説明

ポリオール生成の方法およびシステム

プロピレングリコール、エチレングリコールおよび他のポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびバイオマスからのアルコールを生成する方法を開示する。この方法は、水相改質条件下、触媒上でバイオマス原料溶液の水流の一部を反応させ、水素を得て、触媒上で水素および原料水溶液を反応させプロピレングリコール、エチレングリコールおよび他のポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールを得る。開示された方法は、より低い温度および圧力で実施可能であり、外部供給源からの水素を必要とせずに、含酸素炭化水素の生産を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DOC NIST Grant No 70NANB3H3014およびDOE Grant No.DEFG36−05GO15046によって認定される米国政府の支援とともになされた。米国政府は、本発明における所定の権利を有する。
【0002】
本発明は、水溶性含酸素炭化水素を含む水溶性原料流から1又はそれ以上の含酸素炭化水素生成物を生成する方法、触媒およびリアクタシステムに関する。好ましくは、反応生成物は、ジオールおよび他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸及び/又はアルコールを含み、これらは、バイオマス原料流の一部からリアクタシステム内で生成される水素を用いて、バイオマス由来の原料中の水溶性ポリマ(グリセロールなど)を水素化することによって生成される。
【背景技術】
【0003】
バイオマス(生体または近年では生体の生物学的材料から得られる材料)は、最も重要で再生可能エネルギ源の1つとなる。バイオマスを燃料、化学物質、エネルギおよび他の材料へと変換する能力は、農村経済を強化し、石油およびガス資源への依存度を減少させ、空気汚染および水質汚染を低減することを期待させる。バイオマスなどの再生可能な資源からエネルギおよび化学物質の生成は、二酸化炭素生成物、すなわち地球温暖化を助長する重要な温室効果ガスの正味の量を低減する。
【0004】
産業分野におけるバイオマスの使用の促進および維持のための重要な努力目標は、バイオマスを有用な生成物に変換する効率的で環境に優しい技術を開発する必要性である。現在のバイオマス変換技術は、残念ながら、石油燃料など従来の資源を利用して生産される生成物と競合するのが困難となる付加的なコストを伴う傾向がある。このようなコストは、多くの場合、極端な温度、および、高圧を維持可能な装置および処理システムに関する設備投資や、発酵微生物、酵素材料、触媒および他の反応化学物質などの燃料および反応生成物を加熱するために必要な運用費用を含む。
【0005】
大きな注目を集める1つの代替燃料技術は、植物油または動物脂肪のエステル化を介して生成されるバイオディーゼルである。米国のバイオディーゼルの生産は、年間で3000〜4000万ガロンに達するが、2012年までに、年間の生産量を目標の4億ガロンまで伸ばす計画である。ヨーロッパでは、1.4メートルトンを超えるバイオディーゼルが2003年に生産され、主な積極策は、ブラジルやアジアで進行中である。
【0006】
バイオディーゼル処理の副生成物は、さらに精製しなければほとんど又は全く価値のない未精製のグリセロールである。この問題は、未精製のグリセロールの供給が上昇することと関連している。未精製のグリセロールを精製することは、1つの選択肢であるが、しかしながら、触媒、有機不純物および残留メタノールを含む未精製のグリセロールを精製することは困難であり、小規模のバイオディーゼル生成物に関しては費用が高すぎる場合が多い。特にヨーロッパでは、純粋なグリセロールの需要は一定であり、より多くの供給がオンラインでなされると、価格が暴落し、問題は複雑化する。
【0007】
未精製のグリセロールを、ジオール及び他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸ならびにアルコールなどの代替の生成物に変換する効率的な方法の開発は、費用効果および環境保全上の利点を改善するさらなる機会を提供することができる。例えば、10億ポンドを超えるプロピレングリセロールが、今日、米国で生産され、航空機および滑走路用の防氷液、不凍液、冷却剤、熱媒剤、溶媒、香料および芳香剤、化粧品用添加物、医薬品、圧媒液、化学物質中間体および熱硬化性プラスチックなど、多くの工業製品および家庭用製品の製造に使用される。現在、プロピレングリコールは、化石燃料の部分的な酸化を介して生産され、プロピレン酸化物を形成し、次いで、水と反応させ、プロピレングリコールを形成する。
【0008】
近年、開発者は、水素化触媒および水素化分解触媒上で、純粋な水素を大量のバイオマス由来のポリオール(グリセロール、キシリトール及びソルビトール)および糖(キシロース及びグルコース)と反応させ、プロピレングリコールを生成する方法を開発した。バイオマスは再利用可能な資源から得られる一方、純粋な水素自体は、通常、再利用不可能な天然ガスの蒸気改質を介して、得られる。開始点のために、この純粋な水素は、外側の供給源から高い圧力で、生産流内に輸送され、導入され、従って、プロセス効率が低下し、最終生成物の全コストの上昇が生じる。
【0009】
例えば、Werpy等の米国特許第6,841,085号、第6,677,385号、第6,479,713号は、外部水素の存在下で、レニウム(Re)含有マルチ金属触媒を用いてプロピレングリコール(PG)などの生成物を生成する、炭素−酸素結合および炭素−炭素結合の水素化分解に関する方法を開示している。Re含有触媒は、さらに、Ni,Pd,Ru,Co,Ag,Au,Rh,Pt,Ir,OsおよびCuを含む。変換は、140〜250℃、より好適には170〜220℃、600〜1600psi水素の水素圧力の範囲の温度で生じる。
【特許文献1】米国特許第6,841,085号
【特許文献1】米国特許第6,677,385号
【特許文献1】米国特許第6,479,713号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
Dasariらは、さらに、外部供給源からの水素の存在下で、150〜260℃の範囲の温度、および200psiの水素圧力、ニッケル、パラジウム、プラチナ、銅および銅クロマイト触媒上で、グリセロールからPGへの水素化分解を開示している。著者らは、プロピレングリコールを増大させるように産出し、水濃度を低減させ、温度が200℃以上、水素圧力が200psiでPG選択性が低減することを報告している。さらに、著者らは、ニッケル、レニウムおよびパラジウムはグリセロールに水素化するのにそれほど効率的ではないことを報告している。Dasari,M.A.;Kiatsimikul,P.−P.;Sutterlin,W.R.;Suppes,G.J.「グリセロールからプロピレングリコールへの低圧水素化」Applied Catalysis,A:General,281(1−2),p.225(2005)。
【0011】
Suppes等の米国特許出願第11/088,603号(公開番号米国2005/0244312A1)は、グリセリンを、高収率で、200℃未満の沸点を有する低級アルコールに変換するプロセスを開示している。このプロセスは、温度が150〜250℃、圧力が1〜25bar(14.5〜363psi)、好ましくは5〜8bar(72.5〜116psi)、パラジウム、ニッケル、ロジウム、亜鉛、銅またはクロム触媒上で、天然のグリセリンを、アセトール中間体を介して、プロピレングリコールに変換することを含む。この反応は、水素が存在していても存在していなくても、外部供給源によって提供される水素で生じる。グリセリンは、50重量%またはそれ未満、好適には5〜15重量%のみの水を含む溶液中で反応させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、原料溶液の一部から生成された水素を用いて、原料水溶液から、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールなどの含酸素炭化水素を生成する方法に関する。この方法は、水相改質条件下の第1の触媒上で原料溶液の一部を反応させ、水素を生成し、この水素を第2の触媒上で原料溶液の少なくとも第2の部分と反応させ(例えば、水素化によって)所望の生成物を生成することを含む。一実施例において、この方法は、(a)第1の触媒材料を、水および2又はそれ以上の炭素原子を有する少なくとも1つの水溶性含酸素炭化水素とを含む原料水溶液と、接触させるステップと、(b)選択された第2の触媒材料上で水素を残りの含酸素炭化水素と反応させ、含酸素炭化水素から所望の反応生成物へと水素化を促進するステップと、を具える。
【0013】
好ましくは、原料水溶液は、水と、多数のポリオール、糖、糖アルコール、アルコール、デンプン、リグニン、セルロース、水溶性サッカライドのいずれか1つなど、少なくとも2つの炭素原子を有する含酸素炭化水素と、を具える。好ましくは、原料溶液は、グリセロールを具える。
【0014】
第1の触媒材料は、VIIIB族金属単独で、または、VIIB族金属、VIB族金属、VB族金属、IVB族金属、IIB族金属、IB族金属、IVA族金属またはVA族金属と組み合わせて、水相改質条件下で水素を生成可能な1又はそれ以上の材料を有する不均一系触媒であることが望ましい。第2触媒材料は、好ましくは、ジオールまたは他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコールを生成するように、生成された水素と原料溶液との間の反応を触媒可能な1又はそれ以上の材料を有する不均一系触媒である。この第2触媒材料の好適な例は、銅VIII族金属、その混合物およびこれらの合金、ならびに、種々の二機能を有する触媒を含む。第2の触媒材料は、上記金属単独、または、1又はそれ以上のVIIIB族金属、VIIB族金属、VIB族金属、VB族金属、IVB族金属、IIB族金属、IB族金属、IVA族金属またはVA族金属との組み合わせ、を含む。好ましくは、第2の触媒材料は、鉄、ルテニウム、銅、レニウム、コバルトまたはニッケルを含む。
【0015】
一実施例において、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコールは、約80〜400℃までの温度、毎時重量空間速度(WHSV)が時間当たり第1の触媒材料のグラム当たりの少なくとも約1.0グラムの含酸素炭化水素、水および含酸素炭化水素が凝縮液体となるような圧力で、第1の触媒材料に接触するように配置した原料水溶液の一部から水素を生成することによって、生成され、次いで、ジオールおよび他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコールなど、1又はそれ以上の含酸素炭化水素を効果的に生成するための、温度、圧力および毎時重量空間速度の条件下で、第2の触媒材料上で、水素を原料溶液の第2の部分と反応させる。原料溶液の第2の部分は、通常、元々の含酸素炭化水素と、水素生成ステップに由来する含酸素炭化水素と、の両方を具えることができ、約100〜300℃の温度、約200〜1200psigの圧力、毎時重量空間速度が時間あたりの触媒材料のグラムあたりの少なくとも約1.0gの含酸素炭化水素で、第2の触媒と接触させることができる。結果として生じる組成物は、限定するものではないが、第1の触媒材料および第2の触媒材料、好ましくはプラチナおよび鉄を含む触媒組成物を伴う固相と、水、グリセロール、カルボン酸、プロピレングリコールおよび二酸化炭素を含む液相と、を有する複数相の組成物を含む。
【0016】
他の実施例において、ジオールまたは他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはポリオールからのアルコールなど、含酸素化合物を生成するリアクタシステムが提供される。このリアクタシステムは、原料水溶液を受けて水素を生成するように構成された少なくとも1つの第1のリアクタベッドと、水素および原料溶液の一部から含酸素化合物を生成するように構成された第2のリアクタベッドと、を具える。第1のリアクタベッドは、凝縮相(condensed phase)の原料水溶液を、(上述の)第1の触媒材料と接触させ、反応物流に水素を得るように構成される。第2のリアクタベッドは、反応物流を受けて(上述の)第2の触媒材料と接触させ、所望の含酸素化合物を生成するように構成されている。好適な一実施例において、第1の触媒材料は、VIII族金属を含み、第2の触媒材料は、鉄、ルテニウム、銅、レニウム、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金、もしくはこれらの混合物のいずれかである。第2のリアクタベッドは、第1のリアクションベッドとともに同一のリアクタ容器内に配置されるか、第1のリアクションベッドを有する第1のリアクタ容器と連通した第2のリアクタ容器内に配置可能である。このリアクタ容器は、好ましくは、リアクタ容器から生成物流を除去するように構成された出口を具える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本開示は、インサイチュウで生成した水素を用いて、プロピレングリコール、エチレングリコールおよび他のポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコールを生成するように、低温で、水を用いたバイオマス濃度の改質方法およびシステムに関する。水素は、水相改質(APR)条件下において触媒上で、バイオマス及び水を含む原料水溶液の一部を反応させることによって生成される。APRによって生じた水素は、次いで、APR水素の生成物から得られる含酸素炭化水素を含む、原料溶液の第2の部分と適宜な条件下の第2の触媒上で反応させ、所望の生成物を生成するのに使用することができる。
【0018】
省略および定義
「GC」=ガスクロマトグラフィまたはガスクロマトグラフィ
【0019】
「GHSV」=毎時気体空間速度
【0020】
「psig」=大気圧に対するポンド/平方インチ(すなわち、ゲージ圧力)
【0021】
「空間速度(Space Velocity)」=単位時間あたりの単位触媒あたりの反応物質の質量/体積
【0022】
「TOF」=回転頻度(turnover frequency)
【0023】
「WHSV」=毎時重量空間速度=時間あたりの触媒質量あたりの含酸素化合物の質量
【0024】
「WGS」=水−気体シフト
【0025】
水相改質(APR)は、バイオマス(グリセロール、糖、糖アルコールなど)バイオマス由来の含酸素化合物から水素リッチな燃料を生成する触媒改質処理である。各種APR方法および技術は、米国特許第6,699,457号、第6,964,757号および第6,964,758号、ならびに、米国特許出願第11/234,727号(全て、Cortright他、発明の名称「含酸素炭化水素から低温での水素生成」)、米国特許第6,953,873号(Cortright他、発明の名称「含酸素炭化水素から低温での炭化水素生成」)、および、共同所有、同時係属中の国際特許出願PCT/US2006/048030(Cortright他、発明の名称「含酸素化合物を改質する触媒および方法」)に記載されており、これら全ては、参照することにより本明細書に組み込まれる。用語「水相改質」および「APR」は、一般的に、反応が気相で行われているか又は凝縮液相で行われるかにかかわらず、水素流を得る含酸素化合物と水との反応全体を表している。定義が重要な場合、このように解釈される。「APR水素」は、通常、APR処理によって生成された水素を意味する。
【0026】
APR処理は、気相反応においても実施することができるが、好ましくは、液相において実施される。APRは、水−ガスシフト反応が好ましい(例えば、80〜400℃)温度で行うことができ、これにより、単一のケミカルリアクタにおいて、少量の一酸化炭素で水素を生成することができる。APR処理の利点は、(i)より低圧力(200〜725psig)での反応の実施、(ii)主なエネルギの節約となる水の蒸発を必要としない低温で水素リッチな原料を生成する能力、(iii)炭化水素が高温まで加熱される場合に通常生じる好ましくない分解反応を最小限にする温度で操作する能力、(iv)農業由来の原料の利用、を含む。APR処理は、特に、C:O比が1:1(好ましい比)の炭化水素など、好ましい炭素−酸素化学量論を有する含酸素化合物の独自の熱力学特性の利点があり、比較的低温で単一の反応ステップで水素を生成する。
【0027】
COおよびHを生成する、C:O比が1:1の含酸素炭化水素を改質する化学量論的反応が、反応1によって得られる。

【0028】
炭化水素から水素を生成する反応条件は、一酸化炭素および水素を形成するアルカンの蒸気改質(式2)、および、一酸化炭素から二酸化炭素および水素を形成する水−ガスシフト反応(式3)、の熱力学によって示すことができる。


【0029】
図1(化学特性ハンドブック(C.L. Yaws,McGraw Hill,1999)から得られた熱力学データから構成される)は、生成される一酸化炭素1モル当たりで標準化された一連のアルカン(CH、C、C、C14)の式2に関連した標準ギブス自由エネルギ(ΔG°/RT)における変化を示す。アルカンの蒸気改質は、675K(402℃)より高い温度のときのみ熱力学的に好ましい(すなわち、ΔG°/RTの負の値)ことがわかる。
【0030】
メタノール(CHOH)、エチレングリコール(C(OH))、グリセロール(C(OH))、および、ソルビトール(C(OH))などのC:O比が1:1の関連する含酸素炭化水素も、例示されている。図1において、点線は、CH(OH)、C(OH)、C(OH)およびC(OH)(単位atmあたりの圧力)の蒸気圧対温度に関するln(P)の値を示す。図1は、一酸化炭素および水素生成する含酸素炭化水素の蒸気改質は、同数の炭素原子を有するアルカンに必要とされるよりも、非常に低い温度が熱理学的に好ましいことを示す。さらに、図1は、一酸化炭素から二酸化炭素および水素への水−ガスシフトに関するΔG°/RTの値は、同様の低温がより好ましいことを示す。結果的に、低温で、好ましいC:O比の含酸素炭化水素を改質し、COおよびHを形成し、続いて、単一ステップの触媒プロセスにおいて、水素および二酸化炭素を形成することができる。
【0031】
図1は、水の存在下で、含酸素化合物を水素および二酸化炭素に変換することは、低温で非常に好ましく、これに続く、アルカン(C2n+2)および水を生成する水素および含酸素化合物の反応も、低温で非常に好ましいことを示している。

【0032】
第1の実施例において、含酸素化合物を生成する方法を提供する。この方法は、好適には、(a)第1の触媒材料を、水および水溶性含酸素炭化水素を含む原料水溶性の第1の部分と接触させ、APR水素を形成するステップと、(b)第2の触媒材料上で、APR水素および原料溶液の第2の部分を接触させ、限定するものではないが、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコールを含む反応生成物を生成するステップと、を具える。原料溶液の第2の部分は、好適には、元の原料溶液中に含まれる含酸素炭化水素に加えてAPR水素の生成物から得られる含酸素炭化水素を含むが、さらに、APR水素形成中に生じた含酸素炭化水素ではない、原料溶液の部分を含んでもよい。第1の触媒材料は、好適には、水相改質(APR)触媒であり、第2の触媒材料は、好適には、水素化反応を触媒可能な材料である。特段の指定がない限り、ここでの水素化触媒およびAPR触媒についての検討は、適宜な触媒材料の非限定的な例示である。
【0033】
以下でさらに詳細に記載するように、より熱学的に好ましい反応は、APR水素を消費し、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド及び/又はアルコールの混合液を生成する。好ましい条件下で、以下に記載するプロセスおよびリアクタシステムは、ジオールおよび他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコールなど、1又はそれ以上の含酸素化合物を主に具える混合液を生成することができる。例えば、ここに記載されるプロセスおよびリアクタシステムは、炭素を含む反応生成物に、プロピレングリコールなど50%以上の1又はそれ以上のポリオールを付与することができる。好ましくは、外部供給源からの純粋な水素を添加せずに、第2の触媒材料の上で、含酸素炭化水素との反応中に、APR処理によってインサイチュウで発生した実質的に全てのAPR水素を消費する。
【0034】
図2、3および4は、金属触媒上で、含酸素炭化水素から水素およびポリオール、ジオール、ケトンおよびアルコールを形成することのできる反応経路の概略図である。一般に、水素形成は、脱水素化ステップと、これに続く、酸素原子に結合していない炭素原子を含む中間体を形成するリアレンジメントステップと、を具える。炭化水素は、まず、脱水素化を受け、C−C結合またはC−O結合の開裂前に、吸着された中間体を提供する。これに続くC−C結合の開裂は、一酸化炭素および水素の形成を誘導し、一酸化炭素は、次いで、水と反応し、水−ガスシフト(WGS)反応によって、二酸化炭素および水素を形成する。次いで、ポリオール、ジオール、ケトン、カルボン酸、アルデヒド及び/又はアルコールが形成され、ここで、上記のように形成された水素で水素化によって、含酸素炭化水素のヒドロキシル基が、脱水素化機構を介して除去される。さらに、吸着された炭化水素中間体におけるC−O結合の開裂によって金属触媒上でポリオール、ジオール、ケトンおよび/またはアルコールを形成可能である。この中間体は、次いで、触媒および反応条件に応じて、ポリオール、ジオール、ケトン、カルボン酸、アルデヒド及び/又はアルコールに変換される。
【0035】
原料溶液
好ましい原料は、バイオマスから得られる水溶性含酸素炭化水素を含む。ここで使用されるように、用語「バイオマス」は、限定するものではないが、植物(葉、根、種および茎など)によって生成される有機物、ならびに、微生物および動物の代謝廃棄物を意味する。バイオマスの一般的な供給源は、(1)とうもろこしの茎、わら、種殻、さとうきびの残り、バガス(bagasse)、ナッツシェル、ならびに、蓄牛、家禽および豚からの肥料など、農業廃棄物;(2)木、樹皮、切りくず、材木の残り、ミルスクラップなどの木製材料、(3)古紙およびヤードクリッピング(yard clipping)など、都市のゴミ、(4)ポプラ、ヤナギ、キビ(switch grass)、アルファルファ、プレリーブルーストリーム、とうもろこし、大豆など、エネルギー用食物、を含む。原料は、現在周知な手段または将来開発される手段によって、バイオマスから製造することができ、または、バイオディーゼル生成物からの未精製のグリセロールなど、単に、他のプロセスの副生成物でもよい。
【0036】
含酸素炭化水素は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの酸素原子を有する炭化水素でもよい。好適な実施例において、含酸素炭化水素が水溶性であり、2〜12の炭素原子、より好適には、2〜6の炭素原子を有する。又、含酸素炭化水素は、好適には、0.75:1.0、1.0:1.0、1.25:1.0、1.5:1.0の比率、および、これらの間の他の比率など、0.5:1から1.5:1の範囲の酸素対炭素比を有する。最も好適な実施例において、含酸素炭化水素は、1:1の酸素対炭素比を有する。好適な水溶性の非限定的な例は、エタンジオール、エタンジオン、酢酸、プロパノール、プロパンジオール、プロピオン酸、グリセロール、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、ブタンジオール、酪酸、アルドテトロース、酒石酸、アルドペントース、アルドヘキソース、ケトテトロース、ケトペントース、ケトヘキソース、アルジトール、糖、糖アルコール、セルロース、リグノセルロース、サッカライド、デンプンおよびポリオールなどを含む。最も好適なのは、含酸素炭化水素は、糖、糖アルコール、セルロース、サッカライドおよびグリセロールを含む。
【0037】
含酸素炭化水素を水と混合し、所望の反応生成物を形成するのに効果的な濃度の原料水溶液を得る。含酸素炭化水素をAPR触媒に接触する前に、又は含酸素炭化水素をAPR触媒に接触させるのと同時に、水を加えてもよい。好適な実施例においては、より簡単に処理するためにAPR触媒に接触させる前に、水を含酸素炭化水素と混合し水溶液を形成するが、含酸素炭化水素を溶液に注いで、次いで、APR触媒と接触するのと同時に水を加えて、原料水溶液を形成してもよいことを理解されたい。好ましくは、原料溶液のバランスは、水である。ある実施例において、原料溶液は、実質的に水、1又はそれ以上の含酸素炭化水素、および、選択的に、アルカリまたはアルカリヒドロキシド、アルカリ土類塩または酸など、ここに記載される1又はそれ以上の原料改質剤(modifier)からなる。原料溶液は、さらに、極微量、好ましくは約1bar(14.5psi)未満の水素を含んでもよい。好適な実施例においては、水素は、原料溶液に加えられない。
【0038】
溶液中の水と炭素との比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1などの比率およびこれらの間の比率を含む、約0.5:1から約7:1であるのが好ましい。原料溶液は、さらに、含酸素炭化水素として全溶液中少なくとも20重量%を有する溶液としての特徴がある。例えば、溶液は、1又はそれ以上の含酸素炭化水素を含み、この溶液中の含酸素炭化水素の全濃度は、少なくとも約20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%またはそれ以上の重量%であり、これらの間のいずれの割合を含み、また、使用する含酸素炭化水素に依存する。より好適には、原料溶液は、少なくとも20重量%、30重量%、40重量%、50重量%または60重量%のグリセロールを含み、これらの間のすべての重量%も含む。上述の範囲以外の水と炭素との比および割合も本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
水素生成
APR水素は、水相改質条件下で、原料から生成される。反応温度および圧力は、液相中で原料を維持するように選択されるのが好ましい。なお、気相中においても、温度および圧力条件は、水素をより好適に生成するように選択されることを理解されたい。一般に、APR反応およびそれに続く水素反応は、提案される反応の熱力学的に好ましい温度で実施される。圧力は温度とともに変化する。凝縮相液反応に関して、リアクタ内の圧力は、リアクタ入口で凝縮液相中の反応剤を維持するのに十分でなければならない。
【0040】
気相反応では、含酸素炭化水素化合物の蒸気圧が少なくとも約0.1atmであり(好ましくは十分に高く)、反応の熱力学が好適であるような温度で反応を実施すべきある。この温度は、使用する特異的な含酸素炭化水素化合物によって異なるが、通常、気相中で行う反応には約100〜450℃、より好ましくは約100〜300℃の範囲にある。
【0041】
液相反応では、反応温度は、約80〜400℃でもよく、反応圧力は、約72〜1300psigでもよい。好ましくは、反応温度は、約120〜300℃、より好ましくは、約150〜270℃の間である。反応圧力は、好ましくは約72〜1200psig、約145〜1200psig、約200〜725psig、約365〜600psigである。水素がインサイチュウで生成されるので、圧力は、リアクタシステムへと原料溶液を送るポンピング機構によって提供される。
【0042】
凝縮液相法(condensed liquid phase method)は、さらに、第1および/または第2の触媒材料(すなわち触媒システム)の活性および/または安定性を増大させる改質剤を用いて選択的に行うことができる。0.1乃至0.05のインクリンメントのpHを含む、約1.0〜10.0の適宜のpH、より好ましくはpH4.0〜10.0で、水と含酸素炭化水素を反応させることが好ましい。通常、使用する触媒システムの総重量と比較して、改質剤を約0.1〜10重量%の範囲の量の原料溶液に加える。なお、この範囲以外の量も、本発明内に含まれる。
【0043】
さらに、アルカリまたはアルカリ土類塩を、原料溶液に加えて反応生成物中の水素の比率を最適化することができる。適宜な水溶性塩の例は、アルカリ、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩化物塩からなる群から選択される1又はそれ以上を含む。例えば、アルカリ(塩基性)塩を加えて、約pH4.0から約pH10.0を提供することで、改質反応の水素選択性を改善することができる。
【0044】
酸性化合物の付加は、さらに、以下に示す水素化反応中の所望の反応生成物に対する選択性を上昇させる。水溶性酸は、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩化物塩、これらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。選択的な酸改質剤を使用する場合、十分な量の水溶性供給流が存在して、pHを、約pH1.0〜4.0の値に低下させることが好ましい。このような供給流のpHを低下することで、最終反応生成物中のジオール、ポリオール、ケトン、カルボン酸、アルデヒド、アルコールまたはアルカンの比率を上昇させることができる。
【0045】
一般的に、この反応は、APR触媒上の原料溶液の滞留時間が、水素化触媒上で原料溶液の第2の部分と反応させて所望の生成物を生成するのに十分な量のAPR水素を生成するのに適した条件下で実施すべきである。例えば、一実施例において、この反応のWHSVは、APR触媒のグラムあたり少なくとも約1.0グラム、好ましくは約1.0〜5.0グラム、より好ましくは1.9〜4.0グラムの、含酸素炭化水素でもよい。
【0046】
APR触媒
第1の触媒材料は、好ましくは、APR触媒、すなわち、通常では、上記の条件下で水と含酸素炭化水素との反応を触媒し、水素を形成することができる不均一系触媒である。好ましいAPR触媒は、少なくとも1つのVIIIB族の遷移金属、これらの合金、これらの混合物を含む。好ましくは、APR触媒は、VIIIB族、VIIB族、VIB族、VB族、IVB族、IIB族、IB族、IVA族、VA族金属から選択される少なくとも1つの第2の金属と組み合わせた少なくとも1つのVIIIB族の遷移金属を含む。好適なVIIB族金属は、レニウム、マンガン、これらの組み合わせを含む。好適なVIB族金属は、クロム、モリブデン、タングステン、または、これらの組み合わせを含む。好適なVIIIB族金属は、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせを含む。
【0047】
プライマリVIIIB族の金属の好適な充填は、0.10重量%および0.05重量%の間のインクリメントを有する炭素の0.25〜25重量%の範囲においてであり、1.00%、1.10%、1.15%、2.00%、2.50%、5.00%、10.00%、12.50%、15.00%および20.00%などである。第2の金属の好適な原子比率は、0.25対1から10対1の範囲であり、0.05、1.00、2.50、5.00および7.50対1など、これらの間の比率を含む。
【0048】
好適な触媒組成物は、さらに、IIIB族の酸化物、および、関連する希土類酸化物の付加によって得られる。このような事象において、好適な組成物は、ランタニウム又はセリウムの酸化物でもよい。IIIB族の化合物の好適な原子比率は、0.25対1から10対1の範囲であり、0.50、1.00、2.50、5.00および7.50対1などのこれらの間の比率を含む。
【0049】
特段の指定のない限り、XおよびYが金属の場合、「X:Y」としてのAPRバイメタル触媒組成の表記は、ここでは、適宜な反応量の組み合わせにおける少なくとも金属XおよびYを具える触媒組成物の群を意味し、他の材料を選択的に含む。同様に、「X1.01.0」として触媒組成物の表記は、ここでは、1:1の化学量論的モル比において、少なくとも金属XおよびYを具える組成物を意味する。従って、特に好適な触媒組成物は、式X:Yによって示されるバイメタル金属組成物であり、Xは、VIIIB族金属、および、Yは、VIIIB族、VIIB族、VIB族、VB族、IVB族、IIB族、IB族、IVA族またはVA族金属である。例えば、「Re:Pt」と記載されている触媒は、バイメタル触媒Re1.0Pt1.0およびRe2.5Pt1.0を具える。さらに、バイメタル触媒X:Yの記載は、LaまたはCeなどのXおよびY以外の追加材料を具えることができる。例えば、ここで、「Re:Rh」と記載されている触媒は、Re1.0Rh1.0、Re1.0Rh3.8、Re1.0Rh2.0Ce2.0、Re1.0Rh1.0Ce1.0およびRe1.0Rh1.0La3.0などの触媒を含む。
【0050】
好適な実施例において、触媒システムは、原料溶液中に触媒を懸濁するのに適した支持体を具えることができる。このような支持体は、選択される触媒および反応条件に対して安定したプラットフォームを提供するものの1つでなければならない。この支持体は、所望の濃度で機能するように選択された反応条件、特に、原料水溶液中で安定なあらゆる形態をとることができる。このような支持体は、限定するものではないが、炭素、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、バナジア、および、これらの混合物を含む。さらに、ゼオライト、カーボンナノチューブ又はカーボンフラーレンなどのナノ多孔性支持体を使用してもよい。特に有用な触媒システムは、限定するものではないが、シリカに担持されたプラチナ、シリカ−アルミナに担持されたプラチナ、アルミナに担持されたプラチナ、シリカ−アルミナに担持されたニッケル、アルミナに担持されたニッケル、シリカ−アルミナに担持されたルテニウム、アルミナに担持されたルテニウム、シリカ−アルミナに担持されたプラチナ、および、シリカ−アルミナに担持されたニッケル−プラチナを具える。一実施例において、APR触媒システムは、シリカ−アルミナまたはシリカ上のプラチナであり、このプラチナは、さらに、ニッケル、ルテニウム、銅、鉄またはレニウムと合金化または混合される。他の実施例において、APR触媒システムは、シリカ−アルミナまたはシリカ上のニッケルであり、このニッケルは、銅、レニウム、ルテニウムまたは鉄と合金化または混合される。
【0051】
特に好適な触媒支持体の1つは、炭素、特に、(グラムあたり100立方メートルより大きい)比較的高表面積の炭素支持体である。このような炭素は、活性炭(粒状物、粉末またはペレット状)、活性化カーボンクロス(cloth)、フェルトまたはファイバ、カーボンナノチューブまたはナノホーン、カーボンフラーレン、高表面積カーボンハニカム、炭素フォーム(網状になった炭素フォーム)およびカーボンブラックを具える。この炭素は、泥炭(ピート)、木、亜炭、コール、ココナッツ殻、オリーブピット、および、オイルベース炭素の化学的活性化または蒸気活性化を介して生成することができる。他の好適な支持体は、ココナッツから生成される顆粒状活性炭素である。
【0052】
さらに支持体は、その特性を高めるために処理または修飾することができる。例えば、支持体は、表面修飾(surface−modification)によって処理され、水素およびヒドロキシルなどの表面部分を修飾することができる。表面の水素およびヒドロキシル基は、触媒効率に影響を与える局所的なpH変化を生じさせることができる。支持体は、さらに、硫酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩およびシランで支持体を処理することによって、修飾することができる。炭素支持体に関して、炭素は、蒸気、酸素(空気中)、無機酸または過酸化水素で前処理され、より多くの酸素サイト表面を提供する。好適な前処理は、酸素または過酸化水素を使用することがある。前処理された炭素は、さらに、IVB族およびVB族の酸化物を付加することによって修飾される。チタニウム、バナジウム、ジルコニアおよびこれらの混合物の酸化物を利用することが好ましい。
【0053】
APR触媒システムは、当業者に周知の従来の方法を使用して調整することができる。これらの方法は、蒸気含浸(evaporative impregnation)技術、インシーピエントウェッティング技術、化学蒸着、ウォッシュコーティング、マグネトロンスパッタリング技術などを含む。触媒を製造するために選択される方法は、本発明の機能に関して、特に重要ではないが、ただし、全表面積、多孔質などの検討事項に応じて、異なる触媒は異なる結果を生む。
【0054】
含酸素化合物の生成
各種含酸素化合物は、好適な方法およびリアクタシステムによって生成することができる。例えば、所望の反応生成物を生成するのに有効な反応温度、反応圧力および毎時重量空間速度(WHSV)の条件下で、反応生成物は、第2の触媒材料、好ましくは水素化触媒上で、残りの原料溶液の一部とともに、インサイチュウで生じたAPR水素の反応から得られる1又はそれ以上のジオールまたは他のポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールを含むことができる。温度および圧力は、液相中で反応を行うように選択されるのが好ましい。なお、温度および圧力条件は、気相中に所望の生成物をより好適に生成するように選択されることも理解されたい。一般に、反応は、提案された反応の熱力学に好ましいような温度で実施されるべきである。圧力は、温度およびWHSVとともに変わることもある。凝縮相液反応には、リアクタ内の圧力は、リアクタ入口で凝縮液相中に反応物を維持するのに十分でなければならない。
【0055】
液相反応に関して、反応温度は、約100〜300℃でもよく、反応圧力は約72〜1300psigでもよい。好ましくは、反応温度は、約120〜270℃、さらに好ましくは、約200〜270℃である。好ましくは、反応圧力は、約72〜1200psig、145〜1200psig、約200〜725psig又は約365〜600psigである。
【0056】
気相反応に関して、反応は、含酸素炭化水素化合物の気圧が少なくとも約0.1atm(好ましくは相当より高い)であり、反応の熱力学が好ましいような温度で実施される。この温度は、使用する特別な含酸素炭化水素化合物に対応して変化するが、気相反応では概ね約100〜300℃の範囲である。
【0057】
本発明の凝縮液相法は、触媒システムの活性および/または安定性を増大させる改質剤を用いて実施してもよい。水と含酸素炭化水素は、0.1乃至0.05の間のインクリメントのpH値を含む、約1.0〜10.0、より好ましくは、約4.0〜10.0の適宜なpHで反応させる。通常、改質剤は、使用する触媒システムの総量と比べて、約0.1〜10%の範囲の量の原料溶液に加えられるが、この範囲以外の量も、本発明に含まれる。
【0058】
一般的に、反応は、触媒上の原料溶液の滞留時間が所望の生成物を生成するのに適宜な条件の下で行われるべきである。例えば、反応のWHSVは、時間当たりの触媒のグラム当たりの少なくとも約1.0グラム、好ましくは約1.0〜5.0グラム、より好ましくは約1.9〜4.0グラムの含酸素炭化水素でもよい。
【0059】
水素化触媒
第2の触媒材料は、水素と含酸素炭化水素との反応を触媒して所望の反応生成物を生成することができる不均一系水素化触媒であることが好ましい。好適な水素化触媒は、銅、または少なくとも1つのVIIIB属の遷移金属、これらの合金、または、これらの混合物を具えることができる。さらに、触媒は、銅、または、第1の金属として少なくとも1つのVIIIB族遷移金属と、VIIIB族、VIIB族、VIB族、VB族、IVB族、IIB族、IB族、IVA族またはVA族金属から選択される少なくとも1つの第2の金属と、を具えるように構成することができる。好ましいVIIB族金属は、レニウム、マンガンまたはこれらの組み合わせを具える。好ましいVIB族金属は、クロム、モリブデン、タングステン、または、これらの組み合わせを具える。好ましいVIIIB族金属は、プラチナ、ロジウム、レニウム、パラジウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせを具える。一実施例において、好ましい触媒は、鉄またはレニウム、ならびに、イリジウム、ニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウムおよびルテニウムから選択される少なくとも1つの遷移金属を具える。他の実施例において、触媒は、鉄、レニウム、および、少なくとも銅または1つのVIIIB族遷移金属を具える。
【0060】
好ましくは、第2の触媒材料は、APR触媒であることが望ましい第1の触媒材料とは異なる水素化触媒であるか、APR触媒と平行または独立に作用可能な第2の触媒である。水素化触媒は、二機能触媒でもよい。例えば、酸支持体(例えば、等電点の低い支持体)は、含酸素化合物の脱水素化反応を触媒することが可能であり、次いで、水素の存在下で金属触媒サイトの水素化反応を行って、再び、酸素原子に結合していない炭素原子を誘導する。二機能の脱水素/水素化経路は、水素を消費し、各種ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒドおよびアルコールの次の形態へと誘導する。このような触媒の例には、タングステン化ジルコニア(tangstated zirconia)、チタニアジルコニア(titania zirconia)、硫酸化ジルコニア、酸性アルミナ、シリカ−アルミナ、および、ヘテロポリ酸支持体が含まれる。ヘテロポリ酸は、H3+xPMo12−x40、HSiW1240、HPW1240、H1862、などの種によって例示される固相酸のクラスである。ヘテロポリ酸は、明確な局所構造を有する固相酸であり、その最も一般的な構造は、タングステンベースのKeggin構造である。Kegginユニットは、12のWOオクタヘドラによって囲まれた中央のPOテトラへドロンを具える。標準的なユニットは、正味(−3)の電荷を有し、従って、電気的中性を満たすために、3つの陽イオンを必要とする。カチオンが陽子の場合、この物質は、ブレンステッド酸として機能する。これらの化合物の酸度(ならびに他の物理特性)は、Keggin構造中のタングステンに代わり、様々な金属を置換することによって、「変化(turn)」させることができる。例えば、Bardinら(1998)「触媒プローブ反応、吸着マイクロ熱量および密度機能量子化学熱量」J.or Physical Chemistry B,102:10817−10825を参照。
【0061】
APR触媒と同様に、水素化触媒は、上述したように支持体に付着させることができる。支持体は、所望の反応結果が選択されるように、APR触媒または水素化触媒に特異的な支持体に使用する支持体と同じものでもよい。
【0062】
銅またはプライマリVIIIB族金属の好ましい充填は、炭素で0.10重量%乃至0.05重量%の間のインクリメントを有する、0.25〜25重量%の範囲においてであり、その間の1.00%、1.10%、1.15%、2.00%、2.50%、5.00%、10.00%、12.50%、15.00%、および、20.00%などを含む。第2の金属の好適な原子比は、0.25対1から10対1の範囲であり、0.50、1.00、2.50、5.00および7.50対1などのすべての比を含む。一実施例において、水素化触媒は、鉄(Fe)、VIIIB族金属を具え、FeとプライマリVIIIB族金属との原子比率は、0.25対1から10対1である。触媒が支持体に付着される場合、触媒と支持体の組み合わせは、0.25〜10重量%の銅、または、プライマリVIIIB族金属である。
【0063】
不均一系触媒を、APR触媒と組み合わせて、混合物を形成することができ、APR反応および水素化反応を同時またはほぼ同時に単一のリアクタ容器において生じさせることができる。このような場合、バイメタル触媒組成物の「X:Y」の表記は、XはAPR触媒であり、Yは水素化触媒であり、少なくともAPR触媒Xおよび水素化触媒Yを適宜な化学量論的な組み合わせで具える触媒組成物の群を意味し、または、指定がある場合は、他の材料を含む触媒組成物の群を意味する。例えば、「Pt:Fe」と指定された触媒は、Pt1.0Fe1.0およびPt2.5Fe1.0の混合物を具える。特に好適な触媒は、Pt1.0Ni1.0Fe1.0およびPt1.0Fe1.0Cu1.0を具え、ここで、PtおよびPt:Niは、APR触媒を示し、FeおよびFe:Cuは、水素化触媒を示す。
【0064】
APR触媒(第1の触媒材料)と水素化触媒(第2の触媒材料)との好適な原子比率は、5:1から1:5の範囲であり、限定するものではないが、4.5:1、4.0:1、3.5:1、3.0:1、2.5:1、2.0:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2.0、1:2.5、1:3.0、1:3.5、1:4.0、1:4.5およびこれらの間の量を含む。例えば、一実施例において、触媒混合物は、原子比率が1:1の鉄(Pt:Fe)を含むプラチナおよび水素化触媒を含んだAPR触媒である。触媒混合物を、支持体に付着させる場合は、触媒と支持体の組み合わせは、混合物の0.25〜10重量%でもよい。
【0065】
水素化触媒システムは、単独であっても、またはAPR触媒と混合した水素化触媒システムは、当分野の当業者に周知な従来の方法を用いて調整することができる。このような方法は、蒸気含浸、インピーシエントウェッティング、化学蒸着、ウォッシュコーティング、マグネトロンスパッタリング技術、などを含む。触媒を製造するために選択される方法は、本発明の機能に対して特に重要ではないが、ただし、全表面積、多孔性などの条件に応じて、異なる触媒は異なる結果を生む。
【0066】
リアクタ
リアクタシステムは、原料水溶液の流れる方向が、原料溶液とのインサイチュウで生じた水素の相互作用が最大となるように選択されるように構成する。例えば、リアクタは、APR触媒および水素化触媒が、単一のリアクタ容器内にスタックされるように設計されるか、または、APR触媒と水素化触媒を別々のリアクタ容器に分離するように設計される。このリアクタは、さらに、2以上の反応生成物の最適な生成を可能とするために、複数のAPR触媒および水素化触媒を収容するように設計されてもよい。また、リアクタシステムは、付加的な入口を具え、補助的な材料を導入できるようにして、反応を所望の反応生成物へとさらに進ませるか、向かわせ、改質プロセスで使用するために反応副生成物をリサイクリングすることができる。
【0067】
リアクタは、システム効率を最大限にするために、原料溶液が水平方向、垂直方向または重力面に対して斜め方向に流れるように設計してもよい。原料溶液が垂直方向または重力面に対して斜め方向に流れるシステムにおいては、原料溶液は、重力に反して(アップフローシステム)または重力に従って(ダウンフローシステム)流れることができる。一実施例において、リアクタは、原料溶液が上方向にリアクタを流れるアップフローシステムとして設計されている。この実施例においては、原料溶液を、まず、APR触媒を含む第1のリアクションベッドに接触させ、APR水素を生成する。次いで、リアクタの構成によって、APR水素は、所定の条件下で、水素化触媒を含む第2のリアクションベッドを介して、原料溶液よりも大きい又は等しい速度で浸透し、水素および水素化触媒と原料溶液の相互作用を最大にすることができる。
【0068】
単一チャンバのリアクタでは、APR触媒および水素化触媒は、スタック構成に配置され、原料溶液を、所望の反応生成物に応じて、まず、APR触媒に接触させ、次いで、水素化触媒に接触されるか、または一連の水素化触媒に接触させることができる。水平方向のフローシステムなど、使用する特定のフロー機構に応じて、APR触媒および水素化触媒用のリアクションベッド、または、触媒用のリアクションベッドを、隣接して配置できる。どちらの場合も、原料溶液は、1又はそれ以上の入口を介してリアクション容器内に誘導され、次いで、処理するために触媒へ方向付けらることができる。好適な実施例においては、原料溶液は、APR触媒に方向付けられ、APR水素を生成し、次いで、APR水素および残りの原料溶液が両方共、水素化触媒または触媒へと方向付けられ、所望の反応生成物を生成する。APR触媒および水素化触媒の混合物を使用する実施例において、APR水素および反応生成物の生成は、同時または平行に生じてもよい。
【0069】
個別のリアクタ構成においては、リアクタは、他方のリアクション容器中に生じた反応生成物を用いて、一方のリアクション容器中のリアクションベッドでAPR水素を生成できるように設計することができる。これらのリアクション容器は、平行または連続的に運転できるように構成することができる。平行に運転する構成において、原料溶液を分けて、原料溶液の第1の部分を、APR水素が生成される水素リアクションベッドに方向付け、原料溶液の第2の部分を、水素リアクション溶液によって生じたAPR水素を用いて所望の反応生成物が生成される水素化リアクションベッドに方向付けることができる。代替としては、リアクタは、第1の原料溶液を水素リアクション容器へと方向付け、第2の原料溶液を水素化リアクション容器に方向付けるように、2つの別々の原料溶液を利用できるように構成可能である。連続構成においては、原料溶液が水素リアクション容器を介して、水素化リアクション容器内へと流れるようにリアクタを設計してもよい。これらのシステムにおいては、APR水素がインサイチュウで生成されるので、圧力は、原料溶液もリアクタチャンバへと送るポンピング機構によって提供される。
【0070】
補助材料
補助材料および組成物(「補助剤」)は、反応を促進するか、所望の反応生成物の生成するように反応を進めるために、プロセスの様々な段階で、原料溶液に加ることができる。補助剤は、限定するものではないが、酸、塩、および他の水素または原料を含む。このような補助剤は、水素化触媒と接触する前、または、これに連続して、原料流に直接加えられるか、あるいは、水素化反応用リアクションベッドに直接加えてもよい。
【0071】
一実施例において、補助剤は、水素化反応用の追加の含酸素炭化水素を提供するための、追加の原料溶液を具えることができる。この原料は、1又はそれ以上の糖アルコール、グルコース、ポリオール、グリセロールまたはサッカライドなど、上述した1又はそれ以上の含酸素炭化水素を具えることができる。例えば、補助剤材料は、グリセロールを具えることができる。この実施例においては、未精製のグリセロールの汚染物で水素化触媒を汚染するのを避ける目的で、反応を開始し、水素を生成するのに未精製のグリセロールを使用している。次いで、精製されたグリセロールを、元の原料溶液を水素化触媒に接触させるように配置する前または同時に、原料溶液に加えらて処理可能な含酸素炭化水素を増加させる。APR触媒および水素化触媒の特性に応じて、逆の場合でもよく、未精製のグリセロールを補助剤として使用することもできる。
【0072】
他の実施例において、補助剤は、さらに処理するためにリサイクルした本発明の副生成物を具える。これらの副生成物は、ジオール、ポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、アルコールおよび本発明の実施によって生じた他の生成物を具える。例えば、本発明の一実施例の所望の反応生成物は、プロピレングリコールである。しかしながら、プロピレングリコールを生成することで、他のポリオール、ケトン、アルデヒド、アルコールおよびカルバン酸を生成することにもなる。これらのポリオールは、水素化触媒と接触する前に、リサイクルされ、原料溶液に戻して、プロピレングリコールへ変換する付加的な含酸素炭化水素を提供する。同様に、ケトンおよびアルコールは、APR触媒を接触させる前に、原料溶液に加えて、水素生成をさらに補助することができる。
【0073】
他の実施例において、補助材料は酸および塩でもよい。酸性化合物の添加によって、所望の反応生成物の選択性が増加する。好適な実施例において、水溶性の酸は、限定するものではないが、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩化物塩およびこれらの混合物を具えることができる。選択的な酸性の改質剤を使用する場合、改質剤が水溶性供給流のpHを約pH1.0〜4.0の値に低下させるのに十分な量存在するのが好ましい。このように供給流のpHを低下させることで、最終反応生成物中のジオール、ポリオール、ケトン、アルコールまたはアルケンの比率を上昇させることができる。
【0074】
他の実施例において、補助剤は、APR水素を補助して所望の反応生成物へと水素化反応を進めるのを支援するために、原料溶液に加えられる付加的な水素を具えることができる。用語「補助的水素」は、外部供給源から原料に加えられる水素など、原料中の含酸素炭化水素から生成していない水素を意味する。例えば、補助的水素は、ケトンおよびアルコールなど所定の反応生成物のタイプの生成収率を促進する目的で、水素化触媒上で反応圧力を上昇させるために、または、水素と炭素および/または酸素とのモル比を上昇させるためにシステムに加えてもよい。補助的水素は、補助的水素対APR水素のモル比が、おおよそ1:1、好適にはおおよそ1:3、より好ましくはおおよそ1:10、さらにより好ましくはおおよそ1:20で加えられる。最も好適な実施例において、補助的水素は付加されない。
【0075】
加える補助的水素の量は、原料溶液中の含酸素炭化水素の濃度を考慮することによって算出することができる。好ましくは、加える補助的水素の量によって、水素原子と酸素原子(すなわち、水素気体分子あたり2つの酸素原子)とのモル比が、1.0未満またはこれと同等となるべきである。例えば、原料がグリセロール(3つの酸素原子)からなる水溶液である場合、原料に加えられる補助的な水素の量は、グリセロール(C3H8O3)の1モルあたり約1.5モル以下の水素ガス(H2)、好ましくは約1.25、1.0、0.75、0.50または0.25である。一般的に、加える補助的水素の量は、酸素原子対水素原子の1:1の原子比を提供する全水素量(APR水素および補助的水素)の、好適には0.75倍未満、より好適には0.67、0.50、0.33、0.30、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05、0.01倍未満である。
【0076】
リアクタ内のAPR水素の量は、適宜な方法によって特定されるか、検出される。APR水素の存在は、原料流内で生じる実際の反応機構に関係なく、原料流の組成物、触媒組成物および反応条件の関数として、生成物流の組成物に基づいて決定される。APR水素の量は、触媒、反応条件(例えば、流速、温度、圧力)、ならびに、原料および反応生成物の含有量に基づいて算出することができる。例えば、原料を、APR触媒(例えば、プラチナ)と接触させ、水素化触媒がない状態で、インサイチュウAPR水素および第1の反応生成物流を生成する。さらに、原料をAPR触媒および水素化触媒の双方に接触させ、第2の反応生成物流を生成する。比較可能な反応条件で第1の反応生成物流および第2の反応生成物流の組成物を比較することによって、APR触媒の存在を特定し、生成されるAPR水素の量を計算できる。例えば、原料組成物と比較して、反応生成物中の水素化の程度がより大きい含酸素化合物量の増加は、APR水素の生成を示唆する。
【0077】
反応生成物
本発明は、インサイチュウで生成した水素を用いて単一の触媒プロセス中で、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールを生成する新規な方法を提供する。ポリオールは、限定するものではないが、ジオール、トリオール、1,1,1トリス(ヒドロキシメチル)−エタン(トリメチロールエタン(trimethylolethane))、ソルビトールおよびマンニトールを具える。ジオールは、限定するもではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘプチレングリコール、オクチレングリコール、ノニレングリコールおよびデシレングリコールを具える。トリオールは、限定するものではないが、グリセロール(グリセリン)、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(トリメチルロールプロパン)を具える。ケトンは、限定するものではないが、アセトン、プロパン−2−オン、2−オキソプロパナル(2−oxopropanal)、ブタン−2−on、ブタン−2,3−ジオン、2−ヒドロキシプロパナル、3−ヒドロキシブタン−2−オン、ペンタン−2−オン、ペンタン−2,3−ジオン、ペンタン−2,4−ジオン、ヘキサン−2−オン、ヘプタン−2−オン、オクタン−2−オン、ノナン−2−オン、デカン−2−オン、およびこれらの異性体を具える。カルボン酸は、限定するものではないが、乳酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、および、2−ヒドロキシブタン酸などのヒドロキシル化誘導体を含むこれらの異性体および誘導体を具える。アルデヒドは、限定するものではないが、アセトアルデヒド、プリオンアルデヒド(prionaldehyde)、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナール、デカナールおよびこれらの異性体を具える。アルコールは、限定するものではないが、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールを具える。
【0078】
本発明の実施によって生成される特定の反応生成物は、限定するものではないが、原料溶液、水の濃度、反応温度、反応圧力、触媒の反応性、原料溶液の流速などの各種要素に応じて変わり、原料溶液の流速は、空間速度(単位時間あたりの単位触媒あたりの反応物質の質量/体積)、毎時気体空間速度(GHSV)および毎時重量空間速度(WHSV)に影響を与える。
【0079】
好ましくは、原料および反応流を、1又はそれ以上の含酸素炭化水素を具える反応生成物を生成するのに十分に高い毎時重量空間速度(WHSV)で、第1の触媒材料および第2の触媒材料と各々接触させる。WHSVを時間当たり約0.5グラム未満の原料中の含酸素炭化水素に低下させることで、反応生成物中の炭化水素の量を増加させるであろうと考えられる。従って、WHSVは、好ましくは、時間当たり少なくとも約1.0グラムの原料中の含酸素炭化水素であり、WHSVは、約1.0〜5.0g/g時間であり、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9および5.0g/g時間を含む。一態様において、原料は、約1.9または4.0gグリセロール/時間のWHSVで、第1の触媒材料と接触するグリセロールを具え、プロピレングリコールを含む反応生成物を生成する。
【0080】
当分野の当業者であれば、上記要素ならびに他の要素を変化させることで、反応生成物の収量が修正されることとなるのが理解されるであろう。例えば、流速の上昇、従って、時間当たりの触媒に晒される原料の減少は、水素化触媒上で水素化できる水素の量の減少となる。又、流速の上昇は、生じる水素化の時間を制限し、これによって、ケトンおよびアルコール収量の低下とともに、ジオールおよびポリオールの収量を高めるられる。
【0081】
当分野の当業者であれば、上記条件を修正して、システムの効率を改善し、所望の反応生成物を製造するためのコストを改善することができるであろう。例えば、原料溶液中の水と含酸素炭化水素との比の修正は、外部の温度制御を必要性を制限することによって、プロセスの全体の熱効率を改善することができる。プロセスは、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%、最も好ましくは50重量%の含酸素化合物の供給濃度で行われる場合、熱効率がよい。
【0082】
一実施例にいて、本発明は、グリセロールを具える原料水溶液からポリオールを生成する方法を提供する。図2は、インサイチュウでの水素生成を伴う、グリセロールからプロピレングリコールの生成の反応スキームを示す。図2の反応スキームにおいて、グリセロールの一部は、水相改質条件下で水と反応し、APR水素と二酸化炭素副生成物を生成する(図2中の経路1)。経路1の化学量論は、以下の反応5に示す:

【0083】
生成したAPR水素は、次いで、プロピレングリコールを選択的に生成するために脱水素/水素化反応に使用される(図2中の経路2)。経路2の化学量論は、以下の反応6に示す:

このステップにおいて、原料溶液中のグリセロールの一部を、適宜な水相改質条件下で、水素化触媒上でAPR水素の一部と接触させ、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのポリオールを生成する。好適な実施例において、2つの反応経路の組み合わせは、反応7に示される反応全体に従って生じる。

【0084】
このような理論的な化学量論から、1分子のグリセロールをプロピレングリコールに水素化するために、0.14分子のグリセロールが、十分なAPR水素を生成するように改質されなければならない。
【0085】
他の実施例において、本発明は、グリセロールを具える原料水溶液からアルコールを生成する方法を提供する。図3は、インサイチュウで水素を生成しながら、グリセロールをアルコールに変換するプロセスを示す概略図である。このプロセスにおいて、グリセロールは、同時に、(すなわち、単一のリアクタベッド上で同時に行われるステップ1および2)APR水素およびアルコール(および一酸化炭素、二酸化炭素、プロピレングリコール、メタン、エタン、プロパンなどの他のAPR反応生成物)に変換される。経路1の化学量論は、以下の反応8に示される:

【0086】
経路2の化学量論は、以下の反応9に示される:

【0087】
1分子のプロピルアルコールを生成する反応化学量論全体は、以下の反応10に示される:

【0088】
このような理論的な化学量論から、一分子のグリセロールをプロピルアルコールに水素化するために、0.28分子のグリセロールが、十分なAPR水素を生成するように改質されなければならない。
【0089】
さらに他の実施例において、ソルビトールを具える原料水溶液からアルコールを生成する方法が提供される。図4も、インサイチュウで水素を生成しつつ、ソルビトールをアルコールに変換するプロセスを示す概略図である。このプロセスにおいて、ソルビトールは、同時に(すなわち、単一のリアクタベッドで同時に行われるステップ1および2)、水素およびアルコール、(ならびに、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンおよびヘキサンなどの他のAPR反応生成物)に変換される。経路1の化学量論は、以下の反応11に示される:

【0090】
経路2の化学量論は、以下の反応12に示される:

【0091】
1分子のヘキサノールを生成する化学量論全体は、以下の反応13に示される:

【0092】
このような理論的な化学量論から、1分子のソルビトールをヘキサノールに水素化するために、0.38モルのソルビトールが、十分なAPR水素を生成するように改質される。
【0093】
含酸素化合物を生成する1つの好適な方法は、約80〜400℃の温度;時間当たりの第1の触媒材料のグラム当たりの少なくとも約1.0グラムの含酸素炭化水素の毎時重量空間速度;水および含酸素炭化水素が凝縮液体であるような圧力;で、1又はそれ以上のVIII族の金属を具える第1の触媒材料を、水と2又はそれ以上の炭素原子を有する少なくとも1つの水溶性含酸素炭化水素とを具える原料水溶液の第1の部分と、反応させ、水相改質(APR)水素を生成するステップと;次いで、約100〜300℃の温度、約200〜1200psigの圧力で、このAPR水素を第2の触媒材料の上で原料溶液の第2の部分と反応させ、第1の触媒材料とは異なる第2の触媒材料は、鉄、ルテニウム、銅、レニウム、コバルト、ニッケル、これらの合金、およびこれらの混合物から選択され、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールからなる群から選択される1又はそれ以上の含酸素化合物を具える反応生成物を生成するステップと;を具える。一態様において、約200〜270℃の温度、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、および、200〜270℃中の1℃間隔を含むあらゆる温度のリアクタ容器内で、原料溶液の第1の部分および/または原料溶液の第2の部分を、第1の触媒材料および第2の触媒材料と反応させる。他の態様においては、約365psig以上(例えば、365〜1,200psig)、好ましくは400psig(例えば、478psig、又は400〜1200psig)、あるいは、500psig以上(例えば、585psig、又は500〜1200psig)の圧力で、原料溶液の第2の部分を、APR触媒および第2の触媒材料と接触させる。原料溶液は、好ましくは、少なくとも1つのポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールなどの1又はそれ以上の含酸素化合物を具える生成物流を提供するように選択された毎時重量空間速度(WHSV)で、リアクタを通る。例えば、WHSVは、時間当たりの触媒混合物のグラム当たり約1.0〜5.0グラム(1.0〜4.0、1.0〜3.0、1.0〜2.0、2.0〜5.0、3.0〜5.0、4.0〜5.0および1.0〜5.0の間のいずれかの0.1間隔)の原料溶液中の含酸素炭化水素でもよい。
【0094】
プロピレングリコールを生成する他の好適な方法は、時間当たりの不均一系触媒のグラム当たり少なくとも約1.0グラムの水溶性含酸素炭化水素の毎時重量空間速度、および、原料が凝縮液体のままである圧力で、1又はそれ以上のVIII族金属(例えば、1又はそれ以上のプラチナ含有金属)および水素化触媒を具える不均一系触媒システムを、液相で原料を保持するのに適した温度および圧力(例えば、約100〜300℃の温度など)で水および水溶性含酸素炭化水素(例えば、グリセロール又はソルビトール)を具える原料水溶液と、接触させ、ポリオール(例えば、プロピレングリコール)、アルデヒド、ケトン、カルボン酸(例えば、乳酸)および/またはアルコールなど、1又はそれ以上の含酸素化合物を具える反応生成物を生成するステップを具える。不均一系触媒システムは、VIII族金属または適宜なAPR触媒を具える第1の触媒材料と、水素化触媒を具える第2の触媒と、を具えることができる。不均一系触媒システムは、VIII族金属および水素化触媒の触媒混合液でもよい。さらに、不均一系触媒システムは、別々に又は同時に原料と接触するAPR触媒および水素化触媒を具える2つの個別の触媒材料でもよい。好ましくは、不均一系触媒システムは、5:1から1:5のモル比(4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4を含み、5:1から1:5の間の0.1間隔の比を含む)で、第1の触媒材料(例えば、少なくとも1つのVIII族金属を含有するAPR触媒)及び第2の触媒材料(例えば、水素化触媒)を具える。
【0095】
好適な実施例のいくつかの態様において、第1の触媒材料は、プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、これらの合金、および、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの遷移金属を具える。代替としては、第1の触媒材料は、1又はそれ以上の以下の群:プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム及びこれらの混合物;プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム及びこれらの混合物;プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、これらの合金および混合物;プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、これらの合金および混合物;プラチナ、ニッケル、パラジウム、レニウム、イリジウム、これらの合金および混合物;ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、これらの合金および混合物;ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、これらの合金および混合物、から選択されてもよい。
【0096】
好適な実施例のいくつかの態様において、第2の触媒材料は、1又はそれ以上の以下の群:鉄、ニッケル、ルテニウム及びコバルト;鉄、ルテニウム及びコバルト;鉄、ニッケル及びコバルト;鉄、ニッケル及びルテニウム;ニッケル、ルテニウム及びコバルト;鉄、ニッケル及びルテニウム;ならびに、鉄およびコバルト、から選択されてもよい。好ましくは、第2の触媒材料は、第1の触媒材料と異なる。
【0097】
選択的に、第1の触媒材料および/または第2の触媒材料は、ブレーンステッド酸部位を有する支持体など、1又はそれ以上の好適な支持体材料に付着させることができる。支持体は、炭素を具えることができる。又、選択的に、不均一系触媒は、活性炭支持体上で、約1:1のモル比で、(実質的に)約5重量%の鉄およびプラチナからなり;原料は、グリセロール及び/又はソルビトールなど、少なくとも約20重量%(30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、100重量%、およびこれらの間の1%間隔)の1又はそれ以上の含酸素炭化水素を具えることができる;原料を、WHSVが、時間当たりの不均一系触媒のグラム当たり約1.0〜5.0グラムのグリセロールの毎時重量空間速度、および、約250〜600psig(300〜600psig、300〜1,200psig、365〜600psig、365〜1,200psig、400〜600psig、478psig、478〜1,200psig、585psig、および、585〜1,200psigを含む)圧力で、不均一系触媒と接触させることができ;または、反応生成物は、40%またはそれ以上(50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)のプロピレングリセロールの炭素収率を有する。反応生成物中のプロピレングリセロールの量は、好ましくは、少なくとも約5%、10%、20%、30%又は40%の液体反応生成物の量である。
【0098】
補助的水素が、存在する場合、その量は少量であることが好ましい。反応プロセス全体を通して、原料には、補助的水素が実質的にないことが好ましい。最も好ましくは、外部の補助的水素が、触媒と接触する前、原料流中の全含酸素炭化水素中の酸素原子当たり1水素原子未満となる量で提供される。例えば、補助的水素と原料溶液中の全水溶性含酸素炭化水素とのモル比が、含酸素炭化水素中の酸素原子当たり(外部の)補助的水素中に1水素原子未満となるように選択されるのが好ましい。一般的に、原料中の含酸素炭化水素と、原料中に注入される(外部の)補助的水素の原料と、のモル比が、1:1であることが好ましく、より好ましくは2:1、3:1、5:1、10:1、20:1またはそれ以上(4:1、6:1、7:1、8:1、9:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1および19:1を含む)である。外部供給源から原料に注入される水素の量(モル)は、好ましくは、原料中の含酸素炭化水素の全モル数の0〜30%、0〜25%、0〜20%、0〜15%、0〜10%、0〜5%、0〜2%、0〜1%(これらの間の値を全て含む)である。又、好ましくは、原料溶液またはこれらのいずれの部分がAPR水素および外部水素と反応する場合、APR水素と外部水素とのモル比は、少なくとも3:1(5:1、10:1、20:1、およびこれらの間の比(4:1、6:1、7:1、8:1、9:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1および19:1)を含む)である。
【0099】
別の実施例において、組成物が提供されている。この組成物は、リアクタ容器内および/またはこれらに結合したセパレータ内など、リアクタシステム内に見られる。この組成物は、水、グリセロール、カルボン酸、二酸化炭素、プロピレングリコール、上記の第1の触媒材料および第2の触媒材料を具える触媒組成物、を具えることができる。好ましくは、触媒組成物は、VIII族金属および水素触媒(例えば、プラチナおよび鉄)を具える。
【0100】
別の実施例において、リアクタシステムが提供されている。ポリオールから含酸素化合物を生成するリアクタシステムは、水と、2又はそれ以上の炭素原子を有する少なくとも1つの水溶性含酸素炭化水素と、を具える原料水溶液を受けるように構成された第1のリアクションベッドであって、上述した第1の触媒を具え、凝縮相で原料溶液の第1の部分と接触するように構成され、水素を含む反応物流を形成する第1のリアクションベッドと;前記第1のリアクションベッドからの反応物流を受けるように構成された第2のリアクションベッドであって、上記の第2の触媒材料を具え、水素と原料溶液の第2の部分との間に反応を生じさせるように構成され、ポリオール(例えば、ジオール)、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールからなる群から選択される1又はそれ以上の含酸素化合物を具える生成物流を生成する、第2のリアクションベッドと;を具える。
【0101】
以下の実施例は、本発明のより完全な開示を提供するために含まれる。従って、以下の実施例は、本発明の本質を例示することを目的として、開示された本発明および添付された特許請求の範囲を限定するものではない。
【0102】
実施例
実験例1:例示的リアクタシステム1
図5は、APR触媒および水素化触媒の混合物から構成される触媒を含む単一のリアクタを用いて、原料溶液1を最終的な所望の生成物12に変換する好適なプロセスの1つを示す概略図である。この原料溶液1は、グリセロール又は糖アルコールなど、1又はそれ以上の含酸素炭化水素と混合された水を含む。この原料溶液1は、未反応のポリオール、水、ならびに、プロセスからのメタノールおよびエタノールなどのプロセスの副生成物を含むリサイクル流15と混合される。混合された流れ2は、HPLCポンプ(図示せず)を介して、APR/水素化触媒を有するリアクタシステム3に供給され、ここで、流れの一部は、触媒上で水と反応し、APR水素を形成し、このAPR水素は、続いて、水素化触媒上で前記流れの他の部分と反応し、所望の生成物を生成する。
【0103】
リアクタ3から出た流れ4は、水、水素、二酸化炭素、軽質炭化水素、軽アルコール(メタノールおよびエタノール)、ジオール生成物および未反応のグリセロールの混合液を含む。この混合液は、冷却され、2相セパレータ5で分離され、ここで、非凝縮性ガス(水素、二酸化炭素、メタン、エタンおよびプロパンなど)が、水溶性アルコールおよびジオールを含む相から流れ6を介して取り除かれる。この非凝縮性流れ6は、プロセス熱(例えば、リアクタ3中の反応を進める熱)を形成するように燃焼させるか、水素が流れ2にリサイクルバックされるように戻されるセパレータシステムに送られる。水溶液の流れ7は、セパレータ8へと送ることができ、ここで、軽アルコール(メタノールおよびエタノール)および水が除去され、流れ10を介して、リアクタ入口へとリサイクルバックされる。パージ流14は、リアクタシステム中で水の構築を阻害するために含まれる。
【0104】
未反応のグリセロールおよび所望のポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および/またはアルコール生成物を含む未精製の組成物流れ9は、流れ9を介してセパレータ8から戻され、最終セパレータに送られ、ここで、所望の生成物が未反応のグリセロールから分離される。未反応のグリセロール流は、次いで、流れ10に加えられ、流れ15を介して、リアクタシステムへとリサイクルバックされる。
【0105】
実験例2:例示的リアクタシステム2
図6は、APR触媒を有する第1のリアクタベッド103と、水素化触媒を有する第2のリアクタベッド104と、を具えるリアクタシステムを用いて、ポリオール原料溶液101を最終的なジオール生成物114へと変換する好適なプロセスを示す概略図である。原料溶液101は、糖アルコールまたはグリセロールなど、1又はそれ以上の含酸素炭化水素と混合される水を含む。原料溶液101は、未反応のポリオール、水および好ましくない副生成物(例えば、メタノールおよびエタノール)を含むリサイクル流117と混合される。混合された流れ102は、HPLCポンプ(図示せず)を介して、第1のリアクタベッド103に供給され、ここで、流れの一部は、APR触媒上で水と反応し、APR水素を形成する。リサイクルされたアルコール(メタノールおよびエタノール)も、APR触媒上で水と反応し、APR水素、および、メタンやエタンなどの軽質炭化水素を形成する。
【0106】
APR水素、水、二酸化炭素、軽質炭化水素およびポリオールを含む流出流は、第1のリアクタベッド103から、第2のリアクタベッド104へと移動し、ここで、APR水素は、ポリオールの一部と反応し、所望の生成物を生成する。この図において、リアクタベッド103およびリアクタベッド104は、上に流れる方向に設定され、生成したAPR水素が、リアクタベッド103から、第2のリアクタベッド104へと浸透し、水素化触媒上でAPR水素と流れ102との相互作用が最大となる。リアクタベッド103及び104は、下に流れる方向、又は、水平に流れる方向を含むように設計されてもよい。
【0107】
リアクタシステムから出た流105は、水、水素、二酸化炭素、軽質炭化水素、軽アルコール(メタノール及びエタノール)、ジオール及びポリオール生成物、ならびに、未反応のグリセロールの混合液を具える。この混合液は冷却され、2相セパレータ106で分離され、ここで、非凝縮性ガス(水素、二酸化炭素、メタン、エタンおよびプロパン)は、流れ107を介して、水溶性アルコール、ジオール及びポリオールを具える相から除去される。非凝縮性流れ107は、プロセス熱を形成するように燃焼されるか、セパレータシステムに送られ、ここで、水素が流れ102にリサイクルバック可能に戻される。水溶性の流れ108は、セパレータ109に送られ、ここで、軽アルコール(メタノールおよびエタノール)及び水が除去され、流れ110を介して、リアクタ入口へとリサイクルバックされる。パージ流116は、リアクタシステム中で水の構築を阻害するように含まれる。
【0108】
未反応のグリセロール及び所望のポリオール、ジオール及び/又はアルコール生成物を含む未精製の生成物流112は、流れ112を介してセパレータ109から戻され、最終セパレータ113へと送られ、ここで、所望の生成物114は未反応のグリセロール115から分離される。未反応のグリセロール流は、流れ110に加えられ、流れ117を介してリアクタシステムへとリサイクルバックされる。
【0109】
実験例3:例示的リアクタシステム3
図7は、補助剤205の導入を伴う、原料溶液201を最終生成物215へ変換する好適なプロセスを示す図である。補助剤205は、各種塩、酸、付加的な原料溶液、水素、処理工程の副生成物を含んでもよい。
【0110】
原料溶液201は、グリセロール又は糖アルコールなど、1又はそれ以上の含酸素炭化水素を混合される水を含む。原料溶液201は、原料溶液205と同一の混合液か、あるいは、バイオディーゼルプロセスからの排気メタノール、使用済み不凍液からのエチレングリコール又は低コストのアルコールなど、1又はそれ以上の低コストの含酸素化合物の混合液を含むことができる。流れ201は、さらに、リサイクル流218と混合され、未反応のポリオール、水、および、メタノールおよびエタノールなど好ましくない副生成物を含み、混合された流れ202を形成できる。
【0111】
混合された流れ202は、HPLCポンプ(図示せず)を介して、APR触媒を有するリアクタベッド203へと供給される。混合された流れ202中の含酸素炭化水素は、APR触媒上で水と反応しAPR水素を形成し、リサイクルされたアルコール(メタノール及びエタノール)は、水素、ならびに、メタン及びエタンなど軽質炭化水素を形成する。
【0112】
APR水素、水、二酸化炭素、軽質炭化水素および未反応の炭化水素を含む、第1のリアクタベッド204から出た流れは、補助剤205と混合される。この図では、補助剤205は、精製されたグリセロールなど、より高グレードの含酸素炭化水素を含む原料溶液である。混合された流出流204および補助剤205は、APR水素を含酸素炭化水素と反応させる水素化触媒を含むリアクタベッド206へと向けられ、所望のポリオール、ジオール及び/又はアルコール生成物215を生成する。リアクタからの流出流207は、水、水素、二酸化炭素、軽質炭化水素、軽アルコール(メタノール及びエタノール)、ポリオール、ジオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸および未反応のグリセロールの混合物を含む。
【0113】
混合物は、冷却され、2相セパレータ208中で分離され、ここで、水素、二酸化炭素、メタン、エタン及びプロパンなど非凝縮性気体が、水溶性ポリオール、アルコール及び/又はジオールを含む相から流れ209を介して除去される。流れ209は、プロセス熱を形成するように燃焼されるか、または、セパレータシステムへと送られ、ここで、水素は、流れ201へとリサイクルバックに戻すことができ、あるいは、補助剤205として使用可能である。
【0114】
水溶液の流れ210は、セパレータ211に送られ、ここで、軽アルコール(メタノール及びエタノール)及び水が除去され、流れ212を介してリアクタ入口へとリサイクルバックされる。パージ流れ217は、リアクタシステム中で水の構築を阻害するように含まれる。所望の生成物215および未反応の炭化水素を含む未精製の生成物流213は、流れ213を介してセパレータ211から戻され、最終セパレータ214へと送られ、ここで、所望の反応生成物215は未反応の炭化水素216から分離される。未反応の炭化水素流は、流れ216へと加えられ、流れ218を介してリアクタシステムへとリサイクルバックされるか、又は、補助剤205として使用される。
【0115】
実験例4:例示的なリアクタシステム4
グリセロールからのポリオール生成は、図8に例示されるテストシステムを用いて行われる。システム中のリアクタは、下に流れる方向で構成され、これにより、APR水素がリアクタを流れるときに、原料水溶液のインサイチュウで生じたAPR水素と原料水溶液との接触を改善する。
【0116】
触媒は、等温条件を維持するアルミニウムブロックヒータ2に設置されたステンレススチールチューブリアクタ1内に充填される。この反応温度は、温度制御サブシステムによって制御される。温度制御サブシステムの構成要素(図8には示していない)は、チューブリアクタ内に挿入された熱電対、アルミニウムブロックに取り付けられた抵抗性ヒータ、および、PID制御部を具える。
【0117】
基質溶液(すなわち、原料溶液)は、HPLCポンプ3を用いて、リアクタ内に連続的に供給されるように選択可能である。リアクタを出る上記物質は、相セパレータ5に入る前、熱交換機4を通るときに冷却される。
【0118】
ガスは、圧力制御サブシステムによって一定の圧力で維持されるガスマニホールド6を介して、相セパレータを出る。圧力制御サブシステムの構成要素は、圧力センサ7、圧力制御弁8およびPID制御装置9を具える。圧力制御弁8によって放出されるガス量は、マスフローメータ10によって測定される。このガスの組成物は、ガスクロマトグラフィによってモニタリングされる。
【0119】
相セパレータ5中の液体濃度(liquid level)は、濃度制御サブシステムによって、一定の濃度で維持される。濃度制御システムの構成要素は、相セパレータ中の濃度センサ11、濃度制御弁12およびPID制御蔵置13を具える。触媒評価実験中に相セパレータからドレインした水溶液は回収され、回収量は重力で測定される。この溶液の分析は、pH、総有機炭素濃度、GCを具え、未反応基質の濃度ならびに特異的な中間体および副生成物の濃度を決定する。
【0120】
実験例5:改良された炭素支持体の調製
過酸化水素を用いて、活性炭を機能化させ、触媒用に改善された支持体を提供する。S.R.de Miguel、O.A.Scelza、M.C.Roman−Martinez,C.Salinas Martinez de Lecea,D.Cazorla−Amoros,A.Linares−Solano,Applied Catalysis A:General 170(1998)93を参照されたい。活性炭61gを1600mlの30%過酸化水素溶液にゆっくり加えた。炭素の添加が完了した後、混合物を一晩放置した。水相をデカントし、炭素を1600mlのDI水で3回洗浄し、100℃の真空下で乾燥した。
【0121】
実験例6:バイメタル触媒システムの調製
活性炭に担持された、5重量%のプラチナ(APR触媒)および鉄(水素化触媒)混合物(モル比1:1)を含むバイメタル触媒システムを、インシーピエントウェッティング技術を用いて調製した。含浸される炭素に関してインシーピエントウェッティングの量に等しい量の水溶液10.4mLであって、二水素ヘキサクロロプラチナ(IV)ヘキサハイドレート(Alfa Aesar,39.85%Pt)および1.42gの鉄(III)硝酸9水和物(Alfa Aesar)を含む水溶液を、撹拌しながら、13.02gの炭素で機能化された過酸化水素に液滴状で加えた(実験例5)。この湿潤な炭素を真空で100℃で乾燥した。
【0122】
実験例7:プロピレングリコール生成物
実験例6に記載された触媒システムを、50重量%のグリセロールを含む原料溶液を用いて、実験例4に記載の装置で試験した。グリセロール原料溶液を注入する前に、350℃で流れる水素のもとで触媒を処理した。反応条件を240℃、33.0bar(478psig)、および、時間当たりの触媒のグラム当たり4.0グラムのグリセロールとなるWHSVに設定した。グリセロールの変換率は、64%だった。この実験を、実験例6の触媒上で、50重量%グリセロールおよび50%の水を含む第2の原料溶液を用いて繰り返し行い、反応条件は以下の通りとした:260℃、430bar(585psig)、時間当たりの触媒のグラム当たり1.9グラムのグリセロールとなるWHSV。
【0123】
低温環境で、圧力および使用する触媒の量は、APRプロセスに関して商業的に実行可能な条件とした。これらの2つの場合のグリセロール転換率は、各々、64%および88%であり理論的な最大値だった。図9は、生成物を含む炭素の収率をまとめており、高温および低温反応でのグリセロールから炭素含有生成物への転換の選択性を示す。グラフは、プロピレングリコールが生成される主な生成物であり、次いで、二酸化炭素(APR水素のインサイチュウ生成の副生成物)、エタノール、エチレングリコールの順だったことを示す。気相のアルカンは、メタン、エタン及びプロパンを含んでおり、メタンが、最も多い気相中のアルカンだった。
【0124】
これらの結果によって実証されたのは、グリセロール水溶液の液相改質を介して、適正な収率でプロピレングリコールを生成する可能性があり、好ましくは外部の供給源から水素を協調して導入することなく、大量の又は主要なプロピレングリコールを生成する可能性があることである。驚くべきことに、水素生成プロセスからの副生成物の存在は、プロピレングリコールおよび他の生成物にグリセロールを変換する能力に大きな影響を与えなかった。
【0125】
記載された実施例および実験例は、全てに関し、例示を目的とし、限定を意図するものではなく、本発明の範囲は、従って、上記の記述ではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される。特許請求の範囲と同等の意味および範囲内にあるあらゆる変形は、本発明の範囲内に包含されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1は、CH、C、C及びC14;CH(OH)、C(OH)、C(OH)及びC(OH);および水−ガスシフトの気相改質からの一酸化炭素および水素の生成に関する熱力学(ΔG°/RT対温度)を示すグラフである。点線は、気圧対CH(OH)、C(OH)、C(OH)及びC(OH)の温度に関してln(P)値を示す。
【図2】図2は、グリセロールから水素およびプロピレングリコールを生成する反応経路を示す反応スキームである。
【図3】図3は、グリセロールから水素およびプロピルアルコールを生成する反応経路を示す反応スキームである。
【図4】図4は、ソルビトールから水素およびヘキサノールを生成する反応経路を示す反応スキームである。
【図5】図5は、インサイチュウで生成された水素を用いて、ポリオールをジオールまたはアルコールに変換するプロセスを例示する概略図である。
【図6】図6は、水素生成用第1の反応チャンバおよび第2の水素化チャンバを有するリアクタを用いて、ポリオールから反応生成物を生成するプロセスを例示する概略図である。
【図7】図7は、水素生成用の第1の反応チャンバおよび第2の水素化チャンバを有するリアクタを用いて、加えられた補助剤でポリオールから反応生成物を生成するプロセスを例示する概略図である。
【図8】図8は、水相改質を介して、グリセロールからポリオールの生成を評価するために使用可能であるリアクタシステムの概略図である。
【図9】図9は、修飾されたプラチナ触媒上でグリセロールを水相改質するときの炭素製品の分布を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、2又はそれ以上の炭素原子を有する少なくとも1の水溶性含酸素炭化水素と、を具える原料水溶液から含酸素化合物を生成する方法において、この方法が、
a)
i. 約80〜400℃の温度、
ii. 毎時重量空間速度が、時間当たり第1の触媒材料のグラム当たり少なくとも約1.0グラムの含酸素炭化水素、および、
iii. 前記水および前記含酸素炭化水素が凝縮液となるような圧力で、
原料水溶液の第1の部分の含酸素炭化水素を、少なくとも1つのVIII族金属を具える第1の触媒材料と接触させることによって水相改質(APR)水素を生成するステップと、
b)
i. 約100〜300℃の温度、
ii. 約200〜1200psigの圧力で、
前記APR水素を原料溶液の第2の部分の含酸素炭化水素と反応させ、第2の触媒材料上で含酸素炭化水素を還元するステップであって、前記第2の触媒材料は第1の触媒材料とは異なり、鉄、ルテニウム、銅、レニウム、コバルト、ニッケル、これらの合金、および、これらの混合物からなる群から選択され、
ポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの還元された含酸素炭化水素化合物を具える反応生成物を生成するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記原料溶液の第2の部分が、前記原料溶液を前記第1の触媒材料と接触することによって形成される含酸素炭化水素を更に具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記原料溶液の第2の部分を、365psigより大きな圧力で、前記APR触媒および第2の触媒材料に接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の触媒材料が、プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、これらの合金およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの遷移金属を具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の触媒材料が、鉄、ニッケル、ルテニウムおよびコバルトからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の触媒材料が鉄であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の触媒材料および第2の触媒材料が、触媒混合物中に混合されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の触媒材料が、プラチナ、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、これらの合金およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの遷移金属を具え;前記第2の触媒金属が鉄であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の触媒材料と前記第2の触媒材料とのモル比が、5:1から1:5の間であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記原料溶液の第1の部分および前記原料溶液の第2の部分を、200〜270℃の温度でリアクタ容器内において、前記第1の触媒材料および前記第2の触媒材料と接触させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の触媒材料がプラチナであり、第2の触媒材料が鉄であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の触媒材料が、支持体に付着されていることを特徴とする請求項1〜11に記載の方法。
【請求項13】
前記支持体が活性炭であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の触媒材料および前記第2の触媒材料は触媒混合物に混合され、前記触媒混合物は活性炭支持体に付着され、かつ前記触媒混合物が5重量%の第1および第2の触媒材料を具えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記原料溶液の第2の部分を、時間当たり第2の触媒材料のグラム当たり1.0〜5.0グラムの含酸素炭化水素の毎時重量空間速度で、第2の触媒材料と接触させることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記原料溶液の第2の部分を、120〜300℃の温度で前記第2の触媒材料と接触させ、前記原料溶液の第1の部分を、200〜270℃の温度で第1の触媒材料と接触させることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記原料溶液の第2の部分は、APR水素および外部の水素と反応し、APR水素と外部水素とのモル比が少なくとも3:1であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記原料溶液が、少なくとも20重量%のグリセロールを具えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の触媒材料および第2の触媒材料を、触媒混合物中で混合し、前記原料溶液は、72〜1300psigの圧力、時間当たりの触媒混合物のグラム当たり1.0〜5.0グラムのグリセロールの毎時重量空間速度で、触媒混合物と接触させ、前記反応生成物が、プロピレングリコールを具えることを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記反応生成物は、40%又はそれより大きいのプロピレングリコールの炭素収率を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記反応生成物が、二酸化炭素、プロピレングリコール、および、以下の生成物:第2のジオール、カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよびアルコール、を少なくとも1つ具えることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
プロピレングリコールの生成方法において、
a)100〜300℃の温度、
b)時間当たり不均一系触媒のグラム当たり少なくとも1.0グラムのグリセロールの毎時重量空間速度、
c)水およびグリセロールが凝縮液体のままであるような圧力で、
プラチナおよび鉄を具える不均一系触媒を、水およびグリセロールを具える原料水溶液と接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
a)前記不均一系触媒は、活性炭支持体上でモル比が1:1の実質的に5重量%の鉄およびプラチナからなり;
b)原料が少なくとも20重量%のグリセロールを具え;
c)原料を、時間当たり不均一系触媒のグラム当たり1.0〜5.0グラムのグリセロールの毎時重量空間速度、250〜400psigの圧力で、不均一系触媒と接触させ;
d)原料水溶液を、インサイチュウで生成された水素の存在下で、不均一系触媒と接触させ、
e)反応生成物は、40%またはそれより大きいプロピレングリコールの炭素収率を有する
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
a)前記不均一系触媒は、活性炭支持体上でモル比が1:1の5重量%の鉄およびプラチナから実質的になり、
b)原料は、少なくとも20重量%のグリセロールを具え、
c)原料を、時間当たり不均一系触媒のグラム当たり、1.0〜5.0グラムのグリセロールの毎時重量空間速度で、250〜400psigの圧力で、水素化触媒と接触させ、
d)原料水溶液を、インサイチュウで生成された水素の存在下で、不均一系触媒と接触させ、
e)反応生成物は、40%またはそれ以上のプロピレングリコールの炭素収率を有する
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記原料水溶液を、この原料水溶液の外部から水素を供給せずに、不均一系触媒と接触させることを特徴とする請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
水、グリセロール、カルボン酸、二酸化炭素、プロピレングリコール、および、プラチナおよび鉄を具えることを特徴とする組成物。
【請求項27】
水溶性ポリオールを具える原料水溶液から含酸素化合物を生成するリアクタシステムにおいて、このリアクタシステムが、
a)少なくとも1つのVIII族金属を有する第1の触媒を具え、かつ凝縮相中の原料溶液の第1の部分と接触するように構成された、第1のリアクションベッドと、
b)鉄、ルテニウム、銅、レニウム、コバルト、ニッケル、これらの合金、および、これらの混合物からなる群から選択される触媒材料を具え、かつ原料溶液の第2部分を受けるように構成された、第2のリアクションベッドと、
c)リアクタシステムであって、
1.前記第2のリアクションベッドが、前記第1のリアクションベッドで生成された水素を受けるように配置および構成され、
2.前記リアクタシステムが、水素を反応流への導入しないで、ポリオール、ケトン、アルデヒド、カルボン酸およびアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの含酸素化合物を具える反応生成物を提供する、
ことを特徴とするリアクタシステム。
【請求項28】
前記第1の触媒材料がプラチナを具えることを特徴とする請求項27に記載のリアクタシステム。
【請求項29】
前記第2の触媒材料が鉄を具えることを特徴とする請求項27又は28に記載のリアクタシステム。
【請求項30】
前記第1のリアクションベッド及び前記第2のリアクションベッドは、単一のリアクション容器中に保持され、前記リアクション容器は、
a)前記第2のリアクションベッドの上にスタックされる前記第1のリアクションベッドと、
b)前記第1のリアクションベッドの上にスタックされる前記第2のリアクションベッドと、
c)二機能リアクションベッドを形成するように組み合わせれた前記第1のリアクションベッド及び前記第2のリアクションベッドと、
からなる群から選択される構成を有することを特徴とする請求項27〜29のいずれか一項に記載のリアクタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−536648(P2009−536648A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509787(P2009−509787)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/011062
【国際公開番号】WO2008/069830
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508180518)ヴァイレント エナジー システムズ インク. (5)
【Fターム(参考)】