説明

ボンネットフード構造

【課題】 閉操作時の補強および衝突時の易変形を低コストで両立させることができるボンネットフード構造の提供。
【解決手段】 外側のフードスキン20と内側のフードフレーム22との間にフードスキンレインフォース30を設け、フードスキンレインフォース30は、フードスキン20側に配置される主板部32からフードフレーム22側に延出してフードフレーム22に接合される脚部50,57が延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンネットフード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ボンネットフードは外側のフードスキンが閉操作時に手で押されると変形しやすく(いわゆるベコつき)、手で押すのをやめれば元に戻るものの高級感が損なわれることから、このような閉操作時における外側のフードスキンの変形を防止するために、フードスキンとその内側のフードフレームとの間にフードスキンレインフォースを設けたものがある。この種のフードスキンレインフォースとして、フードスキン側に配置される主板部からフードフレーム側に延出してフードフレームに接合される脚部をすべて延出先端側ほど外側に位置するように傾斜させた構造のものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−321714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フードスキンレインフォースは、操作時にはフードスキンを補強する一方で、衝突物への衝撃緩和等の観点から荷重によっては容易に変形する必要があるため、上記特許文献1に示すように中間部に車幅方向に沿うスリットを形成しその前後両側に補強板を取り付ける等の工夫が必要で、構造が複雑となり、コストが高くなってしまう。
【0004】
したがって、本発明は、閉操作時の補強および衝突時の易変形を低コストで両立させることができるボンネットフード構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外側のフードスキン(例えば実施形態におけるフードスキン20)と内側のフードフレーム(例えば実施形態におけるフードフレーム22)との間にフードスキンレインフォース(例えば実施形態におけるフードスキンレインフォース30)を設けたボンネットフード構造であって、前記フードスキンレインフォースは、前記フードスキン側に配置される主板部(例えば実施形態における主板部32)から前記フードフレーム側に延出して該フードフレームに接合される脚部(例えば実施形態における前脚板部50,後脚板部57,側脚板部71)が延出先端側ほど前記主板部における中央側に寄るように傾斜していることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記主板部には中間部に開口部(例えば実施形態における開口部45)が形成されるとともに該開口部の内縁部から前記脚部が前記フードフレーム側に延出していることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記開口部側の互いに対向する内縁部にそれぞれ前記脚部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記脚部には、中間部に屈曲部(例えば実施形態における屈曲部52,59,73)が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、フードスキンレインフォースのフードスキン側に配置される主板部からフードフレーム側に延出してフードフレームに接合される脚部が、延出先端側ほど主板部における中央側に寄るように傾斜しているため、閉操作時にはフードスキンレインフォースがフードスキンを十分に補強して変形を防止することができ、衝突時の荷重では脚部が踏ん張らずに容易に変形することになって衝突物への衝撃を緩和することができる。そして、上記のように脚部の延出方向を延出先端側ほど主板部における中央側に寄るように傾斜させるものであるため、構造を簡素にでき、コストを低減することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、主板部の中間部に形成された開口部の内縁部から脚部がフードフレーム側に延出しているため、繁雑な強度設定が必要な主板部の中間部に脚部を設けることができ、この部分の強度設定を比較的容易に行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、開口部の互いに対向する内縁部にそれぞれ脚部が設けられているため、閉操作時の複数方向の荷重に対し効果的に脚部で補強することができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、脚部には、中間部に屈曲部が形成されているため、衝突時の荷重によって脚部を屈曲部からさらに容易に変形させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態のボンネットフード構造を図面を参照して以下に説明する。
【0014】
図1は、車両10を前方かつ上側から見た斜視図であって、車体11の左右のフロントフェンダ12間に設けられたエンジンルーム13を開閉するために、ボンネットフード15が、エンジンルーム13の後部側の車幅方向両側に設けられたヒンジ16で車体11に連結されている。
【0015】
ボンネットフード15は、外側に配置されるフードスキン20の内側に、図1に示す複数の抜穴21が形成されたフードフレーム22が接合されて構成されている。フードフレーム22は、前端側の車幅方向中央に挿入穴24が形成されたフードフレーム本体25と、挿入穴24を上から覆うようにフードフレーム本体25に接合されるとともに前端側の車幅方向中央に挿入穴24を通過するように下方に突出するストライカ26が固定されたストライカプレート27とを有している。ストライカ26は、ボンネットフード15の閉時に車体前部のロック機構28に係合するものである。
【0016】
図2に示すようにフードスキン20は車幅方向に直交する断面が若干湾曲した形状をなしており、ボンネットフード15は、このフードスキン20とフードフレーム22との間にフードスキンレインフォース30を有している。このフードスキンレインフォース30は、図3に示すようにボンネットフード15における前端部側かつ車幅方向中央側の所定範囲に配置される。
【0017】
フードスキンレインフォース30は、全体として略一方向に長い板状をなしており、長さ方向を車幅方向に沿わせた状態でフードフレーム22に固定される。以下の説明における前後は、車体における前後であって、便宜上、ボンネットフード15に取り付けられ、しかもボンネットフード15が閉じられた状態の前後をもって説明する。
【0018】
図4および図5に示すように、フードスキンレインフォース30は、車幅方向に長い板状をなすとともにボンネットフード15と同様に若干湾曲した形状をなす主板部32を有している。この主板部32は、前端縁部および車幅方向両側の側端縁部がそれぞれ略直線状をなす一方、後端縁部は車幅方向中央が車体前後方向後側ほど車幅方向の幅が狭くなるように山型に突出する突出部33を有する形状をなしている。
【0019】
また、フードスキンレインフォース30は、図2に示すように、主板部32の前端縁部から主板部32に対し垂直に近い角度で屈曲して主板部32に対し前下がりに若干延出する前端脚板部35と、前端脚板部35の下縁部から前端脚板部35に対し略垂直をなして屈曲し前方に若干延出する前端接合板部36とを有している。ここで、前端脚板部35は主板部32に対し前下がりに延出していることから延出先端側ほど外側に位置するように傾斜している。また、図4および図5に示すように、前端接合板部36の車幅方向の中央部および両端部は前方に突出する突出部37とされている。
【0020】
さらに、フードスキンレインフォース30は、主板部32の後端縁部の車幅方向における両端部から、図2に示すように主板部32に対し鈍角をなして屈曲し後ろ下がりに延出する後端脚板部39と、後端脚板部39の下縁部から後端脚板部39に対し鈍角をなして屈曲して後方に若干延出する後端接合板部40とを有している。
【0021】
ここで、主板部32および両後端脚板部39の車幅方向外側の外側縁部には、図4に示すように、それぞれ主板部32および後端脚板部39よりも若干下側でこれらに沿うように段付形状をなす段差部41が連続する外側縁部のほぼ全範囲に形成されており、主板部32の後端縁部および両後端脚板部39の車幅方向内側の縁部にも主板部32および両後端脚板部39よりも若干下側でこれらに沿うように段付形状をなす段差部42が連続する主板部32および両後端脚板部39のほぼ全範囲にわたって形成されている。
【0022】
そして、本実施形態において、フードスキンレインフォース30には、主板部32の中間部、具体的には前後方向のやや後ろ寄りの中間部かつ車幅方向の中央部に、板厚方向に貫通する開口部45が形成されている。また、この開口部45の前端側を形成する主板部32の車幅方向中央には開口部45内に突出するように半円状の突出部46が形成されている。そして、主板部32の開口部45側の内周縁部には、主板部32よりも若干下側で主板部32に沿うように段付形状をなす環状段差部47が全周にわたって形成されている。
【0023】
図4および図5に示すように、上記環状段差部47の前部には前脚板部(脚部)50が複数具体的には二カ所形成されている。つまり、環状段差部47の前部かつ突出部46の車幅方向両側には、それぞれ、環状段差部47の前部の後端縁部(つまり開口部45の前側の内縁部)から図2に示すように環状段差部47の前部に対し垂直に近い角度で屈曲して後下がりに延出する前脚板部50と前脚板部50の下縁部から略垂直に屈曲して後方に若干延出する前接合板部51とが形成されている。
【0024】
ここで、各前脚板部50は、上記のように傾斜することで主板部32に対しても後ろ下がりに傾斜し、言い換えれば延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜している。
【0025】
また、各前脚板部50は、中間部に屈曲部52が形成されている。この屈曲部52は、前脚板部50を車幅方向の全範囲にわたり屈曲させており、前脚板部50を後方に凸の山型とするように、言い換えれば主板部32における中央側に凸の山型とするように形成されている。つまり、前脚板部50は屈曲部52から上側の上板部53とこれとは角度が異なる下側の下板部54とに分けられ、上板部53の主板部32に対する角度よりも下板部54の主板部32に対する角度の方が垂直に近くなっている。ここで、前脚板部50は、上方から荷重を受けて変形する場合には屈曲部52を中心に折り畳まれるように変形することになるが、このときに開口部45の範囲内で折り畳まれる寸法に設定されている。
【0026】
上記環状段差部47の後部には、図4および図5に示すように、車幅方向に広い後脚板部(脚部)57が具体的には一カ所のみ設けられている。つまり、環状段差部47の後部には、その前端縁部(つまり開口部45の後側の内縁部)から図2に示すように環状段差部47の後部に対し垂直に近い角度で屈曲して前下がりに延出する後脚板部57と後脚板部57の下縁部から略垂直に屈曲して前方に若干延出する後接合板部58とが形成されている。
【0027】
ここで、後脚板部57は、上記のように傾斜することで主板部32に対しても前下がりに傾斜し、言い換えれば延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜している。
【0028】
また、後脚板部57は、中間部に屈曲部59が形成されている。この屈曲部59は、後脚板部57を車幅方向の全範囲にわたり屈曲させており、後脚板部57を前方に凸の山型とするように、言い換えれば主板部32における中央側に凸の山型とするように形成されている。つまり、後脚板部57は屈曲部59から上側の上板部60とこれとは角度が異なる下側の下板部61とに分けられ、上板部60の主板部32に対する角度よりも下板部61の主板部32に対する角度の方が垂直に近くなっている。ここで、後脚板部57も、上方から荷重を受けて変形する場合には屈曲部59を中心に折り畳まれるように変形することになるが、このときに開口部45の範囲内で折り畳まれる寸法に設定されている。また、後脚板部57および前脚板部50は、ともに折り畳まれても、互いに干渉しない寸法に設定されている。
【0029】
なお、後脚板部57は、車幅方向に沿う全体的な幅が各前脚板部50の同方向の幅よりも広くされており、また、後脚板部57には、車幅方向の中央部に板厚方向に貫通する抜穴62が形成されている。この抜穴62は長穴形状をなしており、屈曲部59を越えて後脚板部57の略全範囲にわたって形成されている。
【0030】
加えて、主板部32には、図4および図5に示すように、前部側に前後方向に延在する、フードスキンレインフォース30の面剛性向上用のビード65が車幅方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0031】
フードスキンレインフォース30は、一枚の金属板材からプレス成形されることで以上のような形状に形成されている。
【0032】
このフードスキンレインフォース30は、フードフレーム本体25に取り付けられる前に、図6に示すように、上記したストライカ26を備えたストライカプレート27に両前脚板部50の前接合板部51および後脚板部57の後接合板部58において予め溶接により接合される。ここで、ストライカプレート27は、ロック機構28の図示略のラッチの進入を可能とするように車幅方向に沿う逃溝67が形成されており、この逃溝67を挟んで前側に両前接合板部51が接合され、反対側に後接合板部58が接合される。なお、各前接合板部51は一カ所、後接合板部58は複数カ所がスポット溶接でストライカプレート27に溶接される。
【0033】
このようにして、ストライカプレート27が予め接合された状態のフードスキンレインフォース30が、図2および図3に示すように、挿入穴24にストライカ26を通過させながらフードフレーム本体25にストライカプレート27および前端接合板部36および後端接合板部40において溶接により接合される。
【0034】
そして、フードスキン20がこれらを覆うように配置されてフードフレーム本体25にヘミング加工等で接合される。このとき、フードスキンレインフォース30のフードスキン20に沿う主板部32の上面には、複数カ所に接着剤69が塗布され、接着剤69でフードスキン20の下面にも接合される。なお、接着剤69は図3に示すように主板部32の前部においては前後方向に長い形状をなして車幅方向に複数カ所塗布され、主板部32の後部においては円形状をなして車幅方向に複数カ所塗布される。
【0035】
以上により、フードスキンレインフォース30の主板部32はフードスキン20側に配置されることになり、この主板部32は中間部に開口部45が形成されるとともに開口部45の互いに対向する内縁部から前脚板部50および後脚板部57がフードフレーム22側に延出してフードフレーム22に接合されている。また、対向する前脚板部50および後脚板部57は互いに屈曲部52,59が近接するように屈曲している。
【0036】
以上に述べた本実施形態によれば、フードスキンレインフォース30のフードスキン20側に配置される主板部32からフードフレーム22側に延出してフードフレーム22に接合される前脚板部50および後脚板部57が、延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜しているため、閉操作時にはフードスキンレインフォース30がフードスキン20を十分に補強して変形(いわゆるベコつき)を防止することができる。つまり、フードスキンレインフォース30が、フードフレーム22に前端接合板部36、後端接合板部40、前接合板部51および後接合板部58において接合されフードスキン20側に前端脚板部35、後端脚板部39、前脚板部50および後脚板部57を延出させてこれらの先端側の主板部32をフードスキン20に近接させているため、フードスキン20が上から押されてもフードスキンレインフォース30が踏ん張ってフードスキン20の変形を防止する。他方、衝突時の荷重では前脚板部50および後脚板部57が、延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜していることから、これらは踏ん張らずに容易に変形することになって衝突物への衝撃を緩和することができる。加えて、上記のように前脚板部50および後脚板部57の延出方向を延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜させるものであるため、構造を簡素にでき、コストを低減することができる。
【0037】
また、主板部32の中間部に形成された開口部45の内縁部から前脚板部50および後脚板部57がフードフレーム22側に延出しているため、繁雑な強度設定が必要な主板部32の中間部に前脚板部50および後脚板部57を設けることができ、この部分の強度設定を比較的容易に行うことができる。
【0038】
さらに、開口部45の互いに対向する内縁部に前脚板部50および後脚板部57が設けられているため、閉操作時の複数方向の荷重に対し効果的に前脚板部50および後脚板部57で補強することができる。
【0039】
加えて、前脚板部50および後脚板部57には、中間部に屈曲部52,57が形成されているため、衝突時の荷重によって前脚板部50および後脚板部57をそれぞれの屈曲部52,57からさらに容易に変形させることができる。
【0040】
さらに、接着剤69でフードスキンレインフォース30をフードスキン20に接着させるため、閉操作時のフードスキン20の変形を確実に防止することができる。
【0041】
加えて、前脚板部50および後脚板部57は、ともに上方から荷重を受けて変形する場合には屈曲部52,59を中心に折り畳まれるように変形することになるが、このときに開口部45の範囲内で折り畳まれる寸法であって、しかも互いに干渉しない寸法に設定されているため、潰れ残りを生じることなく良好に潰れることができ、エネルギ吸収効率を高めることができる。なお、開口部45を小さくする等の理由で前脚板部50および後脚板部57を前後方向に近接配置する際には、互いの干渉による潰れ残りを防止するためこれらを車幅方向にずらすことも可能である。
【0042】
以上に述べた実施形態のフードスキンレインフォース30を以下のように変更しても上記と同様の効果を奏することができる。なお、以下においては変更点を中心に説明し、上記と同様の部分の説明は略す。
【0043】
例えば、図7に示すように、フードスキンレインフォース30について、主板部32の開口部45の前側の内縁部から一つの車幅方向に幅の広い前脚板部50および前接合板部51を形成し、かつ主板部32の開口部45の後側の内縁部から複数の車幅方向の幅の狭い後脚板部57および後接合板部58を形成することが可能である。この場合も、図2に示される上記と同様に、前脚板部50および後脚板部57は延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜することになり、中間部に屈曲部52,59を備えていて、前脚板部50の屈曲部52から上側の上板部53の主板部32に対する角度よりも、屈曲部52から下側の下板部54の主板部32に対する角度の方を垂直に近くし、後脚板部57の屈曲部59から上側の上板部60の主板部32に対する角度よりも、屈曲部59から下側の下板部61の主板部32に対する角度の方を垂直に近くすることになる。このとき、抜穴70が前脚板部50に形成される。
【0044】
また、図8に示すように、フードスキンレインフォース30について、主板部32の開口部45の前側の内縁部から一つの車幅方向に幅の広い前脚板部50および前接合板部51を形成し、かつ主板部32の開口部45の後側の内縁部から一つの車幅方向に幅の広い後脚板部57および後接合板部58を形成して、しかも前脚板部50および前接合板部51の幅を後脚板部57および後接合板部58の幅より広くすることも可能である。この場合も、図2に示される上記と同様に、前脚板部50および後脚板部57は延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜することになり、中間部に屈曲部52,59を備えていて、前脚板部50の屈曲部52から上側の上板部53の主板部32に対する角度よりも、屈曲部52から下側の下板部54の主板部32に対する角度の方を垂直に近くし、後脚板部57の屈曲部59から上側の上板部60の主板部32に対する角度よりも、屈曲部59から下側の下板部61の主板部32に対する角度の方を垂直に近くすることになる。
【0045】
さらに、図9に示すように、フードスキンレインフォース30について、主板部32の開口部45の前側の内縁部から一つの車幅方向に幅の広い前脚板部50および前接合板部51を形成し、かつ主板部32の開口部45の後側の内縁部から一つの車幅方向に幅の広い後脚板部57および後接合板部58を形成して、しかも後脚板部57および後接合板部58の幅を前脚板部50および前接合板部51の幅よりも広くすることも可能である。この場合も、図2に示される上記と同様に、前脚板部50および後脚板部57は延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜することになり、中間部に屈曲部52,59を備えていて、前脚板部50の屈曲部52から上側の上板部53の主板部32に対する角度よりも、屈曲部52から下側の下板部54の主板部32に対する角度の方を垂直に近くし、後脚板部57の屈曲部59から上側の上板部60の主板部32に対する角度よりも、屈曲部59から下側の下板部61の主板部32に対する角度の方を垂直に近くすることになる。勿論、前脚板部50および前接合板部51と、後脚板部57および後接合板部58とを同等の幅としても良い。
【0046】
なお、以上のいずれにおいても、前脚板部50および後脚板部57のうちのいずれか一方のみを設けるようにすることが可能である。この場合、後脚板部57のみを設けるようにするのが好ましい。
【0047】
また、図10および図11に示すように、フードスキンレインフォース30について、主板部32の開口部45の車幅方向両側の内縁部から前後方向に幅の広い一対の側脚板部71を形成しそれぞれの先端に相互近接方向に延在してフードフレーム22に接合される側接合板部72を形成することも可能である。この場合も、一対の側脚板部70は延出先端側ほど主板部32における中央側に寄るように傾斜することになり、中間部に屈曲部73を備えていて、側脚板部70の屈曲部73から上側の上板部74の主板部32に対する角度よりも、屈曲部73から下側の下板部75の主板部32に対する角度の方を垂直に近くすることになる。つまり、相互に近接する方向に屈曲する屈曲部73を中間部に備えることになる。なお、この場合も、主板部32の車幅方向に並べて複数の開口部45を形成し、それぞれに側脚板部70および側脚板部71を形成することが可能である。なお、この場合、側接合板部72にストライカプレート27の逃溝67を覆うことがないように逃凹部77がそれぞれ形成されることになる。
【0048】
加えて、図12に示すように、フードスキンレインフォース30について、主板部32に車幅方向に並べて複数の開口部45を形成し、これら開口部45のそれぞれについて、前脚板部50および前接合板部51と、後脚板部57および後接合板部58とを車幅方向にずらして設けることも可能である。各開口部45を小さく設定することで、フードスキン20が上から押された場合の変形防止効果は大きくなる。この場合、前脚板部50、前接合板部51、後脚板部57および後接合板部58については、上記した他のいずれかの構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態のボンネットフード構造が適用された車両におけるボンネットフードを開状態とした正面側の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のボンネットフード構造を示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態のボンネットフード構造においてフードスキンを仮想線で示した平面図である。
【図4】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースを示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースを示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態のボンネットフード構造における接合されたフードスキンレインフォースおよびストライカプレートを示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースの変形例を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースの別の変形例を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースのさらに別の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースのさらに別の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施形態のボンネットフード構造における図10に示すフードスキンレインフォースの変形例を示す図10におけるA−A線に沿う断面図である。
【図12】本発明の一実施形態のボンネットフード構造におけるフードスキンレインフォースのさらに別の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
20 フードスキン
22 フードフレーム
30 フードスキンレインフォース
32 主板部
50 前脚板部(脚部)
57 後脚板部(脚部)
71 側脚板部(脚部)
45 開口部
52,59,73 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側のフードスキンと内側のフードフレームとの間にフードスキンレインフォースを設けたボンネットフード構造であって、
前記フードスキンレインフォースは、前記フードスキン側に配置される主板部から前記フードフレーム側に延出して該フードフレームに接合される脚部が延出先端側ほど前記主板部における中央側に寄るように傾斜していることを特徴とするボンネットフード構造。
【請求項2】
前記主板部には中間部に開口部が形成されるとともに該開口部の内縁部から前記脚部が前記フードフレーム側に延出していることを特徴とする請求項1記載のボンネットフード構造。
【請求項3】
前記開口部側の互いに対向する内縁部にそれぞれ前記脚部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のボンネットフード構造。
【請求項4】
前記脚部には、中間部に屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のボンネットフード構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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