説明

ポリカーボネート上の加水分解保護層としてのポリホルマールおよびコポリホルマール

本発明はポリホルマールまたはコポリホルマールおよび可能な添加剤を含有する組成物に加え、さらに、加水分解から守る層の製造でのポリホルマールまたはコポリホルマールの使用に加え、加水分解から守られ、熱可塑性樹脂を含有する少なくとも一つの層および少なくとも一つのポリホルマールまたはコポリホルマールを含有する少なくとも一つの層からなる多層製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂を含有する少なくとも一つの層および少なくとも一つのポリホルマールまたはコポリホルマールを含有する少なくとも一つの層を含有する加水分解保護多層製品、特にシート、フィルム、容器(例えば、水筒、哺乳瓶または医療品)、およびポリホルマールまたはコポリホルマールおよび可能な添加剤を含有する組成物、および加水分解保護層を製造するためのポリホルマールおよび/またはコポリホルマールの使用に関する。
【0002】
本発明は更にそのような多層製品(例えばシート、医療品または種々の容器、例えばボトル製品、哺乳瓶、水筒および記述されるシートを備える他の製品)の製法にも関する。
【0003】
例えば中実または多層シートは、一般的に外面の一または二面がUV同時押出層で被覆され、紫外線からのダメージ(例えば黄変)から保護される。しかしながら、他の多層製品もまた同様に紫外線によるダメージから保護される。対照的に、加水分解ダメージに対する保護を提供する層としての熱可塑性樹脂の適用は先行技術に記述されてない。
【0004】
多層保護製品に関する先行技術を以下に要約する:
(EP-A 0 110 221はポリカーボネートの二つの層(一つの層は少なくとも3 wt.%の紫外線吸収剤を含有する)を備えるシートを開示する。これらのシートはEP-A 0 110 221による同時押出によって製造され得る。
EP-A 0 320 632は熱可塑性ポリマー、好ましくはポリカーボネートの二つの層、紫外線吸収剤として特別な置換ベンゾトリアゾールを含有する一つの層、を備える成形品を開示する。EP-A 0 320 632は更に同時押出によるこれらの成形品の製造を開示する。
EP-A 0 247 480は、熱可塑性ポリマーから作られる一つのシートに加えて分枝したポリカーボネートから作られる一つのシート(そのポリカーボネートから作られるシートは紫外線吸収剤として特別な置換ベンゾトリアゾールを含有する)が存在する多層シートを開示する。
EP-A 0 500 496は特別なトリアジンで紫外線に対して安定化されたポリマー組成物および多層システムでの外部層としてのその使用を開示する。ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシドおよびポリフェニレンスルフィドがポリマーとして列挙されている。)
【0005】
先行技術によると、水筒(例えば5ガロンボトル)は多層構造をもたない(DE 19943642、DE 19943643、EP-A 0411433)。同じことが再利用可能な牛乳瓶または哺乳瓶に当てはまる。
【0006】
ポリカーボネート容器は例えば押出吹込成形または射出吹出成形によって製造される。
【0007】
押出吹込成形では、グラニュールを一般的に一軸スクリュー押出機で溶融し、ダイを通して成形しフリースタンディングパリソン(free-standing parison)を形成する。このパリソンを次に、パリソンを下端で共に挟む吹込成形用金型に入れる。この金型の中でパリソンを膨張させ、パリソンを所望する形状にする。冷却後、金型を開け、吹込成形品を外し得る(より詳しくは例えばBrinkschroeder, F. J. "Polycarbonate" in Becker, Braun, Kunststoff-Handbuch, Volume 3/1, Polycarbonate, Polyacetale, Polyester, Celluloseester, Carl Hanser Verlag, Munich, Vienna 1992, pages 257 to 264に開示されている)。
【0008】
押出吹込成形に関して、高い溶融安定性を得るために疑似塑性の高いポリカーボネートを使うことは都合がよい。分枝したポリカーボネートは特に疑似塑性がある。
【0009】
射出吹出成形は射出成形と吹込成形との組み合わせである。
【0010】
この方法は三つの工程で行う:
1) ポリカーボネートの可塑温度範囲(plastic temperature range)でパリソンの射出成形
2) ポリカーボネートの熱可塑性範囲でのパリソンのインフレーション(射出成形用金型のコアは更に吹込マンドレルでもある)
3) 吹込成形品のはぎ取りおよび要すれば空気での吹込マンドレルの冷却
(より詳しくは、例えばAnders, S., Kaminski, A., Kappenstein, R., "Polycarbonate" in Becker/Braun, Kunststoff-Handbuch, Volume 3/1, Polycarbonate, Polyacetale, Polyester, Celluloseester, Carl Hanser Verlag, Munich, Vienna 1992, pages 223 to 225に開示されている)。
【0011】
しかしながら、先行技術から既知の製品のどれも全ての点で、特に加水分解に関する長期安定性に関する限りでは、十分な成績を達成しない。水は60℃より高い温度でポリカーボネートにダメージを与える。熱湯との長期の接触は分子量の減少を引き起こす。このことは熱安定剤(例えば有機ホスフィット)の存在下でさらに加速される。加えて、ポリカーボネートは好ましくはアルカリ加水分解され得る。マイクロ波照射は更にこの分解を加速する。
【0012】
先行技術の特許ではこの不都合を克服する加水分解保護層への言及がなされたことがない。
【0013】
従って先行技術から出発して、目的は、先行技術と比較して改善された性質(例えば、高温で、および酸性および更に塩基性環境中であっても水中での加水分解に関して長期の安定性の改善)を示す多層シートまたは被覆容器(例えば水筒または医療品(これは過熱蒸気中で滅菌されることができなければならない))を提供することである。
【0014】
この目的が本発明の基礎にある。
【0015】
この目的は驚くべきことにポリマー主成分としてあるポリホルマールまたはコポリホルマールを含有する被膜によって達成される。
【0016】
ポリホルマールまたはコポリホルマールに基づく製品の被膜はポリカーボネートと比較して著しく際立った加水分解安定性の点で先行技術を上回る驚くべき卓越性を示す。
【0017】
ポリホルマールは完全なアセタールであると見なされ得るのでこのことは特に驚くべきである。アセタールは当業者によって考えられている最近の学説によると少なくとも酸性の環境中で加水分解に対する際立った感度を示す。しかしながら、対照的に、ポリホルマールから製造される被膜は酸性溶液に対してさえ、および高温でさえ加水分解に対する安定性がある。
【0018】
従って、本出願は一般式(1a)または(1b)、
【化1】

(式中、O-D-OおよびO-E-O基はジフェノラート基を意味する。ここで-D-および-E-が6〜40のC原子、好ましくは6〜21のC原子を有する芳香族基であり、一以上の芳香環または芳香縮合環(任意にヘテロ原子を含有してもよい)を含有してもよく、任意にC1〜C12アルキル基またはハロゲンで置換されてもよく、脂肪族基、脂環式基、芳香環またはヘテロ原子を結合体(binding link)として含有してもよい。kは1〜1500、好ましくは2〜1000、特に好ましくは2〜700、および最も特に好ましくは5〜500および特別好ましくは5〜300の自然数を意味し、oは1〜1500、好ましくは1〜1000、特に好ましくは1〜700および最も特に好ましくは1〜500および特別好ましくは1〜300の数を意味し、mは分数z/oを、nは分数(o-z)/oを意味する。ここでzは0とoとの間の数を意味する。)
を有するポリホルマールまたはコポリホルマールを含有する被膜を提供する。
【0019】
本発明によるポリホルマールおよびコポリホルマールの好ましい構造単位は式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)、
【化2】

(式中、角型括弧は基礎となるジフェノラート基を描き、ここでR1およびR2は互いに独立してH、直鎖または分枝したC1〜C18アルキルまたはアルコキシ基、ハロゲン(例えばClまたはBr)または任意に置換アリールまたはアラルキル基でもよく、好ましくはHまたは直鎖または分枝したC1〜C12アルキル、特に好ましくはHまたはC1〜C8アルキル基および最も特に好ましくはHまたはメチルを意味し、
Xは単結合、C1〜C6アルキレン、C2〜C5アルキリデン、C5〜C6シクロアルキリデン基(C1〜C6アルキル、好ましくはメチル基またはエチル基で置換されてもよい)、またはC6〜C12アリーレン基(任意に他のヘテロ原子含有芳香環と縮合してもよい)を意味し、ここでpは1〜1500、好ましくは2〜1000、特に好ましくは2〜700、および最も特に好ましくは5〜500、および特別に5〜300の自然数を意味し、pは1〜1500、好ましくは1〜1000、特に好ましくは1〜700、および最も特に好ましくは1〜500、および特別好ましくは1〜300の数を意味し、およびqは分数z/pおよびrは分数(p-z)/pを意味し、ここでzは0とpとの間の数を意味し、および-O-D-O-および-O-E-O-基の一部は互いに独立して更に一以上の三官能価化合物から誘導される基を意味し、その結果として第三の結合部位、ポリマー鎖の分枝がこの地点で起こる)
を有する一般構造から誘導される。
【0020】
従ってポリホルマールまたはコポリホルマールは直鎖または分枝でもよい。
【0021】
式(1)および(2)のビスフェノラート基は特に好ましくは以下に列挙される好適なビスフェノールから誘導される。
【0022】
ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α'-ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、およびそれらの環アルキル化(ring-alkylated)および環ハロゲン化(ring-halogenated)化合物、および更にα,ω-ビス(ヒドロキシフェニル)ポリシロキサンが一般式(1)の基礎となるビスフェノールの例として列挙される。
【0023】
好ましいビスフェノールは例えば4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD)、4,4'-ジヒドロキシビフェニルエーテル(DODエーテル)、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,3-ビス-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4-ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2-ビス-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0024】
特に好ましいビスフェノールは例えば2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD)、4,4'-ジヒドロキシビフェニルエーテル(DODエーテル)、1,3-ビス-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2-ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0025】
最も特に好ましいビスフェノールは2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD)、4,4'-ジヒドロキシビフェニルエーテル(DODエーテル)、1,3-ビス-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)および1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0026】
特に最も特に好ましいビスフェノールは2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)および1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0027】
ビスフェノールは単独でおよび互いの混合物でどちらでも用いることができる;ホモポリホルマールおよびコポリホルマール両方が含まれる。このビスフェノールは文献から知られている、または文献から知られている方法によって製造され得る(例えばH. J. Buysch et al., Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, VCH, New York 1991, 5th Edition, Vol. 19, p. 348参照)。
【0028】
本発明によるポリホルマールは分枝剤として知られている少量の三官能価化合物の使用によって制御された方法で意識的に分枝され得る。いくつかの好適な分枝剤は:フロログルシノール、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)ヘプテン-2; 4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン; 1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン; 1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)エタン;トリ-(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン; 2,2-ビス-[4,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン; 2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール; 2,6-ビス-(2-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-4-メチルフェノール; 2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン;ヘキサ-(4-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェニル)オルトテレフタル酸エステル;テトラ-(4-ヒドロキシフェニル)メタン;テトラ-(4-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン;α,α,α''-トリス-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン; 2,4-ジヒドロキシ安息香酸;トリメシン酸;塩化シアヌル;3,3-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドール;1,4-ビス-(4',4''-ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼンおよび特に:1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)エタンおよびビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドールである。
【0029】
そのような分枝剤の使用は式(1)および(2)の理想化された構造からの対応するずれを導く。このことは使用される分枝剤の量に対応して、使用される分枝剤から誘導される三つの結合ユニットを有する構造単位(これは使用される分枝剤に依存してエステル基等として形成され得る)が製造されることを意味する。
【0030】
使用されるジフェノールに関して0.05〜2 mol%の分枝剤または任意に混合されてよい分枝剤の混合物はジフェノールと共に添加されてもよいが、更に合成の最後の段階で加えられてもよい。
【0031】
フェノール(例えばフェノール)、アルキルフェノール(例えばクレゾールおよび4-tert-ブチルフェノール)、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノールまたはそれらの混合物は好ましくは同時押出被膜に材料として使用されるポリホルマールの連鎖停止剤としてビスフェノールのモルに対して1〜20 mol%、好ましくは2〜10 mol%の量で使用される。フェノール、4-tert-ブチルフェノールまたはクミルフェノールが好ましい。
【0032】
式(1a)および(1b)または(2 a-d)を有するポリホルマールおよびコポリホルマールは例えば溶液法(solution process)によって製造され、ビスフェノールおよび連鎖停止剤を塩化メチレンまたはアルファ,アルファ-ジクロロトルエンと、塩化メチレンまたはα,α-ジクロロトルエンと好適な高沸点溶剤(例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルカプロラクタム(NMC)、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンまたはテトラヒドロフラン(THF))との均一溶液中、塩基、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、存在下で、30℃〜160℃の温度で反応させることを特徴とする。好ましい高沸点溶剤はNMP、DMF、DMSOおよびNMCであり、特に好ましくはNMP、NMC、DMSOおよび最も特に好ましくはNMPおよびNMCである。この反応は数段階で行われてもよい。要すれば必要である環状不純物の分離を沈殿法によってまたは未精製の生成物の環状化合物を溶かす溶媒(例えばアセトン)との部分配合(fractional compounding)によって有機相の中性洗浄後に行う。環状不純物は実質的にはもっぱら溶媒に溶け、部分に混ぜ合わせ、溶媒を換えることによってほとんど完全に分離され得る。混ぜ合わせた後、1 %より少ない溜め(well)の環状化合物の含量が、例えばアセトン約10リットルを例えば5部分で約6 kgの量のポリホルマールに加える使用によって達成され得る。
【0033】
環状ポリホルマールおよびコポリホルマールは更に所望のポリマーの沈殿剤として作用し、望ましくない環状化合物の溶媒として作用する好適な溶媒中で沈殿法によって分離され得る。これらの溶媒は好ましくはアルコールまたはケトンである。
【0034】
重縮合の反応温度は30℃〜160℃、好ましくは40℃〜100℃、特に好ましくは50℃〜80℃および最も特に好ましくは60℃〜80℃である。
【0035】
従って、本発明は多層製品(例えば同時押出品(例えば多層シート))を製造するための開示されたポリホルマールおよびコポリホルマールの使用、これらの多層シートそのもの、および更に同時押出によるこれらの多層シートの製法、およびこれらのポリホルマールまたはコポリホルマールを含有する好適な組成物を被覆する方法を提供する。
【0036】
本発明は更にポリホルマールに基づく列挙される多層シートを備える製品または他の被覆製品を提供する。例えば列挙される多層シートを含むまたはそれ自身被覆されるこの製品は、好ましくは哺乳瓶、水筒または過熱蒸気で滅菌され得る医療品からなる群から選択される。
【0037】
本発明による多層製品は非常に多くの利点を有する。特に、長期安定性の明確な改善、特に水を含む媒体に関して加水分解安定性、がポリホルマールに基づく加水分解保護層によって達成されるという利点を有する。さらにこのシートは製造が容易で費用がかからなく、全ての出発原料が入手可能であり費用がかからない。加えて、本発明による多層製品中でポリカーボネートの正の性質(例えば良好な光学的および機械的性質)は損なわれていない、あるいは、かすかに損なわれるだけである。
【0038】
本発明による多層製品は先行技術と比較すると更なる利点を有する。本発明による多層製品(例えばボトル)は例えば同時押出吹込成形によって製造されてもよい。このことは塗料によって製造される製品を上回る利点に導く。例えば、塗装系の場合同様、同時押出で全く溶媒が蒸発しない。
【0039】
さらに、塗料は貯蔵容量(storage capacity)の限界がある。同時押出はこの欠点がない。
【0040】
さらに、塗被は複雑な技術を必要とする。例えば、有機溶媒が使用される場合防爆ユニット、溶媒の再利用、およびそれゆえに装置に費用のかかる投資を必要とする。同時押出はこの欠点がない。
【0041】
本発明の好ましい態様は列挙される多層シートまたは様々の種類のボトルである(ポリカーボネートおよび/またはコポリカーボネートおよび/またはポリエステルおよび/またはコポリエステルおよび/またはポリエステルカーボネートおよび/またはポリメチルメタクリレートおよび/またはポリアクリレートおよび/またはポリカーボネートとポリエステルのブレンドおよび/またはポリメチルメタクリレートからなるベース層およびポリホルマールまたはコポリホルマールまたはそれらの(コ)ポリカーボネートおよび/または(コ)ポリエステルとのブレンドからなる同時押出層)。
【0042】
加水分解保護層が1〜5000 μm厚、好ましくは5〜2500 μm、最も特に好ましくは10〜500 μmの多層製品が本発明による好ましい多層製品である。
【0043】
このシートは中実シート、多層シート、二層シート、三層シート、四層シート等であってもよい。この多層シートは更に様々な異形材(例えばX形材またはXX形材)を含み得る。この多層シートは加えて波形多層シートであってもよい。
【0044】
本発明の好ましい態様は、一つのポリカーボネートの層およびポリホルマールまたはコポリホルマールまたはポリカーボネート-ポリホルマールブレンドの加水分解保護層からなる二層シートである。
【0045】
本発明の更に好ましい態様はベースシートとして一つのポリカーボネートの層、および二つの覆い重なる同一または異なる、ポリホルマールまたはコポリホルマールまたはポリカーボネート-ポリホルマールブレンドからなる加水分解保護層からなる三層シートである。
【0046】
本発明の態様として同様に好ましい態様は様々な種類の容器(例えばボトル(例えば水筒(5ガロンボトル)、哺乳瓶または再利用可能な牛乳瓶))である。
【0047】
本発明の目的の中で容器は液体、固体または気体の梱包、貯蔵または輸送に使用され得る。液体の梱包、貯蔵または輸送用容器(液体容器)が好ましく、水の梱包、貯蔵または輸送用容器(水筒)が特に好ましい。
【0048】
本発明の目的の中で容器は好ましくは0.1 l〜50 l、好ましくは0.5 l〜50 lの容積を有する吹込成形容器であり、1 l、5 l、12 lおよび20 lの容積が最も特に好ましい。
【0049】
3〜5ガロンの容積を有する水筒が最も特に好ましい。
【0050】
この容器は好ましくは0.1 g〜3000 g、なるべくなら50 g〜2000 gおよび特に好ましくは650 g〜900 gの空重量を有する。
【0051】
この容器の壁厚は好ましくは0.5 mm〜5 mm、なるべくなら0.8 mm〜4 mmである。
【0052】
本発明の目的の中で容器は好ましくは5 mm〜2000 mm、特に好ましくは100 mm〜1000 mmの丈を有する。
【0053】
この容器は好ましくは10 mm〜250 mm、なるべくなら50 mm〜150 mmおよび最も特に好ましくは70〜90 mmの最大周囲長を有する。
【0054】
本発明の目的の中で容器は好ましくは1 mm〜500 mm、なるべくなら10 mm〜250 mm、特に好ましくは50 mm〜100 mmおよび最も特に好ましくは70〜80 mmのボトルネック長を好ましくは有する。
【0055】
この容器のボトルネックの壁厚は好ましくは0.5 mm〜10 mm、特に好ましくは1 mm〜10 mm、および最も特に好ましくは5 mm〜7 mmを変動する。
【0056】
このボトルネックの直径は好ましくは5 mm〜200 mmを変動する。10 mm〜100 mmが特に好ましく、45 mm〜75 mmが最も特に好ましい。
【0057】
本発明による容器のボトルベースは好ましくは10 mm〜250 mm、好ましくは50 mm〜150 mm、および最も特に好ましくは70〜90 mmの直径を有する。
【0058】
本発明の目的の中で容器はどんな幾何学的形状もとり得、例えば円形、楕円形または多角形つまり例えば3〜12の面で角を形成するものであってもよい。円形、楕円形および六角形の形状が好ましい。
【0059】
容器のデザインはどんな表面組成(surface texture)に基づいてもよい。この表面組成は好ましくはなめらかまたはリブがある。本発明による容器は更にいくつかの異なる表面組成を示してもよい。リブまたはビードは容器の周囲をめぐっていてもよい。それらはどのような離れた間隔でもよい、つまりいくつかの異なる離れた間隔でもよい。本発明による容器の表面組成はざらざらしたまたは統合した(integrated)テクスチャー、シンボル、装飾、紋章、会社のロゴ、商標、モノグラム、製造業者の使用説明書、材料明細および/または容積情報を示してもよい。
【0060】
本発明による容器はいくつの取っ手をつけてもよく、それは側面、上部または底に位置してもよい。この取っ手は外部にあってもよく、または容器の輪郭に統合されてもよい。取っ手は折りたたみまたは据え付けでもよい。この取っ手はどんな形状(例えば楕円形、円形または多角形)でもよい。この取っ手の長さは好ましくは0.1 mm〜180 mm、好ましくは20 mm〜120 mmである。
【0061】
本発明によるポリカーボネートに加え、本発明による容器は更に他の物質(例えばゴムで作られるシールまたは他の材料で作られる取っ手)を少量含んでもよい。
【0062】
本発明による容器は好ましくは押出吹込成形または射出吹出成形によって製造される。
【0063】
本発明による容器の製法の好ましい態様で、本発明によるポリカーボネートはなめらかまたは溝つきの、好ましくはなめらかな、供給部を有する押出機で加工処理される。
【0064】
押出機の駆動力はスクリュー直径に基づいて選択される。例として、スクリュー直径60 mmで押出機の駆動力は約30〜40 kWであり、スクリュー直径90 mmで約60〜70 kWである。
【0065】
エンジニアリングサーモプラスチックの加工で慣習的に使用される一般的な三部スクリュー(three-section screw)が好適である。
【0066】
1 lの容積を有する容器の製造には、50〜60 mmのスクリュー直径が好ましい。20 lの容積を有する容器の製造には、70〜100 mmのスクリュー直径が好ましい。スクリューの長さは好ましくはスクリューの直径の20〜25倍である。
【0067】
吹込成形の場合、吹込成形用金型を好ましくは50〜90℃に加熱し、光沢のある高級容器表面を得る。
【0068】
吹込成形用金型の均質で効果的な加熱を可能にするために、ベースエリア(base area)とジャケットエリア(jacket area)は別々に加熱されてもよい。
【0069】
吹込成形用金型は好ましくは喰い切り溶接部(pinch-off weld)のセンチメートル長あたり1000〜1500 Nの圧縮力で閉じられる。
【0070】
容器の光学的特性を縦筋または気泡によって低下させないように、および加工中にポリカーボネートを加水分解的に分解しないように、加工の前に、本発明によるポリカーボネートを好ましくは乾燥する。乾燥後の残留水分含量は好ましくは0.01 wt/%よりも低い。120℃の乾燥温度が好ましい。より低い温度は十分な乾燥を保証せず、一方、より高い温度ではポリカーボネートのグラニュールが互いに他着し、もはや加工できなくなるリスクがある。ドライエア乾燥器(dry-air dryer)が好ましい。
【0071】
本発明によるポリカーボネートの加工中、好ましい溶融温度は230°〜300℃である。
【0072】
本発明による容器は液体、固体または気体の梱包、貯蔵または輸送に使用され得る。例えば液体の梱包、貯蔵または輸送に使用される容器としての態様が好ましい。例えば水の梱包、貯蔵または輸送に使用され得る水筒としての態様が特に好ましい。
【0073】
本発明の好ましい態様は、分枝したポリカーボネートから作られる容器が分枝したポリカーボネートがTHPEおよび/またはIBCを分枝剤として含有することを特徴とし、フェノールまたはアルキルフェノールが分枝したポリカーボネートの製造で連鎖停止剤として使用され、この容器が水筒であるものである。
【0074】
本発明の特に好ましい態様はポリカーボネートから作られる容器が分枝したポリカーボネートを含有するTHPEおよび/またIBCを分枝剤として含有することを特徴とし、フェノールが分枝したポリカーボネートの製造で使用され、ポリカーボネートが260℃で5500〜7000 Pasの溶融粘度および10 s-1の剪断速度および260℃で900〜1100 Pasの溶融粘度および1000 s-1の剪断速度を有し、3.5 g/10 minより小さいMFR(メルトフローインデックス、ISO 1133に従って測定した)を有し、この容器が水筒であるものである。
【0075】
特別な態様で、この多層製品は透明である。
【0076】
本発明による多層成形品中の基材および加水分解保護層両方は添加剤を含有してもよい。
【0077】
適用の場所に依存して、この加水分解保護層は特に紫外線安定剤または離型剤を含有してもよい。
【0078】
この層は更に他の常套の加工助剤、特に離型剤および流れ調整剤、およびポリカーボネートで慣習的に使用される安定剤、特に紫外線安定剤、熱安定剤、並びに着色剤および蛍光増白剤および無機顔料を含有してもよい。
【0079】
ポリホルマールおよびコポリホルマール層に加えて、全ての既知のポリカーボネートから作られる層は添加層として、特に本発明による多層製品の基材として好適である。
【0080】
好適なポリカーボネートは例えばホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよび熱可塑性ポリエステルカーボネートである。
【0081】
それらは好ましくはジクロロメタン中または重量で同量のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中での相対溶液粘度を測定することによって測定され、光散乱によって較正された18,000〜40,000、好ましくは26,000〜36,000および特に28,000〜35,000の平均分子量Mwを有する。
【0082】
ポリカーボネートの製造に関して、参照は"Schnell, Chemistry and Physics of Polycarbonates, Polymer Reviews, Vol. 9, Interscience Publishers, New York, London, Sydney 1964"、および"D. C. PREVORSEK, B. T. DEBONA and Y. KESTEN, Corporate Research Center, Allied Chemical Corporation, Moristown, New Jersey 07960, 'Synthesis of Poly(ester)carbonate Copolymers' in Journal of Polymer Science, Polymer Chemistry Edition, Vol. 19, 75-90 (1980)"、および"D. Freitag, U. Grigo, P. R. Mueller, N. Nouvertne, BAYER AG, 'Polycarbonates' in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol. 11, Second Edition, 1988, pages 648-718"および最後に"Drs U. Grigo, K. Kircher and P. R. Mueller 'Polycarbonate' in Becker/Braun, Kunststoff-Handbuch, Volume 3/1, Polycarbonate, Polyacetale, Polyester, Celluloseester, Carl Hanser Verlag Munich, Vienna 1992, pages 117-299"に合う実施例として作られる。
【0083】
ポリカーボネートの製造は好ましくは界面縮重合法(interfacial polycondensation process)または溶融エステル交換法によって行われ、以下に実施例として界面重縮合法を用いて説明される。
【0084】
出発物質として好ましく使用される化合物は一般式
HO-Z-OH,
(式中、Zは6〜30の炭素原子を有し、一以上の芳香族基を有する二価の有機基である。)
を有するビスフェノールである。
【0085】
そのような化合物の例はジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、インダンビスフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトンおよびα,α'-ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼンの群に属するビスフェノールである。
【0086】
あらかじめ列挙された化合物の群に属する特に好ましいビスフェノールはビスフェノールA、テトラアルキルビスフェノールA、1,3-ビス-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、1,1-ビス-[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BP-TMC)および任意にそれらの混合物でもよい。
【0087】
本発明による使用に関するビスフェノール化合物は好ましくは炭酸化合物、特にホスゲンと、または溶融エステル交換法の場合ジフェニルカーボネートまたはジメチルカーボネートと反応させられる。
【0088】
ポリエステルカーボネートは好ましくはあらかじめ列挙されたビスフェノール、少なくとも一つの芳香族ジカルボン酸および要すれば炭酸当量を反応させることによって得られる。好適な芳香族ジカルボン酸の例はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3,3'-または4,4'-ジフェニルジカルボン酸およびベンゾフェノンジカルボン酸である。ポリカーボネート中のカーボネート基の一部(80 mol%まで、好ましくは20〜50 mol%)は芳香族ジカルボン酸エステル基で置換されてもよい。
【0089】
界面重縮合法で使用される不活性な有機溶媒の例はジクロロメタン、さまざまなジクロロエタンおよびクロロプロパン化合物、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、クロロベンゼンおよびクロロトルエン、クロロベンゼンまたはジクロロメタンまたは好ましく使用されるジクロロメタンとクロロベンゼンの混合物である。
【0090】
界面重縮合反応は触媒(例えば三級アミン、特にN-アルキルピペリジンまたはオニウム塩)によって加速されてもよい。トリブチルアミン、トリエチルアミンおよびN-エチルピペリジンが好ましく使用される。溶融エステル交換法ではDE-A 4 238 123に列挙される触媒が好ましく使用される。
【0091】
このポリカーボネートは少量の分枝剤の使用による制御された方法で意識的に分枝されてもよい。いくつかの好適な分枝剤は:フロログルシノール、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)ヘプテン-2;4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン; 1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン; 1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)エタン;トリ-(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン; 2,2-ビス-[4,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン; 2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール; 2,6-ビス-(2-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-4-メチルフェノール; 2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン;ヘキサ-(4-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェニル)オルトテレフタル酸エステル;テトラ-(4-ヒドロキシフェニル)メタン;テトラ-(4-(4-ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン;α,α,α'-トリス-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン; 2,4-ジヒドロキシ安息香酸;トリメシン酸;塩化シアヌル;3,3-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドール; 1,4-ビス-(4',4"-ジヒドロキシトリフェニル)メチル)ベンゼンおよび特に: 1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)エタンおよびビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロインドールである。
【0092】
使用されるジフェノールに関して0.05〜2 mol%の分枝剤または分枝剤の混合物、任意に混ぜ合わせられてもよい、はジフェノールと共に添加されてもよいだけでなく、合成の最終段階で添加されてもよい。
【0093】
フェノール(例えばフェノール)、アルキルフェノール(例えばクレゾールおよび4-tert-ブチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノールまたはそれらの混合物がビスフェノールのモルに対して1〜20 mol%、好ましくは2〜10 mol%の量で連鎖停止剤として好ましく使用される。フェノール、4-tert-ブチルフェノールまたはクミルフェノールが好ましい。
【0094】
連鎖停止剤および分枝剤が合成のためにビスフェノールと別々にまたは一緒に添加されてもよい。
【0095】
溶融エステル交換法によるポリカーボネートの製造はDE-A 42 38 123に例として開示されている。
【0096】
好ましいポリカーボネートはビスフェノールAに基づくホモポリカーボネート、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくホモポリカーボネート、および二つのモノマービスフェノールAおよび1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンに基づくコポリカーボネート、および二つのモノマービスフェノールAおよび4,4'-ジヒドロキシジフェニル(DOD)に基づくコポリカーボネートである。
【0097】
ビスフェノールAに基づくホモポリカーボネートが特に好ましい。
【0098】
本発明による製品に使用される全ての熱可塑性樹脂は安定剤を含有してもよい。好適な安定剤は例えばホスフィン、ホスフィットまたはSiおよびEP-A 0 500 496に開示されている他の化合物を含む。トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、テトラキス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイトおよびトリアリールホスフィットが例として列挙され得る。トリフェニルホスフィンおよびトリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィットが特に好ましい。
【0099】
これらの安定剤は本発明による多層製品の全ての層に存在してもよい。言い換えると、いわゆるベースおよびいわゆる同時押出層両方に存在してもよい。異なる添加剤または添加剤の濃度がそれぞれの層に存在してもよい。
【0100】
本発明による多層製品は更に0.01〜0.5 wt.%の一価〜六価アルコール、特にグリセロール、ペンタエリトリトールまたはゲルベアルコール(guerbet alcohols)のエステルまたは部分エステルを含んでもよい。
【0101】
一価アルコールは例えばステアリルアルコール、パルミチルアルコールおよびゲルベアルコールである。
【0102】
二価アルコールの例はグリコールである。
【0103】
三価アルコールの例はグリセロールである。
【0104】
四価アルコールの例はペンタエリトリトールおよびメソエリトリトールである。
【0105】
五価アルコールの例はアラビトール、リビトールおよびキシリトールである。
【0106】
六価アルコールの例はマンニトール、グルシトール(ソルビトール)およびズルシトールである。
【0107】
エステルは好ましくは飽和脂肪族C10〜C36モノカルボン酸および任意にヒドロキシモノカルボン酸、好ましくは飽和脂肪族C14〜C32モノカルボン酸および任意にヒドロキシモノカルボン酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステル、およびヘキサエステルまたはそれらの混合物、特にランダム混合物である。
【0108】
商業的に入手可能な脂肪酸エステル、特にペンタエリトリトールおよびグリセロールの脂肪酸エステルは60%未満のさまざまな部分エステルを製造過程の結果として含有してもよい。
【0109】
10〜36C原子を有する飽和脂肪族モノカルボン酸は例えばデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸およびオクタコサン酸である。
【0110】
14〜22C原子を有する好ましい飽和脂肪族モノカルボン酸は例えばテトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸およびドコサン酸である。
【0111】
飽和脂肪族モノカルボン酸、例えばヘキサデカン酸、ステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸、が特に好ましい。
【0112】
飽和脂肪族C10〜C36カルボン酸および脂肪酸エステルはそれ自身文献によって知られているか文献から知られている方法によって製造され得るかどちらかである。ペンタエリトリトール脂肪酸エステルの例は上に明記された特に好ましいモノカルボン酸のエステルである。
【0113】
ペンタエリトリトールおよびグリセロールのステアリン酸およびヘキサデカン酸とのエステルが特に好ましい。
【0114】
ゲルベアルコールおよびグリセロールのステアリン酸およびヘキサデカン酸および要すればヒドロキシステアリン酸とのエステルが更に特に好ましい。
【0115】
これらのエステルはベースおよび同時押出層の両方に存在してもよい。異なる添加剤または濃度がそれぞれの層に存在してもよい。
【0116】
本発明による多層製品は帯電防止剤を含有してもよい。
【0117】
帯電防止剤の例はカチオン性化合物(例えば第四級アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウム塩)、アニオン性化合物(例えばアルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のフォームのカルボキシレート)、非イオノゲン化合物(例えばポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸エステル、エトキシレート脂肪アミン(ethoxylated fatty amine))である。
【0118】
これらの帯電防止剤はベースおよび同時押出層の両方に存在してもよい。異なる添加剤または濃度がそれぞれの層に存在してもよい。それらは好ましくは同時押出層中で使用される。
【0119】
本発明による多層製品は有機染料、無機有色顔料、蛍光染料および特に好ましくは蛍光増白剤を含有してもよい。
【0120】
これらの着色剤はベースおよび同時押出層の両方に存在してもよい。異なる添加剤または濃度がそれぞれの層に存在してもよい。
【0121】
本発明による多層製品の製造に使用される全ての成形組成物、供給原料およびその溶媒は、できるだけ純粋な開始原料で行われる目的物の製造の結果としておよび貯蔵条件で対応する不純物で汚染され得る。
【0122】
成形組成物中の個々の成分は既知の方法によって逐次でも同時にでも、および室温でもおよび高温でも、混ぜられ得る。
【0123】
添加剤、特に前述の添加剤、が好ましくは本発明による製品の成形組成物に既知の方法によってポリマーグラニュールを添加剤と約200〜330℃の温度で常套のユニット(例えば密閉式ミキサー、一軸スクリュー押出機および二軸押出機(double-shaft extruder))中で(例えば溶融配合または溶融押出によって)混合することによって、またはポリマー溶液を添加剤の溶液と混合し、さらに既知の方法による溶媒の蒸発によって、混合される。成形組成物中の添加剤の含量は広い範囲の中で異なってもよく、成形組成物の所望される性質によって決定される。成形組成物中の添加剤の総含量は成形組成物の重量に関して好ましくは約20 wt.%まで、好ましくは0.2〜12 wt.%である。
【0124】
同時押出はそれ自身文献から知られている(例えばEP-A 0 110 221およびEP-A 0 110 238参照)。この場合、手順は好ましくは次の通りに行われる。押出機を同時押出アダプターと接続し、コアおよび外部層を製造する。アダプターは外部層を成形する溶融物がコアの溶融物に薄層として粘着的に適用される様な方法で設計される。この方法で製造される多層メルトストランドを次に所望するフォーム(多層シートまたは中実シート)で隣接するダイに移動する。この溶融物を次にカレンダリング(calendering)(中実シート)またはバキュームキャリブレーション(vacuum calibration)(多層シート)によって知られている方法によって一定条件下で冷却し、次に所定の長さに切断する。要すれば状態調節炉(condidtioning oven)をキャリブレーションステージ(calibration stage)の後に取り付けて応力を除去してもよい。ダイの前に取り付けられるアダプターの代わりに、このダイ自身を溶融物をそこに一緒にもってくるような方法でデザインしてもよい。
【0125】
多層組成物を更に押出被覆、同時押出および同時押出吹込成形によって先行技術によって製造してもよい。
【0126】
本発明を更に以下の実施例によって説明するが、それによって限定されない。本発明による実施例は単に本発明の好ましい態様に過ぎない。
【0127】
実施例
実施例1
ビスフェノールTMCからのホモポリホルマールの合成:
【化3】

ビスフェノールTMC 7 kg (22.55 mol)、水酸化ナトリウムペレット2.255 kg (56.38 mol)および塩化メチレン500 ml中の微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich)51.07 g (0.34 mol)を塩化メチレン28.7 kgおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)40.18 kgからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、この混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレン35 lおよび脱イオン水20 lで希釈する。このバッチをセパレーター中で中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。セパレーターからの有機相を分離し、塩化メチレンのクロロベンゼンとの溶媒交換をエバポレータ中で行う。この材料を次にZSK 32蒸発押出機の方法によって270℃の温度で続く粗砕と共に押出す。この合成手順を二回行う。供給材料の廃棄後、透明グラニュールとして全部で9.85 kgのポリホルマールが得られる。これはまだ不純物として低分子量環状ホルマールを含有する。この材料を二つの部分に分け、それぞれを約5 lのアセトンで一晩膨潤させる。環状化合物がもはや検出されなくなるまで、得られる生成物を数部分のきれいなアセトンと混ぜる。精製された材料を組み合わせ、クロロベンゼンに溶かした後、蒸発押出機を通して280℃で再び押し出される。供給材料を廃棄した後、全部で7.31 kgのポリホルマールを透明グラニュールとして得る。
【0128】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 38345、Mn = 20138、D = 1.90。
・ガラス転移点Tg = 170.8℃
・塩化メチレン(0.5 g/100 ml溶液)中での相対溶液粘度 = 1.234
・GPC(低分子量範囲のオリゴマー)およびMALDI-TOF(開鎖類似物の分子量と比較した環状化合物の分子量)によるポリマーに環状化合物のないことの確認。
【0129】
実施例2
ビスフェノールAからのホモポリホルマール:
【化4】

ビスフェノールA (Bayer AG) 7 kg (30.66 mol)、水酸化ナトリウムペレット3.066 kg (76.65 mol)および塩化メチレン500 ml中の微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich) 69.4 g (0.462 mol)を塩化メチレン28.7 kgおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP) 40.18 kgからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレン20 lおよび脱イオン水20 lで希釈する。このバッチをセパレーター中で中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。セパレーターからの有機相を分離し、塩化メチレンのクロロベンゼンとの溶媒交換をエバポレータ中で行う。この材料を次にZSK 32蒸発押出機の方法によって200℃の温度で続く粗砕と共に押出す。この合成手順を二回行う。供給材料の廃棄後、透明グラニュールとして全部で11.99 kgのポリホルマールが得られる。
【0130】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 31732、Mn = 3465。この場合環状化合物は分離されてない。この材料のアセトンでの膨潤はできず、このことは環状化合物の分離が同様に不可能であることを示す。
・ガラス転移点Tg = 89℃
・塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)での相対溶液粘度 = 1.237/1.239(二回の測定)
【0131】
実施例3
a)ビスフェノールTMCおよびビスフェノールAからのコポリホルマールの合成:
【化5】

ビスフェノールTMC (x=70 mol%) 5.432 kg (17.5 mol)、ビスフェノールA (y=30 mol%) 1.712 kg (7.5 mol)、水酸化ナトリウムペレット2.5 kg (62.5 mol)および塩化メチレン500 ml中の微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich)56.33 g (0.375 mol)を塩化メチレン28.7 kgおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)40.18 kgからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレン35 lおよび脱イオン水20 lで希釈する。このバッチをセパレーター中で中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。セパレーターからの有機相を分離し、塩化メチレンのクロロベンゼンとの溶媒交換をエバポレータで行う。この材料を次にZSK 32蒸発押出機の方法によって280℃の温度で続く粗砕と共に押出す。供給材料の廃棄後、透明グラニュールとして全部で5.14 kgのコポリホルマールが得られる。これはまだ不純物として低分子量環状化合物を含有する。この材料を約5 lのアセトンで一晩膨潤させる。環状化合物がもはや検出されなくなるまで、得られる生成物を数部分のきれいなアセトンと混ぜる。精製された材料をクロロベンゼン中に溶かし、蒸発押出機を通して270℃で再び押し出す。供給材料を廃棄した後、ポリホルマール3.11 kgが透明グラニュールとして得られる。
【0132】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 39901、Mn = 19538、D = 2.04。
・ガラス転移点Tg = 148.2℃
・塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)での相対溶液粘度 = 1.244/1.244(グラニュール)
・CDCl3中の1H-NMRはTMC/BPAモノマー(脂環基(TMC) のケミカルシフトの積分対メチル基(BPA)のケミカルシフトの積分)の予想される挿入比(insertion ration) x/y = 0.7/0.3を示す
【0133】
b)〜i)不定の組成でのビスフェノールTMCおよびビスフェノールAからのコポリホルマールの合成:
更なるコポリホルマールが実施例3a)の合成と同じ方法で製造される(表1参照)。
【表1】

【0134】
実施例4
ビスフェノールTMCおよび4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD)からのコポリホルマールの合成:
【化6】


ビスフェノールTMC (x=90 mol%) 3.749 kg (12.07 mol)、4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD) (y=10 mol%) 0.2497 kg (1.34 mol)、水酸化ナトリウムペレット1.339 kg (33.48 mol)および塩化メチレン200 ml中の微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich) 20.12 g (0.134 mol)を塩化メチレン12.0 lおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)22.25 kgからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレン35 lおよび脱イオン水20 lで希釈する。このバッチをセパレーター中で中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。セパレーターからの有機相を分離し、塩化メチレンのクロロベンゼンとの溶媒交換をエバポレータで行う。この材料を次にZSK 32蒸発押出機の方法によって280℃の温度で続く粗砕と共に押出す。供給材料の廃棄後、透明グラニュールとして全部で2.62 kgのコポリホルマールが得られる。これはまだ不純物として低分子量環状化合物を含有する。この材料を約5 lのアセトンで一晩膨潤させる。環状化合物がもはや検出されなくなるまで、得られる生成物を数部分のきれいなアセトンと混ぜる。精製された材料をクロロベンゼンに溶かし、蒸発押出機を通して240℃で再び押し出す。供給材料を廃棄した後、ポリホルマールを透明グラニュールとして得る。
【0135】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 44287、Mn = 17877、D = 2.48。
・ガラス転移点Tg = 167℃
【0136】
実施例5
ビスフェノールAおよび4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD)からのコポリホルマールの合成:
【化7】

ビスフェノールA (x=70 mol%) 22.37 g (0.0098 mol)、4,4'-ジヒドロキシビフェニル(DOD) (y=30 mol%) 7.82 g (0.0042 mol)、水酸化ナトリウムペレット14.0 g (0.35 mol)および微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich)0.21 g (0.0014 mol)を塩化メチレン125 mlおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)225 mlからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレンおよび脱イオン水で希釈する。次に中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。有機相を分離する。ポリマーをメタノール中での沈殿によって単離する。生成物を水およびメタノールで洗浄し80℃で乾燥した後、白色ポリマーフィラメントしてポリホルマールを得る。
【0137】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 19057、Mn = 4839、D = 3.94。
【0138】
実施例6
実施例2からのBPAポリホルマールの加水分解試験:
加水分解試験を以下の加水分解媒体/温度条件を負荷し、塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)で相対溶液粘度をずっと測定することによって分子量変化を測定することによって行う:
加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
0.1 N NaOH/80℃
蒸留水/約100℃
【0139】
以下の結果は21日までの総負荷期間で得られる(それぞれ複数回の測定):
【0140】
a)加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
【表2】

【0141】
a)加水分解媒体: 0.1 N NaOH/80℃
【表3】

【0142】
a)加水分解媒体:蒸留水/約100℃
【表4】

【0143】
実施例7
実施例3からのTMC/BPAコポリホルマール(70/30)の加水分解試験:
加水分解試験を以下の加水分解媒体/温度条件を負荷し、塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)で相対溶液粘度をずっと測定することによって分子量変化を測定することによって行う:
加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
0.1 N NaOH/80℃
蒸留水/約100℃
【0144】
以下の結果は21日までの総負荷期間で得られる(それぞれ複数回の測定):
【0145】
a)加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
【表5】

【0146】
a)加水分解媒体: 0.1 N NaOH/80℃
【表6】

【0147】
a)加水分解媒体:蒸留水/約100℃
【表7】

【0148】
実施例8
TMCポリホルマールの加水分解試験:
(より高い分子量であること以外実施例1と同様)
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 50311、Mn = 21637、D = 2.32。
・ガラス転移点Tg = 172℃
・塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)での相対溶液粘度 = 1.288/1.290
【0149】
加水分解試験を以下の加水分解媒体/温度条件を負荷し、塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)で相対溶液粘度をずっと測定することによって分子量変化を測定することによって行う:
加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
0.1 N NaOH/80℃
蒸留水/約100℃
【0150】
以下の結果は21日までの総負荷期間で得られる(それぞれ複数回の測定):
【0151】
a)加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
【表8】

【0152】
a)加水分解媒体: 0.1 N NaOH/80℃
【表9】

【0153】
a)加水分解媒体:蒸留水/約100℃
【表10】

【0154】
実施例9
Bayer AGからのポリカーボネートMakrolon(登録商標) 2808の加水分解試験(比較試験):
【0155】
この加水分解試験を以下の加水分解媒体/温度条件を負荷することによって行い、塩化メチレン中(0.5 g/100 ml溶液)で相対溶液粘度をずっと測定することによって分子量変化を測定する:
加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
0.1 N NaOH/80℃
蒸留水/約100℃
【0156】
以下の結果は21日までの総負荷期間で得られる(それぞれ複数回の測定):
【0157】
a)加水分解媒体: 0.1 N HCl/80℃
【表11】

【0158】
a)加水分解媒体: 0.1 N NaOH/80℃
【表12】

【0159】
a)加水分解媒体:蒸留水/約100℃
【表13】

【0160】
加水分解負荷後ポリカーボネートの溶液粘度がポリホルマールの場合よりもはっきりと低下することが明確に認められ得る。このことはポリカーボネートがポリホルマールがより容易に分解さえ得、それゆえにより不安定であることを意味する。ポリホルマールから作られる同時押出層はそれゆえにシートまたは容器の早期のダメージに対する保護層として働く。
【0161】
実施例10
ビスフェノールTMCおよびレソルシノールからのコポリホルマールの合成:
【化8】

ビスフェノールTMC (x=90 mol%) 39.1 g (0.126 mol)、レソルシノール(y=10 mol%) 1.542 g (0.014 mol)、水酸化ナトリウムペレット14.0 g (0.35 mol)および微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich) 0.21 g (0.0014 mol)を塩化メチレン125 mlおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)225 mlからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレンおよび脱イオン水で希釈し、次に中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。有機相を分離する。ポリマーをメタノール中で沈殿によって単離する。製品を水およびメタノールで洗浄し、アセトンで環状化合物を分離し、80℃で乾燥した後、ポリホルマールを白色ポリマーフィラメントとして得る。
【0162】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 32008、Mn = 12251、D = 2.6。
・ガラス転移点Tg = 163℃
【0163】
実施例11
ビスフェノールTMCおよびm,p-ビスフェノールAからのコポリホルマールの合成:
【化9】

ビスフェノールTMC (x=50 mol%) 14.84 g (0.065 mol)、m,p-ビスフェノールA (3,4-イソプロピリデンジフェノール) (y=50 mol%) 20.18 g (0.065 mol)、水酸化ナトリウムペレット14.0 g (0.35 mol)および微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich) 0.21 g (0.0014 mol)を塩化メチレン125 mlおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)225 mlからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレンおよび脱イオン水で希釈し、次に中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。有機相を分離する。ポリマーをメタノール中で沈殿によって単離する。生成物を水およびメタノールで洗浄し、アセトンで環状化合物を分離し、80℃で乾燥した後、ポリホルマールを白色ポリマーフィラメントとして得る。
【0164】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 28254、Mn = 16312、D = 1.73。
・ガラス転移点Tg = 92℃
【0165】
実施例12
ビスフェノールAおよび4,4'-スルホンジフェノールからのコポリホルマールの合成:
【化10】

4,4'-スルホンジフェノール(x=50 mol%) 36.29 g (0.145 mol)、ビスフェノールA (y=50 mol%) 33.46 g (0.145 mol)、水酸化ナトリウムペレット28.8 g (0.72 mol)および微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich) 0.436 g (0.0029 mol)を塩化メチレン300 mlおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)570 mlからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレンおよび脱イオン水で希釈し、次に中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。有機相を分離する。ポリマーをメタノール中で沈殿によって単離する。製品を水およびメタノールで洗浄し、アセトンで環状化合物を分離し、80℃で乾燥した後、ポリホルマールを白色ポリマーフィラメントとして得る。
【0166】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 21546、Mn = 7786、D = 2.76。
・ガラス転移点Tg = 131℃
【0167】
実施例13
4,4'-ジヒドロキシフェニルエーテルからのポリホルマールの合成:
【化11】

4,4'-ジヒドロキシフェニルエーテル(Bayer AG) 28.30 g (0.14 mol)、水酸化ナトリウムペレット14.0 g (0.35 mol)および微粉砕p-tert-ブチルフェノール(Aldrich) 0.21 g (0.0014 mol)を塩化メチレン125 mlおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP) 225 mlからなる溶媒配合物に攪拌しながら窒素保護気体下添加する。ホモジナイズ後、混合物を還流(78℃)し、この温度で一時間攪拌する。25℃に冷却した後、反応バッチを塩化メチレンおよび脱イオン水で希釈し、次に中性になり塩がなくなるまで(導電率<15 μS.cm-1)水で洗う。有機相を分離する。ポリマーをメタノール中で沈殿によって単離する。生成物を水およびメタノールで洗浄し、アセトンで環状化合物を分離し、80℃で乾燥した後、ポリホルマールを白色ポリマーフィラメントとして得る。
【0168】
分析:
・GPC(ポリカーボネートに対する較正)による分子量Mw = 24034、Mn = 9769、D = 2.46。
・ガラス転移点Tg = 57℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器用加水分解保護塗膜を製造するための少なくとも一つのポリホルマールまたはコポリホルマールの使用。
【請求項2】
一般式(1a)または(1b)

(式中、O-D-OおよびO-E-O基はジフェノラート基を意味する。ここで-D-および-E-が6〜40のC原子を有する芳香族基であり、一以上の芳香環または芳香縮合環(任意にヘテロ原子を含有してもよい)を含有してもよく、任意にC1〜C12アルキル基またはハロゲンで置換されてもよく、脂肪族基、脂環式基、芳香環またはヘテロ原子を結合体として含有してもよい。kは1〜1500の自然数を意味し、mは分数z/oを、nは分数(o-z)/oを意味する。ここでzは0とoとの間の数を意味する。-O-D-O-および-O-E-O-基の一部は互いに独立して更に一以上の三官能価化合物から誘導された基を意味し、この結果として第三の結合部位、ポリマー鎖の分枝、がこの地点で起こる。)
を有するポリホルマールまたはコポリホルマールを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項3】
請求項1または2記載の加水分解保護塗膜を有する容器。
【請求項4】
請求項1または2記載の加水分解保護塗膜を有する水筒、哺乳瓶および医療品。

【公表番号】特表2007−523972(P2007−523972A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548217(P2006−548217)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000065
【国際公開番号】WO2005/068525
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】