説明

ペリレンn型半導体及び関連装置

電子求引性基がN−及びコア−置換されたモノ及びジイミドペリレン及びナフタレン化合物である。この化合物は、種々のデバイス構造を組み立てるために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第60/539,133号(2004年1月26日出願)(全趣旨を参照することによりここに取り込む)からの優先権の利益を請求する。
米国政府は、登録番号N00014-02-0909(0650-300-F445)及びN00014-02-1-0381(海軍研究事務所からノースウエスタン大学に)、DARPA登録番号MDA972-03-1-0023及び登録番号DMR-0076097(MRC)(国立科学財団からノースウエスタン大学に)に準じて、この発明の一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
分子及び重合材料に基づく有機半導体は、無機半導体の欠点の補足として、最近25年間のエレクトロニクス産業の主流になっている。最も特に、有機半導体は、現在の無機ベースのテクノロジーに対して、基板適合性、デバイス加工性、柔軟性、大面積カバレージ及びコスト低減における相当の容易性並びに分子デザインによる最先端の分子軌道エネルギーの安易な調整を与える。電子産業で用いられる重要なデバイスは、無機電極、絶縁体及び半導体に基づく電界効果トランジスタ(FET)である。有機半導体(OFET)に基づくFETは、低パフォーマンスメモリ素子並びに集積光電子デバイス(例えば、ピクセルドライブ及びアクティブマトリックス有機発光ダイオード(LED)ディスプレイのスイッチング素子)において特定分野の応用を見出すかもしれない。
【0003】
薄膜トランジスタ(TFT)は、有機半導体の薄膜が、下層にゲート(G)電極を伴う誘電体上に堆積される最も単純で最も一般的な半導体デバイス構造である。電荷注入ドレイン−ソース(D−S)電極は、有機膜上(トップ型)又は半導体の堆積前のFET基板の表面上(ボトム型)のいずれかに接触して画定される。ゲート及びドレイン電極間に電圧が印加されないときは、ソース及びドレイン電極間の電流は低く、そのデバイスはいわゆるオフ状態であると称される。電圧をゲートに印加すると、誘電体層との界面における半導体に電荷を誘導することができる。その結果、電荷キャリア数の増加のために、D−S電流が増大し、これをいわゆるトランジスタのオン状態と称す。FETを特徴づけることでの重要なパラメータは、単位電界当りの平均電荷キャリアドリフト速度を定量化する電界効果移動度(μ)と、オン及びオフ状態の間でのD−S電流比として定義されるオン/オフ比(Ion:Ioff)とである。
【0004】
大部分のOFETは、p型蓄積モードで動作し、これは、半導体が正孔輸送材料として作用することを意味する。しかし、有機半導体の電界の十分な発生のために、高性能電子輸送(n型)材料が、同時に必要である。最も現実的な適用のために、電界誘導電荷の移動度は、好ましくは、0.1〜1cm2/Vs未満でなければならない。また、高性能を達成するために、有機半導体は、注入及び通電現象の双方に関する一定の基準に合致又は近づかなければならず、特に、(i)正孔/電子に、達成しやすい印加電圧で印加することができるレベルでの個々の分子のHOMO/LUMOエネルギー(結晶固体中でのそれらの配置により摂動される)、(ii)隣接した分子中でも電荷マイグレーションのため、フロンティア軌道の十分なオーバーラップ(πスタッキング及びエッジ・トゥ・フェイス・コンタクト)を有する材料の結晶構造、(iii)電荷キャリア・トラップとしての極微量の不純物を伴う化合物、(iv) 効率的な電荷輸送は分子間のπ−πスタッキングの方向に沿って起こるので、ほぼFET基板法線であるそれらの長軸に優先的に配向した分子(特に、共役内殻軸)、及び(v) 単結晶様の形態を示す膜を伴う膜を伴う、ソース及びドレインコンタクト間の結晶半導体ドメインの均一なカバレッジ。
【0005】
OFETで用いられるn型有機半導体のうち、アレーン・コア・ジイミドの種類は、最も研究されたもののうちの1つである。ジイミドベースのFETについての最初の報告は、一連のナフタレン・テトラカルボキシ・ジイミドであり、その後、ペリレン・テトラカルボキシ・ジイミドの報告があった。長年にわたって、イミドの位置の化学的修飾及び適合化が、ジイミドベース材料のライブラリィの製造及び試験をもたらした。しかし、そのような化合物は、通常、空気中で不安定で、有効なデバイスの製作を満足させるとはいえない溶解性しか有していないことが見出された。
【発明の開示】
【0006】
上記を考慮して、本発明の目的は、n型半導体化合物及び/又はデバイス並びにそれらの使用のための関連方法を提供することであり、それによって、上で概説されるものを含む先行技術の種々の欠陥及び欠点を克服することができる。本発明の1以上の観点で特定の目的に対処することができ、別の1以上の観点で特定の他の目的に対処することができることが、当業者によって理解されるであろう。各目的は、本発明のすべての面において、全ての観点に適合しなくてもよいし、等しく適合しなくてもよい。このように、以下の目的は、本発明のいずれか1つの観点に対して選択的であるとみなすことができる。
【0007】
本発明の目的は、1以上の電子求引性部位又は基、及び/又はそれらから電気化学的に発生するラジカルアニオンでコア置換された多環芳香族モノ及び/又はジイミド化合物の1以上を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、上記と併せて、一連の利用可能な電子求引性N置換部位、基及び/又は置換基を有する化合物を提供することである。
本発明の他の目的は、本発明の化合物のいずれか1以上を、限定されないが、有機発光ダイオード、電界効果トランジスタ及び光電子デバイスを含む一連のデバイス構造に取り込むことである。
【0009】
本発明の他の目的は、ここで記載したタイプの化合物を、先行技術の非置換多環式化合物と比較して、そのような化合物の酸化安定性を強化し及び/又は還元電位を低減するために使用することである。
【0010】
本発明の他の目的、特徴、利点及び長所は、この要約及び種々の具体的な説明から明らかで、n型半導体材料、関連デバイス構造及びその使用についての知識を有する当業者にとって、容易に明らかである。そのような目的、特徴、利点及び長所は、単独で又はここに取り込まれる文献を考慮して、添付の実施例、データ、図面及びそれらから抽出された全ての理にかなった結論との関連を考慮して、上記から明らかである。
【0011】
本発明は、強力なπ−π相互作用を維持しながら、溶解性及びラジカルアニオン安定性を改善するために、コア及びイミド位において、種々の部分で官能化されたモノ及びジイミドペリレン及びナフタレン化合物に関する。部分又は官能基の選択は、ここに記載されているように変化させることができるが、3つの因子、1)電子求引性能、2)π共役コアへの結合能、3)溶液プロセスのための化合物の溶解性増加の可能性を考慮することができる。そのような化合物及び関連方法を、関連するデバイス(例えば、OFET)性能を強化するために使用することができる。
【0012】
以下に記載したように、シアノ置換基及びフッ素化部位のような、電気陰性又は電子求引性官能基は、高共役ナフタレン又はペリレン構造に置換された場合(例えば、N又はコア置換)、おそらく、限定されないが、ラジカルアニオンの形態で電荷キャリアの形成を促進することにより、電子注入の改善を示す。このような効果を示すために、シアノ置換ペリレンイミド(低還元電位、高溶解性及び興味深い光学特性を有する)の代表的な系を合成した。特に、そのようなコア官能化ペリレンイミド誘導体は、高い化学的/熱的安定性及び強力なπ−π分子間相互作用を示す。従って、これらの化合物及びここに記載された種類の他の化合物は、OFET及び関連デバイス構造の製造において用いることができる。
【0013】
いずれか1つのデバイス構造又は最終用途の応用に限定されることなく、本発明は、
【0014】
【化1】

(式中、A〜H及びK〜Lの各々は、水素、電子求引性置換基及びそのような置換基を含む部分から、独立して選択することができる。)
から選択される式のn型半導体化合物に関するものとすることができる。
【0015】
電子求引性置換基は、限定されないが、ニトロ、シアノ、四級アミノ、スルフォ、カルボニル、置換カルボニル及びカルボキシ基を含む。関連する部分は、限定されないが、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、多環式アリール及び置換多環アリール部分とすることができる。限定されないが、そのような部分及び関連電子求引性置換基は、(当業者によって理解され、本発明から認識されるように)Cn2n+1、Cn22n-1及びC(O)R(例えば、RはH、アルキル、Cn2n+1又はCn22n-1)基から選択することができる。A〜H及びK〜Lの少なくとも1つは、そのような置換基及び/又は関連部分のうちの1つから選択される。I及びJは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、多環式アリール及び置換多環アリール部分から独立して選択される。そのような部分のいずれかは、上記の電子求引性置換基の1以上を含むことができる。例えば、限定されることなく、特定の置換アルキル部分は、Cn2n+1、Cn2n+1、Cn22n-1等を含むことができる。さらに、そのようなアルキル又はアリール部分いずれかの1以上のメチレン (−CH2−)又はメテン(−CH=)成分は、ヘテロ原子(例えば、O又はN)で置換され、対応置換部分(例えば、エーテル、アミン、ポリエーテル、ポリアミン及び対応複素環式芳香族部分)を与えることができる。
【0016】
特定の他の実施形態において、A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つは、電子求引性置換基又はそのような置換基を含む部分のいずれかとすることができる。特定の他の実施形態猪において、そのような電子求引性置換基は、フッ素及びハメットσ+値が0.3以上の置換基から選択することができる。限定されることなく、A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つは、シアノ基とすることができる。特定の他の実施形態では、より詳しく下で議論されるように、以下の代表的な構造で示すように、そのようなシアナート化された化合物は、ジ又はテトラ置換とすることができる。
【0017】
【化2】

コア置換に関係なく、特定の実施形態では、特定のいかなるパターン、程度、コア置換にかかわらず、I及びJの少なくとも1つは、任意に、フルオロ基を選択することができる。
【0018】
同様に、どのような特定の最終用途の応用にかかわらず、本発明は、一連のデバイス構造に取り込まれるタイプの複合物に指向することができる、そのような複合物は、適当な基板及び、その間に挟まれるいずれかの付加機能層を伴って又は伴わないで、半導体成分を含むことができる。そのような半導体成分は、先に述べたような、N及びコア置換された化合物
【0019】
【化3】

から選択される式の化合物を含むことができる。特定の実施形態では、そのような複合物を、OFETまたは他のデバイス構造に取り込むことができる。コア置換物は、先行技術の非置換ペリレン化合物と比較して、そのような化合物の酸化安定性を強化し及び/又は還元電位を低減させ、デバイス性能を向上させるために用いることができる。
【0020】
一部には、本発明は、また、
【0021】
【化4】

(式中、A〜D及びG〜Hは、水素及びシアノ基から独立に選択される(その化合物は、ジシアノ置換される)。)
から選択される式のn型半導体化合物に指向することができる。
【0022】
E及びFは、水素及び種々の代表的なペリレン化合物に関連して上述したタイプの部分から独立に選択することができ、そのような部分は、さらにここで記載した種類の1以上の電子求引基で置換されていてもよい。そのような化合物は、以下に示すように、非置換ナフタレン化合物と比較して、そのような化合物の酸化安定性を強化し及び/又は還元電位を低減させために用いることができる。
【0023】
本発明の化合物、複合物及び/又は方法に関して、化合物は、好ましくは、上述した置換基及び部分のいずれか1つを含む、からなる、実質的にからなる。そのような各化合物又はそれらの部分/置換基のそれぞれは、組成的に区別でき、特徴的に対比され、他のものとは分離して及び別個に、本発明に関連して実用化することができる。従って、ここに例示されるように、本発明の化合物、複合物及び方法は、いずれか1つの特定の化合物、部分及び/又は置換基(特別に記載又は引用された又はされていない、そのような化合物、部分及び/又は置換基)の不存在下で、実用かされるか、利用されると理解すべきである(その欠如は、特に記載又は引用されないかもしれないが)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】トルエン中での適用化合物の電子吸収及び蛍光(強度)スペクトルである。蛍光スペクトルは、480〜490nmの励起で得た。
【図2】それぞれ0.1MのBu4NPF6及び0.1MのBu4NC1O4を含むブチロニトリル中でのCNPMI及びCN3PMIの電子吸収スペクトルであり、それぞれ、−0.9及び−0.3V対SCEでの定電位電解で得た。
【図3】0.1MのBu4NC1O4を含むDMF中でのCN2PDI-及びCN2PDI2-の電子吸収スペクトルであり、それぞれ、−0.1V対SCE及び−0.6V対SCEでの定電位電解で得た。
【図4】選択された限定されないジシアノ化合物tCN2PDI及びcCN2PDIである。
【図5】tCN2PDI及びcCN2PDIの紫外・可視吸収及びフォトルミネッセンス(PL)スペクトルである。
【図6】室温及び基板温度90℃で成長したCN2PDI薄膜のX線回折データである。
【図7】25℃及び基板温度90℃で成長したCN2PDI薄膜のAFM分析である。
【図8】基板温度90℃で成長したCN2PDI薄膜のSEM分析である。
【図9】真空、N2、12時間後の空気、5日後の空気中での、種々の正ゲート−ソースバイアス下でのCN2PDIのFET電流−電圧特性である。
【図10】本発明の化合物を特徴付けるためにここで用いたタイプの分光電気化学的セルを示す図である。
【図11】乾燥DMF、大気酸素(実線)中でのCN2PDI(10-5M)である。キュベット中にN2を泡立てながら(他の全ての線)、CN2PDI・-スペクトルは、15分にわたって連続的に増加する。
【図12】PDI−FCN2の結晶構造、a)積層関係を示す、単位格子斜線の断面図(フルオロプロピル基は明確にするために削除した)、b)アレン及びフルオロアルキル基の偏析を示す、ab面対角線に沿った断面図、シアノ基の統計学的不規則に注意のこと。
【図13】a)大気雰囲気中で0.10cm2-1-1を示すPDI−CN2のI−V特性、b)大気雰囲気中で0.64cm2-1-1を示すPDI−FCN2FETのI−V特性である。
【図14】サイクルの間、移動性の最小の変化を示す、PDI−FCN2薄膜を含むOFETから得られる長命及び安定性のグラフである。
【図15】2TorrでのFCN2PDI及びCN2PDIのTGAスキャンを示す。温度傾斜速度は、1.5℃/分である。
【図16】a)1℃のHMDS処理Si(100)基板上に堆積したPDI−FCN2、b)90℃のHMDS処理Si(100)基板上に堆積したPDI−CN2の50nm厚膜のSEMマイクログラフである。
【図17】a) 110℃でSi(100)基板上に堆積したPDI−FCN2、b)90℃でSi(100)基板上に堆積したPDI−CN2のタップモードのAFM画像である。
【図18】それぞれ110℃及び90℃でSi(100)基板上に堆積したPDI−FCN2及びPDI−CN2膜の薄膜θ〜2θのX線回折図である。反射は単結晶回折データからのPDI−FCN2に対応する。
【図19】130℃で堆積したPDI−8CN2の半導体膜を含む有機トランジスタのI−V曲線である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の種々の特徴及び利点は、特定の非限定的なn型半導体化合物(例えば、以下のモノシアノ(CN)、ジシアノ(CN2)及びトリシアノ(CN3)モノイミド(MI)ならびにジイミド(DI)ペリレン化合物等)の製造及び特徴づけを通して例示することができる。そのような化合物及びそれらの電気化学的に発生するラジカルアニオンは、安定に、一連の新規なフォトニック及びエレクトロニック膜、材料及び関連デバイス構造における光化学物質オキシダントとして機能することが示される。
【0026】
【化5】

そのようなそのようなシアノペリレン(cyanoperylene)の直接の前駆体は、対応するブロモ誘導体、つまり、N,N-ジクロロヘキシル-1,7-ジブロモペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)、N-(2,5-tert-ブチルフェニル)-9-ブロモペリレン-3,4-ジカルボキシイミド及びN-(2,5-tert-ブチルフェニル)-1,6,9-トリブロモペリレン-3,4-ジカルボキシイミドであり、これらは、本発明の炭化水素の直接的なブロモ化によって高収率で容易に合成される。還流(refluxing)DMF中でCuCNを用いる古典的なシアン化(cyanation)法は、所望のシアノ化合物を生成することができない。3つの全てのケースにおいて、この方法は、脱臭素生成物をかなり収率する。
【0027】
近年、Pd(0)触媒の存在下におけるZn(CN)2又はCuCNは、良好な収率で、ブロモアレンからシアノアレンへ変換するために用いられている。
【0028】
【表1】

a:ブチロニトリル+0.1MのBu4NC1O4
b:ブチロニトリル+0.1MのBu4NPF6、他のペリレン誘導体の存在下にあるとき、電気化学的ポテンシャル対SCE吸収スペクトル。
【0029】
Zn(CN)2法を、以下の実施例に記載したように、3つ全てのブロモペリレン誘導体を対応するシアノ化合物へ定量的に変換するために用いた。
トルエン中の中性分子の基底状態の吸収及び発光スペクトルを図1に示す。これらの発色団のそれぞれの強度吸収最高値は500nm近傍であり、未置換PMI(512nm)及びPDI(526nm)のそれらに対する波長はわずかにシフトしている。これら剛性芳香族分子のぞれぞれに存在する通常の振電数列(progression)に加えて、CNPMIのスペクトルは、420nmにさらなるバンドを示し、これは、1,6-ビスフェノキシ化(phenoxylated)されたPMI誘導体に特有のものである。420nmバンドは450nmでのCNPMIの第2の振電バンドを部分的に不明瞭にする。シアノ化誘導体は、量子収率φF>0.8で全て蛍光を発し、ローダミン640(表1)に対して測定される。これらの分子の吸収及び発光特性は、ソルバトクロミックでなく、高蛍光量子収率と相まって、それらの最低励起単一状態が、電化輸送特性をほとんど又は全く備えていないことを示唆する。最低励起単一状態のエネルギー(ES)は、それぞれ、それらの吸収及び発光最大値、λabs及びλkemのエネルギーを平均することによって概算した。
【0030】
シアノ化誘導体におけるサイクリック・ボルタンメトリーは、各分子の1−電子還元電位(E-1/2及びE2-1/2)が非置換類似体のそれらよりポジティブであることを示す(PMI:E-1/2=−0.96、E2-1/2=−1.55V;PDI:E-1/2=0.43V、E2-1/2=−0.70V、すべて対SCE)13(表1)。CN2PDI及びCN3PMIは、レドックス電位において例外的に大きなポジティブな変動を示す。分光電気化学測定は、CNPMI、CN3−PMI及びCN2PDIのラジカルアニオンならびにCN2PDIのジアニオンの電子吸収スペクトルを与える。
【0031】
ブチロニトリルにおけるCNPMI・-及びCN3PMI・-の電子吸収スペクトル(図2)は、中性分子の吸収特性が、そのラジカルアニオンに対する発色団の可逆的な電気化学的還元において可視スペクトル中の新しいバンドに取って代わることを示す。例えば、480及び735nmのマイナーなバンドとともに、CNPMI・-のスペクトルは、644nmで強い吸収バンドによって特徴づけられる。CN3PMI・-のスペクトルは、595nmで強いバンド、458及び680nmで弱いバンドを有するCNPMI・-のそれと類似している。これらのバンドは、588nmでのPMI・-の対応する強い吸収と比較することができる。
【0032】
図3は、CN2PDIの定電位電解によって得られたCN2PDI・-及びCN2PDI2-の電子吸収スペクトルを示し、第1は−0.1V対SCE、第2は−0.6V対SCEである。よりネガティブな電位で、CN2PDI・-は、明確に、可逆的に、650nmでの等吸収点によって言及されたように、CN2PDI2-に変換される。691nmでのCN2PDI.-の強い吸収バンドは、712nmでのPDI.-のそれに比較して、青方シフトし、一方、628nmでのCN2PDI2-の対応する吸収バンドは、570nmでのPDI2-のそれと比較して赤方シフトする。それらが他のペリレン誘導体の存在下にある場合でも、これら吸収特性の比較的鋭いバンド幅は、過渡吸収分光法を用いる電子輸送反応における中間体として、これらのラジカルアニオン及びジアニオンの存在を容易に確認することを可能にするであろう。
【0033】
記載した合成法のもと、CN2PDI(又は代わりに、以下に明示されたPDI−CN2)は、NMRによって示されたように、tCN2PDI及びcCN2PDIの約50/50混合物として現れる(図4)。図5は、THF溶液における光学スペクトルを示す。電気化学的データ及び光学データを組み合わせることによって、絶対軌道エネルギーを概算することができる。LUMOエネルギーは、第1還元電位及び光学的ギャップとみなすHOMOエネルギーから測定することができる。HOMO準位が−7.10eV、LUMO準位が−4.77eVであることが概算される。これらの低いMOエネルギー準位は、容易な電子注入を可能にする。
【0034】
強いオキシダントとしてCN2PDIの効果を示すために、この合成物のスペクトルを、易酸化性種の存在下でモニターした。例えば、乾燥DMF中でのCN2PDIの10-5M溶液は、691nmで吸収特性を示し、これは、約15%のCN2PDIが大気中の酸化雰囲気下においてCN2PDI・-に変換することを示す。15分間溶液を通して乾燥N2をバブリングすることにより、CN2PDI・-スペクトルの強度において劇的な増加をもたらし、これは、約60%がラジカルアニオンに変換することを示す。DMFは、分解のために、少量のN,N-ジメチルアミンを含むため、CN2PDIはアミンを酸化する可能性がある。アミニウムラジカルカチオンは、迅速に分解し、安定したCN2PDI.-の対イオンであるプロトンを生成する。これと同じ作用は、少量のトリエチルアミンをトルエン溶液に加えることによって、トルエン(それはCN2PDIによって酸化されない)で観察することができる。CN2PDIの第1還元電位が、周知のオキシダント、クロルアニル(E[A/A-]=0.02V対SCE)と非常に類似する一方、ラジカルアニオン及びCN2PDIのジアニオンは、還元クロルアニル種と違って、それ自体、良好な発色団であり、付加逆のプロトン付加反応によって分解の影響を受けにくい。さらに、CN2PDI及びCN3PMIは双方とも、有機材料の典型的な電子受容体であるC60(E[A/A-]=−0.38V対SCE)より還元がかなり容易である。
【0035】
CN2PDIの膜形成特性を、X線回折、AFM及びSEMによって試験した(図6〜8参照)。システムの化学特性によって、高配向又はアモルファス膜を、堆積法(蒸着、スピンコーティング、ケーシング)、基体温度及び/又は基体の前処理の作用に応じて製造することができる。小分子に対して、蒸着がより高品質膜を与えることが広く受け入れられており、よって、以下の膜の分析がある。X線回折は、17.9Åの膜内d−間隔を示す。MMジオメトリー最適化計算に基づくと、これらの分子長は、22Åである。基体法線に対する傾斜角は、35.3°である。AFMデータは、前処理された90℃の基体上で成膜した膜が最も平滑で最も連続的な形態を示す。
【0036】
電界効果トランジスタデバイスを組み立てるために、トップコンタクト型を利用した。半導体混合物を、25及び90℃の温度(TD)に維持した、HMDS処理Si/SiO2基板の上面に真空蒸着した。電気測定を、真空(〜10-4トル)、N2(g)、大気雰囲気下で行った。本発明のFETデバイスを、上述したように、さらに、米国特許第6608323号、特に実施例16及び図8(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に従って組み立てた。
【0037】
図9は、3つの大気条件における異なるゲートバイアスで駆動させたCN2PDIの代表的なドレイン―ソース電流/電圧プロットを示す。他の有機FETとの比較の目的のために、移動度を、標準的な電界効果トランジスター方程式によって計算した。従来の金属−絶縁体−半導体FET(MISFET)において、種々のVGでのIDS対VDS曲線において、一般的に直線的な飽和領域がある。大きなVDSでは、電流は飽和し、式(1)が与えられる。
【0038】
(IDS)sat=(WCi/2L)μ(VG−Vt)2 (1)
(式中、L及びWは、それぞれ、デバイスのチャネル長及び幅、Ciは絶縁体容量(300nmのSiO2で1×10-8F/cm2)である。)
移動度(μ)及び閾値電圧(Vt)は、VG対(Isd)1/2(Vsd=−100Vにて)のプロットの直線部位のスロープ及び線分のそれぞれから算出することができる。これらのデータから、0.1cm2/Vsに近づくn型移動度、105の電流オン/オフ比及び〜14VのVtを、真空中、N2雰囲気中で得た。空気中での駆動で、0.05cm2/Vsの移動度を得た。成膜及び材料精製を最適化することにより、非常に高い移動度を与えるであろう。
【0039】
PDI−CN2誘導OFET(下記参照)による結果は、さらなる電子求引性置換基及びより大きな揮発性、例えば、PDI-FCN2と称されるN−フルオロアルキル置換ジイミドを有する他の代表的なPDI誘導体の合成を示唆する。
【0040】
【化6】

この化合物は、コアシアン化(cyanation)及びN-フルオロアルキル化(fluoroalkylation)法の改変を用いて合成され、異核NMR、質量分析、光学吸収分光学、光ルミネセンス、サイクリックボルタンメトリー、熱重量分析及び単結晶X線回折によって特徴づけられた。TGAは量的昇華を示すが、電気化学的データ及び光学データ(表2)は、LUMO準位対PDI/PDI−CN2のさらなる低下を示す。
【0041】
上述したように、双方のPDI材料に対して、1:1の異性体(1,7又は1,6位でのシアノ化)の混合物は、NMRによって示されるが、この特性は、分光学的、電子的、構造的及び固体状態の電荷輸送特性に対して重要でないことが見出された(少量の純粋な1,7異性体における測定によって確認)。PDI−FCN2の単結晶は、昇華によって成長し、結晶構造(図12)は、スリップスタックされた対面分子充填のわずかにねじれたポリサイクリックコア(〜5°のねじれ角)及び3.40Åの最小格子面間隔を示す。このモティーフは、かなりの分子間π−πオーバーラップをもたらすようであり、その結果、良好な電荷輸送特性を示す(下記参照)。無秩序シアン置換基の配置は、この構造特性が、充填に全く影響を及ぼさないことを示す。
【0042】
【表2】

a THF(10-5/10-6 M)中で測定、
b THFの0.1MのTBAPF6溶液中で測定、対S.C.E.
【0043】
比較の目的のために、トップコンタクト型のOFETを、下記のように、気相成長PDI膜(10-6トル、0.2Å/sで成膜)で製造し、移動度を標準的な方法によって飽和領域で測定した[a) A. Facchetti, Y. Deng, A. Wang, Y. Koide, H. Sirringhaus, T. J. Marks, R. H. Friend, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2000, 39, 4547; b) A. Facchetti, M. Mushrush, H. E. Katz, T. J. Marks, Adv. Mater. 2003, 15, 33; c) A. Facchetti, M.-H. Yoon, C. L. Stern, H. E. Katz, T. J. Marks, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2003, 42, 3900.]。気相成長膜の微細構造及び移動度は、成膜中の基体温度に影響されやすいことがわかる。これらの材料の注目に値する空気安定性のために、ここで示される全データを、大気雰囲気下で得た(図13)。PDI−FCN2デバイスが、0.64cm2-1-1の移動度、−20V及び−30V間の閾値電圧及び〜104と高いIon/Ioff(+100V/−60V)を示す一方、PDICN2ベースのOFETは、0.10cm2-1-1と高い移動度、〜15Vの閾値電圧及び〜105のIon/Ioff(+100V/0V)を示す。そのような移動度は、現在までに報告されたなかで最も高い値である。大気条件下で保持及び試験されたデバイスは、6ヵ月で、移動度、閾値電圧、Ion/Ioffにおいてごくわずかの劣化を示すのみである。
【0044】
気相成長薄膜の微細構造を、XRD、AFM及びSEMで、それぞれ分析したところ、XRDは、PDI−CN2及びPDI−FCN2について、17.9Å及び20.3Åと、最も高い移動度のデバイスにおけるd−間隔を示した。幾何学における最適化から、PDI−CN2について22.0Åの算出分子長(Hyperchem (TM) 5.02,Hypercube, Inc.,1115 NW 4th Street, Gainesville, FL 32601, USA)及びPDI−FCN2について22.8Åの結晶学的測定長、それぞれ基板法線に対して55°及び62°のチルト角が概算される。これらの結果は、ソース−ドレイン電極電荷輸送に対する好ましい分子配光を示唆する。膜形態のAFM及びSEM分析は、リボン様グレイン(長さ400〜800nm、幅〜100nm)を有する多結晶構造を確認する。そのような大きいグレインの多結晶特性は、効率的なπ−π分子間オーバーラップ及びトラップ部位の最小化によって電荷キャリア移動度を促進する。
【0045】
応用のための本質的な汎用性を調査するために、ボトムコンタクトOEFT及び溶液−キャスト膜における予備的な研究を行った。ボトムコンタクトデバイスは、10-3から10-4cm2-1-1と空気中で安定した移動度を示す。PDI−FCN2トランジスタは、多くのフッ化有機半導体のように、金属/有機物界面での表面エネルギーを良好に適合させるために、金電極のアルカンチオール処理を利用することができる。面白いことに、PDI−CN2デバイスは、チオール化された電極を用いずに機能し、改質されていない基板において機能するPDIの能力を保持する。ディップ−キャスト膜で製造されたトップコンタクトデバイスも、空気中で安定であり、10-3から10-5cm2-1-1の移動度を示す。対照的に、コア官能基を有していない、PDI誘導体の高品質膜の溶液キャスト法は、一般的な溶媒中での溶解度が低いために困難である。
【0046】
そのようなPDIシステムのユニークな特性のうちの1つは、VG=0Vでの相当の電荷キャリア密度の存在である。よって、これらの材料に対するOFET閾値電圧は、VG=−20Vから−30Vであり、電荷キャリアが存在しない、つまり「オフ」状態の規定は、−60Vである。これらのデバイスは、「常にオン」のトランジスタとして分類される。場合によっては、VG=0V以下の電荷キャリアの存在は、オキシダントへの暴露によって反転させることができ、我々のデバイスに対して、I2蒸気は閾値電圧を−5Vより大に増大させ、VG=0VでISDを最高1桁まで減少させる。
【0047】
PDI−FCN2及びPDI−CN2ベースのOFETの駆動の空気安定性は、特に注目に値する。n型有機半導体における大気安定性は、フルオロカーボンの自己偏析によって密な充填を促進するのみならず、電荷キャリアを電気的に安定化させる、電子求引性フッ化置換基の恩恵を受けると考えられる。レドックス電位の存在から判断して、電荷キャリアは、O2(g)に対して熱力学的に安定するとは、当初期待されていなかったが、最密フッ素官能基は、酸化に対する動的バリアを提供するのを助けるかもしれない。PDIの戦略的なシアノ化は、空気に安定なN−フルオロアルキル及びN−アルキル材料を生産し、おそらく非常に低いLUMOでキャリヤ安定性を反映する。
【0048】
上に示したように、本発明は、高いキャリヤ移動度と空気中で安定なOFET駆動を有する溶液工程可能な、多環式n型有機半導体を提供する。顕著な特性は、コア及び/又はイミド部位で電子求引性官能基の組み合わせを反映する。特に、いかなる唯一の理論又は駆動モードに限定されることなく、シアノ置換基は、大気下での酸化に耐えるためにLUMOを低減させることによって溶液工程に対する溶解性及び負に荷電するポーラロンの安定性を提供する。同様に、電子求引性N−官能基は、さらにLUMOエネルギーを低下させることによってポーラロン安定性を助長すると思われているが、増加した分子間π−オーバーラップを充填する密な分子及びより効率的な電荷移動を誘導するかもしれない。利用できるPDI官能基のための豊かな化学で、種々の他の誘導体が、本発明のこれらの認識によって当該分野で知られているように、有機n型エレクトロニクスで構造−機能関係を説明する際に有益であると判明するはずである。
【0049】
本発明の実施例
以下の非限定的な例とデータは、本発明の化合物、デバイス及び方法に関する種々の観点及び特性を例示し、n型半導体として、及び/又は電界効果トランジスタデバイスとともに、種々のモノ及びジイミド、N−及びコア−置換ペリレン及び/又はナフタレン化合物の使用を含む。そのような置換化合物は、ここに記述される合成方法によって入手できる。本発明の有用性は、いくつかのそのような化合物の使用によって示されるとともに、類似の結果が、商業的に利用できられるか又は文献に記載されたように、及びここで与えられた置換によって又は既知の試薬及びそのような合成法の直接的な変更を用いて、種々のほかの化合物、置換基及び/又は置換パターンで、前駆化合物によって、本発明を認識する当業者によって容易に理解されるため、得ることができることは当業者によって理解されるであろう。
【0050】
CN2PDI、CNPMI及びCN3PMIの特徴付けのための一般情報
1Hの核磁気共鳴スペクトルは、内部標準としてTMSを用いたバリアン400MHzのNMR分光計で記録した。レーザー脱離マススペクトルは、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸又はディスラノールマトリックスを用いたパーセプティブ・バイオシステムズ(Perseptive BioSystems)飛行時間型のMALDIマス分析計で得た。
【0051】
分光法
吸収測定は、0.2cmの経路長キュベットを用いた島津分光光度計(UV−1601)で測定した。蛍光量子収量は、1cmの経路長キュベットを有するPTI光子−カウント分光蛍光計で得られた修正スペクトルを用いた各化合物及びローダミン640から蛍光放出バンドを集積することによって得た。各サンプルの吸収は、励起波長で0.1未満であった。
【0052】
電気化学
電気化学的測定は、CHインスツルメンツ・モデル660A電気化学的ワークステーションを用いて行った。溶媒は、0.1Mのテトラ−n−ブチルアンモニウム過塩素酸塩又はヘキサクロロホスフェート電解質を含むブチロニトリルであった。直径1.0mmのプラチナディスク電極、プラチナワイヤカウンター電極及びAg/AgxO参照電極を用いた。フェロセン/フェロシニウム(Fc/Fc+、0.52対SCE)を、全測定の内部参照として用いた。
【0053】
分光電気化学
分光電気化学測定を、図10で例示された自家製のクォーツセルで行った。セルは、テフロンビーカーの底にはめ込まれた1mm経路長の長方形のねじぶた付き分光測光用のキュベットからなる。プラチナガーゼは、100メッシュ、直径0.07mmのワイヤによる織布であり、透明なワーキング電極として用いた。電極を、1mmの分光測光用セルに載置し、プラチナワイヤによって出力される定電位電解装置(660A CH Instruments Model)に接続した。プラチナワイヤ・カウンター及び銀ワイヤ参照電極を、テフロン容器に載置し、それはブチロニトリル中0.1Mのテトラ−n−ブチルアンモニウム過塩素酸塩又はヘキサフルオロホスフェート溶液を保持する。電気化学的ワークステーションは、ワーキング電極の電位を制御し、島津1610A UV−VIS分光計は、レドックス種の吸収スペクトルを得た。全ての電気化学的測定を、アルゴン雰囲気下で行った。サンプルの一連の吸収スペクトルを、電位誘発スペクトル発展が完了するまで行い、それに通常7、8分かかった。
【0054】
実施例1
N,N-ビス(シクロヘキシル)-1,7-ジシアノ-ペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)(CN2PDI)
N,N-ビス(シクロヘキシル)-1,7-ジブロモ-ペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)(0.048 g、0.07 mmol)、シアン化亜鉛(0.065 g、0.55 mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン(0.005 g、0.01 mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパジウム(0)(0.010 g、0.01 mmol)を4mlのp−ジオキサン中に混合し、窒素雰囲気下で19時間還流した。粗生成物をクロロホルムで希釈し、セライトでろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。粗生成物を、98%DCM/2%アセトンを溶離液として用いたシリカカラムでクロマトグラフ法にかけ、0.041gのCN2PDI(理論値0.041 g、定量)を収量した。
【0055】
1H NMR (CDCl3):9.692 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.934 (s, 2H), 8.888 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 5.025 (m, 2H), 2.533 (m, 4H), 1.931 (m, 4H), 1.755 (m, 6H), 1.504 (m, 4H), 1.329 (m, 2H).
M.S.(EI):計算値 C38H28N4O4: 604.2105、 実測値:604.2108。
【0056】
実施例2
N-(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-9-シアノ-1,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-ペリレン-3,4-ジカルボキシミド(CNPMI)
N-(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-9-ブロモ-1,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-ペリレン-3,4-ジカルボキシミド(0.100 g、0.10 mmol)、シアン化亜鉛(0.047 g、0.40 mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン(0.009 g、0.02 mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパジウム(0)(0.003 g、0.003 mmol)を、25ml丸底フラスコ中で、10mlのp−ジオキサン中に混合し、加熱し、窒素雰囲気下で36時間還流した。室温に冷却し、粗反応混合物をクロロホルムで希釈し、水で2回洗浄し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。粗生成物を、65%ヘキサン/35%クロロホフム混合液を溶離液として用いたシリカカラムでフラッシュ・クロマトグラフ法にかけ、0.094gの生成物を利用可能にした(理論値0.094 g、定量)を収量した。
【0057】
1H NMR (CDCl3): 9.525 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 9.422 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.342 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.281 (s, 2H), 8.021 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.844 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.516 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.394 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.305 (s, 2H), 7.020 (s, 4H), 6.952 (s, 1H), 1.2-1.4 (s, 72H).
M.S.(EI): 計算値C65H70N2O4:942.5330、実測値:942.5320。
【0058】
実施例3
N-(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-1,6,9-トリシアノ-ペリレン-3,4-ジカルボキシイミド(CN3PMI)
N-(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-1,6,9-トリブロモ-ペリレン-3,4-ジカルボキシイミド (0.082 g、0.11 mmol)、シアン化亜鉛(0.156 g、1.33 mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン(0.009 g、0.02 mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパジウム(0)(0.004 g、0.004 mmol)を5mlのp−ジオキサンに加え、加熱し、窒素雰囲気下で16時間還流した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、セライトでろ過紙、溶媒をロータリーエパポレーターで除去した。粗生成物を溶離液として塩化メチレンを用いたシリカカラムでフラッシュクロマトグラフィーにかけ、0.062gのCN3PMI(理論値0.064 g、97 %)を得た。
【0059】
1H NMR (CDCl3): 9.603 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 9.532 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 9.048 (s, 2H), 8.638 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.248 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.096 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.608 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.495 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.967 (s, 1H), 1.328 (s, 9H), 1.283 (s, 9H).
M.S.(EI):計算値 C39H28N4O2: 584.2207、実測値:584.2199。
【0060】
実施例4
酸化試験
大気酸素条件下、DMF中の10-5MのCN2PDI溶液を、キュベット中に載置し、島津1601の紫外−可視光線スペクトロメータでスペクトルを記録した。図11中の実線がそのスペクトルである。乾燥窒素を15分間にわたってキュベットにバブリングした。スペクトルを3分毎に記録し、図12中に、破線及び二点は線で付したトレースを連続的に示した。最大の強度バンドはキュベットへのN2パージングの15分後に、691nmに現れた。
【0061】
本発明は、アレンジイミドにおけるコア及びイミド置換基の適当な組み合わせが、ユニークな特性を有する材料を与える分子及び固体状態の特性に影響を及ぼすことを示す。その結果は、対応するFETデバイスの分子機能、置換分として働く電子効果及び空気安定性の関係を例示する。合成及び分離の方法は、デバイス性能を向上させるのに用いることができる。この種類のアレンジイミド及び/又はそれらの特定の化合物は、エレクトロニクス、光通信学及びオプトエレクトロニクスの新しい応用のための非常に有望な材料である。
【0062】
実施例5〜12に関連して、1HNMRスペクトルを、内部標準としてTMSを用いたバリアン400MHzのNMR分光計で記録した。レーザー脱離マススペクトルは、ディスラノールマトリックスを用いたパーセプティブ・バイオシステムズ(Perseptive BioSystems)飛行時間型のMALDI質量分析計で得た。溶媒及び試薬は一般的なものを用いた。フラッシュ及び薄層クロマトグラフィは、ソルベントテクロロジーズ(Sorbent Technologies、アトランタ、GA)シリカゲルを使って実行した。全ての溶媒は、分光測光用等級であった。トルエンは、CuO及びアルミナカラム(GlassContour)によって精製した。
【0063】
光学吸収測定は、1.0cmの経路長キュベットを用いた島津分光光度計(UV−1601)でなされた。蛍光量子収量は、1.0cmの経路長キュベットを有するPTI光子−カウント分光蛍光計で得られた修正スペクトルを用いた各化合物及びローダミン640から蛍光放出バンドを集積することによって得た。各サンプルの吸収は、励起波長で0.1未満であった。
【0064】
電気化学的測定は、CHインスツルメンツ・モデル660A電気化学的ワークステーションを用いて行った。溶媒は、0.1Mのテトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート電解質を含むテトラヒドロフランであった。直径1.0mmのプラチナディスク電極、プラチナワイヤカウンター電極及びAg/AgxO参照電極を用いた。フェロセン/フェロシニウム(Fc/Fc+、0.52対SCE)を、全測定の内部参照として用いた。
【0065】
実施例5
N,N'-ビス(1H,1H-パーフルオロブチル)-1,7-ジブロモ-ペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)の合成
1,7-ジブロモペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシジアンヒドリド試薬を文献にしたがって製造した(Ahrensら、J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 8284-8236参照)。ジブロモ化合物(0.920 g、1.67 mmol)を20mlの1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)と混合し、20分間超音波処理バスに載置した。次いで、15mlのNMP中の2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアミン(フルオロケミカルズ(Fluorochemicals)/SynQuest Labs)を加え、続いて酢酸(0.684 g、mmol)を添加した。反応混合物を、N2雰囲気下で4時間、85〜90℃に加熱した。内容物を室温に冷却し、200mlのメタノールに注ぎ、一晩、−10℃のフリーザー中に載置した。赤色沈殿物をろ過によって回収し、N2スチーム下で乾燥し、シリカ(クロロホルム)でクロマトグラフィーにかけ、ビス(パーフルオロ)化合物(1)(1.196 g、78 %)を得た。
【0066】
1H NMR (CDCl3): ( 9.359 (d, J = 8.15 Hz, 2H), ( 8.822 (s, 2H), ( 8.615 (d, J = 8.15 Hz, 2H), ( 5.009 (m, 4H).
M.S.: 912.51 (計算値909.88)。
【0067】
実施例6
N,N'-ビス(1H,1H-パーフルオロブチル)-(1,7 & 1,6)-ジシアノ-ペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)の合成
N,N'-ビス(1H,1H-パーフルオロブチル)-1,7-ジブロモ-ペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)(1.196 g、1.31 mmol)、シアン化亜鉛(1.264 g、10.8 mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン(0.119 g、0.21 mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパジウム(0)(0.0041 g、0.004 mmol)を、20mlのp−ジオキサンに加え、窒素雰囲気下で12時間還流した。反応混合物をクロロホルムで希釈し、セライトでろ過紙、溶媒をロータリーエパポレーターで除去した。得られた粗生成物を溶離液として98%DCM/2%アセトンを用いたシリカでクロマトグラフィーにかけ、ジシアノ化合物(2)(0.845 g、80 %)を得た。生成物をさらに高真空傾斜温度昇華によってさらに精製した。
【0068】
1H NMR (CDCl3): ( 9.760 (d, J = 6.20 Hz, 2H), ( 9.742 (d, J = 6.22 Hz, 2H), ( 9.100 (s, 2H), ( 9.051 (s, 2H), ( 9.005 (d, J = 8.19 Hz, 2H), ( 8.949 (d, J = 8.17 Hz, 2H), ( 5.048 (m, 4H).
M.S.: 804.42 (計算値804.05)。
【0069】
分析計算値C34H10F14N4O4: C, 50.76, H, 1.25, N, 6.96。
実測値C, 50.76, H, 1.34, N, 6.91。
【0070】
【化7】

【0071】
実施例7
トップコンタクト形状の気相蒸着OFETを以下の方法で製造した。PDI−FCN2及びPDI−CN2の膜(〜50nmの膜厚)を、熱的に成長させたSiO2誘電体層300nmを有するn+−ドープSi(100)ウェハに、気相蒸着した(0.2Ås-1、P〜10-6Torr)。40nmの金電極を、膜堆積の前に、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラサン蒸気で処理した。膜堆積中の基板温度を、カートリッジヒーターで変化させた。
【0072】
HMDS処理シリコン基板上に直接40nmの膜厚で金電極を蒸着し、続いて上記と同じ条件下で有機膜を堆積することによって、ボトムコンタクトデバイスを製造した。金電極のアルカンチオール処理を、3時間基板をオクタデカンチオールの10-3Mのエタノール溶液に浸漬することによって行った。次いで、基板をエタノールですすぎ、膜堆積の前に乾燥した。
【0073】
溶液キャスト膜を、ディップキャスティングによって製造した。最初に基板の外縁を、溶液封じ込めのための領域を画定するために、Novec-ECC 1700電子コーティングで被覆した。基板を90℃に加熱し、材料の10-3M溶液〜1mlを堆積した。ゆっくりした蒸発プロセスの間、基板をガラス容器中に封じこめることによって、大気流から保護した。PDI−FCN2膜を、トルエンからキャストし、一方、PDI−CN2膜をクロロホルムからキャストした。PDI−FCN2を含むデバイスを装置運転中、微小変化で100サイクル以上、大気中で駆動した(図14参照)。
【0074】
実施例8
PDI−CN2及びPDI−FCN2膜のTGA、SEM、AFM及びXRD結果を図15〜18にそれぞれ示す。
【0075】
実施例9
【0076】
【化8】

N,N'-ビス(n-オクチル)-(1,7 & 1,6)-ジシアノペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)、PDI−8CN2の合成
N,N'-ビス(n-オクチル)-(1,7 & 1,6)-ジブロモペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボキシイミド)(1.318 g、1.71 mmol)及びシアン化銅(I)(1.550 g、17.31 mmol)を、20mlの乾燥DMFとともに、50mlの丸底フラスコ中で混合した。この混合物を、30分間、超音波処理バスに載置し、次いで、窒素雰囲気下、5時間、130℃に加熱した。次いで、DMFを減圧下で除去し、赤茶残渣を得た。クロロホルムでの36時間のソックレー抽出で、表記化合物を赤色粉末として、69%の収率で得た(0.777 g、1.17 mmol)。
【0077】
マススペクトル(m/z) 663.10 (計算値664.30)
1H NMR (CDC13) 報告された集大成は、1,7異性体(〜90%純度)であり、([ ]は1,6又は1,7異性体を示す): ( 9.700 (d, J = 8.2 Hz, [1,7 (1,6溶解不可能)] 2H), 9.023 (s, [1,6]), 8.972 (s, [1,7], 2H), 8.924 (d, J = 8.2 Hz, [1,7], 2H), 8.863 (d, J = 8.2 Hz, [1,6]), 4.219 (m, 4H), 1.763 (m, 4H), 1.45 - 1.20 (m, 20H), 0.884 (t, J = 6.7 Hz, 6H)。(ジカルボキシイミドを、Ulrikeら、J. Mat. Chem. (2001), 11(7), 1789-1799の方法に従って製造した)
【0078】
実施例10
PDI−8CN2(N−オクチル)の電子求引性特性は、530nmで最大吸収、547nmで最大発光、第1還元電位−0.1対S.C.E、〜6.6eVでHOMO及び〜4.3eVでLUMO(対真空レベル)を判別し、PDI−CN2(N−シクロヘキシル)のそれと実質的に区別不能である。PDI−8CN2の減圧(5トル)TGAは、その材料が〜325℃で10%未満の分解で蒸発することを示す。同時に、得られたDTAデータは、〜300℃での蒸発の前に固−液移行を示す。
【0079】
実施例11
PDI−8CN2膜を、PDI−CN2及びPDI−FCN2での研究で用いたのと類似の基板上に蒸着によって堆積した。トップコンタクト形状で金電極を前述と同様に堆積した。
【0080】
実施例12
トランジスタは、前述のように特徴づけられた。基板温度を90℃より高い温度で堆積することにより、0.2cm2-1-1と高い移動度を観察した。デバイスは、〜−6Vの閾値電圧及び104と高いION/IOFF比を有する(図19参照)。また、これらのデバイスは、不活性及び大気雰囲気下の双方で、無視できる差異で駆動する。
【0081】
実施例13
以下の表3に関して、この実施例は、本発明によって有効なタイプのペリレン化合物、材料及び/又は膜を例示する。そのような化合物は、部分I及び/又はJと、少なくとも1つの置換基ならびにA〜H及びK〜Lのいずれか1つの部位とを含むことができる。そのようなN−及びコア置換化合物は、当業者に理解されるように、ここに記載された合成技術によって、又はそれらの直接的な改変によって入手可能である。実施例6を参照すると、記載したイミドの製造は、アミン試薬及び対応一又は二無水物原料によってのみ限定される。例えば、I及び/又はJは、それぞれアミノ終端アルキル試薬又はエチレングリコールオリゴマーの使用によって、アルキル(置換又は未置換)又はポリエーテル部分とすることができる。同様に、芳香族アシル化、アルキル化及び/又は当該分野で公知の置換反応(例えば、米国特許第6585914号に記載された銅触媒化フルオロアルキル置換反応、全趣旨を参照することによりここに取り込む)のバリエーションを用いて、種々のコア置換基を、市販のペリレン無水物又はそれらのブロモ置換アナログにおける化学によって導入することができる。類似した方法で、N−及びコア置換ナフタレン化合物に匹敵する一連の化合物が、対応する原料及び試薬から入手可能である。
【0082】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

(式中、A〜H及びK〜Lの各々は、独立して、水素原子、電子求引性置換基及び電子求引性置換基を含む部分から選択され、A〜H及びK〜Lの少なくとも1つは、前記置換基及び前記部分から選択され、I及びJは、独立して、水素原子、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール及び置換アリール部分から選択される)
から選択される式のn型半導体化合物。
【請求項2】
A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つは、前記置換基及び前記部位の1つである請求項1の化合物。
【請求項3】
前記置換基が、フッ素及びハーメットσ+値0.3以上の置換基から選択され、前記部分がアルキル、シクロアルキル及びアリールから選択される請求項2の化合物。
【請求項4】
A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つがシアノ置換基である請求項3の化合物。
【請求項5】
I及びJの少なくとも1つが、Cnアルキル及びハロ置換アルキル部分から選択される請求項1の化合物。
【請求項6】
nが、約3から約16の範囲である請求項5の化合物。
【請求項7】
I及びJが、独立して、Cnアルキル及びフルオロ置換アルキル部分から選択され、A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つが、シアノ置換基である請求項6の化合物。
【請求項8】
【化2】

(式中、A、D、E、H、K及びLの各々は、独立して、水素原子、シアノ置換基から選択され、A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つはシアノ置換基であり、I及びJは、独立して、水素原子、アルキル、ハロ置換アルキル、シクロアルキル、ハロ置換シクロアルキル部分から選択される)
から選択される式のn型半導体化合物。
【請求項9】
I及びJは、Cnアルキル及びハロ置換アルキル部分から選択され、nが、約3から約16の範囲である請求項8の化合物。
【請求項10】
化合物は、ジシアノ置換されてなる請求項9の化合物。
【請求項11】
【化3】

(式中、A〜D及びG〜Hは、独立して、水素原子及びシアノ置換基から選択され、前記化合物はジシアノ置換であり、E及びFは、独立して、水素原子、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール及び置換アリール部分から選択される)
から選択される式のn型半導体化合物。
【請求項12】
A及びDは、シアノ置換基である請求項11の化合物。
【請求項13】
G及びHは、シアノ置換基である請求項11の化合物。
【請求項14】
E及びFは、Cnアルキル及びフルオロ置換アルキル部分から選択され、nが、約3から約16の範囲である請求項11の化合物。
【請求項15】
基板及びその上の半導体成分を含む複合物であって、前記成分は、
【化4】

(式中、A、D、E、H、K及びLの各々は、独立して、水素原子、シアノ置換基から選択され、A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つはシアノ置換基であり、I及びJは、独立して、水素原子、アルキル、ハロ置換アルキル、シクロアルキル及びハロ置換シクロアルキル部分から選択される)
から選択される式の化合物である複合物。
【請求項16】
前記化合物がジシアノ置換されたものであり、I及びJは、Cnアルキル及びフルオロ置換アルキル部分から選択され、nが、約3から約16の範囲である請求項15の複合物。
【請求項17】
OFETデバイスに組み込まれた請求項16の複合物。
【請求項18】
ペリレンコア置換を用いて酸化的安定性を高める方法であって、
【化5】

(式中、A〜H及びK〜Lの各々は、独立して、水素原子、電子求引性置換基を含む部分から選択され、A〜H及びK〜Lの少なくとも1つは、シアノ置換基であり、I及びJは、独立して、水素原子、アルキル、ハロ置換アルキル、シクロアルキル及びハロ置換シクロアルキル部分から選択される)
から選択される式のシアノ置換ペリレン化合物体を準備し、
該化合物は、ペリレンに比較して、該化合物の還元電位を低減させるのに十分なシアノが置換されてなる方法。
【請求項19】
A、D、E、H、K及びLの少なくとも1つが、シアノ置換基である請求項18の方法。
【請求項20】
OFETデバイスに前記化合物を組み込む請求項19の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2007−527114(P2007−527114A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551415(P2006−551415)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/002385
【国際公開番号】WO2005/076815
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(596057893)ノースウエスタン ユニバーシティ (35)
【Fターム(参考)】