説明

ポリビニルアセタールフィルムおよびその用途

【課題】
合わせガラス用中間膜として用いた場合に得られる合わせガラスの黄変度が低く外観に優れ、太陽電池や機能性ユニットを有する合わせガラス等の高寿命化を達成し得る封止材や中間膜として有用であり、さらにはフィルム中の腐食原因物質量が少なく、高温でのラミネートが可能で生産性に優れたポリビニルアセタールフィルムおよびそれを用いた太陽電池モジュールおよび合わせガラスを提供すること。
【解決手段】
ビニルアルコール単位量が12〜34モル%であり、酢酸ビニル単位量が4モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上で、且つ、所定の化学式で表され、且つ酸価が3meq/kg以下である可塑剤を15〜60質量部含有し、かつ塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計50ppm以下である可塑化ポリビニルアセタールフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールおよびエレクトロクロミック機能またはエレクトロルミネッセンス機能を有する合わせガラス等、酸成分による腐食の影響を受けやすい物質を含む、ガラスとの積層体に使用されるポリビニルアセタールフィルムおよびその製造方法、並びにそのフィルムを用いてなる太陽電池モジュールおよび合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは通常、外部からの影響に対する保護のために透明な覆いを有する光電性の半導体層(以下、太陽電池セルユニットと称することがある。)を有する。該太陽電池セルユニットは、しばしばガラス板と、ガラス等の硬質カバープレートまたはバックシートとの間に設置され、ガラス等への接着性を有する封止材によって固定される。
【0003】
太陽電池セルユニットは極めて壊れやすいため、たとえば、特開昭58−023870号公報(特許文献1)または特開平06−177412号公報(特許文献2)に記載されているように、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと称することがある。)または硬化性注型樹脂をベースとする架橋性の封止材が使用されている。これらの封止材は硬化していない状態では、太陽電池セルユニットを包囲するような低い粘度に調整することができる。このようにして太陽電池セルユニットを覆った後、硬化剤または架橋剤により架橋反応することで、あるレベル以上の力学的強度を示す封止材となる。
【0004】
しかしながら、EVAを用いた太陽電池モジュールにおいては、EVAの加水分解または熱分解で生じる酢酸による金属成分の腐食が問題となっている。また、硬化前の粘度が低いため、ガラス端部よりEVAが流れ出し、ラミネート装置やガラス面を汚してしまうといった問題点もある。なお、硬化性注型樹脂は、太陽電池セルユニットの埋め込みと硬化の制御が非常に困難であったり、太陽電池モジュールの作製から数年後に気泡が発生する、剥離するといった問題が生じやすいため、太陽電池用封止材として殆ど採用されていない。
【0005】
また、特開2006−013505号公報(特許文献3)等に記載されている通り、熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール(以下、PVBと称することがある。)樹脂をベースとするフィルムも封止材として使用される。PVBは酸成分を生じる原因となる酢酸残基の含有量が少量であるため、EVAに比べて金属成分の腐食を起こし難いという利点がある。また、熱可塑性樹脂であるため、流動開始温度での粘性が高く、ガラス端部から樹脂が流れ出て装置やガラス面を汚すおそれも少ない。さらに、力学的強度の観点からも、PVB樹脂を含むフィルムはガラスに対する接着性および耐貫通性が優れており、自動車のフロントガラスや建築用安全合わせガラスの中間膜としても使用できる。
【0006】
通常、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタールを太陽電池用封止材や合わせガラス用中間膜に用いる場合、可塑剤が添加される。使用される可塑剤としては、例えば、特開2004−250254号公報(特許文献4)には、数平均分子量が1000以上、重量平均分子量が2000以上のアクリル系重合体が記載されている。また、特許文献4には、一般に自動車、航空機、建築物の窓等に使用される合わせガラスは、比較的低真空度で行なわれる真空バッグ法や真空リング法、または常圧下に行われるニップロール法や熱プレス法により製造されるため、低分子量の揮発性物質が問題となることが記載されている。また、国際公開第2009/135928号(特許文献5)には、シクロヘキサンジカルボン酸エステル(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)10〜40質量%を含有する、Tgが74℃以下の可塑化ポリビニルアセタールフィルムが開示されている。この可塑剤はポリビニルアセタールフィルムとの相容性に優れ、得られるフィルムは、寒冷下でも柔軟性を維持することができるものである。
【0007】
高真空条件下で行なわれる真空ラミネーターを用いた方法については、特開平10−214987号公報(特許文献6)や特開昭61−069179号公報(特許文献7)に記載されている。
【0008】
揮発成分量の少ないポリビニルアセタール樹脂については、例えば、特開2001−072445号公報(特許文献8)には、100℃の雰囲気下で1時間放置した後の揮発性物質の合計量が30ppm以下である合わせガラス用中間膜が記載されている。また、特開2006−047974号公報(特許文献9)には、2−エチル−2−ヘキセナールの含有量が60ppm以下である熱現像性感光材料用ポリビニルアセタール樹脂が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭58−023870号公報
【特許文献2】特開平06−177412号公報
【特許文献3】特開2006−013505号公報
【特許文献4】特開2004−250254号公報
【特許文献5】国際公開第2009/135928号
【特許文献6】特開平10−214987号公報
【特許文献7】特開昭61−069179号公報
【特許文献8】特開2001−072445号公報
【特許文献9】特開2006−047974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年の太陽電池モジュールにおける最大の課題は、火力や原子力による発電コストと同程度かそれ以下の発電コストを達成することである。コスト削減の重要な要因としては、太陽電池モジュールの生産ロスの低減、生産性の向上および長期安定性が挙げられる。そして、生産ロスを低減させるためには、ラミネート設備の故障や汚れを減らすことが重要であり、生産性を向上させるためには、ラミネート温度を高くする方法が挙げられる。さらに、太陽電池モジュールの長期安定性、すなわち高寿命化を達成するためには、電極等の金属腐食を抑えることが重要である。腐食に影響を与える因子として、最も重要なのは酸成分である。ポリビニルアセタールフィルムにおいては、EVAフィルムとは異なり、加水分解や熱分解によりカルボン酸を生じる原因となるカルボン酸エステルは少量しか存在しないが、原料由来のアルデヒド類がフィルム中に残存しており、これらの成分が酸化によってカルボン酸に変わる。また、ポリビニルアセタールフィルム中に含まれる可塑剤の加水分解または熱分解によってもカルボン酸成分が生じるなどして、腐食の原因となることがわかった。
【0011】
そこで、本発明者らは、太陽電池モジュールの生産ロスの低減、生産性の向上および長期安定性という課題に対して、封止材として用いられるポリビニルアセタールフィルムの酸価に着目し、検討を行った。
【0012】
なお、特許文献1〜9には、いずれにも酸価の低いポリビニルアセタールフィルムについて何ら記載されていない。また、そのような特定のポリビニルアセタールフィルムを、特に酸による腐食の影響を受けやすい太陽電池用封止材として用いるのが好ましいことについても記載も示唆もされていない。
【0013】
具体的には、特許文献3に記載されているPVB樹脂中には、使用したアルデヒド由来のカルボン酸成分、ポリマーの加水分解または熱分解により生じる酢酸等のカルボン酸成分、ポリマーの酸化解裂により生じる末端カルボン酸成分、可塑剤の加水分解または熱分解により生じるカルボン酸成分等が存在する。そして、このようなカルボン酸成分は、太陽電池やその他の機能性ユニットを有する合わせガラスを長期使用した場合に、太陽電池の発電効率やエレクトロルミネッセンス機能を低下させる原因となる。
【0014】
そして、内部に太陽電池セルや機能性ユニットを有する太陽電池モジュールや機能性合わせガラスのように内部に凹凸を有するユニットを有する場合は、特許文献4に記載されている方法により効率的に製造することは困難である。また、特許文献6および7に記載された方法では、EVAフィルムを用いた例しか記載されておらず、ポリビニルアセタールフィルムへの適用例は条件設定も含め何ら記載されていない。
【0015】
さらには、太陽電池モジュール製造におけるラミネート工程は、真空条件下で120〜160℃程度に加熱されることから、特許文献8に記載されているような100℃における揮発性物質量が少ないポリビニルアセタール樹脂を用いても、より高温下での揮発物質量を抑えられない。また、特許文献8の目的は臭気を低減することであり、本発明の目的である、泡の生成やラミネート装置への負荷、太陽電池や機能性合わせガラスの腐食等に関する記載はない。そして、特許文献9には、ポリビニルアセタール樹脂フィルム、並びにそれを用いた合わせガラスおよび太陽電池についての記載はない。
【0016】
したがって、本発明の課題は、フィルム中の腐食原因物質量が少なく、ラミネート時に泡が残り難く、ラミネート装置の腐食が低減され、ラミネート用真空ポンプの負荷が低減され、真空ラミネーターや得られるモジュールが揮発成分により汚されることなく高い生産性を与えることのできる、酸価の低いポリビニルアセタールフィルムを提供することである。同時にそれを用いた太陽電池モジュールおよび合わせガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ビニルアルコール単位量が12〜34モル%であり、酢酸ビニル単位量が4モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上で、且つ、下記化学式(1):
【化1】

(式中、Rは酸素原子を含んでいてもよい2価の飽和炭化水素基である。RおよびRは酸素原子を含んでいてもよい直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。XおよびYはCOOまたはOCO結合であり、同一であっても異なっていてもよい。)で表され、且つ酸価が3meq/kg以下である可塑剤を15〜60質量部含有し、かつ塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計50ppm以下である可塑化ポリビニルアセタールフィルムが、上記課題を解決するものである。
【0018】
フィルムの酸価が5.0meq/kg以下であることが好ましい。
【0019】
140℃で4時間加熱した後の酸価が10.0meq/kg以下であることが好ましい。
【0020】
可塑剤の分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が29よりも大きいことが好ましい。
【0021】
塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計25ppm以下であることが好ましい。
【0022】
ポリビニルアセタール樹脂の酸価が3.0meq/kg以下であることが好ましい。
【0023】
ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上の可塑剤15〜60質量部を混合し、成形することを特徴とする、前記可塑化ポリビニルアセタールフィルムを製造する製造方法も、上記課題を解決するものである。
【0024】
このとき、可塑剤は、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が29よりも大きいことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の平均一次粒子径が10μm以下であることが好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂のアルカリタイター値が0.1〜30であり、酸価が3.0meq/kg以下であることが好ましい。さらに、上記ポリビニルアセタール樹脂の塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計100ppm以下であることが好ましい。
【0025】
前記可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法では、ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂の水溶液に、アルデヒド類を先に添加した後に触媒を添加することで得られたものであることが好ましい。酸価が3.0meq/kg以下であるポリビニルアセタール樹脂に対し、酸価が10.0meq/kg以下である可塑剤を混合し、成形することが好ましい。
【0026】
前記可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法では、減圧により揮発成分を除去しながらポリビニルアセタール樹脂と可塑剤を混合することが好ましい。
【0027】
前記可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法では、成形時の樹脂温度は150〜220℃の範囲であることが好ましい。
【0028】
本発明は、上記可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた太陽電池モジュールをも包含する。このとき、さらに透明性電膜層を有するガラスを含有することが好ましい。
【0029】
本発明は、上記可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた合わせガラスをも包含する。このとき、該フィルムと接する位置に機能性ユニットを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、太陽電池モジュールやエレクトロクロミック機能やエレクトロルミネッセンス機能を有する合わせガラス等、酸成分により腐食を受ける成分を含有するガラス積層体に好適に使用される。このような、本発明のポリビニルアセタールフィルムは、合わせガラス用中間膜として用いた場合に得られる合わせガラスの黄変度が低く外観に優れる。また、本発明のポリビニルアセタールフィルムは、高温でのラミネートが可能であり生産性に優れ、さらには得られる太陽電池モジュールの高寿命化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】製造例1で得られたPVB−1のSEM写真である。
【図2】製造例3で得られたPVB−3のSEM写真である。
【図3】製造例4で得られたPVB−4のSEM写真である。
【図4】実施例7のフィルムを、140℃で加熱したときの酸価の上昇を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムのある形態は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上の可塑剤を15〜60質量部含有する。また、本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの別の形態はポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、可塑剤を15〜60質量部含有し、かつ140℃で4時間加熱した後の酸価が10.0meq/kg以下である。
【0033】
[ポリビニルアセタール樹脂]
本発明に使用されるポリビニルアセタール樹脂は、JIS K6728:1977年の規定に基づき測定したビニルアルコール単位量が12〜34モル%であることが好ましく、15〜32モル%がより好ましく、18〜30モル%がさらに好ましい。ビニルアルコール単位量が34モル%よりも多いと、吸湿性が高くなり、吸収した水による金属腐食や、絶縁性の低下、可塑化ポリビニルアセタールフィルムの基材からの剥離が起こる原因となるおそれがある。一方、ビニルアルコール量が12モル%よりも少ないと、力学的強度の低下、基材への接着性不良等の問題が生じるおそれがある。
【0034】
本発明に使用されるポリビニルアセタール樹脂は、JIS K6728:1977年の規定に基づき測定した酢酸ビニル単位量が4モル%以下であることが好ましく、2モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらに好ましい。酢酸ビニル単位量が4モル%を超えると、熱による分解、水分による加水分解により、腐食性物質である酢酸が発生するおそれがある。また、酢酸の脱離によるオレフィンの生成により、ポリビニルアセタール樹脂が着色し易くなるおそれがある。
【0035】
本発明に使用されるポリビニルアセタール樹脂は、21.6kg負荷の状態で、150℃(2mmのノズル)で測定したメルトフローレートが15〜40g/10分であることが好ましく、20〜35g/10分がより好ましい。また、それに加えて、120℃で測定したメルトフローレートが0.5〜5g/10分であることが好ましく、1〜4g/10分がより好ましい。さらに、それに加えて、100℃で測定したメルトフローレートが0.05〜1g/10分であることが好ましく、0.10〜0.6g/10分がより好ましい。
【0036】
ポリビニルアセタール樹脂は、水の存在下、酸により分解してアルデヒド類を生じるため、アルカリタイター値が正の値になるよう、調整することが好ましい。アルカリ洗浄後のポリビニルアセタール樹脂のアルカリタイター値は、0.1〜30であることが好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルカリタイター値が0.1未満であると、耐加水分解性が低下するおそれがあり、逆にアルカリタイター値が30を超えると、フィルム製造時に着色が起こりやすくなるおそれがある。ここで、アルカリタイターとは、100gのポリビニルアセタール樹脂中のアルカリ滴定に要する0.01モル/L塩酸量で規定される値(mL)である。
【0037】
また、ポリビニルアセタール樹脂の酸価は3.0meq/kg以下であることが好ましく、1.5meq/kg以下がより好ましく、1.0meq/kg以下がさらに好ましく、0.7meq/kg以下が特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の酸価が3.0meq/kgを超える場合、得られる可塑化ポリビニルアセタールフィルム中の酸成分量が多くなって着色したり、該可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた太陽電池などの電極が腐食し、寿命を低下させる原因となることがある。ここで、酸価の測定方法は、JIS K6728:1977年の規定に記載の方法による。ポリビニルアセタール樹脂の酸価を3.0meq/kg以下とするためには、ポリビニルアセタール樹脂の原料であるポリビニルアルコール樹脂の水溶液に、アルデヒド類を先に添加した後に低温で触媒を添加したり、攪拌効率を高めたり、界面活性剤を使用するなどして、洗浄しやすい多孔質状のポリビニルアセタール樹脂を生成させる方法、反応後の水洗時に水溶性有機溶剤を併用する方法、エポキシ化合物などの酸と容易に反応する化合物を添加する方法、樹脂を溶剤に溶解して透析膜などを用いて精製する方法などが挙げられる。これらの中でも、工程簡略化の観点から、多孔質状のポリビニルアセタール樹脂を生成させる方法が特に好ましく、原料であるポリビニルアルコール樹脂の水溶液に、アルデヒド類を先に添加した後に低温で触媒を添加する方法が特に好適に採用される。
【0038】
本発明に使用されるポリビニルアセタール樹脂中に含まれる、アセタール化触媒由来の塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの合計量は、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、20ppm以下であることがさらに好ましい。これらの強酸イオンの含有量が100ppmを超えると、太陽電池モジュール等に使用される金属成分が腐食するおそれがある。
【0039】
本発明で使用されるポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂とアルデヒド類とから、公知の方法により製造されるものである。
【0040】
ポリビニルアルコール樹脂としては、例えば、ビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解等が適用でき、この中でもメタノールを溶媒とし苛性ソーダ(NaOH)触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。本発明に使用されるポリビニルアルコール樹脂のけん化度には特に制限はないが、分解により生じるカルボン酸量を低減する観点から、95モル%以上であることが好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。
【0041】
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
【0042】
また、前記ビニルエステル系単量体を重合する場合、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体と共重合させることもできる。使用し得る単量体の例としては、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその塩、そのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。これらの単量体単位は通常ビニルエステル系単量体に対して20モル%未満、より好ましくは10モル%未満の割合で用いられる。
【0043】
前記ビニルエステル系単量体を重合する場合、チオ酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物や、その他の連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。
【0044】
一方、アルデヒド類としては、炭素数1〜12のアルデヒド化合物が通常用いられ、好ましくは炭素数1〜6の飽和アルキルアルデヒド化合物であり、より好ましくは炭素数1〜4の飽和アルキルアルデヒド化合物である。これらのアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。アルデヒド類は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、多官能アルデヒド類やその他の官能基を有するアルデヒド類等を全アルデヒド類の20質量%以下の範囲で少量併用してもよい。これらの中でも、ブチルアルデヒドが太陽電池や合わせガラスの用途に使用される際のフィルムの力学物性の観点から好ましい。
【0045】
ポリビニルアセタール樹脂の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、ポリビニルアルコール樹脂溶液中で、アルデヒド化合物を酸性条件下に反応させる方法が挙げられる。
【0046】
ポリビニルアセタール樹脂を製造するための溶媒には、特に制限はないが、工業的に大量に製造する上で、水を用いることが好ましく、ポリビニルアルコール樹脂を反応前に予め高い温度、例えば90℃以上の温度で充分に溶解しておくことが好ましい。また、水溶液の濃度は、5〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、8〜15質量%がさらに好ましい。濃度が5質量%未満であると、生産性が悪くなるおそれがある。一方、濃度が40質量%を超えると、反応中の攪拌が困難となり、またポリビニルアルコール樹脂の分子間水素結合によるゲル化が起こり、反応にむらができるおそれがある。
【0047】
ポリビニルアルコール樹脂水溶液に、アルデヒド類を反応させるための触媒としては、特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。中でも無機酸が好ましく、特に塩酸、硫酸および硝酸が、充分な反応速度が得られることや、反応後の洗浄が容易であることから好ましい。反応に使用する酸の濃度は、用いる酸の種類によるが、塩酸、硫酸および硝酸の場合、0.01〜5モル/Lであることが好ましく、0.1〜2モル/Lがより好ましい。酸の濃度が0.01モル/L未満であると反応速度が遅く、目的のアセタール化度、目的の物性のポリビニルブチラール樹脂を得るのに時間がかかるおそれがある。酸の濃度が5モル%を超えると、反応を制御することが困難であると共に、アルデヒドの2量体や3量体が生成しやすくなるおそれがある。
【0048】
反応の手順としては公知の方法が挙げられるが、例えば、ポリビニルアルコール樹脂水溶液に上記触媒を添加してからアルデヒド類を添加する方法、アルデヒド類を先に添加した後に上記触媒を添加する方法等が挙げられるが、この中でも、アルデヒド類を先に添加した後に上記触媒を添加する方法が、ポリビニルアセタール樹脂の酸価をより低くすることができるため好ましい。また、添加するアルデヒド類または酸触媒を、一括添加、逐次添加または分割添加する方法や、酸触媒またはアルデヒド類を含む溶液にポリビニルアルコール水溶液とアルデヒド類または酸触媒の混合溶液を添加する方法等も挙げられる。
【0049】
反応温度としては特に制限はないが、後述のフィルム製造工程を考慮すると、反応後に洗浄しやすい、多孔質状のポリビニルアセタール樹脂を生成させることが好ましい。このようなポリビニルアセタール樹脂を得るためには、反応途中でポリビニルアセタール粒子が析出するまでは0〜40℃の比較的低温で反応を行うことが好ましく、5〜20℃がより好ましい。反応温度が40℃を超えると、ポリビニルアセタール樹脂が融着し、多孔質状にならないおそれがある。その後、反応を追い込んで生産性を上げるため、反応温度を50〜80℃とすることが好ましく、65〜75℃がより好ましい。
【0050】
上述のとおりポリビニルアセタール樹脂の粒子は、残存する酸やアルデヒド類等を効率的に除去するため、多孔質状であることが好ましい。特に、ポリビニルアセタール樹脂の平均一次粒子径が10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の平均一次粒子径が10μmよりも大きくなると、粒子内部に残存する酸成分を除去しにくいため、得られる樹脂の酸価が高くなり、太陽電池用封止材などとして使用した場合に金属腐食が進みやすくなる傾向にある。また、一次粒子同士が必要以上に融着せず、多孔質形状を保持していることが好ましい。一次粒子同士の融着が必要以上に進むと、結果として多孔質形状を失い、内部に残存する酸を除き難くなる。多孔質状のポリビニルアセタール樹脂を得るには、反応温度のみならず、反応液の粘度、攪拌速度、攪拌翼の形状、反応容器形状、反応速度、触媒およびアルデヒド類の添加方法を調整することも重要である。
【0051】
反応後に残存アルデヒドおよび残存酸触媒を除去する方法としては、公知の方法が挙げられる。例えば、反応により得られたポリビニルアセタール樹脂は、アルカリ化合物により中和されるが、アルカリ中和前に、樹脂中に残存するアルデヒド類をできるだけ除去しておくことが好ましい。このため、アルデヒドの反応率が高くなる条件で反応を追い込む方法、水または水/アルコール混合溶媒等により充分に洗浄する方法、化学的にアルデヒドを処理する方法等が有用である。アルカリ中和に使用されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物やアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、着色低減の観点から無機金属の水酸化物が好ましく、ガラスとの接着性に影響を与え難いアルカリ金属の水酸化物が特に好ましい。
【0052】
[可塑剤]
本発明に使用される可塑剤において、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数は28以上であり、29よりも大きいことが好ましく、30よりも大きいことがさらに好ましく、31よりも大きいことが特に好ましい。可塑剤の分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28未満である場合、熱分解や加水分解による酸価の上昇傾向が強くなって可塑化ポリビニルアセタールフィルム中の酸の濃度が高くなるおそれがある。また、真空ラミネーターの温度を高くしたり高真空にしたりすると可塑剤が揮発するため、ラミネート時間が長くなり、生産性が悪くなるとともに可塑化ポリビニルアセタールフィルム中の酸の濃度も高くなる。
【0053】
また、本発明に使用される可塑剤の200℃における蒸気圧は、1.9mmHg以下であることが好ましく、1.0mmHg以下がより好ましく、0.5mmHg以下がさらに好ましい。蒸気圧が1.9mmHgを超える場合、真空ラミネート工程で可塑剤が揮発し、得られる太陽電池モジュールや合わせガラス内に泡が生じたり、ラミネーター装置内を汚してしまったり、真空ポンプを痛めたりすることがある。
【0054】
本発明に使用される可塑剤は、酸価が10.0meq/kg以下であることが好ましく、5.0meq/kg以下がより好ましく、3.0meq/kg以下がさらに好ましく、1.0meq/kg以下が特に好ましい。酸価が10.0meq/kgを超える場合、可塑化ポリビニルアセタールフィルムが着色したり、分解ガスが生じることがあり、また得られる太陽電池などの寿命が短くなることがある。ここで、酸価の測定方法は、JIS K6728:1977年の規定に記載の方法による。なお、可塑剤の酸価は主としてその構造に由来するが、ポリビニルアセタール樹脂に混合する前に予め、蒸留や吸着、反応、洗浄等の処理方法によって不純物として含まれる酸成分を取り除いておくことも好ましい。この場合、処理前の酸価が0.5〜10meq/kgである可塑剤を用いることで、特に処理による効果が発揮される。
【0055】
本発明に使用される可塑剤は、好ましくは下記化学式(1):
【化2】

(式中、Rは酸素原子を含んでいてもよい2価の飽和炭化水素基である。RおよびRは酸素原子を含んでいてもよい直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。XおよびYはCOOまたはOCO結合であり、同一であっても異なっていてもよい。)で表される。R、RおよびRは、例えば、エーテル結合を含むようなものであっても良い。Rを構成する炭素原子および酸素原子の総数は、4〜32であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。Rを構成する炭素原子および酸素原子の総数が4より小さくなると、揮発性が高くなる傾向にあり、32より大きくなると、可塑化効果が低くなる傾向にある。一方、RおよびRを構成する炭素原子および酸素原子の総数は、4〜32であることが好ましく、8〜20であることがより好ましく、10〜15であることがより好ましい。RおよびRを構成する炭素原子および酸素原子の総数が4より小さくなると、揮発性が高くなったり、可塑剤の自由度が低くなることで可塑化効果が低くなる傾向にあり、32より大きくなると、質量当たりの可塑剤のモル数が減少するため、やはり可塑化効果が低くなる傾向にある。
【0056】
本発明で使用される可塑剤としては、特に制限はないが、例えば、エチレングリコール平均繰り返し単位nが5以上のオリゴエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(例:n=9:9GO)、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジ(2−ブトキシエチル)アジペート(DBEA)、ジ(2−ブトキシエチル)セバケート(DBES)、ジ(2−ブトキシエチル)アゼライネート、ジ(2−ブトキシエチル)グルタレート、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)アジペート(DBEEA)、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)セバケート(DBEES)、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)アゼライネート、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)グルタレート、ジ(2−ヘキソキシエチル)アジペート、ジ(2−ヘキソキシエチル)セバケート、ジ(2−ヘキソキシエチル)アゼライネート、ジ(2−ヘキソキシエチル)グルタレート、ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)アジペート、ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)セバケート、ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)アゼライネート、ジ(2−ヘキソキシエトキシエチル)グルタレート、シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DINCH)、ジ(2−ブトキシエチル)フタレート、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)フタレート等が挙げられる。これらの可塑剤の1種のみを使用してもよいし、2種以上の可塑剤を併用してもよい。これらの中でも、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上の可塑剤を用いることにより、特に後述する可塑化ポリビニルアセタールフィルムの加熱後の酸価を低くすることができるため好ましい。このような可塑剤としては、例えば、エチレングリコール平均繰り返し単位nが5以上のオリゴエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(例:n=9:9GO)、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)アジペート(DBEA)、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)セバケート(DBES)等が挙げられる。
【0057】
より好ましくは、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO、沸点:344℃)よりも高沸点の可塑剤が使用される。このような可塑剤としては、例えば、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(沸点:499℃)、オリゴエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)アジペート(沸点:230−240℃/0.27kPa)、ジ(2−ブトキシエトキシエチル)セバケート(DBEES、沸点:≧240℃/0.27kPa)、シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(沸点:270℃/2kPa)等が挙げられる。これらの可塑剤の1種のみを使用してもよいし、2種以上の可塑剤を併用してもよい。
【0058】
可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、15〜60質量部である必要があり、20〜40質量部がより好ましい。可塑剤の含有量が60質量部を超える場合、粘着性による取扱い性不良や、フィルム強度の低下等が起こる。一方、可塑剤の含有量が15質量部未満である場合、低温での耐貫通性が低下するおそれがある。
【0059】
[可塑化ポリビニルアセタールフィルム]
本発明のある態様では、可塑化ポリビニルアセタールフィルムの酸価は、5.0meq/kg以下であることが必要であり、3.0meq/kg以下が好ましく、2.0meq/kg以下がより好ましく、1.5meq/kg以下がさらに好ましい。酸価が5.0meq/kgを超える場合、モジュール製造装置および得られる太陽電池や機能性合わせガラス中の金属成分の腐食原因となる。可塑化ポリビニルアセタールフィルムの酸価を5.0meq/kg以下とするためには、酸価が低いポリビニルアセタール樹脂および可塑剤を使用し、充分に乾燥させた状態で混合しできるだけ低温で溶融混練する方法があげられる。また、本発明の別の態様では、140℃で4時間加熱した後の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの酸価が10.0meq/kg以下であることが必要であり、8.0meq/kg以下が好ましく、7.0meq/kg以下がより好ましい。ここで、酸価の測定方法は、JIS K6728:1977年の規定に記載の方法による。140℃で4時間加熱した後の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの酸価を10.0meq/kg以下とするためには、酸価が低いポリビニルアセタール樹脂および可塑剤を使用することが好ましい。ここで、特にポリビニルアセタール樹脂は多孔質状で可塑剤吸収性に優れたもの、そして可塑剤は分子を構成する炭素原子と酸素原子の総数が28以上のものがそれぞれ好ましい。そして、このような原料を充分に乾燥させた状態で混合し、できるだけ低温で溶融混練する方法があげられる。また、適度に中和されていることも好ましく、具体的にはアルカリタイター値を前述の通りの値とすることが好ましい。
【0060】
一例として、後述する実施例7のフィルムを用いて140℃で加熱したときの酸価の上昇を図4に示す。図4に示すとおり、酸価は指数関数的に増加する。一方、ラミネート速度を速くするためには、加熱温度を高くする必要があり、酸価が5.0meq/kgより高い可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた場合、フィルム中の酸価が急激に増加することとなる。酸成分は、該可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いて製造された太陽電池や機能性ユニットを有する合わせガラスの太陽電池セルや透明電極、金属電極等を腐食させる原因となり、これらの機能を持続する寿命が短くなりやすい。
【0061】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸
イオンの含有量は、50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下がより好まし
い。これらの強酸イオンの含有量が50ppmを超えると、フィルムが着色したり、太陽
電池モジュール等に使用される金属成分が腐食するおそれがある。
【0062】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの厚さは、特に制限はないが、0.38〜2.28mmが好ましい。0.38mmより薄い場合は、太陽電池セルや機能性ユニットの周りの空間を充分に封止することができないおそれがある。一方、2.28mmより厚い場合は、フィルム自体のコストが高くなり、またラミネート工程のサイクルタイムも長くなるおそれがある。
【0063】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、21.6kg負荷の状態で、150℃(2mmのノズル)で測定したメルトフローレートが15〜40g/10分であることが好ましく、20〜35g/10分がより好ましい。メルトフローレートが15g/10分未満の場合、流動性が低すぎて、合わせガラスまたは太陽電池モジュールの製造時にラミネート時間が長くなったり、合わせガラス内部に泡が残るおそれがある。一方、40g/10分を超える場合、合わせガラスまたは太陽電池モジュールが外力によって破損したときに、物体が貫通するのを防ぐための充分なフィルム強度を発揮できなかったり、ラミネート時に端部から樹脂がはみ出し、ラミネート装置を汚すおそれがある。このようなメルトフローレートを有する可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いることにより、ラミネート工程において太陽電池セルや機能性ユニット、および、それらの配線等の間の空間を充分に封止することができ、気泡や継ぎ目を生じず、光学的に問題のない製品が得られる。
【0064】
また、本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで、120℃で30分加熱した後にフィルムに含まれるアルデヒドの3量体およびそれよりも低沸点の有機揮発分の合計量が500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下が特に好ましく、50ppm以下が最も好ましい。特に、酸化によりカルボン酸を生じるアルデヒドの単量体、2量体および3量体の合計量が300ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下がさらに好ましく、100ppm以下が特に好ましく、50ppm以下がより好ましい。
【0065】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性調整剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、機能性無機化合物等が、必要に応じて添加される。
【0066】
使用される酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0067】
フェノール系酸化防止剤の例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
【0068】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましい。
【0069】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0070】
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
【0071】
これらの酸化防止剤を添加するタイミングには特に制限はないが、予めポリビニルアセタール樹脂および可塑剤に全酸化防止剤量の一部を添加しておくことが好ましい。例えば、本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを得るためには、原料となるポリビニルアセタール樹脂の製造の際にも酸化防止剤を添加しておくことがより好ましい。また、原料となる可塑剤にも、酸化防止剤が添加されていることが好ましい。
【0072】
使用される紫外線防止剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、ポリビニルアセタール樹脂に対して質量基準で10〜50000ppmであることが好ましく、100〜10000ppmの範囲がより好ましい。また、これら紫外線吸収剤は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0073】
使用される接着性調整剤としては、例えばWO03/033583A1に開示されているものを使用することができ、有機酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩が好ましく、酢酸カリウムおよび/または酢酸マグネシウムがより好ましい。添加量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、質量基準で1〜10,000ppmであることが好ましく、5〜1,000ppmがより好ましく、10〜300ppmがさらに好ましい。接着性調整剤の最適な添加量は、使用する添加剤によって異なり、また得られる太陽電池モジュールや合わせガラスが使用される場所によっても異なるが、得られるフィルムのガラスへの接着力が、パンメル試験(Pummel Test;WO03/033583A1等に記載)において、一般には3〜10となるように調整することが好ましく、特に高い耐貫通性を必要とする場合は3〜6、高いガラス飛散防止性を必要とする場合は7〜10となるように調整することが好ましい。高いガラス飛散防止性が求められる場合は、接着性調整剤を添加しないことも有用な方法である。
【0074】
機能性無機化合物としては、例えば、光反射材料、光吸収材料、熱伝導性改良材料、電気特性改良材料、ガスバリア性改良材料、力学物性改良材料等が挙げられる。
【0075】
これらの添加剤を適宜添加し、フィルムを製造する方法は特に制限はなく、公知の方法が用いられるが、押出機を用いてフィルムを製造する方法が好適に用いられる。押出し時の樹脂温度は150〜220℃が好ましく、180〜220℃がより好ましい。樹脂温度が220℃を超えると、ポリビニルアセタール樹脂が分解を起こし、揮発性物質の含有量が多くなるおそれがある。逆に温度が150℃未満であると、やはり揮発性物質の含有量は多くなるおそれがある。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から減圧により、揮発性物質を除去することが好ましい。
【0076】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、ラミネート工程での脱気性を高めるため、表面に凹凸を設けることが好ましい。凹凸を設ける方法としては、従来公知の方法が使用でき、例えば押出し条件を調整することによりメルトフラクチャー構造を設ける方法、押出したフィルムにエンボス構造を付与する方法等が挙げられる。
【0077】
本発明の太陽電池モジュールは、公知の方法により製造され、封止材として本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムが使用される。
【0078】
本発明の太陽電池モジュールに使用される太陽電池セルのタイプとしては、特に制限はないが、結晶型セルと薄膜型セル等が挙げられる。結晶型セルとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン等が挙げられ、薄膜型セルとしては、アモルファスシリコンおよびそれと多結晶薄膜等との積層物等の薄膜シリコンタイプ、CIS、CIGS、CdTe、GaAs等を使用した化合物半導体タイプ、その他、有機太陽電池タイプ等が挙げられる。
【0079】
結晶型セルの場合、本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、封止材として、ガラス等の表面透明基板と結晶型セルの間、および/または、結晶型セルと裏面ガラスまたはバックシートとの間に挿入され、ラミネートされて本発明の太陽電池モジュールを得ることができる。また、薄膜タイプのいわゆるスーパーストレートタイプの場合、太陽電池セルが装着された表面透明基板と裏面ガラスまたはバックシートとの間に封止材として挿入される。サブストレートタイプの場合は、表面透明基板と、太陽電池セルが装着された基板との間に封止材として挿入される。さらに、これらの積層体に対して、さらに透明基板やバックシートとその他の補強基板等との接着層として本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを使用することもできる。
【0080】
本発明の太陽電池モジュールに使用されるガラスは特に限定されないが、透明導電膜層を有するガラスが本発明の効果を奏しやすいため特に好ましい。透明導電膜層は、ITO(インジウムドープ酸化スズ)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を含んでいてもよい。これらの層は、公知の種々の成膜手法を採用することにより作製することができる。
【0081】
本発明の太陽電池モジュールは、上記封止材の全てまたは一部に本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを使用する以外は、太陽電池モジュールの構造として公知の構造をとることができる。
【0082】
使用されるバックシートは、特に制限はないが、耐候性に優れ、透湿度の低いものが好ましく使用され、ポリエステル系フィルム,フッ素系樹脂フィルム、それらの積層物、および、それらに無機化合物が積層されたもの等が使用できる。
【0083】
使用されるバックシートは、可塑化ポリビニルアセタールフィルムとのラミネート体に加工した際に、180℃における剥離試験での剥離強度が5N/cm以上であることが好ましく、7N/cm以上がより好ましく、10N/cm以上がさらに好ましい。
【0084】
本発明の合わせガラスは、2枚以上のガラスの間に本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを挿入し、積層したものである。特に、可塑化ポリビニルアセタールフィルムと接する位置に機能性ユニットを備える合わせガラスが有用である。
【0085】
機能性ユニットとしては、熱センサー、光センサー、圧力センサー、薄膜静電容量センサー、液晶表示フィルム、エレクトロクロミック機能膜、エレクトロルミネッセンス機能膜、発光ダイオード、カメラ、ICタグ、アンテナ、およびそれらを接続するための電極、配線等が挙げられる。
【0086】
使用されるガラスは、特に制限はないが、フロートガラス、強化ガラス、網入りガラス、有機ガラス等が使用できる。ガラスの厚さは特に制限はないが、1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
【0087】
その他、本発明の太陽電池モジュールまたは合わせガラスには、公知のフレームやジャンクションボックス、シーリング剤、取り付け治具および架台、反射防止膜、太陽熱を利用した各種設備、雨樋構造等と組み合わせることが可能である。
【0088】
太陽電池モジュールまたは合わせガラスを得るためのラミネート方法は、公知の方法を採用することが可能であり、例えば、真空ラミネーター装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に、オートクレーブ工程に投入する方法も付加的に行うことができる。
【0089】
その中でも、真空ラミネーター装置を用いる方法が特に有効である。例えば、太陽電池製造に用いられる公知の装置を使用し、1〜30,000Paの減圧下、100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度でラミネートされる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えばEP1235683B1に記載されており、約20,000Paの圧力下、130〜145℃でラミネートされる。
【0090】
本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた合わせガラスや太陽電池モジュールの製造では、可塑剤としてジ−n−ヘキシルアジペート(DHA)を用いた場合よりも、高温でラミネートすることができ、ラミネート速度を高めることが可能である。
【0091】
本発明の太陽電池モジュールまたは合わせガラスは、窓、壁、屋根、サンルーム、防音壁、ショーウィンドー,バルコニー、手すり壁等の部材として、または会議室等の仕切りガラス部材等として使用でき、家電製品としての利用として使用することもできる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されない。なお、以降の実施例において、「%」および「部」は、特に記載がない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。
【0093】
本実施例で作製したポリビニルブチラール(PVB)樹脂の諸物性の測定は、以下の方法に従った。
【0094】
(PVB樹脂における酢酸ビニル単位の含有率)
JIS K6728:1977年の規定に基づき測定した。
【0095】
(PVB樹脂におけるビニルアルコール単位の含有率)
JIS K6728:1977年の規定に基づき測定した。
【0096】
(PVB樹脂のアルカリタイター値)
PVB樹脂のエタノール溶液を塩酸で滴定し、100gのPVB樹脂あたりのアルカリ滴定に要する0.01モル/Lの塩酸量(アルカリタイター値:mL)で評価した。
【0097】
(PVB樹脂およびフィルムにおける酸価の測定)
JIS K6728:1977年の規定に基づき測定した。フィルムについては、試験管中、140℃で4時間加熱した後の酸価も同様に測定した。
【0098】
(PVB樹脂中の揮発分の含有量)
島津製作所製ヘッドスペースガスクロマトグラフィーGC−14B、カラムはジーエルサイエンス株式会社製TC−1(内径0.25mm、長さ30m)を用いて測定した。
【0099】
(PVB樹脂およびフィルムにおける塩化物イオン量)
3%硝酸水溶液1mlに蒸留水10mlとエタノール80mlを加え、これにPVBフィルムサンプル約1gを精秤して加えた。攪拌してサンプルを溶解させた後、0.001モル/Lの硝酸銀水溶液を滴下し、電気伝導度の変化による滴定量からフィルム中の塩化物イオン濃度を求めた。なお、後述の実施例および比較例においては、PVB樹脂を作製する際のアセタール化触媒として塩酸のみを使用しているため、PVB樹脂またはフィルムにおける塩化物イオン量が、それぞれPVB樹脂またはフィルム中に含まれる塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量の合計量に相当する。
【0100】
(PVB樹脂の粒子形状)
PVB樹脂の粒子形状は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。また、PVB樹脂の一次粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、樹脂を1000倍の倍率で3箇所(3枚)撮影して得られた写真から判定可能な一次粒子径を測定(写真1枚につき50点以上)し、その平均値を求めて平均粒子径とした。なお、一次粒子径の測定は、長径を対象にして行った。
【0101】
製造例1
攪拌機を取り付けた2m反応器に、PVA(PVA−1:重合度1700、けん化度99モル%)の7.5質量%水溶液1700kgと、n−ブチルアルデヒド74.6kg、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13kgを仕込み、全体を14℃に冷却した。これに、濃度20質量%の塩酸160.1Lを添加して、PVAのブチラール化を開始した。添加終了後から10分後に昇温を開始し、90分かけて65℃まで昇温し、さらに120分反応を行った。その後、室温まで冷却して析出した樹脂をろ過後、樹脂に対して10倍量のイオン交換水で10回洗浄した。その後、0.3質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて充分に中和を行い、さらに樹脂に対して10倍量のイオン交換水で10回洗浄し、脱水した後、乾燥させ、PVB樹脂(PVB−1)を得た。SEMで観察された粒子形状は、図1に示すとおり、小さな一次粒子がその粒子形状をほぼ保ったままの集合体となっていた。得られたPVB樹脂の分析結果を表1に示す。
【0102】
製造例2
0.5質量%水酸化ナトリウム水溶液を中和に用いた以外は製造例1と同様にして、PVB樹脂(PVB−2)を得た。得られたPVB樹脂の分析結果を表1に示す。
【0103】
製造例3
攪拌機を取り付けた2m反応器に、PVA−1の9.0質量%水溶液1700kgと、濃度20%の塩酸120.1Lを仕込み、全体を14℃に冷却した。これに、n−ブチルアルデヒド89.5kg、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13kgを添加して、PVAのブチラール化を開始した。添加終了後から10分後に昇温を開始し、90分かけて65℃まで昇温し、さらに120分反応を行った。その後、室温まで冷却して析出した樹脂をろ過後、樹脂に対して10倍量のイオン交換水で10回洗浄した。その後、0.3質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて充分に中和を行い、さらに樹脂に対して10倍量のイオン交換水で10回洗浄し、脱水した後、乾燥させ、PVB樹脂(PVA−3)を得た。SEMで観察された粒子形状は、図2に示すとおり、一次粒子が融着し、一次粒子形状の形状が不明確となった集合体となっていた。得られたPVB樹脂の分析結果を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
実施例1
製造例1で得られたPVB樹脂(PVB−1)1kgに対し、パラメトキシフェノール1.0g、オリゴエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(平均エチレングリコール連鎖長:9)(9GO;酸価0.4meq/kg)360gを添加し、小型二軸押出機を用いて厚さ760μm、幅50cmのPVBフィルム(F−1)を製造した。なお、押出機のベント口2つを真空ポンプに接続し、減圧により揮発成分を除去しながら行い、樹脂温度が200℃になるように調整した。分析結果を表2に示す。
【0106】
実施例2
可塑剤としてジ(2−ブトキシエトキシエチル)セバケート(DBEES;酸価0.7meq/kg)360gを用いた以外は実施例1と同様にしてPVBフィルム(F−2)を製造した。分析結果を表2に示す。
【0107】
実施例3
製造例2で得られたPVB樹脂(PVB−2)を用いた以外は実施例2と同様にしてPVBフィルム(F−3)を得た。分析結果を表2に示す。なお、該フィルムはF−1およびF−2に比べ、若干茶色く着色していた。
【0108】
比較例1
製造例3で得られたPVB樹脂(PVB−3)を用いた以外は実施例2と同様にしてPVBフィルム(F−4)を得た。分析結果を表2に示す。
【0109】
比較例2
可塑剤としてジ−n−ヘキシルアジペート(DHA;酸価0.8meq/kg)を使用した以外は、実施例1と同様にしてPVBフィルム(F−5)を製造した。分析結果を表2に示す。
【0110】
(合わせガラスのYI値)
上記の実施例1〜3、並びに、比較例1および2で得られたPVBフィルムを3mm厚のフロートガラス2枚にはさみ、真空バッグ法により合わせガラスを得た。この合わせガラスの黄色度(YI)を、色差計(スガ試験機株式会社製「SM−T」)を用いて測定した。
【0111】
【表2】

【0112】
実施例4〜6
太陽電池モジュールの製造に使用される真空ラミネーター装置(株式会社エヌ・ピー・シー製)を用い、厚さ3mm、縦横50cmの2枚のガラスと、予め水分量を0.45質量%に調整したPVBフィルム(F−1、F−2およびF−3)を用いて合わせガラスのサンプルを作製した。試験は、まず、ラミネーター装置の設定温度を150℃にして、ガラス/PVBフィルム/ガラスの順で重ねたものをラミネートし、得られた合わせガラスの表面を目視により観察した。次いで、ラミネーター装置の設定温度を150℃から5℃ずつ上昇させながら、設定温度毎に、新たに合わせガラスを作製して表面を目視により観察するということを、合わせガラスのガラス表面に揮発分による汚れが発生する温度となるまで、繰り返し実施した。なお、試験は、設定温度ごとにF−1、F−2及びF−3のPVBフィルムを用いた合わせガラスを作製することで、3回ずつ行った。その他のラミネートの条件としては、減圧時の圧力100Pa、減圧時間10分、上部チャンバーを常圧に戻してさらに10分圧着させるものとした。そして、ラミネート温度160℃で得られた合わせガラスからPVBフィルムの一部を取り出し、JIS K6728:1977年の規定に基づき酸価を測定した。また、合わせガラス内に泡や汚れが発生しないラミネート温度の最高値を最高ラミネート温度とすると、実施例4では、最高ラミネート温度は170℃、実施例5および6では、最高ラミネート温度は160℃であった。結果を表3に示す。
【0113】
比較例3
PVBフィルム(F−4)を用いた以外は実施例4と同様にして合わせガラスのサンプルを作製し評価した。比較例3では、最高ラミネート温度は150℃であった。結果を表3に示す。
【0114】
比較例4
PVBフィルム(F−5)を用い、かつ試験の設定温度を140℃から5℃ずつ上昇させた以外は、実施例4と同様にして合わせガラスのサンプルを作製し、評価した。比較例4では、最高ラミネート温度は140℃であった。結果を表3に示す。
【0115】
(ラミネート時の外観)
なお、上記の実施例4〜6、並びに比較例3および4で作製された、各ラミネート温度における合わせガラスの外観を肉眼で以下のように判定した。結果を表3に示す。
判定:基準
A :合わせガラス内の泡および揮発分による合わせガラス表面の汚れが見られない。
B :合わせガラス内に泡が見られる。
C :揮発分による合わせガラス表面の汚れが発生した。
【0116】
【表3】

【0117】
製造例4
攪拌機を取り付けた2m反応器に、PVA−1の7.5質量%水溶液1700kgと、濃度20%の塩酸106.7Lを仕込み、全体を14℃に冷却した。これに、n−ブチルアルデヒド74.6kg、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13kgを添加して、PVAのブチラール化を開始した。添加終了後から10分後に昇温を開始し、90分かけて65℃まで昇温し、さらに120分反応を行った。その後、室温まで冷却して析出した樹脂をろ過後、樹脂に対して10倍量のイオン交換水で5回洗浄した。その後、0.3質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて充分に中和を行い、さらに樹脂に対して10倍量のイオン交換水で10回洗浄し、脱水した後、乾燥させ、PVB樹脂(PVB−4)を得た。SEMで観察された粒子形状は、図3に示すとおり、PVB−1よりも若干大きな一次粒子がその粒子形状をほぼ保ったままの集合体となっていた。得られたPVB樹脂の分析結果を表4に示す。
【0118】
製造例5
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを添加しなかった以外は製造例3と同様にして、PVB樹脂(PVB−5)を得た。得られたPVB樹脂の分析結果を表4に示す。
【0119】
製造例6
ブチルアルデヒドの仕込み量を69.9kgとした以外は製造例1と同様にして、PVB樹脂(PVB−6)を得た。得られたPVB樹脂の分析結果を表4に示す。
【0120】
【表4】

【0121】
実施例7
可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO;酸価0.5meq/kg)360gを用いた以外は実施例1と同様にして、PVBフィルム(F−6)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0122】
実施例8
製造例4で得られたPVB樹脂(PVB−4)を用い、可塑剤としてジ(2−ブトキシエトキシエチル)アジペート(DBEEA;酸価0.3meq/kg)を用いた以外は、実施例1と同様にしてPVBフィルム(F−7)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0123】
比較例5
可塑剤として、原料由来の酸が不純物として多く含まれる3GO(酸価3.9meq/kg)を使用した以外は、実施例7と同様にしてPVBフィルム(F−8)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0124】
参考例6
押出機温度を樹脂温度が230℃となるように調整した以外は、実施例7と同様にして
PVBフィルム(F−9)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0125】
参考例7
押出機に設置されている2つのベント口の内、一つを封鎖して行った以外は、実施例7と同様にしてPVBフィルム(F−10)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0126】
比較例8
製造例5で得られたPVB樹脂(PVB−5)を用いた以外は、実施例7と同様にしてPVBフィルム(F−11)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0127】
比較例9
製造例6で得られたPVB樹脂(PVB−6)を用い、可塑剤としてジブチルアジペート(DBA;酸価0.4meq/kg)を使用した以外は、実施例1と同様にしてPVBフィルム(F−12)を製造した。分析結果を表5に示す。
【0128】
(合わせガラスのYI値)
上記の実施例7および8、比較例5、参考例6および7、並びに比較例8および9で得られたPVBフィルムを3mm厚のフロートガラス2枚にはさみ、真空バッグ法により合わせガラスを得た。この合わせガラスの黄色度(YI)を、色差計(スガ試験機株式会社製「SM−T」)を用いて測定した。
【0129】
【表5】

【0130】
実施例9
実施例1で得たフィルムF−1(縦横30cm)を、バスバー電極が取り付けられたa−Si太陽電池セルが設置された、厚さ3mm、縦横30cmのフロートガラスと、もう1枚の同じ厚み、大きさのガラスとの間に配して真空ラミネーターを用いて封止し、さらうにジャンクションボックスを取り付け太陽電池モジュールとした。得られた太陽電池モジュールについて85℃、85%RH、1000時間の条件でダンプヒート試験を行い、試験前後での発電効率保持率を算出した。実施例9の太陽電池モジュールにおける発電効率保持率は97%であった。
【0131】
実施例10
フィルムF−1の代わりに実施例2で得たフィルムF−2を用いたこと以外は実施例9と同様にしてダンプヒート試験前後の発電効率保持率を算出した。発電効率保持率は97%であった。
【0132】
実施例11
フィルムF−1の代わりに実施例7で得たフィルムF−6を用いた以外は実施例9と同様にしてダンプヒート試験前後の発電効率保持率を算出した。発電効率保持率は95%であった。
【0133】
比較例10
フィルムF−1の代わりに比較例5で得たフィルムF−8を用いた以外は実施例9と同様にしてダンプヒート試験前後の発電効率保持率を算出した。発電効率保持率は92%であった。
【0134】
比較例11
フィルムF−1の代わりに比較例8で得たフィルムF−11を用いた以外は実施例9と同様にしてダンプヒート試験前後の発電効率保持率を算出した。発電効率保持率は85%であった。
【産業上の利用可能性】
【0135】
このような、本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、合わせガラス用中間膜として用いた場合に得られる合わせガラスの黄変度が低く外観に優れる。また、本発明の可塑化ポリビニルアセタールフィルムは、高温でのラミネートが可能であり生産性に優れ、さらには得られる太陽電池モジュールやエレクトロクロミック機能を有する合わせガラス等の高寿命化を達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルアルコール単位量が12〜34モル%であり、酢酸ビニル単位量が4モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上で、且つ、下記化学式(1):
【化1】

(式中、Rは酸素原子を含んでいてもよい2価の飽和炭化水素基である。RおよびRは酸素原子を含んでいてもよい直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。XおよびYはCOOまたはOCO結合であり、同一であっても異なっていてもよい。)で表され、且つ酸価が3meq/kg以下である可塑剤を15〜60質量部含有し、かつ塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計50ppm以下である可塑化ポリビニルアセタールフィルム。
【請求項2】
フィルムの酸価が5.0meq/kg以下である請求項1に記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルム。
【請求項3】
140℃で4時間加熱した後の酸価が10.0meq/kg以下である請求項1または2に記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルム。
【請求項4】
可塑剤の分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が29よりも大きい、請求項1〜3のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルム。
【請求項5】
塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計25ppm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルム。
【請求項6】
ポリビニルアセタール樹脂の酸価が3.0meq/kg以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを製造する製造方法であって、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対し、分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が28以上の可塑剤15〜60質量部を混合し、成形することを特徴とする、可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項8】
可塑剤の分子を構成する炭素原子および酸素原子の総数が29よりも大きい、請求項7に記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記ポリビニルアセタール樹脂の平均一次粒子径が10μm以下である、請求項7または8に記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記ポリビニルアセタール樹脂のアルカリタイター値が0.1〜30であり、酸価が3.0meq/kg以下である、請求項7〜9のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記ポリビニルアセタール樹脂の塩化物イオン、硫酸イオンおよび硝酸イオンの含有量が合計100ppm以下である、請求項7〜10のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂の水溶液に、アルデヒド類を先に添加した後に触媒を添加することで得られたものである、請求項7〜11のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項13】
酸価が3.0meq/kg以下であるポリビニルアセタール樹脂に対し、酸価が3.0meq/kg以下である可塑剤を混合し、成形することを特徴とする、請求項7〜12のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項14】
減圧により揮発成分を除去しながらポリビニルアセタール樹脂と可塑剤を混合する、請求項7〜13のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項15】
成形時の樹脂温度が150〜220℃の範囲である、請求項7〜14のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムの製造方法。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた太陽電池モジュール。
【請求項17】
さらに透明導電膜層を有するガラスを備える請求項16に記載の太陽電池モジュール。
【請求項18】
請求項1〜6のいずれかに記載の可塑化ポリビニルアセタールフィルムを用いた合わせガラス。
【請求項19】
前記可塑化ポリビニルアセタールフィルムと接する位置に機能性ユニットを備える請求項18に記載の合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−108084(P2013−108084A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285406(P2012−285406)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2012−509545(P2012−509545)の分割
【原出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】