用し達成することができる。
【0048】
SECにおいて、溶媒および中に配置されたタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片の一部を含有する移動相は、静止相を通り越して流れる。静止相は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片との物理的および/または化学的相互作用により、一時的にタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片の一部分を保持し、これによりタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、またはその断片のその部分を、移動相内の他の巨大分子から分離する。静止相は典型的には、微細化された多孔質粒子、例えば微孔質の架橋したアガロースベースのゲル、改質されたポリメチルメタクリレートゲル、または多孔質シリカなどを含む。それらの粒子の細孔サイズよりも小さいタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド分子は、細孔に侵入することができ、その結果細孔に侵入することができないより大きい分子よりも、より長い経路およびより長い移動時間を有する。従って、クロマトグラムにおいて、分子が大きくなる程、溶出が早くなるのに対し、分子が小さくなる程溶出が遅くなる。
【0049】
SECシステムの構成要素は、以下を含むことができる:流れの一定の無パルス速度を維持するための1つまたは複数のポンプ;関心対象の分子量範囲のためのカラム型;ならびに、その結果を検出および/または定量するための検出器システム。検出器システムは、重量濃度感知式(mass concentration sensitive)またはモル濃度感知式(molar concentration sensitive)のいずれかとして分類することができる。例えば屈折率検出器は、溶液中のタンパク質濃度の変化時の屈折率の変化を測定する。モル濃度法の別のグループは、紫外線の入力が関与し、その出力は、タンパク質による蛍光または吸収である。別の方法は、密度検出器および蒸発光散乱検出器を含む。
【0050】
3. クロマトグラフィー手法
本分離法は、ガスクロマトグラフィー(例えば、気-液クロマトグラフィー);気-固クロマトグラフィー;イオンクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー;吸着クロマトグラフィー;薄層クロマトグラフィー;および、超臨界流体クロマトグラフィーを含む、他のクロマトグラフィー手法を基にすることができる。
【0051】
4. キャピラリー電気泳動法
本分離法は、印加された電界に反応して媒体を通る巨大分子の移動を基にすることができる(例えば電気泳動法)。1つの例において、キャピラリー電気泳動法は、いろいろなサイズの荷電および無荷電の両方の巨大分子(例えば、タンパク質およびその断片)を分離するために使用することができる。
【0052】
生物学的関心対象のほとんどの分子は、荷電しており、従って電気泳動法により分離することができる。この特徴は、適当な環境に配置された場合に荷電しているペプチド断片のジエチルアミド基に特に当てはまる。1つの別の態様において、約50cm〜約100cmの範囲の長さおよび約10μm〜約200μmの範囲の内径を有する溶融シリカチューブを使用することができる。使用することができる電極は、10kVから50kVまでさまざまである。その末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の試料中の量を定量するために、アフィニティクロマトグラフィーのような方法を使用する先に説明されたC末端の精製を伴うまたは伴わずに、試料が、キャピラリー電気泳動法により分離される。分離時に、検出器を使用し、ジエチルアミド基の存在を決定し、かつ試料中に存在するその末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の量を決定することができる。
【0053】
キャピラリー電気泳動法は、複合混合物の分離のために細い口径の溶融シリカキャピラリーを使用する関連する分離技術のファミリーを包含している。高電界強度を、電荷、サイズおよび疎水性の差を基に分子を分離するために使用することができる。試料の導入は、キャピラリー末端の試料バイアルへの浸漬、および圧力、真空または電圧の適用により遂行される。使用されるキャピラリーおよび電解質の種類に応じて、CE技術は、キャピラリーゾーン電気泳動法(CZE)、キャピラリーゲル電気泳動法(CGE)、キャピラリー等電点電気泳動法(CIEF)、等速電気泳動法(ITP)、界面動電クロマトグラフィー(EKC)、ミセル動電キャピラリークロマトグラフィー(MECCまたはMEKC)、マイクロエマルション動電クロマトグラフィー(MEEKC)、非水層キャピラリー電気泳動法(NACE)、およびキャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)を含むが、これらに限定されるものではない、いくつかの分離技術に区分されることができる。
【0054】
5. 電荷
本分離法は、イオン交換クロマトグラフィーおよび陽イオンクロマトグラフィーを含む、電荷の選択を基にすることができる。イオン交換クロマトグラフィーにおいて、荷電物質は、反対の電荷を保持するカラム物質を介して分離される。交換カラムのイオン基は、ゲルマトリックスに共有結合され、緩衝液中に存在するわずかな濃度の対イオンにより補われる。試料がカラムに添加された場合に、弱く結合した対イオンとの交換が生じる。一部の態様において、イオンクロマトグラフィーを使用し、化学切断によりポリペプチド構造から放出された1つまたは複数のジエチルアミン部分を検出することができる。
【0055】
6. 疎水性
本分離法は、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー(RPC)、またはRP-HPLCを含む、疎水性選択を基にすることができる。化合物は、高度に水性の移動相中の逆相HPLCカラムに付着し、高度に有機性の移動相と共にRP-HPLCカラムから溶出される。RP-HPLCにおいて、化合物は、それらの疎水性の特徴を基に分離される。
【0056】
最も一般的なRP-HPLCカラムは、シリカ粒子を充填している。ビーズまたは粒子は一般に、粒子および細孔のサイズにより特徴付けられる。1つの態様において、粒子サイズは一般に、約3μm〜約50μmの範囲であり、タンパク質に関しては5μm粒子が最も広範に使用される。粒子の細孔サイズは、オングストローム単位で測定され、一般に約100Å〜約1000Åの範囲である。1つの態様において、静止相は一般に、被検体と相互作用するさまざまな長さの疎水性アルキル鎖で作製される。巨大分子の分離のために一般に利用可能なカラムは、C-4、C-8、またはC-18の長さを有するアルキル鎖を含むが、これらに限定されるものではない。C-4カラムが、比較的大きいタンパク質を捕獲するために一般に使用されており、かつC-18カラムが、小型のタンパク質または小型の分子を捕獲するために一般に使用されている。一般にタンパク質分子の親水性または疎水性の性質とは関わりなく、逆相溶媒が使用される。
【0057】
7. 溶媒抽出
本分離法は、溶媒抽出を基にすることができる。溶媒抽出は、2つの溶媒間もしくは溶媒と固相との間の巨大分子の分配に関連している。二相内で異なる溶解度を有する巨大分子はこれらの二相間で異って分布されるので、巨大分子の抽出および/または濃厚化が可能である。巨大分子は、それ自体の疎水性/親水性特性および使用される二相のそれを基に分離することができる。溶媒抽出手法は、ポリペプチドのような巨大分子の分離における使用に適した任意の溶媒を使用することができる。
【0058】
8. 沈殿
本分離法は、巨大分子の溶解度によっても左右される沈殿手法を基にすることができる。例えば、水ベースの溶液中に可溶性であるタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、水分子を求引しかつ水分子と相互作用する親水性アミノ酸をそれらの表面上に有する。この溶解度は、溶液のイオン強度およびpHの関数である。タンパク質、ペプチド、およびポリペプチドは、それらのアミノ酸側鎖の電荷が互いに釣り合っている等電点を有する。溶液のイオン強度が非常に高いかまたは非常に低い場合、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、それらの等電点で沈殿する傾向がある。従って溶解度は、イオン強度の関数でもある。
【0059】
9. 親和性
本分離法は、試料中の巨大分子のサブセットの親和性選択を基にしている。親和性選択は、ポリクローナル抗体および/もしくはモノクローナル抗体を使用する免疫親和性、ならびに/または固定された金属アフィニティクロマトグラフィーを含む。親和性選択法は、アシル化試薬を使用するシステイン親和性;または、ヒスチジン、炭水化物および/もしくはリン酸塩部分の親和性を含む。
【0060】
アフィニティクロマトグラフィーは、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドが固定されたリガンドへ特異的に結合する間に、残りのタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドはカラムを通過するものに頼っている。任意のリガンドを使用することができ、これは任意の化学的に作製されたリガンド、または例えば糖もしくはタンパク質分子などの生物学的分子を含む。好適なリガンドは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体も含む。
【0061】
10. リン酸化されたタンパク質
本分離法は、リン酸化されたアミノ酸(例えばホスホチロシンおよびホスホセリン)と反応する抗体を使用する手順を含む、リンペプチドの選択を基にすることができる。他の方法は、ガリウム負荷された固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)カラム、陰イオン交換クロマトグラフィー、またはジルコニア含有クロマトグラフィーを含む。
【0062】
11. 低い存在量のアミノ酸
本分離法は、チロシンのような、ある種の低存在量のアミノ酸を含むペプチド分子の選択を基にすることができる。例えばチロシンを含むタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド分子は、ジアゾニウム塩を用いて選択することができる。トリプトファンを含むタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド分子は、pH5.0で2,4-ジニトロフェニルスルフェニルクロリドで誘導体化され、および2,4-ジニトロフェノールと反応性である抗体により選択されることができる。ヒスチジンを含むタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド分子の分離法は、第1級アミノ基のアセチル化、および銅が負荷された固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)カラム上での選択を含む。
【0063】
C. 検出および/または定量
検出および定量(本明細書においてはまとめて「評価工程」と称する)は、複合混合物または複合混合物の画分を分析することであり、それに関する定性的または定量的データの作製をもたらす。評価工程は、本明細書の下記で説明された手順のいずれかを、単独でまたは組合せて、任意の順番で含むことができ、かつ、ゲル電気泳動法;アミノ酸組成分析;アミノ酸配列決定(例えばN末端配列決定);糖鎖分析;糖鎖配列決定;蛍光分光法;質量分析、例えばMALDI MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析);MS/MS;NMR;MALDI TOF/TOF;エレクトロスプレーイオン化(ESI);四重極;イオントラップ;磁気偏向型またはイオンサイクロトロン共鳴質量分析;オルソゴナルダイジェスション(orthogonal digestion)分析;CEおよび/またはHPLC定量;赤外分光法;UV-可視分光法;原子吸光分析;ラマン分光法;X線分光法;温度を用いる手法;電位差測定;および/または、電子顕微鏡を含むことができる。より詳細に述べると、分析的方法は、質量分析、液体クロマトグラフィー質量分析、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、およびキャピラリー電気泳動法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0064】
1. 質量分析
本評価工程は、質量スペクトルおよび/またはタンデム質量分析(MS/MS)技術を含むことができる。この技術において、親分子ポリペプチドイオンは、より小さいイオンへ断片化され、これが選択され、さらに断片化され、ペプチド混合物の性質に関する情報を得る。質量分析によりペプチド混合物の種類を特徴付けるために、ペプチド型またはペプチド型の特定のセグメントに、正または負電荷を与えるか、またはイオン化し、かつ質量分析計において揮発することができる。次にイオン化され揮発されたペプチド分子またはそれらのセグメントは、質量分析計により分析され、これはペプチド分子またはセグメントの質量スペクトルを生じる。
【0065】
質量分析計は、ペプチド分子またはセグメントが分析される場合、ペプチド分子またはペプチド分子のセグメントの質量を決定し、質量分析により提供される情報は、ペプチド分子またはセグメント中のアミノ酸残基の配列を推測する上で使用することができる。質量分析計はまた、ペプチド分子またはセグメントの特定のアミノ酸残基の修飾に関する情報を提供するのに十分感度がよい。マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)およびエレクトロスプレーイオン化(ESI)およびナノスプレーGC/MS、LC/MS、MS/MS、LC MS/MS、SIMS、フーリエ変換型装置、レーザーマイクロプローブ質量分析、気相脱離装置のような方法、電子イオン化(EI)、化学イオン化(CI)、電界イオン化、電界脱離、高速原子衝撃、プラズマ脱離、加熱脱離、エレクトロハイドロダイナミックイオン化、およびサーモスプレーイオン化が関連する質量分析は全て、質量分析の意味に包含される。
【0066】
2. NMR分光法
本評価工程は、核磁気共鳴(NMR)分光法を含むことができる。NMRは、ある種の原子の核が、静磁場に浸され、第二の振動磁場に曝される場合に生じる現象である。一部の核は、この現象を経験し、かつ他のものは経験せず、このことはそれらがスピンと称される特性を有するかどうかによって決まる。従ってNMR分光法を使用し、スピン特性を有する多くの分子の化学構造を調べることができる。
【0067】
好適なNMR技術は、1H、2H、23Na、15N、13C、および18Oを含むが、これらに限定されるものではない。200個を超える同位元素が、磁気モーメントを有し、NMRを用いて研究されることができる。NMRは、溶液中および固体状態で行われることができ、ブロードバンドデカップリング、オフレゾナンスデカップリング、核オーバーハウザー効果(NOE)、および二次元NMR(2D-NMR)を含む全ての種類のNMR実験は、本明細書で開示された主題の範囲内である。NMR法の代表例は、ワンパルス実験;スピンデカップリング示差分光法;シンプルエコー(simples echoe)、J-モジュレーション(J-modulation)、占有数移動、選択的分極移動、非選択的分極移動-INEPT、逆INEPT、再結像INEPTを含む、マルチパルス実験;基本的二次元配列、異種核および/または同種核カップリングの除去に関する方法を含む、2D-NMR;逆検出されたスペクトル-HMQC、同種核シフト相関実験-COSY;COSYの改変、多量子コーヒレンス-INADEQUATE、スピンロックされた配列-TOCSY、溶媒消去された二次元分光法、三次元NMR(3D-NMR);結合を介したつながりを試験する方法;空間的つながりを試験する方法、例えばNOESYおよびROESYを含むNOE実験;ならびに、反転回復、飽和回復およびプログレッシブ飽和を含む、緩和率を測定する方法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0068】
本明細書で開示されたNMR法は任意に、プレ飽和法またはフリップ-バック法を含むが、これらに限定されるものではない、溶媒、緩衝液、および/または夾雑物から生じるシグナルを抑制する方法を含むことができる。
【0069】
3. 赤外分光法
本評価工程は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法を含む、赤外分光法(IR分光法)であることができる。IR分光法は、電磁スペクトルの赤外部分を使用する分光法の種類であり、試料の組成に加え、生体分子の構造に関する詳細な化学情報を調べるために使用することができる。時間分解様式で行われる場合は、生体の反応の構造的中間体も試験することができる。試料を測定するために、単色赤外光の光線は試料を通過し、IR照射の異なる波数または波長で吸収されたエネルギー量が記録される。IR吸収ピークの位置は、それらが振動する特異的波数を有する化学結合の特定の型に関連付けることができる。本発明は、赤外分光法の意味に、内部反射型赤外分光法、光音響赤外分光法、近赤外分光法、近赤外反射分光法、遠赤外分光法、および赤外放出分光法を含むが、これらに限定されるものではないあらゆる形態の赤外分光法を含む。
【0070】
4. ゲル電気泳動法
本評価工程は、ゲル電気泳動法を含むことができる。先に考察されたようなゲル電気泳動工程の説明は、評価工程にそれを適用する意図を伴い、参照により本明細書に組み入れられる。
【0071】
5. 発光分光法
本評価工程は、分子の蛍光、リン光および化学発光を含む、発光分光法を含む。蛍光およびリン光は、光子吸収の結果として生じる。化学発光は、化学反応の結果として形成された励起された種の発光スペクトルを基にしている。蛍光、リン光、および化学発光の特性の強度測定は、有機種および無機種の定量測定を可能にする。一般にこれらの装置は、光源、フィルターおよび/または波長間を分離または区別するための他の装置、例えばモノクロメーター、検出器、セルおよびコンパートメントを備える。蛍光分光法において使用することができる一部の装置は、蛍光光度計、光ファイバー蛍光センサー、蛍光分光光度計、およびリン光計を含む。
【0072】
6. UV-可視分光法
本評価工程は、それらが電磁スペクトルのUVおよび可視領域の光を吸収する際の、分子の電子項遷移を探索する、UV-可視分光法を含むことができる。二重結合と単結合が交互である延長系を伴う種はUV光を吸収し、色を持つあらゆるものは可視光を吸収し、UV-可視分光法は広範な試料に適用可能となる。計測に関して、光源は通常、UV測定のためには水素または重水素ランプ、および可視測定のためにはタングステンランプである。これらの連続光源の波長は、プリズムまたは格子モノクロメーターのような波長分離器で選択される。スペクトルは、波長分離器を走査することにより得られ、かつ定量測定は、スペクトルからまたは単波長でなされることができる。様々なUV-可視分光法が存在する。これらの方法は、分子紫外/可視分光法、吸収分光法、紫外分光法、紫外/可視吸収分光法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0073】
7. ラマン分光法
ラマン分光法を使用し、その末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の試料中の量を定量することができる。ラマン分光法の利点は、水はラマンシグナルを発生しないことである。ラマン強度は、測定された種の濃度に正比例する。これに関して、ラマン分光法を使用し、存在する特定種の濃度を決定することができる。
【0074】
ラマン励起時に、分子振動から生じるラマンピーク面積の相対値の変化は、例えば精製された試料のような試料中に存在する様々な構造の百分率の測定値として使用することができる。アフィニティクロマトグラフィーのような分離法を使用する先に説明されたようにC末端を精製すると、単離されたC末端ペプチドは、ラマン分光法を用いて分析することができる。ジエチルアミド基を生じる基に対応するラマンピークは、ラマン分光法において容易に明らかである。様々な種類のラマン技術を使用し、ジエチルアミド基を分析することができる。代表的例は、通常のラマン分光法、共鳴ラマン分光法および表面増強ラマン分光法がある。
【0075】
8. 抗体検出法
選択された構造に特異的な(または試料中のその他の構造に特異的な)抗体を使用し、試料中の選択された構造の存在および/または量、例えばコポリマー-1もしくはCOPAXONE(登録商標)の試料中に存在するその末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の量を決定することができる。例えば、修飾または非修飾のC末端、N末端または内部ペプチド基に特異的な抗体は、容易に入手可能であるか、または当技術分野において公知の方法により作出されることができる。
【0076】
例えば、アフィニティクロマトグラフィーのような分離法を用い先に説明されたようにC末端ペプチドの精製を伴うかまたは伴わずに、その末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の存在する量を決定するために、精製されたC末端ペプチドは、予め選択された抗体と共に、ある時間、例えば2時間、室温でインキュベーションすることができる。この抗体は、例えばC末端ペプチドが生じた修飾された構造に特異的な鎖にのみ結合する。抗体は、電磁放射線に曝露された場合に蛍光を発するタグを含むこともできる。ある時間、例えば2時間の後、過剰な抗体は洗浄除去され、試料は精製され、任意に定量される。
【0077】
次に精製された試料は、電磁放射線に曝され、これは結合した抗体に蛍光を発生させる。蛍光の量は、C末端ペプチドに存在するジエチルアミド基の量に比例する。
【0078】
D. 精製
精製工程、あるいは本明細書において濃厚化工程とも称される工程は、選択された巨大分子をより大きい割合で有する巨大分子の画分を生じる。精製工程から生じる巨大分子の画分は、選択された巨大分子以外の巨大分子を含むことができる。前述の分離法のいずれかを、精製工程に使用することができる。先に説明された分離工程の説明は、これらの技術を精製工程に適用する意図で、参照により本明細書に組み入れられる。
【0079】
一部の態様において、その末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の精製は、当技術分野において公知の任意の方法により遂行されることができる。1つの精製法を、図4に示している。より詳細に述べると、コポリマー-1を、アルコールで処理し、カルボキシラート基のエステル交換を生じる。あるいは、コポリマー-1を、EDC/アミン化学で処理することができる。これらの化学のいずれかによる処理は、グルタミン酸上にカルボキシラート基を生じ、ならびにポリペプチドのC末端にキャップ形成する。他の精製法も、当技術分野において公知である。例えばコポリマー-1を、カルボキシラート基と結合するタンパク質、例えばビオチンで処理することができる。化学的手段または生物学的手段により成し遂げられるかどうかにかかわらず、この修飾されたコポリマーは次に、化学的または酵素的消化のような、当技術分野において公知の任意の方法により解重合することができる。この消化は、N末端ペプチド、内部ペプチドおよびC末端ペプチドの3種の構造を生じる。
【0080】
C末端ペプチドを精製するために、抗体処理またはアフィニティクロマトグラフィーのような方法を使用することができる。N末端ペプチド、内部ペプチドおよびC末端ペプチドは、アフィニティクロマトグラフィーカラム内に配置される。条件およびカラムは、修飾されたN末端ペプチドおよび内部ペプチドがカラムに結合するように選択される。C末端ペプチドは、移動相と共にカラムを通り溶出する。その後移動相は除去され、精製されたC末端ペプチドが残留する。次に精製されたC末端ペプチドは、当技術分野において公知の任意の方法により、定量され分析される。
【0081】
加えて精製工程は、 タンパク質またはその断片を、親和性タグに連結することを含むことができる。親和性タグは、タンパク質のN末端またはC末端に付加することができる。親和性タグ、ヒスチジン(His)タグ;グルタチオン-S-転移酵素(GST)タグ;V5タグ;FLAGタグ;インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ;Mycタグ;VSV-Gタグ;チオレドキシン(Trx)タグを含む。リガンドへの親和性を有するその他のタンパク質タグは、リシン特異性タグ、ビオチン、ストレプトアビジン、マルトース結合タンパク質(MBP);S-タグ;Lex A DNA結合ドメイン(DBD);GAL4 DNA結合ドメイン;単純ヘルペスウイルス(HSV)、およびBPI 6タンパク質を含む。
【0082】
III. 複合ポリペプチド混合物の評価または特徴決定のための本明細書で開示された方法の適用
真上の上記で明らかにされた断片化、分離、検出および/または定量、ならびに精製の方法は、複合ポリペプチド混合物の特徴付けのために適用することができる。
【0083】
A. 断片化、それに続くMSまたはLC/MS
1つの態様において、本明細書で開示された方法は、酵素的解重合、それに続くMSまたはLC-MS検出を用い、ポリペプチド混合物中の非カルボキシル末端部分、すなわちジエチルアミド基を検出する工程を含む。この態様において、ポリペプチドまたはポリペプチド混合物は、好ましくは1つまたは複数のプロテアーゼの混合物への添加により解重合される。好適なプロテアーゼは、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、およびglu-C、ならびにそれらの混合物を含む。プロテアーゼは、特異的プロテアーゼの切断特性を基に選択することができる。例えば、トリプシンは、リシンまたはアルギニンのC末端を切断し;キモトリプシンは、そのカルボニル炭素が切断されるペプチド結合の一部であるような残基上の芳香族側鎖を好み;ならびに、Glu-Cは、グルタミン酸のC末端を切断する。酵素/CPX比は、好ましくは重量で約1:50である。
【0084】
好適な溶媒および緩衝液を、解重合工程時に使用することができる。例えば、トリプシンおよびGlu-Cに関して、好ましい溶液は、50mM炭酸水素アンモニウムを含有し;キモトリプシンによる消化に関して好ましい溶液は、緩衝液として10mMトリス-HClおよび10mM塩化カルシウムを含有することができる。当技術分野において公知である他の相溶性のある溶媒および緩衝液を使用することができる。本明細書において消化工程とも称される、解重合工程は、ポリペプチドが個々のペプチドまで実質的に解重合されるまで進行する。制御された解重合を提供するために、解重合工程は、上昇した温度、例えば約20℃〜約40℃で、時間をかけて行われることができる。一部の態様において、トリプシンによる解重合は約37℃で生じ、キモトリプシンおよびGlu-Cによる解重合の温度は約25℃である。解重合は、適切な解重合が生じるまで進行し、一部の態様においては、少なくとも12時間、一部の態様において約16時間かかる。消化は、加熱およびpH調整のような当技術分野において公知の方法により、好適な消化が生じた後終結される。一部の態様において、ポリペプチドは、解重合の前の加熱または変性溶媒の添加により変性されることができる。
【0085】
解重合後、消化されたポリマー断片は、図2に示されたようなN末端ペプチド、内部ペプチド、およびC末端ペプチドを含む。これらの消化されたポリマー断片は次に、分離技術を用いて単離される。一部の態様において、図2に示されるように、ペプチドは、カルボキシ末端断片が非カルボキシ末端断片から分離される逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)を用いて分離される。
【0086】
一部の態様において、逆相HPLCにおいて使用される移動相は、水およびアセトニトリルを含む。トリフルオロ酢酸(TFA)のような少量の酸を、水およびアセトニトリルの両移動相に添加することができる。いずれの理論に縛られることを望むものではないが、酸性環境は、ペプチドまたはタンパク質の塩基性基の、カラム充填剤中の表面シラノールとの相互作用を抑制する。一部の態様において、移動相は、HPLC等級の水の中に約0.05%TFAおよびHPLC等級のアセトニトリル中に約0.04%TFAを含有する。
【0087】
一部の態様において、逆相HPLCカラムは、オクタデシルシリカ充填剤を有し、ならびに内径4.6mm、長さ150mm、粒子サイズ3μm、および細孔サイズ120Åを有する、C-18カラムである。あるいは、強陽イオン交換クロマトグラフィーを使用することができる。強陽イオン交換は、カルボキシ末端断片の分離を可能にし、これを非カルボキシ末端断片から分離する。
【0088】
一旦非カルボキシ末端断片が単離されると、これらは質量分析(MS)または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を用いて同定することができる。図3は、ペプチドアラニン、アラニンのジエチルアミド基を図示している。分析を行う際に、その末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖は、図3に示されたように、天然のペプチドの分子量から生じる質量シフト56.1Daにより同定することができる。
【0089】
B. NMRを用いるその末端にジエチルアミド基を有するペプチドまたはポリペプチド鎖の検出および定量
本発明の別の態様は、NMRを使用し、酢酸グラチラマーのようなポリペプチド混合物中において、その1つの末端にC末端ジエチルアミド基を有するアミノ酸を含む、非天然のアミノ酸を検出および定量する方法を含む。NMRは、ある原子の核が静磁場に浸され、かつ第二の振動磁場に曝される場合に生じる現象である。一部の核は、この現象を経験し、かつ他のものは経験せず、このことはそれらがスピン特性を持つかどうかにより決まる。NMR分光法を使用し、化学構造を研究することができる。
【0090】
さらに、NMRは、スピン特性を有する多くの分子に使用することができる。これらは、1H、2H、23Na、15N、13C、および18Oを含むが、これらに限定されるものではない。200個を超える同位元素は、磁気モーメントを有し、NMRを用いて研究されることができる。NMRは、溶液中および固体状態で行われることができ、ブロードバンドデカップリング、オフレゾナンスデカップリング、核オーバーハウザー効果(NOE)、および二次元NMR(2D-NMR)を含む全ての型のNMR実験を、本明細書で開示された方法に適用することができる。NMR法の代表例は、ワンパルス実験;スピンデカップリング示差分光法;シンプルエコー、J-モジュレーション、占有数移動、選択的分極移動、非選択的分極移動-INEPT、逆INEPT、再結像INEPTを含む、マルチパルス実験;基本的二次元配列、異種核および/または同種核カップリングの除去に関する方法を含む、2D-NMR;逆検出されたスペクトル-HMQC、同種核シフト相関実験-COSY;COSYの改変、多量子コーヒレンス-INADEQUATE、スピンロックされた配列-TOCSY、溶媒消去された二次元分光法、三次元NMR;結合を介したつながりを試験する方法;空間的つながりを試験する方法、すなわちNOESYおよびROESYを含むNOE実験;ならびに、反転回復、飽和回復およびプログレッシブ飽和を含む、緩和率を測定する方法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0091】
本明細書で開示されたNMR法は任意に、プレ飽和法またはフリップ-バック法を含むが、これらに限定されるものではない、溶媒、緩衝液、および/または夾雑物から生じるシグナルを抑制する方法を含むことができる。
【0092】
これらの態様において、ポリペプチド混合物は、解重合を伴うまたは伴わない、その未変性型または変性型で分析することができる。解重合は、先に説明された方法のいずれかを用いて実行されることができる。
【0093】
分析されるポリペプチド混合物は、多くの型であることができ、かつ酢酸グラチラマーのようなポリペプチド混合物の市販されている試料は典型的には、凍結乾燥された型で入手可能である。最初にポリペプチドの混合物を含有する試料を調製するために、マンニトールのような薬理学的担体物質を、緩衝液交換のような公知の方法を用いて除去することができる。次に試料を、D2Oのような溶媒に再度溶解することができる。試料は、トリス(トリス-2,3-ジブロモ-1-プロパノールリン酸)のような適当な緩衝液に溶解することができる。
【0094】
試料中のペプチドの特性を決定し、ならびにその中の部分を同定および定量するために、様々な種類のNMR法を試料に対し行うことができる。種を同定しかつそれらの相対的分子の量を定量するという両方のために、多次元NMR法を含む複数のNMR法を、少量の試料に行うことができる。1DプロトンNMRに加え、1Hおよび13Cを使用する二次元異種核単量子相関分光法(2D HSQC)は、以下に説明されるように、直接の炭素/プロトンカップリングの決定、ならびに積分に有用である。
【0095】
一部の態様において、2D全相関分光法(TOCSY)を、プロトン/プロトンカップリングの決定および積分に使用することができる。2D相関分光法(COSY)は、プロトン/プロトンカップリングの決定および積分に使用することができる。2D核オーバーハウザー効果分光法(NOESY)または回転オーバーハウザー効果分光法(ROESY)を、空間プロトン/プロトン相互作用の決定に使用することができる。3D NOESY-HSQCおよび3D ROESY-HSQCも、化学シフト割当てを証明するために使用することができる。
【0096】
一部の態様において、NMR法の組合せを用い、混合物中の巨大分子を検出または同定することができる。例えば、下記実施例において、1D 1H NMRおよび2D TOCSY NMRを使用し、ジエチルアミド付加物を同定および定量した。
【0097】
1D 1H NMRスペクトルを使用し、他の同定されたピークに対し相対的な各ピーク下の面積を測定し、個々の種の相対分子含量を決定する。従ってこの分析技術を使用し、NMRスペクトルで同定された各々の種のモル%を算出することができる。各々の種のモル%は、同じポリペプチド種に由来するピークの比較により算出することができるのに対し、各々の種の絶対量は、較正された参照シグナルを使用し決定することができる。参照シグナルは、試料中の別の分子からまたは較正された高周波源から得ることができる。
【0098】
従って、本明細書に説明された、酵素的消化とそれに続くMSもしくはLC-MS法、または本明細書に説明された多次元NMRのいずれかを使用することにより、ポリペプチド混合物中のジエチルアミド付加物のレベルを測定および定量することが可能になる。
【0099】
実施例
下記実施例は、本明細書で開示された主題の代表的態様を実践するための指針を当業者に提供するために含まれる。本開示および当技術分野の一般的技術レベルを考慮し、当業者は、下記実施例が、例証のみを意図するものであること、ならびに本明細書で開示された主題の範囲から逸脱することなく多くの変更、修飾および代替を使用することができることを理解することができる。下記実施例は、例証として与えられ、いかなる意味においても限定するものではない。
【0100】
実施例1
酢酸グラチラマー中のジエチルアミド付加物の分析
本実施例は、NMRによりコポリマー調製品中のDEA付加物を検出および定量する方法を示す。
【0101】
ジエチルアミド付加物からのサインNMRシグナルを、Ala-Ala-ジエチルアミドから決定した。1D 1H NMRスペクトルを、図5に示す。試料を、4mM 2,2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルホン酸-d6ナトリウム(DSS-d6)を含む10mMトリス-d11(pH8)の700μLに溶解した。化学シフトを、DSSのメチル1Hに対して決定した。ジエチルアミド部分の2個のメチル基は、個別のシグナルを1.26ppmおよび1.09ppmに生じた。
【0102】
酢酸グラチラマー(COPAXONE(登録商標))のバッチからの試料を、1D 1H NMRにより分析した。製剤化された酢酸グラチラマー約0.700mLを、乾固するまで凍結乾燥した。この粉末を、D2O 0.700mLに溶解し、凍結乾燥した。この溶解および凍結乾燥過程を3回繰り返した。その後試料を、4mM DSS-d6を含む10mMトリス-d11(pH8)の0.700mLに溶解した。図6は、残留溶媒シグナルを抑制した酢酸グラチラマーに関する1D 1H NMRスペクトルである。3.65-3.90ppmの大きいシグナルはマンニトールから生じ、1.92ppmの大きいシグナルは酢酸グラチラマーの製剤化に使用したアセテートに由来する。ジエチルアミド付加物のメチル1Hシグナルは、1.25ppmおよび1.10ppmに認めることができる。これらは、アラニンメチルシグナルのテールと重複しているが、ベースラインは、ブロード特性を減算し、積分のための局所的に平坦なベースラインを得るのに十分になめらかである(図7)。3.00ppmの特性からのシグナルは、リシンHεおよびチロシンHβの合計から生じる。各リシンおよび各チロシン残基は、このシグナルを生じる2個の1H核を有する。従って3.00ppmのシグナルは、リシンおよびチロシンの含量の2倍に比例する。各メチル基は3個の1H核を有するので、1.10ppmのジエチルアミドのメチルシグナルは、ジエチルアミド付加物含量の3倍に比例する。
【0103】
ジエチルアミドの量は、3.00ppmでのジエチルアミドメチルシグナルのこのポリペプチドシグナルに対する比から決定することができる。アミノ酸分析から、酢酸グラチラマーのこのバッチは、33.7%のリシンおよび9.1%のチロシンからなることがわかった。従ってジエチルアミドは、残渣の(2*[1.10ppm積分]*([モル%Lys]+[モル%Tyr]))/(3*[3.00ppm積分])=(2*1.00*42.8%)/(3*193.16)=0.14モル%を占める。あるいはこの値は、ジエチルアミド付加物の総質量または鎖のモル%に変換することができる。
【0104】
同様の値を、マンニトールを伴うまたは伴わないのいずれかの複数のバッチ由来の酢酸グラチラマーの複数の試料から得た。これらの試料を、分析前には製造業者の指示に従い貯蔵した。
【0105】
実施例2
ジエチルアミンのLC/MS分析
本実施例は、質量分析により、コポリマー調製品中のDEA付加物を検出および定量する方法を示す。
【0106】
コポリマー-1のポリペプチド鎖の末端残基の様々な修飾は、様々な反応経路から生じることができる。例えば、C末端のDEAのようなN末端残基およびC末端残基の修飾が生じることができる。これらの修飾は、コポリマー-1の生成過程の直接の結果である。これらの修飾のモニタリングは、この過程に関する情報を提供することができる。これらの種が相当量存在する場合は、これらは不純物として定量される必要がある。
【0107】
DEAの存在の質量スペクトルの証拠は、図8Aおよび8Bに示している。DEAは、NMRによっても検出した。
【0108】
ここで図8Aおよび8Bを参照すると、図8Aは、代表的DEA MS/MS断片化パターンを示している。DEAとペプチドのカルボキシル基との間のアミド結合は脆く、窒素のような気体分子との衝突により破壊され得る。断片化の供給源において、化合物は、イオン源においてより小さいフラグメントに断片化され、およびDEAイオンのようなフラグメントイオンのある型を生じることができる。DEAと同じ質量74.09を有するイオンは、コポリマー-1試料のインソース断片化により作製された。図8Bは、このイオンのMS/MS断片化は、DEAと同じパターンを生じることを示している。
【0109】
前述の主題は、理解を明確にする目的で、例証および実施例によりある程度詳細に説明されているが、ある種の変更および修飾を、添付された特許請求の範囲内で実践することができることは当業者には理解されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】コポリマー-1、すなわち酢酸グラチラマーを生成するための代表的過程を図示する非限定的図面である。
【図2】カルボキシル基の代わりにC末端ジエチルアミド基を有するペプチドが単離され、その後分析される、Glu-Cのようなプロテアーゼ酵素によるポリペプチド消化、および本明細書で開示された主題の1つの態様に従うペプチド分離の代表的工程を図示する非限定的図面である。
【図3】アミノ酸、例えばアラニン、およびC末端ジエチルアミド基をカルボキシル基の代わりに有するアミノ酸、例えばアラニンを図示する非限定的図面である。
【図4】アミノ酸のC末端に、カルボキシル基の代わりにジエチルアミド基を有するポリペプチド、例えば酢酸グラチラマーを精製する方法の非限定的図面である。
【図5】1個のアラニンアミノ酸が、C末端ジエチルアミド基をカルボキシル基の代わりに有する、Ala-Alaジペプチドの試料の600MHz 1D 1H NMRスペクトルを図示する非限定的図面である。
【図6】酢酸グラチラマーの試料の600 MHz 1D 1H NMRスペクトルを図示する非限定的図面である。差込図は、C末端ジエチルアミド部分のメチル共鳴を中心にした拡大を示している。
【図7】ローカルベースライン補正および選択されたシグナルの積分後の酢酸グラチラマーの試料の1D 1H NMRスペクトルを図示する非限定的図面である。
【図8A】コポリマー-1試料の断片化により生成されたジエチルアミンの代表的MS/MS断片化パターンを図示する非限定的図面である。図8Aは、ジエチルアミンの代表的MS/MS断片化パターンを描いている、非限定的図面である。
【図8B】コポリマー-1試料の断片化により生成されたジエチルアミンの代表的MS/MS断片化パターンを図示する非限定的図面である。図8Bは、コポリマー-1試料のインソース断片化により生成されたジエチルアミンと同じ質量を有するイオンの非限定的図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せの少なくとも1つのC末端の修飾を検出する方法であって:
(a)少なくとも1つの修飾されたC末端を有する、1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せを含むことが疑われる試料を提供する工程;ならびに
(b)試料中のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せの少なくとも1つのC末端の修飾を検出することが可能である方法により、試料を分析する工程
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのC末端の修飾が、結合したジエチルアミド部分を有する試料中の1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド鎖、およびそれらの組合せの少なくとも1つのC末端を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つまたは複数のアミノ酸が、アラニン、グルタミン酸、リシン、およびチロシンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
アミノ酸アラニン、グルタミン酸、リシン、およびチロシンの1つまたは複数が、それに結合したジエチルアミド部分を有するC末端を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数のアミノ酸が、1つまたは複数の保護されたアミノ酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数の保護されたアミノ酸が、O-ベンジルグルタミン酸およびNε-トリフルオロアセチルリシンからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
保護されたアミノ酸O-ベンジルグルタミン酸およびNε-トリフルオロアセチルリシンの1つまたは複数が、それに結合したジエチルアミド部分を有するC末端を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
試料が、コポリマー-1、誘導体化されたコポリマー-1、断片化されたコポリマー-1、分画されたコポリマー-1、およびそれらの組合せからなる群より選択されるポリペプチド混合物を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
試料が、1つまたは複数のコポリマー-1の中間体、コポリマー-1の誘導体化された中間体、コポリマー-1の断片化された中間体、コポリマー-1の分画された中間体、およびそれらの組合せからなる群より選択されるポリペプチド混合物を含有し、
該中間体が、図1に示された中間体-I、中間体-II、および中間体-IIIからなる群より選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
試料中の1つまたは複数のポリペプチド鎖の少なくとも1つのC末端の修飾を検出することが可能であり、
液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、質量分析、液体クロマトグラフィー/質量分析、NMR分光法、抗体検出法、ラマン分光法、赤外分光法、蛍光分光法、UV-可視分光法、ゲル電気泳動法、およびそれらの組合せからなる群より選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
ガスクロマトグラフィー法が、直接注入およびヘッドスペース注入からなる群より選択される注入技術を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
NMR法が、一次元(1D)NMR、二次元(2D)NMR、および三次元(3D)NMR、1H NMR、13C NMR、15N NMR、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
NMR法が、少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の量を決定するために、NMRシグナルを定量する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
(a)修飾されたC末端に割当てられた1つまたは複数のNMRピークを積分すること;
(b)修飾されたC末端に割当てられた1つまたは複数のNMRピークを逆重畳積分すること;および
(c)修飾されたC末端に割当てられたNMRシグナルの積分された面積を、ポリペプチド混合物、試料にドープされた参照分子、外部試料、較正された高周波シグナル、およびそれらの組合せに割当てられたNMRシグナルのものに対し較正すること
からなる群より選択される方法により、NMRシグナルを定量する工程を含む、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
NMR法が、試料を化学変性剤と接触させる工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
化学変性剤が、尿素およびグアニジンからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
抗体検出法が、ウェスタンブロット、アフィニティクロマトグラフィー、および酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項18】
工程(b)において試料を分析する前に、試料を分画する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、およびそれらの組合せからなる群より選択される方法により試料を分画する工程を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
工程(b)において試料を分析する前に、試料を精製する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
ゲル電気泳動法、サイズ排除クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、溶媒抽出、沈殿、アフィニティクロマトグラフィー、ホスホペプチドの選択、低い存在量のアミノ酸の選択、1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドの親和性タグへの連結、1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドの1つまたは複数のカルボキシル基のエステル交換、EDC/アミン化学による試料の処理、ならびに1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドの1つまたは複数のカルボキシル基に結合するタンパク質による試料の処理からなる群より選択される方法により試料を精製する工程を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
試料を断片化する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
化学的解重合による試料の断片化を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
試料の化学的解重合が、試料を強酸または強塩基と接触させる工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
酵素消化により試料を断片化する工程を含む、請求項22記載の方法。
【請求項26】
酵素消化による試料の断片化が、試料をトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、Glu-C、カルボキシペプチダーゼ、およびそれらの組合せからなる群より選択されるプロテアーゼと接触させる工程を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
試料を複数のプロテアーゼと同時に接触させることにより、試料を断片化する工程を含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
試料を複数のプロテアーゼと連続して接触させることにより、試料を断片化する工程を含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのその修飾されたC末端を有する1つまたは複数のポリペプチド鎖を試料から除去する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの修飾されたC末端が、それに結合したジエチルアミド部分を有する、請求項1記載の方法。
【請求項31】
結合したジエチルアミド部分を有するC末端を含む1つまたは複数のポリペプチド鎖からアミンを遊離させる工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項32】
1つまたは複数のポリペプチド鎖からアミンを遊離させるために、1つまたは複数のポリペプチド鎖を解重合する工程を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
アミンがジエチルアミンである、請求項31記載の方法。
【請求項34】
アミンが、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC-MS、HPLC、LC-MS、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、キャピラリー電気泳動法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、およびイオンクロマトグラフィーからなる群より選択される方法により検出される、請求項31記載の方法。
【請求項35】
誘導体化されたアミンを形成するためにアミンを発色団で誘導体化する工程、およびHPLCにより誘導体化されたアミンを検出する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約7モル%〜約20モル%の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約8モル%〜約18モル%の範囲である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約10モル%〜約15モル%の範囲である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約12モル%〜約14モル%の範囲である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約13モル%である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約60モル%〜約100モル%の範囲である、請求項9記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の試料中の量が、約75モル%〜約100モル%の範囲である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
ポリペプチド混合物を含有する試料を評価する方法であって:
(a)ポリペプチドの1つまたは複数が、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有することが疑われる、ポリペプチドの混合物を含有する試料を提供する工程;
(b)C末端に結合したジエチルアミド部分を有する1つまたは複数のポリペプチドが試料中に存在する場合に、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有する1つまたは複数のポリペプチドからジエチルアミンを遊離させるために、試料を解重合する工程;ならびに
(c)その中の遊離されたジエチルアミンの存在または量を決定するために、解重合された試料を分析する工程
を含む、方法。
【請求項44】
試料が、コポリマー-1、誘導体化されたコポリマー-1、断片化されたコポリマー-1、分画されたコポリマー-1、およびそれらの組合せからなる群より選択されるポリペプチド混合物を含有する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
試料が、1つまたは複数のコポリマー-1の中間体、コポリマー-1の誘導体化された中間体、コポリマー-1の断片化された中間体、コポリマー-1の分画された中間体、およびそれらの組合せからなる群より選択されるポリペプチド混合物を含有し、
該中間体が、図1に示された中間体-I、中間体-II、および中間体-IIIからなる群より選択される、
請求項43記載の方法。
【請求項46】
化学的解重合により試料を解重合する工程を含む、請求項43記載の方法。
【請求項47】
試料の化学的解重合が、試料を強酸または強塩基と接触させる工程を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
酵素消化により試料を解重合する工程を含む、請求項43記載の方法。
【請求項49】
酵素消化による試料の解重合が、試料をトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、Glu-C、カルボキシペプチダーゼ、およびそれらの組合せからなる群より選択されるプロテアーゼと接触させる工程を含む、請求項45記載の方法。
【請求項50】
試料を複数のプロテアーゼと同時に接触させることにより、試料を解重合する工程を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
試料を複数のプロテアーゼと連続して接触させることにより、試料を解重合する工程を含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
ジエチルアミンが、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC-MS、HPLC、LC-MS、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、キャピラリー電気泳動法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、およびイオンクロマトグラフィーからなる群より選択される方法により検出される、請求項43記載の方法。
【請求項53】
誘導体化されたジエチルアミンを形成するために遊離されたジエチルアミンを発色団で誘導体化する工程、および誘導体化されたジエチルアミンをHPLCにより検出する工程をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項54】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約7モル%〜約20モル%の範囲である、請求項43記載の方法。
【請求項55】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約8モル%〜約18モル%の範囲である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約10モル%〜約15モル%の範囲である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約12モル%〜約14モル%の範囲である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約13モル%である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約60モル%〜約100モル%の範囲である、請求項45記載の方法。
【請求項60】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドの試料中の量が、約75モル%〜約100モル%の範囲である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
コポリマー-1の試料をアッセイする方法であって:
(a)そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有する1つまたは複数のポリペプチドを含有することが疑われる、コポリマー-1の試料を提供する工程;
(b)そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の存在または量を決定する工程
を含む、方法。
【請求項62】
コポリマー-1試料が、コポリマー-1またはその中間体、断片化されたコポリマー-1またはその中間体、分画されたコポリマー-1またはその中間体、および誘導体化されたコポリマー-1またはその中間体からなる群より選択され、
該中間体が、図1に示された中間体-I、中間体-II、および中間体-IIIからなる群より選択される、
請求項61記載の方法。
【請求項63】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の量を、予め決定された参照値と比較する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
参照値が、基準値、対照値、およびコポリマー-1またはその中間体の参照試料の直接測定から得られた値からなる群より選択され、
該中間体が、図1に示された中間体-I、中間体-II、および中間体-IIIからなる群より選択される、
請求項63記載の方法。
【請求項65】
基準値が、酢酸グラチラマーに関する薬学的基準値を含む、請求項64記載の方法。
【請求項66】
酢酸グラチラマーの基準値が、約7モル%〜約20モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのモル%範囲を有する、請求項65記載の方法。
【請求項67】
酢酸グラチラマーの基準値が、約8モル%〜約18モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのモル%範囲を有する、請求項66記載の方法。
【請求項68】
酢酸グラチラマーの基準値が、約10モル%〜約15モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのモル%範囲を有する、請求項67記載の方法。
【請求項69】
酢酸グラチラマーの基準値が、約12モル%〜約14モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのモル%範囲を有する、請求項68記載の方法。
【請求項70】
酢酸グラチラマーの基準値が、約13モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドモル%を有する、請求項69記載の方法。
【請求項71】
参照値が、コポリマー-1の中間体の参照試料から得られた値を含み、
該中間体が、図1に示された中間体-I、中間体-II、および中間体-IIIからなる群より選択される、
請求項64記載の方法。
【請求項72】
コポリマー-1の中間体の参照試料から得られた参照値が、約60モル%〜約100モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのモル%範囲を有する、請求項71記載の方法。
【請求項73】
コポリマー-1の中間体の参照試料から得られた参照値が、約75モル%〜約100モル%の、そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのモル%範囲を有する、請求項72記載の方法。
【請求項74】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の存在または量を基に、コポリマー-1試料を分類する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項75】
コポリマー-1試料の分類が、試料が薬学的使用に適しているかを決定する工程、試料が更なる加工工程に供するのに適しているかどうかを決定する工程、および薬学的使用のために試料を放出する工程からなる群より選択される工程を含む、請求項74記載の方法。
【請求項76】
そのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の存在または量の決定が、液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、質量分析、液体クロマトグラフィー/質量分析、NMR分光法、抗体検出法、ラマン分光法、赤外分光法、蛍光分光法、UV-可視分光法、ゲル電気泳動法、およびそれらの組合せからなる群より選択される方法を含む、請求項61記載の方法。
【請求項77】
NMR法が、一次元(1D)NMR、二次元(2D)NMR、および三次元(3D)NMR、1H NMR、13C NMR、15N NMR、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項76記載の方法。
【請求項78】
NMR法が、少なくとも1つの修飾されたC末端を有するポリペプチド鎖の量を決定するために、NMRシグナルを定量する工程をさらに含む、請求項77記載の方法。
【請求項79】
(a)修飾されたC末端に割当てられた1つまたは複数のNMRピークを積分すること;
(b)修飾されたC末端に割当てられた1つまたは複数のNMRピークを逆重畳積分すること;および
(c)ポリペプチド混合物、試料にドープされた参照分子、外部試料、較正された高周波シグナル、およびそれらの組合せを含むコポリマーに割当てられたNMRシグナルの1つに対し、修飾されたC末端に割当てられたNMRシグナルを参照すること
からなる群より選択される方法によりNMRシグナルを定量する工程を含む、
請求項78記載の方法。
【請求項80】
NMR法が、試料を化学変性剤と接触させる工程をさらに含む、請求項77記載の方法。
【請求項81】
化学変性剤が、尿素およびグアニジンからなる群より選択される、請求項80記載の方法。
【請求項82】
抗体検出法が、ウェスタンブロット、アフィニティクロマトグラフィー、および酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)からなる群より選択される、請求項76記載の方法。
【請求項83】
工程(b)においてそのC末端に結合したジエチルアミド部分を有するポリペプチドのコポリマー-1試料中の存在または量を決定する前に、試料を分画する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項84】
液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、およびそれらの組合せからなる群より選択される方法により試料を分画する工程を含む、請求項83記載の方法。
【請求項85】
工程(b)において試料を分析する前に、試料を精製する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項86】
ゲル電気泳動法、サイズ排除クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、溶媒抽出、沈殿、アフィニティクロマトグラフィー、ホスホペプチドの選択、低い存在量のアミノ酸の選択、1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドの親和性タグへの連結、1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドの1つまたは複数のカルボキシル基のエステル交換、EDC/アミン化学による試料の処理、ならびに1つまたは複数のアミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドの1つまたは複数のカルボキシル基に結合するタンパク質による試料の処理からなる群より選択される方法により、試料を精製する工程を含む、請求項85記載の方法。
【請求項87】
試料の断片化をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項88】
試料を化学的解重合により断片化する工程を含む、請求項87記載の方法。
【請求項89】
試料の化学的解重合が、試料を強酸または強塩基と接触させる工程を含む、請求項88記載の方法。
【請求項90】
酵素消化により試料を断片化する工程を含む、請求項87記載の方法。
【請求項91】
酵素消化による試料の断片化が、試料をトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、Glu-C、カルボキシペプチダーゼ、およびそれらの組合せからなる群より選択されるプロテアーゼと接触させる工程を含む、請求項90記載の方法。
【請求項92】
試料を複数のプロテアーゼと同時に接触させることにより、試料を断片化する工程を含む、請求項90記載の方法。
【請求項93】
試料を複数のプロテアーゼと連続して接触させることにより、試料を断片化する工程を含む、請求項90記載の方法。
【請求項94】
結合したジエチルアミド部分を有するC末端を含む1つまたは複数のポリペプチドからアミンを遊離させる工程を含む、請求項61記載の方法。
【請求項95】
1つまたは複数のポリペプチド鎖からアミンを遊離させるために、1つまたは複数のポリペプチド鎖を解重合する工程を含む、請求項94記載の方法。
【請求項96】
アミンがジエチルアミンである、請求項94記載の方法。
【請求項97】
アミンが、ガスクロマトグラフィー(GC)、GC-MS、HPLC、LC-MS、NMR、抗体検出法、ラマン分光法、キャピラリー電気泳動法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、およびイオンクロマトグラフィーからなる群より選択される方法により検出される、請求項94記載の方法。
【請求項98】
誘導体化されたアミンを形成するためにアミンを発色団で誘導体化する工程、ならびに誘導体化されたアミンをHPLCにより検出する工程をさらに含む、請求項94記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2009−535627(P2009−535627A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508007(P2009−508007)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/067777
【国際公開番号】WO2007/127977
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508134441)モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】