説明

ポリ(ヒドロキシアルカン酸)および熱成形品

ポリ(ヒドロキシアルカン酸)(PHA)を押出成形して第一の物品を製造するステップ、≧約90℃の温度を有する加熱金型中でこの第一の物品を熱成形して第二の物品を製造するステップ、および熱成形品を製造するためにこの第二の物品をその加熱金型中に約40秒未満の間保持することによってその第二の物品を熱処理するステップを含む方法を開示する。このPHA組成物は、PHAと、その組成物の重量を基準にして0から約4%の成核剤とを含むか、またはこれらから実質上なり、かつその第一の物品はフィルムまたはシートであり、また部分的に結晶化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリ(ヒドロキシアルカン酸)組成物、ヘーズをできるだけ少なくすると同時に耐熱性を改良するための方法、およびその組成物を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸(PLA)などのポリ(ヒドロキシアルカン酸)(PHA)は、トウモロコシ、テンサイ、またはサツマイモを含めた植物の細菌発酵によって生産されるような再生可能なモノマーを含む樹脂である。この樹脂は、カップ、トレイ、およびクラムシェルなどの透明な熱成形包装用品に使用することができる。一般にはこの樹脂は、まず押出成形して非晶質のシートにし、次いでこのシートをガラス転移温度(Tg)を超える温度に加熱し、加熱されていない金型を用いて真空または圧空成形して完成品にする。PHA物品の利点は、暑い周囲条件におけるこれら物品の寸法不安定性によって多少相殺される。
【0003】
多くのPLA品種は、サイクル時間の短い熱成形設備では結晶化が遅すぎるか、または所与の時間内では結晶化度10%未満の結晶化であるので、物品の約2.5倍(250%)未満の伸張のような低い延伸度の部分は完全には結晶化しない。熱成形にとって好評なPLA品種は55℃のTgを有するので、冷たい金型中で熱成形されるようなPLAの物品は、55℃を超える温度まで加熱される場合、寸法安定性が劣る。PHA包装用品は、輸送または貯蔵の間に55℃を少し超える温度になる可能性があるので、PLA物品にこのような条件下でより良好な機械的安定性を与える方法を見つけることが望ましい。熱成形または延伸した物品は、そのTgを超える温度に加熱された場合、数秒以内に5%を超えて(時には50%)収縮することがある。この収縮傾向は、成形品の約25%(最終長または面積が予成形長または面積よりも25%大きい)と約100%の間の臨界量の配向を受ける部分では特に(50%にまで)高い可能性がある。約100%を超えるか、または約250%の配向を有する領域は、成形工程の間に若干の付加的な結晶化を受ける可能性がある。したがってそれら領域は、他の領域よりも収縮傾向が低下する可能性がある。配向されない領域は低収縮(<10%)の可能性があるが、これらの領域は軟質であり、Tgをわずかに超える温度で機械的応力を加えられた場合に簡単に変形する。約100%と約250%の間にある領域は、最も高い収縮を有する(本出願の主題によって最も恩恵を受ける)可能性がある。収縮によって高い力が発生し、したがって複雑な中空品中の一領域の収縮が、構造全体に及ぼす一層大きな寸法的影響に拡大する恐れがある。したがって本出願の目的の場合、望ましい収縮は8%未満、4%未満、または1%未満である。
【0004】
収縮力は、結晶化されず非晶質であり、かつ金型中での急速な冷却によってその位置で凍結(「非晶配向」と呼ばれる)される延伸PLA分子の存在が原因である可能性がある。温度がTgを超えて上昇すると、その物品が収縮を抑制されない場合、これらの分子は数秒以内に緩和し、収縮を誘発するか、または引き起こす(すなわち、緩和による収縮(shrinkage−by−relaxation))。PLAがその限度まで完全に結晶化されておらず、かつ物品の温度がTgをかなり上回る、特にTgと融点の平均の温度である場合、数分以内の若干の追加の収縮(すなわち、結晶化による収縮(shrinkage−by−crystallization))が、結晶化により起こる可能性がある。その低分子量(例えば10,000g/モル未満)、低いD−ラクチド(メソ−ラクチド)含量、および/または多量の特殊な成核剤の使用によるPLAの特に急速な結晶化は、物品がそのPLAの限度まで結晶化されていない場合、Tgと融点の平均未満の温度で結晶化による収縮が起こることを可能にする。本出願の利点は、低ヘーズに関するものである。
【0005】
収縮または寸法安定性の問題を解決するには結晶化度を増大させ、かつ/または非晶配向を低減すればよい。したがってできるだけ小さくすべき数値比は、全結晶化度に対する非晶配向の量である。そのような比率はX線によって定めることができ、それはX線によって求められる全結晶化度に対するX線によって求められる非晶配向の比であり、好ましくは約2未満または約1未満、あるいはより好ましくは約0.1未満である。非晶配向の別の指標は、X線とTgのすぐ上の吸熱(示差走査熱量測定法(DSC)によって求められ、「エンタルピー緩和」と呼ばれる)の相関関係によるものであることもできる。X線による非晶配向を有するPLAの物品は、10℃/分の試料の加熱の間、Tgを5℃超える範囲内で約9J/gの吸熱を有する。非晶配向のない試料は、その吸熱が0J/gである。データは、緩和による収縮を低くするために結晶化度を最大にすることに完全には焦点が合っていないが、全結晶化度に対するTgにおける吸熱の比を約0.3未満、あるいは0.1または0.05まで最小化することができることを示唆している。全結晶化度を最大にする代わりに全結晶化度に対する非晶配向を最小にすることは、通常の熱成形法では結晶化度のレベルが高いほど、高レベルのヘーズを持ち込みがちであるということである。
【0006】
全結晶化度に対する非晶配向を最小にする方法は存在する。例えば、55℃のTgおよび155℃の融点を有するPHAまたはPLAの結晶化度を増大させるには、完成した成形品を105℃で数分間熱処理して、55℃を超える温度に加熱した場合の硬さをその物品に与えればよい。しかしながらこうすることは、熱処理の最初の数秒間のうちにその物品を収縮させる恐れがある。
【0007】
加熱した金型中で収縮を抑えながら、物品を約105℃において数秒間熱処理すればよい。こうすることは、配向が約25%を超えていない物品のこれらの領域を非晶質のまま残すことになる。熱金型から物品を取り出すことは、多分その熱金型にそれらがくっつくことが原因でそれら領域の変形を引き起こすか、またはまだ熱い間に低い機械的応力下でそれらの変形を引き起こすことになる。
【0008】
その物品が加熱した金型中で移動するのを抑えながら、約105℃で数分間熱処理すればよい。その物品は結晶化度によって硬化するので、取出し工程がその物品を変形させないことになる。こうすることは熱成形サイクル時間を延ばして非能率な長時間にする恐れがある。
【0009】
別法ではTgと融点の平均を超える高い温度で物品を成形することによって非晶配向の最初の量を減らすこともできる。融点に近づくようなこの約25℃を超える過度に高い温度は、熱シートの過度な垂れ下り、または熱成形する前にその支持体での変形を許す恐れがある。それよりわずかに低い過度な温度は、金型の表面にオリゴマーまたは添加剤が滲出して成形品に表面粗さを生じさせるために問題があることがある。高温での(例えば、Tgと融点の平均を約25℃超える温度での)操業は、延伸された非晶質分子を有する成形品と比較して、延伸された非晶質PLA分子がほとんどなく、かつ低収縮の成形品をもたらすことができる。しかしながら、一般に物品がそのTgを超える温度で寸法的に安定であるためには>10%結晶性の物品が望ましいが、この物品は90%以上が非晶質であり、したがって軟質であり、かつTgを超える温度でそれを使用した場合、簡単に望ましくない変形を起こす恐れがある。90%非晶質の物品もまた、55℃を超える温度で数週間保持した場合、結晶化または他の分子再配列が幾らか始まるせいで幾らか収縮する可能性がある。
【0010】
結晶化度を増大させるには物品を高温で成形し、Tgと融点の平均の温度で物品をその金型中でアニールして結晶化度を増せばよいが、こうすることは物品の曇りを非常に増大させる恐れがある。
【0011】
別法では物品を、その樹脂が熱成形の間に約150%超に延伸され、かつTgと融点の平均の温度で数秒間熱処理されるようにすることもできる。こうすることは、歪により引き起こされる結晶化(すなわち、延伸工程の間の結晶化)のせいで透明度および寸法安定性を得ることができるが、その大きな延伸量が成形品の形状を非常に長くかつ幅の狭いものに限定する。
【0012】
またPLA用成核剤の使用により結晶化度または結晶化速度を増すことができる。成核剤には、タルク、ケイ酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、チッ化ホウ素、銅フタロシアニン、およびアイソタクチックポリプロピレンが挙げられる。成核剤の使用は、普通なら透明なPLA物品に高ヘーズまたは不透明度を持ち込み、それによってその物品の価値を損なう。例えば、米国仮特許出願第6114495号明細書、米国仮特許出願第6417294号明細書、および国際公開第03014224号パンフレットを参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、PHAから低ヘーズ(すなわち直接透明度、これはヒトの目で読み通すような実質上透明であることを意味する)物品を生産する必要性、およびその低ヘーズ物品の表面全体にわたって寸法安定性を高める必要性が存在する。本発明者等は、非常に熱い金型をPHAで使用してTgを超える温度において緩和による収縮0%を生じさせることができること、成核剤がそのような熱金型の使用を可能にすること、およびPHAをそれらの最高限度まで結晶化させることがこのような寸法安定性にとって必要ではないことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
方法は、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)(PHA)を押出成形して第一の物品を製造するステップ、温度≧約90℃を有する加熱した金型中でこの第一の物品を熱成形して第二の物品を製造するステップ、および熱成形品を製造するためにこの金型中にその第二の物品を約40秒未満の間保持することによって第二の物品を熱処理するステップを含む。そのPHA組成物は、PHAと、その組成物の重量を基準にして0から約4%の成核剤とを含むか、または実質上これらからなり、および第一の物品はフィルムまたはシートであり、部分的に結晶化されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「部分的に結晶化されている」とは、少なくとも約2%、または少なくとも約5%、最高で約20%までの結晶化度を有する物品を意味する。「非晶質」とは、示差走査熱量計(DSC)中で周囲温度からその融点を25℃超える温度まで約10℃/分で加熱された場合、融解吸熱「J/g」から昇温結晶化発熱「J/g」を差し引いたとき約0.5J/g未満を示すPHAの試料を指す。結晶化速度の速いPHAは、非晶質でありかつDSC中で加熱された場合、その昇温結晶化発熱が5J/gを超えて、特に20J/gを超えて生ずるものである。結晶化速度の遅いPHAは、非晶質であるときにDSC中で加熱された場合、5J/g未満、特に1J/g未満の結晶化発熱を生ずるものである。「結晶化可能な」PHAは、Tgと融点の平均の温度で4時間加熱した場合に、5J/gを超える結晶化度を生ずるものである。
【0016】
PHA組成物には、炭素原子を2個から15個、2個から10個、2個から7個、または2個から5個有する1種類または複数種類のヒドロキシアルカン酸から誘導される反復単位を含むポリマーが挙げられる。例には、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸エステル、2−ヒドロキシ酪酸エステル、3−ヒドロキシ酪酸エステル、4−ヒドロキシ酪酸エステル、3−ヒドロキシ吉草酸エステル、4−ヒドロキシ吉草酸エステル、5−ヒドロキシ吉草酸エステル、6−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、またはこれらの2種類以上の組合せが挙げられる。ポリマーの例にはポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(ヒドロキシ酪酸エステル)(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、あるいは結晶化可能であることが望ましい2種類以上のPHAポリマーのブレンド(例えば、PHBとPCLのブレンド)を含めて、これらの2種類以上の組合せが挙げられる。
【0017】
PHAは、バルク重合によって生産することができる。PHAは、ヒドロキシアルカン酸の脱水−縮合重合により合成してもよい。PHAはまた、ポリグリコール酸のアルキルエステルの脱アルコール−縮合重合によるか、あるいはその対応するラクトンまたは環状二量体エステルなどの環状誘導体の開環重合によって合成することもできる。バルク重合は2種類の生産方法、すなわち連続法およびバッチ法によって行うことができる。特開平03−502115A号公報は、環状エステルのバルク重合を二軸スクリュー押出機中で行う方法を開示している。特開平07−26001A号公報は、ヒドロキシカルボン酸の二分子環状エステルと1種類または複数種類のラクトンとを開環重合用スタティックミキサーを有する連続反応装置に連続的に供給する生分解性ポリマーの重合の方法を開示している。特開平07−53684A号公報は、ヒドロキシカルボン酸の環状二量体を触媒と共に最初の重合段階に供給し、次いで多軸スクリューニーダーからなる後続の重合段階に連続的に供給する脂肪族ポリエステルの連続重合の方法を開示している。米国特許第2668162号明細書および米国特許第32907033号明細書は、バッチ法について開示している。
【0018】
PHAにはまた、2種類以上のPHAを含むコポリマー、例えばポリヒドロキシ酪酸エステル−ヒドロキシ吉草酸エステル(PHB/V)コポリマーおよびグリコール酸と乳酸(PGA/LA)のコポリマーが挙げられる。これらコポリマーは、ポリヒドロキシアルカン酸または誘導体と1種類または複数種類の環状エステルおよび/または二量体環状エステルの共重合によって生産することができる。このようなコモノマーには、グリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、グリコール酸の二量体環状エステル、ラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパン酸の環状エステル、β−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ酪酸の環状エステル、δ−バレロラクトン、5−ヒドロキシペンタン酸の環状エステル、ε−カプロラクトン、6−ヒドロキシヘキサン酸の環状エステル、およびそのメチル置換誘導体のラクトン、例えば2−メチル−6−ヒドロキシヘキサン酸、3−メチル−6−ヒドロキシヘキサン酸、4−メチル−6−ヒドロキシヘキサン酸、3,3,5−トリメチル−6−ヒドロキシヘキサン酸などのラクトン、12−ヒドロキシドデカン酸の環状エステル、および2−p−ジオキサノン、2−(2−ヒドロキシエチル)−グリコール酸の環状エステル、またはこれらの2種類以上の組合せが挙げられる。
【0019】
PHA組成物にはまた、1種類または複数種類のPHAモノマーまたは誘導体と他のコモノマー、例えばコハク酸、アジピン酸、およびテレフタル酸と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、および1,4−ブタンジオールなどの脂肪族および芳香族二酸とジオールのモノマーとのコポリマーが挙げられる。約100種類の様々なコモノマーがPHAポリマー中に取り込まれている。一般には、取り込まれるコモノマーのモル数が多いコポリマーほど、その得られるコポリマーの結晶化の可能性は低い。何らかの有機溶媒に溶かしたその可溶性溶液から沈殿させたときそのコポリマーが結晶化しないならば、そのコポリマーを成核剤と溶融ブレンドした場合、それは結晶化せずにはいられない。
【0020】
PHAポリマーおよびコポリマーはまた、生物によって作られてもよく、植物から単離することもできる。非常に多くの微生物が、細胞内のPHAポリマーの蓄えを蓄積する能力を有している。例えば、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸エステル−co−3−ヒドロキシ吉草酸エステル)(PHB/V)のコポリマーは、細菌ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)の発酵によって生産されている。他のPHAの種類の発酵および回収方法もまた、アゾトバクター属(Azotobacter)、アルカリゲネス・レータス(Alcaligenes latus)、コマモナス・テストステローニ(Comamonas testosterone)、ならびに遺伝子操作された大腸菌(E.coli)およびクレブシエラ属(Klebsiella)を含めた一連の細菌を用いて開発されている。米国特許第6323010号明細書は、遺伝子組み換え生物から調製された複数種類のPHAコポリマーを開示している。
【0021】
グリコール酸はサトウキビから得られる。ポリ(グリコール酸)はグリコリドの開環重合によって合成することができ、これは時にはポリ−グリコリドと呼ばれる。
【0022】
PLAには、ポリ(乳酸)ホモポリマー、ならびに乳酸と、乳酸またはその誘導体(それらの混合物)から得られ、3000から1000000、10000から700000、または20000から300000の数平均分子量を有する反復単位を少なくとも50モル%含有する他のモノマー(50%のコモノマーは、どんな熱処理条件であろうと結晶化が最も起こりにくいランダムコポリマー組成を生じさせる)とのコポリマーが挙げられる。PLAは、乳酸またはその誘導体から得られる(例えばそれから作られる)反復単位を少なくとも70モル%含有することができる。PLAホモポリマーおよびコポリマー用の乳酸モノマーは、d−乳酸、l−乳酸、またはこれらの組合せから誘導することができる。2種類以上のPLAポリマーの組合せを使用することもできる。PLAは、乳酸の二量体環状エステル(しばしば「ラクチド」と呼ばれる)の触媒開環重合によって生産することができる。その結果、PLAはまた「ポリラクチド」とも呼ばれる。
【0023】
PLAにはまた、乳酸またはラクチドの様々な立体異性体の特殊な部類のコポリマーおよびブレンドが挙げられる。d−乳酸またはd−ラクチドから重合されたPLAと、l−乳酸またはl−ラクチドから重合されたPLAとの溶融ブレンドは、50/50比でその2種類の純粋ステレオPLA間のステレオコンプレックスを生じさせることができる。ステレオコンプレックス自体の結晶は、これら2種類の成分のどちらよりもずっと高い融点を有する。同様にステレオブロックPLAは、低分子量ステレオコンプレックスPLAから固相重合することができる。
【0024】
乳酸のコポリマーは、上記と同様に、乳酸、ラクチド、または別の乳酸誘導体と、1種類または複数種類の環状エステルおよび/または二量体環状エステルとの触媒重合によって調製することができる。
【0025】
PHAは、使用されるPHAおよび成核剤の合計量を基準にしてこの組成物を約99.8重量%まで含むことができる。例えばPHAは、約96重量%の下限値から100重量%までの範囲で存在することができる。
【0026】
PHA組成物は、成核剤を、その組成物の重量を基準にして0から約4%、約0.1から約4%、約0.5から約4%、約1から約4%、約1から約3%、約0.5から約3%、または約1から約2%含むことができ、含めることができるこの成核剤は、PHA解重合を引き起こさないカルボン酸またはその誘導体である。このカルボン酸またはその誘導体には、芳香族カルボン酸(例えば安息香酸)、脂肪族カルボン酸(例えば、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、ステアリン酸およびベヘン酸などの飽和脂肪酸、ステアリルアルコールなどの脂肪酸アルコール、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル、ステアルアミドまたはエチレンビス−ステアルアミドなどの脂肪酸アミド、ベヘン酸アミド)、ポリカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの2種類以上の組合せが挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、脂肪酸誘導体または長鎖(例えば≧炭素31個)を含むPHA組成物から作られるフィルムまたはシートは、これらの化合物の分散が困難なせいか、または約2%を超えるようなPHA中のこれら化合物の低溶解度のせいで、およびそのPHAと添加剤の屈折率の不適切な組合せのせいで光学的にあまり透明でない恐れがある。
【0027】
これらカルボン酸またはそれらの誘導体は、それら脂肪族の単官能(飽和、不飽和、または多不飽和)カルボン酸であることができる。この酸は、分子当たり炭素原子を約10個から約30個、約12個から約28個、約16個から約26個、または18個から22個有することができる。GRAS(一般に安全と認められている)として米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)(FDA)の一覧表上にあるもの、または食品と接触する資格を有するものは特に興味をそそる。これらカルボン酸誘導体は、PHAと溶融ブレンドした場合に揮発性が低い(PHAとの溶融ブレンドの温度で揮発しない)か、または直径が約2μ未満のものなどPHA中によく分散することができる粒子を有するか、または非移行性(通常の貯蔵条件(周囲温度)下でPHAの表面にブルームしない)の粒子を有することができる。すなわち望ましいカルボン酸は、本出願中のほかの場所で開示されるPHAの溶融加工温度および圧力よりも高い沸点を有する。
【0028】
成核剤の例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビス−ステアルアミド、またはこれらの2種類以上の組合せが挙げられる。
【0029】
組成物はまた、強化剤、例えばエチレンコポリマー、コア−シェルポリマー、またはこれらの組合せを、その組成物の重量を基準にして約0.01から約25、約0.1から約10、または約0.2から約5%含むことができる。
【0030】
エチレンコポリマーは、(a)エチレンから誘導される反復単位、(b)式CH2=C(R3)CO24(式中、R3は水素、または炭素原子1個から6個を有するメチルなどのアルキル基であり、R4はグリシジルである)の1種類または複数種類のオレフィンから誘導される反復単位を含み、かつ(c)式CH2=C(R1)CO22(式中、R1は水素、または炭素原子1個から8個を有するメチルなどのアルキル基であり、R2は炭素原子1個から8個を有するメチル、エチル、またはブチルなどのアルキル基である)の1種類または複数種類のオレフィン、もしくは一酸化炭素から誘導される反復単位を含んでいてもよい。モノマー(a)から誘導される反復単位は、そのコポリマーの重量を基準にして約20、40、または50%から、約80、90、または95%を構成することができる。モノマー(b)から誘導される反復単位は、そのコポリマーの重量を基準にして約0.5、2、または3%から、約17、20、または25%を構成することができる。エチレンおよびメタクリル酸グリシジルから誘導されるエチレンコポリマーの例はEGMAと呼ばれる。任意選択のモノマー(c)は、アクリル酸ブチルまたはCOであることができる。アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、およびアクリル酸sec−ブチルのうちの1種類または複数種類を使用することができる。エチレンコポリマーの例は、エチレン、アクリル酸ブチル、およびメタクリル酸グリシジルから誘導されるもの(EBAGMA)である。モノマー(c)から誘導される反復単位は、存在する場合、そのコポリマーの重量を基準にして約3、15、または20%から、約35、40、または70%を構成することができる。別法ではエチレンコポリマーは、メタクリル酸グリシジルをグラフトしたエチレンコポリマー、あるいはポリオレフィンであることができる。
【0031】
組成物中にエチレンコポリマーが存在する場合、その成核剤は、そのアルキル基が炭素原子を4個から約30個または10個から約20個有するアルキルエステルまたはアルキルアミドの形態であることができる。
【0032】
コア/シェルポリマーは、ビニル芳香族コモノマーを含まず、1.5以下の屈折率を有することができる。そのコアは、ポリアクリル酸アルキルを含み、架橋されていてもよい1種類または複数種類のエラストマーを含む。そのシェルは、ポリメタクリル酸メチルを含み、エポキシ、カルボン酸、またはアミンを含めた官能基を含有していてもよい非エラストマー系ポリマーを含む。
【0033】
コア−シェルポリマーは、米国特許第4,180,529号明細書に記載の種類の多段逐次重合技術によって調製される多層からなることができる。それぞれの後続の段階は、それ以前に重合される段階の存在下で重合される。したがって各層は、その直前の段階の上に層として重合される。
【0034】
PHA組成物は、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、染料または顔料、充填剤、難燃剤、潤滑剤、フレークなどの補強剤、加工助剤、粘着防止剤、離型剤、および/またはこれらの2種類以上の組合せを含めて、1種類または複数種類の添加剤を含むことができる。
【0035】
これらの添加剤は、その組成物中に重量単位で0.001から25%、または0.01から2%存在することができる。例えば組成物は、可塑剤を約0.5から約5%、酸化防止剤および安定剤を約0.1から約2%、他の固体添加剤を約3から約10%、ナノ複合材を約0.5から約20%、かつ/または難燃剤を約1から約20%含有することができる。好適な他の固体添加剤の例には、酸化チタンなどの顔料、炭素または黒鉛などのマイクロ波サセプター、鉄粉または遷移金属酸化物などの誘導加熱金属、および高周波ヒートシール剤が挙げられる。
【0036】
熱成形法は、PHA組成物またはPHAを成核剤と接触させて化合物を生成させるステップを含む。この接触のステップは、成核剤が実質上分散されるか、またはむしろ均質に分散されるまでPHAと成核剤を混合することを含むことができる。任意の衝撃改質剤(例えば、エチレン−アクリル酸エステルコポリマー、イオノマー、グラフト化剤)および添加剤類もまた、組成物中に分散させることができる。当業界で知られている任意の混合方法を使用することができる。例えば、単軸または二軸スクリュー押出機、ブレンダー、ブス・ニーダー(Buss Kneader)、二重らせんアトランティック・ミキサー(Atlantic mixer)、バンバリーミキサー、ロールミキサーなどの溶融混合機を用いて成分材料が実質上分散されるか、または均質になるように混合し、樹脂組成物を得ることができる。
【0037】
この接触のステップは、周囲圧力で、あるいは0から約60MPaまたは0から約34MPaの範囲で、そのPHAの軟化点を超え、かつそのPHAの解重合温度未満の範囲内にある約100℃から約400℃、約170℃から約270℃、または約180℃から約230℃の溶融混合温度を含むことができる。この条件は、成核剤を小さな粒子中に分散させ、かつそれらを溶融PHA中に均一に分布させるのに十分な高いせん断履歴を生み出し、またPHA分子量の過度な減損およびその脆化を避けるのに十分な低いせん断履歴を生み出す。せん断履歴は、或る期間にわたるせん断の総量のコンセプトである。溶融物は、それが高いせん断を短時間受ける場合よりも、高いせん断を長時間受ける場合に、より多くのせん断履歴を受ける。同様に溶融物は、それが非常に低いせん断を短時間受ける場合よりも、およびさらに非常に低いせん断を長時間受ける場合よりも、中位のせん断を或る時間受ける場合に、より多くのせん断履歴を受ける。プラスチック加工設備のせん断履歴は、その設備内での、例えばペレットを生産する単軸スクリュー押出機中での異なるせん断速度および持続時間によって複雑化する可能性がある。この場合、スクリューは、そのスクリューの溝内では低いせん断速度と長い持続時間を有するが、スクリューのねじ山の頂点と押出機の壁の間では高いせん断速度と短い持続時間を有する。一般に不十分な高さのせん断履歴は、共回転でも逆転でもよい加熱型バッチ双ブレードミキサー中に周囲温度の成分を導入してから約2分未満の混合を使用することによって、またはニ−ディングブロックまたはリバースエレメントのいずれかであるスクリューエレメントの全長の10%未満を包含し、残部が前方への搬送部分であるスクリューを用いた、長さ対直径比10:1の三葉共回転二軸スクリュー押出機を使用することによって得られる。例えば十分に高いせん断履歴は、バッチユニットに関して少なくとも3分間を使用し、かつ連続ユニットに関して少なくとも20:1のL:D(長さ対直径)比を使用することにより生じさせることができ、過度に高いせん断履歴は、バッチユニット中で15分を超えるか、または連続ユニットにおける50:1のL:D比により生ずる。単軸スクリュー押出機、逆転二軸スクリュー押出機、またはロールミルなどの他の加工設備を溶融混合用に使用することもできる。また、有用な加工装置には、スクリューの端部に混練トーピードを備えた双葉二軸スクリュー押出機および単軸スクリュー押出機を挙げることができる。カルボン酸または誘導体は、結晶化を向上させる十分に多いか、または0.1%を超える量で存在し、それによって55℃以上での耐熱性を向上させることができる。理論に拘束されるものではないが、そのカルボン酸または誘導体が非常に高いレベルで存在する場合、それは後続のペレット、シート、または熱成形品への加工にとって溶融ブレンド粘度および溶融強度を低くし過ぎるか、または不安定にする恐れがある。例えばPLAにおけるステアリン酸濃縮物のペレットは、成核剤添加物のレベルが約20%未満の場合、水中ペレット化により形成することができる。20%を超える場合、粘度がペレット化にとって不安定になると思われる。さらにそのPHAと合っていない屈折率を有する成核剤粒子のサイズは、低ヘーズに関しては約500nm未満、約300nm未満、または約80nm未満でさえある場合もある。成核剤を分散させて小さなサイズにする難しさは、使用される成核剤の量およびPHA中のその溶解度と共に増大する。一般にそのPHA中の約2%を超える成核剤は、曇りのあるブレンドを生じさせる恐れがある。例えば3%を超える、または約5%を超える場合、使用される混合の型とは無関係にきわめて高いヘーズレベルを生ずる恐れがある。
【0038】
別法では、その成分材料の一部を溶融混合機中で混合し、後で残りの成分材料を加え、実質上分散するか、または均質になるまでさらに溶融混合することもできる。得られる組成物は、PHA中に分散させたカルボン酸または誘導体の濃縮物またはマスターバッチであり、その組成物の重量を基準にしてカルボン酸または誘導体を2から80%、5から50%、または10から25%含むことができる。
【0039】
この組成物は、その完成品への加工が高結晶化度と共に低ヘーズを達成するようなやり方で行われるという条件で、PHAに適した任意の溶融加工技術を用いて物品に成形することができる。当業界で低いヘーズおよび結晶化度を達成することが知られている一般に使用される溶融成形方法には、冷金型中への射出成型とそれに続くブロー成型、延伸を伴う異形押出成形、または押出ブロー成形と、その後の熱処理を挙げることができる。これら組成物はまた、押出成形またはカレンダー加工によって溶融成形してフィルムにし、ほぼ非晶質のキャストフィルムを調製することもできる。ほぼ非晶質のこれらのキャストフィルムは、さらに熱成形して物品および構造物にし、その後に熱処理することができる。これら物品は、当業技術者に知られている任意の手段によって回収することができる。
【0040】
また、これら組成物を使用して、例えば射出延伸ブロー成形、二軸または単軸延伸、もしくは熱成形によって、非配向、結晶性であり、ヘーズを有するか、あるいは非配向、非晶質の半完成品であるか、あるいはインフレートフィルムのように溶融物から配向させるか、あるいはほぼ非晶質の半完成品を加熱することによって後の段階で配向させるフィルム、ロッド、形材、シート、繊維、およびフィラメントを形成することができる。
【0041】
これら組成物は、両方のスロットダイを通して押出成形することによってフィルムまたはシートにし、Tgまたはそれ以下に保った金属ロールと接触させることによって急冷して、フィルムまたはシート、あるいはインフレートフィルムまたはシートを含めた第一の物品を製造することができる。この第一の物品は、表面積対厚さの比が約100,000:1インチ(254,000:1cm)を超えるか、または>約1000:1インチ(2540:1cm)であることができる。また、この物品の結晶化度は、約2%、5%、または15%さえ超えることができる(例えば、PLA DSC法は、「30%結晶化度」の量を、非晶質状態から10℃/分の速度で加熱したときのPLAの融解吸熱マイナス発熱の約30J/gとして表す)。
【0042】
この第一の物品を、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、または少なくとも約120℃、場合によっては約140℃までの温度で金型中で熱成形して、第二の物品を製造することができる。この第二の物品を、熱金型中に約40秒間未満、約20秒間未満、約10秒間未満、または約5秒間未満保持して熱成形品を製造する。
【0043】
金型形状は、トレイ、カップ、キャップ、鉢、または蓋などの当業技術者に知られている任意の金型であることができる。この金型材料はアルミニウムまたはセラミックであることができ、およびその金型の上部を覆って、加熱したPHAのシートに金型の内側から真空を適用することによって延伸(配向)用に使用することもできる。
【0044】
この熱成形品を冷たい別の金型に移し、後続の運搬処理、トリミング、および段積作業の間の耐変形性を与えるためにその物品を硬化させることができる。厚い形材の場合、形材内部の冷却速度は、その物品の外部に実用上最低の温度を使用することによって利益を得ることができる。その温度は、そのPHAのガラス転移温度未満であることが望ましい。例えば、ガラス転移温度約55℃およびシート厚約700μを有するPHAは、20℃の片面急冷温度の使用により利益を得ることができる。一方、500μシートは、30℃の片面急冷条件を用いて非晶質にすることができる。約55℃を超える急冷温度は、その望ましい硬さがTg(この場合は55℃)未満にその物品を冷却する結果であるため、それほど役立たない。結晶化する速度が本質的に遅いPHAを使用する場合、またはより少量の成核剤を使用する場合、その正確な最低温度は下がる可能性がある。
【0045】
ほぼ非晶質の半製品を低ヘーズの結晶化したシートに加工する際、その非晶質物品を、最初に伝導、対流、または放射加熱によって加熱することができる。放射加熱の場合、その物品を200℃から約700℃の範囲の黒体放射温度にさらす。230℃黒体放射器中の時間は、両側から加熱される厚さ600μの形材の場合、約10秒から約70秒間、または20秒から60秒間、または30秒から50秒の範囲であることができる。次のステップで結晶化度および透明度を達成するための半製品にとって最適温度は、その使用される特定のPHAのガラス転移点と融点のおよそ中間である。低い温度は、シートが金型を満たさない原因になる。より高い温度は、シートが金型の形になる現象が起こり得る前に崩壊する原因になる。
【0046】
加熱した非晶質半製品を成形して完成された低ヘーズの結晶性物品にする際に、その半製品を、十分な高速かつ高延伸比で延伸して結晶化を引き起こし、かつそれらの微結晶が高ヘーズを引き起こさないようするのに十分な小さなサイズにすることができる。微結晶サイズを測定するにはX線が使用される。低ヘーズに対してはPLAまたはPHAの微結晶サイズは、約1000nm未満、または好ましくは約100nm未満、またはより好ましくは約50nm未満であることが望ましい。延伸速度は、毎秒約10%から約1000%、または毎秒20%と毎秒500%の間であることができる。延伸比は、約20%(延伸後の長さは予備延伸寸法の150%である)から約800%、または50%から700%、または100%から300%であることができる。理論に拘束されることを望むものではないが、延伸速度が遅い場合には、ヘーズを生じさせるか、または成形の不完全な物品を生じさせ、また延伸速度が速すぎる場合には、不十分な結晶化度を生じさせて、ガラス転移温度を超える温度で寸法安定性の劣る完成品を生じさせる恐れがある。延伸比が低い場合には、その熱成形工程の短時間内に十分な結晶化度を誘発させないか、または完成品中のヘーズの原因となり、また、延伸比が高すぎる場合には、その物品の過度な薄化(thinning)または引き裂きを引き起こす恐れがある。不均等または一次元延伸については、あるいは真空、圧力支援、または物理的な「プラグ支援」のない場合のように延伸操作の間に冷却されない物品については、正確な延伸速度がより高くてもよい。さもないと延伸操作の間に冷却される物品のそれら部分は、ヘーズまたは不十分な寸法安定性に見舞われる恐れがある。
【0047】
フィルムは、PHA組成物の単層(単層シート)であることも、PHA組成物と、Surlyn(登録商標)イオノマー樹脂ヒートシール層などの異なる材料を含む少なくとも1層の追加の層とを備えたシートであることもできる。
【0048】
包装用途の場合、多層フィルムは、最も外側の構造または酷使層、中間または内部バリヤー層、およびその包装材の意図する内容物と接触し、それに適合し、かつ任意の必要なシールを形成することができる最内層を含めた3層以上の層を伴うことができる。これらの層の互いの接合を助ける接着剤層として働く他の層もまた、存在することができる。それぞれの層の厚さは、約10から約200μmの範囲であることができる。
【0049】
最も外側の構造または酷使層は、PHA組成物から調製することができる。追加の構造層は、非晶質ポリエステルまたはプロピレン/エチレンコポリマーを含むことができるが、非晶質ポリアミド(ナイロン)を含むこともできる。この構造層は、例えばグラビア法を用いた裏面印刷によって印刷することができる。
【0050】
追加の層は、押出積層によって貼り合わせることができる。中間層は、水、酸素、二酸化炭素、紫外線などの電磁線、およびその内部の製品に潜在的に影響を与える可能性のあるメタノールなどの物質がその層を通り抜ける透過速度を低下させるための1層または複数のバリヤー層を含むことができる。バリヤー層は、例えば金属蒸着ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタラート、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、印刷層まで読み通すなどのそのPHAの光学値を妨げないように配置されるアルミ箔、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム、芳香族ナイロン、前述およびそれらの関連するコポリマーのブレンドまたは複合体を含むことができる。
【0051】
包装材の最内層は、シーラントであることができ、かつその最外層の融点をかなり下回る温度でそれ自体、あるいは他のフィルムまたは基材と接合する(シールする)ことができるポリマー層または塗膜であることができる。シーラントはよく知られており、E.I.du Pont de Nemours and Company(DuPont),(Wilmington,Delaware)から市販されている。基材には、箔、紙、または不織繊維材料を挙げることができる。
【0052】
多層フィルムは、例えばソルベントまたはサーマルラミネーション、あるいはプラズマ蒸着などの当業技術者によく知られている任意の方法によって生産することができる。他の好適な変換技術は、例えば押出コーティングである。
【0053】
これらフィルムを用いて包装用材料、例えば容器、パウチおよび蓋、風船、ラベル、不正開封防止バンド、またはフィラメント、テープ、およびストラップなどの工業製品を調製することができる。
【0054】
本開示は、例としてフィルムを使用し、約20ミルのようなフィルムよりも厚いシートにも適用可能である。
【0055】
この物品は、造形品または成形品などの他の形態であることもできる。容器および包装用材料は、シートから真空または圧空成形によって調製されるトレイ、カップ、キャップ、鉢、または蓋を含めた様々な形状のものであることができる。他の形物には、未延伸シートを深絞り(すなわち熱成形)することによって、あるいはパリソンを押出ブロー成形または二軸延伸ブロー成形(射出延伸ブロー成形)することによって、あるいは射出成形、圧縮成形、または他の成形方法によって調製されるものと、異形押出成形品と、ボール箱と、スクィーズチューブ、パウチ、またはボトルと、容器の構成部品と、ワイン、医療用流体、粉ミルクなどの液体を分配する硬質容器内のバッグまたはパウチと、クラムシェルと、ブリスター包装とが挙げられる。
【0056】
その熱成形された物品は、当業技術者に知られている任意の方法によって回収することができる。
【0057】
フィルムまたはシートを熱成形してトレイ、カップ、缶、バケツ、桶、箱、または鉢などのくぼんだ面を生み出すことができる。熱成形品を、追加の要素、例えば蓋として働く熱成形品(蓋用フィルム)に封着される一般には平坦なフィルムと組み合わせることもできる。
【0058】
包装することができる製品には、飲料(例えば、炭酸飲料、オレンジジュース、アップルジュース、グレープジュース、他の果汁および牛乳)、固形食品(例えば、食肉、チーズ、魚肉、鶏肉、木の実、コーヒー、アップルソースまたは他のソース、シチュー、乾燥果実、食用ペースト、スープおよびスープ濃縮物、ならびに他の食用品)、香辛料、調味料、(例えば、ケチャップ、マスタード、およびマヨネーズ)、ペットフード、化粧品、パーソナルケア製品(例えば、練り歯磨き、髭剃り用フォーム、石鹸、シャンプー、ローションなど)、医薬品、香料、電子部品、工業用化学薬品または家庭用化学薬品(例えば、洗濯洗剤、織物軟化剤)、農薬、医療器具および設備、医療用液剤、燃料、および生物学的物質を含めた食料品および非食料品が挙げられる。
【0059】
また、これらフィルムを細いテープに裂き、さらに延伸して分解性縫合糸として使用されるスリットフィルムを得ることもできる。
【0060】
下記の実施例は例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0061】
これら実施例は、本発明による熱成形品の製造を例示する。表中でデータ入力のないものは、測定していないことを意味する。
【実施例】
【0062】
実施例1
材料
PLA2002Dペレットは、NatureWorks LLC(Minnetonka,MN USA)から購入され、溶融粘度が約1500Pa・s(190℃および100s-1)であり、Tgが55℃であり、150℃で融点最大吸熱を有し、冷却結晶化発熱がなく、かつ250℃における完全融解まで前もって加熱し、20℃まで冷却したペレットの第二の10℃/分加熱で生じた昇温結晶化度が約0.5J/gであった。
【0063】
PLA4032Dペレットもまた、NatureWorks LLCから購入され、Tgが58℃、166℃で融点最大吸熱を有し、かつそれをPLA2002Dよりも結晶化速度の速いPLAにする約6J/gの結晶化度であった。
【0064】
エチレンビスステアルアミド(EBS)は、Aldrichから得た。
【0065】
ステアリン酸は、Aldrich(Batch 11821LC)から得た(純度95%)。
【0066】
ベヘン酸アミドは、Croda Inc.,(Edison,New Jersey)から入手できるCrodamide(登録商標)BRである。
【0067】
Irgafos(登録商標)168は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY USA)から得た。
【0068】
EBAGMAは、オートクレーブで作製したエチレン/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジルターポリマー(モノマー比はエチレン66.75重量%、アクリル酸n−ブチル28重量%、メタクリル酸グリシジル5.25重量%、メルトインデックス12dg/分、190℃、荷重2.16kg、融解範囲50℃から80℃)である。
【0069】
分析器具および方法
連続溶融ブレンドおよび非晶質シート押出成形は、コートハンガーダイおよび水冷式急冷ドラムを備えたWerner&Pfleiderer(W&Pプロセス)28mm三葉二軸スクリュー押出機で行った。この押出機は、長さ830mmのスクリューを使用する。ペレットおよび添加剤は、スクリューの先端から約700mmの位置で、Foremost容量計量ペレット供給装置を用いて約10kg/時〜約20kg/時で固体混合物として挿入した。スクリューは、その長さの大部分を前方への搬送部分に使用し、その長さの約20%をニーディングブロックに使用した。このユニットを、190℃から210℃の溶融温度に対して125rpmで動作させた。溶融物はコートハンガーダイ(幅20cmおよびダイギャップ0.76mm)を通過する。その溶融物のカーテンが、実施例に応じて10℃〜23℃に冷却した急冷ドラムに向かって垂直に約5cm落下する。ドラム回転速度は、融解延伸をできるだけ少なくするように設定した。シート厚は、ポリマー供給材料の押出量を変えることによって約250ミクロンと約750ミクロンの間で制御した。
【0070】
DSCは、TA Instruments(New Castle,Delaware)Model Q1000であり、約9mgの試料を周囲温度から250℃(150℃〜180℃で融解するPLAの場合)まで10℃/分の加熱により運用した。第一加熱は、そのポリマーが結晶化するときに結晶化吸熱を生じさせることができ、かつより高温ではポリマー結晶が融解するときの発熱を生ずる。吸熱の「J/g」マイナス発熱の「J/g」は、「J/g」で表わした元の試料の結晶化度の量のおおよその尺度である。100%結晶構造のPLAは、文献(R.E.Drumright等の論文、Advanced Materials 2000(12),#23,1841およびZ.Kulinski等の論文、Polymer 46(2005)10290〜10300)に基づいて100j/gとみなした。
【0071】
収縮は、拘束されていない試料を、下記に開示する温度に、例えば30秒間さらした場合の縱方向(延伸方向)の長さの変化の百分比として測定した。
【0072】
試料の非晶および結晶領域の配向および非配向含有率は、X線によって測定した。
【0073】
微結晶のサイズは、上記X線装置および方法を用いて求めた。実際のサイズの計算は、Scherrerの式を使用する。
【0074】
PLAのほぼ非晶質の試料は、上記W&P工程によって表1に示す厚さのものを調製した。次いで試料を熱処理した。約1cm×約1cmの試料を、試料の延伸を避けるために、110℃のプレスのプラテンに20psi未満の圧力で2から40秒間(時間の不確実さは1秒である)、その両面に接触させた。試料を直ちに(約0.5秒未満ですばやく)取り出し、20℃の表面での伝導冷却によって周囲温度まで冷却した。発達した結晶化度の量をDSC(例えば、融解吸熱から以前の昇温結晶化発熱を引いたもの)により求めた。別の方法ではDSCユニットにより試料を30℃/分で110℃まで加熱し、0分または60秒のどちらかの間、それを維持した。次いで試料を30℃/分で周囲温度まで冷却し、その試料を同じ速度で再加熱した。結晶化度を第二加熱サイクルによって(融解吸熱引く結晶化発熱により)求めた。
【0075】
表1は、成核剤を含む場合でさえ非配向PLA樹脂の結晶化は、25J/g以上の結晶化度を発達させるのに40秒を超える時間を要したことを示す。ベヘン酸アミドおよびEBAGMAの両方を含有するPLAに関しては相乗効果が見られた。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例2
キャストシートを、(1)PLA2002D、(2)70kgのPLA2002D+1.4kgのマスターバッチ(重量比50/50のベヘン酸アミド/EBAGMA、PLA2002D中のベヘン酸アミドおよびEBAGMAのそれぞれ2%の最終濃度)、および(3)70kgのPLA2002D+2.8kgのマスターバッチの固体ペレットブレンド(重量を基準にして50/50のベヘン酸アミド/EBAGMA、PLA2002D中のベヘン酸アミドおよびEBAGMAのそれぞれ4%の最終濃度)の固体ペレットブレンドから作製した。工程条件は、これらペレットを、4.5インチ単軸スクリュー押出機中で190℃から205℃の設定値を用いて速度約650kg/時で融解することを伴う。この溶融物を、19℃、25℃、および31℃(上ロールから下ロール)に制御した三本ロール仕上機のニップ中へ水平に送り込む幅91cmコートハンガーダイに、スクリーンパッチおよびギヤーポンプを介して供給した。表2に示すように厚さ510μのシートを作製した。
【0078】
シートを巻出ロールから供給し、熱成形(実際の成形は約1秒を要した)して約6インチ×6インチ×1インチのトレイを作製した。それらトレイの壁厚または底厚は約430μであった。熱成形設備および方法は下記の通りである。
【0079】
輻射加熱器:熱は上方からのみ与えた。加熱の強さは温度ではなく電位差計で制御した。実際のシート温度は、そのオーブン中の特定の滞留時間および直接接触型温度センサーによる手作業のシート温度の確認によって確定した。
【0080】
熱金型:100℃または他の温度。金型は開放面を下にし、金型中に6ポジションがあった。オープンフレームが成形されるシートの各部に触れることなく加熱したシートを金型に向かって持ち上げた。
【0081】
冷金型:周囲温度か、またはより高い温度に上昇させることができる。熱金型内での時間が冷金型内での時間と常に同じになるようにタイミングをリンクさせた。
【0082】
65℃および65℃水槽:この水に直接30〜45秒間触れさせた後にトレイの壁部および底部の収縮を試験する。データを表2に示す。
【0083】
この表は驚くべきことに、成形したシート中ではその結晶化度が1秒以内に起こるのに対し、未成形シートからでは結晶化の時間がずっと長いことを示している。さらにこの表は、たとえ結晶化度の量がその最大限の受容能力でないとしても低収縮が可能であることを示している(実施例1.5〜2)。成形後のトレイ中での追加の結晶化度の進展は、トレイに付随する未成形シート中のそれよりも高い。
【0084】
【表2】

【0085】
別の実験では、単一急冷ドラムに送り込む30mm W&P二軸スクリュー押出機を用いて、PLA2002DおよびPLA4032をベヘン酸アミド/EBAGMA 50/50のマスターバッチと溶融ブレンドした。溶融物は190℃で約30ポンド/時の速度で混合され、幅8インチのコートハンガーダイを通る。急冷ドラムは冷却水で20℃に制御した。このキャストシートは厚さ16±1ミルであった。このシートをLabformerバッチ熱成形機中で熱成形した。これらを、まず230℃に設定した黒体放射加熱器中で30秒の滞留時間を用いて両水平面から加熱した。この滞留時間は、シートがそれら自体の重量で下方にたわむことによって示されるようにシートを軟化した。金型は、9cm×13cm×2.2cmのトレイ用に設計した周囲温度のアルミニウムである。成形の時間は約1秒間であり、金型中の時間は0.5秒であった。この成形条件は、約11ミルの底部または壁部の厚さを有するトレイを生じさせた。トレイの試験は、核形成を伴う場合でさえ冷金型の使用が0%の収縮を達成しなかったことを示す。結果(表3)はまた、結晶化度の量の過度に高いシート(試料22)の使用が、成形不十分な物品を引き起こす(すなわち、シートが十分に金型の幾何形状にならず、その形状を再現しなかった)ことを示す。理論に拘束されることを望むものではないが、これらのシートは冷または室温金型を用いて成形された。したがって非晶質延伸分子は、依然としてトレイ中に非晶質で延伸されたままである。Tgを超える温度にこのトレイを加熱した場合、これらの分子は急に緩和し、収縮を引き起こした。したがって非晶質延伸分子をなくすために熱金型が必要であった。また、変形することなく熱金型から取り出すことができるように物品を熱金型中で十分に結晶化または硬化させるための添加剤が必要であった。
【0086】
【表3】

【0087】
別の実験では、金型を100℃に加熱したことを除いて、上記と同じシートおよび熱成形装置を使用した。結果(表4)は、添加剤なしの場合、そのPLAシートが、取出しの力によって変形されずに金型から取り出されるように十分に「硬化」させるために過度に長い時間を必要としたことを示す。これらの結果はまた、加熱された金型の値を示す。これらの結果はさらに、添加剤の添加が加熱された金型の使用による0%収縮の達成を可能にしたことを示す。表4は、PLA中に添加剤を含めることが、熱金型中での物品の時間を約40秒未満まで低減させたことを示す。
【0088】
【表4】

【0089】
実施例3
この実施例は、熱成形カップを作製するのにPLA4032を使用した結果を示す。試料を、(21)用に100%PLA4032D(24)にした。PLA4032Dは、1%のベヘン酸アミドおよび1%のEBAGMAを含有する。
【0090】
キャストシートを、50rpmで動作する1.5インチ単軸スクリュー押出機を通して220℃で押出成形することによって調製した。溶融物は、30ミルのダイギャップを有する幅6インチのコートハンガーダイを通って三本ロール冷却仕上機のニップ中へ流れる。得られたシートは厚さ約23±2ミルであった。このシートを、127から132℃に設定した加熱金属プラテンと直接接触させることにより片面を最初に加熱することによって直径5.9cm、深さ5.25cmの鉢に加工した。鉢の収縮は、その壁の部分を切断し、60℃の水に320秒間、直接触れさせることによって確定させた。この壁の部分の長さの変化により百分比の収縮値を得た。壁の他の部分を、機械的止め具によって縦方向の収縮を抑えながら100℃に加熱したプラテンに両面から様々な時間触れさせた。これらの加熱試料の収縮を測定した。表5に示すように、より長時間の拘束熱処理の使用ほど60℃における収縮百分比を低下させる。
【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
別の実験では、PLAブレンドを配合し、押出成形して18±2ミルのキャストシートにした。配合は、150rpmで動作する30mm W&P二軸スクリュー押出機上で設定値190℃を用いて行った。溶融物は20ポンド/時の速度で約230℃に達した。コートハンガーダイを通してこの溶融物を押出成形して幅8インチのカーテンを得た。次いでこれを10℃で入って来て16℃でドラムを出て行く冷却水で動作する急冷ドラムに送り込んだ。キャストシートのDSC分析は、このベヘン酸アミドを使用したキャストシートの固有の結晶化度が、ベヘン酸アミドまたはマスターバッチの量に応じて6から18J/gであることを示した。非変性PLAまたはステアリン酸変性PLAの固有の結晶化度は0J/gであり、これはそれらが100%非晶質シートであったことを意味する。シート試料を250℃に加熱し、冷却し、10℃/分で再加熱することを伴うDSC分析(表6)は、それら変性シートが、試料を第二昇温の間に結晶化の20℃ウィンドウを越えて加熱していた120秒の時間の間に結晶化度を発達させたことを示した。
【0094】
【表7】

【0095】
上記のほぼ非晶質キャストシートを、上記Labformer上で熱成形した。黒体放射加熱器を190℃に設定した。オーブン中での時間によるシート温度(直接接触温度センサー)の較正は、20秒間で67℃に達し、30秒間で75℃に達し、40秒間で87℃に達し、50秒間で100℃に達するとして確定した。トレイ金型は110℃に加熱した。表7は、先行する結晶化度を有しないシートが金型にくっつき、変形なしに取り出すにはあまりにも軟らかすぎたことを示す。これらの結果はまた、18J/g以上の結晶化度を有するシートが、金型の形にならなかったか、または金型に入らなかったことを示す。すべての成形品は、60℃蒸留水に30秒間さらした場合、0%収縮を示した。成形後のトレイの結晶化度が増加していたことが示される。
【0096】
【表8】

【0097】
二軸スクリュー押出機上で配合して冷却した急冷ドラム上へ押出すことによりキャストシートを作製した。これらキャストシートの結晶化度を測定した。表8は、EBAGMAを含むベヘン酸アミドが、一定のベヘン酸アミド濃度範囲にわたって望ましい量の結晶化度(高過ぎない)を生じさせたことを示す。BAはベヘン酸アミドを表す。
【0098】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を押出成形して第一の物品を製造するステップ;温度≧約90℃を有する加熱金型中で前記第一の物品を熱成形して第二の物品を製造するステップ;および、前記第二の物品を40秒未満の間、前記加熱金型中に保持することによって前記第二の物品を熱処理して、熱成形品を製造するステップを含む方法であって、前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)組成物がポリ(ヒドロキシアルカン酸)と、前記組成物の重量を基準にして0から4%の成核剤とを含むか、または実質上それらからなり、かつ前記第一の物品がフィルムまたはシートであり、部分的に結晶化されている、方法。
【請求項2】
前記第一の物品が、温度≧約95℃を有する前記加熱金型中に保持され;
前記熱成形された物品が、少なくとも10%の結晶化度を有し;
前記組成物が、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)と、前記組成物の重量を基準にして0から4%の成核剤とを含み、かつ衝撃改質剤を含んでいてもよく;
前記成核剤は、1種類または複数種類のカルボン酸を含むか、あるいは前記組成物がエチレンコポリマーを含む場合には、前記カルボン酸のアルキルエステル、前記カルボン酸のアルキルアミド、またはこれらの組合せを含み;かつ前記カルボン酸が、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、ポリカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの2種類以上の組合せを含み;かつ
前記衝撃改質剤は、エチレンコポリマー、コア−シェルポリマー、またはこれらの組合せを含み、前記エチレンコポリマーが、(a)エチレンから誘導される、(b)式CH2=C(R3)CO24(式中、R3は水素、または炭素原子1個から6個を有するアルキル基であり、かつR4はグリシジルである)の1種類または複数種類のオレフィンから誘導される反復単位を含み、かつ(c)式CH2=C(R1)CO22(式中、R1は水素、または炭素原子1個から8個を有するアルキル基であり、R2は炭素原子1個から8個を有するメチル、エチル、またはブチルなどのアルキル基である)の1種類または複数種類のオレフィン、もしくは一酸化炭素から誘導される反復単位を含んでいてもよい、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の物品が、温度90℃から140℃を有する前記加熱金型中に保持され、かつ前記成核剤が、前記組成物中に0.1から4%存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が、炭素原子5個以下を有するヒドロキシアルカン酸から誘導される反復単位を含み、かつ前記成核剤が、前記組成物中に0.5から4%存在し;かつ
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が、グリコール酸から誘導される、乳酸から誘導される、3−ヒドロキシプロピオン酸から誘導される、2−ヒドロキシ酪酸から誘導される、3−ヒドロキシ酪酸から誘導される、4−ヒドロキシ酪酸から誘導される、3−ヒドロキシ吉草酸から誘導される、4−ヒドロキシ吉草酸から誘導される、5−ヒドロキシ吉草酸から誘導される、またはこれらの2種類以上の組合せから誘導される反復単位を含み、かつ前記成核剤が、前記組成物中に約1から約4%存在する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、前記エチレンコポリマーを含む前記衝撃改質剤を含み;
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシ−酪酸)、ポリ(ヒドロキシ−酪酸エステル−吉草酸エステル)コポリマー、グリコール酸と乳酸、ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸のコポリマー、またはこれらの2種類以上の組合せを含み;
前記成核剤が、脂肪族単官能性カルボン酸を含み;かつ
前記成核剤が、前記組成物中に0.5から3%存在し、かつ脂肪族単官能性カルボン酸を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が前記ポリ(乳酸)であり;前記エチレンコポリマーが、エチレンから誘導される、(メタ)アクリル酸アルキルから誘導される反復単位を含み;かつ(メタ)アクリル酸グリシジルから誘導される反復単位を含んでいてもよく、前記成核剤が、ステアリン酸、ベヘン酸、ベヘン酸アミド、エルカ酸、エチレンビス−ステアルアミド、またはこれらの2種類以上の組合せを含み;かつ前記成核剤が前記組成物中に1から2%存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記衝撃改質剤が、エチレン、アクリル酸ブチル、およびメタクリル酸グリシジルのコポリマーであり、かつ前記成核剤が、ステアリン酸またはベヘン酸アミドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、25から50%のステアリン酸、ベヘン酸アミド、またはその両方と、50から75%のポリ(ヒドロキシアルカン酸)とを含む濃縮マスターバッチである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第二の物品が、前記加熱金型中に30秒未満、20秒未満、または15秒未満の間保持される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−519760(P2011−519760A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508691(P2011−508691)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/043218
【国際公開番号】WO2009/137730
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】