説明

ペースト塗布方法及び装置

【課題】 複数のノズルの吐出口の位置がそれらのノズルの交換、着脱に伴い位置ずれを生じても、各ノズルのこの位置ずれを解消し、ペーストパターンの描画精度を向上すること。
【解決手段】 複数のノズル24A〜26Aのそれぞれが吐出するペーストを基板1上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板1上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布装置10において、各ノズル24A〜26Aによるペーストの実塗布位置P1〜P3を検出する検出装置31〜33と、各ノズル24A〜26A毎に、検出したペーストの実塗布位置P1〜P3が予め定めてあるペーストの目標塗布位置P10〜P30に対する位置ずれを演算し、上記位置ずれを解消するように各ノズル24A〜26Aを基板1に対し相対移動する制御手段30を有してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶パネルの基板上に塗布されるシール剤等のペースト塗布方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト塗布方法として、特許文献1に記載の如く、ペーストが満たされた新らしいペースト収納筒をペーストが消費された使用済みのペースト収納筒に対して交換したとき、ペースト収納筒のノズルの吐出口の位置が機械的な取付精度等により交換前後でずれても、ノズルが吐出するペーストにより所望のペーストパターンを基板上に描画できるように、「ペースト収納筒の交換前後でのペーストの塗布位置のずれを検出し、この位置ずれを解消するように基板又はノズルを支持するX、Yテーブルを移動するもの」を開示している。
【特許文献1】特開平5-329423
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のペースト塗布方法は、単一ノズルを用いるものを前提としており、複数のノズルを用いた場合に、各ノズルの吐出口の位置がそれらの交換前後で互いに独立にずれると、各ノズルのその位置ずれを解消することができず、ペーストパターンの描画精度を確保できない。
【0004】
本発明の課題は、複数のノズルの吐出口の位置がそれらのノズルの交換、着脱に伴い位置ずれを生じても、各ノズルのこの位置ずれを解消し、ペーストパターンの描画精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布方法において、各ノズルによるペーストの実塗布位置が予め定めてあるペーストの目標塗布位置に対する位置ずれを検出し、ノズル毎の上記位置ずれを解消するように各ノズルを基板に対し相対移動させるようにしたものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記複数のノズルのうちの1つを基準ノズルとするとともに、他のノズルを可動ノズルとし、各可動ノズルについて演算した前記位置ずれが基準ノズルについて演算した前記位置ずれに対する位置ずれの差を解消するように当該可動ノズルを移動させ、基準ノズルについて演算した前記位置ずれを解消するように基板を移動させるようにしたものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、前記位置ずれが、前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向と直交するY方向の位置ずれのとき、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のXY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消し、前記基板のXY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なうようにしたものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2の発明において更に、前記位置ずれが、前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向と直交するY方向の位置ずれのとき、前記基準ノズルのX方向の移動、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消し、前記基準ノズル及び可動ノズルのX方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なうようにしたものである。
【0009】
請求項5の発明は、複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布装置において、前記複数のノズルと前記基板とを前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向に直交するY方向に相対的に移動させる第1移動手段と、前記複数のノズル同士のXY方向における相対的な位置関係を変更する第2移動手段と、各ノズルによるペーストの実塗布位置が予め定めてあるペーストの目標塗布位置に対する位置ずれを検出する検出装置と、ノズル毎の上記位置ずれを解消するように各ノズルを基板に対し相対移動する制御装置とを有してなるようにしたものである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5の発明において更に、前記複数のノズルのうちの1つを基準ノズルとするとともに、他のノズルを可動ノズルとし、前記制御手段が、各可動ノズルについて演算した前記位置ずれが基準ノズルについて演算した前記位置ずれに対する位置ずれの差を解消するように当該可動ノズルを移動させ、かつ基準ノズルについて演算した前記位置ずれを解消するように基板を移動させるようにしたものである。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6の発明において更に、前記第1移動手段が、前記基板をXY方向に移動させるものであり、前記第2移動手段が、前記基準ノズルに対して前記可動ノズルを個別にXY方向に移動させるものであり、前記制御手段が、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のXY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消するとともに、前記基板のXY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なうようにしたものである。
【0012】
請求項8の発明は、請求項6の発明において更に、前記第1移動手段が、前記各ノズルをそれぞれX方向に移動させ、前記基板をY方向に移動させるものであり、前記第2移動手段が、前記基準ノズルに対して前記可動ノズルを個別にXY方向に移動させるものであり、前記制御手段が、前記基準ノズルのX方向の移動、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消するとともに、前記基準ノズル及び可動ノズルのX方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なうようにしたものである。
【0013】
請求項9の発明は、複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布方法において、前記複数のノズルは、1つを基準ノズルとするとともに他のノズルを可動ノズルとし、前記基準ノズルの実塗布位置と前記可動ノズルの実塗布位置との予め定めてある相対的な位置関係に対する位置ずれを前記可動ノズル毎に検出し、上記位置ずれを解消するように前記可動ノズルを前記基板に対して個別に相対移動させるようにしたものである。
【0014】
請求項10の発明は、複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布装置において、前記複数のノズルは、1つを基準ノズルとするとともに他のノズルを可動ノズルとし、前記複数のノズルと前記基板とを前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向に直交するY方向に相対的に移動させる第1移動手段と、前記可動ノズルを前記基準ノズルに対してXY方向に相対的に移動させる第2移動手段と、前記基準ノズルの実塗布位置と前記可動ノズルの実塗布位置との予め定めてある相対的な位置関係に対する位置ずれを前記可動ノズル毎に検出する検出装置と、上記位置ずれを解消するように前記第2移動手段を制御する制御装置とを有してなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数のノズルの吐出口の位置がそれらのノズルの交換、着脱に伴い位置ずれを生じても、各ノズルのこの位置ずれを解消し、ペーストパターンの描画精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1はペースト塗布装置の一例を示す斜視図、図2はノズルの吐出口の位置とペーストの塗布位置との関係を示し、(A)はノズルの位置調整前の模式図、(B)はノズルの位置調整後の模式図、図3は基板に対するペーストの塗布位置を示し、(A)は全体斜視図、(B)はカメラの視野を示す模式図、図4はノズル交換時のノズルの位置調整手順を示す流れ図である。
【実施例】
【0017】
ペースト塗布装置10は、図1に示す如く、基板1に所望のパターンでペーストを塗布するものであり、架台11上にXY方向(X方向とY方向)に駆動制御されるXYテーブル12が搭載され、このXYテーブル12上に吸着台13が固定され、この吸着台13上に基板1が吸着される。
【0018】
ペースト塗布装置10は、架台11に、XYテーブル12をまたぐコラム14を固定し、図2に示す如く、コラム14の中央に固定テーブル15を固定し、コラム14の固定テーブル15を挟む両側にXY方向(X方向とY方向)に駆動制御されるXYテーブル16、17を搭載し、各テーブル15〜17のそれぞれにZ方向に駆動制御されるZテーブル18、19、20を搭載し、各Zテーブル18〜20のそれぞれに塗布ヘッド21、22、23を設けている。各塗布ヘッド21〜23は、ペースト収納筒24、25、26を着脱自在に保持可能にし、各ペースト収納筒24〜26の先端にノズル24A、25A、26Aを備えている。固定テーブル15に対応するノズル24Aを基準ノズルとし、XYテーブル16、17に対応するノズル25A、26Aを可動ノズルとする。
【0019】
ペースト塗布装置10は以下の如く基本動作する。
(1)吸着台13上に供給された基板1を吸着台13の吸着によって保持する。
【0020】
(2)制御装置30は、Zテーブル18〜20の駆動を制御し、Zテーブル18〜20に設けてあるレーザ距離計の検出結果により、各ノズル24A〜26Aの吐出口を基板1に対する所定高さ位置にセットする。
【0021】
(3)制御装置30は、XYテーブル12の駆動を制御して基板1を移動させるとともに、更にペースト収納筒24〜26に加える圧縮空気を制御してペースト収納筒24〜26内のペーストをノズル24A〜26Aから吐出させ、基板1上の3位置のそれぞれにペーストパターンL1、L2、L3を描画する。
【0022】
しかるに、ペースト塗布装置10にあっては、ペースト収納筒24〜26のペーストが使い尽くされると、塗布ヘッド21〜23に対する新旧ペースト収納筒24〜26(ノズル24A〜26A)の交換がなされる。そして、各ノズル24A〜26Aの吐出口の位置がそれらの交換の前後で位置ずれしても、各ノズル24A〜26Aのこの交換に伴なう位置ずれを解消し、ペーストパターンの描画精度を向上するため、以下の構成を備える。
【0023】
ペースト塗布装置10は、各ノズル24A〜26Aによるペーストの実塗布位置を撮像するCCDカメラ31、32、33を各塗布ヘッド21〜23に備える。尚、中央の塗布ヘッド21のカメラ31は省略し、両側の塗布ヘッド22、23に設けたカメラ32、33の一方を用いて、ノズル24Aによる実塗布位置も併せて撮像することとしても良い。
【0024】
制御装置30は、ノズル24A〜26A毎に、カメラ31〜33の撮像画像に基づいて検出したペーストの実塗布位置P1、P2、P3が、予め定めてあるペーストの目標塗布位置P10、P20、P30に対する位置ずれ(Δx1,Δy1)、(Δx2,Δy2)、(Δx3,Δy3)を演算し、これらの位置ずれを解消するように各ノズル24A〜26Aを、XYテーブル12上の吸着台13に吸着されている基板1に対し相対移動する。即ち、CCDカメラ31〜33と制御装置30は、本発明の検出装置を構成する。
【0025】
本実施例では、ノズル24A〜26Aのうちの1つを基準ノズル24Aとし、他を可動ノズル25A、26Aとした。そこで、制御装置30は、(a)各可動ノズル25A、26Aについて演算したそれらの交換に伴なう位置ずれ(Δx2,Δy2)、(Δx3,Δy3)が、基準ノズル24Aについて演算したその交換に伴なう位置ずれ(Δx1,Δy1)に対する位置ずれの差(Δx2−Δx1,Δy2−Δy1)、(Δx3−Δx1,Δy3−Δy1)を求め、この差を解消すべく当該可動ノズル25A、26Aを駆動するようにXYテーブル16、17を駆動制御するとともに、(b)XYテーブル12を制御し、基準ノズル24Aについて演算したその交換に伴なう位置ずれ(Δx1,Δy1)を解消するように基板1を移動させつつ、各ノズル24A〜26Aが吐出するペーストにより基板1上の3位置のそれぞれにペーストパターンL1〜L3を描画するように基板1を移動させる。即ち、制御装置30は、上述(a)のXYテーブル16、17による可動ノズル25A、26AのXY方向の移動、及び上述(b)のXYテーブル12による基板1のXY方向の移動により、各ノズル24A〜26Aの交換に伴なう前記位置ずれを解消するとともに、上述(b)のXYテーブル12による基板1のXY方向の移動により、各ノズル24A〜26AによるペーストパターンL1〜L3の描画を行なう。
【0026】
従って、ペースト塗布装置10において、ペースト収納筒24(ノズル24A)〜ペースト収納筒26(ノズル26A)の交換に際し、制御装置30によるノズル24A〜26Aの位置調整動作は以下の如くなされる(図4)。
【0027】
(1)ペースト収納筒24(ノズル24A)〜ペースト収納筒26(ノズル26A)の交換に伴なうノズル24A〜26Aの位置調整開始指令により、XYテーブル12上の吸着台13に吸着させた捨て打ち基板(又はダミー基板)1Aの有無をチェックする。そして、基板1A「無」の場合、アラームを不図示のモニタに表示する等してオペレータにその旨を報知し、基板1A「有」の場合、次のステップに移行する。
【0028】
(2)各ノズル24A〜26Aが吐出するペーストを捨て打ち基板1Aに対し、図2、図3に示す如く、捨て打ち塗布する。ノズル24A〜26Aの吐出口の位置がそれらの交換に伴なってずれていると、ペーストの実塗布位置P1〜P3はずれ、ペーストパターンL1〜L3は図2(A)に示す如く、基板1上に想定される目標ペーストパターンL10〜L30に対し平行移動的にずれる。
【0029】
(3)カメラ31〜33を用いて、各ノズル24A〜26Aによるペーストの実塗布位置P1〜P3を検出する。制御装置30は、カメラ31〜33が撮像した点状又は線状のペースト膜の画像を処理し、当該ペースト膜の重心(点又は線巾の中央位置)が制御装置に予め定めてあるペーストの目標塗布位置P10、P20、P30に対する位置ずれ(Δx1,Δy1)、(Δx2,Δy2)、(Δx3,Δy3)を演算により求める。これにより、目標塗布位置P10〜P30に対する実塗布位置P1、P2、P3の位置ずれを求める。
【0030】
尚、線巾の中央位置に基づいて目標塗布位置P10〜P30に対する実塗布位置P1、P2、P3の位置ずれを求める場合には、ペーストをX方向に沿う直線状及びY方向に沿う直線状に塗布し、X方向に沿う直線状ペーストの線巾の中央位置とX方向の目標塗布位置との差、XY方向に沿う直線状ペーストの線巾の中央位置とY方向の目標塗布位置との差から各ノズル24A〜26Aの目標塗布位置P10〜P30に対する実塗布位置P1、P2、P3の位置ずれを求める。
【0031】
(4)ノズル24A〜26A毎に演算した実塗布位置P1〜P3の上述した位置ずれを解消するように各ノズル24A〜26Aを、XYテーブル12上の吸着台13に吸着されている基板1に対し相対移動させる。
【0032】
本実施例では、各可動ノズル25A、26Aについて演算したそれらの交換に伴なう位置ずれ(Δx2,Δy2)、(Δx3,Δy3)が、基準ノズル24Aについて演算したその交換に伴なう位置ずれ(Δx1,Δy1)に対する位置ずれの差(Δx2−Δx1,Δy2−Δy1)、(Δx3−Δx1,Δy3−Δy1)を求め、この差分だけ差を解消する方向へ当該可動ノズル25A、26Aを移動させるようにXYテーブル16、17を駆動制御し、更に基板1のためのXYテーブル12を制御し、基準ノズル24Aについて演算した位置ずれ(Δx1,Δy1)を解消するように基板1を移動することにより、各ノズル24A〜26Aの交換に伴なう前記位置ずれを解消する。
【0033】
尚、ペースト塗布装置10あっては、各ノズル24A〜26Aの交換に伴なう位置ずれを以上のように解消した状態下で、制御装置30によるXYテーブル12の制御により基板1を移動し、各ノズル24A〜26Aが吐出するペーストにより基板1上の3位置のそれぞれにペーストパターンL1〜L3の描画を行なう。このとき、ペーストパターンL1〜L3は目標ペーストパターンL10〜L30に合致するものになる(図2(B))。
【0034】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ノズル24A〜26A毎に、ペーストの目標塗布位置P10〜P30に対する実塗布位置P1〜P3の位置ずれを演算し、この塗布位置の位置ずれを解消するように各ノズル24A〜26Aを基板1に対し相対移動させる。これにより、複数のノズル24A〜26Aの吐出口の位置がそれらの交換前後で位置ずれし、結果として各ノズル24A〜26Aによるペーストの塗布位置P1〜P3がずれたとしても、各ノズル24A〜26Aの吐出口の位置ずれを解消し、ペーストパターンP1〜P3の描画精度を向上させることができる。
【0035】
(b)「複数のノズル24A〜26Aのうちの1つを基準ノズル24Aとするとともに、他のノズルを可動ノズル25A、26Aとし、各可動ノズル25A、26Aについて演算した位置ずれが基準ノズル24Aについて演算した位置ずれに対する位置ずれの差だけ当該可動ノズル25A、26Aを移動し、基準ノズル24Aについて演算した位置ずれを解消するように基板1を移動する」ことにより、基準ノズル24Aを架台11に対しXY方向に固定配置し、装置構成を簡易化しながら、上述(a)を実現できる。
【0036】
即ち、各ノズル24A、25A、26Aを移動させるべく塗布ヘッド21、22、23毎にXYテーブルを設けた場合に比べ、塗布ヘッド21のXYテーブルを不要とした分、装置構成を簡素化することができる。
【0037】
(c)「可動ノズル25A、26AのXY方向の移動、及び基板1のXY方向の移動により、各ノズル24A〜26Aの位置ずれを解消し、基板1のXY方向の移動により、各ノズル24A〜26AによるペーストパターンL1〜L3の描画を行なう」ことにより、ペーストパターンL1〜L3の描画中は、塗布ヘッド22、23のXYテーブル16、17を移動させず、吸着台13のXYテーブル12を移動させるので、3つのノズル24A、25A、26Aを用いて基板1に3つのペーストパターンL1〜L3を同時に描画する場合であっても、塗布ヘッド22、23のXYテーブル16、17を移動させずに済み、XYテーブル等の移動テーブルの制御を極力簡素化することができる。また、ペーストパターンL1〜L3の描画中に基板1上で塗布ヘッド22、23のXYテーブル16、17を移動させずに済むので、XYテーブル16、17の移動に伴う発塵が防止でき、基板1上に塵埃が落下することが防止できる。
【0038】
ペースト塗布装置10の変形例として、図1における架台11上のXYテーブル12をX方向には不動でY方向に駆動制御されるYテーブル(不図示)に代え、基準ノズル24Aの固定テーブル15をX方向に駆動制御されるXテーブル(不図示)に代えることができる。図1を借りて説明すれば、このように構成した場合、上述した(3)の工程と同様にして演算により求めた各ノズル24A〜26Aに関する目標塗布位置P10〜P30に対する実塗布位置P1〜P3の位置ずれ(Δx1、Δy1)、(Δx2、Δy2)、(Δx3、Δy3)に基づいて、この位置ずれを解消するように各ノズル24A〜26Aと吸着台13に吸着されている基板1とを相対的に移動させる。
【0039】
即ち、各ノズル24A〜26Aに関し、X方向の位置ずれについては、X方向の位置ずれΔx1、Δx2、Δx3分ずつこれらの位置ずれを解消する方向に各ノズル24A〜26Aを移動させるように固定テーブル15に代えたXテーブル及びXYテーブル16、17の駆動を制御する。また、Y方向の位置ずれについては、各可動ノズル25A、26Aについて演算したY方向の位置ずれΔy2、Δy3が基準ノズル24Aについて演算したY方向の位置ずれΔy1に対する位置ずれの差Δy2−Δy1、Δy3−Δy1分だけ、この差を解消する方向に可動ノズル25A、26Aを移動させるようにXYテーブル16、17の駆動を制御する。更に、XYテーブル12に代えたYテーブルの駆動を制御して、基準ノズル24Aについて演算したY方向の位置ずれΔy1分だけこの位置ずれを解消する方向に基板1を移動させる。このようにして、各ノズル24A〜26Aの交換に伴う位置ずれを解消する。
【0040】
このように、制御装置30は、Xテーブルによる基準ノズル24AのX方向の移動、XYテーブル16、17による可動ノズル25A、26AのXY方向の移動、及びYテーブルによる基板1のY方向の移動により、各ノズル24A〜26Aの交換に伴なう位置ずれを解消するとともに、XテーブルとXYテーブル16、17による基準ノズル24A及び可動ノズル25A、26AのX方向の移動、及びYテーブルによる基板1のY方向の移動により、各ノズル24A〜26Aによるペーストパターンの描画を行なうことができる。
【0041】
ペースト塗布装置10の変形例によれば、基準ノズル24Aを架台11に対しY方向に固定配置するとともに、基板1をY方向にだけ移動し、X方向には不動にすることにより、基板1の移動範囲を小さくし、装置占有スペースを小型化できる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明は2個或いは4個以上のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上に塗布し、基板上にペーストパターンを描画するものに適用しても良い。
【0043】
また、上記実施例において、ノズルによるペーストの実塗布位置が目標塗布位置に対する位置ずれを、ノズルから捨て打ち基板に塗布されたペーストの位置と目標塗布位置との差から求めた例で説明したが、ノズルの先端をカメラで下方から撮像し、その撮像画像をもとに予め定めたノズル先端の基準位置と実際のノズル先端位置との差から実塗布位置が目標塗布位置に対する位置ずれを求めるようにしても良い。
【0044】
また、ノズル毎に目標塗布位置を定め、ノズル毎に実塗布位置が目標塗布位置に対する位置ずれを検出した例で説明したが、基準ノズルによる塗布位置と可動ノズルによる塗布位置との適正な相対的な位置関係を目標相対位置関係として予め定めておき、この目標相対位置関係と基準ノズルの実塗布位置と可動ノズルの実塗布位置との相対的な位置関係との位置ずれを検出し、この位置ずれを解消するように基準ノズルに対して可動ノズルを移動させるようにしても良い。この場合、基準ノズルの実塗布位置が目標塗布位置に対する位置ずれを合わせて検出しておくと良い。そして、ペーストパターンを基板に描画する際、各ノズルと基板とをXY方向に相対的に移動させるXYテーブルを基準ノズルの前記位置ずれを解消するように移動させる。
【0045】
このようにすることによっても、上述した実施例と同様に、基板にペーストパターンを精度良く描画することができる。
【0046】
また、ペースト収納筒の交換に伴うノズルの吐出口の位置ずれを解消する例で説明したが、これに限らず、ペースト収納筒を塗布装置のZテーブルに最初に取付けるときを含むペースト収納筒の着脱に伴って生じるノズルの吐出口の適正な取付け位置に対する位置ずれを解消する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1はペースト塗布装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図2はノズルの吐出口の位置とペーストの塗布位置との関係を示し、(A)はノズルの位置調整前の模式図、(B)はノズルの位置調整後の模式図である。
【図3】図3は基板に対するペーストの塗布位置を示し、(A)は全体斜視図、(B)はカメラの視野を示す模式図である。
【図4】図4はノズル交換時のノズルの位置調整手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板
10 ペースト塗布装置
11 架台
12 XYテーブル(第1移動手段)
13 吸着台
15 固定テーブル
16、17 XYテーブル(第2移動手段)
18〜20 Zテーブル
21〜23 塗布ヘッド
24A〜26A ノズル
30 制御装置(制御手段)
31〜33 カメラ(検出装置)
P1〜P3 実塗布位置
P10〜P30 目標塗布位置
L1〜L3 実ペーストパターン
L10〜L30 目標ペーストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布方法において、
各ノズルによるペーストの実塗布位置が予め定めてあるペーストの目標塗布位置に対する位置ずれを検出し、
ノズル毎の上記位置ずれを解消するように各ノズルを基板に対し相対移動させることを特徴とするペースト塗布方法。
【請求項2】
前記複数のノズルのうちの1つを基準ノズルとするとともに、他のノズルを可動ノズルとし、
各可動ノズルについて演算した前記位置ずれが基準ノズルについて演算した前記位置ずれに対する位置ずれの差を解消するように当該可動ノズルを移動させ、
基準ノズルについて演算した前記位置ずれを解消するように基板を移動させる請求項1に記載のペースト塗布方法。
【請求項3】
前記位置ずれが、前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向と直交するY方向の位置ずれのとき、
前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のXY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消し、
前記基板のXY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なう請求項2に記載のペースト塗布方法。
【請求項4】
前記位置ずれが、前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向と直交するY方向の位置ずれのとき、
前記基準ノズルのX方向の移動、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消し、
前記基準ノズル及び可動ノズルのX方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なう請求項2に記載のペースト塗布方法。
【請求項5】
複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布装置において、
前記複数のノズルと前記基板とを前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向に直交するY方向に相対的に移動させる第1移動手段と、
前記複数のノズル同士のXY方向における相対的な位置関係を変更する第2移動手段と、
各ノズルによるペーストの実塗布位置が予め定めてあるペーストの目標塗布位置に対する位置ずれを検出する検出装置と、
ノズル毎の上記位置ずれを解消するように各ノズルを基板に対し相対移動する制御装置とを有してなることを特徴とするペースト塗布装置。
【請求項6】
前記複数のノズルのうちの1つを基準ノズルとするとともに、他のノズルを可動ノズルとし、
前記制御手段が、各可動ノズルについて演算した前記位置ずれが基準ノズルについて演算した前記位置ずれに対する位置ずれの差を解消するように当該可動ノズルを移動させ、かつ基準ノズルについて演算した前記位置ずれを解消するように基板を移動させる請求項5に記載のペースト塗布装置。
【請求項7】
前記第1移動手段が、前記基板をXY方向に移動させるものであり、
前記第2移動手段が、前記基準ノズルに対して前記可動ノズルを個別にXY方向に移動させるものであり、
前記制御手段が、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のXY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消するとともに、前記基板のXY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なう請求項6に記載のペースト塗布装置。
【請求項8】
前記第1移動手段が、前記各ノズルをそれぞれX方向に移動させ、前記基板をY方向に移動させるものであり、
前記第2移動手段が、前記基準ノズルに対して前記可動ノズルを個別にXY方向に移動させるものであり、
前記制御手段が、前記基準ノズルのX方向の移動、前記可動ノズルのXY方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルの前記位置ずれを解消するとともに、前記基準ノズル及び可動ノズルのX方向の移動、及び前記基板のY方向の移動により、各ノズルによるペーストパターンの描画を行なう請求項6に記載のペースト塗布装置。
【請求項9】
複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布方法において、
前記複数のノズルは、1つを基準ノズルとするとともに他のノズルを可動ノズルとし、
前記基準ノズルの実塗布位置と前記可動ノズルの実塗布位置との予め定めてある相対的な位置関係に対する位置ずれを前記可動ノズル毎に検出し、上記位置ずれを解消するように前記可動ノズルを前記基板に対して個別に相対移動させることを特徴とするペースト塗布方法。
【請求項10】
複数のノズルのそれぞれが吐出するペーストを基板上の複数位置のそれぞれに塗布し、基板上に複数のペーストパターンを描画するペースト塗布装置において、
前記複数のノズルは、1つを基準ノズルとするとともに他のノズルを可動ノズルとし、
前記複数のノズルと前記基板とを前記基板の表面に平行なX方向及び前記基板の表面に平行で前記X方向に直交するY方向に相対的に移動させる第1移動手段と、
前記可動ノズルを前記基準ノズルに対してXY方向に相対的に移動させる第2移動手段と、
前記基準ノズルの実塗布位置と前記可動ノズルの実塗布位置との予め定めてある相対的な位置関係に対する位置ずれを前記可動ノズル毎に検出する検出装置と、
上記位置ずれを解消するように前記第2移動手段を制御する制御装置とを有してなることを特徴とするペースト塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−7013(P2006−7013A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184228(P2004−184228)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】