説明

ポリシロキサン組成物及びその製造方法

【課題】 有機ケイ素基を表面に備える金属酸化物の微粒子を含有するポリシロキサン組成物、及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】 平均組成式(A)で表されるポリシロキサン、及び、一般式(B)で表される有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化された金属酸化物の微粒子からなるポリシロキサン組成物、並びに、金属酸化物微粒子とケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基、及び置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有する有機ケイ素化合物を、水の存在下、200℃以上の温度の条件下で反応させ、前記ポリシロキサン及び前記金属酸化物微粒子を同時に形成することを特徴とする前記ポリシロキサン組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素基を表面に備える金属酸化物微粒子を含有するポリシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にナノ粒子と称される超微粒子は、表面エネルギーが大きいために従来の微粉末とは異なった特性、例えば、量子サイズ効果による光学特性の変化、融点の低下、高触媒特性、高磁気特性等を示すことから、電子材料、光学材料、触媒材料、発光体材料、医薬品等の様々な分野での応用が期待されている。しかしながら、これら超微粒子は非常に凝集しやすいため、その表面を有機基で修飾することが一般的に行われる。表面修飾されたナノ粒子の製造方法としては、特開2007−51188号公報、特開2006−282503号公報、特開平11−92687号公報、及び、特開平10−183207号公報に記載されるように様々な手法が知られている。
【0003】
ナノ粒子の有用な特性を高分子材料中で発現させるためには、ナノ粒子を凝集させること無く高分子材料中に分散させる必要があり、そのために種々の方法が提案されている。例えば、粉体工学会誌、40(7)、487−96(2003)には、表面修飾シリカナノ粒子を二軸押出機により高分子中に分散させる方法が提案されており、また、Macromol. Mater. Eng., 2003, 288, 717-723には、加水分解性基を有する高分子とナノ粒子前駆体のゾルゲル反応によりナノ粒子生成と高分子中への分散を同時に行う方法が報告されている。しかしながら、これらの手法は、予め粒子表面を適切に修飾する必要がある、加水分解反応性高分子の合成が煩雑である等の課題がある。
【0004】
一方、特開平9−302257号公報には、加水分解・縮合反応により高分子と複合化された複合微粒子が記載されており、また、特開2002−210356号公報には、高圧の二酸化炭素を使用して高分子と複合化した複合微粒子が記載されている。しかしながら、これらの技術についても、高分子の合成、微粒子生成の両過程を完了するためには長時間を要する、被覆する高分子層の均一性制御が困難である等の課題があった。さらに、特公平6−47457号公報には、シリカ微粒子をトリアルコキシシランでゆっくりと処理することによる、表面に有機ケイ素基を有する親有機性シリカの製造方法も提案されている。しかしながら、酸触媒が必要であり製造時間が長いという課題がある上、ポシリロキサン組成物については全く記載がない。
【0005】
このように、現在のところ、高分子合成反応と生成した高分子中へのナノ粒子分散を同時に且つ簡便に行うナノ粒子分散高分子組成物を得る手法は報告されていない。
【特許文献1】特開2007−51188号公報
【特許文献2】特開2006−282503号公報
【特許文献3】特開平11−92687号公報
【特許文献4】特開平10−183207号公報
【非特許文献1】粉体工学会誌、40(7)、487−96(2003)
【非特許文献2】Macromol. Mater. Eng., 2003, 288, 717-723
【特許文献5】特開平9−302257号公報
【特許文献6】特開2002−210356号公報
【特許文献7】特公平6−47457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、金属酸化物微粒子が高分子中に良好に分散した組成物を簡便に提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、金属酸化物微粒子、及び、ケイ素原子結合加水分解性若しくはシラノール基、及び置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有する有機ケイ素化合物を、水の存在下、200℃以上の温度の条件下で反応させることによって達成される。
【0008】
本発明により提供される組成物は、下記平均組成式(A):

SiO[(4−m−n)/2] (A)

(式中、
は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表し、
Xは、それぞれ独立して、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基を表し、
m及びnは、それぞれ、0<m、0≦n、且つ、m+n<3を満たす数である)
で表されるポリシロキサン、及び、
下記平均組成式(B):

SiO[(4−p−q)/2] (B)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり、
p及びqは、それぞれ、0<p、0≦q、且つ、p+q<3を満たす数である)
で表される有機ケイ素基が該有機ケイ素基中の酸素原子を介して化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子
からなる。
【0009】
前記有機ケイ素化合物は、下記一般式(C):

SiX(4−a) (C)

{式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり、
aは、0<a≦2を満たす数である}で表される反応性シラン、
及び/又は、下記一般式(D):

SiO−(SiRO)−SiR (D)

(式中、
は、前記のとおりであり、
は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又はケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基を表し、
sは、0<sを満たす数である)で表される直鎖状の反応性オルガノシロキサンオリゴマー、
及び/又は、下記一般式(E):

SiO[(4−b−c)/2] (E)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり、
b及びcは、それぞれ、0<b<2、0<c<2、且つ、b+c<2を満たす数である)で表される分岐状若しくは網状シロキサンであることが好ましい。
【0010】
前記加水分解性基又はシラノール基は、ハロゲン原子、水素原子、式:−OR(Rは水素原子、又は、炭素数6以下の置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、式:−OC(O)R(Rは前記のとおりである)で表される基、式:−O−N=CR(Rは前記のとおりである)で表される基、式:−NR−C(O)R(Rは前記のとおりでり、Rは水素原子、又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、及び、式:−ONHで表される基からなる群から選択される基であることが好ましい。
【0011】
前記金属酸化物は、元素周期表の第IV族〜第XV族の金属酸化物であることが好ましい。
【0012】
前記ポリシロキサン、及び、前記金属酸化物微粒子の含有量(重量)の比は、1:99〜99:1の範囲内であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により得られるポリシロキサン組成物では、ポリシロキサン中に金属酸化物微粒子が良好に分散しているので、当該ポリシロキサン組成物は、前記微粒子由来の特性を良好に発揮することができる。特に、ポリシロキサンの有する優れた光透過性、電気絶縁性、光安定性、熱安定性、耐寒性に加えて、該粒子の特性を発現することができる。
【0014】
本発明のポリシロキサン組成物の製造方法は、多量の有機溶媒を使用することがないので環境負荷が小さく、且つ、安全である。また、簡便な装置で実施できるので、製造コストを抑制することができる。また、酸触媒又は塩基触媒を使用することなくポリシロキサンを合成することができる。
【0015】
そして、本発明のポリシロキサン組成物の製造方法では、高分子合成反応と微粒子表面修飾反応を同時に行うことにより、ポリシロキサンと親和性を有する金属酸化物微粒子及びポリシロキサンを一度に製造することができ、しかも、ポリシロキサン中に微粒子を良好に分散させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明により得られるポリシロキサン組成物は、
(a)下記平均組成式(A):

SiO[(4−m−n)/2] (A)

(式中、
は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表し;Xは、それぞれ独立して、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基を表し;m及びnは、それぞれ、0<m、0<n、且つ、m+n<3を満たす数である)で表されるポリシロキサン、及び、
(b)下記平均組成式(B):

SiO[(4−p−q)/2] (B)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり;p及びqは、それぞれ、0<p、0≦q、且つ、m+p+q<3を満たす数である)で表される有機ケイ素基が該有機ケイ素基中の酸素原子を介して化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子
を必須に含むものである。
【0017】
前記(a)ポリシロキサンを表す平均組成式(A)において、Rの一価炭化水素基としては、典型的には、置換若しくは非置換の、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4の一価の飽和炭化水素基、炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜12の一価の芳香族炭化水素基、又は、炭素数2〜20の一価の不飽和脂肪族炭化水素基である。
【0018】
炭素数1〜20の一価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基、並びに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0019】
炭素数6〜20の一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等のアリール基が挙げられる。フェニル基が好ましい。なお、本明細書において芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素のみからなる基以外に、芳香族炭化水素と脂肪族飽和炭化水素が複合した基をも含む。芳香族炭化水素と飽和炭化水素が複合した基の例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0020】
炭素数2〜20の一価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、1−プロぺニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐状のアルケニル基、並びに、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、更には、シクロペンテニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、シクロヘキセニルプロピル基等のシクロアルケニルアルキル基が挙げられる。ビニル基、シクロヘキセニルエチル基が好ましい。
【0021】
上記の一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)から選択される。
【0022】
また、Xは、それぞれ独立して、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基であり、特に限定されるものではないが、具体的には、ハロゲン原子、水素原子、式:−OR(Rは水素原子、又は、炭素数6以下の置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、式:−OC(O)R(Rは前記のとおりである)で表される基、式:−O−N=CR(Rは前記のとおりである)で表される基、式:−NR−C(O)R(Rは前記のとおりであり、Rは水素原子、又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、及び、式:−ONHで表される基からなる群から選択される基であることが好ましい。
【0023】
また、Rの一価炭化水素基は特に限定されるものではないが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基、並びに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。これらの一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)から選択される。好ましいRは、水素原子、又はメチル基である。
【0024】
また、Rの一価炭化水素基は特に限定されるものではないが、具体的には、前記Rと同様の一価炭化水素基が例示される。好ましいRは、水素原子、又はメチル基である。
【0025】
前記(a)ポリシロキサンは、線状、分岐状又は網状のいずれであってもよい。前記(a)ポリシロキサンを表す平均組成式(A)において、m及びnは、それぞれ、0<m、0<n、且つ、m+n<3を満たす数であり、m+nの値が2以上であれば線状であり、2より小さければ分岐状又は網状となる。このような(a)ポリシロキサンは、例えば、ケイ素原子結合のアルコキシ基及び/又は水酸基を有するものである。前記(a)ポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端にケイ素原子結合のアルコキシ基及び/又は水酸基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、分子鎖片末端にケイ素原子結合のアルコキシ基及び/又は水酸基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、分子鎖末端及びペンダント位置にケイ素原子結合のアルコキシ基及び/又は水酸基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、ペンダント位置にケイ素原子結合のアルコキシ基及び/又は水酸基を有する環状ジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合のアルコキシ基及び/又は水酸基を有するシリコーンレジン等が挙げられる。
【0026】
前記(b)金属酸化物微粒子は、下記平均組成式(B):

SiO[(4−p−q)/2] (B)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり;p及びqは、それぞれ、0<p、0≦q、且つ、m+p+q<3を満たす数である)
で表される有機ケイ素基が該有機ケイ素基中の酸素原子を介して化学結合により金属酸化物微粒子の表面に固定化されていれば、特に限定されるものではない。
【0027】
前記金属酸化物の微粒子を構成する金属は、特に限定されるものではなく、任意の金属元素を使用することができるが、典型的には、元素周期表で第IV族の元素及びその右側に位置し、第XIII族のホウ素(B)-第XIV族のケイ素(Si)-第XV族のヒ素(As)の線上にある元素並びにその線より、元素周期表において左側乃至下側にあるものが挙げられ、例えば、第IV族の元素ではTi、Zr等、第V族の元素ではV等、第VI族の元素ではCr、Mo等、第VII族の元素ではMn等、第VIII族〜第X族の元素ではFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt等、第XI族の元素ではCu等、第XII族の元素ではZn等、第XIII族の元素ではAl、Ga、In等、第XIV族の元素ではSi、Ge、Sn、Pb等、第XV族の元素ではSb、Bi等が挙げられる。Ti、Zr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Si、Ge、Snが好ましく、Ti、Zr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Siが特に好ましい。これらの金属元素は単体で使用されてもよく、2種類以上の混合物として使用されてもよい。したがって、金属酸化物としては、例えば、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Al、Si、Ge、Sn等の酸化物が挙げられ、例えば、SiO、TiO、ZnO、SnO、Al、AlOOH、MnO、NiO、Fe、Fe、ZrO、BaTiO、LiCoO、LiMn、CuO、CuO、並びに、これらの混合物が挙げられる。Al、AlOOH、CuO、CuO、SiO、及びZrOが好ましい。
【0028】
前記微粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、紡錘状、角柱状、円柱状、板状、針状等の任意の形状であってよい。球状のものが好ましい。
【0029】
前記微粒子は、その平均粒子径が1μm以下のサイズのものが好ましく、特にナノ粒子であることが好ましい。ナノ粒子とは、一般的にはその平均粒子径が200nm以下の粒子を意味しており、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、更により好ましくは50nm以下、更により好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは15nm以下である。前記微粒子は、異なる粒子径の微粒子の混合物であってもよい。平均粒子径の測定は当該分野で通常の測定方法により行うことができ、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等により粒子径を測定し、平均値を求めることができる。
【0030】
前記微粒子では、有機ケイ素基は金属酸化物微粒子の表面上に化学結合により固定されている。ここで、化学結合とは、共有結合、イオン結合等による強固な結合を意味しており、単なる物理吸着等による結合を含まない。
【0031】
このような一般式(B)で表される有機ケイ素基としては、これらに限定されるものではないが、例えば、−O−(Si(CO)−Si(C(OCH)(vは1以上の数である)、−O−(Si(CO)−Si(C(OH)(wは1以上の数である)等が挙げられる。
【0032】
前記有機ケイ素基の金属酸化物に対する比率については特に制限は無いが、好ましくは1重量%以上200重量%以下、更に好ましくは5重量%以上100重量%以下の範囲である。有機ケイ素基の重量比率が上記範囲の下限より少なくなると、有機ケイ素基が化学結合により固定化された金属酸化物微粒子のポリシロキサン中での分散性が悪化するおそれがある。一方、上記範囲の上限を超える場合は、耐熱性等の有用な特性が金属酸化物微粒子によってポリシロキサンに付与されにくくなるおそれがある。
【0033】
本発明のポリシロキサン組成物中における、ポリシロキサン、及び、有機ケイ素基が化学結合により固定化された金属酸化物微粒子の含有量(重量)は特に限定されないが、両者の比が1:99〜99:1の範囲内となる量が好ましく、4:96〜96:4の範囲内となる量が特に好ましい。微粒子の含有量が1重量%より少なくなると、該微粒子による有用な特性が十分に付与されなくなり、一方、99重量%を超える場合は、ポリシロキサンの有する良好な光透過性、電気絶縁性、成形加工性等の特性を得ることができなくなるおそれがある。
【0034】
本発明のポリシロキサン組成物は、金属酸化物微粒子の水分散液及び有機ケイ素化合物、或いは、金属酸化物微粒子、有機ケイ素化合物、及び、水を、200℃以上の温度の条件下で反応させ、ポリシロキサン、及び、有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子を同時に形成することによって製造することができる。
【0035】
有機ケイ素化合物は、ケイ素を含むものである限り特に限定されるものではないが、オルガノシラン、オルガノシロキサンオリゴマー等のケイ素原子を含む有機化合物が好ましい。これらのケイ素原子含有有機化合物は1種類のものを単独で使用してもよく、又は、2種類以上のものを混合して使用してもよい。
【0036】
オルガノシランとしては、下記一般式(C):

SiX(4−a) (C)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり;aは、0<a≦2を満たす数である)で表されるオルガノシランが好ましい。1種類のオルガノシランを単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0037】
好ましいオルガノシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルクロロプロピルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0038】
オルガノシロキサンオリゴマーとしては、下記一般式(D):

SiO−(SiRO)−SiR (D)

(式中、
は、前記のとおりであり;Rは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又は、ケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基を表し、但し、一分子中の少なくとも1個のRは前記加水分解性基又はシラノール基であり、且つ、一分子中の少なくとも1個のRは置換又は非置換の一価炭化水素基であり;sは、0<sを満たす数である)で表される直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーが好ましい。ここで、Rの置換又は非置換の一価炭化水素基としては、前記Rと同様の基が例示される。また、Rのケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基としては、前記Xと同様の基が例示される。1種類のオルガノシロキサンを単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0039】
好ましいオルガノシロキサンオリゴマーとしては、例えば、分子鎖両末端及びペンダント位置にケイ素原子結合メトキシ基を有するジメチルシロキサンオリゴマー、分子鎖両末端及びペンダント位置に水酸基を有するジメチルシロキサンオリゴマー等が挙げられる。
【0040】
また、他のオルガノシロキサンオリゴマーとしては、下記一般式(E):

SiO[(4−b−c)/2] (E)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり、
b及びcは、それぞれ、0<b<2、0<c<2、且つ、b+c<2を満たす数である)で表される分岐状若しくは網状シロキサンであることが好ましい。1種類のオルガノシロキサンを単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0041】
本発明のポリシロキサン組成物の製造方法では、金属酸化物微粒子は、水と予め組み合わされた水分散液の形態で、或いは、水と組み合わされることなく、金属酸化物微粒子と水とが独立した形態で使用される。
【0042】
金属酸化物微粒子を水分散液の形態で使用する際の金属酸化物微粒子濃度には制限は無いが、ポリシロキサン組成物の製造効率を考慮すると、0.1重量%以上50重量%以下が好ましく、1重量%以上30重量%以下がより好ましい。
【0043】
有機ケイ素化合物、並びに、金属酸化物微粒子の水分散液、又は、金属酸化物微粒子及び水の混合比は、ポリシロキサン組成物中におけるポリシロキサン、及び、有機ケイ素基が化学結合により固定化された金属酸化物微粒子の含有量(重量)の比が1:99〜99:1の範囲内になるように調節することが好ましく、4:96〜96:4の範囲内になるような混合比が特に好ましい。金属酸化物微粒子の含有量が上記範囲の下限より少なくなると、該微粒子による有用な特性が十分に付与されなくなり、一方、上記範囲の上限を超える場合は、ポリシロキサンが有する良好な光透過性、電気絶縁性、成形加工性等の特性を得ることができなくなるおそれがある。
【0044】
本発明のポリシロキサン組成物の製造方法では、反応系に水が存在することが必須である。必要に応じて、メタノール、エタノール等のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール、蟻酸、酢酸等のカルボン酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、メタンチオール等のチオール、メチルアミン、ジメチルアミン等のアミン、アンモニア、又は、界面活性剤を水に加えてもよい。これらの添加量は水及び金属酸化物の全重量の0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が更により好ましい。金属酸化物微粒子の水分散液中にこれらを添加した場合は、金属酸化物微粒子の分散安定性、保存安定性を向上させることができる。
【0045】
本発明の製造方法における好ましい反応温度は250℃以上であり、300℃以上がより好ましい。また、好ましい反応圧力は5MPa以上であり、10MPa以上がより好ましい。
【0046】
本発明の製造方法においては、反応時間に制限は無い。実施する装置の形状・大きさによって、また、反応容器の昇温速度に応じて適切な反応時間を選定することができる。反応容器の昇温速度が大きい場合は、反応時間は短くてもよく、一方、反応容器の昇温速度が小さい場合は、一般的には反応時間は長めにすることが好ましい。
【0047】
本発明の製造方法を実施する装置は特に限定されるものではなく、例えば、SUS316等の強固な材質からなる反応管等の当該分野で汎用のものを使用することができる。具体的には、温度計等を取り付けた前記反応管内に金属酸化物微粒子の水分散液と有機ケイ素化合物、或いは、金属酸化物微粒子、有機ケイ素化合物、及び水を封入し、ソルトバス等の加熱手段により反応管内を200℃以上として所定時間反応させた後、反応管を冷却して、反応管内の生成物を回収することにより実施することができる。
【0048】
本発明の製造方法では、基本的に水を使用し、多量の有機溶媒を使用しないので、環境への影響が小さく、且つ、安全である。しかも、複雑な製造装置を必要としないので、低コストで、且つ、大量に本発明のポリシロキサン組成物を製造することができる。
【0049】
本発明のポリシロキサン組成物は、単独で、或いは、他の成分が配合されて、塗料、顔料、化粧品、触媒、ガラス、医薬品等の分野で使用することができる。例えば、シリカからなる微粒子を含む本発明のポリシロキサン組成物は、耐熱性コーティング材料として使用することができる。
【実施例】
【0050】
本発明のポリシロキサン組成物及びその製造方法を実施例・比較例により詳細に説明する。なお、ポリシロキサン組成物中のポリシロキサンの同定、有機ケイ素基が表面に固定化された金属酸化物微粒子の同定、及び、該組成物中の金属酸化物微粒子の分散状態観察は下記のようにして行った。
【0051】
[ポリシロキサンの化学構造]
生成物であるポリシロキサンの化学構造は、日本分光株式会社製のフーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−5300を用いる赤外吸収スペクトル(以下IRと略)、及びブルカーバイオスピン株式会社製の高分解能核磁気共鳴装置AC300Pを用いて29Si−NMRスペクトル測定により行った。NMR測定での共鳴周波数シフト値を算出する基準物質にはテトラメチルシランを使用した。
【0052】
[金属酸化物微粒子の同定]
金属酸化物微粒子に固定化された有機ケイ素基の化学構造は、上記IRスペクトル測定により、その金属酸化物微粒子に対する重量比率は株式会社リガク製TAS200−TG8110Dを用いる熱重量測定(以下TGA)により行った。
【0053】
[金属酸化物微粒子の分散状態]
生成物である金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物中の有機ケイ素基が表面に固定化された金属酸化物の分散状態は、株式会社日立製作所製透過電子顕微鏡(以下TEMと略)H−8100を用いて観察した。
【0054】
[実施例1]
内径10.4mm、内容積10cm3のSUS316製反応管に平均粒子径15nmのシリカ粒子の水分散液(扶桑化学工業(株)製、PL−1;シリカ粒子濃度:12重量%)0.84ml及びフェニルトリメトキシシラン1.21mlを仕込み、閉栓した。この混合物を300℃に加熱したソルトバスに投入し、10分間加熱後水浴にて急冷し、開栓した。生成物は白色固体と無色透明液体の相分離混合物であった。分離した固体を100℃で減圧乾燥し、単離収率92%で白色固体生成物を得た。この固体をトルエン抽出することにより、可溶性成分であるポリシロキサンと不溶性成分である有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカを分離した。
【0055】
下記にまとめたスペクトルデータから、この可溶性ポリシロキサンは、平均組成式:
(C1.0(RO)0.16SiO1.42
(式中、RはCH及びHを表す)であるポリシロキサンであることが確認された。
IR(cm-1):3,630、3,480、3,075、3,020、2,955、2,865、1,595、1,436、1,160、925、744、700
29Si NMR:−70.0、−78.5
【0056】
有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカのIRスペクトルからは下記の吸収ピークが観察され、有機ケイ素基の構造が、平均組成式:
(C1.0(RO)0.16SiO1.42
(式中、RはCH及びHを表す)であることが確認された。
IR(cm-1):3,480、1,638、1,436、1,160、964、805、744、700
また、TGAの結果から、シリカに対する有機ケイ素基の比率は25重量%であった。
【0057】
生成物のTEM測定の結果から、ほぼ球形のシリカ微粒子が凝集することなくポリシロキサンに分散した形態であることが分かった。微粒子の平均粒子径は15nmであり、反応前のシリカ分散液での大きさが維持されていることが確認された。
【0058】
さらにこの金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物中の有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化されたシリカ微粒子とポリシロキサンの重量比率は14:86であった。
【0059】
[実施例2]
金属酸化物の水分散液として平均粒子径10−20nmのシリカ粒子の水分散液(日産化学工業(株)製、スノーテックスO;シリカ粒子濃度:20重量%)0.87mlを使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、白色固体と無色透明液体の相分離混合物を生成物として得た。分離した固体を100℃で減圧乾燥し、単離収率94%で白色固体生成物を得た。この固体をトルエン抽出することにより、可溶性成分であるポリシロキサンと不溶性成分である有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカを分離した。
【0060】
下記にまとめたスペクトルデータから、この可溶性ポリシロキサンは、平均組成式:
(C1.0(RO)0.12SiO1.44
(式中、RはCH及びHを表す)であるポリシロキサンであることが確認された。
IR(cm-1):3,628、3,480、3,076、3,022、2,950、2,868、1,595、1,436、1,155、930、744、700
29Si NMR:−69.0、−78.0
【0061】
有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカのIRスペクトルからは下記の吸収ピークが観察され、有機ケイ素基の構造が、平均組成式:
(C1.0(RO)0.12SiO1.44
(式中、RはCH及びHを表す)であることが確認された。
IR(cm-1):3,480、1,637、1,436、1,155、960、805、744、700
また、TGAの結果から、シリカに対する有機ケイ素基の比率は22重量%であった。
【0062】
生成物のTEM測定の結果、ほぼ球形のシリカ微粒子が凝集することなくポリシロキサンに分散した形態であることが分かった。微粒子の平均粒子径は10−20nmであり、反応前のシリカ分散液での大きさが維持されていることが確認された。
【0063】
さらにこの金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物中の有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化されたシリカ微粒子とポリシロキサンの重量比率は23:77であった。
【0064】
[実施例3]
金属酸化物の水分散液として上記PL−1を2ml、及びフェニルトリメトキシシラン0.042mlを使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、白色固体と無色透明液体の相分離混合物を生成物として得た。分離した固体を100℃で減圧乾燥し、単離収率94%で白色固体生成物を得た。この固体をトルエン抽出することにより、可溶性成分であるポリシロキサンと不溶性成分である有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカを分離した。
【0065】
下記にまとめたスペクトルデータから、この可溶性ポリシロキサンは、平均組成式:
(C1.0(RO)0.10SiO1.45
(式中、RはCH及びHを表す)であるポリシロキサンであることが確認された。
IR(cm-1):3,630、3,480、3,076、3,020、2,955、2,867、1,595、1,436、1,158、925、744、700
29Si NMR:−69.5、−78.0
【0066】
有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカのIRスペクトルからは下記の吸収ピークが観察され、有機ケイ素基の構造が、平均組成式:
(C1.0(RO)0.10SiO1.45
(式中、RはCH及びHを表す)であることが確認された。
IR(cm-1):3,480、1,638、1,436、1,158、964、805、744、700
また、TGAの結果から、シリカに対する有機ケイ素基の比率は6重量%であった。
【0067】
生成物のTEM測定の結果から、ほぼ球形のシリカ微粒子が凝集することなくポリシロキサンに分散した形態であることが分かった。微粒子の平均粒子径は15nmであり、反応前のシリカ分散液での大きさが維持されていることが確認された。
【0068】
さらにこの金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物中の有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化されたシリカ微粒子とポリシロキサンの重量比率は96:4であった。
【0069】
[実施例4]
平均粒子径15nmのシリカ粒子の水分散液0.84mlの代わりに平均粒子径25nmのシリカ微粒子0.26g及び水1.89mlを用い、フェニルトリメトキシシランの量を0.38mlとした以外は実施例1と同様に反応を行い、白色固体と無色透明液体の相分離混合物を生成物として得た。分離した固体を100℃で減圧乾燥し、単離収率92%で白色固体生成物を得た。この固体をトルエン抽出することにより、可溶性成分であるポリシロキサンと不溶性成分である有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカを分離した。
【0070】
下記にまとめたスペクトルデータから、この可溶性ポリシロキサンは、平均組成式:
(C1.0(RO)0.16SiO1.42
(式中、RはCH及びHを表す)であるポリシロキサンであることが確認された。
IR(cm-1):3,630、3,475、3,076、3,020、2,955、2,867、1,595、1,436、1,158、925、744、700
29Si NMR:−69.5、−78.5
【0071】
有機ケイ素基が表面に固定化されたシリカのIRスペクトルからは下記の吸収ピークが観察され、有機ケイ素基の構造が、平均組成式:
(C1.0(RO)0.16SiO1.42
(式中、RはCH及びHを表す)であることが確認された。
IR(cm-1):3,475、1,638、1,436、1,158、964、805、744、700
また、TGAの結果から、シリカに対する有機ケイ素基の比率は9重量%であった。
【0072】
生成物のTEM写真から、球形のシリカ微粒子が凝集することなくポリシロキサンに分散した形態であることが分かった。微粒子の平均粒子径は25nmであり、反応前のシリカ分散液での大きさが維持されていることが確認された。
【0073】
さらにこの金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物中の有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化されたシリカ微粒子とポリシロキサンの重量比率は54:46であった。
【0074】
[比較例1]
ソルトバスの温度を175℃とした以外は実施例1と同様に反応を行い、生成物を得た。生成物は比重の異なる二種の透明液体の混合物であり、シリカの分散したポリシロキサンは生成しなかった。
【0075】
[比較例2]
平均粒子径15nmのシリカ粒子の水分散液0.84mlの代わりに平均粒子径10−20nmのシリカ粒子のメチルイソブチルケトン分散液(日産化学工業(株)製、MIBK−ST;シリカ粒子濃度:30重量%)0.58mlを用いた以外は実施例1と同様に反応を行い、生成物を得た。生成物は白色固体と無色透明液体の相分離混合物であった。分離した固体を100℃で減圧乾燥し、白色固体を得たが、この生成物はシリカであり、ポリシロキサン及び有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子からなるポリシロキサン組成物は生成しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物微粒子、及び、ケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基、及び置換若しくは非置換の一価炭化水素基を有する有機ケイ素化合物を、水の存在下、200℃以上の温度の条件下で反応させることを特徴とする、
下記平均組成式(A):

SiO[(4−m−n)/2] (A)

(式中、
は、それぞれ独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、
Xは、それぞれ独立して、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基を表し、
m及びnは、それぞれ、0<m、0≦n、且つ、m+n<3を満たす数である)
で表されるポリシロキサン、及び
下記平均組成式(B):

SiO[(4−p−q)/2] (B)

(式中、
、及び、Xは、前記のとおりであり、
p及びqは、それぞれ、0<p、0≦q、且つ、p+q<3を満たす数である)
で表される有機ケイ素基が該有機ケイ素基中の酸素原子を介して化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子
からなるポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項2】
有機ケイ素化合物が下記一般式(C):

SiX(4−a) (C)

(式中、
は、それぞれ独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、
Xは、それぞれ独立して、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基を表し、
aは、0<a≦2を満たす数である)で表される有機シランである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
有機ケイ素化合物が下記一般式(D):

SiO−(SiRO)−SiR (D)

(式中、
は、それぞれ独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、
は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又は、ケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基を表し、但し、一分子中の少なくとも1個のRは、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基であり、
sは、0<sを満たす数である)で表される直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーである、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
有機ケイ素化合物が下記一般式(E):

SiO[(4−b−c)/2] (E)

(式中、
は、それぞれ独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、
Xは、それぞれ独立して、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基を表し、
b及びcは、それぞれ、0<b<2、0<c<2、且つ、b+c<2を満たす数である)で表される分岐状若しくは網状シロキサンである、請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基が、ハロゲン原子、水素原子、式:−OR(Rは水素原子、又は、炭素数6以下の置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、式:−OC(O)R(Rは置換又は非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、式:−O−N=CR(Rは前記のとおりである)で表される基、式:−NR−C(O)R(Rは前記のとおりであり、Rは水素原子、又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表す)で表される基、及び、式:−ONHで表される基からなる群から選択される基である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
金属酸化物が元素周期表の第IV族〜第XV族の金属酸化物である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリシロキサン組成物。
【請求項8】
ポリシロキサン、及び、金属酸化物微粒子の含有量(重量)の比が、1:99〜99:1である、請求項7記載のポリシロキサン組成物。

【公開番号】特開2010−150321(P2010−150321A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327512(P2008−327512)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】