説明

ポインタ遠隔制御装置

【課題】安価な構成で、精度が高く、操作性の良いポインタの移動制御を実現すること。
【解決手段】ポインタリモコン10は、放射角度情報が載せられて、放射角度が二次元方向に周期的に変化する走査光を発生するポインタ部を備え、ディスプレイ装置30は、ポインタを含む画像が表示される画面を有するディスプレイ部と、走査光を受光する複数の受光部2a〜2c,4a〜4cと、これら受光部2a〜2c,4a〜4cで受光される光に含まれる放射角度情報に基づきポインタリモコン10の指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの位置を検出する位置検出部と、該位置検出部の検出出力に基づいてディスプレイ部の画面上に表示されるポインタの移動制御を行うポインタ表示制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ装置の画面上での位置をポインタの位置として検出することにより、ポインタリモコンの指向方向の変化に対応して前記画面上に表示されるポインタを移動制御するポインタ遠隔制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画面上にメニュー項目が表示された電子番組ガイド(EPG)などから所要の番組を選択する場合、従来においては、リモートコントロール装置(リモコン)に設けられた十字キー(矢印キー)を何回か押することにより、画面上のポインタを所望の番組欄まで順次移動させて決定ボタンなどを押すといった操作を行う。十字キーによる操作においては、1回のキー操作でポインタは隣の番組欄にしか移動しないために、所望の番組欄が現ポインタ位置から離れている場合、何度も十字キーを押さなくてはならず、操作が煩雑である。
【0003】
このような問題を解消するために、特許文献1においては、リモコン側から水平垂直方向のスリット拡散光を発生させ、ディスプレイの上下左右の枠部に多数の光検出器を並べ、ディスプレイ側の上下の光検出器、左右の光検出器を組として、拡散光を受光し、拡散光を検出した上下の光検出器を結ぶ線と、拡散光を検出した左右の光検出器を結ぶ線とがクロスする位置を測定し、該測定した位置をリモコンの指向方向に対応するポインタ位置として検出している。
【0004】
特許文献2においては、リモコンから表示画面に向かって回転スリット光を出射し、これを表示画面の周辺に置かれた3つの受光素子で受光し、これら3つの受光素子で回転スリット光を受光した時間差を読み取り、それを角度に置き換えて回転スリット光の中心位置であるポインタの位置を計算特定している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−171054号公報
【特許文献2】特開平11−95911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、ポインタ位置をディスプレイの上下左右の枠部に配した多数の光検出器の出力に基づき検出するようにしているので、検出器の個数が多くなってコスト高となるとともに枠体部が大型化し、枠体部に対する他のボタン配置のレイアウトが難しくなるなどの問題がある。
【0007】
また、特許文献2においては、回転スリット光が表示画面に垂直に入射された場合は問題がないが、回転スリット光が表示画面に垂直に入射されなかった場合は、2つの受光素子とポインタ位置とで作られる角度δと、リモコン側での回転スリット光の実際の回転角度εとに誤差が生じる(δ<ε)。特許文献2においては、3つの受光素子で回転スリット光を受光した時間差に基づいてポインタ位置を計算しているので、計算されるポインタ位置に上記角度誤差分の誤差が生じるという問題がある。また、特許文献2では、リモコンの位置を検出できなので、リモコンとディスプレイとの間の距離に応じて受光感度を最適化する、リモコン位置に対しTVの音場を最適にするなどの制御を行うことが出来ない問題もある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価な構成で、精度が高く、操作性の良いポインタの移動制御を実現できるポインタ遠隔制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、ポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ装置の画面上での位置をポインタの位置として検出することにより、ポインタリモコンの指向方向の変化に対応して前記画面上に表示されるポインタを移動制御するポインタ遠隔制御装置において、ポインタリモコンは、放射角度情報が載せられて、放射角度が二次元方向に周期的に変化する走査光を発生する光発生部を備え、ディスプレイ装置は、ポインタを含む画像が表示される画面を有するディスプレイ部と、前記走査光を受光する複数の受光部と、該複数の受光部で受光される光に含まれる前記放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの位置を検出する位置検出部と、該位置検出部の検出出力に基づいて前記ディスプレイ部の画面上に表示されるポインタの移動制御を行うポインタ表示制御部とを備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるポインタ遠隔制御装置の好適な実施の形態および実施例を詳細に説明する。
【0011】
[実施の形態]
本ポインタ遠隔制御装置においては、ポインタリモコンをディスプレイ画面上のポインタに向けて、ポインタリモコン自体を振るなどしてポインタリモコンを移動させることで、この移動に対応してディスプレイ画面上のポインタを移動させる。ポインタの移動は、ポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ画面上の位置を検出して、この検出位置にポインタを表示させる絶対位置方式を採用している。したがって、本ポインタ遠隔制御装置においては、ポインタリモコンの指向方向と現在のポインタ位置とが常に一致している。
【0012】
ポインタリモコンからは、放射角度が横方向に周期的に変化する横走査光および放射角度が縦方向に周期的に変化する縦走査光が発生される。これら横走査光および縦走査光には、その都度の放射角度情報が載せられて送信される。ディスプレイ装置側では、これら横走査光および縦走査光を複数の受光部で受光し、その受光出力に含まれる放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの位置を検出し、該検出した位置に基づいて画面上に表示されるポインタの移動制御を行う。
【0013】
ポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ上のポインタの横方向位置は、例えば、ディスプレイの横方向に並ぶように配置された3つの横方向用受光部で横走査光を受光し、3つの横方向用受光部で受光された最大光強度を有する光に含まれる各放射角度情報を抽出し、該抽出した3つの放射角度情報を用いて検出する。ポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ上のポインタの縦方向位置は、例えば、ディスプレイの縦方向に並ぶように配置された3つの縦方向用受光部で縦走査光を受光し、3つの縦方向用受光部で受光された最大光強度を有する光に含まれる各放射角度情報を抽出し、該抽出した3つの放射角度情報を用いて検出する。
【0014】
このように本ポインタ遠隔制御装置では、ポインタリモコンから発生された放射角度情報を含む横走査光および縦走査光を、ディスプレイ装置の受光部で受光し、その受光信号に含まれる放射角度情報に基づきポインタ位置を検出し、該検出した位置に基づいて画面上に表示されるポインタの移動制御を行うようにしているので、精度の高い放射角度情報を用いてポインタ位置を演算することができ、これにより精度が高く、操作性の良いポインタの移動制御を実現することができる。
【実施例1】
【0015】
つぎに、図1〜図14を用いてこの発明にかかるポインタ遠隔制御装置の実施例1を説明する。本ポインタ遠隔制御装置は、図1に示すように、ポインタ機能を有するリモートコントロール装置(以下ポインタリモコンという)10と、ディスプレイ装置30とから構成されている。ポインタリモコン10からは、放射角度が横方向に周期的に変化する横走査光および放射角度が縦方向に周期的に変化する縦走査光が出射される。ディスプレイ装置30では、横枠部に配された3つの受光部2a,2b,2cの出力および縦枠部に配された3つの受光部4a,4b,4cの出力に基づいて、ポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点位置座標を検出し、この検出位置をポインタアイコン(以下ポインタと略す)PTの位置としてポインタPTを表示する。したがって、ポインタリモコン10の指向方向の変化に対応してディスプレイ画面上に表示されるポインタPTが移動制御される。
【0016】
図2はポインタリモコン10側の内部構成を示すもので、図3はディスプレイ装置30側の内部構成を示すものである。図2に示すように、ポインタリモコン10は、通常リモコン部11と本発明の要部でもあるポインタ部20とから構成される。通常リモコン部11は、従来からあるTV、DVDプレーヤー等の機器のリモコン部分の構成に対応し、各種リモコンキーで構成されるリモコンキー入力部12と、投入されたキーに基づきリモコンコードを発生するリモコンコード発生部13と、発生されたリモコンコードに基づき光強度変調された波長λaの赤外線を発生する発光部14を備えている。また、通常リモコン部11およびポインタ部20に対し電源供給する電源部15が備えられている。
【0017】
通常リモコン部11においては、リモコンキー入力部12における押されたキーに対応したリモコンコードがリモコンコード発生部13から発生され、発光部14では入力されたリモコンコードに従って波長λaの赤外線を強度変調して出力する。
【0018】
ポインタ部20は、走査光としてのポインタ用赤外線を発生するものであり、横方向用の波長λ1の拡散光である赤外線を発生する横用ポインタ発光部21と、該発生された横方向用赤外線の放射方向を横方向に可変する横走査を行う横放射方向可変部22と、縦方向用の波長λ2の拡散光である赤外線を発生する縦用ポインタ発光部23と、該発生された縦方向用赤外線の放射方向を縦方向に可変する縦走査を行う縦放射方向可変部24と、横放射方向可変部22および縦放射方向可変部24での放射角度を制御する放射角度制御部25と、放射角度制御部25から得た放射角度を基に放射角度情報としての放射角度コードを生成して横用ポインタ発光部21および縦用ポインタ発光部23に出力する放射角度コード生成部26と、これらポインタ機能をユーザがオン/オフするためのスイッチであるポインタSW部27とを備えて構成される。
【0019】
ポインタ部20のポインタSW部27をオンすることにより、横用ポインタ発光部21、横放射方向可変部22、縦用ポインタ発光部23、縦放射方向可変部24、放射角度制御部25および放射角度コード生成部26がオンになって、ポインタ用赤外線を発生するポインタ機能の動作を実行する。したがって、ポインタSW部27をオフにすれば、ポインタ用赤外線は発生されずポインタ機能は停止される。ポインタSW部27は、例えば、タッチセンサまたはトグルSWなどである。
【0020】
横用ポインタ発光部21は横方向用ポインタ制御のための波長λ1の赤外線を出力する。また、縦用ポインタ発光部23は縦方向用ポインタ制御のための波長λ2の赤外線を出力する。これら2つの発光部21,23から出力される赤外線の波長λ1,λ2はディスプレイ装置30で区別できるように夫々異なる波長が選ばれる。また、ポインタ用の波長λ1,λ2は、通常リモコン部11の発光部14から発生される赤外線の波長λaとも異なる値が選ばれる。
【0021】
放射角度制御部25は、横放射方向可変部22に対し赤外線を放射すべき横方向放射角度を示す横方向用放射角度情報を順次出力するとともに、縦放射方向可変部24に対し赤外線を放射すべき縦方向放射角度を示す縦方向用放射角度情報を順次出力する。図4はポインタリモコン10のポインタ部20から発光される赤外線の放射角度を示すものである。この場合、放射角度はポインタ部20の放射方向の中心を90度とし、ポインタリモコン10から見て右側が0度から90度、左側が90度から180度の角度とする。
【0022】
例えば、横方向用赤外線を、α度からβ度までの角度範囲で、角度Δθ度間隔でかつ時間ΔT間隔で放射方向を変えながら出射させる場合について説明する。放射角度制御部25は、ある時点で、横放射方向可変部22に対し、α度を含む放射角度情報を出力することで、α度で放射するように指示を出す。次に、ΔT時間後、α+Δθ度で放射するように指示を出す。さらにΔT時間後には、α+2×Δθ度、さらにΔT時間後には、α+3×Δθ度、…を含む放射角度情報を出力することで、一定角度Δθ度づつ角度を増やすように時間ΔT間隔で指示を出していく。したがって、(β−α)×ΔT/Δθ時間後には角度はβ度に達する。その次は、元に戻って再度α度で放射するように指示する。以降、周期的にα度からβ度までΔθ度づつ角度を増やしていくように指示していく。したがって、α度からβ度まで指示を出すための周期Uは、{(β−α)/Δθ+1}×ΔTとなる。例えば、α=30、β=150、Δθ=1度、ΔT=1秒とすると、周期Uは121秒となる。この周期Uは、ポインタリモコン10が速く移動操作された場合を考慮し、ポインタリモコン10の移動に比べ速い(短い)周期に設定しておく必要がある。放射角度制御部25は、このような横方向用放射角度情報および縦方向用放射角度情報を横放射方向可変部22および縦放射方向可変部24に夫々順次出力すると共に、該横方向用放射角度情報および縦方向用放射角度情報を放射角度コード生成部26にも出力する。
【0023】
放射角度コード生成部26は、放射角度制御部25から入力された横方向用放射角度情報に対応する横方向用放射角度コードを生成し、生成した横方向用放射角度コードを横用ポインタ発光部21に出力するとともに、入力された縦方向用放射角度情報に対応する縦方向用放射角度コードを生成し、生成した縦方向用放射角度コードを縦用ポインタ発光部23に出力する。横用ポインタ発光部21は、入力された横方向用放射角度コードに基づいて出射する波長λ1の赤外線を強度変調することで、横方向用放射角度情報の載った赤外線を発光する。縦用ポインタ発光部23は、入力された縦方向用放射角度コードに基づいて出射する波長λ2の赤外線を強度変調することで、縦方向用放射角度情報の載った赤外線を発光する。
【0024】
横放射方向可変部22は、放射角度制御部25からの横方向用放射角度情報に従い、横用ポインタ発光部21で発生された横方向用赤外線の放射方向(放射角度)を順次横方向に変化させる横走査を行う。縦放射方向可変部24は、放射角度制御部25からの縦方向用放射角度情報に従い、縦用ポインタ発光部23で発生された縦方向用赤外線の放射方向(放射角度)を順次縦方向に変化させる縦走査を行う。図5に示すように、横放射方向可変部22は、例えば、液晶パネル部28aと、該液晶パネル部28aを駆動する液晶パネル駆動部29aから構成されており、縦放射方向可変部24は、液晶パネル部28bと、該液晶パネル部28bを駆動する液晶パネル駆動部29bから構成されている。
【0025】
図6は、横放射方向可変部22内に備えられている液晶パネル部28aによる横方向用赤外線の放射方向(放射角度)の変化の様子を示すものである。横放射方向可変部22における液晶パネル駆動部29aは、放射角度制御部25から放射角度情報が入力されると、横用ポインタ発光部21から放射される赤外線のうち、指示された放射角度方向に対応する所定の横方向位置の赤外線のみが通過するように、液晶パネル部28aを駆動する。すなわち、液晶パネル部28aでは、指示された放射角度方向に対応する所定の横方向位置において縦方向に延びる縦スリットSLaが形成されるように液晶が駆動される。前述したように、放射角度制御部25からは、順次異なる値を持つ放射角度情報が入力されるので、液晶パネル部28a上では、図6に示すように、赤外線が通過する部分(縦スリットSLa)が右から左に移動され、これにより横方向用赤外線の放射方向(放射角度)が順次横方向に移動しすることになる。
【0026】
図7は横用ポインタ発光部21と液晶パネル部28aとの位置関係と、赤外線の放射角度θとの関係を示すものである。液晶パネル部28a上の赤外線通過部分の位置q(この場合は、横用ポインタ発光部21の横方向位置から距離)は、q=r×tan(π/2−θ)となる。なお、rは横用ポインタ発光部21と液晶パネル部28a間の距離である。
【0027】
図8は、ポインタリモコン10における液晶パネル部28a,28bなどの配置を示すものであり、また図9はポインタリモコン10を正面から見た場合の液晶パネル部28a,28bなどの配置を示すものである。
【0028】
図8および図9に示すように、横用ポインタ発光部21の前方には、横放射方向可変部22としての、縦方向に延びる縦長スリットSLaが順次横方向に移動するように駆動される液晶パネル部28aが配置され、縦用ポインタ発光部23の前方には、縦放射方向可変部24としての、横方向に延びる縦長スリットSLbが順次縦方向に移動するように駆動される液晶パネル部28bが配置され、通常リモコン部11の発光部14の前方には、何も配設されていない。
【0029】
縦放射方向可変部24における液晶パネル駆動部29bは、放射角度制御部25から放射角度情報が入力されると、縦用ポインタ発光部23から放射される赤外線のうち、指示された放射角度方向に対応する所定の縦方向位置の赤外線のみが通過するように、液晶パネル部28bを駆動する。すなわち、液晶パネル部28bでは、指示された放射角度方向に対応する所定の縦方向位置において横方向に延びる横スリットSLbが形成されるように液晶が駆動される。放射角度制御部25からは、順次異なる値を持つ放射角度情報が入力されるので、液晶パネル部28b上では、赤外線が通過する部分(横スリットSLb)が上下方向に移動され、これにより縦方向用赤外線の放射方向(放射角度)が順次縦方向に移動することになる。
【0030】
このようにして、横放射方向可変部22からは、放射方向(放射角度)が順次横方向に移動走査される縦方向に延びる明部を有する横方向用赤外線が出力され、また縦放射方向可変部24からは、放射方向(放射角度)が順次縦方向に移動走査される横方向に延びる明部を有する縦方向用赤外線が出力されることになる。
【0031】
次に、図3を用いてディスプレイ装置30側の構成について説明する。ディスプレイ装置30は、動画映像やポインタPTが表示されるディスプレイ部31と、ポインタリモコン10による前述のポインタ機能のオン/オフ状態を検出するポインタ機能ON/OFF検出部32と、ポインタリモコン10の移動に対応するポインタPTの横方向位置を検出する横方向位置検出部33と、ポインタリモコン10の移動に対応するポインタPTの縦方向位置を検出する縦方向位置検出部34と、これらポインタ機能ON/OFF検出部32,横方向位置検出部33および縦方向位置検出部34の検出出力に基づいてポインタPTの位置データを生成するポインタ位置データ生成部35と、ポインタ位置データ生成部35から出力されたポインタ位置データを映像送出部37にインターフェースするインターフェース部36と、動画、グラフィック、ポインタPT等の映像を出力する映像送出部37とを備えている。ポインタ位置データ生成部35、インターフェース部36および映像送出部37が、特許請求の範囲で云うところのポインタ表示制御部に対応する。
【0032】
ディスプレイ部31は、プラズマテレビ、液晶テレビ、ブラウン管テレビ、パソコンモニタ等のような映像を表示する機器で、ディスプレイ部31の前面には、ポインタリモコン10の通常リモコン部11の発光部14からの赤外光を受光するためのリモコン受光部1が設けられている。ディスプレイ部31は、リモコン受光部1で受光したポインタリモコン10からの遠隔操作を理解し制御する機能を持ち、さらにリモコン受光部1で受光したリモコン信号を映像送出部37に出力するリモコンリンクの機能を持っている。
【0033】
映像送出部37は、BS、CS、地上デジタル等のチューナー機能、あるいはプラズマテレビ用のレシーバー、VTR、DVDプレーヤーなどの映像表示機能、あるいは動画、EPG、データ放送等のグラフィック映像送出機能を有し、後述のポインタ位置データをインターフェース部36を介して取り込み、表示させるべきポインタPTの位置を計算し、その位置にグラフィック映像としてポインタPTを表示すると同時に、ポインタPTの表示に関連してEPG、データ放送等のグラフィック情報を表示制御する機能を持つ。
【0034】
ディスプレイ部31の前面周囲には枠体部31aが設けられ、該枠体部31aの横枠体部(この場合は上辺側横枠体部)には、ポインタリモコン10の横放射方向可変部22から発生された波長λ1の横走査される横方向用赤外線を受光するための3つの受光部2a,2b,2cが配設されている。これら受光部2a,2b,2cは、横枠体部を横方向に並ぶように配設され、受光部2aは横枠体部の左端部に配設され、受光部2bは横枠体部の中央部に配設され、受光部2cは横枠体部の右端部に配設されている。
【0035】
一方、縦枠体部(この場合は右辺側縦枠体部)には、ポインタリモコン10の縦放射方向可変部24から発生された波長λ2の縦走査される縦方向用赤外線を受光するための3つの受光部4a,4b,4cが配設されている。これら受光部4a,4b,4cは、縦枠体部を縦方向に並ぶように配設され、受光部4aは縦枠体部の上端部に配設され、受光部4bは縦枠体部の中央部に配設され、受光部4cは縦枠体部の下端部に配設されている。
【0036】
・ポインタ機能ON/OFF検出
ポインタ機能ON/OFF検出部32は、ディスプレイ部31の枠体部31aに配設された6つの受光部2a,2b,2c,4a,4b,4cからの受光出力に基づき、ポインタリモコン10のポインタ部20から赤外線が発光されているかどうか(ポインタ機能がオンであるか否か)を検出し、該検出出力に応じたオン/オフ指示信号を横方向位置検出部33、縦方向位置検出部34、ポインタ位置データ生成部35に出力する。例えば、6つの受光部2a,2b,2c,4a,4b,4cのどれか1つでも一定レベル以上の赤外線が入力されている場合は、ポインタ機能はオンであると判断し、オン指示信号を横方向位置検出部33、縦方向位置検出部34、ポインタ位置データ生成部35に送り、各部の機能をオン状態にする。また、ポインタ機能ON/OFF検出部32は、タイマー機能を持っており、どの受光部にも一定レベル以上の赤外線が入力されなくなると、タイマーが動作開始する。タイマーには予め所定のタイマ値が初期設定されており、6つのどの受光部にも所定レベル以上の赤外線が入力されない状態が設定されたタイマ値以上続いた場合、ポインタ機能はオフであると判断し、横方向位置検出部33、縦方向位置検出部34、ポインタ位置データ生成部35に対しオフ指示信号を送って、これら各部の機能をオフ状態にする。
【0037】
・横方向位置検出
横方向位置検出部33は、横枠体に設けられた3つの受光部2a,2b,2cより入力された信号を解析して得られた放射角度情報からポインタの横方向(x方向)の絶対位置を計算する。ポインタリモコン10のポインタ部20の横放射方向可変部22からは、放射角度情報が載せられた赤外線が横方向に放射角度を変えながら順次放射される。この場合は、右から左へと放射方向が変えられて、最左端までいくと次は最右端に戻り再度右から左へと放射方向が変えられるといった動作が繰り返される。ディスプレイ装置30では、横枠体に設けられた3つの受光部2a,2b,2cが、ポインタ部20から放射された放射角度情報が載せられた波長λ1の横方向用赤外線を受光する。横方向位置検出部33では、各受光部2a,2b,2cの光強度が最大の時に受光した赤外線を抽出し、該抽出した3つの赤外線を解析して各赤外線から放射角度情報を夫々取得する。そして、3つの受光部2a,2b,2cで得た放射角度情報と、その3つの受光部の座標(既知)とに基づいてポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点の横方向(x方向)の座標を計算し、この検出位置をポインタPTの横方向位置として検出する。
【0038】
図10は横方向のポインタ位置検出の仕組みを説明する図である。ここでは、ディスプレイ部31の画面をx,y座標で表し(x;横方向、y;縦方向)、これらxy平面に垂直な方向をz座標で表す。図10では、x軸とz軸の2次元で表現している。そして、現在のポインタPTの画面上の位置を、x座標=px、z座標=0、つまり(px,0)とする。この場合、図10においては、ポインタPTの縦方向の座標pyは無視する。そして、ディスプレイ部31上の受光部2aに対応する点Aの座標を(−c,0)とし(cは既知)、受光部2bに対応する点Bの座標を(0,0)とし、受光部2cに対応する点Cの座標を(c,0)とし、各受光部2a,2b,2cが受けた放射角度情報をθA,θB,θCとし、現在のポインタリモコン10の位置をQ(x1,z1)とする。
【0039】
ここで、線分CQと線分BQとの成す角をαH、線分BQと線分AQとの成す角をβH、線分PQと線分BQとの成す角をγHとすると、
αH=θB−θC …(1)
βH=θA−θB …(2)
γH=θP−θB=(π/2)−θB …(3)
が成立する。
【0040】
また、点C、点B、点Qを通る円は、式(4)のようになる。
【数1】

【0041】
また、点A、点B、点Qを通る円は、式(5)のようになる。
【数2】

【0042】
上記式(4)および式(5)から次式(6)が成立する。
【数3】

【0043】
この式(6)を式(4)に代入して、z1を求めると、式(7)のようになる。
【数4】

【0044】
式(7)を式(6)に代入すると、x1は式(8)のようになる。
【数5】

【0045】
したがって、現在のポインタリモコン10の位置Qは次式(9)のようになる。
【数6】

【0046】
また、式(7),式(8)から次式(10)が成立する。
【数7】

【0047】
ここで、x1>0のとき、x1/z1=tanφとすると、次式(11)が成立する。
【数8】

【0048】
式(11)からpxを求めると、次式(12)が成立する。
【数9】

【0049】
そして、式(12)と式(10)から、pxは次式(13)のようになる。
【数10】

【0050】
なお、x1<0のとき、−x1/z1=tanφとしたときには、(−x1+px)/z1=tan(φ+γH)となり、このときにも上式(13)は成立する。そして、式(13)に式(1)〜(3)を代入することで、放射角度情報として取得されるθA,θB,θCを変数とし、既知の値であるcを用いたpxを下式(14)のように得ることができる。横方向位置検出部33では、この式(14)に基づきポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点の横方向(x方向)の座標pxを計算し、この検出位置pxをポインタPTの横方向位置として検出する。
【0051】
【数11】

【0052】
・縦方向位置検出
縦方向位置検出部34は、縦枠体に設けられた3つの受光部4a,4b,4cより入力された信号を解析して得られた角度情報からポインタの縦方向(y方向)の絶対位置を計算する。ポインタリモコン10のポインタ部20の縦放射方向可変部24からは、放射角度情報が載せられた赤外線が縦方向に放射角度を変えながら順次放射される。この場合は、上から下へと放射方向が変えられて、最下端までいくと次は最上端に戻り再度上から下へと放射方向が変えられるといった動作が繰り返される。ディスプレイ装置30では、縦枠体に設けられた3つの受光部4a,4b,4cが、ポインタ部20から放射された放射角度情報が載せられた波長λ2の縦方向用赤外線を受光する。縦方向位置検出部34では、各受光部4a,4b,4cの光強度が最大の時に受光した赤外線を抽出し、該抽出した3つの赤外線を解析して各赤外線から放射角度情報を夫々取得する。そして、3つの受光部4a,4b,4cで得た放射角度情報と、その3つの受光部の座標(既知)とに基づいてポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点の縦方向(y方向)の座標を計算し、この検出位置をポインタPTの縦方向位置として検出する。
【0053】
図11は縦方向のポインタ位置検出の仕組みを説明する図である。図11では、y軸とz軸の2次元で表現している。そして、図11に示すように、現在のポインタPTの画面上の位置を、(py,0)とする。この場合、図11においては、ポインタPTの横方向の座標pxは無視する。そして、ディスプレイ部31上の受光部4aに対応する点Dの座標を(g,0)とし(gは既知)、受光部4bに対応する点Eの座標を(0,0)とし、受光部4cに対応する点Fの座標を(−g,0)とし、各受光部4a,4b,4cが受けた放射角度情報をθD,θE,θFとし、現在のポインタリモコン10の位置をQ(y1,z1)とする。αVは線分EQと線分FQとの成す角、βVは線分EQと線分DQとの成す角、γVは線分PQと線分EQとの成す角である。
【0054】
上式(1)〜(13)と同様にして、放射角度情報として取得されるθD,θE,θFを変数とし、既知の値であるgを用いたpyを下式(15)のように得ることができる。縦方向位置検出部34では、この式(15)に基づきポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点の縦方向(y方向)の座標pyを計算し、この検出位置pyをポインタPTの縦方向位置として検出する。
【0055】
【数12】

【0056】
このようにして、ポインタの位置(px,py)が求められる。なお、ポインタリモコン10自体の移動(振れ)の悪影響を少なくするために、ポインタリモコン10側での赤外線の縦横方向の走査周期は、ポインタリモコン10を動かす速さに比べ十分短く設定する必要がある。
【0057】
・ポインタ位置データ生成
ポインタ位置データ生成部35は、横方向位置検出部33および縦方向位置検出部34から入力されたポインタ横方向位置情報およびポインタ縦方向位置情報から成るポインタ位置情報を、映像送出部37で理解できる形式のポインタ位置データに変換し、変換したポインタ位置データをインターフェース部36を介して映像送出部37へ送る。
【0058】
映像送出部37は、前述したように、ポインタ位置データ生成部35からのポインタ位置データをインターフェース部36を介して取り込み、取り込んだポインタ位置データを用いて表示させるべきポインタPTの位置を計算し、その位置にグラフィック映像としてポインタPTを表示すると同時に、ポインタPTの表示に関連してEPG、データ放送等のグラフィック情報を表示制御する機能を持つ。例えば、映像送出部37は、図12に示すように、地上デジタル放送のチューナーでEPGを表示しているときは、ポインタ位置データをインターフェース部36を介して取り込み、取り込んだポインタ位置データを用いてポインタPTの位置を計算しその位置に表示すると同時に、EPG上のポインタ位置にある番組欄との関連を持たせ、その番組欄を所定の色の枠で囲むなどしてその番組欄が選ばれているような表示動作を実行する。ポインタPTの指し示した番組欄などのメニュー項目を選択する際は、通常のリモコンと同じように、図示しない決定キーを投入するようにする。
【0059】
つぎに、図13および図14に示すフローチャートを参照して、ポインタリモコン10およびディスプレイ装置30での全体的な動作を説明する。図13はポインタリモコン10側での動作を示すもので、図14はディスプレイ装置30での動作を示すものである。なお、この場合は、ポインタPTの移動によるディスプレイ装置30での画面スクロールは考慮していない。
【0060】
ポインタリモコン10側では、ポインタSW部27がオンになると(ステップS100)、横用ポインタ発光部21、横放射方向可変部22、縦用ポインタ発光部23、縦放射方向可変部24、放射角度制御部25および放射角度コード生成部26がオンになって、ポインタ用赤外線を発生するポインタ機能の動作を実行する(ステップS110)。
【0061】
一方、放射角度制御部25は、横放射方向可変部22に対し所定の角度範囲で順次変化する横方向用放射角度情報を順次出力するとともに、縦放射方向可変部24に対し所定の角度範囲で順次変化する縦方向用放射角度情報を順次出力する。これらの横方向用放射角度情報および縦方向用放射角度情報は、放射角度コード生成部26にも入力される。放射角度コード生成部26は、入力された横方向用放射角度情報および縦方向用放射角度情報に対応する横方向用放射角度コードおよび縦方向用放射角度コードを生成し、生成した横方向用放射角度コードおよび縦方向用放射角度コードを横用ポインタ発光部21および縦用ポインタ発光部23に順次入力する。
【0062】
横用ポインタ発光部21は、入力された横方向用放射角度コードに従って強度変調した波長λ1の赤外線を発生する。縦用ポインタ発光部23は縦方向用放射角度コードに従って強度変調した波長λ2の赤外線を発生する(ステップS110)。したがって、横用ポインタ発光部21および縦用ポインタ発光部23からは、放射角度情報としての横方向用放射角度コードおよび縦方向用放射角度コードが載った横方向用赤外線および縦方向用赤外線が出射される。
【0063】
横放射方向可変部22は、放射角度制御部25からの横方向用放射角度情報に従い、横用ポインタ発光部21で発生された、横方向用放射角度コードを含む波長λ1の横方向用赤外線の放射方向(放射角度)を順次横方向に変化させる。縦放射方向可変部24は、放射角度制御部25からの縦方向用放射角度情報に従い、縦用ポインタ発光部23で発生された、縦方向用放射角度コードを含む波長λ2の縦方向用赤外線の放射方向(放射角度)を順次縦方向に変化させる。これにより、横放射方向可変部22からは、放射方向(放射角度)が順次横方向に移動走査される横方向用赤外線(横走査光)が出力され、また縦放射方向可変部24からは、放射方向(放射角度)が順次縦方向に移動走査される縦方向用赤外線(縦走査光)が出力されることになる(ステップS120)。
【0064】
その後は、ポインタSW部27がオンである限り、横方向用赤外線および縦方向用赤外線がポインタリモコン10から出力される。すなわち、ポインタSW部27がオフになると(ステップS130)、ポインタ部20を構成する各部がオフになり(ステップS140)、横方向用赤外線および縦方向用赤外線の出力は停止される。
【0065】
ディスプレイ装置30側では、ポインタ機能ON/OFF検出部32が、6つの受光部2a,2b,2c,4a,4b,4cからの受光出力に基づき、ポインタリモコン10のポインタ部20から赤外線が発光されているか否かを検出し(ステップS200)、ポインタ機能のオンを検出すると、横方向位置検出部33、縦方向位置検出部34、ポインタ位置データ生成部35をオンにする。
【0066】
オンになった横方向位置検出部33では、前述したように、3つの受光部2a,2b,2cで得た放射角度情報と、その3つの受光部2a,2b,2cの座標(既知)とを、先の式(14)に代入することにより、ポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点の横方向(x方向)の座標を計算し、この検出位置をポインタPTの横方向位置として検出する。また、縦方向位置検出部34では、前述したように、3つの受光部4a,4b,4cで得た放射角度情報と、その3つの受光部4a,4b,4cの座標(既知)とを、先の式(15)に代入することにより、ポインタリモコン10の指向方向とディプレイ画面上との交点の縦方向(y方向)の座標を計算し、この検出位置をポインタPTの縦方向位置として検出する(ステップS210)。これら検出されたポインタPTの横方向位置および縦方向位置はポインタ位置データ生成部35に入力される。
【0067】
ポインタ位置データ生成部35では、入力されたポインタPTの横方向位置および縦方向位置に基づきポインタリモコン10の指向方向がディスプレイ部31の画面範囲内にあることを検出すると、ポインタPTの横方向位置および縦方向位置を含むポインタ位置データをインターフェース部36を介して映像送出部37に出力する(ステップS220,230)。これにより、映像送出部37は、ポインタPTをディスプレイ部31のポインタ位置データで指示された位置に表示する(ステップS240)。なお、この際に、ポインタPTが画面範囲外であると判定された場合は、ディスプレイ部31の画面上にはポインタPTは表示されない。
【0068】
その後、横方向位置検出部33では、3つの受光部2a,2b,2cで得た放射角度情報と、その3つの受光部部2a,2b,2cの座標(既知)とを用いてポインタPTの横方向位置を検出するとともに、縦方向位置検出部34では、3つの受光部4a,4b,4cで得た放射角度情報と、その3つの受光部4a,4b,4cの座標(既知)と用いてポインタPTの縦方向位置を検出する(ステップS250)。ポインタ位置データ生成部35では、入力されたポインタPTの横方向位置および縦方向位置に基づきポインタリモコン10の指向方向がディスプレイ部31の画面範囲内にあることを検出すると、ポインタPTの横方向位置および縦方向位置を含むポインタ位置データをインターフェース部36を介して映像送出部37に出力する(ステップS260)。これにより、映像送出部37は、ポインタPTをディスプレイ部31のポインタ位置データで指示された位置に移動する表示を行う(ステップS270)。
【0069】
このようなポインタPTの移動制御が、ポインタ機能ON/OFF検出部32においてポインタ機能のオンが検出されている限り、続けて実行される(ステップS280、S250〜S270)。ポインタ機能ON/OFF検出部32においてポインタ機能のオフが検出されると(ステップS280)、ポインタ機能ON/OFF検出部32は内蔵タイマーをスタートさせる(ステップS290)。この内蔵タイマーをスタートさせてから予め設定した所定の時間が経過するまでに、ポインタ機能ON/OFF検出部32においてポインタ機能のオンが検出されると(ステップS300)、内蔵タイマーが停止されると共に(ステップS340)、再度前記と同様のポインタの移動制御が実行される。
【0070】
しかし、内蔵タイマーをスタートさせてから予め設定した所定の時間が経過するまでに、ポインタ機能ON/OFF検出部32においてポインタ機能のオンが検出されない場合(ステップS300,310)は、ポインタ機能ON/OFF検出部32は内蔵タイマを停止させるとともに(ステップS320)、ポインタ機能オフ信号をポインタ位置データ生成部35に出力する。ポインタ機能オフ信号を受信したポインタ位置データ生成部35では、ポインタPTを消去する旨の信号を含むポインタ移動データをインターフェース部36を介して映像送出部37へ送る。これにより、映像送出部37では、ポインタPTを画面上から消去する(ステップS330)。
【0071】
なお、ポインタPTがディスプレイ部31の画面範囲内にあるときに、ポインタリモコン10の指向方向がディスプレイ部31の画面範囲外となるようにポインタリモコン10を移動させた場合は、その移動方向の画面端部にポインタPTが表示されるように制御する。
【0072】
このように実施例1では、ポインタリモコン10から発生された放射角度情報を含む横走査光および縦走査光を、ディスプレイ装置30の複数の受光部で受光し、その受光信号に含まれる放射角度情報に基づきポインタ位置を検出し、該検出した位置に基づいて画面上に表示されるポインタの移動制御を行うようにしているので、精度の高い放射角度情報を用いてポインタ位置を演算することができ、これにより精度が高く、操作性の良いポインタの移動制御を実現することができる。
【0073】
なお、上記では、ポインタリモコン10からは、横方向については放射角度が右から左へと一方向に移動走査される赤外線を送出し、縦方向については放射角度が上から下へと一方向に移動走査される赤外線を送出するようにしたが、横方向については放射角度が左から右、右から左、左から右へと変化し、縦方向については放射角度が上から下、下から上、上から下というように、放射角度が往復するように両方向に移動走査させるようにしてもよい。
【0074】
また、上記では、横用ポインタ発光部21と横放射方向可変部22の組み合わせ(縦用ポインタ発光部23と縦放射方向可変部24の組み合わせ)の代わりに、発光部をレーザ光源とし、光の放射方向を可変する手段としてガルバノメータスキャナー等の2軸の角度を可変制御できるミラーを使用するようにしてもよい。この場合は、レーザーを用いているので波長幅が狭くでき、ミラーを用いているのでスリットによる回折の問題が起こらない。このように、放射方向が縦および横方向に変化する横走査光および縦走査光は、他の任意の手法を用いて発生させるようにしてもよい。
【0075】
また、ディスプレイ装置30側で、ポインタリモコン10のディスプレイ装置30に対する位置を検出するようにしてもよい。すなわち、先の式(9)では、ポインタリモコン10のx座標、z座標の位置(x1,z1)がαH、βHを変数として求められている。式(1),式(2)によれば、αH、βHは放射角度情報θA,θB,θCを用いて決めることができる。したがって、放射角度情報θA,θB,θCを用いれば、ポインタリモコン10のx座標、z座標の位置(x1,z1)を計算することができる。同様にして、放射角度情報θD,θE,θFを用いれば、ポインタリモコン10のy座標、z座標の位置(y1,z1)を計算することができる。このように、受信される放射角度情報θA,θB,θC,θD,θE,θFを用いれば、ポインタリモコン10のディスプレイ装置30に対する位置(x1,y1,z1)を計算することができる。したがって、本実施例1において、ディスプレイ装置30側で、ポインタリモコン10の位置(x1,y1,z1)を計算するようにしてもよい。ポインタリモコン10の位置が判れば、ポインタリモコン10とディスプレイ部31と間の距離も判るので、この検出距離に応じて赤外線の受光感度を最適化したり、あるいはリモコン位置に対しTVの音場を最適にするなどの応用制御を行うことが可能となる。
【0076】
また、各受光部の配置態様としては、図1または図3に示したものが好ましいが、実質的に同等の機能を達成できれば、他の配置態様を採用するようにしてもよい。さらに、グラフィックソフトウェアに基づき映像送出部37(パソコン)がグラフィックソフトウェアの画像をディスプレイ部31に送出するような場合において、本ポインタリモコン10の移動によってポインタPTを移動させ、このポインタPTの軌跡をグラフィックの入力にするような処理に、上記した実施例を適用するようにしてもよい。
【実施例2】
【0077】
つぎに、図15及び図16を用いてこの発明の実施例2について説明する。実施例1では、ポインタリモコン10からは波長λ1の横用赤外線と波長λ2の縦用赤外線を発生しているが、ポインタリモコン10を傾けて使用した場合、これら横用赤外線および縦用赤外線は傾いてしまう。例えばリモコンを光軸を中心に回転すると横用赤外線は、図15に示すように回転する。ディスプレイ装置30側では、枠体部31aの横枠体部に列設された横用赤外線検出用の複数の受光部2a,2b,2cが波長λ1を識別することにより横用赤外線を検出し、枠体部31aの縦枠体部に列設された縦用赤外線検出用の複数の受光部4a,4b,4cが波長λ2を識別することにより縦用赤外線を検出している。しかし、90度付近(90度前後)までポインタリモコン10を光軸を中心に回転させると、横用赤外線の移動方向(走査方向)は複数の受光部2a,2b,2cの並び方向と直角になり、縦用赤外線の移動方向(走査方向)は複数の受光部4a,4b,4cの並び方向と直角になるので、ディスプレイ装置30側では、横用赤外線および縦用赤外線の移動走査を検出できなくなる。
【0078】
そこで、この実施例2においては、図16に示すように、ポインタリモコン10のポインタ部20にポインタリモコン10の傾き角度を検出するリモコン傾き角度検出部40を追加している。リモコン傾き角度検出部40は、ポインタリモコン10の操作面が真上を向いている時を0度として、光軸を中心とする回転角度を検出する。そして、リモコン傾き角度検出部40は、検出した回転角度が+90度前後の所定の角度範囲あるいは−90度前後の所定の角度範囲になると、放射角度コード生成部26に対し赤外線が検出できない旨を示す赤外線検出不可能信号を出力する。この赤外線検出不可能信号が入力された放射角度コード生成部26は、放射角度制御部25から入力される放射角度情報に対応するコード情報を生成して横用ポインタ発光部21および縦用ポインタ発光部23に出力するとともにこの赤外線検出不可能信号に対応するコード情報を生成して横用ポインタ発光部21および縦用ポインタ発光部23に出力する。横用ポインタ発光部21および縦用ポインタ発光部23では、赤外線検出不可能信号を用いて強度変調をするなどして、該赤外線検出不可能信号が載せられた赤外線を出力する。
【0079】
ディスプレイ装置30側では、ポインタON/OFF検出部32、横方向位置検出部33および縦方向位置検出部34の何れかで赤外線に載せられた赤外線検出不可能信号を検出する。例えば、ポインタON/OFF検出部32が赤外線検出不可能信号を検出した場合は、その情報をポインタ位置データ生成部35、インターフェース部36を経由して映像送出部37に送出する。映像送出部37では、赤外線検出不可能信号を受信すると、ディスプレイ部31の画面上に、例えば「リモコンを傾けないで使用してください」等の文字情報あるいは映像情報を表示させて、ユーザに注意を促す。
【0080】
このように実施例2においては、ポインタリモコン10側にリモコンの傾き角度を検出する機能を追加し、リモコン傾き角度が所定の角度範囲に傾いた場合は、赤外線が検出できない旨を示す赤外線検出不可能信号をディスプレイ装置30側に送信し、該赤外線検出不可能信号を受信したディスプレイ装置30側では、ディスプレイ上にリモコンの傾きが異常である旨を表示して、ユーザに注意を促すようにしたので、リモコンの異常な傾斜によってポインタ移動が長時間できなくなる事態を防ぐことができる。
【0081】
なお、ポインタリモコン10からは、明暗縞検出不可能信号ではなくリモコン傾き角度検出部40で検出した回転角度情報を赤外線に載せてディスプレイ装置30に送信し、ディスプレイ装置30側では、複数の受光部を介して受信した回転角度情報を+90度前後の所定の角度範囲あるいは−90度前後の所定の角度範囲と比較し、該比較結果に基づいてディスプレイ部31の画面に、ユーザに注意するための注意情報を表示するようにしてもよい。
【0082】
また、上記では、赤外線検出不可能信号またはリモコン傾き角度検出部40で検出した回転角度情報を横用ポインタ発光部21または縦用ポインタ発光部23で発光する赤外線に載せて出力するようにしているが、これら赤外線検出不可能信号または回転角度情報を通常リモコン部11のリモコンコード発生部13に入力し、リモコンコード発生部13でこれら赤外線検出不可能信号または回転角度情報に基づき強度変調した赤外線を発光部14から出力するようにしてもよい。ディスプレイ装置30側では、リモコン受光部1を介して受信した赤外線検出不可能信号または回転角度情報を用いて、ディスプレイ部31の画面に、ユーザに注意するための注意情報を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例1のポインタ遠隔制御装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】実施例1のポインタ遠隔制御装置におけるポインタリモコン側の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1のポインタ遠隔制御装置におけるディスプレイ装置側の内部構成を示すブロック図である。
【図4】放射方向(放射角度)が変化する赤外線が出射される様子を示す図である。
【図5】横放射方向可変部および縦放射方向可変部の内部構成を示すブロック図である。
【図6】スリットを有する液晶パネル部から放射角度が変化する赤外線が出射される様子を示す図である。
【図7】横用ポインタ発光部と液晶パネル部との位置関係と、赤外線の放射角度との関係を示す図である。
【図8】ポインタリモコンにおける液晶パネル部などの配置を示す平面図である。
【図9】ポインタリモコンにおける液晶パネル部などの配置を示す正面図である。
【図10】横方向のポインタ位置検出の仕組みを説明する図である。
【図11】縦方向のポインタ位置検出の仕組みを説明する図である。
【図12】EPGが表示された画面でのポインタ移動例を示す図である。
【図13】実施例1のポインタ遠隔制御装置におけるポインタリモコン側の動作手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例1のポインタ遠隔制御装置におけるディスプレイ装置側の動作手順を示すフローチャートである。
【図15】ポインタリモコンの回転により横用赤外線が90度程度回転した状態を示す図である。
【図16】実施例2のポインタ遠隔制御装置におけるポインタリモコン側の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
1 リモコン受光部
2a,2b,2c,4a,4b,4c 受光部
10 ポインタリモコン
11 通常リモコン部
12 リモコンキー入力部
13 リモコンコード発生部
14 発光部
15 電源部
20 ポインタ部
21 横用ポインタ発光部
22 横放射方向可変部
23 縦用ポインタ発光部
24 縦放射方向可変部
25 放射角度制御部
26 放射角度コード生成部
27 ポインタSW部
28a,28b 液晶パネル部
29a,29b 液晶パネル駆動部
30 ディスプレイ装置
31 ディスプレイ部
31a 枠体部
32 ポインタ機能ON/OFF検出部
33 横方向位置検出部
34 縦方向位置検出部
35 ポインタ位置データ生成部
36 インターフェース部
37 映像送出部
θA,θB,θC,θD,θE,θF 放射角度情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインタ機能を有するリモートコントロール装置(以下、ポインタリモコン)の指向方向に対応するディスプレイ装置の画面上での位置をポインタの位置として検出することにより、ポインタリモコンの指向方向の変化に対応して前記画面上に表示されるポインタを移動制御するポインタ遠隔制御装置において、
ポインタリモコンは、
放射角度情報が載せられて、放射角度が二次元方向に周期的に変化する走査光を発生する光発生部を備え、
ディスプレイ装置は、
ポインタを含む画像が表示される画面を有するディスプレイ部と、
前記走査光を受光する複数の受光部と、
該複数の受光部で受光される光に含まれる前記放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの位置を検出する位置検出部と、
該位置検出部の検出出力に基づいて前記ディスプレイ部の画面上に表示されるポインタの移動制御を行うポインタ表示制御部と、
を備えることを特徴とするポインタ遠隔制御装置。
【請求項2】
前記光発生部は、放射角度が横方向に周期的に変化する横走査光および放射角度が縦方向に周期的に変化する縦走査光を発生し、
前記受光部は、前記横走査光を受光する複数の受光部を有する第1の受光部と、前記縦走査光を受光する複数の受光部を有する第2の受光部とを有し、
前記位置検出部は、
前記複数の第1の受光部で受光される光に含まれる前記放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの横方向位置を検出する横方向位置検出部と、
前記第2の受光部で受光される光に含まれる前記放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの縦方向位置を検出する縦方向位置検出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のポインタ遠隔制御装置。
【請求項3】
前記第1の受光部は、前記ディスプレイ部の横方向に並ぶように配置されて前記横走査光を受光する3つの横方向用受光部を有し、
前記第2の受光部は、前記ディスプレイ部の縦方向に並ぶように配置されて前記縦走査光を受光する3つの縦方向用受光部を有し、
前記横方向位置検出部は、3つの横方向用受光部で受光された最大光強度を有する光に含まれる各放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの横方向位置を検出し、
前記縦方向位置検出部は、3つの縦方向用受光部で受光された最大光強度を有する光に含まれる各放射角度情報に基づきポインタリモコンの指向方向に対応するディスプレイ部の画面上のポインタの縦方向位置を検出することを特徴とする請求項2に記載のポインタ遠隔制御装置。
【請求項4】
前記3つの横方向用受光部は、前記ディスプレイ部の左端部、右端部および該左端部と右端部の真中部に配設され、前記3つの縦方向用受光部は、前記ディスプレイ部の上端部、下端部および該上端部と下端部の真中部に配設されることを特徴とする請求項3に記載のポインタ遠隔制御装置。
【請求項5】
前記光発生部は、
放射角度情報が載せられて、放射角度が横方向に周期的に変化する縦方向に延びる明部を有する横走査光を発生する横走査光発生部と、
放射角度情報が載せられて、放射角度が縦方向に周期的に変化する横方向に延びる明部を有する縦走査光を発生する縦走査光発生部と、
を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載のポインタ遠隔制御装置。
【請求項6】
前記ポインタリモコンは、ポインタリモコンの光軸を中心とした回転角度を検出するリモコン傾き角度検出部を更に備え、
前記光発生部は、前記検出した回転角度情報あるいは検出した回転角度が所定の角度範囲になったことを示す情報を前記横走査光および/または縦走査光に載せて送信し、
前記ディスプレイ装置は、前記第1または第2の受光部を介して受信した前記回転角度情報あるいは検出した回転角度が所定の角度範囲になったことを示す情報に基づいて前記ディスプレイ部の画面に、ユーザに注意するための注意情報を表示する注意情報表示制御手段を備えることを特徴とする請求項2〜5の何れか一つに記載のポインタ遠隔制御装置。
【請求項7】
前記ポインタリモコンは、
通常のリモコンコード情報を出力する通常リモコン部と、
前記ポインタリモコンの光軸を中心とした回転角度を検出するリモコン傾き角度検出部とを更に備え、
前記通常リモコン部は、前記検出した回転角度情報あるいは検出した回転角度が所定の角度範囲になったことを示す情報を送信し、
前記ディスプレイ装置は、
前記通常リモコン部からのリモコンコードを受信するリモコン受信部と、
このリモコン受信部を介して受信した前記回転角度情報あるいは検出した回転角度が所定の角度範囲になったことを示す情報に基づいて前記ディスプレイ部の画面に、ユーザに注意するための注意情報を表示する注意情報表示制御手段と、
を更に備えることを特徴とする2〜5の何れか一つに記載のポインタ遠隔制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−293934(P2006−293934A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117398(P2005−117398)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】