説明

ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムとその製造方法

【課題】温室効果ガスが少なく、製造工程が簡略であり、配管閉塞の虞がなく、ペルフルオロアルカンスルホン酸の製造原料として好適なペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムとその製造方法を提供する。
【手段】一般式CnH2n+1SO2X(nは1〜3の整数,XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物から一般式CnF2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とする生成ガスを得る電解フッ素化工程と、この生成ガスから一般式CnF2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る工程と、このガス吸収液に含まれる不純物を除去する精製工程と、不純物を除去した水溶液を濃縮乾燥して一般式CnF2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る工程とを含むことを特徴するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品製造の際の合成触媒等として有用な一般式Cn2n+1SO3H(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する際に原料として好適な一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式Cn2n+1SO3H(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する方法としては、米国特許2732398(特許文献1)に記載された方法が知られている。すなわち、炭素数1〜3のアルカンスルホニルハライドを原料とし、これをフッ化水素酸中で電解反応に供することによってアルキル基の水素をフッ素に置換(電解フッ素化)してペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを生成させ、次にこれをアルカリ溶液と反応させてアルカリ金属塩に変換し、さらにこれを硫酸で酸分解することにより製造されている。
【0003】
しかし、上記の製造方法は電解フッ素化の工程で生成するペルフルオロアルカンスルホニルフロリドのガスを低温下で捕集する必要があり、さらに得られたペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを高温、高圧下でアルカリと反応させる必要があるため連続生産が困難など、工業的に実施する上では問題が多い。
【0004】
またこれを改良した製造方法として、特開昭64−61452号公報(特許文献2)には、電解フッ素化の生成ガスを水酸化カリウム水溶液と気液の接触を高めて常圧で反応させることにより、カリウム塩に変換しながら吸収させる方法が記載されている。この方法は、吸収液を濃縮するか、またはアルカリを添加することによりペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを吸収液から晶析させた上、濾別し、濾液をガス吸収工程に循環させることを特徴としている。
【0005】
しかし、この方法では水酸化カリウムや反応で副生するフッ化カリウムが吸収液に溶存している状態でペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの晶析を行うため、結晶中に水酸化カリウムやフッ化カリウムが内包されやすく、濾別後に水洗してもこれらは結晶内部に取り込まれているため除去し難く、これら不純物の含有量を十分に低減するのは容易ではない。
【0006】
例えば、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムにフッ化カリウムが多く含まれていると、この酸分解反応によってペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する際に、フッ化水素酸が副生し、ガラスライニング等の反応装置材質を腐食するので、工業的に大きな問題となる。
【0007】
またペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに水酸化カリウムが多く含まれていると、これに濃硫酸等を加えて酸分解反応によってペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する際に、水が副生し、この水とペルフルオロアルカンスルホン酸とから融点の高い水和物が形成され、ペルフルオロアルカンスルホン酸を減圧蒸留する際に配管に詰まりを生じる問題がある。
【0008】
さらに、この方法でペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを濾別した後の濾液には、目的物であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムや未反応の水酸化カリウムが多量残存しているためガス吸収工程に濾液を循環させ再使用する必要があることから、工程が煩雑にならざるを得ない。
【0009】
上記製造方法の他に別法として、特許第3294323号公報(特許文献3)には、原料にメタンスルホニルハライドを使用し、無水フッ化水素酸中で電解フッ素化してトリフルオロメタンスルホニルフロリドを生成し、これを水洗して酸性ガスを除去した後、水酸化リチウムの水溶液またはスラリーと反応させ、副生したフッ化リチウムを除去してリチウムトリフルオロメタンスルホネートを製造する方法が記載されている。これを酸分解してペルフルオロアルカンスルホン酸を製造することができる。しかし、この方法では、アルカリ吸収液として水酸化リチウム水溶液を使用するため、水に難溶なフッ化リチウムが副生し、これが配管内部に付着して配管を閉塞させる問題がある。
【0010】
さらに、上記何れの製造方法においても、電解フッ素化の工程において、従来、電解フッ素化反応における分解によりフルオロアルカン類およびスルホニルジフロリドが副生することは避けがたかった。近年、地球温暖化が問題になっているが、電解フッ素化の副反応である分解反応にて生成するフルオロアルカン類は、地球温暖化の主要因となっている温室効果ガスの一種であり、この温暖化係数は二酸化炭素の数千倍と現在知られている温室効果ガスの中でも高い係数を有する化合物群である。このフルオロアルカン類は酸またはアルカリの水溶液に吸収されないため後処理が難しく、この発生率を低減する必要がある。従来の上記製造技術ではフルオロアルカン類の副生を抑制することは考慮されていない。
【0011】
また、この分解反応において副生するスルホニルジフロリドは、水酸化カリウム水溶液に吸収させると硫酸カリウムが生成し、その水への溶解度は比較的小さいことからガス吸収工程の装置内部で析出し易く配管を閉塞させる問題がある。さらに、分解反応が増加すると得られるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶中の硫酸カリウムの含有量が多くなり、これを原料としてペルフルオロアルカンスルホン酸を合成するべく酸分解を実施した場合、ペルフルオロアルカンスルホン酸を減圧蒸留した後の反応残渣が固化するため、処理が困難となる。
【特許文献1】米国特許2732398
【特許文献2】特開昭64−61452号公報
【特許文献3】特許第3294323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来の製造方法における上記問題を解決したものであり、工業的にペルフルオロアルカンスルホン酸を製造するために原料として好適なペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムおよびその製造方法を提供する。
【0013】
具体的には、工業的にペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する上で原料として有用な、塩素イオン、フッ素イオン、硫酸イオン、水酸化カリウムの各不純物成分含有量を低減したペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム、および電解フッ素化工程において分解反応による温室効果ガスの発生を低減し、ガス吸収工程での配管詰りを生じる虞がなく、工程がより簡略化された前記ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法を提供するものである。なお、以下の説明において%は特に示さない限り質量%である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下の構成からなるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムとその製造方法に関する。
(1)一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を無水フッ化水素酸中で電解フッ素化して一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とする生成ガスを得る工程(電解フッ素化工程)と、この生成ガスを水酸化カリウム水溶液と反応させて一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る工程(ガス吸収工程)と、このガス吸収液に含まれる不純物のフッ化カリウム、水酸化カリウムおよび硫酸カリウムを除去する工程(精製工程)と、これらの不純物を除去した水溶液を濃縮し乾燥して一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る工程(濃縮回収工程)とを含むことを特徴とするペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(2)一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を無水フッ化水素酸中で電解フッ素化して一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とするガスを生成させ、この生成ガスを用いてペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを製造する方法において、電解フッ素化の際に、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持して副生物の生成を抑制することを特徴とするペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【0015】
本発明の上記製造方法は以下の態様を含む。
(3)電解フッ素化の原料として、一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるアルカンスルホニルフロリド化合物を使用する上記(1)または(2)に記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(4)電解フッ素化工程において、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範
囲に保持することによって、電解フッ素化反応における分解率を3%未満に制御する上記(1)〜(3)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(5)電解フッ素化工程において、電解温度0〜18℃、電流密度1〜3A/dm2に保持し、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持することによって、電解フッ素化反応における分解率を3%未満に制御する上記(1)〜(4)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(6)ガス吸収工程において、水酸化カリウム濃度が1%未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る上記(1)〜(5)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(7)ガス吸収工程において、生成ガスの導入量に対して水酸化カリウム水溶液を液ガス比10以上で接触させてペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る上記(1)〜(6)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(8)ガス吸収工程において、水酸化カリウムの初期濃度10%以上の水酸化カリウム水溶液を用い、水酸化カリウム濃度1%未満になるまでガス吸収を行わせる上記(1)〜(7)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(9)精製工程において、ガス吸収液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して上記ガス吸収液に含まれるフッ化カリウムと反応させてフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ、さらに硫酸を加えて液中の水酸化カリウムを硫酸カリウムとして沈澱化して、これらの澱物を濾過して除去し、これを濃縮乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る上記(1)〜(8)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(10)精製工程において、ガス吸収液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して上記ガス吸収液に含まれるフッ化カリウムと反応させてフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ、さらにペルフルオロアルカンスルホン酸を加えて液中の水酸化カリウムをペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに変換し、澱物を濾過して除去し、これを濃縮乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る上記(1)〜(8)に記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(11)精製工程において、ガス吸収液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して上記ガス吸収液に含まれるフッ化カリウムと反応させてフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ、さらにペルフルオロアルカンスルホン酸を酸分解反応によって製造する際の反応液残渣を加えて液中の水酸化カリウムを中和した後、沈殿物を濾過して除去し、これを濃縮乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る上記(1)〜(8)に記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
(12)精製工程において、ガス吸収液に硫酸アルミニウムを添加して液中のフッ化カリウムおよび水酸化カリウムと反応させて、フッ化物沈澱、硫酸カリウム沈澱またはそれらの複塩の沈澱を生成させ、これを濾別し、濾液を濃縮し乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る上記(1)〜(8)の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【0016】
本発明はさらに以下のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに関する。
(13)上記(1)〜(12)の何れかに記載する製造方法によって得られた塩素イオン含有量が50ppm未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
(14)上記(1)〜(12)の何れかに記載する製造方法によって得られたフッ素イオン含有量が300ppm未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
(15)上記(1)〜(12)の何れかに記載する製造方法によって得られた硫酸イオン含有量が3%未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
(16)上記(1)〜(12)の何れかに記載する製造方法によって得られた水酸化カリウム含有量が1%未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
(17)上記(1)〜(12)の何れかに記載する製造方法によって得られた純度95%以上であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の製造方法は、一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を無水フッ化水素酸中で電解フッ素化して一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とする生成ガスを得る工程(電解フッ素化工程)と、この生成ガスを水酸化カリウム水溶液と反応させて一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る工程(ガス吸収工程)と、このガス吸収液に含まれる不純物のフッ化カリウム、水酸化カリウムおよび硫酸カリウムを除去する工程(精製工程)と、これらの不純物を除去した水溶液を濃縮し乾燥して一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る工程(濃縮回収工程)とを含むことを特徴とするペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法である。
【0018】
また、本発明は、一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を無水フッ化水素酸中で電解フッ素化して一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とするガスを生成させ、この生成ガスを用いてペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを製造する方法において、電解フッ素化の際に、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持して副生物の生成を抑制することを特徴とするペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法である。
【0019】
〔原料〕
本発明の製造方法は、電解原料として一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を用いることができる。特にアルカンスルホニルフロリドを使用すれば、最終的に得られるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの塩素イオン含有量を50ppm未満に低減することができるのでより好ましい。一方、アルカンスルホニルクロリドを電解原料として用いると最終的に得られるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの塩素イオン含有量が高くなり、これを酸分解してペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する際に、最終目的物に塩素イオンが混入し易く、品質低下を招く虞がある。アルカンスルホニルフロリドは、次式に示すように、フッ化カリウム等を用い、アルカンスルホニルクロリドをフッ素置換して容易に製造することができる。
n2n+1SO2Cl+KF → Cn2n+1SO2F+KCl
【0020】
〔電解フッ素化工程〕
原料にアルカンスルホニルハライド、好ましくはアルカンスルホニルフロリドを用い、これをフッ化水素酸と共に電解槽に装入し、常圧下、窒素ガス雰囲気中で電解すると良い。次式に示すように、この電解フッ素化工程によって、一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライドのアルキル基がフッ素置換して、一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドが生成される。なお、副反応として、原料や中間体および生成したCn2n+1SO2Fが分解することによって、テトラフルオロメタン(CF4)等のフルオロアルカン類やスルホニルジフロリド(SO22)が生じる。
主反応: Cn2n+1SO2F+(2n+1)HF → Cn2n+1SO2F↑+(2n+1)H2
副反応: Cn2n+1SO2F+HF → Cnx2n+2-x、SO22など
(nは1〜3の整数、xは0〜2n+2の整数)
【0021】
ここで生成するペルフルオロアルカンスルホニルフロリド類は沸点がおのおの−21℃(n=1)、0℃(n=2)、40℃(n=3)と低いため、副生する水素や分解生成物であるフルオロアルカン類、スルホニルジフロリド、置換ガスである窒素、電解溶媒であるフッ化水素酸とともに電解槽から系外にガスとして抜き出される。
【0022】
上記電解フッ素化の際に、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持して電解フッ素化を行うことが好ましい。電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmに保持することによって、電解フッ素化反応における分解率を3%未満に抑制することができ、副生物の生成を低減することができる。
【0023】
電解液中のプロトン濃度は、原料および中間体(一部水素が残っている化合物)が有するプロトン(水素)の電解液中の重量濃度を示す値であり、内部標準を用いて電解液の核磁気共鳴分析(1H−NMR)を行うことによって得られる。
【0024】
また、分解率とは、電解フッ素化の副反応である分解反応の発生率を云い、具体的には、次式のように、主成分のペルフルオロアルカンスルホニルフロリド生成量と副生物のスルホニルジフロリド生成量の合計量に対し、副生物のスルホニルジフロリド(SO22)生成量の比によって示される。これらの生成量は、例えば、電解生成ガスのガスクロマトグラフィー分析における分析チャートの各成分のピーク面積によって与えられる。
分解率(%)=[SO22生成量]/([Cn2n+1SO2F生成量]+[SO22生成量])×100
(各生成量はガスクロ分析のピーク面積で与えられる)
【0025】
本発明者らは、このプロトン濃度と分解率の間に相関性があり、電解温度0〜18℃、電流密度1〜3A/dm2の範囲において、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmに保持することによって分解率を3%未満に抑制できることを見出した。
【0026】
分解率を3%未満に制御することによって、フルオロアルカン類の発生を低減することができ、温暖化防止に貢献できる。また、同時にスルホニルジフロリドの発生も低減するので、ガス吸収工程において水酸化カリウムと反応して生成する硫酸カリウムの副生が抑えられる。
【0027】
〔ガス吸収工程〕
電解フッ素化工程で電解槽から抜き出した生成ガスは、0〜−40℃のコンデンサーを通すことによって同伴するフッ化水素酸を液化して電解槽に戻す。コンデンサー出口から抜き出されるガス中には、コンデンサーで液化しきれないフッ化水素酸が含まれるため、好ましくは水または低濃度のアルカリ水溶液のシャワーと気液接触させて洗浄することによりフッ化水素酸を除去した後にガス吸収塔に導き、アルカリ溶液と接触させる。アルカリ溶液としては水酸化カリウム水溶液を用い、上記生成ガスと水酸化カリウム水溶液とを気液接触させて、生成ガスに含まれるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを水酸化カリウム水溶液に吸収させる。
【0028】
ガス吸収工程においては、次式に示すように、電解生成ガスに含まれている主成分のペルフルオロアルカンスルホニルフロリドが水酸化カリウムと反応してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムとなり、液中に溶解吸収される。一方、電解生成ガスに含まれる副生成物のフルオロアルカン類は水酸化カリウム水溶液に吸収されず、系外に排出される。また、同じく電解生成ガスに含まれる副生成物のスルホニルジフロリド(SO22)は水酸化カリウム水溶液に吸収されて硫酸カリウムとフッ化カリウムを生じる。
主反応:Cn2n+1SO2F+2KOH → Cn2n+1SO3K+KF+H2
副反応:SO22+4KOH → K2SO4↓+2KF+2H2
【0029】
電解フッ素化工程で分解率が高いとスルホニルジフロリドが多量に副生し、このスルホニルジフロリドとガス吸収液中の水酸化カリウムが反応して多量の硫酸カリウムを生じるので、水酸化カリウムが多量に消費されるうえに、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶中の硫酸カリウム含有量の増加を招く。さらに、この硫酸カリウムは水に対する溶解度が7.35g/100g(0℃)と比較的小さく、しかもペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムが溶液中に共存するとその塩析効果によってさらに溶解度が低下して析出しやすくなる。従って、ガス吸収液中の硫酸カリウム量が多くなると、その析出によってガス吸収工程で液を循環させる配管が閉塞する問題を生じる。
【0030】
ガス吸収工程においては、水酸化カリウム濃度10%以上の水溶液を用い、水酸化カリウム濃度が1%未満になるまで生成ガスを吸収させると良い。この場合、水酸化カリウム水溶液(吸収液)の温度を40〜90℃、好ましくは50〜80℃に保ち、水酸化カリウム水溶液と生成ガスの導入量との液ガス比が10以上になるように循環流量を調整して気液接触させると良い。上記の温度範囲で液ガス比を10以上に制御することによって、水酸化カリウム濃度が1%未満になるまで、ガス吸収率を95〜100%に保持しながら、ガス吸収を継続することができる。
【0031】
水酸化カリウム濃度10%以上で吸収工程を開始し、水酸化カリウム濃度1%未満まで吸収させると、吸収液中のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム濃度が高くなり、その塩析効果によって硫酸カリウム含有量を低減することが可能となるので有利である。またこのような高濃度の水酸化カリウム水溶液を用いても、電解フッ素化反応における分解率を3%未満に制御すれば、硫酸カリウムの析出による配管の閉塞を防ぐことができる。なお、水酸化カリウム濃度が40%以上になると水溶液の粘性が増して取扱い難くなるので、水酸化カリウム水溶液の濃度は10〜40%が適当である。
【0032】
ガス吸収率は次式によって与えられる。なお、次式において、ペルフルオロアルカンスルホニルフロリド(Cn2n+1SO2F)の量およびN2量は、ガス吸収塔入口および出口のガスをガスクロマトグラフィー分析した際の分析チャートのピーク面積によって与えられる。
ガス吸収率(%)=〔1−(Cn2n+1SO2F量比)×(N2量比)〕×100
n2n+1SO2F量比=出口側Cn2n+1SO2F量/入口側Cn2n+1SO2F量
2量比=入口側N2量/出口側のN2
【0033】
〔精製工程〕
精製工程は、前述の吸収工程において主反応で副生するフッ化カリウム、副反応で生成する硫酸カリウム、フッ化カリウム、およびガス吸収工程で消費されなかった水酸化カリウムを除去する工程である。その方法としては、(イ)吸収液をアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物で処理した後に酸で中和する方法と、(ロ)吸収液を硫酸アルミニウムで処理する方法とがある。
【0034】
(イ)アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を用いる方法は、これら何れかの水酸化物を上記ガス吸収液に添加し、このガス吸収液に溶存しているフッ化カリウムと反応させて難溶性のフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ(第一工程)、一旦、沈殿物を濾別するか、もしくは濾別せずに引き続き硫酸を加えて溶存している水酸化カリウムと反応させ、硫酸カリウム沈澱を生成させて(第二工程)、これを濾別する。
【0035】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の例としては水酸化カルシウムが好適であり、これをガス吸収液に添加してフッ化カルシウム沈澱を生成させ(第一工程)、さらに硫酸を加えて硫酸カリウム沈澱を生成させ(第二工程)、これを濾別する。濾過は第一工程と第二工程でそれぞれ分けて行ってもよい。
第一工程: 2KF+Ca(OH)2 → CaF2↓+2KOH
第二工程: 2KOH+H2SO4 → K2SO4↓+2H2
【0036】
第一工程において、水酸化カルシウムに代えて水酸化リチウムを用いても良い。この場合、次式のようにフッ化リチウム沈澱が生じ、これは上記フッ化カルシウム沈澱よりも濾過性が良いので、濾別が容易である。一方、フッ化カルシウムは水に対する溶解度がフッ化リチウムよりも小さいので、フッ素イオンをより低減できる利点がある。
第一工程: KF+LiOH → LiF↓+KOH
【0037】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を、吸収液に溶存しているフッ化カリウムに対して0.5〜2.5倍モル、好ましくは0.5〜1.0倍モル添加し、温度を50〜90℃に加熱して1〜4時間攪拌し、液中のフッ化カリウムを澱物化することによって、吸収液中に溶存している10000ppm以上のフッ素イオンを大幅に低減することができ、その結果、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶中のフッ素イオン含有量として300ppm未満に低減することが可能である。
【0038】
第二工程においては、第一工程で処理した液に20〜90℃に加熱攪拌しながら50〜100%濃度の硫酸を徐々に加え、pHが中性となったところで硫酸の添加を終了し、その後さらに1〜4時間攪拌を継続すると良い。
【0039】
また、第二工程においては、硫酸に代えてペルフルオロアルカンスルホン酸を用いても良い。この場合、次式のように、液中の水酸化カリウムはペルフルオロアルカンスルホン酸と反応してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを生成するので、硫酸で中和する場合と比べ硫酸カリウムの含有量が極めて低く、これを濃縮乾燥することにより、硫酸イオンの含有量が1%未満の高純度なペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを得ることができる。
第二工程: KOH+Cn2n+1SO3H → Cn2n+1SO3K+H2
【0040】
さらに、第二工程で中和に使用する酸として、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに硫酸を加え酸分解させてペルフルオロアルカンスルホン酸を生成させ、ペルフルオロアルカンスルホン酸を蒸留で留去した後の反応残渣を使用してもよい。この残渣には、酸分解反応で過剰に使用する硫酸の他、蒸留で留去しきれないペルフルオロアルカンスルホン酸、反応副生物である硫酸カリウムが含まれ、通常、廃棄される硫酸、ペルフルオロアルカンスルホン酸を有効に利用できるので好ましい。
【0041】
また、第二工程において、ガス吸収液中の硫酸カリウムをできるだけ除去することによって、このガス吸収液から製造されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶に含まれる硫酸イオン量を低減することができる。そのためには既に述べたように、例えば、ガス吸収液中のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム濃度を高め、その塩析効果によって硫酸カリウムを析出させることが有効である。
【0042】
なお、ガス吸収液中のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム濃度を高めるには、既に述べたように、ガス吸収工程において、吸収液として用いる水酸化カリウム水溶液の初濃度を10%以上とし、終了時の水酸化カリウム濃度を1%未満とし、さらに電解フッ素化反応における分解率を3%以下とすることが好ましい。これにより精製第二工程における吸収液中のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム濃度が高まり、その結果、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶中の硫酸イオン含有量を3%未満に低減することができる。
【0043】
なお、ガス吸収工程において、10%未満の水酸化カリウム初濃度でガス吸収を行うと、吸収液中のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム濃度が低くなり、塩析効果が低下するため、硫酸カリウム濃度が相対的に高くなる。この場合、精製第二工程で吸収液を濃縮してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム濃度を高めることによって硫酸カリウムを低減することが可能であるが、この方法では生産性が低下し、工程が増えるので好ましくない。
【0044】
硫酸イオン含有量が3%未満のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを用いれば、酸分解反応によってペルフルオロアルカンスルホン酸を製造する際に、硫酸を大過剰に使用しなくても、反応後、生成物を留去した後の反応液は固化することがなく、容易に処理を行うことができる。
【0045】
(ロ)硫酸アルミニウムを用いる精製方法では、吸収液に溶存しているフッ化カリウムおよび水酸化カリウムが硫酸アルミニウムと反応し、フッ化アルミニウム、硫酸カリウム、またはこれらの複塩を生じて沈殿化するので、これらを一緒に濾別すれば良い。
【0046】
硫酸アルミニウムは、吸収液に溶存しているフッ化カリウムおよび水酸化カリウムの総和に対して0.1〜1.0倍モル、好ましくは0.1〜0.3倍モル添加し、50〜90℃に加熱して1〜4時間攪拌し、その後0〜10℃に冷却して1〜10時間静置すると良い。
【0047】
この方法によって、(イ)の方法と同様に、吸収液中に溶存しているフッ素イオンを大幅に低減することができ、その結果、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶中のフッ素イオン含有量を300ppm未満に低減することが可能である。また、この処理ではアルカリが副生しないので、酸を使用する中和工程〔(イ)方法の第二工程〕の必要がなく、工程の簡略化も可能である。
【0048】
〔濃縮回収工程〕
上記製造工程によってフッ素イオン、硫酸イオン、水酸化カリウムの含有量を低減したペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含む水溶液を濃縮し乾燥して純度95%以上のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を回収することができる。
【0049】
水溶液の濃縮乾燥は、通常用いられる手法が適用可能である。減圧下、攪拌しながら濃縮し乾燥する方法が、得られるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶の水分含有量が低く、微粉末となって取り扱いが容易なことから特に好ましい。
【0050】
〔酸分解工程〕
次式に示すように、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに硫酸を加えて酸分解させることによって、ペルフルオロアルカンスルホン酸を製造することができる。反応は、通常、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに対して1〜10倍モル、好ましくは2〜5倍モルの硫酸を加え、常圧下、100〜180℃の温度で1〜20時間攪拌して行う。反応終了後、減圧下で生成したペルフルオロアルカンスルホン酸を留去して目的物が得られる。
主反応:2Cn2n+1SO3K+H2SO4 → 2Cn2n+1SO3H+K2SO4
【0051】
酸分解工程において、原料として使用するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムのフッ素イオン含有量が多いと、以下の副反応に示すように、フッ化水素酸が多量に副生し、ガラスライニング等の装置材質を腐食する。また、水酸化カリウム含有量が多いと、硫酸と反応して水が生成し、さらにその水とペルフルオロアルカンスルホン酸が水和物を形成する。この水和物は融点が高く、減圧下、目的物を蒸留する際に配管に詰まりを生じる虞がある。さらに原料中に硫酸カリウムの含有量が多いと、酸分解反応後、生成物を留去した後の反応液が固化するため、その処理が困難となる。
副反応:2KF+H2SO4 → 2HF+K2SO4
【0052】
上記製造方法のフローを図1〜図2に示す。なお、本発明の製造工程は図示する例に限らない。図1は電解工程およびガス吸収工程を示している。電解槽20にアルカンスルホニルフロリド(Cn2n+1SO2F)とフッ化水素酸を入れて窒素雰囲気にし、電解温度を0〜18℃、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmに制御して、分解率を3%未満に保持し、電解フッ素化を行う。この生成ガスをコンデンサー11を通じてHF吸収塔12に導き、水または低濃度のアルカリ水と気液接触させる。HF吸収塔12の上部から水または低濃度のアルカリ水が散布されており、生成ガスが洗浄される。洗浄された生成ガスをガス吸収塔13に導く。ガス吸収塔13の上部から水酸化カリウム水溶液が散布されており、生成ガス中の主生成物は気液接触して水酸化カリウムと反応し、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム(Cn2n+1SO3K)を生じて水酸化カリウム水溶液に吸収される。一方、生成ガスに同伴するフルオロアルカン類、窒素ガス、水素ガスは水酸化カリウム水溶液に吸収されずに系外に除去される。
【0053】
図2は、ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム(Cn2n+1SO3K)を含むガス吸収液を精製し、濃縮乾燥して回収する工程を示している。攪拌槽20にてガス吸収液を水酸化カルシウムで処理を行い、処理後、澱物を含む液を濾過器21に導き、固液分離後、濾液を攪拌槽20に戻す。次いで硫酸を加えて処理を行う。処理後、澱物を含む液を濾過器21に導き、固液分離後、濾液を濃縮乾燥機22に導き、減圧下、加熱乾燥して濃縮したペルフルオロアルカンスルホン酸結晶を底部から抜き出す。蒸発した水分等はコンデンサー23を通じて水回収槽24に導く。
【発明の効果】
【0054】
本発明の製造方法は、電解フッ素化で生成するガスを水酸化カリウム水溶液に吸収させる際に、この吸収液の水酸化カリウム濃度が1%未満になるまで吸収させるので、吸収液のアルカリ濃度が十分に低く、従って、吸収液を循環再使用する必要がなく、工程が簡略化され工業的に有利である。
【0055】
本発明は、分解率を3%未満に制御して電解フッ素化を行うので、フルオロアルカン類およびスルホニルジフロリドの発生が極めて少なく、環境汚染や地球温暖化の懸念が低減され、ガス吸収工程で配管等に詰りを生じない。
【0056】
本発明の製造方法によれば、純度95%以上、塩素イオン含有量50ppm未満、フッ素イオン含有量300ppm未満、硫酸イオン含有量3%未満の高純度ペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得ることができる。
【0057】
本発明のペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムをペルフルオロアルカンスルホン酸の製造原料として用いれば、フッ素イオン含有量が十分に低減されているので、フッ化水素酸の副生が少なく、ガラスライニング等の装置材質を腐食することがない。また、水酸化カリウム含有量が低いので、ペルフルオロアルカンスルホン酸が水和物を形成して配管に詰まりを生じる虞がない。さらに硫酸カリウムの含有量が少ないので、生成物を留去した後の反応液が固化することがなく、処理を容易に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下に本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0059】
−30℃に設定したリフラックスコンデンサーを備えた鉄製の電解槽を用い、この中に陽極および陰極の面積がともに378dm2のニッケル製電極を設置した。この電解槽に電解液中のプロトン濃度が600ppm前後になるように無水フッ化水素酸84.8kg(4240mol)および原料メタンスルホニルフロリド1.73kg(17.6mol)を仕込み、液を循環させて電解液を調製した。この電解液を外部冷却器に循環させることによって10℃±2℃に保持しながら、800Aの定電流にて、電解法によるフッ素化を行った。電解法によるフッ素化中は、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持するように、メタンスルホニルフロリドおよび無水フッ化水素酸を適宜、電解槽内に供給して電解液を補充した。この電解により生成したトリフルオロメタンスルホニルフロリドを含む生成ガスをHF吸収塔に導入した。HF吸収塔にはイオン交換水を室温下で循環させ、生成ガスと向流接触させることにより、同伴するフッ化水素酸を除去した。続いてフッ化水素酸が除去された生成ガスをガス吸収塔に導入した。ガス吸収塔には予め24%水酸化カリウム水溶液214kgを張り込み、この水溶液を60℃に温度調節しながら、11m3/hの速度でガス吸収塔内を循環させてトリフルオロメタンスルホニルフロリドと水酸化カリウムとを反応させた。電解開始から92.5時間後に通電を停止したところ、ガス吸収塔内の反応液(以下、これをガス吸収液という)268kgを回収した。これは無色透明な溶液であった。これを滴定分析したところ、水酸化カリウム濃度は0.9%であった。なお、電解槽内の電解液中のプロトン濃度は400〜800ppm、電解反応における原料総仕込量は41.4kg(422.0mol)、電圧は5.5〜5.7V、分解率は1.8%以下、ガス吸収反応における液ガス比は12.7、ガス吸収率は96%以上で推移した。
【実施例2】
【0060】
実施例1で製造したガス吸収液を、フッ素樹脂(PTFE)ライニングの反応容器に投入した。このガス吸収液に水酸化カルシウム粉末を26.2kg(353.7mol)添加し、撹拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、溶存しているフッ化カリウムをフッ化カルシウムに変換させるために2時間撹拌し続けた。2時間後、撹拌を停止し、一晩静置してフッ化カルシウムを沈降させた。この水溶液をデカンテーションした後、フッ化カルシウムを濾過により除去した。得られた濾液にpHが7.0〜7.5の範囲になるまで75%硫酸を添加し(添加量:27.8kg(212.3mol))、撹拌しながら中和した。その際、中和による発熱のため、液温は70℃まで上昇した。中和反応を完結させるために1時間撹拌し続けた。1時間後、撹拌を停止し、生成した硫酸カリウムを静置沈降させた。この硫酸カリウムを濾過により除去した。この濾過により得た無色透明なトリフルオロメタンスルホン酸カリウム水溶液219kgを濃縮および乾燥してトリフルオロメタンスルホン酸カリウム粗結晶53.6kgを得た。この生成物をイオンクロマトグラフィーにより分析したところ、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムの純度が97.2%、硫酸イオン含有量が1.5%、フッ化物イオン含有量が120ppm、塩化物イオン含有量が16ppm、水酸化カリウムは未検出であった。
【実施例3】
【0061】
実施例2においてガス吸収液に水酸化カルシウム粉末を添加する代わりに、ガス吸収液267kgに硫酸アルミニウム21.8kg(63.7mol)を添加し、撹拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、2時間撹拌し続けた後、撹拌を停止し、一晩5℃で静置して固体を沈降させた。この水溶液をデカンテーションした後、沈殿物を濾過により除去した。この濾過により得た無色透明なトリフルオロメタンスルホン酸カリウム水溶液225kgを濃縮および乾燥してトリフルオロメタンスルホン酸カリウム51.1kgを得た。この生成物を分析したところ、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムの純度が95.9%、硫酸イオン含有量が2.3%、フッ化物イオン含有量が246ppm、塩化物イオン含有量が12ppm、水酸化カリウムは未検出であった。
【実施例4】
【0062】
実施例2においてフッ化カルシウムを濾過により除去した濾液に75%硫酸を添加する代わりに、トリフルオロメタンスルホン酸をpHが7.0〜7.5の範囲になるまで添加して中和した(添加量:63.8kg)。中和反応を完結させるために1時間撹拌し続けた。1時間後、撹拌を停止し、不溶物を濾過により除去した。この濾過により得た無色透明なトリフルオロメタンスルホン酸カリウム水溶液219kgを濃縮および乾燥してトリフルオロメタンスルホン酸カリウム119.8kgを得た。この生成物を分析したところ、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムの純度が98.5%、硫酸イオン含有量が0.8%、フッ化物イオン含有量が180ppm、塩化物イオン含有量が16ppm、水酸化カリウムは未検出であった。
【比較例】
【0063】
〔比較例1〜3〕
実施例1において、電解液中のプロトン濃度を9000〜11200ppm(比較例1)、5000〜7050ppm(比較例2)、3400〜4650ppm(比較例3)で行ったところ、電解フッ素化反応における分解率はおのおの11.3〜15.5%、8.3〜12.0%、6.8〜7.6%となり、テトラフルオロメタン、スルホニルジフロリド等の副生物の量が多かった。
【実施例5】
【0064】
−20℃に設定したリフラックスコンデンサーを備えた鉄製の電解槽を用い、この中に陽極および陰極の面積がともに67dm2のニッケル製電極を設置した。この電解槽に電解液中のプロトン濃度が600ppm前後になるように無水フッ化水素酸11.81kg(590mol)および原料エタンスルホニルフロリド0.24kg(2.1mol)を仕込み、液を循環させることにより、電解液を調製した。この電解液を外部冷却器に循環させることによって10℃±2℃に保持しながら、100Aの定電流にて、電解法によるフッ素化を行った。電解法によるフッ素化中は、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持するため、エタンスルホニルフロリドおよび無水フッ化水素酸を適宜、電解槽内に供給することにより電解液を補充した。この電解により生成したペルフルオロエタンスルホニルフロリドを含む生成ガスをHF吸収塔に導入した。HF吸収塔にはイオン交換水を室温下で循環させ、生成ガスと向流接触させることにより、同伴するフッ化水素酸を除去した。続いてフッ化水素酸が除去された生成ガスをガス吸収塔に導入した。ガス吸収塔には予め20%水酸化カリウム水溶液48.0kgを張り込み、この水溶液を60℃に温度調節しながら、2m3/hの速度でガス吸収塔内を循環させてペルフルオロエタンスルホニルフロリドと水酸化カリウムとを反応させた。電解開始から300時間後に通電を停止したところ、ガス吸収塔内の反応液(ガス吸収液)58.9kgを回収した。これは無色透明な溶液であった。これを滴定分析したところ、水酸化カリウム濃度は0.2%であった。なお、電解液中のプロトン濃度550〜780ppm、電解反応における原料総仕込量は13.4kg(119.5mol)、電圧は5.1〜5.4V、分解率は2.7%以下、ガス吸収反応における液ガス比は27.0、ガス吸収率は96%以上で推移した。
【実施例6】
【0065】
実施例5で製造したガス吸収液を、フッ素樹脂(PTFE)ライニングの反応容器に投入した。このガス吸収液に水酸化カルシウム粉末を5.15kg(69.6mol)添加し、撹拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、2時間撹拌し続けた後、撹拌を停止し、一晩静置して固体を沈降させた。この水溶液をデカンテーションした後、フッ化カルシウムを濾過して除去した。得られた濾液にpHが7.0〜7.5の範囲になるまで75%硫酸を添加し、撹拌しながら中和した(添加量:4.86kg(37.2mol))。中和反応を完結させるために1時間撹拌し続けた。1時間後、撹拌を停止し、生成した硫酸カリウムを静置沈降させた。この硫酸カリウムを濾過して除去した。得られた無色透明なペルフルオロエタンスルホン酸カリウム水溶液45.6kgを濃縮および乾燥してペルフルオロエタンスルホン酸カリウム14.3kgを得た。この生成物をイオンクロマトグラフィーにより分析したところ、ペルフルオロエタンスルホン酸カリウムの純度が96.2%、硫酸イオン含有量が2.1%、フッ化物イオン含有量が240ppm、塩化物イオン含有量が25ppm、水酸化カリウムは未検出であった。
【実施例7】
【0066】
−20℃に設定したリフラックスコンデンサーを備えた鉄製の電解槽を用い、この中に陽極および陰極の面積がともに67dm2のニッケル製電極を設置した。この電解槽に電解液中のプロトン濃度が600ppm前後になるように無水フッ化水素酸11.81kg(590mol)および原料1−プロパンスルホニルフロリド0.24kg(1.90mol)を仕込み、液を循環させて電解液を調製した。この電解液を外部冷却器に循環させることによって10℃±2℃に保持しながら、100Aの定電流にて、電解法によるフッ素化を行った。電解法によるフッ素化中は、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持するため、1−プロパンスルホニルフロリドおよび無水フッ化水素酸を適宜、電解槽内に供給して電解液を補充した。電解法により生成した1−ペルフルオロプロパンスルホニルフロリドを含む生成ガスをHF吸収塔に導入した。HF吸収塔にはイオン交換水を室温下で循環させ、生成ガスと向流接触させることにより、同伴するフッ化水素酸を除去した。続いてフッ化水素酸が除去された生成ガスをガス吸収塔に導入した。ガス吸収塔には予め20%水酸化カリウム水溶液48.0kgを張り込み、この水溶液を60℃に温度調節しながら、2m3/hの速度でガス吸収塔内を循環させて1−ペルフルオロプロパンスルホニルフロリドと水酸化カリウムとを反応させた。電解開始から300時間後に通電を停止したところ、ガス吸収塔内の反応液(ガス吸収液)58.5kgを回収した。これは無色透明な溶液であった。これを滴定分析したところ、水酸化カリウム濃度は0.4%であった。なお、電解液中のプロトン濃度は520〜850ppm、電解反応における原料総仕込量は、15.2kg(120.5mol)、電圧は5.2〜6.2V、分解率は2.8%以下、ガス吸収反応における液ガス比は27.9、ガス吸収率は97%以上で推移した。
【実施例8】
【0067】
実施例7で製造したガス吸収液を、フッ素樹脂(PTFE)ライニングの反応容器に投入した。このガス吸収液に水酸化カルシウム粉末を3.84kg(51.9mol)添加し、撹拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、2時間撹拌し続けた後、撹拌を停止し、一晩静置して固体を沈降させた。この水溶液をデカンテーションした後、固体を濾過して除去した。得られた濾液にpHが7.0〜7.5の範囲になるまで75%硫酸を添加し、撹拌しながら中和した(添加量:4.74kg(36.3mol))。中和反応を完結させるために1時間撹拌し続けた。1時間後、撹拌を停止し、生成した硫酸カリウムを静置沈降させた。この硫酸カリウムを濾過により除去した。この濾過により得た無色透明な1−ペルフルオロプロパンスルホン酸カリウム水溶液46.2kgを濃縮および乾燥して1−ペルフルオロプロパンスルホン酸カリウムを14.8kg得た。得られた生成物をイオンクロマトグラフィーにより分析したところ、1−ペルフルオロプロパンスルホン酸カリウムの純度が95.8%、硫酸イオン含有量が2.3%、フッ化物イオン含有量が220ppm、塩化物イオン含有量が10ppm、水酸化カリウムは未検出であった。
【実施例9】
【0068】
実施例2でフッ化カルシウムを濾別して除去した濾液に75%硫酸を添加する代わりに、酸分解反応によってトリフルオロメタンスルホン酸を製造する際の反応液残渣(硫酸72%、トリフルオロメタンスルホン酸2%、硫酸カリウム26%を含む)をガス吸収液267kgにpHが7.0〜7.5の範囲になるまで添加して中和した(添加量:28.7kg)。中和反応を完結させるために1時間撹拌し続けた。1時間後、撹拌を停止し、不溶物を濾過により除去した。この濾過により得た無色透明なトリフルオロメタンスルホン酸カリウム水溶液211kgを濃縮および乾燥してトリフルオロメタンスルホン酸カリウムを54.5kg得た。得られた生成物を分析したところ、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムの純度が97.6%、硫酸イオン含有量が1.3%、フッ化物イオン含有量が 130ppm、塩化物イオン含有量が14ppm、水酸化カリウムは未検出であった。
【実施例10】
【0069】
実施例1の電解フッ素化反応中に電解液約5gをサンプリングし、氷水約25gの中に注意深く投入して希釈した。この液の中に48%水酸化カリウム水溶液を滴下して中和し、中和反応を完結させるため、その後、20分間撹拌を続けた。この中和液から約5gを精密に秤量し、内部標準物質として1,4−ジオキサンを0.015g精密に秤量し試料と混合させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析を行った。1,4−ジオキサン(3.7ppm付近)の積分強度に対する電解液中プロトン(1.0〜3.0ppm)の相対的な積分強度から電解液中のプロトン濃度は480ppmと算出された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】電解工程およびガス吸収工程の工程図
【図2】精製工程および濃縮回収工程の工程図
【符号の説明】
【0071】
10−密閉攪拌槽、11−攪拌槽、12−濾過器、20−電解槽、21−コンデンサー、22−HF吸収塔、23−ガス吸収塔、30−攪拌槽、31−濾過器、32−攪拌槽、33−フィルター、34−濃縮乾燥機、35−コンデンサー、36−回収槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を無水フッ化水素酸中で電解フッ素化して一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とする生成ガスを得る工程(電解フッ素化工程)と、この生成ガスを水酸化カリウム水溶液と反応させて一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る工程(ガス吸収工程)と、このガス吸収液に含まれる不純物のフッ化カリウム、水酸化カリウムおよび硫酸カリウムを除去する工程(精製工程)と、これらの不純物を除去した水溶液を濃縮し乾燥して一般式Cn2n+1SO3K(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る工程(濃縮回収工程)とを含むことを特徴とするペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項2】
一般式Cn2n+1SO2X(nは1〜3の整数、XはClまたはF)で表されるアルカンスルホニルハライド化合物を無水フッ化水素酸中で電解フッ素化して一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるペルフルオロアルカンスルホニルフロリドを主体とするガスを生成させ、この生成ガスを用いてペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを製造する方法において、電解フッ素化の際に、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持して副生物の生成を抑制することを特徴とするペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項3】
電解フッ素化の原料として、一般式Cn2n+1SO2F(nは1〜3の整数)で表されるアルカンスルホニルフロリド化合物を使用する請求項1または2に記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項4】
電解フッ素化工程において、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持することによって、電解フッ素化における分解率を3%未満に制御する請求項1〜3の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項5】
電解フッ素化工程において、電解温度0〜18℃、電流密度1〜3A/dm2に保持し、電解液中のプロトン濃度を150〜1500ppmの範囲に保持することによって、電解フッ素化における分解率を3%未満に制御する請求項1〜4の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項6】
ガス吸収工程において、水酸化カリウム濃度が1%未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る請求項1〜5の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項7】
ガス吸収工程において、生成ガスの導入量に対して水酸化カリウム水溶液を液ガス比10以上で接触させてペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムを含むガス吸収液を得る請求項1〜6の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項8】
ガス吸収工程において、水酸化カリウムの初期濃度10%以上の水酸化カリウム水溶液を用い、水酸化カリウム濃度1%未満になるまでガス吸収を行わせる請求項1〜7の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項9】
精製工程において、ガス吸収液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して上記ガス吸収液に含まれるフッ化カリウムと反応させてフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ、さらに硫酸を加えて液中の水酸化カリウムを硫酸カリウムとして沈澱化して、これらの澱物を濾過して除去し、これを濃縮乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る請求項1〜8の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項10】
精製工程において、ガス吸収液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して上記ガス吸収液に含まれるフッ化カリウムと反応させてフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ、さらにペルフルオロアルカンスルホン酸を加えて液中の水酸化カリウムをペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムに変換し、澱物を濾別して除去し、これを濃縮乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る請求項1〜8に記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項11】
精製工程において、ガス吸収液にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を添加して上記ガス吸収液に含まれるフッ化カリウムと反応させてフッ化物沈澱と水酸化カリウムを生成させ、さらにペルフルオロアルカンスルホン酸を酸分解反応によって製造する際の反応液残渣を加えて液中の水酸化カリウムを中和した後、沈殿物を濾過して除去し、これを濃縮乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る請求項1〜8に記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項12】
精製工程において、ガス吸収液に硫酸アルミニウムを添加して液中のフッ化カリウムおよび水酸化カリウムと反応させて、フッ化物沈澱、硫酸カリウム沈澱またはそれらの複塩の沈澱を生成させ、これを濾別し、濾液を濃縮し乾燥してペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム結晶を得る請求項1〜8の何れかに記載するペルフルオロアルカンスルホン酸カリウムの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れかに記載する製造方法によって得られた塩素イオン含有量が50ppm未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
【請求項14】
請求項1〜12の何れかに記載する製造方法によって得られたフッ素イオン含有量が300ppm未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
【請求項15】
請求項1〜12の何れかに記載する製造方法によって得られた硫酸イオン含有量が3%未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
【請求項16】
請求項1〜12の何れかに記載する製造方法によって得られた水酸化カリウム含有量が1%未満であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。
【請求項17】
請求項1〜12の何れかに記載する製造方法によって得られた純度95%以上であるペルフルオロアルカンスルホン酸カリウム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−119458(P2007−119458A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267160(P2006−267160)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)株式会社ジェムコ (151)
【Fターム(参考)】