説明

ホットメルト型接着組成物及びそれを用いた積層体

【課題】高い接着強度と透明性を兼ね備えたホットメルト型接着組成物及び該ホットメルト型接着組成物を用いた積層体を提供すること。
【解決手段】可塑剤(A)1〜50重量部、粘着付与樹脂(B)5〜60重量部、ワックス(C)1〜50重量部、及び熱可塑性樹脂(D)5〜60重量部を合計が100重量部になるように配合してなるホットメルト型接着組成物であって、可塑剤(A)は、ASTMカラーが1.0以下であり、粘着付与樹脂(B)は、軟化点が90〜160℃であり、ワックス(C)は、軟化点が90〜160℃であり、熱可塑性樹脂(D)は、エラストマー30〜100重量%を含む、ことを特徴とするホットメルト型接着組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト型接着組成物及び該ホットメルト型接着組成物を用いた積層体に関する。詳しくは、本発明は高い接着強度と透明性を兼ね備えたホットメルト型接着組成物及び該ホットメルト型接着組成物を用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
透明なプラスチックから成る包装用ケースは透明性、意匠性、加工適性、印刷適性、食品安全性に優れているため、化粧品、食品、日用雑貨品などの容器、書類やカバンのケースなど幅広く利用されている。
包装用ケースはシート状のプラスチックを打ち抜き折り曲げ形成されるが、収容する形状にするためには接着剤を用いて固定する必要がある。この接着剤の要求特性として、低温から高温まで幅広い温度領域で高い接着強度が求められる。また、意匠性の観点から透明性が求められる。
【0003】
そこで、共重合ポリエステルとアルコール系有機溶剤を用いた接着方法により、高い透明性を維持しながら十分な接着強度を示すことが知られている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載の接着方法は、有機溶剤を使用するため環境面で憂慮される。また、塗工から接着までの工程では作業性が悪く接着強度がばらつく傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−181359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い接着強度と透明性を兼ね備えたホットメルト型接着組成物及び該ホットメルト型接着組成物を用いた積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、本発明は、可塑剤(A)1〜50重量部、粘着付与樹脂(B)5〜60重量部、ワックス(C)1〜50重量部、及び熱可塑性樹脂(D)5〜60重量部を合計が100重量部になるように配合してなるホットメルト型接着組成物であって、可塑剤(A)は、ASTMカラーが1.0以下であり、粘着付与樹脂(B)は、軟化点が90〜160℃であり、ワックス(C)は、軟化点が90〜160℃であり、熱可塑性樹脂(D)は、エラストマー30〜100重量%を含む、ことを特徴とするホットメルト型接着組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、23℃環境下でのボールタックが3以下であることを特徴とする上記発明のホットメルト型接着組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、170℃における粘度が500〜30000mPa・sであることを特徴とする上記発明のホットメルト型接着組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、基材上に、上記発明のホットメルト型接着組成物がドット状、ビード状、或いはスパイラル状に塗布されていることを特徴とする積層体に関する。
【0010】
また、本発明は、ホットメルト型接着組成物の塗布量が、0.1〜10g/mであることを特徴とする上記発明の積層体に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、高い接着強度と透明性を兼ね備えたホットメルト型接着組成物及び該ホットメルト型接着組成物を用いた積層体を提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のホットメルト型接着組成物について説明する。
本発明のホットメルト型接着組成物は、後述する可塑剤(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、熱可塑性樹脂(D)、必要に応じてその他の添加剤を配合してホットメルト型接着組成物となる。
【0013】
本発明に用いられるホットメルト型接着組成物を構成する可塑剤(A)としては、パラフィン成分が60重量%以上を占めるパラフィン系鉱物油軟化剤、流動パラフィン、ポリブテン等が挙げられる。
可塑剤(A)のASTMカラーは1.0以下である。好ましくは0.5以下である。ASTMカラーが1.0よりも高いとホットメルト型接着組成物の透明性が損なわれることがある。
本発明におけるASTMカラーとは、JIS K2580に規定される方法により求められる石油製品の色の番号である。すなわち、0.5〜8.0のASTM色標準ガラスが0.5間隔にあり、これと比較して近似した色の番号である。尚、0.5が最も淡いASTM色標準ガラスであり、高くなるにつれて濃くなる。また、試料の色が0.5未満である場合はL0.5と表記し、8.0を超える場合はD8.0と表記する。さらに、2つのASTM標準ガラスの中間にある場合は高い方のASTM標準ガラスの番号の前にLをつけて表記する。
【0014】
本発明のホットメルト型接着組成物を構成する可塑剤(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、及び熱可塑性樹脂(D)の合計を100重量部としたとき、可塑剤(A)の配合量は1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部である。可塑剤(A)の配合量が1重量部未満であると、ホットメルト型接着組成物の濡れ性が悪くなり接着強度が低下することがある。可塑剤(A)の配合量が50重量部を超えると、接着強度が低下することがある。
可塑剤(A)は単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0015】
本発明に用いられるホットメルト型接着組成物を構成する粘着付与剤(B)としては、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油系樹脂やテルペン系樹脂が、ホットメルト型接着組成物を構成するその他の成分との相溶性に優れているので好ましい。
粘着付与樹脂(B)の軟化点は90〜160℃であることが好ましい。90℃未満であると、高温域で接着強度が発現しないことがあり、160℃を超えると、低温域で接着強度が発現しないことがある。
本発明における軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。すなわち、規定の環に充填し12時間以上静置させた樹脂を、熱媒体中に入れて規定の球を置き一定の割合で熱媒体の温度を上昇させたとき、樹脂の軟化により球が沈み環台の底板に触れたときの温度である。
【0016】
本発明のホットメルト型接着組成物を構成する可塑剤(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、及び熱可塑性樹脂(D)の合計を100重量部としたとき、粘着付与樹脂(B)の配合量は5〜60重量部であり、好ましくは10〜50重量部である。粘着付与樹脂(B)の配合量が5重量部未満であると、接着強度が低下することがある。粘着付与樹脂(B)の配合量が60重量部を超えると、低温域で接着強度が低下することがある。
粘着付与樹脂(B)は単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0017】
本発明に用いられるホットメルト型接着組成物を構成するワックス(C)としては、160℃における粘度が1000mPa・s以下であるパラフィン、マイクロクリスタリンなどの石油ワックス、及びポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エステル共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、エチレン−無水マレイン酸共重合物などのオレフィンワックスが挙げられる。
ワックス(C)の軟化点は、90〜160℃であることが好ましい。軟化点が90℃未満であると高温域で接着強度が低下することがある。軟化点が160℃を超えると低温域で接着強度が低下することがある。
【0018】
本発明のホットメルト型接着組成物を構成する可塑剤(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、及び熱可塑性樹脂(D)の合計を100重量部としたとき、ワックス(C)の配合量は1〜50重量部である。好ましくは5〜40重量部である。ワックス(C)の配合量が1重量部未満であると、凝集力が低下することがある。ワックス(C)の配合量が50重量部を超えると、低温域で接着強度が低下することがある。
【0019】
本発明に用いられるホットメルト型接着組成物を構成する熱可塑性樹脂(D)としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEBS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SIS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBIS」とも略記する)、 スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEPS」とも略記する)からなる群より選ばれる少なくとも1種のエラストマーが、高い凝集力を示すので好ましい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも略記する)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体(以下、「EMA」)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(以下、「EA」)、無定形ポリアルファオレフィン共重合物(以下、「APAO」とも略記する)からなる群より選ばれる1種を併用してもよい。
【0020】
熱可塑性樹脂(D)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよいが、2種類以上を併用する場合、透明性が損なわれることがあるので単独で用いるほうが好ましい。
【0021】
熱可塑性樹脂(D)のEVAは、酢酸ビニル含有量は28重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。酢酸ビニル含有量が28重量%を超えると、エラストマーとの相溶性が悪くなり白化することがある。
【0022】
熱可塑性樹脂(D)のEMAは、メタクリル酸エステル含有量は10重量%以下が好ましく、より好ましくは7.5重量%以下である。メタクリル酸エステル含有量が10重量%を超えると、エラストマーとの相溶性が悪くなり白化することがある。
【0023】
熱可塑性樹脂(D)のEAは、アクリル酸エステル含有量は10重量%以下が好ましく、より好ましくは7.5重量%以下である。アクリル酸エステル含有量が10重量%を超えると、エラストマーとの相溶性が悪くなり白化することがある。
【0024】
本発明のホットメルト型接着組成物を構成する可塑剤(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、及び熱可塑性樹脂(D)の合計を100重量部としたとき、熱可塑性樹脂(D)の配合量は5〜60重量部である。好ましくは10〜50重量部である。熱可塑性樹脂(D)の配合量が5重量部未満であると、凝集力が低下することがある。熱可塑性樹脂(D)の配合量が60重量を超えると、接着強度が低下することがある。また、熱可塑性樹脂(D)は、エラストマー30〜100重量%を含む。熱可塑性樹脂(D)を構成するエラストマーが30重量%未満であると凝集力が低下することがある。
【0025】
本発明のホットメルト型接着組成物には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤が添加されてもよい。
【0026】
上記酸化防止剤としては、特に限定されず、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル[3,5−ビス(オクチオチルメチル]−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル]プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。
【0027】
上記紫外線吸収剤としては、特に限定されず、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の通常使用されるものが挙げられる。
【0028】
上記光安定剤としては、特に限定されず、ヒンダードアミン系等の通常使用されるものが挙げられる。
【0029】
本発明の目的を損なわない範囲で添加できる酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、等の添加剤の添加量はホットメルト型接着組成物100重量%中、5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下である。5重量%を超えるとブリードアウトすることがある。
【0030】
本発明のホットメルト型接着組成物を製造する方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、一軸又は二軸の押し出し機を用いて加熱混合するホットメルト法、適当な溶剤に溶解する溶剤法など、いずれの方法も用いることができるが、ホットメルト法が環境への影響が小さいため好ましい。
【0031】
本発明のホットメルト型接着組成物のボールタックは3以下が好ましい。ボールタックが3を超えると再度貼りあわせることが可能となり、容器として使用した場合、開封した痕跡が残らず防犯上問題となることがある。
本発明におけるボールタックとは、JIS Z 0237に規定される方法により求められる数値である。すなわち、傾斜45°の斜面に接着組成物面を上にした状態で塗工物を置き、この上に規定のボールを転がし、規定の位置に止まったボールの番号の数値である。
【0032】
本発明のホットメルト型接着組成物は、加熱溶融したものを、基材上に、通常用いられる非接触式のホットメルト塗工機を用いて塗布することにより、本発明の積層体を得ることができる。
基材としては、シート状基材を好ましく使用できる。基材上に接着組成物を塗布した後、他の基材に貼りあわせ圧着することによって、基材同士を接着することできる。
【0033】
本発明のホットメルト型接着組成物の170℃における粘度は500〜30000mPa・sが好ましい。170℃における粘度が500mPa・s未満であると、塗工した際にホットメルト型接着組成物が過度に濡れ広がるため、塗工適性が悪くなることがある。170℃における粘度が30000mPa・sを超えると、濡れ広がりが悪くなるため、オープンタイムが5秒以内であっても剥がれることがある。
本発明における粘度とは、B型粘度計(測定条件は、170℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。
【0034】
本発明のホットメルト型接着組成物は、高温における溶融温度でも溶融粘度の経時変化が小さいため、ホットメルト型接着組成物として好適に使用することができる。また、接着層の形成にあたっては、ホットメルト型接着組成物を加熱溶融し、基材上にドット状、ビード状、或いはスパイラル状に塗布することが好ましい。
【0035】
本発明の積層体の好ましい構成は、「シート状基材−1/接着層/シート状基材−2」のような積層体である。
シート状基材−1の素材としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの透明な単層或いは積層体がある。
これらシート状基材の厚みは特に制限はないが、作業性から1〜500μmが好ましい。
シート状基材−2の素材としては、特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの単層或いは積層体がある。その他、不織布、織布、布、紙、ガラス、金属箔、金属メッシュ等とこれらを含む複合物が挙げられる。また、必要に応じて、シートの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理などを施してもよい。
これらシート状基材の厚みには特に制限はないが、作業性から1〜500μmが好ましい。
【0036】
接着層の厚さ、すなわち接着組成物の塗布量は、好ましくは0.1〜10g/mである。塗布量が0.1g/m未満であると、十分な接着強度がでないことがある。塗布量が10g/mを超えても特に要求特性の向上は期待できない。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表すものとする。
【0038】
本発明におけるGPCによる数平均分子量とは、ゲル状の粒子を充填したカラムに希薄な樹脂の溶液を流し、分子の大きさによって流出するまでの異なる時間を測定することにより得られる、ポリスチレン換算された重量平均分子量である。
具体的な測定条件は、以下の通りである。
装置:島津製作所社製 Prominence
カラム:TOSOH製 TSKgel GMH ×2本連結
検出器:RID-10A
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
【0039】
(製造例1〜16)
表1に示した部数で、撹拌機を備えたニーダーに可塑剤(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)、熱可塑性樹脂(D)、必要に応じて(A)、(B)、(C)、(D)以外のその他の成分を添加し、180℃で3時間撹拌し、ホットメルト型接着組成物を得た。
【0040】
【表1】

【0041】
表1に記載の可塑剤(A)の略号を以下に示す。
可塑剤1:パラフィンオイル、ASTMカラーL0.5、数平均分子量630
可塑剤2:ポリブテン、ASTMカラーL0.5、数平均分子量3100
可塑剤3:パラフィンオイル、ASTMカラーL1.0、数平均分子量650
可塑剤4:パラフィンオイル、ASTMカラーL2.0、数平均分子量850
【0042】
表1に記載の粘着付与樹脂(B)の略号を以下に示す。
粘着付与樹脂1:完全水添石油樹脂、軟化点90℃
粘着付与樹脂2:完全水添石油樹脂、軟化点150℃
粘着付与樹脂3:部分水添石油樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂4:完全水添グリセリンエステルロジン樹脂、軟化点105℃
粘着付与樹脂5:完全水添テルペン樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂6:完全水添ロジン樹脂、軟化点<30℃
【0043】
表1に記載のワックス(C)の略号を以下に示す。
ワックス1:マイクロクリスタリンワックス、軟化点98℃、粘度<10mPa・s(160℃)
ワックス2:ポリエチレンワックス、軟化点110℃、粘度200mPa・s(160℃)
ワックス3:ポリプロピレンワックス、軟化点154℃、粘度650mPa・s(160℃)
ワックス4:パラフィンワックス、軟化点64℃、粘度<10mPa・s(160℃)
【0044】
表1に記載の熱可塑性樹脂(D)の略号を以下に示す。
熱可塑性樹脂1:SBS、ジブロック含量<1%
熱可塑性樹脂2:SIS、ジブロック含量33%
熱可塑性樹脂3:SEBS、ジブロック含量70%
熱可塑性樹脂4:SEPS、ジブロック含量<1%
熱可塑性樹脂5:EVA、酢酸ビニル含有量16%
熱可塑性樹脂6:APAO、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合物
【0045】
表1に記載のその他の成分の略号を以下に示す。
酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
紫外線吸収剤:2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール
【0046】
(実施例1〜7、比較例1〜9)
上記製造例1〜16で得られたホットメルト型接着組成物をノズル型アプリケーターを用いてPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、塗布量が2g/mになるようにビード状に塗布し、オープンタイム1秒で他のPETシートを重ね合わせ、ハンドローラーを用いて圧着し、「PETシート/接着層/PETシート」という構成の積層体を得た。これを積層体(1)とする。
なお、オープンタイムとは、ホットメルト型接着組成物を塗布してから貼りあわせるまでの時間である。
【0047】
[透明性]
積層体(1)を作製してから24時間静置した後、ホットメルト型接着組成物の透明性を目視にて評価した。
[判定基準]
◎:色の変化はなく透明だった。
○:わずかに白く濁っている。
×:白く濁っている。
◎、○を使用可能と判断する。
【0048】
[低温接着強度]
幅25mmに切り取った積層体(1)をT字型になるように折り曲げ、−10℃雰囲気下で、引張試験機にて、速度300mm/分で、T字方向に引き剥がし、その強度を測定した。
[判定基準]
◎:20N/25mm以上だった。
○:10N/25mm以上、20N/25mm未満だった。
×:10N/25mm未満だった。
◎、○を使用可能と判断する。
【0049】
[常温接着強度]
幅25mmに切り取った積層体(1)をT字型になるように折り曲げ、23℃雰囲気下で、引張試験機にて、速度300mm/分で、T字方向に引き剥がし、その強度を測定した。
[判定基準]
◎:50N/25mm以上だった。
○:25N/25mm以上、50N/25mm未満だった。
×:25N/25mm未満だった。
◎、○を使用可能と判断する。
【0050】
[高温接着強度]
幅25mmに切り取った積層体(1)をT字型になるように折り曲げ、60℃雰囲気下で、引張試験機にて、速度300mm/分で、T字方向に引き剥がし、その強度を測定した。
[判定基準]
◎:5.0N/25mm以上だった。
○:2.5N/25mm以上、5.0N/25mm未満だった。
×:2.5N/25mm未満だった。
◎、○を使用可能と判断する。
【0051】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したとおり、本発明のホットメルト型接着組成物により、高い接着強度と透明性を兼ね備えたホットメルト型接着組成物及び該ホットメルト型接着組成物を用いた積層体を作製することができる。その特性として、滑り止め性、耐可塑剤性、耐熱性、耐湿熱性、耐寒性、透明性などが挙げられる。近年の環境への取り組みを考えると、要求特性はますます厳しくなっていくものと考えられる。そこで、本発明のホットメルト型接着組成物は、上記の特性を発揮できるため、さらに有用になると考えられる。
また、本発明のホットメルト型接着組成物は、一般ラベル、シールの他、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、粘着付与樹脂、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング用等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、吸音材料、制振材料、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、シート(ラミネート接着剤、保護シート等)、合わせガラス用樹脂、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、また、各種樹脂添加剤及びその原料等としても非常に有用に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤(A)1〜50重量部、粘着付与樹脂(B)5〜60重量部、ワックス(C)1〜50重量部、及び熱可塑性樹脂(D)5〜60重量部を合計が100重量部になるように配合してなるホットメルト型接着組成物であって、可塑剤(A)は、ASTMカラーが1.0以下であり、粘着付与樹脂(B)は、軟化点が90〜160℃であり、ワックス(C)は、軟化点が90〜160℃であり、熱可塑性樹脂(D)は、エラストマー30〜100重量%を含む、ことを特徴とするホットメルト型接着組成物。
【請求項2】
23℃環境下でのボールタックが3以下であることを特徴とする請求項1記載のホットメルト型接着組成物。
【請求項3】
170℃における粘度が500〜30000mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2記載のホットメルト型接着組成物。
【請求項4】
基材上に、請求項1ないし3いずれか記載のホットメルト型接着組成物がドット状、ビード状、或いはスパイラル状に塗布されていることを特徴とする積層体。
【請求項5】
ホットメルト型接着組成物の塗布量が、0.1〜10g/mであることを特徴とする請求項4記載の積層体。

【公開番号】特開2012−180490(P2012−180490A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45988(P2011−45988)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(591004881)東洋アドレ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】