説明

ポンプディスペンサ、並びに、吐出弁機構、吸入弁機構、及びバルブ

【課題】
従来のポンプディスペンサに比べ、よりコンパクトで、かつ、部品点数もさらに格段に削減されたポンプディスペンサ、並びに、このようなポンプディスペンサに適用される吐出弁機構、吸入弁機構、及びバルブを提供する。
【解決手段】
吐出ノズル21に連通する吐出流路が設けられ、ポンプ室7の容積を縮小、拡大させるアクチュエータ2を備え、バルブ3の一方に形成された第一吐出弁体31、第二吐出弁体32が、アクチュエータ2がポンプ本体5に対して近接、離間する際に、吐出流路内を往復動して吐出流路を開閉する吐出弁機構と、バルブ3の他方の吸入弁体33が、ポンプ室7内が負圧になると弾性部34の弾性変形により吸入口572を開き、負圧が解消されると弾性部34が弾性変形して吸入口572を閉じる吸入弁機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー,リンス,ボディーソープなどの液状の内容物を収容する容器の開口部に取り付けられ、ポンピング操作により内容物を吐出するポンプディスペンサ、並びに、このようなポンプディスペンサに適用される吐出弁機構、吸入弁機構、及びバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シャンプー,リンス,ボディーソープなどの液状の内容物を収容する容器の多くには、ポンピング操作により内容物を吐出可能としたポンプディスペンサが容器の開口部に取り付けられており、使用時に一定量ずつ内容物を取り出すことができるようにしてある。
【0003】
例えば、特許文献1には、この種のポンプディスペンサとして、下端部に弁体1023が形成された弁軸1020と、内部に設けられたポンプ室102の底部に、弁軸1020の弁体1023と対になって吸入弁107を構成する弁座1072が形成された、容器開口部から容器内に挿入されるシリンダ形状のポンプ本体103と、上端側に弁座1092と弁体1093とからなる吐出弁109が設けられているとともに、下端側にはピストン104が一体成形された、ポンプ本体103内に弁軸1020とともに挿入される中空円筒状のステム105と、ポンプ室102内でステム105を上方に付勢するバネ部材110と、ステム105の上下動をガイドするガイドリング1014と、ステム105内の流路108と連通するノズル部1062を設けたイジェクタヘッド106とを備え、コンテナキャップ1013により容器開口部に取り付けられるポンプディスペンサ101が開示されている(図13参照)。
【0004】
このようなポンプディスペンサ101によれば、イジェクタヘッド106を下方に押してステム105をポンプ本体103内に押し込み、ステム105に形成されたピストン104によりポンプ室102の容積を縮小させ、次いで、バネ部材110の付勢力によってピストン104を上昇させると、ポンプ室102内の容積が拡大し、これによりポンプ室102内が負圧になって吸入弁107の弁口1071が開き、ディップチューブ1017を介して一定量の内容物がポンプ室内に吸入される。そして、再びイジェクタヘッド106を押し下げると、シール弁部1081が開口して、ポンプ室102内に吸入された内容物が、ピストン104によって圧縮されてシール弁部1081の開口部を通って吐出弁109の弁口1091を押し開き、ノズル部1062を通じて吐出される。
【0005】
【特許文献1】特開平8−337263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような特許文献1に開示されたポンプディスペンサは、一本の弁軸だけで、吸入弁の弁体としての機能、シール用弁体としての機能、及びバックサクション機能を果たすことができ、部品点数を少なくして、その組み立ても容易に行えるという優れた利点を有している。
【0007】
しかしながら、特許文献1のポンプディスペンサに代表される、従来の多くのポンプディスペンサにあっては、シリンダ形状のポンプ本体内に挿入された中空円筒状のステムを上下動させることにより、内容物が吐出されるように構成されている。このため、従来のポンプディスペンサの基本的な構造をそのまま踏襲しながら、ポンプディスペンサを短くして、よりコンパクトな構造にしようとすると、ポンプ室の容積が減少し、一回のポンピング操作で内容物を吐出することができる量が少なくなってしまう。
したがって、従来のポンプディスペンサの構造では、内容物の吐出量を確保しつつ、縦方向の長さを短くするには限界があり、コンパクトな構造とするのが困難であった。
【0008】
そこで、本発明者は、ポンプディスペンサの構造をよりコンパクトなものとするとともに、さらなる部品点数の削減を可能とするために、ポンプディスペンサの構造を根本から見直して鋭意検討を重ねた結果、ポンプディスペンサの新規な構造を創出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、従来のポンプディスペンサに比べ、よりコンパクトで、かつ、部品点数もさらに格段に削減されたポンプディスペンサ、並びに、このようなポンプディスペンサを実現するための吐出弁機構、吸入弁機構、及びバルブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明に係るポンプディスペンサは、容器の開口部に取り付けられて、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサであって、前記内容物をポンプ室に吸入する吸入口が設けられたポンプ本体と、吐出ノズル、及び内周大径部と内周小径部とが形成された内周面を有し、前記内周大径部側が前記吐出ノズルに連通する吐出流路が設けられており、かつ、前記ポンプ本体とともに前記ポンプ室を形成し、前記ポンプ本体に対して近接、離間することによって、前記ポンプ室の容積を縮小、拡大させるアクチュエータと、第一吐出弁体、及び第二吐出弁体が、一方の端部側に軸方向に沿って並列して形成され、他方の端部側には、弾性部を介して吸入弁体が形成されているバルブと、前記アクチュエータを、前記ボディから離間させる方向に付勢する弾性部材とを少なくとも備えてなり、前記アクチュエータに設けられた前記吐出流路内に前記内周小径部側から挿入された、前記バルブの前記第一吐出弁体、及び前記第二吐出弁体が、前記アクチュエータが前記ポンプ本体に対して近接、離間する際に前記吐出流路内を相対的に往復動して、前記吐出流路を開閉する吐出弁機構と、前記容器内の圧力に対して前記ポンプ室内が負圧になると、前記バルブの前記吸入弁体が、前記弾性部の弾性変形を伴って、前記ポンプ本体に設けられた前記吸入口を開き、前記ポンプ室内の負圧状態が解消されると、前記弾性部が弾性変形して、前記吸入弁体により前記吸入口が閉じられる吸入弁機構とを有する構成としてある。
【0011】
このような構成とした本発明に係るポンプディスペンサによれば、ポンプ本体とともにポンプ室を形成するアクチュエータを、ポンプ本体に対して近接、離間させるポンピング操作によって内容物を吐出することができ、ポンプ室の容積と、アクチュエータの押し下げ量さえ確保されれば、アクチュエータや、ポンプ本体の形状的な制約が少なく、形状設計の自由度が大幅に高められるとともに、吐出弁機構と、吸入弁機構も、共通の一つのバルブを用いて構成することができる。
このため、内容物の吐出量を減ずることなく、ポンプディスペンサの構造をよりコンパクトなものとすることが可能となるとともに、部品点数も従来品に比べて格段に削減することができ、最も少ない場合で、ポンプ本体、アクチュエータ、バルブ、及び弾性部材の四つの部材のみから構成することが可能である。
【0012】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、前記アクチュエータが前記弾性部材に付勢されて定常位置にあるときに、前記バルブの前記第一吐出弁体が、前記吐出流路をほぼ完全に閉塞する構成とすることができる。
このような構成とすることにより、ポンプディスペンサが取り付けられた内容物入りの容器を、定常状態で高温環境下に放置したときや、容器の胴部を誤って強く押したときに、内容物が漏れ出したり、暴出したりするのを有効に回避することができる。
【0013】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、前記バルブの前記第一吐出弁体が、前記バルブの一方の端部を拡径させて形成されているとともに、前記バルブの前記第二吐出弁体が、前記第一吐出弁体側に向かって拡径しながら、前記内容物の吐出圧により弾性変形可能に膨出して形成されている構成とすることができる。
【0014】
このような構成とすることにより、吐出完了後、アクチュエータが定常位置に復帰する際には、先に第二吐出弁体により吐出流路を閉塞させ、それまでの間は、吐出ノズルに残った内容物のサックバック(バックサクションともいう)を可能とし、第二吐出弁体が吐出流路を閉塞した後は、容器内に収容された内容物のポンプ室への吸入を可能とすることができるだけでなく、第二吐出弁体を弾性変形可能とすることにより、上記に加えて、第一吐出弁が相対的に移動して吐出流路が開かれたときに、第二吐出弁体によって内容物の吐出が妨げられてしまわないようにすることができる。
【0015】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、前記アクチュエータに、天面の外周縁から垂下する外周筒状部を設けるとともに、前記ポンプ本体には、前記外周筒状部の内周側に位置する筒状部を立設して、前記アクチュエータに設けた前記外周筒状部の先端側の内周面に係合突起を形成し、かつ、前記ポンプ本体に設けた前記筒状部の先端側の外周面に係合突起を形成することにより、前記アクチュエータを、前記弾性部材の付勢力に抗して前記ポンプ本体に係合させた構成とすることができる。
【0016】
このような構成とすることにより、通常の使用状態において下方に位置するポンプ本体側の外周筒状部を、アクチュエータ側の外周筒状部が上方から覆うことになるので、風呂場などの水周りで使用されることが多いポンプディスペンサ内への水の浸入を有効に回避することができる。
【0017】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、アクチュエータに吐出流路を設けるにあたり、アクチュエータを成形する際の型開きを考慮して、前記アクチュエータに、天面から垂下し、かつ、前記吐出ノズルに連通して吐出流路を形成する内周筒状部が、前記ポンプ室内に位置するように設けられている構成とすることができる。
【0018】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、吐出流路の内周大径部がアンダーカット形状となるため、アクチュエータに吐出流路を設けるにあたり、前記アクチュエータに設けられる吐出流路の内周大径部と、内周小径部とが形成された内周面を有する筒状のバルブガイドが、前記アクチュエータに設けられた前記内周筒状部内に圧入されている構成とすることができる。
【0019】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、前記アクチュエータに、天面から垂下する筒状のシール部を設けるとともに、前記ポンプ本体にも筒状のシール部を立設して、前記アクチュエータ側のシール部と、前記ポンプ本体側のシール部とにより、前記ポンプ室を画成した構成とすることができる。
このような構成とすることにより、ポンプ本体に対してアクチュエータを近接、離間させるポンピング操作により、ポンプ室の容積を縮小、拡大させても、ポンプ室の密封性を確保することができる。
【0020】
より具体的には、前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部と、前記ポンプ本体側のシール部との間に、前記アクチュエータ側のシール部を挿入するとともに、前記ポンプ本体側のシール部の先端側を拡径して前記アクチュエータ側のシール部に密着させ、かつ、前記アクチュエータ側のシール部の先端側を拡径して前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部に密着させた構成とすることができ、また、前記ポンプ本体に、前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部と前記シール部との間に立ち上がる内周筒状部を設けて、前記内周筒状部と前記シール部との間に、前記アクチュエータ側のシール部を挿入するとともに、前記ポンプ本体側のシール部の先端側を拡径して前記アクチュエータ側のシール部に密着させ、かつ、前記アクチュエータ側のシール部の先端側を拡径して前記内周筒状部に密着させた構成とすることもできる。
【0021】
さらに、後者の場合には、前記弾性部材が、前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部と前記内周筒状部との間に挿入されて、前記アクチュエータを付勢する構成とすることができる。
このような構成とすることにより、弾性部材を内容物と非接触とすることができ、例えば、金属製の弾性部材を用いても、その腐食の懸念がきわめて少ない。
【0022】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部、又は前記内周筒状部の基部の内径を、前記アクチュエータに設けられた前記筒状シール部の下端側の外径よりも大きくするとともに、前記筒状部、又は前記内周筒状部の内周面の直下には、前記ポンプ本体を貫通する一又は二以上の通気孔を穿設した構成とすることができる。
このような構成とすることにより、アクチュエータを押し切ったときに、通気孔から容器内に空気が流入して、容器内の負圧状態を解消することができる。
【0023】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、ポンプ本体に吸入口を設けるにあたり、ポンプ本体を成形する際の型開きを考慮して、前記ポンプ本体に、底板から垂下する側壁部に囲まれた吸入弁体挿入孔を形成するとともに、前記吸入弁体挿入孔の底部には、前記吸入口が穿設された吸入弁座が形成されている構成とすることができる。
【0024】
このとき、吸入弁体挿入孔には、バルブの吸入弁体が挿入されるが、バルブの抜けを防止するために、前記バルブの前記吸入弁体の近傍に突片が形成されているとともに、前記吸入弁体挿入孔の開口側の内周面には、前記突片と当接する抜け止めが形成されている構成とすることができる。
【0025】
また、このような抜け止めは、吸入弁体挿入孔にバルブを挿入する際に、バルブの突片と干渉し、また、アンダーカット形状となって、ポンプ本体を成形する際の型開きに支障を来すおそれがあるため、これらを考慮して、抜止めが形成されている部位の弾性変形が許容されるように、前記吸入弁体挿入孔の開口部の周囲に、環状溝が形成されている構成とすることができる。
【0026】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、部品点数の削減を図るために、前記容器に収容された内容物を吸い上げるディップチューブを、前記ポンプ本体の底板から垂下する前記側壁部を延長して、前記ポンプ本体と一体に形成した構成とすることができ、前記容器の開口部に取り付けるためのクロージャを、前記ポンプ本体の外周縁から垂下させて、前記ポンプ本体と一体に形成した構成とすることもできる。
【0027】
さらに、ガスケットなどのシール部材を用いなくても、容器との取り付け部位をシールすることができるように、前記ポンプ本体の前記容器の開口部上端縁に当接する位置に、環状のシール突起を形成するともに、前記シール突起の内周側には、前記容器の開口部内周面に密着する環状のシール突片を形成した構成とすることもできる。
【0028】
また、本発明に係るポンプディスペンサは、前記アクチュエータに設けられた前記外周筒状部の下端に、前記アクチュエータを押し下げ不能とするバージンテープが、周方向に沿って引き裂き可能に設けられている構成とすることができる。
このような構成とすれば、ポンプディスペンサが取り付けられた容器が、内容物が収容されて市場を流通する際などに、誤ってアクチュエータが押し下げられて内容物が吐出してしまうのを防止することができる。
【0029】
また、本発明に係る吐出弁機構は、容器の開口部に取り付けられ、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサに適用される吐出弁機構であって、バルブの端部側に軸方向に沿って並列して形成された第一吐出弁体、及び第二吐出弁体を、内周大径部と内周小径部とが形成された内周面を有する吐出流路内に、前記内周小径部側から挿入して、前記吐出流路内を相対的に往復動させることにより、前記吐出流路を開閉する構成としてある。
【0030】
このような構成とした本発明に係る吐出弁機構によれば、内容物を吐出させる際の吐出流路の開閉を第一吐出弁体に担わせる一方で、吐出完了後は、先に第二吐出弁体により吐出流路を閉塞させ、それまでの間は、吐出ノズルなどに残った内容物のサックバックを可能とし、第二吐出弁体が吐出流路を閉塞した後は、容器内に収容された内容物の吸入を可能とすることができる。
【0031】
また、本発明に係る吐出弁機構は、前記バルブの前記第一吐出弁体が、前記バルブの端部を拡径させて形成されているとともに、前記バルブの前記第二吐出弁体が、前記第一吐出弁体側に向かって拡径しながら、前記内容物の吐出圧により弾性変形可能に膨出して形成されている構成とすることができる。
このような構成とすることにより、第一吐出弁が相対的に移動して吐出流路が開かれたときに、第二吐出弁体によって内容物の吐出が妨げられてしまわないようにすることができる。
【0032】
また、本発明に係る吸入弁機構は、容器の開口部に取り付けられ、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサに適用される吸入弁機構であって、前記容器内の圧力に対して前記ポンプディスペンサのポンプ室内が負圧になると、バルブの端部側に弾性部を介して形成された吸入弁体が、前記弾性部の弾性変形を伴って、前記内容物を前記ポンプ室に吸入する吸入口を開き、前記ポンプ室内の負圧状態が解消されると、前記弾性部が弾性変形して、前記吸入弁体により前記吸入口が閉じられる構成としてある。
【0033】
このような構成とした本発明に係る吸入弁機構によれば、バルブの相対的な位置関係を変化させることなく、吸入口を開閉することが可能となり、特に、上記したような吐出弁機構ととともに一つのバルブで同時に機能させる場合に、吐出弁機構による吐出流路の開閉に何ら影響を与えることなく、吸入弁機構としての機能を果たすことができる。
【0034】
また、本発明に係るバルブは、上記したような吐出弁機構、及び吸入弁機構を、一つのバルブで同時に機能させることができるものであり、容器の開口部に取り付けられ、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサに適用される吐出弁機構、及び吸入弁機構を同時に構成するバルブであって、一方の端部側に、内周大径部と内周小径部とが形成された内周面を有する吐出流路内に前記内周小径部側から挿入され、前記吐出流路内を相対的に往復動することにより、前記吐出流路を開閉する吐出弁機構を構成する第一吐出弁体、及び第二吐出弁体が、軸方向に沿って並列して形成され、他方の端部側に、前記容器内の圧力に対して前記ポンプディスペンサのポンプ室内が負圧になると、弾性部の弾性変形を伴って、前記内容物を前記ポンプ室に吸入する吸入口を開き、前記ポンプ室内の負圧状態が解消されると、前記弾性部が弾性変形して、前記吸入口を閉じる吸入弁体が、前記弾性部を介して形成されている構成としてあり、さらに、前記第一吐出弁体が、前記一方の端部を拡径させて形成されているとともに、前記第二吐出弁体が、前記第一吐出弁体側に向かって拡径しながら、前記内容物の吐出圧により弾性変形可能に膨出して形成されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のような本発明によれば、内容物の吐出量を減ずることなく、ポンプディスペンサの構造をよりコンパクトなものとすることが可能であり、また、部品点数も従来品に比べて格段に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態を備えた容器の概略を示す正面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。また、図3は、図1のA−A断面に相当するポンプディスペンサの一部を分解した状態の断面図である。また、以下の説明では、ポンプディスペンサを備えた容器の通常の使用状態を基準にして、上下の方向を区別するものとする。
【0037】
本実施形態におけるポンプディスペンサ1は、図示するように、アクチュエータ2、バルブ3、バルブガイド4、ポンプ本体5、及びバネ6の五つの部材から構成されており、従来品に比べて格段の部品点数の削減が図られている。
これらの部材は、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性樹脂を用いて、射出成形などにより製造することができる。
【0038】
なお、バネ6は、樹脂製のもののほか、例えば、金属製とすることもでき、その材質は特に制限されない。バネ6としては、通常、図示するようなつるまきバネが用いられるが、後述するような本実施形態におけるポンプディスペンサ1の機能が奏される限り、その形態も特に制限されず、板バネなどのほか、必要に応じて他の弾性部材に代替することもできる。また、バネ6以外の構成部材も、その一部、又は全部を、必要に応じて金属製などとすることができるのはいうまでもない。
【0039】
本実施形態において、アクチュエータ2には、側方に延出するノズル21が設けられているとともに、天面20から垂下する外周筒状部22、内周筒状部23、及び筒状シール部24が、同心円状に配置して設けられている。このとき、外周筒状部22は、天面20の外周縁から垂下して、アクチュエータ2の外周面を形成している。
また、天面20側における外周筒状部22と筒状シール部24との間には、複数のバネ受リブ25が形成されている。特に図示しないが、これらのバネ受リブ25は、アクチュエータ2の軸心に対して放射状に形成されている。
【0040】
アクチュエータ2に設けられた内周筒状部23は、ノズル21と連通して内容物の吐出流路を形成するが、この内周筒状部23内には、バルブガイド4が挿入(嵌合)されているが、圧入するようにしてもよい。
ここで、図示する例では、内周筒状部23内へのバルブガイド4の挿入が容易となるように、内周筒状部23の下端側の内周面をテーパ面としてある。また、バルブガイド4内にはバルブ3が挿入されるが、バルブガイド4の下端側の内周面も同様の理由からテーパ面としてある。
【0041】
バルブガイド4は、図示するような筒状の部材であり、内周筒状部23内に固定できるように、バルブガイド4の外径は、内周筒状部23の内径とほぼ等しくなっている。一方、バルブガイド4の内周側には、内径φD1とされた内周大径部と、内径φD3とされた内径小径部とが形成されており、内周大径部と内周小径部との間には、内径φD1から内径φD3へと内径を徐々に縮径させた傾斜面が形成されている。
また、バルブガイド4の上端側(内周大径部側)には、図示するように、ノズル21の内周筒状部23側の開口部を塞がないようにするための逃げ穴41が形成されている。
【0042】
バルブガイド4は、バルブ3と対になって吐出弁機構を構成し、上記のように内径を変化させたバルブガイド4内をバルブ3が相対的に上下に往復動することによって、内容物の吐出流路が開閉される。
【0043】
ここで、このようなバルブガイド4を内周筒状部23内に固定するのは、内周筒状部23に上記のような内径変化を生じさせた場合、内周大径部がアンダーカット形状となり、成形の際の型開きが困難になってしまうためである。したがって、例えば、内周大径部と内周小径部の径差が小さく、むり抜きによる型開きが可能となる場合などであって、内周筒状部23の内径を上記のように変化させることが可能な場合には、バルブガイド4を省略してもよい。
【0044】
また、アクチュエータ2に設けられた外周筒状部22の下端側の内周面には、周方向に沿う係合突起221が形成されている。他方、ポンプ本体5には、図示するように、アクチュエータ2側の外周筒状部22の内周側に位置する外周筒状部52が設けられており、この外周筒状部52の上端側の外周面形成にも周方向に沿う係合突起521が形成されている。そして、アクチュエータ2側の係合突起221と、ポンプ本体5側の係合突起521とにより、アクチュエータ2が、バネ6の付勢力に抗してポンプ本体5と係合されるようにしてある。
【0045】
このようにして、アクチュエータ2と、ポンプ本体5とを係合させれば、ポンプ本体5に対してアクチュエータ2を近接、離間させるポンピング操作が可能となるとともに、下方に位置するポンプ本体5側の外周筒状部52を、アクチュエータ2側の外周筒状部22が上方から覆うことになるので、風呂場などの水周りで使用されることの多いポンプディスペンサ1内に、水が浸入するのを有効に回避することもできる。
【0046】
ここで、図示する例において、係合突起221は、頂部に稜線が現れない凸曲面により形成されているが、このような形状とするのは、成形の際の型開きを考慮して、むり抜きが可能となるようにするためである。すなわち、外周筒状部22の内周側に位置する係合突起221を成形するには、型割りが難しく無理抜きとせざるを得ないが、金型からむり抜きし易くなるように、係合突起221の上側斜面と下側斜面とを滑らかに接続している。なお、係合突起221の下面側を傾斜面とするのは、アクチュエータ2をポンプ本体5にはめ込み易くするためである。
また、係合突起221をこのような形状とすると、ポンプ本体5側の係合突起521との噛み合いが弱くなるため、ポンプ本体5側の係合突起521は、係合突起221との噛み合いを補うために、図示するような二段構造としている。
【0047】
また、アクチュエータ2に設けられた筒状シール部24は、図示するように、その下端側が軸方向に沿って下方に拡径するように形成されている。そして、筒状シール部24は、ポンプ本体5側に形成された内周筒状部53と、筒状シール部54との間に挿入され、拡径された下端側がポンプ本体5側の内周筒状部53の内周面に密着するとともに、筒状シール部24の内周面には、ポンプ本体5側の筒状シール部54の先端側が密着するようにしてある。
【0048】
このとき、筒状シール部24の下端側の外径φD6は、ポンプ本体5側の内周筒状部53の内径φD7よりも大きく形成されているとともに、筒状シール部24の挿入を妨げないように、ポンプ本体5側の内周筒状部53の上端側の内周面はテーパ面としてある。また、ポンプ本体5側の筒状シール部54の先端側は、図示するように、軸方向に沿って上方に拡径するように形成されているが、このポンプ本体5側の筒状シール部54の先端側の外径φD8に対しては、筒状シール部24の内径φD9の方が小さくなるように設定してある。
【0049】
このようにして、ポンプ本体5側の内周筒状部53と、筒状シール部54との間に挿入される筒状シール部24は、ポンプ本体5側の筒状シール部54とともに、ポンプ室7を画成する。そして、ポンプ室7を、このように画成することにより、アクチュエータ2をポンプ本体5に対して近接、離間させて、その容積を縮小、拡大させるに際し、その気密性を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態において、バルブ3は、棒状のバルブ本体30を有しており、バルブ本体30の上端には、バルブ本体30の上端が拡径されることによって、図示するような、すり鉢状の第一吐出弁体31が、バルブ3の軸方向に沿って上方に拡径するように一体に形成されている。さらに、第一吐出弁体31の下側には、バルブ本体30の周囲を囲むようにして、第一吐出弁体31側に向かって拡径しながら膨出する第二吐出弁体32が一体に形成されている。
なお、図4(a)は、バルブ3の概略を示す正面図であり、図4(b)は、バルブ3の概略を示す側面図である。
【0051】
ここで、第一吐出弁体31をすり鉢状とし、バルブ3の上端側を中空としているのは、後述するサックバックにより、ノズル21内に残った内容物を引き戻すに際し、バルブガイド4内の容積を大きくして、ノズル21内から引き戻される内容物を、できるだけ多く受け入れることができるようにするためである。
【0052】
バルブ3に形成される第一吐出弁体31、及び第二吐出弁体32は、バルブガイド4内に挿入され、バルブガイド4内を相対的に上下に往復動することにより、バルブガイド4と対になって内容物の吐出流路を開閉する吐出弁機構を構成する。このため、第一吐出弁体31の最大外径φD2と第二吐出弁体32の最大外径φD4は、バルブガイド4の内周大径部の内径φD1、内径小径部の内径φD3との相関をもって決定される。
【0053】
すなわち、図2に示す定常状態において、第一吐出弁31は、バルブガイド4の内周小径部の上端側に位置して内容物の吐出流路を閉塞するが、第一吐出弁体31の最大径φD2は、バルブガイド4の内周小径部の内径φD3に対して若干大きくなるように形成されており、第一吐出弁体31が弾性変形して内周小径部の内周面に密着するようにして、吐出流路をほぼ完全に閉塞するようにしてある。
これにより、ポンプディスペンサ1が取り付けられた内容物入りの容器を、定常状態で高温環境下に放置したときや、容器の胴部を誤って強く押したときに、内容物が漏れ出したり、暴出したりするのを有効に回避することができる。
また、バルブガイド4の内周大径部の内径φD1に対しては、第一吐出弁体31の最大径φD2の方が小さくなるように設定されており、バルブ3がバルブガイド4内を相対的に上動したときに、バルブガイド4の内周大径部と第一吐出弁体31との間に形成される隙間から内容物が吐出されるようにしてある。
【0054】
さらに、第二吐出弁体32は、その最大外径φD4が、バルブガイド4の内周小径部の内径φD3とほぼ等しくなるように形成されているとともに、内容物の吐出圧により、バルブ本体30の中心軸側に向かって弾性変形し得る肉厚で形成されている。
【0055】
このようにすることで、第二吐出弁体32がバルブガイド4の内周小径部内に位置するときには、バルブガイド4の内周大径部と第一吐出弁体31と隙間から吐出される内容物の流れを遮らないようにし、かつ、ポンプ室7内に入り込もうとする空気、又は逆流してくる内容物に対しては、これらによって押し拡げられてバルブガイド4の内周小径部に密着し、ポンプ室7内の気密性を保つようにしてある。
【0056】
ここで、後述するように、吐出完了位置まで押し切ったアクチュエータ2が、バネ6の付勢力により上昇して定常位置に復帰する際に、第二吐出弁体32が、バルブガイド4の内周小径部内に位置するまでの間は、ノズル21に残った内容物をポンプ室7内に戻すためのサックバックがなされ、第二吐出弁体32が、バルブガイド4の内周小径部内に位置した後は、ポンプ室7内への内容物の吸入がなされる。このため、バルブ3に形成される第一吐出弁体31と、第二吐出弁体32との相対的な位置関係や、バルブガイド4の内周面に占める内周大径部、又は内周小径部の割合など、これらの部材(又はその部位)の上下方向の寸法は、内容物のサックバック量と、ポンプ室7内への吸入量とのバランスを考慮して、適宜設定することができる。
【0057】
なお、第二吐出弁体32が弾性変形しないように形成しても、ノズル21に残った内容物のサックバックを行わせ、その後に、ポンプ室7に内容物を吸入させることは可能である。しかし、内容物を吐出させようとする際に、第二吐出弁体32が弾性変形せずに、内容物の吐出が妨げられてしまうと、容積が縮小して陽圧となっているポンプ室7内の内容物が、例えば、アクチュエータ2側の筒状シール部24と、ポンプ本体5側の内周筒状部53とによるシール部などから漏れだしてしまったり、第二吐出弁体32がバルブガイド4の内周大径部内に位置した直後に、内容物がノズル21から勢いよく噴出してしまったりするという不具合が考えられる。したがって、このような不具合が回避される場合は別として、第二吐出弁体32は、内容物の吐出圧により弾性変形し得るように形成するのが好ましい。
【0058】
一方、バルブ本体30の下端には、半球状の吸入弁体33が一体に形成されており、吸入弁体33の基部は、外方に湾曲して形成された二つの弾性片からなる弾性部34となっている。このバルブ3に形成された吸入弁体33は、弾性部34とともに、ポンプ本体5の底板50の中央に形成された吸入弁体挿入孔57に挿入され、吸入口572が穿設された吸入弁座571と対になって吸入弁機構を構成する。
【0059】
さらに、弾性部34の上側には、ポンプ本体5の吸入弁体挿入孔57の開口部側の内周面に形成された抜止め573に当接する突片35が、バルブ3の周方向に沿って形成されている。この突片35の下面は、吸入弁体挿入孔57への挿入が容易となるように、図示するようなテーパ面となっている。
【0060】
このようにして、バルブ本体30の下端側に形成された吸入弁体33は、バルブ3とポンプ本体5との相対的な位置関係を変化させることなく、弾性部34の弾性変形によって吸入弁座571から離間して、吸入口572を開くことができ、また、吸入口572を閉じるときも、弾性部34が弾性変形することにより、バルブ3自体を動かさずに、吸入弁体33を吸入弁座571に当接させることができる。このため、バルブ本体30の上端側に形成された第一吐出弁体31、及び第二吐出弁体32が構成する吐出弁機構に何ら影響を与えることなく、吸入弁機構を機能させることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態において、ポンプ本体5は、容器本体11の口部に形成されたねじ山に対応するねじ溝が内周面に形成された、筒状のクロージャ51を有している。そして、このクロージャ51を容器本体11の口部に螺着することによって、容器本体11に、ポンプディスペンサ1を取り付けることができるようにしてある。
【0062】
さらに、ポンプ本体5の底板50の下側には、容器本体11の口部上端縁に当接する位置に、環状のシール突起56が形成されている。また、シール突起56の内周側には、環状のシール突片561が形成されている。このシール突片561は、先端側の外周面をテーパ面として、容器本体11の口部に挿入され易くしてあるとともに、その外径φD10を容器本体11の口部の内径φD11よりも若干大きくすることにより、シール突片561が容器本体11の口部上端側の内周面に密着するようにしてある。
【0063】
これにより、ポンプディスペンサ1を容器本体11に取り付ける際に、ガスケットなどのシール部材を用いなくても、ポンプディスペンサ1と容器本体11との取り付け部位をシールすることができる。
【0064】
一方、ポンプ本体5の底板50の上側には、同心円状に配置された外周筒状部52、内周筒状部53、及び筒状シール部54が立設されている。
外周筒状部52は、アクチュエータ2側の外周筒状部22の内周側に位置するように設けてあるとともに、外周筒状部52の上端側の外周面には、係合突起521が形成されており、前述したように、この係合突起521と、アクチュエータ2側の外周筒状部22に形成された係合突起221とにより、アクチュエータ2がポンプ本体5に係合される。また、筒状シール部54が、内周筒状部53と筒状シール部54との間に挿入されるアクチュエータ2側の筒状シール部24とともに、ポンプ室7を画成しているのも前述した通りである。
【0065】
ここで、図示する例では、外周筒状部52と、内周筒状部53との間に挿入されたバネ6弾性部材が、アクチュエータ2のバネ受リブ25に当接して、アクチュエータ2を付勢するようにしている。これにより、バネ6と内容物とを非接触とすることができ、内容物によるバネ6の腐食を考慮する必要がないため、バネ6として、例えば、金属製のものを用いても、その腐食の懸念がきわめて少ない。
【0066】
また、ポンプ本体5の底板50の中央には、バルブ3が挿入される吸入弁体挿入孔57が形成されており、吸入弁体挿入孔57の底部には、バルブ3の吸入弁体33と対になって吸入弁を構成する吸入弁座571が形成され、吸入弁体挿入孔57の開口部側の内周面には、バルブ3に形成された突片35と当接して、バルブ3の抜けを防止する抜止め573が形成されているのも前述した通りである。
【0067】
ここで、吸入弁体挿入孔57にバルブ3を挿入する際に、バルブ3に形成された突片35は、抜止め573を押しよけながら吸入弁体挿入孔57内に入り込み、また、抜止め573がアンダーカット形状となるので、通常、ポンプ本体5を成形する際の型開きは、むり抜きによることになる。このため、このときの抜止め573が形成されている部位の弾性変形が許容されるように、吸入弁体挿入孔57の周囲には、環状溝59が形成されている。
【0068】
また、図示する例において、吸入弁体挿入孔57は、ポンプ本体5の底板50の中央から筒状に垂下する側壁部に囲まれて形成されており、この側壁部は、さらに下方に延長されて、容器本体11内の内容物を吸い上げるディップチューブ58を形成している。また、吸入弁体挿入孔57の底部に形成される吸入弁座571は、吸入弁体挿入孔57の内周面から下方に向かって円錐台状に膨出するように形成されており、吸入弁座571の中央には、吸入口572が穿設されている。
【0069】
さらに、抜止め573は、図5に示すように、吸入弁体挿入孔57の周方向に沿って等間隔に複数(図示する例では四つ)形成することができるが、この抜止め573と、バルブ3側の突片35の具体的な形状は、ポンプ室7に吸入される際の内容物の流れを遮ることなく、バルブ3の抜けを防止できるものであれば特に限定されない。例えば、バルブ3側の突片35を、周方向に沿って連続して形成する代わりに、バルブ本体30から放射状に突出する複数の凸部からなるものとしてあれば、抜止め573は、吸入弁体挿入孔57の周方向に沿って連続的に形成されたものであってもよい。
なお、図5(a)は、吸入弁体挿入孔57、及びその周囲の概略を示す上面図であり、図5(b)は、吸入弁体挿入孔57、及びその周囲の概略を示す断面図である。
【0070】
また、ポンプ本体5側に設けられた内周筒状部53の基部の内径は、アクチュエータ2側の筒状シール部24の下端側の外径φD6よりも大きくなるように、その内周面側が絞り込まれて拡径されている。そして、内周筒状部53の内周面の直下には、ポンプ本体5の底板50を貫通する一又は二以上の通気孔55が穿設されている。
なお、図示する例では、内周筒状部53の基部の内径は、ポンプ本体5の底板50の下側に形成したシール突片561の内径φD5と等しくなるようにしてある。
【0071】
このような通気孔55を穿設することにより、アクチュエータ2を押し切ったときに、通気孔55から容器本体11内に空気が流入して、容器本体11内の負圧状態が解消されるようにしてある(後述する図7参照)。
【0072】
以上のような構成部材からなる本実施形態のポンプディスペンサ1を組み立てるには、まず、ポンプ本体5に形成された吸入弁体挿入孔57に、バルブ3に形成された吸入弁体33を挿入するとともに、ポンプ本体5に設けられた外周筒状部52と内周筒状部53との間にバネ6の下端側を挿入する。
次いで、バルブ3に形成された第一吐出弁体31、及び第二吐出弁体32が、アクチュエータ2に設けられた内周筒状部23内に圧入されたバルブガイド4内に挿入され、また、アクチュエータ2に設けられた筒状シール部24が、ポンプ本体5に設けられた内周筒状部53と、筒状シール部54との間に挿入されるように、アクチュエータ2と、ポンプ本体5との位置合わせをする。そして、アクチュエータ2に形成されたバネ受リブ25にバネ6の上端を当接させつつ、アクチュエータ2をポンプ本体5に対して押し込んで、アクチュエータ2側の係合突起221と、ポンプ本体5側の係合突起521とにより、アクチュエータ2をポンプ本体5に係合させればよい。
【0073】
次に、本実施形態のポンプディスペンサ1により、容器本体11内に収容された内容物が吐出される機構について説明する。
なお、通常、使用開始時にはポンプ室7内に内容物はなく、使用者は、バネ6の付勢力に抗してアクチュエータ2を押し下げるポンピング操作を数回繰り返すことによって、吸入口572から内容物をポンプ室7内に吸入させてから、使用を開始するが、ポンプ室7内に内容物が吸入される機構については後述するものとし、以下の説明では、既にポンプ室7内に内容物が吸入されているとして説明する。
【0074】
まず、図2に示す定常状態からアクチュエータ2を押し下げると、ノズル3の第一吐出弁体31がバルブガイド4内を相対的に上動して吐出流路を開く(図6参照)。そして、ポンプ室7は容積が縮小されて陽圧となり、ポンプ室7内の内容物が、バルブ3の第一吐出弁体31と、バルブガイド4の内周大径部との間に形成される隙間を通って、ノズル21から吐出される。
このとき、バルブガイド4の内周小径部に位置する第二吐出弁体32は、バルブガイド4内を流動する内容物の吐出圧により弾性変形するため、第二吐出弁体32によって内容物の流れが遮られることがない。
【0075】
なお、図6(a)は、図1のA−A断面に相当する吐出開始直後の状態の断面図であり、定常状態におけるアクチュエータ2の定常位置を一点破線で示している。また、図6(b)は、図6(a)において破線で囲む部分を拡大して示す要部拡大断面図であり、図中、内容物の流れを矢印で示している。
【0076】
このように、バルブガイド4の内周大径部と、第一吐出弁体31との間に隙間が形成されることによって吐出流路が開かれてから、アクチュエータ2を押し切るまでの間に、アクチュエータ2を押し下げた量に応じて、ポンプ室7内に吸入された一定量の内容物がノズル21から吐出される。
【0077】
ここで、図7(a)は、図1のA−A断面に相当するアクチュエータ2を押し切った吐出完了後の状態の断面図であるが、図7(a)において破線で囲む部分を拡大して図7(b)に示すように、アクチュエータ2を押し切ると、アクチュエータ2側の筒状シール部24の下端側と、ポンプ本体5側の内周筒状部53の基部との間に隙間が形成され、ポンプ本体5の底板50に穿設された通気孔55から容器本体11内に空気が流入する(図7(b)中、空気の流れを矢印で示す)。容器本体11内は、内容物がポンプ室7内に吸収されたことにより、その分だけ負圧になっているが、通気孔55から空気が流入することによって、容器本体11内の負圧状態が解消される。
【0078】
吐出完了後、使用者がアクチュエータ2から手を離すと、アクチュエータ2は、バネ6の付勢力により上昇して定常状態に戻ろうとする。これによって、ポンプ室7の容積が拡大して、ポンプ室7内が負圧になる。
【0079】
このとき、バルブ3は、バルブガイド4に対して相対的に下動するが、バルブ3の第二吐出弁体32(及び、第一吐出弁体31)が、バルブガイド4の内周大径部に位置している間は、吐出流路が開かれた状態が維持されている。これにより、ノズル21内に残った内容物は、バルブ3の第一吐出弁体31、及び第二吐出弁体32のそれぞれと、バルブガイド4の内周大径部との間に形成される隙間を通って、ポンプ室7内に吸い戻され(サックバック)、ノズル21内に残った内容物による液だれが防止される。
【0080】
次いで、図8に示すように、バルブ3の第二吐出弁体32が、バルブガイド4の内周小径部に位置すると、バルブ3の第二吐出弁体32は、バルブガイド4の内周小径部に密着して、吐出流路が閉じられる。これにより、ポンプ室7内への空気の侵入や、内容物の逆流が妨げられ、ポンプ室7内の気密性が確保される。
【0081】
そして、アクチュエータ2がさらに上昇すると、ポンプ室7の容積が拡大することにより、ポンプ室7内の圧力と、容器本体11内の圧力との間に圧力差が生じ、容器本体11内の圧力に対してポンプ室7内が負圧になると、バルブ3の吸入弁体33は、弾性部34の弾性変形を伴って、吸入弁座571から離間して吸入口572を開口し(図8(a)参照)、ディップチューブ58を通じて、ポンプ室7内に内容物が吸入される。
【0082】
その後、ポンプ室7内に内容物が吸入されていく過程で、ポンプ室7内の圧力と、容器本体11内の圧力とに差がなくなっていき、ポンプ室7内の負圧状態が解消されると、弾性部34が弾性変形して、吸入弁体33により吸入口572が閉塞され、これによって内容物の吸入が終了する。
【0083】
なお、図8(a)は、図1のA−A断面に相当する吸入開始直後の状態の断面図であり、図8(b)は、図8(a)において破線で囲む部分を拡大して示す要部拡大断面図である。
【0084】
ここで、前述したように、使用開始時にはポンプ室7内に内容物はなく、数回のポンピング操作によって、内容物をポンプ室7内に吸入させてから使用を開始するが、このときも上記と同様に、押し下げられたアクチュエータ2が上昇する際に、容積が拡大されて負圧となったポンプ室7内に内容物が吸入される。
【0085】
以上のように、本実施形態におけるポンプディスペンサ1は、バネ6の付勢力に抗してアクチュエータ2を押し下げるポンピング操作により、内容物を一定量ずつ取り出すことができるようにしてあるが、ポンプディスペンサ1が取り付けられた容器が、内容物が収容されて市場を流通する際などには、誤ってアクチュエータ2が押し下げられて内容物が吐出してしまうのを防止しなければならない。
【0086】
このような誤動作を避けるためには、例えば、図12に示すように、定常位置にあるアクチュエータ2の外周筒状部22の下端から、クロージャ51の上面までの距離と等しい幅のバージンテープ26を周方向に沿って設けることにより、流通時など、ポンプディスペンサ1の使用を開始する前には、アクチュエータ2を押し下げることができないようにすることができる。
【0087】
ここで、図12に示す例では、引き裂き可能な強度で、アクチュエータ2の外周筒状部22の下端縁の外周面側に、バージンテープ26が接合一体化されている(図12(a)参照)。そして、使用者が使用を開始するにあたっては、バージンテープ26の端縁部を引っ張って、アクチュエータ2との接合部261を周方向に沿って引き裂いていくことができるようにしてある(図12(b)、及び(c)参照)。
【0088】
なお、図12は、ポンプディスペンサ1にバージンテープ26を設けた態様の一例を示す説明図であり、図12(a)は、一部を切り欠いた正面図である。また、図12(b)は、バージンテープ26を引き裂いていく状態、図12(c)は、バージンテープ26を引き裂いた状態を示している。
【0089】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変形実施が可能であることは言うまでもない。
【0090】
例えば、前述した実施形態では、ポンプ本体5の底板50の中央から筒状に垂下する側壁部を延長することによって、ディップチューブ58をポンプ本体5と一体に形成しているが、図9に示す変形例のように、ディップチューブ58を別体に形成し、適用する容器本体11の容積などに応じて、長さや太さなどの異なるディップチューブ58を適宜選択して取り付けることができるようにしてもよい。
【0091】
また、前述した実施形態では、ポンプ本体5の底板50の下側に形成された、環状のシール突起56、及びシール突片561により、ポンプディスペンサ1と容器本体11との取り付け部位がシールされるようにしているが、図10に示す変形例のように、ポンプディスペンサ1と容器本体11との取り付け部位のシールは、ガスケット8などの適当なシール部材によるものであってもよい。
【0092】
また、前述した実施形態では、ポンプディスペンサ1を容器本体11に取り付けるためのクロージャ51を、ポンプ本体5の一部として一体に形成してあるが、クロージャ51は、ポンプ本体5と別体に形成することもできる。例えば、図11に示す変形例のように、ポンプ本体5の底板50の外周縁部を、クロージャ5と、容器本体11の開口部上端縁との間に狭持させることによって、ポンプディスペンサ1を容器本体11に取り付けるようにしてもよい。
【0093】
ここで、図11に示す変形例にあっては、前述した実施形態においてポンプ本体5に設けられた外周筒状部52を省略して、容器本体11の開口部上端縁との間に狭持させるために、ポンプ本体5の底板50の外周縁部を形成するためのスペースを確保している。そして、図示するように、ポンプ本体5には、前述した実施形態における内周筒状部53の代わりに、外周筒状部52と内周筒状部53の機能を併せ持つ筒状部520を立設してある。
【0094】
このようにすることで、ポンプ室7の容積を前述した実施形態と同等としながらも、クロージャ51をポンプ本体5と別体とした変形実施が可能となるが、上記したポンプ本体5の形状変更に伴って、図11に示す変形例では、アクチュエータ2側の外周筒状部22が、より内周側に位置するように設けられているとともに、バネ受リブ25は、内周筒状部23と筒状シール部24との間に設けられている。そして、バネ6は、その上端側がアクチュエータ2の内周筒状部23の外周に沿うように配置されており、下端側がポンプ本体5に形成された環状のバネ受け突起501に支持されている。
【0095】
また、本実施形態におけるポンプディスペンサ1は、上記したような種々の変形実施が可能であるが、上記の変形例は、二つ以上を適宜組み合わせて実施することもできる。
【0096】
このように、前述した実施例では、ポンプディスペンサ1を構成するアクチュエータ2、バルブ3、バルブガイド4、ポンプ本体5、及びバネ6の各部材を一体に形成しているが、これらの部材は必要に応じて一部を別体とすることができ、前述した実施形態における構成部材の一部を別体にしたとしても、従来品に比べて格段に部品点数を削減できるのはいうまでもない。また、たとえ、部品点数削減の点で不利になったとしても、ポンプディスペンサの構造をよりコンパクトなものとできることに変わりはない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明は、従来のポンプディスペンサに比べ、よりコンパクトで、かつ、部品点数もさらに格段に削減されたポンプディスペンサを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態を備えた容器の概略を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態の一部を分解した説明図である。
【図4】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態におけるバルブの概略を示す説明図である。
【図5】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態においてポンプ本体に形成される吸入弁体挿入孔、及びその周囲の概略を示す説明図である。
【図6】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態における吐出開始直後の状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態における吐出完了後の状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態における吸入開始直後の状態を示す説明図である。
【図9】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態における変形例を示す説明図である。
【図10】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態における他の変形例を示す説明図である。
【図11】本発明に係るポンプディスペンサの一実施形態における他の変形例を示す説明図である。
【図12】ポンプディスペンサにバージンテープを設けた態様の一例を示す説明図である。
【図13】従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 ポンプディスペンサ
11 容器本体
2 アクチュエータ
20 天面
21 ノズル
22 外周筒状部
221 係合突起
23 内周筒状部
24 筒状シール部
3 バルブ
30 バルブ本体
31 第一吐出弁体
32 第二吐出弁体
33 吸入弁体
34 弾性部
35 突片
4 バルブガイド
5 ポンプ本体
50 底板
51 クロージャ
52 外周筒状部(筒状部)
520 筒状部
521 係合突起
53 内周筒状部
54 筒状シール部
55 通気孔
56 シール突起
561 シール突片
57 吸入弁体挿入孔
571 吸入弁座
572 吸入口
573 抜止め
58 ディップチューブ
59 環状溝
6 バネ(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部に取り付けられて、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサであって、
前記内容物をポンプ室に吸入する吸入口が設けられたポンプ本体と、
吐出ノズル、及び内周大径部と内周小径部とが形成された内周面を有し、前記内周大径部側が前記吐出ノズルに連通する吐出流路が設けられており、かつ、前記ポンプ本体とともに前記ポンプ室を形成し、前記ポンプ本体に対して近接、離間することによって、前記ポンプ室の容積を縮小、拡大させるアクチュエータと、
第一吐出弁体、及び第二吐出弁体が、一方の端部側に軸方向に沿って並列して形成され、他方の端部側には、弾性部を介して吸入弁体が形成されているバルブと、
前記アクチュエータを、前記ボディから離間させる方向に付勢する弾性部材と
を少なくとも備えてなり、
前記アクチュエータに設けられた前記吐出流路内に前記内周小径部側から挿入された、前記バルブの前記第一吐出弁体、及び前記第二吐出弁体が、前記アクチュエータが前記ポンプ本体に対して近接、離間する際に前記吐出流路内を相対的に往復動して、前記吐出流路を開閉する吐出弁機構と、
前記容器内の圧力に対して前記ポンプ室内が負圧になると、前記バルブの前記吸入弁体が、前記弾性部の弾性変形を伴って、前記ポンプ本体に設けられた前記吸入口を開き、前記ポンプ室内の負圧状態が解消されると、前記弾性部が弾性変形して、前記吸入弁体により前記吸入口が閉じられる吸入弁機構と
を有することを特徴とするポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記アクチュエータが前記弾性部材に付勢されて定常位置にあるときに、前記バルブの前記第一吐出弁体が、前記吐出流路をほぼ完全に閉塞する請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記バルブの前記第一吐出弁体が、前記バルブの一方の端部を拡径させて形成されているとともに、前記バルブの前記第二吐出弁体が、前記第一吐出弁体側に向かって拡径しながら、前記内容物の吐出圧により弾性変形可能に膨出して形成されている請求項1〜2のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記アクチュエータに、天面の外周縁から垂下する外周筒状部を設けるとともに、前記ポンプ本体には、前記外周筒状部の内周側に位置する筒状部を立設して、前記アクチュエータに設けた前記外周筒状部の先端側の内周面に係合突起を形成し、かつ、前記ポンプ本体に設けた前記筒状部の先端側の外周面に係合突起を形成することにより、前記アクチュエータを、前記弾性部材の付勢力に抗して前記ポンプ本体に係合させた請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記アクチュエータに、天面から垂下し、かつ、前記吐出ノズルに連通して吐出流路を形成する内周筒状部が、前記ポンプ室内に位置するように設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記アクチュエータに設けられる吐出流路の内周大径部と、内周小径部とが形成された内周面を有する筒状のバルブガイドが、前記アクチュエータに設けられた前記内周筒状部内に圧入されている請求項5に記載のポンプディスペンサ。
【請求項7】
前記アクチュエータに、天面から垂下する筒状のシール部を設けるとともに、前記ポンプ本体にも筒状のシール部を立設して、前記アクチュエータ側のシール部と、前記ポンプ本体側のシール部とにより、前記ポンプ室を画成した請求項1〜6のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項8】
前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部と、前記ポンプ本体側のシール部との間に、前記アクチュエータ側のシール部を挿入するとともに、前記ポンプ本体側のシール部の先端側を拡径して前記アクチュエータ側のシール部に密着させ、かつ、前記アクチュエータ側のシール部の先端側を拡径して前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部に密着させた請求項7に記載のポンプディスペンサ。
【請求項9】
前記ポンプ本体に、前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部と前記シール部との間に立ち上がる内周筒状部を設けて、前記内周筒状部と、前記シール部との間に、前記アクチュエータ側のシール部を挿入するとともに、前記ポンプ本体側のシール部の先端側を拡径して前記アクチュエータ側のシール部に密着させ、かつ、前記アクチュエータ側のシール部の先端側を拡径して前記内周筒状部に密着させた請求項7に記載のポンプディスペンサ。
【請求項10】
前記弾性部材が、前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部と前記内周筒状部との間に挿入されて、前記アクチュエータを付勢する請求項9に記載のポンプディスペンサ。
【請求項11】
前記ポンプ本体に設けられた前記筒状部、又は前記内周筒状部の基部の内径を、前記アクチュエータに設けられた前記筒状シール部の下端側の外径よりも大きくするとともに、前記筒状部、又は前記内周筒状部の内周面の直下には、前記ポンプ本体を貫通する一又は二以上の通気孔を穿設した請求項8〜10のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項12】
前記ポンプ本体に、底板から垂下する側壁部に囲まれた吸入弁体挿入孔を形成するとともに、前記吸入弁体挿入孔の底部には、前記吸入口が穿設された吸入弁座が形成されている請求項1〜11のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項13】
前記バルブの前記吸入弁体の近傍に突片が形成されているとともに、前記吸入弁体挿入孔の開口側の内周面には、前記突片と当接する抜け止めが形成されている請求項12に記載のポンプディスペンサ。
【請求項14】
前記吸入弁体挿入孔の開口部の周囲に、環状溝が形成されている請求項13に記載のポンプディスペンサ。
【請求項15】
前記容器に収容された内容物を吸い上げるディップチューブを、前記ポンプ本体の底板から垂下する前記側壁部を延長して、前記ポンプ本体と一体に形成した請求項12〜14のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項16】
前記容器の開口部に取り付けるためのクロージャを、前記ポンプ本体の外周縁から垂下させて、前記ポンプ本体と一体に形成した請求項1〜15のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項17】
前記ポンプ本体の前記容器の開口部上端縁に当接する位置に、環状のシール突起を形成するともに、前記シール突起の内周側には、前記容器の開口部内周面に密着する環状のシール突片を形成した請求項1〜16のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項18】
前記アクチュエータに設けられた前記外周筒状部の下端に、前記アクチュエータを押し下げ不能とするバージンテープが、周方向に沿って引き裂き可能に設けられている請求項1〜17のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【請求項19】
容器の開口部に取り付けられ、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサに適用される吐出弁機構であって、
バルブの端部側に軸方向に沿って並列して形成された第一吐出弁体、及び第二吐出弁体を、
内周大径部と内周小径部とが形成された内周面を有する吐出流路内に、前記内周小径部側から挿入して、前記吐出流路内を相対的に往復動させることにより、前記吐出流路を開閉することを特徴とする吐出弁機構。
【請求項20】
前記バルブの前記第一吐出弁体が、前記バルブの端部を拡径させて形成されているとともに、前記バルブの前記第二吐出弁体が、前記第一吐出弁体側に向かって拡径しながら、前記内容物の吐出圧により弾性変形可能に膨出して形成されている請求項19に記載の吐出弁機構。
【請求項21】
容器の開口部に取り付けられ、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサに適用される吸入弁機構であって、
前記容器内の圧力に対して前記ポンプディスペンサのポンプ室内が負圧になると、バルブの端部側に弾性部を介して形成された吸入弁体が、前記弾性部の弾性変形を伴って、前記内容物を前記ポンプ室に吸入する吸入口を開き、
前記ポンプ室内の負圧状態が解消されると、前記弾性部が弾性変形して、前記吸入弁体により前記吸入口が閉じられることを特徴とする吸入弁機構。
【請求項22】
容器の開口部に取り付けられ、前記容器に収容された内容物を吐出するポンプディスペンサに適用される吐出弁機構、及び吸入弁機構を同時に構成するバルブであって、
一方の端部側に、内周大径部と内周小径部とが形成された内周面を有する吐出流路内に前記内周小径部側から挿入され、前記吐出流路内を相対的に往復動することにより、前記吐出流路を開閉する吐出弁機構を構成する第一吐出弁体、及び第二吐出弁体が、軸方向に沿って並列して形成され、
他方の端部側に、前記容器内の圧力に対して前記ポンプディスペンサのポンプ室内が負圧になると、弾性部の弾性変形を伴って、前記内容物を前記ポンプ室に吸入する吸入口を開き、前記ポンプ室内の負圧状態が解消されると、前記弾性部が弾性変形して、前記吸入口を閉じる吸入弁体が、前記弾性部を介して形成されていることを特徴とするバルブ。
【請求項23】
前記第一吐出弁体が、前記一方の端部を拡径させて形成されているとともに、前記第二吐出弁体が、前記第一吐出弁体側に向かって拡径しながら、前記内容物の吐出圧により弾性変形可能に膨出して形成されている請求項22に記載のバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−15693(P2007−15693A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195723(P2005−195723)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】