説明

ポリイミドフィルム及びその製造方法

【課題】 内部異物の少ない非溶融性ポリイミドフィルムと製造方法を提供する。
【解決手段】 内部の異物量が個数密度0≦A≦1700である非溶融性ポリイミドフィルム。ポリアミド酸溶液を支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目径が3〜5μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを−10〜40℃に維持し、フィルタ通過後120分以内に支持体に流延するために押出す非溶融性ポリイミドフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部異物の少ないポリイミドフィルムとその製造方法に関する。更に詳しくは、フレキシブルプリント配線板などの精密電子部品の耐熱性絶縁性基板として多用されるポリイミドフィルムの内部異物を低減し精密部品の性能向上と製品歩留まりに寄与する内部異物の少ないポリイミドフィルムとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムに代表される絶縁性フィルムは、その優れた耐熱性・耐溶剤性・電気絶縁性などから種々の用途に広く用いられており、とりわけフレキシブルプリント配線板の基板フィルム、半導体や実装回路基板用途などにも幅広く使用されている。これらのように高絶縁性が要求される分野にとって、フィルムに異物が存在するとその絶縁性が低下するなど、またフィルムの基本特性が大きく損なわれてしまうことにより、精密さが要求される回路基板製造工程などに悪影響を与える可能性がある。
【0003】
ポリイミドフィルムとしては、ピロメリット酸二無水物やビフェニルテトラカルボン酸二無水物などの酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルやパラフェニレンジアミンなどのジアミンとからなるポリイミドのフィルムである(例えば、特許文献1参照)。
また、ベンザオキサゾ−ル骨格を有するポリイミド(ベンゾオキサゾール)のフィルムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
異物の少ないポリイミドフィルムの製造方法として、熱可塑性ポリイミドの押出成形に於いて、樹脂原料に混入している異物及び押出成形時に発生する異物を、空孔径が3μm〜50μmの体積濾過式金属焼結フィルタを用いる押出成形物内から除去する熱可塑性ポリイミドの押出成形方法が提案されている(特許文献3参照)。
この方法におけるポリイミドは熱可塑性であり、本発明における芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルム(ポリアミド酸フィルムともいう)を得て、このポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムとは製法も性状も全く異なり、フィルタ処理された後イミド化を必須とするものである。
【0004】
【特許文献1】特開平05−237928号公報
【特許文献2】特表平10−508059号公報
【特許文献3】特開平05−154892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリイミドフィルムが多く使用され、精密さが要求される回路基板製造工程などで導通孔の加工などにおけるフィルム内部への加工が広く採用されている。このときフィルム内部における異物が加工時に孔壁面において残存するなどして導電ペーストの充填がスムースに行われないなどの弊害が発生する。フィルム表面の異物の測定は広く知られているが内部異物の測定は困難であった。多くの耐熱性ポリイミドフィルムは、非溶融、溶媒に溶けることもない場合が多く、流動状態にして含有する内部異物を測定することが困難であり、フィルタ処理することでフィルムの内部異物を検知することもまた製法にフィードバックすることも困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる状況に鑑み、非溶融性ポリイミドフィルムの品質に大きく関与する内部異物の測定に利用できる、しかも比較的簡便な検査方法を見出し、個の検査方法を使用して、製造方法とリンクされた内部異物の少ない非溶融性ポリイミドフィルムとそれに適合する製造方法に到達した。
すなわち本発明は下記の構成による。
1.芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルムを得て、次いでポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムであって、フィルム内部の異物量からフィルム表面の異物量を差し引いて得られる、フィルム内部に存在する体積平均粒子径0.3〜10μmのフィルム内部の異物量が個数密度A(個/cm)が0≦A≦1700であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2.芳香族ジアミン類がベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンである前記1記載のポリイミドフィルム。
3.芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルムを得て、次いでポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムの製造方法であって、ポリアミド酸溶液を、支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目が3〜5μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを−10〜40℃に維持し、フィルタ通過後120分以内に支持体に流延するために押出すことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
4. 芳香族ジアミン類がベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンである前記3記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルム(ポリアミド酸フィルム)を得て、このポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムであって、フィルム内部の異物量からフィルム表面の異物量を差し引いて得られる、フィルム内部に存在する体積平均粒子径0.3〜10μm以下のフィルム内部の異物量が個数密度A(個/cm)が0≦A≦1700であるポリイミドフィルム、及び芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルム(ポリアミド酸フィルムともいう)を得て、このポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムの製造方法であって、ポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体ドープともいう)を、支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目が3〜5μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを−10〜40℃に維持し、フィルタ通過後120分以内に支持体に流延するために押出すことをする非溶融性ポリイミドフィルムの製造方法は、フレキシブルプリント配線板などの精密電子部品の耐熱性絶縁性基板として多用されるポリイミドフィルムの内部異物を低減したものであり、精密部品の性能向上と製品歩留まりに寄与する内部異物の少ないポリイミドフィルムであり、工業的意義は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明におけるポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類(ジアミン、その誘導体)と芳香族テトラカルボン酸類(テトラカルボン酸、二無水物、その誘導体)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルム(ポリアミド酸フィルム)を得て、このポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムであれば特に限定されるものではないが、好ましくは下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
さらに上記のABCの一種以上の組み合わせ。
【0009】
そのなかでも、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類を70mol%以上、より好ましくは90mol%以上含むジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とから得られるポリイミドフィルムが好ましい。
本発明におけるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
【化6】

【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

【0018】
【化9】

【0019】
【化10】

【0020】
【化11】

【0021】
【化12】

【0022】
【化13】

【0023】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
【0025】
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
【0026】
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0027】
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
【0028】
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0029】
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル及び上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。特にピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物がベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類との反応で得られるポリイミドフィルムの耐熱性、機械的特性が優れる点から好適である。
【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
【化17】

【0035】
【化18】

【0036】
【化19】

【0037】
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
【0038】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0039】
本発明では、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類を70mol%以上、芳香族テトラカルボン酸二無水物を70mol%以上用いることが好ましい。使用量がこの範囲に満たないと、フィルム強度と耐熱性が低下し所望の効果を得ることができなくなる。
【0040】
前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
【0041】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
これらの還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの300℃でのカール度が10%以下となす制御が容易となる。
【0042】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
ポリアミド酸溶液を押出し、流延・塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の剛性を有していればよく、表面が金属(より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレス)、プラスチックなどであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。
金属支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。
【0043】
支持体へのポリアミド酸溶液の押出し、流延・塗布は、スリット付き口金からの、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の押出し、塗布手段を適宜用いることができる。
本発明においては、この支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目が3〜5μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを−10〜40℃に維持し、フィルタ通過後120分以内に支持体に流延するために押出すことが好ましく、フィルタ処理によって異物を除去することと、その後の乾燥などの工程におけるフィルム内異物の発生を防止することが好ましい。
【0044】
支持体へのポリアミド酸溶液の押出し、流延・塗布し、乾燥して自己支持性のポリアミド酸フィルムをイミド化してポリイミドフィルムとする。イミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
【0045】
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液をイミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
【0046】
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0047】
本発明のポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、通常1〜150μm、好ましくは5〜110μm、さらに好ましくは9〜40μmである。この厚さはポリアミド酸溶液などのフィルム原料液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液などののフィルム原料液における原料濃度によって容易に制御し得る。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の有効性について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ポリイミドフィルムにおける内部異物の測定方法を下記に示す。
(1)使用する装置
超深度形状測定顕微鏡(レーザー顕微鏡)VK−8510、株式会社キーエンス製。
解析ソフトウェア:KEYENCE社製、VK形状解析アプリケーション
(2)サンプル
高分子フィルムロールから、目的に応じサンプル箇所を決定する。サンプリングする箇所は、フィルム長手方向に500mm間隔、フィルム幅方向には中心から200mm間隔の計9箇所とする(図1参照)。各々のサンプリングサイズは35mm×5mmである。
(3)測定方法(手順)
(a)レーザー顕微鏡用のサンプル台に切り出したサンプル片のA面側(前駆体フィルム製膜時の空気面側)を上にして、水平に固定する。サンプルの固定台は、表面が滑らかでありかつレーザー光を吸収するような黒色の物を使用する。
(b)切り出したフィルムの任意の位置に油性マジックペンで直径2mm程度の丸印をマーキングし、その印内を測定点とする。
(c)前記装置の測定ソフトに内蔵された膜厚測定モードにて、マーキングしたサンプル位置の膜厚を測定する。
(d)フィルム内部の画像データを採取する方法を次に示す。
i)サンプル片のB面側(前駆体フィルム製膜時の基材側)にレーザー光の焦点を合わせる。この焦点位置がレーザー光走査下限であり、測定ソフトの専用ボタンで認識させる。
ii) i)で焦点を合わせたレーザー光をサンプル片の厚さの2/3に相当する高さまで上昇させる。この高さ位置がレーザー光走査上限であり、測定ソフトの専用ボタンで認識させる。
iii) i), ii)で走査範囲を設定後、測定ボタンを押すことによりオート走査にてレーザー光が走査され、画像情報(1)(B面側の表面及び内部の情報)が得られる。
iv)サンプル片を裏返し、B面側の可視光画像を観察し、その画像情報(2)(B面側の表面の情報)を得る。
v)画像情報(1)及び画像情報(2)の背景色と異なる点状物フィルム異物とし、それぞれに観察される異物数を目視で求め、画像情報(1)の異物数から画像情報(2)の異物数を差し引いた値をB面側の内部異物量として定義した。
(e)(a)〜(d)の操作において、A面とB面を入れ替えて同様に実施することで、A面側の内部異物量を評価した。
内部異物量の個数密度Aは、A面側の内部異物量とB面側の内部異物量の平均値とする。
(f)(a)〜(e)の操作において今回は目視により実施したが、より好ましくは目的とする異物を識別/カウント可能な画像処理ソフトを利用することであり、これによって人為的差異の発生を抑制できる。
(g)上記のレーザー顕微鏡観察は、23℃、50%RHの雰囲気で行う。
【0049】
(実施例1)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)300質量部を仕込み、次いで,N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で17時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液(ドープ)が得られた。このもののηsp/Cは4.1dl/gであった。
ポリアミド酸溶液を、支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目が3μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを15℃に維持し、フィルタ通過後最大20分以内に支持体に流延するために押出す方法で、ステンレスベルトに、スキージ/ベルト間のギャップを調節してコーティングし、110℃にて15分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離しグリーンフィルムを得た。このときのグリーンフィルムの残溶媒量は39%であった。得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉に通し、150℃にて3分間熱処理し、続いて200℃にて2分間熱処理した後、499℃にて5分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色の20μm厚さのポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムを使って内部異物観察を上記手順で実施した。
1測定当たりの観察範囲は214×284μmであり、この範囲で確認できた体積平均粒子径0.3〜10μmの内部異物を平方センチメートル当たりの個数に換算した。9箇所の測定データ値の取扱いについては、最大値とその次に大きい値、及び最小値とその次に小さい値の計4個を切り捨て、真ん中の5つの値の平均を取ったものとした。その結果を表1に示す。
【0050】
(実施例2)
ポリアミド酸溶液に対する異物除去フィルタに関してフィルタ径が5μmの条件以外は実施例1とほぼ同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムを使って内部異物観察を上記手順で同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1〜2)
ポリアミド酸溶液に対する異物除去フィルタに関して表1に示す条件以外は、実施例1とほぼ同様にしてポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムを使って内部異物観察を上記手順で同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0052】
(比較例3〜4)
ポリアミド酸溶液に対する異物除去フィルタとフィルタ通過後のポリアミド酸溶液を押出すまでの維持温度、フィルタ通過後のポリアミド酸溶液を押出すまでの時間に関して表1に示す条件以外は、実施例1とほぼ同様にしてポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムを使って内部異物観察を上記手順で同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

表中、温度はフィルタ通過後のポリアミド酸溶液を押出すまでの維持温度を、時間はフィルタ通過後のポリアミド酸溶液を押出すまでの時間を示す。
【0054】
<両面CCLの製造>
各実施例、比較例で得られたポリイミドフィルムについて、巻き出し部及び巻き取り部を有するロールツーロール(R to R)方式の真空スパッタ装置にセットし、フィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はアルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、処理時間は5分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、NiCrターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてRFスパッタ法により50ÅのNiCr合金被膜を形成した。次いで、基板の温度を250℃に上げ、100Å/秒のレートで銅をスパッタし、厚さ0.5μmの銅箔膜を形成させた。
得られたそれぞれの金属化フィルムをプラスティック製の枠に固定し直し、硫酸銅めっき浴を用いて厚さ12μmの厚付け銅メッキ層を形成させて両面CCLを得た。
【0055】
<導通抵抗評価>
上述の各CCLにレーザーで孔を1000個あけ、それを無電解メッキ実施後に電気めっきを行った。次にスルーホールが1000個連結したデイジーチェーンパターンを作成し、初期導通テストを実施した。次に、−50℃から120℃のヒートサイクル試験を1000回実施し、再度導通テストを行った。この結果について、導通抵抗の上昇率が20%以上××、10%以上×、5%以上△、2%以上○、2%未満◎とし、これを表2にまとめた。
【0056】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のフィルム内部に存在する体積平均粒子径0.3〜10μmのフィルム内部の異物量が個数密度A(個/cm)が0≦A≦1700であるポリイミドフィルムプリント配線板などの精密電子部品の耐熱性絶縁性基板として有用である。また、ポリアミド酸溶液を、支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目径が3〜5μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを−10〜40℃に維持し、フィルタ通過後120分以内に支持体に流延しポリイミド前駆体フィルムを得て、次いでイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムの製造方法は、フレキシブルプリント配線板などの精密電子部品の耐熱性絶縁性基板として多用されるポリイミドフィルムの内部異物を低減するための効率的かつ比較的簡便な製造方法であり、工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】フィルムサンプル取得場所の説明図である。
【図2】フィルムとレーザーの位置関係を示す概略図である。
【符号の説明】
【0059】
(1)高分子フィルム
(2)フィルム長手方向
(3)サンプル採取箇所
(4)長手方向のサンプル採取間隔
(5)フィルム幅方向のサンプル採取間隔
(6)レーザー入射光
(7)入射光に対する測定範囲
(8)フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルムを得て、次いでポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムであって、フィルム内部の異物量からフィルム表面の異物量を差し引いて得られるフィルム内部に存在する体積平均粒子径0.3〜10μmのフィルム内部の異物量が個数密度A(個/cm)で0≦A≦1700であることを特徴とするポリイミドフィルム。
【請求項2】
芳香族ジアミン類がベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンである請求項1記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、支持体に流延・乾燥してポリイミド前駆体フィルムを得て、次いでポリイミド前駆体フィルムをイミド化させて得られる非溶融性ポリイミドフィルムの製造方法であって、ポリアミド酸溶液を支持体に流延するための押出用ギアポンプに網目径が3〜5μmである異物除去用のマイクロフィルターを設置し、フィルタ通過後のドープを−10〜40℃に維持し、フィルタ通過後120分以内に支持体に流延するために押出すことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項4】
芳香族ジアミン類がベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンである請求項3記載のポリイミドフィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−144099(P2008−144099A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335465(P2006−335465)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】