説明

ペリクル用収納容器

【課題】ペリクル用収納容器を構成するトレイと蓋をテープを用いて容易かつ強固に固定すること。
【解決手段】
ペリクル膜6と当該ペリクル膜6を支持する支持枠7とを有するペリクル5を輸送するためのペリクル用収納容器1であって、トレイ3と、当該トレイ3の蓋となるカバー2と、を有し、トレイ3およびカバー2の外周部に、平面を形成するように折り曲げた平面折曲部21d,31dを備え、トレイ3にカバー2を被せた状態において、トレイ3の外周部とカバー2の外周部によって平面部4を形成する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペリクル膜とペリクル膜を支持する支持枠とを有するペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体回路パターンの製造工程におけるリソグラフィ工程で使用されるフォトマスクの防塵を目的に、ペリクルが用いられている。ペリクルは、一般的に、ニトロセルロース等の透明な高分子膜から成る厚さ10ミクロン程度のペリクル膜と、それを一方の周端面にて支持する厚さ数ミリ程度の支持枠とを備えている。フォトマスク上に異物が付着すると、その異物のパターンが半導体回路上に転写され、半導体チップの多くを不良品としてしまう危険性がある。このため、フォトマスクの上方をペリクル膜にて覆うようにペリクルを配置し、フォトマスク上に異物が入ることを防止するようにしている。
【0003】
また、ペリクルは、ペリクル膜等に異物が付着することで、ペリクルが損傷するのを防ぐために、ペリクル用収納容器に収納されて運搬される。このペリクル用収納容器は、ペリクルを載置するためのトレイと、蓋とから構成されている。ペリクル用収納容器には、当該収納容器の内部に異物が混入しないような密封性が要求される。このような要求に鑑み、特許文献1に開示される発明では、ペリクル用収納容器を構成するトレイおよび蓋のコーナー部にテープシールを取り付けて密封性を確保している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−361705号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているペリクル用収納容器では、ペリクル用収納容器を構成するトレイおよび蓋の両端部で形成された面には、幅の狭い領域しかないため、テープシールによりトレイと蓋を固定する場合、テープシールを折り曲げながら両端部を貼り付けなければならない。したがって、テープシールが貼りにくくなると共に、トレイと蓋との固定強度が弱くなるという問題を有している。また、テープシールが折り曲げて貼られるため、テープシールを貼った状態では、当該シールにしわが発生し、ペリクル用収納容器の密封性を十分確保することができないといった問題も有している。
【0006】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、トレイと蓋との固定をテープを用いて容易にかつ強固に行うことができる構成を有するペリクル用収納容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ペリクル膜と当該ペリクル膜を支持する支持枠とを有するペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器であって、トレイと、当該トレイの蓋となるカバーと、を有し、トレイおよびカバーのうち少なくともいずれか一方の外周部に、平面を形成するように折り曲げた平面折曲部を備え、トレイにカバーを被せた状態において、トレイの外周部とカバーの外周部によって平面部を形成する構成としたものである。
【0008】
このように構成した場合には、トレイまたはカバーの外周部に平面折曲部が設けられているため、平面部にテープを貼ることにより容易にかつ強固にトレイとカバーを固定することが可能となる。また、平面折曲部は外周部に対して全周に亘って、平面を形成するように折り曲げられているため、外周部の剛性が増し、ペリクル用収納容器全体の強度が向上する。さらに、ペリクル用収納容器の外周部に平面部が存在するため、ペリクル用収納容器を把持しやすくなる。ここで平面部は、完全に平滑な平面のみならず、若干の段差を有するものを含むように広義に解釈される。当該段差は、5mm以下とするのが好ましい。
【0009】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、トレイおよびカバーにそれぞれ平面折曲部を備え、各平面折曲部は、互いに逆方向に向かって延出し、平面部を形成している。
【0010】
このように構成した場合には、各平面折曲部は、外周部から互いに逆方向に向かって延出し、平面部を構成している。そのため、カバーおよびトレイの外周部にテープを貼るための十分に広い面積を確保できる。また、平面部は1つの平坦な平面を形成しているため、当該平面部にテープを容易に貼ることが可能となる。
【0011】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、トレイおよびカバーにそれぞれ平面折曲部を備え、各平面折曲部は互いに同方向に向かって延出し、平面部を形成している。
【0012】
このように構成した場合には、各平面折曲部は、外周部から互いに同方向に向かって延出し、平面部を構成している。そのため、カバーおよびトレイの外周部にテープを貼るための十分に広い面積を確保できる。また、平面部は1つの平坦な平面を形成しているため、当該平面部にテープを容易に貼ることが可能となる。
【0013】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、平面部の幅を20mm以上としたものである。このように構成した場合には、汎用のテープを用いて支障なく、カバーとトレイを固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ペリクル用収納容器を構成するトレイと蓋とをテープを用いて容易にかつ強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態に係るペリクル用収納容器について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るペリクル用収納容器1の分解斜視図である。また、図2は、図1に示すペリクル用収納容器1を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、ペリクル用収納容器1は、トレイ3と、その蓋であるカバー2とを備えている。
【0018】
カバー2は、外形が略長方形であって、一方に開口部を有する蓋部材である。カバー2の外周には、後述するカバー2の外方延出部21cから全周に亘って略垂直方向上向きに延出する平面折曲部21dが設けられている。
【0019】
また、トレイ3は、一方に開口部を有する略長方形の箱型部材である。カバー2とトレイ3の外形は共に同じ形状となっている。また、トレイ3の外周には、後述するトレイ3の外方延出部31cから全周に亘って略垂直方向下向きに延出する平面折曲部31dが設けられる。さらに、トレイ3には、カバー2およびトレイ3によって形成される内部空間において、ペリクルを載置するための載置部3bが設けられている。載置部3bは、図1に示すように、四角枠形状に形成されており、ペリクル用収納容器1の内部空間において底面30a側からトレイ3の開口側に向かって突出している。
【0020】
カバー2およびトレイ3は、後述するように、元板の厚さが約3mmのABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの3種の単量体からなる共重合体)を真空成型用金型を用いて真空成形することにより製造される。ただし、カバー2およびトレイ3の材料はABS樹脂に限られるものではない。また、元板の厚みは3mmに限定されず、3mmより薄くしても良いし、3mmより厚くしても良い。さらに、成形方法としては、真空成形に限ることなく、圧空成形あるいは圧空真空成形等の他の成形方法を採用しても良い。
【0021】
ここで、「真空成形」とは、軟化状態の樹脂を金型に配置して、その樹脂と金型との間の空間を真空にすることによって、樹脂を金型に吸い付けて成形する方法をいい、金型への樹脂の供給方法は問わない。したがって、シート形状の樹脂を金型に配置したり、あるいは溶融状態の樹脂を金型に吐出しても良い。真空成形の例としては、雌型を用いるストレート法、雄型によるドレープ法、樹脂シートを半球状に膨らませてその中に雄型を入れて成形するエアスリップ法、エアスリップ法で用いられる雄型の代わりに雌型を用いるリバースドロー法、雌型上にクランプした樹脂シートをプラグで雌型につき降ろし、樹脂シートを予張して真空にひく補助プラグ法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
図2に示すように、カバー2は、トレイ3の上に配置され、その後、平面折曲部21dと平面折曲部31dとで形成される平面部4に、両平面折曲部21d,31dの境界となる境界部4aを跨ぐようにテープ33が貼り付けられる(図6参照)。この結果、カバー2とトレイ3は密封した状態で固定される。このように、ペリクル用収納容器1にペリクルが収納された状態でカバー2とトレイ3とをテープ33で密封し、ペリクルの輸送が行われる。
【0023】
図3は、図2に示すペリクル用収納容器1をA−A線で切断したときの断面図である。
【0024】
図3に示すように、カバー2は、トレイ3と対向する側に開口部を有する凹状のカバー本体20と、当該カバー本体20の外周縁部の外方に形成される外延部21とを有している。カバー本体20の上面20aからは、トレイ3の載置部3bと対向するように、カバー2の開口部に向かって突出する突起部20bが形成されている。突起部20bは、載置部3bと同様、四角枠形状に形成されている。
【0025】
外延部21は、カバー本体20の外縁部から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外周延出部21aと、当該外周延出部21aの外縁から全周に亘って当該外周延出部21aに対して略垂直上方に延出する上方延部21bと、当該上方延部21bの外縁から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外方延出部21cと、当該外方延出部21cの外縁から全周に亘って当該外方延出部21cに対して略垂直上方に向かって延出する平面折曲部21dとから構成されている。平面折曲部21dの高さは約10mm以上となるように形成されているが、これに限定されるものではない。
【0026】
図3に示すように、トレイ3は、カバー2と対向する側に開口部を有するトレイ本体30と、当該トレイ本体30の底面30aから開口部側に向かって突出する載置部3bと、当該載置部3bの外縁部の外方に形成される外延部31とを有している。載置部3bは、底面30aにトレイ本体30の外形に沿った四角枠形状に形成されており、ペリクル5を載置する構成部として機能する。
【0027】
図3に示すように、載置部3bは、突出した側に水平の上側底面3cを有している。これは、後述するペリクル5を構成する支持枠7の底面と上側底面3cの上面とを隙間なく接触させ、支持枠7の底面に均一の荷重がかかるようにするためである。なお、上側底面3cの裏側は、トレイ3の外側から見て、開口部側にへこむ凹部となっている。
【0028】
外延部31は、載置部3bの外縁部から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外周延出部31aと、当該外周延出部31aの外縁から全周に亘って当該外周延出部31aに対して略垂直上方に向かって延出する上方延部31bと、当該上方延部31bの外縁から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外方延出部31cと、当該外方延出部31cの外縁から全周に亘って当該外方延出部31cに対して略垂直下方に向かって延出する平面折曲部31dとから構成されている。平面折曲部31dの高さは約10mm以上となるように形成されているが、これに限定されるものではない。
【0029】
カバー2がトレイ3上に被せられた状態では、図3に示すように、外周延出部21aと外周延出部31a、上方延出部21bと上方延出部31bおよび外方延出部21cと外方延出部31cとは、それぞれ対向面全面に渡って接触している。また、平面折曲部21dは、外方延出部21cに対して略垂直上方に向かって延出し、かつ平面折曲部31dは、外方延出部31cに対して垂直下方に向かって延出している。また、平面折曲部21dと平面折曲部31dの外面は1つの平坦な平面部4を形成している。
【0030】
図4は、図3に示すペリクル用収納容器1に収納されるペリクル5を、図2に示すA−A線で切断したときの断面図である。
【0031】
ペリクル5は、ニトロセルロース等の材質からなる厚さ10ミクロン以下のペリクル膜6を、四角枠形状の支持枠7における一方の端面に展張して貼り付けた構成を有している。支持枠7の高さは約5ミリメートルである。ただし、ペリクル膜5の材質および厚さ並びに支持枠7の高さは、上記に限定されない。
【0032】
図4におけるXで示す部分の拡大図に示すように、ペリクル膜6が貼り付けられている支持枠7の周端面と反対側の周端面には粘着材8が備えられている。粘着材8の表面には薄い剥離シート(不図示)が貼られている。ペリクル5を使用する場合には、当該剥離シートを粘着材8から剥がして、粘着材8が粘着力を発揮し得る状態としてから、支持枠7をフォトマスクに貼り付けて固定する。この粘着材8の厚みが不均一になると、フォトマスクとの間に隙間が生じるおそれがあるため、粘着材8の厚みを不均一な状態としないように、ペリクル5を輸送する必要がある。
【0033】
図5は、図3に示すペリクル用収納容器1内に、図4に示すペリクル5を収納した状態を示す図である。図6は、図5におけるYで示す部分を拡大して示した斜視図である。
【0034】
ペリクル5は、載置部3bと突起部20bとによって支持枠7を狭持されることにより、ペリクル用収納容器1内に固定される。ペリクル5が固定された状態では、当該ペリクル5はその支持枠7の底面が上側底面3cに接しており、支持枠7の上端面は突起部20bの先端部と接している。このように、ペリクル5は、ペリクル用収納容器1内に固定された状態で収納されるため、ペリクル5が輸送時に載置部3bから脱落することはない。また、図5および図6に示すように、平面部4には、境界部4aを跨ぐようにテープ33が全周に亘って貼られている。また、テープ33を貼ることにより、ペリクル用収納容器1を密閉することができる。したがって、ペリクル用収納容器1内に塵挨が入るのを防止できる。また、平面折曲部21d,31dの存在により、ペリクル用収納容器1の強度は増し、ゆがみ、反り等の変形が生じにくくなる。
【0035】
以上のようにして構成されたペリクル用収納容器1では、平面折曲部21d,31dが設けられているため、平面部4にテープ33を貼ることにより容易にかつ強固にカバー2とトレイ3とを固定することが可能となる。また、平面折曲部21d,31dは、外方延出部21c,31cに対して全周に亘って略垂直方向に延出するように凹凸を有するため、ペリクル用収納容器1の強度が向上する。さらに、平面折曲部21d,31dがペリクル用収納容器1の外周部に存在するため、ペリクル用収納容器1を把持しやすくなる。
【0036】
また、平面折曲部21d,31dは、外方延出部21c,31cに対して逆方向に向かって垂直に延出している。したがって、カバー2およびトレイ3の外周部にテープ33を貼ることができる面積を十分に確保することができる。また、平面折曲部21d,31dは1つの平坦な平面部4を形成しているため、当該平面部4にテープ33を容易に貼ることができる。さらに、平面部4の幅を20mm以上としているため、支障なく汎用のテープ33を用いることができる。平面部4の幅を20m未満とすることもできるが、トレイ3とカバー2の両板厚の和よりも広い面積とする方が、テープ33を貼りやすい。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るペリクル用収納容器40について説明する。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と多くの共通部分を有しているため、主として第1の実施の形態との相違部分について説明する。また、第1の実施の形態と同一の部材、同一の部分には同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0038】
図7は、第2の実施の形態に係るペリクル用収納容器40を、図2に示すA−A線と同様の線で切断したときの断面図である。
【0039】
ペリクル用収納容器40は、カバー2とトレイ3とを有している。カバー2は、カバー本体20と外延部41とから構成され、カバー2の内側に突起部20bを有している。本実施の形態では、カバー本体20と、突起部20の構成は、第1の実施の形態と同様な構成となっているため、カバー2に関して、外延部41についてのみ説明する。
【0040】
外延部41は、カバー本体20の外縁部から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外方延出部41aと、当該外方延出部41aの外縁から全周に亘って当該外方延出部41aに対して略垂直下方に向かって延出する平面部41bとから構成されている。平面部41bの高さは約10mm以上となるように形成されているが、これに限定されるものではない。
【0041】
トレイ3は、トレイ本体30と、トレイ本体30の外縁部にあって、トレイ3の開口側に突出する載置部3bと、載置部3bの外縁から全週に亘って延出して形成される外延部51とを有している。本実施の形態では、トレイ本体30と、載置部3bの構成は、第1の実施の形態と同様な構成となっているため、トレイ3に関しては、外延部51についてのみ説明する。
【0042】
外延部51は、載置部3bの外縁部から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外周延出部51aと、当該外周延出部51aの外縁から全周に亘って当該外周延出部51aに対して略垂直上方に向かって延出する上方延部51bと、当該上方延部51bの外縁から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外方延出部51cと、当該外方延出部51cの外縁から全周に亘って当該外方延出部31cに対して略垂直下方に向かって延出する下方延出部51dと、下方延出部51dの外縁部から全周に亘って外方に向かって水平に延出する外周延出部51eと、当該外周延出部51eの外縁から全周に亘って略垂直下方に向かって延出する平面折曲部51fとから構成されている。平面折曲部51fの高さは約10mm以上となるように形成されているが、これに限定されるものではない。
【0043】
カバー2がトレイ3上に被せられた状態では、図7に示すように、外方延出部41aの下面は、外方延出部51aの上面と接している。また、下方延出部51dの外周面は、平面折曲部41bの内周面と接している。また、平面折曲部51fの上方には、平面折曲部41bの下端面41cが接している。平面折曲部41bと平面折曲部51fとの接触面は、境界部52を形成している。平面折曲部41bと平面折曲部51fとによって形成される外表面は、1つの平坦な平面部54を形成している。
【0044】
ペリクル用収納容器40にはペリクル5が収納される。ペリクル5は、第1の実施の形態と同様、載置部3bと突起部20bとによって狭持されることによりペリクル用収納容器40内に固定される。このようにペリクル5は、ペリクル用収納容器40内に固定された状態で収納されるため、ペリクル5が輸送時に載置部3bから脱落することはない。また、平面部54には、境界部52を跨ぐようにテープ33が全周に亘って貼られる。テープ33を貼ることにより、ペリクル用収納容器40を密閉することができる。したがって、ペリクル用収納容器40内に塵挨が入るのを防止できる。また、平面折曲部41b,51fの存在により、ペリクル用収納容器40の強度は増し、ゆがみ、反り等の変形が生じにくくなる。
【0045】
以上のようにして構成されたペリクル用収納容器40では、平面折曲部41b,51fが設けられているため、平面部54にテープ33を貼ることにより容易にかつ強固にカバー2とトレイ3とを固定することが可能となる。また、平面折曲部41b,51fは外方延出部41a,51cに対して全周に亘って略垂直方向に延出しているため、ペリクル用収納容器40の強度が向上する。さらに、平面折曲部41b,51fがペリクル用収納容器40の外周部に存在するため、ペリクル用収納容器40を把持しやすくなる。
【0046】
また、平面折曲部41b,51fは、それぞれ外方延出部41aおよび外周延出部51eに対して垂直下方に延出し、平面部54を構成するように配置されている。したがって、カバー2およびトレイ3の外周部にテープ33を貼ることができる十分に広い面積を確保できる。さらに、平面折曲部41b,51fは、1つの平坦な平面部54を形成しているため、当該平面部54にテープ33を容易に貼ることができる。さらに、平面部54の幅を20mm以上としているため、支障なく汎用のテープ33を用いることができる。平面部54の幅を20m未満とすることもできるが、トレイ3とカバー2の両板厚の和よりも広い面積とする方が、テープ33を貼りやすい。
【0047】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0048】
上述の各実施の形態では、平面折曲部21d,31dおよび平面折曲部41b,51fは、外方延出部21c,31cおよび外方延出部41a,51cに対してそれぞれ垂直方向に延出しているが、これに限ることなく、例えば、図8に示すように、トレイ3の外周部のみから垂直下方に向かって平面折曲部61を延出させて平面部62を形成するようにしても良い。また、平面折曲部61を垂直上方に延出してカバー2の外周端と平面部62を形成するようにしても良い。さらに、図9に示すように、カバー2の外周部のみから垂直上方に向かって平面折曲部63を延出させて平面部64を形成するようにしても良い。この場合にも、平面折曲部63を垂直下方に延出して、トレイ3の外周端と平面部64を形成するようにしても良い。また、図10に示すように、カバー2およびトレイ3の外周部から当該カバーおよびトレイに対して傾斜するように平面折曲部65,66を延出させて平面部67を設けるようにしても良い。なお、平面折曲部65,66を同一方向に折り曲げて平面部67を形成するようにしても良い。
【0049】
また、上述の第2の実施の形態では、平面折曲部41b,51fは、外方延出部41a,51cに対して、略垂直下方に向かって延出しているが、垂直上方に向かって延出させるようにしても良い。
【0050】
また、上述の第2の実施の形態では、上方延部51bは、外周延出部51aの外縁から略垂直方向上方に向かって全周に亘って延出しているが、外周延出部51aの外縁から傾斜させて延出するようにしても良い。
【0051】
また、上述の各実施の形態では、突起部20bによりペリクル5を保持しているが、これに限ることなく、上面20aに、下方に向かってくぼんだくぼみ部を形成し、当該くぼみ部と載置部3bによりペリクル5を保持するようにしても良い。
【0052】
また、上述の各実施の形態では、載置部3bの上側底面3c全体が平坦な面となっているが、上側底面3cの内周側および外周側に直角に切り欠くような段差部を設けることにより、当該段差部に支持枠7を嵌め込む構成としても良い。また、上側底面3cに凹部を形成して、当該凹部に支持枠7を嵌め込む構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ペリクルを輸送するための収納容器を製造あるいは使用する産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るペリクル用収納器の分解斜視図である。
【図2】図1に示すペリクル用収納容器の斜視図である。
【図3】図2に示すペリクル用収納容器をA−A線で切断したときの断面図である。
【図4】図3に示すペリクル用収納容器1に収納されるペリクルを、図2に示すA−A線で切断したときの断面図である。
【図5】図3に示すペリクル用収納容器内に、図4に示すペリクルを収納した状態を示す図である。
【図6】図5におけるYで示す部分を拡大して示した斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るペリクル用収納容器を、図2に示すA−A線と同様の線で切断したときの断面図である。
【図8】本発明の変形例を示す図であり、トレイの外周部のみから垂直下方に向かって平面折曲部を延出させた場合を示す外縁部近傍の断面図である。
【図9】本発明の変形例を示す図であり、カバーの外周部のみから垂直上方に向かって平面折曲部を延出させた場合を示す外縁部近傍の断面図である。
【図10】本発明の変形例を示す図であり、カバーおよびトレイの外周部から傾斜するように平面折曲部を延出させた場合を示す外縁部近傍の断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1,40…ペリクル用収納容器
2…カバー
3…トレイ
4,54,62,64,67…平面部
5…ペリクル
6…ペリクル膜
7…支持枠
21d,31d,41b,51f,61,63,65,66…平面折曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクル膜と当該ペリクル膜を支持する支持枠とを有するペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器であって、
トレイと、
当該トレイの蓋となるカバーと、
を有し、
上記トレイおよび上記カバーのうち少なくともいずれか一方の外周部に、平面を形成するように折り曲げた平面折曲部を備え、上記トレイに上記カバーを被せた状態において、上記トレイの外周部と上記カバーの外周部によって平面部を形成する構成としたことを特徴とするペリクル用収納容器。
【請求項2】
前記トレイおよび前記カバーにそれぞれ前記平面折曲部を備え、前記各平面折曲部は、互いに逆方向に向かって延出し、前記平面部を形成していることを特徴とする請求項1記載のペリクル用収納容器。
【請求項3】
前記トレイおよび前記カバーにそれぞれ前記平面折曲部を備え、前記各平面折曲部は互いに同方向に向かって延出し、前記平面部を形成していることを特徴とする請求項1記載のペリクル用収納容器。
【請求項4】
前記平面部の幅は20mm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のペリクル用収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−41458(P2007−41458A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227880(P2005−227880)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】