説明

ポリアミドとHDPEをベースにした層を有する多層構造

【課題】流体の輸送または貯蔵に使用するパイプ、タンク、注入装置、充填パイプ、ボトル、コンテナ等で使用される共押出/ブロー成形可能な構造。
【解決方法】下記の(1)〜(5)の層を下記の順番で有し、全ての層が共押出し可能である構造:
(1)高密度ポリエチレン(HDPE)の第1層、(2)結合材料の層、(3)EVOHまたはEVOHをベースにしたブレンド材料の第2層、(4)任意成分の結合材料の層、(5)下記からなるブレンド材料の第3層(全体で100重量%):成形温度が230℃以下のポリアミド(A) 50〜90%、高密度ポリエチレン(HDPE) 1〜30%、エラストマーおよび超低密度ポリエチレンの中から選択される衝撃改質剤 5〜30%(ただし、上記HDPEおよび衝撃改質剤の少なくとも一方は部分的または全体が官能化されている)。ポリアミドとHDPEをベースにした層が流体と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドとHDPE(高密度ポリエチレン)をベースにした層を有する多層構造に関するものである。
本発明はさらに、上記の層を有する構造から成り、この層がタンクに収容された流体と直接接触するタンクに関するものである。
【0002】
本発明の上記構造のポリアミドとHDPEをベースにした層は構造の2つの表面の一方を構成する。換言すれば、この層は構造の内部に(サンドイッチ)で存在することはない。
【0003】
本発明装置は流体の輸送または貯蔵に使用でき、特にパイプ、タンク、タンクへの注入装置、充填パイプ、ボトルおよびコンテナで使用できる。この場合、ポリアミドとHDPEをベースにした層が流体と接触する。本発明装置は特にタンクとして使用される。
【0004】
本発明は例えば自動車用ガソリンのような流体が構造を介してロスするのを防ぐことができ、従って、環境汚染を防止できる。本発明はさらに揮発性物質を含む液体にも使用でき、揮発性物質の減損を防ぐことができる。本発明はさらにエンジン冷却液、エンジンオイルおよび空調システムの流体に対しても使用できる。
【背景技術】
【0005】
下記文献には下記(1)〜(5)の5層からなるガソリンタンクが記載されている。
【特許文献1】欧州特許第EP 742 236号公報
【0006】
(1) 高密度ポリエチレン(HDPE)の層、
(2) 結合材料の層、
(3) ポリアミド(PA)またはエチレン単位とビニールアルコール単位(EVOH)とを有するコポリマーの層、
(4) 結合材料の層、
(5) HDPEの層。
【0007】
結合材料の層の一つとHDPEの層の一つとの間に第6層を加えることもできる。この第6層は例えば容器の成形で生じる製造スクラップ材料または少量の許容スペックに入らない容器からなる。これらの製造スクラップ材料および許容スペックハズレの材料は粉砕された後、再溶融され、容器の共押出し装置へ直接送られて押出し成形で使われる。この再利用の前に粉砕物を例えば2軸または単軸スクリュウ押出し機で溶融し、調整することができる。
【0008】
別の変形例ではリサイクル製品をタンクの両最外側層のHDPEに混合できる。例えば、リサイクル製品のペレットを両最外側層用の未加工HDPEのペレットと混合することができる。このリサイクル製品は任意の組合せで使用でき、リサイクル製品の比率は容器の総重量の最高50%にすることができる。
【0009】
下記文献にはポリアミドをマトリクスにしたポリアミドとポリオレフィンとのブレンド材料から成る内層とポリアミドから成る外層とを有するチューブが開示されている。
【特許文献2】欧州特許第EP 731 308号公報
【0010】
このポリアミドをベースにしたチューブはガソリンの輸送で使用され、特に自動車のタンクからガソリンをエンジンへ輸送され、大径にした場合にはガソリンスタンドで分配ポンプと地下貯蔵タンクとの間の炭化水素の輸送に使用される。
この発明の他の実施例ではエチレン単位とビニールアルコール単位とを有するポリマー(EVOH)の層を内層と外層との間に入れることができる。有利な構造は下記からなる:内層/EVOH層/結合層/外層。
【0011】
特許文献1(欧州特許第EP 742 236号公報)に開示のタンクはガソリンと直接接触するバリヤー層がないが、一定のバリヤ特性を有している。しかし、ガソリンのロスを極めて低くする必要がある場合にはバリヤ特性が不充分である。
【0012】
特許文献2(欧州特許第EP 731 308号公報)に開示のポリアミドの外層とガソリンと直接接触するバリヤー層とを有するパイプでは、ポリアミド層は製品全体の機械強度のために必要である。
下記文献には下記の順番の構成を有する構造が開示されている:
【特許文献3】欧州特許第EP 1122061 A号公報
【0013】
高密度ポリエチレン(HDPE)からなる第1層、
結合材料の層、
EVOHまたはEVOHをベースにしたブレンド材料の第2層、
任意成分としてのポリアミドまたはポリアミドとポリオレフィンとのブレンド材料の第3層。
【0014】
この特許には第3層を構成するポリアミドとポリオレフィンとのブレンド材料として多数の材料が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者は、第3層が必須であるということを見出した。
本発明者はさらに、優れたバリヤー特性を得るためにはHDPEを含まなければならないということを見出した。
本発明者はさらに、第3層のポリアミドの成形温度はあまりに高くてはならず且つEVOHの成形温度からあまりに離れていてはならない、ということを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、下記の(1)〜(5)の層を下記の順番で有し、全ての層が共押出し可能である構造を提供する:
(1) 高密度ポリエチレン(HDPE)の第1層、
(2) 結合材料の層、
(3) EVOHまたはEVOHをベースにしたブレンド材料の第2層、
(4) 任意成分の結合材料の層、
(5) 下記からなるブレンド材料の第3層(全体で100重量%):
成形温度が230℃以下のポリアミド(A) 50〜90%、
高密度ポリエチレン(HDPE) 1〜30%、
エラストマーおよび超低密度ポリエチレンの中から選択される衝撃改質剤 5〜30%、
(ただし、上記HDPEおよび衝撃改質剤の少なくとも一方は部分的または全体が官能化されている)
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
互いに異なるHDPEのブレンド材料を使用することができる(以下、官能化されていないものを「非官能化」と記載し、官能化されているものを「官能化」と記載する)。すなわち、各種の非官能化HDPEのブレンド材料、非官能化HDPEと同じHDPEの官能化物とのブレンド材料、非官能化HDPEと別のHDPEの官能化物とのブレンド材料、別々にグラフトされた二つの異なるHDPEのブレンド材料、その他の可能性な任意のブレンド材料にすることができる。
【0018】
衝撃改質剤も互いに異なる衝撃改質剤のブレンド材料を使用できる。すなわち、互いに異なる非官能化衝撃改質剤のブレンド材料、非官能化衝撃改質剤と同じ衝撃改質剤の官能化された衝撃改質剤とのブレンド材料、非官能化衝撃改質剤と官能化した他の衝撃改質剤とのブレンド材料、官能化した二つの互いに異なる衝撃改質剤のブレンド材料、官能化した衝撃改質剤と官能化されたHDPEとのブレンド材料(必要に応じてさらに非官能化衝撃改質剤や非官能化HDPEを含むことができる)、その他の可能性な任意のブレンド材料にすることができる。
【0019】
本発明で全ての層を「共押出し可能」であるということは各材料のレオロジーが同じレンジにあり、例えばパリソンを作ってブロー成形で中空体またはチューブを押出し成形できるということを意味している。
HDPEおよび/または衝撃改質剤の官能基の割合はポリアミド(A)とHDPEとをベースにした層が十分な機械的強度を有する上で必要ではあるが、共押出しが不可能になるほど粘度が高くならないような比率にする必要がある。
本発明はさらに、流体の貯蔵または輸送用装置、特に上記の構造を有し且つポリアミド(A)とHDPEとのブレンド材料の層が流体と接触するパイプ、タンク、分配具、ボトルおよびコンテナににも関するものである。本発明のこれらの装置は熱可塑性高分子材料の従来の工業的方法、例えば共押出し、共押出し/ブロー成形で製造できる。
第1層の高密度ポリエチレン(HDPE)は下記文献に記載されている。
【非特許文献1】Kirk-Othmer, 4th edition, Vol. 17, pages 704 and 724-725
【0020】
このHDPEはASTM D 1248-84に従うと少なくとも0.940の密度を有するエチレンポリマーである。HDPEとはエチレンのホモポリマーと、エチレンと少量のα-オレフィンとのコポリマーとを意味する。密度は0.940〜0.965との間にあるのが有利である。本発明ではHDPEのMFIは0.1〜50であるのが有利である。例としては密度が0.958で、MFIが0.9 g/10分(2.16kg、190℃)のEltex B 2008(登録商標)、フィナ社(FINA)社のFinathene、R MS201B(登録商標)およびバスフ社(BASF)のLupolen、4261 AQ(登録商標)が挙げられる。第1層の高密度ポリエチレンは密度が0.940〜0.965で、MFIが0.1〜5g/10分(5kg、190℃)であるのが有利である。
【0021】
第2層のEVOHコポリマーは鹸化された酢酸ビニール/エチレンコポリマーともよばれる。本発明で使用される鹸化された酢酸ビニール/エチレンコポリマーはエチレン含有量が20〜70モル%、好ましくは25〜70モル%のコポリマーで、その酢酸ビニール成分の鹸化度は95モル%以上である。エチレン含有量が20 モル%未満になると高湿条件下での障壁特性が所望値に達しなくなる。逆に、エチレン含有量が70モル%を越えると障壁特性が低下する。鹸化度または加水解離度が95モル%未満では障壁特性が悪くなる。
【0022】
「障壁特性またはバリヤー特性」とはガス、液体、特に、酸素と自動車のガソリンに対する不浸透性を意味する。本発明では特に自動車のガソリンに対する隔壁を意味する。
これらの鹸化共重合体の中では特に溶融流動指数(MFI)が0.5〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。このMFIは5〜30g/10分(2.16kg、230℃)を選択するのが有利である。「MFI」はMelt Flow Indexの省略である。
この鹸化共重合体は少量の他のコモノマーを含むことができる。他のコモノマーにはプロピレンのようなα-オレフィン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等や、不飽和カルボン酸またはその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、上記の酸の無水物、不飽和スルホン酸またはその塩が含まれる。
【0023】
EVOHをベースにしたブレンド材料はEVOHがマトリクスとなるもの、すなわち、EVOHが少なくとも40重量%、好ましくは50%のものである。このブレンド材料の他の構成成分はポリオレフィン、ポリアミドまたは必要に応じて官能化された衝撃改質剤の中から選択できる。この衝撃改質剤はエラストマー、エチレンと4〜10の炭素原子を有するオレフィンとのコポリマー(例えばエチレン−オクテンコポリマー)および超低密度ポリエチレンの中から選択できる。エラストマーの例としてはEPRおよびEPDMを挙げることができる。EPRはEthylene-Propylene Rubberエラストマーの省略であり、EPDMはエチレン-プロピレン−ジエンモノマーのエラストマーを表す。
【0024】
第2層のEVOHをベースにしたブレンド材料の最初の例としては下記の構成(重量部)を挙げることができる:
EVOHコポリマー 55〜99.5重量部、
ポリプロピレンと相溶化剤 0.5〜45重量部(この割合は相溶化剤の量に対するポリプロピレンの量の割合が1〜5となるような割合である)
【0025】
ポリプロピレンのMFIに対するEVOHのMFIの比は5以上、好ましくは5〜25であるのが有利でなる。ポリプロピレンのMFIは0.5〜3g/10分の間(2.16kg、230℃)であるのが有利である。好ましい実施例では相溶化剤はポリアミドのグラフト鎖を有するポリエチレンである。これは(i)エチレンとグラフトまたは共重合した不飽和モノマーXとのコポリマーと(ii)ポリアミドとの反応で得られる。エチレンとグラフトまたは共重合した不飽和モノマーXとのコポリマーは不飽和モノマーXが共重合したものが好ましく、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸コポリマーの中から選択でき、これらのコポリマーでは無水マレイン酸は0.2〜10重量%、アルキル(メタ)アクリレートは0〜40重量%である。
【0026】
他の有利な実施例では、相溶化剤は(i) プロピレンのホモポリマーまたはグラフトまたは共重合した不飽和モノマーXとのコポリマーと(ii)ポリアミドとの反応で得られる。不飽和モノマーXは不飽和カルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸であるのが好ましい。
【0027】
第2層のEVOHをベースにしたブレンド材料の第2の例としては下記の構成(重量部)を挙げることができる:
EVOHコポリマー 50〜98重量%、
ポリエチレン 1〜50重量%、
相溶化剤 1〜15重量%(この相溶化剤はLLDPEポリエチレンまたはメタロセンポリエチレンと、エラストマー、超低密度ポリエチレンおよびメタロセンポリエチレンの中から選択されるポリマーとのブレンド材料に不飽和カルボン酸またはこの酸の官能性誘導体が共グラフトしたもの)
上記相溶化剤はMFI10/MFI2の比が5〜20であるのが好ましい。ここで、MFI2はASTM D1238に従って測定した2.16kgの荷重下、190℃でのメルトフローインデックスであり、MFI10はASTM D1238に従って測定した10kgの荷重下、190℃でのメルトフローインデックスである。
【0028】
第2層のEVOHをベースにしたブレンド材料の第3の例としては下記の構成(重量部)を挙げることができる:
EVOHコポリマー 50〜98重量%、
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー 1〜50重量%、
相溶化剤 1〜15重量%(この相溶化剤は(i) エチレンとグラフトまたは共重合された不飽和モノマーXとのコポリマーと(ii)コポリアミドとの反応で得られたもの)
上記のエチレンとグラフトまたは共重合された不飽和モノマーXとのコポリマーは不飽和モノマーXが共重合されたもので、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマーまたはエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび無水マレイン酸のコポリマーであるのが有利である。このコポリマーは0.2〜10重量%の無水マレイン酸と、0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートとを含むのが有利である。
【0029】
第2層のEVOHをベースにしたブレンド材料の第4の例としては下記の構成(重量部)を挙げることができる:
EVOHコポリマー 50〜98重量%、
一部または全部が官能化されていてもよいエラストマーまたは官能化されたエラストマーと他の非官能化エラストマーとのブレンド材料 2〜50重量%
【0030】
第3層のポリアミド(A)とHDPEとのブレンド材料での「成形温度」とは他の層の材料と共押出しする温度、および/または、他の層の材料と共押出し−ブロー成形する温度を意味し、半結晶性ポリアミドの場合には融点(一般にM.pで表す)以上の温度、非晶質ポリアミドの場合にはTg(ガラス遷移温度)以上の温度である。ここで、「以上」という用語は一般に10〜50℃の温度差を意味する。
【0031】
ポリアミド(A)は下記単位を含む化合物の中から選択される:
(1) 一種または複数のアミノ酸、例えばアミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、一種または複数のラクタム、例えばカプロラクタム、エナントラクタムおよびラウリルラクタム、
(2) ジアミンと二酸との一種または複数の塩または混合物。二酸の例としてイソフタル酸、テレフタル酸または6〜18の炭素原子を有するジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、コルク酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸。ジアミンは6〜18の原子を有する脂肪族ジアミンで、芳香族および/または飽和環式ジアミンにすることができる。例としてはヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレン−ジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5-ジアミノヘキサン、2,2,4-トリメチル-16-ジアミノヘキサン、ポリオールジアミン、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)またはビス(3-メチル-4‐アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)を挙げることができる。
【0032】
コポリアミドも有利に使用できる。コポリアミドとしては少なくとも2つのα、ω−アミノカルボン酸、2つのラクタムまたはラクタムとα、ω−アミノカルボン酸との縮合で得られるコポリアミドを挙げることができる。さらに、少なくとも1種のα、ω−アミノカルボン酸(または一種のラクタム)、少なくとも一種のジアミンおよび少なくとも一種のジカルボン酸の縮合で得られるコポリアミドも挙げることができる。
ラクタムの例としては主環に3〜12の炭素原子を有するものを挙げることができ、置換されていてもよい。例としてはβ、β−ジメチルプロピオラクタム、α、α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタムおよびラウリルラクタムを挙げることができる。
【0033】
α、ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノウンデカン酸およびアミノドデカン酸を挙げることができ、ジカルボン酸の例としてはアジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ブタン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウム塩またはリチウム塩、ダイマー化された脂肪酸(これらのダイマー化された脂肪酸の含有量は少なくとも98%で、好ましは水素化されている)およびドデカンジオン酸HOOC-(CH2)10-COOHを挙げることができる。
【0034】
コポリアミドの例としてカプロラクタムとラウリルのラクタムとのコポリマー(PA 6/12)、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA 6/6-6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA 6/12/6-6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、アゼライン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA 6/6-9/11/12)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA 6-9/12)、ラウリルラクタム、アゼライン酸およびヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA 6/6-6/11/12)を挙げられる。
【0035】
これらのポリアミド(A)は全て公知であり、ポリアミドの通常の製造プロセスに従って製造できる。
コポリアミドはPA 6/12およびPA 6/6-6の中から選択するのが好ましい。
ポリアミドのブレンド材料を使用することができる。96%硫酸で測定した相対粘度は2〜5であるのが有利である。
【0036】
ポリアミド(A)の一部をポリアミドブロックとポリエーテルブロックとから成るコポリマーに代えても本発明の範囲を逸脱すのものではない。すなわち、少なくとも一種の上記ポリアミドと、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有する少なくとも一種のコポリマーとから成るブレンド材を使用することができる。
【0037】
このポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマーは反応性末端を有するポリアミド単位と反応性末端を有するポリエーテル単位との共重縮合で得られ、特に、下記の共重縮合で得られる:
1) ジアミン末端を有するポリアミド単位と、ジカルボキシル末端を有するポリオキシアルキレン単位との共重縮合、
2) ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位と、ポリエーテル-ジオールとよばれるジヒドロキ化された脂肪族α、ω−ポリオキシアルキレン単位のシアンエチル化および水素化で得られるジアミン末端を有するポリオキシアルキレン単位との共重縮合、
3) ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位と、ポリエーテルジオールとの共重縮合、この場合に得られるものがポリエーテルエステルアミドである。このコポリマーを使用するのが有利である。
【0038】
ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位は例えば連鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でのα、ω−アミノカルボン酸、ラクタムまたはジカルボン酸とジアミンとの縮合で得られる。
ポリエーテルの例はポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)またはポリテトラメチレングリコール(PTMG)である。後者はポリテトラヒドロフラン(PTHF)ともよばれる。
【0039】
ポリアミド単位の数平均モル質量Mnは300〜15000、好ましくは600〜5000であるのが好ましい。ポリエーテル単位の数平均分子量Mnは100〜6000、好ましくは200〜3000でるのが好ましい。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するポリマーはランダムに分布した単位を含んでいてもよい。そうしたポリマーはポリエーテルとポリアミドブロックの先駆物質との併発反応で作ることができる。
例えばポリエーテルジオール、ラクタム(またはα、ω−アミノ酸)および連鎖制限剤の二酸とを少量の水の存在下で反応させることができる。得られたポリマーは基本的に種々の鎖長のポリエーテルブロックとポリアミドブロックとからなるが、ランダムに反応した各種反応物がポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。
【0040】
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するこれらのポリマーは、予め作ったポリアミド単位およびポリエーテル単位の共重縮合の場合も一段階の反応で作った場合もショア硬度Dが例えば20〜75、好ましくは30〜70で、250℃で初期濃度0.8g/100mlでメタクレゾール中で測定した固有粘度は0.8〜2.5である。また、MFI値は5〜50である(荷重1kg、235℃)。
【0041】
ポリエーテルジオールブロックはそのまま用いてカルボキシル末端を有するポリアミドブロックと共重縮合するか、アミン化してポリエーテルジアミンに変えた後にカルボキシル末端を有するポリアミドブロックと縮合する。また、ポリアミド先駆物質と連鎖制限剤とを混合してランダムに分布したポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するポリマーにすることもできる。
【0042】
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するポリマーは下記文献に記載されている。
【特許文献4】米国特許第4 331 786号明細書
【特許文献5】米国特許第4 115 475号明細書
【特許文献6】米国特許第4,195,015号明細書
【特許文献7】米国特許第4 839 441号明細書
【特許文献8】米国特許第4,864,014号明細書
【特許文献9】米国特許第4 230 838号明細書
【特許文献10】米国特許第4 332 920号明細書
【0043】
ポリアミドの量に対するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するポリマーの重量比は10/90〜60/40にするのが有利である。
【0044】
第3層のHDPEの密度は0.940〜0.965であるのが有利であり、そのMFIは1〜10g/10分(5kg、190℃)であるのが好ましい。
【0045】
衝撃改質剤のエラストマーとしてはSBS、SIS、SEBSのブロックポリマー、エチレン/プロピレン(EPR)またはエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)エラストマーを挙げることができる。衝撃改質剤の超低密度ポリエチレンの例は0.860〜0.900の密度を有するメタロセンポリエチレンである。
【0046】
エチレン/プロピレン(EPR)またはエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)エラストマーを使用するのが有利である。官能化は不飽和カルボン酸をグラフトまたは共重合で導入して行うことができる。この酸の官能性誘導体を使用しても本発明の範囲を逸脱するものではない。不飽和カルボン酸の例としては2〜20の炭素原子数を有するもの、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸を挙げることができる。これらの酸の官能性誘導体としては例えばその無水物、エステル誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体および不飽和カルボン酸の金属塩(例えばアルカリ金属塩)を挙げることができる。
【0047】
4〜10の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸およびその官能性誘導体(特にそれらの無水物)が特に好ましいグラフトモノマーである。そうしたグラフトモノマーの例としてはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリル琥珀酸、シクロヘキサ-4-エン-12-ジカルボン酸、4-メチルシクロヘキサ-4-エン-12-ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、x-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリル琥珀酸無水物、シクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-メチルシクロヘキサ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物およびx-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物が挙げられる。無水マレイン酸を使用するのが有利である。
【0048】
ポリマーにグラフトモノマーをグラフトする方法は種々知られている。例えば、溶剤の存在下または不存在下、また、ラジカル発生剤の存在下または不存在下でポリマーを約150℃〜約300℃の高温に加熱して行うことができる。グラフトモノマーの量は適宜選択できるが、グラフト鎖を付けるポリマー重量の600ppm〜2重量%、好ましくは0.01〜10重量%にするのが好ましい。
【0049】
HDPEと衝撃改質剤の全部または一部をグラフトさせることができる。また、HDPEを全部または一部グラフトした後、それを衝撃改質剤と混合することもできる。さらに、衝撃改質剤をHDPEに別々に全部または一部グラフトし、グラフトした2つを混合することもできる。また、衝撃改質剤とHDPEとを混合し、得られた混合物を全部または一部グラフトすることもできる。
【0050】
官能化または非官能化HDPEと官能化または非官能化衝撃改質剤との合計に対する官能化されたHDPEおよび/または官能化された改質剤の比率は0〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。
本発明の一実施例ではHDPEは官能化されず、衝撃改質剤は全部または一部が官能化される。
【0051】
第3層のブレンド材料の組成は下記にするのが有利である(合計で100重量%):
ポリアミド(A) 55〜80%、
高密度ポリエチレン(HDPE) 10〜20%、
衝撃改質剤 10〜30%。
第3層のブレンド材料は従来の熱可塑性ポリマーの工業的装置で溶融状態で各構成成分を混合することで作ることができる。
【0052】
第1層は新しいHDPEの層とリサイクルポリマーの層とで構成できる。リサイクルポリマー層(「再粉砕物」層ともよばれる)は上記で説明したように貯蔵容器や輸送装置の製造時に乗じたスクラップ材料やスペックが外れた製品からでる。リサイクルポリマーの層は結合材料の層の側にする。以下の説明では説明を簡単にするために新しいHDPEの層とリサイクルポリマーの層を「第1層」ということにする。リサイクルポリマーの層には官能化されたポリオレフィンを加えることができ、その割合は例えば0.1〜10重量%である。この官能化したポリオレフィンは結合材料の中から選択するのが有利である。このリサイクルポリマーの層にHDPE、官能化されたポリオレフィンまたはこれらのブレンド物を加えることができる。
【0053】
第1層の厚さは2〜10mm、第2層の厚さは30〜500μm、第3層の厚さは500μm〜4mmにすることができる。容器、タンクの場合には一般に全体の厚さを3〜10mmにすることができる。
【0054】
結合材料の例としては官能化されたポリオレフィンを挙げることができる。第1層と第2層との間の結合材料および第2層と第3層との間の結合材料は同一でも異なっていてもよい。以下の結合材料の説明において、「ポリエチレン」という用語はホモポリマーとコポリマーを意味する。
【0055】
結合材料の第1の例としては、ポリエチレン(C1)と、エラストマー、超低密度ポリエチレンおよびエチレンコポリマーの中から選択されるポリマー(C2)とのブレンド材料で、このブレンド材料(C1)+(C2)に不飽和カルボン酸が共グラフトしたものを挙げることができる。
【0056】
この変形例としては下記(i)と(ii)とのブレンド材を挙げることができる:
(i) エラストマー、超低密度ポリエチレンおよびエチレンコポリマーの中から選択されるポリマー(C2)で、(C2)は不飽和カルボン酸がグラフトしているもの、
(ii) エラストマー、超密度ポリエチレンおよびエチレンコポリマーの中から選択されるポリマ(C'2)。
【0057】
結合材料の第2の例としては、以下のポリマー(D)とポリエチレン(E)のブレンド材が挙げられる:
0.910〜0.940の密度を有するポリエチレン(D1)と、エラストマー、超密度ポリエチレンおよびメタロセンポリエチレンの中から選択されるポリマー(D2)とのブレンド材料から成り、このブレンド材料(D1)+(D2)に不飽和カルボン酸が共グラフトされているポリマー(D) 5〜30重量部と
0.910〜0.930の密度を有するポリエチレン(E) 95〜70重量部。
(D)と(E)のブレンド材料は密度が0.910〜0.930で、グラフトされた不飽和カルボン酸の含有量は30〜10000ppmで、MFI(ASTM D 1238、190℃、2.16kg)が0.1〜3g/10分である(MFIは溶融流動指数を表す)。
【0058】
結合材料の密度は0.915〜0.920であるのが有利である。(D1)と(E)はLLDPEであるのが有利であり、好ましくは同じコモノマーを有するのが有利である。このコモノマーは1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-ブテンから選択できる。
【0059】
結合材料の第3の例としては下記のポリマー(F)とポリエチレン(G)とのブレンド材料が挙げられる:
0.935〜0.980の密度を有するポリエチレン(F1)と、エラストマー、超密度ポリエチレンおよびエチレンコポリマーの中から選択されるポリマー(F2)とのブレンド材料から成り、このブレンド材料(F1)+(F2)に不飽和カルボン酸が共グラフトしたポリマー(F) 5〜30重量部、
0.930〜0.950の密度を有するポリエチレン(G) 95〜70重量部。
(F)と(G)のブレンド材料は密度が0.930〜0.950、好ましくは0.930〜0.940で、グラフトされた不飽和カルボン酸の含有量は30〜10000 ppmで、MFI(メルトフローインデックス)(ASTM D 1238、190℃、2.16kgで測定)は5〜100である。
【0060】
結合材料の第4の例としては、MFIが0.1〜3で、密度が0.920〜0.930で、90℃のn-デカン不溶分が2〜40重量%である無水マレイン酸がグラフトされたポリエチレンが挙げられる。上記のn-デカン不溶分はグラフトされたポリエチレンを140℃のn-デカンに溶かし、90℃に冷却し、析出させ、濾過する。濾過し、90℃で回収した不溶物(重量パーセント)から計算する。この重量パーセントが2〜40%の間にある場合に結合材料はガソリンに対して優れた抵抗を示す。
【0061】
グラフトされたポリエチレンをグラフトしていないポリエチレン中に希釈する、すなわち、結合材料は2〜30重量部の0.930〜0.980の密度を有するグラフトされたポリエチレンと、70〜98重量部の0.910〜0.940の密度、好ましくは0.915〜0.935の密度を有するグラフトしていないポリエチレンとのブレンド材料にするのが有利である。
【0062】
結合材料の第5の例としては、以下のポリエチレン(J)とポリマー(K)とのブレンド材料を挙げることができる:
0.9以上の密度を有するポリエチレンのホモポリマーまたはコポリマー(J) 50〜100重量部、
ポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー(K1)と、ポリ(1-ブテン)のホモポリマーまたはコポリマー(K2)と、ポリスチレンのホモポリマーまたはコポリマー(K3)の中から選択されるポリマー(K) 0〜50重量部。
(J)+(K)は100重量部で、(J)+(K)のブレンド材料に少なくとも0.5重量%の官能性モノマーがグラフトされ、ブレンド材料自体を少なくとも一種のポリエチレンのホモポリマーまたはコポリマー(L)中か、エラストマ特性を有する少なくとも一種のポリマー(M)中か、(L)と(M)のブレンド物中かに希釈する。
【0063】
本発明の一実施例では上記の(J)が0.930〜0.910の密度を有するLLDPEで、コモノマーは4〜8の炭素原子を有する。本発明の他の実施例では上記の(K)がHDPEで、その密度は少なくとも0.945、好ましくは0.980〜0.950であるのが有利である。
官能性モノマーは無水マレイン酸で、その含有量は(J)+(K)の重量に対して1〜5重量%であるのが有利である。
上記の(L)はLLDPEにし、コモノマーの炭素原子数は4〜8で、密度は少なくとも0.9、好ましくは0.910〜0.930であるのが有利である。
また、(J)+(K)の3〜25重量部に対して(L)または(M)または(L)+(M)の量を97〜75重量部にするのが有利である((J)+(K)+(L)+(M)は100重量部)。
【0064】
結合材料の第6の例としては、HDPE、LLDPE、VLDPEまたはLDPEタイプのポリエチレンと、5〜35重量%のグラフトされたメタロセンポリエチレンと、0〜35重量%のエラストマーとから成るブレンド材料(合計100重量%)を挙げることができる。
【0065】
結合材料の第7の例としては、下記(1)と(2)とのブレンド材料を挙げることができる:
(1) 少なくとも一種のポリエチレンまたはエチレンのコポリマー、(2) ポリプロピレン、プロピレンのコポリマー、ポリ(1-ブテン)のホモポリマーまたはコポリマー、ポリスチレンのホモポリマーまたはコポリマー、そして、から選択される少なくとも一つのポリマー、好ましくはポリプロピレン、
この(1)と(2)とのブレンド材料には官能性モノマーがグラフトされ、必要に応じてグラフトされたブレンド材料自体を少なくとも一種のポリオレフィン中か、エラストマー特性を有する少なくとも一種のポリマー中か、これらのブレンド物中に希釈することができる。グラフトする上記ブレンド材料において、ポリエチレンはこのブレンド材料の少なくとも50重量%、好ましくは60〜90重量%であるのが有利である。
官能性モノマーはカルボン酸およびその誘導体、酸塩化物、イソシアネート、オキサゾリン誘導体、エポキシド、アミンまたは水酸化物の中から選択し、好ましくは不飽和ジカルボン酸無水物を選択するのが有利である。
【0066】
結合材料の第8の例としては、下記(1)と(2)とのブレンド材料を挙げることができる:
(1) 少なくとも一種のLLDPEまたはVLDPEポリエチレン、
(2) エチレン/プロピレンコポリマーおよびエチレン/ブテンコポリマーの中から選択される少なくとも一種のエチレンベースのエラストマー、
このポリエチレンとエラストマーとのブレンド材料には不飽和カルボン酸またはこの酸の官能性誘導体が共グラフトされ、必要に応じてこの共グラフトされたブレンド材料はポリエチレンのホモポリマーまたはコポリマーおよびスチレンのブロック共重合体の中から選択をされるポリマー中に希釈されていてもよく、
この結合材料はさらに下記を満足する:
(a) エチレン含有量は少なくとも70モル%、
(b) カルボン酸またはその誘導体の含有量は結合材料の0.01〜10重量%、
(c) MFI10/MFI2の比は5〜20(ここで、MFI2はASTM D1238に従って2.16kgの荷重下、190℃で測定したメルトフローインデックス、MFI10はASTM D1238に従って10kgの荷重下、190℃で測定したメルトフローインデックスである)。
【0067】
本発明構造の結合材料の層を含めた各層には以下の中から選択される少なくとも一種の添加物を加えることができる:
(1) 充填材(無機、難燃剤、導電材料等)、
(2) ナノ充填剤(例えばナノクレー)
(3) ナノ複合材料、
(4) 繊維、
(5) 着色材料、
(6) 顔料、
(7) 光沢剤、
(8) 抗酸化剤、
(9) 核剤、
(10) 紫外線安定剤。
【実施例】
【0068】
使用したポリマー:
PA A1
L6/[AA+HMDA]の質量比が85/15で、ISO 307規格に従って測定した「粘度数」が186である、カプロラクタム(L6)と、アジピン酸(AA)と、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)とのターポリマー。
PA A2
モノマー重量組成が70/30で、100mlのメタクレゾール中0.5g濃度で20℃での固有粘度が1.3dl/gである、カプロラクタムとラウリルラクタムとのコポリマー。
PA A3
融点が190℃、ISO 1133規格に従って測定したメルトフローインデックスが120(荷重5kg、275℃)である、カプロラクタムとラウリルラクタムとのコポリマー。
【0069】
PA A4
100mlのメタクレゾール中で0.5g濃度で20℃で測定した固有粘度が1.55〜1.74dl/gであるラウリルラクタムのホモポリマー。
PA A5
100mlのメタクレゾール中で0.5g濃度で20℃で測定した固有粘度が1.35〜1.52dl/gである、11-アミノウンデカン酸のホモポリマー。
PA A6(10.10)
100mlのメタクレゾール中で0.5g濃度で20℃で測定した固有粘度が1.4dl/gである、セバシン酸(AS)とデカンジアミン(DA)との等モルコポリマー。
PA A7(MXD.10)
100mlのメタクレゾール中で0.5g濃度で20℃で測定した固有粘度が1.4dl/gである、メタ−キシリレンジアミン(MXD)とセバシン酸(AS)との等モルコポリマー。
【0070】
PA A8(MXD.12)
100mlのメタクレゾール中で0.5g濃度で20℃で測定した固有粘度が1.4dl/gである、メタ−キシリレンジアミン(MXD)とドデカンジオン酸(DDA)との等モルコポリマー。
PE 1
ISO 1183規格に従って測定した密度が0.952で且つISO 1133規格に従って測定したメルトフローインデックス(荷重2.16kg、190℃)が23/10分であるポリエチレン。
PE 2
ISO 1183規格に従って測定した密度が0.949で且つISO 1133規格に従って測定したメルトフローインデックス(荷重2.16kg、190℃)が8g/10分であるポリエチレン。
P1:
無水マレイン酸を1重量%だけグラフトした、ムーニー粘度(ML、1+4、125℃)が30で、密度が0.89のエチレンと、プロピレンと、ジエンモノマーとのターポリマー。
P2:
ML(1+4)、100℃の条件下でのムーニー粘度が30であるエチレンと、プロピレンと、ジエンモノマーとのターポリマー。
【0071】
EVOH
ISO 1133規格に従って測定した粘度指数(荷重2.16kg、210℃)が3.2gである、エチレンが29重量%であるエチレンとビニールアルコールとのコポリマー。
T1(Orevac):
ISO 1238規格に従って測定したメルトフローインデックス(荷重2.16kg、190℃)が1である、3000ppmの無水マレイン酸をグラフトしたポリエチレン。
アロイ1
ISO 1133規格に従って測定した粘度指数(荷重2.16kg、275℃)が15で、融点(M.p)が255℃の、PAとPPとの相溶化された混合物。Applicant Companyから「Orgalloy(登録商標)RS6600」で市販のもの)。
アロイ2
ISO 1133規格に従って測定した粘度指数(荷重2.16kg、235℃)が2で、融点(M.p)は225℃であるが成形温度は250℃である、PAとPEとの相溶化された混合物。Applicant Companyから「Orgalloy(登録商標)LE 6000」で市販のもの)。
アロイ3
ISO 1133規格に従って測定した粘度指数(荷重2.16kg、235℃)が3で、融点(M.p)が195℃の、PAとPEとの相溶化された混合物。Applicant Companyから「Orgalloy(登録商標)LEC601」で市販のもの)。
【0072】
ポリアミドとポリオレフィンとのアロイの製造
ポリアミドとポリオレフィンとのアロイは共回転するワーナー社の2段スクリュー押出機(Werner und Pfleiderer ZSK 40、直径=40mm、L =40D)を用いて製造した。
【0073】
共押出し/ブロー成形による多層中空体の製造
5台の押出機((特にことわらない限り、バレル温度は220℃に調整)を備えたBekum社の共押出し/ブロー成形ラインを使用して多層ボトルを製造した。
下記の2つのタイプの構造をブロー成形した:
【0074】
(1) 内側から外側へ下記の層を有する4層構造:
1 ポリアミドとポリオレフィンとのアロイの層
厚さ:全体の厚さの30%(押出機1)
2 EVOHの層
厚さ:全体の厚さの5%(押出機2)
3 T1の層
厚さ:全体の厚さの5%(押出機3)
4 PE2の層
厚さ:全体の厚さの60%(押出機4)
全体の厚さの平均は3mmである。
【0075】
(2) 内側から外側へ下記の層を有する5層構造:
1 ポリアミドとポリオレフィンとのアロイの層
厚さ:全体の厚さの30%(押出機1)
2 T1の層
厚さ:全体の厚さの5%(押出機5)
3 EVOHの層
厚さ:全体の厚さの5%(押出機2)
4 T1の層
厚さ:全体の厚さの5%(押出機3)
5 PE2の層
厚さ:全体の厚さの55%(押出機4)
全体の厚さの平均は3mmである。
【0076】
ボトルの衝撃強度
ブロー成形されたボトルを予め−40℃の条件下に置いた後、下記条件でその平面の衝撃強度をテストした:
T =−40℃
衝撃速度=4.3m/秒
このテストで得られる力−変形曲線から多層ボトルの衝撃強度が計算できる。
【0077】
結果
実施例1〜3
下記の[表1]に示す3つの4層構造のボトルをBekum押出機ラインで押出しブロー成形した。
【0078】
【表1】

【0079】
この実験結果は、共押出しブロー成形加工を正しく行うためには成形温度が230℃以下のポリアミドを使用しなければならないことを示している。
【0080】
実施例4〜7
下記の[表2]のポリアミドとポリオレフィンとのアロイを作った。
【表2】

【0081】
実施例8〜11
下記の[表3]に示す4つの5層構造のボトルをBekum押出機ラインで押出しブロー成形した。
【0082】
【表3】

【0083】
実施例12〜17
下記の[表4]に示すポリアミドとポリオレフィンとのアロイを作った。
【表4】

【0084】
実施例18〜22
下記の[表5]に示す6つの5層構造のボトルをBekum押出機ラインで押出しブロー成形した。
【0085】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)〜(5)の層を下記の順番で有し、全ての層が共押出し可能である構造:
(1) 高密度ポリエチレン(HDPE)の第1層、
(2) 結合材料の層、
(3) EVOHまたはEVOHをベースにしたブレンド材料の第2層、
(4) 任意成分の結合材料の層、
(5) 下記からなるブレンド材料の第3層(全体で100重量%):
成形温度が230℃以下のポリアミド(A) 50〜90%、
高密度ポリエチレン(HDPE) 1〜30%、
エラストマーおよび超低密度ポリエチレンの中から選択される衝撃改質剤 5〜30%、
(ただし、上記HDPEおよび衝撃改質剤の少なくとも一方は部分的または全体が官能化されている)
【請求項2】
上記のポリアミド(A)がPA 6/6-6またはPA 6/12である請求項1に記載の構造。
【請求項3】
官能化または非官能化HDPEと官能化または非官能化衝撃改質剤との合計に対する、官能化HDPEおよび/または官能化改質剤の割合が0〜70重量%である請求項1または2に記載の構造。
【請求項4】
官能化または非官能化HDPEと官能化または非官能化衝撃改質剤との合計に対する、官能化HDPEおよび/または官能化改質剤の割合が5〜60重量%である請求項3に記載の構造。
【請求項5】
官能化または非官能化HDPEと官能化または非官能化衝撃改質剤との合計に対する、官能化HDPEおよび/または官能化改質剤の割合が20〜60重量%である請求項4に記載の構造。
【請求項6】
HDPEが非官能化で且つ衝撃改質剤の全部または一部が官能化されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の構造。
【請求項7】
衝撃改質剤がEPRまたはEPDMである請求項1〜6のいずれか一項に記載の構造。
【請求項8】
官能化された衝撃改質剤が無水マレイン酸がグラフトしたEPRまたはEPDMである請求項1〜7のいずれか一項に記載の構造。
【請求項9】
第3層のブレンド材料が下記割合を有する(合計100重量%)請求項1〜8のいずれか一項に記載の構造:
ポリアミド(A) 55〜80%、
高密度ポリエチレン(HDPE) 10〜20%、
衝撃改質剤 10〜30%
【請求項10】
第1層と結合層との間にリサイクルポリマの層を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の構造。
【請求項11】
リサイクルポリマの層にHDPEおよび/または官能化されたポリオレフィンを加えた請求項10に記載の構造。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の構造を有し、第3層が貯蔵または輸送される流体と直接接する流体の貯蔵または輸送用装置、特にパイプ、タンク、注入装置、ボトルおよびコンテナ。

【公開番号】特開2006−1280(P2006−1280A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166392(P2005−166392)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(591004685)アルケマ (112)
【Fターム(参考)】