説明

ポリマースラリーの分離

エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させて、ポリマー生成物と、未反応モノマーと、希釈剤とを含むスラリーを生成させる工程と、このスラリーを、ポリマー生成物から希釈剤の少なくとも一部を分離するために押出機で押出す工程と、分離された希釈剤を、1以上のC4-C7イソオレフィンを重合させるため、再循環する工程とを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イソオレフィンポリマーの製造に関する。より詳しくは、この発明はC4-C7イソオレフィンの重合におけるスラリー成分の分離に関する。
【背景技術】
【0002】
イソオレフィンポリマーは一般に、スラリー重合プロセスで製造される。いくつかのスラリープロセスでは、塩化メチルが反応希釈剤に用いられている。塩化メチルは、モノマーと触媒を溶解するが、ポリマー製品は溶解しないこと等の様々な理由で用いられている。また塩化メチルは、低温での重合に適した凝固点と沸点を有し、さらに、ポリマー及び未反応モノマーから塩化メチルを効率よく分離するために適した凝固点と沸点を有する。
【0003】
重合反応の後、塩化メチルは生成したポリマーから分離される。まず、生成したゴムを含む低温のスラリーは、反応器とフラッシュタンクとの間での詰まりを防ぐために加熱される。フラッシュタンク中で、液状の反応媒体を蒸発させる。例えば米国特許2,542,559、ロシア国特許2 209 213が参照される。
蒸発した反応媒体は冷却により液体の状態に戻され、精製され、反応条件下にある反応器へ送り返される。しかし、これはエネルギー効率のよいプロセスではない。
【0004】
また、塩化メチル中で重合を行なう場合、これ以外にも多くの問題がある。
そのひとつは、反応器中でポリマー粒子が互いに凝集し、反応器の内壁、熱交換器の熱交換面、インペラー、撹拌機/ポンプに付着しがちなことである。凝集速度は、反応温度が高くなるに従い増加する。このポリマーの付着の問題に関しては、米国特許2,534,698、米国特許2,548,415、米国特許2,644,809等に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塩化メチルに代わる希釈剤として、ハイドロフルオロカーボン(HFC)を用いることが提案されている。例えば国際公開02/34794、国際公開02/096964、国際公開00/04061、米国特許5,624,878、米国特許5,527,870、及び米国特許3,470,143が参照される。HFCはオゾンを破壊しにくく(全く破壊しないこともある)環境にやさしい冷媒である。しかし、下流工程での希釈剤の回収が不十分であるという問題が残っている。
【0006】
このため、生産性と生産効率を向上させることが可能な改良された分離プロセスを備え、更に、ポリマー粒子の凝集を低減させることが可能な、新たな重合システムを構築するための代替希釈剤または希釈剤のブレンド物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明により、エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法が提供される。
少なくとも1の実施形態では、1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させて、ポリマー生成物と、未反応モノマーと、希釈剤とを含むスラリーを生成させる。得られたスラリーは、ポリマー生成物から希釈剤の少なくとも一部を分離するために押出機で押出される。分離された希釈剤は、1以上のC4-C7イソオレフィンを重合させるため、再循環される。
【0008】
少なくとも1の他の実施形態では、1以上のC4-C7イソオレフィンを、スラリー重合条件下にある反応器中で、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させる。反応器からの流出物を回収する。反応器からの流出物には、生成したポリマー、未反応モノマー、及び希釈剤が含まれている。生成したポリマーから希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離するために、反応器流出物を押出機で押出し、分離した希釈剤と未反応モノマーを、反応器へ再循環させる。
【0009】
少なくとも1の実施形態では、この発明の方法は、1以上のC4-C7イソオレフィンを、スラリー重合条件下にある反応器中で、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させ;生成したポリマー、未反応モノマー、及び希釈剤を含む反応器からの流出物を反応器から回収し;反応器からの流出物を押出機で押出して生成したポリマーから希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離し;反応器からの流出物を加熱してポリマー粒子を凝集させ;分離された希釈剤と未反応モノマーを、反応器へ再循環させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記に概略を説明した本願発明の構成を更に詳しく説明するため、いくつかの実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。添付の図面はこの発明の典型的な実施形態を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではなく、同様の効果を有する実施形態も含まれる。
【図1】図1は、ブチルゴムを重合し、ポリマースラリーの各成分を分離するための、1以上の実施形態に係るプロセスフローの概略図である。
【図2】図2は、1以上の実施形態に係る、押出機の構成を表わす部分拡大模式図である。
【図3】図3は、1以上の実施形態に係る、別の押出機の構成を表わす部分拡大模式図である。
【図4】図4は、1以上の実施形態に係る、ブチルゴムのスラリーのスラリー不安定化温度を表わすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態を説明する。
添付の各請求項はそれぞれ別の発明を規定し、侵害においては、各請求項に記載された種々の構成や限定の均等な範囲が考慮される。以下の記載では、文脈によっては「発明」が特定の実施形態のみを意味している場合がある。また、「発明」が、必ずしも全請求項ではないが、1以上の請求項の主題を意味する場合もある。以下、各発明について実施形態、変形例、及び実施例に基づき説明する。しかし、本願発明は以下の実施形態、変形例、及び実施例に限定されず、当業者が公知技術と本願の開示内容を組み合わせて実施可能な範囲も含まれる。
【0012】
この発明により、エラストマーまたはエラストマー組成物を製造する方法が提供される。
1以上の実施形態では、1以上のモノマーが、触媒システムと、1以上のハイドロフルオロカーボン(HFC)または1以上のHFCと1以上の炭化水素、および/または、塩素化炭化水素とのブレンド物を含む希釈剤の存在下で、スラリー反応条件下において重合される。
生成したポリマー、未反応モノマー、及び希釈剤を含むスラリーは、1以上の押出技術を用いて押出されて、未反応モノマー、及び希釈剤から生成したポリマーが分離される。分離された未反応モノマー及び希釈剤の両者、またはそれぞれが、重合プロセスへ送り返される。
本願で「触媒システム」というときは、1以上の触媒、および/または、1以上の開始剤を意味する。
【0013】
1以上の実施形態では、この発明のプロセスにより、1以上のカチオン重合可能なモノマーと触媒システムとを、HFCを含む希釈剤の存在下で接触させて、カチオン重合可能なモノマーから成るポリマーを製造することができる。希釈剤の一部または全部が、1以上のHFC、または1以上のHFCと塩化メチルとのブレンド物(「ブレンド希釈剤」)であってもよい。
【0014】
本願発明者らは、押出機を用いて、生成したポリマーから流体、例えば希釈剤と未反応モノマー等を分離するとき、スラリーをその不安定化温度より高い温度まで加熱することにより、分離が改善されることを見出した。
この発明でスラリー不安定化温度と言うときは、それより高い温度ではスラリーが不安定になり、凝集して巨視的に見て大きな塊となり、希釈剤またはブレンド希釈剤中に懸濁または再懸濁できなくなる温度を意味する。
本願発明者らは、ポリマーの凝集塊は、反応プロセスから出る非凝集のポリマースラリーと比べてはるかに容易に押出機へ移送でき、また、押出機中で、ポリマーの凝集塊と、希釈剤及び未反応モノマー等の流体とを容易に分離できることを見出した。
【0015】
さらに本願発明者らは、スラリーが不安定になる温度は希釈剤の組成に依存することを見出した。図4に示すように、希釈剤中のHFCの塩化メチルに対する比率が高くなるに従い、スラリー不安定化温度は高くなる。スラリーを反応器から押出して容易に希釈剤の分離/回収することができるように、ポリマー粒子の凝集塊がある程度存在することが好ましい。
いくつかの好ましい実施形態では、スラリーを移送し、押出し、ポリマーから例えば希釈剤や未反応モノマー等の流体を分離するために、反応器からのスラリーを、スラリー不安定化温度より高い温度まで加熱する。
【0016】
理論によって拘束されることを意図するものではないが、ポリマースラリー中のHFCにより、純粋な塩化メチルを用いるプロセスよりも高温であるが、スラリー不安定化温度よりも低温で反応プロセスを操業することが可能になり、改善された熱力学と、これに関連したコスト削減がもたらされると考えられる。
【0017】
1以上の実施形態では、重合プロセスのスラリーの温度は、スラリー不安定化温度よりも少なくとも1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、10℃、15℃、20℃、または50℃低い温度に保たれる。1以上の実施形態では、重合反応器中のスラリーの温度はスラリー不安定化温度より1℃以上低い。
別の実施形態では、重合反応器中のスラリーの温度は、好ましくはスラリー不安定化温度より5℃低い温度に保たれる。
【0018】
1以上の実施形態では、押出分離中のスラリーの温度は、スラリー不安定化温度よりも少なくとも1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、10℃、15℃、20℃、または50℃高い温度に保たれる。1以上の実施形態では、押出分離中のスラリーの温度は、スラリー不安定化温度よりも1℃以上高い。
別の実施形態では、押出分離中のスラリーの温度は、好ましくはスラリー不安定化温度より5℃高い温度に保たれる。
1以上の実施形態では、押出分離中のスラリーの温度は、スラリー不安定化温度に対し、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、または50℃を超えて高くない温度に保たれる。
例えば希釈剤及び未反応モノマー等の分離された流体を低温の重合プロセスへ送り返して、効果的にエネルギーコストを削減することが好ましい。
【0019】
1以上の実施形態では、スラリー不安定化温度は少なくとも- 86℃以上である。
1以上の実施形態では、スラリー不安定化温度は約-40℃から約-84℃である。
1以上の実施形態では、スラリー不安定化温度は約-45℃から約-76℃である。
1以上の実施形態では、スラリー不安定化温度は約-40℃、-50℃、または-55℃の温度から、約-60℃、-70℃、または-80℃までの温度の範囲である。
【0020】
図1に、1以上の実施形態に係る、ブチルゴムを重合し、ポリマースラリーの各成分を分離するプロセスフローの概略図を示す。
1以上のイソオレフィンモノマーを含む第1供給ストリーム10と、1以上のマルチ−オレフィンモノマーを含む第2供給ストリーム15は、1以上の混合タンク100の中で、1以上のHFCを含む1以上の希釈剤と混合される。
混合タンク100から1以上のイソオレフィンモノマー、マルチ−オレフィンモノマー、及び希釈剤を含む混合物ストリーム105を1以上の反応器110へ供給する前に、1以上の熱交換器(2基図示する)106, 108 を用いて混合物ストリーム105を予備冷却することが好ましい。
1以上の触媒および/または触媒システムを含む触媒供給ストリーム20を1以上の反応器110へ供給する前に、触媒供給ストリーム20を1以上のドラム167に投入および/または貯蔵することができる。
1以上の実施形態では、触媒供給ストリーム20を反応器110に投入する前に、1以上の熱交換器(2基図示する)170, 172を用いて予備冷却することが好ましい。
【0021】
反応器110は、モノマーを重合してゴムを製造するために適していれば、どのような形式、形状、構成であってもよい。
1以上の実施形態では、反応器110は、中央に垂直な循環チューブと、この循環チューブの周囲に同心状に配置された冷却チューブとを備える。循環チューブの底部に設けられ、スラリーを冷却チューブに循環させる軸流ポンプによって、反応器内部が混合される。
また好ましくは、反応器110の周囲に、エチレン等の熱移動媒体を保有可能なジャケットが設けられている。ジャケットにはエチレンを液状で供給することが好ましい。液状エチレンは反応熱を吸収して沸騰し、反応チューブ内を所定の重合温度に保つ。重合温度は、用いるブレンド希釈剤のスラリー不安定化温度より低い温度に保つことが好ましい。
1以上の実施形態では、反応器内のスラリーが安定している限り、重合温度を-100℃から約-50℃の範囲にすることができる。反応器のさらなる詳細は、米国特許5,417,930に開示されている。
【0022】
反応器110から、重合媒体の少なくとも一部を含む流出物ストリーム115が、押出機等の1以上の搬送システム120へ排出される。搬送システム120は、1以上のフラッシュタンク130と流通可能である。
反応器110からの流出物ストリーム115には、生成したポリマー、未反応モノマー、触媒、開始剤、および/または希釈剤を含む重合媒体が含まれる。流出物ストリーム115は、その中に含まれるポリマーによる詰まりを防止可能な温度に保つため、断熱されていることが好ましい。
【0023】
1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の固形分濃度は10 vol%以上である。1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の反応器中における固形分濃度は25 vol%以上である。
1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の固形分濃度の範囲は10から70 vol%である。
1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の固形分濃度の範囲は10から40 vol%である。
1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の固形分濃度の範囲は50から70 vol%である。
1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の固形分濃度の範囲は45から70 vol%である。
1以上の実施形態では、反応器流出物ストリーム115中の固形分濃度の範囲は40から70 vol%である。
【0024】
1以上のフラッシュタンク130において、押出機102から出た反応器流出物ストリーム115は、気相ストリーム135と、ポリマーストリーム30とに分離される。
1以上の実施形態では、フラッシュタンク130には温度が50℃から約75℃の温水が貯えられ、経路35から供給されるスチームおよび/または温水により、連続して加熱されていることが好ましい。温水は希釈剤と未反応モノマーとを蒸発させ、一方、ブチルゴムは水中で粗い粒子を含むスラリーを形成する。
【0025】
ゴムの粗い粒子を含むスラリーは、経路30から1以上のストリッパードラム140へ送られ、ゴムから残留流体が除去される。1以上のストリッパードラム140は、残留流体を除去可能な温度及び圧力で操業される。
【0026】
例えば、経路60のゴムを含むストリームから、脱水スクリーン180によって水が分離され、次に脱水押出機185と乾燥押出機190へ供給され、残留する水の大部分が除去される。高温になり圧縮されたゴムは、乾燥押出機190から出たとき、加圧下で圧縮され加熱された水から生じるスチームの膨張により、ふわふわしたスポンジ状の小片になる。コンベア190により、ゴムの小片を冷却し、残留する水を蒸発させる。乾燥されたゴムの小片はベール状に圧縮され、ポリエチレンフィルムで包装され、出荷に備えて積み上げられる。
【0027】
フラッシュタンク120とストリッパードラム140の上部からの流体(すなわち気相ストリーム135)を再循環することが好ましい。1以上の実施形態では、気相ストリーム135は1以上の圧縮機145, 155で圧縮され、1以上のドライヤー150により乾燥され、塔160, 162で精製される。精製されたモノマーはドラム100に投入され、必要に応じて反応器110へ再循環される。1以上の実施形態では、希釈剤は経路165に回収され、ドラム167に投入され、必要に応じて反応器110へ再循環される。
【0028】
押出機120について更に詳しく説明する。押出機120において、反応器流出物ストリーム115に含まれる低温のスラリーから、揮発性成分(すなわち、未反応モノマーと希釈剤)が分離される。
また押出機120でポリマーを反応器からフラッシュタンクへ移送することにより、反応器流出物ラインの詰まりを抑制することができる。
上記のように、スラリーの温度がスラリー不安定化温度を超えると、反応器流出物ストリーム115において詰まりが生じ得る。しかし、押出機内で反応器流出物ストリーム115をスラリー不安定化温度以上に加熱して、ポリマー粒子を凝集させることにより、押出機120での扱いに適した良好なスラリーが得られる。
【0029】
押出機120には、公知の押出機を用いることができる。スクリュータイプの押出機を用いる場合、スクリューの本数の制限は無い。例えば、1以上の押出機120は、単軸押出機でも二軸押出機でもよい。
好ましくは、押出機120は、セルフクリーニングタイプの、噛合い同方向回転二軸押出機である。このような押出機は、Werner-Pfleiderer社、Berstoff社、JSW、及び東芝から市販されている。
【0030】
図2は、1以上の実施形態に係る、押出機の構成を表わす部分拡大模式図である。
1以上の実施形態では、1以上の押出機120は、その第1端部120Aが反応器110へ直接連結されている。1以上の実施形態では、1以上の押出機120は、その第1端部120Aが反応器110へ直接連結されているか、あるいは接続されており、また、その第2端部120Bがフラッシュドラム130へ直接連結されているか、あるいは接続されている。
従って、反応器流出物ストリーム115は、反応器110を出た後、押出機120により直接搬送され、フラッシュドラム130の入口ノズル131から排出される。図示していないが、押出機120を直接反応器110へ取り付け、および/または、押出機120の熱伸縮を吸収するため、1以上のベローズを介してフラッシュドラム130へ連結することもできる。
【0031】
1以上の実施形態では、押出機120の第1端部120Aは反応器110の出口ノズル111に直接連結されているか、あるいは接続されている。反応器流出物ストリーム115の流れ方向において、反応器出口ノズル111と押出機120の第1端部130A の間に、1以上のブロックバルブ(2個を図示している)114A, 114Bが設けられている。
1以上の実施形態では、例えば図2に示した回転式仕切板116のような、液密シール用の部材をブロックバルブ114A, 114Bの間に設けることができる。回転式仕切板116はブロックバルブ114A, 114Bとともに、反応器110と押出機120の間で反応器流出物ストリーム115の流れを遮断するために用いられる。このように遮断することにより、反応器110は押出機120から隔離され、押出機120の運転を妨害せずに、あるいはコンタミネーションを発生させずに、反応器110のクリーニングやメンテナンス作業を行なうことができる。例えば、適切な溶剤を用いて反応器110内に付着したゴムを除去するとき、溶剤が押出機120やフラッシュタンク130に侵入することを防止できる。
【0032】
押出機120の操業時の温度をスラリー不安定化温度より高くして、ポリマー粒子を凝集させることが好ましい。例えば、押出機120内のポリマースラリーの温度を、希釈剤またはブレンド希釈剤の組成に応じて約-86℃から約-40℃にすることができる。1以上の実施形態では、ポリマースラリーの温度を約-86℃から約-50℃にすることができる。1以上の実施形態では、ポリマースラリーの温度を約-86℃から約-60℃にすることができる。
【0033】
1以上の実施形態では、押出機120内のポリマースラリーの温度は、スラリー不安定化温度より高い温度に保たれる。上記のように、スラリー不安定化温度とは、それより高い温度ではスラリーが不安定になり、凝集して巨視的に見て大きな塊となり、希釈剤またはブレンド希釈剤中に懸濁または再懸濁できなくなる温度を意味する。スラリーの温度を、スラリー不安定化温度よりも少なくとも1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、または約10℃高い温度に保つことが好ましい。
【0034】
押出機120内の温度を制御するために、1以上のスチーム供給ライン40が、押出機120の外周に配置、あるいは設けられている。例えば、押出機120に3以上のスチーム供給ライン40A,40B,40Cを、押出機120に対し流通可能に設けることができる。各スチーム供給ライン40A,40B,40Cは、押出機120の1以上のゾーン(図示せず)と流通可能である。押出機120のゾーン数に制限は無く、押出機のバレルの長さとサイズに応じて、1,2,3,4,5,6,7,8,または9ゾーンを設けることができる。
【0035】
1以上の実施形態では、押出機の製造を容易にするために押出機120を複数のセクションに分け、各セクションが1以上のゾーンを有する構造にして、一体に組み立てることができる。
1以上の実施形態では、押出機120が、バレル内に設けられた噛合い同方向回転の二軸スクリューと、スクリューを回転させるための駆動装置(図示せず)とを備えることができる。各スクリューは、1以上の溝と、一組のフライトとを備える。一組のフライトは、押出機120の中でゴムのスラリーを移動させるようなピッチで設けるとともに、スラリーを圧搾して高粘度のゴム相を前方へ移動させ、一方、低粘度の反応媒体流体をスクリューの溝を通して後方へ押し返せるような間隔で設けることができる。
1以上の実施形態では、一組のフライトには、相対的に大容量の液状反応媒体を押出機120に受容できるように、フライトの間隔が大きい第1ゾーンを設けることができる。さらに、押出機の第2端部120Bに向かう方向に沿って、フライトの間隔が狭くなる第2ゾーンを設けることができる。フライトのピッチを変化させることにより圧力勾配が生じ、これにより液状反応媒体の固液分離を行なうことができる。このようにして、押出機120内でポリマーと反応媒体が分離される。
【0036】
2組のフライトは、一方の組のフライトの先端部が、他方の組のフライトの表面を拭き取るように噛合わされる。駆動装置により、2本のスクリューの回転運動が同期される。スクリューが回転したとき、特定の回転位置において、一方の組のフライトと、他方の組のフライトの拭き取り動作が入れ替わる。
噛合い同方向回転の二軸スクリューの自己拭き取り動作により、押出機120内部の表面へのゴムの付着が防止され、これにより押出機120内部での詰まりが防止される。米国特許出願2005/0187366 Alに、押出機の構造の説明、及び押出機のさらに詳細な説明が記載されている。
【0037】
操業中、ゴムのスラリーは反応器110から排出され、反応器流出物ストリーム115を介して押出機120へ搬送される。押出機120内の流体、例えば希釈剤と未反応モノマーは、押出機120内部で分離され、押出機120の1以上のゾーンと連通している1以上の経路122を通して反応器110へ送り返される。
流体、例えば希釈剤と未反応モノマーは、押出機120による機械的エネルギー、または、1以上のスチーム供給ライン(40A, 40B, 40Cの3つを図示した)から押出機120へ供給される熱エネルギー(すなわち熱)によって、ポリマースラリーから蒸発、あるいは分離される。
押出機120を通過したポリマーと、残留液状反応媒体は、その後フラッシュタンク130に達し、フラッシュタンク130の底部にある温水と接触し、希釈剤と未反応モノマーが蒸発する。蒸発した希釈剤と未反応モノマーは、塔上部の経路135から排出される。
【0038】
1以上の実施形態では、噛合い異方向回転二軸押出機のような第2押出機128を、押出機120の第1端部120A近傍、例えば押出機120の第1ゾーンに設けることができる。
異方向回転二軸押出機の例として、NFM/Welding Engineers Inc社 (Massillon, Ohio, USA)のMech FiltTM押出機が挙げられる。異方向回転二軸押出機はスクリュー間の間隙、フライト間の間隙、及びバレルとの間隙を小さくし、低粘度の液体は通過できるが、ゴムは通過できないようにすることができる。これにより、ゴムを押出機120内部に保持し、一方、分離した液状反応媒体を排出するか、経路122を経由して反応器110へ送り返すか、フラッシュタンク130へ移送することができる。
【0039】
図3に、1以上の実施形態に係る、別の押出機の構成を表わす部分拡大模式図を示す。
図示するように押出機120を、少なくともその一部がフラッシュタンク130を貫通するようにして設けることができる。前記のように、押出機120はバレル内に噛合い同方向回転二軸スクリューを備え、スクリューを回転させるための駆動装置127を有することができる。また、押出機120はバレルの底部に設けられた透孔123を有し、透孔123を通して、ゴムのスラリーをフラッシュタンク130内に貯えられた温水に直接落下させる。透孔123はフラッシュタンク130のほぼ中心に位置していることが好ましい。
ゴムのスラリーが透孔123を通り過ぎてしまうことを防止するために、スクリューの透孔123以降の部分に一組の逆フライトを設けることができる。逆フライトは押出機120内でゴムのスラリーを逆流させて透孔123から排出させるように設けることができる。
【0040】
図3において、押出機120にはさらに、押出機120の第2端部120Bに対し流通可能に接続された、追加のスチーム供給ライン40D, 40Eを設けることができる。図示するように、押出機120の第2端部120Bは、押出機120の第1端部120Aに対し、フラッシュタンク130の反対側に位置する。スチーム供給ライン40D, 40Eにより、押出機120の第2端部120Bの温度を制御して詰まりを防止することができる。押出機120の第2端部120Bに、第2端部120B と流通可能な1以上の流体排出ストリーム122を設け、ゴムのスラリーの分離を補助することができる。
【0041】
<モノマー、コモノマー、及びポリマー>
この発明に適したモノマー、および/または、コモノマーには、1以上のオレフィン、アルファ−オレフィン、二置換オレフィン、イソオレフィン、共役ジエン、非共役ジエン、スチレン系、および/または置換スチレン系、及びビニルエーテルが含まれる。スチレン系は、(環上が)アルキル基、アリール基、ハライド基、アルコキシド基で置換されていてもよい。好ましくは、モノマーまたはコモノマーは炭素数が2から20、より好ましくは2から9、より好ましくは3から9である。好ましいオレフィンの例として、スチレン、パラアルキルスチレン、パラ−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、イソブチレン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ペンテン、イソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、[ベータ]-ピネン、ミルセン、6,6-ジメチル-フラベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ピペリレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等が含まれる。
【0042】
2以上のモノマーを用いることもできる。例えば、ブロックコポリマーを製造するために、2以上のモノマーを用いることができる。好ましいブロックコポリマーには例えば、スチレン、パラ−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレン等のスチレン系モノマーと、イソプレン、ブタジエン等のC4からC30のジオレフィンとのブロックコポリマーが含まれる。特に好ましいモノマーの組合せには、イソブチレンとパラ−メチルスチレン、及び、イソブチレンとイソプレンが含まれる。イソブチレンのホモポリマーも好ましい。
【0043】
重合媒体中のモノマーの量は、1以上の実施形態では75 wt%から0.01 wt%、または60 wt%から0.1 wt%、または40 wt%から0.2 wt%、または30から0.5 wt%、または20wt%から0.8 wt%、または15 wt%から1 wt%である。
【0044】
1以上の実施形態では、ブチルポリマーは、コモノマーの混合物を反応させて得られ、この混合物は少なくとも(1)イソブテン等の、C4-C6イソオレフィンモノマーと、(2)マルチオレフィンまたは共役ジエンモノマー成分とを含む。イソオレフィン濃度は、全コモノマー混合物の重量に対し70から99.5 wt%、または85から99.5 wt%である。別の実施形態では、イソオレフィン濃度は、92から99.5 wt%である。
ひとつの実施形態では、コモノマー混合物中の共役ジエンの濃度は30から0.5 wt、また別の実施形態では15から0.5 wt%である。また別の実施形態では、コモノマー混合物中の共役ジエンの濃度は8から0.5 wt%である。
C4-C6イソオレフィンは、イソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、4-メチル-1-ペンテンの内の1種類以上である。マルチオレフィンは、C4-C14の共役ジエンであり、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、[ベータ]-ピネン、ミルセン、6,6-ジメチル-フラベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ピペリレンである。1つの実施形態のブチルゴムポリマーは、85から99.5 wt%のイソブチレンと15から0.5 wt%のイソプレン、または95 から99.5 wt%のイソブチレンと5.0 wt%から0.5 wt%のイソプレンとを反応させて得られる。
【0045】
ターポリマー及びテトラポリマーの製造には、任意のモノマーの組合せを用いることができる。好ましいターポリマー及びテトラポリマーには、イソブチレン、イソプレン及びジビニルベンゼンを含むポリマー、イソブチレン、パラ-アルキルスチレン(好ましくはパラメチルスチレン)及びイソプレンを含むポリマー、シクロペンタジエン、イソブチレン、及びパラ-アルキルスチレン(好ましくはパラメチルスチレン)を含むポリマー、イソブチレンシクロペンタジエン及びイソプレンを含むポリマー、シクロペンタジエン、イソブチレン、及びメチルシクロペンタジエンを含むポリマー、イソブチレン、パラメチルスチレン及びシクロペンタジエンを含むポリマーが含まれる。
【0046】
<触媒>
この発明の触媒には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、バナジウム、砒素、アンチモン、及びビスマス等の、周期律表の第4,5,13,14及び15族の金属のルイス酸が含まれる。触媒の例として、アルミニウムトリクロライド、アルミニウムトリブロミド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ボロントリフルオリド、チタニウムテトラクロライド等が挙げられる。エチルアルミニウムジクロライドと、エチルアルミニウムセスキクロライドが好ましい。メチルアルミノキサン(MAO)等のルイス酸や、B(C6F5)3等の特異的に設計された弱配位性のルイス酸を用いることもできる。ルイス酸による重合については、例えば国際出願PCT/US03/40903及びPCT/US03/40340に更に詳しく説明されている。
【0047】
<開始剤>
好ましい開始剤は、適切な希釈剤中でルイス酸と錯体を形成し、オレフィンと速やかに反応してポリマー成長鎖を生成可能なものである。開始剤の例として、H2O、HCl、RCOOH(Rはアルキル基)、及び、(CH3)3CC1, C6H5C(CH3)2Cl及び(2-クロロ-2,4,4-トリメチルペンタン)等のアルキルハライド等のブロンステッド酸が挙げられる。弱配位性のルイス酸またはルイス酸塩で活性化されたときシングルサイト触媒として作用する、メタロセンその他の物質等の、遷移金属化合物触媒を用いることもできる。
【0048】
1以上の実施形態では、開始剤には、1以上のハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハライド、スルホン酸、アルコール、フェノール、三級アルキルハライド、三級アラルキルハライド, 三級アルキルエステル、三級アラルキルエステル、三級アルキルエーテル、三級アラルキルエーテル、アルキルハライド、アリールハライド、アリールハライド、及びアリールアルキル酸ハライドが含まれる。
【0049】
当業者であれば、上記の開始剤のリストは包括的なものではなく、例示に過ぎないことが理解できよう。重合プロセスの開始剤については、国際出願PC17US03/40903とPCT/US03/40340に更に詳しく説明されている。
【0050】
<ハイドロフルオロカーボン>
本願では、ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、実質的に水素、炭素、及びフッ素から成り、少なくとも1の水素、少なくとも1の炭素、及び少なくとも1のフッ素が存在する、飽和または不飽和の化合物と定義される。
少なくともひとつの実施形態では、1以上のハイドロフルオロカーボンは式:CxHyFzで表わされる、ここでxは1から40の整数、または1から30、または1から20、または1から10、または1から6、または2から20、または3から10、または3から6、最も好ましくは1から3の整数であり、yとzは整数であって少なくとも1である。
【0051】
ハイドロフルオロカーボンの例として、以下が挙げられる。
フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,2-トリフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、1-フルオロプロパン、2-フルオロプロパン、1,1-ジフルオロプロパン、1,2-ジフルオロプロパン、1,3-ジフルオロプロパン、2,2-ジフルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロプロパン、1,1,2-トリフルオロプロパン、1,1,3-トリフルオロプロパン、1,2,2-トリフルオロプロパン、1,2,3-トリフルオロプロパン、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、1,1,1,3-テトラフルオロプロパン、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,2,3-テトラフルオロプロパン、1,1,3,3-テトラフルオロプロパン、1,2,2,3-テトラフルオロプロパン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1-フルオロブタン、2-フルオロブタン、1,1-ジフルオロブタン、1,2-ジフルオロブタン、1,3-ジフルオロブタン、1,4-ジフルオロブタン、2,2-ジフルオロブタン、2,3-ジフルオロブタン、1,1,1-トリフルオロブタン、1,1,2-トリフルオロブタン、1,1,3-トリフルオロブタン、1,1,4-トリフルオロブタン、1,2,2-トリフルオロブタン、1,2,3-トリフルオロブタン、1,3,3-トリフルオロブタン、2,2,3-トリフルオロブタン、1,1,1,2-テトラフルオロブタン、1,1,1,3-テトラフルオロブタン、1,1,1,4-テトラフルオロブタン、1,1,2,2-テトラフルオロブタン、1,1,2,3-テトラフルオロブタン、1,1,2,4-テトラフルオロブタン、1,1,3,3-テトラフルオロブタン、1,1,3,4-テトラフルオロブタン、1,1,4,4-テトラフルオロブタン、1,2,2,3-テトラフルオロブタン、1,2,2,4-テトラフルオロブタン、1,2,3,3-テトラフルオロブタン、1,2,3,4-テトラフルオロブタン、2,2,3,3-テトラフルオロブタン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,4-ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,4-ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4-ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,4-ペンタフルオロブタン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,2,4,4-ペンタフルオロブタン、1,1,3,3,4-ペンタフルオロブタン、1,2,2,3,3-ペンタフルオロブタン、1,2,2,3,4-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,2,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロブタン,1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロブタン、1,1,2,2,3,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,2,2,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,2,2,3,3,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,2,4,4-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,4-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,3,3,4,4-ヘプタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,4,4-ノナフルオロブタン、1-フルオロ-2-メチルプロパン、1,1-ジフルオロ-2-メチルプロパン、1,3-ジフルオロ-2-メチルプロパン、1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン、l,l,3-トリフルオロ-2-メチルプロパン、l,3-ジフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン、1,1,1,3-テトラフルオロ-2-メチルプロパン、1,1,3,3-テトラフルオロ-2-メチルプロパン、1,1,3-トリフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-2-メチルプロパン、1,1,3,3-テトラフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン、1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(フルオロメチル)プロパン、フルオロシクロブタン、1,1-ジフルオロシクロブタン、1,2-ジフルオロシクロブタン、1,3-ジフルオロシクロブタン、1,1,2-トリフルオロシクロブタン、1,1,3-トリフルオロシクロブタン、1,2,3-トリフルオロシクロブタン、1,1,2,2-テトラフルオロシクロブタン、1,1,3,3-テトラフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロブタン、及びこれらの混合物。また、下記の不飽和HFCとの混合物も含まれる。特に好ましいハイドロフルオロカーボンは、ジフルオロメタン,トリフルオロメタン,1,1-ジフルオロエタン,1,1,1-トリフルオロエタン,フルオロメタン,及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンである。
【0052】
不飽和ハイドロフルオロカーボンの例として、以下が挙げられる。
ビニルフルオリド、1,1-ジフルオロエテン、1,2-ジフルオロエテン、1,1,2-トリフルオロエテン、1-フルオロプロペン,1,1-ジフルオロプロペン、1,2-ジフルオロプロペン、1,3-ジフルオロプロペン、2,3-ジフルオロプロペン、3,3-ジフルオロプロペン、1,1,2-トリフルオロプロペン、1,1,3-トリフルオロプロペン、1,2,3-トリフルオロプロペン、1,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3-トリフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペン、1-フルオロ-l-ブテン、2-フルオロ-l-ブテン、3-フルオロ-1-ブテン、A-フルオロ-1-ブテン、1,1-ジフルオロ-l-ブテン、1,2-ジフルオロ-l-ブテン、1,3-ジフルオロプロペン、1,4-ジフルオロ-l-ブテン、2,3-ジフルオロ-l-ブテン、2,4-ジフルオロ-l-ブテン、3,3-ジフルオロ-l-ブテン、3,4-ジフルオロ-l-ブテン、4,4-ジフルオロ-l-ブテン、1,1,2-トリフルオロ-1-ブテン、1,1,3-トリフルオロ-l-ブテン、1,1,4-トリフルオロ-l-ブテン、1,2,3-トリフルオロ-1-ブテン、1,2,4-トリフルオロ-1-ブテン、1,3,3-トリフルオロ-l-ブテン、1,3,4-トリフルオロ-1-ブテン、1,4,4-トリフルオロ-1-ブテン、2,3,3-トリフルオロ-l-ブテン、2,3,4-トリフルオロ-1-ブテン、2,4,4-トリフルオロ-1-ブテン、3,3,4-トリフルオロ-l-ブテン、3,4,4-トリフルオロ-1-ブテン、4,4,4-トリフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3-テトラフルオロ-l-ブテン、1,1,2,4-テトラフルオロ-1-ブテン、1,1,3,3-テトラフルオロ-1-ブテン、1,1,3,4-テトラフルオロ-1-ブテン、1,1,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン/1,2,3,3-テトラフルオロ-l-ブテン、1,2,3,4-テトラフルオロ-l-ブテン、1,2,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、1,3,3,4-テトラフルオロ-l-ブテン、1,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、1,4,4,4-テトラフルオロ-l-ブテン、2,3,3,4-テトラフルオロ-l-ブテン、2,3,4,4-テトラフルオロ-l-ブテン、2,4,4,4-テトラフルオロ-l-ブテン、3,3,4,4-テトラフルオロ-l-ブテン、3,4,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-l-ブテン、1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,3,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,3,4,4-ペンタフルオロ-l-ブテン、1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-l-ブテン、1,2,3,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,2,3,4,4-ペンタフルオロ-l-ブテン、1,2,4,4,4-ペンタフルオロ-l-ブテン、2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-l-ブテン、2,3,4,4,4-ペンタフルオロ-l-ブテン、3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-l-ブテン、1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-l-ブテン、1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-l-ブテン、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-l-ブテン、1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-l-ブテン、2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-l-ブテン、1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-l-ブテン、1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-l-ブテン、1-フルオロ-2-ブテン、2-フルオロ-2-ブテン、l,l-ジフルオロ-2-ブテン、l,2-ジフルオロ-2-ブテン、l,3-ジフルオロ-2-ブテン、1,4-ジフルオロ-2-ブテン、2,3-ジフルオロ-2-ブテン、l,l,l-トリフルオロ-2-ブテン、1,1,2-トリフルオロ-2-ブテン、l,l,3-トリフルオロ-2-ブテン、l,l,4-トリフルオロ-2-ブテン、1,2,3-トリフルオロ-2-ブテン、l,2,4-トリフルオロ-2-ブテン、l,l,l,2-テトラフルオロ-2-ブテン、1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン、l,l,l,4-テトラフルオロ-2-ブテン、1,1,2,3-テトラフルオロ-2-ブテン、1,1,2,4-テトラフルオロ-2-ブテン、l,2,3,4-テトラフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン、l,l,l,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、l,l,l,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、l,l,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン、及びこれらの混合物。上記の飽和HFCとの混合物も含まれる。
【0053】
1以上の実施形態では、希釈剤は非パーフルオロ化合物であるか、希釈剤に非パーフルオロ化合物が含まれる。パーフルオロ化合物には、炭素とフッ素からなる化合物が含まれる。しかし、1以上の実施形態では、希釈剤がブレンド物の場合、ブレンド物にはパーフルオロ化合物が含まれ、好ましくは、触媒モノマー、及び希釈剤が単一相となっているか、または、以下に詳しく説明するように、前記の成分は希釈剤中に混和している。
【0054】
1以上の実施形態では、1以上のHFCは他の希釈剤または希釈剤の混合物と組み合わせて用いられる。
希釈剤の例として炭化水素とハロゲン化炭化水素が挙げられ、特にヘキサン、ヘプタン、塩素化炭化水素等が挙げられる。希釈剤の非限定的例示として、プロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2-メチルブタン,2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-エチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、2,24,-トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、エタン、メタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン,メチルシクロヘキサン,シクロプロパン,シクロブタン,シクロペンタン,メチルシクロペンタン、1,1-ジメチルシクロペンタン、シス-1,2-ジメチルシクロペンタン、トランス-1,2-ジメチルシクロペンタン、トランス-1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルト-キシレン、パラ-キシレン、メタ-キシレン、及びこれらのハロゲン化物、好ましくはこれらの塩化物、より好ましくはこれらのフッ化物が挙げられる。これらの臭化物を用いることもできる。特定の例として、メチルクロライド、メチレンクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、クロロホルム等が挙げられる。
【0055】
1以上の実施形態では、非反応性のオレフィンをHFCと組み合わせて希釈剤として用いることもできる。このようなオレフィンの非限定的例示として、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0056】
少なくともひとつの実施形態では、HFCは塩化メチル等の塩素化炭化水素と組み合わせて用いることができる。別の実施形態では、HFCをヘキサン、または塩化メチル及びヘキサンと組み合わせて用いることができる。また別の実施形態では、HFCを二酸化炭素、窒素、水素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、ゼノンおよび/または他の不活性ガス等の、重合に対して不活性なガスと組み合わせて用いることができる。これらの不活性なガスは、反応器に入れるとき液状であることが好ましい。好ましいガスには、二酸化炭素、および/または、窒素が含まれる。
【0057】
1以上の実施形態では、HFCと、C1からC40のニトロ化された直鎖、環状または分岐アルカン等のニトロ化アルカンとを組み合わせて用いることができる。ニトロ化アルカンの非限定的例示として、ニトロ化メタン、ニトロ化エタン、ニトロ化プロパン、ニトロ化ブタン、ニトロ化ペンタン、ニトロ化ヘキサン、ニトロ化ヘプタン、ニトロ化オクタン、ニトロ化デカン、ニトロ化ノナン、ニトロ化ドデカン、ニトロ化ウンデカン、ニトロ化シクロメタン、ニトロ化シクロエタン、ニトロ化シクロプロパン、ニトロ化シクロブタン、ニトロ化シクロペンタン、ニトロ化シクロへキサン、ニトロ化シクロへプタン、ニトロ化シクロオクタン、ニトロ化シクロデカン、ニトロ化シクロノナン、ニトロ化シクロドデカン、ニトロ化シクロウンデカン、ニトロ化ベンゼン、及びこれらのジ-、及びトリ-ニトロ化化合物が挙げられる。好ましい実施形態は、HFCとニトロ化メタンとのブレンド物である。
【0058】
HFCは希釈剤の全容積に対し1から100容積%含まれ、または5から100容積%、または10から100容積%、または15から100容積%、または20から100容積%、または25から100容積%、または30から100容積%、または35から100容積%、または40から100容積%、または45から100容積%、または50から100容積%、または55から100容積%、または60から100容積%、または65から100容積%、または70から100容積%、または75から100容積%、または80から100容積%、または85から100容積%、または90から100容積%、または95から100容積%、または97から100容積%、または98から100容積%、または99から100容積%含まれる。
1以上の実施形態では、HFCを1以上の塩素化炭化水素と組み合わせて用いることができる。1以上の実施形態では、HFCはジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0059】
1以上の実施形態では、希釈剤または希釈剤混合物は、ポリマーに対する溶解性を考慮して選択される。ある種の希釈剤はポリマー中に溶解可能である。好ましい希釈剤は、ポリマーに対する溶解性が僅かであるか、あるいは全く無い。
ポリマー中への溶解性は、ポリマーを厚み50から100ミクロンのフィルムに成形し、-75℃において希釈剤に(フィルムが十分浸漬されるようにして)4時間浸漬することにより測定する。フィルムを希釈剤から取り出し、室温で外気に90秒間曝して過剰な希釈剤をフィルム表面から蒸発させた後、重量を測定する。質量の増加から、浸漬後の重量増加パーセントを求める。
いくつかの実施形態では、希釈剤または希釈剤の混合物を、ポリマーの質量増加率が4wt%未満となるよう選択し、好ましくは3 wt%未満、好ましくは2wt%未満、好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満となるよう選択する。
【0060】
1以上の実施形態では、希釈剤または希釈剤の混合物は、希釈剤、未反応モノマー、及び添加剤の含有量が0.1wt%未満のポリマーを50から100ミクロンのフィルムに成形し、このフィルムを希釈剤に浸漬する前のガラス転移温度Tgと、希釈剤に(フィルムが十分浸漬されるようにして)-75℃において4時間浸漬した後のTgとの差が15℃以内となるように選択する。
ガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)により求める。この測定方法は、例えば “Assignment of the Glass Transition” ASTM STP 1249, R. J. Seyler, 著, American Society for Testing and Materials, Philadelphia, 1994年, 17-31ページの「The Nature of the Glass Transition and its Determination by Thermal Analysis」に記載されている。
測定用サンプルを上記のようにして調製し、浸漬後直ちにDSC測定用容器に封入し、DSC測定の直前まで-80℃以下に保つ。希釈剤を含まないポリマーと、希釈剤に浸漬後のポリマーのTg値の差は12℃以内であり、好ましくは、11℃、10℃、9℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃以内である。
【0061】
<用途>
この発明のポリマーは種々の用途に応用可能な化学的及び物理的性質を備える。例えば、この発明のポリマーを接着剤、コーキング材、シーラント材、及びグレージング材に用いることができる。この発明のポリマーを、ブチルゴム、SBR、天然ゴムを配合する際の可塑剤に用いることもできる。また、この発明のポリマーは、潤滑油の分散剤、あるいは封止材または電線被覆の充填材に用いることもできる。いくつかの用途では、この発明のポリマーをチューインガムや、医薬品のゴム栓等の医学用途、あるいは塗装ローラー等に用いることができる。さらに、この発明のポリマーは特にタイヤ、ブラダー、インナーチューブ、インナーライナー、タイヤのサイドウォール、トレッド用コンパウンド、耐熱性ホース、及び高温物質を取り扱うコンベアベルトの用途に適している。またこの発明のポリマーをエアークッション、空気バネ、エアーベローズ、アキュームレータバッグ、及び医薬用封止材に用いることもできる。さらに、この発明のポリマーはゴムの成形品として有用であり、自動車用サスペンションバンパー、排気管ハンガー、車体用部品等に幅広く用いることができる。
【0062】
この発明のポリマーを、1以上の他のポリマーとブレンドして用いることもできる。例えば、この発明のポリマーと、高密度ポリエチレン、またはアイソタクチックポリプロピレン等の、1以上の他の熱可塑性樹脂とをブレンドすることにより、ポリオレフィンを強靱化することができる。この発明のポリマーをポリアミドとブレンドして、他の工業用途に用いることもできる。
【0063】
図1に戻って、経路10,15から供給されるフレッシュモノマー (すなわち、イソブチレンとイソプレン)は、貯蔵ドラム100において、塔162から再循環されてくるモノマーと混合される。貯蔵ドラム100は、ほぼ外気温において操業される。混合物の供給ストリーム105は、貯蔵ドラム100から供給ストリーム冷却器106, 108へ送られ、ここで混合物の供給ストリームは約-90℃以下まで冷却される。
経路20から供給されるフレッシュ触媒は、塔162から経路164を経由して再循環されてくる触媒とともに、貯蔵ドラム167に投入される。貯蔵ドラム167を出た混合物ストリーム164は、冷却器170, 172で冷却され、反応器110へ供給される。反応器305の中では、液化エチレンの蒸発を利用した冷却システムによって約-90℃から約-98℃に保たれた温度範囲において、重合反応が生じる。
【0064】
重合によって生じたゴムのスラリーは、反応器流出物ストリーム115として反応器110から排出される。反応器流出物ストリーム115からのゴムのスラリーは、押出機120に供給され、フラッシュタンク130へ移送される。押出機120の中では、液状反応媒体を圧搾することにより、ゴムのスラリーからゴム相が分離される。分離された液(すなわち、HFC/塩化メチル希釈剤ブレンド、及び未反応のソブチレンとイソプレンモノマー)は、経路122から直接反応器110へ再循環されるか、または、更に分離・精製するために経路135へ送られる。分離された液体(すなわち低温の希釈剤)を、再循環ストリーム125を経て反応器110へ再循環することができる。低温の液状反応媒体を再循環ストリーム125から再循環することにより、反応器110へ供給するモノマー(すなわち、供給ストリーム105)の冷却に要するエネルギー消費量が低減される。
【0065】
少なくとも一部が分離されたゴムのスラリーは、フラッシュタンク130において更に分離される。フラッシュタンク130において、温度が約50℃から75℃の温水によって、残存する希釈剤とモノマーがゴムから蒸発する。希釈剤とモノマーの蒸気は、経路135を経由して移送され、圧縮、乾燥、精製、および/または、凝縮等の様々な処理が施され、これにより生じた精製液は、経路163、および/または、164を経て、貯蔵ドラム100または167へ再循環され、貯蔵ドラム100または167においてフレッシュな原料と混合される。
【0066】
フラッシュタンク130から、非揮発性成分(すなわち、オリゴマーとポリマー成分)がゴムのスラリーとしてストリッパードラム140へ送られ、残存する液が除去される。ストリッパードラム140には、このストリッパードラムの操業圧力にもよるが、約40℃から約70℃のスチーム、および/または、温水が貯えられている。分離された液、例えば希釈剤と未反応モノマーは、ストリッパードラム140の上部から経路135を経て除去される。精製されたゴムは水性スラリーとなり、ストリッパードラム140から経路60を経て排出される。前記のように、経路60から直接最終仕上げ工程へ送ることができる。
【実施例】
【0067】
以上の実施形態について、以下の非限定的実施例を参照して更に詳しく説明する。
16件のブチルゴムのサンプルを、HFC、またはHFCと塩化メチルを含むスラリー中で製造した。ブチルゴムの比較例は、希釈剤に塩化メチルのみを用いたスラリー中で製造した(比較例1)。表1と図4に示すスラリー不安定化温度については、以下に詳しく説明する。
【0068】
各実施例において、重合は、ガラス製の撹拌棒にテフロン(登録商標)の撹拌翼が取り付けられた、電気駆動の撹拌装置を有するステンレス製容器中で行なった。組立てた反応器を、不活性雰囲気のグローブボックス中でペンタンまたはイソヘキサン浴に浸して冷却することにより、反応器の温度を所定の反応温度まで下げた。撹拌された炭化水素浴の温度を、±2℃の範囲で制御した。反応媒体と液接触する全ての装置は、使用する前に120℃で乾燥し、窒素雰囲気下で冷却した。
イソブチレン(Matheson社またはExxonMobil社)、及び塩化メチル(Air Products社)は、気体の状態で酸化バリウムが充填された3本のステンレススチールのカラムに通して乾燥した後、凝縮させて液状にし、ドライボックス中で回収した。いずれの材料も凝縮させて液状にし、ドライボックス中で回収した。イソプレン(Aldrich社)は、市販品をそのまま使用した。
HCl(Aldrich社製、純度99%)原液は、所定量の気体状のHClを乾燥した塩化メチルまたはHFCに溶解させて、濃度が2-3wt%の溶液になるようにして調製した。この溶液中の正確なHCl濃度は、濃度が既知のNaOH水溶液を用いて、公知の滴定法により測定した。
ハイドロフルオロカーボン(1,1,1,2-テトラフルオロエタン;National Refrigerants 社、及び、1,1-ジフルオロエタン;Technical Propellants社)は無色透明の液であり、市販品をそのまま使用した。
エチルアルミニウムクロライド(Aldrich社)は、1.0 mol/Lの炭化水素溶液として使用した。これらの溶液は、市販品を購入するか、または高純度のエチルアルミニウムクロライドを用いて調製した。
【0069】
供給するモノマーは、ステンレス製容器を用い、所定の温度において、105 mlの1,1-ジフルオロエタン、245 mlの塩化メチル、111 mlのイソブチレン、及び2.8 mlのイソプレンを用いて調製した。
これとは別に、45 mlのジフルオロエタン、105 mlの塩化メチル、 0.568 mlの濃度0.57 mol/LのHCl溶液(塩化メチル溶媒)、0.999 mlの濃度1.0 mol/Lのエチルアルミニウムジクロライド溶液(ヘキサン溶媒)を用いて、触媒溶液を調製した。
【0070】
スラリー中での共重合反応は、モノマーとコモノマーを、液化した希釈剤または希釈剤ブレンドに、重合温度において溶解させ、所定の撹拌速度である800から1000rpmで撹拌しながら行なった。プロセッサーで制御された電気撹拌モータは、5rpm以内の誤差で撹拌速度を制御できる。
この実施例で用いた開始剤/共開始剤溶液は、希釈剤または希釈剤ブレンドを用いて調製した。開始剤/共開始剤溶液は、開始剤を希釈剤または希釈剤ブレンドに溶解させ、撹拌しながら1.0Mのエチルアルミニウムジクロライド溶液を添加することによって調製した。開始剤/共開始剤溶液は、直ちに使用した。
【0071】
使用した希釈剤は、MeCl (塩化メチル)、1,1-ジフルオロエタン、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンであった。
表1に、使用した希釈剤または希釈剤ブレンドと、スラリー不安定化温度の測定値を示す。塩化メチルをゼロから100%含む実施例は希釈剤ブレンドである。
【0072】
スラリー不安定化温度を測定した。適切な反応開始温度を選択できるようにするために、所定の希釈剤または希釈剤ブレンド中でスラリー不安定化温度を求める一次実験を行ない、これにより、表1に示す結果を得た。
まず、重合温度を、最初の反応器温度に対し約2℃以内で制御しながら維持した。この間に、安定なゴムのスラリーが徐々に生成し、反応器中のゴムの濃度が上昇した。安定したスラリーが得られた後、外部冷却を止め、触媒の添加は引き続き行った。この結果、スラリーの温度がゆっくりと上昇し、ついにはスラリーが安定ではなくなり、凝集塊が生じた。この、スラリーが安定ではなくなった温度を、スラリー不安定化温度として記録した。
重合は、この記録したスラリー不安定化温度より約5℃から8℃低い温度で開始した。図4は、表1のスラリー不安定化温度をグラフにしたものである。
【表1】

【0073】
表1に示すように、HFCのスラリーとHFCブレンドのスラリー(実施例1-16)の、スラリー不安定化温度は-47℃から-75℃である。塩化メチル単独のスラリーのスラリー不安定化温度は、約-85℃から-86℃である。HFCを含むスラリーは、塩化メチル単独のスラリーよりもスラリー不安定化温度が高い。
このように、スラリー不安定化温度が高いことにより、操業可能範囲が広くなり、操業のフレキシビリティが増し、エネルギーコストが削減され、環境に易しい操業が可能になるが、これらは塩化メチルのスラリーでは達成できない。
【0074】
この発明の実施形態は以下に関する。
項1.エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させて、ポリマー生成物と、未反応モノマーと、希釈剤とを含むスラリーを生成させる工程と、
このスラリーを、ポリマー生成物から希釈剤の少なくとも一部を分離するために押出機で押出す工程と、
分離された希釈剤を、1以上のC4-C7イソオレフィンを重合させるため、再循環する工程とを含む方法。

項2.ポリマー生成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、項1に記載の方法。

項3.ポリマー生成物が星状分岐ブチルゴムである、項1または2に記載の方法。

項4.エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、項1から3のいずれか1項に記載の方法。

項5.希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、項1から4のいずれか1項に記載の方法。

項6.スラリーを押し出す前に、スラリーをスラリー不安定化温度より1℃から約50℃高い温度まで加熱することを含む、項1から5のいずれか1項に記載の方法。

項7.希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、項1から6のいずれか1項に記載の方法。

項8.希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、項1から7のいずれか1項に記載の方法。

項9.エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で、スラリー重合条件下にある反応器中で重合させる工程と、
反応器からポリマー生成物、未反応モノマー、及び希釈剤を含む反応器流出物を回収する工程と、
反応器流出物を押出して、ポリマー生成物から希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離する工程と、
分離した希釈剤と未反応モノマーを、反応器へ再循環させる工程とを含む方法。

項10.反応器流出物を押出す押出機が反応器に直接連結されている、項9に記載の方法。

項11.反応器流出物を押出す押出機が加熱された配管に直接連結され、この加熱された配管が反応器に直接連結されている、項9または10に記載の方法。

項12.ポリマー生成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、項9から11のいずれか1項に記載の方法。

項13.ポリマー生成物が星状分岐ブチルゴムである、項9から12のいずれか1項に記載の方法。

項14.エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、項9から13のいずれか1項に記載の方法。

項15.希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、項9から14のいずれか1項に記載の方法。

項16.希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、項9から15のいずれか1項に記載の方法。

項17.希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、項9から16のいずれか1項に記載の方法。

項18.スラリーを押し出す前に、スラリーをスラリー不安定化温度より1℃から約50℃高い温度まで加熱することを含む、項9から17のいずれか1項に記載の方法。

項19.エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で、スラリー重合条件下にある反応器中で重合させる工程と、
反応器からポリマー生成物、未反応モノマー、及び希釈剤を含む反応器流出物を回収する工程と、
反応器流出物を押出して、ポリマー生成物から希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離する工程と、
反応器流出物を加熱してポリマーを凝集させる工程と、
分離した希釈剤と未反応モノマーを、反応器へ再循環させる工程とを含む方法。

項20.反応器流出物の加熱が、反応器流出物を押出している間に行われる、項19に記載の方法。

項21.反応器流出物を押出す押出機が、反応器に直接連結されている、項19または20に記載の方法。

項22.反応器流出物を押出す押出機が加熱された配管に直接連結され、この加熱された配管が反応器に直接連結されている、項19から21のいずれか1項に記載の方法。

項23.押出機の1以上のゾーンにおいて加熱が行われる、項19から22のいずれか1項に記載の方法。

項24.分離した希釈剤を、押出機から反応器へ再循環する、項19から23のいずれか1項に記載の方法。

項25.ポリマー生成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、項19から24のいずれか1項に記載の方法。

項26.スラリーを押し出す前に、スラリーの温度が、スラリー不安定化温度より1℃高く、約50℃低い温度範囲で保持されるように加熱することを含む、項19から25のいずれか1項に記載の方法。

項27.エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、項19から26のいずれか1項に記載の方法。

項28.希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、項19から27のいずれか1項に記載の方法。

項29.希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、項19から28のいずれか1項に記載の方法。

項30.希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、項19から29のいずれか1項に記載の方法。

項31.スラリーのスラリー不安定化温度が、少なくとも約-86℃である、項19から30のいずれか1項に記載の方法。

項32.スラリーのスラリー不安定化温度が、約-40℃から約-84℃である、項19から31のいずれか1項に記載の方法。

項33.スラリーのスラリー不安定化温度が、約-45℃から約-76℃である、項19から32のいずれか1項に記載の方法。

項34.エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するためのシステムであって、
その内部を撹拌する手段を備える容器と、
容器の上部に設けられた少なくとも1のノズルに、その第1端部が直接連結された押出機と、
蒸気を保持または流通させるための第1導管であって、押出機と連通する第1導管と、
蒸気を保持または流通させるための第2導管であって、その第1端が押出機と連通し、その第2端が容器と連通する第2導管とから成るシステム。

項35.さらに、容器を押出機から隔離する手段を備える、項34に記載のシステム。

項36.さらに、押出機への熱エネルギー供給量を調整する手段を備える、項34または35に記載のシステム。

項37.エラストマー組成物であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させて、エラストマー組成物と、未反応モノマーと、希釈剤とを含むスラリーを形成する工程と、
スラリーを押出して、エラストマー組成物から希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離する工程と、
分離した希釈剤を、1以上のC4-C7イソオレフィンを重合するための反応器へ再循環させる工程とを含む方法により製造された、エラストマー組成物。

項38.エラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、項37に記載のエラストマー組成物。

項39.エラストマー組成物が、星状分岐ブチルゴムである、項37または38に記載のエラストマー組成物。

項40.エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、項37から39のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項41.希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、項37から40のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項42.スラリーを押し出す前に、スラリーの温度が、スラリー不安定化温度より1℃高く、約50℃低い温度範囲で保持されるように加熱することを含む、項37から41のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項43.希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、項37から42のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項44.希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、項37から43のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項45.スラリーのスラリー不安定化温度が、少なくとも約-86℃である、項37から44のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項46.スラリーのスラリー不安定化温度が、約-40℃から約-84℃である、項37から45のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

項47.スラリーのスラリー不安定化温度が、約-45℃から約-76℃である、項37から46のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【0075】
いくつかの実施形態及び構成について、複数の上限値と、複数の下限値を用いて説明した。特に断りのない限り、いずれかの下限値からいずれかの上限値までの範囲が考慮される。請求項には、特定の下限値、上限値及び範囲が記載されている。全ての数値は概略またはおよその値であり、当業者であれば予想可能な測定誤差や、ばらつきが考慮される。
【0076】
上記に様々な用語を定義した。請求項で用いた用語に、上記の定義に含まれていないものがある場合、当業者が少なくとも1の印刷物あるいは特許文献において定義した最も広い定義が適用される。さらに、本願に引用した全ての特許、試験方法、その他の文献は、それが許される全法域において、本願の要旨と抵触しない範囲で本願に参照として組み込まれる。
【0077】
上記にこの発明の実施形態を説明したが、この発明の範囲を外れない範囲で、他の形態で実施することもできる。この発明の範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させて、ポリマー生成物と、未反応モノマーと、希釈剤とを含むスラリーを生成させる工程と、
このスラリーを、ポリマー生成物から希釈剤の少なくとも一部を分離するために押出機で押出す工程と、
分離された希釈剤を、1以上のC4-C7イソオレフィンを重合させるため、再循環する工程とを含む方法。
【請求項2】
ポリマー生成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー生成物が星状分岐ブチルゴムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
スラリーを押し出す前に、スラリーをスラリー不安定化温度より1℃から約50℃高い温度まで加熱することを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で、スラリー重合条件下にある反応器中で重合させる工程と、
反応器からポリマー生成物、未反応モノマー、及び希釈剤を含む反応器流出物を回収する工程と、
反応器流出物を押出して、ポリマー生成物から希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離する工程と、
分離した希釈剤と未反応モノマーを、反応器へ再循環させる工程とを含む方法。
【請求項10】
反応器流出物を押出す押出機が反応器に直接連結されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
反応器流出物を押出す押出機が加熱された配管に直接連結され、この加熱された配管が反応器に直接連結されている、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
ポリマー生成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項9から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
スラリーを押し出す前に、スラリーをスラリー不安定化温度より1℃から約50℃高い温度まで加熱することを含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、請求項9から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、請求項9から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、請求項9から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、請求項9から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するための方法であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で、スラリー重合条件下にある反応器中で重合させる工程と、
反応器からポリマー生成物、未反応モノマー、及び希釈剤を含む反応器流出物を回収する工程と、
反応器流出物を押出して、ポリマー生成物から希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離する工程と、
反応器流出物を加熱してポリマーを凝集させる工程と、
分離した希釈剤と未反応モノマーを、反応器へ再循環させる工程とを含む方法。
【請求項19】
反応器流出物の加熱が、反応器流出物を押出している間に行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
反応器流出物を押出す押出機が、反応器に直接連結されている、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
反応器流出物を押出す押出機が加熱された配管に直接連結され、この加熱された配管が反応器に直接連結されている、請求項18から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
押出機の1以上のゾーンにおいて加熱が行われる、請求項18から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
分離した希釈剤を、押出機から反応器へ再循環する、請求項18から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ポリマー生成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項18から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
スラリーを押し出す前に、スラリーの温度が、スラリー不安定化温度より1℃高く、約50℃低い温度範囲で保持されるように加熱することを含む、請求項18から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、請求項18から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、請求項18から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、請求項18から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
希釈剤に、さらに塩化メチルが含まれる、請求項18から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
スラリーのスラリー不安定化温度が、少なくとも約-86℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
スラリーのスラリー不安定化温度が、約-45℃から約-76℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
スラリーのスラリー不安定化温度が、少なくとも約-86℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項33】
スラリーのスラリー不安定化温度が、約-45℃から約-76℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項34】
スラリーのスラリー不安定化温度が、少なくとも約-86℃である、請求項18に記載の方法。
【請求項35】
スラリーのスラリー不安定化温度が、約-45℃から約-76℃である、請求項18に記載の方法。
【請求項36】
エラストマーまたはエラストマー組成物を製造するためのシステムであって、
その内部を撹拌する手段を備える容器と、
容器の上部に設けられた少なくとも1のノズルに、その第1端部が直接連結された押出機と、
蒸気を保持または流通させるための第1導管であって、押出機と連通する第1導管と、
蒸気を保持または流通させるための第2導管であって、その第1端が押出機と連通し、その第2端が容器と連通する第2導管とから成るシステム。
【請求項37】
さらに、容器を押出機から隔離する手段を備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
さらに、押出機への熱エネルギー供給量を調整する手段を備える、請求項36または37に記載のシステム。
【請求項39】
エラストマー組成物であって、
1以上のC4-C7イソオレフィンと、1以上のコモノマーとを、1以上のハイドロフルオロカーボンを含む希釈剤の存在下で重合させて、エラストマー組成物と、未反応モノマーと、希釈剤とを含むスラリーを形成する工程と、
スラリーを押出して、エラストマー組成物から希釈剤と未反応モノマーの少なくとも一部を分離する工程と、
分離した希釈剤を、1以上のC4-C7イソオレフィンを重合するための反応器へ再循環させる工程とを含む方法により製造された、エラストマー組成物。
【請求項40】
エラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項39に記載のエラストマー組成物。
【請求項41】
エラストマー組成物が、星状分岐ブチルゴムである、請求項39または40に記載のエラストマー組成物。
【請求項42】
エラストマーまたはエラストマー組成物が、ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−アルキルスチレン)、星状分岐ブチルゴム、ハロゲン化星状分岐ブチルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、およびこれらの混合物の内の少なくともいずれか1である、請求項39から41のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項43】
希釈剤に、1以上のハイドロフルオロカーボンが少なくとも10wt%含まれる、請求項39から42のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項44】
スラリーを押し出す前に、スラリーを加熱する、請求項39から43のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項45】
希釈剤に、1,1-ジフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンのいずれか一方、または両方が含まれる、請求項39から44のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項46】
スラリーのスラリー不安定化温度が、少なくとも約-86℃である、請求項39から45のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。
【請求項47】
スラリーのスラリー不安定化温度が、約-45℃から約-76℃である、請求項39から46のいずれか1項に記載のエラストマー組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−525108(P2010−525108A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504135(P2010−504135)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/057535
【国際公開番号】WO2008/130763
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】