説明

ポジ型感光性樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置及び表示装置

【課題】リフロー耐性、耐溶剤性に優れたポジ型感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び表示装置を提供する。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ジアゾキノン化合物、(d1)活性ケイ素化合物、及び、(d2)アルミニウム錯体、を含有するポジ型感光性樹脂組成物を提供する。また、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ジアゾキノン化合物、(C)一分子中にオキセタニル基を2個以上含有する化合物、(D)前記(C)のオキセタニル基の開環反応を促進する触媒を含むポジ型感光性樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ、また卓越した電気特性、機械特性等を有するポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂が用いられてきた。ここでポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂を用いた場合のプロセスを簡略化するために、感光材のジアゾキノン化合物をこれらの樹脂と組み合わせたポジ型感光性樹脂組成物も使用されている(特許文献1)。
【0003】
これらポジ型感光性樹脂組成物は、その使用工程中で、樹脂成分を環化させるためにパターニングの後に300℃以上の温度で熱処理することが必要である。しかし、近年の半導体素子配線の微細化に伴い、このような高温で熱処理した場合に半導体素子の熱損傷を生じるという問題が起きてきた。そこで、樹脂成分の環化をより低温で実現する検討が行われているが、単純に環化の熱処理温度を下げると環化率が低下し、その後のプロセスにおいて不具合が生じることが分かっている。
【0004】
また、低温環化の手法として、スルホン酸、オニウム塩などの酸触媒を環化触媒として利用することが検討されている。
【0005】
一方、近年、半導体素子の小型化、高集積化による多層配線化、チップサイズパッケージ(CSP)、ウエハーレベルパッケージ(WLP)への移行等により、ウエハープロセス工程のおいて様々な薬液で処理される様になってきた。また、それら新しいパッケージでは従来のワイヤーボンディングからバンプを用いた形態へと移ってきている。
【特許文献1】特開平1−46862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
【0007】
ポジ型感光性樹脂組成物のポリベンゾオキサゾール前駆体やポリイミド前駆体を低温環化する場合、環化触媒として、従来の酸触媒を加えると環化は促進されるものの、酸性度が強く、アルミ配線が腐食されて信頼性を低下させるという課題があった。また、パターニング前のポジ型感光性樹脂組成物の状態で酸が存在すると、パターニングしてアルカリ現像する際に、アルカリによって酸が不活性化されてしまい、環化の段階で触媒としての効果が得られないという課題があった。本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、腐食が少なく、より低温で環化できるポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
また、通常バンプを搭載する際には、フラックスを使用してリフローを通すが、この時、先のポジ型感光性樹脂の硬化膜とフラックスが直接接することになり、その際、しばしば皺やクラックがポジ型感光性樹脂の硬化膜に発生し、リフロー耐性が悪いという課題があった。
さらに、表示素子の分野においても、製造プロセスにおいて様々な薬液を用いられ、その工程中に上と同様な不具合が発生するという課題があった。
本発明はさらに、リフロー耐性や耐溶剤性に優れたポジ型感光性樹脂等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)ジアゾキノン化合物、
(d1)活性ケイ素化合物、及び、
(d2)アルミニウム錯体、を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物が提供される。特定の成分(d1)と(d2)を用いることによりアルカリ現像工程後の環化段階で、酸が発生するため、適切に触媒活性を発揮することができ、またアルミ配線の腐食を抑制することができる。
【0010】
また、本発明によれば、
(A)アルカリ可溶性樹脂と、
(B)ジアゾキノン化合物と、
(C)一分子中にオキセタニル基を2個以上含有する化合物と、
(D)前記(C)のオキセタニル基の開環反応を促進する触媒と、
を含有するポジ型感光性樹脂組成物が提供される。
【0011】
特定の成分(C)を用いているため、優れたリフロー耐性、耐溶剤性を得ることができる。
【0012】
さらに、本発明によれば、
上記のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、次いで該樹脂層を加熱する工程と、
を含むことを特徴とするパターン形成方法が提供される。
【0013】
また、半導体基板と、該半導体基板に設けられた半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた保護膜または絶縁膜とを備え、
前記保護膜または絶縁膜は、上記のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を塗布、現像、および加熱して形成された膜であることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0014】
また、表示素子用基板と、該表示素子用基板の表面を覆う平坦化膜または絶縁膜と、前記表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備え、
前記平坦化膜または絶縁膜は、上記のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を塗布、現像、および加熱して形成された膜であることを特徴とする表示装置が提供される。
【0015】
また本発明によれば、
半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた保護膜または絶縁膜とを備える半導装置の製造方法であって、
前記半導体素子上にポジ型感光性樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱することにより前記保護膜または絶縁膜を形成する工程と、を含み、前記ポジ型感光性樹脂組成物が上記ポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0016】
また本発明によれば、
表示素子用基板と、該基板の表面を覆う平坦化膜または絶縁膜と、前記表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備える表示装置の製造方法であって、
前記基板上にポジ型感光性樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱することにより前記平坦化膜または絶縁膜を形成する工程と、を含み、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が上記ポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする表示装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、腐食が少なく、より低温で環化できるポジ型感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び表示装置を得ることができる。
【0018】
また、本発明によれば、リフロー耐性、耐溶剤性に優れたポジ型感光性樹脂組成物、並びにそれを用いた半導体装置及び表示装置を得ることができる。
【0019】
本発明は、低温で熱処理しても良好な物性を得ることができ、信頼性の高いポジ型感光性樹脂組成物が得られ、半導体素子の表面保護膜および層間絶縁膜、または表示装置の平坦化膜または絶縁膜等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0021】
【図1】本発明の実施例を示す半導体装置のパッド部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ジアゾキノン化合物、(d1)活性ケイ素化合物、(d2)アルミニウム錯体化合物を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物に関するものである。
【0023】
さらに、本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ジアゾキノン化合物、(C)一分子中にオキセタニル基を2個以上含有する化合物、(D)前記(C)のオキセタニル基の開環反応を促進する触媒を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物、半導体装置等に関するものである。
【0024】
以下に本発明のポジ型感光性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。なお下記は例示であり、本発明は何ら下記の記載に限定されるものではない。
【0025】
本発明で用いる(A)アルカリ可溶性樹脂としては、クレゾール型ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、一般式(1)で示される構造を含むポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド系樹脂が好ましく、具体的には、ポリベンゾオキサゾール(PBO)構造およびポリイミド(PI)構造の少なくとも一方を有し、かつ、主鎖又は側鎖に水酸基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を有する樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂、ポリイミド前駆体構造を有する樹脂、ポリアミド酸エステル構造を有する樹脂等が挙げられる。このようなポリアミド系樹脂としては、例えば下記式(1)で示されるポリアミド系樹脂を挙げることができる。
【0026】
【化1】

【0027】
(X、Yは有機基である。a、bはモルパーセントを示し、a+b=100で、aが60以上100以下、bが0以上〜40以下である。R1は水酸基又は−O−R3であり、同一でも異なっても良い。R2は水酸基、カルボキシル基、−O−R3、−COO−R3のいずれかであり、同一でも異なっても良い。mは0〜2の正数、nは0〜4の正数である。R3は炭素数1〜15の有機基である。ここで、R1として水酸基がない場合、R2は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、Rとしてカルボキシル基がない場合、Rは少なくとも1つは水酸基でなればならない。Zは−R−Si(R)(R)−O−Si(R)(R)−R−で表され、R4〜R7は有機基である。)
一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、例えば、Xを含むジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂は、ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド構造のみを有する単独重合体であってもよいし、ポリベンゾオキサゾール/ポリイミド共重合体であってもよい。
【0028】
一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂において、Xの置換基としての−O−R、Yの置換基としての−O−R、−COO−Rは、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基であるRで保護された基であり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。Rの例としては、ホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0029】
このポリアミド樹脂を加熱すると脱水閉環し、ポリイミド樹脂、又はポリベンゾオキサゾール樹脂、或いは両者の共重合という形で耐熱性樹脂が得られる。
一般式(1)のXとしては、例えば下記式で表されるものが挙げられる。
【0030】
【化2】

【0031】
(式中Aは、−CH2−、−C(CH)−、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−C(CF)−、又は単結合であり、Xは水素原子、水酸基およびOR10から選ばれる1種であり、R10は炭素数1〜15のアルキル基である。Xが水酸基の場合、この水酸基はアミノ基に対してオルソ位にあり、RおよびRは、それぞれ同じであっても異なっていても良く、Rはアルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていても良く、r=0〜2の正数である。また、Rは水素原子、アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子から選ばれた1つを表す。)
【0032】
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式で表されるものが挙げられる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0033】
【化3】

ここで、Xは、水素原子、水酸基および−OR10から選択される1種であり、R10は炭素数1〜15のアルキル基であり、Xが水酸基の場合、この水酸基はアミノ基に対してオルソ位であり、Rは、アルキル基、アルキルエステル基、およびハロゲン原子から選択され、rは、0〜2の整数である。
【0034】
また一般式(1)のYとしては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
【0035】
【化4】

【0036】
(式中A:−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−、又は単結合である。R11はアルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。r=0〜2の正数である。)
上記式に示される化合物は、いずれも複数の結合手を有するが、これらのうちの任意の結合手が主鎖と結合する。
【0037】
【化5】

【0038】
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式で表されるものが挙げられる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0039】
【化6】

【0040】
(R12はアルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。r=0〜2の正数である。)
【0041】
【化7】

【0042】
一般式(1)中の、Z及びYを含む繰り返し単位のモルパーセントであるbはゼロであってもよい。
【0043】
また本発明においては、保存性という観点から、末端を封止する事が望ましい。封止にはアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を有する誘導体を一般式(1)で示されるポリアミドの末端に酸誘導体やアミン誘導体として導入することができる。
【0044】
具体的には、例えば、Xの構造を有するジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物とYの構造を有するテトラカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応させて得られた一般式(1)で示される構造を含むポリアミド樹脂を合成した後、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端のアミノ基をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物又は酸誘導体を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。
【0045】
この末端封止官能基としては、例えば下記式で表されるものが挙げられる。
【0046】
【化8】

【0047】
【化9】

【0048】
これらの中で特に好ましいものとしては、下記式で表される官能基である。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。またこの方法に限定される事はなく、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端の酸をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含むアミン誘導体を用いてアミドとしてキャップすることもできる。
【0049】
【化10】

【0050】
本発明で用いる(B)ジアゾキノン化合物は、1,2−ベンゾキノンジアジド或いは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許明細書第2772975号、第2797213号、第3669658号により公知の物質である。例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
式中Qは、水素原子、式(2)、または式(3)のいずれかから選ばれるものである。ここで各化合物のQのうち、少なくとも1つは式(2)または式(3)である。
【0054】
これらの内で、特に好ましいのはフェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルである。この具体例として、下記式のものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0055】
【化13】

【0056】
【化14】

【0057】
【化15】

【0058】
【化16】

【0059】
【化17】

【0060】
【化18】

【0061】
式中Qは、水素原子、式(2)または式(3)のいずれかから選ばれるものである。ここで各化合物のQのうち、少なくとも1つは式(2)または式(3)である。
【0062】
本発明で用いる(B)ジアゾキノン化合物の好ましい添加量は、樹脂(A)100重量部に対して1〜50重量部であり、更に好ましくは10〜40重量部である。添加量が下限値以上になるとパターン形成が良好になり、上限値以下だと感度が良好となる。
【0063】
本発明で用いる(d1)活性ケイ素化合物とは、加熱によりシラノール基が生成する化合物のことを意味する。好ましくは、Si−O−C結合を有する化合物であり、更に好ましくはアルコキシシラン化合物である。アルコキシシラン化合物のうちでも、R´−Si−(O−R)(R´は有機基、Rはアルキル基)構造を有する活性ケイ素化合物は反応点が多いため好適に用いられる。このような化合物は加熱時に加水分解によりシラノール基が生成する。シラノール基は、パターン加工時のプリベーク温度では生成せず、硬化過程の昇温時に生成することが好ましい。なお、一般的に用いられているプリベーク温度は80℃から130℃である。
【0064】
活性ケイ素化合物の具体例として、例えばジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ―(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β―(3、4エポシキシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N―フェニル―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシ(4―(トリフルオロメチル)フェニル)シラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物、また、下記構造の活性ケイ素化合物も用いることができる。これらのうち、好ましくはγ―(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、下記構造の活性ケイ素化合物である。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
【0065】
【化19】

【0066】
活性ケイ素化合物の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜30重量部である。前記下限値を上回るとアルミニウム錯体化合物と反応して充分な酸を発生することができ、前記上限値を下回ると良好な保存性が得られる。
【0067】
活性ケイ素化合物は、常温では本発明の他の樹脂組成物に対して不活性であるが、一定温度に加熱することでシラノール基が生成し、アルミニウム錯体化合物と樹脂組成物中で反応するという特徴を有する。反応後にはブレンステッド酸が発生し、本発明の(A)アルカリ可溶性樹脂の環化を促進させる触媒となると考えられる。なお、活性ケイ素化合物とアルミニウム錯体化合物が反応してブレンステッド酸が発生すると同時に、アルミニウムシリケート化合物も生成することになる。活性ケイ素化合物とアルミニウム錯体化合物を樹脂組成物中に共存させることで、常温では酸を発生しないが、加熱することで酸発生し、環化促進効果を発揮するというシステムを構築させている。
【0068】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、後の段落で説明するように支持体に塗布、パターニング(プリベークも含む)、アルカリ現像、環化工程等を経てパターンが形成される。ここでポジ型感光性樹脂組成物の当初から酸が存在している場合には、アルカリ現像の際に必要な酸が失活し、環化工程の環化促進効果を十分に発揮しないという問題点がある。従って環化促進剤は環化工程で初めて酸として発生することが望ましい。
【0069】
本発明で用いる(d2)アルミニウム錯体は、アルミニウムキレート錯体であることが好ましく、例えばアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネートなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートである。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
【0070】
アルミニウム錯体の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。前記下限値を上回ると環化に対してより有効に作用し、前記上限値以下になると冷凍保存時においての析出等の問題が少なくなる。
【0071】
本発明で用いる(C)一分子中にオキセタニル基を2個以上含有する化合物は、4員環環状エーテル構造を一分子中に2個以上持つ化合物であり、カチオン開環重合反応、あるいはカルボン酸、チオール、フェノールとの付加反応が可能なものである。例えば1,4−ビス{[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4′−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
【0072】
オキセタニル基を含有する化合物の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して1重量部以上で使用することが好ましい。1重量部以上で使用した場合には十分なリフロー耐性、耐薬品性が得られる。
【0073】
本発明で用いる(D)前記(C)のオキセタニル基の開環反応を促進する触媒は、オキセタニル基を含有する化合物の反応を促進させるために添加するものであり、例えばオニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、スルホン化合物等が挙げられる。オニウム塩の具体例としては、未置換、対称的にまたは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、ヘテロ環状基を有するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨ−ドニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩等が挙げられる。これらオニウム塩の対アニオンの具体例としては、対アニオンを形成できる化合物であれば、特に限定されるものではないが、ホウ素酸、砒素酸、燐酸、アンチモン酸、スルホン酸、カルボン酸、あるいはこれらのハロゲン化物が挙げられる。ハロゲン化有機化合物は、有機化合物のハロゲン化物であれば特に制限はなく、各種の公知の化合物が可能であって、具体例としては、ハロゲン含有オキサジアゾ−ル系化合物、ハロゲン含有トリアジン系化合物、ハロゲン含有アセトフェノン系化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン系化合物、ハロゲン含有スルホキサイド系化合物、ハロゲン含有スルホン系化合物、ハロゲン含有チアゾ−ル系化合物、ハロゲン含有オキサゾ−ル系化合物、ハロゲン含有トリアゾ−ル系化合物、ハロゲン含有2−ピロン系化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物、その他のハロゲン含有ヘテロ環状化合物、スルフェニルハライド系化合物などの各種化合物が挙げられる。さらにハロゲン化有機化合物として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ペンタフルオロフェニルボロニックアシッド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリス(2,3−ジブロモ−3−クロロプロピル)ホスフェ−ト、クロロテトラブロモエタン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモビフェニル、トリブロモフェニルアリルエ−テル、テトラクロロビスフェノ−ルA、テトラブロモビスフェノ−ルA、ビス(ブロモエチルエ−テル)テトラブロモビスフェノ−ルA、ビス(クロロエチルエ−テル)テトラクロロビスフェノ−ルA、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレ−ト、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ジクロロジフェニルトリクロロエタン、ベンゼンヘキサクロライド、ペンタクロロフェノ−ル、2,4,6−トリクロロフェニル−4−ニトロフェニルエ−テル、2,4−ジクロロフェニル−3′−メトキシ−4′−ニトロフェニルエ−テル、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、4,5,6,7−テトラクロロフサライド、1,1−ビス(4−クロロフェニル)エタノ−ル、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル、エチル−4,4−ジクロロベンジレ−ト、2,4,5,4′−テトラクロロジフェニルスルフィド、2,4,5,4′−テトラクロロジフェニルスルホン等も挙げられる。キノンジアジド化合物の具体例としては、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸エステル、2,1−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,1−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,1−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸エステル、その他のキノンジアジド誘導体のスルホン酸エステル、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸クロライド、2,1−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、2,1−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、2,1−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸クロライド、その他のキノンアジド誘導体のスルホン酸クロライド等のo−キノンアジド化合物が挙げられる。また、ケイ素化合物とアルミニウムキレート錯体を併用することで発生する酸も好ましく用いることができる。活性これらの触媒として働く化合物は、単独でも2種以上混合して用いても良い。
【0074】
活性ケイ素化合物およびアルミニウム錯体化合物としては、上記と同様のものを用いることができる。
【0075】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでも良い。
【0076】
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0077】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を含んでも良い。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0078】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。膜厚が下限値を下回ると、半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、上限値を越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0079】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0080】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、オキサゾール環及び/又はイミド環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。
【0081】
このポジ型感光性樹脂組成物の現像メカニズムは、未露光部ではジアゾキノン化合物のポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂へ溶解抑止効果によってアルカリ水溶液に難溶となる。一方、露光部ではジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0082】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁膜やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜、表示装置における素子の層間絶縁膜等としても有用である。
【0083】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体装置用途に用いることができ、例えば、半導体素子上に上述のポジ型感光性樹脂組成物膜を形成することによるパッシベーション膜、また半導体素子上に形成されたパッシベーション膜上に上述のポジ型感光性樹脂組成物膜を形成することによる保護膜、または半導体素子上に形成された回路上に上述のポジ型感光性樹脂組成物膜を形成することによる層間絶縁膜等の絶縁膜として用いることができる。
【0084】
また、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、表示装置用途に用いることができ、例えば、TFT用層間絶縁膜等の絶縁膜、TFT素子平坦化膜またはカラーフィルター平坦化膜等の平坦化膜、MVA型液晶表示装置用突起、または有機EL素子用陰極隔壁等として用いることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化されたポジ型感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによる。表示体装置用途、特に層間絶縁膜や平坦化膜には、高い透明性が要求されるが、このポジ型感光性樹脂組成物層の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上更に好ましい。
【実施例】
【0085】
[実験例A1]
[ポリアミド樹脂の合成]
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸4.13g(0.016モル)、と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール4.32g(0.032モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物(0.016モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.33g(0.020モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン57.0gを加えて溶解させた。その後オイバスを用いて75℃にて12時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン7gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物1.31g(0.008モル)を加え、さらに12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のポリアミド樹脂(A−1)を得た。
【0086】
【化20】

【0087】
(式中、nは1以上の整数である。)
【0088】
[樹脂組成物の作製]
合成したポリアミド樹脂(A−1)10g、下記構造を有する感光性ジアゾキノン(B−1)2g、下記式(d1−1)の構造を有する活性ケイ素化合物0.8g、下記式(d2−1)の構造を有するアルミニウム錯体0.1gをγ―ブチロラクトン20gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0089】
【化21】

【0090】
(式中、Q1、Q2、Q3の75%は式(4)であり、25%は水素原子である。)
【0091】
【化22】

【0092】
【化23】

【0093】
[現像性評価]
ポジ型感光性樹脂組成物を8インチのシリコンウエハーにスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分乾燥し、膜厚約10μmの塗膜を得た。得られた塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、(株)ニコン製i線ステッパNSR―4425iを用いて、露光量を100mJ/cmから10mJ/cmステップで増やして露光を行った。次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に現像時の膜べりが1.5μmになるように現像時間を調整し、露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。パターンを観察したところ、露光量350mJ/cmで、スカムが無く良好にパターンが開口していることが確認できた。
【0094】
[環化率評価]
現像性評価で得られたウエハーを光洋サーモシステム(株)製クリーンオーブン(CLH−21CDH)で窒素雰囲気下、150℃/30分+250℃/60分で硬化を行った。この硬化温度は従来の環化温度の代表例である320℃/60分よりも低い温度である。従って、本条件にて環化率評価を行うことで、低温での環化状況を知ることができる。
次に2%のフッ酸水溶液に浸漬して硬化膜をシリコンウエハーから剥がし環化率の測定を行った。これとは別に150℃/30分+320℃/60分で硬化を行い、同様の処理を行って硬化膜を得た。赤外分光光度計(FT−IR)を用い以下の方法で算出した所、環化率は80%と高かった。
【0095】
[環化率測定]
装置として、FT−IR(Parkin Elmer Paragon 1000)を用い、次の式によって環化率を算出した。
環化率(%)={(B/A)/(D/C)}×100
A:250℃硬化で1490cm−1の全芳香族環に起因するピーク長
B:250℃硬化で1051cm−1の環化に起因するピーク長
C:320℃硬化で1490cm−1の全芳香族環に起因するピーク長
D:320℃硬化で1051cm−1の環化に起因するピーク長
【0096】
[腐食性評価]
得られたポジ型感光性樹脂組成物を、アルミ回路を櫛型状に形成したシリコンウェハー(TEG−3)上に塗布し、ホットプレートにて120℃で4分乾燥した。次に先と同様の方法で150℃/30分+250℃/60分で硬化を行った。次に得られたウエハーを125℃、相対湿度100%、2.3atmの条件でプレッシャクッカーで処理を行い、金属顕微鏡でアルミ配線を観察したところ、アルミ配線には腐食は観察されなかった。
【0097】
[実験例A2]
[ポリアミド樹脂の合成]
4,4'―オキシジフタル酸無水物6.82g(0.022モル)と2−メチル−2−プロパノール3.26g(0.044モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール5.95g(0.044モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩反応させた。その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)43.34g(0.088モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.7g(0.122モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン20gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物3.94g(0.024モル)を加え、さらに12時間攪拌して反応を終了した。他は実験例A1と同様に、反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄することにより、再沈、精製を行い目的とするポリアミド樹脂(A―2)を合成した。
【0098】
【化24】

(式中、nとmは1以上の整数である。)
【0099】
[樹脂組成物の作製]
合成したポリアミド樹脂(A−2)10g、下記構造を有する感光性ジアゾキノン(B−2)1.5g、下記式(d1−2)の構造を有する活性ケイ素化合物(トリエトキシ(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シラン)1.5g、下記式(d2−2)の構造を有するアルミニウム錯体(アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート)0.5gをγ―ブチロラクトン20gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。この樹脂組成物についても実験例A1と同様の評価を行った。
【0100】
【化25】

(式中、Q1、Q2、Q3の87.5%は式(4)であり、12.5%は水素原子である。)
【0101】
【化26】

【0102】
【化27】

【0103】
[実験例A3]
実験例A1において、アルミニウム錯体化合物(d2−1)無しでポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例A1と同様の評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0104】
[実験例A4]
実験例A1において、活性ケイ素化合物(d1−1)無しでポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例A1と同様の評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0105】
[実験例A5]
実験例A1において、アルミニウム錯体化合物(d2−1)の代わりにp−トルエンスルホン酸0.1g加えて、ケイ素化合物(d1−1)を加えないでポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例A1と同様の評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0106】
[実験例A6]
実験例A1において、ケイ素化合物(d1−1)、アルミニウム錯体化合物(d2−1)無しでポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例A1と同様の評価を行なった。評価結果を表1示した。
【0107】
【表1】

【0108】
[実験例A7]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を半導体装置に用いた応用例の1つを、バンプを有する半導体装置への応用について図面を用いて説明する。図1は、本発明のバンプを有する半導体装置のパット部分の拡大断面図である。図1に示すように、表面に半導体素子および配線の設けられたシリコン基板1の上部に、入出力用のAlパッド2が設けられ、さらにその上にパッシベーション膜3が形成され、そのパッシベーション膜3にビアホールが形成されている。この上に本発明によるポジ型感光性組成物を塗布、乾燥し、ポジ型感光性樹脂(バッファコート膜)4を形成する。更に、金属(Cr、Ti等)膜5がAlパッド2と接続されるように形成され、その金属膜5はハンダバンプ9の周辺をエッチングして、各パッド間を絶縁する。絶縁されたパッドにはバリアメタル8とハンダバンプ9が形成される。図中、6は配線(Al、Cu等)、7は絶縁膜を示す。
以上のようにして得られた半導体装置は、歩留まりが良好であり、高い信頼性を示した。
【0109】
[実験例A8]
ガラス基板上にITO膜を蒸着形成した後、フォトレジストを使用した通常のフォトリソグラフィー法によってこのITO膜をストライプ状に分割した。この上に、実験例A1で得られたポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、厚さ約2μmの樹脂層を形成した。次に平行露光機(光源:高圧水銀灯)を使用して露光強度25mW/cmで10秒間ガラスマスクを介し露光を行った。その後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に樹脂層を20秒間浸漬現像することにより、各ストライプ上のITOの縁以外の部分を露出し、ITO膜の縁部とITO膜の除去された部分の上にのみ樹脂層が形成されるよう加工を行った。その後、樹脂層全体に露光時に用いた平行露光機を使用して、露光強度25mW/cmで40秒間、後露光を行った後、熱風循環式乾燥器を使用して空気中230℃で1時間加熱硬化を行った。
【0110】
この基板上に、1×10−4Pa以下の減圧下で、正孔注入層として銅フタロシアニン、正孔輸送層としてビス−N−エチルカルバゾールを蒸着した後、発光層としてN,N'−ジフェニル−N,N'−m−トルイル−4,4'−ジアミノ−1,1'−ビフェニル,電子注入層としてトリス(8−キノリノレート)アルミニウムをこの順に蒸着した。さらに、この上に第二電極としてアルミニウム層を蒸着形成した後、フォトレジストを使用した通常のフォトリソグラフィー法によって、このアルミニウム層を上記ITO膜のストライプと直交をなす方向のストライプ状となるように分割した。得られた基板を減圧乾燥した後、封止用ガラス板をエポキシ系接着剤を用いて接着し、表示装置を作成した。この表示装置を80℃で200時間処理した後両電極に電圧を掛け順次駆動を行ったところ、表示装置は良好に発光した。
本実施例に係る装置は、歩留まりが良好であり、高い信頼性を示した。
【0111】
[実験例B1]
[樹脂組成物の作製]
上記実験例A1で合成したポリアミド樹脂(A−1)10g、上記構造を有する感光性ジアゾキノン(B−1)2g、下記式(C−1)の構造を有するオキセタニル基含有化合物3g、上記式(d1−1)の構造を有するケイ素化合物0.8g、上記式(d2−1)の構造を有するアルミキレート0.1gをγ―ブチロラクトン20gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0112】
【化28】

【0113】
[現像性評価]
上述と同様の方法により、得られたポジ型感光性樹脂組成物について現像性評価を行った。パターンを観察したところ、露光量350mJ/cmで、スカムが無く良好にパターンが開口していることが確認できた。
[リフロー耐性評価]
上記パターン加工したウエハーをクリーンオーブンで150℃/30分、250℃/60分、窒素雰囲気下で熱処理を行い硬化させた。次にこのウエハーにタムラ化研(株)製フラックス、BF―30をスピンナーで500rpm/30秒+1000rpm/30秒の条件で塗布した。リフロー炉で140〜200℃/120秒(プレヒート)、250℃/60秒の条件で2回を通した。次にキシレンで10分洗浄した後、イソプロピルアルコールでリンスして乾燥させた。フラックスを除去した膜表面を金属顕微鏡で観察したところ、クラック、しわ等の発生はなく良好であった。
【0114】
[耐薬品性評価]
上記パタ−ン加工したウエハをクリーンオーブンにて窒素雰囲気下で、150℃/30分+250℃/60分で硬化を行った。次に室温にて東京応化製STRIPPER−106中に硬化後のウエハを5分間浸漬した。次に、室温のイソプロピルアルコ−ルにてリンスして乾燥させた。表面を金属顕微鏡で観察したところ、クラック、しわ、剥離などの発生はなく良好であった。
[環化率測定]
実験例A1と同様の方法で環化率を算出した。
【0115】
[実験例B2]
[ポリアミド樹脂の合成]
4,4'―オキシジフタル酸無水物17.06g(0.055モル)と2−メチル−2−プロパノール8.15g(0.110モル)とピリジン10.9g(0.138モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン150gを加えて溶解させた。この反応溶液に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール14.9g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gと共に滴下した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(0.110モル)をN−メチル−2−ピロリドン50gと共に滴下し、室温で一晩反応させた。その後、この反応溶液にジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)27.1g(0.055モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン44.7g(0.122モル)をN−メチル−2−ピロリドン70gと共に添加し、室温で2時間攪拌した。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
【0116】
次にN−メチル−2−ピロリドン20gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物3.94g(0.024モル)を加え、さらに12時間攪拌して反応を終了した。他は実験例A1と同様に、反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄することにより、再沈、精製を行い目的とするポリアミド樹脂(A'−2)を合成した。
【0117】
【化29】

【0118】
(式中、nとmは1以上の整数である。)
[樹脂組成物の作製、現像性評価]
合成したポリアミド樹脂(A'−2)10g、上記構造を有する感光性ジアゾキノン(B−2)1.5g、下記式(C−2)の構造を有するオキセタニル基含有化合物3g、上記式(d1−2)の構造を有するケイ素化合物0.8g、上記式(d2−2)の構造を有するアルミキレート0.3gをγ―ブチロラクトン20gに溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物についても実験例B1と同様の評価を行なった。
【0119】
【化30】

【0120】
[実験例B3]
実験例B1において、触媒(E−1)0.3gを用いてポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例B1と同様の評価を行なった。
【0121】
【化31】

【0122】
[実験例B4]
実験例B1において、触媒(E−2)0.3gを用いてポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例B1と同様の評価を行なった。
【0123】
【化32】

【0124】
[実験例B5]
実験例B1において、オキセタニル基を含有する化合物(C−1)無しでポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例B1と同様の評価を行なった。
【0125】
[実験例B6]
実験例B1において、オキセタニル基を含有する化合物(C−1)と触媒(d1−1)、(d2−1)無しでポジ型樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物についても実験例B1と同様の評価を行なった。
【0126】
[実験例B7]
ガラス基板上にITO膜を蒸着形成した後、フォトレジストを使用した通常のフォトリソグラフィー法によってこのITO膜をストライプ状に分割した。この上に、実験例B1で得られたポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、厚さ約2μmの樹脂層を形成した。次に平行露光機(光源:高圧水銀灯)を使用して露光強度25mW/cmで10秒間ガラスマスクを介し露光を行った。その後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に樹脂層を20秒間浸漬現像することにより、各ストライプ上のITOの縁以外の部分を露出し、ITOの縁部とITOの除去された部分の上にのみ樹脂層が形成されるよう加工を行った。その後、樹脂層全体に露光時に用いた平行露光機を使用して、露光強度25mW/cmで40秒間、後露光を行った後、熱風循環式乾燥器を使用して空気中250℃で1時間加熱硬化を行った。
【0127】
この基板にさらに、実験例A4と同様の手順を行い、表示装置を作成した。この表示装置を80℃で200時間処理した後両電極に電圧を掛け順次駆動を行ったところ、表示装置は良好に発光した。
本実施例に係る装置は、歩留まりが良好であり、高い信頼性を示した。
【0128】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、
(B)ジアゾキノン化合物、
(d1)活性ケイ素化合物、及び、
(d2)アルミニウム錯体、
を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(d1)活性ケイ素化合物が、アルコキシシラン結合を有する化合物である請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)アルカリ可溶性樹脂が、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造、ポリイミド構造、ポリイミド前駆体構造又はポリアミド酸エステル構造を含む樹脂である請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)アルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)で表される樹脂である請求項1乃至3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化33】

(X、Yは有機基である。a、bはモルパーセントを示し、a+b=100で、aが60以上100以下、bが0以上〜40以下である。R1は水酸基又は−O−R3であり、同一でも異なっても良い。R2は水酸基、カルボキシル基、−O−R3、−COO−R3のいずれかであり、同一でも異なっても良い。mは0〜2の正数、nは0〜4の正数である。R3は炭素数1〜15の有機基である。ここで、R1として水酸基がない場合、R2は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、Rとしてカルボキシル基がない場合、Rは少なくとも1つは水酸基でなければならない。Zは−R−Si(R)(R)−O−Si(R)(R)−R−で表され、R4〜R7は有機基である。)
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱する工程と、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
半導体基板と、該半導体基板に設けられた半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた保護膜または絶縁膜とを備え、
前記保護膜または絶縁膜は、請求項1乃至4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を塗布、現像、および加熱して形成された膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
表示素子用基板と、その表面を覆う平坦化膜または絶縁膜と、前記表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備え、
前記平坦化膜または絶縁膜は、請求項1乃至4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を塗布、現像、および加熱して形成された膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた保護膜または絶縁膜とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体素子上にポジ型感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱することにより前記保護膜または絶縁膜を形成する工程と、を含み、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が請求項1乃至4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板と、前記基板の表面を覆う平坦化膜または絶縁膜と、前記表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備える表示装置の製造方法であって、
前記基板上にポジ型感光性樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱することにより前記平坦化膜または絶縁膜を形成する工程と、
を含み、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が請求項1乃至4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
(A)アルカリ可溶性樹脂と、
(B)ジアゾキノン化合物と、
(C)一分子中にオキセタニル基を2個以上含有する化合物と、
(D)前記(C)のオキセタニル基の開環反応を促進する触媒と、
を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(D)成分が、酸発生剤であることを特徴とする請求項10に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記(D)成分が、オニウム塩、スルホン化合物、またはアルミニウム錯体と活性ケイ素化合物との組み合わせから選択される1以上である請求項10に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記(D)成分が、アルミニウム錯体と、活性ケイ素化合物とを含むものである請求項10に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項14】
(A)アルカリ可溶性樹脂が、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造、ポリイミド構造、ポリイミド前駆体構造又はポリアミド酸エステル構造を含む樹脂である請求項10乃至13のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項15】
(A)アルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)で表される樹脂である請求項10乃至14のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【化34】

(X、Yは有機基である。a、bはモルパーセントを示し、a+b=100で、aが60以上100以下、bが0以上〜40以下である。R1は水酸基又は−O−R3であり、同一でも異なっても良い。R2は水酸基、カルボキシル基、−O−R3、−COO−R3のいずれかであり、同一でも異なっても良い。mは0〜2の正数、nは0〜4の正数である。R3は炭素数1〜15の有機基である。ここで、R1として水酸基がない場合、R2は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、Rとしてカルボキシル基がない場合、Rは少なくとも1つは水酸基でなければならない。Zは−R−Si(R)(R)−O−Si(R)(R)−R−で表され、R4〜R7は有機基である。)
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱する工程と、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項17】
半導体基板と、該半導体基板に設けられた半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた保護膜または絶縁膜とを備え、
前記保護膜または絶縁膜は、請求項10乃至15のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を塗布、現像、および加熱して形成された膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
表示素子用基板と、その表面を覆う平坦化膜または絶縁膜と、前記表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備え、
前記平坦化膜または絶縁膜は、請求項10乃至15のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を塗布、現像加熱して形成された膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項19】
半導体素子と、前記半導体素子の上部に設けられた保護膜または絶縁膜とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記半導体素子上にポジ型感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱することにより前記保護膜または絶縁膜を形成する工程と、
を含み、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が請求項10乃至15のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
基板と、その表面を覆う平坦化膜または絶縁膜と、前記表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備える表示装置の製造方法であって、
前記基板上にポジ型感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して樹脂層を形成する工程と、
該樹脂層の所望の部分に活性エネルギー線を照射する工程と、
活性エネルギー線照射後の該樹脂層を現像する工程と、
次いで該樹脂層を加熱することにより前記平坦化膜または絶縁膜を形成する工程と、
を含み、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が請求項10乃至15のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物であることを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−102997(P2011−102997A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290277(P2010−290277)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2007−547898(P2007−547898)の分割
【原出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】