説明

ポンプ一体型電動機装置

【課題】取付脚により取り付けを行う電動機でフランジによる取り付けに変更可能とし、取付脚により固定する電動機とフランジにより固定する電動機との2種類を用意することなくし、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図り得るポンプ一体型電動機装置を提供する。
【解決手段】出力軸4で入力軸7を回転駆動するよう電動機1とポンプ5とを連結するブラケット部材10を備え、ブラケット部材10は左側面11側に電動機1の枠2を取り付けて開口を閉塞すると共に出力軸4を回転自在に軸支する軸受け12を有し、右側面13側にポンプ5のポンプ本体6を取り付ける。さらにブラケット部材10には被取付部材に固定する取付脚15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプを電動機に直結したポンプ一体型電動機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のポンプ一体型電動機装置は、枠の両端部にエンプラを有した電動機とポンプとを結合板を介して固定し、結合板は電動機取付側に電動機を取り付けるインロー径の嵌合部を有して電動機にボルトで固定し、ポンプ取付側にポンプを取り付けるインロー径の穴を有してポンプをボルトで固定し、電動機にポンプを一体型にしている。そして、異なるポンプを取り付ける場合には結合板を変更するのみでよく、電動機は同じものを使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−14169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来のポンプ一体型電動機では、電動機の枠に被取付部に固定する取付脚を形成しているため、取付脚による固定ではなく、例えばフランジによる固定にする場合には、枠の軸方向一端側にフランジを形成した別の電動機に変更しなければならず、電動機の種類が増加して管理が煩雑になる問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、取付脚により取り付けを行う電動機でフランジによる取り付けに変更可能とし、取付脚により固定する電動機とフランジにより固定する電動機との2種類を用意することなくし、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図り得るポンプ一体型電動機装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
枠の軸方向一端側を開口して出力軸を露呈する電動機と、ポンプ本体の軸方向一端側に突出した入力軸の回転駆動で流体を吸入吐出するポンプと、出力軸で入力軸を回転駆動するよう電動機とポンプとを連結するブラケット部材とを備え、ブラケット部材は一側面側に電動機の枠を取り付けて開口を閉塞すると共に出力軸を回転自在に軸支する軸受けを有し、一側面側と対向する他側面側にポンプのポンプ本体を取り付け、さらにブラケット部材には被取付部材に固定する取付脚を有することを特徴とするポンプ一体型電動機装置がそれである。
【0007】
この場合、前記取付脚は前記ブラケット部材へ着脱自在に取付けて有しても良い。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、電動機とポンプとを連結するブラケット部材に被取付部材へ固定する取付脚を有しているため、フランジによる取り付けに変更する場合には、フランジを形成した別のブラケット部材に変更すれば良く、取付脚により固定する電動機とフランジにより固定する電動機との2種類を用意することなくできて共通の電動機で対応でき、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。また、ブラケット部材は、一側面側に電動機の枠を取り付けて開口を閉塞すると共に出力軸を回転自在に軸支する軸受けを有しているため、従来の電動機における枠の端部に有したエンプラを兼用することができ、部品点数を削減して構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加え、取付脚はブラケット部材へ着脱自在に取付けているため、ブラケット部材を電動機およびポンプから取り外すことなく、取付脚を取り外しできるから、取付脚による固定を簡単に変更することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示し、ポンプ一体型電動機の要部を断面で示した正面図である。
【図2】一実施形態に用いるブラケット部材を示し、(a)はポンプ本体を取り付ける側の右側面図、(b)は電動機の枠を取付ける側の左側面図である。
【図3】一実施形態に用いる取付脚を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図4】他実施形態のポンプ一体型電動機の要部を断面で示した正面図である。
【図5】他実施形態に用いるブラケット部材を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、1は電動機で、円筒状の枠2の軸方向一端側を開口し、枠2の軸方向他端側をカバー3で閉塞し、枠2の内部に回転自在に軸支した出力軸4を枠2の軸方向一端側開口に露呈し、枠2の軸方向一端側には円周状の窪み部2Aを形成している。出力軸4は端部に軸受け12の内輪を嵌合すると共に、先端に直線状の凹部4Aを窪み形成している。5はポンプで、ポンプ本体6の内部に回転自在に軸支した入力軸7をポンプ本体6の軸方向一端側に突出し、ポンプ本体6の軸方向他端側に複数のボルト部材8で蓋部材9を装着し、入力軸7を回転駆動することでポンプ本体6内部に有する図示しないポンプ機構で流体を吸入吐出する。ポンプ本体6は軸方向一端側に円柱状の凸部6Aを形成している。入力軸7は先端に矩形状の凸部7Aを形成している。10は電動機1とポンプ5とを連結するブラケット部材で、一側面側としての図1の左側面11側に電動機1の枠2を図示しない複数のボルト部材により取り付けて開口を閉塞すると共に、出力軸4を回転自在に軸支する軸受け12を有している。
【0012】
図2(b)に示すように、ブラケット部材10の左側面11には、外周側に環状の凸部11Aを形成し、枠2の取り付けで窪み部2Aにインローで嵌合している。また、左側面11の径方向中心部には、凹部11Bを形成し、軸受け12の外輪を嵌合している。凹部11B底面に中心孔11Cを貫通形成して出力軸4を挿通している。軸受け12は外輪の凹部11Bとの嵌合隙間を内輪の出力軸4との嵌合隙間より大きく設けている。11Dは左側面11の凸部11Aに穿設したねじ孔で、円周方向へ等間隔に4個設け、枠2を取り付ける前記図示しない複数のボルト部材を螺着する。枠2のブラケット部材10への取り付けは次のとおりとなる。出力軸4の端部に軸受け12の内輪を嵌合した状態で、枠2の窪み部2Aにブラケット部材10の凸部11Aをインローで嵌合すると、軸受け12の外輪が凹部11Bに嵌合すると共に、出力軸4が中心孔11Cを挿通して先端を突出する。
【0013】
ブラケット部材10は、左側面11側と対向する他側面側としての図1の右側面13側にポンプ本体6を、蓋部材9をポンプ本体6に装着する複数のボルト部材8を兼用して取り付ける。図2(a)に示すように、ブラケット部材10の右側面13には、略四方形の凸部13Aを突出形成し、凸部13Aには大径孔13Bと中径孔13Cと小径孔13Dとを突出側端面から連続して穿設し、小径孔13Dの底面には中心孔11Cを開口している。凸部13Aには大径孔13Bの径方向外方で、略四方形の四隅にねじ孔13Eを穿設している。ポンプ本体6は凸部6Aを大径孔13Bにインローで嵌合し、複数のボルト部材8をねじ孔13Eに螺着して取り付ける。14は出力軸4と入力軸7とを連結するオルダム継手で、出力軸4の凹部4Aに係合する矩形状のキー部14Aを一側面に突出形成すると共に、一側面と対向する他側面に入力軸7の凸部7Aを係合する凹部14Bを窪み形成している。ポンプ本体6のブラケット部材10への取り付けは次のとおりとなる。電動機1をブラケット部材10に取付けた状態で、オルダム継手14を出力軸4に係合し、ポンプ本体6の凸部6Aを大径孔13Bにインローで嵌合すると、入力軸7先端の凸部7Aがオルダム継手14の凹部14Bに係合する。図2(a)(b)に示すように、ブラケット部材10は、上方を電動機1の枠2の外径より若干大径の半円弧状に形成すると共に、下方を平坦状に形成し、平坦状の中央部に下方へ突出して円弧部10Aを形成している。また、ブラケット部材10は下方の平坦部に2個のねじ孔10Bを穿設している。
【0014】
15は図示しない被取付部材に固定する取付脚で、ブラケット部材10の下方に着脱自在に有している。図3(a)〜(c)に示すように、取付脚15は平面で略H字状に形成し、本体部15Aと、本体部15Aの両端から本体部15Aと直交方向へ伸長する2個の脚部15B、15Cとから構成している。本体部15Aにはブラケット部材10へ取り付けるためにねじ孔10Bに螺着する図示しないボルト部材を挿通する2個の挿通孔15Dを貫通形成すると共に、ブラケット部材10への取り付けで円弧部10Aと係合する円弧状の凹部15Eを窪み形成している。各脚部15B、15Cには被取付部材に固定する図示しないボルト部材を挿通する取付孔15Fをそれぞれ2個で合計4個を貫通形成している。ブラケット部材10に取り付けて有した取付脚15は、各脚部15B、15Cの一端側を電動機1の下方に位置していると共に、各脚部15B、15Cの一端側と対向する他端側をポンプ5の下方に位置している。
【0015】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1に示す状態で、電動機1を通電すると、出力軸4が回転して入力軸7を回転駆動し、ポンプ5はポンプ作動して流体を吸入吐出する。そして、電動機1を非通電にすると、出力軸4の回転が止まり、ポンプ5はポンプ作動を停止する。
【0016】
かかる作動において、電動機1とポンプ5とを連結するブラケット部材10に被取付部材へ固定する取付脚15を有しているため、フランジによる取り付けに変更する場合には、フランジを形成した別のブラケット部材に変更すれば良く、取付脚により固定する電動機とフランジにより固定する電動機との2種類を用意することなくできて共通の電動機で対応でき、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。
【0017】
また、ブラケット部材10は、左側面11側に電動機1の枠2を取り付けて開口を閉塞すると共に出力軸4を回転自在に軸支する軸受け12を有しているため、従来の電動機における枠の端部に有したエンプラを兼用することができ、部品点数を削減して構成の簡素化を図ることができる。
【0018】
また、取付脚15はブラケット部材10へ着脱自在に取付けているため、ブラケット部材10を電動機1およびポンプ5から取り外すことなく、取付脚15を取り外しできるから、取付脚15による固定を簡単に変更することもできる。
【0019】
また、ブラケット部材10に有した取付脚15は、一端側を電動機1の下方に位置すると共に、他端側をポンプ5の下方に位置しているため、電動機の枠に取付脚を形成している従来のものに比し、ポンプ5が大型であったり、またはポンプ5に弁等を搭載したりして大重量であっても、被取付部材への固定状態を安定して得られ、ポンプ5を支持する別の支持部材を不要にできる。
【0020】
図4および図5は本発明の他実施形態を示し、一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
図4および図5において、電動機1とポンプ5とを連結するブラケット部材20は取付脚21を一体形成して有している。取付脚21は2個の脚部21B、21Cから構成し、各脚部21B、21Cはブラケット部材20の下方から伸長して電動機1の下方に位置している。
【0021】
作動は一実施形態と同様で、この作動において、一実施形態と同様に、電動機1とポンプ5とを連結するブラケット部材20に被取付部材へ固定する取付脚21を有しているため、フランジによる取り付けに変更する場合には、フランジを形成した別のブラケット部材に変更すれば良く、取付脚により固定する電動機とフランジにより固定する電動機との2種類を用意することなくできて共通の電動機で対応でき、電動機の種類を低減して管理の簡素化を図ることができる。
【0022】
また、ブラケット部材10は、一実施形態と同様に、従来の電動機における枠の端部に有したエンプラを兼用することができ、部品点数を削減して構成の簡素化を図ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1:電動機
2:枠
4:出力軸
5:ポンプ
6:ポンプ本体
7:入力軸
10、20:ブラケット部材
11:左側面(一側面)
12:軸受け
13:右側面(他側面)
15、21:取付脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠の軸方向一端側を開口して出力軸を露呈する電動機と、ポンプ本体の軸方向一端側に突出した入力軸の回転駆動で流体を吸入吐出するポンプと、出力軸で入力軸を回転駆動するよう電動機とポンプとを連結するブラケット部材とを備え、ブラケット部材は一側面側に電動機の枠を取り付けて開口を閉塞すると共に出力軸を回転自在に軸支する軸受けを有し、一側面側と対向する他側面側にポンプのポンプ本体を取り付け、さらにブラケット部材には被取付部材に固定する取付脚を有することを特徴とするポンプ一体型電動機装置。
【請求項2】
前記取付脚は前記ブラケット部材へ着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1に記載のポンプ一体型電動機装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85385(P2013−85385A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223952(P2011−223952)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000241267)豊興工業株式会社 (63)
【Fターム(参考)】