説明

ホットプレート

【課題】調理中に新たな調理物が追加されても調理プレートの熱低下を少なくできるホットプレートを提供すること。
【解決手段】調理プレート13と、この調理プレート13を加熱するヒータ7と、調理プレート13及びヒータ7が収容される本体ケース2とを有し、本体ケース2にヒータ7及び調理プレート13を収容して被調理物を調理するホットプレート1であって、ヒータ7と調理プレート13との間には、ヒータ7の熱を蓄熱する蓄熱部材10が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットプレートに係り、詳しくは調理プレートを加熱する蓄熱部材を備えたホットプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットプレートは、焼き肉やお好み焼きなどが家庭で手軽に簡単にできることから、多くの家庭などで使用されている。
【0003】
このホットプレートは、この機器の外郭を構成する本体ケースと、この本体ケースに収容されてヒータからの熱を遮断する遮熱部材と、この遮熱部材の上方に配置されるヒータと、このヒータによって加熱される調理プレートとを備え、ヒータに接続されたコネクタにコントローラーを差込むことによって、温度調節しながら調理プレートに載せた肉や野菜などの食材を調理できる構成となっている。
【0004】
調理プレートは、ヒータによって加熱されるが、その際、調理プレートへのヒータの取り付け方として、ヒータを調理プレートに一体に組込み又は固定する一体組込みタイプのものと、調理プレートから分離できるようにした分離タイプのものとがある。
【0005】
組込みタイプのものは、通常、調理プレートにシーズヒータが一体に組込まれて、このシーズヒータによって調理プレートが直接加熱されるようになっているので、加熱効率がよいが、一方で、調理プレートはヒータ直上の箇所が局部的に高温になる。そのため、調理プレートの表面温度分布が均一にならず、温度が高い箇所と低い箇所とが発生して加熱ムラが発生することがある。しかも、調理プレートを取り外したときに、調理プレートの裏面側にヒータが露出して凹凸面が現れるので、この凹凸部分に調理汁などが付着して汚れてしまうことがある。一方、分離タイプのものは、調理プレートの背面に位置して、シーズヒータからの輻射熱によって調理プレートが加熱されるので、調理プレート以外の部分へ放熱される熱が多くなり、加熱効率が低下することがある。また、いずれのタイプのものも、調理プレートから調理物の汁がこぼれたり或いは調理プレートを取り外して台所の流し台などに置くと、調理物の汁や汚れた水が調理プレートの裏面に付着し、その状態のままで調理プレートが加熱されてしまうと、調理プレートの裏面に焦げなどの汚れがこびりついてしまうことがある。
【0006】
そこで、分離タイプのホットプレートにおいて、できるだけ加熱ムラをなくして加熱効率を向上させたホットプレートが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0007】
以下、図5を参照して、下記特許文献1に開示されたホットプレートを説明する。なお、図5Aはホットプレートの縦断面図、図5Bはヒータの斜視図である。
【0008】
ホットプレート20は、図5Aに示すように、本体21と、遮熱板22と、ヒータ23と、平面プレート24とを有している。本体21は、その底部に遮熱板22が固定されて、この遮熱板22の上にヒータ23が配設されて、その上方に平面プレート24が装着された構成となっている。遮熱板22、ヒータ23及び平面プレート24は本体21内に着脱自在となっている。
【0009】
ヒータ23は、図5Bに示すように、往復蛇行された線状ヒータ(シーズヒータ)26の外周囲に熱伝導性が優れたアルミニウム若しくはアルミニウム合金を鋳込んだ大きな鋳込み部27が形成されているとともに、往復蛇行する鋳込み部27間に、この鋳込み部27を平面方向に延長して格子状の熱伝達面28が形成されている。このヒータ23は、線状ヒータ26が電源に接続されて、線状ヒータ26が発熱すると、その熱は鋳込み部27だけでなく熱伝達面28へも伝わって平面プレート24が加熱される。その結果、線状ヒータの熱が平面プレート周辺部へも伝わり、平面プレート24の全体がバランスよく加熱される。
【特許文献1】特開2002−209756号公報(段落〔0007〕〜〔0009〕、図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ホットプレートは、温度調節しながら調理プレートに載せた肉や野菜などの食材が調理されている。このホットプレートの1つの課題は、使用されるヒータの配置構造から調理プレート表面の温度分布が均一にならず、温度が高い箇所と低い箇所とが発生して加熱ムラが発生することである。この加熱ムラを少なくするために、様々な工夫がなされて来ており、上記特許文献1のホットプレートは、線状ヒータに熱伝達面を延設した鋳込み部を一体に固定して調理プレートを加熱して加熱ムラを少なくしたものである。
【0011】
しかしながら、このホットプレートは、線状ヒータからの熱が鋳込み部及び熱伝達面を介して調理プレートに伝熱されて加熱されるが、この加熱された調理プレートに食材が載せられると、このプレートの熱が直ちに食材に奪い取られて、温度が高い箇所と低い箇所とが発生して、その結果、加熱ムラが発生することがある。
【0012】
これまでのホットプレートは、加熱ムラが発生しないように種々工夫されている。工夫されたホットプレートによれば、食材が載せられる前の状態において調理プレート表面の温度分布が略均一になるが、食材が載せられた調理段階になると加熱ムラが発生する。すなわち、温度分布が略均一になった調理プレートに食材が載せられると、この調理プレートの熱が直ちに食材に奪い取られて表面温度が直ちに低下して、温度が高い箇所と低い箇所とが発生して加熱ムラが発生する。熱低下を起こした箇所には、ヒータ熱源から熱が補給されるが、この補給される熱源が温度の低い箇所へ到達するまでに時間が掛かる。このため、温度が低い箇所では調理が停滞してしまうので、ユーザ、特に子供たちが待ちきれずイライラさせてしまうことがある。このような加熱ムラは、最初の段階だけでなく、調理中に新たな食材が追加されたときも同様の加熱ムラが発生する。このような加熱ムラを少なくするためには、容量の大きいヒータを用いて温度コントロールすれば解決が可能となるが、そうすると、温度の高い箇所は更に温度が上昇して食材を焦してしまうので温度調節が難しくなり、また大容量のヒータを使用すると省エネルギー化ができないという新たな課題が発生する。
【0013】
近年、ホットプレートは、焼き肉やお好み焼きなどが家庭で簡単にできることから広く普及して来ており、この普及に伴いその使用も様々な形態で使用されるようになってきており、一方でまた、地球温暖化の防止策として電力の省エネルギー化が必須の課題になっている。そこで、本発明者は、このような使用形態を考慮ししかも省エネルギー化を実現するために、ヒータからの熱の有効活用を検討した。その結果、ヒータからの熱を有効に活用するには、ヒータからの熱を蓄熱し、この蓄熱した熱エネルギーを利用できるようにすれば、時間を掛けて蓄熱することによって蓄熱容量を大きくでき、しかも放熱の無駄も抑制できることに想到し本発明を完成させるに至ったものである。
【0014】
そこで本発明は、このような従来技術の課題解決及び状況に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、調理中に新たな調理物が追加されても調理プレートの熱低下を少なくできるホットプレートを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、上記目的に加え、省エネルギー化を実現できるホットプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のホットプレートは、調理プレートと、前記調理プレートを加熱するヒータと、前記調理プレート及び前記ヒータが収容される本体ケースとを有し、前記本体ケースに前記ヒータ及び前記調理プレートを収容して被調理物を調理するホットプレートにおいて、前記ヒータと前記調理プレートとの間には、前記ヒータの熱を蓄熱する蓄熱部材が配設されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のホットプレートにおいて、前記蓄熱部材は、複数個の開孔が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のホットプレートにおいて、前記蓄熱部材は、前記ヒータに一体又は分離可能に固定されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項4にかかる発明は、請求項3に記載のホットプレートにおいて、前記分離可能な蓄熱部材は、肉厚の蓄熱板と蓋板とを有し、前記ヒータは前記蓄熱板と蓋板との間に挟持されて分離可能な固定手段により固定されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項5にかかる発明は、請求項4に記載のホットプレートにおいて、前記ヒータには、線状ヒータが使用されて、前記蓄熱部材は少なくとも前記蓄熱板に前記線状ヒータが嵌り込む凹状溝が形成されて、該凹状溝に線状ヒータが嵌め込まれて前記蓋板で覆われていることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のホットプレートにおいて、前記線状ヒータは、前記蓄熱部材から一部露出された状態又は全部覆われた状態になっていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項7にかかる発明は、請求項3に記載のホットプレートにおいて、前記一体の蓄熱部材は、前記ヒータに鋳込みによって一体化されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項8にかかる発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のホットプレートにおいて、前記蓄熱部材は、アルミニウム材又は銅材で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、ヒータと調理プレートとの間に、ヒータの熱を蓄熱する蓄熱部材が配設されているので、ヒータからの熱を蓄熱部材に蓄熱して調理プレートに伝熱して調理プレートの表面温度を略均一にすることができる。蓄熱部材には、所定量に熱容量が蓄熱できるので、調理プレートに被調理物が載せられて熱が奪われても、蓄熱部材の熱容量により、すぐさま元の温度へ復帰する。その結果、調理プレート表面の熱ムラの発生を抑制できる。また、蓄熱部材への蓄熱は、時間を掛けて蓄熱することができるので、容量の大きいヒータを使用せずに蓄熱ができて省エネルギー化が実現できる。なお、この蓄熱部材は、ヒータ線を覆い更にこのヒータ線から外方へ延ばして、調理プレートと略同じ面積にすることによって、調理プレートを均一に加熱することもできる。
【0025】
また、請求項2の発明によれば、蓄熱部材に開孔が設けられているので、被調理物からの油などは開孔を通して落下されて、蓄熱部材の汚染を抑制できる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、蓄熱部材はヒータに一体又は分離可能に固定されるので、蓄熱部材の扱いが簡単になる。また、ヒータから蓄熱部材を分離可能にすることにより、蓄熱部材をヒータから取り外して洗浄などの処理ができる。
【0027】
また、請求項4の発明によれば、蓄熱板と蓋板との間にヒータが配設されているので、ヒータからの熱を効率よく蓄熱部材に蓄熱させることができる。ヒータからの熱は、主に肉厚の蓄熱板に蓄熱されるが、蓄熱板の裏面側は蓋板で覆われるので、ヒータからの熱は外へ放熱されることなく、蓋板に蓄積された後に蓄熱板へ伝熱されて効率よく蓄熱部材に蓄熱させることができる。
【0028】
また、請求項5の発明によれば、蓄熱板と蓋板との間に線状ヒータが配設されているので、この線状ヒータからの熱を効率よく蓄熱部材に蓄熱させることができる。
【0029】
また、請求項6の発明によれば、線状ヒータを蓄熱部材に装着する際に、ヒータ線を蓄熱部材から一部露出させることにより、蓄熱部材の作成が容易になり、また、蓄熱部材でヒータ線を全部覆うことによって、ヒータ線から発せられる熱の損出がなくなり、熱効率を良くすることができる。さらに、この蓄熱部材は、ヒータ線を覆い更にこのヒータ線から外方へ延ばして、調理プレートと略同じ面積にすることによって、調理プレートを均一に加熱することができる。また、請求項7の発明によれば、ヒータへの蓄熱部材の固定が堅固になるとともに、作製が簡単になる。
【0030】
また、請求項8の発明によれば、蓄熱部材は、アルミニウム材(例えば、アルニウム、アルミニウム合金)で形成されているので、その重量を軽くして蓄熱容量を大きくできる。また、銅材(銅、銅合金)で形成されているので、熱伝導度を高くして、蓄熱容量をも大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのホットプレートを例示するものであって、本発明をこのホットプレートに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0032】
まず、図1を参照して、本発明の実施例1に係るホットプレートの全体構成について説明する。なお、図1は本発明の実施例1に係るホットプレートを分解した分解斜視図である。
【0033】
実施例1に係るホットプレート1は、上方が開口し比較的浅底の本体ケース2と、この本体ケース2内へ着脱自在に収容されるほぼ皿状の遮熱部材5と、この遮熱部材5の上部に配置されて調理プレート13を加熱するヒータユニット6と、このヒータユニット6の上部に配置される調理プレート13と、この調理プレート13を覆う蓋カバー15とを有している。これらの本体ケース2、遮熱部材5、ヒータユニット6、調理プレート13及び蓋カバー15は、それぞれ独立した単一部品、すなわち単体で形成されている。
【0034】
ヒータユニット6には、本体ケース2に遮熱部材5及び調理プレート13が正規位置にセットされたときにのみ、このヒータユニット6に設けた差込口へ温度調節手段付きコントローラーが接続できる安全機構が内蔵されている。以下、個々の構成を説明する。
【0035】
本体ケース2は、所定の面積を有するほぼ楕円形の底板部2aと、この底板部2aの周囲から所定の高さで立設された側板部2bとを有し、耐熱性の合成樹脂材で形成されている。
【0036】
この本体ケース2は、側板部2bに、楕円形状の長手方向の一部に切欠き部2b’が形成されて、この切欠き部2b’にヒータユニット6の接続器9が装着される装着孔4が設けられている。この装着孔4は、底板部2aの一部が延設された底辺部4aと、切欠き部2b’の両側壁4b、4bとで構成されている。底辺部4aには、ほぼ中央部に所定高さの第1の安全ピンP1が立設されている。なお、この第1の安全ピンP1は、接続器9に差込まれてコントローラーの結合を阻止する安全機構の一部となっている。また、両側壁4b、4bには、接続器9のガイド突起が嵌合されるガイド溝が設けられている。また、底板部2aには、底板を貫通する貫通孔3が形成されている。この貫通孔3は放熱孔となっている。さらに、底板部2aは、背面のほぼ4隅にそれぞれ突起21が立設形成されている。これらの突起21は、内部に穴が形成されて、これらの穴に遮熱部材5の位置決め突起51が挿入されるようになっている。
【0037】
遮熱部材5は、本体ケース2に収容される大きさのほぼ楕円形状の皿状体からなり、金属性の薄板のプレス加工により一体成型で形成されている。すなわち、この遮熱部材5は、ほぼ楕円形をなした底板部5aと、この底板部5aの周囲から所定高さ立設された側板部5bと有している。この遮熱部材5は、底板部5aの表面に反射及び断熱処理が施されており、ヒータ7から本体ケース2への熱伝導がし難くしてある。また、反射面は、底板部5aから所定の大きさで突出した矩形状の突出部5a’で形成されている。側板部5bは、本体ケース2の装着孔4に対応する箇所に切欠き部5cが形成されている。この切欠き部5cを設けることにより、遮熱部材5内にヒータユニット6をセットしたときに、そのヒータ7の基端部7a、7b(図2A参照)が遮熱部材5の一側面に引っかかることがなくなる。また、遮熱部材5は、その背面に位置決め突起51が形成されている。この位置決め突起51は、本体ケース2の底板部2aに設けた突起21の穴に挿入されて、遮熱部材5が位置決め固定される。
【0038】
次に、図2を参照して、ヒータユニット6を説明する。なお、図2はヒータユニットを示し、図2Aはヒータユニットの平面図、図2Bは図2Aの蓄熱板の一側面図、図2Cは図2Aの蓋板の平面図である。
【0039】
ヒータユニット6は、図1、図2に示すように、調理プレート13を加熱する所定形状のヒータ線7と、このヒータ7に固定される蓄熱部材10と、一端がヒータ線7の各端部7a、7bに接続されて他端が不図示のコントローラーに接続される端子ピン8a、8b及び安全機構が内蔵された接続器9(図1参照)とで構成されている。
【0040】
ヒータ線7は、図2Aに示すように、複数の直線部71〜74が所定の間隔をあけてほぼ平行に等間隔に配設され、直線部71、74の端部が端子部7a、7bとなり、他の直線部の端部がそれぞれ屈曲部70で連結されて、1本のヒータ7線がループ状に屈曲されて蛇行形状に形成されたものとなっている。ヒータ線7には、例えばシーズヒータが使用されている。このシーズヒータは、所定太さの金属パイプ中にコイル状の電熱線を通し、パイプと電熱線間の接触を防ぐために酸化マグネシウムなどの耐熱性の無機質絶縁粉末を詰め金属パイプの両端を密封した構造となっている。この構造のシーズヒータは、金属パイプが絶縁されているので、仮に金属パイプに触れたとしても感電することはない。なお、ヒータ線は、シーズヒータに限定されず他のヒータを使用してもよい。
【0041】
このヒータ線7には、蓄熱部材10が装着される。
【0042】
蓄熱部材10は、図2Aに示すように、所定の肉厚を有する蓄熱板11と、この蓄熱板11を覆う蓋板12とで構成されている。蓄熱板11は、長さL1、この長さより若干長い長さL2及び厚さDを有する矩形状の板状体からなり、アルミニウム又はアルミニウム合金などで形成されている。アルミニウム又はアルミニウム合金にすることにより、その重量を軽くして蓄熱容量を大きくできる。なお、この蓄熱板は、その他の金属、例えば銅材(銅、銅合金)或いは石材などで形成してもよい。銅又は銅合金にすることにより、熱伝導度を高くして、蓄熱容量をも大きくできる。その大きさは、ヒータ線7の各直線部71〜74部分を覆い、調理プレート13の底部と略同じ大きさになっている。例えば、L1は256mm、L2は332mm、Dは10mmである。
【0043】
この蓄熱板11には、図2Aに示すように、裏面にヒータ線7の直線部71〜74が嵌め込まれる凹状溝111〜114が形成されている。また、この蓄熱板11は、その4隅にネジ孔115が形成されている。
【0044】
蓋板12は、蓄熱板11と略同じ大きさを有し、比較的肉薄(例えば3.0mm)な板状体からなり、例えばアルミニウム或いはアルミニウム合金などの薄板で形成されている。また、この蓋板12にも、その4隅にネジ孔121が形成されている。
【0045】
この蓄熱部材10は、蛇行したヒータ線7に固定される。この固定は、蓄熱板11の各凹状溝111〜114にヒータ線7のそれぞれの直線部71〜74を嵌め込んで、その背面から蓋板12を各ネジ孔115、121に止めネジを螺合させて固定する。なお、蓄熱部材10の固定は、ネジ留めにしたが、公知の固定手段、例えば嵌合結合などの手段を用いて、着脱自在にしてもよい。
【0046】
ヒータ線7は、蓄熱部材10で略全体が覆われ、すなわちヒータ線7が蓄熱板11と蓋板12との間に挟まれて、ヒータ線7から発熱される熱がこれらの蓄熱板11と蓋板12に蓄熱される。熱は主に肉厚の蓄熱板11に蓄熱されるが、この蓄熱板11の裏面側は蓋板12で覆われているので、ヒータ線7からの熱は下方へ放熱されることなく、蓋板12で蓄積された後に蓄熱板11へ伝熱される。この蓄熱部材10には、大きな熱容量が蓄熱される。この蓄熱は、時間を掛けて熱容量を大きくすることができる。したがって、容量の大きいヒータを使用することなく、蓄熱が可能になる。このヒータユニット6は、蛇行させたヒータ線7の両端部、すなわち、屈曲部70及び各端子部7a、7bに繋げるヒータ線部分を蓄熱部材10から露出させたので、蓄熱板11に設ける各凹状溝111〜114の形成が簡単になる。また、ヒータ線7を上記の形状のものでなく、他の形状にしても、蓄熱部材10からヒータ線を一部露出させると、その形状がどんなものであっても、蓄熱部材10の作製が容易になる。勿論、このヒータユニット6では、ヒータ線7の一部を蓄熱部材から露出させたが、露出させることなく、全部覆うようにしてもよい。全部覆うと、ヒータ線から発せられる熱の損出がなくなり、熱効率が良くなる。この蓄熱部材は、ヒータ線を覆い更にこのヒータ線から外方へ延ばしてあるので調理プレートが均一に加熱される。なお、全部覆うときは、蓄熱部材の外形は、本体ケース2に収まる形状に変更される。蓄熱部材10に蓄熱された熱は、調理プレート13に伝熱される。すなわち、ホットプレート1の組立状態では、調理プレート13の真下に蓄熱部材10が位置し、調理プレート13と蓄熱部材10とが略積層された状態となっている。したがって、この蓄熱部材10から調理プレート13への伝熱によって、調理プレート13は加熱される。調理プレート13が加熱されると、ホットプレート1の熱容量は、蓄熱部材10及び調理プレート13がそれぞれ加熱された量の合計となる。したがって、調理プレート13に食材が載せられて調理プレート13の表面が一時的に温度低下しても、蓄熱部材10で蓄熱されているので、即時にこの温度低下が補償されて、従来技術の課題が解消される。
【0047】
接続器9は、図1に示すように、不図示のコントローラーが差し込まれる大きさの差込口9aが設けられて、外形が本体ケース2の装着孔4に嵌め込まれる大きさのハウジングと、差込口内に固定された一対の端子ピン8a、8bとを有し、ハウジング内に安全機構が収納されている。この安全機構は、ヒータユニット6が単体の状態、すなわち、本体ケース2および調理プレート13を組み合わせない単独の単体状態では、コントローラーの差し込みができなくなっている。
【0048】
図1に戻って、調理プレート13及び蓋カバー15を説明する。
【0049】
調理プレート13は、本体ケース2の上方開口を覆う大きさで上方が開口した比較的浅底の容器で形成されている。すなわち、この調理プレート13は、所定の面積を有するほぼ楕円形の底板部13aと、この底板部13aの周囲から所定高さで立設された側板部13bとを有し、肉厚のアルミニウムで形成されている。底板部13aには、網状部材14を嵌め込む大きな開孔130が形成されている。楕円形の長手方向の両端部には、把持部13A、13Bが取付けられている。一方の把持部13Aの背面には第2の安全ピンP2が設けられている。この調理プレート13は、本体ケース2内に、遮熱部材5、ヒータユニット6を順に収容し、このヒータユニット6の上に載置される。調理プレート13は、必要に応じて蓋カバー15で蓋がされる。
【実施例2】
【0050】
次に、図3、図4を参照して、本発明の実施例2に係るホットプレートを説明する。なお、図3は本発明の実施例2に係るホットプレートを分解した分解斜視図である。図4は図3のヒータユニットを示し、図4Aはヒータユニットの平面図、図4Bは図4Aの蓄熱板の一側面図、図4Cは図4Aの蓋板の平面図である。
【0051】
実施例2に係るホットプレート1Aは、実施例1のホットプレート1とヒータユニットの構成が異なり、他の構成は同じになっている。そこで、両ホットプレートに共通する箇所は、同一の符号番号を付して重複説明を省略し異なる構成を詳述する。
【0052】
このヒータユニット6Aは、蓄熱部材10Aが装着されて、この蓄熱部材10Aを構成する蓄熱板11A及び蓋板12Aにそれぞれ複数個の細孔11a、12aが所定の配列で形成された構成となっている。
【0053】
蓄熱板11Aには、複数個の細孔11aがヒータ線7の各直線部71〜74間に略等間隔に配列されている。同様に、蓋板12Aには、複数個の細孔12aがヒータ線7の各直線部71〜74間にあって、複数個の細孔11aと対応する位置に配列されている。この構成により、被調理物からの油などは細孔11a、12aを通して落下されて蓄熱板11A及び蓋板12Bの汚染を抑制できる。細孔は、この細孔に限定されず任意形状の開孔でよい。
【0054】
上記実施例1、2のホットプレート1、1Aは、蓄熱部材10、10Aを蓄熱板と蓋板とに分離したもので構成したが、分離することなく一体に形成してもよい。この一体化は、例えばヒータ線7にアルミニウム(合金を含む)などを鋳込みによって固定する。また、蓄熱部材は、ヒータ線に固定することなく、この部材を単品にしてヒータ線と調理プレートとの間に配設するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るホットプレートを分解した分解斜視図である。
【図2】図2はヒータユニットを示し、図2Aはヒータユニットの平面図、図2Bは図2Aの蓄熱板の一側面図、図2Cは図2Aの蓋板の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係るホットプレートを分解した分解斜視図である。
【図4】図4はヒータユニットを示し、図4Aはヒータユニットの平面図、図4Bは図4Aの蓄熱板の一側面図、図4Cは図4Aの蓋板の平面図である。
【図5】図5は従来技術のホットプレートを示し、図5Aはホットプレートの縦断面図、図5Bはヒータの斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ホットプレート
2 本体ケース
4 装着孔
5 遮熱部材
6、6A ヒータユニット
7 ヒータ(線)
8a、8b 端子ピン
9 接続器
10、10A 蓄熱部材
11、11A 蓄熱板
11a 開孔
12、12A 蓋板
12a 細孔(開孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理プレートと、前記調理プレートを加熱するヒータと、前記調理プレート及び前記ヒータが収容される本体ケースとを有し、前記本体ケースに前記ヒータ及び前記調理プレートを収容して被調理物を調理するホットプレートにおいて、
前記ヒータと前記調理プレートとの間には、前記ヒータの熱を蓄熱する蓄熱部材が配設されていることを特徴とするホットプレート。
【請求項2】
前記蓄熱部材は、複数個の開孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のホットプレート。
【請求項3】
前記蓄熱部材は、前記ヒータに一体又は分離可能に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホットプレート。
【請求項4】
前記分離可能な蓄熱部材は、肉厚の蓄熱板と蓋板とを有し、前記ヒータは前記蓄熱板と蓋板との間に挟持されて分離可能な固定手段により固定されていることを特徴とする請求項3に記載のホットプレート。
【請求項5】
前記ヒータには、線状ヒータが使用されて、前記蓄熱部材は少なくとも前記蓄熱板に前記線状ヒータが嵌り込む凹状溝が形成されて、該凹状溝に線状ヒータが嵌め込まれて前記蓋板で覆われていることを特徴とする請求項4に記載のホットプレート。
【請求項6】
前記線状ヒータは、前記蓄熱部材から一部露出された状態又は全部覆われた状態になっていることを特徴とする請求項5に記載のホットプレート。
【請求項7】
前記一体の蓄熱部材は、前記ヒータに鋳込みによって一体化されていることを特徴とする請求項3に記載のホットプレート。
【請求項8】
前記蓄熱部材は、アルミニウム材又は銅材で形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のホットプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−63579(P2010−63579A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231742(P2008−231742)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】