説明

ポリ乳酸樹脂組成物

【課題】耐加水分解性に優れ、かつ、難燃性に優れるポリ乳酸樹脂組成物及び、該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体及び該成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及び、リン化合物を含む原料を混合し、溶融混練して得られるポリ乳酸樹脂組成物、該ポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体、ならびにポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含む原料を混合し、溶融混練する工程を含む、該ポリ乳酸樹脂成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物、該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体及び該成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために原料が自然農作物なので総酸化炭素排出量が極めて少ない、また得られた樹脂の性能として剛性が強く透明性が良いという特徴があるので、現在その利用が期待され、フラットヤーン、ネット、育苗用ポット等の農業土木資材分野、窓付き封筒、買い物袋、コンポストバッグ、文具、雑貨等に使用されている。
【0003】
しかし、ポリ乳酸樹脂は、高温や高湿度下において加水分解されやすいため、耐久性に劣り、実使用に耐えうる物性を有しておらず、適用できる用途に制限がある。
【0004】
そこで、耐加水分解性の観点から、カルボジイミド化合物を配合することが知られている。例えば、特許文献1では、カルボジイミド化合物として、モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物を併用している。また、特許文献2では、耐加水分解性を向上させる観点から、モノカルボジイミド化合物をポリ乳酸樹脂のカルボキシル基と反応させ、ついでポリカルボジイミド化合物を反応させる製造法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−111735号公報
【特許文献2】特開2007−231194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物を反応系に共存させて1段目で反応させる方法では、反応性が劣り、十分な耐加水分解性が得ることができない。また、モノカルボジイミド化合物を反応させてからポリカルボジイミド化合物を反応させる方法では、反応を2段階で行うため生産性に問題がある。またさらに、耐加水分解性に加えて、難燃性も向上した、さらなるポリ乳酸樹脂が要求されている。
【0006】
本発明の課題は、耐加水分解性に優れ、かつ、難燃性に優れるポリ乳酸樹脂組成物及び、該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体及び該成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決する為に検討を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂組成物に、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物に加えて、さらにリン化合物を含有させることにより、1段反応でも耐加水分解性に優れ、かつ難燃性に優れるポリ乳酸樹脂組成物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕 ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含む原料を混合し、溶融混練して得られるポリ乳酸樹脂組成物、
〔2〕 前記〔1〕記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体、ならびに
〔3〕 ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含む原料を混合し、溶融混練する工程を含む、前記〔2〕記載のポリ乳酸樹脂成形体の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、耐加水分解性及び難燃性に優れるという優れた効果を奏するものである。また、該組成物は、1段反応により得られることから、生産性にも優れるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及び、リン化合物を含む原料を混合し、溶融混練して得られるものであり、ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、及びポリカルボジイミド化合物に加えて、さらにリン化合物を用いることに大きな特徴を有する。本発明においては、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物によりポリ乳酸の末端のカルボキシル基を封鎖して加水分解を抑制する効果が発揮されるが、前記両化合物に加えてリン化合物を含有することにより、その効果をさらに向上することができ、またさらに、耐加水分解性と共に難燃性をも向上できる。その詳細な理由は不明なるも、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物と、リン化合物との相互作用によって、カルボジイミド基とカルボキシル基との反応性が向上し、前記効果が向上するものと考えられる。また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、原料を混合することにより、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物と、リン化合物との相互作用が得られ、溶融混練によりカルボジイミド基とカルボキシル基との反応性が向上し、前記効果が向上するものと考えられる。
【0011】
<ポリ乳酸樹脂組成物>
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及び、リン化合物を含む原料を混合し、溶融混練して得られる。
【0012】
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂としては、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
【0013】
好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位80〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。
【0014】
これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
【0015】
市販されているポリ乳酸樹脂としては、例えば、三井化学社製、商品名レイシアシリーズ;ネイチャーワークス社製、商品名Nature worksシリーズ;トヨタ自動車社製、U’zシリーズ等が挙げられる。
【0016】
これらのポリ乳酸樹脂の中でも結晶化速度、物性の観点からL−乳酸高純度品である結晶グレードのもの、例えば、三井化学社製、LACEA H−400、LACEA H−100、LACEA H−440が好ましく、L−乳酸純度95%以上のポリ乳酸樹脂、例えば、三井化学社製、LACEA H−400、LACEA H−100がさらに好ましい。
【0017】
本発明に用いられるモノカルボジイミド化合物としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジtert−ブチルフェニルカルボジイミド、ジ−o−トリルカルボジイミド、ジ−p−トリルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド等の芳香族モノカルボジイミド化合物;ジ−シクロヘキシルカルボジイミド等の脂環族モノカルボジイミド化合物;ジ−イソプロピルカルボジイミド、ジ−オクタデシルカルボジイミド等の脂肪族モノカルボジイミド化合物等が挙げられ、良好な耐加水分解性を得る観点及びポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端濃度を下げる観点から、芳香族モノカルボジイミド化合物が好ましく、ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミドがさらに好ましい。これらのモノカルボジイミド化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
モノカルボジイミド化合物の配合量は、良好な耐加水分解性を得る観点及びポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端濃度を下げる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。また透明性の観点から0.1〜3重量部がさらに好ましく、0.1〜1.0重量部がさらに好ましく、0.1〜0.5重量部がさらにより好ましい。なお、本明細書において「配合量」とは、「配合量もしくは含有量」のことを意味する。
【0019】
本発明に用いられるポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド化合物;ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環族ポリカルボジイミド化合物;ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド化合物が挙げられ、良好な耐加水分解性を得る観点から、芳香族ポリカルボジイミド化合物及び脂環族ポリカルボジイミド化合物が好ましい。これらのポリカルボジイミド化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
ポリカルボジイミド化合物の配合量は、良好な耐加水分解性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。また、透明性の観点から、0.1〜3重量部がさらに好ましく、0.1〜1.0重量部がさらに好ましく、0.1〜0.5重量部がさらにより好ましい。
【0021】
また、良好な耐加水分解性を得る観点から、ポリカルボジイミド化合物は、モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物の配合割合〔モノカルボジイミド/ポリカルボジイミド(重量比)〕が、好ましくは1/9〜9/1、より好ましくは3/7〜7/3となるように配合することが好ましく、4/6〜6/4となるように配合することがさらに好ましい。
【0022】
なお、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物は、市販のものを用いることができるが、例えば、イソシアネート化合物に、カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド等)を30〜250℃、好ましくは30〜200℃で1〜10時間反応させることにより調製したものを使用することもできる。
【0023】
本発明に用いられるリン化合物としては、モノカルボジイミド化合物、及びポリカルボジイミド化合物との併用により、これらが有するカルボジイミド基とポリ乳酸樹脂のカルボキシル基との反応性を向上させると共にポリ乳酸樹脂組成物の難燃性を向上させる観点から、リン酸エステル、フェニルホスホン酸金属塩、縮合リン酸エステル、リン酸塩及び縮合リン酸塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0024】
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン等が挙げられ、難燃性の向上の観点から、トリフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェートが好ましい。
【0025】
フェニルホスホン酸金属塩は、置換基を有しても良いフェニル基とホスホン基(−PO(OH)2)を有するフェニルホスホン酸の金属塩であり、フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、無置換のフェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、無置換のフェニルホスホン酸が好ましい。
【0026】
フェニルホスホン酸の金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の塩が挙げられ、亜鉛塩が好ましい。
【0027】
縮合リン酸エステルとしては、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げることができ、難燃性の向上の観点から、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェートが好ましい。市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば大八化学工業製PX−200(レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート)、PX−201(芳香族縮合リン酸エステル)、PX−202(芳香族縮合リン酸エステル)、CR−733S(レゾルシノールポリフェニルホスフェート)、CR−741(ビスフェノールAポリクレジルホスフェート)、CR747(芳香族縮合リン酸エステル)、ADEKA製アデカスタブPFR(レゾルシノールポリフェニルホスフェート)、FP−500(レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート)、FP−600(ビスフェノールAポリクレジルホスフェート)、FP−700(ビスフェノールAポリクレジルホスフェート)等を挙げることができ、PX−200、PX−201、PX−202が好ましい。
【0028】
リン酸塩、縮合リン酸塩としては、例えば、リン酸及び/又はポリリン酸と、周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属又は化合物との塩からなるリン酸塩、ポリリン酸塩を挙げることができる。周期律表IA族〜IVB族の金属としてリチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられ、脂肪族アミンとしてメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられ、芳香族アミンとしてはピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が挙げられる。これらの中では、難燃性向上の観点から、リン酸及び/又はポリリン酸と、周期律表IA族〜IVB族の金属及び/又はピペラジンとの塩からなるリン酸塩、ポリリン酸塩、リン酸及び/又はポリリン酸と、周期律表IA族〜IVB族の金属及び/又はピペラジンとの塩からなるリン酸塩、ポリリン酸塩との混合物(リン酸塩複合体)が好ましい。市販のリン酸塩、ポリリン酸塩としては、太平化学産業製タイエンN(リン酸アンモニウム)、タイエンL(ポリリン酸アンモニウム)、タイエンE(リン酸アルミニウム)、タイエンS(ポリリン酸アンモニウムアミド)、タイエンH(リン酸アルミニウム)、クラリアント製ClariantAP475(ポリリン酸アンモニウム複合体)、ClariantAP750(ポリリン酸アンモニウム複合体)、Clariant1312(ポリリン酸アンモニウム複合体)、Clariant1250(リン酸金属塩)、ADEKA製FP−2100(リン酸塩複合体)、FP−2100J(リン酸塩複合体)、FP−2200(リン酸塩複合体)、鈴裕化学製FCP730(ポリリン酸アンモニウム複合体)、Budenheimu製BUDIT3167(ポリリン酸アンモニウム複合体)、日本化学工業製N−6ME(ニトロトリス(メチレン)ホスホン酸6メラミン塩)、日産化学工業製PHOSMEL−200(ポリリン酸メラミン)等が挙げられ、ADEKA製FP−2100、FP−2100J、FP−2200、日産化学工業製PHOSMEL−200が好ましい。
【0029】
これらのリン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
リン化合物の配合量は、良好な耐加水分解性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して5〜40重量部が好ましく、8〜35重量部がより好ましく、10〜35重量部がさらに好ましく、10〜30重量部がさらに好ましい。
【0031】
また、リン化合物の重量と、モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物の総重量との比〔リン化合物重量/(モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物の総重量)〕は、良好な耐加水分解性を得る観点から、4/1〜50/1が好ましく、8/1〜40/1がより好ましく、10/1〜30/1がさらに好ましく、15/1〜25/1がさらにより好ましい。
【0032】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物にはさらに可塑剤、結晶核剤等を配合しても良い。
【0033】
可塑剤としては、特に限定されず、例えば、一般の生分解性樹脂に用いられるグリセリンジアセトモノラウレート、ジグリセリンテトラアセテート、アセチルクエン酸トリブチル等や、分子中に2個以上のエステル基を有するエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸樹脂の柔軟性及び透明性の観点から、分子中に2個以上のエステル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が好ましくは2〜9、より好ましくは3〜9の化合物が好ましい。このような化合物としては、コハク酸、アジピン酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸等の多価カルボン酸とポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコールのアルキルエーテルエステル等が挙げられる。これらの可塑剤は単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
可塑剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、可塑剤の効果を発現し、樹脂の特性を損なわない観点から、5〜70重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましく、10〜30重量部がさらに好ましい。
【0035】
本発明において結晶核剤としては、有機核剤、無機核剤のいずれも用いることができる。有機核剤としては、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させる観点から、融点が65℃以上のものが好ましく、70〜220℃のものがより好ましい。好ましい有機核剤としては、脂肪族エステル、脂肪族アミド、脂肪酸金属塩等が挙げられ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させる観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド等が好ましい。
【0036】
無機核剤としては、特に限定されないが、耐熱性、成形性、結晶化度の向上の観点から、タルク、スメクタイト、ベントナイト、ドロマイト、セリサイト、長石粉、カオリン、マイカ、モンモリロナイト等の珪酸塩が好ましい。
【0037】
結晶核剤として有機核剤を用いる場合、有機核剤の配合量はポリ乳酸樹脂100重量部に対して、結晶核剤としての効果発現の観点から、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましい。また、無機核剤を用いる場合、無機核剤の配合量はポリ乳酸樹脂100重量部に対して、結晶核剤としての効果発現の観点から、0.1〜150重量部が好ましく、3〜80重量部がより好ましい。
【0038】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、上記以外の他の成分として、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で配合することができる。
【0039】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含有するものであれば特に限定なく調製することができる。
【0040】
<ポリ乳酸樹脂成形体及びその製造方法>
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形することにより得られる。具体的には、例えば、押出し機等を用いてポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を混合して溶融させながら、必要により有機結晶核剤や無機充填剤等を配合し、次に得られた溶融物を射出成形機等により金型に充填して成形する。金型温度は、特に限定されないが、作業性を向上させる観点から、110℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。またポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度を向上させる観点から、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は30〜110℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさら好ましい。
【0041】
本発明のポリ乳酸樹脂成形体の耐加水分解性は、高温高湿度条件下に保存後の分子量保持率(%)、例えば、80℃/95%RHの条件下に72時間保存後の分子量保持率(%)により表すことができ、分子量保持率(%)が好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%であることが望ましい。なお、本明細書において、分子量保持率とは、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0042】
本発明のポリ乳酸樹脂成形体の好ましい製造方法は、ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含有するポリ乳酸樹脂組成物を溶融混練する工程(以下工程(1)という)と、工程(1)で得られた溶融物を110℃以下の金型内に充填して成形する工程(以下工程(2)という)を含む方法である。
【0043】
工程(1)における溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂とモノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物との反応性、及びポリ乳酸樹脂の劣化防止の観点から、180〜230℃が好ましく、190〜220℃がより好ましく、190〜210℃がさらに好ましい。
【0044】
本発明においては、工程(1)を経た後、冷却して非晶状態(すなわち高角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下となる条件)とした後、工程(2)を行う方法や、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法が好ましく、結晶化速度向上効果発現の観点から、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法がより好ましい。
【0045】
工程(2)の具体例としては、例えば、射出成形機等によりポリ乳酸樹脂組成物を110℃以下の金型内に充填し、成形する工程等が挙げられる。工程(2)における金型温度は、結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、110℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。また30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は30〜110℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさら好ましい。
【0046】
工程(2)における金型内での保持時間は5〜600秒が好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物が結晶核剤を含有する場合は、相対結晶化度60%以上を達成し、かつ生産性向上の観点から、前記保持時間は5〜60秒が好ましく、8〜50秒がより好ましく、10〜45秒がさらに好ましい。なお、本明細書において、相対結晶化度とは以下の式で表される結晶化度を言う。
相対結晶化度(%)={((ΔHm−ΔHcc)/ΔHm×100)}
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度-20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温した。1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを求めることができる。
【0047】
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、原料の本発明のポリ乳酸樹脂組成物がポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含有することから、前記原料を溶融混練することにより、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物と、リン化合物との親和性が向上し、耐加水分解性に優れ、かつ難燃性に優れるものである。また、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物と、リン化合物との相互作用の観点から、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物の溶融混練を同時に行うことにより、ポリ乳酸のカルボキシル基の封鎖が効率よく行われるため、本発明のポリ乳酸樹脂成形体の製造方法は、溶融混練工程を1段階で行ってもよく生産性にも優れるものである。
【実施例】
【0048】
合成例1(ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド)
攪拌モーター、窒素ガスバブリング管及び冷却管を付けたフラスコに、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート100g、カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)1g、及びトリエチレングリコールジメチルエーテル250mLを投入し、100℃で6時間カルボジイミド化反応をおこない、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミドを得た。得られた生成物のNCO%は0であり、カルボジイミド化が完全に終了していることを確認した。
【0049】
合成例2〔ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)〕
攪拌モーター、窒素ガスバブリング管及び冷却管を付けたフラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート100g、カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)1g、及びトリエチレングリコールジメチルエーテル250mLを投入し、100℃で3時間カルボジイミド化反応をおこない、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)を得た。得られた生成物のNCO%は18、重合度は5であった。
【0050】
合成例3(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下4〜10.7kPa、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業(株)製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは、酸価0.2(KOHmg/g)、鹸化価276(KOHmg/g)、水酸基価1以下(KOHmg/g)、色相APHA200であった。
【0051】
実施例1〜7及び比較例1〜3
表1に示すポリ乳酸樹脂、上記で合成したモノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物、リン化合物、可塑剤、ならびに結晶核剤を、2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-45)にて190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、実施例1〜7及び比較例1〜3のポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
【0052】
なお、表1における原料は以下の通りである。
〔ポリ乳酸樹脂〕
LACEA H−400:三井化学社製
〔モノカルボジイミド化合物〕
ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド:ラインケミー社製、スタバクゾール LF
ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド:上記合成例により調製
〔ポリカルボジイミド化合物〕
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド):ラインケミー社製、スタバクゾールP
ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド):上記合成例により調製
〔リン化合物〕
FP−2200:リン酸塩、アデカ社製
レオフォス65:リン酸エステル、味の素ファインテクノ社製
PX−200:縮合リン酸エステル、大八化学工業社製
PHOSMEL−200:縮合リン酸塩、日産化学工業社製
〔可塑剤〕
(MeEO)SA:コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物
〔有機結晶核剤〕
OHC18EB:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製、スリパックスH)
PPA−Zn:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業社製)
【0053】
次に、実施例1〜7及び比較例1〜3のペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機(日本製鋼所製 J75E-D)を用いて射出成形し、金型温度80℃、保持時間600秒(実施例7のみ60秒)でテストピース〔角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)〕を成形し、以下の試験例1〜2の方法に従って特性を調べた。結果を表1に示す。
【0054】
〔試験例1〕(難燃性)
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94 垂直燃焼試験の手順に基づき、垂直に保持した試料の下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させ、燃焼が30秒以内に止まったならば、さらに10秒間接炎させ、n=5にて燃焼試験を実施した。UL94垂直燃焼試験(UL94V)の以下に示す判定基準に基づき、V−0、V−1、V−2、又はNotの判定を行った。
【0055】
(難燃性の判定基準)
以下の基準においては、判定項目の全てについて該当するか否かの判定を行い、全てが該当する場合に、当該基準に相当すると判断する。
<V−0>
いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない
5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が50秒を超えない
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子を落下させる試料がない
2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試料がない
<V−1>
いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない
5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子を落下させる試料がない
2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない
<V−2>
いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない
5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる燃焼する粒子の落下が許容される
2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない
<Not>
いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける
【0056】
〔試験例2〕(耐加水分解性)
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、80℃/95%RHの恒温湿機(プラチナスシリーズPSL−2、タバイエスペック社製)内に入れ、72時間後の重量平均分子量(Mw)を測定し、次式より分子量保持率(%)を求めた。
分子量保持率(%)=(72時間後のMw/初期Mw)×100
【0057】
なお、重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で行い、サンプル調製はクロロホルム10mLに試料30mgを溶解させて測定した。
カラム:GMHHR-H×2
カラム温度:40℃
検出器:RI又はUV(210nm)
溶離液:クロロホルム
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
標準:ポリスチレン
【0058】
【表1】

【0059】
表1の結果から、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含有した本発明のポリ乳酸樹脂組成物(実施例1〜7)は、分子量保持率90%以上の優れた耐加水分解性と、V−2以上の難燃性を達成することが可能であった。
【0060】
一方、モノカルボジイミド化合物とリン化合物、及びポリカルボジイミド化合物とリン化合物のみを含有したポリ乳酸樹脂組成物(比較例1〜2)は分子量保持率90%以上の耐加水分解性を達成することができなかった。また、モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物のみを含有したポリ乳酸樹脂組成物(比較例3)は、V−2以上の難燃性を達成することが不可能であった。
【0061】
以上の結果から、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含有した本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、分子量保持率90%以上の優れた耐加水分解性を示し、その成形品は優れた難燃性を示すものであることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及び、リン化合物を含む原料を混合し、溶融混練して得られるポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項2】
リン化合物の含有量が、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して5〜40重量部である、請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項3】
モノカルボジイミド化合物の含有量が、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部である、請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項4】
ポリカルボジイミド化合物の含有量が、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部である、請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項5】
モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物の重量比(モノカルボジイミド化合物/ポリカルボジイミド化合物)が1/9〜9/1である、請求項1〜4いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項6】
リン化合物の重量と、モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物の総重量との比〔リン化合物重量/(モノカルボジイミド化合物とポリカルボジイミド化合物の総重量)〕が4/1〜50/1である、請求項1〜5いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体。
【請求項8】
ポリ乳酸樹脂、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、及びリン化合物を含む原料を混合し、溶融混練する工程を含む、請求項7記載のポリ乳酸樹脂成形体の製造方法。

【公開番号】特開2010−6869(P2010−6869A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164977(P2008−164977)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】