説明

ポリマー/熱可塑性デンプン組成物

本発明は、以下の成分(a)〜(d)及び/又は前記成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む生分解性ポリマー組成物に関する:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ポリマー/熱可塑性デンプン(TPS)組成物に関する。特に、本発明は、生分解性ポリマー/TPS組成物、それを調製する方法、及びそれから形成される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者廃棄物の処分は、多くの工業化国で重要な問題になっている。例えば、ヨーロッパおよび日本のような所では、埋立てに利用できる残された場所は比較的少ない。かなりの分量の消費者廃棄物がポリマー材料からなっており、埋め立てられるこのようなポリマー廃棄物を減らすためにポリマーリサイクル戦略を導入するための協調的な努力がなされてきた。
【0003】
しかしながら、ガラス、木材および金属などの他の材料と異なり、ポリマーのリサイクルは問題となり得る。例えば、ポリマーリサイクル技術は、典型的には、ポリマーを、それらの化学組成に従って分けることを必要とする。特に、様々な市販のポリマーの多様な系列のために、廃棄物の流れからポリマー材料をこのように分離することは、困難たり得る。さらに、多くのポリマーリサイクル技術は、ポリマーの物理的および機械的特性を低下させ得る溶融処理段階を含む。その結果、リサイクルされたポリマーは、より劣る特性を有する傾向があり、このため、それらが採用され得る用途範囲が限定され得る。
【0004】
廃棄ポリマー材料のリサイクルに関連する問題とは別に、現在使用されている大部分のポリマーは石油に基づく生成物由来であるので、それらの長期間にわたる製造は持続可能でない。
【0005】
これらの問題に対応して、少なくとも一部は再生可能資源を用いて製造できる生分解性ポリマーの開発に向けられた研究が著しく増加している。従来のポリマーと異なり、生分解性ポリマーは一層容易に微生物の作用により分解されて、環境問題を、あるとしてもわずかしか生じない低分子量生成物を生成することができる。さらに、生分解の作用により、廃棄物の流れにおいてこのようなポリマーによって占められる嵩は、かなり低減される。
【0006】
生分解性ポリマーの分野における今日までの研究の多くは、デンプンなどの天然に産するバイオポリマーを利用することに集中している。デンプンは、再生可能資源(すなわち、植物の産物)由来であり、容易に入手でき、比較的安価であるという点で、特に適切なバイオポリマーである。
【0007】
生分解性ポリマーの調製において、デンプンは、典型的には、それを溶融混合することにより利用されるか、又はそれがポリエステル等の適切な生分解性熱可塑性ポリマーを用いて変性された形態のものである。例えば、生分解性ポリマー組成物は、ポリエステルをデンプン、化学的に変性されたデンプン及び/又は熱可塑性デンプン(TPS − デンプンをグリセロール等の可塑剤と溶融混合することにより形成される)と溶融混合することにより調製されうる。しかしながら、デンプン及びその様々な変性された形態は、典型的にそれと溶融混合される熱可塑性ポリマーに比べて、非常に親水性である。したがって、デンプンと、他の熱可塑性ポリマーとの溶融混合は、典型的には、高い界面張力を有する多相形態を形成する結果となり、それは得られるポリマー組成物の物理的及び機械的特性によくない影響を与えうる。
【0008】
デンプンを含む生分解性ポリマー組成物の物理的及び機械的特性を改善するために、かなりの研究が費やされてきた。デンプンを含む生分解性ポリマー組成物の物理的及び機械的特性において進展があったにもかかわらず、そのようなポリマー組成物は、一般的には、依然、石油由来ポリマーに比べて劣る物理的及び機械的特性を有するとされている。
【0009】
さらに、そのようなポリマー組成物はまた、処理時、特にそれらフィルム又はシート等の製品へ変換する際の、貧弱な処理時の挙動に苦しむ傾向がある。例えば、慣用的なポリエステルデンプンポリマー組成物は、典型的には、インフレーションフィルムの製造において貧弱な処理時の挙動を示す。
【0010】
そのような処理の問題に対処するための試みもなされてきた。例えば、より遅く穏やかな処理技術を適用し得、また、特殊な処理設備が開発されてきた。しかしながら、そのような方策は、スループットを低下させ、及び/又は製造処理のコストを追加する。
【0011】
したがって、既存の組成物及び/又はそれらの製造方法に関連する1以上の欠点又は短所に対処又は緩和する新しいポリマー/TPS組成物を開発するか、又は少なくともそのような組成物及びそれらの製造方法の有用な代替物を提供する余地が残されている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、以下の成分(a)〜(d)及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む生分解性ポリマー組成物を提供する:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。
【0013】
ある態様において、生分解性ポリマー組成物はさらに、成分(e)1以上の生分解性ポリエステルを含む。
【0014】
従って本発明はさらに、以下の成分(a)〜(e)及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む、生分解性ポリマー組成物を提供する:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;(d)エステル交換触媒;及び(e)1以上の生分解性ポリエステル。
【0015】
当業者は、ポリアルキレンカーボネートは、特定の形態のポリエステルであることを理解するであろう。不確かさを避けるために、本発明による組成物が、ポリアルキレンカーボネート及び1以上の生分解性ポリエステルを含む場合、1以上の生分解性ポリエステルは、ポリアルキレンカーボネートタイプのポリエステルを含まないものとする(即ち、それらはポリアルキレンカーボネート以外のポリエステルを規定するものとする)。
【0016】
多くのポリエステル(及び実際のところ、多くの他のポリマー)と異なり、ポリアルキレンカーボネートは、二酸化炭素及びアルキレンオキシドを重合することにより製造しうる。事実上二酸化炭素を「固定」することにより、ポリアルキレンカーボネートの製造方法は、多くの他のポリマーの製造に比べて、低減された炭素排出量をもたらす。消費財の製造において炭素量計算(carbon accounting)が著明な関心事であることに伴い、そのような低炭素排出量の材料の利用は、特に魅力的である。
【0017】
デンプン及びポリアルキレンカーボネートを含む生分解性ポリマー組成物は、これまで製造されてきた(例えば、Lu et al − Journal of Biomedical Materials Research Part A, June 15, 2006; 77(4): 653−658参照)。しかしながら、そのようなポリマー組成物は、典型的には、比較的貧弱な機械的特性及び処理特性を示していた。
【0018】
本発明によるポリマー組成物は、有利に、優れた生分解性並びに物理的及び機械的特性を示しうるだけでなく、デンプン又はデンプンとポリアルキレンカーボネートとを含む慣用の生分解性ポリマー組成物に比べて、改善された処理挙動を提供しうる。
【0019】
本発明はまた、生分解性ポリマー組成物を調製する方法を提供し、前記方法は、以下のものを共に溶融混合することを含む:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。
【0020】
ある態様において、この方法により形成される溶融混合生成物は、それ自体が、1以上の生分解性ポリエステルと溶融混合される。
【0021】
従って本発明はまた、生分解性ポリマー組成物を調製する方法を提供し、前記方法は、マスターバッチを、1以上の生分解性ポリエステルと共に溶融混合することを含み、前記マスターバッチは、以下のものを共に溶融混合することにより形成されたものである:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。
【0022】
ある態様において、マスターバッチは、1以上の生分解性ポリエステルと溶融混合され生分解性ポリマー組成物を形成するデンプンの唯一の供給源を提供する。
【0023】
理論に限定されることを望むものではないが、本発明による組成物の優れた特性は、少なくとも部分的に、組成物における成分の独特の組み合わせ、及び組成物が調製される様式に由来すると考えられる。成分(a)〜(d)を溶融混合することによるマスターバッチの調製、及びその後そのように形成されたマスターバッチを1以上の生分解性ポリエステルと溶融混合することにより、ポリマー組成物が、その構成成分間の相溶性に優れたものとなると考えられる。これが、ひいては、得られる組成物内の多相形態形成を最小化し、そして組成物の優れた物理的、機械的及び製造上の特性を向上させると考えられる。
【0024】
本発明によるポリマー組成物の優れた特性は、比較的高いデンプン及び/又はポリアルキレンカーボネート含量を用いて、有利に得ることができる。
【0025】
本発明のさらなる特徴は、以下に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によるポリマー組成物は、生分解性である。当業者は、「生分解性」という文言が均一で普遍的な定義をもたないことを理解するであろう。不確かさを避けるために、「ポリマー」、「ポリマー組成物」、または「デンプン」「TPS」「ポリアルキレンカーボネート」「ペンダントカルボン酸基を有するポリマー」及び「ポリエステル」などの特定の材料に関連して本願において用いられる「生分解性」という文言は、EN 13432又はASTM 6400に特定される生分解性基準に適合する材料を表すものとする。即ち、例えばポリマー組成物は、コンポスト環境に置かれた時に、12週間以内にその90%が平均の大きさ2mm未満の粒子に崩壊し、そして、6ヶ月後にASTM 6400の場合その少なくとも60%が、又はEN13432の場合その少なくとも90%が、二酸化炭素及び/又は水に分解していれば、生分解性であるとされる。
【0027】
あるいくつかの態様において、本発明による生分解性ポリマー組成物は、EN 13432に規定されるより厳しい生分解性基準に適合するであろう。
【0028】
本発明による生分解性ポリマー組成物は、勿論、生分解性成分を含まなければならない。しかしながら、組成物は、非生分解性成分を、それが組成物全体の生分解性に有害に作用する量存在しない限りにおいて、含みうる。
【0029】
ある態様において、ポリアルキレンカーボネートは生分解性ポリアルキレンカーボネートである。
【0030】
ある態様において、ペンダントカルボン酸基を有するポリマーは、ペンダントカルボン酸基を有する生分解性ポリマーである。
【0031】
ある態様において、熱可塑性デンプン(TPS)及びその構成成分は生分解性である。
【0032】
本発明による生分解性ポリマー組成物は、成分(a)〜(d)若しくは(a)〜(e)及び/又は各(a)〜(d)若しくは(a)〜(e)成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む。以下においてより詳細に検討される通り、ポリマー組成物は、溶融混合生成物の形態で提供されうる。溶融混合生成物の形成の過程で、群(a)〜(d)又は(a)〜(e)のうちの2以上の成分が、化学反応を受け、それにより、反応生成物を形成しうると考えられる。そのような反応生成物を明確に定義するのは困難たり得、従って、そのような生成物は、単に成分又は2以上の各成分間の反応から形成された生成物の「反応生成物」と呼ぶのがしばしばより便利であることを、当業者は理解するであろう。したがって組成物は、もとの成分及び/又はこれらの成分の1以上の反応生成物の混合物を含みうる。
【0033】
とはいえ、本発明による組成物は、組成物の、溶融混合前(即ち、組成物の、物理的なブレンド即ち単なる添加混合物)及び溶融混合後(即ち、溶融混合後に形成された、統合的なよく混ざった組成物の溶融ブレンド)の形態の両方を包含するものとする。それでもなお、本発明による組成物のその溶融混合前形態のものは、一般的に、単に、続いて溶融混合され溶融混合生成物にされる目的で調製されうることが理解されるであろう。
【0034】
本発明により用いうるポリアルキレンカーボネートのタイプには、得られるポリマー組成物が生分解性である限り、特に限定は無い。ポリアルキレンカーボネートは、当業者に知られる技術によって、例えば、グルタル酸亜鉛等の適切な触媒の存在下二酸化炭素とアルキレンオキシドとの共重合により調製されうる。本発明によるポリアルキレンカーボネートの使用は、有利に、慣用のデンプン/ポリエステルポリマー組成物に比べて低減された炭素排出量でポリマー組成物が調製されることを可能とする。
【0035】
適切なポリアルキレンカーボネートの例には、ポリエチレンカーボネート(PEC)及びポリプロピレンカーボネート(PPC)を含まれる。
【0036】
ポリアルキレンカーボネートは、約80,000〜150,000ダルトンの範囲、例えば約110,000ダルトンの分子量;及び/又は約5g/10分から約20g/10分の範囲、例えば約9g/10分から約15g/10分のメルトフローインデックス(MFI);及び/又は約30℃から約40℃の範囲、例えば約35℃から約40℃のガラス転移温度を有しうる。
【0037】
本願で言及されるMFI値は、ASTM D 1238に従い、温度190℃において、ラム荷重2.16kgで決定されるものである。
【0038】
本願で言及される分子量値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定される数平均分子量値である。
【0039】
本発明による組成物は、TPS及び/又はその構成成分を含む。当業者は、TPSが、1以上の可塑剤を含む、デンプンの分解された形態であることを理解するであろう。従って、本発明において、TPSの文脈で用いられる表現「その構成成分」は、TPSを調製するのに用いられる各原料を意味するものとする。
【0040】
従って、TPSそれ自体が、本発明の溶融混合前組成物中に存在しうる。又は、有利に、TPSは、組成物の溶融混合中に、その場で、その構成成分から調製しうる。
【0041】
従って、本発明による溶融混合前の組成物は、以下のものを含みうる:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分(即ちデンプン及び1以上の可塑剤);(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。溶融混合されるに際し、もし組成物がTPSの構成成分を含む場合、それらは溶融混合の間にTPSに変換されうる。即ち、そのような溶融混合後組成物において、溶融混合前組成物におけるTPSのいずれの構成成分も、溶融混合の間に、実質的にTPSに変換されうることが意図される。
【0042】
デンプンは、主として植物の種子、果実、塊茎、根及び茎の髄に見出され、1−4炭素位のグルコシド結合によって連結された繰り返しグルコース基から作られる天然由来のポリマーである。デンプンは、2つのタイプのα−D−グルコースポリマーからなる。つまり:分子量約1×10の実質的に線状のポリマーであるアミロース;及び1×10オーダーの非常に大きな分子量を有する高度に分岐したポリマーであるアミロペクチンである。それぞれの繰り返しグルコース単位は、典型的には3つの遊離ヒドロキシル基を有し、それにより、ポリマーに親水性の特性及び反応性の官能基を提供する。多くのデンプンは、20〜30%のアミロース及び70〜80%のアミロペクチンを含む。しかしながら、デンプンの起源に応じて、アミロースとアミロペクチンとの比は顕著に変わりうる。例えば、いくつかのトウモロコシ交配種は、100%アミロペクチンのデンプン(ワキシー(waxy)トウモロコシデンプン)又は50〜95%の範囲の漸進的に高くなるアミロース含量のデンプンを提供する。
【0043】
デンプンは、通常、約15wt%の含水量を有する。しかしながら、デンプンは、乾燥し、その含水量を1%未満に低減しうる。本発明により用いられるデンプン及び又はTPSの含水量は、一般的には約1wt%未満、例えば約0.5wt%未満としうる。
【0044】
デンプンは、典型的には約15から45%の範囲の結晶度を有する小さな顆粒として存在する。顆粒のサイズは、デンプンの起源に応じて変わり得る。例えば、トウモロコシデンプンは、典型的には約5μmから約40μmの範囲の粒子直径を有し、一方、ジャガイモデンプンは、典型的には約50μmから約100μmの範囲の粒子直径を有する。
【0045】
この「天然」の形態のデンプンはまた、化学的に変性されうる。化学的に変性されたデンプンには、これらに限られないが、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、架橋デンプンまたはこのような化学変性の組合せ(例えば、エーテル化およびエステル化デンプン)が含まれる。化学的に変性されたデンプンは、一般的には、デンプンのヒドロキシル基を1以上の試薬と反応させることにより調製される。反応の度合い(しばしば、置換度(DS)と呼ばれる)により、対応する天然デンプンに比べて、変性デンプンの物理化学的特性はかなり変わり得る。DSは天然デンプンで0と指定され、完全に置換された変性デンプンでは3までの範囲となり得る。置換基のタイプ及びDSに応じて、化学的に変性されたデンプンは、天然のデンプンに比べてかなり異なる親水性/疎水性性質を示しうる。
【0046】
一般的に、天然のデンプン及び化学的に変性されたデンプンはいずれも、貧弱な熱可塑性特性を示す。そのような特性を向上させるため、デンプンは、当該分野においてよく知られた手段によりTPSに変換されうる。例えば、天然のデンプン又は化学的に変性されたデンプンは、1以上の可塑剤で溶融処理されうる。TPSの製造において、可塑剤としては、多価アルコールが一般的に用いられる。
【0047】
従って、本願におけるTPSのwt%への言及は、TPSの、デンプン及び可塑剤構成成分両方を合わせた質量を含むものとする。
【0048】
TPSが由来しうるデンプンには、これらに限られないが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、ダイズデンプン、タピオカデンプン、高アミロースデンプンまたはこれらの組合せが含まれる。
【0049】
デンプンが化学的に変性される場合、それは、一般的には、エーテル化又はエステル化されうる。適切なエーテル化デンプンには、これらに限られないが、エチル及び/又はプロピル基で置換されたものが含まれる。適切なエステル化デンプンには、これらに限られないが、アセチル、プロパノイル及び/又はブタノイル基で置換されたものが含まれる。
【0050】
本発明のある態様において、TPSの調製に用いられるデンプンは、トウモロコシデンプン又は約>0.1のDSを有するトウモロコシデンプンアセテートである。
【0051】
TPSはまた、一般的には、1以上の多価アルコール可塑剤を、含むか又はこれを用いて形成されうる。適切な多価アルコールには、これらに限られないが、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジグリコール、プロピレンジグリコール、エチレントリグリコール、プロピレントリグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、並びにこれらのアセテート、エトキシレート及びプロポキシレート誘導体が含まれる。
【0052】
ある態様において、TPSは、グリセロール及び/又はソルビトール可塑剤を含む。
【0053】
グリセロール及びソルビトール可塑剤の混合物が用いられる場合、それらは、約2:1から約3:1の範囲の重量比で存在することが好ましい。
【0054】
TPSの可塑剤含量は、デンプン及び可塑剤成分を合わせた質量に対して、一般的には約5wt%から約50wt%の範囲、例えば約10wt%から約40wt%、又は約15から約40wt%の範囲としうる。
【0055】
従って、TPSの構成成分は、約5wt%から約50wt可塑剤及び約50wt%から約95wt%デンプン、例えば約10wt%から約40wt可塑剤及び約60wt%から約90wt%デンプン、又は例えば約15wt%から約40wt可塑剤及び約60wt%から約85wt%デンプンを含みうる。
【0056】
本発明による組成物がTPSの構成成分を含む場合、これらの成分の総質量は、TPS自体の質量と同等とみなしうる。
【0057】
本発明による組成物はまた、ペンダントカルボン酸基を有するポリマーを含む。「ペンダントカルボン酸基」を有するポリマーへの言及は、生分解性ポリマー等のポリマーのポリマー骨格に沿って、カルボン酸基(即ち−COOH)が置換基として存在することを意味するものとする。かかる酸基は、ポリマー骨格に直接結び付いているか、あるいは、例えばアルキレン基(例えばC1〜C6アルキレン)などのスペーサー基によって骨格に結び付きうる。
【0058】
本発明により用いうる、適切なタイプのペンダントカルボン酸基を有するポリマーには、これらに限らないが、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、ポリ(EAA−ビニルアルコール)(EAAVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMAA)、及びポリ(アクリルアミド−アクリル酸)(PAAA)が含まれる。
【0059】
ペンダントカルボン酸基を有するポリマーは、通常、約15を超え、好ましくは約15から約50、より好ましくは約15から約20の範囲のMFI(2.16kgの荷重を用いて190℃で測定)を有しうる。
【0060】
ペンダントカルボン酸基を有するポリマーは、一般的に、約7%を超え、好ましくは約9%以上の%酸価(ASTM D4094−00によって求められる)を有しうる。
【0061】
本発明による生分解性ポリマー組成物はさらに、エステル交換触媒を含む。適切なエステル交換触媒には、これらに限らないが、水酸化ナトリウムおよび/またはカリウムなどのアルカリ金属水酸化物が含まれる。用いられるタイプの触媒は、好ましくは、低い生態毒性(ecotoxicity)を有する。したがって、アンチモン系エステル交換触媒は、一般的には、用いられないであろう。触媒は、溶液として、例えば、水溶液として供給され得る。
【0062】
本発明のある特徴において、生分解性ポリマー組成物は、以下の成分(a)〜(d)及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。便宜上、以下において、この特定の組成物を、「マスターバッチ」ということがある。
【0063】
本願において「マスターバッチ」の文言は、単に、成分(a)〜(d)及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む組成物の便宜的な呼び方として用いられる。
【0064】
マスターバッチは、溶融混合前の形態又は溶融混合後の形態で供給されうる。溶融混合前の形態中においては、マスターバッチは、典型的には、溶融混合されるために調製されたものとしうる。溶融混合後の形態中においては、マスターバッチは、マスターバッチの調製に用いられた2以上の成分間の反応から形成された1以上の生成物を含みうる。
【0065】
以下においてより詳細に検討される通り、溶融混合後の形態中においては、マスターバッチは、それ自体が、1以上の生分解性ポリエステルと溶融混合され、本発明による生分解性ポリマー組成物を形成しうる。
【0066】
マスターバッチを溶融混合形態で供給するため、成分(a)ポリアルキレンカーボネート、(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー、及び(d)エステル交換触媒は、まず、高速ミキサーにおいて、物理的にブレンドされうる。得られるこれらの成分の物理的ブレンドは、続いて溶融混合されうる。
【0067】
溶融混合は、当該分野においてよく知られた技術及び設備を用いて行いうる。例えば、溶融混合は、二軸押出機、一軸押出機、他の多軸押出機、又はFarell連続混合機等の連続押出設備を用いて達成しうる。溶融混合は、組成物の構成要素の間のよく混ざったブレンドが促進されるように、十分な時間、適切な温度で行われる。当業者は、溶融混合は、一般的には適切な温度範囲で実施されること、及びこの範囲は溶融混合される成分の特質に応じて変わりうることを理解するであろう。
【0068】
ある条件下では、溶融混合処理にベントするか又は真空を適用し、水等の揮発成分がポリマー溶融物から除去されるようにすることが望ましい場合がある。
【0069】
本発明により行われる溶融混合は、溶融混合される成分間の反応を促進しうる。したがって、この溶融混合のプロセスは、反応性溶融混合、例えば反応性押出とも記載しうる。
【0070】
理論に限定されることを望むものではないが、溶融混合される際、マスターバッチ組成物中に存在するデンプンは、ある程度の、ポリアルキレンカーボネート及び/又はペンダントカルボン酸基を有するポリマーとのエステル交換を受けうると考えられる。そのような反応は、エステル交換触媒の存在により、容易なものとされると考えられる。特に、エステル交換触媒は、マスターバッチ成分が溶融混合し反応を受けうる溶融処理温度を、触媒の不在下において同程度の反応を促進するのに要するであろう温度に比べて、低下させることにより、機能すると考えられる。
【0071】
触媒が、「エステル交換」触媒と呼ばれる一方、溶融混合されマスターバッチを調製する成分の特質から、当業者は、他の反応、例えば縮合及びエステル交換の反応もまた起こりうることを理解するであろう。したがって、本願において「エステル交換」の文言が示すものは、エステル、アルコール及び酸基の間で起こりうる他の反応機構、例えばエステルの交換及び縮合の反応を包含するものとされる、と理解される。
【0072】
当業者はまた、デンプンと、ポリアルキレンカーボネート及び/又はペンダントカルボン酸基を有するポリマーとのエステル交換は、典型的には、ブロックコポリマーを形成する結果となりうることを理解するであろう。そのようなブロックコポリマーは、エステル交換を受けなかったデンプン、ポリアルキレンカーボネート及び/又はペンダントカルボン酸基を有するポリマーのいずれに対しても、相溶化剤として機能しうると考えられる。従って、ポリアルキレンカーボネート及び/又はペンダントカルボン酸基を有するポリマーとのエステル交換を受けるのが、デンプンの一部のみか全てかにかかわらず、マスターバッチの溶融混合形態は、少なくともこれら3成分に関しては、比較的均質な組成物として存在すると考えられる。
【0073】
マスターバッチの溶融混合形態等のポリマー組成物中に存在する相溶化された成分は、組成物を撮像することにより、及び/又は組成物の物理的及び機械的特性を測定することにより、実験的に容易に決定することができる。例えば、マスターバッチの溶融混合形態を低温で冷凍し、粉砕し、続いて走査電子顕微鏡で観察して分散相と連続相との間の接着のレベルを評価することができる。
【0074】
マスターバッチは、調製して将来の使用のために便利に貯蔵することができる。または、マスターバッチの溶融混合形態は、調製して、それから続いて、1以上の生分解性ポリエステルと合わせて溶融混合しうる。この場合、得られた生分解性ポリマー組成物は、2段階の溶融混合処理において調製されたものとして記載されうる。そのような処理に関連するさらなる詳細は、以下において検討される。
【0075】
一般的に、マスターバッチは、約5wt%から約50wt%のポリアルキレンカーボネート、約20wt%から約70wt%の熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分、約3wt%から約30wt%のペンダントカルボン酸基を有するポリマー、及び約0.05wt%から約0.5wt%のエステル交換触媒(比率は、これらの成分の総質量に対する比)を、これらの成分の総質量が、少なくとも、マスターバッチの総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占めるよう、含みうるか、又は共に溶融混合することにより調製されうる。
【0076】
ある態様において、マスターバッチは、約5wt%から約40wt%のポリアルキレンカーボネート、約25wt%から約60wt%の熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分、約5wt%から約25wt%のペンダントカルボン酸基を有するポリマー、及び約0.05wt%から約0.4wt%のエステル交換触媒(比率は、これらの成分の総質量に対する比)を、これらの成分の総質量が、少なくとも、マスターバッチの総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占めるよう、含むか、又は共に溶融混合されることにより調製される。
【0077】
さらなる態様において、マスターバッチは、約10wt%から約40wt%のポリアルキレンカーボネート、約40wt%から約60wt%の熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分、約10wt%から約20wt%のペンダントカルボン酸基を有するポリマー、及び約0.05wt%から約0.30wt%のエステル交換触媒(比率は、これらの成分の総質量に対する比)を、これらの成分の総質量が、少なくとも、マスターバッチの総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占めるよう、含むか、又は共に溶融混合されることにより調製される。
【0078】
成分(a)〜(d)を上記の量で含むマスターバッチの文脈において、マスターバッチが溶融混合の形態である場合、いくつかの又は全ての成分は、2以上の成分間の反応に由来する反応生成物の形態で存在しうることが理解されるであろう。
【0079】
従って、マスターバッチが、成分(a)〜(d)を含む、と言われる場合、それは、これらの成分自体及び/又は2以上の成分の溶融反応から形成される生成物を含む。
【0080】
本発明による生分解性ポリマー組成物、又はそのような組成物の調製方法に用いられる成分は、1以上の添加剤を、そのような添加剤がポリマー組成物の生分解性に有害な影響を与えない限りにおいてさらに含みうる。
【0081】
添加剤には、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、タルク、クレー(例えば、モンモリロナイト)、二酸化チタン、および天然繊維(例えば、木材粉末、紙パルプおよび/または他のセルロース系材料)等のフィラー;顔料;静電防止剤;安定剤;追加のポリマー材料(例えばエチレンビニルアセテート(EVA));発泡剤;滑剤等の加工助剤;流動性向上剤;抗老化(anti−retrogradation)添加剤;上に記載した通りの可塑剤;ならびに、二酸化ケイ素等のブロッキング防止剤が含まれうる。
【0082】
ある態様において、生分解性ポリマー組成物にはEVAが含まれる。当業者は、EVAはエチレン及び酢酸ビニルのコポリマーであることを理解するであろう。コポリマーにおける酢酸ビニル残基の重量百分率は、一般的には、約10wt%から約40wt%の範囲であり得、残余は、エチレン残基であり得る。生分解性ポリマー組成物に用いられる際、EVA等の追加のポリマー材料は、一般的には、約0.5wt%から約10wt%の範囲の量で存在する。
【0083】
適切な滑剤には、これらに限らないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化ポリエチレン、オレアミド、ステアルアミドおよびエルカミドが含まれる。用いられる際、滑剤は、一般的に、生分解性ポリマー組成物中、約0.2wt%から5wt%、例えば0.5wt%から3wt%の範囲の量で存在しうる。
【0084】
適切な流動性向上剤には、これらに限られないが、モノグリセリド、グルコース脂肪ジエチレングリコールジニトレート、およびSiben−60またはSiben−80の商用名で販売されている製品が含まれる。用いられる際、流動性向上剤は、一般的に、生分解性ポリマー組成物中、約1wt%から約2wt%の範囲の量で存在しうる。
【0085】
適切な抗老化添加剤には、これらに限られないが、グリセロールモノステアレート(GMS)等の蒸留モノグリセリドが含まれる。用いられる際、抗老化添加剤は、一般的に、生分解性ポリマー組成物中、約0.5wt%から約4wt%の範囲の量で存在しうる。蒸留モノグリセリド等の添加剤はまた、デンプンの分散性及び安定化を助けると考えられる。
【0086】
生分解性ポリマー組成物において用いられる際、二酸化ケイ素等のブロッキング防止剤は、一般的には、約0.25wt%から0.5wt%の範囲の量で存在しうる。
【0087】
本発明の方法による生分解性ポリマー組成物を調製する場合、もし用いられる場合は、1以上のそのような添加剤は、一般的に、マスターバッチ組成物中に含まれうる。
【0088】
マスターバッチ組成物が、1以上のそのような添加剤を含む場合、本願における「マスターバッチ」の文言への言及は、勿論、これらの添加剤を含むよう拡張されうる。
【0089】
本発明による生分解性ポリマー組成物は、1以上の生分解性ポリエステルを含みうるか、又はこれを用いて調製しうる。用いうるポリエステルは、生分解性である限りにおいて特に限定されない。
【0090】
適切な生分解性ポリエステルの例には、これらに限らないが、Union CarbideによってTone(商標)(例えば、Tone P−300、P−700、P−767およびP−787、それぞれ、約10,000、40,000、43,000および80,000の重量平均分子量を有する)の商用名で販売されているポリカプロラクトン(PCL)、または、SolvayによってCAPA 6800およびCAPA FB100(それぞれ、80,000および100,000ダルトンの分子量を有する)の商用名で販売されているもの;CargillによってNatureworks(商標)PLAの商用名で販売されているポリ乳酸(PLA);Biomer(ドイツ)によってBiocycle(商標)またはBiomer(商標)の商用名で販売されているポリヒドロキシブチレート(PHB);昭和高分子(株)によってBionolle(商標)の商用名で販売されているポリエチレンサクシネート(PES)およびポリブチレンサクシネート(PBS)(例えば、Bionolle(商標)1001(PBS)およびBionelle(商標)6000(PES));SK Chemicals (韓国)からSkygreen(商標)SG 100の商用名で販売されているポリブチレンアジペート(PBA);ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)脂肪族/芳香族コポリエステル、例えば、BASFによるEcoflex(商標)、またはIre Chemical Ltd(ソウル)によるEnPOL(商標)G8060およびEnPOL(商標)8000;Metabolix Inc.(米国)によるポリ(ヒドロキシブチレートバレレート)(PHBV);Eastman Chemicalsによって供給されるセルロースアセテートブチレート(CAB)およびセルロースアセテートプロピオネート(CAP);あるいはこれらの組合せが含まれる。
【0091】
生分解性ポリエステルは、一般的に、約5g/10分以下のMFIを有しうる。例えば、MFIは、約4g/10分以下、約3g/10分以下、又は約2g/10分以下としうる。生分解性ポリエステルは、一般的には、約1から約5g/10分の範囲のMFIを有しうる。
【0092】
本発明の方法によれば、生分解性ポリマー組成物は、マスターバッチを、1以上の生分解性ポリエステルと共に溶融混合することにより調製され、ここで、マスターバッチは、上に記載した通りの成分(a)〜(d)を共に溶融混合することにより形成されたものである。1以上の生分解性ポリエステルと、マスターバッチであってそれ自体が溶融混合された形態であるものとの溶融混合は、マスターバッチにおける成分(a)〜(d)の単なる添加混合物及び1以上の生分解性ポリエステルを共に溶融混合するのに比べて、得られる生成物中に存在する全ての成分のより高い度合いの相溶化を促進することが見出された。
【0093】
理論に限定されることを望むものではないが、高度に相溶化されたマスターバッチの組成物は、1以上の生分解性ポリエステルとの効果的且つ効率的な溶融混合を容易にすると考えられる。特に、マスターバッチの溶融混合形態中に存在すると考えられる「相溶化剤」タイプのコポリマーは、マスターバッチの組成物の、1以上のポリエステルとの相溶化を助けると考えられる。
【0094】
マスターバッチの溶融混合形態をまず形成し、続いてそれを1以上の生分解性ポリエステルと溶融混合することにより、得られる生分解性ポリマー組成物は、組成物中に存在する成分の優れた相溶化を達成しながらなお、最小の溶融混合温度を用いて調製されうることが見出された。
【0095】
「最小溶融混合温度」という表現は、組成物を、それが効果的に溶融混合されることを可能とするよう維持することができる一方で、組成物内の成分の熱劣化を最小化又は避けうる最低の温度又は温度範囲を意味する。最小溶融混合温度は、勿論、混合される材料に応じて変わることになり、これは、当業者により容易に決定することができる。
【0096】
最小溶融処理温度での組成物の調製を可能とすることが、組成物の成分の熱劣化を有利に最小化する。
【0097】
成分(a)〜(e)を含む生分解性ポリマー組成物は、一般的に、これらの成分、及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を、約0.5wt%から約45wt%の(a)、約2wt%から約63wt%の(b)、約0.3から約27wt%の(c)、約0.005wt%から約0.45%の(d)、及び約5wt%から約85wt%の(e)(比率は、(a)〜(e)の総質量に対する比)の範囲で、これらの成分の総質量が、少なくとも、生分解性ポリマー組成物の総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占める量含みうる。
【0098】
ある態様において、成分(a)〜(e)を含む生分解性ポリマー組成物は、これらの成分、及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を、約0.75wt%から約28wt%の(a)、約4wt%から約45wt%の(b)、約0.75から約18wt%の(c)、約0.0075wt%から約0.3%の(d)、及び約30wt%から約90wt%の(e)(比率は、(a)〜(e)の総質量に対する比)の範囲で、これらの成分の総質量が、少なくとも、生分解性ポリマー組成物の総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占める量含む。
【0099】
さらなる態様において、成分(a)〜(e)を含む生分解性ポリマー組成物は、これらの成分、及び/又は当該成分の溶融混合から得られる反応生成物を、約2wt%から約22wt%の(a)、約8wt%から約33wt%の(b)、約2から約11wt%の(c)、約0.01wt%から約0.165%の(d)、及び約40wt%から約75wt%の(e)(比率は、(a)〜(e)の総質量に対する比)の範囲で、これらの成分の総質量が、少なくとも、生分解性ポリマー組成物の総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占める量含む。
【0100】
不確かさを避けるために、本願における特定のwt%の成分(a)〜(d)又は(a)〜(e)を含む組成物、及び/又はこれらの群中の各成分の溶融混合から得られる反応生成物への言及は、組成物が、特定の量の個々の成分及び/又は特定の量の2以上のそのような成分に由来する反応生成物を含みうることを意味するものとする。従って、成分及び/又はそれに由来する反応生成物の総wt%(何らかの反応副生成物の遊離が、もし存在し考慮される場合)は、一般的には、未反応の形態中に存在する成分の総wt%を超えないであろう。
【0101】
本発明の方法によれば、生分解性ポリマー組成物は、マスターバッチを1以上の生分解性ポリエステルと溶融混合することにより調製される。一般的に、生分解性ポリマー組成物は、約10wt%から約90wt%のマスターバッチ及び約5wt%から約85wt%の1以上の生分解性ポリエステルを、これらの成分の総質量が、少なくとも、得られる生分解性ポリマー組成物の総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占めるよう、共に溶融混合することにより調製されうる。
【0102】
ある態様において、生分解性ポリマー組成物は、約15wt%から約70wt%のマスターバッチ及び約25wt%から約80wt%の1以上の生分解性ポリエステルを、これらの成分の総質量が、少なくとも、得られる生分解性ポリマー組成物の総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占めるよう、共に溶融混合することにより調製される。
【0103】
さらなる態様において、生分解性ポリマー組成物は、約20wt%から約55wt%のマスターバッチ及び約40wt%から約75wt%の1以上の生分解性ポリエステルを、これらの成分の総質量が、少なくとも、得られる生分解性ポリマー組成物の総質量の約50wt%、約65wt%、約75wt%又は約85wt%を占めるよう、共に溶融混合することにより調製される。
【0104】
ある態様において、マスターバッチは、生分解性ポリマー組成物を調製するのに用いられるデンプンの唯一の供給源を提供する。マスターバッチにのみデンプンを入れることは、得られる生分解性ポリマーの、高度に相溶化された組成物を獲得する能力を最大化することが見出されている。このことは、ひいては、組成物に改善された物理的及び機械的特性を与えると考えられる。
【0105】
好ましさはより低いが、生分解性ポリマー組成物の調製方法は、マスターバッチ、1以上の生分解性ポリエステル並びにデンプン及び/又はTPS及び/又はその構成成分を溶融混合することを含みうる。その場合、デンプン及び/又はTPS及び/又はその構成成分は、一般的に、溶融混合される成分の総質量に対して約15wt%以下、約10wt%以下又は約5wt%以下の量で用いられうる。
【0106】
ある態様において、生分解性ポリマー組成物は、マスターバッチを、1以上の生分解性ポリエステル及びポリエポキシドと共に溶融混合することにより調製され、ここで、マスターバッチは、上に記載した通りの成分(a)〜(d)を共に溶融混合することにより形成されたものである。
【0107】
「ポリエポキシド」とは、分子あたり平均2以上のエポキシ基を有するモノマー性又はポリマー性の材料を意味する。前記2以上のエポキシ基が、組成物中に存在する成分の酸及び/又はアルコール基との反応に供されうるものであれば、エポキシ基のタイプは決定的ではない。しかしながら、近接したエポキシ基を含むポリエポキシドが、一般的に好ましい。
【0108】
適切なポリエポキシドには、これらに限られないが、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ブタジエンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−カルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、4,4'−ジ(1,2−エポキシエチル)−ジフェニルエーテル、4,4’−(1,2−エポキシエチル)ビフェニル、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、フロログルシノールのジグリシジルエーテル、メチルフロログルシノールのジグリシジルエーテル、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)−シクロヘキサン−m−ジオキサン、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)アジペート、N,N’−m−フェニレン−ビス(4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)等のジエポキシド、及びp−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、ポリアリルグリシジルエーテル、1,3,5−トリ(1,2−エポキシエチル)ベンゼン、2,2’,4,4’−テトラグリシドキシベンゾフェノン、テトラグリシドキシテトラフェニルエタン、フェノール−ホルムアルデヒド ノボラックのポリグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリグリシジル(メタ)アクリレートのオリゴマー及び(コ)ポリマー等の、トリ−及びそれより高度のエポキシド、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0109】
好ましいポリエポキシドは、グリシジルメタクリレート(GMA)の重合により形成されるものである。GMAは、単独重合するか、又は1以上の他のモノマーと共重合することができる。例えば、GMAに基づくポリエポキシドは、約7,000未満の分子量(Mw)を有し、一般式(I)を有する多官能スチレン−アクリルオリゴマーとしうる:
【0110】
【化1】

【0111】
但しR〜Rはそれぞれ独立にH及びアルキルから選択され、Rはアルキル基であり、且つx、y及びzはそれぞれ独立に1〜20の間の整数である。
【0112】
適切なGMA由来ポリエポキシドは、商業的に入手し得る。例えば、BASFによるJoncryl(登録商標) ADR−4368である。
【0113】
マスターバッチを1以上の生分解性ポリエステル及びポリエポキシドと共に溶融混合する際、ポリエポキシドは、溶融混合される成分のカルボン酸及び/又はアルコール基と反応すると考えられる。この反応は、ポリマー鎖をカップリングし、それらの有効分子量を増加させうる。ポリマーの分子量の増加は、ひいては、得られる生分解性ポリマー組成物の物理的及び機械的特性を増強すると考えられる。さらに、増加したポリマー分子量は、組成物の溶融処理特性、特に組成物からインフレーションフィルムを製造することに関連する溶融処理特性を改善すると考えられる。
【0114】
ポリエポキシドは、一般的には、溶融混合されるマスターバッチ及び1以上の生分解性ポリエステルの総質量に対して、約0.1〜1wt%、例えば約0.1〜0.7wt%、又は約0.2〜0.5wt%の範囲の量用いられうる。
【0115】
本発明により調製される生分解性ポリマー組成物は、
優れた物理的及び機械的特性を有利に有し得、且つ易生分解性である。かかる組成物は、押出、射出成形、及び熱成形等の慣用のポリマー変換技術を用いて、便利に加工されうる。かかる組成物は、パッケージング材料に変換されうるフィルム及びシートを製造するのに、特に適している。その場合、1以上の生分解性ポリエステルは、PCL、PBAT、PHBV、PES及びPBSから好ましく選択される。
【0116】
本発明はまた、本発明により調製された生分解性ポリマー組成物から形成されたシート又はフィルムを提供する。
【0117】
生分解性ポリマー組成物は、シート又はフィルム等の所望の製品に加工されうる何らかの適切な形態で提供されうる。一般的には、組成物はペレットの形態で提供されうる。
【0118】
本発明の形態は、以下の非限定的な実施例を参照して、さらに記載される。
【実施例】
【0119】
実施例1:生分解性ポリマー組成物の調製
1wt%未満の含水量を有する25.5kgのデンプンアセテート[細かさ:120メッシュ;水分:8%;置換度:1.5%。China Starch(中国、上海)より供給](DS0.5)、19.2kgのポリ(プロピレンカーボネート)(PPC)[分子量:110,000ダルトン。MFI:9〜15g/10分;190℃;2.16kg;水分:<2%;密度:1.22g/cm;ガラス温度:35〜40℃。PPCCにより製造。中国、西内モンゴル]、9.8kgのグリセロール[純度99.95%;ケン化度]、4.8kgのソルビトール[70%混合液、中国Lianyungangより供給]、0.6kgのステアリン酸、10kgのエチレンアクリル酸(EAA)(9%酸、メルトフローインデックス=20)[例えばDow Primacor 3460]、6kgのエチレンビニルアセテート(EVA)[VA:14%;MI:2.中国北京]、1.4kgのステアリン酸カルシウム及び0.12kgの水酸化ナトリウムを最少量の水に溶解したものを、まず、SHR−500;回転速度Y:980r/分である高速ミキサー中で混合して全ての成分の均一な分布を提供し(固体材料はまず高速ミキサー中でドライブレンドし、続いて液体材料を添加した)、続いて、ZSK−65二軸押出機(L/D=48)中で溶融混合した。押出機の温度プロファイルは100℃/130℃/160℃/160℃/150℃/140℃に設定した。スクリューの回転速度は300rpmに設定した。押出の間、−0.06から−0.08barの真空を適用した。ポリマー溶融物をストランドとして押し出し、空気冷却し、ペレットに切断した。かかるマスターバッチは、190℃、2.16kgにおけるメルトフローインデックス>4g/10分、及び含水量<0.2wt%を有することが分かった。
【0120】
実施例2:さらなる生分解性ポリマー組成物の調製
50wt%の実施例1で調製したポリマー組成物、49.6wt%のPBAT(Enpol G8060)及び0.3wt%のポリエポキシド(Joncryl(登録商標)ADR−4368)からなる組成物をまずドライブレンドし、続いてZSK−65二軸押出機を用いて回転速度200rpmで溶融混合した。押出機の温度プロファイルは130/145/165〜165/145/135/130/130℃に設定した。押出の間、−0.04から−0.05barの真空を適用した。得られた押出物を水で冷却し、ペレットに切断し、190℃、2.16kgにおけるメルトフローインデックス7g/10分を有することが分かった。
【0121】
かかるポリマー組成物は、以下の特性を有していた:MFI:3g/10分;190℃;2.16kg、水分:0.5%、密度:1.2g/cm
【0122】
実施例2により調製されたポリマー組成物は、以下に表示される処理条件を用いて、標準的なLDPEインフレーションフィルムのライン上で、20ミクロン厚のフィルムに膨らませた。
【0123】
【表1】

【0124】
・フィルムインフレーション:F35一軸;垂直インフレーション;長さ−直径比:30:1
・スクリュー回転速度:15r/分;
・バブル直径:35cm;
・フィルム厚さ:0.03mm(30μm)
【0125】
【表2】

【0126】
内側及び外側の冷却は、弱から強へ徐々に変更した。冷気が好ましい;約10〜15℃が、フィルムブロッキングの問題を避けるのに最もよく働いた。好ましい膨張比は、2.5:1から3.5:1の間であった。より高い膨張比は、バブルの不安定性の問題及びフィルム皺を起こし得る。設備の設計及びセットアップに応じて、15μm及び120μmの間のフィルム厚が、この組成物を用いて達成されうる。
【0127】
得られたフィルムはASTM D−882に従って試験され、>18MPaの破断引張強度(PPCを有しない同じフィルムの12〜15MPaに比べて)、>350%の破断伸び、110Nの引裂強度(PPCを有しない同じフィルムの90Nに比べて)、及び70gの落槍衝撃強さ(PPCを有しない同じフィルムの65gに比べて)を示すことが分かった。また、このフィルムはEN 13432の生分解性要件を完全に満たすことも見出された。
【0128】
本明細書における、いずれかの従来技術文献(又はそれに由来する情報)への、又は知られているいずれかの事項への参照は、その従来技術文献(又はそれに由来する情報)又は知られている事項が、本明細書が関連する努力分野における一般常識の一部を形成するという承認又は自白でも、いかなる形態の示唆でもなく、且つそのように解釈されるべきでもない。
【0129】
この明細書及びそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈が、そうでないことを要求しない限り、語「含む」、及び「含む」「含んで」等のその変化形は、述べられた整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の包含を暗示すると解釈され、他のいずれかの整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の除外であるとは解されないものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(a)〜(d)及び/又は前記成分の溶融混合から得られる反応生成物を含む生分解性ポリマー組成物:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。
【請求項2】
成分(e)1以上の生分解性ポリエステルをさらに含む、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項3】
成分(a)〜(d)、及び/又は前記成分の溶融混合から得られる反応生成物を、これらの成分の総質量に対して、約5wt%から約50wt%の(a)、約20wt%から約70wt%の(b)、約3wt%から約30wt%の(c)、及び約0.05wt%から約0.5wt%の(d)の量で含み、且つ、これらの成分の総質量が、前記生分解性ポリマー組成物の少なくとも約50wt%を占める、請求項1に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項4】
成分(a)〜(e)、及び/又は前記成分の溶融混合から得られる反応生成物を、(a)〜(e)の総質量に対して、約0.5wt%から約45wt%の(a)、約2wt%から約63wt%の(b)、約0.3から約27wt%の(c)、約0.005wt%から約0.45wt%の(d)、及び約5wt%から約85wt%の(e)の量で含み、且つ、これらの成分の総質量が、前記生分解性ポリマー組成物の少なくとも約50wt%を占める、請求項2に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記1以上の生分解性ポリエステルが、ポリカプロラクトン(PCL);ポリ乳酸(PLA);ポリヒドロキシブチレート(PHB);ポリエチレンサクシネート(PES);ポリブチレンサクシネート(PBS);ポリブチレンアジペート(PBA);ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT);ポリ(ヒドロキシブチレートバレレート)(PHBV);セルロースアセテートブチレート(CAB);セルロースアセテートプロピオネート(CAP);及びこれらの組み合わせから選択される、請求項2又は4に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリアルキレンカーボネートが、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項7】
前記ペンダントカルボン酸基を有するポリマーが、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、ポリ(EAA−ビニルアルコール)(EAAVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMAA)、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)(PAAA)、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項8】
エステル交換触媒が、アルカリ金属水酸化物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項9】
成分(f)ポリエポキシドをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項10】
前記ポリエポキシドが、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ブタジエンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−カルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、4,4'−ジ(1,2−エポキシエチル)−ジフェニルエーテル、4,4’−(1,2−エポキシエチル)ビフェニル、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、フロログルシノールのジグリシジルエーテル、メチルフロログルシノールのジグリシジルエーテル、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)−シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)アジペート、N,N’−m−フェニレン−ビス(4,5−エポキシ−1,2−シクロヘキサンジカルボキシイミド)、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、ポリアリルグリシジルエーテル、1,3,5−トリ(1,2−エポキシエチル)ベンゼン、2,2’,4,4’−テトラグリシドキシベンゾフェノン、テトラグリシドキシテトラフェニルエタン、フェノール−ホルムアルデヒド ノボラックのポリグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリグリシジル(メタ)アクリレートのオリゴマー及び(コ)ポリマー及びこれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の生分解性ポリマー組成物。
【請求項11】
生分解性ポリマー組成物の調製方法であって、以下のものを共に溶融混合することを含む方法:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。
【請求項12】
前記組成物が、約5wt%から約50wt%の(a)、約20wt%から約70wt%の(b)、約3wt%から約30wt%の(c)、及び約0.05wt%から約0.5wt%の(d)(比率は、これらの成分の総質量に対する比)を、これらの成分の総質量が、前記生分解性ポリマー組成物の少なくとも約50wt%を占めるよう、共に溶融混合することにより調製される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリアルキレンカーボネートが、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)及びこれらの組み合わせから選択され、前記ペンダントカルボン酸基を有するポリマーが、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、ポリ(EAA−ビニルアルコール)(EAAVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMAA)、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)(PAAA)、及びこれらの組み合わせから選択され、前記エステル交換触媒が、アルカリ金属水酸化物である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
生分解性ポリマー組成物の調製方法であって、マスターバッチを、1以上の生分解性ポリエステルと共に溶融混合することを含み、前記マスターバッチは、以下のものを共に溶融混合することにより形成されたものである方法:(a)ポリアルキレンカーボネート;(b)熱可塑性デンプン(TPS)及び/又はその構成成分;(c)ペンダントカルボン酸基を有するポリマー;及び(d)エステル交換触媒。
【請求項15】
前記マスターバッチが、約5wt%から約50wt%の(a)、約20wt%から約70wt%の(b)、約3wt%から約30wt%の(c)、及び約0.05wt%から約0.5wt%の(d)(比率は、これらの成分の総質量に対する比)を、これらの成分の総質量が、前記生分解性ポリマー組成物の少なくとも約50wt%を占めるよう、共に溶融混合することにより調製される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリアルキレンカーボネートが、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)及びこれらの組み合わせから選択され、前記ペンダントカルボン酸基を有するポリマーが、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、ポリ(EAA−ビニルアルコール)(EAAVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、エチレン−メタクリル酸コポリマー(EMAA)、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)(PAAA)、及びこれらの組み合わせから選択され、前記エステル交換触媒が、アルカリ金属水酸化物である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記1以上の生分解性ポリエステルが、ポリカプロラクトン(PCL);ポリ乳酸(PLA);ポリヒドロキシブチレート(PHB);ポリエチレンサクシネート(PES);ポリブチレンサクシネート(PBS);ポリブチレンアジペート(PBA);ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT);ポリ(ヒドロキシブチレートバレレート)(PHBV);セルロースアセテートブチレート(CAB);セルロースアセテートプロピオネート(CAP);及びこれらの組み合わせから選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
約10wt%から約90wt%の前記マスターバッチが、約5wt%から約85wt%の前記1以上の生分解性ポリエステルと共に、これらの成分の総質量が、得られる生分解性ポリマー組成物の総質量の少なくとも約50wt%を占めるよう溶融混合される、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記マスターバッチを、前記1以上の生分解性ポリエステル及びポリエポキシドと共に溶融混合することを含む、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
シート又はフィルムの形態である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の生分解性ポリマー組成物。

【公表番号】特表2013−503921(P2013−503921A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527156(P2012−527156)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001100
【国際公開番号】WO2011/026171
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512054724)シーオーツースターチ プロプライエタリー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CO2STARCH PTY LTD
【住所又は居所原語表記】Unit 18 35 Dunlop Road Mulgrave,VIC 3170 Australia
【Fターム(参考)】