説明

ポリシー制御方法ならびにそのポリシーサーバおよび移動端末

【課題】シグナリング負荷の発生を抑えながら、ポリシー制御の実績を簡単に評価でき、さらには評価結果に応じてポリシー制御を簡単に追加できるポリシー制御方法およびポリシーサーバを提供する。
【解決手段】ポリシー要求検知部100は、移動端末MNを収容する無線基地局B1,B2、セキュリティゲートウェイGWあるいはこれらの管理ノードが所定のイベントに応答して送信するポリシー要求を検知する。ポリシー制御部101は、無線基地局B1,B2の混雑を緩和させるために当該無線基地局配下の各移動端末MNに適用されるポリシーを生成する。ポリシー送信部102は、前記生成されたポリシーを、前記ポリシー要求を送信した無線基地局経由で、その配下の各移動端末MNへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシー制御方法ならびにそのポリシーサーバおよび移動端末に係り、特に、複数の無線インターフェースを備えた移動端末にポリシー制御を適用し、各移動端末がコアネットワークへの接続に利用する無線インターフェースを制御するポリシー制御方法ならびにそのポリシーサーバおよび移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セルラー通信用のアクセス方式の他に、Wi-Fiなどの他のアクセス方式を備えた移動端末が普及している。このような移動端末では、状況に応じて各アクセス方式の使い方を制御する方法として、セルラーの基地局が混雑しているときはWi-Fiによるアクセスに切り替えることで混雑を緩和させたり、あるいはセルラー通信とWi-Fiとを同時に利用し、VoIPのように高いQoSが要求される通信には品質保証の容易なセルラー通信を利用する一方、それ以外の通信にはWi-Fiを利用したりすることが考えられる。
【0003】
特許文献1には、多数の移動端末が混雑度の高い一方の無線システムから同時に他方の無線システムへ切り替わることを防止すると共に、無線システムが切り替わる移動端末数を最小限に抑える制御方法が提示されている。ここでは、移動端末が各無線モジュール局における、許容通信量に対する実通信量からなる混雑度を取得する。そして、移動端末が、未使用の無線モジュール局の混雑度に対する、使用中の無線モジュール局の混雑度からなる指標値を算出する。次に、移動端末が、指標値の大きさに応じたバックオフ時間を算出する。そして、移動端末が、使用中の無線モジュール局について、通信品質が所定閾値以下になった際にバックオフ時間だけ待機する。その後、移動端末は、使用中の無線モジュール局における通信品質が再び所定閾値以下である場合、使用中の無線モジュール局からの切替要求を送信する。これにより移動端末は混雑度に応じて無線の切り替えを実現することができる。
【0004】
非特許公報1には、3GPPで規定されるLTEと呼ばれるアクセス方式での接続と、3GPP以外のアクセス方式での接続のためのインタワークやアーキテクチャが規定されている。各アクセス方式は、そのアクセス方式用のアクセスGWを経由して、アンカーGWと呼ばれるホームエージェント機能を持つGWを両アクセスの連携用ノードとし、移動端末に対してデータ通信の提供を行う機能が規定されている。
【0005】
また、複数のアクセス方式がある場合に、アクセス方式の発見や、選択を行うためのアクセスNWの発見・選択のための機能を持つノードについても規定されている。このアクセスNW発見・選択ノードは、アクセスNW発見のための情報、例えば無線LANであればSSIDなどの識別子の情報と共に、どのアクセスNWを優先するかなどのアクセスNW選択のための情報を保持し、これを移動端末に提供できる。情報を提供された移動端末は、その情報に基づいてアクセス方式の切り替えやアクセス方式間のトラヒック移動などを実行する。
非特許公報2には、アクセスNWとしてLTEを用いた場合に、そのLTEの基地局に接続する移動端末に対してブロードキャストを行う機能が規定されている。ブロードキャストは、基地局を一意に識別する識別子などを元に、対象の基地局に接続する移動端末にブロードキャストメッセージを伝達する。
【0006】
非特許公報3には、IMSを使って移動端末の通信セッションを確立する際に、通信サーバに対し、移動端末の位置をネットワーク主導で取得、提供する技術が開示されている。ここで、移動端末の位置は基地局の位置で代表されることがあり、ネットワークはユーザ単位でその位置の特定を行って通信サーバに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−147906号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS 23.402
【非特許文献2】3GPP TS 23.401
【非特許文献3】3GPP TR 23.842
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
無線周波数は有限であるため、移動端末が複数の無線アクセス方式を備える場合、ネットワークのオペレータは、一の無線アクセス方式IFaと接続する基地局が混雑すると、この基地局に接続している移動端末を対象に、全てのトラヒックを一の無線アクセス方式IFaから他の一の無線アクセス方式IFbへ切り替えさせたり、あるいはトラヒックの一部は一の無線アクセス方式IFaに残しつつ、残りを他の一の無線アクセス方式IFbへ移動させたりすることを望む場合が考えられる。
【0010】
このような場合の対処として、端末ユーザが自主的にアクセス切替やトラヒック振分を行うことを期待することもできるが、オペレータが安定して基地局などのインフラを運用する上では、オペレータの方針に沿ったアクセス切替やトラヒック振分を管理、制御できることが必要となる。その実現方法として、オペレータがユーザ端末のアクセス切替やトラヒック振分などに関するポリシーを管理・制御するポリシーサーバを利用することが考えられる。
【0011】
このときポリシーサーバは、無線アクセス方式IFaの基地局に収容されている移動端末にのみポリシーを伝達すること、ならびに伝達したポリシーに従って無線アクセス方式を制御した移動端末を正確に把握する必要がある。
【0012】
特許文献1では、移動端末が基地局の混雑情報を取得し、それを元に無線アクセス方式を切り替える。ただし、二つの無線アクセス方式が異なるオペレータにより運用されていた場合、例えば、一方の無線アクセス方式がLTEであり、他方の無線アクセス方式が公衆無線LANであると、切替後の無線LANアクセス経由の接続が、LTEの基地局配下であった移動端末からのものであるか否かの判別が難しい。
【0013】
また、GPSなどの位置情報に基づいて基地局との対応を確認する方法もあるが、位置情報に誤差が含まれていると特定が困難となる。また、移動端末が接続の際に誤った位置情報を伝えた場合、その移動端末に対するポリシー制御を正確に行うことができない。
【0014】
非特許文献2のように、ポリシー制御では複数の無線アクセス経由の接続を一つのポリシーサーバで管理することで各アクセスを紐付けることは可能である。ただし、基地局に紐付いたポリシー制御を実現しようとすると、例えばLTEを経由した接続において、ポリシーサーバにセッション情報を伝える際、基地局の情報も合わせて送る必要がある。この場合、ポリシーに変更がなければ新たなシグナリングは不要だが、ポリシーサーバは基地局が変わるごとに、その基地局情報を取得する必要があり、冗長なシグナリングが発生してしまう。
【0015】
非特許文献3のように、ポリシーサーバから必要となった場合にのみ位置情報を取得する方法を利用することも考えられるが、基地局に属するすべてのユーザに対し、セッションごとにその位置情報を取得する必要があるので、基地局に多数のユーザが接続していた場合、そのシグナリング負荷が大きくなってしまう。
【0016】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、シグナリング負荷の発生を抑えながら、ポリシー制御の実績を簡単に評価でき、さらには評価結果に応じてポリシー制御を簡単に追加できるポリシー制御方法ならびにそのポリシーサーバおよび移動端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の無線インターフェースを備えた移動端末にポリシー制御を適用し、各移動端末がコアネットワークへの接続に利用する無線インターフェースを制御するポリシー制御方法において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0018】
(1)移動端末の一の無線アクセス方式IFaと接続される無線基地局の混雑を契機にポリシーサーバへ第1ポリシー要求を送信し、ポリシーサーバが、前記第1ポリシー要求に応答して、前記無線基地局の配下に位置する各移動端末のポリシーを管理するための基地局単位ポリシーセッションおよび第1ポリシーを作成して第1キーと対応付ける。
【0019】
(2)ポリシーサーバが、第1ポリシーおよび第1キーを、前記無線基地局経由で配下の移動端末へブロードキャストで送信し、この第1ポリシーを受信した移動端末が、当該第一ポリシーの内容を判断して、コアネットワークへのアクセス方式を切り替えるためのシグナリング処理を決定、実行する。
【0020】
(3)ポリシーの内容を判断した上でのシグナリング処理としては、一の無線アクセス方式を切断して他の一の無線アクセス方式でコアネットワークへの接続処理を行ったり、一の無線アクセス方式に一部トラヒックを残しつつ、残りのトラヒックは他の一の無線アクセス方式に移す処理を行ったり、あるいは既にポリシーに従って無線アクセス方式を使用している場合は、その制御状態をシグナリング通知したりする。
【0021】
(4)コアネットワークへのシグナリング処理の際には、端末識別子に加え、前記第1キーを認証情報としてコアネットワークのゲートウェイへアクセスし、ゲートウェイは移動端末を前記端末識別子および第1キーで認証した上で処理を行い、その後、前記ポリシーサーバへ端末識別子と前記第1キーを送信する。
【0022】
(5)ポリシーサーバは、第1キーを元に基地局単位ポリシーセッションを見つけ出し、基地局単位ポリシーセッションの情報として端末識別子および第一キーを関連付けて登録する。
【0023】
(6)ポリシーサーバは、端末識別子を元に端末単位ポリシーセッションの作成、または、すでに当該端末が端末単位ポリシーセッションを持っている場合は端末単位ポリシーセッション情報の更新を行い、その際に、基地局単位ポリシーセッションの情報、ならびに第1キーを併せて端末単位ポリシーセッションの情報として登録する。
【0024】
(7)ポリシーサーバはその後、基地局からのさらなる第2ポリシー要求をポリシーサーバに送信したり、ポリシーサーバで管理・制御されている基地局単位ポリシーセッションや端末単位ポリシーセッションの状態を元に評価したりすることをトリガとして、前記基地局単位ポリシーセッションにて新たな第2ポリシーとそれに対応する第2キーを生成し、前記(2)〜(5)までの処理を行い、前記第2キーによって基地局単位ポリシーセッションを見つけ出し、前記基地局単位ポリシーセッションの情報として端末識別子と第2キーを関連付けて登録し、それにより第1ポリシーの結果と第2ポリシーの結果との相違点を把握し、その後のポリシー作成などの制御を行う。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ポリシーサーバは事前に端末がどの基地局にいるかの情報を管理する必要はない。また、ポリシーサーバから送信されたポリシーによりシグナリング処理を行った移動端末を基地局の情報と共にポリシーサーバ側で把握、管理できる。その結果、さらなるポリシー制御に反映が可能となる。また、一連の処理を繰り返し同じ基地局単位のポリシー制御の内容として把握することができるため、ポリシーごとの反映結果などを元にさらなるポリシー制御を行うなどの制御が容易となる。また、ポリシー制御以外にも、例えばポリシーに従った移動端末を料金やサービスの面で優遇することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用される無線ネットワークの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るポリシーサーバの機能ブロック図である。
【図3】本発明が適用される移動端末の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るポリシー制御方法のシーケンスフローである。
【図5】基地局単位ポリシーセッションの登録内容(その1)を示した図である。
【図6】基地局単位ポリシーセッションの登録内容(その2)を示した図である。
【図7】端末単位ポリシーセッションの登録内容(その1)を示した図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るポリシーサーバの機能ブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るポリシー制御方法のシーケンスフローである。
【図10】基地局単位ポリシーセッションの登録内容(その3)を示した図である。
【図11】基地局単位ポリシーセッションの登録内容(その4)を示した図である。
【図12】端末単位ポリシーセッションの登録内容(その2)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明が適用される無線ネットワークの主要部の構成を示したブロック図であり、各移動端末MNは複数の無線インターフェースを備える。本実施形態では、各移動端末が3GPPで規定されるセルラー通信用のLTEインターフェースIF1および無線LANインターフェースIF2を備え、LTEインターフェースIF1は、セルラー基地局B1を中継してコアネットワークのゲートウェイGW1に接続される。前記セルラー通信用のインターフェースIF1はLTEに限定されず、例えばCDMA2000 EV-DOなどの無線アクセス方式であっても良い。
【0028】
無線LANインターフェースIF2は、無線LAN基地局(アクセスポイント)B2を中継してコアネットワークのゲートウェイGW2に接続される。前記コアネットワークには、各移動端末MNがコアネットワークに接続するインターフェースを切り替えさせたり、トラヒックをインターフェースごとに振り分けたりするポリシーを生成、管理するポリシーサーバPsが接続されている。さらに、前記ポリシーサーバPsは、各GWと接続した移動端末の情報などをやり取りする参照ポイントを備える。
【0029】
[実施例1]
図2は、本発明の第1実施形態に係るポリシーサーバPsの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0030】
ポリシー要求検知部100は、移動端末MNを収容する無線基地局B1,B2、ゲートウェイGW1,GW2あるいはこれらの管理ノード(図示せず)が所定のイベントに応答して送信するポリシー要求を検知する。本実施形態では、各無線基地局B1,B2の混雑度が所定の閾値を超えたと判断されたときに、これを契機に当該無線基地局の混雑緩和を実現するためのポリシー要求がポリシーサーバPsに対して送信される場合を例にして説明する。
【0031】
ポリシー制御部101は、前記ポリシー要求に応答して、無線基地局B1,B2の混雑を緩和させるために当該無線基地局の通信圏内に位置する各移動端末MNに適用されるポリシーを生成する。ポリシー送信部102は、前記生成されたポリシーを、前記ポリシー要求を送信した無線基地局経由で、その配下の各移動端末MNへ送信する。
【0032】
前記ポリシー制御部101において、ポリシーセッション管理部103は、前記ポリシー要求に応答して、ポリシーセッションを基地局単位で生成、管理する。以下、基地局単位で生成、管理されるポリシーセッションを「基地局単位ポリシーセッション」と表現する。
【0033】
前記基地局単位ポリシーセッションは、そのセッションに関連する基地局配下の各移動端末に適用されてアクセス方法や課金方法などを制御するポリシーのセッション(管理情報)であり、各無線基地局の識別子(基地局ID)と対応付けられる。
【0034】
前記基地局単位ポリシーセッションでは、後述するように、対応付けられた無線基地局の通信圏内に位置する移動端末の端末識別子などの管理も行われるが、前記ポリシー要求を受けた時点では、ポリシーサーバPsはそれらの移動端末MNの識別子や位置情報などの個別の情報を把握している必要はない。そのため、本発明では各移動端末MNがどの無線基地局の圏内に位置しているのかをポリシーサーバPsが常に把握する必要はない。
【0035】
ポリシー生成部104は、前記ポリシー要求に応答して、前記無線基地局の圏内に位置している各移動端末MNに対して、コアネットワークに接続する無線インターフェースを切り替えさせるポリシーを生成する。
【0036】
図3は、前記移動端末MNの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでも本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0037】
ポリシー受信部202は、前記ポリシーサーバPsから送信されたポリシーを前記LTEインターフェースIF1経由または無線LANインターフェースIF2経由で受信する。情報記憶部201には、ユーザが望む通信条件(ユーザ通信条件)や自端末周囲のネットワーク状況などが記憶されている。シグナリング処理決定部202は、受信されたポリシーの内容と前記情報記憶部201に記憶されている各情報とを照合し、自端末で実行するシグナリング処理を決定する。シグナリング処置実行部203は、前記決定されたシグナリング処置を実行する。
【0038】
なお、前記ユーザ通信条件として「常にLTEを優先する」や「一部のトラヒックについてはLTEに残す」などが登録されている場合に、これらの通信条件と合致しないポリシーには従わないことも前記シグナリング処理決定部203で決定される。また、複数のポリシーが指定された場合に、その中からユーザ通信条件等と合致するシグナリング処理のみを実施することも前記シグナリング処理決定部202で決定される。
【0039】
次いで、本実施形態の動作を、図4のシーケンスフローに沿って詳細に説明する。時刻t1において、移動端末MNの一方のインターフェース(ここでは、セルラー通信用のLTEインターフェースIF1)と無線接続されるセルラー基地局B1において混雑状態が検知されると、時刻t2では、当該セルラー基地局B1からポリシーサーバSpへ混雑緩和用のポリシー要求が送信される。このポリシー要求には、前記セルラー基地局B1を一意に識別するための基地局IDと共に、当該セルラー基地局B1に接続している移動端末MNの台数n、当該セルラー基地局B1のトラヒック負荷率L等を含ませることができる。
【0040】
このようなポリシー要求の通知は、セルラー基地局B1からポリシーサーバPsへの直接通知、セルラー基地局B1から当該基地局経由の通信を収容するGWを経由しての通知、セルラー基地局B1の制御シグナリングを管理するノードを経由しての通知、あるいはセルラー基地局B1を運用管理するノードを経由しての通知などが可能である。
【0041】
また、混雑状態については、使用帯域がセルラー基地局B1で提供可能な最大通信帯域の、例えば90%に相当する閾値を超えたとき、収容端末数nがセルラー基地局B1で収容可能な最大端末数の、例えば80%に相当する閾値を超えたとき、あるいは収容セッション数がセルラー基地局B1で収容可能な最大通信セッション数の、例えば70%に相当する閾値を超えたときなどに、混雑状態と判断することができる。
【0042】
時刻t3では、前記ポリシー要求がポリシーサーバSpのポリシー要求検知部100で検知され、ポリシーセッション管理部103において、前記基地局IDにより識別される基地局単位ポリシーセッションが作成される。この際、前記基地局単位ポリシーセッションのためのキー情報K1が作成されて当該基地局単位ポリシーセッションと紐付けられると共に、前記ポリシー生成部104において、前記セルラー基地局B1の配下の各移動端末MNに適用するポリシーP1も作成される。
【0043】
前記ポリシーP1としては、(1)ポリシーを受信した移動端末MNがコアネットワークへの接続方法を一の無線アクセス方式から他の一の無線アクセス方式へ切り替えるハンドオーバ、(2)コアネットワークへの無線アクセス方式を追加して複数の無線アクセス方式による同時アクセスを実現し、一部のトラヒックは既存の一の無線アクセス方式による接続とし、残りのトラヒックは追加した他の一の無線アクセス方式へ移動させるIP Flow Mobilityなどが挙げられる。
【0044】
また、無線LANなどコアネットワークへの接続なしでも通信できる無線アクセス方式を備える場合は、(3)コアネットワークへの接続を全て切断し、無線LANからインターネットに直接接続する制御、も可能である。また、ポリシーとしてコアネットワークへの接続を切断することを指定された場合は、(4)現在の接続を切断するデタッチ処理、も可能である。ここでは、LTEインターフェースから無線LANインターフェースへの切り替えを端末ユーザに促すポリシーP1が作成されたものとして説明を続ける。
【0045】
図5は、時刻t3で作成される基地局単位ポリシーセッションの一例を示しており、基地局ID[40297]をインデックスとして、ポリシーP1「LTEからWiFiへの切替」およびキー情報K1[378671]が登録されている。但し、後述する端末単位ポリシーセッションの情報欄は空欄となっている。
【0046】
前記ポリシーP1は、無線基地局の混雑緩和用に予め作成されている静的なポリシーであっても良いし、あるいは時刻t2でセルラー基地局B1から通知される移動端末MNの接続数nや基地局B1のトラヒック負荷率Lに基づいて動的に作成されるポリシーであっても良い。
【0047】
また、指定できるポリシーは一つに限定されず、複数のポリシーを優先度と共に指定してもよい。例えば、優先度1のポリシーでは無線LANからインターネットへの直接アクセスを指定し、優先度2のポリシーではコアネットワーク経由の接続方法として無線LANを指定し、ユーザは自身の通信したい条件などを事前に登録しておき、これに合致する最も優先度のポリシーを採用することもできる。
【0048】
時刻t4では、前記ポリシーサーバSpのポリシー送信部102からセルラー基地局B1へ、前記決定されたポリシーP1、キー情報K1および基地局IDの記述されたブロードキャスト要求が送信される。要求先のセルラー基地局B1は前記基地局IDで特定される。時刻t5では、前記ブロードキャスト要求を受信したセルラー基地局B1から配下の移動端末MNへ、前記ポリシーP1およびキー情報K1がブロードキャストで配信される。
【0049】
なお、このブロードキャストでは、基地局単位でその圏内に位置する移動端末MNにメッセージを通知できればよく、例えば、LTEにおけるCell Broadcast Service (CBS)や、CDMA2000 EV-DOにおけるBroadcast and Multicast Services (BCMCS)などを使用できる。また、無線LANにおいても802.11uなどを利用することで、その圏内の移動端末MNにブロードキャストで通知できる。
【0050】
また、このようなブロードキャストは、ポリシーサーバPsが自ら実施してもよいし、あるいはブロードキャスト専用ノードを別途に用意し、ポリシーサーバPsが当該専用ノードを介して実施するようにしても良い。例えば、LTEではAccess Network Discovery and Selection Functions (ANDSF)などを介してブロードキャストを実施してもよい。
【0051】
さらに、移動端末MNによっては、無線アクセスのリンクが確立していない状態でも基地局からのブロードキャスト信号だけは受信可能なアイドル状態が規定されており、このような移動端末MNであれば、無線アクセスを使用していないときでも前記ポリシーP1を受信できる。
【0052】
このような移動端末MNは、実際には無線アクセスを利用しておらず、無線基地局の混雑には寄与していないが、無線基地局の混雑状態が解消される前に新たに通信を発生させる可能性があり、そのような移動端末であっても、ポリシーを同様に配信することで事前に混雑状態の悪化を防ぐなどの効果が期待できる。
【0053】
図3を参照し、前記ポリシーP1は、各移動端末MNのポリシー受信部200で受信され、その内容が判断される。なお、ポリシーP1をブロードキャストで受信した全での移動端末MNが同じ動作をすることを防ぐため、ポリシーP1を受け取った移動端末MNのうち、自身の端末IDが所定の条件を満足した場合(例えば、端末IDが偶奇のいずれか一方)のみ、当該ポリシーP1を受け容れるようにすれば、ポリシーP1の実行端末が一部の端末のみに制限されることを期待できる。
【0054】
前記シグナリング処理決定部202は、前記ポリシーの内容、および予め情報記憶部201に設定、記憶されているユーザ通信条件やネットワーク状況(ここでは、周りに無線LANアクセスポイントが存在するか否かなど)を考慮した上で、実際に行うシグナリング処理を決定し、この決定結果をシグナリング処理実行部203へ伝達する。
【0055】
前記シグナリング処理実行部203は、時刻t6において、前記通知された処理内容に従ってコアネットワークへの接続のためのシグナリング処理などを実行する。本実施形態では、コアネットワークへのアクセス方式が、LTEインターフェースIF1から無線LANインターフェースIF2へ切り替えられる。
【0056】
なお、一部の移動端末MNについては、既にポリシーで指定されたアクセス方式を使用している可能性があるが、その場合は現状の接続の更新処理がコアネットワークへのシグナリング処理として実行される。
【0057】
移動端末MNが前記ポリシーP1に応じてコアネットワークへのシグナリング処理を実行する際、移動端末MNを識別するユーザID、およびポリシーと共に配信された前記キー情報K1が、接続のための認証情報の一つとして利用される。また、ポリシーP1がユーザ通信条件と合致しなかったり、あるいはネットワーク状況として無線LANが周辺に存在しなかったりするために前記ポリシーP1と異なる制御を行う場合には、その理由も合わせて通知される。
【0058】
無線LAN経由での接続を実行するシグナリング処理では、セキュリティ確保および認証のため、コアネットワークへはアクセスポイントB2からセキュリティゲートウェイGW経由での接続となる。この接続には、認証情報の一つとして前記キー情報K1が利用され、複数の移動端末NMは全て同じキー情報K1を利用する。このようなキー情報は、例えばIKEv2などのプロトコルでVendor ID Payloadに搭載して通知することが可能である。また、接続の際には各移動端末MNからユーザIDも併せて送信される。
【0059】
また、他の接続の例として、LTEの経由でのシグナリング処理では、ユーザIDとしてIMSIやそれに関連するIDを利用し、キー情報についてはProtocol Configuration Optionsと呼ばれるプロトコル情報の一つとして伝達することができる。
【0060】
時刻t7では、ゲートウェイGWからポリシーサーバSpへ、前記無線LANインターフェースからアクセスポイントB2経由で接続してきた移動端末用のポリシーセッション(以下、端末単位ポリシーセッションと表現する)の作成が要求される。この際、移動端末MNから送られたキー情報K1およびユーザIDが、セッションを特定する情報として利用される。
【0061】
前記端末単位ポリシーセッションとは、前記基地局単位ポリシーセッションとは異なり、セッション(管理情報)を端末単位で管理・制御するための情報であって、ユーザIDで一意に特定される。
【0062】
ポリシーサーバSpは、前記端末単位ポリシーセッションの作成要求にキー情報K1が含まれていることがわかると、このキー情報K1が登録されている基地局単位ポリシーセッションの有無を検索し、該当するポリシーセッションが見つかると、当該基地局単位ポリシーセッションの情報を更新し、さらには端末単位ポリシーセッションをユーザIDで検索し、端末単位ポリシーセッションの作成、修正または更新を行う。
【0063】
図6は、更新後の基地局単位ポリシーセッションの登録内容を示しており、図示の例では、ユーザIDが[8365678],[2768678]の移動端末MNでは、前記ポリシーP1が受け容れてシグナリング処理が実行され、ネットワークへのアクセス方式がLTEからWiFiに切り替えられている。これに対して、ユーザIDが[632434]の移動端末MNでは、周辺にWiFi用の無線基地局が存在しなかったために前記ポリシーP1が受け容れられず、ネットワークへのアクセス方式がLTEのままである。
【0064】
一方、端末単位ポリシーセッションの作成、修正または更新に際して、ポリシーサーバPsは、端末単位ポリシーセッションの情報として、ポリシーP1およびキー情報K1に関連付ける形でユーザIDおよびポリシー結果を登録する。また、前記要求がGWから通知された場合は、ポリシーとは異なる処理を行った理由も合わせて登録する。
【0065】
図7は、前記端末単位ポリシーセッションの一例を示した図であり、前記基地局単位ポリシーセッションの情報が、ユーザIDおよび接続先GWごとに管理されている。
【0066】
例えば、ユーザIDが[2768678]の移動端末に関する端末単位ポリシーセッションでは、ユーザIDに加え、端末単位ポリシーセッション特有の情報として、接続先GWの欄にGW1が登録されている。さらに関連する基地局単位ポリシーセッションの情報として、基地局IDが[40297]、ポリシーが「LTEからWiFiへ切替」、キー情報が[378671]、ポリシー結果が「LTEからWiFiへ切替」などが登録されている。
【0067】
なお、基地局単位ポリシーセッションと端末単位ポリシーセッションとでは情報が一部重複するので、一方のポリシーセッションにはそれらの重複する情報は搭載せず、他方のポリシーセッションを参照するような形で保持することができる。また、ポリシーサーバPsを複数台で構成し、情報が分散して保持されるようにしても良い。その場合、一のポリシーサーバには基地局単位ポリシーサーバが登録され、他の一のポリシーサーバには端末単位ポリシーセッションが登録されるといった形態を取り得る。ポリシーサーバPsはこの登録処理をすることで、時刻t4で送信したポリシーP1を受け容れて接続を切り替えた移動端末数nを把握できる。
【0068】
なお、図4に示したシーケンスの開始前に移動端末MNが既に端末単位ポリシーセッションを作成済であることも想定されるが、その場合、既に作成済の端末単位ポリシーセッションをユーザIDで特定した上で、そのセッションで管理される情報を一部修正、更新する形で処理が実行される。
【0069】
本実施形態によれば、無線基地局が混雑すると、その配下に位置するマルチアクセスの移動端末MNに対して、無線基地局の混雑緩和に有効なポリシーが送信されて混雑緩和のためのポロシー制御が実行されるので、無線基地局の混雑を緩和させることができる。また、ポリシーに従った移動端末が切り替え後の無線インターフェースでアクセスすることで、ポリシーサーバSpはポリシーに従った移動端末を認識できるようになる。
【0070】
さらに、本実施形態によれば、ポリシーサーバは移動端末の位置情報など常に管理することなく、基地局混雑などをトリガに、ある基地局の圏内に位置する移動端末を認識し、オペレータの方針に沿ったポリシーの配信とそのポリシーの制御結果を把握することができる。したがって、オペレータはさらなるポリシー制御を行ったり、課金などの処理でユーザを区別したりすることができ、基地局の混雑緩和をオペレータの方針に沿った形で、かつオペレータの制御下で効率よく実施できる。
【0071】
[実施例2]
図8は、本発明の第2実施形態に係るポリシーサーバPsの主要部の構成を示した機能ブロック図であり、図2と同一の符号は同一または同等部分を表しているので、その説明は省略する。本実施形態では、ポリシー制御部101にポリシー評価部105および第2のポリシー生成部106が追加されている。
【0072】
ポリシー評価部105は、後に詳述するように、例えば切り替え後の無線インターフェースF2で前記キー情報K1を用いてアクセスしてきた移動端末MNを識別し、当該キー情報K1と対応付けられた第1ポリシーP1と前記切り替え後の無線インターフェースでアクセスしてきた移動端末数nとに基づいて前記第1ポリシーの成果を評価する。第2ポリシー生成部106は、前記第1ポリシーP1の成果が所定の基準値を下回ったときに、当該第1ポリシーP1の成果を補完する第2ポリシーP2を生成するなど、第1ポリシーの評価結果に基づいて、前記各移動端末MNに更に実行させたいしたい第2ポリシーを生成する。
【0073】
次いで、本実施形態の動作を、図9のシーケンスフローに沿って詳細に説明する。なお、時刻t1からt7までの処理は第1実施形態と同一または同等なので、その説明は省略する。
【0074】
時刻t7において、ゲートウェイGWからポリシーサーバSpへ、前記無線LANインターフェースからアクセスポイントB2経由で接続してきた移動端末MN用のポリシーセッションの作成が要求されると、ポリシーサーバSpでは、時刻t4で送信したポリシーP1を受け容れて接続を切り替えた移動端末数nを把握できるので、これに基づく追加のポリシー制御が可能となる。
【0075】
時刻t8では、ポリシーサーバSpにおいて、前記キー情報K1に基づいて、セルラー基地局B1のために前記時刻t3で作成された基地局単位ポリシーセッションに関連して新たなポリシーが作成される。これにより、セルラー基地局B1の配下で、かつLTEインターフェース以外の無線アクセス経由でコアネットワークに接続している移動端末MNを特定したポリシー制御が可能となる。
【0076】
時刻t9では、セルラー基地局B1に対する基地局単位ポリシーセッションにおいて、前記第1ポリシーP1の評価結果をフィードバックとして新たに第2ポリシーP2および当該ポリシーP2に紐付くキー情報K2が作成される。
【0077】
例えば、時刻t3ではセルラー基地局B1に100台の移動端末MNが接続されていることが認識されており、そのうち50台の移動端末MNがアクセス方式を切り替えることを期待して、50%の確率でアクセス方式を切り替えるような第1ポリシーP1を配信したとする。しかしながら、その後にキー情報K1を利用して無線LANインターフェース経由で接続した移動端末MNが40台であった場合、前記ポリシー評価部105では、ポリシー制御の効果が期待よりも低かったことがわかる。その理由としては、例えば一部の移動端末MNが既にアクセスポイントB2の圏外となっており、ポリシーを受け容れることができなかった、あるいは端末ユーザの意志により、アクセス方式の切り替えが許否されたことなどが挙げられる。
【0078】
このように、50%の移動端末MNで受け容れられることが期待された第1ポリシーP1が、実際には40台(期待値の80%)の移動端末MNにしか受け容れられなかった場合、第2ポリシーP2は、50%の移動端末MNで受け容れるように、50/80=62.5%の確率で接続を切り換えさせる内容で、前記第2ポリシー生成部106により作成される。
【0079】
この処理のトリガとしては、時刻t8でタイマーを開始させ、このタイマーが切れたタイミングで開始する方法や、時刻t8で一定の移動端末MNがキー情報K1で接続してきたタイミングで開始する方法が考えられる。
【0080】
図10は、このときの基地局単位ポリシーセッションの登録内容示しており、時刻t3で作成された基地局単位ポリシーセッションに、新たなポリシーP2「LTEからWiFiへの切替」およびキー情報K2[882312]が登録されている。ただし、新たに作成されたポリシーP2に対する端末単位ポリシーセッションは、未だ登録されていない。
【0081】
時刻t10では、ポリシーサーバPsからセルラー基地局B1に対して、前記ポリシーP2、キー情報K2および基地局IDの記述されたブロードキャスト要求がセルラー基地局B1へ配信される。このとき、接続が確立されていないがブロードキャスト信号は受信可能であるアイドル状態の移動端末MNに対しても、ブロードキャストにより情報を配信することができる。
【0082】
時刻t11では、セルラー基地局B1がポリシーサーバPsからの要求に応答して、配下の移動端末MNへ前記ポリシーP2およびキー情報K2をブロードキャストで配信する。時刻t12では、前記ブロードキャスト配信を受信した移動端末MNが、上記と同様にして当該ポリシーP2に対するシグナリング処理を決定し、コアネットワークへのシグナリング処理を実行する。その際、自身のユーザIDおよびキー情報K2が認証情報として利用される。
【0083】
時刻t13では、コアネットワークのゲートウェイGW2が、アクセスポイントB2経由で接続してきた移動端末MNに関するポリシーセッションの作成を要求する。このとき、すでにポリシーセッションを確立済の移動端末については、情報の更新や修正をポリシーサーバPsへ要求する。その際、移動端末MNから送られたキー情報K2およびユーザIDが、セッションを特定する情報として利用される。
【0084】
例えば、時刻t5の時点ではセルラー基地局B1の配下に位置しておらず、その後、当該セルラー基地局B1に接続した移動端末NM2については、ポリシーセッションは新たな作成となる。一方、時刻t5の時点でセルラー基地局B1の配下に位置しており、既にポリシーが作成されている移動端末MNについては、ポリシーセッションの修正となる。
【0085】
時刻t14では、ポリシーサーバPsがキー情報K2を元に前記時刻t3で作成したセルラー基地局B1のための基地局単位ポリシーセッションと関連付けて、移動端末MNのための端末単位ポリシーセッションが作成または修正される。
【0086】
図11は、当該時点での基地局単位ポリシーセッションの登録内容を示している。新たに作成されたポリシーP2およびキー情報K2と関連付けられる形で、移動端末がシグナリング処理を行った結果、および端末単位ポリシーセッションの情報が登録されている。この例では、既にポリシーP1に従っていた移動端末がポリシーP2を受け取り、シグナリング処理を行なっている。さらに、新たにユーザIDが[5234789]の移動端末がポリシーP2を受信してシグナリング処理を行った結果が登録されている。
【0087】
また、図12は時刻t14における端末単位ポリシーセッションの状態を示している。ここでは、既にポリシーP1を受け取り、さらにポリシーP2を受け取ってコアネットワークへのシグナリング処理を実行した移動端末については、ポリシーP1,キー情報K1に関する情報に加えて、ポリシーP2,キー情報K2に関する情報が追加されている。また、ポリシーP2を受け取って新たに接続を行った、端末識別子が[5234789]の移動端末について、その情報が登録され、関連する基地局単位ポリシーセッションの情報としてポリシーP2およびキー情報K2が関連付けられて登録されている。
【0088】
このとき、各移動端末MNに端末単位ポリシーセッションに紐付けられたキー情報の組み合わせによってポリシー制御が可能となる。例えば、キー情報K1ならびにキー情報K2のそれぞれで紐付けられた端末単位ポリシーセッションを持つ移動端末MNは、その基地局に長時間接続している移動端末MNとして把握することができるので、それに基づいたポリシー制御が可能となる。
【0089】
また、キー情報K2のみが紐付けられた端末単位ポリシーセッションは、時刻t5以後に基地局に接続した移動端末として把握できるので、それに基づくポリシー制御が可能となる。
【0090】
さらに、キー情報K1のみと紐付けられ、キー情報K2は紐付けされていない端末単位ポリシーセッションについては、時刻t5以後、セルラー基地局の圏外に移動したか、あるいは無線LANインターフェースIF2経由の疎通がない移動端末MNとして把握することができ、それに基づくポリシー制御が可能となる。
【符号の説明】
【0091】
100…ポリシー要求検知部,101…ポリシー制御部,102…ポリシー送信部,103…ポリシーセッション管理部,104…第1ポリシー生成部,105…ポリシー評価部,106…第2ポリシー生成部,201…情報記憶部,202…シグナリング処理決定部,203…シグナリング処置実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線インターフェースを備えた移動端末にポリシー制御を適用し、各移動端末がコアネットワークへの接続に利用する無線インターフェースを制御するポリシー制御方法において、
移動端末を収容する無線基地局の混雑を契機にポリシーサーバへ第1ポリシー要求を送信し、
ポリシーサーバが、前記第1ポリシー要求に応答して、前記混雑した無線基地局の配下に位置する各移動端末に適用する第1ポリシーを作成して第1キーと対応付け、
ポリシーサーバが、前記第1ポリシーおよび第1キーを、前記混雑した無線基地局経由で配下の移動端末へ送信し、
前記第1ポリシーを受信した移動端末が、前記コアネットワークへ接続する無線インターフェースを前記第1ポリシーに応じて決定し、
各移動端末が、前記決定された無線インターフェースから、前記第1キーを識別情報として前記コアネットワークにアクセスし、
ポリシーサーバが、前記各移動端末がコアネットワークにアクセスした無線インターフェースを前記第1キーに基づいて識別し、
ポリシーサーバが、前記識別結果に基づいて前記第1ポリシーを評価することを特徴とするポリシー制御方法。
【請求項2】
前記ポリシーサーバが、前記第1ポリシーの評価結果に基づいて、前記混雑した無線基地局の配下に位置する各移動端末に適用する第2ポリシーを作成して第2キーと対応付け、
ポリシーサーバが、前記第2ポリシーおよび第2キーを、前記混雑した無線基地局経由で配下の移動端末へ送信し、
前記第2ポリシーを受信した移動端末が、前記コアネットワークへ接続する無線インターフェースを前記第2ポリシーに応じて決定し、
各移動端末が、前記決定された無線インターフェースから、前記第2キーを識別情報として前記コアネットワークにアクセスし、
ポリシーサーバが、前記各移動端末がコアネットワークにアクセスした無線インターフェースを前記第2キーに基づいて識別し、
ポリシーサーバが、前記識別結果に基づいて前記第2ポリシーを評価することを特徴とするポリシー制御方法。
【請求項3】
前記第1および第2ポリシーの少なくとも一方が、各移動端末においてコアネットワークへ接続する無線インターフェースを、一の無線インターフェースから他の一の無線インターフェースへ切り替えさせるポリシーであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリシー制御方法。
【請求項4】
前記第1および第2ポリシーの少なくとも一方が、各移動端末においてコアネットワークへ接続する無線インターフェースを追加させるポリシーであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリシー制御方法。
【請求項5】
前記第1および第2ポリシーの少なくとも一方が、各移動端末においてコアネットワークへ接続している無線インターフェースを切断させるポリシーであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリシー制御方法。
【請求項6】
前記第1および第2ポリシーが、各移動端末へブロードキャストで送信されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリシー制御方法。
【請求項7】
前記複数の無線インターフェースの少なくとも一つがセルラー通信用のインターフェースであり、他の少なくとも一つが無線LANインターフェースであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリシー制御方法。
【請求項8】
複数の無線インターフェースを備えた移動端末にポリシーを送信し、各移動端末がコアネットワークへの接続に利用する無線インターフェースを制御するポリシーサーバにおいて、
移動端末を収容する無線基地局の混雑を契機に送信される第1ポリシー要求を検知するポリシー要求検知手段と、
前記第1ポリシー要求に応答して、前記無線基地局の配下に位置する各移動端末に適用する第1ポリシーを作成して第1キーと対応付けるポリシー制御手段と、
前記第1ポリシーおよび第1キー情報を前記無線基地局経由で配下の各移動端末へ送信するポリシー送信手段とを具備したことを特徴とするポリシーサーバ。
【請求項9】
前記第1キーを認証情報としてコアネットワークへアクセスしてきた移動端末数に基づいて前記第1ポリシーの実績を評価するポリシー評価手段と、
前記第1ポリシーの評価結果に基づいて、当該第1ポリシーの実績を補完する第2ポリシーを生成する第2ポリシー生成手段とを具備し、
前記ポリシー送信手段は、前記第2ポリシーを前記無線基地局経由で配下の各移動端末へ送信することを特徴とする請求項8に記載のポリシーサーバ。
【請求項10】
複数の無線インターフェースを備え、コアネットワークへの接続に利用する無線インターフェースを、ポリシーサーバから通知されるポリシーに基づいて制御する移動端末において、
ポリシーを受信するポリシー受信手段と、
受信したポリシーに基づいて、コアネットワークへの接続に利用する無線インターフェースを制御するためのシグナリング処置を決定するシグナリング処置決定手段と、
前記決定されたシグナリング処置を実行するシグナリング処置実行手段とを具備したことを特徴とする移動端末。
【請求項11】
前記シグナリング処置を決定するための情報を記憶する記憶手段を具備し、
前記シグナリング処置決定手段は、前記受信したポリシーおよび前記記憶手段に記憶された情報に基づいてシグナリング処置を決定することを特徴とする請求項10に記載の移動端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−38477(P2013−38477A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170632(P2011−170632)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】