説明

ボイス・オーバーIP及びPOTSを含む無線電話システム

【課題】 ボイス・オーバーIP及びPOTSを含む無線電話システムを提供すること。
【解決手段】 PSTN又はパケット・ネットワーク上で呼び出しを入れる又は受け取ることができる電話である。この電話は、潜在的着呼側の各々について複数の電話番号を、与えられた呼び出しに対してサービスするために電話番号を選択する順番を支配する優先性とともに格納することができる。これらの電話番号の幾つか又はすべてを存在サービスに関連付けることができる。電話内に格納された存在インジケータは、パケット・ネットワーク接続を介して動的に更新されて、電話番号選択アルゴリズムの一部として用いられる。好ましい実施形態は、基地局及び遠隔デバイスを有する無線システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電話のハンドセット、及び、呼び出し単位選択アルゴリズムに基づいて、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)又はボイス・オーバーIP(VoIP)を用いるパケット・ネットワークのいずれかに呼び出しを接続するインテリジェント基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ユーザが標準的な公衆交換電話ネットワークの代わりにパケット・ネットワークを用いて音声により通信することは珍しくないことになってきている。ボイス・オーバーIP(インターネット・プロトコル)は、典型的には、この機能を与える。ユーザは、有線VoIPデスク・セット、及び、ハンドセットと基地局との間の独自プロトコル並びに無線のLAN802.11プロトコルの両方を用いる無線システムを含む種々の製品から選択することができる。もちろん、ユーザは、PSTNに接続する任意数の無線電話から選択することもできる。しかし、ユーザが両方の形式のネットワークにアクセスすることを望む場合には、VoIPゲートウェイのダイヤリングのために1つと、無線の従来のPSTNダイヤリングのためにもう1つというように別々のシステムを手に入れて、与えられたあらゆる電話の呼び出しに対して、どちらのシステムを用いるかを人為的に選択しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、ボイス・オーバーIP及びPOTSを含む無線電話システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の態様においては、PSTN又はパケット・ネットワーク上で呼び出しを入れるか、又は受け取ることができる電話システムを提供することによりこれらの問題に対処する。パケット通信に好ましい実施形態は、TCP/IPプロトコルを介するものである。本発明の第2の態様においては、電話システムは、潜在的着呼側の各々について複数の電話番号を、与えられた呼び出しに対してサービスするために電話番号を選択する順番を支配する優先性とともに格納する機能を有する。電話番号の幾つか又はすべてを存在サービスに関連付けることができる。携帯電話のオペレータは、存在インジケータを収集し、分散する能力を前もって有する。コンピュータに関連付けられている他の電話は、現時点で存在サービスに関連付けることができる。すべての電話は、将来いつか、きっとこの機能を有することになる。存在サービスに関連付けられた電話番号においては、電話システム内に格納された存在インジケータがパケット・ネットワーク接続を介して動的に更新されて、電話番号選択アルゴリズムの一部として用いられる。
【0005】
好ましい実施形態においては、電話システムは、基地局と、マイクロフォン及びスピーカが備えられた無線電話ハンドセット又は個人用携帯型情報端末(PDA)のような手持ち式モバイル・デバイスとを含む無線システムである。電話システムのユーザは、ワークステーションにおいてブラウザを用いて、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)上でシステムを構築する。モバイル・デバイス又は基地局には、さらに、キーパッド又は音声認識技術のいずれかを用いて構築を遂行する備えをもつこともできる。この構築は、特に、名前及び電話番号を電話システム内のデータベースに加えることを含む。この構築は、さらに、着呼側との接続を試みるためにダイヤルされる電話番号の順番を制御し、かつ、与えられた呼び出しが最初にパケット・ネットワーク上でルーティングされるのか或いはPSTN上でルーティングされるのかを制御するための優先性アルゴリズムを選択することを含む。PSTN又はVOIPの選択は、多数のアルゴリズムに基づくものとすることができる。好ましい実施形態においては、ユーザは、時刻又はエリア・コードによりルーティングの選択を構築することができる。もちろん、これらの優先性アルゴリズムは例示的なものであり、限定的なものであることは意図しない。動的に調整された存在インジケータは、もちろん、電話番号の選択において大きな役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、周知の無線プロトコルを用いて基地局102と通信する無線携帯電話ハンドセット100を示す。基地局は、着呼側と通信するために2つのポートを有する。第1ポート104は、POTS(従来のアナログ電話回線サービス)電話サービスのために公衆交換電話ネットワーク(PSTN)と通信する標準的な電話接続である。第2ポート106は、ボイス・オーバーIP(VoIP)を用いる電話通信のためにインターネットのようなデータ・ネットワークと通信する標準的なデータ接続である。好ましい実施形態においては、基地局からのパケット・ネットワーク通信106は、LAN108に取り付けられたルータ112を用いて、インターネット114に接続される。LAN108は、さらに、コンピュータ110を基地局102に接続する。基本システムは、LAN108により基地局102に取り付けられたコンピュータ110において実行されるマイクロソフト・インターネット・エクスプローラのようなブラウザを用いて、LAN108上で構築される。ネットワーク・デバイスを構築するこの技術は周知のものであり、典型的には、ルータ、ブリッジなどを構築するのに用いられる。パケット接続106は、さらに、以下で述べられるように、指定された電話番号をもつ潜在的着呼側に関連する存在表示を受信するのに用いられる。これらの存在表示は、インターネット114から届き、LAN108を介して基地局102に転送される。
【0007】
図2は、基地局102の例示的なブロック図を示す。手持ち式デバイス100と無線で通信するためのアンテナ200が備えられている。アンテナ200は、送信機/受信機202に接続され、この上で、デジタル・データが、無線テレフォニー・プロトコルを用いて、手持ち式デバイス100と基地局102との間で送信される。基地局は、CPU(中央演算処理装置)204により制御される。CPU204は、ファームウェア・プログラム及びファームウェア・メモリ206に埋め込まれたオペレーティング・システムにより制御される。CPU204は、さらに、データ・バス222を介して基地局の他の部分と通信する。基地局には、さらに、付加的な利便性及び機能性のために、キーパッド208、マイクロフォン及びスピーカー(図示せず)を備えることができる。
【0008】
スイッチ210は、基地局がPSTNと通信するか、又は、データ・ネットワークと通信するかを制御する。VoIP状態においては、スイッチ210は、送信機/受信機202をパケット・インターフェース212に接続する。パケット・インターフェース212は、手持ち式デバイス100からのデータをパケット化して、TCP/IPスタック214に送るのに必要な機能を実行し、コネクタ216を介してパケット・ネットワークから入ってくるデータについては、該パケット・インターフェース212は、データをパケット解除して、送信機/受信機202に送る。
【0009】
スイッチ210がPOTS状態にある場合には、送信機/受信機202をPOTSインターフェース218に接続し、これは今日、POTSコネクタ220を介するPSTN通信において商業的に利用される通常の周知の装置である。
【0010】
無線システムは、アナログ・システムであってもよいし、又は、デジタル・システムであってもよい。送信機/受信機202及びPOTSインターフェースを含むどのような形式のシステムについても、かつ、パケット・インターフェースについても、基本的な技術は、チップ・セットとして商業的に入手可能である。例えば、Conexant,Inc.,は、無線テレフォニーのデジタル・チップ及びアナログ・チップ、並びに、ボイス・オーバーIPの技術の主導メーカーである。
【0011】
名前リスト224が基地局のランダム・アクセス・メモリ内に保持され、この名前リストは、呼び出しを完了するのに必要な情報と併せて、該リストを用いて呼び出すことができる人々の名前を含む。さらに、ランダム・アクセス・メモリ内には、その時点において名前リスト224内の人が指定された電話又はデバイスに存在するかどうかに関する情報を含む存在テーブル226がある。名前リスト及び存在テーブルは、以下でさらに詳細に述べられる。1つ又はそれ以上のインスタント・メッセージ(IM)クライアント228もまた基地局のメモリ内に存在して、存在テーブルの動的状態を保持する。IMクライアントは、ネットワーク・コネクタ216を介して、存在情報をインターネットから受信する。IMクライアントは、コンピュータ110及び基地局へのLAN108接続を用いて、基地局にロードされる。
【0012】
図3は、手持ち式デバイス100のブロック図を含む。アンテナ300は、基地局102と通信して、手持ち式デバイスの送信機/受信機302に接続する。基地局のように、手持ち式デバイス100もまたファームウェア・プログラム及びオペレーティング・システム306により制御されるCPU304を含む。CPU304は、データ・バス322を介して手持ち式デバイス内の他の装置と通信する。キーパッド308は、呼び出し側によりその動作モードが望まれる場合には、電話番号の入力を可能にする。手持ち式デバイスは、さらに、そのランダム・アクセス・メモリ内に名前リスト324を含むが、基地局における名前リスト224とは異なり、この名前リスト324は、該基地局の名前リストに格納されたものと同一のフォーマットの名前だけを含む。基地局の名前リスト224が編集されたときにはいつでも、ユーザがテーブルを完了し、このテーブルを保存する場合には、該テーブルの一部のみの名前が手持ち式デバイスに送信されて、その名前リストに格納される。呼び出し側が手持ち式デバイスの名前リスト324を起動させた場合には、そのコンテンツがディスプレイ326上に表示される。呼び出し側は、キーパッド上のボタンを用いてリストを検索することができ、或いは、今日の技術である音声認識チップを用いて、呼び出し側が音声によって名前リストを検索することができるようにするのは容易である。手持ち式デバイスは、さらに、マイクロフォン312及びスピーカ314に接続する、ここでは310として示される無線子局において標準的な他の装置を含む。
【0013】
ここでシステムの動作を述べる。図4は、図1のコンピュータ110においてユーザに表示される構築サービスのサンプル・メニューを示す。このサンプル・メニューは、名前リストを編集するためのリンク、日時又はエリア・コードの優先性を構築するためのリンク、及び、システムが、いつ、或る番号を応答なしとして中止するかを判断する呼び出し音数を設定するためのリンクを含む。上述のように、基地局を構築するために好ましい方法は、マイクロソフト・インターネット・エクスプローラのようなブラウザを用いることによるものであるが、多数の他のモードも可能であり、本発明の範囲内に想定される。マイクロソフト・インターネット・エクスプローラは、米国、他国、又は両方におけるマイクロソフト・コーポレーションの商標である。基地局のファームウェア206に含まれるオペレーティング・システムは、コンピュータ110におけるブラウザ・ソフトウェアと通信するためのサーバを含む。基地局における名前リスト224は、そのコンテンツをブラウザにおいて表示することにより編集される。
【0014】
図5は、名前の入力、表示、及び編集のためにコンピュータ110において表示される例示的なスクリーンを示す。名前リストの各入力項目は、名前フィールド500、番号フィールド502、優先フィールド504、セル・フィールド506、インスタント・メッセージ(IM)フィールド508、及びインスタント・メッセージングIDフィールド510を含む。各入力項目においては、名前フィールド500は、人の名前を、ユーザがその人を識別しようとするいずれかの形態で含む。番号フィールド502は、その人に関連付けられた電話番号を含む。図5の名前リストの最初の4つの入力項目に示すように、John Doeは、彼につなげることができる少なくとも4つの電話番号を有する。5つ目の入力項目における「JD」が同じJohn Doeを指しているとすると、彼は、このリストに5つの番号を入力していることになる。優先フィールド504は、特定の番号に対する優先性を示すフラグを含む。セルラー・フィールド506は、携帯電話に属する番号を識別するフラグを含む。現時点でメッセージを送ろうとしているクライアントが特定の電話番号に関連付けられている場合には、IMフィールド508は、そのクライアントの識別を含む。このようなクライアントの各々は、図2のIMクライアント228の例に対応する。現在、Lotus(商標)Sametime(商標)、ICQ(商標)、Yahoo(商標)、AOL(商標)、及びマイクロソフトのMSN(商標)のような、多数の可能なIMサービスがある。(Lotus及びSametimeは、米国、他国、又は両方におけるIBMコーポレーションの商標である。)これらのうちの幾つかのサービスは無料であり、ワールド・ワイド・ウェブによる登録を必要とするのみである。図5においては、John Doeは、AOL(商標)Instant Messaging(AIM)、Yahoo(商標)、及びSametime(商標)という3つのこのようなサービスに登録している。
【0015】
各サービスは異なる電話番号に関連付けられており、その各々は、IMクライアント228の例のように異なるIMクライアントがロードされていることを必要とする。各サービスは、ユーザ識別のために異なるフォーマットを有し、このユーザ識別は、図5のIDフィールド510に配置される。例えば、AIMについてのJohn DoeのIDは「JOHNDOE」である。一方、Sametime(商標)は、インターネットの電子メールアドレスをユーザIDとして用いる。John Doeの電子メールアドレスは、jd@us.ibm.comである。新規な入力項目は、カーソルをスクリーン底部における列512の所望のフィールドに配置して、該フィールドのコンテンツに入力することにより作成される。これは、例えば、マイクロソフト・アクセスのような多数のデータベース・プログラムにより用いられるデータ入力技術である。同じ入力技術が図6、図7、及び図8に示すテーブルにも用いられる。
【0016】
名前リストにおける各入力項目については(図5)、図6に示す存在テーブルにおいて対応する入力項目がある。名前が図6に示されるが、これは主にここで明らかにするためであり、実際は、好ましい実施形態においては、番号フィールドだけが必要とされる。P(存在)フィールド604は、IMサービスに関連付けられた人がサービスにログイン及びログオフしたときに、動的に設定又は再設定されるフラグを含む。「Y」は、或る人が、IMサービスに関連付けられた番号でログインしたことを示す。「N」は、その人がログインしていないことを示し、空のフィールドは、その電話番号がIMサービスに関連付けられていないことを意味する。各存在サービスは、登録メンバーがサービスにログオン及びログオフしたときに、電話番号と併せて、存在又は非存在メッセージを生成し、これらのメッセージは、リアルタイムで関心のある人々に送信される。このようなメッセージは、インターネット上でIMクライアント228により受信され、受信した番号により識別される存在テーブルにおける適当な入力項目に通信される。これは、現時点では通常のサービスであり、異なるサービスとは動作において幾分異なるものであるが、RFC2778及び2779が、動作規格を確立するために、インターネット・エンジニアリング・タスク・フォースにより提案されている。
【0017】
ユーザは、呼び出しのルーティングについて優先性を確立することができる。ユーザの優先性を定義するためには多数の代替的な方法があることは明らかである。ここでは、例示的な目的のために、時刻(TOD)優先性とエリア・コード(AC)優先性という2つの代替的な優先性が教示される。ユーザは、図4におけるブラウザのメニューにより、自分がどのサービスを望んでいるかを選択する。ユーザがTOD優先性を選択した場合には、図7におけるTOD優先性テーブルがブラウザにより表示される。一例として、このテーブルの各入力項目は、開始時間フィールド700、終了時間フィールド702、一次フィールド704、及び二次フィールド706を含む。入力項目の開始フィールド及び終了フィールドは、優先性をもった呼び出しルーティングが一次フィールド704により指定される時間間隔を定義する。優先ルート(VoIP又はPOTS)による呼び出しが失敗であった場合、及び、二次入力項目がある場合には、この呼び出しは、二次ルートにより再試行される。二次フィールドにおいて入力項目がない場合には、これは、ユーザが、定義された時間間隔において、そのルーティングを用いることを決して望まないことを意味する。ルーティング・フィールドが「DC」(無指定)入力項目を含む場合には、基地局により、関連付けられた時間間隔で呼び出しが行われて、一次及び二次ルーティングに関して任意的な選択をする。
【0018】
ユーザがエリア・コードにより呼び出しをルーティングすることを好む場合には、このユーザは、図4のメニューを用いて、図8に示すテーブルを構築する。ACテーブルの各入力項目は、所望のエリア・コードを含むACフィールド800を有する。一次フィールド804及び二次フィールド806は、TOD優先性について上述されたのと同じ方法で用いられる。
【0019】
図9は、電話の呼び出しにおいて実行される例示的な動作の機能フローチャートを含む。ステップ900において、ユーザは手持ち式デバイス100内に格納された名前リスト324を起動させて、呼び出しを望む人の名前まで手順を遂行する。ユーザは、次いで、CALLキー又はこれと等価なものを押し下げることにより、呼び出しを開始する。結果として、ステップ902において、選択された名前が基地局102に送信される。選択された名前は、ステップ904において、基地局で受信されて、該基地局の名前リスト224における入力項目を検索するのに用いられる。例えば、選択された名前が「John Doe」である場合には、優先性をもった名前入力項目が、優先フィールド504にYにより示されるように、電話番号919−530−4354の第2のJohn Doeの入力項目に見出される。この特定の番号は、セルラー・フィールド506におけるNにより示されるように、携帯電話とは関連付けられていない。しかし、フィールド508は、この電話が、AOMのIMサービス、AIMに関連付けられていることを示す。したがって、基地局は、図6における存在テーブルの第2の入力項目に照会して、John Doeがこの電話位置に存在するかどうかを判断する。存在テーブルのフィールド604は、John Doeが番号919−530−4354において存在することを示す。したがって、基地局は、John Doeに対して、優先性をもった番号919−530−4354で通話を申し込む。存在テーブルが、John Doeが優先性をもった番号において存在しないことを示す場合には(フィールド604がN)、基地局は、存在インジケータ604が設定されている存在テーブルにおいて、John Doeの入力項目を探す。これに失敗すると、基地局は、最後に、ヌルである(YでもNでもない)存在入力項目を探す。このようなヌル状態は、対応する電話番号に関連付けられた存在サービスがないことを意味する。したがって、基地局はこの番号を最後にダイヤルするが、もちろん、John Doeが検索されるまで、又は可能性のある番号リストがなくなるまで、順番にダイヤルされることになる、このような電話番号が複数あるようにすることができる。存在フィールド604におけるJohn DoeについてのYの入力項目が、実際はNであったと仮定される場合には、基地局102は、John Doeが存在する可能性がある唯一の番号であるため、第1の入力項目から番号919−260−1231を選択する。
【0020】
ステップ904において番号が選択された後、ステップ906では、優先性テーブルに照会して、呼び出しのルーティング(VoIP又はPOTS)を判断する。ユーザが、時刻(TOD)ルーティングを選択した場合には、図7におけるTODテーブルに照会する。例えば、午前10時AMであると仮定すると、TODテーブルは、VoIPが一次ルーティングの選択であることを示す。基地局は、スイッチ210を制御して、TCP/IPへのVoIP経路を選択し、次いで、ステップ910において、通常のVoIP様式により呼び出しが入れられる。この呼び出しがいずれかの理由のために失敗した場合、又は、呼び出しが指定の呼び出し音数後に応答されなかった場合(図4及び図9における912を参照されたい)、又は、呼び出し側がキーパッド208から切断を開始した場合には、基地局は、ステップ914に進み、二次ルーティングのために(本例においてはPOTS)、図7の二次ルーティング・フィールド706を調べる。二次ルーティングが指定された場合には、基地局は、914において、二次優先性を用いて、呼び出しを再試行する。ユーザが、二次TOD入力項目(5PMから11PM)のフィールド706において、二次ルーティングの優先性を指定していなかった場合には、基地局は、この特定の番号に対する呼び出しを再試行しない。916においては、基地局はステップ904に戻り、試行すべき別の電話番号を検索する。最終的には、呼び出しが成功するか(図9には図示せず)、又は、すべての可能性がなくなることになる。後者の場合における好ましい実施形態は、呼び出しが最終的に失敗だった場合には、図9の920において示すように、ディスプレイ326上に、適当な応答なしメッセージを表示する。
【0021】
本発明の分野の当業者は、好ましい実施形態の精神及び範囲内に多数の変形態様があることを理解するであろう。従来技術の状態及び法律により可能な範囲でこれらの変形態様を含むことが、発明者の意図である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施するための、ディスプレイをもつハンドセット又は手持ち式デバイス及びインテリジェント基地局を含む無線システムのブロック図を示す。
【図2】インテリジェント基地局の例示的なブロック図を示す。
【図3】無線システムのハンドセット又は手持ち式デバイスの例示的なブロック図を示す。
【図4】システムの好ましい実施形態においてネットワーク化コンピュータ上に表示され、二次的にはハンドセット又は手持ち式デバイスのディスプレイ上に表示される構築メニューのスクリーン・イメージを示す。
【図5】基地局内に格納された着呼側の名前リストのコンピュータ表示を示す。
【図6】基地局内に格納され、潜在的着呼側に関連付けられた存在テーブルのコンピュータ表示イメージを示す。
【図7】基地局内に格納され、VoIP又はPOTS電話回線上の呼び出しのルーティングを選択するのに用いられる時刻ルーティングの優先性テーブルのコンピュータ表示イメージを示す。
【図8】時刻ではなくエリア・コードに基づく代替的なルーティングの優先性テーブルを示す。
【図9】携帯型ハンドセット又は手持ち式デバイスから電話の呼び出しを入れる過程で実行される機能フローチャートのステップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換電話ネットワークへの第1接続とパケット・ネットワークへの第2接続とを有する基地局と、無線プロトコルを用いて音声を前記基地局に通信するためのモバイル・デバイスと、所定の選択アルゴリズムに基づいて前記第1接続又は前記第2接続のいずれかを選択して、ハンドセットからの呼び出しに対してサービスする、該基地局における装置とを含む無線電話システム。
【請求項2】
前記選択する装置がスイッチをさらに含み、前記基地局の装置が、さらに、前記スイッチの第1ポートと第2コネクタとの間にパケット・インターフェース及びプロトコル・スタックを含み、該スイッチの第2ポートと第1コネクタとの間に電話インターフェースを含む、請求項1に記載の無線電話システム。
【請求項3】
プログラムされた命令の制御下にあり、前記スイッチを制御して、前記所定の選択アルゴリズムに基づいて、前記パケット・インターフェース又は前記電話インターフェースのいずれかを選択し、呼び出しに対してサービスする中央演算処理装置をさらに含む、請求項2に記載の無線電話システム。
【請求項4】
前記パケット・インターフェースが、前記モバイル・デバイスからの信号を前記第2接続に接続された前記プロトコル・スタックと互換性のあるデジタル・パケットに変換するための手段を含む、請求項3に記載の無線電話システム。
【請求項5】
前記パケット・インターフェースが、前記プロトコル・スタックから受信したパケットを、前記モバイル・デバイスに送信する信号に変換するための手段を含む、請求項3に記載の無線電話システム。
【請求項6】
前記電話インターフェースが、前記モバイル・デバイスからの信号を前記第1コネクタに送信するアナログ信号に変換するための手段を含む、請求項3に記載の無線電話システム。
【請求項7】
前記電話インターフェースが、前記第1コネクタからのアナログ信号を前記モバイル・デバイスに送信する信号に変換するための手段を含む、請求項3に記載の無線電話システム。
【請求項8】
前記プロトコル・スタックがTCP/IPスタックである、請求項2から請求項8までのいずれか1項に記載の無線電話システム。
【請求項9】
パケット交換ネットワークへの第1接続を有する電話であって、前記電話から呼び出されることができる電話のユーザによって選択可能な1つ又はそれ以上のエンティティの複数の識別を格納する装置と、各エンティティに関連付けられた1つ又はそれ以上の電話番号を格納する装置と、前記電話番号の幾つかに関連付けられた存在インジケータを前記パケット交換ネットワークから受信する装置と、対応する電話番号に関連付けられた前記存在インジケータを格納するメモリと、ユーザによるエンティティの選択に応答して、前記選択されたエンティティに関連付けられた前記存在インジケータの状態に基づいて、ダイヤルする番号を選択する装置と、を含む電話。
【請求項10】
回線交換電話ネットワーク上で呼び出しを入れる装置と、前記パケット交換ネットワーク上で呼び出しを入れる装置とを有する請求項9に記載の電話。
【請求項11】
前記電話が、前記回線交換ネットワークへの接続及び前記パケット交換ネットワークへの接続を有する基地局と、無線プロトコルを用いて前記基地局と通信するモバイル・デバイスとを含む、請求項10に記載の電話。
【請求項12】
前記基地局が、エンティティの前記識別を格納する前記装置と、前記エンティティ及び前記存在インジケータに関連付けられた電話番号と、を含み、前記モバイル・デバイスが、a)前記エンティティの前記名前を格納するメモリと、b)ユーザが、ダイヤルするエンティティを選択することを可能にするための手段と、c)選択されたエンティティの名前を該基地局に送信するための手段と、を含む、請求項11に記載の電話。
【請求項13】
前記基地局が、前記選択された番号に関連付けられたユーザの優先性に応じて、呼び出しを前記回線交換ネットワーク又は前記パケット交換ネットワークにルーティングする装置をさらに含む、請求項12に記載の電話。
【請求項14】
前記基地局が、時刻に基づいてユーザのルーティング優先性を格納するメモリをさらに含む、請求項13に記載の電話。
【請求項15】
前記基地局が、前記選択された番号のエリア・コードに基づいて、ユーザのルーティング優先性を格納するメモリをさらに含む、請求項13に記載の電話。
【請求項16】
応答されなかった電話の呼び出しに応答して、付加的な番号が着呼エンティティに格納されたかどうかを判断して、このような付加的な電話番号に対して呼び出しを再試行する装置をさらに含む、請求項9から請求項15までのいずれか1項に記載の電話。
【請求項17】
パケット交換ネットワークへの第1接続を有する電話を制御するための方法であって、前記電話から呼び出されることができる電話のユーザによって選択可能な1つ又はそれ以上のエンティティの複数の識別を格納するステップと、各エンティティに関連付けられた1つ又はそれ以上の電話番号を格納するステップと、前記電話番号の幾つかに関連付けられた存在インジケータを前記パケット交換ネットワークから受信するステップと、対応する電話番号に関連付けられた前記存在インジケータを格納するステップと、ユーザによるエンティティの選択に応答して、前記選択されたエンティティに関連付けられた前記存在インジケータの状態に基づいて、ダイヤルする番号を選択するステップと、を含む方法。
【請求項18】
選択的に、回線交換ネットワーク上で呼び出しを入れるか、又は、前記パケット交換ネットワーク上で呼び出しを入れるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電話が、前記回線交換ネットワークへの接続及び前記パケット交換ネットワークへの接続を有する基地局と、無線プロトコルを用いて前記基地局と通信するモバイル・デバイスとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
電話番号を格納する前記ステップが、前記基地局において、エンティティの前記識別、前記エンティティ及び前記存在インジケータに関連付けられた前記電話番号を格納するステップと、前記モバイル・デバイスにおいて、前記エンティティの前記名前を格納するステップと、をさらに含み、前記方法が、ユーザがダイヤルするエンティティを選択することを可能にするステップと、選択されたエンティティの名前を該基地局に送信するステップと、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
呼び出しを入れる前記ステップが、前記選択された番号に関連付けられたユーザの優先性に応じて、呼び出しを前記回線交換ネットワーク又は前記パケット交換ネットワークにルーティングするステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
時刻に基づいてユーザのルーティング優先性を格納するステップをさらに含む、請求項17から請求項21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記選択された番号のエリア・コードに基づいて、ユーザのルーティング優先性を格納するステップをさらに含む、請求項17から請求項22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
応答されなかった電話の呼び出しに応答して、付加的な番号が着呼エンティティに格納されたかどうかを判断するステップと、このような付加的な電話番号に対して呼び出しを再試行するステップと、をさらに含む、請求項17から請求項23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
パケット交換ネットワークへの第1接続を有するコンピュータ制御式電話にロードされて実行されたとき、前記電話から呼び出されることができる電話のユーザによって選択可能な1つ又はそれ以上のエンティティの複数の識別を格納するステップと、各エンティティに関連付けられた1つ又はそれ以上の電話番号を格納するステップと、前記電話番号の幾つかに関連付けられた存在インジケータを前記パケット交換ネットワークから受信するステップと、対応する電話番号に関連付けられた前記存在インジケータを格納するステップと、ユーザによるエンティティの選択に応答して、前記選択されたエンティティに関連付けられた前記存在インジケータの状態に基づいて、ダイヤルする番号を選択するステップと、を含む方法を遂行するように該電話を制御するコンピュータ・ソフトウェア・プログラムを格納するコンピュータ格納媒体。
【請求項26】
前記方法が、選択的に、回線交換ネットワーク上で呼び出しを入れるか、又は、前記パケット交換ネットワーク上で呼び出しを入れるステップをさらに含む、請求項25に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項27】
前記電話が、前記回線交換ネットワークへの接続及び前記パケット交換ネットワークへの接続を有する基地局と、無線プロトコルを用いて前記基地局と通信するモバイル・デバイスとをさらに含む、請求項26に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項28】
電話番号を格納する前記方法ステップが、前記基地局において、エンティティの前記識別、前記エンティティ及び前記存在インジケータに関連付けられた前記電話番号を格納するステップと、前記モバイル・デバイスにおいて、前記エンティティの前記名前を格納するステップと、をさらに含み、前記方法が、ユーザがダイヤルするエンティティを選択することを可能にするステップと、選択されたエンティティの名前を該基地局に送信するステップと、をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項29】
呼び出しを入れる前記方法ステップが、前記選択された番号に関連付けられたユーザの優先性に応じて、呼び出しを前記回線交換ネットワーク又は前記パケット交換ネットワークにルーティングするステップをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項30】
前記方法が、時刻に基づいてユーザのルーティング優先性を格納するステップをさらに含む、請求項29に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項31】
前記方法が、前記選択された番号のエリア・コードに基づいて、ユーザのルーティング優先性を格納するステップをさらに含む、請求項29に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項32】
前記方法が、応答されなかった電話の呼び出しに応答して、付加的な番号が着呼エンティティに格納されたかどうかを判断するステップと、このような付加的な電話番号に対して呼び出しを再試行するステップと、をさらに含む、請求項25から請求項31までのいずれか1項に記載のコンピュータ格納媒体。
【請求項33】
パケット交換ネットワークへの第1接続を有するコンピュータ制御式電話にロードされて実行されたとき、前記電話から呼び出されることができる電話のユーザによって選択可能な1つ又はそれ以上のエンティティの複数の識別を格納するステップと、各エンティティに関連付けられた1つ又はそれ以上の電話番号を格納するステップと、前記電話番号の幾つかに関連付けられた存在インジケータを前記パケット交換ネットワークから受信するステップと、対応する電話番号に関連付けられた前記存在インジケータを格納するステップと、ユーザによるエンティティの選択に応答して、前記選択されたエンティティに関連付けられた前記存在インジケータの状態に基づいて、ダイヤルする番号を選択するステップと、を含む方法を遂行するように該電話を制御するコンピュータ・ソフトウェア・プログラムを含む搬送波。
【請求項34】
前記方法が、選択的に、回線交換ネットワーク上で呼び出しを入れるか、又は、前記パケット交換ネットワーク上で呼び出しを入れるステップをさらに含む、請求項33に記載の搬送波。
【請求項35】
前記電話が、前記回線交換ネットワークへの接続及び前記パケット交換ネットワークへの接続を有する基地局と、無線プロトコルを用いて前記基地局と通信するモバイル・デバイスとをさらに含む、請求項34に記載の搬送波。
【請求項36】
電話番号を格納する前記方法ステップが、前記基地局において、エンティティの前記識別、前記エンティティ及び前記存在インジケータに関連付けられた前記電話番号を格納するステップと、前記モバイル・デバイスにおいて、前記エンティティの前記名前を格納するステップと、をさらに含み、前記方法が、ユーザがダイヤルするエンティティを選択することを可能にするステップと、選択されたエンティティの名前を該基地局に送信するステップと、をさらに含む、請求項35に記載の搬送波。
【請求項37】
呼び出しを入れる前記方法ステップが、前記選択された番号に関連付けられたユーザの優先性に応じて、呼び出しを前記回線交換ネットワーク又は前記パケット交換ネットワークにルーティングするステップをさらに含む、請求項36に記載の搬送波。
【請求項38】
前記方法が、時刻に基づいてユーザのルーティング優先性を格納するステップをさらに含む、請求項37に記載の搬送波。
【請求項39】
前記方法が、前記選択された番号のエリア・コードに基づいて、ユーザのルーティング優先性を格納するステップをさらに含む、請求項37に記載の搬送波。
【請求項40】
前記方法が、応答されなかった電話の呼び出しに応答して、付加的な番号が着呼エンティティに格納されたかどうかを判断するステップと、このような付加的な電話番号に対して呼び出しを再試行するステップと、をさらに含む、請求項32から請求項39までのいずれか1項に記載の搬送波。
【請求項41】
無線電話システムであって、パケット交換ネットワークへの接続を有する基地局と、無線プロトコルを用いて前記基地局に音声を通信するためのハンドセットと、呼び出されることができるエンティティの識別を格納し、ユーザにより選択された識別を該基地局に送信するための前記ハンドセット内の装置と、エンティティを呼び出すための識別に関連付けられた1つ又はそれ以上のネットワーク・アドレスを格納し、ネットワーク・アドレスに関連付けられたエンティティ存在インジケータに照会して、前記ユーザが、そのネットワーク・アドレスに位置しているかどうかを判断するための前記基地局内の装置と、を含む、無線電話システム。
【請求項42】
前記ハンドセット内に格納される識別がユーザ名である、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ハンドセット内に格納される識別が会社名である、請求項41に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2007−534206(P2007−534206A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527401(P2006−527401)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052161
【国際公開番号】WO2005/029889
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】