説明

ペースト塗布装置

【課題】基板へのペーストの塗布工程に要する時間を短縮化して実装基板の生産性を向上させることができるようにしたペースト塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板2に対して相対移動自在に設けられたベース部31と、ベース部31から下方に延びて設けられてペーストPstを吐出する4つの吐出ノズル42と、4つの吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に相対移動させる吐出ノズル移動機構45とを備える。吐出ノズル移動機構45は、ベース部31に固定された水平面内の第1の方向に延びる第1送り螺子32上で互いに近接及び離間する一対の移動部材34及び各移動部材34に固定され、上記第1の方向と直交する水平面内の第2の方向に延びる第2送り螺子37上で互いに近接及び離間する一対ずつ計4つのノズルホルダ39から成り、各ノズルホルダ39に吐出ノズル42がひとつずつ取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する電子部品装着工程において、基板上の電子部品が装着される領域として基板上に区画された矩形の部品装着部位に電子部品を基板に固定するためのペーストを塗布するペースト塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する電子部品実装工程においては、基板上の電子部品が装着される領域として基板上に区画された矩形の部品装着部位の周囲に予め(或いは電子部品の実装後に)接着剤等のペーストが塗布される。基板上へのペーストの塗布は、ペーストを吐出する吐出ノズルを備えたペースト塗布装置によって行われ、少量のペーストで基板と電子部品の高い結合力が得られるようにするため、ペーストは部品装着部位の四隅に所定の形状(例えばL字状)で描画される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−300538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のペースト塗布装置では、基板上の部品装着部位の四隅にペーストを塗布するときには基板の四隅に吐出ノズルを順次移動させて計4回のペーストの塗布動作を行う必要があり、ペーストの塗布作業に要する時間が長くなって実装基板の生産性の向上が妨げられる結果となっていた。
【0005】
そこで本発明は、基板へのペーストの塗布工程に要する時間を短縮化して実装基板の生産性を向上させることができるようにしたペースト塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のペースト塗布装置は、電子部品を基板に装着する電子部品装着工程において、基板上の電子部品が装着される領域として基板上に区画された矩形の部品装着部位に電子部品を基板に固定するためのペーストを塗布するペースト塗布装置であって、基板に対して相対移動自在に設けられたベース部と、ベース部から下方に延びて設けられてペーストを吐出する複数の吐出ノズルと、前記複数の吐出ノズルをベース部に対して水平面内方向に相対移動させる吐出ノズル移動機構とを備えた。
【0007】
請求項2に記載のペースト塗布装置は、請求項1に記載のペースト塗布装置であって、前記複数の吐出ノズルは4つの吐出ノズルから成る。
【0008】
請求項3に記載のペースト塗布装置は、請求項2に記載のペースト塗布装置であって、吐出ノズル移動機構は、ベース部に固定された水平面内の第1の方向に延びる第1の軌道上で互いに近接及び離間する一対の移動部材及び各移動部材に固定され、前記第1の方向と直交する水平面内の第2の方向に延びる第2の軌道上で互いに近接及び離間する一対ずつ計4つのノズルホルダから成り、各ノズルホルダに前記吐出ノズルがひとつずつ取り付けられた。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、各吐出ノズルを相対移動させつつ基板上の部品装着部位の複数箇所に同時にペーストを塗布させることができるようになっているので、ペーストの塗布に要する時間を短縮化して実装基板の生産性を向上させることができる。
【0010】
ここで、複数の吐出ノズルが4つの吐出ノズルから成っているのであれば、これら4つの吐出ノズルをそれぞれ部品装着部位の四隅それぞれの上方に位置させることにより、部品装着部位の四隅に同時にペーストを塗布することができるので、ペーストの塗布に要する時間をより短縮化することができる。また更に、吐出ノズル移動機構が、ベース部に固定された水平面内の第1の方向に延びる第1の軌道上で互いに近接及び離間する一対の移動部材及び各移動部材に固定され、第1の方向と直交する水平面内の第2の方向に延びる第2の軌道上で互いに近接及び離間する一対ずつ計4つのノズルホルダから成り、各ノズルホルダに前記4つの吐出ノズルがひとつずつ取り付けられた構成となっているのであれば、4つの吐出ノズルを基板上の部品装着部位の四隅に沿うように移動させて部品装着部位の四隅にペーストをL字状に塗布する動作を行い易くなるので、より一層ペーストの塗布に要する時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品搭載装置の要部斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における電子部品搭載装置が備えるペースト塗布装置の部分拡大断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の部分拡大断面図
【図4】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の部分斜視図
【図5】本発明の一実施の形態における電子部品搭載装置の制御系統を示すブロック図
【図6】本発明の一実施の形態における電子部品搭載装置が実行する電子部品実装工程の手順を示すメインルーチンのフローチャート
【図7】(a)(b)本発明の一実施の形態における電子部品搭載装置により基板に電子部品を実装する手順を示す図
【図8】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置により部品装着部位の四隅に沿った4つのL字状のペースト塗布領域を示す図
【図9】本発明の一実施の形態における電子部品搭載装置が実行する電子部品実装工程の手順を示すサブルーチンのフローチャート
【図10】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置により基板にペーストを塗布する手順を説明する図
【図11】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置により基板にペーストを塗布する手順を説明する図
【図12】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置により部品装着部位の対向する2辺に沿った2つの直線状のペースト塗布領域を示す図
【図13】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置により基板にペーストを塗布する手順を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本実施の形態におけるペースト塗布装置を備えた電子部品搭載装置1は、基板2上に区画された複数の部品装着部位2aのそれぞれに、電気絶縁性を有する樹脂等から成るペースト(接着剤)Pstを塗布したうえで表面実装タイプの電子部品3を装着する電子部品実装工程において用いられる装置である。
【0013】
電子部品搭載装置1は、基板2を搬入して所定の作業位置に位置決めする搬送コンベア11、電子部品3をバンプ3aが下方を向く状態で供給する電子部品供給部12、電子部品3のバンプ3aに付着されるフラックスFKの供給を行うフラックス供給部13、搬送コンベア11により位置決めされた基板2の各部品装着部位2a(各部品装着部位2aには複数の電極2bが配置されている)上の所定の位置に所定の形状でペーストPstを塗布(描画)するペースト塗布装置14及び電子部品供給部12より供給される電子部品3をピックアップしてその電子部品3のバンプ3aをフラックス供給部13により供給されるフラックスFKに浸し、そのうえで電子部品3を搬送コンベア11により位置決めされた基板2の各部品装着部位2aに装着する装着ヘッド15を備えている。以下、説明の便宜上、搬送コンベア11により基板2が搬送される水平面内の方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0014】
搬送コンベア11は、図示しないアクチュエータ等から成る搬送コンベア駆動機構20によって駆動されて作動し、電子部品搭載装置1の外部から投入された基板2を受け取ってX軸方向に搬送(図1中に示す矢印A)するとともに、その基板2を作業の進行段階に合わせて、ペースト塗布作業用の第1の位置決め位置S1及び電子部品装着作業用の第2の位置決め位置S2に順次位置決めする。
【0015】
ペースト塗布装置14は、直交軸ロボットから成るペースト塗布装置移動機構21によって水平面内(XY面内)方向及び上下方向(Z軸方向)に移動される移動ベース22に取り付けられており(図1)、ペースト塗布装置14は図2に示すように、移動ベース22に上下方向に延びて設けられた送り螺子23に螺合するナット部30aを有する昇降プレート30に取り付けられている。昇降プレート30は、送り螺子23が上下軸回りに回転することにより、移動ベース22に対して昇降する。
【0016】
図2及び図3において、ペースト塗布装置14は昇降プレート30に固定されたベース部31を有し、ベース部31は昇降プレート30に対して固定されてY軸方向に延びた水平ベース31a及び水平ベース31aのY軸方向の両端部から下方に延びた一対の垂直ベース31bから成る。一対の垂直ベース31bにはY軸方向(水平面内の第1の方向)に延びた第1軸部材である第1送り螺子32の両端が支持されており、第1送り螺子32を側方(X軸方向)から挟む両位置には、第1送り螺子32と平行にY軸方向に延びた一対の第1ガイドロッド33が設けられている。
【0017】
図2に及び図3において、一対の垂直ベース31bの間には一対(2枚)の移動部材34がY軸方向に対向して設けられている。各移動部材34は垂直ベース31bと平行にXZ平面内に広がって延びた第1移動プレート34aと、この第1移動プレート34aのY軸方向の両端部から第1移動プレート34a同士が向かい合う方向に張り出すとともにYZ平面に広がって延びた一対の第2移動プレート34bから成り、各移動部材34の第1移動プレート34aにはY軸方向に延びた第1送り螺子32と一対の第1ガイドロッド33が貫通している。第1送り螺子32の表面の螺子は一対の垂直ベース31bの中間部を境に逆螺子となっており(図2参照)、第1送り螺子32が一方の垂直ベース31bに取り付けられた第1駆動モータ35に駆動されてY軸に平行な回転軸回りに回転作動すると、一対の第1移動プレート34aは(したがって一対の移動部材34は)互いに近接又は離間する。
【0018】
図2及び図3において、各移動部材34が備える一対の第2移動プレート34bにはX軸方向(第1の方向と直交する水平面内の第2方向)に延びた第2軸部材である第2送り螺子37の両端が支持されており、第2送り螺子37の下方には、第2送り螺子37と平行にX軸方向に延びた第2ガイドロッド38が設けられている。
【0019】
図2及び図3において、各移動部材34が備える一対の第2移動プレート34bの間には一対の(2つの)ノズルホルダ39がX軸方向に対向して設けられている。第2送り螺子37の表面の螺子は一対の第2移動プレート34bの中間部を境に逆螺子となっており、第2送り螺子37が一方の第2移動プレート34bに取り付けられた第2駆動モータ40に駆動されて作動するベルト式伝動機構41を介してX軸に平行な回転軸回りに回転すると、X軸方向に対向する一対のノズルホルダ39は互いに近接又は離間する。
【0020】
図2、図3及び図4(a),(b)において、各ノズルホルダ39の下部のノズル保持部39aには、下方に突出して延びた吐出ノズル42が設けられている。各吐出ノズル42はペースト配管43を介して水平ベース31aの上面に配置されたペースト貯留部44に繋がっている。
【0021】
上記のように、第1駆動モータ35が駆動されると第1送り螺子32がY軸と平行な回転軸回りに回転し、第1送り螺子32上の逆螺子に螺合した一対の移動部材34が近接又は離間する。また、各第2駆動モータ40が駆動されるとその第2駆動モータ40に連結された第2送り螺子37がX軸と平行な回転軸回りに回転し、その第2送り螺子37上の逆螺子に螺合した一対のノズルホルダ39が近接又は離間する。このため、電子部品搭載装置1が備えるペースト塗布装置14では、1つの第1駆動モータ35と2つの第2駆動モータ40の作動制御を行うことにより、4つの吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に互いに相対移動させることができる。
【0022】
ここで、図4(a)は第1送り螺子32上で対向する一対の移動部材34が最も近接するとともに、各第2送り螺子37上で対向する一対のノズルホルダ39がそれぞれ最も近接した状態を示しており、図4(b)は第1送り螺子32上で対向する一対の移動部材34が最も離間するとともに、各第2送り螺子37上で対向する一対のノズルホルダ39がそれぞれ最も離間した状態を示している。
【0023】
このように4つの吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に相対移動させる機構、すなわち第1駆動モータ35、第1送り螺子32、一対の第1ガイドロッド33、一対の移動部材34、2つの第2駆動モータ40、2つの第2送り螺子37、2つの第2ガイドロッド38及び計4つのノズルホルダ39から成る機構は、4つの吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に相対移動させる吐出ノズル移動機構45となっている(図1も参照)。そして、電子部品搭載装置1が備えるペースト塗布装置14は、搬送コンベア11によって位置決めされた基板2に対して相対移動自在に設けられたベース部31と、ベース部31から下方に延びて設けられてペーストPstを吐出する4つ(複数)の吐出ノズル42と、これら4つの吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に相対移動させる吐出ノズル移動機構45を備えたものとなっている。なお、ベース部31、4つの吐出ノズル42及び吐出ノズル移動機構45は、ベース部31に取り付けられたカバー部材46によってその全体が覆われた状態となっている(図1、図2及び図3参照)。
【0024】
ペースト塗布装置14の外部にはペースト吐出機構47(図1)が設けられており、このペースト吐出機構47の作動によって4つの吐出ノズル42それぞれより、ペースト配管43によって繋がったペースト貯留部44内のペーストPstが吐出される。ペースト吐出機構47は、各ペースト貯留部44に接続された複数の圧縮空気供給ユニットを備えており、各圧縮空気供給ユニットは対応するペースト貯留部44内に圧縮空気を供給してペースト貯留部44内のペーストPstを吐出ノズル42から吐出させる。
【0025】
図1において、装着ヘッド15は下方に延びた吸着ノズル15aを昇降自在に備えて成り、直交軸ロボットから成るヘッド移動機構51によって水平面内方向に移動される。吸着ノズル15aは装着ヘッド15に内蔵された吸着ノズル昇降機構52によって昇降される。また、吸着ノズル15aによる吸着及びその解除動作は、図示しないアクチュエータ等から成る真空圧供給機構53による吸着ノズル15aへの真空圧の供給及びその停止によってなされる。
【0026】
搬送コンベア11による基板2の搬送及び位置決め動作は、この電子部品搭載装置1が備える制御装置60(図5)が、前述の搬送コンベア駆動機構20の作動制御を行うことによってなされる(図5)。
【0027】
ペースト塗布装置14の水平面内方向及び上下方向への移動動作は、制御装置60が、前述のペースト塗布装置移動機構21の作動制御を行うことによってなされる(図5)。また、ペースト塗布装置14を構成する4つの吐出ノズル42の水平面内での相対移動動作は、制御装置60が前述の吐出ノズル移動機構45の作動制御を行うことによってなされる(図5)。また、各吐出ノズル42からのペーストPstの吐出動作は、制御装置60が前述のペースト吐出機構47の作動制御を行うことによってなされる(図5)。
【0028】
装着ヘッド15の水平面内方向への移動動作は、制御装置60が、前述のヘッド移動機構51の作動制御を行うことによってなされる(図5)。また、吸着ノズル15aの昇降動作は、制御装置60が前述の吸着ノズル昇降機構52の作動制御を行うことによってなされる(図5)。また、吸着ノズル15aによる吸着及びその解除動作は、制御装置60が前述の真空圧供給機構53の作動制御を行うことによってなされる(図5)。
【0029】
次に、図6〜図13を加えて電子部品搭載装置1が実行する電子部品実装工程の手順を説明する。電子部品実装工程では、制御装置60は先ず、搬送コンベア駆動機構20の作動制御を行って搬送コンベア11を作動させ、外部から供給される基板2を電子部品搭載装置1内に搬入して、ペースト塗布作業用の第1の位置決め位置S1に位置決めする(図6に示すステップST1の搬入及び第1の位置決め工程)。
【0030】
制御装置60は、基板2を第1の位置決め位置S1に位置決めしたら、その基板2の各部品装着部位2a上にペーストPstを塗布し、基板2上にペースト吐出体Wを形成する(図6に示すステップST2のペースト塗布工程)。
【0031】
なお、このときペーストPst(ペースト吐出体W)は、図7(a)に示すように、基板2に電子部品3が装着された状態(図7(b))における基板2と電子部品3の間の距離Hよりも高い高さhを有するように基板2上に形成される。
【0032】
ここで、ステップST2のペースト塗布工程において、図8に示すように、矩形の部品装着部位2aの四隅の頂点Pを代表点とし、各代表点から部品装着部位2aの部品装着部位2aの各辺に沿って軸方向及びY軸方向に延びる延設部を有して形成される4つのL字状のペースト塗布領域Sd1にペーストPstを塗布(ペースト吐出体Wを形成)する場合について説明する。
【0033】
図8に示すように、各L字状のペースト塗布領域Sd1内の代表点である頂点PからY軸方向に延びた延設部の端部を点Q1、各L字状のペースト塗布領域Sd1の頂点PからX軸方向に延びた延設部の端部を点Q2とすると、制御装置60は、先ず、ペースト塗布装置移動機構21の作動制御を行って、ペースト塗布装置14をペーストPstの塗布対象とする部品装着部位2aの直上に移動させる(図9に示すステップST11のペースト塗布装置移動工程)。そして、吐出ノズル移動機構45の作動制御を行い、4つの吐出ノズル42を4つのL字状のペースト塗布領域Sd1上の点Q1の直上に位置させることによって、4つの吐出ノズル42を部品装着部位2aの四隅に設定した4つの代表点(頂点P)の近傍位置に配置する(図10(a)。図9に示すステップST12の吐出ノズル配置工程)。
【0034】
制御装置60は、4つの吐出ノズル42を部品装着部位2aの四隅に設定した4つの代表点(頂点P)の近傍位置に配置したら、4つの吐出ノズル42よりペーストPstを吐出させながら、一対の移動部材34を第1送り螺子32に沿って(すなわち、ベース部31に固定された水平面内の第1の方向(Y軸方向)に延びる第1の軌道上で)互いに離間させることにより(図10(b)中に示す矢印B)、各吐出ノズル42を4つの代表点(頂点P)に移動させる(図10(b)。図9に示すステップST13の吐出ノズル移動工程)。
【0035】
制御装置60は、各吐出ノズル42を4つの代表点(頂点P)に移動させたら、4つの吐出ノズル42よりペーストPstを継続して吐出させながら、同一の第2送り螺子37上に配置されたノズルホルダ39同士を近接させることにより(図10(c)中に示す矢印C)、第2送り螺子37に沿って(すなわち、各移動部材34に固定され、Y軸方向と直交する水平面内の第2の方向(X軸方向)に延びる第2の軌道上で)、各吐出ノズル42を4つの点Q2に移動させ、各吐出ノズル42によるペーストPstの吐出を停止させる(図10(c)。図9に示すステップST14の吐出ノズル移動工程)。これにより、部品装着部位2aの四隅に設定した代表点(頂点P)を通って部品装着部位2aの四辺に沿った延出部を有するL字状のペースト塗布領域Sd1上にペースト吐出体Wが形成され(図10(d))、部品装着部位2aの四隅にペーストPstが塗布された状態となる。
【0036】
制御装置60は、ステップST14が終了した後、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがあるか否かの判断を行う(図9に示すステップST15の判断工程)。その結果、制御装置60は、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがなかったときにはこのサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻り、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがあったときには、ペースト塗布装置14を次にペーストPstの塗布対象とする部品装着部位2aの直上に移動させる(図9に示すステップST16のペースト塗布装置移動工程)。そして、4つの吐出ノズル42を4つのL字状のペースト塗布領域Sd1上の点Q2に位置させることによって、4つの吐出ノズル42を部品装着部位2aの四隅に設定した4つの代表点(頂点P)の近傍位置に配置する(図11(a)。図9に示すステップST17の吐出ノズル配置工程)。
【0037】
制御装置60は、4つの吐出ノズル42を部品装着部位2aの四隅に設定した4つの代表点(頂点P)の近傍位置に配置したら、4つの吐出ノズル42よりペーストPstを吐出させながら、同一の第2送り螺子37上に配置されたノズルホルダ39同士を離間させることにより(図11(b)中に示す矢印D)、第2送り螺子37に沿って(すなわち、各移動部材34に固定され、Y軸方向と直交する水平面内の第2の方向(X軸方向)に延びる第2の軌道上で)、各吐出ノズル42を4つの代表点(頂点P)に移動させる(図11(b)。図9に示すステップST18の吐出ノズル移動工程)。
【0038】
制御装置60は、各吐出ノズル42を4つの代表点(頂点P)に移動させたら、4つの吐出ノズル42よりペーストPstを継続して吐出させながら、一対の移動部材34を第1送り螺子32に沿って(すなわち、ベース部31に固定された水平面内の第1の方向(Y軸方向)に延びる第1の軌道上で)、互いに近接させることにより(図11(c)中に示す矢印E)、各吐出ノズル42を4つの点Q1に移動させ、各吐出ノズル42によるペーストPstの吐出を停止させる(図11(c)。図9に示すステップST19の吐出ノズル移動工程)。これにより、部品装着部位2aの四隅に設定した代表点(頂点P)を通って部品装着部位2aの四辺に沿った延出部を有するL字状のペースト塗布領域Sd1上にペースト吐出体Wが形成され(図11(d))、部品装着部位2aの四隅にペーストPstが塗布された状態となる。
【0039】
制御装置60は、ステップST19が終了した後、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがあるか否かの判断を行う(図9に示すステップST20の判断工程)。その結果、制御装置60は、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがなかったときにはこのサブルーチンを抜けてメインルーチンに戻り、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがあったときにはステップST11に戻って、ペース塗布装置14を次にペーストPstの塗布対象とする部品装着部位2aの直上に移動させる。
【0040】
上記の例は、部品装着部位2aの四隅のそれぞれにL字状にペーストPstを塗布する場合であったが、図12に示すように、部品装着部位2aのY軸方向に対向してX軸方向に延びる2辺に沿い、部品装着部位2aの4つの頂点Pのうち、X軸方向に対向する2つの頂点(P1及びP2)を含む2つの直線状のペースト塗布領域Sd2のそれぞれにペーストPstを塗布(ペースト吐出体Wを形成)する場合についても説明する。
【0041】
この場合には、制御装置60は、ペースト塗布装置14をペーストPstの塗布対象とする部品装着部位2aの直上に移動させた後、4つの吐出ノズル42のうち、Y軸方向に対向する一対(2つ)の吐出ノズル42を2つの直線状のペースト塗布領域Sd2上の点P1の直上に位置させる(図13(a))。そして、2つの吐出ノズル42からペーストPstを吐出させながら、同一の第2送り螺子37上に配置されたノズルホルダ39同士を離間(又は近接)させ、上記一対の吐出ノズル42を点P2に移動させる(図13(b)。図中に示す矢印F)。そして、一対の吐出ノズル42が点P2に達したら、各吐出ノズル42によるペーストPstの吐出を停止させる。これにより、部品装着部位2aのY軸方向に対向する2辺に沿った2つの直線状のペースト塗布領域Sd2のそれぞれにペーストPstが塗布(ペースト吐出体Wが形成)された状態となる(図13(c))。そして、制御装置60は、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがあるか否かの判断を行い、他にペーストPstの塗布を行うべき部品装着部位2aがあったときには上記工程を繰り返す。
【0042】
なお、このとき、前回使用した2つの吐出ノズル42とは異なる(すなわち前回使用しなかった)2つの吐出ノズル42を用いてペーストPstの塗布を行うことが好ましい。前述のように、4つの吐出ノズル42にはそれぞれ独立したペースト貯留部44が繋がっているので、4つの吐出ノズル42を2つずつ、交互に用いてペーストPstの塗布を行うようにすれば、各ペースト貯留部44に貯留されたペーストPstを均等に減らすことができる。
【0043】
また、上記のように、部品装着部位2aのY軸方向に対向する2辺に沿った2つの直線状のペースト塗布領域Sd2のそれぞれにペーストPstを塗布する場合には、4つの吐出ノズル42のうち、Y軸方向に対向する一対(2つ)の吐出ノズル42を2つの直線状のペースト塗布領域Sd2上の点P1の直上に位置させた後、2つの吐出ノズル42よりペーストPstを吐出させながら、ペースト吐布装置14全体をX軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0044】
制御装置60は、ステップST2のペースト塗布工程が終了したら、搬送コンベア駆動機構20の作動制御を行って搬送コンベア11を作動させ、基板2を電子部品装着作業用の第2の位置決め位置S2に位置決めする(図6に示すステップST3の搬送及び第2の位置決め工程)。そして、制御装置60は、基板2上の各部品装着部位2aに電子部品3を装着する電子部品装着工程(図6に示すステップST4の電子部品装着工程)を実行する。
【0045】
ステップST4の電子部品装着工程では、制御装置60は先ず、ヘッド移動機構51の作動制御を行って装着ヘッド15を移動させ、吸着ノズル15aを電子部品供給部12によって供給されている電子部品3の上方に移動させた後、吸着ノズル昇降機構52の作動制御を行って吸着ノズル15aを装着ヘッド15に対して下降させ、吸着ノズル15aの下端を電子部品3の上面に接触させる。そして、真空圧供給機構53の作動制御を行って吸着ノズル15a内に真空圧を供給し、吸着ノズル15aにより電子部品3を吸着(ピックアップ)する。
【0046】
制御装置60は、吸着ノズル15aにより電子部品3を吸着したら、ヘッド移動機構51の作動制御を行って装着ヘッド15を移動させ、吸着ノズル15aにより吸着した電子部品3のバンプ3aがフラックス供給部13により供給されるフラックスFKに浸るように装着ヘッド15を下降させる。制御装置60は、電子部品3のバンプ3aがフラックスFKに浸ったら装着ヘッド15を上昇させ、吸着ノズル15aにより吸着した電子部品3が、第2の位置決め位置S2に位置決めした基板2における電子部品3の装着対象となっている部品装着部位2aの直上に位置するようにする。そして制御装置60は、吸着ノズル15aを装着ヘッド15に対して下降させ、吸着ノズル15aの下端の電子部品3を部品装着部位2aの上面に接触させながら吸着ノズル15a内への真空圧の供給を解除し、電子部品3の下面の各バンプ3aを基板2上の各電極2bに接触させるようにして、電子部品3を部品装着部位2aに装着する。なお、このとき制御装置60は、電子部品3の周辺部によって部品装着部位2a上に形成されたペースト吐出体Wが基板2側に押し付けられるようにする(図7(b))。
【0047】
制御装置60は、第2の位置決め位置S2に位置決めした基板2上の部品装着部位2aに対して電子部品装着工程を実行したら、搬送コンベア駆動機構20の作動制御を行って搬送コンベア11を作動させ、基板2を電子部品搭載装置1の外部に搬出する(図6に示すステップST5の搬出工程)。
【0048】
制御装置60は、ステップST5の搬出工程が終了したら、他に電子部品3の装着を行う基板2があるかどうかの判断を行う(図6に示すステップST6の判断工程)。その結果、他に電子部品3の装着を行う基板2があった場合にはステップST1に戻って新たな基板2の搬入を行い、他に電子部品3の装着を行う基板2がなかった場合には、一連の電子部品実装工程を終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態における電子部品搭載装置1が備えるペースト塗布装置14は、電子部品3を基板2に装着する電子部品装着工程において、基板2上の電子部品3が装着される領域として基板2上に区画された矩形の部品装着部位2aに電子部品3を基板2に固定するためのペーストPstを塗布するものであり、基板2に対して相対移動自在に設けられたベース部31と、ベース部31から下方に延びて設けられてペーストPstを吐出する複数の吐出ノズル42と、これら複数の吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に相対移動させる吐出ノズル移動機構45を備えたものとなっている。
【0050】
このため本実施の形態における電子部品搭載装置1では、各吐出ノズル42を相対移動させつつ基板2上の部品装着部位2aの複数箇所に同時にペーストPstを塗布させることができ、ペーストPstの塗布に要する時間を短縮化して実装基板の生産性を向上させることができる。
【0051】
ここで、本実施の形態における電子部品搭載装置1では、複数の吐出ノズル42が4つの吐出ノズル42から成っているので、これら4つの吐出ノズル42をそれぞれ部品装着部位2aの四隅それぞれの上方に位置させることにより、部品装着部位2aの四隅に同時にペーストPstを塗布することができる。
【0052】
更に、本実施の形態における電子部品搭載装置1では、吐出ノズル移動機構45は、ベース部31に固定された水平面内の第1の方向(Y軸方向)に延びる第1の軌道上(第1送り螺子32上)で互いに近接及び離間する一対の移動部材34及び各移動部材34に固定され、上記第1の方向と直交する水平面内の第2の方向(X軸方向)に延びる第2の軌道上(第2送り螺子37上)で互いに近接及び離間する一対ずつ計4つのノズルホルダ39から成り、各ノズルホルダに前記吐出ノズルがひとつずつ取り付けられたものとなっているので、4つの吐出ノズル42を基板2上の部品装着部位2aの四隅に沿うように移動させて部品装着部位2aの四隅にペーストPstを「L」字状に塗布する動作が行い易い。
【0053】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態において示した複数の吐出ノズル42を移動させる吐出ノズル移動機構45の構成は一例であり、複数の吐出ノズル42をベース部31に対して水平面内方向に相対移動させる機構であれば、その構成の如何は問わない。
【0054】
例えば、吐出ノズル移動機構45は、ベース部31に固定された水平面内の第1の方向に延びる第1の軌道上で互いに近接及び離間する一対の移動部材34及び各移動部材34に固定され、第1の方向と直交する水平面内の第2の方向に延びる第2の軌道上で互いに近接及び離間する一対ずつ計4つのノズルホルダ39を備えた構成となっていればよい。上述の実施の形態では、一対の移動部材34をY軸方向に近接及び離間させる機構及び一対する計4つのノズルホルダ39をX軸方向に近接及び離間させる機構にそれぞれ送り螺子(第1送り螺子32及び第2送り螺子37)を用いて送り螺子そのものが移動部材34及びノズルホルダ39の軌道(第1の軌道及び第2の軌道)となるようにしていたが、これらの機構は必ずしも送り螺子を用いた機構である必要はなく、リンク機構やカム機構等を用いることにより、移動部材34及びノズルホルダ39が仮想的に設定される軌道(第1の軌道及び第2の軌道)上で移動する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
基板へのペーストの塗布工程に要する時間を短縮化して実装基板の生産性を向上させることができるようにしたペースト塗布装置を提供する。
【符号の説明】
【0056】
2 基板
2a 部品装着部位
3 電子部品
14 ペースト塗布装置
31 ベース部
32 第1送り螺子(第1の軌道)
34 移動部材
37 第2送り螺子(第2の軌道)
39 ノズルホルダ
42 吐出ノズル
45 吐出ノズル移動機構
Pst ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に装着する電子部品装着工程において、基板上の電子部品が装着される領域として基板上に区画された矩形の部品装着部位に電子部品を基板に固定するためのペーストを塗布するペースト塗布装置であって、
基板に対して相対移動自在に設けられたベース部と、
ベース部から下方に延びて設けられてペーストを吐出する複数の吐出ノズルと、
前記複数の吐出ノズルをベース部に対して水平面内方向に相対移動させる吐出ノズル移動機構とを備えたことを特徴とするペースト塗布装置。
【請求項2】
前記複数の吐出ノズルは4つの吐出ノズルから成ることを特徴とする請求項1に記載のペースト塗布装置。
【請求項3】
吐出ノズル移動機構は、ベース部に固定された水平面内の第1の方向に延びる第1の軌道上で互いに近接及び離間する一対の移動部材及び各移動部材に固定され、前記第1の方向と直交する水平面内の第2の方向に延びる第2の軌道上で互いに近接及び離間する一対ずつ計4つのノズルホルダから成り、各ノズルホルダに前記吐出ノズルがひとつずつ取り付けられたことを特徴とする請求項2に記載のペースト塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−43961(P2012−43961A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183574(P2010−183574)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】