説明

ポリマー性毛髪染料

少なくとも1個の共有結合したカチオン性染料を有する天然もしくは合成のアミノ酸から選択されるオリゴおよびポリペプチドを含有するポリマー性染料。これらの染料を使用して、ヒトの毛髪に対して非常に良好な染色結果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なポリマー性染料およびこれらの化合物を含有する組成物、それらの製造方法および、ケラチン含有繊維、ウール、皮革、シルク、セルロースまたはポリアミド等の有機物質の染色のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン性化合物が負に荷電した毛髪に対して良好な親和性を有することは良く知られている。こうした特徴は、毛髪を小分子と、更にポリマーと接触させるために利用されてきた。
【0003】
ヒトの毛髪のための着色剤として使用するために、多くのカチオン性ポリマー染料が、例えば米国特許第4,228,259号、米国特許第4,182,612号、またはフランス特許第2 456 764号に開示されている。これらの参考文献には、ポリマー部分がカチオン性の電荷を有することが教示されている。
【0004】
驚くべきことに、カチオン性の電荷が染料部分に位置するポリマー性毛髪染料で、非常に良好な染色結果が得られることが見出された。
【0005】
より具体的には、驚くべきことに、カチオン性の電荷が染料部分に位置するオリゴおよびポリペプチド毛髪染料で、非常に良好な染色結果および耐水性が得られることが見出された。
【発明の概要】
【0006】
従って本発明は、少なくとも1個の共有結合したカチオン性染料を含有する天然もしくは合成のアミノ酸から選択されるオリゴおよびポリペプチドを含むポリマー性染料に関する。
【0007】
好ましくは、これらのポリマー性染料は以下の式に対応する:
【化1】


【0008】
[式中、
AおよびBは、互いに独立して天然もしくは合成のアミノカルボン酸から選択されるポリマー骨格を示し;
X1およびX2は互いに独立して、一方もしくは双方の末端が1個もしくは2個以上の-O-、-S-、-N-、-N=-、-N(R5)-、-S(O)-、-SO2-、-(CH2CH2-O)1-5-、-(CH2CH2CH2-O)1-5-、-C(O)-、-C(O)O-、-OCO-、
【化2】

【0009】
-CON(R1)-、-C(NR1R2)2-、-(R1)NC(O)-、-C(S)R1-もしくは
【化3】

【0010】
によって遮断されている(interrupted)および/または終結している-C1-C30アルキレン-、-C2-C12アルケニレン-、または-C6-C10アリーレン-;または場合によって少なくとも1個のヘテロ原子を含む、場合によって置換された飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素環)の2価のラジカル;場合によってC1-C30アルキル、C1-C30アルコキシ、C2-C12アルケニル、C5-C10アリール、C5-C10シクロアルキル、C1-C10アルキル(C5-C10アリーレン)、ヒドロキシまたはハロゲンによって置換されていても良い、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族の2価のラジカル;直接結合;または下記式の2価のラジカル:
(1c) -(T)t(Z)-;
から選択される連結基であり、
Tは-C1-C12アルキレン;-C2-C12アルケニレン-;-C(O)-;-(CH2CH2-O)1-5-;-(CH2CH2CH2-O)1-5-;-C(O)O-;-OC(O)-;-N(R3)-;-CON(R3)-;-(R3)NC(O)-;-O-;-S-;-S(O)-;-S(O)2-;-S(O)2N(R3)-;または-N+(R3)(R4)-であり;
Zは下記式のビラジカルであり;
【化4】

【0011】
R1、R2、R3、R4およびR5は互いに独立して水素;置換されていても置換されていなくても良い、直鎖もしくは分岐した、単環もしくは多環の、遮断されているかもしくは遮断されていないC1-C14アルキル;C1-C14アルコキシ;C2-C14アルケニル;C1-C6アルキルアミノ;C6-C10アリール;C6-C10アリール-C1-C10アルキル;C6-C10アリール-C1-C10アルコキシ;またはC5-C10アルキル(C5-C10アリール)であり;
Raは水素;C1-C6アルキル;C1-C6-アルコキシ;C1-C6-アルキルアミノ;C6-C10アリールオキシ;C6-C10-アリールアミノ;SO2R3;塩素;またはフッ素であり;
YはRa;Y1a+;またはY2b+であり;
aおよびbは互いに独立して1、2または3であり;
tは0または1であり;
Y1およびY2は互いに独立して有機染料の残基;または水素であり;Y1およびY2の少なくとも一方は有機染料の残基であり;
An1およびAn2は互いに独立してアニオンであり;
aおよびbは互いに独立して1〜3の数であり;
mは0〜5000の数であり;
nは0〜5000の数であり;そして
pは1〜5000の数であり;
m + n + pの合計 ≧ 3である。]
好ましくは、下記の式(1a)または(1b)の染料であり、
AおよびBは互いに独立して天然もしくは合成アミノカルボン酸から選択されるポリマー骨格を示し;
X1およびX2は互いに独立して、一方もしくは双方の末端が1個もしくは2個以上の-S-、-N-、-N=-、-N(R5)-、-S(O)-、-SO2-、-(CH2CH2-O)1-5-、-(CH2CH2CH2-O)1-5-、-C(O)-、-C(O)O-、-OCO-、
【化5】

【0012】
-CON(R1)-、-C(NR1R2)2-、-(R1)NC(O)-、-C(S)R1-によって遮断および/または終結している-C1-C30アルキレン-および-C2-C12アルケニレン-;または少なくとも1個のヘテロ原子を含む、場合によって置換されていても良い、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素環)の2価のラジカル;場合によってC1-C30アルキル、C1-C30アルコキシ、C2-C12アルケニル、C5-C10アリール、C5-C10シクロアルキル、C1-C10アルキル(C5-C10アリーレン)、ヒドロキシまたはハロゲンで置換されていても良い、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族の2価のラジカル;直接結合;または下記式の2価のラジカル:
(1c) -(T)t(Z)-;
から選択される連結基であり、
Tは-C1-C12アルキレン;-C2-C12アルケニレン-;-C(O)-;-(CH2CH2-O)1-5-;-(CH2CH2CH2-O)1-5-;-C(O)O-;-OC(O)-;-N(R3)-;-CON(R3)-;-(R3)NC(O)-;-O-;-S-;-S(O)-;-S(O)2-;-S(O)2N(R3)-;または-N+(R3)(R4)-であり;
Zは下記式のビラジカルであり;
【化6】

【0013】
R1、R2、R3、R4およびR5は互いに独立して水素;置換されていても置換されていなくても良い、直鎖もしくは分岐した、単環もしくは多環の、遮断されているかもしくは遮断されていないC1-C14アルキル;C1-C14アルコキシ;C2-C14アルケニル;C1-C6アルキルアミノ;C6-C10アリール;C6-C10アリール-C1-C10アルキル;C6-C10アリール-C1-C10アルコキシ;またはC5-C10アルキル(C5-C10アリール)であり;
Raは水素;C1-C6アルキル;C1-C6-アルコキシ;C1-C6-アルキルアミノ;C6-C10アリールオキシ;C6-C10-アリールアミノ;SO2R3;塩素;またはフッ素であり;
YはRa;Y1a+;またはY2b+であり;
aおよびbは互いに独立して1、2または3であり;
tは0または1であり;
Y1およびY2は互いに独立して有機染料の残基;または水素であり;Y1およびY2の少なくとも一方は有機染料の残基であり;
An1およびAn2は互いに独立してアニオンであり;
aおよびbは互いに独立して1〜3の数であり;
mは0〜5000の数であり;
nは0〜5000の数であり;そして
pは1〜5000の数であり;
m + n + p の合計≧ 3である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
C1-C14アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2,2'-ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n-ヘキシル、n-オクチル、1,1',3,3'-テトラメチルブチル、または2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシルである。
【0015】
C2-C14アルケニルは、例えばアリル、メタリル、イソプロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、n-ペンタ-2,4-ジエニル、3-メチル-ブタ-2-エニル、n-オクタ-2-エニル、n-ドデカ-2-エニル、イソドデセニル、n-ドデカ-2-エニルまたはn-オクタデカ-4-エニルである。
【0016】
C6-C10アリールは、例えばフェニルまたはナフチルである。
【0017】
C1-C30アルキレンは、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-テトラメチレン、sec-テトラメチレン、tert-テトラメチレン、n-ペンタメチレン、2-ペンタメチレン、3-ペンタメチレン、2,2'-ジメチルプロピレン、シクロペンタメチレン、シクロヘキサメチレン、n-ヘキサメチレン、n-オクタメチレン、1,1',3,3'-テトラメチルテトラメチレン、2-エチルヘキサメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン、ヘプタデカメチレン、オクタデカメチレン、ノナデカメチレンまたはエイコサメチレンである。
【0018】
「アニオン」とは、例えば有機もしくは無機のアニオン、例えばハロゲン化物、好ましくは塩化物およびフッ化物、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、四フッ化ホウ素、炭酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩またはC1-C8アルキル硫酸塩、特にメチル硫酸塩またはエチル硫酸塩を示し;アニオンはまた、乳酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩または錯陰イオン、例えば塩化亜鉛複塩も示す。
【0019】
式(1a)および(1b)において、好ましくは、
Y1およびY2は互いに独立して、アントラキノン、アクリジン、アゾ、アザメチン、ヒドラゾメチン、トリフェニルメタン、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイド、インドフェノール、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、メロシアニン、メチン、オキサジン、ペリノン、ペリレン、ピレネキノン(pyrenequinone)、フタロシアニン、フェナジン、キノンイミン、キナクリドン、キノフタロン、スチリル、スチルベン、キサンテン、チアジンおよびチオキサンテン染料の群から選択される。
【0020】
より好ましくは、Y1およびY2は互いに独立して、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、アントラキノン、メロシアニン、メチン、オキサジンおよびスチリル染料から選択される。
【0021】
最も好ましくは、Y1およびY2は同じ意味を有する。
【0022】
好ましくは、式(1a)および(1b)において、ポリマー骨格(AおよびB)および有機染料の残基(Y1およびY2)の双方が、 ハロゲン化物、トシラート、メシラート、メトキシ、カルボン酸、カルボン酸塩化物、塩化スルホニル、エポキシド、無水物から選択される求電子基; またはアミン、グアニジン、ヒドロキシルおよびチオールから選択される求核基、から選択される官能基を有する。
【0023】
更により好ましくは、ポリマー骨格(AおよびB)がヒスチジン、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびプロリンから選択される式(1a)および(1b)の染料である。
【0024】
最も好ましくは、ポリマー骨格はポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびポリアスパラギンである。
【0025】
好ましくはポリマー性染料の分子量は400〜50000である。
【0026】
最も好ましくは、例えば下記式に対応する、αおよび/またはε位がX1-(Y1a+) 染料部分で修飾されたポリリシンである。
【化7】

【0027】
[式中、X1、Y1、m、nおよびaは式(1a)および(1b)で規定された通りである。]
ポリマー骨格のアミノ官能性の一部が未反応のままであることも可能である。
【0028】
式(2)のポリマー性染料は、以下によって得られる:
1. リシンからのポリリシンの合成、および
2. ポリリシンの式(Y1a+)-X1-Zの染料との反応[Y1およびZは反応性離脱基、例えばハロゲン化物、メトキシ、トシラートである]。
【化8】

【0029】
反応は、溶媒、例えば水、メタノール、エタノール、2-プロパノールもしくはブタノール等のアルコール類;アセトニトリルもしくはプロピオニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;クロロホルム、クロロベンゼンもしくはトリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類;またはジメチルスルホキシド等の他の溶媒中で実施することができる。
【0030】
通常、出発化合物の混合時の温度は0〜200℃、好ましくは20〜110℃の範囲である。
反応時間は一般に、出発化合物の反応性、選択される反応温度、および所望の変換に依存する。選択される反応時間は通常3時間から7日間の範囲である。
【0031】
選択される反応圧力は一般に0.1〜10 bar、特に0.2〜3.0barの範囲であり、より特には大気圧である。
【0032】
化合物の反応は触媒の存在下で行うことが望ましい場合がある。好適な触媒は、例えばアルカリもしくは遷移金属のC1-C6アルキルオキシド、例えばナトリウム、カリウムもしくはリチウムのC1-C6アルキルオキシド、好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドもしくはリチウムメトキシド、またはナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドもしくはリチウムエトキシド;または第2級もしくは第3級アミン、例えばキヌクリジン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、ピリジン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、1,4-ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、キヌクリジン、N-メチルピペリジン;またはアルカリ金属酢酸塩、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、もしくは酢酸リチウムである。
【0033】
式(2a)の染料のポリリシンモノマーに対するモル比は一般的に0.1:1〜3:1の範囲、特に0.1:1〜1.5:1の範囲で選択される。
【0034】
本発明の方法に従って調製される生成物は、有利にはワークアップおよび単離をし、必要に応じて精製することができる。
【0035】
通常、ワークアップは、反応混合液の温度を5〜80℃の範囲、特に20〜50℃の範囲に下げることによって始められる。
【0036】
温度は、数時間かけてゆっくり下げることが有利であり得る。
【0037】
一般に、反応生成物は通常濾過し、次いで水、溶媒もしくは塩溶液で洗浄し、続いて乾燥させる。
【0038】
濾過は通常標準的な濾過装置、例えばブフナー漏斗、フィルタープレス、加圧吸引フィルターで、好ましくは真空下で実施する。
【0039】
乾燥のための温度は、適用される圧力に依存する。乾燥は通常、50-200mbarの減圧下で実施する。乾燥は通常、40〜90℃の範囲の温度で実施する。
【0040】
有利には、生成物は単離後に再結晶させて精製する。再結晶には有機溶媒および溶媒混合物が好適である。
【0041】
本発明に係る式(1a)および(1b)の染料は、ケラチン含有繊維、ウール、皮革、シルク、セルロースもしくはポリアミド、綿またはナイロン等の有機物質、好ましくは眉毛、まつげ、陰毛、胸毛、腋毛、および顎ひげ等の体毛を含むヒトの毛髪を染色するために好適である。また、動物の毛も本発明の毛髪染料で着色することができる。
【0042】
得られた染料は、色調の濃さ、および洗浄に対する良好な堅牢度特性、例えば光、シャンプーおよび摩擦に対する堅牢度等によって分類される。
【0043】
一般に、合成ベースでの毛髪染色剤は、3つの群に分類することができる:
− 一時的染色剤、
− 半永久的染色剤、および
− 永久的染色剤。
【0044】
染料の色調の多様性は、他の染料との組み合わせによって増すことができる。
【0045】
従って本発明の式(1a)および(1b)の染料は、同じかまたは他の種類の染料、特に直接染料、酸化染料;カプラー化合物並びにジアゾ化化合物、もしくはキャッピングされた(capped)ジアゾ化化合物の染料前駆物質の組み合わせ;および/またはカチオン性反応性染料と組み合わせることができる。
【0046】
直接染料は天然起源のものであっても、合成によって調製しても良い。これらは、非荷電、カチオン性またはアニオン性、例えば酸性染料である。
【0047】
式(1a)および(1b)の染料は、式(1a)および(1b)の染料とは異なる少なくとも1種の単一の直接染料と組み合わせて使用することができる。
【0048】
直接染料の例は、「Dermatology」 Ch. Culnan, H. Maibach編, Verlag Marcel Dekker Inc., New York, Basle, 1986, Vol. 7, Ch. Zviak, 「The Science of Hair Care」 第7章, 第248-250頁, および「Europaisches Inventar der Kosmetikrohstoffe」 1996 (The European Commission発行, the Bundesverband der deutschen Industrie- und Handelsunternehmen fur Arzneimittel, Reformwaren und Korperpflegemittel e.V., Mannheimよりディスク形態で入手可能)に記載されている。
【0049】
特に半永久的染色のための、少なくとも1種の単一の式(1a)および(1b)の染料と組み合わせるのに有用なより好ましい直接染料は、以下のものである:
2-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノ-アニソール硫酸塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、2-クロロ-5-ニトロ-N-ヒドロキシエチレン-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-ピクラミン酸、2,6-ジアミノ-3-((ピリジン-3イル)-アゾ)ピリジン、2-ニトロ-5-グリセリル-メチルアニル、3-メチルアミノ-4-ニトロ-フェノキシエタノール、4-アミノ-2-ニトロジフェニレンアミン-2’-カルボン酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサル(tetrahydroquinoxal.)、4-N-エチル-1,4-ビス(2’-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロベンゼン塩酸塩、1-メチル-3-ニトロ-4-(2’-ヒドロキシエチル)-アミノベンゼン、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチル-アミノフェノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミン-3-ニトロフェノール、ヒドロキシアントリルアミノプロピルメチルモルホリノメト硫酸塩、4-ニトロフェニル-アミノエチル尿素、6-ニトロ-p-トルイジン、アシッドブルー62、アシッドブルー9、アシッドレッド35、アシッドレッド87(エオシン)、アシッドバイオレット43、アシッドイエロー1、ベーシックブルー3、ベーシックブルー6、ベーシックブルー7、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー26、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド2、ベーシックレッド22、ベーシックレッド76、ベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー9、ディスパースブルー3、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド17、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースブラック9、ファストグリーンFCF、HCブルー2、HCブルー7、HCブルー8、HCブルー12、HCオレンジ1、HCオレンジ2、HCレッド1、HCレッド10-11、HCレッド13、HCレッド16、HCレッド3、HCレッドBN、HCレッド7、HCバイオレット1、HCバイオレット2、HCイエロー2、HCイエロー5、HCイエロー5、HCイエロー6、HCイエロー7、HCイエロー9、HCイエロー12、HCレッド8、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、HCバイオレットBS、ピクラミン酸、ソルベントグリーン7。
【0050】
本発明のポリマー性毛髪染料は、その染色効果を高めるための酸化剤の添加を必要としない。このことは、おそらく毛髪に対するダメージを低減することができるであろう。更に、本発明の毛髪染料を使用することによって、現在使用されている酸化性毛髪染料の知られている、または文献に記載されている短所の多く、例えば皮膚に対する刺激、皮膚感作およびアレルゲン性を抑制することができる。また、本発明の毛髪染料は、頭部に適用した際に化学反応が生じないため、適用および製剤中での使用が酸化性毛髪染料よりも容易である。特に有利なことは、酸化性染料を使用した染色よりも染色時間が有意に短い(約5-10分間)という事実である。
【0051】
更に、式(1a)および(1b)の染料は、少なくとも1種のカチオン性アゾ染料、例えばGB-A-2 319 776に開示された化合物、並びにDE-A-299 12 327に記載されたオキサジン染料、およびこれらの文献で言及されている他の直接染料とこれらとの混合物、と組み合わせることができる。
【0052】
式(1a)および(1b)の染料はまた、酸性染料、例えば国際的な名称(カラーインデックス)または商標名から公知である染料と組み合わせることもできる。
【0053】
式(1a)および(1b)の染料はまた、荷電を有さない染料と組み合わせることもできる。
【0054】
更に、式(1a)および(1b)の染料は、酸化染料システムと組み合わせて使用することもできる。
【0055】
初期状態では染料ではなく、染料前駆物質である酸化染料は、その化学的性質によってデベロッパーおよびカプラー化合物に分類される。
【0056】
好適な酸化染料は、例えば以下に記載されている:
− DE 19 959 479, 特に第2欄、第6行〜第3欄、第11行;
− 「Dermatology」 Ch. Culnan, H. Maibach編, Verlag Marcel Dekker Inc., New York, Basle, 1986, Vol. 7, Ch. Zviak, The Science of Hair Care, chapter 第8章, 第264 - 267頁 (酸化染料);
好ましいデベロッパー化合物は、例えば置換されていても置換されていなくても良いヒドロキシ-もしくはアミノ残基でパラ-もしくはオルト-位が置換された第一級芳香族アミン、またはジアミノピリジン誘導体、複素環ヒドラゾン、4-アミノピラゾール誘導体、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン誘導体、またはDE 19 717 224号、特に第2頁、第50〜66行および第3頁、第8〜第12行に記載された不飽和アルデヒド類、またはWO 00/43367号、特に第2頁、第27行〜第8頁、第24行、特に第9頁、第22行〜第11頁、第6行に記載されたカチオン性デベロッパー化合物である。
【0057】
更に、生理的に適合する酸付加塩、例えば塩酸塩または硫酸塩の形態のデベロッパー化合物を使用することができる。芳香族のOHラジカルを有するデベロッパー化合物はまた、アルカリ金属フェノラート等の塩基との塩の形態でも好適である。
【0058】
好ましいデベロッパー化合物は、DE 19959479号、第2頁、第8〜29行に開示されている。
【0059】
より好ましいデベロッパー化合物は、p-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、p-、m-、o-アミノフェノール、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン硫酸塩、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール硫酸塩、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニル(methylenedioxyanil.)、1-(2'-ヒドロキシエチル)-2,5-ジアミノベンゼン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、ヒドロキシプロピル-ビス-(N-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン)塩酸塩、ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-メチルアミノフェノール硫酸塩、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、4,5-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール、4-アミノ-m-クレゾール、6-アミノ-m-クレゾール、5-アミノ-6-クロロ-クレゾール、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジンまたは4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン硫酸塩である。
【0060】
好ましいカプラー化合物は、m-フェニレンジアミン誘導体、ナフトール、レゾルシンおよびレゾルシン誘導体、ピラゾロンおよびm-アミノフェノール誘導体であり、最も好ましくはDE 19959479号、第1頁、第33行〜第3頁、第11行に開示されているカプラー化合物である。
【0061】
更に、式(1a)および(1b)の染料と組み合わせて、自動酸化性(autooxidizable)化合物を使用することができる。
【0062】
式 (1a)および(1b)の染料はまた、天然の色素と組み合わせて使用することもできる。
【0063】
更に、式(1a)および(1b)の染料は、キャッピングされたジアゾ化化合物と組み合わせて使用することもできる。
【0064】
好適なジアゾ化化合物は、例えばWO 2004/019897の式(1)−(4)の化合物(第1〜2頁)、および同じ文献の第3〜5頁に開示された対応する水溶性カップリング成分(I)−(IV)である。
【0065】
更に、本発明の染料は、以下の染料と組み合わせることもできる:
−DE 10 2006 062 435 A1、WO 00038638、DE 10241076およびWO 05120445に記載されたような反応性カルボニル化合物およびCH-酸性化合物の反応によって調製される染料、
−DE 10 2006 036898およびDE 10 2005 055496に記載されたようなチアジアゾール染料、
−例えばWO 07110532、WO 07110542に記載されたような蛍光スチルベン硫黄染料、
−WO 07071684およびWO 07071686に記載されたようなテトラアザペンタメチン染料、
−FR 2879195、FR 2879127、FR 2879190、FR 2879196、FR 2879197、FR 2879198、FR 2879199、FR 2879200、FR 2879928、FR 2879929、WO 06063869に記載されたような2量体カチオン染料、
−EP 0850636に記載されたようなアゾおよびスチリル染料、
−FR 2882929に記載されたようなポリマー性アニオン染料、
−WO 0597051、EP 1647580、WO 06136617に記載されたようなジスルフィド染料、
−WO 07025889、WO 07039527に記載されたようなチオール染料、および
−US 20050050650、US 7217295に記載されたような導電性ポリマー。
【0066】
本発明はまた、有機物質、好ましくはケラチン含有繊維、最も好ましくはヒトの毛髪の染色のために使用される、少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料を含有する製剤に関する。
【0067】
好ましくは式(1a)および(1b)の染料は、有機物質を処理するための、好ましくは染色するための組成物中に、組成物の総重量に基づいて0.001〜5重量% (以下単に「%」と示す)、特に0.005〜4%、より特に0.1〜3%の量で組み込まれる。
【0068】
本発明の染色組成物は、10〜200℃、好ましくは18〜80℃、最も好ましくは20〜40℃の範囲の温度で毛髪に適用する。
【0069】
製剤は、ケラチン含有繊維、好ましくはヒトの毛髪に種々の技術的形態で適用することができる。
【0070】
製剤の技術的形態は、例えば溶液、特に粘度を高めた水性もしくは水性アルコール性の溶液、クリーム、フォーム、シャンプー、粉末、ゲル、またはエマルジョンである。
【0071】
通常、染色組成物は、ケラチン含有繊維に対して50〜100gの量で適用する。
【0072】
製剤の好ましい形態は、すぐに使用できる(ready-to-use)組成物またはマルチコンパートメント染色デバイスもしくは「キット」、または例えばUS 6,190,421号、第2欄、第16〜31行に記載されたようなコンパートメントを有するマルチコンパートメントパッケージングシステムのいずれかである。
すぐに使用できる染色組成物のpH値は通常2〜11、好ましくは5〜10である。
【0073】
好適な化粧用ヘアケア製剤は、以下のものである:ヘアトリートメント調製物、例えばシャンプーおよびコンディショナーの形態の洗髪調製物、ヘアケア調製物、例えばプレトリートメント調製物もしくはリーブオン(leave-on)製品、例えばスプレー、クリーム、ゲル、ローション、ムースおよびオイル、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、インテンシブヘアトリートメント、整髪(hair-structuring)調製物、例えばパーマネントウェーブ(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)のためのヘアウェービング調製物、毛髪矯正用(hair-straightening)調製物、液状ヘアセッティング調製物、ヘアフォーム、ヘアスプレー、脱色調製物、例えば過酸化水素溶液、明色化(lightening)シャンプー、脱色クリーム、脱色パウダー、脱色ペーストもしくはオイル、一時的、半永久的もしくは永久的毛髪着色剤、自己酸化型染料含有調製物、または天然の毛髪用着色剤、例えばヘナまたはカモミール。
【0074】
ヒトの毛髪に使用する場合、本発明の染色組成物は通常、水性化粧用担体中に組み込むことができる。好適な水性化粧用担体としては、例えばW/O、O/W、O/W/O、W/O/WまたはPITエマルジョンおよび全ての種類のマイクロエマルジョン、クリーム、スプレー、エマルジョン、ゲル、粉末、および界面活性剤含有発泡性溶液、例えばシャンプーまたはケラチン含有繊維に使用するのに適した他の調製物が挙げられる。このような使用形態は、Research Disclosure 42448 (August 1999)に詳細に記載されている。必要であれば、染色組成物を、例えばUS-3 369 970号、特に第1欄、第70行〜第3欄、第55行に記載されたような無水の担体中に組み込むことも可能である。本発明に係る染色組成物はまた、DE-A-3 829 870号に記載されたような染色用クシまたは染色用ブラシを用いた染色方法に非常に適している。
【0075】
水性担体の構成成分は、本発明の染色組成物中に通常の量で存在する;例えば乳化剤は染料組成物全体に対して0.5〜30重量%の濃度、増粘剤は0.1〜25重量%の濃度で染料組成物中に存在することができる。
【0076】
染色組成物のための更なる担体は、例えば「Dermatology」 Ch. Culnan, H. Maibach編, Verlag Marcel Dekker Inc., New York, Basle, 1986, Vol. 7, Ch. Zviak, 「The Science of Hair Care」 第7章、第248-250頁、特に第243頁、第1行〜第244頁、第12行に記載されている。
【0077】
式(1a)および(1b)の染料を酸化染料および/またはその付加塩および酸と共に使用する場合、これらは別個に保存しても、一緒に保存しても良い。好ましくは、還元もしくは塩基に対して安定ではない酸化染料および直接染料は別個に保存する。
【0078】
式(1a)および(1b)の染料は、液状からペースト様の調製物(水性もしくは非水性)で、または乾燥粉末の形態で保存することができる。
【0079】
染料を別個に保存する場合、使用前に反応性成分を直接、互いに良く混合する。乾燥保存の場合には、通常規定量の熱湯(50〜80℃)を添加し、使用前に均一な混合物を調製する。
【0080】
本発明に係る染色組成物は、界面活性剤、溶媒、塩基、酸、香料、ポリマー性助剤、増粘剤および光安定剤のような、こうした組成物で公知の任意の活性成分、添加剤または助剤を含有し得る。
【0081】
以下の助剤は本発明の毛髪染色組成物で好ましく使用される:非イオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、ジエチル硫酸四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン/イミダゾリニウムメトクロリドコポリマー;四級化ポリビニルアルコール、両性イオンおよび両性ポリマー、アニオン性ポリマー、増粘剤、構造付与剤、ヘアコンディショニング化合物、タンパク質加水分解物、香油、ジメチルイソソルビトールおよびシクロデキストリン、可溶化剤、抗フケ活性成分、pH値調製物質、パンテノール、パントテン酸、アラントイン、ピロリドンカルボン酸およびその塩、植物抽出物およびビタミン、コレステロール;光安定剤およびUV吸収剤、コンシステンシー調整剤、脂肪およびワックス、脂肪アルカノールアミド(fatty alkanolamides)、150〜50 000の分子量を有するポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、錯化剤、膨潤および浸透物質、乳白剤、パール剤(pearlising agents)、プロペラント、抗酸化剤、糖含有ポリマー、第4級アンモニウム塩および細菌阻害剤。
【0082】
本発明に係る染色組成物は一般に、少なくとも1種の界面活性剤を含有する。好適な界面活性剤は両性イオンもしくは両性界面活性剤、またはより好ましくはアニオン性、非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤である。
【0083】
本発明の更なる実施形態は、ケラチン含有繊維の染色に関する。
【0084】
本方法は、
(a) ケラチン含有繊維を少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料で処理すること、および
(b) 繊維を放置し、次いで繊維をすすぐこと
を含む。
【0085】
式(1a)および(1b)の染料は毛髪の染色全般、すなわち、毛髪を初めて染色する場合、また後に再度染色する場合、または毛髪の房もしくは一部を染色する場合にも適している。
【0086】
式(1a)および(1b)の染料は、例えば手を使ったマッサージ、クシ、ブラシ、または櫛もしくはノズルと組み合わせたビンによって毛髪に適用する。
【0087】
本発明に係る染色のための方法において、染色を更なる染料の存在下で実施するか否かは、得ようとする色合いによって決まるであろう。
【0088】
更に好ましいのは、ケラチン含有繊維を少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料、塩基および酸化剤で処理することを含む、ケラチン含有繊維の染色方法である。
【0089】
ケラチン含有繊維、特にヒトの毛髪を式(1a)および(1b)の染料および酸化剤で染色するための好ましい実施形態は、
a1) ケラチン含有繊維を、場合によって少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料を含む酸化剤で処理すること、
b1) ケラチン含有繊維を、場合によって少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料を含む、酸化剤を含まない組成物で処理すること;あるいはまた
a2) ケラチン含有繊維を、場合によって少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料を含む、酸化剤を含まない組成物で処理すること;
b2) ケラチン含有繊維を、場合によって少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料を含む酸化剤で処理すること、
を含み、a1)、a2)、b1)またはb2)のステップの少なくとも1つで式(1a)および(1b)の染料が存在することを条件とする。
【0090】
一般に、酸化剤含有組成物は、15〜45℃で0〜45分間、特に15〜30分間、繊維の上に放置される。
【0091】
酸化剤を含まない組成物は通常、一般的な助剤および添加剤を含有する。好ましいものは、ドイツ特許出願の第3欄、第17〜41行に記載されたものである。
【0092】
一般に、式(1a)および(1b)の染料および酸化剤を含まない組成物は、15〜50℃で5〜45分間、特に10〜25分間、繊維の上に放置される。
【0093】
本方法の好ましい一実施形態は、染色後にシャンプーおよび/またはクエン酸もしくは酒石酸等の弱酸で洗髪するものである。
【0094】
還元に対して安定な式(1a)および(1b)の染料は酸化剤を含まない組成物と一緒に保存することができ、また単一の組成物として適用しても良い。
【0095】
有利には、還元に対して安定ではない式(1a)および(1b)の染料を含有する組成物は、染色プロセスの直前に酸化剤を含まない組成物と共に調製する。
【0096】
更なる実施形態において、式(1a)および(1b)の染料、および酸化剤を含まない組成物は、同時に、または続けて適用することができる。
【0097】
通常、酸化剤含有組成物は、毛髪量に対して十分な量、通常30〜200gの量で均一に適用する。
【0098】
酸化剤は、例えば過硫酸塩もしくは希薄過酸化水素溶液、過酸化水素エマルジョンもしくは過酸化水素ゲル、アルカリ土類金属過酸化物、有機過酸化物、例えば過酸化尿素、メラミン過酸化物であり、または半永久的直接毛髪染料に基づくシェーディングパウダーを使用する場合には、アルカリ金属ブロメート固定液(alkalimetalbromat fixations)も適用可能である。
【0099】
更なる好ましい酸化剤は以下のものである:
−WO 97/20545号、特に第9頁、第5〜9行に記載されたような色を薄くする(lightened)着色を達成する酸化剤、
−DE-A-19 713 698号、特に第4頁、第52〜55行および第60〜61行、またはEP-A-1062940号、特に第6頁、第41〜47行 (および対応するWO 99/40895号)に記載されたようなパーマネントウェーブ固定溶液の形態の酸化剤。
【0100】
最も好ましい酸化剤は、対応する組成物の重量で好ましくは約2〜30%、より好ましくは約3〜20%、最も好ましくは6〜12%の濃度で使用される過酸化水素である。
【0101】
酸化剤は、本発明に係る染色組成物中に、染色組成物全体に基づいて好ましくは0.01%〜6%、特に0.01%〜3%の量で存在し得る。
【0102】
一般に、酸化剤を使用する染色は塩基、例えばアンモニア、アルカリ金属炭酸塩、土類金属(カリウムもしくはリチウム)炭酸塩、モノ-、ジ-もしくはトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アルカリ金属(ナトリウム)水酸化物、土類金属水酸化物、または下記式の化合物の存在下で実施する。
【化9】

【0103】
[式中、
LはOHもしくはC1-C4アルキルで置換されていても良いプロピレン残基であり;そして
R5、R6、R7およびR8は互いに独立してもしくは関連して水素;C1-C4アルキル;またはヒドロキシ;-(C1-C4)アルキルである。]
酸化剤含有組成物のpH値は通常約2〜7であり、特に約2〜5である。
【0104】
式(1a)および(1b)の染料を含む製剤をケラチン含有繊維、好ましくは毛髪に適用する1つの好ましい方法は、マルチコンパートメント染色デバイスもしくは「キット」または他の任意のマルチコンパートメントパッケージングシステム、例えばWO 97/20545号の第4頁、第19行〜第27行に記載されたようなものを使用することによるものである。
【0105】
一般に、染色溶液および/またはパーマネントウェーブ溶液で処理した後に毛髪をすすぐ。
【0106】
本発明の更なる好ましい実施形態は、毛髪を酸化染料で染色する方法であって、
a. 少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料および場合によって少なくとも1種の カプラー化合物および少なくとも1種のデベロッパー化合物と、場合によって少なくとも1種の更なる染料を含む酸化剤、とを混合すること、および
b. ケラチン含有繊維をステップa.で調製した混合物と接触させること
を含む、上記方法に関する。
【0107】
pH値の調整のためには、例えばDE 199 59 479号の第3欄、第46行〜第53行に記載されたような有機もしくは無機の酸が好適である。
【0108】
更に、本発明は、式(1a)および(1b)の染料を自動酸化性化合物および場合によって更なる染料と共に用いたケラチン含有繊維の染色方法に関する。
【0109】
この方法は、
a. 少なくとも1種の自動酸化性化合物および少なくとも1種のデベロッパー化合物および少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料および場合によって更なる染料を混合すること、および
b. ケラチン含有繊維をステップa.で調製した混合物で処理すること
を含む。
【0110】
更に、本発明は、式(1a)および(1b)の染料およびキャッピングされたジアゾ化化合物でケラチン含有繊維を染色するための方法であって、
a. ケラチン含有繊維をアルカリ条件下で少なくとも1種のキャッピングされたジアゾ化化合物およびカプラー化合物、および場合によってデベロッパー化合物および場合によって酸化剤、および場合によって更なる染料の存在下で、場合によって少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料と共に処理すること、および
b. 場合によって更なる染料、および場合によって少なくとも1種の式(1a) および(1b)の染料の存在下、酸で処理することによってpHを6〜2の範囲に調整すること
を含み、ステップa.またはb.の少なくとも一方において、少なくとも1種の式(1a)および(1b)の染料が存在することを条件とする、上記方法に関する。
【0111】
キャッピングされたジアゾ化化合物およびカプラー化合物、および場合によって酸化剤およびデベロッパー化合物は、任意の所望の順に続けて、または同時に適用することができる。
【0112】
好ましくは、キャッピングされたジアゾ化化合物およびカプラー化合物は、単一の組成物中で同時に適用される。
【0113】
「アルカリ条件」とは、8〜10、好ましくは9〜10、特に9.5〜10の範囲のpHを意味し、これは塩基、例えば炭酸ナトリウム、アンモニアまたは水酸化ナトリウムの添加によって達成される。
【0114】
塩基は、毛髪に、染料前駆物質、キャッピングされたジアゾ化化合物および/もしくは水溶性カップリング成分に、または染料前駆物質を含む染料組成物に添加することができる。
【0115】
酸は、例えば酒石酸またはクエン酸、クエン酸ゲル、場合によって酸性染料を含む好適な緩衝液である。
【0116】
第1段階で適用するアルカリ性染料組成物の量と第2段階で適用する酸性染料組成物の量の比率は、好ましくは約1:3〜3:1、特に約1:1である。
【0117】
ステップa.のアルカリ性染料組成物およびステップb.の酸性染料組成物は、繊維上に15〜45℃で5〜60分間、特に20〜30℃で5〜45分間放置する。
【0118】
更に、本発明は、式(1a)および(1b)の染料および少なくとも1種の酸性染料でケラチン含有繊維を染色するための方法に関する。
【実施例】
【0119】
以下の実施例は、染色方法を説明するために記載するが、本発明の方法はこれらに限定されるものではない。他に記載のない限り、「部」および「%」は重量によるものである。特定した染料の量は、染色される物質に相対的なものとする。
【0120】
調製例
実施例A1:
【化10】

【0121】
調製方法:
L-リシンHCl (50g, 274mmol) およびKOH (15.36g, 274mmol)の混合物をメカニカルスターラーを備えた開口した三つ首丸底フラスコに入れる。5mLの水を添加し、混合液をパルプ用の稠度(pulplike consistence)になるまで撹拌し、続いて150℃に加熱する。混合液が融解した時点で、触媒としてZr(OnBu)4 (4 mL, 80重量%, L-リシンモノマーに対して3 mol%)を添加し、0.5時間保持する。
【0122】
次いで混合液を180℃まで3時間加熱する。
【0123】
重合の際に生成する水は開口した反応器から外部に出るようにする。
【0124】
得られた褐色の固体を水に溶解する。
【0125】
不溶性の不純物を濾過によって除去し、水溶液を凍結乾燥して黄褐色固体のポリマー(A1)を得る。
【0126】
Mw 2.68k; Mn 1,4k
1H NMR (MeOD-d6): δ[ppm] 4.3 (br, 1H), 4.0 (br, 2H), 3.4-3 (br, MeODを含む17H), 2.8 (m, 9H), 2-1.1 (br, 111H)。
【0127】
実施例A2:
【化11】

【0128】
中間体P1の合成は、IP.com Journal (2004), 4(9), 31に記載されている。
【0129】
実施例A1で得られた2.2gのポリリシン・KClを、メタノール5ml中の0.255gのフッ化物誘導体P1 (1 mmol)と室温で2日間反応させる。
【0130】
反応後、沈殿した塩を濾過によって除去し、メタノール溶液を真空下(1 mbar)でエバポレートして2.7gの赤色のポリマー(A2)を得る。
【0131】
実施例A3:
実施例A1で得られた2.2gのポリリシン・KClを、メタノール5ml中の0.637gのフッ化物誘導体P1 (2.5 mmol)と室温で7日間反応させる。
【0132】
反応後、沈殿した塩を濾過によって除去し、メタノール溶液を真空下(1 mbar)でエバポレートして2.587gの赤色のポリマー(A3)を得る。
【0133】
1H NMR (MeOD-d6): δ[ppm] 8-7.8 (br, 1H), 7.6-7.45 (br, 1H), 6.95-6.75 (br, 1H), 4.6-3.85 (br, 3.5H), 3.7-2.75 (br, 溶媒を含む17H), 2.2-0.9 (br, 13H)。
【0134】
実施例A4:
【化12】

【0135】
中間体P2の合成はWO 2004/7083312に記載されている。
【0136】
実施例A1で得られた1.1gのポリリシン.KClを、メタノール5ml中の0.133gのメトキシ誘導体P2 (0.5mmol)と室温で2日間反応させる。
【0137】
反応後、沈殿した塩を濾過によって除去し、メタノール溶液を真空下(1 mbar)でエバポレートして712mgの赤色のポリマー(A4)を得る。
【0138】
実施例 A5およびA6:
【化13】

【0139】
実施例 A5:
J. Med. Chem 1992, vol.35, no.23, 4259-4263に記載されたように調製した1.27gの1,4-ビス[(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)アミノ]-9,10-アントラセンジオン(30 mmol)のピリジン12.7 mlおよびトルエン12.7ml中の混合液を窒素雰囲気下で2日間、100℃に加熱する。冷却後、反応混合液を蒸発乾固させ、ジオキサンおよびメタノールの混合液(1/1)で再結晶させる。固形物を濾過し、ジオキサンで洗浄した。
【0140】
乾燥後、1.08gの暗青色粉末(A5)を収率72%で得る。
【0141】
MS (ES+): m/z 465. 1H NMR (dmso-d6): δ[ppm] 10.95 (s, 1H), 9.03 (d, 2H), 8.60 (t, 1H), 8.25 (m, 2H), 8.20 (t, 2H), 7.8 (m, 2H), 7.6 (dd, 2H), 6.05-5.75, (br, 2H), 4.9 (d, 1H), 4.5 (m, 1H), 4.2 (br, 1H), 3.9 (br, 1H), 3.8-3.4 (br, 6H)。
【0142】
実施例A6:
441 mgのポリリシン.KCl A1 (2 meq. NH2)および251mgの(A5) (1mmol)をDMSO 3mlに可溶化する。
【0143】
反応混合液を16時間室温で、3日間100℃で撹拌する。冷却後、反応混合液を酢酸エチル40ml中で沈殿させる。固形物を濾取し、酢酸エチルで2回洗浄する。真空下で乾燥後、615mgの暗青色粉末(A6)が得られる。
【0144】
1H NMR (MeOD-d6): δ[ppm] 9.05 (br, 2H), 8.65 (br, 1H), 8.32 (br, 1H), 8.15 (br, 3H), 7.8 (br, 2H), 7.75-7.5 (br, 2) 4.8-2.9 (br, MeODを含む), 2-1.3 (br, 17H)。
【0145】
実施例 A7:
【化14】

【0146】
実施例 A8
ステップ1
2.37gの1-アミノ-4-(3-ジメチルアミノプロピル)アミノ-アントラキノン (DE 2927520に記載のように調製)およびジブロモプロパン7.5 mlのクロロホルム30 ml中の溶液を60℃で16時間撹拌する。反応混合液を室温まで冷却後、生成物を濾取し、30℃の真空下で乾燥して3.25gの青色粉末(A7)を得る。
【0147】
MS (ES+): m/z 444, 446. UV/VIS (メタノール): λmax 603 nm. 1H NMR (dmso-d6): δ[ppm] 10.84 (t, H), 8.45 (br, 2H), 8.24 (m, 2H), 7.82 (m, 2H), 7.50 (d, 2H), 7.37 (d, 2H), 3.59 (m, 2H), 3.52 (m, 2H), 3.43 (m, 4H), 3.10 (s, 6H), 2.30 (m, 2H), 2.10 (m, 2H)。
【0148】
ステップ2
552 mgのポリリシン.KCl A1 (2.5 meq. NH2) および525 mgのステップ1で調製した化合物 (A7) (1 mmol)をメタノール2 mlおよびアセトニトリル3 mlの混合液中に70℃で可溶化する。反応混合液を70℃で3日間撹拌する。冷却後、反応混合液を酢酸エチル30 ml中で沈殿させた。固形物を濾過し、酢酸エチルで2回洗浄した。真空下で乾燥後、306mgの暗青色粉末(A8)を得る。
【0149】
1H NMR (dmso-d6): δ[ppm] 10.9 (br, 1H), 8.5-7.8 (br, 4H), 7.65 (br, 2H), 7.35 (br, 1H), 7.2 (br, 1H), 3.8-2.7 (br, 43H), 2.7-2.5 (br, 2H), 2.1-1 (br, 20H)。
【0150】
実施例 A9:
【化15】

【0151】
フルオロビルディングブロック(P3)の合成はWO2006136617に記載されている。
【0152】
552 mgのポリリシン.KCl A1 (2.5 meq. NH2)および521 mgのB (1 mmol)をメタノール5 mlに可溶化し、室温で5日間撹拌する。反応混合液を酢酸エチル40 ml中で沈殿させ、固形物を濾過し、酢酸エチルで2回洗浄した。真空下で乾燥後、578mgの暗青色粉末(A9)を得る。
【0153】
1H NMR (MeOD-d6): δ[ppm] 8.56.8 br, 4.4-3.5 br; 3.-0.9 br。
【0154】
B. 適用例
毛髪サンプル
適用例のために、以下の毛髪の型を使用した:
−ブロンドの毛髪一房(tress) (VIRGIN White Hair, IMHAIR Ltd.社, via G. Verga 8, 90134 Palermo (Italy))、
−ミドルブロンドの毛髪一房 (UNA-Europ. nature hair, Color middle blonde, Fischbach & Miller社, Postfach 1163, 88461 Laupheim, Germany)、
−脱色した毛髪一房 (UNA-Europ. nature hair, Color white bleached blonde, Fischbach & Miller社, Postfach 1163, 88461 Laupheim, Germany)。
【0155】
着色溶液:
0.2または1重量%の実施例A1〜A5に記載した染料のいずれか1種をPlantaren溶液 (Plantacare 200UP (ID: 185971.5)の10重量%水溶液;50%クエン酸溶液またはモノエタノールアミン溶液でpHを9.5に調整)に溶解する。
【0156】
毛髪の房を以下の手順に従って染色する:
着色溶液を乾燥した毛髪に直接適用し、20分間室温でインキュベートし、次いで水道水で洗い流した (水温:37℃ +/- 1℃;水の流速:5-6 l/分)。次いで、毛髪にペーパータオルを押しあて、ガラスプレート上で室温で一晩乾燥させた。
【0157】
耐水性の測定のために、2組の毛髪の房を同じ条件下で染色する。一方の組の染色した房は、市販のシャンプー(GOLDWELL definition Color & Highlights, カラーコンディショナーシャンプー)で、各房に対して約0.5gのシャンプーを使用し、水道水で洗浄する(水温:37℃ +/- 1℃;流速 5-6 l/分)。
【0158】
最後に水道水で房をすすぎ、ペーパータオルを押しあて、櫛でとかし、ヘアドライヤーまたは室温で乾燥させる。この手順を10回繰り返す。
【0159】
次いで、未洗浄の房の組と比較した洗浄した房の組の色落ちをIndustrial Organic Pigments, Herbst&Hunger, 第2版, p. 61, Nr 10: DIN 54 001-8-1982, 「Herstellung und Bewertung der Anderung der Farbe」 ISO 105-A02-1993に従ってグレイスケール(Grey Scale)(1〜5、5は完全に変化なし)を用いて評価する。
【表1】

【0160】
ポリマー性染料混合物:
以下の染料エマルジョン、pH = 10.5

を、1.5重量%の9%過酸化水素溶液と混合し、混合液を速やかに褐色の毛髪の房に適用する。
【0161】
30分後、房をすすぎ、シャンプーし、すすぎ、そして乾燥させる。
【0162】
染色した房の色を表2および3に示す。
【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の共有結合したカチオン性染料を有する天然または合成のアミノ酸から選択されるオリゴおよびポリペプチドを含むポリマー性染料。
【請求項2】
下記式のものである、請求項1記載のポリマー性染料。
【化1】

[式中、
AおよびBは互いに独立して天然もしくは合成のアミノカルボン酸から選択されるポリマー骨格を示し;
X1およびX2は互いに独立して、一方もしくは双方の末端が1個もしくは2個以上の-O-、-S-、-N-、-N=-、-N(R5)-、-S(O)-、-SO2-、-(CH2CH2-O)1-5-、-(CH2CH2CH2-O)1-5-、-C(O)-、-C(O)O-、-OCO-、
【化2】

-CON(R1)-、-C(NR1R2)2-、-(R1)NC(O)-、-C(S)R1-または
【化3】

で遮断されている(interrupted)および/または終結している-C1-C30アルキレン-、-C2-C12アルケニレン-、または-C6-C10アリーレン;または場合によって少なくとも1個のヘテロ原子を含む、場合によって置換されていても良い、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素環)の2価のラジカル;場合によってC1-C30アルキル、C1-C30アルコキシ、C2-C12アルケニル、C5-C10アリール、C5-C10シクロアルキル、C1-C10アルキル(C5-C10アリーレン)、ヒドロキシまたはハロゲンで置換されていても良い、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族の2価のラジカル;直接結合;または下記式の2価のラジカル
(1c) -(T)t(Z)-
から選択される連結基であり;
Tは-C1-C12アルキレン;-C2-C12アルケニレン-;-C(O)-;-(CH2CH2-O)1-5-;-(CH2CH2CH2-O)1-5-;-C(O)O-;-OC(O)-;-N(R3)-;-CON(R3)-;-(R3)NC(O)-;-O-;-S-;-S(O)-;-S(O)2-;-S(O)2N(R3)-;または-N+(R3)(R4)-であり;
Zは下記式のビラジカルであり;
【化4】

R1、R2、R3、R4およびR5は互いに独立して水素;置換されていても置換されていなくても良い、直鎖もしくは分岐した、単環もしくは多環の、遮断されているかもしくは遮断されていないC1-C14アルキル;C1-C14アルコキシ;C2-C14アルケニル;C1-C6アルキルアミノ;C6-C10アリール;C6-C10アリール-C1-C10アルキル;C6-C10アリール-C1-C10アルコキシ;またはC5-C10アルキル(C5-C10アリール)であり;
Raは水素;C1-C6アルキル;C1-C6-アルコキシ;C1-C6-アルキルアミノ;C6-C10アリールオキシ;C6-C10-アリールアミノ;SO2R3;塩素;またはフッ素であり;
YはRa;Y1a+;またはY2b+であり;
aおよびbは互いに独立して1、2または3であり;
tは0または1であり;
Y1およびY2は互いに独立して有機染料の残基;または水素であり;Y1およびY2の少なくとも一方は有機染料の残基であり;
An1およびAn2は互いに独立してアニオンであり;
aおよびbは互いに独立して1〜3の数であり;
mは0〜5000の数であり;
nは0〜5000の数であり;そして
pは1〜5000の数であり;
m + n + p の合計 ≧ 3である。]
【請求項3】
式(1a)および(1b)において、
AおよびBは互いに独立して天然もしくは合成のアミノカルボン酸から選択されるポリマー骨格を示し;
X1およびX2は互いに独立して、一方もしくは双方の末端が1個もしくは2個以上の-S-、-N-、-N=-、-N(R5)-、-S(O)-、-SO2-、-(CH2CH2-O)1-5-、-(CH2CH2CH2-O)1-5-、-C(O)-、-C(O)O-、-OCO-、
【化5】

-CON(R1)-、-C(NR1R2)2-、-(R1)NC(O)-、-C(S)R1-で遮断されているおよび/または終結している-C1-C30アルキレン-および-C2-C12アルケニレン-;場合により少なくとも1個のヘテロ原子を含む、場合によって置換されていても良い、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族(複素環)の2価のラジカル;場合によってC1-C30アルキル、C1-C30アルコキシ、C2-C12アルケニル、C5-C10アリール、C5-C10シクロアルキル、C1-C10アルキル(C5-C10アリーレン)、ヒドロキシもしくはハロゲンで置換されていても良い、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは不飽和の、縮合したもしくは縮合していない芳香族もしくは非芳香族の2価のラジカル;直接結合;または下記式の2価のラジカル
(1c) -(T)t(Z)-
から選択される連結基であり;
Tは-C1-C12アルキレン;-C2-C12アルケニレン-;-C(O)-;-(CH2CH2-O)1-5-;-(CH2CH2CH2-O)1-5-;-C(O)O-;-OC(O)-;-N(R3)-;-CON(R3)-;-(R3)NC(O)-;-O-;-S-;-S(O)-;-S(O)2-;-S(O)2N(R3)-;または-N+(R3)(R4)-であり;
Zは下記式のビラジカルであり;
【化6】

R1、R2、R3、R4およびR5は互いに独立して水素;置換されていても置換されていなくても良い、直鎖もしくは分岐した、単環もしくは多環の、遮断されているかもしくは遮断されていないC1-C14アルキル;C1-C14アルコキシ;C2-C14アルケニル;C1-C6アルキルアミノ;C6-C10アリール;C6-C10アリール-C1-C10アルキル;C6-C10アリール-C1-C10アルコキシ;またはC5-C10アルキル(C5-C10アリール)であり;
Raは水素;C1-C6アルキル;C1-C6-アルコキシ;C1-C6-アルキルアミノ;C6-C10アリールオキシ;C6-C10-アリールアミノ;SO2R3;塩素;またはフッ素であり;
YはRa;Y1a+;またはY2b+であり;
aおよびbは互いに独立して1、2または3であり;
tは0または1であり;
Y1およびY2は互いに独立して有機染料の残基;または水素であり;Y1およびY2の少なくとも一方は有機染料の残基であり;
An1およびAn2は互いに独立してアニオンであり;
aおよびbは互いに独立して1〜3の数であり;
mは0〜5000の数であり;
nは0〜5000の数であり;そして
pは1〜5000の数であり;
m + n + p の合計 ≧ 3である、
請求項2記載のポリマー性染料。
【請求項4】
Y1およびY2が互いに独立してアントラキノン、アクリジン、アゾ、アザメチン、ヒドラゾメチン、トリフェニルメタン、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイド、インドフェノール、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、メロシアニン、メチン、オキサジン、ペリノン、ペリレン、ピレネキノン(pyrenequinone)、フタロシアニン、フェナジン、キノンイミン、キナクリドン、キノフタロン、スチリル、スチルベン、キサンテン、チアジンおよびチオキサンテン染料の群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の染料。
【請求項5】
Y1およびY2が互いに独立してアゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、アントラキノン、メロシアニン、メチン、オキサジンおよびスチリル染料から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の染料。
【請求項6】
Y1およびY2が同じ意味を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の染料。
【請求項7】
ポリマー骨格(AおよびB)および有機染料の残基(Y1およびY2)の双方が、ハロゲン化物、トシラート、メシラート、メトキシ、カルボン酸、カルボン酸塩化物、塩化スルホニル、エポキシド、無水物から選択される求電子基;またはアミン、グアニジン、ヒドロキシルおよびチオールから選択される求核基、から選択される官能基を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の染料。
【請求項8】
ポリマー骨格(AおよびB)がヒスチジン、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、リシン、アスパラギン、セリン、チロシン、トレオニン、トリプトファンおよびプロリンから選択される、請求項1〜7のいずれか1項記載の染料。
【請求項9】
ポリマー骨格がポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびポリアスパラギンから選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の染料。
【請求項10】
ポリマー性染料の分子量が400〜50000である、請求項1〜9のいずれか1項記載の染料。
【請求項11】
例えば下記式の、αおよび/またはε位がX1-(Y1a+)染料部分で修飾されたポリリシンに対応する、請求項1〜10のいずれか1項記載の染料。
【化7】

[式中、X1、Y1、m、nおよびaは請求項1で規定したものである。]
【請求項12】
請求項1記載の少なくとも1種の式(1a)または(1b)の染料を含有する組成物。
【請求項13】
更に少なくとも1種の単一の更なる直接染料および/または酸化剤を含有する、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
シャンプー、コンディショナー、ゲルまたはエマルジョンの形態の、請求項12または13記載の組成物。
【請求項15】
請求項1記載の少なくとも1種の式(1a)または(1b)の染料、または請求項12〜14のいずれか1項記載の組成物で有機物質を処理することを含む、有機物質の染色方法。
【請求項16】
請求項1記載の少なくとも1種の式(1a)または(1b)の染料および酸化剤、および場合によって更なる直接染料で有機物質を処理することを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項1記載の少なくとも1種の式(1a)または(1b)の化合物および少なくとも1種の単一の酸化染料で有機物質を処理すること、または請求項1記載の式(1a)または(1b)の染料および少なくとも1種の単一の酸化染料および酸化剤で有機物質を処理することを含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
有機物質がケラチン含有繊維から選択される、請求項15〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ケラチン含有繊維がヒトの毛髪である、請求項18記載の方法。

【公表番号】特表2012−512266(P2012−512266A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540030(P2011−540030)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066421
【国際公開番号】WO2010/079025
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】