説明

ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物の製造方法

【課題】 発泡剤が均一に分散し、発泡体内部の粗大気泡や発泡体表層部のピンホールが少ない、酢酸ビニル系樹脂架橋発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100重量部に対して発泡剤を15〜100重量部配合し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することによりえる発泡剤含有マスターバッチ(B)であって、ポリオレフィン系樹脂(C)10〜90重量%と前記発泡剤含有マスターバッチーバッチ(B)90〜10重量%からなる樹脂成分(D)に対して、前記ポリオレフィン系樹脂(C)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡剤が均一に分散し、発泡体内部の粗気泡や発泡体表層部のピンホールが少ない、酢酸ビニル系樹脂架橋発泡体の製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酢酸ビニル系樹脂発泡体は、優れた柔軟性、クッション性、緩衝性、耐水性、耐化学薬品性等を有することから、クーラー等電化製品の断熱剤、高級製品の包装緩衝剤、容器のパッキン、粘着テープあるいは、パイプ形状に加工して調理機器の配管断熱剤等幅広く使用されてきている。
酢酸ビニル系発泡体の主用途であるパッキンや粘着テープについては、柔軟性や伸びを向上しつつ、成型時に耐えうる強度が要求され、なおかつスライス用途や延伸による極薄化の製品が求められている。極薄化に伴い、外観欠点や表面の微細なピンホール、内部のやや粗い気泡(粗気泡)に対しても客先の要求品質が高まってきている。
【0003】
エチレン-酢酸ビニル樹脂とポリオレフィン樹脂を混合している酢酸ビニル系樹脂発泡体は、酢酸ビニル濃度が高くなると柔軟性及び伸びが向上する。逆に低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂の濃度が増えるほど、強度が増し柔軟性及び伸びが低下する。これらのことからエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂にポリエチレン樹脂を混合して、強度・伸び・柔軟性を調整している。
【0004】
エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン系樹脂の架橋発泡体は、通常粉体の発泡剤と原料樹脂をブレンドし、押出機でシート状に成形し、架橋を施し、加熱発泡をしている。しかしながらエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とポリオレフィン系樹脂の融点が異なることから融点の低いエチレン−酢酸ビニル樹脂やオリゴマーに発泡剤が最初にとけ込み、融点の高いポリオレフィン樹脂の界面およびシリンダーや口金との接触面で発泡剤の分散不良により高濃度の発泡剤を含んだエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂やオリゴマー、またそれらの混合物、発泡剤凝集物がシート中に混入するため、発泡後発泡体表面上にピンホールが発生したり、発泡体内部に粗気泡が発生する。
また、微粉の発泡剤は、表面活性が高く2次凝集を起こしやすいことと、水分等の吸着により凝集しやすく、混練不十分により発泡体表面上のピンホールや発泡体内部に粗気泡が発生していた。
【0005】
この対策として発泡剤を比較的濃い状態となるように樹脂と発泡剤を混練したマスターバッチをあらかじめ製造しておき、所望の発泡倍率となるよう樹脂成分と混合することが行われているが、必ずしも発泡剤の分散が良好でなく、ピンホールや粗気泡の問題は、解決していない。
【0006】
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムと、エチレン−酢酸ビニル共重合体とに発泡剤が大幅に濃い状態となるようにして混練したマスターバッチ組成物をあらかじめ製造しておき、それと結晶性ポリオレフィン(又は結晶性ポリオレフィンと、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムと、エチレン−酢酸ビニル共重合体)とを所望の発泡倍率となるように混合して架橋発泡体用組成物とし、この組成物から得られる成形体を放射線架橋した後、加熱発泡する特許が提案されているが(特許文献1)、大幅に濃い状態では、ポリオレフィンとの分散性が悪い。
融点の高いポリオレフィンと発泡剤を最初に混練しマスターバッチを製造する際、ポリオレフィンの融点以上に温度を上げる必要があり、発泡剤が分解し易い。また、剪断発熱により能力が上げられないため、コストがかかる問題が発生する。
【0007】
分散不良対策として、押出機としては、単軸押出機から多軸押出機への移行やスクリュー径の径大化およびスクリュー形状の見直し、スクリューにピン植込、ダルメージ取付けによる混練性の強化が行われているが、工程を変更することはコストがかかること、少量他品種により全ての樹脂に万能なスクリューを選定することが困難なこと、発泡剤の分解温度以下で溶融混練を行う必要があるため、剪断をかけすぎると発泡剤が分解してしまう問題が発生し、分散不良による粗気泡やピンホールの問題は、解決していない。
従って本発明の目的は、発泡剤が均一に分散し、発泡剤の凝集による粗気泡が少ない酢酸ビニル系樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【特許文献1】特開平5−9326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、発泡剤が均一に分散し、発泡剤の凝集による粗気泡が少ない酢酸ビニル系樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100重量部に対して発泡剤を15〜100重量部配合し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することにより得られる発泡剤含有マスターバッチ(B)であって、
ポリオレフィン系樹脂(C)10〜90重量%と前記発泡剤含有マスターバッチーバッチ(B)90〜10重量%からなる樹脂成分(D)に対して、前記ポリオレフィン系樹脂(C)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物の製造方法。
(2)樹脂成分(D)の混錬温度が、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の混錬温度よりも高いことを特徴とする、(1)に記載のポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物の製造方法。
(3)(1)又は(2)に記載の製造方法により得られることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物。
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発泡剤が均一に分散し、発泡体内部の粗気泡や発泡体表層部のピンホールが少ない、酢酸ビニル系樹脂架橋発泡体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニルの含有率が4.5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%のエチレン系共重合体である。酢酸ビニル濃度が4.5重量%未満では、酢酸ビニル発泡体に必要な柔軟性や伸びを出すために、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)を多量に添加する必要がありコストアップとなる。酢酸ビニル濃度が50重量%以上では、融点が低下し、工程上「おこし」等の不具合が発生する。エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の融点は、50℃〜110℃、好ましくは60℃〜100℃である。酢ビ濃度と融点は、おおよそ相関があり、酢ビ濃度が4.5〜10%では110℃〜100℃で酢ビ濃度が10〜35重量%では、100〜60℃、酢ビ濃度が35〜50重量%では、60〜50℃である。融点が低い場合は、工程上「おこし」等の不具合が発生し、融点が高い場合は、溶融混練時、剪断発熱により発泡剤が分解する。このようなエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)のJIS−K−6760に基づくMFRは、規定するものではないが、1〜25g/10 分が好ましい。MFRが1未満では溶融混練時、剪断発熱により発泡剤が分解する。MFRが25以上では、粘度が低く十分な混練が出来ない。
【0012】
本発明のポリオレフィン系樹脂(C)は、オレフィン系炭化水素の単独重合体または共重合体であって、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンとブテン、ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。これらのオレフィン系樹脂には、グラフトのような化学的修飾が施されていてもよい。
【0013】
上述したポリオレフィン系樹脂(C)としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂の少なくとも1種類を含有することが好ましい。
【0014】
本発明のポリオレフィン系樹脂(C)としてポリエチレン系樹脂を使用する場合は、ポリエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等)やエチレンを主成分とする共重合体、あるいはこれらの2種以上の混合物が用いられる。エチレン共重合体としては、エチレン単位を50重量%以上含有するエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0015】
本発明のポリオレフィン系樹脂(C)としてポリエチレン系樹脂を使用する場合は、密度が860〜975kg/m、MFRが0.5〜50g/10分の範囲内にあるものが好ましく用いられる。なお、かかるMFRはJIS−K−6760に基づいて測定した。ポリエチレン系樹脂の中でも、密度が920〜940kg/m、MFRが1〜15g/10分、融点が100〜130℃の低密度ポリエチレンが最も好ましく用いられる。
【0016】
本発明のポリオレフィン系樹脂(C)としてポリプロピレン系樹脂を使用する場合は、一般に立体規則性のよい結晶性ポリプロピレンの単独重合体、プロピレンの含有率が50重量%以上、好ましくは70重量%以上のポリプロピレン共重合体、あるいはこれらの2種以上の混合物が用いられる。ポリプロピレン共重合体としては、ポリプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。また、プロピレン−エチレン共重合体も使用することができる。ポリプロピレン系樹脂は、MFRが0.5〜20g/10分、融点が130〜170℃の範囲内にあるものが好ましく用いられる。なお、かかるMFRはJIS K7210に基づいて測定した。これらのポリプロピレン系樹脂の中でも、エチレン含有率が1〜5重量%、融点が135〜155℃、MFRが0.5〜5.0g/10分のランダムポリプロピレン、あるいはエチレン含有率が5〜10重量%、融点が150〜165℃、MFRが3.0〜7.0g/10分のブロックポリプロピレンが特に好ましく用いられる。
【0017】
本発明の発泡剤としては、有機系熱分解型発泡剤が好適に用いられる。有機系熱分解型発泡剤としては、加熱により分解して気体を発生する化合物が好ましく使用され、具体的には、アゾジカルボンアミド、オキシベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、ヒドラゾジカルボンアミド等が好ましく使用される。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0018】
本発明の発泡剤含有マスターバッチ(B)は、上述のエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)に上述の発泡剤を単独または併用して添加し、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100重量部に対して発泡剤を15〜100重量部添加することが好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100重量部に対して発泡剤が5重量部未満の場合、発泡剤マスターバッチを多量に添加する必要があり、コストアップとなる。
【0019】
発泡剤含有マスターバッチ(B)には、オレフィン系ワックス等の分散剤やキッカー剤、熱安定剤を添加しても良い。
【0020】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、多官能性モノマーであるジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、エチレンビニルジメタクリレート、1,2−ベンゼンジカルボン酸ジアリルエステル、1,3−ベンゼンジカルボン酸ジアリルエステル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ジアリルエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸ジアリルエステル等の架橋助剤、脂肪酸系、脂肪酸ビスアミド系、脂肪酸モノアミド系、脂肪酸アミド系、脂肪酸アミド誘導体、ヒドロキシ脂肪酸アミド系、脂肪酸金属石鹸、脂肪族アルコール、シリコン、オレフィン系ワックス、アクリル系高分子、エステル系、脂肪酸エステル系、ベタイン系等の分散剤、顔料、金属害防止剤、粘土鉱物、シリカ、コロイダルシリカ、珪藻土、ゼオライト、マイカ、タルク等の充填剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0021】
融点の違う樹脂において、融点の低いエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)と発泡剤を融点温度から融点温度よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することにより発泡剤含有マスターバッチ(B)を製造し、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)よりも融点の高いポリオレフィン系樹脂(C)を前記ポリオレフィン系樹脂(C)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物を製造し、押出機で溶融混練することにより発泡剤が均一に分散し、粗気泡やピンホールの数が少ない発泡体が出来ることを見出した。
【0022】
融点の違う2種類の原料に対し、融点の低いエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100重量部に対して発泡剤を15〜100重量部配合し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の融点温度から融点温度よりも50℃未満の温度で剪断力をかけながら溶融混練することにより発泡剤含有マスターバッチ(B)を製造し、ポリオレフィン系樹脂(C)10〜90重量%と前記発泡剤含有マスターバッチーバッチ(B)90〜10重量%とからなる樹脂成分100重量部に対して、前記ポリオレフィン系樹脂(C)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物を製造し、単軸または多軸押出機で溶融混練し、シート状に成型後架橋を行い、発泡させることを特徴とする。
【0023】
上記方法で製造した発泡体をフォーム厚みの中央でスライスし、100m当たりのスライス面上の粗気泡の個数とピンホールの数をカウントした。粗気泡の定義は、スライス面の平均気泡径の5倍以上の気泡径とする。ピンホールの定義は、発泡体の表裏面上に平均気泡径の5倍以上のヘコミで内部に発泡剤分解残差があるものとし、粗気泡とピンホールの数が10個/100m以下であった。
【実施例】
【0024】
(1)発泡倍率
JIS K6767により、発泡体の密度をそれぞれのサンプルで3回測定し、発泡体の密度の平均値を求め、次式により発泡倍率を求める。
発泡倍率=1/発泡体密度平均(n=3)
(2)平均気泡径
スライサーで発泡体を厚み方向に対し中央部でスライスし、スライス面をマイクロウオッチャーで10倍に拡大し、TD方向の25mm間の気泡個数を測定し、次の計算により平均気泡径を求める。
【0025】
平均気泡径=25000/セルの実数(単位:μm/個)
サンプルを3個準備しそれぞれのサンプルを各1回計3回測定した際の平均値を平均気泡径とした。
(3)ピンホール数
発泡体の直径1mm以上の表裏面の穴をピンホールとし、上下面より光を当て目視観測し、発泡体100m当たりのピンホールの個数をカウントし、3回測定した際の平均値をピンホール数とした。
(4)粗気泡数
粗気泡数は、発泡体を厚み方向に対してスライスし、スライス面において平均気泡径の5倍以上の大きさのセル径と定義する。粗気泡数は100mあたりのスライス面の粗気泡の数で、測定方法は、平均気泡径*5倍で計算した円を描いた透明フィルムのプレートを準備し、目視で気泡を照合し、大きいセルをカウントする。このようにして測定を行い、3回測定した際の平均値を求めた。
(実施例1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体で融点が78℃、MFRが2.8g/10分、その密度が0.948g/cmの樹脂(東ソー社製 640)100重量部に発泡剤のアゾジカルボンアミドを100重量部を押出機(40φ、L/D=20、単軸押出機)に供給し、押出温度が120℃で溶融混練し、Tダイでシート状に成型後チッパーで発泡剤濃度50%のエチレン−酢酸ビニル共重合体発泡剤含有マスターバッチを製造した。
【0026】
低密度ポリエチレンで融点が111℃、MFRが3.0g/10分、密度が924kg/mの樹脂(東ソー社製 188)65重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製 640)35重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体と低密度ポリエチレンの合計を100重量部とし、それに対して、にエチレン−酢酸ビニル共重合体発泡剤マスターバッチ(発泡剤濃度50%)を10重量部と酸化防止剤(BHT)を0.5部を押出機(150φ、L/D =6.6、2軸押出機)に供給し、押出温度150℃で押出し、Tダイでシート状に成型後チッパーでペレット化し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物を製造し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物を押出機(150φ、L/D =6.6、2軸押出機)に供給し、押出温度150℃で押出し、Tダイで厚さ1mmの長尺シートを作成した。
【0027】
このシートに700KV、50KGyの電子線を照射し架橋を施した。熱風発泡装置で270℃で発泡剤を分解し、厚さ2.00mmフォーム密度90kg/mの長尺架橋発泡体を製造した。
【0028】
このようにして得られた架橋発泡体100mの表裏面のピンホールの個数をカウントし、透過光では、粗気泡がわかりにくいため、発泡体を1.00mmにスライスし、100mあたりのスライス面の粗大気泡の数をカウントした。その結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1として、低密度ポリエチレンで融点が111℃、MFRが3.0g/10分、密度が924kg/mの樹脂(東ソー社製 188)に100重量部に発泡剤のアゾジカルボンアミドを100重量部を押出機(40φ、L/D=20、単軸押出機)に供給し、押出温度が150℃で溶融混練し、Tダイでシート状に成型後チッパーで発泡剤濃度50%の低密度ポリエチレン樹脂発泡剤マスターバッチを製造した。エチレン−酢酸ビニル共重合体で融点が78℃、MFRが2.8g/10分、その密度が0.948 g/cm3 の樹脂(東ソー社製 640)70重量部と低密度ポリエチレンで融点が111℃、MFRが3.0g/10分、密度が924kg/mの樹脂(東ソー社製 188)30重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体と低密度ポリエチレンの合計を100重量部とし、それに対して、低密度ポリエチレン樹脂発泡剤マスターバッチ(発泡剤濃度50%)を10重量部と酸化防止剤(BHT)を0.5部を押出機(150φ、L/D =6.6、2軸押出機)に供給し、押出温度150℃で押出し、Tダイでシート状に成型後チッパーでペレット化し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物を製造し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物を押出機(150φ,L/D =6.6,2軸押出機)に供給し、押出温度150℃で押出し、Tダイで厚さ1mmの長尺シートを作成した。
【0029】
このシートに700KV、50KGyの電子線を照射し架橋を施した。熱風発泡装置で270℃で発泡剤を分解し、厚さ2.00mmフォーム密度90kg/mの長尺架橋発泡体を製造した。
【0030】
このようにして得られた架橋発泡体100mの表裏面のピンホールの個数をカウントし、透過光では、粗気泡がわかりにくいため、発泡体を1.00mmにスライスし、100mあたりのスライス面の粗大気泡の数をカウントした。その結果、表2の通り平均気泡径は、0.4mmで、ピンホールの個数が2〜4で粗気泡の個数は、5〜10個/100mで規格外のものが発生する。
(比較例2)
比較例2として、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が26重量%でMFRが2.8g/10分で、その密度が0.948 g/cm3の樹脂(東ソー社製 640) を重量と低密度ポリエチレンでMFRが3.0g/10分、密度が924kg/m、融点が111℃の樹脂(東ソー社製 188)の比率が70:35で合計100重量部に対して、粉末発泡剤を5部添加し、さらに酸化防止剤(BHT)を0.5部添加し、押出機に直接投入し、押出機(150φ、L/D =6.6、2軸押出機)で押出温度150℃で押出厚さ1.0mmの長尺シートを作成した。
【0031】
このシートに700KV、50KGyの電子線を照射し架橋を施した。熱風発泡装置で発泡剤の分解温度以上に加熱し、厚さ2.00mmフォーム密度90kg/mの長尺架橋発泡体を製造した。
【0032】
このようにして得られた架橋発泡体を1.00mmにスライスし、100cm2あたり1mm以上の粗大気泡の数をカウントした。その結果、表2の通り平均気泡径は、0.4mmで、ピンホールの個数が7〜12粗気泡の個数は、48〜76個/100mで外観上問題がある。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の酢酸ビニル架橋発泡体は、食品のパッキンや包装材、粘着テープ等に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)100重量部に対して発泡剤を15〜100重量部配合し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することにより得られる発泡剤含有マスターバッチ(B)であって、ポリオレフィン系樹脂(C)10〜90重量%と前記発泡剤含有マスターバッチーバッチ(B)90〜10重量%からなる樹脂成分(D)に対して、前記ポリオレフィン系樹脂(C)の融点から融点よりも50℃低い温度で剪断力をかけながら溶融混練することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
樹脂成分(D)の混錬温度が、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の混錬温度よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法により得られることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体用樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−239674(P2008−239674A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78609(P2007−78609)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】