説明

ポリアルキルオキシレン架橋シリコーンエラストマーを有するシリコーン‐有機ゲル

キャリア液体中にシリコーン-有機エラストマーを含有するシリコーン-有機ゲルおよびゲルペースト組成物が開示されている。このシリコーン-有機エラストマーは、直鎖状または分岐状オルガノ水素シロキサン、α,ω‐不飽和ポリオキシアルキレン、およびヒドロシリル化触媒の反応生成物である。このシリコーン-有機エラストマーは、特に有機キャリア液体をゲル化するのに有用である。このゲルおよびゲルペーストは、多くのパーソナルケアおよびヘルスケア活性成分との高い相溶性をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年6月29日に出願された米国特許出願US60/937,827の優先権を請求する。
本開示は、キャリア液体中にシリコーン-有機エラストマーを含有するシリコーン-有機ゲルおよびゲルペースト組成物に関する。シリコーン-有機エラストマーは、直鎖状または分岐状オルガノ水素シロキサン、α,ω‐不飽和ポリオキシアルキレン、およびヒドロシリル化触媒の反応生成物である。シリコーン-有機エラストマーは、特に、有機キャリア液体をゲル化するのに有用である。このゲルおよびゲルペーストは、多くのパーソナルケアおよびヘルスケア活性成分との高い相溶性(compatibility)をもたらす。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーゲルは、適用時に独特の感覚プロフィルをもたらすことによって、パーソナルケア製剤の美観を高めるために広く使われている。ほとんどのシリコーンエラストマーゲルは、SiHポリシロキサンと、不飽和炭化水素置換基を有する他のポリシロキサン、例えばビニル官能性ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化架橋反応させることによって、あるいは、SiHポリシロキサンと、炭化水素ジエンとを架橋させることによって得られる。シリコーンエラストマーは、キャリア液体の存在下で形成させることができる。あるいは、シリコーンエラストマーを、高固形分で形成させ、続いてせん断にかけ、キャリア液体と混合し、ゲルまたはペースト状組成物を作ることもできる。このようなシリコーンエラストマーの代表的な例は、米国特許第5,880,210号および米国特許第5,760,116号に教示されている。
【0003】
シリコーンエラストマーは、パーソナルケア処方の改良に飛躍的な進歩をもたらしてきたが、その使用を制限する幾つかの欠点を有している。例えば、大部分がジメチルシロキサン含量であるシリコーンエラストマーは、有機ベースの溶媒およびキャリア液体のゲル化には効果が小さい。高ジメチルシロキサンを有するシリコーンエラストマーゲル組成物は、多くのパーソナルケア成分との相溶性も限られている。例えば、広く使われているサンスクリーン剤であるオクチルメトキシシンナメートは、シリコーンエラストマーゲルの多くにおいて低い溶解性を有する。別の問題は、そのような非相溶性成分の存在下で、シリコーンエラストマーゲルの粘度が減少することである。したがって、有機溶媒をゲル化することができるシリコーンエラストマーを見出す必要がある。さらに、シリコーンエラストマーゲルに付随する美観を維持しながら、多くのパーソナルケア成分との高められた相溶性を有するシリコーンエラストマーゲルを見出す必要がある。この目的を達成するため、シリコーンエラストマーと各種のパーソナルケア成分との相溶性を改良するための多くの試みがなされてきた。これらの試みでは、アルキル、ポリエーテル、アミンまたは他の有機官能性基が、シリコーン-有機エラストマー骨格にグラフトされてきた。このような有機官能性シリコーンエラストマーの代表例は、米国特許第5,811,487号、米国特許第5,880,210号、米国特許第6,200,581号、米国特許第5,236,986号、米国特許第6,331,604号、米国特許第6,262,170号、米国特許第6,531,540号、および米国特許6,365,670号に教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,880,210号
【特許文献2】米国特許第5,760,116号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シリコーンエラストマーベースゲルの相溶性、特に有機ベース揮発性液体およびパーソナルケア成分との相溶性を改良することが、依然として求められている。そのように改良される相溶性は、感覚的な美的プロファイルを犠牲にしてはならない。さらに、キャリア液体中のシリコーンエラストマーのゲル化または増粘化効率が、維持されるか、改良されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定のポリオキシアルキレン架橋剤に基づくシリコーン-有機エラストマーが、効率的にキャリア液体のゲル化組成物をもたらすことを見出した。得られるゲル化組成物はまた、追加的利点、例えば、多くの通常のパーソナルケア成分との改良された相溶性を、感覚的美観を保持しながら有する。
【0007】
本開示は;
i)A)平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
v≧2、x≧0、y≧2である)
のシロキシ単位を含むオルガノ水素シロキサン、
B)平均式:
O‐[(CHO)(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
cは、0から50までであり、
dは、0から100までであり、
eは、0から100までであり、
ただし、(d+e)/(c+d+e)の比が0.5よりも大きい)
を含むポリオキシアルキレン、
C)ヒドロシリル化触媒
の反応生成物を含むシリコーン-有機エラストマー;および
ii)キャリア液体
を含む組成物であって、組成物がゲルである組成物に関する。
【0008】
本開示はまた、シリコーン-有機ゲルおよびゲルペーストの製造方法を提供する。
【0009】
本開示のシリコーン-有機エラストマーは、有機キャリア液体をゲル化するために特に有用である。ゲルおよびゲルペーストは、多くのパーソナルケア成分およびヘルスケア活性成分との高められた相溶性をも与える。したがって、パーソナルまたはヘルスケア活性成分を含有するゲルまたはゲルペースト組成物を、さらにまたここに開示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、イソドデカン中のエラストマーブレンドペーストの感覚的挙動を示す図である。ヘキサジエンで架橋した材料と、ビス(アリル)ポリ(プロピレングリコール)で架橋した材料との吸収前の比較を示す。
【図2】図2は、イソドデカン中のエラストマーブレンドペーストの感覚的挙動を示す図である。ヘキサジエンで架橋した材料と、ビス(アリル)ポリ(プロピレングリコール)で架橋した材料との吸収後の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のゲルおよびゲルペースト組成物は、i)シリコーン-有機エラストマー(成分A)、B)、C)および任意のD)の反応からのもの)と、ii)キャリア液体とを含む。このゲルおよびゲルペースト組成物はさらに、E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分を含んでいてもよい。
(i)シリコーン-有機エラストマー
本開示のシリコーン-有機エラストマーは、オルガノ水素シロキサン、α,ω‐不飽和ポリオキシアルキレン、およびヒドロシリル化触媒〔成分A)、B)、およびC)の各成分〕のヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。用語「ヒドロシリル化」は、触媒(例えば、成分C)の存在下、ケイ素に結合した水素を有する有機ケイ素化合物(例えば、成分A)を、脂肪族不飽和を有する化合物(例えば、成分B)に付加反応させることを意味する。ヒドロシリル化反応は当技術分野では公知であり、そのような公知な方法または技術はいずれも、成分A)、B)、およびC)のヒドロシリル化反応を行わせて、本開示の成分i)であるシリコーン-有機エラストマーを製造するために用いることができる。
【0012】
本シリコーン-有機エラストマーは、2〜30個の炭素を含有する炭化水素基、ポリオキシアルキレン基、およびこれらの混合から独立に選択される、側鎖(pendant)の非架橋部分を含むこともできる。このような側鎖の基は、
成分D’)2〜30個の炭素を含有し、末端不飽和脂肪族基を1個有する炭化水素、および/または
成分D”)末端不飽和脂肪族基を1個有するポリオキシアルキレン
が、シリコーン-有機エラストマーに、ヒドロシリル化反応によって任意に付加反応することによって得られる。
【0013】
本シリコーン-有機エラストマーを製造するためのヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下で行うことができ、溶媒は、その後、公知の技術により除去することができる。あるいは、ヒドロシリル化反応は、成分ii)として記載されるキャリア液体と同じ溶媒中で行うことができる。
【0014】
A)オルガノ水素シロキサン
本発明の成分A)は、直鎖状または分岐状の、1分子当たり平均して少なくとも2個のSiH単位を有するオルガノ水素シロキサンである。本明細書において、オルガノ水素シロキサンは、ケイ素に結合した水素原子(SiH)を有する任意のオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンは、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)のシロキシ単位(式中、Rは任意の有機基である)から独立に選ばれるシロキシ単位を含有するポリマーである。オルガノポリシロキサンの(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)のシロキシ単位において、Rがメチル基である場合には、これらのシロキシ単位は、通常、それぞれM、D、T,およびQ単位と呼ばれる。これらのシロキシ単位は、種々の仕方で組み合わされ、環状、直鎖状、または分岐状構造を形成することができる。得られるポリマー構造の化学的かつ物理的特性はさまざまであり得る。例えば、オルガノポリシロキサンは、揮発性または低粘度の液体、高粘度の液体/ガム、エラストマーもしくはラバー、および樹脂であり得る。
【0015】
オルガノ水素ポリシロキサンは、少なくとも1個のSiHを有するシロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンである。すなわち、オルガノポリシロキサンの少なくとも1個のシロキシ単位は、式(RHSiO0.5)、(RHSiO)、または(HSiO1.5)を有する。したがって、本発明で有用なオルガノ水素シロキサンは、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、(RHSiO0.5)、(RHSiO)、(HSiO1.5)または(SiO)のシロキシ単位の任意の数を、1分子中に平均して少なくとも2個のSiHシロキシ単位が存在することを条件に、含んでいてよく、このオルガノ水素シロキサンは直鎖状または分岐状である。本明細書において、「直鎖状または分岐状」のオルガノ水素シロキサンは、環状オルガノ水素シロキサン構造を除外する。成分A)は、直鎖状または分岐状オルガノ水素シロキサン単独であっても、以下の特性;構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、および配列の少なくとも1つが異なる二種以上の直鎖状または分岐状オルガノ水素シロキサンを含む組合せであってもよい。
【0016】
オルガノ水素シロキサンは、平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
v≧2であり、
x≧0、あるいはx=1から500、あるいはx=1から200であり、
y≧2、あるいはy=2から200、あるいはy=2から100である)
を有することができる。
【0017】
は、置換または非置換の脂肪族または芳香族ヒドロカルビルであってよい。一価非置換脂肪族ヒドロカルビルは、これらだけに限定されないが、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシルなど)、ならびにシクロアルキル基(例えばシクロヘキシルなど)によって例示される。一価置換脂肪族ヒドロカルビルは、これらだけに限定されないが、ハロゲン化アルキル基(例えばクロロメチル、3−クロロプロピル、および3,3,3‐トリフルオロプロピルなど)によって例示される。芳香族炭化水素基は、これらだけに限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、および2‐フェニルエチルによって例示される。
【0018】
一つの実施態様では、オルガノ水素シロキサンは、追加シロキシ単位を含んでいてもよく、平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(RSiO1.5
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(SiO
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(SiO(RSiO1.5
(式中、
は水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
さらに、v≧2、w≧0、x≧0、y≧2、かつz≧0である)
を有していてよく、あるいは、これらの任意の混合物であってよい。
【0019】
一つの実施態様では、オルガノ水素シロキサンは、平均式;
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、x≧0、あるいはx=1から500、あるいはx=1から200であり、
およびy≧2、あるいはy=2から200、あるいはy=2から100である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサンから選ばれる。
【0020】
一つの実施態様では、オルガノ水素シロキサンは、
平均式:(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CHを有するジメチル・メチル水素ポリシロキサンと、
平均式:H(CHSiO[(CHSiO]Si(CH
(式中、xおよびyは上記に定義したとおりである)を有するSiH末端ジメチルポリシロキサンと
の混合物である。混合物中の各オルガノ水素シロキサンの量はさまざまであってよく、あるいは、混合物中の全SiHの、0から85重量%、あるいは10から70重量%、あるいは20から60重量、あるいは30から50重量%が、SiH末端ジメチルポリシロキサンのSiH含量に由来するような量である。
【0021】
オルガノ水素シロキサンの製造方法は周知であり、多くのものが市販されている。
【0022】
B)ポリオキシアルキレン
成分B)は、平均式:
O‐[(CHO)(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
cは、0から50まで、あるいは0から10まで、あるいは2未満であり、
dは、0から100まで、あるいは1から100まで、あるいは5から50までであり、
eは、0から100まで、あるいは0から50まで、あるいは0から30までであり、
ただし、(d+e)/(c+d+e)の比は、0.5よりも大、あるいは0.8より大、あるいは0.95より大である)
を有するポリオキシアルキレンである。
【0023】
成分B)として有用なポリオキシアルキレンは、各分子鎖末端(すなわち、アルファおよびオメガ位)が2から12個の炭素原子を含有する不飽和脂肪族炭化水素基で末端化された任意のポリオキシアルキレンであってよい。ポリオキシアルキレンは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1,2‐エポキシヘキサン、1,2‐エポキシオクタン、環状エポキシド(例えばシクロヘキセンオキシドまたはexo‐2,3‐エポキシノルボルナンなど)の重合によって得られるものであってよい。ポリオキシアルキレン基は、オキシエチレン単位(CO)、オキシプロピレン単位(CO)、オキシブチレン単位(CO)、またはそれらの混合を含むことができる。典型的には、ポリオキシアルキレン基は、モルベースで定義され、上記式中、下付き文字c、d、およびeで表示されるとおり、大部分がオキシプロピレンまたはオキシブチレン単位を含んでいる。不飽和脂肪族炭化水素基は、アルケニルまたはアルキニル基であってよい。アルケニル基の代表的な、限定されない例は、次の構造により示される:HC=CH‐、HC=CHCH‐、HC=C(CH)CH‐、HC=CHCHCH‐、HC=CHCHCHCH‐、およびHC=CHCHCHCHCH‐。アルキニル基の代表的な、限定されない例は、次の構造により示される:HC≡C‐、HC≡CCH‐、HC≡CC(CH)‐、HC≡CC(CH‐、HC≡CC(CHCH‐。
【0024】
一つの実施態様では、ポリオキシアルキレンは、
C=CHCHO(CO)CHCH=CH
C=C(CH)CHO(CO)CHC(CH)=CH
HC≡CCHO(CO)CHC≡CH、または
HC≡CC(CHO(CO)C(CHC≡CH
(式中、dは上記に定義したとおりである)
から選ばれる。
【0025】
各分子末端に不飽和脂肪族炭化水素基を有するポリオキシアルキレンは、当技術分野で公知であり、多くは市販されている。各分子末端に不飽和脂肪族炭化水素基を有するポリオキシアルキレンは、NOF(日本油脂、日本国東京)およびClariant社(米国ノースカロライナ州シャーロッツビル)から販売されている。
【0026】
ヒドロシリル化反応で用いられる成分A)およびB)の量はさまざまであってよい。典型的には、成分A)のSiH単位の、成分B)の脂肪族不飽和基に対するモル比は、10/1から1/10、あるいは5/1から1/5、あるいは2/1から1/2までの範囲である。一つの実施態様では、B)中の不飽和脂肪族炭化水素基の、A)中のSiH単位に対するモル比は1よりも大きい。
【0027】
(C)ヒドロシリル化触媒
成分C)は、ヒドロシリル化反応に典型的に用いられる任意の触媒を含む。白金族金属含有触媒を用いるのが好ましい。白金族は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金ならびにそれらの複合体を意味する。本発明の組成物の製造に有用な白金族金属含有触媒は、ウィリングの米国特許第3,419,593号およびブラウンらの米国特許第5,175,325号に記載のとおりに製造された白金錯体である。これらの特許の内容を、そのような錯体およびその製法を示すために、参考として本明細書に組み込む。有用な白金族金属含有触媒の他の例は、リーらの米国特許第3,989,668号;チャンらの米国特許第5,036,117号;アシュビーの米国特許第3,159,601号;Lamoreauxの米国特許第3,220,972号;チョークらの米国特許第3,296,291号;Modicの米国特許第3,516,946号;カールシュテットの米国特許第3,814,730号;およびチャンドラらの米国特許第3,928,629号に見ることができ、これらすべてを、有用な白金属金属含有触媒およびそれらの製造方法を示すために参考として本明細書に組み込む。白金族含有触媒は、白金族元素、担体(例えば、シリカゲルもしくは粉末木炭など)に堆積させた白金族元素、または白金族元素の化合物もしくは錯体であってもよい。好ましい白金含有触媒としては、六水和物もしくは無水物形態のいずれかのクロロ白金酸、および/または、クロロ白金酸と、脂肪族不飽和有機ケイ素化合物(例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサンなど)との反応を含む方法によって得られる白金含有触媒、または2001年12月7日出願米国特許出願番号10/017229に記載されているとおりのアルケン‐白金‐シリル錯体〔例えば、(COD)Pt(SiMeCl(式中、CODは1,5‐シクロオクタジエンであり、Meはメチルである)が挙げられる。これらのアルケン‐白金‐シリル錯体は、例えば0.015モルの(COD)PtClと、0.045モルのCODおよび0.0612モルのHMeSiClとを混合することによって製造することができる。
【0028】
触媒の適正量は、用いる個々の触媒によって決まる。白金触媒は、組成物中の固形分(非溶媒成分すべて)の全重量パーセントに基づいて百万部あたり少なくても2部(ppm)、あるいは4〜200ppmの白金を与えるのに十分な量で存在させるべきである。典型的には、白金は、同じ基準で4から150重量ppmの白金を与えるのに十分な量で存在させる。触媒は、単一種として、あるいは二つ以上の異なる種の混合物として添加することができる。
【0029】
D)不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する任意の成分
シリコーン-有機エラストマーは、2〜30個の炭素を含有する炭化水素基、ポリオキシアルキレン基、およびこれらの基の混合から独立に選ばれる、側鎖の非架橋性部分をも含んでもよい。これらの基は、成分D)の末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する有機化合物が付加することによるヒドロシリル化反応によって、シリコーン-有機エラストマー上に形成される。成分D)は
、D’)6−30個の炭素を含有し、末端不飽和脂肪族炭化水素を1個有する炭化水素、および/または
成分D”)末端不飽和脂肪族基を1個有するオキシアルキレン
から選ぶことができる。
【0030】
成分D)を添加することによって、結果として得られるシリコーン-有機エラストマーの化学的および物理的特性を変化させることができる。例えば、D’を選択すると、炭化水素基をシリコーン-有機エラストマーに付加することになり、したがって、シリコーン-有機エラストマーの疎水性特性をより高めることになる。逆に、エチレンオキシド単位が大部分であるポリオキシアルキレンを選択すると、親水性が高められたシリコーン-有機エラストマーが得られることになり、これにより、その後、水または親水性成分をシリコーン-有機エラストマーに組み入れて、懸濁物またはペーストを形成させることができる。
【0031】
D’またはD”中の不飽和脂肪族炭化水素基は、アルケニルであっても、アルキニル基であってもよい。アルケニル基の代表的な、限定されない例は、次の構造により示される:HC=CH‐、HC=CHCH‐、HC=C(CH)CH‐、HC=CHCHCH‐、HC=CHCHCHCH‐、およびHC=CHCHCHCHCH‐。アルキニル基の代表的な、限定されない例は、次の構造により示される:HC≡C‐、HC≡CCH‐、HC≡CC(CH)‐、HC≡CC(CH‐、HC≡CC(CHCH‐。
【0032】
成分D’)は、6−30個の炭素を含有し、末端不飽和脂肪族基を1個有する炭化水素であり、アルファオフェフィン、例えば、1‐ヘキセン、1‐オクテン、1‐デセン、1‐ウンデセン、1‐デカデセン、および類似の同族体から選択することができる。成分D’)は、アリール含有炭化水素、例えば、アルファメチルスチレンなどから選択することができる。
【0033】
成分D”)は、平均式:
O‐[(CO)c’(CO)d’(CO)]‐R
(式中、Rは、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
c’は、0から100までであり、d’は0から100までであり、eは0から100までであり、ただしc’、d’、およびeの合計は0より大きく、
は、水素、アシル基、または1から8個の炭素を含有する一価炭化水素である)
を有するポリオキシアルキレンから選んでもよい。成分D”)として有用なポリオキシアルキレンの代表的な、限定されない例として、
C=CHCHO(CO)c’H、
C=CHCHO(CO)c’CH
C=CHCHO(CO)c’C(O)CH
C=CHCHO(CO)c’(CO)d’H、
C=CHCHO(CO)c’(CO)d’CH
C=CHCHO(CO)c’C(O)CH
C=C(CH)CHO(CO)c’H、
C=CC(CHO(CO)c’H、
C=C(CH)CHO(CO)c’CH
C=C(CH)CHO(CO)c’C(O)CH
C=C(CH)CHO(CO)c’(CO)d’H、
C=C(CH)CHO(CO)c’(CO)d’CH
C=C(CH)CHO(CO)c’C(O)CH
HC≡CCHO(CO)c’H、
HC≡CCHO(CO)c’CH
HC≡CCHO(CO)c’C(O)CH
HC≡CCHO(CO)c’(CO)d’H、
HC≡CCHO(CO)c’(CO)d’CH
HC≡CCHO(CO)c’C(O)CH
(式中、c’およびd’は上記に定義されたとおりである)
が挙げられる。
【0034】
ポリエーテルは、米国特許第6,987,157号に記載されているものから選ぶこともでき、その内容はポリエーテルの教示のために参考として本明細書に組み込まれる。
【0035】
成分D’またはD”は、シリコーン-有機エラストマーにその形成中に加える〔すなわち、成分A)、B)、C)およびD)を同時に反応させる〕か、最初の反応に加える〔例えば、成分A)のSiH基の一部の量をC)およびD)と反応させ、引き続いてさらにB)との反応させる〕かのいずれかであってよく、あるいは、SiH含量(例えば、シリコーン-有機エラストマーに存在する未反応SiH単位に由来するもの)を有する形成されたシリコーン-有機エラストマーに、後で加えることができる。
【0036】
ヒドロシリル化反応に用いる成分D’またはD”の量はさまざまであってよく、成分A)のSiH単位と、成分B)およびD)の脂肪族不飽和基とのモル比が10/1から1/10までの範囲になるように、反応物中に存在する成分B)およびD)からの全脂肪族不飽和基のモル量を供給する。
【0037】
(ii)キャリア液体
シリコーン-有機エラストマー(i)はキャリア液体(ii)に含有されて、シリコーン-有機ゲル組成物を与える。典型的には、キャリア液体は、シリコーン-有機エラストマーを形成させるためのヒドロシリル化反応を行うために用いる溶媒である。適するキャリア液体として、有機液体(オイルおよび溶媒)、シリコーン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
典型的に、キャリア液体は、有機液体である。有機液体は、オイルまたは溶媒と認識されているものを含む。有機液体は、以下に限定されないが、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、および芳香族ハライドにより例示される。炭化水素として、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11〜C13)、Isopar H(C11〜C12)、ハロゲン化ポリデセンが挙げられる。エーテルおよびエステルとして、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、プロピレングリコールn‐ブチルエーテル、エチル3‐エトキシプロピオナート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ネオペンタン酸トリデシル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルパルミテートが挙げられる。独立した化合物として、あるいはキャリア液体への成分として好適な、追加的な有機キャリア液体として、脂肪、油、脂肪酸、脂肪アルコールが挙げられる。
【0039】
本キャリア液体は、低粘度オルガノポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、または揮発性メチルエチルシロキサンであって、25℃で1から1,000mm/秒の粘度を有するもの、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルへプタシロキサン、へプタメチル‐3‐[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ヘキサメチル‐3,3‐ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサン、加えて、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、およびこれらの任意の混合物であってもよい。
【0040】
i)シリコーン-有機エラストマーおよびii)キャリア液体の量は、
組成物中に存在する、成分I)およびII)ならびに他の成分全ての合計が100重量パーセントになることを条件として、
2〜95重量パーセント、あるいは5から95重量パーセント、あるいは10から90重量パーセントのi)シリコーン-有機エラストマーと、
98〜5重量パーセント、あるいは95から5重量パーセント、あるいは90から10重量パーセントのii)キャリア液体と
を含むような量である。
【0041】
ゲル組成物の製造方法
ゲル組成物を、本開示の製法により製造することができる。
開示する製法は;
I)A)平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
v≧2、x≧0、y≧2である)
のシロキシ単位を含むオルガノ水素シロキサン、
B)平均式:
O‐[(CO)(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
cは、0から50までであり、
dは、0から100までであり、
eは、0から100までであり、
ただし、(d+e)/(c+d+e)の比が0.5よりも大きい)
を含むポリオキシアルキレン、
C)ヒドロシリル化触媒、
および任意に
D’)6‐30個の炭素を含有し、末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する炭化水素、
D”)末端不飽和脂肪族基を1個有するポリオキシアルキレン、
またはD’)およびD”)の混合物を、
ii)キャリア液体の存在下で
反応させて、ゲルを形成させる工程を含む。
【0042】
成分A)、B)、C)、およびD)およびキャリア液体ii)、ならびに本方法に用いる量は、上述したものと同じである。工程I)における成分A)、B)、C)、および任意のD)の添加順序は、重要ではない。典型的には、成分A)、B)、および場合によりD)を、キャリア液体と共に撹拌しながら混ぜ合わせ、この混合物を、70−90℃に加熱する。その後ヒドロ化シリル反応を引き起こすために触媒C)を添加する。あるいは、成分A)およびD)を混ぜ合わせ、混合し、70−90℃に加熱し、触媒C)を添加し、その後成分B)を加える。
【0043】
本開示の製法は、さらに、オルガノビニルシロキサンをゲル組成物に混合する工程を含むこともできる。オルガノビニルシロキサンは、少なくとも1個のビニル(ViはCH=CH‐である)含有シロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンである。すなわち、オルガノポリシロキサン中の少なくとも1個のシロキシ単位が、式(RViSiO0.5)、(RViSiO)、または(ViSiO1.5)を有する。オルガノビニルシロキサンを添加すると、ゲル組成物の長期安定性を高めることができる。理論により縛られることは望まないが、本発明者らは、オルガノビニルシロキサンの添加により、シリコーン-有機エラストマーに残存している可能性がある残余のSiHとの反応が起こると考える。
【0044】
E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分
任意成分E)は任意のパーソナルまたはヘルスケア活性成分から選ばれる活性成分である。本明細書で使われる「パーソナルケア活性成分」は、パーソナルケア製剤における添加剤として当技術分野で知られている任意の化合物または化合物の混合物を意味する。この添加剤は、典型的に、毛髪または皮膚を手当てする目的に加えられ、化粧上および/または美容上の利益をもたらす。「ヘルスケア活性成分」は、医薬上または医療上の利点を与えるとして当技術分野で知られている化合物または化合物の混合物を意味する。このように「ヘルスケア活性成分」は、一般的に使用されかつ米国保健福祉省食品医薬局(連邦規制基準タイトル21(21巻)、第1章Parts200−299およびParts300−499に含まれる)により定義される活性成分または活性薬物成分と認められる物質を含む。
【0045】
一つの実施態様では、成分E)は、サンスクリーン剤である。サンスクリーン剤は、太陽光への暴露の弊害から皮膚を保護するために当技術分野で公知のいかなるサンスクリーン剤から選ぶこともできる。サンスクリーン化合物は、典型的には、紫外線(UV)光を吸収する、有機化合物、無機化合物、またはこれらの混合物から選択される。したがって、サンスクリーン剤として使用可能な代表的な、制限されない例として、以下のものを挙げることができる:
アミノ安息香酸、シノキサート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、ジオキシベンゾン、エチル4‐[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモサレート、ジヒドロキシアセトンとのローソン、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、レッドペトロラタム、スリソベンゾン、二酸化チタン、およびトロラミンサリチレート、アセトアミノサロール、アラトインPABA(Allatoin PABA)、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1−12,3‐ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチレート、ボルネロン、ブメトリゾール(Bumetrizole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカ タルク、シノキサート、DEA‐メトキシシンナメート、ジベンゾオキサゾール ナフタレン(Dibenzoxazol Naphthalene)、ジ‐t‐ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレアート、ジイソプロピルメチルシンナメート、ジメチルPABAエチルセテアリールジモニウムトシレート、
ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミントリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナメート、エチルメトキシシンナメート、エチルPABA、エチルウロカネート、エトロクリレン(Etrocrylene)フェルラ酸、グリセリルオクタノエートジメトキシシンナメート、グリセリルPABA、グリコールサリチレート、ホモサラート、イソアミルp‐メトキシシンナメート、イソプロピルベンジルサリチレート、イソプロピルベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メンチルアントラニラート、メンチルサリチラート、メチルベンジリデンカンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オクチルトリアゾン、PABA (p‐アミノ安息香酸)、PEG−25 PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、レッドペトロラタム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、TEA‐フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、TEA‐サリチレート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、二酸化亜鉛、二酸化セリウム、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、およびVA/クロトナート/メタクリロキシベンゾフェノン‐1コポリマー。
【0046】
サンスクリーン剤は、単独の1種であっても1種以上の組合せであってもよい。あるいは、サンスクリーン剤は、シンナメートをベースとする有機化合物であり、あるいはサンスクリーン剤は、オクチルメトキシシンナメート〔例えば、Uvinul(登録商標)MC80(パラ‐メトキシケイ皮酸と2‐エチルヘキサノールとのエステル)など〕である。
【0047】
シリコーンゲル組成物中に存在する成分E)の量は、さまざまであってよいが、典型的には次のような範囲である:
シリコーン-有機エラストマーゲル組成物の全重量に基づいて、0.05から50重量%、あるいは1から25重量%、あるいは1から10重量%。
【0048】
活性成分、成分E)は、シリコーン-有機エラストマーの製造中にシリコーンゲル組成物に添加する(事前混入法)か、シリコーン-有機エラストマーゲルの形成後にシリコーンゲル組成物に添加する(事後混入法)かのいずれであってもよい。
【0049】
シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルペースト組成物
本発明のゲル組成物を用いて、ゲルペースト組成物を形成することができる。すなわち:
I)上述したシリコーン-有機エラストマーゲルをせん断にかけ、
II)せん断されたシリコーン-有機エラストマーゲルを、
追加量の、ii)上記されたキャリア液体、および
任意に、E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分
と混合することによって、ゲルペースト組成物を製造することができる。
【0050】
本発明のシリコーン-有機エラストマーゲル組成物は、キャリア液体中に分散された不連続架橋シリコーン-有機エラストマーであると考えることができる。シリコーン-有機エラストマーゲル組成物は、多くの有機液体およびシリコーン液体の効果的なレオロジー増粘剤でもある。したがって、これらを用いて、有用なゲルブレンド組成物、例えば「ペースト」組成物などを製造することができる。
【0051】
このようなシリコーン-有機エラストマーペーストを製造するために、既知の初期エラストマー含量の上記のシリコーン-有機エラストマーゲルを、せん断にかけて小粒径のものを得、これを、場合により、最終エラストマー含量にさらに希釈することができる。本明細書において「せん断にかける」は、任意のせん断混合法、例えば、ホモジナイジング、ソノレーティング、またはせん断混合として当技術分野で知られているその他の混合法を指す。シリコーン-有機エラストマーゲル組成物をせん断混合すると、粒径が低減された組成物が得られる。その結果生じた粒径が低減された組成物を、その後、追加量のii)キャリア液体と混合する。典型的には、ゲルペーストを形成するためにゲルに加えるキャリア液体の量は、30重量%、あるいは20重量%、あるいは10重量%のシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルペースト組成物を提供するに十分な量である。キャリア液体は、上述した任意のキャリア液体であってよい。一つの実施態様では、キャリア液体は、上述したものなどの脂肪族炭化水素である。別の実施態様では、キャリア液体は、25℃での粘度が1から1,000mm/秒の範囲であるオルガノポリシロキサンである。
【0052】
ii)のキャリア液体と、シリコーン-有機エラストマー組成物とを混合する技術は、典型的には、単純な攪拌または混合である。得られる組成物は、ブロックフィールドDVII+粘度計(ヘリパス付属品付)で、スピンドルT−D(20.4mmクロスバー)を用い、2.5rpmで測定して、少なくとも50Pa・秒、あるいは少なくとも100Pa・秒、あるいは200Pa・秒の粘度を有するペーストと考えられ得る。
【実施例】
【0053】
これらの実施例は、本発明を当業者に例証することを意図しているのであって、本請求項に記載される本発明の範囲を限定するかのように解釈してはならない。すべての測定および実験は、別段の表示がない限り23℃で行った。
[原材料]
オルガノ水素シロキサン1=平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、xおよびyは、オルガノ水素シロキサンが、23℃で116mm/秒(cSt)の粘度を有し、0.084重量%のHをSiHとして含有するような値である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサン。
オルガノ水素シロキサン2=平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、xおよびyは、オルガノ水素シロキサンが、23℃で67(cSt)の粘度を有し、0.15重量%のHをSiHとして含有するような値である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサン。
オルガノ水素シロキサン3=平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、xおよびyは、オルガノ水素シロキサンが、25℃で147mm/秒(cSt)の粘度を有し、0.0814重量%のHをSiHとして含有するような値である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサン。
オルガノ水素シロキサン4=平均式:
H(CHSiO[(CHSiO]Si(CH
(式中、xはオルガノ水素シロキサンが、0.067重量%のHをSiHとして含有するような値である)
を有するSiH末端ジメチルポリシロキサン。
オルガノ水素シロキサン5=平均式:
H(CHSiO[(CHSiO]Si(CH
(式中、xは、オルガノ水素シロキサンが、0.137重量%のHをSiHとして含有するような値である)
を有するSiH末端ジメチルポリシロキサン。
オルガノビニルシロキサン=式:
(ViMeSiO0.5(MeSiO)
(式中、xは、オルガノビニルシロキサンが23℃で5mm/秒(cSt)の粘度を有するような値である)
を有するビニル末端ジメチルポリシロキサン。
ポリオキシアルキレンは、末端アリル基を1個または2個のいずれか有し、プロピレンまたはエチレンオキシド単位の量がさまざまである。これらを、下記表にまとめるように、これら実施例で使用した。ジアリル官能性ポリアルキレンオキシドは、対応するOH末端ポリアルキレンオキシドから、NaHと反応させてアルコキシドを形成させ、その後、塩化アリルと反応させて、アリル末端ポリエーテルを形成させることによって合成した。あるいは、ジアリル官能性ポリアルキレンオキシドは、市場で購入することができる。
【0054】
【化1】

【0055】
[実施例1]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの製法〕
最初に、42.40g(SiH35.5ミリモル)のオルガノ水素シロキサン1、9.83gのポリアルキルオキシレン1および194gのイソドデカンを、テフロン(登録商標)コーティングされた攪拌バーを有する16オンス広口ジャーに秤り入れた。次いで、ジャーをシールし、湯浴またはオーブンのいずれかを用いて70℃に加熱した。このジャーを加熱から外し、次いで、攪拌しながら、0.6gのSYLOFF4000触媒(0.52重量%白金)を添加して、12ppm白金を得た。ジャーに栓をし、70℃の湯浴に入れ、反応混合物がゲル化するまで攪拌を続けた。混合物を、さらに3時間湯浴またはオーブンのいずれかで70℃維持し、21.1%のシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルを得た。
【0056】
異なるプロピレンオキシド単位の含量(17.3または34.6)を有するポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマー含有ゲルを、上述した方法を用いて合成した。これらゲル組成物の製造に用いた処方を、表1にまとめる。
【0057】
【表1】

【0058】
[実施例2]
〔ヘキサジエン架橋シリコーン-有機エラストマー含有ゲルの製法〕
最初に、50.32g(SiH42.2ミリモル)のオルガノ水素シロキサン1、1.88g(46.3m当量不飽和)の1,5‐ヘキサジエン、および194gのイソドデカンを、攪拌バーを有する16オンス広口ジャーに秤り入れた。8.5%過剰のオレフィン(Si−H:Vi=0.92)は、残渣のSi‐Hの量を最少化することを意図した。ジャーをシールした後、オーブン用いて70℃に加熱した。ジャーを加熱から外した後、攪拌しながら、0.6gのSYLOFF4000触媒(0.52重量%白金)を添加した。これにより、混合物に最高で12ppmまでの白金をもたらした。ジャーに栓をし、70℃の湯浴に入れ、反応混合物がゲル化するまで攪拌を続けた。混合物は、オーブン内で70℃にて3時間維持し、21.1%のエラストマーを含有するゲルを形成させた。
【0059】
[実施例3]
〔エラストマーゲルからのゲルペーストの製法〕
実施例1および実施例2で製造したエラストマーゲルを、高せん断混合を用いてゲルペーストに製造した。このせん断工程には、表2−5に示したペーストを製造するために、イソドデカン、オルガノビニルシロキサンおよびオクチルメトキシシンナメート(OMC)の添加する工程を含んでいた。表2の材料を、ワーリング・コマーシャル・ラボラトリー・ブレンダーでせん断にかけた。せん断工程1では、ゲルを設定1で20秒、次いで設定3で20秒、次いで設定5で20秒せん断した。イソドデカンおよびオルガノビニルシロキサンを加え、次の設定:1、2、3、3でそれぞれ30秒せん断した。各設定の間に、材料をスパチュラを用いて混合カップの側面からこすりとった。三番目のせん断工程前に、追加のイソドデカンおよびオクチルメトキシシンナメートを表2に従って加え、次の設定:1、1、1でそれぞれ20秒せん断した。各設定の間に、材料を混合カップの側面からこすりとった。表3−5の材料を、FlackTek社から購入したハウスチャイルド・スピード・ミキサー・モデルDAC150FVZを用いてせん断した。最初のせん断工程では、ゲルを、最大設定(約3500rpm)で25秒間せん断した。イソドデカンおよびオルガノビニルシロキサンを加え、次いで、最大設定で25秒間せん断した。追加のイソドデカンおよびオクチルメトキシシンナメートを加え、材料を、最大設定で25秒間せん断した。
【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
【表5】

【0064】
[実施例4]
〔ジアリルポリエーテル架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルのオクチルメトキシシンナメートとの相溶性〕
シリコーン-有機エラストマーゲルの有機相溶性は、この実施例において実証されたとおり、ポリプロピレングリコール(PPG)架橋剤の重合度(DP)を増加させることにより改良することができる。同じオルガノ水素シロキサンを用いる場合、ポリアルコキシレン中のプロピレンオキシドの数を増やすと、エラストマー性成分中の有機含量および有機相溶性が高くなる。これは、シリコーン-有機エラストマーゲルに限られた溶解性を有することが知られている有機サンスクリーン剤であるオクチルメトキシシンナメートを用いる本実施例で実証したとおりである。表6でまとめるとおり、シリコーン-有機エラストマーのオクチルメトキシシンナメートとの相溶性は、透明度に基づいて、プロピレンオキシドの含量が、(DPまたは重合度、すなわちプロピレンオキシド単位数によって表示したとおり)増えるにつれて高くなる。
【0065】
粘度変化も、相溶性の指標となった。表7で示したとおり、ヘキサジエン架橋エラストマーペースト中では、オクチルメトキシシンナメートの濃度が高くなるにつれて粘度が低下するのに対し、ポリプロピレングリコール架橋エラストマーペースト中では、粘度が保持されるかまたは増加した。粘度は、ブルックフィールドDV−II+レオメーターで、ヘリパス付属品およびT−Dスピンドル(t−バー・ジオメートリ)を用いて、2.5RPMで測定した。粘度は、サンプルを合成した1日後に測定した。サンプルは、真空脱気し、試験前最低4時間静置した。データは、サンプルを通過するダウン・アップの二サイクル中に得た。報告した粘度は、サンプルを通過するt‐バーの最初の上方向および二番目の下方向への通過の平均であった。
【0066】
【表6】

【0067】
【表7】

【0068】
[実施例5]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマー含有ゲルペーストの各種パーソナルケア成分との相溶性〕
表8に、ポリプロピレングリコール架橋剤に基づくシリコーン-有機エラストマーゲルペーストであって、各種のパーソナルケア成分を15重量%添加レベルで処方したものと、ヘキサジエン架橋剤に基づくシリコーン-有機エラストマーゲルペーストとを比較する相溶性データをまとめる。相溶性は、外観(透明性および均質性)と、増粘挙動との両方の評価に基づくものである。表9は、同様の相溶性試験を示すが、25重量%活性成分を用いている。これらの表でまとめたとおり、相溶性は、ポリプロピレングリコールをエラストマーに組み込むことにより改善された。
【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
[実施例6]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの感覚的挙動〕
純粋(neat)なエラストマーゲルペーストの感覚的美観を、訓練されたベテラン感覚パネリストにより評価した。得られた感覚的データを、図1および2に示す。これらの図は、ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーペーストと、ヘキサジエン架橋シリコーン-有機エラストマーペーストとの感覚的美観を比較している。この結果から、感覚的プロフィルは類似していることが明らかとなった。
【0072】
[実施例7]
〔側鎖ポリオキシエチレン基を有するポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの製法〕
オルガノ水素シロキサン2、モノアリルポリエーテルグループ〔ポリ(プロピレンオキシド)またはポリ(エチレンオキシド)のいずれか、ポリアルキルオキシレン4または5〕およびイソドデカンを反応槽に充填し、70℃に加熱した。攪拌しながら、4000触媒〔カールシュテット触媒:1,3‐ジビニル‐1,1,3,3‐テトラメチルジシロキサンで錯体化された白金(0)〕の溶液0.7gを添加した。この反応混合物を、70℃にて15分間攪拌した。その後、ポリアルキルオキシレン架橋剤(#2)を反応混合物に加えた。この最終反応混合物を、70℃に3時間保った。この間にゲルが形成された。実際のゲル処方を、表10および11に示す。ゲルは、表12に示したとおりに、せん断および追加溶剤を用いてペーストにした。
【0073】
【表10】

【0074】
【表11】

【0075】
これらのペーストを、水と混合した(ペースト2部、水1部)。ポリ(エチレンオキシド)側鎖基を有するペーストは、油中水エマルジョンを形成したのに対し、ポリ(プロピレンオキシド)側鎖基を有するペーストは、エマルジョンを形成しなかった。
【表12】

【0076】
[実施例8]
〔相溶性の改良を行うための、有機添加物を用いるエラストマー網目構造の変性〕
この実施例は、側鎖SiH基を有するシロキサン部分を、末端SiH基を有するシロキサンで置き換えることによって、ゲル中の架橋密度およびエラストマー組成を変化させることができることを例証する。これらのゲルから製造した化粧品用ペーストの有機相溶性の改良は、このような方法で達成することができる。
【0077】
最初に、9.50g(SiH7.67ミリモル)のオルガノ水素シロキサン3、3.30g(8.81m当量不飽和)のポリアルキルオキシレン6、67.20gのイソドデカン、および60マイクロリットルの白金触媒溶液を、テフロン(登録商標)コーティングされた攪拌バーを有する8オンス広口ジャーに秤り入れた。ジャーに栓をし、70℃の湯浴中に3時間置いた。混合物がゲル化するまで攪拌を続けた。この結果、イソドデカン中16.0重量%のシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルが得られた。このゲルを、その後、せん断にかけてペーストを形成させ、追加のイソドデカンで希釈して、12.5重量%のエラストマーを有するペーストを形成させた。少量のビニル官能性シロキサンおよびトリフェニルホスフィンを、せん断工程中に、残余のSiHを除去し、残余の白金を抑制するために添加した。同様のエラストマーの製造を、SiH側鎖シロキサンの一部を、架橋密度およびコポリマー中のポリ(プロピレンオキシド)の重量%を変化させる役割果たすSiH末端シロキサンで置き換えて行った。サンプルの相溶性を、希釈したエラストマーと、スクアラン、ひまわり油、またはオクチルメトキシシンナメートと混合することによって評価した。サンプルの相溶性を、視覚的に、透明性および粘度について評価した。ここでは、高い透明性および高い粘度を、改良された相溶性の指標とみなした。低粘度を示す相溶性サンプルは流れ出るような液状であった一方、高粘度と判断されたものはサンプルを裏返しにしても容易に流れなかった。結果を表13に示す。
【0078】
【表13】

【0079】
[実施例9]
〔ゲルペーストとオクチルメトキシシンナメートとの相溶性(ゲルはシリコーンキャリア液体中にポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有する)〕
実施例1〜8は、有機キャリア液体であるイソドデカン中のポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを用いる場合の有用性を示している。本実施例では、有機活性成分との改良された相溶性が、シリコーンキャリア液体中でポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを製造した場合にも達成することができることを、シリコーンキャリア液体中のヘキサジエン架橋シリコーンエラストマーと比較して例証する。
【0080】
最初に、表14の材料1〜3、およびテフロン(登録商標)コーティングされた攪拌バーを、16オンス広口ガラスジャーに充填した。ジャーに栓をし、湯浴中で、内容物を70℃に加熱した。ジャーを、湯浴から外し、表14の材料4−6を、ジャーの内容物を攪拌しながら充填した。ジャーに栓をし、攪拌しながら70℃の湯浴に入れた。3時間後、ジャーを湯浴から外した。
【0081】
【表14】

【0082】
ゲルを、その後、表15および表16にしたがって、ハウスチャイルドDAC150スピード混合機を用いてペーストにせん断した。各ゲルを、100g(最大)の混合カップに秤量し、3450rpmで各30秒2回のせん断にかけた(せん断工程1)。追加のデカメチルシクロペンタシロキサンおよびオルガノビニルシロキサンを加え、ゲルを再度3450rpmで各30秒の2回のせん断にかけた(せん断工程2)。オクチルメトキシシンナメートおよび追加のデカメチルシクロペンタシロキサンを充填し、ゲルを再び3450rpmで各30秒2回のせん断にかけた(せん断工程3)。
【0083】
【表15】

【表16】

【0084】
粘度(ブルックフィールド−ヘリパス粘度計;2.5rpm、スピンドルT−D)およびペーストの透明性を、透明性および粘度のロスが非相溶性の兆候とみなされることとなるように、相溶性の基準として評価した。表17は、オクチルメトキシシンナメートを組み込むと、ヘキサジエン架橋エラストマーの粘度を低下させる結果となるが、ポリアルキルオキシレン架橋エラストマーの粘度の増加をもたらすことを示す。同様に、透明性は、オクチルメトキシシンナメートのヘキサジエン架橋エラストマーへの添加によって減少するが、ポリアルキルオキシレン架橋エラストマーへのオクチルメトキシシンナメートの添加による透明性への影響は逆にない。このように、キャリア液体がシリコーンであるゲル系でも、エラストマー網目構造においてポリアルキルオキシレンを使用することによって、有機添加剤との相溶性が改良されることが観察された。
【0085】
【表17】

【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)A)平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは、水素またはRであり、
は、一価ヒドロカルビルであり、
v≧2、x≧0、y≧2である)
のシロキシ単位を含むオルガノ水素シロキサン、
B)平均式:
O‐[(CO)(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
cは、0から50までであり、
dは、0から100までであり、
eは、0から100までであり、
ただし、(d+e)/(c+d+e)の比が0.5よりも大きい)
を含むポリオキシアルキレン、および
C)ヒドロシリル化触媒
の反応生成物を含む、2−95重量%のシリコーン-有機エラストマー;および
ii)5−98重量%のキャリア液体
を含む組成物であって、前記組成物がゲルである、組成物。
【請求項2】
前記ポリオキシアルキレンが、
C=CHCHO(CO)CHCH=CH
C=C(CH)CHO(CO)CHC(CH)=CH
HC≡CCHO(CO)CHC≡CH、または
HC≡CC(CHO(CO)C(CHC≡CH
(式中、dは1から100までである)
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記キャリア液体が有機液体である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機液体が脂肪族炭化水素である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記キャリア液体が、25℃での粘度が1から1,000mm/秒までの範囲にあるオルガノポリシロキサンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
B)中の不飽和脂肪族炭化水素の、A)中のSiHに対するモル比が、1より大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記A)オルガノ水素シロキサンが、平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(RSiO1.5
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(SiO
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(SiO(RSiO1.5
(式中、
は、水素またはRであり、
は、一価ヒドロカルビルであり、
v≧2、w≧0、x≧0、y≧2、かつz≧0である)
を有するオルガノ水素シロキサンまたはこれらの任意の混合物から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記オルガノ水素シロキサンが、平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、x≧0およびy≧2である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
前記オルガノ水素シロキサンが、平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CHおよびH(CHSiO[(CHSiO]Si(CH
(式中、x≧0、かつy≧2である)
を有するオルガノ水素シロキサンの混合物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
前記オルガノ水素シロキサンが、平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、x≧0、かつy≧2である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサンであり、
前記ポリオキシアルキレンが、
C=CHCHO(CO)CHCH=CH
(式中、dは1から100までである)であり、かつ、
前記キャリア液体が、脂肪族炭化水素である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記脂肪族炭化水素が、イソドデカンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリコーン-有機エラストマーが、
A)平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
v≧2、x≧0、y≧2である)
のシロキシ単位を含むオルガノ水素シロキサン、
B)平均式:
O‐[(CO)(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
cは、0から50までであり、
dは、0から100までであり、
eは、0から100までであり、
ただし、(d+e)/(c+d+e)の比が0.5よりも大きい)
を含むポリオキシアルキレン、
C)ヒドロシリル化触媒、および
D)末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する有機化合物
の反応生成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記D)が、D’)アルファオレフィンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記D)が、D”)平均式:
O‐[(CO)c’(CO)d’(CO)]‐R
(式中、Rは、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
c’、d’、およびeは、0から100までの範囲であり得る、ただしc’、d’、およびeの合計は0より大であり、
は、水素、アシル基、または1から8個の炭素を含有する一価炭化水素である)
を有するポリオキシアルキレンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分
をさらに含む、請求項1記載に記載の組成物。
【請求項16】
ゲル組成物の製造方法であって、
I)A)平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
v≧2、x≧0、y≧2である)
のシロキシ単位を含むオルガノ水素シロキサン、
B)平均式:
O‐[(CO)(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
cは、0から50までであり、
dは、0から100までであり、
eは、0から100までであり、
ただし、(d+e)/(c+d+e)の比が0.5よりも大きい)
を含むポリオキシアルキレン、
C)ヒドロシリル化触媒、
および、場合により、
D’)6‐30個の炭素を含有し、末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する炭化水素、
D”)末端不飽和脂肪族基1個を有するポリオキシアルキレン、
またはD’)およびD”)の混合物を、
ii)キャリア液体
の存在下で反応させて、ゲルを形成させる工程を含む、製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法によって製造されたゲル組成物。
【請求項18】
I)請求項1または17に記載のゲル組成物をせん断にかける工程と、
II)せん断されたゲル組成物を、追加量のii)キャリア液体と混合して、ゲルペースト組成物を形成させる工程と
を含む、ゲルペースト組成物の製造方法。
【請求項19】
さらに、工程II)において、
E)パーソナルケアまたはヘルスケア活性成分
を加えることを含む、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記パーソナルケア活性成分が、サンスクリーン剤である、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記サンスクリーン剤が、メトキシケイ皮酸オクチルである、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法によって製造されたゲルペースト。
【請求項23】
前記ゲルペーストが、少なくとも50Pa・秒の粘度を有する、請求項18に記載の製造方法により製造されたゲルペースト。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−532413(P2010−532413A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515025(P2010−515025)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/067989
【国際公開番号】WO2009/006091
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】