説明

ホース

【課題】接続金具の取付部のシール性を向上したホースを提供する。
【解決手段】互いに逆回りに螺旋状に巻き付けられる2組のコード4、5を、一方の組のコード4のそれぞれが、他方の組のコード5のそれぞれと2つおきに上側又は下側で重なるように編み組みすると共に、その2つおきに上側又は下側で重なる部分がホース周方向に連続するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホースに関し、更に詳しくは、接続金具の取付部のシール性を向上したホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設機械の油圧ホースなどに用いられる耐圧性のゴムホースとして、内面ゴム層に補強層と外面ゴム層を順に積層した構造のホースが用いられている。この補強層には、スチールワイヤや有機繊維からなるコードをブレード状に編み込んだ編組が多く用いられるが、例えば特許文献1に示すように、その編組のほとんどは、互いに逆回りに巻き付けた2組のコードを、一方の組のコードのそれぞれが、他方の組のコードのそれぞれと2つおきに上下に重なるように編み組みした構造、いわゆる2-over-2 構造を有していた。
【0003】
この2-over-2 構造の編組は、現状の編組機の仕組みから、図3に示すように、コード6、7同士が2つおきに重なる部分(斜線部を参照)が、ホース長手方向に連続するようになるため、ホース断面が円形ではなく略多角形状になる。そのため、ホース端部の補強層をかしめるようにして取り付ける接続金具とホースとの密着性が悪くなり、取付部のシール性を向上することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−159559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、接続金具の取付部のシール性を向上したホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明のホースは、内面ゴム層に、金属ワイヤ又は有機繊維からなる複数のコードを編み組みしてなる補強層と、外面ゴム層とを順に積層したホースにおいて、互いに逆回りに螺旋状に巻き付けられる2組の前記コードを、一方の組のコードのそれぞれが、他方の組のコードのそれぞれと2つおきに上側又は下側で重なるように編み組みすると共に、前記2つおきに上側又は下側で重なる部分がホース周方向に連続するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のホースによれば、いわゆる 2-over-2構造の編組を補強層に用いたホースにおいて、2つおきに上側又は下側で重なる部分がホース周方向に連続するようにしたので、ホース断面が円形となるため、接続金具の接続部のシール性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態からなるホースの一部切欠きした斜視図である。
【図2】図1に示す補強層の一部拡大図である。
【図3】従来の2-over-2 構造の編組を補強層に用いたホースの一部切欠きした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態からなるホースを示す。
【0011】
このホースは、内面ゴム層1に補強層2と外面ゴム層3とを順に積層したものである。補強層2は、金属ワイヤ又は有機繊維からなるコード4、5を編み組みした編組から構成されている。金属ワイヤとしてはスチールワイヤが、有機繊維としては芳香族ポリアミド繊維が、それぞれ望ましく用いられる。
【0012】
このようなホースにおいて、補強層2を構成する編組は、いわゆる 2-over-2構造の編組であって、互いに逆向きになるよう螺旋状に巻き付けられたコード4、5が2つおきに上下に重なり合う部分(斜線部を参照)が、ホース周方向に連続するようになっている。
【0013】
このような編組を補強層2に用いるようにしたので、ホース断面が円形になるため、接続金具とホースとの密着性がよくなり、取付部のシール性を向上することができる。
【0014】
コード4、5が2つおきに上下に重なり合う部分が、ホース周方向に連続するようにするには、図2に示すように、2つおきに重なり合う部分Xにおいて、一方向(例えば、時計回り)に巻き付けられたコード4A(第1コード)が1番目に上側から重なる反対方向(例えば、反時計回り)に巻き付けられたコード5Aを、コード4Aの次に隣接して同方向に巻き付けられたコード4B(第2コード)に対して、コード4Aの場合とは逆に上側から重ねるようにすると共に、コード4Aが2番目に重なる反対方向に巻き付けられたコード5Bを、コード4Bに対してコード4Aの場合と同じく下側から重ねるようにすればよい。これらの関係は、コードの上下の重なりを入れ替えても成立する。
【0015】
上記の実施形態においては、補強層2が一層の場合を例示したが、中間ゴム層を介して複数の補強層2を積層するようにしてもよい。
【0016】
本発明のホースの用途は特に限定するものではないが、パワーシャベルやブルドーザーなどの建設機械の動力伝達に用いられる油圧ホースに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 内面ゴム層
2 補強層
3 外面ゴム層
4、5、6、7 コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面ゴム層に、金属ワイヤ又は有機繊維からなる複数のコードを編み組みしてなる補強層と、外面ゴム層とを順に積層したホースにおいて、
前記補強層を、互いに逆回りに螺旋状に巻き付けられる2組の前記コードを、一方の組のコードのそれぞれが、他方の組のコードのそれぞれと2つおきに上側又は下側で重なるように編み組みすると共に、前記2つおきに上側又は下側で重なる部分がホース周方向に連続するようにしたホース。
【請求項2】
前記一方の組の第1コードが1番目に重なる前記他方の組のコードを、該一方の組のコードの次に隣接する同じ組の第2コードに対して前記第1コードとは逆側となるように重ねると共に、前記第1コードが2番目に重なる前記他方の組のコードを、前記第2コードに対して同じ側となるように重ねた請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記金属ワイヤがスチールワイヤである請求項1又は2に記載のホース。
【請求項4】
前記有機繊維が芳香族ポリアミド繊維である請求項1又は2に記載のホース。
【請求項5】
建設機械用の油圧ホースである請求項1〜4のいずれかに記載のホース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−133045(P2011−133045A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293730(P2009−293730)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】