説明

ポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー

【課題】液体(特に極性液体)をゲル化して(特にゲル化剤が比較的低濃度にて)種々の硬度や強度を有するゲルをもたらす化合物の提供。
【解決手段】本発明は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき前記反応混合物が、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性のある単官能価化合物を含有しない、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。所望により、反応混合物は、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性の単官能価化合物を含有してもよい。ジアミンは更にダイマージアミンを含んでよく、および/または二酸化合物は更にダイマー酸を含んでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマー、およびポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを、たとえばエアフレッシュナーやパーソナルケア用品における液体用ゲル化剤として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
商業的に重要な多くの組成物においては、商業的な成功を納める上で製品のコンシステンシーが重要である。1つの例としてはパーソナルケア製品があり、これらの製品は一般に、キャリヤー配合物中に1種以上の活性成分を含有する。こうした活性成分によって製品の最終的な性能有用性が決まるが、キャリヤー配合物が主として製品のコンシステンシーを決定するという点において、製品の商業的成功にとってはキャリヤー配合物が重要である。消費者が製品を利用もしくは使用する仕方は、主としてキャリヤーもしくは“ベース”のレオロジーによって決まる。多くの商品および商品化可能性のある物品は、成功する製品の配合を可能にする上で、種々のレオロジー特性を改良する能力を有する“ゲル化剤”と呼ばれる物質の入手しやすさに依存している。
【0003】
製品は、静かな状態では形状を保持するが、剪断状態にしたときには流動するという点において“ゲル”であるよう要求される場合が多い。着色剤が活性成分であるような製品(たとえば、リップグロスや口紅)を開発する配合業者によって透明なゲル化キャリヤーが特に求められている。なぜなら、透明なキャリヤーを使用すると、不透明なキャリヤーの場合とは対照的に、着色剤の外観に対する悪影響が、たとえあるとしても最小限に抑えられるからである。ここ数年では、消費者は、透明で無色のパーソナルケア用品(たとえば、デオドラントやシャンプー)をより好むようになってきている。
【0004】
特許文献には、ポリアミド組成物、それらの製造法、およびそれらの多くの用途について多くの説明がなされている。下記の種々の特許は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を、ポリアミドを製造するのに使用できる二酸原材料の1つとして挙げている。
【0005】
Bouboulisによる米国特許第3,950,310号(1976)は、ジカルボン酸とシクロヘキサン-ビス(β-エチルアミン)とを反応させることによって製造される、繊維や成形コンパウンドとして適したポリアミドを開示している。二酸はCHDAであってよいと述べられているけれども、これは好ましい二酸ではない。
【0006】
Rasmussenによる米国特許第4,218,351号(1980)は、約58モル%〜約95モル%の短鎖二酸部分を有する、耐衝撃性の熱可塑性ポリアミドの製造を開示している。利用可能な二酸のリストが記載されており、該リストには、CHDAの異性体のいずれか1種が含まれている。ポリアミドを製造するのに使用される他の化合物は、5〜30モル%のダイマー酸、および0.25〜12.5モル%のポリアミド形成オリゴマー〔ジェファミン(JEFFAMINE)(商標)D-2000等のポリエーテルジアミンであってよい〕である。該ポリアミドは、ホットメルト接着剤として(すなわち、有機溶媒を含有しない接着剤配合物において)使用するのによく適しているとされている。
【0007】
Meyerらによる米国特許第4,223,127号は、ラクタムおよびジカルボン酸とジアミノジシクロヘキシルメタンとを反応させることによって製造される、繊維、フィルム、および成形品の作製において使用するのに適したポリアミドを開示している。列記されているジカルボン酸の1つがCHDAである。
【0008】
Campbellによる米国特許第4,293,668号は、繊維を製造するのに有用なポリアミドを開示している。該ポリアミドは、5-メチル-1,9-ノナンジアミンとCHDAから製造される。
Merrillらによる米国特許第4,398,012号(1983)は、ラクタム、環状ジカルボン酸、および環状ジアミンを共反応させることによって製造される、成形コンパウンドとして使用するためのコポリアミドを開示している。環状ジカルボン酸はCHDAであってよい。
【0009】
Chibaらによる米国特許第4,471,088号(1984)は、高い剛性と優れた寸法安定性を有する成形コンパウンドとして使用するためのコポリアミドを開示している。これらのコポリアミドは、11〜13個の炭素原子を有するジアミンとCHDAとを反応させることによって製造される。
【0010】
Tamuraらによる米国特許第4,921,932号(1990)は、ラクタム、二量化脂肪二酸(dimerized fatty diacid)、モノカルボン酸、必要に応じた補助二酸(co-diacid)(CHDAであってよい)、およびジアミンを反応させることによって製造される、成形コンパウンドとして有用なコポリアミドを開示している。
【0011】
Torreによる米国特許第5,773,558号(1998)は、高い剛性、耐溶剤性、および高い耐熱性を有する、成形コンパウンドとして有用なポリアミドを開示している。これらのポリアミドは、CHDAと脂肪族ジアミンとを反応させることによって製造される。
【0012】
下記の特許は、特定のポリアミドをゲル化剤として開示している代表的な米国特許である。
エイボンプロダクツ社による米国特許第3,615,289号(1971)は、重合脂肪酸ポリアミドにアルカノールアミドとステアリン酸エステルをブレンドしてなる、キャンドルとして燃焼させるのに適した組成物を開示している。
【0013】
エイボンプロダクツ社による米国特許第3,819,342号(1974)は、脂肪アルコールがブレンドされていて、“ゲルタイプ構造物(a gel-type structure)”として説明されるものを含んだ重合脂肪酸ポリアミドからなる、キャンドルとして燃焼させるのに適した組成物を開示している。
【0014】
エイボンプロダクツ社による米国特許第4,552,693号(1985)は、重合脂肪酸ポリアミドにスルホンアミド可塑剤、芳香剤、界面活性剤、および鉱油をブレンドしてなる、芳香剤を放出するのに適した組成物を開示している。該ポリアミドは物品の60〜65重量%を構成する。
【0015】
ユニオンキャンプ社による米国特許第5,783,657号(1998)は、鉱油等の無極性液体中に溶解し、室温に冷却すると堅い透明ゲルを形成する、ダイマー酸をベースとするポリアミド組成物を開示している。該組成物は、ある量のエステル基を含有することを必要とする点において、そしてさらにこれらのエステル基がポリマー鎖の末端に位置しなければならない、という点において特異的である。
【0016】
ユニオンキャンプ社による米国特許第5,998,570号(1999)は、“低極性液体中にて透明ゲルを調製する際に有用な、重合脂肪酸のエステル末端ポリアミド”を開示している。
ノビレ社(Noville Corp.)による米国特許第5,882,363号(1999)は、ポリアミドと12-ヒドロキシステアリン酸エステルとをブレンドしてなり、前記ポリアミドが40〜70重量%を構成する、キャンドルとして燃焼させるのに適した組成物を開示している。該ポリアミドは詳細には記載されていないが、“ゲル化剤”として説明されており、2つの種類、すなわちナイロンターポリマー〔デュポン・エルバミデス(DuPont Elvamides)〕とダイマー酸から製造されるポリアミド〔ヘンケル社のVERSAMID(商標)樹脂、またはユニオンキャンプ社のUNI-REZ(商標)樹脂〕から選択される。
【0017】
ユニオンキャンプ社とブッシュボークアレン社による米国特許第6,111,055号(2000)は、キャンドルや可燃性物品などを製造する際に有用なポリアミドゲル化剤に関して開示している。
【0018】
アリゾナケミカル社による米国特許第6,268,466号(2001)は、無極性の液体(たとえば鉱油)中に溶解することができ、そして冷却すると透明なゲルを形成することができるダイマー酸ポリアミドを開示している。該組成物は、ポリマー鎖が第三級アミド基を末端基とすることが必要である、という点で特異的である。
【0019】
アリゾナケミカル社による米国特許第6,399,713号(2002)は、ダイマー酸、エチレンジアミン(EDA)、ポリ(オキシエチレン/プロピレン)ジアミン、およびポリ(オキシエチレン/プロピレン)モノアミンの反応生成物からなるポリアミドゲル化剤〔ポリ(アルキレンオキシ)末端ポリアミドに対してはPAOPAと表記されている〕を開示している。
【0020】
ダイマージアミンが、特定のポリアミドを製造するための成分として説明されている。たとえば、フォスターグラント社による米国特許第4,018,731号(1977)は、アミノカルボン酸、ラクタム、二酸とジアミンとの混合物、およびアミン官能化もしくは酸官能化ジオレフィンポリマーを反応させることによって製造される、高衝撃用ポリアミド樹脂を開示している。
【0021】
レイケム社による米国特許第4,018,733号(1977)は、酸性のエチレンポリマーとポリアミドとをブレンドして得られるホットメルト接着剤組成物を開示している。該ポリアミドは、少なくとも60%のダイマー酸と、ポリエーテルジアミンおよびダイマージアミンを含めた脂肪族ジアミンの群から選択されるジアミンとから製造するのが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
特定のポリアミド樹脂が有機溶媒に対するゲル化剤として作用する能力を有するけれども、当業界においては、液体(特に極性液体)をゲル化して(特にゲル化剤が比較的低濃度にて)種々の硬度や強度を有するゲルをもたらす化合物が依然として求められている。本発明はこうしたニーズを満たすことを目的としており、本明細書に詳細に記載されているようなさらなる利点をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0023】
発明の簡単な概要
本発明は、連結した内部ポリエーテルブロックと内部脂肪ブロック(internal fatty blocks)を相当量有する(これにより、コポリマーが有利な物理的性質とゲル化能力を有する)ポリアミドブロックコポリマーを提供する。1つの態様においては、本発明のコポリマーは、当業界に公知の物質より高い軟化点をもち、したがって、比較的低い軟化点を有するゲル化剤から形成されるゲルと比較して、高温においてその形態をより良好に保持するゲルを形成する。本発明のコポリマーはさらに、通常、先行技術において開示されているゲル化剤より低い濃度でより効果的に作用する。さらに、本発明の好ましいコポリマーは、先行技術のゲル化剤ポリアミドより高い分子量を有し、したがって本発明のコポリマーによるゲルは、バルクゲル液体(bulk gel liquid)が蒸発すると、強靭な軟質フィルムを生成する。本発明のコポリマーはさらに、粘弾性特性を有するゲル〔すなわち、ゲル化剤(gelling agents)が、溶媒によっては“ゲル化剤(gellants)”よりむしろ“増粘剤”として作用し得る〕、ならびにより固体様のコンシステンシーを有する軟質ゲルと硬質ゲルを生成することが多い。
【0024】
1つの態様においては、本発明は、ポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。該コポリマーは60℃〜180℃の軟化点を有する。該コポリマーは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成される。反応混合物は、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性の単官能価化合物を含有しない。1つの実施態様においては、ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む。他の実施態様においては、二酸化合物が重合脂肪酸をさらに含む。
【0025】
他の態様においては、本発明は、60℃〜180℃の軟化点を有するポリエーテルブロックコポリマーを提供する。該ブロックコポリマーは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成される。反応混合物はさらに、カルボン酸基に対して反応性の1種以上の単官能価化合物を含有する。1つの実施態様においては、ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む。他の実施態様においては、二酸化合物が重合脂肪酸をさらに含む。
【0026】
他の態様においては、本発明は、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。該ブロックコポリマーは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成される。反応混合物はさらに、アミン基に対して反応性の1種以上の単官能価化合物を含有する。1つの実施態様においては、ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む。他の実施態様においては、二酸化合物が重合脂肪酸をさらに含む。
【0027】
樹脂の軟化点は60℃〜180℃であってよいが、軟化点は、必要に応じて100℃〜140℃であってもよい。他の任意の態様として、CHDAが上記反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物であってよい。さらなる任意の態様として、上記反応混合物のそれぞれにおいて、CHDAが二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらす。反応混合物中に重合脂肪酸が存在する場合、必要に応じて、重合脂肪酸が二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらす。任意の実施態様においては、反応混合物がジヒドロキシ化合物(a dihydric compound)を含んでよい。本発明の1つの態様においてはポリ(アルキレンオキシ)ジアルコールがジヒドロキシ化合物であり、所望により、ポリ(アルキレンオキシ)ジアルコール化合物は、反応混合物中に存在するアミンとヒドロキシの全当量の40当量%未満の量にて反応混合物中に存在する。特に明記しない限り、反応混合物のそれぞれが補助二酸(co-diacid)を含有してよく、このとき1つの態様においては、補助二酸は、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、ドデカン二酸、および1,3-シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選択される。1つの実施態様においては、特に明記しない限り、PAODAが反応混合物中に存在する唯一のジアミン化合物である。PAODAが反応混合物中に存在する唯一のジアミン化合物ではないとき、1つの任意の態様においては、PAODAが、反応混合物中に存在するジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす。必要に応じて、PAODAが400〜5,000の分子量を有するPAODA化合物を含む。必要に応じて、反応混合物中に存在するジアミン化合物が式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを含まない。少量のこのようなジアミンは、ジアミン化合物が式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを含む1つの態様においては、これらのジアミンがジアミン化合物によるアミン当量の10%未満をもたらすように反応混合物中に存在してよい。必要に応じて、本発明のコポリマーは、ポリスチレンを標準物質(reference standards)とするゲル透過クロマトグラフィーを使用する測定にて10,000〜40,000の重量平均分子量を有する。
【0028】
本発明にしたがって製造できるコポリマーに対する幾つかの特定の構造は以下のとおりである。
式(3)
【0029】
【化1】

【0030】
(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R4が、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基と少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;nが少なくとも11の整数である)の化合物;
式(4)
【0031】
【化2】

【0032】
(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R5が、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基と少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;nが少なくとも11の整数である)の化合物;および
式(5)
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R3が、少なくとも2個の炭素原子を有する炭化水素基であり;nが少なくとも11の整数である)の化合物。
【0035】
1つの態様においては、本発明のコポリマーは100℃〜140℃の軟化点を有し;CHDAが二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらすという反応混合物から製造され;重合脂肪酸が反応混合物中に存在するが、この重合脂肪酸成分が、二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらし、そしてPAODAが、ジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす。
【0036】
他の態様においては、本発明は、反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。該反応混合物は重合脂肪酸を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)および2〜6個の炭素原子を有する短鎖の脂肪族ジアミン(SDA)を含めた少なくとも2種のジアミン化合物とを含む。この反応混合物は、xグラムのPAODAとyグラムのSDAを、x/(x+y)が0.8〜0.98となるように含む。さらに、反応混合物の重量がzグラムであって、このときx/zが少なくとも0.25である。反応混合物はさらに、補助二酸を含有しないか又は少量の補助二酸を含み、反応混合物が少量の補助二酸を含む場合は、補助二酸からの酸当量が、反応混合物中に存在する全酸当量の25%未満を構成する。必要に応じて、コポリマーの軟化点は100℃〜140℃であり;重合脂肪酸が反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物であり;補助二酸が反応混合物中に存在するが、補助二酸が、反応混合物中に存在する全酸当量の10%未満をもたらし;PAODAとSDAとの合計が、反応混合物中に存在するジアミン化合物の少なくとも95重量%を構成し;ジアミン化合物が、少なくとも400g/モルの分子量を有するポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含み;x/zが少なくとも0.3であり;および/またはx/zが少なくとも0.4である。
【0037】
本発明のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーはゲル化剤として使用することができ、構造剤(structuring agents)、増粘剤、レオロジー改質剤、またはチキソトロープ剤としても知られている。たとえば、1つの態様においては、本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーは、液体エステル〔たとえばメチルソイエート(methyl soyate)〕、グリコールエーテル(たとえばジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、またはヒドロキシ置換エステル(たとえば乳酸エチル)に対するゲル化剤である。他の態様においては、本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーは、アジピン酸ジブチル等のポリエステルに対するゲル化剤である。
【0038】
本発明はさらに、ここに記載のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーと、ある化合物もしくはある複数種の化合物の混合物とを含んだ組成物を提供し、このとき前記の化合物もしくは化合物の混合物が、ニートな形態において室温で液体である。このような組成物は、高温においては流体であってよく、そしてより低い温度においては(たとえば室温においては)ゲルの形態をとってよい。前記の化合物は官能基(たとえば、エステル、アルコール、芳香環、エーテル、ハロゲン、カーボネート、および/またはスルホキシド)を含んでよい。
【0039】
本発明のゲルと組成物は種々の製品に配合することができる。このような製品については以下に詳細に説明されているが、ゲルまたは粘稠状態であるのが望ましいパーソナルケア用品、ペイントリムーバー、エアフレッシュナー、薬剤アプリケーター、および光沢剤などがある。
【0040】
本発明のこれら態様および他の態様は、下記の詳細な説明を参照すれば明らかになるであろう。
【0041】
発明の詳細な説明
本発明はポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーに関する。本明細書で使用している“ポリアミド”とは、複数のアミド基〔すなわち、式-NH-C(=O)-および/または-C(=O)-NH-で示される基〕を含有する高分子を表わしており、“ポリエーテル”とは、複数のエーテル基〔すなわち、式R-O-R(式中、Rは有機(炭素含有)基である)で示される基〕を含有する高分子を表わしている。ポリマーの1つの種類としてのポリアミドは当業界によく知られており、一般には、ジアミンとジカルボン酸(二酸)とが反応する縮合重合プロセスによって製造される。後述するように、本発明のコポリマーは、ジアミンと二酸を反応させることによって同様の手順で都合よく製造される。ポリマーの1つの種類としてのポリエーテルもよく知られており、ポリエーテルの1つのタイプは通常、アルキレンオキシド(たとえばエチレンオキシド)と開始剤化合物群(an initiating group)(たとえばメタノール)との反応によって製造される。現在、アミン基、ヒドロキシル基、およびカルボン酸基から選択される末端基を有する多くのポリエーテルが市販されている。ポリエーテルブロックをポリアミドコポリマー中に導入するために、2つのアミン末端基を有するポリエーテルが本発明にしたがって使用される。この方法により、ポリアミドコポリマー中にポリエーテル群のブロックがもたらされる。この構造を有するコポリマーは、多くの組成物(特に、該コポリマーが溶媒を増粘もしくはゲル化させるよう作用する場合の組成物を含む)に対して広範囲にわたって有用である、ということが見いだされた。
【0042】
本発明のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーにおいては、互いに最も近位のアミド基が、アルキレン基またはポリエーテル〔すなわちポリ(アルキレンオキシ)〕基によって隔離されている。本明細書で使用している“アルキレン”とは、C-C単結合とC-H単結合だけを含む二価の炭化水素基(すなわちヒドロカルビルジラジカル)を表わしているが、“炭化水素”とは、炭素原子と水素原子だけを含有するあらゆる分子構造領域を表わしている。本明細書で使用している“ポリエーテル”とは、複数(すなわち少なくとも2つ)のエーテル基を含んだ二価の基を表わしており、このときエーテル基は式R-O-R(式中、Rはアルキレン基であり、Oは酸素である)を有する。ポリエーテル基は、ここではポリ(アルキレン)オキシド基とも呼ばれる。ポリエーテル基の構造は(O-R)n(式中、“n”は反復O-R基の繰り返しの数を示す)としても表わすことができる。本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーは、少なくとも1つの内部ポリエーテル基(すなわち、両側に2つのアミド基が配置したポリエーテル基)を含有する。
【0043】
本発明のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーは、ポリエーテルブロックを、さらに詳細に言えば、両側に2つのアミド基が配置されたポリエーテルブロックを含有する。本発明の1つの態様においては、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーの2つのアミド基がさらに、1,4-置換シクロヘキシル基の両側に配置されている。驚くべきことに、こうした基の特定の組み合わせ(すなわち、シクロヘキシルジラジカルとポリエーテルジラジカルとの組み合わせ、どちらも両側にアミド基が配置されている)を有するコポリマーは、液体、特に極性液体に対して効果的なゲル化剤になる、ということが見いだされた。しかしながら、コポリマーが効果的なゲル化剤となるためには、該コポリマーとゲル化させようとする溶媒とを含有する溶液を調製できることが必要であり、これは、該コポリマーの軟化点が高すぎない場合には達成される。本発明によれば、本発明のコポリマーの軟化点は60℃〜180℃である。詳細については後述するが、軟化点が約60℃未満であると、コポリマーは通常、コポリマーと溶媒を含有する組成物に対して増粘作用もしくはゲル化作用をほとんどもたらさない。軟化点が約180℃より高いと、コポリマーの溶融する温度があまりにも高いので、コポリマーとゲル化させようとする溶媒との溶液を調製するのが極めて困難である。したがって、コポリマーに対する好ましい軟化点の範囲は60℃〜180℃である。
【0044】
1,4-置換シクロヘキシルジラジカルは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を使用することによってポリアミド-ポリエーテルコポリマー中に都合よく導入され、ポリエーテルジラジカルは、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を使用することによってポリアミド-ポリエーテルコポリマー中に都合よく導入される。CHDAをコポリマー形成混合物の二酸成分として使用すると、市販されている実質的に他の全ての二酸よりも比較的高い軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルが得られる、ということが見いだされた。さらに、コポリマーに対してかなり高い軟化点を保持しつつ、ポリアミド-ポリエーテル反応混合物中に高レベルのポリ(アルキレンオキシ)部分(PAO部分)を使用することができる、ということも見いだされた。したがって、これらのコポリマーは極性液体に対して相溶性があり、これらのコポリマーを使用して、極性液体から比較的硬質のゲルを作製することができ、このようなゲル化は高温においても保持される。
【0045】
本発明のコポリマーのさらに驚くべき特徴は、特別な末端基を必要としない〔すなわちポリマーが、エステル基、第三級アミド基、またはポリ(アルキレンオキシ)-置換アミドを末端基とする必要はない〕ということである。そして本発明のコポリマーは、高分子量であるので、残りの酸基を末端基として有しても、あるいは残りのアミン基を末端基として有してもよい。本発明の1つの態様においては、ポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを製造するのに使用される反応混合物が、アミン基またはカルボン酸基と反応するいかなる単官能価反応物も含まない。
【0046】
したがって、1つの態様においては、本発明は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき前記反応混合物が単官能価の反応物(すなわち、単官能価であって、カルボン酸基もしくはアミン基と反応する反応物)を含有しない、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。
【0047】
本発明のコポリマーはいかなる停止反応(すなわち、単官能価反応物との反応)も必要としないが、これらのコポリマーを製造する上である程度の停止反応を使用してもよい。したがって、他の態様においては、本発明は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき前記反応混合物が、ある量の(好ましくは少量)の単官能価反応物(すなわち、単官能価であって、カルボン酸基もしくはアミン基と反応する反応物)を含有する、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。これらの単官能価反応物については、後記にて詳細に説明する。
【0048】
したがって、1つの態様においては、本発明は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物、およびカルボン酸基に対して反応性のある1種以上の単官能価化合物を含む反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。他の態様においては、本発明は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物、およびアミン基に対して反応性のある1種以上の単官能価化合物を含む反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを提供する。詳細については後述するが、さらなる態様においては、本発明は、ここに記載のコポリマーを有機液体のゲル化剤として使用することに関し、そしてさらなる態様においては、本発明は、ここに記載のコポリマーと有機溶媒とを混合して得られる組成物に関し、このとき前記組成物は、該コポリマーが溶媒に構造をもたらしている状態のゲル化組成物であることが好ましい。
【0049】
本発明の種々の任意態様においては、単官能価反応物は反応混合物中に“少量(minor amount)”にて存在する。ここで言う“少量”とは、
a) 反応混合物中に存在している単官能価反応物が、二酸化合物の酸基に対して反応性のある単一の官能基(酸反応性基)、またはジアミン化合物のアミン基に対して反応性のある単一の官能基(アミン反応性基)を含む;
b) 反応混合物が、一酸化合物(存在する場合)と二酸化合物によってもたらされる酸基の当量、モノアミン化合物(存在する場合)とジアミン化合物によってもたらされるアミン基の当量、およびi)モノアミンとモノアルコールから選択される酸反応性基の当量と、ii)一酸化合物から選択されるアミン反応性基の当量との少なくとも一方、を含有する;
c) 反応混合物が第1の比と第2の比を有することを特徴とし、このとき第1の比は〔酸反応性基の当量〕:〔酸基の当量〕であって、第2の比は〔アミン反応性基の当量〕:〔アミン基の当量〕である;そして
d) 反応混合物中に少量の単官能価反応物が存在する場合、第1の比と第2の比の総和が0.09未満である;
という状況を表わしている。
【0050】
0.09という値は、比較的わずかな停止反応をもたらすように本発明にしたがって選択され、この値は、コポリマーが良好なゲル化特性を有する上で好ましい。前述のように、この総和は、停止反応がない場合は0.0となる。本発明の種々のさらなる態様においては、この総和は、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、および0.02である。
【0051】
一般には、ゲル化剤として有用なコポリマーを製造するためには、単官能価反応物はほとんど必要とされない。本発明の種々の態様においては、単官能価反応物は、コポリマーを形成する反応物の総重量の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、または0.5%未満を構成する。
【0052】
1つの態様においては、本発明のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーは、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性のある単官能価化合物を含有しない反応混合物から形成される。説明をわかりやすくするために、この条件は、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性のある、純粋な又はほぼ純粋な単官能価化合物が反応混合物に加えられていない、という事実を表わしているものとする。反応混合物が、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性のある単官能価化合物を含有しないという記載は、少量の単官能価化合物を不純物として含有する反応物の使用を除外することを意図しているわけではない。
【0053】
たとえば、標準的な商業用グレードのPAODAは、1%または2%のPAOMAで汚染されていることがある。しかしながら、このような不純なPAODAを使用することは、反応混合物に単官能価化合物を加えることとは見なされない。
【0054】
同様に、“重合脂肪酸”は二官能価の酸物質を表わすものとするが、市販の重合脂肪酸は、少量のモノマー脂肪酸および/または幾らかのトリマー酸を不純物として含むことがある。“重合脂肪酸”はこのような多量のダイマー酸を含有するので、重合脂肪酸は、たとえそれが100%純粋なダイマー酸ではない場合が多いとしても、商業的には“ダイマー酸”と呼ばれることが多い。したがって、“重合脂肪酸”、“ダイマー酸”、および“ダイマー”は、当業界では同意語として使用されることが多く、本明細書でもその慣例に従う。しかしながら、たとえ“ダイマー酸”や“重合脂肪酸”(これら2つの用語が同じ物質を表わしている場合)が幾らかのモノマー脂肪酸および/またはトリマー酸を含有するとしても、当量と重量%を算出する上では、二官能価の酸物質が組成物の総重量の少なくとも75重量%を構成する限り、重合脂肪酸は全て二官能価の酸物質で構成されていると見なす。
【0055】
商用グレードのダイマー酸(重合脂肪酸)を反応混合物の成分として使用することは、たとえ少量のモノマー脂肪酸が該ダイマー酸中に混入している場合があるとしても、モノマー脂肪酸を反応混合物に加えることとは見なさない。下記の商用“ダイマー”の仕様書には、“ダイマー酸”中に混入して存在しているモノマーとトリマーのレベルが記載されている:PRIPOL(商標)1017ダイマー(ユニケマ社)は、1〜3%のモノマー、75〜80%のダイマー、および18〜22%のトリマーを含有する;PRIPOL1012ダイマー(ユニケマ社)は、0.1%のモノマー、少なくとも97%のダイマー、および18〜22%のトリマーを含有する;PRIPOL1013ダイマー(ユニケマ社)は、0.1%のモノマー、93〜98%のダイマー、および最大1%のトリマーを含有し、最大2%が“他の物質”である;PRIPOL1006ダイマー(ユニケマ社)は、最大0.4%のモノマー、93〜98%のダイマー、および最大2〜4%のトリマーを含有する;EMPOL(商標)1008ダイマー(コグニス社)は、2〜6%のモノマー、90〜98%のダイマー、および1〜5%のトリマーを含有する;EMPOL1012ダイマー(コグニス社)は、1〜7%のモノマー、88〜95%のダイマー、および1〜5%のトリマーを含有する;EMPOL1016ダイマー(コグニス社)は、4%のモノマー、80%のダイマー、および16%のトリマーを含有する。これらのパーセント値は、市販製品の総重量を基準とした重量%で表示されている。本発明によれば、これらの又は他の商用グレードのダイマーを反応混合物中に使用することは、アミン基もしくはカルボン酸基に対して反応性のある単官能価反応物を使用することとは見なさない。したがって、本発明の目的に適うよう、商用グレードのダイマーによってもたらされる酸官能価は全て、二官能価物質から得られるものとする。
【0056】
繰り返すが、反応混合物が、酸基もしくはアミン基に対して反応性のあるいかなる単官能価化合物も含有しないという条件は、反応混合物の成分のそれぞれが100%純粋でなければならないということ、そして酸基もしくはアミン基に対して反応性の単官能価化合物をほんの微量でも含有することができない、ということを意味するように意図してはいない。
【0057】
他方、反応混合物がいかなる停止反応物(terminating reactant)も含有しないということが意図されている場合、すなわち、酸基もしくはアミン基に対して反応性のある単官能価反応物が反応混合物中に存在してはならないという場合、該反応物はほとんど純粋でなければならず、また停止反応物となる不純物を含んではならない(さもないと、コポリマーが不純物によって思いがけず停止されてしまうことになる)。したがって、重合脂肪酸の二官能価酸含量が組成物総重量の少なくとも75重量%である限り、重合脂肪酸は二官能価酸だけを含有しているものと見なす。しかしながら、重合脂肪酸の二官能価酸含量は、組成物総重量の少なくとも80重量%であるのが好ましく、少なくとも85重量%であるのがさらに好ましく、少なくとも90重量%であるのがより一層好ましい。
【0058】
重合脂肪酸の二官能価酸含量が少なくとも75重量%であることに加えて、モノマー脂肪酸(すなわち、18個の炭素原子を有する脂肪酸)からの異物混入は、重合脂肪酸の総重量の約7重量%未満であるのが好ましい。反応混合物中に単官能価反応物が存在しない場合、そしてさらに、重合脂肪酸を反応混合物に加える場合、重合脂肪酸は、5重量%未満のモノマー脂肪酸を含有するのが好ましく、3重量%以下のモノマー脂肪酸を含有するのがさらに好ましい。3重量%以下のモノマー脂肪酸を含有する重合脂肪酸は、標準グレードの市販“ダイマー酸”である。同様に、他の二官能価反応物のそれぞれに対し、単官能価であって、アミン基もしくはカルボン酸基に対して反応性のある不純物の含量は7重量%未満であるのが好ましい。二官能価反応物が約10重量%より多い反応性単官能価物質を含有する場合、この単官能価物質は生成物コポリマーの性質に顕著な影響を及ぼし始め、こうした反応性単官能価物質の反応停止作用は、反応物の所望する化学量論を算出する際に考慮されなければならない。
【0059】
重合脂肪酸が反応混合物の成分であるとき、ダイマー酸と組み合わさったトリマー酸の含量を考慮しなければならない。トリマー酸は、三官能価物質であるので架橋反応を起こしやすく、少なくとも、純粋なダイマー酸の場合よりコポリマー分子量のより急激な増大を引き起こす。したがって、ダイマー酸との混合物中に存在するトリマー酸の量は最小限に抑えるのが好ましい。高いトリマー酸含量を有するダイマー酸を本発明に使用することができる。しかしながら、高分子量コポリマーの形成を最小限に抑えるために、トリマー酸に対して反応性のある単官能価反応物(たとえば、モノアミンやモノアルコール)を共反応物(co-reactant)として幾らか使用するのが好ましい。2〜6%のモノマー酸、90〜98%のダイマー酸、および1〜5%のトリマー酸を含有する重合脂肪酸が、本発明の好ましい“ダイマー”である。
【0060】
本発明の1つの態様においては、モノアミンが反応物中に存在する。反応物中にモノアミンが存在する場合の種々の態様においては、モノアミンからのアミン当量が、反応混合物中に存在する全アミン当量(すなわち、モノアミン、ジアミン、および他の全てのアミン含有化合物によってもたらされるアミンの当量)の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。反応物中にモノアミンが存在する場合の他の種々の態様においては、モノアミンからのアミン当量が、反応混合物中に存在するアミン反応性基(カルボン酸は、反応混合物中に必然的に存在するアミン反応性基である)の全当量の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。
【0061】
本発明の1つの態様においては、モノアルコールが反応物中に存在する。反応物中にモノアルコールが存在する場合の種々の態様においては、モノアルコールからのヒドロキシル当量が、反応混合物中に存在するアルコールとアミンの全当量(すなわち、モノアミン、ジアミン、および他の全てのアミン含有化合物によってもたらされるアミンの当量と、アルコールによってもたらされるヒドロキシルの当量との合計)の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。反応物中にモノアルコールが存在する場合の他の種々の態様においては、モノアルコールからのヒドロキシル当量が、反応混合物中に存在するヒドロキシ反応性基(カルボン酸は、反応混合物中に必然的に存在するヒドロキシル反応性基である)の全当量の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。
【0062】
1つの態様においては、一酸が反応物中に存在する。反応物中に一酸が存在する場合の種々の態様においては、一酸からの酸当量が、反応混合物中に存在する全酸当量(すなわち、一酸化合物、二酸化合物、および他の全ての酸含有化合物によってもたらされる酸の当量)の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。反応物中に一酸が存在する場合の他の種々の態様においては、一酸からの酸当量が、反応混合物中に存在する酸反応性基(アミンは、反応混合物中に必然的に存在する酸反応性基である)の全当量の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。
【0063】
2種以上のタイプの単官能価反応物を反応混合物中に組み込むことが可能である。たとえば、モノアミンと一酸、モノアミンとモノアルコール、一酸とモノアルコール、一酸とモノアミンとモノアルコール。単官能価反応物の混合物が反応混合物中に使用される場合、本発明の種々の態様においては、単官能価反応物がトータルとして、反応混合物中に存在する反応性等価物(reactive equivalents)(すなわち、たとえば、二酸、ジアミン、一酸、モノアミン、およびモノアルコールなどの任意の供給源からの反応性等価物)の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。
【0064】
たとえば、本発明の1つの態様においては、反応混合物はモノアミンとモノアルコールを含む。この場合における本発明の種々の態様では、モノアルコールからのヒドロキシル当量とモノアミンからのアミン当量との合計が、反応混合物中に存在する全アミン当量(すなわち、モノアミン、ジアミン、および他の全てのアミン含有化合物によってもたらされるアミンの当量)と全ヒドロキシル当量(すなわち、アルコール類によってもたらされるヒドロキシルの当量)との合計の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。反応物中にモノアミンとモノアルコールが存在する他の種々の態様においては、モノアルコールからのヒドロキシル当量とモノアミンからのアミン当量との合計が、反応混合物中に存在するアミン反応性基とアルコール反応性基(カルボン酸は、反応混合物中に必然的に存在するアミン反応性基且つアルコール反応性基である)の合計当量の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成する。
【0065】
特定の単官能価反応物(たとえば、特定のモノアミン、モノアルコール、およびモノカルボン酸)について以下に詳細に説明する。
一般には、ポリマーは、一緒に反応してポリマーを形成する化学物質を含有した反応混合物から製造される。本明細書で使用している“反応混合物”とは、ポリマーを形成するのに使用される化学物質の全て、およびそれら化学物質の量の全てを表わしている。たとえば、ポリマーは、化学物質“a”と“b”を反応させ、次いで化学物質“a”と“b”との反応生成物(この反応生成物を便宜的に“ab”と略記する)に化学物質“c”を加えることによって製造することができる。本明細書で使用している用語としての反応混合物は、実際には、化学物質“a”と“b”が反応して生成物(“ab”)を形成していて、したがって反応フラスコに化学物質“c”が加えられるときには存在しないので、化学物質のそれぞれが一度に一緒には存在しないであるが、本明細書では化学物質“a”、“b”、および“c”の仮定的混合物を表わしている。コポリマーの形成時に溶媒が存在することがあるけれども、溶媒はコポリマーの構造中に組み込まれないので、溶媒は“反応混合物”という用語中には含まれない。
【0066】
本発明の1つの実施態様においては、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含む反応混合物から形成される。本明細書で使用している1,4-シクロヘキサンジカルボン酸およびポリ(アルキレンオキシ)ジアミンという用語は、それ自体の化学物質だけでなく、それらの反応性等価物(reactive equivalents)も表わしている。たとえば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の反応生等価物としては、対応する塩形、酸塩化物、および短鎖エステルがある。ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンの反応性等価物としては、対応する塩形と短鎖アミドがある。当該化学物質それ自体またはそれらの反応性等価物を使用して、本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーを製造することができる。
【0067】
反応混合物の成分は、構造と量に関して、約60℃〜約180℃の軟化点を有するコポリマーが得られるように選択しなければならない。前述したように、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーの軟化点が低すぎると、ポリアミドと溶媒から形成されるゲルは、望ましくない程度に軟質となることが多い(すなわち、ゲル化した組成物は、一般的な室温よりかなり低く冷却されなければ、適切なゲル化特性を示さない)。ほとんどの目的に適うよう、コポリマーがコポリマー/溶媒組成物に顕著なゲル化特性を付与するためには、一般には、少なくとも60℃の軟化点が必要とされる。軟化点が高くなりすぎると、コポリマーを溶媒中に溶解するのが極めて困難になる(溶解プロセスは、コポリマーを溶媒の存在下にて溶融させることによって果たすのが好ましい)。したがって、約60℃〜約180℃の範囲の軟化点が好ましい。
【0068】
本発明の種々の態様においては、コポリマーの軟化点は、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、少なくとも115℃、または少なくとも120℃である。他の種々の態様においては、コポリマーの軟化点は、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、または130℃以下である。したがって、たとえば、本発明は60〜180℃の軟化点を有するポリアミド-ポリエーテルコポリマーを提供し、このとき前記範囲の下限は、上記した65〜120℃の値のいずれかで置き換えることができ、またこれとは独立的に、前記範囲の上限は、上記した130〜170℃の範囲のいずれかで置き換えることができる。本発明の好ましい態様においては、コポリマーは100℃〜140℃の軟化点を有する。
【0069】
軟化点(融点と呼ぶこともできる)は、いわゆる“環球”法〔ASTM E28(www.astm.org,West Conshohocken,PA,USA)の主題である〕によって測定することができる。これとは別に、軟化点値は、メトラーFP80セントラルプロセッサ(Mettler FP80 Central Processor)、および軟化点リング(a softening point ring)を利用するメトラーFP83HTドロッピングポイントセル(Metller FP83 HT Dropping Point Cell)を使用して得ることもできる。この装置は、メトラー・ラボラトリーズ社(米国ニュージャージー州ハイツタウン)から入手可能である。本明細書に記載の融点値は、メトラーFP83HT装置または環球装置を使用して得た。
【0070】
通常、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーの軟化点は、たとえば、連鎖停止反応の量を変えることによって(この場合は、鎖が短めになると、軟化点が低めになる傾向がある)、反応混合物中に使用するCHDAの量を変えることによって(この場合は、CHDAの量を増やすと、ポリアミドの軟化点が上昇する傾向にある)、ポリエーテルの量を変えることによって(この場合は、ポリエーテルの量を増やすと、コポリマーの軟化点が低下する傾向にある)、およびポリエーテルの種類を変えることによって(このときは、エチレンオキシ含量を上げると、プロピレンオキシ含量を上げる場合と比較して、軟化点が低下する傾向にある)、本明細書に記載のように調節することができる。コポリマーの軟化点が上昇するにつれて、ゲル化させようとする溶媒中にポリアミドを溶解するのがより困難になる。しかしながら、ポリアミドの軟化点が上昇すると、高温に対して益々安定な溶媒/コポリマーゲル化組成物が得られやすい(すなわち、ポリアミドの軟化点がより高くなると、より高い温度でもそのゲル化状態を保持するようなゲル化組成物が得られる)。ゲル化組成物が改良された高温安定性を有することは、常にというわけではないが、一般には望ましいことである。
【0071】
シクロヘキシル/ポリエーテルを含有するポリアミド-ポリエーテルコポリマーは熱可塑性であり、約60〜180℃という適度に低い軟化点と有機液体に対する相溶性を有する。したがって、有機液体とコポリマーを、適切な加熱と剪断操作の存在下でブレンドすると均一な混合物が得られ、これを冷却するとゲルの形態になる。耐熱性の成形コンパウンドとなるように設計された、先行技術の多くのポリアミドは、ゲル化剤としては不適切である。なぜなら、これらのポリアミドは、一般には200℃を超えるかなり高い融点を有する(このことは、ゲル化する必要のある一般的な有機液体とはブレンドすることができない、ということを意味している)か、あるいはこれらの液体に対して全く不相溶性であるからである。
【0072】
シクロヘキサンジカルボン酸とポリエーテルジアミンは、当業者によく知られている標準的な市販用化学品である。シクロヘキサンジカルボン酸には、幾つかの異性体がある。たとえば、2つのカルボン酸基は、シクロヘキシル環の周りに1,2(オルト)関係にて配置しても、1,3(メタ)関係にて配置しても、あるいは1,4(パラ)関係にて配置してもよい。2つの酸基はさらに、シクロヘキシル環の同じ側(シス)に配置してもよいし、あるいは反対側(トランス)に配置してもよい。好ましい実施態様においては、CHDAは、たとえばイーストマンケミカル社(米国テネシー州キングスポート)またはアルドリッチケミカル社(米国ワイオミング州ミルウォーキー)から得られるような1,4-シクロヘキサンジカルボン酸である。
【0073】
ポリ(アルキレンオキシド)ジアミン(PAODA)の例としては、構造式
H2N-CH(R3)CH2-(O-CH(R3)-CH(R3))a-NH2 (1)
(式中、それぞれの箇所におけるR3は、水素とC1-C4脂肪族炭化水素からなる群から独立的に選択される一価の基であり;aは、最大で約100であって、好ましくは約2〜約75、さらに好ましくは約8〜約50である)を有するジアミンがあるが、これらに限定されない。PAODAの分子量は広い範囲にわたって変わってよいが、分子量が低くなりすぎると、PAODAとCHDAとの間で高融点の塩が形成され、これら高融点の塩は、製造環境において協同的に作用するのが困難である。したがって、PAODAの分子量は少なくとも400g/モルであるのが好ましい。種々の態様においては、少なくとも600g/モル、少なくとも800g/モル、少なくとも1,000g/モル、少なくとも1,200g/モル、少なくとも1,500g/モル、または少なくとも2,000g/モルの分子量を有する。
【0074】
PAODAを製造するための方法は当業界によく知られており、2つのヒドロキシル基を含有する開始剤とエチレンオキシドおよび/またはモノ置換エチレンオキシドとを反応させ、次いで得られる末端ヒドロキシル基をアミンに転化させることを含む。本発明において使用されるPAODA反応物の例としては、ハンツマン・パフォーマンス・ケミカルズ社(Huntsman Performance Chemicals)(米国テキサス州ヒューストン)から市販されているジェファミン(JEFFAMINE)(商標)ブランドのポリ(アルキレンオキシ)アミンがある。これらのPAODAは、二官能価開始剤とエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとを反応させ、次いで末端ヒドロキシル基をアミンに転化させることによって製造される。代表的なPAODAは、ハンツマンケミカルズ社(米国ユタ州ソルトレークシティー)から市販の、XTJシリーズおよびジェファミンDシリーズのポリ(アルキレンオキシ)ジアミンであり、これらは約150〜4,000の数平均分子量を有する。前述したように、好ましいPAODAは少なくとも約400g/モルの分子量を有するPAODAであり、これらの代表的なものとしては、ジェファミンD-400とジェファミンD-2000のPAODAがある。前述したように、PAODAの分子量が約400g/モル未満であると、対応するポリアミドの融点が、ポリアミドがゲル化剤として機能するためには望ましくない程度に高くなり、および/または、反応物の混合物が高融点になりすぎて、一緒に反応してポリアミドを生成するような溶融混合物を容易には形成できなくなる。
【0075】
CHDAとPAODAの相対的な量は、優れたゲル化挙動や他の特性を有するポリアミド-ポリエーテルコポリマーを製造する上で重要である。本発明のポリアミド-ポリエーテルを作製するために調製される反応混合物はジアミンと二酸とを含み、必要に応じて存在してもよい他の反応物を含む場合がある。本発明のジアミンはジアミン類の混合物であってもよく、またこれとは関係なく、本発明の二酸は二酸類の混合物であってもよい。ジアミンおよび/または二酸が混合物である場合、ジアミン混合物中の各ジアミンの相対量、ならびに二酸混合物中の各二酸の相対量は、当量および/または当量%に関して特性表示することもできるし、あるいは重量%に関して特性表示することもできる。
【0076】
本明細書で使用している“当量”と“当量%”は、当業界において使用されている標準的な意味を有するように意図されている。しかしながら、説明をより明確にするために、当量とは、ある分子の1モル量中に存在する反応性基の数を表わすものとする〔すなわち、1モルのジカルボン酸(たとえばCHDA)は2当量のカルボン酸を有し、1モルのポリ(アルキレンオキシ)ジアミンは2当量のアミンを有し、1モルのモノアミンは1当量のアミンを有する〕。
【0077】
たとえば、反応混合物中のジアミン成分は、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンと1種以上の補助ジアミン(co-diamines)とのブレンドであってもよい。このような場合、本発明の種々の態様においては、ジアミンブレンドのポリ(アルキレンオキシ)ジアミン成分が、反応混合物中に存在するジアミンからのアミン当量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成し、残部が補助アミンである。これとは別に、反応混合物は、ジアミンブレンド〔たとえば、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンと1種以上の補助ジアミンとのブレンド〕の各ジアミン成分によってもたらされる重量%に関して記載することもできる。この場合、本発明の種々の態様においては、ジアミンブレンドのポリ(アルキレンオキシ)ジアミン成分が、反応混合物中に存在する全反応性成分の総重量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%を構成する。
【0078】
さらに、あるいはこれとは別に、反応混合物中の二酸性分は、CHDAと1種以上の補助二酸(co-diacids)とのブレンドであってもよい。このような場合、本発明の種々の態様においては、二酸ブレンドのCHDA成分が、反応混合物中に存在する二酸からの酸当量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成し、残部が補助二酸である。これとは別に、反応混合物は、二酸ブレンド(たとえば、CHDAと1種以上の補助二酸とのブレンド)の各二酸成分によってもたらされる重量%に関して記載することもできる。この場合、本発明の種々の態様においては、二酸ブレンドのCHDA成分が、反応混合物に加えられた全反応性成分の総重量の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%を構成する。
【0079】
本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーの少なくとも一部が、明記した二酸(たとえば、CHDAやダイマー酸)から製造される場合、コポリマーを製造するのに使用される反応混合物は、必要に応じて補助二酸(すなわち、明記した二酸以外の二酸)を含有してよい。補助二酸をコポリマー形成反応混合物に加える理由として考えられることは、(a)コポリマー製造のコストを下げること(より高価なCHDAやダイマー酸の当量を置き換えるために補助二酸を加える場合);(b)コポリマーの軟化点を変更すること;および(c)コポリマーと溶媒との相溶性を改良すること;などである。
【0080】
本明細書で使用している“補助二酸”は式HOOC-R7-COOHの化合物であり、このときR7は、明記した二酸をもたらさない(たとえば、CHDAまたはダイマー酸が明記した二酸であるときは、CHDAまたはダイマー酸をもたらさない)構造を有する。1つの態様においては、本発明のポリアミドは、2〜32個の炭素原子を有するR7基(補助二酸R7基と呼ぶ)を含む。適切な補助二酸は、2つのカルボン酸基の間に直鎖のC4-12炭化水素基を有し、さらに好ましくは直鎖のC6-8炭化水素基を有する。本発明に適した直鎖の二酸としては、1,6-ヘキサン二酸(アジピン酸)、1,7-ヘプタン二酸(ピメリン酸)、1,8-オクタン二酸(スベリン酸)、1,9-ノナン二酸(アゼライン酸)、1,10-デカン二酸(セバシン酸)、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸(1,10-デカンジカルボン酸)、1,13-トリデカン二酸(ブラシル酸)、および1,14-テトラデカン二酸(1,12-ドデカンジカルボン酸)などがある。
【0081】
本発明において使用するのに適した他の代表的な補助二酸は、アクリル酸もしくはメタクリル酸(またはそれらのエステル、引き続き加水分解工程によって酸を形成させる)と不飽和脂肪酸との反応生成物である。たとえば、このタイプのC21二酸は、アクリル酸とC18不飽和脂肪酸(たとえばオレイン酸)とを反応させることによって得ることができる(おそらくは、反応物間にエン反応が起こるものと思われる)。代表的なC21二酸が、ウエストバコ・コーポレーションの化学事業部(サウスカロライナ州チャールストンハイツ)から、製品番号1550として市販されている。
【0082】
芳香族二酸を補助二酸として使用することができる。本明細書で使用している“芳香族二酸”とは、2つのカルボン酸基(-COOH)もしくはその反応性等価物〔たとえば、酸塩化物(-COCl)やエステル(-COOR)〕と少なくとも1つの芳香環(“Ar”)とを有する分子を表わしている。フタル酸(たとえば、イソフタル酸とテレフタル酸)が代表的な芳香族二酸である。芳香族補助二酸は、たとえばHOOC-CH2-Ar-CH2-COOH等のように、芳香環に結合した脂肪族炭素を含有してよい。芳香族補助二酸は2つの芳香環を含んでよく、これらの芳香環が1つ以上の炭素結合を介して一緒に連結してもよいし(たとえば、カルボン酸置換基を有するビフェニル)、あるいはこれらの芳香環が縮合していてもよい(たとえば、カルボン酸置換基を有するナフタレン)。
【0083】
本発明の種々の態様においては、コポリマーを製造するのに使用される反応混合物が補助二酸を全く含有しないか、あるいは補助二酸が存在する場合は、補助二酸が、コポリマーを形成させるのに使用される反応物の総重量の最大で約5%、最大で約10%、最大で約5%、最大で約10%、最大で約20%、最大で約25%、最大で約30%、最大で約35%、最大で約40%、最大で約45%、最大で約50%、最大で約55%、最大で約60%、最大で約65%、または最大で約70%を構成する。
【0084】
本発明の1つの態様においては、補助二酸とCHDAとを組み合わせると重合脂肪酸が得られ、これはダイマー酸とも呼ばれる。重合脂肪酸は、典型的には種々の構造体の混合物(a mixture of structures)であり、このとき個々のダイマー酸は、飽和化合物、不飽和化合物、環状化合物、または非環式化合物等のいずれであってもよい。したがって、ダイマー酸の構造の詳細な特性表示は容易にはできない。しかしながら、脂肪酸の重合に関する優れた説明が、たとえば、米国特許第3,157,681号および「Naval Stores-Production,Chemistry and Utilization,D.F.Zinkel and J.Russell(eds.),Pulp.Chem.Assoc.Inc.,1989,Chapter23」に記載されている。重合脂肪酸を形成させるのに使用される代表的な不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸等がある。トール油脂肪酸(木材パルプ製造プロセスの副生物として得られる長鎖の不飽和脂肪酸を含有する混合物)は、本発明において有用な重合脂肪酸の代表的な供給源である。これとは別に、重合脂肪酸は、他の供給源(たとえば、大豆やカノーラ)からの不飽和脂肪酸の重合によっても製造することができる。したがって、重合脂肪酸は典型的には30〜42個の炭素原子を含有し、ダイマー酸またはトリマー酸の構造を有する化合物として記載することができる。ダイマー酸は、たとえば、アリゾナケミカル社(フロリダ州ジャクソンビル)からUNIDYME(商標)ダイマー酸およびSYLVADYME(商標)ダイマー酸として、コグニス社(ペンシルバニア州アンブラー)からEMPOL(商標)ダイマー酸として、およびユニケマノースアメリカ社(イリノイ州シカゴ)からPRIPOL(商標)ダイマー酸として市販されている。
【0085】
一般には、脂肪酸を重合させると、ダイマー酸とトリマー酸が得られる。モノマー脂肪酸化学種の全部もしくは殆どを除去するために、そしてダイマー酸とトリマー酸を分別するために、この重合生成物を蒸留に付すことができる。しかしながら、重合脂肪酸を、トリマー酸および/または残留モノマー脂肪酸を全く含有しない程度にまで分別することは困難であり且つコストがかかる。したがって、市販されている“ダイマー酸”は幾らかのトリマー酸および/またはモノマー酸を含有することが多く、ダイマー酸に対する製品規格分析書には通常、トリマー酸および/またはモノマー酸の含量が記載されている。したがって、本発明のコポリマーを製造するのに使用できる“ダイマー酸”は、幾らかのトリマー酸および/またはモノマー酸を含有してよい。
【0086】
ダイマー酸は約25重量%未満のトリマー酸を含有するのが好ましく、本発明の種々の態様においては、ダイマー酸は、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満のトリマー酸を含有する。ダイマー酸はさらに、約25重量%未満の残留モノマー酸を含有するのが好ましく、本発明の種々の態様においては、ダイマー酸は、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満のモノマー脂肪酸を含有する。
【0087】
重合脂肪酸の蒸留液中に存在するモノマー脂肪酸とダイマー酸とトリマー酸との比は、当業界によく知られている方法にしたがってガスクロマトグラフィーによって測定することができる。本発明のコポリマーを製造するのに使用される反応混合物中に存在するダイマー酸の量は、反応混合物中の全酸当量の約10%未満、または反応混合物の総重量の約25%未満がダイマー酸からによるものである、というような量であるのが好ましい。
【0088】
本発明の1つの態様においては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)とポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含んだ反応混合物から形成されるコポリマーが、反応混合物中に存在するジアミンからのアミン当量に関して特性表示される。
【0089】
1つの実施態様においては、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)が、ジアミンからのアミン当量の少なくとも20%をもたらす。他の実施態様においては、PAODAは、反応混合物中に存在するジアミンからのアミン当量の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%をもたらす。
【0090】
本発明の他の態様においては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)とポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含んだ反応混合物から形成されるコポリマーが、反応混合物中に存在しているジアミンからの当量であって、2〜6個の炭素原子を有する短鎖の脂肪族ジアミンによってもたらされるアミン当量に関して特性表示される。本明細書で使用している“短鎖ジアミン”とは、6個以下の炭素原子を含有する脂肪族部分、脂環式部分、または芳香族部分を表わしており;“脂肪族の(aliphatic)”とは、芳香環系のない構造を有する分子部分を表わしており;“脂環式の(cycloaliphatic)”とは、環構造を有する脂肪族分子部分を表わしており;“芳香族の(aromatic)”とは、芳香環構造〔たとえば、フェニルやナフチル(これらに限定されない)〕を有する分子部分を表わしている。代表的な短鎖ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、1,2-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、およびm-キシレンジアミン等がある。1つの態様においては、本発明のポリアミドを製造するのに使用される短鎖のジアミンはイソホロンジアミンまたはm-キシレンジアミンである。後述するように、ダイマージアミンは短鎖ジアミンとは見なさない。
【0091】
ほんの少量のCHDAをポリアミド形成用反応混合物中に組み込むと、ほとんどの脂肪族ジアミン(たとえば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン)が、ミキシングした際にCHDAと相互作用可能な塩を形成するので、構造中には選ばれたわずかな短鎖ジアミンだけしか組み込まれない、ということが見いだされている。イソホロンジアミンやm-キシレンジアミン等のジアミンの少量を、相互作用可能な塩を形成させることなく反応混合物に加えることができるけれども、これらのジアミンはコポリマーの軟化点を大幅に上昇させる。
【0092】
したがって、短鎖ジアミンは、コポリマーの反応混合物の最大約10アミン当量%を構成するのが好ましく、最大約5アミン当量%を構成するのがさらに好ましく、そして最大約2アミン当量%を構成するのがさらに好ましい。1つの実施態様においては、このような短鎖ジアミンが、ジアミンからのアミン当量の10%未満をもたらすが、他の実施態様においては、これらの短鎖ジアミンが、ジアミンからのアミン当量の5%未満をもたらし、そして他の実施態様においては、これらの短鎖ジアミンは、ジアミンからのアミン当量に全く寄与しない。
【0093】
本発明の他の態様においては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)とポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含んだ反応混合物から形成されるコポリマーが、反応混合物中に存在する二酸からの酸当量に関して特性表示される。1つの実施態様においては、CHDAが二酸からの酸当量の少なくとも20%をもたらす。関連した実施態様においては、CHDAが、二酸からの酸当量の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%をもたらす。酸当量の残部(存在する場合)は、前述したような補助二酸によってもたらされる。
【0094】
1つの実施態様においては、本発明のコポリマーを製造するのに使用される反応混合物が二酸からの酸当量によって特性表示され、重合脂肪酸が二酸からの酸当量の10%未満をもたらす。関連した実施態様においては、重合脂肪酸が二酸からの酸当量の5%未満をもたらすか、あるいは二酸からの酸当量に全く寄与しない。
【0095】
1つの態様においては、コポリマーを形成する反応混合物が約1〜50重量%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(すなわちCHDA)を含むのが好ましく;反応混合物が約2〜35重量%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を含むのがさらに好ましく;そして反応混合物が約5〜25重量%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を含むのがさらに好ましい。
【0096】
1つの態様においては、本発明のポリアミドは、主要部分(当量基準にて>50%)のCHDA、任意の補助二酸(たとえばセバシン酸)、1種以上のポリ(アルキレンオキシ)ジアミン、重合脂肪ジアミンもしくはこれらジアミンの混合物、少量(存在する場合)の任意の補助ジアミン(たとえばイソホロンジアミン)、ならびに、分子量を調節するための、任意の一酸、モノアルコール、もしくはモノアミンを反応させることによって得られる。
【0097】
本発明の1つの態様においては、CHDA、PAODA、およびダイマージアミンを含んだ反応混合物からポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーが製造される。ダイマージアミンは、本明細書に記載のダイマー酸から誘導され、このときダイマー酸の末端-COOH基が-NH2基で置き換えられる。したがって、約36個の炭素原子を含有する非短鎖のジアミンは、CHDAと組み合わさっても相互作用可能な塩を形成しない。したがって、本発明のコポリマーに非晶質特性と脂肪(すなわち無極性の)特性をもたらしているのは、コポリマー中の一成分である。ダイマージアミンは、当業者に公知の合成スキーム(たとえば、「March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版,M.B.Smith and J.March,ウイリーインターサイエンス,ニューヨーク,2001」を参照)を使用してダイマー酸から製造することができる。ダイマージアミンは、たとえばコグニス社(オハイオ州シンシナチ)からVERSAMINE(登録商標)のブランド名で市販されている。
【0098】
ダイマージアミンがポリアミド形成用反応混合物中におけるCHDAと共存する一成分であるとき、本発明の種々の態様においては、ダイマージアミンは、コポリマーを形成させるのに使用される反応物の総重量の最大約5%、最大約10%、最大約15%、最大約20、最大約25%、最大約30%、最大約35%、最大約40%、最大約45%、最大約50%、最大約55%、または最大約60%にて存在する。
【0099】
下記の実施態様は、本発明の好ましい実施態様のうちの幾つかである:
1) コポリマーが100℃〜140℃の軟化点を有する。この範囲内の軟化点を有するコポリマーは、ゲル化させるのが望ましい殆どの溶媒に対する溶解しやすさと優れたゲル化特性との良好なバランスをもたらす。
【0100】
2) CHDAが反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物である。このタイプの配合物からは、比較的高融点のコポリマーが得られやすい。
3) CHDAが、二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらす。配合物がこの量より少ないCHDAを含有する場合、コポリマーは、殆どの用途において要求されるよりも低い軟化点を有する。
【0101】
4) 二酸化合物がダイマー酸を含む。ダイマー酸を反応混合物中に組み込むのが望ましい。なぜなら、ダイマー酸は一般に、配合物のコストを下げ、軟化点を下げ、そしてより低い極性の溶媒に対する良好な相溶性をコポリマーに付与するからである。
【0102】
5) ダイマー酸が、二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらす。ダイマー酸が、二酸化合物による酸基の当量の約25%以上をもたらす場合、組成物は必然的に比較的少なめのCHDAを含有する。CHDAの量を減らすと、軟化点が、殆どの溶媒をゲル化させる上で一般に望ましいとされる温度より下にまで低下する。
【0103】
6) 反応混合物が単官能価反応物を含有しない。この反応混合物中には使用される末端基がないので、二酸からの酸の当量は、ジアミンからのアミンの当量にほぼ等しい(すなわち、約10%以内)はずである。このケースでは、ポリマーの分子量は、ある反応性基(酸またはアミン)を他の反応性基より過剰に使用することによって調整することができる。
【0104】
7) 反応混合物がモノカルボン酸化合物を含有する。モノカルボン酸は末端基として作用するであろう。モノカルボン酸は少量にて使用されるので、モノカルボン酸の分子量は、コポリマーの特性にそれほど大きな影響は与えない。それにもかかわらず、便宜上、モノカルボン酸は約60〜1,000g/モルの分子量を有するのが好ましい。
【0105】
8) 反応混合物がモノアミン化合物を含有する。モノアミンは末端基として作用すると思われる。モノアミンは少量にて使用されるので、モノアミンの分子量は、コポリマーの特性にそれほど大きな影響は与えない。それにもかかわらず、便宜上、モノアミンは約70〜2,100g/モルの分子量を有するのが好ましい。ポリ(アルキレンオキシ)モノアミン(PAOMA)が適切なモノアミン化合物である。しかしながら、混合物中にPAOMAが存在すると、コポリマーの軟化点は低下する傾向にある。PAOMAから製造されるコポリマーの軟化点を上げるためには、PAODAの一部を補助ジアミンで置き換えればよい。
【0106】
代表的なモノアミンとしては、構造
R5-OCH2CH2O-(CH2CHR’O)m-CH2CH(R”)NH2 (2)
(式中、R5はアルキル基であるのが好ましく;R’は、H、CH3、またはC2H5であるのが好ましく;そしてR”は、HまたはCH3であるのが好ましい)を有するポリ(アルキレンオキシ)モノアミン(すなわちPAOMA)がある。市販のPAOMAは、通常はエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドから製造され、プロピレンオキシドベースの残基とエチレンオキシドベースの残基との種々の比にて入手可能である。PAOMAは、たとえばハンツマンケミカル社(米国テキサス州ヒューストン)からXTJシリーズおよびジェファミンMシリーズ(たとえばM-2070)の商品名で入手することができる。
【0107】
9) 反応混合物がモノヒドロキシ化合物(a mono-hydric compound)を含有する。モノヒドロキシ化合物は末端基として作用すると思われる。モノヒドロキシ化合物は少量で使用されるので、モノヒドロキシ化合物の分子量は、コポリマーの特性にそれほど大きな影響は与えない。それにもかかわらず、便宜上、モノヒドロキシ化合物は約70〜1,000g/モルの分子量を有するのが好ましい。ポリ(アルキレンオキシ)モノヒドロキシ化合物が適切なモノヒドロキシ化合物である。しかしながら、ポリ(アルキレンオキシ)モノヒドロキシ化合物が混合物中に存在すると、コポリマーの軟化点が低下する傾向にある。ポリ(アルキレンオキシ)モノヒドロキシ化合物から製造されるコポリマーの軟化点を上げるためには、PAODAの一部を補助ジアミンで置き換えればよい。
【0108】
10) 反応混合物がジヒドロキシ化合物(a dihydric compound)をさらに含む場合の、請求項1記載のコポリマー。ジヒドロキシ化合物は、当量基準にて等量のジアミン化合物の代わりに使用することができる。ジヒドロキシ化合物(ジオールと呼ぶこともできる)は、短鎖のジオール〔たとえば、RがC2-C8アルキレン基またはシクロアルキレン基である場合の式HO-R-OHの化合物(たとえば、エチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール)〕であってもよいし、あるいはポリエーテルジオール〔すなわち、Rが-(CH2CH2O)nCH2CH2-(nは1〜約500)であって、エチレン基(すなわちCH2CH2)の1つ以上の箇所がプロピレン基(すなわちCH2CH(CH3))で置き換わっていてもよい、という場合の式HO-R-OHの化合物〕であってもよい。ポリエーテルジオールは多くの供給業者から市販されている。入手が容易なポリエーテルジオールはPEG(すなわちポリエチレングリコール)として公知であり、アルドリッチ社から市販されている。ポリエーテルジオールが反応混合物中に存在する場合、ポリエーテルジオールは、ジオール反応物とジアミン反応物との合計の40当量%以下を構成するのが好ましい。
【0109】
11) 反応混合物が補助二酸をさらに含む。補助二酸は一般に、配合物のコストを下げるように、そしてコポリマーの軟化点を下げるように作用する。代表的な補助二酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、および1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などがある。
【0110】
12) PAODAが反応混合物中に存在する唯一のジアミン化合物である。
13) PAODAが、反応混合物中のジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす。
【0111】
14) PAODAが400〜5,000の分子量を有するPAODA化合物を含む。約400未満の分子量を有するPAODA化合物は、CHDAと共に相互作用可能な塩を形成しやすく、したがって反応混合物から除かれるか、あるいは極めて少量にて使用される。しかしながら、ジェファミンD-400(約440の分子量を有する)は、相互作用可能な塩を形成するという問題を起こさない。
【0112】
15) 反応混合物中に存在するジアミン化合物が、式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを除く。この場合も、極めて炭素のこれらジアミンは、CHDAと共に相互作用可能な塩を形成しやすく、したがって反応混合物から除くのが好ましい。これらのジアミン化合物が存在する場合、これらのジアミンは、ジアミン化合物によるアミン当量の10%未満をもたらすような少量にて使用するのが好ましい。
【0113】
16) コポリマーが、ポリスチレンを内部標準としたゲル透過クロマトグラフィーを使用する測定にて10,000〜40,000の重量平均分子量を有する。
17) コポリマーが、ポリスチレンを内部標準としたゲル透過クロマトグラフィーを使用する測定にて30,000を超える重量平均分子量を有する。
【0114】
18) ジアミン化合物がダイマージアミンを含む。ダイマージアミンは、反応混合物が、CHDAによる高い酸当量を有することを可能にするための、しかしながらより低極性の溶媒に対するゲル化特性を高めるために幾らかの脂肪特性を有することを可能にするための、反応混合物に対する良好な添加物である。
【0115】
19) コポリマーが低い酸価と低いアミン価を有し、このとき低い酸価または低いアミン価が、20未満、18未満、16未満、14未満、12未満、10未満、8未満、6未満、5未満、4未満、3未満、または2未満である。代表的な実施態様においては、コポリマーの酸価またはアミン価の少なくとも一方が、20未満、18未満、16未満、14未満、12未満、10未満、8未満、6未満、5未満、4未満、3未満、または2未満である。他の代表的な実施態様においては、コポリマーの酸価とアミン価の両方が、20未満、18未満、16未満、14未満、12未満、10未満、8未満、6未満、5未満、4未満、3未満、または2未満である。たとえば、本発明は、10未満のアミン価と15未満の酸価を有するコポリマーを提供する。
【0116】
本発明の種々の態様においては、好ましい特徴1)〜19)のいずれか2つ以上を組み合わせて本発明のコポリマーを説明することができる。たとえば、例示だけのために記載するが、特徴3)を、特徴1)、特徴2)、特徴4)、特徴5)、特徴6)、特徴7)、特徴8)、特徴9)、特徴10)、特徴11)、特徴12)、特徴13)、特徴14)、特徴15)、特徴16)、特徴17)、特徴18)、または特徴19)と組み合わせることができる。同様に、特徴5)を、特徴1)、特徴2)、特徴3)、特徴4)、特徴6)、特徴7)、特徴8)、特徴9)、特徴10)、特徴11)、特徴12)、特徴13)、特徴14)、特徴15)、特徴16)、特徴17)、特徴18)、または特徴19)と組み合わせることができる。同様に、特徴13)を、特徴1)、特徴2)、特徴3)、特徴4)、特徴5)、特徴6)、特徴7)、特徴8)、特徴9)、特徴10)、特徴11)、特徴12)、特徴14)、特徴15)、特徴16)、特徴17)、特徴18)、または特徴19)と組み合わせることができる。同様に、特徴18)を、特徴1)、特徴2)、特徴3)、特徴4)、特徴5)、特徴6)、特徴7)、特徴8)、特徴9)、特徴10)、特徴11)、特徴12)、特徴13)、特徴14)、特徴15)、特徴16)、特徴17)、または特徴19)と組み合わせることができる。
【0117】
ここに記載の3つ以上の特徴を組み合わせて、本発明のコポリマーを特徴付けることができる。たとえば、1つの態様においては、本発明は、100℃〜140℃の軟化点を有するコポリマーを提供し;このときCHDAが、二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらし;ダイマー酸が反応混合物中に存在するが、ダイマー酸は、二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらし;そしてPAODAが、ジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす。
【0118】
本発明のコポリマーは、少なくとも1つのポリエーテル(すなわちポリアルキレンオキシ)ブロック、および少なくとも1つのポリアミドブロック(ポリアミドブロックはポリエーテル基を含んでよいが、必ず含む必要はない)を含有する。ポリエーテルブロックは、反応性のポリエーテル(すなわち、アミン、酸、もしくはアルコール等の、1つ又は2つの反応性末端基を有するポリエーテル)によってコポリマー中に導入するのが好ましい。ポリエーテルブロックとポリアミドブロックの両方が存在することが、コポリマーがゲル化剤として作用するための極めて有効な組み合わせであることが見いだされている。一般には、本発明の1つの態様においては、ポリエーテル基〔ポリアルキレンオキシ(PAO)基とも呼ばれる〕は、コポリマーの重量の約30〜60重量%を構成するのが好ましい。言い換えると、コポリマー中にポリエーテル基を導入する反応物は、本発明の1つの態様においては、反応物の総重量の30〜60%を構成する。1つの態様においては、コポリマー中にポリエーテル基を導入するのに使用される反応物は、PAO-MA(モノアミン末端ポリエーテル)、PAO-DA(ジアミン末端ポリエーテル;すなわち、PAOの2つの末端のそれぞれがアミン基である)、PAO-COOH(カルボン酸末端ポリエーテル)、PAO-OH(ヒドロキシル末端ポリエーテル)、またはHO-PAO-OH(ジヒドロキシ末端ポリエーテル;すなわち、PAOの2つの末端のそれぞれがヒドロキシル基である)から選択される。関連した態様においては、ポリエーテル基が、コポリマーを形成させるのに使用される反応物の総重量の約40〜50重量%を構成する。好ましい実施態様においては、PAO基は、モノアミン末端およびジアミン末端のポリアルキレンオキシ基を介してコポリマー中に導入される。他の好ましい実施態様においては、ポリエーテル基をコポリマー中に導入するのに、少なくとも幾らかのPAO-DAが使用される。他の好ましい実施態様においては、PAO-DAが1,000〜3,000の分子量を有するのが好ましく、1,500〜2,500の分子量を有するのがさらに好ましい。
【0119】
前述したように、モノカルボン酸が、反応混合物の成分の1つとして存在してよい。このような場合、本発明のコポリマーは、式(3)
【0120】
【化4】

【0121】
(式中、少なくとも1つの箇所において、R1はCHDAから誘導されるC6炭素環式基であり;R2はPAODAから誘導されるポリアルキレンオキシド部分であり;R3は少なくとも2個の炭素原子を有する炭化水素基であり;そしてnは少なくとも11の整数である)の高分子を含むものとして記載することができる。nが少なくとも11の整数であるということを特定することによって、本発明は、比較的高分子量のコポリマー(たとえば、分子量が30,000を超える式(1)の高分子を含んだコポリマー)に関する。
【0122】
前述したように、モノアミンが、反応混合物の成分の1つとして存在してよい。このような場合、本発明のコポリマーは、式(4)
【0123】
【化5】

【0124】
(式中、少なくとも1つの箇所において、R1はCHDAから誘導されるC6炭素環式基であり;R2はPAODAから誘導されるポリアルキレンオキシド部分であり;R4は、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基、および少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;そしてnは少なくとも11の整数である)の高分子を含むものとして記載することができる。nが少なくとも11の整数であるということを特定することによって、本発明は、比較的高分子量のコポリマー(たとえば、分子量が30,000を超える式(1)の高分子を含んだコポリマー)に関する。
【0125】
前述したように、モノヒドロキシ化合物(モノアルコールとも呼ばれる)、反応混合物の成分の1つとして存在してよい。このような場合、本発明のコポリマーは、式(5)
【0126】
【化6】

【0127】
(式中、少なくとも1つの箇所において、R1はCHDAから誘導されるC6炭素環式基であり;R2はPAODAから誘導されるポリアルキレンオキシド部分であり;R5は、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基、および少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;そしてnは少なくとも11の整数である)の高分子を含むものとして記載することができる。nが少なくとも11の整数であるということが明記されていることで、本発明は、比較的高分子量のコポリマー(たとえば、分子量が30,000を超える式(1)の高分子を含んだコポリマー)に関する。
【0128】
本発明の他の態様においては、必ずダイマー酸とポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(またはその反応性等価物)(いずれも前述したとおりである)から製造されるが、必ずしもCHDAからは製造される必要がないポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーが提供される。この態様においては、本発明は、ダイマー酸、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン、および短鎖の脂肪族ジアミン(SDA)を含んだ反応混合物から形成されるコポリマーを提供する。この態様においては、反応混合物は、ある量(便宜上“x”グラム)のポリ(アルキレンオキシ)ジアミンとある量(便宜上“y”グラム)の短鎖脂肪族ジアミンを含む。PAODAとSDAとの合計と比較してPAODAが主要な重量部分にて存在しなければならず、さらに好ましくはx/(x+y)が約0.8〜0.98である。さらに、PAODAが全反応物の重量のうちの相当量を構成しなければならない。たとえば、反応混合物がある総重量(便宜上“z”グラム)を有する場合、PAODAは当該重量の少なくとも25%(すなわち、x/z>0.25)を構成する。関連した態様においては、x/zは、少なくとも0.3、少なくとも0.35、少なくとも0.4、少なくとも0.45、または少なくとも0.5である。さらに、反応混合物は、補助二酸を全く含まないか、あるいは少量の補助二酸を含み、反応混合物が少量の補助二酸を含む場合は、補助二酸からの酸当量が、ダイマー酸と補助二酸からの全酸当量の25%未満を構成する。補助二酸はコポリマーの軟化点を上昇させる傾向があるけれども、補助二酸は、この配合処方に対してあまり望ましいものではない。なぜなら、補助二酸が存在すると、コポリマーの結晶化度が増大しやすく、これによってコポリマーの良好なゲル化特性が低下しやすいからである。
【0129】
CHDA含有コポリマーに関して前述したPAODAについての説明は、必ずしもCHDAを含有する必要がないこれらのPAODA含有コポリマーにも同様に当てはまる。たとえば、1つの態様においては、コポリマーは100℃〜140℃の軟化点を有する。他の態様においては、ダイマー酸が、反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物である。補助二酸が反応混合物中に存在するという場合の他の態様においては、補助二酸が、ダイマー酸と補助二酸からの全酸当量の10%未満を構成する。他の態様においては、PAODAとSDAとの合計が、反応混合物中に存在するジアミン化合物の少なくとも95重量%を構成する。他の態様においては、反応混合物が少なくとも400g/モルの分子量を有するポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含む。他の態様においては、補助二酸が反応混合物中に存在しない。他の態様においては、PAODAが、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンと短鎖脂肪族ジアミンとの合計重量の約80〜98%であり;ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン残基が、コポリマーの総重量の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%である。
【0130】
簡単に前述したように、本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーのいずれにおいても、コポリマーを製造するのに使用される反応混合物は、主としてコポリマーの分子量を調節するように、そしてコポリマーの酸価とアミン価を減少させるように作用する幾らかの単官能価反応物を含有してよい。1つの実施態様においては、このような単官能価反応物は、モノカルボン酸、モノアミン、およびモノアルコールから選択される。“モノカルボン酸”とは、1つだけのカルボン酸基(すなわち、-COOHという構造の唯一の基)を有する有機分子を表わしている。“モノアミン”とは、1つだけのアミン基(このときアミン基は、第一級アミンであっても第二級アミンであってもよい)を有する有機分子を表わしている。“モノアルコール”とは、1つだけのヒドロキシル(-OH)基を有する有機分子を表わしている。
【0131】
代表的な単官能価反応物は、R-COOH(式中、Rは、ポリエーテル、アルキル、アルケニル、またはアルキニルである)という構造を有するモノカルボン酸である。他の代表的な単官能価反応物は、R-NH2という構造のモノアミンである。ここで使用している“アルキル”とは、単結合だけを含有している一価のヒドロカルビル基を表わしており、“アルケニル”および“アルキニル”とは、それぞれ少なくとも1つのC=C二重結合および少なくとも1つのC≡C三重結合を含有する一価のヒドロカルビル基を表わしている。反応混合物中にモノカルボン酸またはモノアミンが存在すると、生成するポリアミド鎖のさらなる伸長を妨げるように作用し、これによってコポリマーの分子量が大きくなりすぎるのが防止される。
【0132】
本発明において使用する上での代表的なモノカルボン酸としては、短鎖の脂肪族カルボン酸、飽和脂肪酸(たとえば、Rがアルキルである場合)、および不飽和脂肪酸(たとえば、Rがアルケニルまたはアルキニルである場合)などがあるが、これらに限定されない。特定の代表的な短鎖脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、およびブタン酸などがあり(これらに限定されない)、代表的な飽和脂肪酸としては、バレリアン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、およびモンタン酸などがあり(これらに限定されない)、代表的な不飽和脂肪酸としては、カプロレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、エライジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、およびネルボン酸などがある(これらに限定されない)。本発明のさらなる態様においては、モノカルボン酸が、本発明のコポリマーを製造するのに使用される反応混合物の最大約20重量%、さらに好ましくは最大約10重量%、そしてさらに好ましくは最大約5重量%である。
【0133】
代表的なモノアルコールは、末端アミン基がヒドロキシル基で置き換えられている場合の前記モノアミン、および末端カルボン酸基が第一級アルコール基に還元されている場合の前記モノカルボン酸基である。
【0134】
単官能価反応物がポリアミド形成用反応混合物中に存在する場合、単官能価反応物の量は、ポリアミド生成物の好ましい分子量を考慮して選択することができる。反応混合物中の単官能価反応物の量が増大するにつれて、分子量が減少する。種々の態様においては、単官能価反応物は、ポリアミド形成用反応混合物中におけるポリアミド形成用反応物の総重量の5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、または50%未満を構成する。1つの態様においては、単官能価反応物はモノアミンであり、他の態様においては、単官能価反応物は一酸であり、他の態様においては、単官能価反応物はモノカルボン酸である。さらに他の態様においては、反応混合物はポリエーテルモノアミンを含む。
【0135】
本発明のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーにおいては、ポリアミド形成用反応混合物中に相当量のPAODAを組み込むことにより、あるいは言い換えると、ポリエーテル官能価を2つのアミド基の間に位置するようにして組み込むことにより、これらのコポリマーは、広範囲の有機液体に対して透明な溶液および/または透明なゲルを形成することができる。コポリマーを製造するのに使用される反応混合物は、あまりにも少ないPAODAは含有しないのが望ましい。PAODAがあまりにも少ないと、中程度〜高い軟化点を有するものの、有機液体をゲル化する能力が低い硬質のコポリマーが得られる。極端なケースでは、コポリマーが有機液体に対して不相溶性となり、したがって加熱しても有機液体中に溶解しない。一般には、ある種の有機液体をゲル化させる上で、コポリマーが高レベルのPAODAを含有するのが好ましいけれども、コポリマーはPAODAの含量が極めて少なくてもよく、またゲル化能力が殆どもしくは全くなくてもよい。極端なケースでは、コポリマーは有機液体中に極めて容易に溶解するが、ゲルが固まらない程度にポリアミド分子が溶媒和される。本発明にしたがって最適のゲル化性能特性を得るためには、コポリマーは、好ましくは約25〜80重量%の、さらに好ましくは30〜60重量%のPAODAを含有する反応混合物から製造される。
【0136】
本発明のコポリマーに対する代表的な製造スキームとしては、熱電対プローブ、窒素入口、および電磁攪拌棒を取り付けた反応フラスコに反応成分を仕込む。フラスコは、水分トラップに通じていて、ドラフトの後方から抜け出る蒸気出口を有する。次いでフラスコを、アルミニウム箔または断熱用ガラス繊維パッドで被覆し、反応混合物を、穏やかな窒素気流下にて、時々の泡形成が許容される程度の速度で約220℃に加熱する。次いで窒素の流量を増やして水の除去を促進し、反応混合物をこの温度で約6時間保持する。殆どの場合、これらの条件によって、満足できる酸価とアミン価(典型的にはそれぞれ15未満)を有するコポリマーが得られる。次いで反応混合物を周囲温度に冷却して取り出すと、液体ゲル化剤として使用するのに適したコポリマーがもたらされる。
【0137】
上記のワンポット法は、少量の本発明のコポリマーを製造するためのおそらく最も簡単な方法である。しかしながら、特に、コポリマーを製造するのに、あるいは極めて多量のコポリマーを製造するのに3種以上の反応物が使用される場合は、反応の開始時において、これらの反応物を反応容器中に全て一度に仕込むのではなく、反応容器中に計量仕込みすることができる。反応容器にジャケットを付けて、高温のオイルによって加熱することもできる。さらに、反応容器にモーター駆動のパドルブレード攪拌機を取り付けることができ、脱気して低圧にして水の除去を促進できるように配置構成するのが好ましい。
【0138】
本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーは、特にゲル化剤(レオロジー改質剤としても知られている)として有用である。すなわち、ポリアミド-ポリエーテルとある液体とを組み合わせると、ゲルが形成される。本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーのゲル化能力に対する典型的なアッセイにおいては、約0.6グラムのコポリマーと約3.4グラムの液体を試験管に装入してからアルミニウム箔で蓋をする。試験管を約115℃にてオーブン中に置き、約1時間インキュベートする。次いで試験管を取り出し、まだ熱い間にボルテックス・スターラー(a vortex stirrer)により攪拌してコポリマーと溶媒とを確実に接触させ、そしてオーブンに戻す。さらに1時間インキュベートした後、試験管を取り出して、周囲温度に自然冷却する。この処理後では完全には溶解していないコポリマーが入っている試験管を約10℃高温のオーブン中に置き、この手順を、コポリマーが完全に溶解するまで繰り返す。次いでサンプルをオーブンから取り出し、自然冷却する。冷却したコポリマー溶液を、ゲルの品質に関して下記のように等級付けする。
【0139】
“ゲル”:逆さにして強く振っても、溶液が流動もしくは急落しない;
“ゼリー”:振ると、溶液が急落するか、あるいは溶液に亀裂が入る;
“ペースト”:混合物が軟質で、曇っているか又はかなり濁っていて、不均質であり、逆さにすると急落もしくは流動する;
“2-相(2-phase)”:高温のときは溶解しているが、冷却すると濁り相/曇り相に分かれる;
“不相溶性(incompatible)”:高温でもコポリマーが溶解せず、分離状態の固体上層を形成する;
“可溶性(soluble)”:溶液が透明且つ流動性。
【0140】
コポリマー溶液の透明度は、下記のように特徴付けることができる。
“クリスタルクリヤー(crystal clear)”:この用語は説明を要しない;
“曇った(hazy)”:溶液が透明ではないが、溶液をすかして見たときに印刷物の判読が可能である;この用語の修飾語としては、“非常に(very)”、“わずかな(slight)”、および“非常にわずかな(very slight)”がある;および
“濁った(cloudy)”:溶液を通して全く見えない;この用語の修飾語としては、“非常に”、“わずかな”、および“非常にわずかな”がある。
【0141】
本発明の1つの態様においては、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーは乳酸エチルに対するゲル化剤である(すなわち、コポリマーと乳酸エチルを前述のように組み合わせると、ゲルが形成される)。言い換えると、前述した手順にしたがうと、得られる混合物は室温にて“ゲル”である。他の態様においては、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーはアジピン酸ジブチルに対するゲル化剤である。
【0142】
したがって本発明は、本明細書に記載のポリアミド-ポリエーテルコポリマーと、一化合物もしくは化合物の混合物とを含んだ組成物を提供し、このとき前記一化合物もしくは化合物の混合物が、ニートの形態において室温で液体である。この組成物は、高温では一般に液体であり、室温では通常はゲルである。1つの態様においては、化合物は官能基を有する(すなわち、化合物は単なる炭化水素ではない)。種々の態様においては、官能基は、エステル、エーテル、ハロゲン、カーボネート、またはスルホキシドである。ゲル化させることができる混合物は、これら化合物のうちの2種、3種、またはそれより多くと官能基を含んでよい。本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーによってゲル化させることができる特定の化合物および化合物の種類について下記に説明するが、本明細書に記載のコポリマーは、広範囲の有機液体および有機液体のブレンドをゲル化させることができると理解すべきである。
【0143】
1つの態様においては、本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーによるゲル化に適した有機液体は、本質的に極性である。本明細書で使用している“有機の(organic)”とは、少なくとも1個の炭素原子を含有する化学成分を表わしている。極性液体は、誘起された陽電荷と陰電荷を有する主要な構造部分をもつ液体であり、無極性液体は、分子構造が、誘起された陽電荷と陰電荷を有する部位をもたない場合の液体(たとえば四塩化炭素)である。本発明のコポリマーによるゲル化に適した代表的な有機液体としては、エタノールやプロピレングリコール等のアルコール;ジメチルスルホキシド(すなわちDMSO)、N-メチルピロリドン(すなわちNMP)、種々のテルペン、および種々のケトン等の剥離用溶剤;EPON(商標)828(テキサス州ヒューストンのレゾルーション・パフォーマンス・プロダクツ社)等のエポキシ;ならびに、アクリル酸アルキルを含んだ重合可能なモノマー、ポリアクリル酸エステル溶液、およびスチレン樹脂溶液;などがあるが、これらに限定されない。
【0144】
エステル含有化合物は、本発明のコポリマーによるゲル化に適した他の種類の液体である。エステル含有化合物は-C(=O)-O-という構造式を含み、-C(=O)-O-R6(式中、R6はC1-22ヒドロカルビル基から選択される)という構造式を含むのが好ましい。このようなエステルは単官能価エステル(すなわち、単一のエステル部分を有する)であっても、あるいは多官能価エステル(すなわち、2つ以上のエステル基を有する)であってもよい。適切なエステルとしては、C1-24モノアルコールとC1-22モノカルボン酸との反応生成物(これらに限定されない)があり、このとき炭素原子は、直鎖状、分岐鎖状、および/または環状に配置しており、必要に応じて、炭素原子間に不飽和が存在していてもよい。エステルは、少なくとも約18個の炭素原子を有するのが好ましい。例としては、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、オレイン酸メチルとリノール酸メチルを含有する混合物(たとえば、大豆油メチルエステル(methyl soyate)や他の植物油メチルエステル)、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸n-プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸n-プロピル、およびパルミチン酸イソプロピルなどがあるが、これらに限定されない。他の適切なエステルとしては、安息香酸アルキル〔たとえば、FINNSOLV(商標)EBやFINNSOL(商標)TN〕、サリチル酸アルキル〔たとえばサリチル酸メチル(冬緑油とも呼ばれる)〕、フタル酸エステル(たとえばフタル酸ジオクチル)、および脂肪酸のグリセロールエステルとプロピレングリコールエステル〔たとえば、いわゆるポリグリセロール脂肪酸エステル(たとえば、モノステアリン酸グリセリル等の、化粧品配合物において使用するのに適したエステル)やトリグリセリド〕などがある。
【0145】
ポリ(アルキレンオキシ)エーテルは、本発明のコポリマーによるゲル化に適した他の種類の液体である。適切なポリ(アルキレンオキシ)エーテルとしては、ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;DOWANOL(商標)EPHエチレングリコールモノフェニルエーテルとDOWANOL(商標)DPMジプロピレングリコールモノメチルエーテル(米国ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から市販);ならびに、TERGITOL(商標)NP-4とTRITON(商標)X-100(どちらもユニオンカーバイド社から市販)、SURFONIC(商標)40とSURFONIC(商標)DNP-100とSURFONIC(商標)N-60(すべてテキサス州ヒューストンのハンツマンケミカル社から市販)、およびモノラウリン酸ポリオキシエチレン〔ニュージャージー州フェアローンのロンザ社からGLYCOSPERSE(商標)L20として市販〕等の界面活性剤;などがあるが、これらに限定されない。特に適しているのは、4より大きくて20より小さい(好ましくは6〜16)HLB数を有する、化粧品を製造する上で有用な界面活性剤である。このような界面活性剤は当業界によく知られている。
【0146】
他の態様においては、本発明は、前述のようなポリアミド-ポリエーテルコポリマーを含んだ種々の物品を提供する。たとえば、本発明の1つの態様は、活性成分を含むゲル化物品を提供する。1つの実施態様においては、本発明のこの態様は、ゲル化組成物の1種以上の活性成分をその周囲環境に揮散するか、そうでない場合は周囲環境に利用可能となるようなゲル化組成物を提供する。活性成分の例としては、芳香物質、殺虫剤、防虫剤、および生体活性成分などがある。他の実施態様においては、活性成分はゲル中に残留しつつ活性であってよい。このような活性成分の例としては、着色剤や日焼け止め剤などがあるが、これらに限定されない。したがって、本発明のこの態様は、エアフレッシュナー、芳香剤入りスティック、芳香剤入り軟質ゲル、防虫剤、殺虫剤、カラーデリバリー組成物、日焼け止め剤、および他の皮膚科用組成物などをもたらす。
【0147】
1つの態様においては、活性成分は、ゲルから揮散および放出されるように幾らか揮発性である。しかしながら、活性成分は、物品に対する使用条件下において揮発性になればよい。たとえば、活性成分は、ゲルの表面に移行し、次いで環境と接触する、という意味で放出される。活性成分を、所望の効果を発揮するよう環境に揮散する物品を、本明細書では便宜上、制御放出組成物と総称する。
【0148】
1つの態様においては、活性成分は芳香物質である。適切な芳香物質としては、高級香料および日用品用芳香物質がある。ほとんど全ての芳香物質は、少なくとも適度に極性の有機液体であって、アルコール、エーテル、ケトン、およびエステル等の官能基を有するので、当業者に公知の多くの適切な芳香物質は、本発明のコポリマーによってゲル化させることができる。本発明の芳香剤含有組成物では、芳香剤の形状と放出を調節することが可能である。すなわち、長時間にわたって一定の状態で芳香を持続的に放出する固体状ゲルの形態にて芳香をもたらすことができる。芳香物質が高級芳香剤であるとき、ゲル化組成物は、表面上にこすって芳香放出物質の層をもたらすことのできるような、スティックの形態であるのが好ましい。このような組成物を本明細書では芳香剤入りスティックと呼ぶ。これとは別に、ゲル化組成物は“軟質ゲル”(ゲル様のコンシステンシーを有する組成物を意味している)であってもよい。軟質ゲルは一般に、応力を受けている状態ではその構造を保持せず、したがってジャーなどの中に収容されるのが好ましい。軟質ゲルは、指をゲル中に浸漬し、次いで指からの残留物を皮膚の他の領域上にこすることによって、皮膚もしくは他の表面に塗布することができる。“高級芳香剤”とは、高級な(たとえば高価な)香料において使用される芳香剤である。これとは別に、ゲル化組成物は、芳香が放出される間にその形状を保持するか又は形状がわずかに収縮するような、魅力的なあるいは有用な形状に成形された物品であってもよい。このような組成物をここではエアフレッシュナーと呼ぶ。なぜなら、部屋、クローゼット、自動車の車内、または他の囲まれたスペースに芳香を放ったり、あるいはこのようなスペースの空気を新鮮にしたりする際に有用だからである。
【0149】
本発明の代表的な芳香剤入りスティック、エアフレッシュナー、または軟質ゲルにおいては、高級芳香剤が、組成物の約1〜70重量%の範囲内の濃度で存在する(組成物の約2〜25重量%を構成するのが好ましい)。コポリマーは典型的には、組成物の約5〜50重量%の範囲の濃度にて存在し、好ましくは約10〜20重量%の範囲の濃度にて存在する。スティックの所望するコンシステンシー、および芳香剤とコポリマーとの相溶性に応じて、より多くの量の又はより少ない量のこれら成分が存在する。一般に、芳香剤入りスティック、エアフレッシュナー、または軟質ゲルにおいては、ポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーの濃度が増大するにつれてゲル構造物がより堅くなり、これらはいずれも、“スティック”タイプのコンシステンシーを有することができる(このことは、かなり堅めの自立性ゲルを意味している)。ポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーと芳香剤とを組み合わせると、明澄または透明な構造物が得られる。構造物がこのように透明であると、市場における芳香剤入りスティック、エアフレッシュナー、および軟質ゲルの外観的な魅力と利用分野が増大する。
【0150】
本発明の上記物品は、本明細書に記載のポリアミド-ポリエーテルブロックコポリマーを含む成分から製造される。本発明の代表的なエアフレッシュナー、芳香剤入りスティック、または芳香ゲルは、物品の総重量を基準として、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーを約5〜60重量%の濃度範囲にて、そして芳香剤を約1〜70重量%の濃度範囲にて含有する。エアフレッシュナー中に存在するポリアミド-ポリエーテルコポリマーと芳香剤の量は、これらの典型的な範囲を超えて変わってもよく、その場合でも有用な物品が得られる。物品を製造する際に使用すべきポリアミド-ポリエーテルコポリマーと芳香剤の正確な量は、個々のポリアミド-ポリエーテルコポリマーの性質に依存する。たとえばエアフレッシュナーの場合には、通常高い芳香剤含量が望ましい。なぜならこのようなエアフレッシュナーは、より長い有効期間を有する可能性があるからである。魅力的な外観をもたらすために、通常は物品中に着色剤(一般には染料)を含有させることが有利である。着色剤のレベルは通常は低く、0.05重量%〜2重量%の範囲である。
【0151】
本発明のゲル中に加えることができる他の活性成分は防虫用化学物質である。“防虫用化学物質”とは、虫にとって毒性、不快、または誘引的な物質を包含するよう意図されている。防虫用化学物質を含有するゲルは、スティックの、あるいは少なくとも堅めゲル(a firm gel)のコンシステンシーを有するのが好ましく、ここでは便宜上、虫スティック(insect stick)と呼ぶ。本発明の虫スティックを使用して、薄膜の形態の防虫残留物を表面に付与することができる。食器棚の虫を致死させるために、および/または食器棚から虫を追い払うために、このような残留物を食器棚の表面に配置することができる。これとは別に、薄い膜を皮膚に塗布して、蚊などの虫を皮膚から追い払うこともできる。
【0152】
本発明の代表的な虫スティックにおいては、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーの含量は、スティックの約5〜60重量%の範囲であり、好ましくは約10〜50重量%の範囲である。防虫用化学物質の含量は、典型的には0.1〜30重量%の範囲である。虫スティック中に使用する防虫用化学物質の量は、防虫用化学物質の効力、および防虫用化学物質とポリアミド-ポリエーテルコポリマーとの相溶性に依存する。適切な防虫用化学物質としては、ホウ酸、合成ピレスロイド、D-エムペンスリン、およびDEETなどがある。当業界に公知の他の防虫用化学物質も本発明のゲル中に加えることができるし、あるいはこれとは別に、本発明のゲル中に加えることもできる。このような化学物質の1つがフェロモンと呼ばれる。このような物質は虫の挙動に影響を及ぼすことができ、したがってその密集度を制御するのに使用することができる。たとえば、フェロモンは、虫が被害を引き起こさないか、あるいは虫を捕捉できる場所に虫を引き付けることができる。
【0153】
下記に挙げるのは、本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーを含有する配合物中に含有させることのできる化学物質の一覧であり、環境中への当該化学物質の放出が虫の挙動に影響を及ぼす:EまたはZ-13-オクタデセニルアセテート、EまたはZ-11-ヘキサデセナール;EまたはZ-9-ヘキサデセナール;ヘキサデカナール;EまたはZ-11-ヘキサデセニルアセテート;EまたはZ-9-ヘキサデセニルアセテート;EまたはZ-11-テトラデセナール;EまたはZ-9-テトラデセナール;テトラデカナール;EまたはZ-11-テトラデセニルアセテート;EまたはZ-9-テトラデセニルアセテート;EまたはZ-7-テトラデセニルアセテート;EまたはZ-5-テトラデセニルアセテート;EまたはZ-4-トリデセニルアセテート;EまたはZ-9-ドデセニルアセテート;EまたはZ-8-ドデセニルアセテート;EまたはZ-5-ドデセニルアセテート;ドデセニルアセテート;11-ドデセニルアセテート;ドデシルアセテート;EまたはZ-7-デセニルアセテート;EまたはZ-5-デセニルアセテート;EまたはZ-3-デセニルアセテート;ZまたはE,ZまたはE3,13-オクタデカジエニルアセテート;ZまたはE,ZまたはE2,13-オクタデカジエニルアセテート;Z,ZまたはE-7,11-ヘキサデカジエニルアセテート;Z,E9,12-テトラデカジエニルアセテート;E,E-8,10-ドデカジエニルアセテート;Z,E6,8-ヘンエイコサジエン-11-オン;E,E7,9-ヘンエイコサジエン-11-オン;Z-6-ヘンイコセン-11-オン;7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン;2-メチル-7-オクタデセン;7,8-エポキシオクタデカン;Z,Z,Z-1,3,6,9-ノナデカテトラエン;5,11-ジメチルヘプタデカン;2,5-ジメチルヘプタデカン;6-エチル-2,3-ジヒドロ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;ジャスモン酸メチル;α-ピネン;β-ピネン;テルピノレン;リモネン;3-カレン;p-シメン;ヘプタン;クロトン酸エチル;ミルセン;カンフェン;カンファー;シネオール;α-クベベン(α-cubebene);アリルアニソール;ウンデカナール;ノナナール;ヘプタナール;E-2-ヘキセナール;E-3-ヘキセナール;ヘキサナール;ベルベネン;ベルベノン;ベルベノール;3-メチル-2-シクロヘキセノン;3-メチル-3-シクロヘキセノン;フロンタリン;エキソおよびエンドブレビコミン;リネアチン(lineatin);マルチストリアチン(multistriatin);カルコグラン(chalcogran);7-メチル-1,6-ジオキサスピロ(4,5-デカン,4,8-ジメチル-4(E),8(E)-デカジエノリド;11-メチル-3(Z)-ウンデセノリド;Z-3-ドデセン-11-オリド;Z,Z-3,6-ドデセン-11-オリド;Z-5-テトラデセン-13-オリド;Z,Z-5,8-テトラデセン-13-オリド;Z-14-メチル-8-ヘキサデセナール;4,8-ジメチルデカナール;γ-カプロラクトン;酢酸ヘキシル;酢酸E-2-ヘキセニル;ブタン酸ブチル-2-メチル;ヘキサン酸プロピル;プロパン酸ヘキシル;ヘキサン酸ブチル;ブタン酸ヘキシル;酪酸ブチル;酪酸E-クロチル;Z-9-トリコセン;メチルオイゲノール;α-イオノン;4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンアセテート;E-β-ファルナセン(E-β-ファルナセン);ネペタラクトン;3-メチル-6-イソプロペニル-9-デセニルアセテート;Z-3-メチル-6-イソプロペニル-3,9-デカジエニルアセテート;EまたはZ-3,7-ジメチル-2,7-オクテデカジエニルプロピオネート;2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-オールアセテート;Z-2,2-ジメチル-3-イソプロペニルシクロブタンメタノールアセテート;E-6-イソプロピル-3,9-ジメチル-5,8-デカジエニルアセテート;Z-5-(1-デセニル)ジヒドロ-2(3H)-フラノン;プロピオン酸2-フェネチル;プロピオン酸3-メチレン-7-メチル-7-オクテニル;3,11-ジメチル-2-ノナコサノン;8-メチレン-5-(1-メチルエチル)スピロ(11-オキサビシクロ)8.1.0-ウンデセン-2,2-オキシラン-3-オン;2-プロピルチエタン(2-propylthietane);3-プロピル-1,2-ジチオラン;3,3-ジメチル-1,2-ジチオラン;2,2-ジメチルチエタン;EまたはZ-2,4,5-トリメチルチアゾリン;2-sec-ブチル-2-チアゾリン;およびイソペンテニルメチルスルフィド。特定のフェロモンとしては、以下のようなものがある:8-メチル-2-デシル-プロピオネート;14-メチル-1-オクタデセン;9-トリコセン(9-tricosense);酢酸トリデセニル;酢酸ドデシル;酢酸ドデセニル;酢酸テトラデセニル;酢酸テトラデカジエニル;酢酸ヘキサデセニル;酢酸ヘキサデカジエニル;酢酸ヘキサデカトリエニル;酢酸オクタデセニル;酢酸ドデカジエニル;酢酸オクタデカジエニル;Z,E-9,12-テトラデカジエン-1-オール;ヘキサデセナール;オクタデセナール;アセトフェノン;酢酸アミル;酢酸イソアミル;バニリン;またはコーヒー風味剤、ファンネル風味剤、およびシナモン風味剤から選択される風味剤。
【0154】
本発明の製品中に含有させることができる他の活性成分は、主としてゲル中に保持されている間において機能する。このような活性成分の例としては、着色剤や日焼け止め剤などがある。活性成分が着色剤である場合は、着色剤を使用して、表面に所望の着色をもたらしたり、および/または下層の望ましくない着色を隠したりすることができる。活性剤は日焼け止め剤であってもよく、適切な日焼け止め剤としては、PABA、p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オキシベンゾン、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、および金属酸化物(たとえば、酸化亜鉛や酸化チタン)などがあるが、これらに限定されない。酸化亜鉛と酸化チタンは、下層の皮膚に当たる光線がより少なくなるように光を散乱させる。
【0155】
本発明の製品中に含有させることができる他の活性成分は生体活性化合物である。ここで使用する生体活性化合物は、生体系に対して望ましい結果をもたらすように作用する。好ましい実施態様においては、生体活性化合物を人の皮膚に施して望ましい効果を得ることができる。したがって本発明のゲルは、生体系に生体活性化合物を送達させるためのキャリヤーとして、および/または、生体活性化合物が送達された部位に、生体活性化合物を保持するための手段として、および/または、生体系への生体活性化合物の制御放出を可能にする、生体活性化合物の貯蔵所として機能することができる。組成物中に加えるための、このタイプの活性成分の量は所望する効果によって異なり、このような量は、過度の実験を必要とせずに当業者によって容易に決定される。この量は、少なくとも有効量でなければならない。典型的には、活性成分は0.1〜25重量%(さらに典型的には0.5〜10重量%)で充分であり、このとき%値は組成物の総重量を基準としている。
【0156】
生体活性化合物は、皮膚への施しがなされるホストに対して望ましい結果をもたらす化粧用/皮膚科用薬剤であってよい。代表的な望ましい結果としては、抗真菌活性、痔疾治療、痒み止め処置、いぼの除去もしくは縮小、抗生物質活性、しわ防止、および鎮痛効果などがあるが、これらに限定されない。適切な化粧用/皮膚科用薬剤としては、アセチルサリチル酸、アシクロビル、6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸、アムホテリシンB、アスコルビン酸、ベンゾイルペルオキシド、吉草酸ベタメタゾン、クロロキシレノール、クエン酸、リン酸クリンダマイシン、プロピオン酸クロベタゾール、クロトリマゾール、シプロヘプタジン、ジクロフェナック、塩酸ジフェニルヒドラミン、エコナゾール、エリスロマイシン、エストラジオール、グリコール酸、グリシルレチン酸、ヒドロコルチゾン、ヒドロキノン、イブプロフェン、ケトコナゾール、コジック酸、乳酸、塩酸リドカイン、メトロニダゾール、ミコナゾール、硝酸ミコナゾール、オクトピロックス、5-n-オクタノイルサリチル酸、パラセタモール、塩酸プラモキシン、プロゲステロン、レチノイン酸、レチノール、サリチル酸、スーパーオキシド・ジスムターゼ、テルビナフィン、テナルジン(thenaldine)、トコフェロール、トルナフテート、トリメプラジン、1,8,10-トリプロピオニル-9-アントロン、ウンデシレネート、およびビタミンDなどがあるが、これらに限定されない。
【0157】
生体活性薬剤は局所鎮痛剤として作用するものがあり、代表的な局所鎮痛剤としては、カンファー、カプサイシン、メントール、サリチル酸メチル、およびトロラミンサリチレート(trolamine salicylate)などがあるが、これらに限定されない。生体活性薬剤は抗真菌剤として作用するものがあり、代表的な抗真菌剤としては、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、トルナフテート、およびウンデシレネートなどがあるが、これらに限定されない。代表的な痒み止め剤としては、塩酸プラモキシンや塩酸ジフェニルヒドラミンなどがあるが、これらに限定されない。本発明のゲル中に含有させるための代表的ないぼ防止化合物はサリチル酸である。本発明のゲル中に含有させるための代表的な痔疾治療化合物はヒドロコルチゾンである。本発明のゲル中に含有させるための代表的な抗生物質化合物はクロロキシレノールである。
【0158】
生体活性薬剤は、哺乳類細胞に対する損傷を防止または低減させるための、そして損傷した哺乳類細胞の蘇生を増大させるための創傷治癒補助剤として作用するものであってよく、代表的な創傷治癒補助剤は、(a)ピルビン酸もしくは医薬として許容されうるピルビン酸の塩と;(b)細胞膜の修復と哺乳類細胞の蘇生に必要な、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物;との組み合わせ物である。生体活性薬剤は、酸素もしくは過酸化物によって促進される酸化反応または抑制反応(suppression reaction)を阻止する酸化防止剤であってよく、代表的な酸化防止剤としては、ビタミンA、ビタミンE、およびこれらビタミンの誘導体があるが、これらに限定されない。生体活性薬剤は抗にきび剤として作用するものがある。代表的な抗にきび剤としては、過酸化ベンゾイルやビタミンA酸などがあるが、これらに限定されない。
【0159】
本発明のゲル中に加える生体活性成分の量は、生体活性成分の効力と所望する効果に依存する。この量は、過度の実験を必要とせずに当業者によって容易に決定される。この量は、少なくとも有効量でなければならない。典型的には、活性成分は0.1〜25重量%(さらに典型的には0.2〜10重量%)で充分である。
【0160】
本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマーを含有する製品はパーソナルケア用品であってよく、代表的なパーソナルケア用品としては、アイメイクアップ(マスカラ、シャドウ)、フィンガーネイル・ポリッシュ、スクラブ洗顔料、リップスティック、ファウンデーションメイクアップ、コスチュームメイクアップ、ベビーオイル、メイクアップリムーバー、バスオイル、スキンモイスチャライザー、サンケアプロダクツ、リップクリーム、水なしハンドクリーナー、薬用軟膏、エスニックヘアケア用品、香料、オーデコロン、および坐剤などがあるが、これらに限定されない。
【0161】
本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマー含有ゲルはさらに、自動車ワックス/艶出剤、キャンドル、家具艶出剤、金属洗浄剤/艶出剤、家庭用洗剤、ペイントリムーバー、および殺虫剤キャリヤー等の家庭用品において使用することができる。
【0162】
本発明のポリアミド-ポリエーテルコポリマー含有ゲルはさらに、燃料〔スターノ(sterno)、ライター、ファイア・スターター(fire-starter)〕、便器リング(toilet bowl rings)、潤滑剤/グリース、ワイヤーロープ滑剤(wire rope lubricant)、ジョイント・ケーブル充填剤(joint and cable fillers)、はんだ付け用フラックス、バフ研磨用配合物、クレヨンとマーカー、塑像用粘土、さび止め剤、印刷用インク、ペイント、保護用/リムーバブルコーティング、およびジェットインク等の工業製品においても使用することができる。
【0163】
このような物品を製造するための配合処方は、当業界においてよく知られている。たとえば、米国特許第3,615,289号と第3,645,705号はキャンドルの配合処方を開示している。米国特許第3,148,125号と第5,538,718号は、リップスティックと他の化粧用スティックの配合処方を開示している。米国特許第4,275,054号、第4,937,069号、第5,069,897号、第5,102,656号、および第5,500,209号はいずれも、デオドラントおよび/または制汗剤の配合処方を開示している。
【0164】
活性成分を含有する本発明のゲルは、任意の成分をさらに含有してもよい。これらの任意成分は、均一なゲルの形成を容易にする、物質の送達特性を高める、物品の外観的な魅力を高める、または物品が活性成分を放出する能力を高める等の、1つ以上の目的を果たす。
【0165】
適切な任意成分の1つが着色剤である。皮膚または他の表面に施されるゲルに着色剤を加えると、ゲルの残留物が当該表面上で視認できるようなマーカーとなる。好ましい芳香剤入りスティックもしくは芳香剤入りゲル(着色剤を含有しない)は明澄且つ透明であるが、本発明の芳香剤入りスティックもしくは芳香剤入り軟質ゲルは、不透明であっても半透明であってもよい。いずれにしても、着色剤を添加すると、芳香剤入りスティックもしくは芳香剤入りゲルの視覚的な魅力が高まり、表面を横切ってスティックもしくはゲルをこすると、表面にその残留物がもたらされる。着色剤は、染料であっても顔料であってもよく、ゲルを皮膚に施したときに、皮膚に対して非刺激性であるのが好ましい。このような着色剤は当業界においてよく知られており、たとえば、リップスティックやアイシャドウ等の化粧品において使用されている。
【0166】
着色剤が存在する場合、着色剤は一般に、ごく少量にて必要とされる。たとえば、ゲルに所望の着色を付与するためには、5重量%未満の量、しばしば1重量%程度の少量、そしてさらには0.1重量%という少量で充分である。より強い着色が要求される場合は、ゲル中の着色剤の量を増やすことができる。着色が要求される場合、着色剤は、所望の着色をもたらすのに効果的な量にて存在しなければならない。
【0167】
他の任意成分は、活性成分を含んだゲルのプロセシングを高めるように機能し得る。たとえば、任意成分は、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーと活性成分との均一な混合物の形成を容易にすることがある。さらに、任意成分は一般に、ゲルのコンシステンシーに影響を及ぼし、こうした任意成分を使用して、スティックやゲルにより良好な送達特性を付与することができる。たとえば、幾つかの場合において、揮発性の炭化水素又はアルコールを加えると、ゲル-活性成分組み合わせ物の均一性を高めるだけでなく、皮膚への薄層の送達を促進し、それらを添加しない場合に存在するかもしれない付随的な湿潤残留物はなくなる。
【0168】
本発明のコポリマーを使用して、ワックスや艶出剤として有用なゲル化組成物を製造することができ、本発明は、本発明のコポリマーを使用することで、支持体に光沢のある外観を与える方法を提供する。このような組成物の製造に関する詳細とこのような組成物の使用が文書番号PCOM000009045D(www.ip.comを介してアクセスできる)に記載されており、該文書によれば、本発明のコポリマーを、該文書に開示されているゲル化剤の代わりに、あるいはこれらのゲル化剤と組み合わせて使用することができる。基本的には、ゲル化剤成分を使用することにより、塗布される基材に、顕著な光沢と優れた耐きず・耐水性を付与し、塗布される基材の吸塵をできるだけ少なくするようなワックス組成物や艶出剤組成物を、本発明のコポリマーを使用して製造することができる。これらの組成物は、現在の自動車仕上げ市場に一般的に見られるポリウレタントップコートに対して接着性を示す。驚くべきことに、これらの特性を示す組成物は極めて簡単に製造することができ、外観が均質であって、コンシステンシーがゲル状、クリーム状、もしくはペースト状であるような組成物を作製するのに、わずか2成分もしくは3成分を含有する配合物を必要とし、加熱と簡単な攪拌モーター以外は必要としない。したがってこれらの組成物は、製造するのが簡単であり、家具、自動車、および他の基材用の優れたワックスおよび艶出剤となる。本発明のワックス組成物と艶出組成物は、ゲル化剤、ゲル化剤によってゲル化される溶媒、および任意の成分を含有する。これらの組成物は、外観が均質であって、コンシステンシーがゲル状、クリーム状、もしくはペースト状であるのが好ましく、そして基材の表面に簡単に塗布することができるのが好ましい。本発明の組成物のペースト形は脂肪族溶媒を含んでよく、エマルジョン形態はリキッド/クリーム用途向けに製造することができる。ゲル化剤は、高光沢を発現させるために、良好なフィルム形成がなされるよう、そして平滑な表面が得られるよう非晶質構造を有するのが好ましい。中〜長期間にわたって持続するフィルム保全のために、紫外線安定系や非紫外線安定系を使用することができる。本発明のコポリマーは、周囲温度と周囲湿度での良好な加水分解安定性を組成物に付与する。本発明のワックスは、優れた水玉形成(water beading)/撥水性を示すことができる。
【0169】
本発明のコポリマーを使用して、着火液(fire lighting fluids)として有用なゲル化組成物を製造することができ、本発明は、このようなゲル化組成物、およびこのような組成物を着火液として使用する方法を提供する。このような組成物の製造、およびこのような組成物の使用についての詳細が文書番号IPCOM000010393D(www.ip.comにてアクセスできる)に記載されており、該文書によれば、本発明のコポリマーを、該文書に開示されているゲル化剤の代わりに、あるいはこれらのゲル化剤と組み合わせて使用することができる。着火液は、火を起こす際の極めて効率的な手段となりうる。しかしながら、これらの着火液の粘度が低いと、実際的で安全な使用が妨げられることがある。これらの着火液をゲル化させるのが、こうした欠点を解消するための適切な方法である。現在、このような系がエタノールベースの系に対して存在しており、極めて良好な系が得られている。しかしながら、製造面および消費者レベルでの使用の両場面において、エタノールの低い引火点がまだ問題として残っている。本発明は、鉱油とはるかに高い(したがってより安全な)引火点を有する他の燃料とをベースとした、本発明のコポリマーゲル化剤を使用するゲル化着火システムを提供する。
【0170】
本発明のコポリマーを使用して、ゲル化繊維強化プラスチックとゲルコートを製造することができる。このような組成物の製造、およびこのような組成物の使用についての詳細が文書番号IPCOM000007401D(www.ip.comにてアクセスできる)に記載されており、該文書によれば、本発明のコポリマーを、該文書に開示されているゲル化剤の代わりに、あるいはこれらのゲル化剤と組み合わせて使用することができる。マトリックス液と本発明のコポリマーを含んだ、繊維強化プラスチックとゲルコートを製造するのに適したゲル化マトリックス液組成物が提供され、このとき前記マトリックス液は、1種以上の重合可能なモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、硬化触媒、および任意の成分(たとえば、溶媒や不活性充填剤や有機ポリアミドゲル化剤)の混合物である。本発明のコポリマーを、温和な加熱および/または高剪断ミキシングによってマトリックス液組成物中に容易に混合して、冷却したときに、繊維マトリックスからのマトリックス液の分離またはゲルコートのたるみを防ぐチキソトロープ特性を有する、均質で剪断薄肉化可能なゲルを形成させることができる。
【0171】
本発明のコポリマーを使用して、被覆された表面からコーティングを取り除くのに有用なゲル化組成物を製造することができる。このような組成物の製造、およびこのような組成物の使用についての詳細が文書番号IPCOM000005738D(www.ip.comにてアクセスできる)に記載されており、該文書によれば、本発明のコポリマーを、該文書に開示されているゲル化剤の代わりに、あるいはこれらのゲル化剤と組み合わせて使用することができる。簡単に言うと、有機コーティングは、被覆された基材をゲル化有機溶媒で処理することによってそれらの基材から取り除くことができ、このときゲル化剤が本発明のコポリマーであるか、あるいは本発明のコポリマーを含む。たとえば、テレビン油もしくは他の有機溶媒と本発明のコポリマーとを組み合わせて形成されるゲル化組成物とペイントとを接触させるという方法によって、ペイントを金属や木材などから取り去ることができる。コーティングがゲル中に溶解し、および/または、ゲルからの溶媒がコーティングと下層の基材との間に拡散することができ、これによりコーティングが溶解および/または浮き出し、したがってゲルを取り除くというプロセスがさらに、コーティングの一部または全部を取り除くことになる。コーティングを完全に取り除くには、ゲル化有機溶媒を複数回塗布する必要がある。被覆された表面が垂直に配置されている場合にゲルが特に有利である。なぜなら、ゲルが被覆表面から流れ落ちにくくなり、したがって所望する長時間にわたって表面との接触を保持するからである。
【0172】
本発明の製品は、本明細書に記載のポリアミド-ポリエーテルコポリマーと適切な液体および活性成分とを組み合わせ、これらの物質を、均一な混合物が得られるまで攪拌しながら加熱することによって製造することができる。冷却すると、混合物はゲル様もしくはスティック様のコンシステンシーを呈する。
【0173】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。下記の実施例においては、化学物質は、特に明記しない限り試薬グレードであり、アルドリッチケミカル社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)等の営利卸売商(commercial supply houses)から入手した。ドワノール(DOWANOL)(商標)グリコールエーテルは、ダウケミカル社(米国ミシガン州ミッドランド)から入手できる。DBEは“二塩基エステル”であり、アジピン酸、グルタル酸、およびコハク酸の精製ジメチルエステルの種々の混合物のいずれかである。DBE(商標)ジエステルとDytek(ダイテック)(登録商標)Aジアミンは、デュポン社(米国デラウェア州ウィルミントン)から入手できる。エムポール(EMPOL)(商標)1008ダイマー酸は、ヘンケルコーポレーション(米国ペンシルベニア州アンブラー)から入手できる。エメロックス(EMEROX)(商標)1144アゼライン酸とバーサミン(VERSAMINE)(登録商標)アミン化合物は、コグニスコーポレーション(米国オハイオ州シンシナチ)から入手できる。XTJアミン化合物、およびジェファミン(JEFFAMINE)(登録商標)DシリーズのジアミンとMシリーズのモノアミンは、ハンツマン・パフォーマンス・ケミカルズ社(米国テキサス州ヒューストン)から入手できる。
【実施例】
【0174】
実施例1
500mlのフラスコに、4.02g(1.8重量%/4.2当量%)のイソステアリン酸、23.05g(10.3重量%/75.5当量%)のCHDA、および20.66g(9.3重量%/20.2当量%)のエムポール1008ダイマー酸を装入した。フラスコにさらに、69.08g(31.0重量%/68.4当量%)のバーサミン551ダイマージアミンと106.1g(47.6重量%/29.9当量%)のジェファミンD-2000を装入し、少量(約0.5ml)の25%次亜リン酸水溶液を加えた。反応混合物を、激しい窒素気流下にて攪拌しながら約2時間にわたって220℃に加熱し、この温度でさらに4時間保持し、次いで注いだ。コポリマー生成物は透明で薄い琥珀色であり、粘着性はなく、軟質であり、酸価が2.3、アミン価が0.6、そして軟化点が139.0℃であった。本明細書に記載のスクリーニングゲル化試験(screening gelation test)(15%固体)において、このコポリマーは、ポリ(プロピレングリコール)(分子量425)、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、ドワノールEPH、酢酸2-エチルヘキシル、大豆油メチルエステル(methyl soyate)、および二塩基エステル(アジピン酸ジメチル)中にて透明で堅いゲルを形成した。
【0175】
実施例2
250mlのフラスコに、60.0g(50.8重量%/100.0当量%の酸)のエムポール1008ダイマー酸、53.1g(44.9重量%/24.3当量%のアミン)のジェファミンD-2000、および5.1g(4.3重量%/81.5当量%のアミン)のエチレンジアミンを装入し、少量(約0.5ml)の25%次亜リン酸水溶液を加えた。反応混合物を、激しい窒素気流下にて攪拌しながら約2時間にわたって220℃に加熱し、この温度でさらに4時間保持し、次いで注いだ。コポリマー生成物は透明で琥珀色は殆どなく、粘着性はなく、軟質であり、酸価が1.6、アミン価が2.1、そして軟化点が107.2℃であった。本明細書に記載のスクリーニングゲル化試験(15%固体)において、このコポリマーは、ポリ(プロピレングリコール)(分子量425)、プロピオン酸エトキシエチル、乳酸エチル(ソフト)、ドワノールEPH、酢酸2-エチルヘキシル、キシレン、大豆油メチルエステル、パルミチン酸イソプロピル、およびd-リモネン中にて透明で不動性のゲルを、そしてDBE中にてわずかに曇ったゲルを形成した。
【0176】
実施例3〜8および1C
シクロヘキサンジカルボン酸をベースとする、PAODAとのコポリマー
これらの実施例では、実施例1と2に記載の手順による、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)、ダイマージアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含んだポリアミド-ポリエーテルコポリマーの製造、ならびにこうして得られるポリアミド-ポリエーテルコポリマーの物理的特性について説明する。コポリマーは、表1に示す重量%にしたがって製造した。得られた生成物を周囲温度に冷却し、表1に記載の物理的特性に関して評価した。表1において、実施例1Cは、ポリエーテルブロックなしで製造したポリアミドの比較例である。
【0177】
【表1】

【0178】
実施例2Cおよび10〜15
シクロヘキサンジカルボン酸をベースとする、PAODAとのポリアミドゲル化剤
これらの実施例では、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)、ダイマージアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含んだポリアミド-ポリエーテルコポリマーが種々の液体溶媒(liquid solvents)と混合したときにゲルを形成する能力について説明する。ゲル化の効力を調べるために、約0.6gのコポリマーと約3.4gの液体を試験管に装入してから、アルミニウム箔で蓋をした。試験管を約115℃のオーブン中に置き、約1時間インキュベートした。その後、試験管を取り出し、まだ高温のうちに短時間渦攪拌機で攪拌して、コポリマーと溶媒とを確実に接触させ、オーブンに戻した。さらに約1時間インキュベーションした後、試験管を取り出して放置し、周囲温度に冷却した。この処理後において完全には溶解していないコポリマーを収容している試験管を、さらに約10℃高い温度のオーブン中に置き、コポリマーが完全に溶解するまでこの手順を繰り返した。サンプルをオーブンから取り出して放置し、冷却した。
【0179】
冷却したコポリマー溶液を、ゲルの品質に関して下記のように等級付けした:“ゲル”とは、逆さにしたり、強く振盪したりしても、溶液が流動もしくは急落を起こさない、ということを意味しており;“ゼリー”とは、振盪したときに急落もしくは亀裂発生を起こす溶液を表わしており;“ペースト”とは、軟質で、曇っているか又はかなり濁っていて不均質な混合物を表わしており、このときペーストは、逆さにしたときに急落もしくは流動する;“2-相(2-phase)”とは、コポリマーが高温の溶媒中に溶解するが、冷却すると溶媒から分離して、濁った相/曇った相の2つの相を形成する、ということを意味しており;“不相溶性(incompatible)”とは、コポリマーが高温の溶媒中に溶解せずに分離した固体上層を形成する、ということを意味しており;“溶解(soluble)”とは、コポリマーと溶媒との混合物が透明で流動性の溶液を形成する、ということを意味している。
【0180】
冷却したコポリマー溶液の透明度は、下記のように特性表示することができる。
“クリスタルクリヤー(crystal clear)”とは、極めて簡単に溶液を透かして見ることができ、溶液が本質的に透明である、ということを意味しており;“曇った(hazy)”とは、溶液が透明ではないが、溶液を通して見たときに印刷物(たとえば新聞印刷用紙)を読み取りやすい、ということを意味しており、このとき等級としては、“極めて(very)”、“僅かに(slight)”、および“極めて僅かに(very slight)”がある;および“濁った(cloudy)”とは、溶液を通して全く見えない、ということを意味しており、このとき等級としては、“極めて”、“僅かに”、および“極めて僅かに”がある。
【0181】
試験管にコポリマーと液体を装入し、得られた混合物を、これらの基準を使用して特性表示すると、表2に示す結果となった。比較例は、実施例番号のあとの“C”で示されている。
【0182】
【表2】

【0183】
実施例15〜18
ダイマー酸をベースとするコポリマー
これらの実施例では、ダイマー酸とポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含んだポリアミド-ポリエーテルコポリマーの製造、およびこれらコポリマーの物理的特性について説明する。これらのコポリマーは、実施例1に記載の手順にしたがって製造した。組成と物理的特性を表3に示す。
【0184】
【表3】

【0185】
実施例19〜22
ダイマー酸をベースとするポリアミドゲル化剤
これらの実施例では、ダイマー酸とポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含んだポリアミド-ポリエーテルコポリマーが、種々の溶媒と混合したときにゲルを形成する能力について説明する。これらの溶媒/コポリマー混合物を調製し、実施例10〜15に記載のように特性表示した。得られた結果を表4に示す。
【0186】
【表4】

【0187】
実施例23
ダイマー酸を含有する、シクロヘキサンジカルボン酸をベースとするポリアミド-ポリエーテルゲル化剤
表5に示す重量%の反応物を使用して、実施例1に記載の手順にしたがってポリアミド-ポリエーテルコポリマーを製造した。得られたコポリマーは、薄い琥珀色の、柔軟性でやや軟質の透明ポリマーであり、132.8℃の軟化点、5.2の酸価、および2.1のアミン価を有した。
【0188】
実施例10〜15に記載の手順にしたがって、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーと溶媒とを混合してインキュベーションすることにより、このコポリマーは、3種の溶媒〔ジメチルスルホキシド、ドワノールDPMジプロピレングリコールメチルエーテル(ダウ、米国ミシガン州ミッドランド)、または乳酸エチル〕のいずれかと組み合わせると、堅いゲルを形成することが確認された。
【0189】
【表5】

【0190】
実施例24
ポリ(ブチレンオキシ)ジアミンを含有する、ダイマー酸をベースとするポリアミド-ポリエーテルゲル化剤
表6に示す重量%の反応物を使用して、実施例1に記載の手順にしたがってポリアミド-ポリエーテルコポリマーを製造した。得られたコポリマーは、極めて薄い色の、柔軟性でやや軟質の透明ポリマーであり、100.1℃の軟化点、9.4の酸価、および1.9のアミン価を有した。
【0191】
実施例10〜15に記載の手順にしたがって、ポリアミド-ポリエーテルコポリマーと溶媒とを混合してインキュベーションすることにより、このコポリマーは、以下の溶媒のいずれかと組み合わせると、堅いゲルを形成することが確認された:プロピオン酸エトキシエチル、ドワノールDPMジプロピレングリコールメチルエーテル(ダウ、米国ミシガン州ミッドランド)、キシレン、酢酸2-エチルヘキシル、d-リモネン、および大豆油メチルエステル。
【0192】
【表6】

【0193】
実施例25
芳香剤入りスティック
11.62gの実施例1のコポリマー、15.99gのポリプロピレングリコール(MW=425)、および10.00gのアジピン酸ジメチル(DBE-6(商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から市販)の混合物を140℃に加熱し、攪拌しながら約20分にわたってこの温度に保持することによって、先ずゲルベースを製造した。このベースを110℃に冷却した(この温度ではまだ液体であった)。この液体に10.80g(22.3重量%)の芳香剤〔すなわち“カントリー・コンフォート(Country Comfort)”(製品番号446151、ファルメニッヒ社から市販;米国ニュージャージー州プレーンズボロ;www.firmenich.com〕を速やかに加えると、温度が82℃に降下した。芳香剤を全部加えた後、液体を(まだ暖かいうちに)長さ2”×直径1/2”の円筒状スティックモールド中に注ぎ込み、放置して充分に冷却した。ゲルスティックを容器から必要に応じて押し出し、皮膚上に伸ばして拡げることができる。
【0194】
実施例26
防虫スティック
250mlのフラスコに、46.4g(46.4重量%/100.0当量%の酸)のエムポール1008ダイマー酸(コグニス社、米国オハイオ州シンシナチ)、50.0g(50.0重量%/26当量%のアミン)のジェファミンD-2000ジアミン(ハンツマンケミカル、米国ユタ州ソルトレークシティー)、および3.6g(3.6重量%/74当量%のアミン)のエチレンジアミン(アルドリッチ社、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)を装入し、少量(約0.5ml)の25%次亜リン酸水溶液を加えた。反応混合物を、激しい窒素気流下にて攪拌しながら約2時間にわたって220℃に加熱し、この温度でさらに4時間保持し、次いで注いだ。コポリマー生成物は透明で琥珀色は殆どなく、粘着性はなく、幾らか軟質であり、酸価が2.2、アミン価が2.1、そして軟化点が103.5℃であった。本明細書に記載のスクリーニングゲル化試験(15%固体)において、このコポリマーは、DMSO、ポリ(プロピレングリコール)(分子量425)、NMP、乳酸エチル(軟質)、酢酸2-エチルヘキシル(やや曇り)、キシレン(軟質)、およびプロピレンカーボネート(やや曇り)中にて透明なゲルを形成した。
【0195】
このコポリマーとジエチル-m-トルイジン(DEET)を、表7に示すような皮膚に優しい他のキャリヤー成分〔d-リモネン(オレンジ油)は除く〕と共に約130℃に加熱攪拌した。全ての成分が混ざり合って半透明で均質なブレンドを形成した後、ブレンドを約100℃に冷却し、d-リモネンを加えた。ブレンドを、流動性があって暖かいうちに、長さ2”×直径1/2”の円筒状スティックモールド中に注ぎ込み、放置して充分に冷却した。ゲルスティックを容器から必要に応じて押し出し、こすりつけることによって皮膚上に伸ばすことができる。しかしながら、使用されないで、ホルダーから突き出ているゲルは、その形状を保持した。
【0196】
【表7】

【0197】
実施例27
二価アルコールを使用して製造されるコポリマーを含むメイクアップ除去ゲル
250mlのフラスコに、20.0g(17.7重量%/100.0当量%の酸)の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA、イーストマンケミカル社、米国テネシー州キングスポート)、10.0g(8.8重量%/21.5当量%の酸反応物)のポリエチレングリコール(MW=400、アルドリッチ社、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)、42.0g(46.0重量%/18.1当量%の酸反応物)のジェファミンD-2000(ハンツマンケミカル社、米国ユタ州ソルトレークシティー)、および42.0g(36.3重量%/60.9当量%の酸反応物)のバーサミン551ダイマージアミン(コグニス社、米国オハイオ州シンシナチ)を装入し、少量(約0.5ml)の25%次亜リン酸水溶液を加えた。反応混合物を、激しい窒素気流下にて攪拌しながら約2時間にわたって220℃に加熱し、この温度でさらに4時間保持し、次いで注いだ。コポリマー生成物は透明で琥珀色をしていて、粘着性はなく、軟質であり、酸価が3.0、アミン価がほぼゼロ、そして軟化点が136.4℃であった。本明細書に記載のスクリーニングゲル化試験(15%固体)において、このコポリマーは、DBE、ポリ(プロピレングリコール)(分子量425)、プロピオン酸エトキシエチル、乳酸エチル、および酢酸2-エチルヘキシル中において透明なゲルを形成し、大豆油メチルエステル中において曇ったゲルを形成した。このコポリマー(1.00g)を、スルフォニック(SURFONIC)(商標)L24-5界面活性剤(HLB=10.6)およびミリスチン酸イソプロピル(4.75g,39.4%)と共に加熱・攪拌し、約100℃に冷却し、ヒマシ油(1.44g,11.9%)および芳香剤〔米国ニューヨーク州ニューヨークのIFF社から市販の“フォウリイッジ(Foliage)”,0.21g,1.7%〕と混合した。このブレンドを、また液状で暖かいうちにモールド中に注ぎ込み、放置して充分に冷却した。こうして得られた物品は、こすることによって皮膚上に簡単に広がり、水で簡単に洗い落とせた。
【0198】
上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、ならびに、本明細書において言及されている、および/または、出願データシートに記載されている特許以外の刊行物の全てについて、それらの全内容を参照により本明細書に含める。
【0199】
例証するという目的から、本発明の特定の実施態様について説明してきたけれども、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってよいと理解されるべきである。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲に規定されている範囲に限定される以外は、限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき前記反応混合物が、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性のある単官能価化合物を含有しない、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項2】
ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物と、カルボン酸基に対して反応性のある1種以上の単官能価化合物とを含む反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項4】
ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む、請求項3記載のコポリマー。
【請求項5】
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物と、アミン基に対して反応性のある1種以上の単官能価化合物とを含む反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項6】
ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む、請求項5記載のコポリマー。
【請求項7】
軟化点が100℃〜140℃である、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項8】
CHDAが反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物である、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項9】
CHDAが二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらす、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項10】
二酸化合物が重合脂肪酸をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項11】
重合脂肪酸が二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらす、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項12】
反応混合物がモノヒドロキシ化合物を含む、請求項2記載のコポリマー。
【請求項13】
モノヒドロキシ化合物がポリ(アルキレンオキシ)モノアルコールである、請求項12記載のコポリマー。
【請求項14】
反応混合物がモノアミン化合物を含む、請求項2記載のコポリマー。
【請求項15】
モノアミン化合物がポリ(アルキレンオキシ)モノアミンである、請求項14記載のコポリマー。
【請求項16】
反応混合物がジヒドロキシ化合物をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項17】
ジヒドロキシ化合物がポリ(アルキレンオキシ)ジアルコールである、請求項16記載のコポリマー。
【請求項18】
ポリ(アルキレンオキシ)ジアルコール化合物が、反応混合物中に存在するアミンとヒドロキシルの全当量の40当量%未満の量にて反応混合物中に存在する、請求項16記載のコポリマー。
【請求項19】
反応混合物が補助二酸をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項20】
補助二酸が、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、ドデカン二酸、および1,3-シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選択される、請求項19記載のコポリマー。
【請求項21】
PAODAが、反応混合物中に存在する唯一のジアミン化合物である、請求項1、3、および5のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項22】
PAODAが、反応混合物中に存在するジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項23】
PAODAが、400〜5,000の分子量を有するPAODA化合物を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項24】
ジアミン化合物が式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを含まない、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項25】
ジアミン化合物が式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを含むが、式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンが、ジアミン化合物によるアミン当量の10%未満をもたらす、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項26】
ポリスチレンを標準物質とするゲル透過クロマトグラフィーを使用する測定にて10,000〜40,000の重量平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項27】
式(3)
【化1】

(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R4が、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基と少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;nが少なくとも11の整数である)の化合物を含む、請求項3記載のコポリマー。
【請求項28】
式(4)
【化2】

(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R5が、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基と少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;nが少なくとも11の整数である)の化合物を含む、請求項3記載のコポリマー。
【請求項29】
式(5)
【化3】

(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R3が、少なくとも2個の炭素原子を有する炭化水素基であり;nが少なくとも11の整数である)の化合物を含む、請求項5記載のコポリマー。
【請求項30】
10未満のアミン価と15未満の酸価を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項31】
a) コポリマーが100℃〜140℃の軟化点を有し;
b) CHDAが、二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらし;
c) 重合脂肪酸が反応混合物中に存在するが、重合脂肪酸が、二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらし;そして
d) PAODAが、ジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす;
請求項1、3、および5のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項32】
重合脂肪酸を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)および2〜6個の炭素原子を有する短鎖の脂肪族ジアミン(SDA)を含めた少なくとも2種のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき
a) 反応混合物がxグラムのPAODAとyグラムのSDAを含んでいて、x/(x+y)が0.8〜0.98であり;
b) 反応混合物の重量がzグラムであって、x/zが少なくとも0.25であり;そして
c) 反応混合物が補助二酸を含有しないか又は少量の補助二酸を含んでおり、ここで反応混合物が少量の補助二酸を含む場合には、補助二酸からの酸当量が、反応混合物中に存在する全酸当量の25%未満を構成する;
60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項33】
軟化点が100℃〜140℃である、請求項32記載のコポリマー。
【請求項34】
重合脂肪酸が反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物である、請求項32記載のコポリマー。
【請求項35】
補助二酸が反応混合物中に存在するが、補助二酸が、反応混合物中に存在する全酸当量の10%未満をもたらす、請求項32記載のコポリマー。
【請求項36】
PAODAとSDAとの合計が、反応混合物中に存在するジアミン化合物の少なくとも95重量%を構成する、請求項32記載のコポリマー。
【請求項37】
ジアミン化合物が、少なくとも400g/モルの分子量を有するポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含む、請求項32記載のコポリマー。
【請求項38】
x/zが少なくとも0.3である、請求項32記載のコポリマー。
【請求項39】
x/zが少なくとも0.4である、請求項32記載のコポリマー。
【請求項40】
a)請求項1〜6および請求項32のいずれかに記載のコポリマーと、b) ニートな形態において室温で液体である化合物とを含む組成物。
【請求項41】
ゲルの形態をとっている、請求項40記載の組成物。
【請求項42】
前記化合物が、エステル、エーテル、ハロゲン、カーボネート、およびスルホキシドから選択される少なくとも1つの化学基を含む、請求項40記載の組成物。
【請求項43】
請求項1〜6および請求項30のいずれかに記載のコポリマーを含む物品。
【請求項44】
芳香剤入りスティック、エアフレッシュナー、または芳香ゲルとして調製された、請求項43記載の物品。
【請求項45】
生理学的に許容されうる少なくとも1種のオイルを含むパーソナルケア用品として調製された、請求項43記載の物品。
【請求項46】
4〜20のHLB値を有する界面活性剤をさらに含む、請求項43記載の物品。
【請求項47】
少なくとも1種の着色剤と芳香剤をさらに含む、請求項43記載の物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき前記反応混合物が、アミン基またはカルボン酸基に対して反応性のある単官能価化合物を含有しない、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマーであって、ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む、前記コポリマー。
【請求項2】
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物と、カルボン酸基に対して反応性のある1種以上の単官能価化合物とを含む反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマーであって、ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む、前記コポリマー。
【請求項3】
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含めた1種以上のジアミン化合物と、アミン基に対して反応性のある1種以上の単官能価化合物とを含む反応混合物から形成される、60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマーであって、ジアミン化合物がダイマージアミンをさらに含む、前記コポリマー。
【請求項4】
軟化点が100℃〜140℃である、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項5】
CHDAが反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項6】
CHDAが二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらす、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項7】
二酸化合物が重合脂肪酸をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項8】
重合脂肪酸が二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらす、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項9】
反応混合物がモノヒドロキシ化合物を含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項10】
モノヒドロキシ化合物がポリ(アルキレンオキシ)モノアルコールである、請求項9記載のコポリマー。
【請求項11】
反応混合物がモノアミン化合物を含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項12】
モノアミン化合物がポリ(アルキレンオキシ)モノアミンである、請求項11記載のコポリマー。
【請求項13】
反応混合物がジヒドロキシ化合物をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項14】
ジヒドロキシ化合物がポリ(アルキレンオキシ)ジアルコールである、請求項13記載のコポリマー。
【請求項15】
ポリ(アルキレンオキシ)ジアルコール化合物が、反応混合物中に存在するアミンとヒドロキシルの全当量の40当量%未満の量にて反応混合物中に存在する、請求項13記載のコポリマー。
【請求項16】
反応混合物が補助二酸をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項17】
補助二酸が、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、ドデカン二酸、および1,3-シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選択される、請求項16記載のコポリマー。
【請求項18】
PAODAが、反応混合物中に存在するジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項19】
PAODAが、400〜5,000の分子量を有するPAODA化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項20】
ジアミン化合物が式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを含まない、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項21】
ジアミン化合物が式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンを含むが、式H2N-R2-NH2(式中、R2はC2-C6ヒドロカルビルである)のジアミンが、ジアミン化合物によるアミン当量の10%未満をもたらす、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項22】
ポリスチレンを標準物質とするゲル透過クロマトグラフィーを使用する測定にて10,000〜40,000の重量平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項23】
式(3)
【化1】

(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R4が、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基と少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;nが少なくとも11の整数である)の化合物を含む、請求項2記載のコポリマー。
【請求項24】
式(4)
【化2】

(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R5が、少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素基と少なくとも100の式量を有するポリアルキレンオキシド部分から選択され;nが少なくとも11の整数である)の化合物を含む、請求項2記載のコポリマー。
【請求項25】
式(5)
【化3】

(式中、少なくとも1つの箇所において、R1がC6炭素環式基であり;R2がポリアルキレンオキシド部分であり;R3が、少なくとも2個の炭素原子を有する炭化水素基であり;nが少なくとも11の整数である)の化合物を含む、請求項3記載のコポリマー。
【請求項26】
10未満のアミン価と15未満の酸価を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項27】
a) コポリマーが100℃〜140℃の軟化点を有し;
b) CHDAが、二酸化合物による酸当量の少なくとも45%をもたらし;
c) 重合脂肪酸が反応混合物中に存在するが、重合脂肪酸が、二酸化合物による酸基の当量の25%未満をもたらし;そして
d) PAODAが、ジアミン化合物によるアミン当量の少なくとも20%をもたらす;
請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項28】
重合脂肪酸を含めた1種以上の二酸化合物と、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)および2〜6個の炭素原子を有する短鎖の脂肪族ジアミン(SDA)を含めた少なくとも2種のジアミン化合物とを含む反応混合物から形成され、このとき
a) 反応混合物がxグラムのPAODAとyグラムのSDAを含んでいて、x/(x+y)が0.8〜0.98であり;
b) 反応混合物の重量がzグラムであって、x/zが少なくとも0.25であり;そして
c) 反応混合物が補助二酸を含有しないか又は少量の補助二酸を含んでおり、ここでもし反応混合物が少量の補助二酸を含む場合には、補助二酸からの酸当量が、反応混合物中に存在する全酸当量の25%未満を構成する;
60℃〜180℃の軟化点を有するポリアミド−ポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項29】
軟化点が100℃〜140℃である、請求項28記載のコポリマー。
【請求項30】
重合脂肪酸が反応混合物中に存在する唯一の二酸化合物である、請求項28記載のコポリマー。
【請求項31】
補助二酸が反応混合物中に存在するが、補助二酸が、反応混合物中に存在する全酸当量の10%未満をもたらす、請求項28記載のコポリマー。
【請求項32】
PAODAとSDAとの合計が、反応混合物中に存在するジアミン化合物の少なくとも95重量%を構成する、請求項28記載のコポリマー。
【請求項33】
ジアミン化合物が、少なくとも400g/モルの分子量を有するポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含む、請求項28記載のコポリマー。
【請求項34】
x/zが少なくとも0.3である、請求項28記載のコポリマー。
【請求項35】
x/zが少なくとも0.4である、請求項28記載のコポリマー。
【請求項36】
a)請求項1〜3および請求項28のいずれかに記載のコポリマーと、b)ニートな形態において室温で液体である化合物とを含む組成物。
【請求項37】
ゲルの形態をとっている、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記化合物が、エステル、エーテル、ハロゲン、カーボネート、およびスルホキシドから選択される少なくとも1つの化学基を含む、請求項36記載の組成物。
【請求項39】
請求項1〜3および請求項26のいずれかに記載のコポリマーを含む物品。
【請求項40】
芳香剤入りスティック、エアフレッシュナー、または芳香ゲルとして調製された、請求項39記載の物品。
【請求項41】
生理学的に許容されうる少なくとも1種のオイルを含むパーソナルケア用品として調製された、請求項39記載の物品。
【請求項42】
4〜20のHLB値を有する界面活性剤をさらに含む、請求項39記載の物品。
【請求項43】
少なくとも1種の着色剤と芳香剤をさらに含む、請求項39記載の物品。

【公表番号】特表2006−520835(P2006−520835A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506262(P2006−506262)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000501
【国際公開番号】WO2004/083280
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505333816)アリゾナ・ケミカル・カンパニー (13)
【Fターム(参考)】