ポンプ動作式カセットに基づく治療のためのシステム、方法、および装置
本発明は、広くには、ポンプ・カセットを使用する医療用流体配送システムに関する。とくには、本発明は、すでに説明した血液透析、CAPD、APD(タイダル態様を含む)およびCFPDを含むカセット‐ベースの透析治療において、これらの治療のためのシステム、方法、および装置を提供する。一実施形態において、本発明は、使い捨てカセットと協働するアクチュエータ組立体を提供する。この組立体は、ポンプ・アクチュエータおよびバルブ・アクチュエータの両者を保持するハウジングを備えている。本発明の他の実施形態においては、フェイルセーフのバルブおよびポンプ構成がもたらされ、カセット故障の場合に、流体がカセットから装置にのみ流れることができるようにする。この構成は、1つ以上のダイアフラム・ポンプ・チャンバ、1つ以上のダイアフラム・バルブ・シート、および1つ以上の流体路と協働する使い捨てカセットを備える。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、広くは、医療用の流体システムに関する。さらに詳しくは、本発明は、カセット‐ベースの透析を実行するためのシステムおよび方法、ならびにそれらに関連する装置に関する。
【0002】
人間の腎臓系統は、さまざまな原因で機能を損なう可能性がある。腎臓の障害は、いくつかの生理学的異常を引き起す。日常の代謝負担である水、ミネラル、およびの廃棄物のバランスが、もはや不可能になり、窒素代謝物(尿素、クレアチニン、尿酸、ほか)からなる有毒な最終生成物が、血液および組織に蓄積される。
【0003】
腎臓疾患および腎機能の低下は、透析によって処置されている。本来であれば通常に機能している腎臓によって取り除かれている廃棄物、毒素および過剰な水が、透析によって、体から取り除かれる。腎機能を置き替えるための透析処置は、この処置が生命を救うものであるため、多くの人々にとって重要である。
【0004】
血液透析および腹膜透析が、腎機能の喪失に対処するために広く使用されている2種類の透析治療である。血液透析処理は、患者から水、毒素および過剰な水を取り除くために患者の血液を使用する。患者が、血液透析装置へとつながれ、患者の血液が、装置を通過して送られる。血液が血液透析装置へと流れ、血液透析装置から流れることができるよう、患者の静脈および動脈にカテーテルが挿入される。血液は、装置中の透析器を通過して流れ、透析器によって、血液から廃棄物、毒素および過剰な水が取り除かれる。清浄化された血液が、患者へと戻される。1回の血液透析治療において、血液を透析するために、例えば120リットルといった大量の透析液が消費される。血液透析治療は、数時間にわたって継続し、通常は、治療センターにおいて週に約3回または4回実施される。
【0005】
腹膜透析は、透析用の溶液すなわち「透析液」を、カテーテルを通じて患者の腹膜腔に注入して使用する。透析液が腹膜腔の腹膜に接する。廃棄物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜を通って透析液へと、拡散および浸透、すなわち膜を横切って生じる浸透圧の勾配によって移動する。使用済みの透析液が患者から排出され、患者から廃棄物、毒素および過剰な水が取り去られる。このサイクルが繰り返される。
【0006】
腹膜透析治療には、連続的携行式腹膜透析(「CAPD」)、タイダル・フロー(tidal flow)APDを含む自動腹膜透析(「APD」)、および連続フロー(continuous flow)腹膜透析(「CFPD」)を含み、種々の形式が存在する。CAPDは、手動による治療処置である。患者は、埋め込まれているカテーテルを手動でドレインへと接続し、使用した透析液を腹膜腔から排出できるようにする。次いで患者は、カテーテルを新鮮な透析液の入った袋に接続し、新鮮な透析液をカテーテルを通して患者の体内に注入する。患者は、カテーテルを新鮮な透析液の袋から外して、透析液を腹腔内に滞留させ、廃棄物、毒素および過剰な水の交換が行われる。滞留期間の後、患者は、この手動による透析手順を例えば1日に4回繰り返し、それぞれの処置は約1時間を要する。手動による透析は、患者に大量の時間と労力を要求し、大きな改善の余地が残されている。
【0007】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析処置が排出、注入、および滞留のサイクルを含んでいるという点で、CAPDに似ている。しかしながら、APD装置が、通常は患者が眠っている間に、これらのサイクルを自動的に実行する。APD装置は、患者が処置サイクルを手動で実行しなくてもよいようにし、備品を終日持ち運ばなくてもよいようにする。APD装置は、埋め込みされたカテーテル、新鮮な透析液の供給源すなわち袋、および流体のドレインへと流体流通可能に接続される。APD装置が、新鮮な透析液を透析液の供給源からカテーテルを通して患者の腹膜腔内へと送り、透析液を腹腔内に滞留させ、廃棄物、毒素および過剰な水の交換が行われる。APD装置は、使用済みの透析液を腹膜腔からカテーテルを通してドレインへと送る。手動によるプロセスと同様、APDにおいても、排出、注入および滞留のサイクルが数回行なわれる。「最後の注入」がCAPDおよびAPDの終わりにおいて行なわれ、次回の処置まで患者の腹膜腔内に残される。
【0008】
CAPDおよびAPDの両者は、使用した透析液をドレインへと送るバッチ式のシステムである。タイダル・フロー・システムは、改良されたバッチ・システムである。タイダル・フローにおいては、より長い期間にわたって患者からすべての流体を取り除く代わりに、流体の一部がより短い時間経過の後に取り出され、置き換えられる。
【0009】
連続フローすなわちCFPDシステムは、使用した透析液を廃棄する代わりに、清浄化または再生利用する。これらのシステムは、閉回路を通して流体を患者へと流し、患者から流す。透析液は、カテーテルの管腔の1つを通って腹膜腔へと流入し、カテーテルの他の管腔を通って流出する。患者から出た透析液は、例えば尿素をアンモニアへと酵素によって変換するためにウレアーゼを使用する尿素除去カラムによって透析液から廃棄物を取り除く再生装置を通過する。次いで、透析液を腹膜腔へと再導入する前に、アンモニアが吸着によって透析液から取り除かれる。アンモニアの除去を監視するため、センサが追加されて使用される。CFPDシステムは、通常はバッチ・システムよりも複雑である。
【0010】
血液透析、APD(タイダル・フローを含む)およびCFPDシステムは、ポンプ・カセットを使用することができる。ポンプ・カセットは、典型的には、透析液をカセットから出るように押し出し、カセットへと引き込むため、機械的に駆動される可撓性の膜を備えている。既知のシステムの或るいくつかは、カセットの片面に可撓性のシートを備えており、他のいくつかは、カセットの両面にシートを備えている。ポンプ・カセットを動作させるため、正および/または負の圧力を使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポンプ・カセットの1つの問題は、漏れにある。可撓性の膜がピンホールまたは裂けに直面した場合、流体および空気が、膜の一方の側から他方の側へと移動しうる。流体が、カセットの内側から装置の内部動作部へと移動すると、装置を損傷させる可能性がある。装置からカセット内へと空気が移動すると、カセットによって定められる流体通路の無菌性が損なわれる可能性がある。カセットから装置へと流体が漏れた場合を判断する検出システムが存在する。しかしながら、カセット内への流体の漏れを検出することは、より困難である。
【0012】
カセット‐ベースのポンプにおける別の問題は、カセットが装置へと不適切に取り付けられた場合に生じる。可撓膜の各部位が、例えばポンプおよびバルブ・アクチュエータなど装置の対応する部位と一致しなければならないため、正しい整列が重要である。不適切な取り付けは、カセットに過度の機械的応力を加えることにつながりかねず、カセットおよび/またはアクチュエータを傷つける可能性がある。さらに、不適切な取り付けは、システムの性能を低下させ、あるいは妨げる可能性がある。
【0013】
とくにCFPDにおけるさらなるジレンマは、複数の流体の配送の協調にある。流体を患者へと連続的に投与するカセット‐ベースの腹膜ポンプ・システムは、連続的に流れている透析液のループから流体(限外濾過液)を取り出し、連続的に流れている透析液のループへと流体(濃縮物)を加える必要がある。追加の流体は、通常は追加の専用のポンプを必要とし、カセットおよび透析装置を大きくかつうるさいものにする。複数のポンプの動作スケジュールの策定も、システムを実現しようとする者にとっての1つの挑戦である。
【0014】
カセット‐ベースのポンプに関連する別の問題は、空気または他の気体の流体通路への噛み込みである。空気は、漏れのある接続、不適切な水通し(priming)、欠陥のあるチューブ、および欠陥のあるカセットによってシステムに進入しうる。患者の治療も、システムへと進入するさまざまな気体を生じる。カセット‐ベースのポンプは、流体を送るように設計され、気体を送るようには設計されていない。さらに、患者からの流体の取り出し、および患者への流体の供給を、監視および制御する必要がある。空気および気体は、流体の通路に空気または気体が存在しないと仮定している体積測定システムを混乱させる。さらに、空気および気体が、患者にとって不快をもたらす可能性があり、適切な廃棄物の除去を妨げる可能性がある。
【0015】
透析液が患者へと進入する前に、透析液から空気および気体を取り除くことが望まれる。この目的のため、カセット‐ベースのシステムに、空気または気体の排気口が設けられている。しかしながら、より経済的な排気システムを設けるというニーズが、依然として存在する。さらに、注入に先立ち、透析液溶液が体温まで加熱され、溶液から気体が放たれる。既知の排気口は、流体の加熱による空気または気体を排気しない。さらに、空気および流体を検出するための方法を有し、両者の体積を測定することができ、パージすべき空気を検出し、適切な治療を確保するため流体を検出することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、広くには、ポンプ・カセットを使用する医療用流体配送システムに関する。とくには、本発明は、すでに説明した血液透析、CAPD、APD(タイダル態様を含む)およびCFPDを含むカセット‐ベースの透析治療において、これらの治療のためのシステム、方法、および装置を提供する。
【0017】
一実施形態において、本発明のシステム、方法、および装置は、CFPDとともに使用される。CFPD治療は、通常は患者へと接続された流体回路またはループを含んでおり、過剰な水および尿毒症毒素、尿素、クレアチニンなどの溶質を治療上有効な量取り除くため、透析液または他の適切な治療用流体を、患者の腹膜腔へと循環させ、患者の腹膜腔を通って循環させ、患者の腹膜腔から循環させることができるようにしている。
【0018】
一実施形態においては、透析液が、放出される前に、流体ループに沿って複数回連続的に循環する。消費される透析液の量が、バッチ・システムに比べて最小限にされる。循環は、1回通過または複数回通過の形態をとることができる。本発明のカセット‐ベースのシステム、方法および装置とともに機能可能な1回通過システムの1つが、文献番号第60/397,045号に記載されている。本発明のカセット‐ベースのシステム、方法および装置とともに機能可能な複数回通過システムの1つが、文献番号第60/397,268号に記載されている。
【0019】
すでに述べたとおり、本発明はCFPDには限られない。本発明のカセット‐ベースのシステム、方法および装置とともに機能可能なAPDシステムの1つが、「Automated Dialysis System」という名称の米国特許出願第10/155,603号に記載されており、この米国特許出願の教示は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。これらの種類の透析システムを念頭に置きつつ、本発明のさまざまな実施形態のいくつかを以下で概括する。
【0020】
一実施形態において、本発明は、使い捨てカセットと協働するアクチュエータ組立体を提供する。この組立体は、ポンプ・アクチュエータおよびバルブ・アクチュエータの両者を保持するハウジングを備えている。ポンプ/バルブ・マニホールドが、別個のバルブ・マニホールドの必要性をなくす。この結果、そうでない場合に1つ以上のバルブ・マニホールドとポンプ・アクチュエータ・ハウジングとの間になさなければならないチューブおよびチューブ接続の量が、大幅に少なくされる。さらに、組み合わせポンプ/バルブ・マニホールドは、空間および材料を節約し、より小さく、より軽量であり、より費用対効果の大きい透析装置を可能にする。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、フェイルセーフのバルブおよびポンプ構成がもたらされる。この構成が、カセット故障の場合に、流体がカセットから装置にのみ流れることができるようにする。カセットから装置への正の圧力勾配が維持され、通常、空気がカセットに進入しないようにする。さらにこの構成は、システム故障または電源故障の場合にすべてのバルブを確実に閉じるようにし、カセット内の流体通路を横切って流体が混ざることがないようにする。
【0022】
この構成は、1つ以上のダイアフラム・ポンプ・チャンバ、1つ以上のダイアフラム・バルブ・シート、および1つ以上の流体路と協働する使い捨てカセットを含んでいる。このカセットは、剛体または半剛体の本体部(本明細書では、まとめて「剛体部」と称する)で構成され、この部分の片側または両側に密着させて可撓シートを有している。シートを備えるこのカセットが、少なくとも1つのポンプおよび少なくとも1つのバルブ駆動機構と組み合わせられ、相互接続された流体工学システムを生み出している。
【0023】
動作において、通常は、ポンプ、バルブ、または流体路が生成されているあらゆる場所において、カセットのシートとポンプ/バルブ駆動インターフェイスの間に真空が保たれる。これが、カセットから透析装置の構成要素への正の圧力勾配を作り出す。バルブ・プランジャが、シートをカセットの剛体部分に向かって押し、バルブ・プランジャを引き込む機構に真空(または圧力)が供給されていない限りにおいて、バルブを閉じる。
【0024】
ポンプ・アクチュエータは、システム故障の場合に、展張し、引き込み、あるいは位置を保つように構成でき、ピストン・ヘッドを有するピストンを備えている。ピストン・ヘッドが使い捨てカセットの可撓膜を押し、カセットから流体を押し出す。ピストン・ヘッドを動かすため、さまざまなアクチュエータが設けられる。例えば、1つのアクチュエータは、ピストン・ヘッドをカセットから離れるように引く第1の真空または強い真空と、膜をカセットから離れるように引いて透析用流体がカセット内に進入するようにする第2の弱い真空とを備えている。一実施形態においては、ピストンのピストン・ヘッドとは反対側の端部に、ばね空洞が位置している。ばね空洞にはばねが収容されており、強い真空が存在しないとき、このばねが、ピストン、ピストン・ヘッド、およびカセットのシートをカセットの剛体部へと押す。強い真空が加えられたとき、この強い真空がばねの圧縮抵抗に打ち勝ってばねを圧縮する。
【0025】
強い真空と弱い真空とを分離するため、ローリング・ダイアフラムが、ポンプ・ピストンおよびばねハウジングの壁面に密着している。ローリング・ダイアフラムは、ピストンの往復運動を可能にするため、充分な巻き取り材料を含んでいる。このダイアフラムの巻き取り材料が、確実に正しく丸まりあるいは移動するようにするため、強い真空が除かれるとき、ばねハウジングに弱い真空が残される(すなわち、強い真空の代わりに)。この弱い真空は、ばねの圧縮抵抗に打ち勝つほどには強くないが、膜をピストン・ヘッドへと密着させるべくピストン・ヘッドの周囲に保たれる弱い真空によってローリング・ダイアフラムが反転することがないように保つには充分強い。あるいは、複数のローリング・ダイアフラムが、ダイアフラム間に大気圧を加えつつ使用される。
【0026】
他の1つのバルブ・アクチュエータは、ダイアフラムを、負または正の圧力によって駆動されるピストン‐シリンダで置き換えている。他の代案となるバルブ・アクチュエータは、ダイアフラム、ばね、および強い真空をまとめて、ステッピング・モータ(直線または回転)、サーボ・モータまたは他の種類の直線アクチュエータなど、電動アクチュエータで置き換えている。弱い真空が、カセットの膜をピストン・ヘッドに密着させるため、依然として加えられている。
【0027】
一実施形態においては、強い真空および弱い真空を利用するフェイルセーフ・バルブがさらに設けられる。このバルブは、使い捨てカセットの可撓膜と接するバルブ・プランジャを動作させるために、ばねおよび負の圧力を利用する。さらに、このバルブは、異なる真空を区画する可動ダイアフラムに密着している。ばねを圧縮すべく強い真空が加えられ、バルブ・プランジャをカセットから離れるように動かす。弱い真空が、ダイアフラムのばねハウジングとは反対側に加えられ、カセットの可撓膜がバルブ・プランジャとともに動くようにする。さらに弱い真空は、ばねがプランジャを可撓膜に向かって押すことを助け、バルブの密着力を大きくする。したがって、強い真空は、ばねの圧縮抵抗および弱い真空に打ち勝つために充分強い。
【0028】
本発明のさらなる実施形態においては、使い捨てカセットを装置内に自動的に整列させるための方法および装置が提供される。この手順は、小さい位置ずれを修正しようと試み、大きな位置ずれについてはエラーを送信し、カセットの品質の確保を助け、カセットの完全性テストを提供する。
【0029】
この方法は、カセットを透析装置内に取り付け、密着用の袋を膨張させる前に、1つ以上のポンプ・ピストンを対応するポンプ空洞に向かって動かすことを含んでいる。この動きが、必要であるならば、カセットの適正な位置への移動を生じさせる。ピストンの移動に対する抵抗が検出された場合、透析装置は、カセットまたは装置の機構に問題が生じたことを知り、適切な行動をとることができる。この手順は、カセットが装置の上部に水平に取り付けられる場合でも、あるいは装置の側面に垂直に取り付けられる場合でも、機能可能である。
【0030】
整列の手順が行なわれたのち、袋が膨張してカセットを透析装置の内表面、ポンプ・ピストン、およびバルブ・プランジャに向かって押し付ける。これにより、カセットはすぐに使用できる状態である。さらに、歪みゲージなどのセンサが設けられ、運動するピストンがカセットに加える力が監視される。使い捨てカセットが、位置の修正が不可能なまでに整列から外れている場合、センサがピストン・ヘッドに加わる過剰な応力を検出し、エラー・メッセージを送信してポンプを停止させる。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態においては、可撓膜のための材料が提供される。この材料は、PVC非含有の熱可塑性重合体材料で作られ、単層構造または多層構造であることができる。このフィルムは、押し出し、共押し出し、押し出し積層、積層、ブロー押し出し、筒状押し出し、キャスト押し出しまたは共押し出し、圧縮成型および熱成形など、標準的な熱可塑プロセスの技法を用いて製造できる。
【0032】
本発明のまたさらなる実施形態においては、種々の流体を医療用流体システムへと組み合わせ、医療用流体システムから取り去ることができるようにするバルブ構成が提供される。このバルブ構成は、ただ1つのポンプと協働でき、あるいは複数のポンプと協働できる。この構成をCFPDに関連して説明するが、他の種類の透析とも協働可能である。例示の実施形態においては、この構成によって、追加の流体ポンプを必要とすることなく、連続的または半連続的なやり方で濃縮物の添加および透析用流体からの限外濾過液の引き抜きが可能になる。
【0033】
このバルブ構成は、各ポンプについてさらなる入口バルブおよび出口バルブを追加する。この目的のため、各ポンプは、連続ループ(CFPD)の透析液の導入流のオン/オフ制御、または供給バッグ(APD)からの透析液の導入流のオン/オフ制御を提供する主たる導入バルブと協働する。第2の導入バルブは、主たる導入バルブと並列に機能し、濃縮物または添加剤(CFPD)、あるいは並列透析液供給(APD)についてのオン/オフ制御を提供する。各ポンプは、例えば患者への透析液の流出流のオン/オフ制御をもたらす主たる出口バルブとともに動作する。第2の排出バルブは、主たる排出バルブと並列に機能し、例えば透析用流体からの限外濾過液の除去のオン/オフ制御を提供する。
【0034】
一実施形態においては、第2の導入および排出バルブが開いているとき、主たるバルブは閉じており、その逆も然りである。主たるバルブの開時間対第2のバルブの開時間である関連する時間の量が、どのような速さで濃縮物が添加され、あるいは限外濾過液が除かれるのかを決定する。例えば、1つのポンプ体積に相当する濃縮物を、33回のポンプ・ストロークごとに1回、あるいは500回のポンプ・ストロークごとに1回、送出することができる。
【0035】
一実施例においては、一対の多重化ポンプが設けられ、交互かつ事実上連続な流体の流れが、患者へともたらされる。この実施例においては、いくつかの変形例が生じうる。例えば、第2の導入バルブまたは第2の排出バルブを同時に開くことができ、濃縮物の導入または限外濾過液の除去を2倍にすることができる。さらには、ポンプ・ピストンを途中までしか動かさないことで、第2のバルブを介した部分的注入を利用することができる。
【0036】
本発明のまたさらなる実施形態においては、1つ以上の溶液について1つ以上のポンプを介しての1つ以上の送り先へのポンプによる送出を計画するためのエキスパート・システムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、CFPDに関して説明されるが、APDおよび血液透析にも適用可能である。このエキスパート・システムは、一式のルールを使用する。ルールは、例えば流体流通の接続およびポンプ状態の制約などの物理的制約から導き出される。また、ルールは、例えば濃縮液を限外濾過液収集へと直接送ることが好ましくないなどという治療上の制約、および、例えば途中までのポンプ・ストロークは用いないとするなどの任意の制約からも導き出される。
【0037】
さらにエキスパート・システムは、患者または医師によって入力されたいくつかのパラメータを考慮する。このシステムは、入力された値に種々のアルゴリズムを適用し、例えば総流速、流速、治療時間、全添加濃縮物など、治療のための出力要件を得る。これらの出力およびルールまたは制約を使用し、エキスパート・システムが、いくつかのエントリを有するポンプ動作スケジュールを作成する。各エントリは、1つ以上のポンプに対し、1つ以上の溶液からの引き込み、または1つ以上の送り先への押し出しを、それぞれ行なうように指示する。システムのコントローラが、スケジュールに記載のポンプ動作プロファイルを実行するようポンプに指示する。スケジュールは、治療全体の一部を表わしていてもよく、このスケジュールが治療が完了するまで数回繰り返される。最終的に、ルールおよび流体の圧力レベルの制限など他の制限に従った出力が達成される。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態においては、透析用流体からパージされた空気を排気するための排気ポートが設けられる。排気ポートはカセットと一体であり、水通し体積、ならびにポンプの動作によって噛み込んだ空気および患者の排出した気体を排気する。カセット‐ベースの排気ポートは、カセットの剛体部と一体に成型され、剛体部が成型構造であるという利点を利用している。次いで、0.2ミクロン・フィルタなどのフィルタが、例えば接合、熱シール、接着または機械的固定などによって排気ポートに固定される。フィルタは、接合、熱シール、接着または機械的に固定できるPTFE、Goretexまたは他のポリマーなどの材料で作られる。一実施形態において、フィルタは疎水性の材料で作られる。あるいは、フィルタが、ブシュに接合、熱シール、接着または固定され、ブシュが成型によるポートに取り付けられ適切に固定される。
【0039】
さらに、一実施形態においては、医療用流体システムのための追加の空気分離チャンバが提供される。カセット‐ベースの排気ポートが、ポンプの時点で流体中に噛み込んだ空気を分離する第1の排気機構をもたらす。しかしながら、透析用流体はポンプ・カセットを出たのち、ヒータを通過する。熱を加えることによって、溶液中に捉えられた気体が解放される。この追加で解放された気体も、溶液が患者へと進入する前にパージしなければならない。
【0040】
追加の気体分離チャンバは、流体ヒータの下流に位置している。熱によって解放された気体が、上昇してチャンバの上部に捉えられる一方で、加熱された流体は、チャンバの底部を通過する。チャンバは、チャンバ内の気体の量を検出する1つ以上の容量センサを収容している。この量が所定のレベルに達したとき、1つ以上の排出バルブが開き、気体を排気できるようにする。
【0041】
気体は、膜を通って排気される。膜を乾燥した状態に保つため、一連の排出バルブを使用できる。この目的のため、流体溜めトラップを、これに代え、あるいはこれに追加して設けることができる。
【0042】
さらに別の実施形態においては、順次に駆動される一連のバルブを備える気体分離装置が設けられる。流体トラップがバルブ間に設けられる。バルブの順次動作およびトラップによって、気体をシステムから逃がすことができるが、流体は逃がさない。
【0043】
本明細書に記載の実施形態を検討すると、ポンプ・アクチュエータおよびバルブ・アクチュエータの両者を収容するカセット・アクチュエータ組立体を提供することが、本発明の1つの利点である。
【0044】
本発明の別の利点は、フェイルセーフなバルブおよびポンプ動作を備えるカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0045】
本発明のさらなる利点は、カセットの流体通路と周囲の透析装置の構成部品との間に正の圧力勾配を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0046】
本発明のまた別の利点は、カセットの自動整列の特徴を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0047】
本発明のさらに別の利点は、カセット位置ずれの出力およびカセットの完全性の特徴を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0048】
さらに、本発明の利点は、カセットの可撓膜のための優れた材料を提供することにある。
【0049】
さらにまた、本発明の利点は、多重化バルブ構成を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0050】
またさらに、本発明の利点は、医師/患者によってパラメータが入力された後でポンプ動作スケジュールを導出するために知識ベースを使用するエキスパート流体ポンプ動作管理システムを有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0051】
また、本発明のさらなる利点は、カセット‐ベースの一体成形の排気ポートを設けることにある。
【0052】
さらに、本発明のさらなる利点は、医療用流体ヒータの下流に空気分離チャンバを設けることにある。
【0053】
また、本発明のさらなる利点は、流体をポンプで送りつつ透析用流体に噛み込んだ気体をパージできるようにすることにある。
【0054】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明および図面において説明され、そこから明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カセット‐ベースの医療用の流体配送システムに関する。とくに、本発明は、カセット、および複数の流体源、複数の流体ポンプ、および複数の流体送り先を有する複雑なシステムにおいて、カセットと流体流通可能に連通してカセットとともに動作し、あるいはカセットを通る流体の流れの管理に関してカセットとともに動作する構成部品に対する種々の改善をもたらす。したがって、これらの改善は、とくに他の形式の透析処置よりも複雑であることが通常であるCFPDに、よく適している。しかしながら、ここに記載する実施形態がCFPDに限られるものではなく、APD(タイダル・フロー・システムを含む)、血液透析、血液濾過およびこれらの任意の組み合わせにおいても機能可能であると考えられることを、ここに明記しておく。
【0056】
(I.一体化されたポンプおよびバルブ・ハウジング)
ここで図面、とくに図1〜5を参照すると、組み合わせバルブ・マニホールドおよびポンプ・ハウジング組立体10が示されている。図1および2は、組立体10が、バルブ/ポンプ・ハウジング20、いくつかの中間プレート24および26、ならびに前面プレート30を含むいくつかの構成部品を含んでいることが示されている。組立体10は、他の実施形態においては、例えばポンプの数および種類ならびに流体バルブの数および種類など、医療用流体システムの複雑さに応じて、4つよりも少数または多数の構成部品を有することができる。
【0057】
組立体10は、自動腹膜透析装置の内部に収容され、バルブ/ポンプ・ハウジング20およびハウジングに取り付けられた構成部品が、装置の中心に向かって内向きに面している。前面プレート30が、使い捨てカセットに向かって上方かつ外側を向いている(装置100およびカセット150を示している図12を参照)。いくつかのボルトまたは他の種類の締め付け装置22が、ハウジング20、中間プレート24および26、ならびに前面プレート30を、一体に保持している。さらに取り付け装置22は、或る実施形態においては、組立体10を透析装置にボルト付けすることができる。
【0058】
バルブ/ポンプ・ハウジング20と中間プレート24の間、中間プレート24と26の間、および/または中間プレート26と前面プレート30の間など、対になるあらゆる構成部品間に、ガスケットを配置してもよい。図6、7および9〜11に関して以下に示すとおり、1つ以上の真空チャンバが、本発明のバルブおよびポンプに関連するさまざまな実施形態において使用される。真空チャンバの一部分は、ハウジング20ならびにプレート24、26および30の1つ以上またはすべての集合によって作られた開口によって定められ、これらの構成部品間に気密シールを必要とする。一実施形態においては、約−2〜−20psig、好ましくは約−6psig〜−10psigの負圧が、真空チャンバ内に加えられる。構成部品20、24、26および30の間のガスケットは、このレベルの真空に耐えるように選択され、このレベルの真空に耐えるような寸法とされる。
【0059】
図1には、3つのポンプ・アクチュエータ32が、バルブ/ポンプ・ハウジング20に取り付けられて示されているが、本発明の他の実施形態は、1つのポンプ、2つのポンプ、または4つ以上のポンプを使用してもよい。一実施形態においては、ポンプ・アクチュエータ32は、コネチカット州WaterburyのHayden Switch and Instrument Inc.が製造する直線ステッピング・モータなどの直線モータである。図6および7には、交互にばね動作するポンプ・アクチュエータが示されている。さらに別の実施形態においては、ポンプ・アクチュエータが、正または負の圧力によって駆動されるピストン・シリンダ、回転‐直線運動変換器と組み合わせられた回転モータ、あるいは他の種類の直線運動生成装置であってよい。
【0060】
以下に示し、かつ図2の前面プレート30上に見られるように、ポンプ・アクチュエータの出力は、ポンプ・ピストン・ヘッド36を有するポンプ・ピストン34である。ポンプ・アクチュエータ32が、ピストン・ヘッド36を前面プレート30の表面からバルブ/ポンプ・ハウジング20に向かって引き戻し、真空によって使い捨てカセット(図示されていない)の可撓膜を引っ張って、透析液をカセット内に引き込む。ポンプ・アクチュエータ32が、ピストン34およびピストン・ヘッド36を前面プレート30の表面から外へと押し、可撓膜をカセットの剛体部分に向かって押し出して、流体をカセットから追い払う。図2に示すように、外側の2つのポンプにおいては、ピストン・ヘッド36が引き込まれ、引き戻された状態にあり、真ん中のポンプにおいては、前方へと押し出された位置にある。
【0061】
一実施形態において、ピストン34およびピストン・ヘッド36が、それぞれ、真空チャネル38を規定している。真空チャネル38は、前面プレート30の直下に加えられた真空が、ピストン34およびピストン・ヘッド36を通って使い捨てカセットの可撓膜と流体流通できるようにする。あるいは、膜をピストン・ヘッド36に密着させるため、真空が真空チャンバに配置されたピストン・ヘッド36の周囲を延びている。
【0062】
図1に示されているように、さらに複数のバルブ40が、バルブ/ポンプ・ハウジング20に取り付けられている。一実施形態においては、バルブ40が電気的に駆動されるが、他の実施形態においては、バルブ40を空気圧で駆動してもよい。図2には、バルブ・プランジャ42がバルブ40のそれぞれと一緒に動作可能であることが示されている。図10および11に関連して以下でさらに詳しく説明するように、バルブ・プランジャ42は、使い捨てカセットの可撓膜に向かって、例えばばねによって機械的に押し付けられている。バルブ・プランジャは、バルブ40によって促進される負圧によって、使い捨てカセットの可撓膜から離れるように引き込まれる。
【0063】
さらに、一実施形態においては、バルブ・プランジャ42が、バルブ・プランジャ42がプレート30の表面から引き込まれ、すなわち内向きに引かれたとき、真空によって可撓膜を外向きに引き、すなわち使い捨てカセット内の流体流路を開くことができるようにする真空オリフィスを規定している。プランジャ42は、空気圧バルブ40が駆動されたときに引き込まれ、ばねが負圧に出会うようにしてばねを圧縮する。真空は、膜をプランジャ42に密着させるため、バルブ・プランジャの周囲を交互に流れる。
【0064】
次に図3を参照すると、空気圧バルブ40の一実施形態が示されている。適切な3ポート・バルブは、ニューハンプシャー州HollisのPneutronics, Inc.、スイスのVersoixのFluid Automation Systems(FAS)社、SMC Pneumatics社およびLee Corporationから提供されている。
【0065】
バルブ40は、常時閉ポートすなわち真空ポート44と、共通ポートすなわちプランジャ・ポート46と、常時開ポートすなわち大気ポート48とを規定するハウジングを有している。共通ポート46は、例えば図10に示されている真空チャンバ114など、バルブ・プランジャ42を動作させるための真空チャンバに流体流通可能につながっている。
【0066】
一実施形態において、電線V+およびV−に電圧が供給されていないとき、大気ポート48とプランジャ・ポート46の間に開状態の流体流路が存在している。したがって、空気圧バルブ40は、ポート46および48間で常時開である。電線V+およびV−にまたがって電圧が加えられたとき、バルブ40内のソレノイドが駆動され、ポート46および48にまたがる流体通路が閉じられ、真空ポート44とプランジャ・ポート46との間の流体通路が開く。
【0067】
線V+およびV−に、例えば+−5VDCまたは+−24VDCの電圧が加えられたとき、バルブ40によってカセット内の流体通路が開かれる。動作時、真空の供給が、プランジャ・ポート46と、バルブ/ポンプ・ハウジング20によって定められた開口と、プレート24、26および30の相応する開口とによって定められるチャンバから空気を排出し、真空チャンバ内に取り付けられたバルブ・プランジャ42を動作させる。バルブ・プランジャ42が引き込まれたとき、別個の真空が、カセットの膜を使い捨てカセットから外向きに引く。
【0068】
電線V+およびV−から電圧が除かれたとき、ソレノイドは通常の状態に戻る。大気が、ポート48および46を通って真空チャンバ内に引き込まれ、バルブばねが使い捨てカセットの可撓膜に向かってバルブ・プランジャを押すことができるようにし、関連する流体通路を閉じる。
【0069】
バルブばねは、所望の大きさの密閉圧力をもたらすよう適切なサイズとされている。一実施形態において、ばね力は0〜10lbsの間であり、一好ましい実施形態においては、約2〜6lbsである。
【0070】
図1は、バルブ/ポンプ・ハウジング20に複数の異なる種類の流体コネクタが取り付けられている様子が示されている。コネクタは、ホースの掛かり、ナット‐フェルール型のコネクタ、ねじ付きのコネクタ、クイック着脱型のコネクタなど、当業者にとって公知の任意の種類のチューブまたは配管コネクタであってよい。コネクタ50は、負圧供給源(図示されていない)へと延びる負圧供給チューブにつながっている。負圧コネクタ50は、図4に示すとおりハウジング20の表面64に定められた負圧供給チャネル60に、流体流通可能につながっている。
【0071】
さらに、複数の大気入口コネクタ52も、バルブ/ポンプ・ハウジング20に取り付けられている。大気入口コネクタ52は、1つ以上の空気フィルタへと流体流通可能につながったチューブに取り付けられている。フィルタ処理された空気が、バルブ/ポンプ・ハウジング20によって規定され図4に示されている大気供給チャネル62へと、コネクタ52を通って流れる。負圧供給チャネル60が、バルブ40の真空ポート44(図3)のそれぞれに供給を行なう一方で、大気供給チャネル62が、空気圧バルブ40の大気ポート48のそれぞれに供給を行なう。一実施形態においては、真空を均等に分配するため、負圧コネクタ50が負圧チャネル60の端部のそれぞれの付近に配置される一方で、大気入口コネクタ52が、大気供給チャネル62に沿って適切に離間して配置される。
【0072】
図1は、バルブ/ポンプ・ハウジング20が持ち上げられたブリッジ58を気密に規定し、あるいは持ち上げられたブリッジ58へと気密に取り付けられている様子が示されている。バルブ40および種々のコネクタ50および52が、持ち上げられたブリッジ58に取り付けられている。持ち上げられたブリッジ58は、バルブ40がチャネル60および62のわずかに上方に着座できるようにし、したがって、バルブ40のポート44および48が、それぞれチャネル60および62へと延びることができる。適切なガスケットを、ハウジング20の表面64(図4)とブリッジ58との間で、チャネル60および62の周囲に配置できる。そうでない場合、ブリッジ58がハウジング20と一体に形成され、あるいは例えば溶接されてハウジング20に恒久的に取り付けられる。
【0073】
図4は、ハウジング20を、ブリッジ58を取り除き、表面64に規定されたチャネル60および62を露出させて示している。ブリッジ58を除くことによって、ハウジング20によって規定された種々の開口も露出されている。例えば、ハウジング20が、各空気圧バルブ40のためのプランジャ開口66を規定している。バルブ40のプランジャ・ポート46(図3)が、開口66へと延びている。一実施形態においては、チャネル60および62を囲んでいるガスケット(図示されていない)が、さらに各プランジャ開口66も囲んでいる。プランジャ開口66は、負圧または大気がハウジング20の内面64から図5に示したハウジング20のバルブ・プランジャ側へと広がることができるようにしている。真空が、コネクタ50を通じ、チャネル60を通じ、真空ポート44を通じ、プランジャ・ポート46を通じ、プランジャ開口66を通じ、さらにプレート24および26ならびに前面プレート30の1つ以上によって定められた対応する開口を通じて供給され、プランジャばねを圧縮して使い捨てカセット内の流体通路を開くことを理解すべきである。以下に示すとおり、真空を、例えばプレート24、26および30の2者の間に存在する可撓性ダイアフラムによって、部分的に拘束または収容することも可能である。
【0074】
さらに、バルブ/ポンプ・ハウジング20は、バルブシート開口68を規定している。バルブシート開口68は、図1に示した負圧コネクタ56と流体流通している。負圧コネクタ56が負圧源と流体流通し、真空をバルブ・プランジャ42の(またはバルブ・プランジャ42の周囲の)オリフィスを通して、使い捨てカセットの可撓膜に加えることができるようにする。負圧源(図示されていない)が、可撓膜をバルブ・プランジャに密着させるため、コネクタ56を通じ、バルブシート開口68を通じ、さらにバルブ・プランジャ42を通じて、真空を引く。
【0075】
バルブシートのための負圧と同様、バルブ/ポンプ・ハウジング20は、各流体ポンプのためのポンプシート開口72を規定している。ポンプシート開口72は、負圧入口コネクタ54と流体流通しており、ついで負圧入口コネクタ54が、負圧源(図示されていない)と流体流通している。負圧源が、使い捨てカセットの可撓膜をピストン・ヘッドに密着させるため、コネクタ54を通じ、開口72を通じ、ピストン34およびピストン・ヘッド36を通じ、あるいはピストン34およびピストン・ヘッド36の周囲で、真空を引く。
【0076】
一実施形態においては、組立体10のバルブ/ポンプ・ハウジング20に関して3つの別個の真空が加えられることを理解すべきである。すなわち、第1の真空が、ハウジング20の表面64によって定められる真空チャネル60に加えられ、第2の真空が、可撓膜をバルブ・プランジャへと密着させるために加えられ、第3の真空が、可撓膜をポンプ・ピストン・ヘッド36へと密着させるために加えられる。流体流通システムは、これらの真空を別個に管理する複数の真空源を備えることができる。あるいは、1つ以上の供給源が、これらの真空を順次管理することができる。さらには、真空のレベルが、必要とされる真空の2つ以上について同じであり、ただ1つの真空原が、少なくとも2つの真空を同時に供給することができる。
【0077】
図1および図2は、バルブ/ポンプ・ハウジング20を含む組立体10が、種々の種類のセンサ74を収容している様子が示されている。種々の種類のセンサには、これらに限られるわけではないが、圧力センサ、温度センサ、水位センサ、空気検出センサ、気泡センサ、体積測定センサ、導電センサ、pHセンサ、濁度センサ、色検出センサ、粒子センサ、および化学センサなどが含まれる。図示のとおり、センサ74は、ハウジング20、中間プレート24および26、ならびに前面プレート30を通って延びている。センサの配線および検出リードが、バルブ/ポンプ・ハウジング20から透析装置へと延びている。検出ヘッドまたはセンサ部は、前面プレート30表面とほぼ同一面に位置しており、カセットを通って流れる透析液の流体パラメータを検出するため、使い捨てカセットに接している。一実施形態においては、センサの周囲においてカセットと前面プレート30の間にシールが設けられ、したがって真空を加えて、カセットの膜をセンサとの緊密な接触へと至らしめることができる。真空は、組立体10を通ってセンサの周囲に、バルブ・プランジャ42とカセット膜との間に供給されるのと同様にしてもたらされる。
【0078】
図5を参照すると、バルブ/ポンプ・ハウジング20が示されており、図4に関して先に示した表面64と反対側の表面76が示されている。参考のため、空気圧バルブ40のプランジャ・ポート46と連通するプランジャ開口66の多くが示されており、負圧入口コネクタ54と流体流通するポンプシート開口72についても同様である。バルブ・プランジャ開口66の少なくともいくつかは、ハウジング20の表面76によって規定された空洞またはクレータ78の中央に位置している。さまざまな実施形態において、空洞78を規定しているハウジング20は、成型プラスチックまたはアルミニウム複合材料で作られている。空洞またはクレータ78は、プランジャおよびプランジャ座(図示されていない)が、プランジャ開口66に関して適切に位置できるようにする。参考のため、プランジャばね70が、開口66を中心に位置して示されており、次いで開口66が、空洞78の1つの中心に位置している。図示はされていないが、バルブシートおよびバルブ・プランジャがばね70の周囲に取り付けられ、空洞78内に着座し、あるいは空洞78によって支持されることを理解すべきである。
【0079】
(II.フェイルセーフなポンプおよびバルブの動作)
次に図6〜11を参照すると、組立体10およびバルブ/ポンプ・ハウジング20に関してすでに説明したポンプおよびバルブを動作させるための種々の実施形態が示されている。図1〜5は、組み合わせバルブ/ポンプ・ハウジング20ならびに隣接するプレート24、26および30を備える組立体10を示している。しかしながら、本発明は、この構成に限られるわけではない。例えば、図6〜8は、それぞれが代案となるバルブ/ポンプ・ハウジング120、220および320をそれぞれ有している代案となる3つの構成を示している。ハウジング120、220および320のそれぞれは、使い捨てカセット90へと流体を送出し、使い捨てカセット90から流体を送出するため、ピストン34が往復運動しつつ通過する開口80を規定している。使い捨てカセット90は、ハウジング120、220および320に対する動作位置に概略的に示されている。使い捨てカセット90はさまざまな形態をとることができ、一実施形態においては、剛体部(この表現は、剛体および半剛体を含む)92を備え、この剛体部92が、さらに上下の可撓膜94および96(剛体部92に密着している)をそれぞれ境界とする複数の流体通路を規定している。可撓膜94および96のための好ましい材料の1つは、セクションIVに関して以下で説明される。
【0080】
ハウジング120、220および320はそれぞれ、ピストン34およびピストン・ヘッド36が内側へと透析装置の内部に向かって引き込まれたときに、下方の可撓膜すなわち前面シートをカセット90の剛体部92から離れるように引くべく真空が加えられる真空チャンバ82を規定している。図6〜8は、それぞれ2つのポンプを示しているが、本発明のシステムは、1つのポンプまたは3つ以上のポンプを含み任意の数のポンプを有することができる。図6〜8は、左側のポンプを引き込まれた状態で示しており、バッチ・システムにおいては供給源(図示されていない)から、再生またはCFPD型の透析システムにおいては患者(図示されていない)から、透析液が引き込まれている。CFPDにおいては、ポンプが、透析液を清浄化または再生する材料を含んでいる1つ以上の再生装置を通して患者から透析液を引き抜く。
【0081】
さまざまな再生装置および材料が、文献番号第60/397,045号および60/397,268号に記載されている。一般に、再使用に先立って透析液を効果的に清浄化するため、任意の適切な量および種類の材料を使用する任意の種類の装置を、利用することができる。一実施形態においては、清浄化装置が、治療において患者から取り除いた溶質を透析液から非選択的に除去できる材料を含んでいる。材料には、カートリッジなどの適切なハウジング内に任意の受け入れ可能なやり方で収容された炭素、活性炭、または他の同様の材料など、任意の適切な吸着材料を含むことができる。
【0082】
一実施形態においては、透析液から溶質を非選択的に取り除くことができるこれらの種類の材料に加え、他の材料を含むことができる。追加される他の材料には、例えば、溶液から或る溶質などを選択的に取り除くことができる材料が含まれる。一実施形態においては、追加の材料が、尿素を選択的に取り除くことができるバインダまたは反応性吸着材料、リン酸塩および/またはその他を選択的に取り除くことができるバインダまたは反応性吸着材料を含むことができる。溶質、とくには尿素を選択的に取り除くことができる材料を使用することによって、システムの清浄化効率を高めることができ、有効な処置のために必要な透析液の量を最小限にすることができる。
【0083】
溶液から溶質を選択的に取り除くことができるバインダ材料などの材料は、例えば、溶液中の尿素、クレアチニン、他の同様の代謝廃棄物、および/またはその他チッ素含有化合物を取り除くことができる重合体材料を含むさまざまな適切かつ異なる材料を含むことができる。一般に、これらの種類の材料は、尿素または他の同様の溶質と化学的に結合する官能基を含んでいる。1つの種類の材料は、尿素と化学的に結合すべく機能するフェニルグリオキサールを含んでいるアルケニル芳香族ポリマーを含む。一般に、フェニルグリオキサール重合体材料は、例えばニトロベンゼン中で実行されるアセチル化、および引き続くアセチル基のハロゲン化およびジメチルスルホキシドによる処理によって作られる。溶液から尿素などの溶質を選択的に取り除くことができる重合体材料の他の例は、ニンヒドリンとして広く知られているトリカルボニル機能を含む重合体材料を含む。本発明は、すでに述べたとおり溶液から尿素などの溶質を選択的に取り除くため、あらゆる適切な種類の材料またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0084】
再生装置の1つの種類は、清浄化カートリッジである。清浄化カートリッジは、透析液から溶質を取り除くことができる吸着材料に加え、いくつかの構成要素を含むことができる。例えば、清浄化カートリッジが、透析溶液からナトリウムまたはカリウムなど電解質のすべてまたは一部を取り除く能力を有してもよい。ここで、清浄化後の透析液を補充するため、溶液中の電解質の追加の供給源が必要とされるかもしれない。さらにカートリッジを、使用される吸着材料の種類に応じて、システム中に重炭酸塩などを解放するように構成してもよい。これは、透析液のpH調整を容易にする。必要に応じ、たんぱく質、粒子状物質、または同様の成分がカートリッジから透析液へと出ることがないよう、カートリッジにフィルタを設けてもよい。
【0085】
一実施形態においては、清浄化カートリッジが、清浄化流体ループを介して透析液ループに接続される。カートリッジは、炭素の層、リン酸塩バインダの層、および尿素バインダの層など、3つの別個の層を備えることができる。清浄化流体の経路は、ループを通過する流れを制御するため、適切な構成要素を含んでいる。一実施形態においては、清浄化流体ループを通過する透析液の流速、例えば清浄化流速が、主たる透析液ループを通過する流れよりも小さい。
【0086】
図示の実施形態においては、真空が、ハウジング120、220および320のチャンバ82を通って膜96と連通する。図2の参照番号38に関してすでに述べたように、一実施形態においては、真空が、ピストン34およびピストン・ヘッド36のチャネルを通ってチャンバ82へと導入される。一実施形態においては、ピストン・ヘッド36が、真空がピストン・ヘッド36と下部可撓膜96の間により均一に広がることができるよう、真空チャネル38オリフィスからピストン・ヘッド36の上面に沿って外向きに延びる星型を構成する溝など、溝を規定している。真空は、ハウジング120、220および320内を負圧源へと延びる別個の流体通路(図示されていない)を介してチャンバ82へと二者択一的に導入される。
【0087】
図6は、ポンプ・ピストン34およびピストン・ヘッド36を駆動するための一実施形態を示している。ハウジング120が、前記上部真空チャンバ82に加え、ポンプ組立体のそれぞれのための下部真空チャンバ84を規定している。ばね86が、真空チャンバ84内に配置されている。ばね86が部材88に接続され、次いで部材88が、ピストン34に接続されている。他の実施形態においては、部材88とピストン34が一体に形成されている。部材88、ピストン34およびピストン・ヘッド36は、硬質プラスチックあるいは例えばアルミニウム、ステンレス鋼または他の非腐食性材料などの金属など、任意の適切な材料からなることができる。ばね86が、ハウジング120の底部および部材88を押し、ピストン34およびピストン・ヘッド36を下部可撓膜96と接触するように強いて、膜96をカセット90の剛体部92へと上方に押す。このように、ばね86は、使い捨てカセット90から流体を押し、あるいは吐き出すように機能する。
【0088】
流体をカセット90へと送るため、強い真空がチャンバ84へと加えられ、ばね86を圧縮する。次いでばねが部材88を引き、ピストン34およびピストン・ヘッド36を引き込む。チャンバ34へと加えられる強い真空は、ばね86のばね定数および圧縮力に打ち勝つために充分強い。一実施形態において、チャンバ84へと加えられる強い真空は、約−5〜約−30psigである。
【0089】
強い真空がチャンバ84に加えられるとき、同時に弱い真空が、引き込まれるピストン・ヘッド36に向かって下部可撓膜96を引くため、チャンバ82に加えられる。この弱い真空は、一実施形態においては約0〜−10psigの間である。ローリング・ダイアフラム98が、部材88と真空チャンバ84の内壁との間に設けられている。ダイアフラム98は、部材88および内壁に密着し、チャンバ82へと加えられる真空とチャンバ84へと加えられる真空とを分離している。ばね86の伸縮およびチャンバ84に交互に加えられる強弱の真空によって、部材88、ピストン34およびピストン・ヘッド36が往復運動して、ローリング・ダイアフラム98を案内し、ほぼ摩擦のない直線運動が生み出される。
【0090】
ばね86が伸張を開始するよう強い真空84が取り除かれたとき、ピストン組立体の運動、またはチャンバ82で続いている弱い真空によって、ローリング・ダイアフラム98は、図6に示したおおむね下向きに延びた配置から反転するであろう。これが生じないようにするため、流体を押し出すストロークの間、チャンバ84に弱い真空が加えられる。一実施形態においては、このチャンバ84の弱い真空も、0〜−10psigの間である。一実施形態においては、この弱い真空は、チャンバ82へと加えられる弱い真空と同じであり、弱い真空によるダイアフラム98の両側の力が、互いに相殺する。チャンバ84の弱い真空は、ばね86のばね定数に打ち勝つほどには大きくない。ばね86は、ピストン・ヘッド36を介して下部可撓膜96へと適切な大きさの力を加えるような寸法とされ、それは、吐出または吐き出しのストロークの際にチャンバ84の弱い真空による負の力がばね86に対して作用することを考慮し、35lbs程度であることができる。
【0091】
図6〜8は、複数のポンプを動作させるための1つの好ましい手順を示している。ポンプ・ピストン34が交互に出入りし、剛体部92と下部可撓膜96との間に規定される関係するポンプ流体チャンバを満たし、空にする。交互に動くポンプが、患者へと事実上一定の流体流を生む。部分的に使い捨てカセット90によって規定される透析液導入バルブおよび排出バルブが、ポンプ・ピストン34の運動に関連して開閉される。一実施形態においては、関連するポンプ・ピストン34が引き込まれるとき、導入バルブ(図示されていない)が開く。ポンプ・ピストン34がカセット90に向かって延びるとき、導入バルブは閉じる。さらに、透析液カセットが、関連するポンプ・ピストンが引き込まれるときに閉じる排出バルブを規定している。ポンプ・ピストンがカセット90へと延びるとき、この排出バルブが開く。
【0092】
図7は、ハウジング220内に収容された他のポンプ・アクチュエータを示している。やはり弱い真空が、例えばポンプ・ピストン34およびピストン・ヘッド36のオリフィスを介して、チャンバ82に加えられる。弱い真空が、下部可撓膜96をポンプ・ピストン・ヘッド36に向かって引っ張る。本明細書に記載のあらゆる実施形態と同様、カセット90から流体を排出すべくポンプ・ピストン34がカセット90に向かって延びるとき、チャンバ82内の弱い真空を維持してもよく、維持しなくてもよい。図7において、図6の部材88およびローリング・ダイアフラム98は、強い真空チャンバ104を規定するシリンダ102で置き換えられている。ピストン棒106がピストン34に取り付けられるとともに、シール108を介してシリンダ102の内面に密着している。さらに、以下でO‐リング112と称するが、既知の任意の種類のものでよい軸シールが、チャンバ82内の真空を維持するため、軸開口80とピストン34の間でハウジング220内に配置されている。
【0093】
ピストン34と関連したシリンダ102およびシリンダ棒106の動作は、図6のダイアフラム98およびばね86にてすでに説明したものと事実上同じである。図7において、ばね114が各シリンダ102内に設けられている。ばね114がシリンダ棒106を押し、次いでシリンダ棒106がピストン34およびピストン・ヘッド36を剛体カセット90に向かって押す。他の実施形態においては、ピストン34を直接シリンダ102の内面に密着させ、ばね114をピストン34を直接押すような寸法として、ピストン棒106を省略することができる。ピストン34を引き戻すため、シリンダ102内のチャンバ104に強い真空が加えられ、ばね114のばね定数および圧縮抵抗に打ち勝つ。
【0094】
ローリング・ダイアフラムが使用されていないため、吐出または流体排出のストロークに関して、チャンバ104内に弱い真空を維持する必要がない。しかしながら、すでに述べたとおり、吐出または流体排出のストロークにおいて、チャンバ82内に弱い真空を維持することができる。ばね114は、図6の実施形態の場合のように残留する負の圧力に打ち勝つ必要はない。このため、ばね114の強さは、ばね86に比べてわずかに弱くすることができ、したがって強い真空も、図6において使用される強い真空よりもわずかに小さくてよい。
【0095】
他の実施形態においては、棒106を押してばね114を圧縮するため、シリンダ102のチャンバ104内の真空を引くのと対照的に、シリンダ102の外側に正の圧力が加えられる。O‐リング・シール112は、シリンダ102の外側の正の圧力をチャンバ82に導入される真空から分離するため、依然必要である。正の圧力が緩められたとき、ばね114が、すでに述べたとおり棒106およびピストン34を押す。
【0096】
次に図8を参照すると、さらに別の実施形態において、強い真空がすべて省略され、代わりに電動の直線または回転/直線アクチュエータ32が使用されている。アクチュエータ32も、図1に関してすでに示されている。一実施形態において、直線アクチュエータ32は、直線ステッピング・モータであり、送りねじまたはボールねじに組み合わせられた回転ステッピング・モータであり、送りねじまたはボールねじに組み合わせられた回転サーボ・モータであり、あるいは電気、空気圧または水圧によって動作する他の種類の直線アクチュエータである。一実施形態において、ポンプ・アクチュエータ32は、接続具116を介して直接ピストン34に接続されており、一実施形態においては、接続具116が、ピストン34とポンプ・アクチュエータ32の出力軸との間のわずかなずれを許容している。ポンプ・アクチュエータ32によって、真空チャンバ84、強い真空および残りの弱い真空の必要性が、まとめて除かれている。弱い真空は、ピストン・ヘッド36がカセット90から離れるように引き込まれるとき、下部可撓膜96を剛体部92から引き離すため、チャンバ82において依然必要である。O‐リング112が、包囲された真空チャンバ82を部分的に形成するため、ハウジング320の開口80と軸34との間に設けられている。
【0097】
次に図9を参照すると、ポンプ・アクチュエータのさらに別の実施形態が示されている。ハウジング420の一部が示されている。ハウジング420は、弱い真空チャンバ82、強い真空チャンバ84、ばね86、ならびに部材88(ピストン34に接続されている)およびハウジング420の内表面(強い真空チャンバ84を規定している)に密着したローリング・ダイアフラム98など、ハウジング120と同じ構成要素を多数備えている。これらの構成要素は、すでに述べたように動作し、下部可撓膜96をカセット90の剛体部92から離れるように引くため、弱い真空がチャンバ82に加えられる。部材88およびピストン34に接続されたばね86を圧縮するため、チャンバ84に強い真空が加えられる。ばね86の圧縮によって、ピストン34がカセット90から離れるように引かれる。チャンバ84から強い真空が取り除かれると、ばね86の圧縮が解かれてピストン34およびピストン・ヘッド36がカセット90に向かって押され、可撓膜96と剛体部92との間に存在する流体が排出される。
【0098】
図9の実施形態は、追加のローリング・ダイアフラム118を含んでいる。ローリング・ダイアフラム98および118のそれぞれは、シリコン・ゴム・シートまたは繊維補強のシリコン・ゴムなど、丈夫で、空気を通さず、可撓性を有している材料で作られている。追加のローリング・ダイアフラム118は、ピストン34へと接続された追加の部材124に密着し、さらにハウジング420の内表面に密着している。
【0099】
ローリング・ダイアフラム98および118の組み合わせは、チャンバ82と84の間に第3の密閉チャンバ122を生じさせる。チャンバ82の弱い真空が、図6の実施形態のようにダイアフラム98の動作を妨げる可能性はない。したがって、流体の押し出しまたは排出のストロークにおいて、チャンバ84に別個の弱い真空を維持する必要はない。さらに、ばね定数86を、チャンバ84の弱い真空に打ち勝つように選択する必要もない。ばね86を小さくすることができるため、チャンバ84の強い真空の程度も、同様に小さくすることができる。
【0100】
第3のチャンバ122内の圧力を制御するため、多くの選択肢が存在する。第3のチャンバ122内の圧力は、大気圧であってもよく正の圧力であってもよい。大気圧である場合、チャンバ82および84内に保たれた負の圧力が、ローリング・ダイアフラム118および98をそれぞれ、図示の適切な位置に維持する。さらに、チャンバ122へと加えられる正の圧力は、ばね86を圧縮するように機能し、ダイアフラム98および118を適切な配置へと押すように機能し、注入ストロークの際に、ばね86の力に打ち勝つべくチャンバ84内に維持される強い真空に代えて、あるいはこれに加えて、カセット90からピストン34を引き戻すために使用できる。
【0101】
次に図10および11を参照すると、先に図2に示したバルブ・プランジャ42を動作させるための実施形態が示されている。さらに図5にも見られるように、プランジャばね70が、プランジャ42を別の使い捨てカセット190の可撓膜94または96の1つに向かって押すべく動作する。可撓膜94および96は、半剛体または剛体部、すなわちプラスチック部192に密着している。図1〜5に関して説明した実施形態において、プランジャばね70は、バルブ/ポンプ・ハウジング20、中間シート24および26、ならびに前面プレート30内に収容されている。図10に示した他の実施形態においては、プランジャばね70およびプランジャ42が、バルブ・ハウジング130内に収容されている。
【0102】
バルブ・ハウジング130は、あらゆるポンプ・ハウジング120、220、320および420と同様、適切な硬質プラスチック、または軽金属(例えばアルミニウム)などの金属からなることができる。バルブ・ハウジング130は、外側部132および内側部134を備えている。ダイアフラム136が、外側に132と内側部134の間に封止されている。一実施形態において、ダイアフラム136は、ローリング・ダイアフラム98および118についてすでに述べた材料と同じ材料からなり、一好ましい実施形態においては、丈夫であり、柔軟であり、かつ空気を通さない。プランジャ42は、自身のそれぞれのダイアフラム136へと、部材138を介して接続されている。図示の実施形態においては、ダイアフラム136が、ボルトなどの取り付け機構を介して部材138に固定されている。プランジャばね70が部材138を押し、部材138およびプランジャ42を動かす。
【0103】
一実施形態においては、順応性のある(compliant)材料142が、可撓膜94および96のそれぞれに面するバルブ・プランジャ42の端部に配置されている。順応性のある材料は、例えばシリコン・ゴム、ネオプレン・ゴム、Vitonまたはエチレン・プロピレン・ジエンメチレン(「EPDM」)などのゴムであってよい。順応性のある材料は、膜94および96ならびに/またはカセット190の剛体部192の表面の小さな不完全性を補償して、バルブ・プランジャ42と可撓シート94または96との間における気密シールの形成を助ける。一実施形態において、可撓膜94および96と接して密着する剛体部192の表面は、平滑であり、あるいは(i)バルブが開くように命じられたとき、シートが剛体部192に貼り付くことがないようにし、(ii)打ち勝たなければならないカセット190内の流体圧力を係数2または3などで効果的に分割する複数のシールをもたらすため、1つ以上の同心のシール・リングを含んでいる。
【0104】
図6に関するポンプの動作と同様、強い真空が、ハウジング130の部位132、ダイアフラム136および部材138によって規定されるチャンバ144に加えられる。弱い真空が、ハウジング130の部位134、ダイアフラム136および部材138によって規定されるチャンバ146に加えられる。チャンバ146内に加えられた弱い真空が、シート94、96をプランジャ142に向かって引くべく作用し、図11に示すとおり流体通路148を開く。流体通路148は、透析液が剛体部192によって規定された通路152から剛体部192によって規定された通路154へと、図11に矢印で示すとおり流れることができるようにする。
【0105】
流体通路148を開くため、チャンバ144に強い真空が加えられる。同時に、チャンバ146に弱い真空が加えられる。強い真空は、例えば2〜10lbsであるプランジャばね70によってもたらされる力、ならびにチャンバ146内の弱い真空によってダイアフラム136に加わる抵抗力に打ち勝つために充分強い。一実施形態においては、プランジャばね70およびプランジャ42が、1〜10psigを超える範囲でありうるポンプ圧力にもとづいて膜を密閉して、3対1の安全係数をもたらすため、0〜約35psigの間の力を加える。さらに図10は、カセット190の複数の面においてバルブを動作させることができる様子を示している。図示はされていないが、同様にカセット190の複数の面において、複数のポンプを動作させることができることを理解すべきである。
【0106】
流体通路148を閉じるため、チャンバ144から強い真空が除かれる。チャンバ146の弱い真空は、維持してもよく、維持しなくてもよい。ばね70がプランジャ42を膜94、96に向かって押し、次いで膜94、96が剛体部192に密着する。ばね70は、圧縮されたとき、0.5〜1.25インチの間であり、自由長において0.75〜1.5インチである。ばねレートは、約5〜約10の範囲であってよい。
【0107】
(III.カセット自動整列の特徴)
次に図12〜14を参照すると、使い捨てカセットを透析装置内に自動的に整列させるための装置および方法が示されている。さらに、この装置および方法は、カセットの位置ずれ問題またはカセットの不完全性問題が存在しないかどうかを検出する。図12は、透析装置100および使い捨てカセット150を示しており、カセット150が装置100に取り付けられようとしているところである。カセット150は、すでに説明したカセットと同様、剛である例えばプラスチック部162、上部可撓膜94および下部可撓膜96を備えている。剛体部162および下部可撓膜96が、3つのポンプ・チャンバ168、172および174を規定している。すでに述べたように、本発明の実施形態のそれぞれは、1つ以上のポンプ・チャンバを有することができる。
【0108】
透析装置100は、基部170と蓋180とを有するハウジングを備えており、図示の実施形態においては、蓋180が基部170にヒンジで取り付けられて、貝殻状構造を形成している。図示の実施形態においては、図1〜5に組立体10が、基部170の内部に収容されている。組立体10の前面プレート30が外へと向き、カセット150と当接して協働するように配置されている。すでに述べたように、ポンプ・ピストン・ヘッド36が、前面プレート30を通って延びている。参考のため、バルブ・プランジャ42およびセンサ74も図示されている。さらに参考のため、装置100は、種々の表示178が表示されるスクリーン176を備えて示されている。
【0109】
透析治療を制御するため、ボタン、ノブおよび他の形式のスイッチなど、いくつかの入力装置184が設けられている。あるいは、スクリーン176がタッチ・スクリーンおよびスクリーン176上に表示された入力装置を通じてオペレータまたは患者が透析治療を制御できるようにするタッチ・スクリーン・コントローラによって動作できる。コントローラ(図示されていない)は、監督プロセッサおよび(i)スクリーン176を制御し、(ii)装置184からの入力を受け付け、(iii)センサ74からの入力を受け付け、さらに(iv)ピストン34およびピストン・ヘッド36ならびにポンプ・プランジャ42および他の機能の動作を制御する複数の代理プロセッサなど、複数のプロセッサを備えることができる。
【0110】
膨張可能な袋182が、カセット150が所定の位置にあるときに膨張してカセット150を前面プレート30に対して固定するために設けられている。図示の実施形態においては、膨張可能な袋182は、蓋180の内表面186に位置している。カセット150を前面プレート30に対して配置した後、蓋180が閉じられる。次いで、コントローラが、膨張可能な袋182を膨張させてカセット150を固定するよう、圧力源に指示する。袋182の膨張に先立ち、カセット150が、前面プレート30と蓋180の内表面186との間でわずかに移動可能である。また、(i)カセット150が、装置100内に配置されるときに前面プレート30に対して整列ずれする可能性があり、さらに/あるいは(ii)例えば漏れなどの完全性の問題が、可撓膜94、96の1つと剛体部162との間に存在する可能性がある。
【0111】
図13および14は、カセット150が装置100に取り付けられた後、かつ膨張可能な袋182が膨張させられる前について、それぞれ図12の線XIII‐XIIIおよびXIV‐XIVを通って得た断面を示している。一実施形態においては中空である蓋180の断面が、カセット150の直上に位置する閉鎖位置に示されている。一実施形態において、蓋は、袋182の膨張やポンプの動作などに先立って機械的にロックされる。膨張可能な袋182は、上部可撓膜94に緩く接触している。他の実施形態において、カセット150を垂直に取り付けてもよいことを、理解すべきである。その場合、前面プレート30は、基部170内で垂直に配置される。
【0112】
図13は、ポンプ・チャンバとピストン・ヘッドとの間に存在するわずかな位置ずれを示している。カセット150のポンプ・チャンバ168、172および174が、ピストン・ヘッド36の上方で適正な位置のわずかに右にある。すなわち、カセット150が、右側へとわずかに位置ずれしている。本発明の透析治療の開始手順においては、コントローラ(図示されていない)が、少なくとも1つ、好ましい実施形態においてはすべてのポンプ・ピストン34および関係するピストン・ヘッド36に対し、流体放出位置へと上方(側面取り付けの場合は側方)に移動するよう指示する。図13には、この上方への運動を示す矢印が含まれている。
【0113】
図14に左向きの矢印が示されており、ピストン・ヘッド36が上方へと移動するとき、ヘッドが下部可撓膜96に接して剛体部162と当接し、カセット150を左方へとスライドさせて適切な動作位置へと移動させる様子を示している。図示のとおり、ピストン・ヘッド36および流体ポンプ・チャンバ168、172および174は、それぞれの端部において先細りとされており、前面プレート30に対するカセット150の整列を助けている。少なくとも2つのポンプ・ピストンを設けることによって、二次元における整列が確保される。他の実施形態においては、両方の水平方向においてオフセットをもたらすため、ポンプ・ピストン34がお互いに対してわずかにずれていてもよい。カセット150および前面プレート30が垂直に配置されている場合、複数のポンプ・ピストン34が複数の垂直方向について整列をもたらす。
【0114】
カセット150は、ピストン・ヘッド36が、流体ポンプ・チャンバ168、172および174に対して位置ずれの自動的な修正にとって整列がずれすぎている位置まで、位置ずれしてもよい。歪みゲージ・センサなどの1つ以上のセンサ188が、ポンプ・ピストン34およびピストン・ヘッド36の移動に対する抵抗を検出するために設けられる。カセット150が整列するように移動しない場合、ピストン134によってカセット150の剛体部162に加えられた力が、剛体部162を横切って伝えられ、歪みゲージ188で検出される。歪みゲージ188が、コントローラへと入力を送信する。コントローラは、歪みゲージの入力が警報設定点レベルまで増加した場合に、ポンプ・ピストン34を引き込んで、スクリーン176にエラー・メッセージを送るようにプログラムされている。
【0115】
さらに、剛体部162の不適切な形成、または剛体部162上への可撓膜96の不適切な配置のため、1つ以上のピストン34の移動が妨げられる可能性がある。そのような場合、すでに述べたように、妨げられたピストンによる力が、剛体部162を通じて力センサ188に伝えられる。やはりセンサ188がコントローラに信号を送信し、コントローラがスクリーン176に警報メッセージを送る。一実施形態においては、警報メッセージがユーザに対して、カセットの位置がずれており、あるいはカセットの完全性に問題があることを警報する。複数のセンサ188が設けられている場合など、他の状況においては、コントローラが、問題が位置ずれであるのか、完全性であるのかを判断し、対応する適当なメッセージをスクリーン176に送るようにすることができる。いずれの場合においても、コントローラがポンプ・ピストンの上方移動を中止させ、関連の応力を緩和すべく引き込むことができる。
【0116】
ひとたびカセット150が、図14に関して示す正しい位置にあると判断されると、コントローラが、膨張可能な袋182を膨張させてカセット150を蓋180と前面プレート30との間に固定するよう、圧力源に指示する。このとき、またはこの前、あるいはこの後に、必要に応じ1つ以上のポンプ・ピストン34を引き込むことができる。
【0117】
(IV.可撓膜の材料)
本明細書において参照番号94および96で参照されるポンプ膜フィルムは、好ましくはPVCを含有しない熱可塑性重合体材料から作られ、図15に示すような単層構造であってよく、図16に示すような多層構造であってよい。フィルムは、押し出し、共押し出し、押し出し積層、積層、ブロー押し出し、筒状押し出し、成型押し出しまたは共押し出し、圧縮成型および熱成形など、通常の熱可塑性プロセス技術を使用して製造することができる。約5%〜40%、さらに好ましくは10%〜30%、最も好ましくは20〜25%の伸びを有するフィルムの製造によく適しているため、熱成形がフィルムの製造のための1つの好ましい方法である。本発明の好ましい形態においては、フィルムの一部、より好ましくは中央部が、ドームとされている。本発明のより好ましい形態においては、ドームが1.60インチの直径および0.26インチの深さを有している。フィルムは、15ミルを下回る厚さを有し、より好ましくは12ミルを下回る厚さを有し、さらに好ましくは約11ミル〜約4ミルの厚さを有する。
【0118】
本発明の好ましい形態においては、フィルムが、本明細書に記載のとおりポンプ膜として機能するための或る物理的特性の要件を満足すべきである。フィルムは、正確な流体体積の配送速度を実現するための機械的係数を有するべきである。本発明の好ましい形態においては、ASTM D‐882に従って測定した弾性係数が20,000psiよりも小さく、より好ましくは15,000psiよりも小さく、さらに好ましくは10,000psiよりも小さい。弾性係数は、5〜40℃の温度範囲にわたって基本的に一定のままであるべきである。
【0119】
さらに、ポンプ膜フィルムは、熱溶着、音波溶着または溶媒による接着など、通常の密着技法を使用して膜フィルムをカセットに恒久的に接着できるよう、カセット92、150および192の材料に対し充分に適合性であるべきである。最も好ましくは、フィルムがカセットに、ヒートシールによって取り付けられる。
【0120】
ポンプ膜フィルムは、1万回のポンプ・ストロークにわたって、配送される流体の体積に大きな変化を生じることなく、ピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42によって変形させられなくてはならない。体積の変化は、10,000回のポンプ・ストローク後、または1回の治療セッションなどの後において、約15パーセント以下であり、より好ましくは約10%以下であり、最も好ましくは5%以下である。
【0121】
さらにフィルムは、5〜40℃の動作温度にわたって機械的特性の変化が最小でなければならない。本発明の好ましい形態において、フィルムは、75℃の表面ヒータとの接触に耐えることができ、95℃のスポット温度に1〜3秒間にわたって耐えることができる。本発明のさらに別の好ましい形態においては、フィルムが、5ミルの厚さを有するフィルムについて、0.20ワット/分・ケルビン(K)よりも大きい熱伝達係数を有することができる。
【0122】
本発明のさらに別の好ましい形態においては、ピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42に面しているフィルムの表面が、これらの装置にポンプ動作を妨げる程度に貼り付くことがない。本発明の一好ましい形態においては、フィルムが、これら装置のフィルムへの貼り付きの防止を助けるため、ざらつきのある表面を有している。ざらつきの或る表面には、マット仕上げまたはタフタ仕上げ、あるいはピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42が接するフィルムの外表面の表面積を低減するための他の表面改質が含まれうる。表面のざらつきは、型押しによって付与することができ、あるいは重合体フィルム・プロセスの分野の当業者にとって公知の技法を用いて、フィルムに付与することができる。
【0123】
本発明の好ましい形態において、フィルムは最小のゲルしか有さず、あるいはゲルを有さない。ゲルはフィルム中の異質物であり、局所的な厚さの増加として現われる。ゲルは、フィルムの他の部分よりも漏れを形成しやすいため、望ましくない。
【0124】
さらに、フィルムが自分自身に容易に、または恒久的に貼り付くことがなく、フィルムが自分自身に貼り付くことから生じる当業者に周知の困難を最小限にしつつ、フィルムを製造し、保管し、本明細書に記載の装置に組み込むことができると好ましい、。
【0125】
さらに、フィルムが、8時間の治療セッションにおいて最小または問題にならない量の水がフィルムを通して失われるよう、水蒸気の透過に対するバリアを呈することが好ましい。本発明の好ましい形態において、フィルムの水蒸気透過率(WVTR)は、37.8℃かつ100%の相対湿度で測定したとき、0.500g/100in2/dayよりも小さく、さらに好ましくは0.300g/100in2/dayよりも小さい。さらに、本発明の好ましい形態においては、25℃かつ100%の相対湿度で測定したWTVRが、0.200g/100in2/dayよりも小さく、さらに好ましくは0.150g/100in2/dayよりも小さい。
【0126】
フィルムは、裂けや切断に対して耐力がなければならない。フィルムは、フィルムの支持されていない部分に、5ポンドの力が加えられた1.6インチの直径を有するプランジャが衝突するとき、裂けに耐えなければならない。本発明の他の好ましい形態においては、フィルムのElmendorf引き裂き強度が、ASTM D 1922に従って測定したとき、300〜3,000gであり、さらに好ましくは500〜1,000gである。本発明の好ましい形態において、フィルムは、約45〜約65Shore Aのデュロメータ硬さを有するべきである。
【0127】
本発明の好ましい形態においては、フィルムは、ガンマ線またはエチレンオキシド滅菌技法によって滅菌できる。
【0128】
さらに、本発明の好ましい形態においては、厚さ9ミルのフィルムについてASTM D‐1003に従って測定した光ヘイズが30%よりも小さく、さらに好ましくは15%よりも小さく、より好ましくは10%よりも小さく、最も好ましくは5%よりも小さいなど、高い透明度を有している。
【0129】
適切なPVC非含有ポリマーには、ポリオレフィン類、エチレンおよび低級アルキル・アクリレートの共重合体類、エチレンおよび低級アルキル置換アルキル・アクリレートの共重合体類、エチレン・ビニル・アセテート共重合体類、ポリブタジエン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ならびにスチレンおよび炭化水素の共重合体類が含まれる。
【0130】
適切なポリオレフィン類には、2〜20の炭素原子、さらに好ましくは2〜10の炭素を含んでなるアルファ‐オレフィン類を重合させて得た単独重合体または共重合体が含まれる。したがって、適切なポリオレフィン類には、プロピレン、エチレン、ブテン‐1、ペンテン‐1、4‐メチル‐1‐ペンテン、ヘキセン‐1、ヘプテン‐1、オクテン‐1、ノネン‐1、およびデセン‐1からなる重合体または共重合体が含まれる。最も好ましいポリオレフィンは、プロピレンの単独重合体または共重合体、あるいはポリエチレンの単独重合体または共重合体である。
【0131】
適切なポリプロピレンの単独重合体は、アモルファス、アイソタクチィック、シンジオタクチック、アタクチック、ヘミアイソタクチックまたはステレオブロックの立体化学を有することができる。本発明の一好ましい形態においては、ポリプロピレンの単独重合体が、シングルサイト触媒を使用して得られる。
【0132】
適切なプロピレンの共重合体は、プロピレン単量体を2〜20の炭素を有するアルファ‐オレフィンと重合させることによって得られる。本発明のより好ましい形態においては、プロピレンが、共重合体の重量に対して約1%〜約20%、より好ましくは約1%〜約10%、最も好ましくは約2%〜約5%のエチレンと共重合される。プロピレンおよびエチレン共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。本発明の好ましい形態においては、プロピレン共重合体が、シングルサイト触媒を使用して得られる。
【0133】
さらに、ポリプロピレンとアルファ‐オレフィンとの共重合体のブレンドを使用することも可能であり、プロピレン共重合体は、アルファ‐オレフィン中の炭素の数によって変化しうる。例えば、本発明において、1つの共重合体が炭素2つのアルファ‐オレフィンを有し、別の共重合体が炭素4つのアルファ‐オレフィンを有しているプロピレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体のブレンドが考えられる。さらに、2〜20の炭素、さらに好ましくは2〜8の炭素のアルファ‐オレフィンの任意の組み合わせを使用することができる。したがって、本発明においては、プロピレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体のブレンドであって、第1および第2のアルファ‐オレフィンが以下の炭素数の組み合わせ、すなわち2および6、2および8、4および6、4および8を有しているブレンドが考えられる。さらに、ブレンド中にポリプロピレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体類を3つ以上使用することも考えられる。適切な重合体は、catalloy手順を使用して得ることができる。
【0134】
さらに、メルトストレングスの大きいポリプロピレンを使用することが望ましい。メルトストレングスの大きいポリプロピレンは、10グラム/10分〜800グラム/10分の範囲内、より好ましくは30グラム/10分〜200グラム/10分の範囲内、あるいはこの中の任意の範囲または任意の範囲の組み合わせのメルト・フロー・インデックスを有するポリプロピレンの単独重合体または共重合体であることができる。メルトストレングスの大きいポリプロピレンは、プロピレン単位の自由端の長い鎖の分岐を有することが知られている。大きいメルトストレングス特性を示すポリプロピレンを調製するための方法は、米国特許第4,916,198号、5,047,485号、および5,605,936号に記載されており、これらはここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。そのような方法の1つには、直鎖プロピレン重合体を、活性酸素濃度が約15体積%である環境下で、直鎖プロピレン重合体のかなりの量の鎖の切断のために充分であるが材料をゲル化するには不充分である期間にわたって、毎分1〜104メガラドの照射量で高エネルギー・イオン化エネルギー放射にて照射することが含まれる。放射は、鎖の切断をもたらす。引き続く鎖断片の再結合が、新しい鎖の形成ならびに分岐を形成するための鎖断片の鎖への接続をもたらす。これが、所望の自由端長さの鎖が分岐し、分子量が大きく、直線でないプロピレン重合体材料をもたらす。放射は、充分な量の長い鎖の分岐が形成されるまで維持される。次いで材料が、放射された材料に存在する事実上すべてのフリーラジカルを非活性化すべく処理される。
【0135】
大きいメルトストレングス特性を示すポリプロピレンは、米国特許第5,416,169号に記載のとおりにして得ることもでき、この米国特許の全体は、指定の有機ペルオキシド(ジ‐2‐エチルヘキシルペルオキシジカーボネート)が指定の条件下でポリプロピレンと反応させられ、続いて溶融混練されるとき、ここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。そのようなポリプロピレンは、ほぼ1の分岐係数を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンであり、すなわち、自由端の長い鎖の分岐を有さず、約2.5dl/g〜10dl/gの固有粘度を有する。
【0136】
適切なエチレン単独重合体には、0.915g/ccを上回る密度を有するものが含まれ、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれる。
【0137】
適切なエチレンの共重合体は、エチレン単量体を3〜20の炭素、より好ましくは3〜10の炭素、最も好ましくは4〜8の炭素を有するアルファ‐オレフィンと重合させることによって得られる。さらに、エチレンの共重合体が、ASTM D‐792によって測定したとき、約0.915g/ccを下回る密度、より好ましくは約0.910g/ccを下回る密度、さらに好ましくは約0.905g/ccを下回る密度を有することが望ましい。そのようなポリマーは、VLDPE(極低密度ポリエチレン)またはULDPE(超低密度ポリエチレン)と称されることが多い。好ましくは、エチレン・アルファ‐オレフィン共重合体は、シングルサイト触媒を使用して製造され、さらに好ましくはメタロセン触媒系を使用して製造される。シングルサイト触媒は、触媒サイトの混合を有するとして知られているZiegler‐Natta型の触媒と対照的に、立体的および電気的に等価なただ1つの触媒位置を有していると考えられる。そのようなシングルサイト触媒によるエチレン・アルファ‐オレフィンは、Dow社によってAFFINITYという商品名で、DuPont Dow社によってENGAGE(登録商標)という商標で、Exxon社によってEXACTという商品名で販売されている。これらの共重合体は、本明細書においてm‐ULDPEと称されることがある。
【0138】
さらに、適切なエチレンの共重合体には、エチレンおよび低級アルキル・アクリレートの共重合体類、エチレンおよび低級アルキル置換アルキル・アクリレートの共重合体類、およびビニル・アセテート成分を共重合体に対して約8重量%〜約40重量%で有しているエチレン・ビニル・アセテート共重合体類が含まれる。「低級アルキル・アクリレート」という用語は、ダイアグラム1に示す化学式を有するコモノマーを指す。
【0139】
【化1】
R基は、1〜17の炭素を有するアルキル類を指す。したがって、「低級アルキル・アクリレート」という用語には、これらに限られるわけではないが、メチル・アクリレート、エチル・アクリレート、およびブチル・アクリレートなどが含まれる。
【0140】
「アルキル置換アルキル・アクリレート」という用語は、ダイアグラム2に示す化学式を有するコモノマーを指す。
【0141】
【化2】
R1およびR2は、1〜17の炭素を有するアルキル類であり、炭素の数が同じであってもよく、異なっていてもよい。したがって、「アルキル置換アルキル・アクリレート」という用語には、これらに限られるわけではないが、メチル・メタクリレート、エチル・メタクリレート、メチル・エタクリレート、エチル・エタクリレート、ブチル・メタクリレートおよびブチル・エタクリレートなどが含まれる。
【0142】
適切なポリブタジエン類には、1,3‐ブタジエンの1,2‐または1,4‐添加製品が含まれる(これらをまとめてポリブタジエンと称する)。本発明のより好ましい形態においては、重合体が、1,3ブタジエンの1,2‐添加製品である(これらは1,2ポリブタジエンと称される)。本発明のさらに好ましい形態においては、関心のある重合体がシンジオタクチックの1,2‐ポリブタジエンであり、さらに好ましくは、低結晶化度シンジオタクチック1,2ポリブタジエンである。本発明の好ましい形態において、低結晶化度シンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、50%を下回る結晶化度を有し、より好ましくは45%を下回る結晶化度を有し、さらに好ましくは40%を下回る結晶化度を有し、さらに好ましくは、結晶化度が約13%〜約40%であり、最も好ましくは約15%〜約30%である。本発明の好ましい形態において、低結晶化度シンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、ASTM D 3418に従って測定し、約70℃〜約120℃の融点温度を有する。適切な樹脂には、JSR(日本合成ゴム)によってJSR RB 810、JSR RB 820、およびJSR RB 830のグレード指定にて販売されているものが含まれる。
【0143】
適切なポリエステル類には、ジ‐またはポリカルボン酸類とジまたはポリヒドロキシ・アルコール類あるいはアルキレン・オキシド類の重縮合産品が含まれる。本発明の好ましい形態において、ポリエステルは、ポリエステル・エーテルである。適切なポリエステル・エーテルは、1,4シクロヘキサン・ジメタノール、1,4シクロヘキサン・ジカルボン酸、およびポリテトラメチレン・グリコール・エーテルを反応させることから得られ、一般にPCCEと称される。適切なPCCE類は、Eastman社からECDELという商品名で販売されている。さらに、適切なポリエステル類には、ポリブチレン・テレフタレートの硬質結晶化セグメントおよび軟質(非晶質)ポリエーテル・グリコール類の第2のセグメントのブロック重合体であるポリエステル・エラストマ類が含まれる。そのようなポリエステル・エラストマ類は、Du Pont Chemical CompanyによってHYTREL(登録商標)という商品名で販売されている。
【0144】
適切なポリアミド類には、4〜12の炭素を有するラクタム類の開環反応から得られたものが含まれる。したがって、このグループのポリアミドは、ナイロン6、ナイロン10およびナイロン12を含む。さらに、受容可能なポリアミド類には、2〜13に範囲内の炭素数を有するジ‐アミンの縮合反応から得られる脂肪族ポリアミド類、2〜13に範囲内の炭素数を有する二価酸の縮合反応から得られる脂肪族ポリアミド類、二量体脂肪酸の縮合反応から得られるポリアミド類、およびアミド含有共重合体が含まれる。したがって、適切な脂肪族ポリアミド類には、例えばナイロン66、ナイロン6,10、および二量体脂肪酸ポリアミド類が含まれる。
【0145】
スチレンおよび炭化水素の共重合体のスチレンには、スチレンおよびアルキル置換スチレンおよびハロゲン置換スチレンを含む種々の置換スチレンが含まれる。アルキル基は、1〜約6の炭素原子を含むことができる。置換スチレンの特定の例としては、アルファ‐メチルスチレン、ベータ‐メチルスチレン、ビニルトルエン、3‐メチルスチレン、4‐メチルスチレン、4‐イソプロピルスチレン、2,4‐ジメチルスチレン、オルト‐クロロスチレン、パラ‐クロロスチレン、オルト‐ブロモスチレン、2‐クロロ‐4‐メチルスチレン、などが含まれる。スチレンが最も好ましい。
【0146】
スチレンおよび炭化水素の共重合体の炭化水素部分には、共役ジエン類が含まれる。使用できる共役ジエンは、4〜10の炭素原子を含むものであり、さらに一般には、4〜6の炭素原子を含むものである。例としては、1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐1,3‐ブタジエン(イソプレン)、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、クロロプレン、1,3‐ペンタジエン、1,3‐ヘキサジエン、などが含まれる。ブタジエンおよびイソプレンの混合物など、これら共役ジエンの混合物も使用することができる。好ましい共役ジエンは、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンである。
【0147】
スチレンおよび炭化水素の共重合体は、ジ‐ブロック、トリ‐ブロック、マルチ‐ブロック、およびスター・ブロックを含むブロック共重合体であってよい。ジブロック共重合体の特定の例としては、スチレン‐ブタジエン、スチレン‐イソプレン、およびこれらの水素化誘導体が含まれる。トリブロック重合体の例としては、スチレン‐ブタジエン‐スチレン、スチレン‐イソプレン‐スチレン、アルファ‐メチルスチレン‐ブタジエン‐アルファ‐メチルスチレン、およびアルファ‐メチルスチレン‐イソプレン‐アルファ‐メチルスチレン、ならびにこれらの水素化誘導体が含まれる。
【0148】
前記ブロック共重合体の選択的水素化は、Raneyニッケル、白金、パラジウムなどの貴金属、ならびに溶解可能な遷移金属触媒などの触媒存在下での水素化を含む種々の公知のプロセスによって実行可能である。使用可能な適切な水素化プロセスは、ジエン含有重合体または共重合体が、シクロヘキサンなどの不活性炭化水素希釈液に溶解され、溶解可能な水素化触媒の存在下で水素との反応によって水素化されるものである。そのような手順は、米国特許第3,113,986号および第4,226,952号に記載されており、これらにおける開示はここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。
【0149】
とくに有用な水素化ブロック共重合体は、スチレン‐(エチレン/プロピレン)‐スチレン・ブロック重合体など、スチレン‐イソプレン‐スチレンの水素化ブロック共重合体である。ポリスチレン‐ポリブタジエン‐ポリスチレン・ブロック重合体が水素化されたとき、得られる産品は、エチレンおよび1‐ブテンの通常の共重合体ブロック(EB)に似ている。すでに述べたように、使用される共役ジエンがイソプレンであるとき、得られる水素化産品は、エチレンおよびプロピレンの通常のブロック共重合体(EP)に似ている。市販されている選択的に水素化されたブロック共重合体の一例は、KRATON G‐1652であり、30%のスチレン両端ブロックを有する水素化SBSトリブロックであり、中間ブロック均等物は、エチレンおよび1‐ブテンの共重合体(EB)である。この水素化ブロック共重合体は、SEBSと称されることが多い。他の適切なSEBSまたはSIS共重合体は、KurrarryによってSEPTON(登録商標)およびHYBRAR(登録商標)という商品名で販売されている。
【0150】
さらに、アルファ、ベータ‐不飽和モノカルボンまたはジカルボン酸試薬を前記の選択的水素化ブロック共重合体にグラフトし、グラフト改質スチレンおよび炭化水素ブロック共重合体を使用することが望ましい。
【0151】
共役ジエンおよびビニル芳香族化合物のブロック共重合体が、アルファ、ベータ‐不飽和モノカルボンまたはジカルボン酸試薬でグラフトされる。カルボン酸試薬には、カルボン酸そのもの、および選択的に水素化されたブロック共重合体にグラフトできる無水物、イミド、金属塩、エステルなどのカルボン酸の官能誘導体が含まれる。グラフトされた重合体は、通常は、ブロック共重合体およびカルボン酸試薬の全重量にもとづき、約0.1〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%のグラフトされたカルボン酸を含む。有用な一塩基カルボン酸の特定の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、無水アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム、およびアクリル酸マグネシウムなどが含まれる。ジカルボン酸およびその有用な誘導体には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、モノメチルマレアート、モノナトリウムマレアートなどが含まれる。
【0152】
スチレンおよび炭化水素のブロック共重合体は、Shell Chemical CompanyによってKRATON G2705という製品名で販売されているオイル修飾SEBSなど、オイルで修飾できる。
【0153】
本発明の最も好ましい形態においては、膜フィルムが、図15に示したような単層構造であり、m‐ULDPE樹脂から作られている。図16に示したような2層またはそれ以上の層を有する多層構造については、溶液と接触する内側層がm‐ULDPEであることが望ましく、外側を向いた層(外側層)は、前記ポリマーから選択された重合体材料、金属箔または紙であることができる。ポンプ・フィルムは、カセットに取り付けられ、カセットに取り付けられた部位と、カセットに支持されず、カセットに支持された部位の間を広がっている他の部位とを有している。フィルムは、一般に、フィルムがカセットに取り付けられている部位の間で教えられる。すなわち、フィルムは、第1の支持と第2の支持との間に広がり、前記した物理的特性の1つ以上を満足する。ポンプ・フィルムは、流体レザバーを覆い、レザバーをとおって流体を移動させるため第1の位置から第2の位置まで可動である。フィルムは、ピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42などによるフィルムの非支持部分への1回の接触または一連の周期的接触に応じて、第1および第2の位置の間を移動する。本明細書に示したカセットはおおむね矩形であるけれども、本発明の技術的範囲を離れることなく、多角形、円形、楕円形および不規則形状など、多数あるさまざまな形状を有することができる。
【0154】
カセットは、好ましくは熱可塑性重合体から作られ、さらに好ましくは、剛な熱可塑性重合体から作られる。本発明の好ましい形態においては、カセットが、前記したようなプロピレンの単独重合体または共重合体、環状オレフィンの単独重合体または共重合体、あるいは架橋多環炭化水素の単独重合体または共重合体などのポリオレフィンから作られる。そのようなポリマー類は、まとめてCOCと称することがある。
【0155】
適切な環状オレフィン類および架橋多環炭化水素の単独重合体または共重合体、ならびにそれらのブレンドは、米国特許第5,218,049号、第5,854,349号、第5,863,986号、第5,795,945号、第5,792,824号、第4,993,164号、第5,008,356号、第5,003,019号、および第5,288,560号に見つけることができ、これらはすべて、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。本発明の好ましい形態において、これらの単独重合体、共重合体、または重合体ブレンドは、摂氏50度を上回るガラス遷移温度を有し、さらに好ましくは、約摂氏70度〜約摂氏180度のガラス遷移温度を有し、0.910g/ccよりも大きい密度を有し、さらに好ましくは0.910g/cc〜約1.3g/ccの密度を有し、最も好ましくは0.980g/cc〜約1.3g/ccの密度を有し、重合体のバックボーンに少なくとも20モル%、より好ましくは約30〜65モル%、最も好ましくは約30〜60モル%の環状脂肪族化合物または架橋多環式化合物を有する。
【0156】
本発明の好ましい形態においては、適切な環状オレフィン単量体は、リングに5〜約10の炭素を有する単環式の化合物である。環状オレフィンは、置換および非置換のシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエンから構成されるグループから選択できる。適切な置換基には、低級アルキル、アクリレート誘導体などが含まれる。
【0157】
本発明の好ましい形態において、適切な架橋多環炭化水素単量体は、2つ以上のリングを有し、さらに好ましくは少なくとも7つの炭素を含んでいる。リングは、置換されてもよく、置換されていなくてもよい。適切な置換基には、低級アルキル、アリル、アラルキル、ビニル、アリルオキシ、(メタ)アクリオキシ、などが含まれる。架橋多環炭化水素は、前記引用特許および特許出願に開示のもので構成されるグループから選択される。本発明の好ましい形態においては、多環炭化水素が、開環メタテシス重合(ROMP)よりはむしろ、付加反応において重合される。重合体を含んでいる適切な架橋多環炭化水素は、Ticona社によってTOPASという商品名で、Nippon Zeon社によってZEONEXおよびZEONORという商品名で、Daikyo Gomu Seiko社によってCZ樹脂という商品名で、Mitsui Petrochemical CompanyによってAPELという商品名で、販売されている。
【0158】
適切なコモノマーには、3〜10の炭素を有するアルファ‐オレフィン類、芳香族炭化水素、他の環状オレフィンおよび架橋多環炭化水素が含まれる。さらに、前記の単独重合体および共重合体に関連したペンダント基を有することが望ましい。ペンダント基は、環状オレフィン含有重合体および架橋多環炭化水素含有重合体を、アミン、アミド、イミド、エステル、カルボン酸、および他の極性官能基を含むより極性のある重合体と適合化させるためのものである。適切なペンダント基には、芳香族炭化水素、二酸化炭素、モノエチレン性不飽和炭化水素、アクリロニトリル、ビニル・エーテル、ビニル・エステル、ビニルアミド、ビニル・ケトン、ビニル・ハライド、エポキシド、環状エステルおよび環状エーテルが含まれる。モノエチレン性不飽和炭化水素には、アルキル・アクリレート、およびアリル・アクリレートが含まれる。環状エステルには、無水マレイン酸が含まれる。
【0159】
さらに、重合体ブレンドもカセットの製造に適していることが見出された。本発明の適切な2成分のブレンドは、第1の成分としてCOCを含んでいる。COCは、ブレンドの重量の約1〜99%、さらに好ましくは約30〜99%、最も好ましくは35〜99%の量で存在でき、あるいはこれらの中の範囲の任意の組み合わせまたは部分組み合わせの量で存在できる。本発明の好ましい形態においては、第1の成分が、約摂氏70度〜約摂氏130度、さらに好ましくは約摂氏70〜110度のガラス遷移温度を有する。
【0160】
さらにブレンドは、第2の成分を、ブレンドの重量の約99〜1%、さらに好ましくは約70〜1%、最も好ましくは65〜1%の量で含んでいる。第2の成分は、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセンおよびスチレンの単独重合体または共重合体で構成されるグループから選択される。第2の成分は、好ましくは約0.870〜0.960g/ccの密度を有し、より好ましくは約0.910〜0.960g/ccの密度を有し、さらに好ましくは約0.930〜0.960g/ccの密度を有している。本発明の好ましい形態においては、第2の成分が、エチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体であり、アルファ‐オレフィンが3〜10の炭素、より好ましくは4〜8の炭素、最も好ましくは6の炭素を有している。最も好ましくは、エチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体が、メタロセン触媒を使用して得られる。
【0161】
適切な3成分ブレンドは、第3の成分として、前記したCOCから選択され第1の成分とは異なっているCOCを含んでいる。本発明の好ましい形態において、この第2のCOCは、第1のCOCが約摂氏120度よりも低いガラス遷移温度を有するとき、約摂氏120度よりも高いガラス遷移温度を有する。本発明の好ましい形態においては、第3の成分は、ブレンドの重量の約10〜90%の量で存在し、第1および第2の成分は、第2の成分に対する第1の成分の比がそれぞれ約2:1〜約1:2で存在すべきである。
【0162】
本発明の好ましい形態においては、ノルボルネンおよびエチレンのランダムおよびブロック共重合体が、ブレンドの第1の成分として選択される。これらノルボルネン共重合体は、米国特許第5,783,273号、第5,744,664号、第5,854,349号、および5,863,986号に詳細に記載されている。ノルボルネン・エチレン共重合体は、好ましくは少なくとも20モル・パーセントのノルボルネン単量体を有し、さらに好ましくは約20〜75モル・パーセント、最も好ましくは約30〜60モル・パーセントのノルボルネン単量体、またはこの中の範囲の任意の組み合わせまたは部分組み合わせを有している。ノルボルネン・エチレン共重合体は、約摂氏70〜180度、より好ましくは約摂氏70〜130度、さらに好ましくは約摂氏70〜100度のガラス遷移温度を有するべきである。
【0163】
第2の成分は、好ましくは4〜8の炭素を有するアルファ‐オレフィンと共重合したエチレンである。好ましくは、エチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体は、メタロセン触媒を使用して得られる。好ましい触媒系は、とくには米国特許第5,783,638号および第5,272,236号に記載のものである。適切なエチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体には、Dow Chemical CompanyからAFFINITYおよびENGAGEという商品名で販売されているもの、Exxon社によってEXACTという商品名で販売されているもの、およびPhillips Chemical CompanyによってMARLEXという商品名で販売されているものが含まれる。
【0164】
すでに述べたように、第1の成分であるノルボルネン/エチレン共重合体は、ブレンドの重量の約1〜99%、さらに好ましくは約30〜99%、最も好ましくは35〜99%で存在できる。好ましい3成分ブレンドにおいては、第2のノルボルネンおよびエチレンの共重合体が、2成分のノルボルネン‐エチレン/エチレン・アルファ‐オレフィン・ブレンドに加えられる。第2のノルボルネン・エチレン共重合体は、30モル・パーセント以上、より好ましくは約35〜75モル・パーセントのノルボルネン単量体成分を有するべきであり、第1の成分が摂氏120度よりも低いガラス遷移温度を有するとき、摂氏120度よりも高いガラス遷移温度を有するべきである。
【0165】
カセットは、COCおよび前記のブレンドから製造することができる。カセットは、射出成形、ブロー成形、熱成形プロセス、または他のプラスチック製造技法によって、COCから製造することができる。本発明の好ましい形態においては、カセットが射出成形で作られる。
【0166】
カセットへと接続されるチューブは、カセットと適合性であり、本発明の好ましい形態においては、ポリオレフィンから作られ、より好ましくはm‐ULDPEから作られ、さらに好ましくは本件と譲受人が同一である米国特許第6,372,848号によるm‐ULDPE樹脂のブレンドから作られ、この米国特許は、ここでの言及によって全体が本明細書に組み込まれたものとする。チューブは、流体レザバーと流体流通し、レザバーへと流体を運び、レザバーから流体を運ぶことができる。
【0167】
(V.透析液の流れの多重化)
次に図17〜20を参照すると、バルブおよびポンプ構成200が、本発明のポンプおよびバルブについての考えられる1つの配置構成を示している。図18〜20は、バルブ構成200に関してバルブがどのように順序付けられるのかについての一例を示す値の組を記載している。したがって、他の値の組も可能である。
【0168】
カセット‐ベースの本明細書に記載の改善は、血液透析および腹膜透析など、さまざまな異なる種類の透析治療において機能可能である。例えば、腹膜透析において、このシステムは、バッチ・システム、連続フロー・システム、タイダル・フロー・システム、およびこれらの任意の組み合わせであることができる。バッチ式のシステムにおいては、透析液が患者へと送出され、次いで排出される。タイダル・フロー・システムは、バッチ式システムの修正であり、すべての流体を患者の腹膜腔から引き抜く代わりに、流体の一部をより頻繁に引き抜いて置換する。タイダル・フロー・システムは、バッチ治療および連続治療の両者に類似の特徴を有している。
【0169】
連続フロー・システムにおいては、透析液が患者へとポンプで送られ、1つ以上のフィルタおよび再生装置を通して患者へと戻される。連続フロー・システムは、通常は、流体が患者へと届く前に流体へと加えられるべき1つ以上の濃縮物を必要とする。さらに、ループ内の流体の総量が比較的一定に保たれるよう、患者によって生成された大まかに等しい量の限外濾過液が循環から取り除かれる。本明細書に記載の構成要素は、可変容積CFPDシステムにおいても同様に使用することができる。
【0170】
バルブおよびポンプ構成200は、これらの種類のシステムのそれぞれにおいて機能することができる。構成200は、連続フロー治療にとくに適しており、したがってCFPDに関して説明されるが、CFPDに限られるわけではない。ポンプ/バルブ構成200は、第1のポンプ・チャンバ204の上流の第1の導入バルブ202、およびポンプ・チャンバ204の下流の第1の排出バルブ206を備えている。ポンプ/バルブ構成200は、第2のポンプ・チャンバ210の上流の第1の導入バルブ208、および第2のポンプ・チャンバ210の下流の第1の排出バルブ212を備えている。
【0171】
第1の導入バルブ202と呼応して動作する第2の導入バルブ214が、第1のポンプ・チャンバ204の上流に位置している。同様に、第2の排出バルブ216が、第1のポンプ・チャンバ204の下流に位置している。第1の導入バルブ208と呼応して動作する第2の導入バルブ218が、第2のポンプ・チャンバ210の上流に位置している。第1の排出バルブ212と呼応して動作する第2の排出バルブ220が、第2のポンプ・チャンバ210の下流に位置している。
【0172】
連続フロー・システムにおいては、再生された透析液が、1つ以上の再生装置222から第1の入口経路226を通り、それぞれ第1の導入バルブ202および208を通って、第1および第2のポンプ・チャンバ204および210へと流れる。連続フロー・システムにおいては、以下でより詳しく述べるとおり、同時またはわずかに異なる時点において、1つ以上の添加剤または濃縮物228が、第2の入口経路232を通り、それぞれ第2の導入バルブ214および/または218を通って、第1および第2のポンプ・チャンバ204および/または210へと流入する。一実施形態において、ポンプ204および210は交互に動作し、したがって、一方のポンプが流体を引き込むとき、第2のポンプが流体を患者へと押し出す。
【0173】
構成200においては、連続フロー透析に関し、透析液がポンプ204および210から、それぞれ第1の出口バルブ206および212を通って流れ、第1の排出経路236を通って患者238へと流れる。連続流とともに、流体をポンプ204および210から交互に、それぞれ第2の排出バルブ216および220を通り、第2の出口経路240を通って限外濾過バッグ232へと放出することができる。一実施形態においては、流体が患者238から、再生経路234を通って再生装置222へと流れる。
【0174】
自動腹膜透析(「APD」)またはタイダル・フローにおいては、再生装置222および添加剤228が、1つ以上の供給バッグ224および230で置き換えられる。ここで、ポンプ204および210が交互に、第1の入口ライン226ならびに第1の導入バルブ202および208を通して供給バッグ224から流体を引き込み、さらに/または、第2の入口経路232ならびに第2の導入バルブ214および218を通して供給バッグ230から流体を引き込む。APDまたはタイダル・フローにおいては、第1の排出経路236を介し、第1の出口バルブ206および212を通じて、ポンプ204および210が患者238へとポンプする。あるいは、ポンプ204および/または210が、第2の出口経路240を介し、第2の排出バルブ216および220を通じて、例えばサンプル・バッグ240へとポンプしてもよい。
【0175】
このように、APDまたはタイダル・フローにおいては、使用された流体が患者からドレインへとポンプで送られ、第1の排出経路236が患者からの経路として機能し、第2の出口経路240がドレイン232へと流れる。CFPDにおいては、流れを交互に反転させることができ、代わりに患者238から第1の出口経路2236を通って、一方または両方のポンプ204および210、ならびに限外濾過液の収集232へと流れる。ここで、第1の入口経路226および第1の排出経路236は、同時に両方向への流れを可能にするため複数の管腔を備えることができる。
【0176】
説明を容易にするため、セクションVに関して本発明の残りの部分は、CFPDに関連して説明する。CFPDにおいては、第2の導入バルブ214および218が、例えば添加剤などの第2の流体を、第1の入口経路226を通って連続的に流れている主たる透析液へと、間欠的に注入できるようにする。第2の排出バルブ216および220が、第1の排出経路236を通って連続的に流れている主たる透析液から、例えば限外濾過液などの流体を間欠的に取り去ることができるようにする。第2の導入バルブ214および218、ならびに第2の排出バルブ216および220は、追加のポンプ・チャンバを設けることなく追加のポンプ機能を実現可能にする。追加のポンプ・チャンバが不要になることで、使い捨てカセットしたがって透析装置全体を、より小さく、より軽量であり、より低コストにすることができる。ポンプ・チャンバの数がより少ない装置の動作は、より多数のポンプ流体チャンバを備える装置よりも騒音が少ない。
【0177】
図18〜20は、CFPDのための構成200に関し、ポンプ204および210ならびに種々のバルブについて動作手順の一例を示している。図18は、再生装置222から第1の入口経路226および第1の排出経路236を通過して患者238へと至る透析液の主たる流れに関し、ポンプ204および210のサイクルを示している。この例においては、構成200を通過する主たる透析液の流れは、100ml/分の流速に設定されている。一実施形態において、ポンプ・チャンバ204および210のそれぞれが、10mlの総体積容量を有している。ポンプ・アクチュエータおよびピストン34が、1つの完全なポンプ・サイクル(両方のバルブがストロークを実行する)が12秒ごとに生じるように動作する。
【0178】
図18は、ポンプ204および210から患者238へと届けられる流体の量を示している。最初の6秒間において、ポンプ204(P1)が10mlの流体を、バルブ206および第1の排出経路236を通じて患者238へと送出する。ポンプ210と動作する第1の排出バルブ212は、閉じられている。同じ最初の6秒間の間に、10mlの透析液が、1つ以上の再生装置222から第1の入口経路226を通り、第1の導入バルブ208を通ってポンプ・チャンバ210へと送られる。この間、第1の導入バルブ202は閉じられている。
【0179】
第2の6秒間、すなわち1つの完全なポンプ・サイクルの第2の半分において、ポンプ210が、最初の6秒の間に得た流体を患者238へと放出する。ポンプ204が、第2のポンプ・サイクルにおいて患者238へと送出するための準備として、再生装置222から流体を引き込む。第1のポンプ・サイクルの第2の6秒間においては、ポンプ210に組み合わせられた第1の排出バルブ212が開いており、一方、ポンプ204に組み合わせられた第1の出口バルブ206は閉じている。ポンプ・チャンバ204に組み合わせられた第1の導入バルブ202は開いており、一方、ポンプ210に組み合わせられた第1の導入バルブ208は閉じている。さらに、第1の完全なサイクルの第2の6秒間においては、ポンプ210(P2)が、10mlの流体を患者238へと送出する。ついで、この完全なサイクルが、1分間の全体にわたってあと4回繰り返され、合計100mlの流体が届けられる。
【0180】
図19および20は、それぞれ、1つ以上の添加剤を加えるための第2の導入バルブ214および218の動作手順、および限外濾過液232を取り除くための第2の排出バルブ216および220の動作手順について、種々の可能性を示している。図19は、特定の添加剤流速を達成するため、ポンプ204および210が交互に添加剤228から、第2の入口経路232を通じ、バルブ214および218を通じて引き込まなければならない頻度を示している。例えば、ポンプ・チャンバ容積が10mlで一定であると知られているときに、1ml/分の添加剤流速を得たいと望む場合、ポンプ204および210を通して、10分ごとに、合計の総量として完全なチャンバ1つ分の透析液を引き込まなければならない。これは、それぞれのポンプが、完全なチャンバ1つ分の透析液を20分に1回送出することを意味する。
【0181】
毎分に合計10回の出力ストローク(両方のポンプ)があるとすると、20分ごとにそれぞれ1回の完全なチャンバを達成するため、ポンプ204および210のそれぞれは、チャンバ一杯の添加剤228を、100回のストロークごとにポンプしなければならない。患者への透析液の総流速が100ml/分であるとき、毎分1mlの添加剤の流れのためには、ポンプ204について、第1の導入バルブ202が連続して99回開く。第2の導入バルブ214は、100回目の導入ストロークにおいて開く。同様に、ポンプ210についても、第1の導入バルブ208が99回連続して開く。バルブ218は、100回目の導入ストロークにおいて開く。
【0182】
図19は、0.2、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0ml/分の添加剤の流速について、全チャンバ容積およびストローク手順を示している。しかしながら、透析液に対する所望の任意の割合の添加剤の流れを、主たる導入バルブ202および208の開放に対する第2の導入バルブ214および218の手順によって達成することができることを理解すべきである。
【0183】
次に図20を参照すると、限外濾過液除去の表が示されている。図19の添加手順の表の値の決定について上記した検討が、限外濾過の表の値の決定のために同じく使用される。したがって、毎分1mlの流体を限外濾過コンテナ232へと取り除くため、ポンプ204および210のそれぞれが、1つの完全なチャンバ容積である10mlの透析液を、100回のストロークごとに1回、限外濾過バッグ232へと送出する(透析液の流れの総流速が、図18に示すとおり100ml/分であると仮定する)。1ml/分の限外濾過液流速を達成するため、ポンプ204および210が共同で、例えば10mlである1つのチャンバ容積の流体を、10分ごとに送出する。したがって、第1の出口バルブ206および212が連続して99回開く。その後、第2の排出バルブ216および220が、100回目のストロークにおいて開く。
【0184】
添加剤および限外濾過液の制御の両者において、第2の導入バルブ214および218の開放は、所望のとおり離間させることができる。例えば、サイクルが100ストロークごとに1回であるとき、バルブ214および218の開放を、50ストロークだけずらすことができる。同様にして、限外濾過液を、バルブ216を介して第2の出口経路240から引き出し、50回のストロークの後に、バルブ220を通じて引き出すことができる。添加剤の流速が限外濾過液の流速と相違してもよいことを、図19および20から理解すべきである。しかしながら、除去速度が添加速度よりも大きく、あるいはその逆である場合、ループを流れる全体積を補償する必要があるであろう。患者によって生成される限外濾過液もまた、例えば限外濾過液を濃縮物の追加よりも速い速度で除去するなどによって、補償しなければならない。
【0185】
一実施形態において、添加剤228および限外濾過液232は、ポンプ204が引き込みストロークにあって、ポンプ210が押し出しのストロークにあるときに、例えばポンプ204と共同して動作する第2の導入バルブ214を開くと同時に、ポンプ210と共同して動作する第2の排出バルブ220を開くことによって、それぞれ事実上同時に添加および除去される。これにより、添加剤が患者のループから直ぐに取り去られてしまうことがないよう、限外濾過液がシステムから引き取られるのと同時に、添加剤をシステムに混ぜることができる。ポンプ動作の順序を反対にし、ポンプ210が添加剤228を引き込みつつ、ポンプ204が限外濾過液をコンテナ232へと送出してもよいことを、理解すべきである。
【0186】
一実施形態においては、部分的ポンプ・ストロークを使用することができる。図8に関してすでに述べた回転‐直線変換器を組み合わせてなる直線ステッピング・モータ、回転ステッピング・モータまたはサーボ・モータなど、位置決め可能なポンプ・アクチュエータによって、充填または放出のストロークにおいて、ポンプ・チャンバの全容積よりも少ない透析液、添加剤228または限外濾過液232を送出するため、ピストン34を途中まで駆動することが可能である。
【0187】
添加剤の流速および限外濾過液の流速は、それぞれ第2の導入バルブ214および218を同時または同じ完全なポンプ・サイクルにおいて開くことによって、あるいは第2の排出バルブ216および220を同時または同じ全体のポンプ・サイクル内で開くことによって、2倍にすることができる。添加剤228および限外濾過液232の全体積は、流体ポンプ・チャンバ204および210内の全体積、所与の期間において第2の導入および排出バルブが開かれたストロークの数、および使用したストロークの割合(途中までのストロークであるか、完全なストロークであるか)を知ることによって計算することができる。あるいは、セクションVIIIに関して後で説明するとおり、送出される流体の体積を、例えば容量式流体体積センサを使用して測定することが可能である。
【0188】
構成200を、2つのポンプを備えるものとして説明したが、図17〜20に関して説明した流れの多重化が、1つのポンプまたは3つ以上のポンプを有する透析システムにおいても機能可能であることを、理解すべきである。さらに、一実施形態においては、交互のポンプ204および210が好ましいが、他の実施形態においては、同時に両方のポンプが流体を引き込むことができ、流体を放出することができる。さらに、3つ以上のポンプが存在するとき、1つのポンプが流体を引き込む一方で、1つ以上のポンプが流体を引き込み、流体を押し出し、あるいは休止していることができる。
【0189】
(VI.知識ベース・エキスパート流体配送システム)
本発明のカセット‐ベースの実施形態において機能可能なあらゆる治療(血液透析、CFPD、APDおよびタイダル・フロー腹膜透析)は、2つ、3つ、4つまたはさらにそれ以上の流体ポンプなど、複数のポンプを使用することができる。また、複数の溶液を使用することができる。血液透析は、血液および透析液をポンプで送る。CFPDは、連続的に流れる透析液、1つ以上の濃縮された添加剤の供給、患者によって生成された限外濾過液、およびその他など、いくつかの異なる溶液を使用する。APDおよびタイダル・フローにおいては、システムが、並列で動作する複数の流体供給バッグを使用する。
【0190】
さらに、種々の治療は、流体の流れの多数の送り先を含んでいる。流体を患者へと送るという明らかな送り先のほかに、治療においては、限外濾過コンテナ、ドレイン・バッグ、サンプル・コンテナ、アキュムレータ、または他の送り先へもポンプによる送出がおこなわれる。治療は、流体の流れの出発点、流体ポンプ、および流体の流れの送り先からなる複雑なマトリクスを生じさせる。複雑さに加え、自動化システムは、通常は患者または医師によって、多数の入力パラメータを変更できるようにする。例えば、いくつかの例を挙げると、患者または医師が、総治療時間、流体の流速、バッチ・システムに関してはさまざまな滞留期間、CFPD溶液における電解質または他の添加剤の濃度を制御することができる。
【0191】
したがって、患者および/または医師によって選択されるパラメータの考えられる組み合わせのそれぞれについて、ポンプの動作スケジュールをあらかじめ定めてメモリに記憶することは、不可能ではないにせよ、きわめて困難である。したがって、本発明は、ユーザが種々のパラメータについての値を入力した後にポンプの動作スケジュールを「オン・ザ・フライ」で決定するため、以下のエキスパート・システムおよび方法を提供する。透析治療のポンプの動作スケジュールの作成ためのエキスパート・システムおよび方法は、1つ以上の溶液、1つ以上のポンプ、および1つ以上の送り先など、溶液、ポンプ、および送り先の任意の組み合わせに適用可能である。図21は、3つの溶液、3つのポンプ、および3つの送り先を含む1つの可能性を示している。
【0192】
図21は、(i)溶液1〜溶液3、(ii)ポンプP1〜ポンプP3、および(iii)送り先1〜送り先3のためのハードウェア構成を概略的に示している。理論構成の枠組みをもたらすため、溶液1を患者の溶液、すなわちCFPDにおいて患者から出発する溶液とし、溶液2がアキュムレータ溶液であり、溶液3が濃縮物溶液である。送り先1をフィルタまたはカートリッジとし、送り先2はアキュムレータであり、送り先3は限外濾過コンテナである。一実施形態において、CFPDシステムは、流体の一部を蓄積するアキュムレータを備えている。アキュムレータは、種々の流体および化学品を混合し、それらの流体および化学品を安定化させる。さらにアキュムレータは、分析のため流体のサンプルを提供するためにも使用することができる。化学品濃縮物添加剤がただ1つ示されているが、透析システム、とくにはCFPDは、多くの異なる化学品および添加剤を含むことができる。
【0193】
図示のとおり、アキュムレータは、溶液または供給源および送り先の両者である。溶液または送り先としての特定の存在の指定は、ある場合において任意であり、その存在が溶液または送り先として一貫して保たれる限りにおいて許される。例えば、患者は、図示のとおりポンプが患者から溶液を引き出す溶液であることができ、あるいはポンプが患者へと流体を押し込む送り先(図示されていない)であることができる。さらに、患者は、交互に溶液および送り先であることができる。一方、濃縮物溶液は、任意に送り先として指定されることはできない。同様に、限外濾過液収集の送り先も、溶液として指定されることはできない。
【0194】
図21は、1つの実施形態において溶液、ポンプおよび送り先の間に存在する種々の流体通路を示している。図示のとおり、ポンプ1は、3つの溶液のすべてから引き込むことができるが、ただ1つの送り先1にのみ出力する。これは、使い捨てカセットの流体通路および/または外部のチューブによって設定された物理的制約である。同様に、ポンプ2は、3つの溶液のいずれかから溶液を引き込み、3つの溶液のいずれかへと送出できるよう、流体流通可能に接続されている。ポンプ3は、溶液1からのみ流体を引き込むことができ、3つの送り先のいずれかへと送出することができる。この構成は、あくまで本発明のエキスパート・システムを説明する目的のために示されており、所望の任意の構成を実現すべく変更できる。
【0195】
次に図22を参照すると、ポンプのそれぞれについての状態ダイアグラムが示されている。状態ダイアグラムは、ポンプに固有に存在する物理的制約、ならびにシステムの実装者が希望する動作特性を示している。例えば、引き込みおよび押し出しの状態は、ポンプが引き込み状態から他の引き込み状態へと、あるいは押し出し状態から他の押し出し状態へと遷移することがないようにする自己ロックを含んでいる。これは、ポンプの物理的制約ゆえである。すでに述べたように、ポンプは、可撓膜を使い捨てカセットの剛体部から引き離して流体を引き込み、同じ膜を剛体部に向かって押して流体を押し出すピストン・ヘッド36を備えている。完全なストロークが行なわれる(途中までのストロークではなく)ものと仮定すると、ポンプは、引き込みの後の次の動きが、押し出しの動きでなければならず、押し出しの後の次の動きが、引き込みの動きでなければならないような物理的構成である。
【0196】
しかしながら、状態のそれぞれは、実装者の所望の特性である休止状態への遷移が許されている。ポンプが引き込みを行なったとき、ポンプは何もせず、すなわち休止かもしれない。ポンプが押し出しを終えたとき、やはり何もしないかもしれない。ポンプが休止を終えたとき、ポンプが再び休止するかもしれない。ポンプは、先の活動の状態にもとづき次の活動状態への遷移が望まれるまで、休止であるかもしれない。
【0197】
図23は、ポンプの動作スケジュールを部分的に決定するためにソフトウェア中に置かれた種々のルールまたは制約を記載している。スケジュールは、(i)図23のルール、(ii)医師/患者によるさまざまな入力、(iii)入力にもとづく計算の数、および(iv)例えばシステムの物理的制約(例えば、ポンプ・チャンバの容積が10mlである)によって設定されるいくつかの定数にもとづく。ルールまたは制約は、本発明のコントローラのマイクロプロセッサが流通スケジュールを作成すべく判断を行なうことができるようにするための基礎をもたらすように機能する。
【0198】
ルール1〜6は、図21に関して示した溶液、ポンプおよび送り先の間の物理的な流れの制約を成文化している。図23は、溶液、ポンプおよび送り先の間の物理的接続から導き出されるであろう考えられるルールをすべて網羅しているわけではない。ルール1〜6は、流体流通接続にもとづいて実装されうるルールについて、単なる例を記載している。
【0199】
ルール7〜13は、図22の状態ダイアグラムにもとづく或る制約、および使用する特定の治療にもとづく他の制約を記載している。例えば、システムは、溶液2を送り先2へと送出できるように流体流通可能に接続されているが、ソフトウェアにおけるルール7が、そのような流れの発生を禁止している。ルール8および9も、同様の制約を記載している。
【0200】
ルール12および13は、流通スケジュールを生成するために行なわれる計算を簡単にするための制約を指定している。ルール12は、ポンプが所与のあらゆる引き込みストロークにおいて1つの源のみから引き込むことを指定されている。ルール13には、ポンプがポンプの吐き出しストロークにおいてただ1つの送り先にのみ流体を配送することが指定されている。これらのルールは、ポンプが透析液を何回かの完全なストロークにわたって送出し、次いで添加剤または限外濾過液を1回以上の完全なストロークにわたって送出するセクションVの流れの多重化と矛盾しない。しかしながら、セクションVにおける他の実施形態の1つは、所与のストロークにおける流体の2つ以上の源からの送出または流体の2つ以上の送り先への送出が関係してもよく、関係しなくてもよい途中までのストロークを含んでいる。エキスパート・システムを、そのような途中までのストロークを含むように修正することができるが、以下に説明するアルゴリズムの或るものが、より複雑になるであろう。
【0201】
図24は、図21〜23のダイアグラムおよびルールからの1つの結果を記載している。図24は、図23において示したルール1にもとづく3つの選択肢を備えるコントローラを提供する3つの機能モジュール244、246および248を示している。すなわち、ルール1は、機能モジュール244に示されているとおり、溶液1からポンプ1を通って送り先1までの送出の発生、機能モジュール246にしたがって、溶液1からポンプ2を通って送り先1までの送出の発生、および機能モジュール248に示されているとおり、溶液1からポンプ3を通って送り先1までの送出の発生を許す。さらに、機能モジュール244、246および248のそれぞれは、ポンプの動作が指定の圧力限界内に維持されることを必要とする。ポンプの動作は、指定の期間にわたって生じるように制御され、カセットの可撓膜を特定の速度で動かして第3のものを指定の圧力限界の下で動かす。
【0202】
図24は、例えば患者からフィルタであるが、溶液1から送り先1までの流体の移動を達成するための3つの考えられるやり方を示している。同時に生じる他の流体ポンプ動作に応じ、(i)同じ溶液から2つのポンプへの同時の送出、(ii)同じポンプを使用した異なる2つの溶液の同時送出、(iii)同じポンプを使用した異なる2つの送り先への同時送出、または(iv)2つのポンプから同じ送り先への同時送出を制約するルールなど、他のルールによって機能モジュール244、246および248の1つ以上を除外することができる。このように、或る特定の時点におけるスケジュールは、3つの機能モジュール244、246および248のうちの1つを選択しなければならないであろう。
【0203】
あるいは、例えば3つのポンプすべてがすでに他のポンプ作業の割り当てに割り当てられている場合、コントローラが、異なる時点において溶液1から送り先1まで送出することを選択できる。しかしながら、コントローラは、或る時間にわたって或る量の流体が患者からフィルタへと送られるよう要求する治療パラメータによっても拘束されている。したがって、コントローラは、溶液1から送り先1への送出を過剰に長く遅延させることはできない。この説明から、ルールおよび入力されたパラメータが共同して、コントローラにポンプ流通スケジュールを生成するための元になる枠組みを与えることを理解すべきである。
【0204】
図25および26は、それぞれ流通スケジュール作成前および作成後の種々のポンプの制御を示す高レベルのプロセス・フロー・ダイアグラム250および260を示している。プロセス・フロー・ダイアグラム250は、ポンプ動作スケジュールの生成を示している。プロセス・フロー・ダイアグラム260は、ポンプ動作スケジュールの実行を示している。
【0205】
楕円252で示すとおり治療を開始したのち、患者または医師が、ブロック254に示されているとおり、種々の入力パラメータのための値を供給する。図12に示した装置184などの入力装置を、例えば、可能なバルブの範囲からパラメータのためのバルブを選択するために使用できる。そうでない場合、患者または医師が、タッチ・スクリーンまたは手持ちキー・パッドを使用して打ち込みまたは入力することができる。
【0206】
図27は、ストローク容積(あるいは、これは、セクションVIの多重化に関してすでに述べたとおり、例えば10mlなど一定であってもよい)などの種々の入力パラメータ272を示している。患者または医師が、例えば図27に480分であると示されているように、総治療時間を入力する。図27の例では、透析液流速は、250ml/分であると入力されている。濃縮物が、5ml/分の流速で加えられ、限外濾過液が、2ml/分の流速で除去される。患者または医師が、例えば2ml/分であるが、患者によって生成されると予想される限外濾過液の量を入力する。さらに患者または医師は、主たる再生ループを通過して流れる透析液とアキュムレータ・ループを通過して流れる透析液との間の比(R)を入力する。図27は、入力の例を記載したにすぎない。これらに代え、あるいはこれらに加えて、医師または患者は、他の種類の入力を行なうことができる。
【0207】
必要な入力をブロック254で示すとおり供給したのち、システムおよび方法は、ブロック256に示すとおり、入力された情報にもとづいていくつかの計算を実行する。さらに計算は、いくつかの定数および/または他の変数を使用する。図28は、ポンプ動作のための知識ベースのスケジュールを作成するため、ブロック256に示すとおり必要な結果を生成するため、本発明のエキスパート・システムによって使用される種々のアルゴリズムまたは公式を示している。
【0208】
方程式274は、総治療時間をサイクルの数で除算したものに等しいサイクル時間を計算することを含む。一実施形態においては、出力されたスケジュールが、全体のポンプ動作スケジュールの一部である。したがって、治療の全体の目標を達成するため、このスケジュールが繰り返され、あるいは何回か反復される。方程式274は、ストローク容積と透析液流速の関数であるストローク時間をさらに含んでいる。システムは、サイクル時間およびストローク時間の関数である患者のポンプ・ストロークの数を計算する。アキュムレータ流速は、透析液流速および図27の入力272に関してすでに述べた比Rを知ることによって、計算される。
【0209】
アキュムレータ・ストロークの数(数はアキュムレータへ、またはアキュムレータからのストローク数を示し、両方の数ではない)は、サイクル時間をアキュムレータ流速で乗算し、ストローク容積で除算したものに等しい。濃縮物源からの引き込みのストローク・サイクルの数は、サイクル時間を入力された濃縮物流速で乗算し、一定のストローク容積で除算することによって計算される。限外濾過液ストロークの数は、サイクル時間、入力された限外濾過液除去速度、入力された濃縮物追加流速およびストローク容積の関数である。追加または別の方程式を使用できることを、理解すべきである。図28の方程式274は、本発明のエキスパート・システムおよび方法を説明するためだけに示されている。
【0210】
図29は、図25のブロック256に示すとおりポンプ動作スケジュールを生成するために必要な出力を示している。出力276は、治療の全体にもとづき、あるいは治療の全体に適用され、さもなければ治療の全体を通じて一定である。出力278は、ただ1回のサイクルにもとづき、あるいはただ1回のサイクルに適用可能である。例えば、所望のサイクル数が48であり(スケジュールが48回繰り返される)、総治療時間が480分であると仮定すると、各サイクルの時間は10分である。図示の実施形態においては、出力276が480分の総治療時間にもとづく一方で、出力278は10分のサイクル時間にもとづいている。
【0211】
出力276に関し、12,000である循環ストローク数が、3つのポンプのいずれかが(3つのポンプが集合的に)患者からの送出を行なう総回数である。同様にして、数字4,000は、3つのポンプが集合的にアキュムレータへと行なうストロークの数を表わしている。これらのポンプは、集合的に、アクチュエータからのさらに4,000回のストロークを送出する。これらポンプが協働し、治療にわたって1つ以上の濃縮物源から合計240回の送出を行なう。これらポンプが協働し、治療において、限外濾過液コンテナへと合計336回の送出を行なう。濃縮物からのストロークと限外濾過液へのストロークとによって生成される体積の差は、少なくとも部分的には、患者によって生成される限外濾過液の体積に起因している。
【0212】
出力278は、10分間のサイクルにもとづいており、480分の治療時間全体をカバーする出力276の時間の約48分の1をカバーしている。最後の2つの出力278は、送り先1へのストローク数、すなわちカートリッジまたはフィルタへのストローク数(248)を記載している。最後に示されている数字(338)は、10分間についての注入ストロークの総数であり、250回の患者ストローク、83回のアキュムレータからのストローク、および濃縮物からの5回のストロークの組み合わせである。
【0213】
計算を実行してブロック256に示すとおり必要な出力を達成したのち、エキスパート・システムは、計算結果、ルール、状態ダイアグラムおよびすでに記載した機能モジュールを使用して、ブロック258に示すとおりポンプ動作スケジュールを生成する。コントローラがこのスケジュールを使用し、Y個の溶液およびZ個の送り先についてX個のポンプを制御し、ここでX、YおよびZは、それぞれ1であってよく、1より大きくてもよい。スケジュールの一例の一部が図30に示されている。前記の情報にもとづき、ストローク時間が2.4秒であって各サイクルが10分間続くことを知ると、スケジュール280は、250個のエントリ282を有する。説明を容易にするため、25個のエントリ、すなわち1分間に相当するポンプ動作が示されている。実際は、スケジュールは、さらに225個のエントリ(点々で示されている)を有しており、すなわちさらに9分間に相当するポンプ動作を含んでいる。
【0214】
スケジュール280は、図21に関してすでに説明した溶液のそれぞれについて縦の列を有しており、すなわち患者溶液、アキュムレータ溶液、および濃縮物溶液について縦の列を有している。スケジュール280は、図21に関してすでに説明した送り先のそれぞれについて縦の列を有しており、すなわちカートリッジまたはフィルタ、アキュムレータ、および限外濾過液コンテナについて縦の列を有している。前記ルール、所望の出力、および圧力限界を超えないようにすることを使用して、コントローラが、図30に示すとおりエントリ282のスケジュールを生成する。最初のエントリ282によれば、最初の2.4秒において、ポンプ2が患者から流体を引き抜く1つの完全なストロークを実行し、ポンプ1が濃縮物から流体を引き抜く1つの完全なストロークを実行し、さらにポンプ3が限外濾過液コンテナへと流体を押し出す1つの完全なストロークを実行する。次の2.4秒間の間、ポンプは異なるプロファイルを維持する。容易に見て取れるように、さまざまなエントリ282において、動作しているポンプがポンプの全数3よりも少ない。任意のエントリ282において、任意の割合のポンプを動作させることができる。
【0215】
スケジュール280は、他のルールの実装を可能にする。例えば、スケジュールが、治療の全体または各サイクルにわたって、それぞれのポンプに同数のポンプ・ストロークを割り当て、ポンプの磨耗をほぼ均一にすることができる。例えばポンプが空気のパージを実行でき、あるいは必要なあらゆるリセット機能を実行できるよう、或る数のストロークののちにポンプを休止させるように他のルールを実装できる。
【0216】
ブロック258に示すとおりポンプ動作スケジュールを生成したのち、コントローラは、図26のプロセス・フロー・ダイアグラム260に示すとおり所望の流量および所望の全体流体ポンプ体積を達成するため、このポンプ動作スケジュールを実行する。システムが、ブロック262に示すとおり、ポンプ動作スケジュールの次のエントリ282を見つける。治療の開始、または治療の中のサイクルの開始においては、次のエントリが最初のエントリ282である。さらに、ダイアモンド264に関して判断されるとおり、先のエントリが最後のエントリであったかもしれない。そうではなく、先のエントリが特定のサイクル表の最後のエントリではない場合、システムは、ブロック266に示すとおり3つのポンプのそれぞれについて、例えば引き込み、休止、または押し出しといってポンプ状態を実行する。その後、システムはブロック262に戻り、スケジュールが終わりに達するまで、ダイアモンド268で示すとおり現在のサイクルが実行される。サイクルが終わりに達したとき、システムは、スケジュールを繰り返すか否かを判断する。すでに述べたとおり、スケジュールは、例えば10サイクルである複数のサイクルのうちの1つのサイクルを表わしている。ダイアモンド268に関して判断されるとおり、治療の完了のためにさらなるサイクルが必要とされる場合、プロセス・フロー・ダイアグラム260の手順全体が繰り返される。ダイアモンド268に関して判断されるとおり、すべての数のサイクルが完了した場合、楕円270で示すとおり治療は終了する。
【0217】
(VII.一体の排気ポート)
次に図31を参照すると、本発明のカセット‐ベースの排気ポートについて、種々の実施形態が示されている。ここに記載する使い捨てカセットは、排気膜を有する排気ポートを備えている。この膜が、水通し体積(治療の開始前にチューブ内に存在する空気)および治療の際に生じる気体を排気する。カセットには、例えば下記で説明する容量式流体センサなど、システムに空気または他の気体が進入したときを検出する空気センサが設けられる。空気または他の気体、あるいは特定のレベルの空気または他の気体がシステムに進入したとき、システムのコントローラ(図示されていない)が、この空気または気体を排気口285または295などの排気口を通じて排気する。
【0218】
カセットは、すでに参照番号92、162および192として示し、前述のとおり剛体または半剛体のプラスチック材料で作られた部位(まとめて剛体部と称される)を有している。剛体部92、162および192は、複数の穴または開口284および溝286を規定している。一実施形態において、開口284は、可撓膜の1つを介してバルブ・プランジャ42と協働する。溝286は、膜94および96によって囲まれたとき、流体または気体の通路を形成する。或る溝が、排気ポート285、295、297および299などの排気ポートにつながっている。一実施形態において、溝286は患者の流体ライン、CFPDの再生装置、APDのための流体供給、または他の治療の構成要素と流体流通している。排気ポート285、295、297および299は、本明細書に記載の治療のそれぞれにおいて機能できる。
【0219】
排気ポート285、295、297および299は、代案となる実施形態である。排気口285および295は、関連する使い捨てカセットの剛体部92、162または192と一体に形成された延長部を備えている。排気口285および295は、側面の壁288から延びている。排気口297および299は、カセットの剛体部と一体に形成された開口を備えている。例えば、排気ポート297は、剛体部の側面の壁288に形成されている。穴284、溝286を示し、排気口299をよりよく見せるために便利なように、上側の可撓膜が剛体部から取り除かれている。下側の可撓膜96は、剛体部に接着され、あるいは密着して示されている。
【0220】
排気ポート285は、側面の壁288から一体に延びたフレア状のポート292を備えている。したがって、剛体部92、162または192が、開口284および溝286を有するように形成、例えば成形または押し出しされるとき、フレア状のポート292も形成される。ポート292は、側面の壁288によって規定される穴と流体流通する穴を規定し、次いでポートの穴および側面の壁の穴が、溝または流体通路286の1つと流体流通している。ポート292が円錐またはフレア形状を有して示されているが、ポート292が真っ直ぐな円筒形状、ホース掛け形状、あるいはフィルタ290との接続に適した他の形状など、任意の適切な形状を備えることを理解すべきである。
【0221】
フィルタ290は、接着、熱シール、機械的な取り付け、およびこれらの任意の組み合わせなど、フィルタ290をポート292へと接続するための任意の適切な方法を介し、一体のポート292上に配置され支持される。ここの記載の排気口の実施形態のいずれについても、フィルタ290は疎水性膜であり、あるいは疎水性膜を含んでいる。適切な疎水性膜の1つは、郵便番号01730、マサチューセッツ州Bedford、Ashby Road 80番地のMillipore社によって製造されている。あるいは、フィルタは、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリアミド、Gortex、およびこれらの任意の組み合わせなどの材料から作られる。一実施形態においては、フィルタが0〜1ミクロンの間の孔寸法を有し、一好ましい実施形態においては0.2ミクロンである。0.2ミクロンの孔寸法は、水通し体積を排気し、治療の際に生じた気体を排気するために適している。
【0222】
代案となる排気ポート295も、一体に形成されたフレア状のポート296を備えているが、ポート296が、ポート292についてすでに説明した形状のいずれかであってもよい。フィルタ290についての実施形態のいずれもが、排気ポート295にも使用可能である。フィルタ290は、ブシュ294に接着され、封止され、あるいは機械的に接続される。ブシュ294は、剛体部92、162および192と同じ材料または異なる材料、したがってポート296と同じ材料または異なる材料のチューブまたはパイプの断面であってよい。ブシュ294は、一体のポート296に接着され、封止され、あるいは機械的に取り付けられる。一実施形態においては、ブシュ294が、例えば一致するねじによってポート296に着脱可能に取り付けられる。
【0223】
他の排気口297および299は、ポート292および296などの一体成形のポートを備えていない。代わりに、剛体部92、162、192の特徴が、フィルタ290を収容するための寸法とされた開口を規定している。排気口297については、側面の壁288が、フィルタ290で満たされる開口を規定している。フィルタ290は、すでに述べた方法のいずれかで側面の壁288に取り付けることができる。さらなる支持のため、別個の鍔またはカバー(図示されていない)を設けることができる。
【0224】
排気口297は垂直に配置されている。排気口299は、剛体部によって規定される形状または特徴の上または中に、水平に配置される。この形状または特徴は、穴284または溝286として一体に形成される。穴または溝が、前記した取り付け方法のいずれかによって、排気口299のフィルタ290を収容または支持する。さらに、上側の可撓膜94が、フィルタ290の周囲またはフィルタ290の外側部分へと密着でき、排気口299のためのさらなる取り付け支持をもたらすことができる。
【0225】
すでに述べたとおり、1つ以上のポンプが、1つ以上の溶液供給源および1つ以上の溶液送り先に流体流通可能に接続されている。流体のポンプによる送出が、不注意に流体内に空気を噛み込ませるかもしれない。また、患者によって生み出された限外濾過液が、腹膜腔からのさまざまな放出ガスを含んでいるかもしれない。フィルタ290が疎水性の材料、すなわち空気を逃がすが流体は逃がさない材料で作られたとき、排気ポート285および295は、溝286の1つを介するなどにより流体通路と直接連通できる。ここで、フィルタ290は流体ポンプの圧力を保持する。フィルタが、流体から空気を分離することができない場合には、代案として、排気ポート285および295が、排気気体を含むが流体は含んでいない空気流通ラインに接続される。そのような空気流通ラインは、例えば下部に流体を集め上部に空気または他の気体を集める流体溜めおよびチャンバによって実現できる。そのようなチャンバの1つが、図32に関して以下に示される。代案として、図31において、排気口285および295のポート292および296にそれぞれ連通している溝286、ならびに排気口297および299に直接連通している溝286は、流体通路ではなく空気排気溝286である。
【0226】
(VIII.空気分離チャンバ)
次に図32を参照すると、容量式流体体積センサを有する空気分離チャンバ300の一実施形態が示されている。容量センサは、2002年1月22日に出願された「Capacitance Fluid Volume Measurement」という名称の特許出願第10/054,487号においても流体ポンプに関連して検討されており、この特許出願は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。容量センサを流体ポンプと協働させることで、中間の流体中の空気の噛み込みを検出して、ポンプ動作時に追い出すことができる。ポンプ・カセット‐ベースの空気分離チャンバは、セクションVIIにおいて述べたカセット‐ベースの排気ポート285、295、297または299と協働する。
【0227】
ポンプ・カセット‐ベースの空気分離チャンバ流体は、典型的には、流体ヒータの上流に置かれる。一実施形態においては、さらにカセットが、1つ以上のポンプからの流体を受け取る流体加熱経路を規定する。ポンプまたはカセット‐ベースの空気分離チャンバは、チャンバがヒータの上流で動作するため、加熱のために、流体中に導入された空気を取り除くことができない。したがって、空気分離チャンバ300は、一実施形態において、例えばカセットの下流などヒータの下流に配置され、加熱によって中間流体中に噛み込んだ空気を取り除く。チャンバ300を出て行く流体は、患者ラインを介して患者へと送出される。ポンプにもとづく分離チャンバおよび図32のチャンバ300の両者は、システムが流体をポンプ送出する間に動作でき、気体をパージするためにシステムを停止させる必要がない。しかしながら、空気分離チャンバ300が、流体ヒータの上流または下流、あるいは上流および下流で、透析液系統などの中間流体系統とともに機能できることを理解すべきである。
【0228】
容量センサは、空気を含めチャンバ内の流体の体積を割り出すため、容量測定技法を利用する。流体の体積が変化すると、検出電圧が、容量の変化に比例して変化する。したがって、センサは、例えばチャンバが空である、流体または空気で8分の1満たされている、4分の1満たされている、半分満たされている、完全に満たされている、あるいは他の任意の割合が満たされているかを、割り出すことができる。これら測定結果のそれぞれは、例えば少なくとも既知の重力式はかりまたは圧力/体積測定によって達成される正確さのオーダで、正確にできる。容量式のセンサは、簡潔であり、非侵襲的であり、安価であり、かつ正確である。
【0229】
一般に、2枚のキャパシタ・プレート間の容量Cは、関数C=k*(S/d)に従って変化し、ここで、kは誘電率であり、Sは個々のプレートの表面積であり、dはプレート間の間隔である。プレート間の容量は、関数1/(R×V)に従って比例変化し、ここで、Rは既知の抵抗であり、Vはキャパシタ・プレート間で検出される電圧である。
【0230】
医療用の流体すなわち透析液302の誘電率kは、空気または気体304の誘電率よりもはるかに大きい。チャンバ300内に捉えられた空気が多くなるにつれ、導電プレート306および308間の空気の量が増すため、全体の誘電率が、大きな誘電率の透析液から小さい誘電率の空気へと変化する。容量プレート306および308は、一実施形態においては、絶縁または誘電ハウジング310の内部に配置されている。導電プレート306および308は、ハウジング310の外表面よりも、ハウジング310の内表面に近く位置している。
【0231】
チャンバ300のハウジング310は、医療用流体または空気で満たされ、全体の容量が変化、すなわちそれぞれ増加または減少する。センサが、高インピーダンスの電位を、それぞれアクティブおよび接地されている容量プレート306および308にまたがって生成する。この高インピーダンスの電位が、ハウジング310内の透析液または空気など、流体の量を表わしている。ハウジング310は、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリイミド、およびこれらの任意の組み合わせなど、不活性であり、医療上安全であり、電気絶縁性である材料で作られている。
【0232】
容量検出回路(図示されていない)が、高インピーダンス信号を増幅し、低インピーダンス電位を生成する。さらに低インピーダンス電位が、検出信号が外部の電気的影響に左右されなうようにする防護板321にも供給される。増幅された電位が、デジタル信号に変換されてシステムのプロセッサ(図示されていない)に供給され、フィルタ処理、変換、および/または合算が行なわれる。一実施形態においては、ビデオ・モニタ176(図12)が、患者またはオペレータへと体積および/または流量の表示を視覚的にもたらす。さらにプロセッサが、システムの1つ以上のポンプおよび/またはバルブを制御し、例えば所定の総体積に達したときに透析液の流れを終了させ、あるいは特定の量の空気が検出された場合に流れを遮断する。
【0233】
図示の実施形態においては、チャンバ300のハウジング310が、導電プレート306および308に対応する第1および第2の部分を備える貝殻を形成している。ハウジング310について、球形、立方体、矩形、あるいは他の形状も可能である。ハウジング310の各部位が、剛である体積固定の貝殻形状を形成している。各部位は、一体に形成されてもよく、固定または着脱可能に密着させられてもよい。
【0234】
ハウジング310は、それぞれ入口および出口ポート314および316を規定している。入口ポート314が、チャンバ300に例えば透析液である医療用流体302が進入できるようにする一方で、出口ポート316が、チャンバ300から医療用流体302が出られるようにしている。図示の実施形態においては、より重い医療用流体302を噛み込まれている空気304から分離できるよう、出口ポート316が、チャンバ300のハウジング310の底部に位置している。図示されているとおり、空気304はハウジング310の上部に向かって集まる傾向にある。他の実施形態においては、入口ポート314および出口ポート316を、ハウジング310の異なる領域に配置でき、お互いに対してさまざまな向きとすることができる。
【0235】
入口ポート314および316は、それぞれ入口チューブ318および出口チューブ320に密に接続されるため、当業者にとって公知の任意の構成を有することができる。ポート314および316は、(図示のような)直線チューブ、角ばったチューブ、ホース掛け、圧縮嵌め合い、ねじ、または他の構成であってよい。入口および出口ポートは、同じ寸法であってよく、あるいは異なる寸法とされてもよく、チューブ318および320の標準寸法チューブ内径のための寸法とされる。チューブ318および320は、特定の治療にあわせてさまざまな場所へと走っている。
【0236】
流入する流体302を上方、すなわち出口ポート316から離れるように逸らすため、バッフル322が、ハウジング310内かつ入口314の近傍に設けられている。バッフル322が、流体302からの空気304の分離を容易にし、向上させる。バッフル322は、空気が出口ポート316を通って出る可能性を小さくする。バッフル322は、空気または気体の泡を上方へと導く傾向にあり、気泡は出口ポート316を出るためには方向を変えなければならない。バッフル322は、ハウジング310と一体に形成でき、あるいは医療上安全な接着剤、取り付け機構、熱シール、音波シール、または当業者にとって公知の他の方法によって取り付けることができる。バッフル322は、所望の任意の形状を有することができ、ハウジング310の形状に合致するように構成できる。他の実施形態においては、複数のバッフル322が設けられる。1つ以上の第2のバッフル334は、流体がハウジング310から出ることを防止するのを助けるため、排気ポート324の近傍に適切に配置できる。
【0237】
一実施形態においては、ハウジング310が、空気排気ポート324を規定している。あるいは、ポート314、316および324のいずれかが、適切なやり方でハウジング310に取り付けられる別個の部品である。空気排気ポート324は、入口および出口ポート314および316と、同じ寸法であっても、異なる寸法であってもよく、空気排気チューブ326と密着するため、ポート314および316に関してすでに説明した構成のいずれかを有することができる。空気304、あるいは腹膜腔内で形成された気体やシステムを加圧するために使用される気体などの他の気体が、排気ポート324を介してハウジング310およびチャンバ300から逃げる。
【0238】
一実施形態においては、排気チューブ326が、種々の流通制御および流体制御装置へと接続されている。1つ以上のバルブ328が、排気チューブ326に流体流通可能に接続されている。一実施形態においては、1つ以上のバルブ328がソレノイドまたは電気駆動のバルブであり、容量プレート306および308によって生成された信号にもとづき、システムのプロセッサによって開閉される。あるいは、1つ以上のバルブ328が手動で機能することが出来る。一実施形態においては、さらに流体溜めまたは流体トラップ330が、排気ポート324を通って逃げ出した流体を集めるため、バルブ328の上流、その間または下流に設けられている。一実施形態においては、流体溜めまたは流体トラップの流体を抜くことができるよう、追加のソレノイドまたは手動バルブ328が、流体溜め330の下流に設けられている。
【0239】
通気膜332が、排気チューブ326の端部に配置されている。通気膜332は、当業者にとって公知の任意の種類のものでよい。一実施形態においては、通気膜332は、排気チューブ326から空気304を逃がすが流体302は逃がさない疎水性の膜である。あるいは、バルブ328および流体溜め330が、湿気が膜332に接することを充分に防止し、膜332を気体にのみ接するように設計してもよい。一実施形態においては、空気または気体304は、膜332を通ってチャンバ300から出ることができるが、膜332を通ってチャンバ300に進入することはできない。膜332は、図31のフィルタ290に関してすでに説明した材料のいずれかで作ることができる。
【0240】
動作において、容量センサが、チャンバ300のハウジング310内の流体302または空気304の量に比例した信号または電圧、すなわちチャンバ300のハウジング310内の流体302または空気304の量を表わしている信号または電圧を生成する。所定の量の空気または気体304が検出されたとき、プロセッサが1つ以上のバルブ328を開いて、気体または空気304をチャンバ300のハウジング310から放出またはパージできるようにする。或る量の時間ののち、あるいは特定の誘電率または電圧が検出されたのち、プロセッサが1つ以上のバルブ328を閉じる。このサイクルが、例えば透析治療である医療の配送を通じて繰り返される。一実施形態においては、特定の量の気体が検出された場合、システムがアラーム状態に入り、安全な流体のレベルに達するまで流体の送出が停止させられる。
【0241】
他の実施形態においては、複数の容量センサ、すなわち複数組のプレート306、308および312が使用される。これらのセンサが、まとまって流体302または空気304の量を示す出力を生成し、これが、バルブ328の開閉に使用される。バルブ328は、まとめられた信号によってすでに述べたとおり制御される。
【0242】
さらに別の実施形態においては、空気分離装置400が設けられている。装置400は、2つのバルブ328を備えており、これらのバルブ328がバルブ328間に配置された流体トラップ330と直列に動作する。装置400は、チャンバ300の残りの部分を必要としない。コントローラ(図示されていない)が、或る時刻において、時期をずらして順次に開くようバルブ328に指示し、気体の体積とともに逃げ出してバルブ間を流れている流体を、トラップ330へと流すことができる。流体302の圧力が、バルブ328間に捉えられた空気または気体304を加圧する。膜332に近い外側のバルブ328が、バルブ328間の圧力を緩和すべく開き、余分な気体が逃げられるようにする。膜332は、随意である。流体トラップ330の下流のバルブ328は、流体を自動的に排出できるように設けられている。チャンバ300などの装置400は、流体ポンプが動作している状態で機能でき、ポンプを断続的に停止させる必要はない。一実施形態において、装置400はカセット‐ベースであってよく、流体ヒータの上流および/または下流に配置することができる。
【0243】
本明細書において説明した現時点の好ましい実施形態について、種々の変更および修正が当業者にとって明らかであることを理解すべきである。そのような変更および修正は、本発明の技術的思想および技術的範囲から離れることなく、かつそれらの意図する利点を損なうことなく可能である。したがって、そのような変更および修正も、添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】図1は、バルブ駆動およびポンプ駆動組立体の一実施形態の両面の図であり、バルブ・マニホールドおよび複数のポンプ・アクチュエータを組み合わせて収容してなるバルブ/ポンプ・ハウジングを有している。
【図2】図2は、バルブ駆動およびポンプ駆動組立体の一実施形態の両面の図であり、バルブ・マニホールドおよび複数のポンプ・アクチュエータを組み合わせて収容してなるバルブ/ポンプ・ハウジングを有している。
【図3】図3は、本発明において使用されるバルブ・アクチュエータの一実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、図1に示したバルブ/ポンプ・ハウジングについて、ハウジングの一部を切除して残る表面の斜視図であり、真空および大気の流路が示されている。
【図5】図5は、バルブ/ポンプ・ハウジングについて、図4に示した面と反対の面の斜視図であり、複数のバルブ・プランジャ空洞が示されている。
【図6】図6は、本発明の機械式および空気圧駆動のポンプの立面断面図であり、流体ポンプ・カセットと組み合わせて示されている。
【図7】図7は、本発明の機械式および空気圧駆動のポンプの他の実施形態の立面断面図であり、流体ポンプ・カセットと組み合わせて示されている。
【図8】図8は、本発明の電機式駆動のポンプの立面断面図であり、流体ポンプ・カセットに操作可能に接続されている。
【図9】図9は、本発明の空気圧および機械式駆動のポンプのさらに他の実施形態の立面断面図である。
【図10】図10は、本発明の空気圧および機械式駆動のバルブの一実施形態の立面断面図である。
【図11】図11は、本発明の空気圧および機械式駆動のバルブの一実施形態の立面断面図である。
【図12】図12は、透析用ハードウェア装置の斜視図であり、使い捨てカセットの組み込み、および本発明の自動整列の特徴についての一実施形態が示されている。
【図13】図13は、それぞれ図12の線XIII‐XIIIおよびXIV‐XIVを通って得た立面断面図であり、本発明のカセット自動整列の特徴を示している。
【図14】図14は、それぞれ図12の線XIII‐XIIIおよびXIV‐XIVを通って得た立面断面図であり、本発明のカセット自動整列の特徴を示している。
【図15】図15は、本発明による改善されたポンプ膜材料の種々の実施形態を示している。
【図16】図16は、本発明による改善されたポンプ膜材料の種々の実施形態を示している。
【図17】図17は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図18】図18は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図19】図19は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図20】図20は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図21】図21は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムについて、複数の溶液、複数のポンプ、および複数の流体送り先の間のさまざまな流体流通接続を示した概略のプロセス・フロー図である。
【図22】図22は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムについて、流体ポンプに考えられる状態を概略的に示したダイアグラムである。
【図23】図23は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムについて、流通の制御のために実装されるソフトウェア・ルールの一例のリストである。
【図24】図24は、図21の流体流通接続、図22の状態ダイアグラム、および図23に実測されたソフトウェア・ルールの結果の一部であるポンプ動作モジュールを示した概略のダイアグラムである。
【図25】図25は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムおよび方法の一実施形態を概略的に示したプロセス・フロー・ダイアグラムである。
【図26】図26は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムおよび方法の一実施形態を概略的に示したプロセス・フロー・ダイアグラムである。
【図27】図27は、図30に示した流体流通スケジュールを出力するために本発明のエキスパート・ポンプ・システムによって使用される種々の入力、出力、およびアルゴリズムを示している。
【図28】図28は、図30に示した流体流通スケジュールを出力するために本発明のエキスパート・ポンプ・システムによって使用される種々の入力、出力、およびアルゴリズムを示している。
【図29】図29は、図30に示した流体流通スケジュールを出力するために本発明のエキスパート・ポンプ・システムによって使用される種々の入力、出力、およびアルゴリズムを示している。
【図30】図30は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムおよび方法の流体流通スケジュールの一部を示した表であり、このスケジュールが、所望の期間にわたり種々の流体について種々の送り先への所望の流速および体積を達成するため、種々のポンプからの流体の流れを管理している。
【図31】図31は、使い捨てカセットの剛体部の斜視切断図であり、本発明の排気ポートについて種々の実施形態が示されている。
【図32】図32は、容量式流体体積検出を使用する空気分離チャンバの一実施形態の立面切断図である。
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、広くは、医療用の流体システムに関する。さらに詳しくは、本発明は、カセット‐ベースの透析を実行するためのシステムおよび方法、ならびにそれらに関連する装置に関する。
【0002】
人間の腎臓系統は、さまざまな原因で機能を損なう可能性がある。腎臓の障害は、いくつかの生理学的異常を引き起す。日常の代謝負担である水、ミネラル、およびの廃棄物のバランスが、もはや不可能になり、窒素代謝物(尿素、クレアチニン、尿酸、ほか)からなる有毒な最終生成物が、血液および組織に蓄積される。
【0003】
腎臓疾患および腎機能の低下は、透析によって処置されている。本来であれば通常に機能している腎臓によって取り除かれている廃棄物、毒素および過剰な水が、透析によって、体から取り除かれる。腎機能を置き替えるための透析処置は、この処置が生命を救うものであるため、多くの人々にとって重要である。
【0004】
血液透析および腹膜透析が、腎機能の喪失に対処するために広く使用されている2種類の透析治療である。血液透析処理は、患者から水、毒素および過剰な水を取り除くために患者の血液を使用する。患者が、血液透析装置へとつながれ、患者の血液が、装置を通過して送られる。血液が血液透析装置へと流れ、血液透析装置から流れることができるよう、患者の静脈および動脈にカテーテルが挿入される。血液は、装置中の透析器を通過して流れ、透析器によって、血液から廃棄物、毒素および過剰な水が取り除かれる。清浄化された血液が、患者へと戻される。1回の血液透析治療において、血液を透析するために、例えば120リットルといった大量の透析液が消費される。血液透析治療は、数時間にわたって継続し、通常は、治療センターにおいて週に約3回または4回実施される。
【0005】
腹膜透析は、透析用の溶液すなわち「透析液」を、カテーテルを通じて患者の腹膜腔に注入して使用する。透析液が腹膜腔の腹膜に接する。廃棄物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜を通って透析液へと、拡散および浸透、すなわち膜を横切って生じる浸透圧の勾配によって移動する。使用済みの透析液が患者から排出され、患者から廃棄物、毒素および過剰な水が取り去られる。このサイクルが繰り返される。
【0006】
腹膜透析治療には、連続的携行式腹膜透析(「CAPD」)、タイダル・フロー(tidal flow)APDを含む自動腹膜透析(「APD」)、および連続フロー(continuous flow)腹膜透析(「CFPD」)を含み、種々の形式が存在する。CAPDは、手動による治療処置である。患者は、埋め込まれているカテーテルを手動でドレインへと接続し、使用した透析液を腹膜腔から排出できるようにする。次いで患者は、カテーテルを新鮮な透析液の入った袋に接続し、新鮮な透析液をカテーテルを通して患者の体内に注入する。患者は、カテーテルを新鮮な透析液の袋から外して、透析液を腹腔内に滞留させ、廃棄物、毒素および過剰な水の交換が行われる。滞留期間の後、患者は、この手動による透析手順を例えば1日に4回繰り返し、それぞれの処置は約1時間を要する。手動による透析は、患者に大量の時間と労力を要求し、大きな改善の余地が残されている。
【0007】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析処置が排出、注入、および滞留のサイクルを含んでいるという点で、CAPDに似ている。しかしながら、APD装置が、通常は患者が眠っている間に、これらのサイクルを自動的に実行する。APD装置は、患者が処置サイクルを手動で実行しなくてもよいようにし、備品を終日持ち運ばなくてもよいようにする。APD装置は、埋め込みされたカテーテル、新鮮な透析液の供給源すなわち袋、および流体のドレインへと流体流通可能に接続される。APD装置が、新鮮な透析液を透析液の供給源からカテーテルを通して患者の腹膜腔内へと送り、透析液を腹腔内に滞留させ、廃棄物、毒素および過剰な水の交換が行われる。APD装置は、使用済みの透析液を腹膜腔からカテーテルを通してドレインへと送る。手動によるプロセスと同様、APDにおいても、排出、注入および滞留のサイクルが数回行なわれる。「最後の注入」がCAPDおよびAPDの終わりにおいて行なわれ、次回の処置まで患者の腹膜腔内に残される。
【0008】
CAPDおよびAPDの両者は、使用した透析液をドレインへと送るバッチ式のシステムである。タイダル・フロー・システムは、改良されたバッチ・システムである。タイダル・フローにおいては、より長い期間にわたって患者からすべての流体を取り除く代わりに、流体の一部がより短い時間経過の後に取り出され、置き換えられる。
【0009】
連続フローすなわちCFPDシステムは、使用した透析液を廃棄する代わりに、清浄化または再生利用する。これらのシステムは、閉回路を通して流体を患者へと流し、患者から流す。透析液は、カテーテルの管腔の1つを通って腹膜腔へと流入し、カテーテルの他の管腔を通って流出する。患者から出た透析液は、例えば尿素をアンモニアへと酵素によって変換するためにウレアーゼを使用する尿素除去カラムによって透析液から廃棄物を取り除く再生装置を通過する。次いで、透析液を腹膜腔へと再導入する前に、アンモニアが吸着によって透析液から取り除かれる。アンモニアの除去を監視するため、センサが追加されて使用される。CFPDシステムは、通常はバッチ・システムよりも複雑である。
【0010】
血液透析、APD(タイダル・フローを含む)およびCFPDシステムは、ポンプ・カセットを使用することができる。ポンプ・カセットは、典型的には、透析液をカセットから出るように押し出し、カセットへと引き込むため、機械的に駆動される可撓性の膜を備えている。既知のシステムの或るいくつかは、カセットの片面に可撓性のシートを備えており、他のいくつかは、カセットの両面にシートを備えている。ポンプ・カセットを動作させるため、正および/または負の圧力を使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポンプ・カセットの1つの問題は、漏れにある。可撓性の膜がピンホールまたは裂けに直面した場合、流体および空気が、膜の一方の側から他方の側へと移動しうる。流体が、カセットの内側から装置の内部動作部へと移動すると、装置を損傷させる可能性がある。装置からカセット内へと空気が移動すると、カセットによって定められる流体通路の無菌性が損なわれる可能性がある。カセットから装置へと流体が漏れた場合を判断する検出システムが存在する。しかしながら、カセット内への流体の漏れを検出することは、より困難である。
【0012】
カセット‐ベースのポンプにおける別の問題は、カセットが装置へと不適切に取り付けられた場合に生じる。可撓膜の各部位が、例えばポンプおよびバルブ・アクチュエータなど装置の対応する部位と一致しなければならないため、正しい整列が重要である。不適切な取り付けは、カセットに過度の機械的応力を加えることにつながりかねず、カセットおよび/またはアクチュエータを傷つける可能性がある。さらに、不適切な取り付けは、システムの性能を低下させ、あるいは妨げる可能性がある。
【0013】
とくにCFPDにおけるさらなるジレンマは、複数の流体の配送の協調にある。流体を患者へと連続的に投与するカセット‐ベースの腹膜ポンプ・システムは、連続的に流れている透析液のループから流体(限外濾過液)を取り出し、連続的に流れている透析液のループへと流体(濃縮物)を加える必要がある。追加の流体は、通常は追加の専用のポンプを必要とし、カセットおよび透析装置を大きくかつうるさいものにする。複数のポンプの動作スケジュールの策定も、システムを実現しようとする者にとっての1つの挑戦である。
【0014】
カセット‐ベースのポンプに関連する別の問題は、空気または他の気体の流体通路への噛み込みである。空気は、漏れのある接続、不適切な水通し(priming)、欠陥のあるチューブ、および欠陥のあるカセットによってシステムに進入しうる。患者の治療も、システムへと進入するさまざまな気体を生じる。カセット‐ベースのポンプは、流体を送るように設計され、気体を送るようには設計されていない。さらに、患者からの流体の取り出し、および患者への流体の供給を、監視および制御する必要がある。空気および気体は、流体の通路に空気または気体が存在しないと仮定している体積測定システムを混乱させる。さらに、空気および気体が、患者にとって不快をもたらす可能性があり、適切な廃棄物の除去を妨げる可能性がある。
【0015】
透析液が患者へと進入する前に、透析液から空気および気体を取り除くことが望まれる。この目的のため、カセット‐ベースのシステムに、空気または気体の排気口が設けられている。しかしながら、より経済的な排気システムを設けるというニーズが、依然として存在する。さらに、注入に先立ち、透析液溶液が体温まで加熱され、溶液から気体が放たれる。既知の排気口は、流体の加熱による空気または気体を排気しない。さらに、空気および流体を検出するための方法を有し、両者の体積を測定することができ、パージすべき空気を検出し、適切な治療を確保するため流体を検出することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、広くには、ポンプ・カセットを使用する医療用流体配送システムに関する。とくには、本発明は、すでに説明した血液透析、CAPD、APD(タイダル態様を含む)およびCFPDを含むカセット‐ベースの透析治療において、これらの治療のためのシステム、方法、および装置を提供する。
【0017】
一実施形態において、本発明のシステム、方法、および装置は、CFPDとともに使用される。CFPD治療は、通常は患者へと接続された流体回路またはループを含んでおり、過剰な水および尿毒症毒素、尿素、クレアチニンなどの溶質を治療上有効な量取り除くため、透析液または他の適切な治療用流体を、患者の腹膜腔へと循環させ、患者の腹膜腔を通って循環させ、患者の腹膜腔から循環させることができるようにしている。
【0018】
一実施形態においては、透析液が、放出される前に、流体ループに沿って複数回連続的に循環する。消費される透析液の量が、バッチ・システムに比べて最小限にされる。循環は、1回通過または複数回通過の形態をとることができる。本発明のカセット‐ベースのシステム、方法および装置とともに機能可能な1回通過システムの1つが、文献番号第60/397,045号に記載されている。本発明のカセット‐ベースのシステム、方法および装置とともに機能可能な複数回通過システムの1つが、文献番号第60/397,268号に記載されている。
【0019】
すでに述べたとおり、本発明はCFPDには限られない。本発明のカセット‐ベースのシステム、方法および装置とともに機能可能なAPDシステムの1つが、「Automated Dialysis System」という名称の米国特許出願第10/155,603号に記載されており、この米国特許出願の教示は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。これらの種類の透析システムを念頭に置きつつ、本発明のさまざまな実施形態のいくつかを以下で概括する。
【0020】
一実施形態において、本発明は、使い捨てカセットと協働するアクチュエータ組立体を提供する。この組立体は、ポンプ・アクチュエータおよびバルブ・アクチュエータの両者を保持するハウジングを備えている。ポンプ/バルブ・マニホールドが、別個のバルブ・マニホールドの必要性をなくす。この結果、そうでない場合に1つ以上のバルブ・マニホールドとポンプ・アクチュエータ・ハウジングとの間になさなければならないチューブおよびチューブ接続の量が、大幅に少なくされる。さらに、組み合わせポンプ/バルブ・マニホールドは、空間および材料を節約し、より小さく、より軽量であり、より費用対効果の大きい透析装置を可能にする。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、フェイルセーフのバルブおよびポンプ構成がもたらされる。この構成が、カセット故障の場合に、流体がカセットから装置にのみ流れることができるようにする。カセットから装置への正の圧力勾配が維持され、通常、空気がカセットに進入しないようにする。さらにこの構成は、システム故障または電源故障の場合にすべてのバルブを確実に閉じるようにし、カセット内の流体通路を横切って流体が混ざることがないようにする。
【0022】
この構成は、1つ以上のダイアフラム・ポンプ・チャンバ、1つ以上のダイアフラム・バルブ・シート、および1つ以上の流体路と協働する使い捨てカセットを含んでいる。このカセットは、剛体または半剛体の本体部(本明細書では、まとめて「剛体部」と称する)で構成され、この部分の片側または両側に密着させて可撓シートを有している。シートを備えるこのカセットが、少なくとも1つのポンプおよび少なくとも1つのバルブ駆動機構と組み合わせられ、相互接続された流体工学システムを生み出している。
【0023】
動作において、通常は、ポンプ、バルブ、または流体路が生成されているあらゆる場所において、カセットのシートとポンプ/バルブ駆動インターフェイスの間に真空が保たれる。これが、カセットから透析装置の構成要素への正の圧力勾配を作り出す。バルブ・プランジャが、シートをカセットの剛体部分に向かって押し、バルブ・プランジャを引き込む機構に真空(または圧力)が供給されていない限りにおいて、バルブを閉じる。
【0024】
ポンプ・アクチュエータは、システム故障の場合に、展張し、引き込み、あるいは位置を保つように構成でき、ピストン・ヘッドを有するピストンを備えている。ピストン・ヘッドが使い捨てカセットの可撓膜を押し、カセットから流体を押し出す。ピストン・ヘッドを動かすため、さまざまなアクチュエータが設けられる。例えば、1つのアクチュエータは、ピストン・ヘッドをカセットから離れるように引く第1の真空または強い真空と、膜をカセットから離れるように引いて透析用流体がカセット内に進入するようにする第2の弱い真空とを備えている。一実施形態においては、ピストンのピストン・ヘッドとは反対側の端部に、ばね空洞が位置している。ばね空洞にはばねが収容されており、強い真空が存在しないとき、このばねが、ピストン、ピストン・ヘッド、およびカセットのシートをカセットの剛体部へと押す。強い真空が加えられたとき、この強い真空がばねの圧縮抵抗に打ち勝ってばねを圧縮する。
【0025】
強い真空と弱い真空とを分離するため、ローリング・ダイアフラムが、ポンプ・ピストンおよびばねハウジングの壁面に密着している。ローリング・ダイアフラムは、ピストンの往復運動を可能にするため、充分な巻き取り材料を含んでいる。このダイアフラムの巻き取り材料が、確実に正しく丸まりあるいは移動するようにするため、強い真空が除かれるとき、ばねハウジングに弱い真空が残される(すなわち、強い真空の代わりに)。この弱い真空は、ばねの圧縮抵抗に打ち勝つほどには強くないが、膜をピストン・ヘッドへと密着させるべくピストン・ヘッドの周囲に保たれる弱い真空によってローリング・ダイアフラムが反転することがないように保つには充分強い。あるいは、複数のローリング・ダイアフラムが、ダイアフラム間に大気圧を加えつつ使用される。
【0026】
他の1つのバルブ・アクチュエータは、ダイアフラムを、負または正の圧力によって駆動されるピストン‐シリンダで置き換えている。他の代案となるバルブ・アクチュエータは、ダイアフラム、ばね、および強い真空をまとめて、ステッピング・モータ(直線または回転)、サーボ・モータまたは他の種類の直線アクチュエータなど、電動アクチュエータで置き換えている。弱い真空が、カセットの膜をピストン・ヘッドに密着させるため、依然として加えられている。
【0027】
一実施形態においては、強い真空および弱い真空を利用するフェイルセーフ・バルブがさらに設けられる。このバルブは、使い捨てカセットの可撓膜と接するバルブ・プランジャを動作させるために、ばねおよび負の圧力を利用する。さらに、このバルブは、異なる真空を区画する可動ダイアフラムに密着している。ばねを圧縮すべく強い真空が加えられ、バルブ・プランジャをカセットから離れるように動かす。弱い真空が、ダイアフラムのばねハウジングとは反対側に加えられ、カセットの可撓膜がバルブ・プランジャとともに動くようにする。さらに弱い真空は、ばねがプランジャを可撓膜に向かって押すことを助け、バルブの密着力を大きくする。したがって、強い真空は、ばねの圧縮抵抗および弱い真空に打ち勝つために充分強い。
【0028】
本発明のさらなる実施形態においては、使い捨てカセットを装置内に自動的に整列させるための方法および装置が提供される。この手順は、小さい位置ずれを修正しようと試み、大きな位置ずれについてはエラーを送信し、カセットの品質の確保を助け、カセットの完全性テストを提供する。
【0029】
この方法は、カセットを透析装置内に取り付け、密着用の袋を膨張させる前に、1つ以上のポンプ・ピストンを対応するポンプ空洞に向かって動かすことを含んでいる。この動きが、必要であるならば、カセットの適正な位置への移動を生じさせる。ピストンの移動に対する抵抗が検出された場合、透析装置は、カセットまたは装置の機構に問題が生じたことを知り、適切な行動をとることができる。この手順は、カセットが装置の上部に水平に取り付けられる場合でも、あるいは装置の側面に垂直に取り付けられる場合でも、機能可能である。
【0030】
整列の手順が行なわれたのち、袋が膨張してカセットを透析装置の内表面、ポンプ・ピストン、およびバルブ・プランジャに向かって押し付ける。これにより、カセットはすぐに使用できる状態である。さらに、歪みゲージなどのセンサが設けられ、運動するピストンがカセットに加える力が監視される。使い捨てカセットが、位置の修正が不可能なまでに整列から外れている場合、センサがピストン・ヘッドに加わる過剰な応力を検出し、エラー・メッセージを送信してポンプを停止させる。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態においては、可撓膜のための材料が提供される。この材料は、PVC非含有の熱可塑性重合体材料で作られ、単層構造または多層構造であることができる。このフィルムは、押し出し、共押し出し、押し出し積層、積層、ブロー押し出し、筒状押し出し、キャスト押し出しまたは共押し出し、圧縮成型および熱成形など、標準的な熱可塑プロセスの技法を用いて製造できる。
【0032】
本発明のまたさらなる実施形態においては、種々の流体を医療用流体システムへと組み合わせ、医療用流体システムから取り去ることができるようにするバルブ構成が提供される。このバルブ構成は、ただ1つのポンプと協働でき、あるいは複数のポンプと協働できる。この構成をCFPDに関連して説明するが、他の種類の透析とも協働可能である。例示の実施形態においては、この構成によって、追加の流体ポンプを必要とすることなく、連続的または半連続的なやり方で濃縮物の添加および透析用流体からの限外濾過液の引き抜きが可能になる。
【0033】
このバルブ構成は、各ポンプについてさらなる入口バルブおよび出口バルブを追加する。この目的のため、各ポンプは、連続ループ(CFPD)の透析液の導入流のオン/オフ制御、または供給バッグ(APD)からの透析液の導入流のオン/オフ制御を提供する主たる導入バルブと協働する。第2の導入バルブは、主たる導入バルブと並列に機能し、濃縮物または添加剤(CFPD)、あるいは並列透析液供給(APD)についてのオン/オフ制御を提供する。各ポンプは、例えば患者への透析液の流出流のオン/オフ制御をもたらす主たる出口バルブとともに動作する。第2の排出バルブは、主たる排出バルブと並列に機能し、例えば透析用流体からの限外濾過液の除去のオン/オフ制御を提供する。
【0034】
一実施形態においては、第2の導入および排出バルブが開いているとき、主たるバルブは閉じており、その逆も然りである。主たるバルブの開時間対第2のバルブの開時間である関連する時間の量が、どのような速さで濃縮物が添加され、あるいは限外濾過液が除かれるのかを決定する。例えば、1つのポンプ体積に相当する濃縮物を、33回のポンプ・ストロークごとに1回、あるいは500回のポンプ・ストロークごとに1回、送出することができる。
【0035】
一実施例においては、一対の多重化ポンプが設けられ、交互かつ事実上連続な流体の流れが、患者へともたらされる。この実施例においては、いくつかの変形例が生じうる。例えば、第2の導入バルブまたは第2の排出バルブを同時に開くことができ、濃縮物の導入または限外濾過液の除去を2倍にすることができる。さらには、ポンプ・ピストンを途中までしか動かさないことで、第2のバルブを介した部分的注入を利用することができる。
【0036】
本発明のまたさらなる実施形態においては、1つ以上の溶液について1つ以上のポンプを介しての1つ以上の送り先へのポンプによる送出を計画するためのエキスパート・システムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、CFPDに関して説明されるが、APDおよび血液透析にも適用可能である。このエキスパート・システムは、一式のルールを使用する。ルールは、例えば流体流通の接続およびポンプ状態の制約などの物理的制約から導き出される。また、ルールは、例えば濃縮液を限外濾過液収集へと直接送ることが好ましくないなどという治療上の制約、および、例えば途中までのポンプ・ストロークは用いないとするなどの任意の制約からも導き出される。
【0037】
さらにエキスパート・システムは、患者または医師によって入力されたいくつかのパラメータを考慮する。このシステムは、入力された値に種々のアルゴリズムを適用し、例えば総流速、流速、治療時間、全添加濃縮物など、治療のための出力要件を得る。これらの出力およびルールまたは制約を使用し、エキスパート・システムが、いくつかのエントリを有するポンプ動作スケジュールを作成する。各エントリは、1つ以上のポンプに対し、1つ以上の溶液からの引き込み、または1つ以上の送り先への押し出しを、それぞれ行なうように指示する。システムのコントローラが、スケジュールに記載のポンプ動作プロファイルを実行するようポンプに指示する。スケジュールは、治療全体の一部を表わしていてもよく、このスケジュールが治療が完了するまで数回繰り返される。最終的に、ルールおよび流体の圧力レベルの制限など他の制限に従った出力が達成される。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態においては、透析用流体からパージされた空気を排気するための排気ポートが設けられる。排気ポートはカセットと一体であり、水通し体積、ならびにポンプの動作によって噛み込んだ空気および患者の排出した気体を排気する。カセット‐ベースの排気ポートは、カセットの剛体部と一体に成型され、剛体部が成型構造であるという利点を利用している。次いで、0.2ミクロン・フィルタなどのフィルタが、例えば接合、熱シール、接着または機械的固定などによって排気ポートに固定される。フィルタは、接合、熱シール、接着または機械的に固定できるPTFE、Goretexまたは他のポリマーなどの材料で作られる。一実施形態において、フィルタは疎水性の材料で作られる。あるいは、フィルタが、ブシュに接合、熱シール、接着または固定され、ブシュが成型によるポートに取り付けられ適切に固定される。
【0039】
さらに、一実施形態においては、医療用流体システムのための追加の空気分離チャンバが提供される。カセット‐ベースの排気ポートが、ポンプの時点で流体中に噛み込んだ空気を分離する第1の排気機構をもたらす。しかしながら、透析用流体はポンプ・カセットを出たのち、ヒータを通過する。熱を加えることによって、溶液中に捉えられた気体が解放される。この追加で解放された気体も、溶液が患者へと進入する前にパージしなければならない。
【0040】
追加の気体分離チャンバは、流体ヒータの下流に位置している。熱によって解放された気体が、上昇してチャンバの上部に捉えられる一方で、加熱された流体は、チャンバの底部を通過する。チャンバは、チャンバ内の気体の量を検出する1つ以上の容量センサを収容している。この量が所定のレベルに達したとき、1つ以上の排出バルブが開き、気体を排気できるようにする。
【0041】
気体は、膜を通って排気される。膜を乾燥した状態に保つため、一連の排出バルブを使用できる。この目的のため、流体溜めトラップを、これに代え、あるいはこれに追加して設けることができる。
【0042】
さらに別の実施形態においては、順次に駆動される一連のバルブを備える気体分離装置が設けられる。流体トラップがバルブ間に設けられる。バルブの順次動作およびトラップによって、気体をシステムから逃がすことができるが、流体は逃がさない。
【0043】
本明細書に記載の実施形態を検討すると、ポンプ・アクチュエータおよびバルブ・アクチュエータの両者を収容するカセット・アクチュエータ組立体を提供することが、本発明の1つの利点である。
【0044】
本発明の別の利点は、フェイルセーフなバルブおよびポンプ動作を備えるカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0045】
本発明のさらなる利点は、カセットの流体通路と周囲の透析装置の構成部品との間に正の圧力勾配を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0046】
本発明のまた別の利点は、カセットの自動整列の特徴を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0047】
本発明のさらに別の利点は、カセット位置ずれの出力およびカセットの完全性の特徴を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0048】
さらに、本発明の利点は、カセットの可撓膜のための優れた材料を提供することにある。
【0049】
さらにまた、本発明の利点は、多重化バルブ構成を有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0050】
またさらに、本発明の利点は、医師/患者によってパラメータが入力された後でポンプ動作スケジュールを導出するために知識ベースを使用するエキスパート流体ポンプ動作管理システムを有するカセット‐ベースの医療用流体システムを提供することにある。
【0051】
また、本発明のさらなる利点は、カセット‐ベースの一体成形の排気ポートを設けることにある。
【0052】
さらに、本発明のさらなる利点は、医療用流体ヒータの下流に空気分離チャンバを設けることにある。
【0053】
また、本発明のさらなる利点は、流体をポンプで送りつつ透析用流体に噛み込んだ気体をパージできるようにすることにある。
【0054】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明および図面において説明され、そこから明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カセット‐ベースの医療用の流体配送システムに関する。とくに、本発明は、カセット、および複数の流体源、複数の流体ポンプ、および複数の流体送り先を有する複雑なシステムにおいて、カセットと流体流通可能に連通してカセットとともに動作し、あるいはカセットを通る流体の流れの管理に関してカセットとともに動作する構成部品に対する種々の改善をもたらす。したがって、これらの改善は、とくに他の形式の透析処置よりも複雑であることが通常であるCFPDに、よく適している。しかしながら、ここに記載する実施形態がCFPDに限られるものではなく、APD(タイダル・フロー・システムを含む)、血液透析、血液濾過およびこれらの任意の組み合わせにおいても機能可能であると考えられることを、ここに明記しておく。
【0056】
(I.一体化されたポンプおよびバルブ・ハウジング)
ここで図面、とくに図1〜5を参照すると、組み合わせバルブ・マニホールドおよびポンプ・ハウジング組立体10が示されている。図1および2は、組立体10が、バルブ/ポンプ・ハウジング20、いくつかの中間プレート24および26、ならびに前面プレート30を含むいくつかの構成部品を含んでいることが示されている。組立体10は、他の実施形態においては、例えばポンプの数および種類ならびに流体バルブの数および種類など、医療用流体システムの複雑さに応じて、4つよりも少数または多数の構成部品を有することができる。
【0057】
組立体10は、自動腹膜透析装置の内部に収容され、バルブ/ポンプ・ハウジング20およびハウジングに取り付けられた構成部品が、装置の中心に向かって内向きに面している。前面プレート30が、使い捨てカセットに向かって上方かつ外側を向いている(装置100およびカセット150を示している図12を参照)。いくつかのボルトまたは他の種類の締め付け装置22が、ハウジング20、中間プレート24および26、ならびに前面プレート30を、一体に保持している。さらに取り付け装置22は、或る実施形態においては、組立体10を透析装置にボルト付けすることができる。
【0058】
バルブ/ポンプ・ハウジング20と中間プレート24の間、中間プレート24と26の間、および/または中間プレート26と前面プレート30の間など、対になるあらゆる構成部品間に、ガスケットを配置してもよい。図6、7および9〜11に関して以下に示すとおり、1つ以上の真空チャンバが、本発明のバルブおよびポンプに関連するさまざまな実施形態において使用される。真空チャンバの一部分は、ハウジング20ならびにプレート24、26および30の1つ以上またはすべての集合によって作られた開口によって定められ、これらの構成部品間に気密シールを必要とする。一実施形態においては、約−2〜−20psig、好ましくは約−6psig〜−10psigの負圧が、真空チャンバ内に加えられる。構成部品20、24、26および30の間のガスケットは、このレベルの真空に耐えるように選択され、このレベルの真空に耐えるような寸法とされる。
【0059】
図1には、3つのポンプ・アクチュエータ32が、バルブ/ポンプ・ハウジング20に取り付けられて示されているが、本発明の他の実施形態は、1つのポンプ、2つのポンプ、または4つ以上のポンプを使用してもよい。一実施形態においては、ポンプ・アクチュエータ32は、コネチカット州WaterburyのHayden Switch and Instrument Inc.が製造する直線ステッピング・モータなどの直線モータである。図6および7には、交互にばね動作するポンプ・アクチュエータが示されている。さらに別の実施形態においては、ポンプ・アクチュエータが、正または負の圧力によって駆動されるピストン・シリンダ、回転‐直線運動変換器と組み合わせられた回転モータ、あるいは他の種類の直線運動生成装置であってよい。
【0060】
以下に示し、かつ図2の前面プレート30上に見られるように、ポンプ・アクチュエータの出力は、ポンプ・ピストン・ヘッド36を有するポンプ・ピストン34である。ポンプ・アクチュエータ32が、ピストン・ヘッド36を前面プレート30の表面からバルブ/ポンプ・ハウジング20に向かって引き戻し、真空によって使い捨てカセット(図示されていない)の可撓膜を引っ張って、透析液をカセット内に引き込む。ポンプ・アクチュエータ32が、ピストン34およびピストン・ヘッド36を前面プレート30の表面から外へと押し、可撓膜をカセットの剛体部分に向かって押し出して、流体をカセットから追い払う。図2に示すように、外側の2つのポンプにおいては、ピストン・ヘッド36が引き込まれ、引き戻された状態にあり、真ん中のポンプにおいては、前方へと押し出された位置にある。
【0061】
一実施形態において、ピストン34およびピストン・ヘッド36が、それぞれ、真空チャネル38を規定している。真空チャネル38は、前面プレート30の直下に加えられた真空が、ピストン34およびピストン・ヘッド36を通って使い捨てカセットの可撓膜と流体流通できるようにする。あるいは、膜をピストン・ヘッド36に密着させるため、真空が真空チャンバに配置されたピストン・ヘッド36の周囲を延びている。
【0062】
図1に示されているように、さらに複数のバルブ40が、バルブ/ポンプ・ハウジング20に取り付けられている。一実施形態においては、バルブ40が電気的に駆動されるが、他の実施形態においては、バルブ40を空気圧で駆動してもよい。図2には、バルブ・プランジャ42がバルブ40のそれぞれと一緒に動作可能であることが示されている。図10および11に関連して以下でさらに詳しく説明するように、バルブ・プランジャ42は、使い捨てカセットの可撓膜に向かって、例えばばねによって機械的に押し付けられている。バルブ・プランジャは、バルブ40によって促進される負圧によって、使い捨てカセットの可撓膜から離れるように引き込まれる。
【0063】
さらに、一実施形態においては、バルブ・プランジャ42が、バルブ・プランジャ42がプレート30の表面から引き込まれ、すなわち内向きに引かれたとき、真空によって可撓膜を外向きに引き、すなわち使い捨てカセット内の流体流路を開くことができるようにする真空オリフィスを規定している。プランジャ42は、空気圧バルブ40が駆動されたときに引き込まれ、ばねが負圧に出会うようにしてばねを圧縮する。真空は、膜をプランジャ42に密着させるため、バルブ・プランジャの周囲を交互に流れる。
【0064】
次に図3を参照すると、空気圧バルブ40の一実施形態が示されている。適切な3ポート・バルブは、ニューハンプシャー州HollisのPneutronics, Inc.、スイスのVersoixのFluid Automation Systems(FAS)社、SMC Pneumatics社およびLee Corporationから提供されている。
【0065】
バルブ40は、常時閉ポートすなわち真空ポート44と、共通ポートすなわちプランジャ・ポート46と、常時開ポートすなわち大気ポート48とを規定するハウジングを有している。共通ポート46は、例えば図10に示されている真空チャンバ114など、バルブ・プランジャ42を動作させるための真空チャンバに流体流通可能につながっている。
【0066】
一実施形態において、電線V+およびV−に電圧が供給されていないとき、大気ポート48とプランジャ・ポート46の間に開状態の流体流路が存在している。したがって、空気圧バルブ40は、ポート46および48間で常時開である。電線V+およびV−にまたがって電圧が加えられたとき、バルブ40内のソレノイドが駆動され、ポート46および48にまたがる流体通路が閉じられ、真空ポート44とプランジャ・ポート46との間の流体通路が開く。
【0067】
線V+およびV−に、例えば+−5VDCまたは+−24VDCの電圧が加えられたとき、バルブ40によってカセット内の流体通路が開かれる。動作時、真空の供給が、プランジャ・ポート46と、バルブ/ポンプ・ハウジング20によって定められた開口と、プレート24、26および30の相応する開口とによって定められるチャンバから空気を排出し、真空チャンバ内に取り付けられたバルブ・プランジャ42を動作させる。バルブ・プランジャ42が引き込まれたとき、別個の真空が、カセットの膜を使い捨てカセットから外向きに引く。
【0068】
電線V+およびV−から電圧が除かれたとき、ソレノイドは通常の状態に戻る。大気が、ポート48および46を通って真空チャンバ内に引き込まれ、バルブばねが使い捨てカセットの可撓膜に向かってバルブ・プランジャを押すことができるようにし、関連する流体通路を閉じる。
【0069】
バルブばねは、所望の大きさの密閉圧力をもたらすよう適切なサイズとされている。一実施形態において、ばね力は0〜10lbsの間であり、一好ましい実施形態においては、約2〜6lbsである。
【0070】
図1は、バルブ/ポンプ・ハウジング20に複数の異なる種類の流体コネクタが取り付けられている様子が示されている。コネクタは、ホースの掛かり、ナット‐フェルール型のコネクタ、ねじ付きのコネクタ、クイック着脱型のコネクタなど、当業者にとって公知の任意の種類のチューブまたは配管コネクタであってよい。コネクタ50は、負圧供給源(図示されていない)へと延びる負圧供給チューブにつながっている。負圧コネクタ50は、図4に示すとおりハウジング20の表面64に定められた負圧供給チャネル60に、流体流通可能につながっている。
【0071】
さらに、複数の大気入口コネクタ52も、バルブ/ポンプ・ハウジング20に取り付けられている。大気入口コネクタ52は、1つ以上の空気フィルタへと流体流通可能につながったチューブに取り付けられている。フィルタ処理された空気が、バルブ/ポンプ・ハウジング20によって規定され図4に示されている大気供給チャネル62へと、コネクタ52を通って流れる。負圧供給チャネル60が、バルブ40の真空ポート44(図3)のそれぞれに供給を行なう一方で、大気供給チャネル62が、空気圧バルブ40の大気ポート48のそれぞれに供給を行なう。一実施形態においては、真空を均等に分配するため、負圧コネクタ50が負圧チャネル60の端部のそれぞれの付近に配置される一方で、大気入口コネクタ52が、大気供給チャネル62に沿って適切に離間して配置される。
【0072】
図1は、バルブ/ポンプ・ハウジング20が持ち上げられたブリッジ58を気密に規定し、あるいは持ち上げられたブリッジ58へと気密に取り付けられている様子が示されている。バルブ40および種々のコネクタ50および52が、持ち上げられたブリッジ58に取り付けられている。持ち上げられたブリッジ58は、バルブ40がチャネル60および62のわずかに上方に着座できるようにし、したがって、バルブ40のポート44および48が、それぞれチャネル60および62へと延びることができる。適切なガスケットを、ハウジング20の表面64(図4)とブリッジ58との間で、チャネル60および62の周囲に配置できる。そうでない場合、ブリッジ58がハウジング20と一体に形成され、あるいは例えば溶接されてハウジング20に恒久的に取り付けられる。
【0073】
図4は、ハウジング20を、ブリッジ58を取り除き、表面64に規定されたチャネル60および62を露出させて示している。ブリッジ58を除くことによって、ハウジング20によって規定された種々の開口も露出されている。例えば、ハウジング20が、各空気圧バルブ40のためのプランジャ開口66を規定している。バルブ40のプランジャ・ポート46(図3)が、開口66へと延びている。一実施形態においては、チャネル60および62を囲んでいるガスケット(図示されていない)が、さらに各プランジャ開口66も囲んでいる。プランジャ開口66は、負圧または大気がハウジング20の内面64から図5に示したハウジング20のバルブ・プランジャ側へと広がることができるようにしている。真空が、コネクタ50を通じ、チャネル60を通じ、真空ポート44を通じ、プランジャ・ポート46を通じ、プランジャ開口66を通じ、さらにプレート24および26ならびに前面プレート30の1つ以上によって定められた対応する開口を通じて供給され、プランジャばねを圧縮して使い捨てカセット内の流体通路を開くことを理解すべきである。以下に示すとおり、真空を、例えばプレート24、26および30の2者の間に存在する可撓性ダイアフラムによって、部分的に拘束または収容することも可能である。
【0074】
さらに、バルブ/ポンプ・ハウジング20は、バルブシート開口68を規定している。バルブシート開口68は、図1に示した負圧コネクタ56と流体流通している。負圧コネクタ56が負圧源と流体流通し、真空をバルブ・プランジャ42の(またはバルブ・プランジャ42の周囲の)オリフィスを通して、使い捨てカセットの可撓膜に加えることができるようにする。負圧源(図示されていない)が、可撓膜をバルブ・プランジャに密着させるため、コネクタ56を通じ、バルブシート開口68を通じ、さらにバルブ・プランジャ42を通じて、真空を引く。
【0075】
バルブシートのための負圧と同様、バルブ/ポンプ・ハウジング20は、各流体ポンプのためのポンプシート開口72を規定している。ポンプシート開口72は、負圧入口コネクタ54と流体流通しており、ついで負圧入口コネクタ54が、負圧源(図示されていない)と流体流通している。負圧源が、使い捨てカセットの可撓膜をピストン・ヘッドに密着させるため、コネクタ54を通じ、開口72を通じ、ピストン34およびピストン・ヘッド36を通じ、あるいはピストン34およびピストン・ヘッド36の周囲で、真空を引く。
【0076】
一実施形態においては、組立体10のバルブ/ポンプ・ハウジング20に関して3つの別個の真空が加えられることを理解すべきである。すなわち、第1の真空が、ハウジング20の表面64によって定められる真空チャネル60に加えられ、第2の真空が、可撓膜をバルブ・プランジャへと密着させるために加えられ、第3の真空が、可撓膜をポンプ・ピストン・ヘッド36へと密着させるために加えられる。流体流通システムは、これらの真空を別個に管理する複数の真空源を備えることができる。あるいは、1つ以上の供給源が、これらの真空を順次管理することができる。さらには、真空のレベルが、必要とされる真空の2つ以上について同じであり、ただ1つの真空原が、少なくとも2つの真空を同時に供給することができる。
【0077】
図1および図2は、バルブ/ポンプ・ハウジング20を含む組立体10が、種々の種類のセンサ74を収容している様子が示されている。種々の種類のセンサには、これらに限られるわけではないが、圧力センサ、温度センサ、水位センサ、空気検出センサ、気泡センサ、体積測定センサ、導電センサ、pHセンサ、濁度センサ、色検出センサ、粒子センサ、および化学センサなどが含まれる。図示のとおり、センサ74は、ハウジング20、中間プレート24および26、ならびに前面プレート30を通って延びている。センサの配線および検出リードが、バルブ/ポンプ・ハウジング20から透析装置へと延びている。検出ヘッドまたはセンサ部は、前面プレート30表面とほぼ同一面に位置しており、カセットを通って流れる透析液の流体パラメータを検出するため、使い捨てカセットに接している。一実施形態においては、センサの周囲においてカセットと前面プレート30の間にシールが設けられ、したがって真空を加えて、カセットの膜をセンサとの緊密な接触へと至らしめることができる。真空は、組立体10を通ってセンサの周囲に、バルブ・プランジャ42とカセット膜との間に供給されるのと同様にしてもたらされる。
【0078】
図5を参照すると、バルブ/ポンプ・ハウジング20が示されており、図4に関して先に示した表面64と反対側の表面76が示されている。参考のため、空気圧バルブ40のプランジャ・ポート46と連通するプランジャ開口66の多くが示されており、負圧入口コネクタ54と流体流通するポンプシート開口72についても同様である。バルブ・プランジャ開口66の少なくともいくつかは、ハウジング20の表面76によって規定された空洞またはクレータ78の中央に位置している。さまざまな実施形態において、空洞78を規定しているハウジング20は、成型プラスチックまたはアルミニウム複合材料で作られている。空洞またはクレータ78は、プランジャおよびプランジャ座(図示されていない)が、プランジャ開口66に関して適切に位置できるようにする。参考のため、プランジャばね70が、開口66を中心に位置して示されており、次いで開口66が、空洞78の1つの中心に位置している。図示はされていないが、バルブシートおよびバルブ・プランジャがばね70の周囲に取り付けられ、空洞78内に着座し、あるいは空洞78によって支持されることを理解すべきである。
【0079】
(II.フェイルセーフなポンプおよびバルブの動作)
次に図6〜11を参照すると、組立体10およびバルブ/ポンプ・ハウジング20に関してすでに説明したポンプおよびバルブを動作させるための種々の実施形態が示されている。図1〜5は、組み合わせバルブ/ポンプ・ハウジング20ならびに隣接するプレート24、26および30を備える組立体10を示している。しかしながら、本発明は、この構成に限られるわけではない。例えば、図6〜8は、それぞれが代案となるバルブ/ポンプ・ハウジング120、220および320をそれぞれ有している代案となる3つの構成を示している。ハウジング120、220および320のそれぞれは、使い捨てカセット90へと流体を送出し、使い捨てカセット90から流体を送出するため、ピストン34が往復運動しつつ通過する開口80を規定している。使い捨てカセット90は、ハウジング120、220および320に対する動作位置に概略的に示されている。使い捨てカセット90はさまざまな形態をとることができ、一実施形態においては、剛体部(この表現は、剛体および半剛体を含む)92を備え、この剛体部92が、さらに上下の可撓膜94および96(剛体部92に密着している)をそれぞれ境界とする複数の流体通路を規定している。可撓膜94および96のための好ましい材料の1つは、セクションIVに関して以下で説明される。
【0080】
ハウジング120、220および320はそれぞれ、ピストン34およびピストン・ヘッド36が内側へと透析装置の内部に向かって引き込まれたときに、下方の可撓膜すなわち前面シートをカセット90の剛体部92から離れるように引くべく真空が加えられる真空チャンバ82を規定している。図6〜8は、それぞれ2つのポンプを示しているが、本発明のシステムは、1つのポンプまたは3つ以上のポンプを含み任意の数のポンプを有することができる。図6〜8は、左側のポンプを引き込まれた状態で示しており、バッチ・システムにおいては供給源(図示されていない)から、再生またはCFPD型の透析システムにおいては患者(図示されていない)から、透析液が引き込まれている。CFPDにおいては、ポンプが、透析液を清浄化または再生する材料を含んでいる1つ以上の再生装置を通して患者から透析液を引き抜く。
【0081】
さまざまな再生装置および材料が、文献番号第60/397,045号および60/397,268号に記載されている。一般に、再使用に先立って透析液を効果的に清浄化するため、任意の適切な量および種類の材料を使用する任意の種類の装置を、利用することができる。一実施形態においては、清浄化装置が、治療において患者から取り除いた溶質を透析液から非選択的に除去できる材料を含んでいる。材料には、カートリッジなどの適切なハウジング内に任意の受け入れ可能なやり方で収容された炭素、活性炭、または他の同様の材料など、任意の適切な吸着材料を含むことができる。
【0082】
一実施形態においては、透析液から溶質を非選択的に取り除くことができるこれらの種類の材料に加え、他の材料を含むことができる。追加される他の材料には、例えば、溶液から或る溶質などを選択的に取り除くことができる材料が含まれる。一実施形態においては、追加の材料が、尿素を選択的に取り除くことができるバインダまたは反応性吸着材料、リン酸塩および/またはその他を選択的に取り除くことができるバインダまたは反応性吸着材料を含むことができる。溶質、とくには尿素を選択的に取り除くことができる材料を使用することによって、システムの清浄化効率を高めることができ、有効な処置のために必要な透析液の量を最小限にすることができる。
【0083】
溶液から溶質を選択的に取り除くことができるバインダ材料などの材料は、例えば、溶液中の尿素、クレアチニン、他の同様の代謝廃棄物、および/またはその他チッ素含有化合物を取り除くことができる重合体材料を含むさまざまな適切かつ異なる材料を含むことができる。一般に、これらの種類の材料は、尿素または他の同様の溶質と化学的に結合する官能基を含んでいる。1つの種類の材料は、尿素と化学的に結合すべく機能するフェニルグリオキサールを含んでいるアルケニル芳香族ポリマーを含む。一般に、フェニルグリオキサール重合体材料は、例えばニトロベンゼン中で実行されるアセチル化、および引き続くアセチル基のハロゲン化およびジメチルスルホキシドによる処理によって作られる。溶液から尿素などの溶質を選択的に取り除くことができる重合体材料の他の例は、ニンヒドリンとして広く知られているトリカルボニル機能を含む重合体材料を含む。本発明は、すでに述べたとおり溶液から尿素などの溶質を選択的に取り除くため、あらゆる適切な種類の材料またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0084】
再生装置の1つの種類は、清浄化カートリッジである。清浄化カートリッジは、透析液から溶質を取り除くことができる吸着材料に加え、いくつかの構成要素を含むことができる。例えば、清浄化カートリッジが、透析溶液からナトリウムまたはカリウムなど電解質のすべてまたは一部を取り除く能力を有してもよい。ここで、清浄化後の透析液を補充するため、溶液中の電解質の追加の供給源が必要とされるかもしれない。さらにカートリッジを、使用される吸着材料の種類に応じて、システム中に重炭酸塩などを解放するように構成してもよい。これは、透析液のpH調整を容易にする。必要に応じ、たんぱく質、粒子状物質、または同様の成分がカートリッジから透析液へと出ることがないよう、カートリッジにフィルタを設けてもよい。
【0085】
一実施形態においては、清浄化カートリッジが、清浄化流体ループを介して透析液ループに接続される。カートリッジは、炭素の層、リン酸塩バインダの層、および尿素バインダの層など、3つの別個の層を備えることができる。清浄化流体の経路は、ループを通過する流れを制御するため、適切な構成要素を含んでいる。一実施形態においては、清浄化流体ループを通過する透析液の流速、例えば清浄化流速が、主たる透析液ループを通過する流れよりも小さい。
【0086】
図示の実施形態においては、真空が、ハウジング120、220および320のチャンバ82を通って膜96と連通する。図2の参照番号38に関してすでに述べたように、一実施形態においては、真空が、ピストン34およびピストン・ヘッド36のチャネルを通ってチャンバ82へと導入される。一実施形態においては、ピストン・ヘッド36が、真空がピストン・ヘッド36と下部可撓膜96の間により均一に広がることができるよう、真空チャネル38オリフィスからピストン・ヘッド36の上面に沿って外向きに延びる星型を構成する溝など、溝を規定している。真空は、ハウジング120、220および320内を負圧源へと延びる別個の流体通路(図示されていない)を介してチャンバ82へと二者択一的に導入される。
【0087】
図6は、ポンプ・ピストン34およびピストン・ヘッド36を駆動するための一実施形態を示している。ハウジング120が、前記上部真空チャンバ82に加え、ポンプ組立体のそれぞれのための下部真空チャンバ84を規定している。ばね86が、真空チャンバ84内に配置されている。ばね86が部材88に接続され、次いで部材88が、ピストン34に接続されている。他の実施形態においては、部材88とピストン34が一体に形成されている。部材88、ピストン34およびピストン・ヘッド36は、硬質プラスチックあるいは例えばアルミニウム、ステンレス鋼または他の非腐食性材料などの金属など、任意の適切な材料からなることができる。ばね86が、ハウジング120の底部および部材88を押し、ピストン34およびピストン・ヘッド36を下部可撓膜96と接触するように強いて、膜96をカセット90の剛体部92へと上方に押す。このように、ばね86は、使い捨てカセット90から流体を押し、あるいは吐き出すように機能する。
【0088】
流体をカセット90へと送るため、強い真空がチャンバ84へと加えられ、ばね86を圧縮する。次いでばねが部材88を引き、ピストン34およびピストン・ヘッド36を引き込む。チャンバ34へと加えられる強い真空は、ばね86のばね定数および圧縮力に打ち勝つために充分強い。一実施形態において、チャンバ84へと加えられる強い真空は、約−5〜約−30psigである。
【0089】
強い真空がチャンバ84に加えられるとき、同時に弱い真空が、引き込まれるピストン・ヘッド36に向かって下部可撓膜96を引くため、チャンバ82に加えられる。この弱い真空は、一実施形態においては約0〜−10psigの間である。ローリング・ダイアフラム98が、部材88と真空チャンバ84の内壁との間に設けられている。ダイアフラム98は、部材88および内壁に密着し、チャンバ82へと加えられる真空とチャンバ84へと加えられる真空とを分離している。ばね86の伸縮およびチャンバ84に交互に加えられる強弱の真空によって、部材88、ピストン34およびピストン・ヘッド36が往復運動して、ローリング・ダイアフラム98を案内し、ほぼ摩擦のない直線運動が生み出される。
【0090】
ばね86が伸張を開始するよう強い真空84が取り除かれたとき、ピストン組立体の運動、またはチャンバ82で続いている弱い真空によって、ローリング・ダイアフラム98は、図6に示したおおむね下向きに延びた配置から反転するであろう。これが生じないようにするため、流体を押し出すストロークの間、チャンバ84に弱い真空が加えられる。一実施形態においては、このチャンバ84の弱い真空も、0〜−10psigの間である。一実施形態においては、この弱い真空は、チャンバ82へと加えられる弱い真空と同じであり、弱い真空によるダイアフラム98の両側の力が、互いに相殺する。チャンバ84の弱い真空は、ばね86のばね定数に打ち勝つほどには大きくない。ばね86は、ピストン・ヘッド36を介して下部可撓膜96へと適切な大きさの力を加えるような寸法とされ、それは、吐出または吐き出しのストロークの際にチャンバ84の弱い真空による負の力がばね86に対して作用することを考慮し、35lbs程度であることができる。
【0091】
図6〜8は、複数のポンプを動作させるための1つの好ましい手順を示している。ポンプ・ピストン34が交互に出入りし、剛体部92と下部可撓膜96との間に規定される関係するポンプ流体チャンバを満たし、空にする。交互に動くポンプが、患者へと事実上一定の流体流を生む。部分的に使い捨てカセット90によって規定される透析液導入バルブおよび排出バルブが、ポンプ・ピストン34の運動に関連して開閉される。一実施形態においては、関連するポンプ・ピストン34が引き込まれるとき、導入バルブ(図示されていない)が開く。ポンプ・ピストン34がカセット90に向かって延びるとき、導入バルブは閉じる。さらに、透析液カセットが、関連するポンプ・ピストンが引き込まれるときに閉じる排出バルブを規定している。ポンプ・ピストンがカセット90へと延びるとき、この排出バルブが開く。
【0092】
図7は、ハウジング220内に収容された他のポンプ・アクチュエータを示している。やはり弱い真空が、例えばポンプ・ピストン34およびピストン・ヘッド36のオリフィスを介して、チャンバ82に加えられる。弱い真空が、下部可撓膜96をポンプ・ピストン・ヘッド36に向かって引っ張る。本明細書に記載のあらゆる実施形態と同様、カセット90から流体を排出すべくポンプ・ピストン34がカセット90に向かって延びるとき、チャンバ82内の弱い真空を維持してもよく、維持しなくてもよい。図7において、図6の部材88およびローリング・ダイアフラム98は、強い真空チャンバ104を規定するシリンダ102で置き換えられている。ピストン棒106がピストン34に取り付けられるとともに、シール108を介してシリンダ102の内面に密着している。さらに、以下でO‐リング112と称するが、既知の任意の種類のものでよい軸シールが、チャンバ82内の真空を維持するため、軸開口80とピストン34の間でハウジング220内に配置されている。
【0093】
ピストン34と関連したシリンダ102およびシリンダ棒106の動作は、図6のダイアフラム98およびばね86にてすでに説明したものと事実上同じである。図7において、ばね114が各シリンダ102内に設けられている。ばね114がシリンダ棒106を押し、次いでシリンダ棒106がピストン34およびピストン・ヘッド36を剛体カセット90に向かって押す。他の実施形態においては、ピストン34を直接シリンダ102の内面に密着させ、ばね114をピストン34を直接押すような寸法として、ピストン棒106を省略することができる。ピストン34を引き戻すため、シリンダ102内のチャンバ104に強い真空が加えられ、ばね114のばね定数および圧縮抵抗に打ち勝つ。
【0094】
ローリング・ダイアフラムが使用されていないため、吐出または流体排出のストロークに関して、チャンバ104内に弱い真空を維持する必要がない。しかしながら、すでに述べたとおり、吐出または流体排出のストロークにおいて、チャンバ82内に弱い真空を維持することができる。ばね114は、図6の実施形態の場合のように残留する負の圧力に打ち勝つ必要はない。このため、ばね114の強さは、ばね86に比べてわずかに弱くすることができ、したがって強い真空も、図6において使用される強い真空よりもわずかに小さくてよい。
【0095】
他の実施形態においては、棒106を押してばね114を圧縮するため、シリンダ102のチャンバ104内の真空を引くのと対照的に、シリンダ102の外側に正の圧力が加えられる。O‐リング・シール112は、シリンダ102の外側の正の圧力をチャンバ82に導入される真空から分離するため、依然必要である。正の圧力が緩められたとき、ばね114が、すでに述べたとおり棒106およびピストン34を押す。
【0096】
次に図8を参照すると、さらに別の実施形態において、強い真空がすべて省略され、代わりに電動の直線または回転/直線アクチュエータ32が使用されている。アクチュエータ32も、図1に関してすでに示されている。一実施形態において、直線アクチュエータ32は、直線ステッピング・モータであり、送りねじまたはボールねじに組み合わせられた回転ステッピング・モータであり、送りねじまたはボールねじに組み合わせられた回転サーボ・モータであり、あるいは電気、空気圧または水圧によって動作する他の種類の直線アクチュエータである。一実施形態において、ポンプ・アクチュエータ32は、接続具116を介して直接ピストン34に接続されており、一実施形態においては、接続具116が、ピストン34とポンプ・アクチュエータ32の出力軸との間のわずかなずれを許容している。ポンプ・アクチュエータ32によって、真空チャンバ84、強い真空および残りの弱い真空の必要性が、まとめて除かれている。弱い真空は、ピストン・ヘッド36がカセット90から離れるように引き込まれるとき、下部可撓膜96を剛体部92から引き離すため、チャンバ82において依然必要である。O‐リング112が、包囲された真空チャンバ82を部分的に形成するため、ハウジング320の開口80と軸34との間に設けられている。
【0097】
次に図9を参照すると、ポンプ・アクチュエータのさらに別の実施形態が示されている。ハウジング420の一部が示されている。ハウジング420は、弱い真空チャンバ82、強い真空チャンバ84、ばね86、ならびに部材88(ピストン34に接続されている)およびハウジング420の内表面(強い真空チャンバ84を規定している)に密着したローリング・ダイアフラム98など、ハウジング120と同じ構成要素を多数備えている。これらの構成要素は、すでに述べたように動作し、下部可撓膜96をカセット90の剛体部92から離れるように引くため、弱い真空がチャンバ82に加えられる。部材88およびピストン34に接続されたばね86を圧縮するため、チャンバ84に強い真空が加えられる。ばね86の圧縮によって、ピストン34がカセット90から離れるように引かれる。チャンバ84から強い真空が取り除かれると、ばね86の圧縮が解かれてピストン34およびピストン・ヘッド36がカセット90に向かって押され、可撓膜96と剛体部92との間に存在する流体が排出される。
【0098】
図9の実施形態は、追加のローリング・ダイアフラム118を含んでいる。ローリング・ダイアフラム98および118のそれぞれは、シリコン・ゴム・シートまたは繊維補強のシリコン・ゴムなど、丈夫で、空気を通さず、可撓性を有している材料で作られている。追加のローリング・ダイアフラム118は、ピストン34へと接続された追加の部材124に密着し、さらにハウジング420の内表面に密着している。
【0099】
ローリング・ダイアフラム98および118の組み合わせは、チャンバ82と84の間に第3の密閉チャンバ122を生じさせる。チャンバ82の弱い真空が、図6の実施形態のようにダイアフラム98の動作を妨げる可能性はない。したがって、流体の押し出しまたは排出のストロークにおいて、チャンバ84に別個の弱い真空を維持する必要はない。さらに、ばね定数86を、チャンバ84の弱い真空に打ち勝つように選択する必要もない。ばね86を小さくすることができるため、チャンバ84の強い真空の程度も、同様に小さくすることができる。
【0100】
第3のチャンバ122内の圧力を制御するため、多くの選択肢が存在する。第3のチャンバ122内の圧力は、大気圧であってもよく正の圧力であってもよい。大気圧である場合、チャンバ82および84内に保たれた負の圧力が、ローリング・ダイアフラム118および98をそれぞれ、図示の適切な位置に維持する。さらに、チャンバ122へと加えられる正の圧力は、ばね86を圧縮するように機能し、ダイアフラム98および118を適切な配置へと押すように機能し、注入ストロークの際に、ばね86の力に打ち勝つべくチャンバ84内に維持される強い真空に代えて、あるいはこれに加えて、カセット90からピストン34を引き戻すために使用できる。
【0101】
次に図10および11を参照すると、先に図2に示したバルブ・プランジャ42を動作させるための実施形態が示されている。さらに図5にも見られるように、プランジャばね70が、プランジャ42を別の使い捨てカセット190の可撓膜94または96の1つに向かって押すべく動作する。可撓膜94および96は、半剛体または剛体部、すなわちプラスチック部192に密着している。図1〜5に関して説明した実施形態において、プランジャばね70は、バルブ/ポンプ・ハウジング20、中間シート24および26、ならびに前面プレート30内に収容されている。図10に示した他の実施形態においては、プランジャばね70およびプランジャ42が、バルブ・ハウジング130内に収容されている。
【0102】
バルブ・ハウジング130は、あらゆるポンプ・ハウジング120、220、320および420と同様、適切な硬質プラスチック、または軽金属(例えばアルミニウム)などの金属からなることができる。バルブ・ハウジング130は、外側部132および内側部134を備えている。ダイアフラム136が、外側に132と内側部134の間に封止されている。一実施形態において、ダイアフラム136は、ローリング・ダイアフラム98および118についてすでに述べた材料と同じ材料からなり、一好ましい実施形態においては、丈夫であり、柔軟であり、かつ空気を通さない。プランジャ42は、自身のそれぞれのダイアフラム136へと、部材138を介して接続されている。図示の実施形態においては、ダイアフラム136が、ボルトなどの取り付け機構を介して部材138に固定されている。プランジャばね70が部材138を押し、部材138およびプランジャ42を動かす。
【0103】
一実施形態においては、順応性のある(compliant)材料142が、可撓膜94および96のそれぞれに面するバルブ・プランジャ42の端部に配置されている。順応性のある材料は、例えばシリコン・ゴム、ネオプレン・ゴム、Vitonまたはエチレン・プロピレン・ジエンメチレン(「EPDM」)などのゴムであってよい。順応性のある材料は、膜94および96ならびに/またはカセット190の剛体部192の表面の小さな不完全性を補償して、バルブ・プランジャ42と可撓シート94または96との間における気密シールの形成を助ける。一実施形態において、可撓膜94および96と接して密着する剛体部192の表面は、平滑であり、あるいは(i)バルブが開くように命じられたとき、シートが剛体部192に貼り付くことがないようにし、(ii)打ち勝たなければならないカセット190内の流体圧力を係数2または3などで効果的に分割する複数のシールをもたらすため、1つ以上の同心のシール・リングを含んでいる。
【0104】
図6に関するポンプの動作と同様、強い真空が、ハウジング130の部位132、ダイアフラム136および部材138によって規定されるチャンバ144に加えられる。弱い真空が、ハウジング130の部位134、ダイアフラム136および部材138によって規定されるチャンバ146に加えられる。チャンバ146内に加えられた弱い真空が、シート94、96をプランジャ142に向かって引くべく作用し、図11に示すとおり流体通路148を開く。流体通路148は、透析液が剛体部192によって規定された通路152から剛体部192によって規定された通路154へと、図11に矢印で示すとおり流れることができるようにする。
【0105】
流体通路148を開くため、チャンバ144に強い真空が加えられる。同時に、チャンバ146に弱い真空が加えられる。強い真空は、例えば2〜10lbsであるプランジャばね70によってもたらされる力、ならびにチャンバ146内の弱い真空によってダイアフラム136に加わる抵抗力に打ち勝つために充分強い。一実施形態においては、プランジャばね70およびプランジャ42が、1〜10psigを超える範囲でありうるポンプ圧力にもとづいて膜を密閉して、3対1の安全係数をもたらすため、0〜約35psigの間の力を加える。さらに図10は、カセット190の複数の面においてバルブを動作させることができる様子を示している。図示はされていないが、同様にカセット190の複数の面において、複数のポンプを動作させることができることを理解すべきである。
【0106】
流体通路148を閉じるため、チャンバ144から強い真空が除かれる。チャンバ146の弱い真空は、維持してもよく、維持しなくてもよい。ばね70がプランジャ42を膜94、96に向かって押し、次いで膜94、96が剛体部192に密着する。ばね70は、圧縮されたとき、0.5〜1.25インチの間であり、自由長において0.75〜1.5インチである。ばねレートは、約5〜約10の範囲であってよい。
【0107】
(III.カセット自動整列の特徴)
次に図12〜14を参照すると、使い捨てカセットを透析装置内に自動的に整列させるための装置および方法が示されている。さらに、この装置および方法は、カセットの位置ずれ問題またはカセットの不完全性問題が存在しないかどうかを検出する。図12は、透析装置100および使い捨てカセット150を示しており、カセット150が装置100に取り付けられようとしているところである。カセット150は、すでに説明したカセットと同様、剛である例えばプラスチック部162、上部可撓膜94および下部可撓膜96を備えている。剛体部162および下部可撓膜96が、3つのポンプ・チャンバ168、172および174を規定している。すでに述べたように、本発明の実施形態のそれぞれは、1つ以上のポンプ・チャンバを有することができる。
【0108】
透析装置100は、基部170と蓋180とを有するハウジングを備えており、図示の実施形態においては、蓋180が基部170にヒンジで取り付けられて、貝殻状構造を形成している。図示の実施形態においては、図1〜5に組立体10が、基部170の内部に収容されている。組立体10の前面プレート30が外へと向き、カセット150と当接して協働するように配置されている。すでに述べたように、ポンプ・ピストン・ヘッド36が、前面プレート30を通って延びている。参考のため、バルブ・プランジャ42およびセンサ74も図示されている。さらに参考のため、装置100は、種々の表示178が表示されるスクリーン176を備えて示されている。
【0109】
透析治療を制御するため、ボタン、ノブおよび他の形式のスイッチなど、いくつかの入力装置184が設けられている。あるいは、スクリーン176がタッチ・スクリーンおよびスクリーン176上に表示された入力装置を通じてオペレータまたは患者が透析治療を制御できるようにするタッチ・スクリーン・コントローラによって動作できる。コントローラ(図示されていない)は、監督プロセッサおよび(i)スクリーン176を制御し、(ii)装置184からの入力を受け付け、(iii)センサ74からの入力を受け付け、さらに(iv)ピストン34およびピストン・ヘッド36ならびにポンプ・プランジャ42および他の機能の動作を制御する複数の代理プロセッサなど、複数のプロセッサを備えることができる。
【0110】
膨張可能な袋182が、カセット150が所定の位置にあるときに膨張してカセット150を前面プレート30に対して固定するために設けられている。図示の実施形態においては、膨張可能な袋182は、蓋180の内表面186に位置している。カセット150を前面プレート30に対して配置した後、蓋180が閉じられる。次いで、コントローラが、膨張可能な袋182を膨張させてカセット150を固定するよう、圧力源に指示する。袋182の膨張に先立ち、カセット150が、前面プレート30と蓋180の内表面186との間でわずかに移動可能である。また、(i)カセット150が、装置100内に配置されるときに前面プレート30に対して整列ずれする可能性があり、さらに/あるいは(ii)例えば漏れなどの完全性の問題が、可撓膜94、96の1つと剛体部162との間に存在する可能性がある。
【0111】
図13および14は、カセット150が装置100に取り付けられた後、かつ膨張可能な袋182が膨張させられる前について、それぞれ図12の線XIII‐XIIIおよびXIV‐XIVを通って得た断面を示している。一実施形態においては中空である蓋180の断面が、カセット150の直上に位置する閉鎖位置に示されている。一実施形態において、蓋は、袋182の膨張やポンプの動作などに先立って機械的にロックされる。膨張可能な袋182は、上部可撓膜94に緩く接触している。他の実施形態において、カセット150を垂直に取り付けてもよいことを、理解すべきである。その場合、前面プレート30は、基部170内で垂直に配置される。
【0112】
図13は、ポンプ・チャンバとピストン・ヘッドとの間に存在するわずかな位置ずれを示している。カセット150のポンプ・チャンバ168、172および174が、ピストン・ヘッド36の上方で適正な位置のわずかに右にある。すなわち、カセット150が、右側へとわずかに位置ずれしている。本発明の透析治療の開始手順においては、コントローラ(図示されていない)が、少なくとも1つ、好ましい実施形態においてはすべてのポンプ・ピストン34および関係するピストン・ヘッド36に対し、流体放出位置へと上方(側面取り付けの場合は側方)に移動するよう指示する。図13には、この上方への運動を示す矢印が含まれている。
【0113】
図14に左向きの矢印が示されており、ピストン・ヘッド36が上方へと移動するとき、ヘッドが下部可撓膜96に接して剛体部162と当接し、カセット150を左方へとスライドさせて適切な動作位置へと移動させる様子を示している。図示のとおり、ピストン・ヘッド36および流体ポンプ・チャンバ168、172および174は、それぞれの端部において先細りとされており、前面プレート30に対するカセット150の整列を助けている。少なくとも2つのポンプ・ピストンを設けることによって、二次元における整列が確保される。他の実施形態においては、両方の水平方向においてオフセットをもたらすため、ポンプ・ピストン34がお互いに対してわずかにずれていてもよい。カセット150および前面プレート30が垂直に配置されている場合、複数のポンプ・ピストン34が複数の垂直方向について整列をもたらす。
【0114】
カセット150は、ピストン・ヘッド36が、流体ポンプ・チャンバ168、172および174に対して位置ずれの自動的な修正にとって整列がずれすぎている位置まで、位置ずれしてもよい。歪みゲージ・センサなどの1つ以上のセンサ188が、ポンプ・ピストン34およびピストン・ヘッド36の移動に対する抵抗を検出するために設けられる。カセット150が整列するように移動しない場合、ピストン134によってカセット150の剛体部162に加えられた力が、剛体部162を横切って伝えられ、歪みゲージ188で検出される。歪みゲージ188が、コントローラへと入力を送信する。コントローラは、歪みゲージの入力が警報設定点レベルまで増加した場合に、ポンプ・ピストン34を引き込んで、スクリーン176にエラー・メッセージを送るようにプログラムされている。
【0115】
さらに、剛体部162の不適切な形成、または剛体部162上への可撓膜96の不適切な配置のため、1つ以上のピストン34の移動が妨げられる可能性がある。そのような場合、すでに述べたように、妨げられたピストンによる力が、剛体部162を通じて力センサ188に伝えられる。やはりセンサ188がコントローラに信号を送信し、コントローラがスクリーン176に警報メッセージを送る。一実施形態においては、警報メッセージがユーザに対して、カセットの位置がずれており、あるいはカセットの完全性に問題があることを警報する。複数のセンサ188が設けられている場合など、他の状況においては、コントローラが、問題が位置ずれであるのか、完全性であるのかを判断し、対応する適当なメッセージをスクリーン176に送るようにすることができる。いずれの場合においても、コントローラがポンプ・ピストンの上方移動を中止させ、関連の応力を緩和すべく引き込むことができる。
【0116】
ひとたびカセット150が、図14に関して示す正しい位置にあると判断されると、コントローラが、膨張可能な袋182を膨張させてカセット150を蓋180と前面プレート30との間に固定するよう、圧力源に指示する。このとき、またはこの前、あるいはこの後に、必要に応じ1つ以上のポンプ・ピストン34を引き込むことができる。
【0117】
(IV.可撓膜の材料)
本明細書において参照番号94および96で参照されるポンプ膜フィルムは、好ましくはPVCを含有しない熱可塑性重合体材料から作られ、図15に示すような単層構造であってよく、図16に示すような多層構造であってよい。フィルムは、押し出し、共押し出し、押し出し積層、積層、ブロー押し出し、筒状押し出し、成型押し出しまたは共押し出し、圧縮成型および熱成形など、通常の熱可塑性プロセス技術を使用して製造することができる。約5%〜40%、さらに好ましくは10%〜30%、最も好ましくは20〜25%の伸びを有するフィルムの製造によく適しているため、熱成形がフィルムの製造のための1つの好ましい方法である。本発明の好ましい形態においては、フィルムの一部、より好ましくは中央部が、ドームとされている。本発明のより好ましい形態においては、ドームが1.60インチの直径および0.26インチの深さを有している。フィルムは、15ミルを下回る厚さを有し、より好ましくは12ミルを下回る厚さを有し、さらに好ましくは約11ミル〜約4ミルの厚さを有する。
【0118】
本発明の好ましい形態においては、フィルムが、本明細書に記載のとおりポンプ膜として機能するための或る物理的特性の要件を満足すべきである。フィルムは、正確な流体体積の配送速度を実現するための機械的係数を有するべきである。本発明の好ましい形態においては、ASTM D‐882に従って測定した弾性係数が20,000psiよりも小さく、より好ましくは15,000psiよりも小さく、さらに好ましくは10,000psiよりも小さい。弾性係数は、5〜40℃の温度範囲にわたって基本的に一定のままであるべきである。
【0119】
さらに、ポンプ膜フィルムは、熱溶着、音波溶着または溶媒による接着など、通常の密着技法を使用して膜フィルムをカセットに恒久的に接着できるよう、カセット92、150および192の材料に対し充分に適合性であるべきである。最も好ましくは、フィルムがカセットに、ヒートシールによって取り付けられる。
【0120】
ポンプ膜フィルムは、1万回のポンプ・ストロークにわたって、配送される流体の体積に大きな変化を生じることなく、ピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42によって変形させられなくてはならない。体積の変化は、10,000回のポンプ・ストローク後、または1回の治療セッションなどの後において、約15パーセント以下であり、より好ましくは約10%以下であり、最も好ましくは5%以下である。
【0121】
さらにフィルムは、5〜40℃の動作温度にわたって機械的特性の変化が最小でなければならない。本発明の好ましい形態において、フィルムは、75℃の表面ヒータとの接触に耐えることができ、95℃のスポット温度に1〜3秒間にわたって耐えることができる。本発明のさらに別の好ましい形態においては、フィルムが、5ミルの厚さを有するフィルムについて、0.20ワット/分・ケルビン(K)よりも大きい熱伝達係数を有することができる。
【0122】
本発明のさらに別の好ましい形態においては、ピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42に面しているフィルムの表面が、これらの装置にポンプ動作を妨げる程度に貼り付くことがない。本発明の一好ましい形態においては、フィルムが、これら装置のフィルムへの貼り付きの防止を助けるため、ざらつきのある表面を有している。ざらつきの或る表面には、マット仕上げまたはタフタ仕上げ、あるいはピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42が接するフィルムの外表面の表面積を低減するための他の表面改質が含まれうる。表面のざらつきは、型押しによって付与することができ、あるいは重合体フィルム・プロセスの分野の当業者にとって公知の技法を用いて、フィルムに付与することができる。
【0123】
本発明の好ましい形態において、フィルムは最小のゲルしか有さず、あるいはゲルを有さない。ゲルはフィルム中の異質物であり、局所的な厚さの増加として現われる。ゲルは、フィルムの他の部分よりも漏れを形成しやすいため、望ましくない。
【0124】
さらに、フィルムが自分自身に容易に、または恒久的に貼り付くことがなく、フィルムが自分自身に貼り付くことから生じる当業者に周知の困難を最小限にしつつ、フィルムを製造し、保管し、本明細書に記載の装置に組み込むことができると好ましい、。
【0125】
さらに、フィルムが、8時間の治療セッションにおいて最小または問題にならない量の水がフィルムを通して失われるよう、水蒸気の透過に対するバリアを呈することが好ましい。本発明の好ましい形態において、フィルムの水蒸気透過率(WVTR)は、37.8℃かつ100%の相対湿度で測定したとき、0.500g/100in2/dayよりも小さく、さらに好ましくは0.300g/100in2/dayよりも小さい。さらに、本発明の好ましい形態においては、25℃かつ100%の相対湿度で測定したWTVRが、0.200g/100in2/dayよりも小さく、さらに好ましくは0.150g/100in2/dayよりも小さい。
【0126】
フィルムは、裂けや切断に対して耐力がなければならない。フィルムは、フィルムの支持されていない部分に、5ポンドの力が加えられた1.6インチの直径を有するプランジャが衝突するとき、裂けに耐えなければならない。本発明の他の好ましい形態においては、フィルムのElmendorf引き裂き強度が、ASTM D 1922に従って測定したとき、300〜3,000gであり、さらに好ましくは500〜1,000gである。本発明の好ましい形態において、フィルムは、約45〜約65Shore Aのデュロメータ硬さを有するべきである。
【0127】
本発明の好ましい形態においては、フィルムは、ガンマ線またはエチレンオキシド滅菌技法によって滅菌できる。
【0128】
さらに、本発明の好ましい形態においては、厚さ9ミルのフィルムについてASTM D‐1003に従って測定した光ヘイズが30%よりも小さく、さらに好ましくは15%よりも小さく、より好ましくは10%よりも小さく、最も好ましくは5%よりも小さいなど、高い透明度を有している。
【0129】
適切なPVC非含有ポリマーには、ポリオレフィン類、エチレンおよび低級アルキル・アクリレートの共重合体類、エチレンおよび低級アルキル置換アルキル・アクリレートの共重合体類、エチレン・ビニル・アセテート共重合体類、ポリブタジエン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ならびにスチレンおよび炭化水素の共重合体類が含まれる。
【0130】
適切なポリオレフィン類には、2〜20の炭素原子、さらに好ましくは2〜10の炭素を含んでなるアルファ‐オレフィン類を重合させて得た単独重合体または共重合体が含まれる。したがって、適切なポリオレフィン類には、プロピレン、エチレン、ブテン‐1、ペンテン‐1、4‐メチル‐1‐ペンテン、ヘキセン‐1、ヘプテン‐1、オクテン‐1、ノネン‐1、およびデセン‐1からなる重合体または共重合体が含まれる。最も好ましいポリオレフィンは、プロピレンの単独重合体または共重合体、あるいはポリエチレンの単独重合体または共重合体である。
【0131】
適切なポリプロピレンの単独重合体は、アモルファス、アイソタクチィック、シンジオタクチック、アタクチック、ヘミアイソタクチックまたはステレオブロックの立体化学を有することができる。本発明の一好ましい形態においては、ポリプロピレンの単独重合体が、シングルサイト触媒を使用して得られる。
【0132】
適切なプロピレンの共重合体は、プロピレン単量体を2〜20の炭素を有するアルファ‐オレフィンと重合させることによって得られる。本発明のより好ましい形態においては、プロピレンが、共重合体の重量に対して約1%〜約20%、より好ましくは約1%〜約10%、最も好ましくは約2%〜約5%のエチレンと共重合される。プロピレンおよびエチレン共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。本発明の好ましい形態においては、プロピレン共重合体が、シングルサイト触媒を使用して得られる。
【0133】
さらに、ポリプロピレンとアルファ‐オレフィンとの共重合体のブレンドを使用することも可能であり、プロピレン共重合体は、アルファ‐オレフィン中の炭素の数によって変化しうる。例えば、本発明において、1つの共重合体が炭素2つのアルファ‐オレフィンを有し、別の共重合体が炭素4つのアルファ‐オレフィンを有しているプロピレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体のブレンドが考えられる。さらに、2〜20の炭素、さらに好ましくは2〜8の炭素のアルファ‐オレフィンの任意の組み合わせを使用することができる。したがって、本発明においては、プロピレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体のブレンドであって、第1および第2のアルファ‐オレフィンが以下の炭素数の組み合わせ、すなわち2および6、2および8、4および6、4および8を有しているブレンドが考えられる。さらに、ブレンド中にポリプロピレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体類を3つ以上使用することも考えられる。適切な重合体は、catalloy手順を使用して得ることができる。
【0134】
さらに、メルトストレングスの大きいポリプロピレンを使用することが望ましい。メルトストレングスの大きいポリプロピレンは、10グラム/10分〜800グラム/10分の範囲内、より好ましくは30グラム/10分〜200グラム/10分の範囲内、あるいはこの中の任意の範囲または任意の範囲の組み合わせのメルト・フロー・インデックスを有するポリプロピレンの単独重合体または共重合体であることができる。メルトストレングスの大きいポリプロピレンは、プロピレン単位の自由端の長い鎖の分岐を有することが知られている。大きいメルトストレングス特性を示すポリプロピレンを調製するための方法は、米国特許第4,916,198号、5,047,485号、および5,605,936号に記載されており、これらはここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。そのような方法の1つには、直鎖プロピレン重合体を、活性酸素濃度が約15体積%である環境下で、直鎖プロピレン重合体のかなりの量の鎖の切断のために充分であるが材料をゲル化するには不充分である期間にわたって、毎分1〜104メガラドの照射量で高エネルギー・イオン化エネルギー放射にて照射することが含まれる。放射は、鎖の切断をもたらす。引き続く鎖断片の再結合が、新しい鎖の形成ならびに分岐を形成するための鎖断片の鎖への接続をもたらす。これが、所望の自由端長さの鎖が分岐し、分子量が大きく、直線でないプロピレン重合体材料をもたらす。放射は、充分な量の長い鎖の分岐が形成されるまで維持される。次いで材料が、放射された材料に存在する事実上すべてのフリーラジカルを非活性化すべく処理される。
【0135】
大きいメルトストレングス特性を示すポリプロピレンは、米国特許第5,416,169号に記載のとおりにして得ることもでき、この米国特許の全体は、指定の有機ペルオキシド(ジ‐2‐エチルヘキシルペルオキシジカーボネート)が指定の条件下でポリプロピレンと反応させられ、続いて溶融混練されるとき、ここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。そのようなポリプロピレンは、ほぼ1の分岐係数を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンであり、すなわち、自由端の長い鎖の分岐を有さず、約2.5dl/g〜10dl/gの固有粘度を有する。
【0136】
適切なエチレン単独重合体には、0.915g/ccを上回る密度を有するものが含まれ、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれる。
【0137】
適切なエチレンの共重合体は、エチレン単量体を3〜20の炭素、より好ましくは3〜10の炭素、最も好ましくは4〜8の炭素を有するアルファ‐オレフィンと重合させることによって得られる。さらに、エチレンの共重合体が、ASTM D‐792によって測定したとき、約0.915g/ccを下回る密度、より好ましくは約0.910g/ccを下回る密度、さらに好ましくは約0.905g/ccを下回る密度を有することが望ましい。そのようなポリマーは、VLDPE(極低密度ポリエチレン)またはULDPE(超低密度ポリエチレン)と称されることが多い。好ましくは、エチレン・アルファ‐オレフィン共重合体は、シングルサイト触媒を使用して製造され、さらに好ましくはメタロセン触媒系を使用して製造される。シングルサイト触媒は、触媒サイトの混合を有するとして知られているZiegler‐Natta型の触媒と対照的に、立体的および電気的に等価なただ1つの触媒位置を有していると考えられる。そのようなシングルサイト触媒によるエチレン・アルファ‐オレフィンは、Dow社によってAFFINITYという商品名で、DuPont Dow社によってENGAGE(登録商標)という商標で、Exxon社によってEXACTという商品名で販売されている。これらの共重合体は、本明細書においてm‐ULDPEと称されることがある。
【0138】
さらに、適切なエチレンの共重合体には、エチレンおよび低級アルキル・アクリレートの共重合体類、エチレンおよび低級アルキル置換アルキル・アクリレートの共重合体類、およびビニル・アセテート成分を共重合体に対して約8重量%〜約40重量%で有しているエチレン・ビニル・アセテート共重合体類が含まれる。「低級アルキル・アクリレート」という用語は、ダイアグラム1に示す化学式を有するコモノマーを指す。
【0139】
【化1】
R基は、1〜17の炭素を有するアルキル類を指す。したがって、「低級アルキル・アクリレート」という用語には、これらに限られるわけではないが、メチル・アクリレート、エチル・アクリレート、およびブチル・アクリレートなどが含まれる。
【0140】
「アルキル置換アルキル・アクリレート」という用語は、ダイアグラム2に示す化学式を有するコモノマーを指す。
【0141】
【化2】
R1およびR2は、1〜17の炭素を有するアルキル類であり、炭素の数が同じであってもよく、異なっていてもよい。したがって、「アルキル置換アルキル・アクリレート」という用語には、これらに限られるわけではないが、メチル・メタクリレート、エチル・メタクリレート、メチル・エタクリレート、エチル・エタクリレート、ブチル・メタクリレートおよびブチル・エタクリレートなどが含まれる。
【0142】
適切なポリブタジエン類には、1,3‐ブタジエンの1,2‐または1,4‐添加製品が含まれる(これらをまとめてポリブタジエンと称する)。本発明のより好ましい形態においては、重合体が、1,3ブタジエンの1,2‐添加製品である(これらは1,2ポリブタジエンと称される)。本発明のさらに好ましい形態においては、関心のある重合体がシンジオタクチックの1,2‐ポリブタジエンであり、さらに好ましくは、低結晶化度シンジオタクチック1,2ポリブタジエンである。本発明の好ましい形態において、低結晶化度シンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、50%を下回る結晶化度を有し、より好ましくは45%を下回る結晶化度を有し、さらに好ましくは40%を下回る結晶化度を有し、さらに好ましくは、結晶化度が約13%〜約40%であり、最も好ましくは約15%〜約30%である。本発明の好ましい形態において、低結晶化度シンジオタクチック1,2ポリブタジエンは、ASTM D 3418に従って測定し、約70℃〜約120℃の融点温度を有する。適切な樹脂には、JSR(日本合成ゴム)によってJSR RB 810、JSR RB 820、およびJSR RB 830のグレード指定にて販売されているものが含まれる。
【0143】
適切なポリエステル類には、ジ‐またはポリカルボン酸類とジまたはポリヒドロキシ・アルコール類あるいはアルキレン・オキシド類の重縮合産品が含まれる。本発明の好ましい形態において、ポリエステルは、ポリエステル・エーテルである。適切なポリエステル・エーテルは、1,4シクロヘキサン・ジメタノール、1,4シクロヘキサン・ジカルボン酸、およびポリテトラメチレン・グリコール・エーテルを反応させることから得られ、一般にPCCEと称される。適切なPCCE類は、Eastman社からECDELという商品名で販売されている。さらに、適切なポリエステル類には、ポリブチレン・テレフタレートの硬質結晶化セグメントおよび軟質(非晶質)ポリエーテル・グリコール類の第2のセグメントのブロック重合体であるポリエステル・エラストマ類が含まれる。そのようなポリエステル・エラストマ類は、Du Pont Chemical CompanyによってHYTREL(登録商標)という商品名で販売されている。
【0144】
適切なポリアミド類には、4〜12の炭素を有するラクタム類の開環反応から得られたものが含まれる。したがって、このグループのポリアミドは、ナイロン6、ナイロン10およびナイロン12を含む。さらに、受容可能なポリアミド類には、2〜13に範囲内の炭素数を有するジ‐アミンの縮合反応から得られる脂肪族ポリアミド類、2〜13に範囲内の炭素数を有する二価酸の縮合反応から得られる脂肪族ポリアミド類、二量体脂肪酸の縮合反応から得られるポリアミド類、およびアミド含有共重合体が含まれる。したがって、適切な脂肪族ポリアミド類には、例えばナイロン66、ナイロン6,10、および二量体脂肪酸ポリアミド類が含まれる。
【0145】
スチレンおよび炭化水素の共重合体のスチレンには、スチレンおよびアルキル置換スチレンおよびハロゲン置換スチレンを含む種々の置換スチレンが含まれる。アルキル基は、1〜約6の炭素原子を含むことができる。置換スチレンの特定の例としては、アルファ‐メチルスチレン、ベータ‐メチルスチレン、ビニルトルエン、3‐メチルスチレン、4‐メチルスチレン、4‐イソプロピルスチレン、2,4‐ジメチルスチレン、オルト‐クロロスチレン、パラ‐クロロスチレン、オルト‐ブロモスチレン、2‐クロロ‐4‐メチルスチレン、などが含まれる。スチレンが最も好ましい。
【0146】
スチレンおよび炭化水素の共重合体の炭化水素部分には、共役ジエン類が含まれる。使用できる共役ジエンは、4〜10の炭素原子を含むものであり、さらに一般には、4〜6の炭素原子を含むものである。例としては、1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐1,3‐ブタジエン(イソプレン)、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、クロロプレン、1,3‐ペンタジエン、1,3‐ヘキサジエン、などが含まれる。ブタジエンおよびイソプレンの混合物など、これら共役ジエンの混合物も使用することができる。好ましい共役ジエンは、イソプレンおよび1,3‐ブタジエンである。
【0147】
スチレンおよび炭化水素の共重合体は、ジ‐ブロック、トリ‐ブロック、マルチ‐ブロック、およびスター・ブロックを含むブロック共重合体であってよい。ジブロック共重合体の特定の例としては、スチレン‐ブタジエン、スチレン‐イソプレン、およびこれらの水素化誘導体が含まれる。トリブロック重合体の例としては、スチレン‐ブタジエン‐スチレン、スチレン‐イソプレン‐スチレン、アルファ‐メチルスチレン‐ブタジエン‐アルファ‐メチルスチレン、およびアルファ‐メチルスチレン‐イソプレン‐アルファ‐メチルスチレン、ならびにこれらの水素化誘導体が含まれる。
【0148】
前記ブロック共重合体の選択的水素化は、Raneyニッケル、白金、パラジウムなどの貴金属、ならびに溶解可能な遷移金属触媒などの触媒存在下での水素化を含む種々の公知のプロセスによって実行可能である。使用可能な適切な水素化プロセスは、ジエン含有重合体または共重合体が、シクロヘキサンなどの不活性炭化水素希釈液に溶解され、溶解可能な水素化触媒の存在下で水素との反応によって水素化されるものである。そのような手順は、米国特許第3,113,986号および第4,226,952号に記載されており、これらにおける開示はここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。
【0149】
とくに有用な水素化ブロック共重合体は、スチレン‐(エチレン/プロピレン)‐スチレン・ブロック重合体など、スチレン‐イソプレン‐スチレンの水素化ブロック共重合体である。ポリスチレン‐ポリブタジエン‐ポリスチレン・ブロック重合体が水素化されたとき、得られる産品は、エチレンおよび1‐ブテンの通常の共重合体ブロック(EB)に似ている。すでに述べたように、使用される共役ジエンがイソプレンであるとき、得られる水素化産品は、エチレンおよびプロピレンの通常のブロック共重合体(EP)に似ている。市販されている選択的に水素化されたブロック共重合体の一例は、KRATON G‐1652であり、30%のスチレン両端ブロックを有する水素化SBSトリブロックであり、中間ブロック均等物は、エチレンおよび1‐ブテンの共重合体(EB)である。この水素化ブロック共重合体は、SEBSと称されることが多い。他の適切なSEBSまたはSIS共重合体は、KurrarryによってSEPTON(登録商標)およびHYBRAR(登録商標)という商品名で販売されている。
【0150】
さらに、アルファ、ベータ‐不飽和モノカルボンまたはジカルボン酸試薬を前記の選択的水素化ブロック共重合体にグラフトし、グラフト改質スチレンおよび炭化水素ブロック共重合体を使用することが望ましい。
【0151】
共役ジエンおよびビニル芳香族化合物のブロック共重合体が、アルファ、ベータ‐不飽和モノカルボンまたはジカルボン酸試薬でグラフトされる。カルボン酸試薬には、カルボン酸そのもの、および選択的に水素化されたブロック共重合体にグラフトできる無水物、イミド、金属塩、エステルなどのカルボン酸の官能誘導体が含まれる。グラフトされた重合体は、通常は、ブロック共重合体およびカルボン酸試薬の全重量にもとづき、約0.1〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%のグラフトされたカルボン酸を含む。有用な一塩基カルボン酸の特定の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、無水アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム、およびアクリル酸マグネシウムなどが含まれる。ジカルボン酸およびその有用な誘導体には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、モノメチルマレアート、モノナトリウムマレアートなどが含まれる。
【0152】
スチレンおよび炭化水素のブロック共重合体は、Shell Chemical CompanyによってKRATON G2705という製品名で販売されているオイル修飾SEBSなど、オイルで修飾できる。
【0153】
本発明の最も好ましい形態においては、膜フィルムが、図15に示したような単層構造であり、m‐ULDPE樹脂から作られている。図16に示したような2層またはそれ以上の層を有する多層構造については、溶液と接触する内側層がm‐ULDPEであることが望ましく、外側を向いた層(外側層)は、前記ポリマーから選択された重合体材料、金属箔または紙であることができる。ポンプ・フィルムは、カセットに取り付けられ、カセットに取り付けられた部位と、カセットに支持されず、カセットに支持された部位の間を広がっている他の部位とを有している。フィルムは、一般に、フィルムがカセットに取り付けられている部位の間で教えられる。すなわち、フィルムは、第1の支持と第2の支持との間に広がり、前記した物理的特性の1つ以上を満足する。ポンプ・フィルムは、流体レザバーを覆い、レザバーをとおって流体を移動させるため第1の位置から第2の位置まで可動である。フィルムは、ピストン・ヘッド36またはバルブ・プランジャ42などによるフィルムの非支持部分への1回の接触または一連の周期的接触に応じて、第1および第2の位置の間を移動する。本明細書に示したカセットはおおむね矩形であるけれども、本発明の技術的範囲を離れることなく、多角形、円形、楕円形および不規則形状など、多数あるさまざまな形状を有することができる。
【0154】
カセットは、好ましくは熱可塑性重合体から作られ、さらに好ましくは、剛な熱可塑性重合体から作られる。本発明の好ましい形態においては、カセットが、前記したようなプロピレンの単独重合体または共重合体、環状オレフィンの単独重合体または共重合体、あるいは架橋多環炭化水素の単独重合体または共重合体などのポリオレフィンから作られる。そのようなポリマー類は、まとめてCOCと称することがある。
【0155】
適切な環状オレフィン類および架橋多環炭化水素の単独重合体または共重合体、ならびにそれらのブレンドは、米国特許第5,218,049号、第5,854,349号、第5,863,986号、第5,795,945号、第5,792,824号、第4,993,164号、第5,008,356号、第5,003,019号、および第5,288,560号に見つけることができ、これらはすべて、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものとする。本発明の好ましい形態において、これらの単独重合体、共重合体、または重合体ブレンドは、摂氏50度を上回るガラス遷移温度を有し、さらに好ましくは、約摂氏70度〜約摂氏180度のガラス遷移温度を有し、0.910g/ccよりも大きい密度を有し、さらに好ましくは0.910g/cc〜約1.3g/ccの密度を有し、最も好ましくは0.980g/cc〜約1.3g/ccの密度を有し、重合体のバックボーンに少なくとも20モル%、より好ましくは約30〜65モル%、最も好ましくは約30〜60モル%の環状脂肪族化合物または架橋多環式化合物を有する。
【0156】
本発明の好ましい形態においては、適切な環状オレフィン単量体は、リングに5〜約10の炭素を有する単環式の化合物である。環状オレフィンは、置換および非置換のシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエンから構成されるグループから選択できる。適切な置換基には、低級アルキル、アクリレート誘導体などが含まれる。
【0157】
本発明の好ましい形態において、適切な架橋多環炭化水素単量体は、2つ以上のリングを有し、さらに好ましくは少なくとも7つの炭素を含んでいる。リングは、置換されてもよく、置換されていなくてもよい。適切な置換基には、低級アルキル、アリル、アラルキル、ビニル、アリルオキシ、(メタ)アクリオキシ、などが含まれる。架橋多環炭化水素は、前記引用特許および特許出願に開示のもので構成されるグループから選択される。本発明の好ましい形態においては、多環炭化水素が、開環メタテシス重合(ROMP)よりはむしろ、付加反応において重合される。重合体を含んでいる適切な架橋多環炭化水素は、Ticona社によってTOPASという商品名で、Nippon Zeon社によってZEONEXおよびZEONORという商品名で、Daikyo Gomu Seiko社によってCZ樹脂という商品名で、Mitsui Petrochemical CompanyによってAPELという商品名で、販売されている。
【0158】
適切なコモノマーには、3〜10の炭素を有するアルファ‐オレフィン類、芳香族炭化水素、他の環状オレフィンおよび架橋多環炭化水素が含まれる。さらに、前記の単独重合体および共重合体に関連したペンダント基を有することが望ましい。ペンダント基は、環状オレフィン含有重合体および架橋多環炭化水素含有重合体を、アミン、アミド、イミド、エステル、カルボン酸、および他の極性官能基を含むより極性のある重合体と適合化させるためのものである。適切なペンダント基には、芳香族炭化水素、二酸化炭素、モノエチレン性不飽和炭化水素、アクリロニトリル、ビニル・エーテル、ビニル・エステル、ビニルアミド、ビニル・ケトン、ビニル・ハライド、エポキシド、環状エステルおよび環状エーテルが含まれる。モノエチレン性不飽和炭化水素には、アルキル・アクリレート、およびアリル・アクリレートが含まれる。環状エステルには、無水マレイン酸が含まれる。
【0159】
さらに、重合体ブレンドもカセットの製造に適していることが見出された。本発明の適切な2成分のブレンドは、第1の成分としてCOCを含んでいる。COCは、ブレンドの重量の約1〜99%、さらに好ましくは約30〜99%、最も好ましくは35〜99%の量で存在でき、あるいはこれらの中の範囲の任意の組み合わせまたは部分組み合わせの量で存在できる。本発明の好ましい形態においては、第1の成分が、約摂氏70度〜約摂氏130度、さらに好ましくは約摂氏70〜110度のガラス遷移温度を有する。
【0160】
さらにブレンドは、第2の成分を、ブレンドの重量の約99〜1%、さらに好ましくは約70〜1%、最も好ましくは65〜1%の量で含んでいる。第2の成分は、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセンおよびスチレンの単独重合体または共重合体で構成されるグループから選択される。第2の成分は、好ましくは約0.870〜0.960g/ccの密度を有し、より好ましくは約0.910〜0.960g/ccの密度を有し、さらに好ましくは約0.930〜0.960g/ccの密度を有している。本発明の好ましい形態においては、第2の成分が、エチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体であり、アルファ‐オレフィンが3〜10の炭素、より好ましくは4〜8の炭素、最も好ましくは6の炭素を有している。最も好ましくは、エチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体が、メタロセン触媒を使用して得られる。
【0161】
適切な3成分ブレンドは、第3の成分として、前記したCOCから選択され第1の成分とは異なっているCOCを含んでいる。本発明の好ましい形態において、この第2のCOCは、第1のCOCが約摂氏120度よりも低いガラス遷移温度を有するとき、約摂氏120度よりも高いガラス遷移温度を有する。本発明の好ましい形態においては、第3の成分は、ブレンドの重量の約10〜90%の量で存在し、第1および第2の成分は、第2の成分に対する第1の成分の比がそれぞれ約2:1〜約1:2で存在すべきである。
【0162】
本発明の好ましい形態においては、ノルボルネンおよびエチレンのランダムおよびブロック共重合体が、ブレンドの第1の成分として選択される。これらノルボルネン共重合体は、米国特許第5,783,273号、第5,744,664号、第5,854,349号、および5,863,986号に詳細に記載されている。ノルボルネン・エチレン共重合体は、好ましくは少なくとも20モル・パーセントのノルボルネン単量体を有し、さらに好ましくは約20〜75モル・パーセント、最も好ましくは約30〜60モル・パーセントのノルボルネン単量体、またはこの中の範囲の任意の組み合わせまたは部分組み合わせを有している。ノルボルネン・エチレン共重合体は、約摂氏70〜180度、より好ましくは約摂氏70〜130度、さらに好ましくは約摂氏70〜100度のガラス遷移温度を有するべきである。
【0163】
第2の成分は、好ましくは4〜8の炭素を有するアルファ‐オレフィンと共重合したエチレンである。好ましくは、エチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体は、メタロセン触媒を使用して得られる。好ましい触媒系は、とくには米国特許第5,783,638号および第5,272,236号に記載のものである。適切なエチレンおよびアルファ‐オレフィンの共重合体には、Dow Chemical CompanyからAFFINITYおよびENGAGEという商品名で販売されているもの、Exxon社によってEXACTという商品名で販売されているもの、およびPhillips Chemical CompanyによってMARLEXという商品名で販売されているものが含まれる。
【0164】
すでに述べたように、第1の成分であるノルボルネン/エチレン共重合体は、ブレンドの重量の約1〜99%、さらに好ましくは約30〜99%、最も好ましくは35〜99%で存在できる。好ましい3成分ブレンドにおいては、第2のノルボルネンおよびエチレンの共重合体が、2成分のノルボルネン‐エチレン/エチレン・アルファ‐オレフィン・ブレンドに加えられる。第2のノルボルネン・エチレン共重合体は、30モル・パーセント以上、より好ましくは約35〜75モル・パーセントのノルボルネン単量体成分を有するべきであり、第1の成分が摂氏120度よりも低いガラス遷移温度を有するとき、摂氏120度よりも高いガラス遷移温度を有するべきである。
【0165】
カセットは、COCおよび前記のブレンドから製造することができる。カセットは、射出成形、ブロー成形、熱成形プロセス、または他のプラスチック製造技法によって、COCから製造することができる。本発明の好ましい形態においては、カセットが射出成形で作られる。
【0166】
カセットへと接続されるチューブは、カセットと適合性であり、本発明の好ましい形態においては、ポリオレフィンから作られ、より好ましくはm‐ULDPEから作られ、さらに好ましくは本件と譲受人が同一である米国特許第6,372,848号によるm‐ULDPE樹脂のブレンドから作られ、この米国特許は、ここでの言及によって全体が本明細書に組み込まれたものとする。チューブは、流体レザバーと流体流通し、レザバーへと流体を運び、レザバーから流体を運ぶことができる。
【0167】
(V.透析液の流れの多重化)
次に図17〜20を参照すると、バルブおよびポンプ構成200が、本発明のポンプおよびバルブについての考えられる1つの配置構成を示している。図18〜20は、バルブ構成200に関してバルブがどのように順序付けられるのかについての一例を示す値の組を記載している。したがって、他の値の組も可能である。
【0168】
カセット‐ベースの本明細書に記載の改善は、血液透析および腹膜透析など、さまざまな異なる種類の透析治療において機能可能である。例えば、腹膜透析において、このシステムは、バッチ・システム、連続フロー・システム、タイダル・フロー・システム、およびこれらの任意の組み合わせであることができる。バッチ式のシステムにおいては、透析液が患者へと送出され、次いで排出される。タイダル・フロー・システムは、バッチ式システムの修正であり、すべての流体を患者の腹膜腔から引き抜く代わりに、流体の一部をより頻繁に引き抜いて置換する。タイダル・フロー・システムは、バッチ治療および連続治療の両者に類似の特徴を有している。
【0169】
連続フロー・システムにおいては、透析液が患者へとポンプで送られ、1つ以上のフィルタおよび再生装置を通して患者へと戻される。連続フロー・システムは、通常は、流体が患者へと届く前に流体へと加えられるべき1つ以上の濃縮物を必要とする。さらに、ループ内の流体の総量が比較的一定に保たれるよう、患者によって生成された大まかに等しい量の限外濾過液が循環から取り除かれる。本明細書に記載の構成要素は、可変容積CFPDシステムにおいても同様に使用することができる。
【0170】
バルブおよびポンプ構成200は、これらの種類のシステムのそれぞれにおいて機能することができる。構成200は、連続フロー治療にとくに適しており、したがってCFPDに関して説明されるが、CFPDに限られるわけではない。ポンプ/バルブ構成200は、第1のポンプ・チャンバ204の上流の第1の導入バルブ202、およびポンプ・チャンバ204の下流の第1の排出バルブ206を備えている。ポンプ/バルブ構成200は、第2のポンプ・チャンバ210の上流の第1の導入バルブ208、および第2のポンプ・チャンバ210の下流の第1の排出バルブ212を備えている。
【0171】
第1の導入バルブ202と呼応して動作する第2の導入バルブ214が、第1のポンプ・チャンバ204の上流に位置している。同様に、第2の排出バルブ216が、第1のポンプ・チャンバ204の下流に位置している。第1の導入バルブ208と呼応して動作する第2の導入バルブ218が、第2のポンプ・チャンバ210の上流に位置している。第1の排出バルブ212と呼応して動作する第2の排出バルブ220が、第2のポンプ・チャンバ210の下流に位置している。
【0172】
連続フロー・システムにおいては、再生された透析液が、1つ以上の再生装置222から第1の入口経路226を通り、それぞれ第1の導入バルブ202および208を通って、第1および第2のポンプ・チャンバ204および210へと流れる。連続フロー・システムにおいては、以下でより詳しく述べるとおり、同時またはわずかに異なる時点において、1つ以上の添加剤または濃縮物228が、第2の入口経路232を通り、それぞれ第2の導入バルブ214および/または218を通って、第1および第2のポンプ・チャンバ204および/または210へと流入する。一実施形態において、ポンプ204および210は交互に動作し、したがって、一方のポンプが流体を引き込むとき、第2のポンプが流体を患者へと押し出す。
【0173】
構成200においては、連続フロー透析に関し、透析液がポンプ204および210から、それぞれ第1の出口バルブ206および212を通って流れ、第1の排出経路236を通って患者238へと流れる。連続流とともに、流体をポンプ204および210から交互に、それぞれ第2の排出バルブ216および220を通り、第2の出口経路240を通って限外濾過バッグ232へと放出することができる。一実施形態においては、流体が患者238から、再生経路234を通って再生装置222へと流れる。
【0174】
自動腹膜透析(「APD」)またはタイダル・フローにおいては、再生装置222および添加剤228が、1つ以上の供給バッグ224および230で置き換えられる。ここで、ポンプ204および210が交互に、第1の入口ライン226ならびに第1の導入バルブ202および208を通して供給バッグ224から流体を引き込み、さらに/または、第2の入口経路232ならびに第2の導入バルブ214および218を通して供給バッグ230から流体を引き込む。APDまたはタイダル・フローにおいては、第1の排出経路236を介し、第1の出口バルブ206および212を通じて、ポンプ204および210が患者238へとポンプする。あるいは、ポンプ204および/または210が、第2の出口経路240を介し、第2の排出バルブ216および220を通じて、例えばサンプル・バッグ240へとポンプしてもよい。
【0175】
このように、APDまたはタイダル・フローにおいては、使用された流体が患者からドレインへとポンプで送られ、第1の排出経路236が患者からの経路として機能し、第2の出口経路240がドレイン232へと流れる。CFPDにおいては、流れを交互に反転させることができ、代わりに患者238から第1の出口経路2236を通って、一方または両方のポンプ204および210、ならびに限外濾過液の収集232へと流れる。ここで、第1の入口経路226および第1の排出経路236は、同時に両方向への流れを可能にするため複数の管腔を備えることができる。
【0176】
説明を容易にするため、セクションVに関して本発明の残りの部分は、CFPDに関連して説明する。CFPDにおいては、第2の導入バルブ214および218が、例えば添加剤などの第2の流体を、第1の入口経路226を通って連続的に流れている主たる透析液へと、間欠的に注入できるようにする。第2の排出バルブ216および220が、第1の排出経路236を通って連続的に流れている主たる透析液から、例えば限外濾過液などの流体を間欠的に取り去ることができるようにする。第2の導入バルブ214および218、ならびに第2の排出バルブ216および220は、追加のポンプ・チャンバを設けることなく追加のポンプ機能を実現可能にする。追加のポンプ・チャンバが不要になることで、使い捨てカセットしたがって透析装置全体を、より小さく、より軽量であり、より低コストにすることができる。ポンプ・チャンバの数がより少ない装置の動作は、より多数のポンプ流体チャンバを備える装置よりも騒音が少ない。
【0177】
図18〜20は、CFPDのための構成200に関し、ポンプ204および210ならびに種々のバルブについて動作手順の一例を示している。図18は、再生装置222から第1の入口経路226および第1の排出経路236を通過して患者238へと至る透析液の主たる流れに関し、ポンプ204および210のサイクルを示している。この例においては、構成200を通過する主たる透析液の流れは、100ml/分の流速に設定されている。一実施形態において、ポンプ・チャンバ204および210のそれぞれが、10mlの総体積容量を有している。ポンプ・アクチュエータおよびピストン34が、1つの完全なポンプ・サイクル(両方のバルブがストロークを実行する)が12秒ごとに生じるように動作する。
【0178】
図18は、ポンプ204および210から患者238へと届けられる流体の量を示している。最初の6秒間において、ポンプ204(P1)が10mlの流体を、バルブ206および第1の排出経路236を通じて患者238へと送出する。ポンプ210と動作する第1の排出バルブ212は、閉じられている。同じ最初の6秒間の間に、10mlの透析液が、1つ以上の再生装置222から第1の入口経路226を通り、第1の導入バルブ208を通ってポンプ・チャンバ210へと送られる。この間、第1の導入バルブ202は閉じられている。
【0179】
第2の6秒間、すなわち1つの完全なポンプ・サイクルの第2の半分において、ポンプ210が、最初の6秒の間に得た流体を患者238へと放出する。ポンプ204が、第2のポンプ・サイクルにおいて患者238へと送出するための準備として、再生装置222から流体を引き込む。第1のポンプ・サイクルの第2の6秒間においては、ポンプ210に組み合わせられた第1の排出バルブ212が開いており、一方、ポンプ204に組み合わせられた第1の出口バルブ206は閉じている。ポンプ・チャンバ204に組み合わせられた第1の導入バルブ202は開いており、一方、ポンプ210に組み合わせられた第1の導入バルブ208は閉じている。さらに、第1の完全なサイクルの第2の6秒間においては、ポンプ210(P2)が、10mlの流体を患者238へと送出する。ついで、この完全なサイクルが、1分間の全体にわたってあと4回繰り返され、合計100mlの流体が届けられる。
【0180】
図19および20は、それぞれ、1つ以上の添加剤を加えるための第2の導入バルブ214および218の動作手順、および限外濾過液232を取り除くための第2の排出バルブ216および220の動作手順について、種々の可能性を示している。図19は、特定の添加剤流速を達成するため、ポンプ204および210が交互に添加剤228から、第2の入口経路232を通じ、バルブ214および218を通じて引き込まなければならない頻度を示している。例えば、ポンプ・チャンバ容積が10mlで一定であると知られているときに、1ml/分の添加剤流速を得たいと望む場合、ポンプ204および210を通して、10分ごとに、合計の総量として完全なチャンバ1つ分の透析液を引き込まなければならない。これは、それぞれのポンプが、完全なチャンバ1つ分の透析液を20分に1回送出することを意味する。
【0181】
毎分に合計10回の出力ストローク(両方のポンプ)があるとすると、20分ごとにそれぞれ1回の完全なチャンバを達成するため、ポンプ204および210のそれぞれは、チャンバ一杯の添加剤228を、100回のストロークごとにポンプしなければならない。患者への透析液の総流速が100ml/分であるとき、毎分1mlの添加剤の流れのためには、ポンプ204について、第1の導入バルブ202が連続して99回開く。第2の導入バルブ214は、100回目の導入ストロークにおいて開く。同様に、ポンプ210についても、第1の導入バルブ208が99回連続して開く。バルブ218は、100回目の導入ストロークにおいて開く。
【0182】
図19は、0.2、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0ml/分の添加剤の流速について、全チャンバ容積およびストローク手順を示している。しかしながら、透析液に対する所望の任意の割合の添加剤の流れを、主たる導入バルブ202および208の開放に対する第2の導入バルブ214および218の手順によって達成することができることを理解すべきである。
【0183】
次に図20を参照すると、限外濾過液除去の表が示されている。図19の添加手順の表の値の決定について上記した検討が、限外濾過の表の値の決定のために同じく使用される。したがって、毎分1mlの流体を限外濾過コンテナ232へと取り除くため、ポンプ204および210のそれぞれが、1つの完全なチャンバ容積である10mlの透析液を、100回のストロークごとに1回、限外濾過バッグ232へと送出する(透析液の流れの総流速が、図18に示すとおり100ml/分であると仮定する)。1ml/分の限外濾過液流速を達成するため、ポンプ204および210が共同で、例えば10mlである1つのチャンバ容積の流体を、10分ごとに送出する。したがって、第1の出口バルブ206および212が連続して99回開く。その後、第2の排出バルブ216および220が、100回目のストロークにおいて開く。
【0184】
添加剤および限外濾過液の制御の両者において、第2の導入バルブ214および218の開放は、所望のとおり離間させることができる。例えば、サイクルが100ストロークごとに1回であるとき、バルブ214および218の開放を、50ストロークだけずらすことができる。同様にして、限外濾過液を、バルブ216を介して第2の出口経路240から引き出し、50回のストロークの後に、バルブ220を通じて引き出すことができる。添加剤の流速が限外濾過液の流速と相違してもよいことを、図19および20から理解すべきである。しかしながら、除去速度が添加速度よりも大きく、あるいはその逆である場合、ループを流れる全体積を補償する必要があるであろう。患者によって生成される限外濾過液もまた、例えば限外濾過液を濃縮物の追加よりも速い速度で除去するなどによって、補償しなければならない。
【0185】
一実施形態において、添加剤228および限外濾過液232は、ポンプ204が引き込みストロークにあって、ポンプ210が押し出しのストロークにあるときに、例えばポンプ204と共同して動作する第2の導入バルブ214を開くと同時に、ポンプ210と共同して動作する第2の排出バルブ220を開くことによって、それぞれ事実上同時に添加および除去される。これにより、添加剤が患者のループから直ぐに取り去られてしまうことがないよう、限外濾過液がシステムから引き取られるのと同時に、添加剤をシステムに混ぜることができる。ポンプ動作の順序を反対にし、ポンプ210が添加剤228を引き込みつつ、ポンプ204が限外濾過液をコンテナ232へと送出してもよいことを、理解すべきである。
【0186】
一実施形態においては、部分的ポンプ・ストロークを使用することができる。図8に関してすでに述べた回転‐直線変換器を組み合わせてなる直線ステッピング・モータ、回転ステッピング・モータまたはサーボ・モータなど、位置決め可能なポンプ・アクチュエータによって、充填または放出のストロークにおいて、ポンプ・チャンバの全容積よりも少ない透析液、添加剤228または限外濾過液232を送出するため、ピストン34を途中まで駆動することが可能である。
【0187】
添加剤の流速および限外濾過液の流速は、それぞれ第2の導入バルブ214および218を同時または同じ完全なポンプ・サイクルにおいて開くことによって、あるいは第2の排出バルブ216および220を同時または同じ全体のポンプ・サイクル内で開くことによって、2倍にすることができる。添加剤228および限外濾過液232の全体積は、流体ポンプ・チャンバ204および210内の全体積、所与の期間において第2の導入および排出バルブが開かれたストロークの数、および使用したストロークの割合(途中までのストロークであるか、完全なストロークであるか)を知ることによって計算することができる。あるいは、セクションVIIIに関して後で説明するとおり、送出される流体の体積を、例えば容量式流体体積センサを使用して測定することが可能である。
【0188】
構成200を、2つのポンプを備えるものとして説明したが、図17〜20に関して説明した流れの多重化が、1つのポンプまたは3つ以上のポンプを有する透析システムにおいても機能可能であることを、理解すべきである。さらに、一実施形態においては、交互のポンプ204および210が好ましいが、他の実施形態においては、同時に両方のポンプが流体を引き込むことができ、流体を放出することができる。さらに、3つ以上のポンプが存在するとき、1つのポンプが流体を引き込む一方で、1つ以上のポンプが流体を引き込み、流体を押し出し、あるいは休止していることができる。
【0189】
(VI.知識ベース・エキスパート流体配送システム)
本発明のカセット‐ベースの実施形態において機能可能なあらゆる治療(血液透析、CFPD、APDおよびタイダル・フロー腹膜透析)は、2つ、3つ、4つまたはさらにそれ以上の流体ポンプなど、複数のポンプを使用することができる。また、複数の溶液を使用することができる。血液透析は、血液および透析液をポンプで送る。CFPDは、連続的に流れる透析液、1つ以上の濃縮された添加剤の供給、患者によって生成された限外濾過液、およびその他など、いくつかの異なる溶液を使用する。APDおよびタイダル・フローにおいては、システムが、並列で動作する複数の流体供給バッグを使用する。
【0190】
さらに、種々の治療は、流体の流れの多数の送り先を含んでいる。流体を患者へと送るという明らかな送り先のほかに、治療においては、限外濾過コンテナ、ドレイン・バッグ、サンプル・コンテナ、アキュムレータ、または他の送り先へもポンプによる送出がおこなわれる。治療は、流体の流れの出発点、流体ポンプ、および流体の流れの送り先からなる複雑なマトリクスを生じさせる。複雑さに加え、自動化システムは、通常は患者または医師によって、多数の入力パラメータを変更できるようにする。例えば、いくつかの例を挙げると、患者または医師が、総治療時間、流体の流速、バッチ・システムに関してはさまざまな滞留期間、CFPD溶液における電解質または他の添加剤の濃度を制御することができる。
【0191】
したがって、患者および/または医師によって選択されるパラメータの考えられる組み合わせのそれぞれについて、ポンプの動作スケジュールをあらかじめ定めてメモリに記憶することは、不可能ではないにせよ、きわめて困難である。したがって、本発明は、ユーザが種々のパラメータについての値を入力した後にポンプの動作スケジュールを「オン・ザ・フライ」で決定するため、以下のエキスパート・システムおよび方法を提供する。透析治療のポンプの動作スケジュールの作成ためのエキスパート・システムおよび方法は、1つ以上の溶液、1つ以上のポンプ、および1つ以上の送り先など、溶液、ポンプ、および送り先の任意の組み合わせに適用可能である。図21は、3つの溶液、3つのポンプ、および3つの送り先を含む1つの可能性を示している。
【0192】
図21は、(i)溶液1〜溶液3、(ii)ポンプP1〜ポンプP3、および(iii)送り先1〜送り先3のためのハードウェア構成を概略的に示している。理論構成の枠組みをもたらすため、溶液1を患者の溶液、すなわちCFPDにおいて患者から出発する溶液とし、溶液2がアキュムレータ溶液であり、溶液3が濃縮物溶液である。送り先1をフィルタまたはカートリッジとし、送り先2はアキュムレータであり、送り先3は限外濾過コンテナである。一実施形態において、CFPDシステムは、流体の一部を蓄積するアキュムレータを備えている。アキュムレータは、種々の流体および化学品を混合し、それらの流体および化学品を安定化させる。さらにアキュムレータは、分析のため流体のサンプルを提供するためにも使用することができる。化学品濃縮物添加剤がただ1つ示されているが、透析システム、とくにはCFPDは、多くの異なる化学品および添加剤を含むことができる。
【0193】
図示のとおり、アキュムレータは、溶液または供給源および送り先の両者である。溶液または送り先としての特定の存在の指定は、ある場合において任意であり、その存在が溶液または送り先として一貫して保たれる限りにおいて許される。例えば、患者は、図示のとおりポンプが患者から溶液を引き出す溶液であることができ、あるいはポンプが患者へと流体を押し込む送り先(図示されていない)であることができる。さらに、患者は、交互に溶液および送り先であることができる。一方、濃縮物溶液は、任意に送り先として指定されることはできない。同様に、限外濾過液収集の送り先も、溶液として指定されることはできない。
【0194】
図21は、1つの実施形態において溶液、ポンプおよび送り先の間に存在する種々の流体通路を示している。図示のとおり、ポンプ1は、3つの溶液のすべてから引き込むことができるが、ただ1つの送り先1にのみ出力する。これは、使い捨てカセットの流体通路および/または外部のチューブによって設定された物理的制約である。同様に、ポンプ2は、3つの溶液のいずれかから溶液を引き込み、3つの溶液のいずれかへと送出できるよう、流体流通可能に接続されている。ポンプ3は、溶液1からのみ流体を引き込むことができ、3つの送り先のいずれかへと送出することができる。この構成は、あくまで本発明のエキスパート・システムを説明する目的のために示されており、所望の任意の構成を実現すべく変更できる。
【0195】
次に図22を参照すると、ポンプのそれぞれについての状態ダイアグラムが示されている。状態ダイアグラムは、ポンプに固有に存在する物理的制約、ならびにシステムの実装者が希望する動作特性を示している。例えば、引き込みおよび押し出しの状態は、ポンプが引き込み状態から他の引き込み状態へと、あるいは押し出し状態から他の押し出し状態へと遷移することがないようにする自己ロックを含んでいる。これは、ポンプの物理的制約ゆえである。すでに述べたように、ポンプは、可撓膜を使い捨てカセットの剛体部から引き離して流体を引き込み、同じ膜を剛体部に向かって押して流体を押し出すピストン・ヘッド36を備えている。完全なストロークが行なわれる(途中までのストロークではなく)ものと仮定すると、ポンプは、引き込みの後の次の動きが、押し出しの動きでなければならず、押し出しの後の次の動きが、引き込みの動きでなければならないような物理的構成である。
【0196】
しかしながら、状態のそれぞれは、実装者の所望の特性である休止状態への遷移が許されている。ポンプが引き込みを行なったとき、ポンプは何もせず、すなわち休止かもしれない。ポンプが押し出しを終えたとき、やはり何もしないかもしれない。ポンプが休止を終えたとき、ポンプが再び休止するかもしれない。ポンプは、先の活動の状態にもとづき次の活動状態への遷移が望まれるまで、休止であるかもしれない。
【0197】
図23は、ポンプの動作スケジュールを部分的に決定するためにソフトウェア中に置かれた種々のルールまたは制約を記載している。スケジュールは、(i)図23のルール、(ii)医師/患者によるさまざまな入力、(iii)入力にもとづく計算の数、および(iv)例えばシステムの物理的制約(例えば、ポンプ・チャンバの容積が10mlである)によって設定されるいくつかの定数にもとづく。ルールまたは制約は、本発明のコントローラのマイクロプロセッサが流通スケジュールを作成すべく判断を行なうことができるようにするための基礎をもたらすように機能する。
【0198】
ルール1〜6は、図21に関して示した溶液、ポンプおよび送り先の間の物理的な流れの制約を成文化している。図23は、溶液、ポンプおよび送り先の間の物理的接続から導き出されるであろう考えられるルールをすべて網羅しているわけではない。ルール1〜6は、流体流通接続にもとづいて実装されうるルールについて、単なる例を記載している。
【0199】
ルール7〜13は、図22の状態ダイアグラムにもとづく或る制約、および使用する特定の治療にもとづく他の制約を記載している。例えば、システムは、溶液2を送り先2へと送出できるように流体流通可能に接続されているが、ソフトウェアにおけるルール7が、そのような流れの発生を禁止している。ルール8および9も、同様の制約を記載している。
【0200】
ルール12および13は、流通スケジュールを生成するために行なわれる計算を簡単にするための制約を指定している。ルール12は、ポンプが所与のあらゆる引き込みストロークにおいて1つの源のみから引き込むことを指定されている。ルール13には、ポンプがポンプの吐き出しストロークにおいてただ1つの送り先にのみ流体を配送することが指定されている。これらのルールは、ポンプが透析液を何回かの完全なストロークにわたって送出し、次いで添加剤または限外濾過液を1回以上の完全なストロークにわたって送出するセクションVの流れの多重化と矛盾しない。しかしながら、セクションVにおける他の実施形態の1つは、所与のストロークにおける流体の2つ以上の源からの送出または流体の2つ以上の送り先への送出が関係してもよく、関係しなくてもよい途中までのストロークを含んでいる。エキスパート・システムを、そのような途中までのストロークを含むように修正することができるが、以下に説明するアルゴリズムの或るものが、より複雑になるであろう。
【0201】
図24は、図21〜23のダイアグラムおよびルールからの1つの結果を記載している。図24は、図23において示したルール1にもとづく3つの選択肢を備えるコントローラを提供する3つの機能モジュール244、246および248を示している。すなわち、ルール1は、機能モジュール244に示されているとおり、溶液1からポンプ1を通って送り先1までの送出の発生、機能モジュール246にしたがって、溶液1からポンプ2を通って送り先1までの送出の発生、および機能モジュール248に示されているとおり、溶液1からポンプ3を通って送り先1までの送出の発生を許す。さらに、機能モジュール244、246および248のそれぞれは、ポンプの動作が指定の圧力限界内に維持されることを必要とする。ポンプの動作は、指定の期間にわたって生じるように制御され、カセットの可撓膜を特定の速度で動かして第3のものを指定の圧力限界の下で動かす。
【0202】
図24は、例えば患者からフィルタであるが、溶液1から送り先1までの流体の移動を達成するための3つの考えられるやり方を示している。同時に生じる他の流体ポンプ動作に応じ、(i)同じ溶液から2つのポンプへの同時の送出、(ii)同じポンプを使用した異なる2つの溶液の同時送出、(iii)同じポンプを使用した異なる2つの送り先への同時送出、または(iv)2つのポンプから同じ送り先への同時送出を制約するルールなど、他のルールによって機能モジュール244、246および248の1つ以上を除外することができる。このように、或る特定の時点におけるスケジュールは、3つの機能モジュール244、246および248のうちの1つを選択しなければならないであろう。
【0203】
あるいは、例えば3つのポンプすべてがすでに他のポンプ作業の割り当てに割り当てられている場合、コントローラが、異なる時点において溶液1から送り先1まで送出することを選択できる。しかしながら、コントローラは、或る時間にわたって或る量の流体が患者からフィルタへと送られるよう要求する治療パラメータによっても拘束されている。したがって、コントローラは、溶液1から送り先1への送出を過剰に長く遅延させることはできない。この説明から、ルールおよび入力されたパラメータが共同して、コントローラにポンプ流通スケジュールを生成するための元になる枠組みを与えることを理解すべきである。
【0204】
図25および26は、それぞれ流通スケジュール作成前および作成後の種々のポンプの制御を示す高レベルのプロセス・フロー・ダイアグラム250および260を示している。プロセス・フロー・ダイアグラム250は、ポンプ動作スケジュールの生成を示している。プロセス・フロー・ダイアグラム260は、ポンプ動作スケジュールの実行を示している。
【0205】
楕円252で示すとおり治療を開始したのち、患者または医師が、ブロック254に示されているとおり、種々の入力パラメータのための値を供給する。図12に示した装置184などの入力装置を、例えば、可能なバルブの範囲からパラメータのためのバルブを選択するために使用できる。そうでない場合、患者または医師が、タッチ・スクリーンまたは手持ちキー・パッドを使用して打ち込みまたは入力することができる。
【0206】
図27は、ストローク容積(あるいは、これは、セクションVIの多重化に関してすでに述べたとおり、例えば10mlなど一定であってもよい)などの種々の入力パラメータ272を示している。患者または医師が、例えば図27に480分であると示されているように、総治療時間を入力する。図27の例では、透析液流速は、250ml/分であると入力されている。濃縮物が、5ml/分の流速で加えられ、限外濾過液が、2ml/分の流速で除去される。患者または医師が、例えば2ml/分であるが、患者によって生成されると予想される限外濾過液の量を入力する。さらに患者または医師は、主たる再生ループを通過して流れる透析液とアキュムレータ・ループを通過して流れる透析液との間の比(R)を入力する。図27は、入力の例を記載したにすぎない。これらに代え、あるいはこれらに加えて、医師または患者は、他の種類の入力を行なうことができる。
【0207】
必要な入力をブロック254で示すとおり供給したのち、システムおよび方法は、ブロック256に示すとおり、入力された情報にもとづいていくつかの計算を実行する。さらに計算は、いくつかの定数および/または他の変数を使用する。図28は、ポンプ動作のための知識ベースのスケジュールを作成するため、ブロック256に示すとおり必要な結果を生成するため、本発明のエキスパート・システムによって使用される種々のアルゴリズムまたは公式を示している。
【0208】
方程式274は、総治療時間をサイクルの数で除算したものに等しいサイクル時間を計算することを含む。一実施形態においては、出力されたスケジュールが、全体のポンプ動作スケジュールの一部である。したがって、治療の全体の目標を達成するため、このスケジュールが繰り返され、あるいは何回か反復される。方程式274は、ストローク容積と透析液流速の関数であるストローク時間をさらに含んでいる。システムは、サイクル時間およびストローク時間の関数である患者のポンプ・ストロークの数を計算する。アキュムレータ流速は、透析液流速および図27の入力272に関してすでに述べた比Rを知ることによって、計算される。
【0209】
アキュムレータ・ストロークの数(数はアキュムレータへ、またはアキュムレータからのストローク数を示し、両方の数ではない)は、サイクル時間をアキュムレータ流速で乗算し、ストローク容積で除算したものに等しい。濃縮物源からの引き込みのストローク・サイクルの数は、サイクル時間を入力された濃縮物流速で乗算し、一定のストローク容積で除算することによって計算される。限外濾過液ストロークの数は、サイクル時間、入力された限外濾過液除去速度、入力された濃縮物追加流速およびストローク容積の関数である。追加または別の方程式を使用できることを、理解すべきである。図28の方程式274は、本発明のエキスパート・システムおよび方法を説明するためだけに示されている。
【0210】
図29は、図25のブロック256に示すとおりポンプ動作スケジュールを生成するために必要な出力を示している。出力276は、治療の全体にもとづき、あるいは治療の全体に適用され、さもなければ治療の全体を通じて一定である。出力278は、ただ1回のサイクルにもとづき、あるいはただ1回のサイクルに適用可能である。例えば、所望のサイクル数が48であり(スケジュールが48回繰り返される)、総治療時間が480分であると仮定すると、各サイクルの時間は10分である。図示の実施形態においては、出力276が480分の総治療時間にもとづく一方で、出力278は10分のサイクル時間にもとづいている。
【0211】
出力276に関し、12,000である循環ストローク数が、3つのポンプのいずれかが(3つのポンプが集合的に)患者からの送出を行なう総回数である。同様にして、数字4,000は、3つのポンプが集合的にアキュムレータへと行なうストロークの数を表わしている。これらのポンプは、集合的に、アクチュエータからのさらに4,000回のストロークを送出する。これらポンプが協働し、治療にわたって1つ以上の濃縮物源から合計240回の送出を行なう。これらポンプが協働し、治療において、限外濾過液コンテナへと合計336回の送出を行なう。濃縮物からのストロークと限外濾過液へのストロークとによって生成される体積の差は、少なくとも部分的には、患者によって生成される限外濾過液の体積に起因している。
【0212】
出力278は、10分間のサイクルにもとづいており、480分の治療時間全体をカバーする出力276の時間の約48分の1をカバーしている。最後の2つの出力278は、送り先1へのストローク数、すなわちカートリッジまたはフィルタへのストローク数(248)を記載している。最後に示されている数字(338)は、10分間についての注入ストロークの総数であり、250回の患者ストローク、83回のアキュムレータからのストローク、および濃縮物からの5回のストロークの組み合わせである。
【0213】
計算を実行してブロック256に示すとおり必要な出力を達成したのち、エキスパート・システムは、計算結果、ルール、状態ダイアグラムおよびすでに記載した機能モジュールを使用して、ブロック258に示すとおりポンプ動作スケジュールを生成する。コントローラがこのスケジュールを使用し、Y個の溶液およびZ個の送り先についてX個のポンプを制御し、ここでX、YおよびZは、それぞれ1であってよく、1より大きくてもよい。スケジュールの一例の一部が図30に示されている。前記の情報にもとづき、ストローク時間が2.4秒であって各サイクルが10分間続くことを知ると、スケジュール280は、250個のエントリ282を有する。説明を容易にするため、25個のエントリ、すなわち1分間に相当するポンプ動作が示されている。実際は、スケジュールは、さらに225個のエントリ(点々で示されている)を有しており、すなわちさらに9分間に相当するポンプ動作を含んでいる。
【0214】
スケジュール280は、図21に関してすでに説明した溶液のそれぞれについて縦の列を有しており、すなわち患者溶液、アキュムレータ溶液、および濃縮物溶液について縦の列を有している。スケジュール280は、図21に関してすでに説明した送り先のそれぞれについて縦の列を有しており、すなわちカートリッジまたはフィルタ、アキュムレータ、および限外濾過液コンテナについて縦の列を有している。前記ルール、所望の出力、および圧力限界を超えないようにすることを使用して、コントローラが、図30に示すとおりエントリ282のスケジュールを生成する。最初のエントリ282によれば、最初の2.4秒において、ポンプ2が患者から流体を引き抜く1つの完全なストロークを実行し、ポンプ1が濃縮物から流体を引き抜く1つの完全なストロークを実行し、さらにポンプ3が限外濾過液コンテナへと流体を押し出す1つの完全なストロークを実行する。次の2.4秒間の間、ポンプは異なるプロファイルを維持する。容易に見て取れるように、さまざまなエントリ282において、動作しているポンプがポンプの全数3よりも少ない。任意のエントリ282において、任意の割合のポンプを動作させることができる。
【0215】
スケジュール280は、他のルールの実装を可能にする。例えば、スケジュールが、治療の全体または各サイクルにわたって、それぞれのポンプに同数のポンプ・ストロークを割り当て、ポンプの磨耗をほぼ均一にすることができる。例えばポンプが空気のパージを実行でき、あるいは必要なあらゆるリセット機能を実行できるよう、或る数のストロークののちにポンプを休止させるように他のルールを実装できる。
【0216】
ブロック258に示すとおりポンプ動作スケジュールを生成したのち、コントローラは、図26のプロセス・フロー・ダイアグラム260に示すとおり所望の流量および所望の全体流体ポンプ体積を達成するため、このポンプ動作スケジュールを実行する。システムが、ブロック262に示すとおり、ポンプ動作スケジュールの次のエントリ282を見つける。治療の開始、または治療の中のサイクルの開始においては、次のエントリが最初のエントリ282である。さらに、ダイアモンド264に関して判断されるとおり、先のエントリが最後のエントリであったかもしれない。そうではなく、先のエントリが特定のサイクル表の最後のエントリではない場合、システムは、ブロック266に示すとおり3つのポンプのそれぞれについて、例えば引き込み、休止、または押し出しといってポンプ状態を実行する。その後、システムはブロック262に戻り、スケジュールが終わりに達するまで、ダイアモンド268で示すとおり現在のサイクルが実行される。サイクルが終わりに達したとき、システムは、スケジュールを繰り返すか否かを判断する。すでに述べたとおり、スケジュールは、例えば10サイクルである複数のサイクルのうちの1つのサイクルを表わしている。ダイアモンド268に関して判断されるとおり、治療の完了のためにさらなるサイクルが必要とされる場合、プロセス・フロー・ダイアグラム260の手順全体が繰り返される。ダイアモンド268に関して判断されるとおり、すべての数のサイクルが完了した場合、楕円270で示すとおり治療は終了する。
【0217】
(VII.一体の排気ポート)
次に図31を参照すると、本発明のカセット‐ベースの排気ポートについて、種々の実施形態が示されている。ここに記載する使い捨てカセットは、排気膜を有する排気ポートを備えている。この膜が、水通し体積(治療の開始前にチューブ内に存在する空気)および治療の際に生じる気体を排気する。カセットには、例えば下記で説明する容量式流体センサなど、システムに空気または他の気体が進入したときを検出する空気センサが設けられる。空気または他の気体、あるいは特定のレベルの空気または他の気体がシステムに進入したとき、システムのコントローラ(図示されていない)が、この空気または気体を排気口285または295などの排気口を通じて排気する。
【0218】
カセットは、すでに参照番号92、162および192として示し、前述のとおり剛体または半剛体のプラスチック材料で作られた部位(まとめて剛体部と称される)を有している。剛体部92、162および192は、複数の穴または開口284および溝286を規定している。一実施形態において、開口284は、可撓膜の1つを介してバルブ・プランジャ42と協働する。溝286は、膜94および96によって囲まれたとき、流体または気体の通路を形成する。或る溝が、排気ポート285、295、297および299などの排気ポートにつながっている。一実施形態において、溝286は患者の流体ライン、CFPDの再生装置、APDのための流体供給、または他の治療の構成要素と流体流通している。排気ポート285、295、297および299は、本明細書に記載の治療のそれぞれにおいて機能できる。
【0219】
排気ポート285、295、297および299は、代案となる実施形態である。排気口285および295は、関連する使い捨てカセットの剛体部92、162または192と一体に形成された延長部を備えている。排気口285および295は、側面の壁288から延びている。排気口297および299は、カセットの剛体部と一体に形成された開口を備えている。例えば、排気ポート297は、剛体部の側面の壁288に形成されている。穴284、溝286を示し、排気口299をよりよく見せるために便利なように、上側の可撓膜が剛体部から取り除かれている。下側の可撓膜96は、剛体部に接着され、あるいは密着して示されている。
【0220】
排気ポート285は、側面の壁288から一体に延びたフレア状のポート292を備えている。したがって、剛体部92、162または192が、開口284および溝286を有するように形成、例えば成形または押し出しされるとき、フレア状のポート292も形成される。ポート292は、側面の壁288によって規定される穴と流体流通する穴を規定し、次いでポートの穴および側面の壁の穴が、溝または流体通路286の1つと流体流通している。ポート292が円錐またはフレア形状を有して示されているが、ポート292が真っ直ぐな円筒形状、ホース掛け形状、あるいはフィルタ290との接続に適した他の形状など、任意の適切な形状を備えることを理解すべきである。
【0221】
フィルタ290は、接着、熱シール、機械的な取り付け、およびこれらの任意の組み合わせなど、フィルタ290をポート292へと接続するための任意の適切な方法を介し、一体のポート292上に配置され支持される。ここの記載の排気口の実施形態のいずれについても、フィルタ290は疎水性膜であり、あるいは疎水性膜を含んでいる。適切な疎水性膜の1つは、郵便番号01730、マサチューセッツ州Bedford、Ashby Road 80番地のMillipore社によって製造されている。あるいは、フィルタは、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリアミド、Gortex、およびこれらの任意の組み合わせなどの材料から作られる。一実施形態においては、フィルタが0〜1ミクロンの間の孔寸法を有し、一好ましい実施形態においては0.2ミクロンである。0.2ミクロンの孔寸法は、水通し体積を排気し、治療の際に生じた気体を排気するために適している。
【0222】
代案となる排気ポート295も、一体に形成されたフレア状のポート296を備えているが、ポート296が、ポート292についてすでに説明した形状のいずれかであってもよい。フィルタ290についての実施形態のいずれもが、排気ポート295にも使用可能である。フィルタ290は、ブシュ294に接着され、封止され、あるいは機械的に接続される。ブシュ294は、剛体部92、162および192と同じ材料または異なる材料、したがってポート296と同じ材料または異なる材料のチューブまたはパイプの断面であってよい。ブシュ294は、一体のポート296に接着され、封止され、あるいは機械的に取り付けられる。一実施形態においては、ブシュ294が、例えば一致するねじによってポート296に着脱可能に取り付けられる。
【0223】
他の排気口297および299は、ポート292および296などの一体成形のポートを備えていない。代わりに、剛体部92、162、192の特徴が、フィルタ290を収容するための寸法とされた開口を規定している。排気口297については、側面の壁288が、フィルタ290で満たされる開口を規定している。フィルタ290は、すでに述べた方法のいずれかで側面の壁288に取り付けることができる。さらなる支持のため、別個の鍔またはカバー(図示されていない)を設けることができる。
【0224】
排気口297は垂直に配置されている。排気口299は、剛体部によって規定される形状または特徴の上または中に、水平に配置される。この形状または特徴は、穴284または溝286として一体に形成される。穴または溝が、前記した取り付け方法のいずれかによって、排気口299のフィルタ290を収容または支持する。さらに、上側の可撓膜94が、フィルタ290の周囲またはフィルタ290の外側部分へと密着でき、排気口299のためのさらなる取り付け支持をもたらすことができる。
【0225】
すでに述べたとおり、1つ以上のポンプが、1つ以上の溶液供給源および1つ以上の溶液送り先に流体流通可能に接続されている。流体のポンプによる送出が、不注意に流体内に空気を噛み込ませるかもしれない。また、患者によって生み出された限外濾過液が、腹膜腔からのさまざまな放出ガスを含んでいるかもしれない。フィルタ290が疎水性の材料、すなわち空気を逃がすが流体は逃がさない材料で作られたとき、排気ポート285および295は、溝286の1つを介するなどにより流体通路と直接連通できる。ここで、フィルタ290は流体ポンプの圧力を保持する。フィルタが、流体から空気を分離することができない場合には、代案として、排気ポート285および295が、排気気体を含むが流体は含んでいない空気流通ラインに接続される。そのような空気流通ラインは、例えば下部に流体を集め上部に空気または他の気体を集める流体溜めおよびチャンバによって実現できる。そのようなチャンバの1つが、図32に関して以下に示される。代案として、図31において、排気口285および295のポート292および296にそれぞれ連通している溝286、ならびに排気口297および299に直接連通している溝286は、流体通路ではなく空気排気溝286である。
【0226】
(VIII.空気分離チャンバ)
次に図32を参照すると、容量式流体体積センサを有する空気分離チャンバ300の一実施形態が示されている。容量センサは、2002年1月22日に出願された「Capacitance Fluid Volume Measurement」という名称の特許出願第10/054,487号においても流体ポンプに関連して検討されており、この特許出願は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。容量センサを流体ポンプと協働させることで、中間の流体中の空気の噛み込みを検出して、ポンプ動作時に追い出すことができる。ポンプ・カセット‐ベースの空気分離チャンバは、セクションVIIにおいて述べたカセット‐ベースの排気ポート285、295、297または299と協働する。
【0227】
ポンプ・カセット‐ベースの空気分離チャンバ流体は、典型的には、流体ヒータの上流に置かれる。一実施形態においては、さらにカセットが、1つ以上のポンプからの流体を受け取る流体加熱経路を規定する。ポンプまたはカセット‐ベースの空気分離チャンバは、チャンバがヒータの上流で動作するため、加熱のために、流体中に導入された空気を取り除くことができない。したがって、空気分離チャンバ300は、一実施形態において、例えばカセットの下流などヒータの下流に配置され、加熱によって中間流体中に噛み込んだ空気を取り除く。チャンバ300を出て行く流体は、患者ラインを介して患者へと送出される。ポンプにもとづく分離チャンバおよび図32のチャンバ300の両者は、システムが流体をポンプ送出する間に動作でき、気体をパージするためにシステムを停止させる必要がない。しかしながら、空気分離チャンバ300が、流体ヒータの上流または下流、あるいは上流および下流で、透析液系統などの中間流体系統とともに機能できることを理解すべきである。
【0228】
容量センサは、空気を含めチャンバ内の流体の体積を割り出すため、容量測定技法を利用する。流体の体積が変化すると、検出電圧が、容量の変化に比例して変化する。したがって、センサは、例えばチャンバが空である、流体または空気で8分の1満たされている、4分の1満たされている、半分満たされている、完全に満たされている、あるいは他の任意の割合が満たされているかを、割り出すことができる。これら測定結果のそれぞれは、例えば少なくとも既知の重力式はかりまたは圧力/体積測定によって達成される正確さのオーダで、正確にできる。容量式のセンサは、簡潔であり、非侵襲的であり、安価であり、かつ正確である。
【0229】
一般に、2枚のキャパシタ・プレート間の容量Cは、関数C=k*(S/d)に従って変化し、ここで、kは誘電率であり、Sは個々のプレートの表面積であり、dはプレート間の間隔である。プレート間の容量は、関数1/(R×V)に従って比例変化し、ここで、Rは既知の抵抗であり、Vはキャパシタ・プレート間で検出される電圧である。
【0230】
医療用の流体すなわち透析液302の誘電率kは、空気または気体304の誘電率よりもはるかに大きい。チャンバ300内に捉えられた空気が多くなるにつれ、導電プレート306および308間の空気の量が増すため、全体の誘電率が、大きな誘電率の透析液から小さい誘電率の空気へと変化する。容量プレート306および308は、一実施形態においては、絶縁または誘電ハウジング310の内部に配置されている。導電プレート306および308は、ハウジング310の外表面よりも、ハウジング310の内表面に近く位置している。
【0231】
チャンバ300のハウジング310は、医療用流体または空気で満たされ、全体の容量が変化、すなわちそれぞれ増加または減少する。センサが、高インピーダンスの電位を、それぞれアクティブおよび接地されている容量プレート306および308にまたがって生成する。この高インピーダンスの電位が、ハウジング310内の透析液または空気など、流体の量を表わしている。ハウジング310は、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリイミド、およびこれらの任意の組み合わせなど、不活性であり、医療上安全であり、電気絶縁性である材料で作られている。
【0232】
容量検出回路(図示されていない)が、高インピーダンス信号を増幅し、低インピーダンス電位を生成する。さらに低インピーダンス電位が、検出信号が外部の電気的影響に左右されなうようにする防護板321にも供給される。増幅された電位が、デジタル信号に変換されてシステムのプロセッサ(図示されていない)に供給され、フィルタ処理、変換、および/または合算が行なわれる。一実施形態においては、ビデオ・モニタ176(図12)が、患者またはオペレータへと体積および/または流量の表示を視覚的にもたらす。さらにプロセッサが、システムの1つ以上のポンプおよび/またはバルブを制御し、例えば所定の総体積に達したときに透析液の流れを終了させ、あるいは特定の量の空気が検出された場合に流れを遮断する。
【0233】
図示の実施形態においては、チャンバ300のハウジング310が、導電プレート306および308に対応する第1および第2の部分を備える貝殻を形成している。ハウジング310について、球形、立方体、矩形、あるいは他の形状も可能である。ハウジング310の各部位が、剛である体積固定の貝殻形状を形成している。各部位は、一体に形成されてもよく、固定または着脱可能に密着させられてもよい。
【0234】
ハウジング310は、それぞれ入口および出口ポート314および316を規定している。入口ポート314が、チャンバ300に例えば透析液である医療用流体302が進入できるようにする一方で、出口ポート316が、チャンバ300から医療用流体302が出られるようにしている。図示の実施形態においては、より重い医療用流体302を噛み込まれている空気304から分離できるよう、出口ポート316が、チャンバ300のハウジング310の底部に位置している。図示されているとおり、空気304はハウジング310の上部に向かって集まる傾向にある。他の実施形態においては、入口ポート314および出口ポート316を、ハウジング310の異なる領域に配置でき、お互いに対してさまざまな向きとすることができる。
【0235】
入口ポート314および316は、それぞれ入口チューブ318および出口チューブ320に密に接続されるため、当業者にとって公知の任意の構成を有することができる。ポート314および316は、(図示のような)直線チューブ、角ばったチューブ、ホース掛け、圧縮嵌め合い、ねじ、または他の構成であってよい。入口および出口ポートは、同じ寸法であってよく、あるいは異なる寸法とされてもよく、チューブ318および320の標準寸法チューブ内径のための寸法とされる。チューブ318および320は、特定の治療にあわせてさまざまな場所へと走っている。
【0236】
流入する流体302を上方、すなわち出口ポート316から離れるように逸らすため、バッフル322が、ハウジング310内かつ入口314の近傍に設けられている。バッフル322が、流体302からの空気304の分離を容易にし、向上させる。バッフル322は、空気が出口ポート316を通って出る可能性を小さくする。バッフル322は、空気または気体の泡を上方へと導く傾向にあり、気泡は出口ポート316を出るためには方向を変えなければならない。バッフル322は、ハウジング310と一体に形成でき、あるいは医療上安全な接着剤、取り付け機構、熱シール、音波シール、または当業者にとって公知の他の方法によって取り付けることができる。バッフル322は、所望の任意の形状を有することができ、ハウジング310の形状に合致するように構成できる。他の実施形態においては、複数のバッフル322が設けられる。1つ以上の第2のバッフル334は、流体がハウジング310から出ることを防止するのを助けるため、排気ポート324の近傍に適切に配置できる。
【0237】
一実施形態においては、ハウジング310が、空気排気ポート324を規定している。あるいは、ポート314、316および324のいずれかが、適切なやり方でハウジング310に取り付けられる別個の部品である。空気排気ポート324は、入口および出口ポート314および316と、同じ寸法であっても、異なる寸法であってもよく、空気排気チューブ326と密着するため、ポート314および316に関してすでに説明した構成のいずれかを有することができる。空気304、あるいは腹膜腔内で形成された気体やシステムを加圧するために使用される気体などの他の気体が、排気ポート324を介してハウジング310およびチャンバ300から逃げる。
【0238】
一実施形態においては、排気チューブ326が、種々の流通制御および流体制御装置へと接続されている。1つ以上のバルブ328が、排気チューブ326に流体流通可能に接続されている。一実施形態においては、1つ以上のバルブ328がソレノイドまたは電気駆動のバルブであり、容量プレート306および308によって生成された信号にもとづき、システムのプロセッサによって開閉される。あるいは、1つ以上のバルブ328が手動で機能することが出来る。一実施形態においては、さらに流体溜めまたは流体トラップ330が、排気ポート324を通って逃げ出した流体を集めるため、バルブ328の上流、その間または下流に設けられている。一実施形態においては、流体溜めまたは流体トラップの流体を抜くことができるよう、追加のソレノイドまたは手動バルブ328が、流体溜め330の下流に設けられている。
【0239】
通気膜332が、排気チューブ326の端部に配置されている。通気膜332は、当業者にとって公知の任意の種類のものでよい。一実施形態においては、通気膜332は、排気チューブ326から空気304を逃がすが流体302は逃がさない疎水性の膜である。あるいは、バルブ328および流体溜め330が、湿気が膜332に接することを充分に防止し、膜332を気体にのみ接するように設計してもよい。一実施形態においては、空気または気体304は、膜332を通ってチャンバ300から出ることができるが、膜332を通ってチャンバ300に進入することはできない。膜332は、図31のフィルタ290に関してすでに説明した材料のいずれかで作ることができる。
【0240】
動作において、容量センサが、チャンバ300のハウジング310内の流体302または空気304の量に比例した信号または電圧、すなわちチャンバ300のハウジング310内の流体302または空気304の量を表わしている信号または電圧を生成する。所定の量の空気または気体304が検出されたとき、プロセッサが1つ以上のバルブ328を開いて、気体または空気304をチャンバ300のハウジング310から放出またはパージできるようにする。或る量の時間ののち、あるいは特定の誘電率または電圧が検出されたのち、プロセッサが1つ以上のバルブ328を閉じる。このサイクルが、例えば透析治療である医療の配送を通じて繰り返される。一実施形態においては、特定の量の気体が検出された場合、システムがアラーム状態に入り、安全な流体のレベルに達するまで流体の送出が停止させられる。
【0241】
他の実施形態においては、複数の容量センサ、すなわち複数組のプレート306、308および312が使用される。これらのセンサが、まとまって流体302または空気304の量を示す出力を生成し、これが、バルブ328の開閉に使用される。バルブ328は、まとめられた信号によってすでに述べたとおり制御される。
【0242】
さらに別の実施形態においては、空気分離装置400が設けられている。装置400は、2つのバルブ328を備えており、これらのバルブ328がバルブ328間に配置された流体トラップ330と直列に動作する。装置400は、チャンバ300の残りの部分を必要としない。コントローラ(図示されていない)が、或る時刻において、時期をずらして順次に開くようバルブ328に指示し、気体の体積とともに逃げ出してバルブ間を流れている流体を、トラップ330へと流すことができる。流体302の圧力が、バルブ328間に捉えられた空気または気体304を加圧する。膜332に近い外側のバルブ328が、バルブ328間の圧力を緩和すべく開き、余分な気体が逃げられるようにする。膜332は、随意である。流体トラップ330の下流のバルブ328は、流体を自動的に排出できるように設けられている。チャンバ300などの装置400は、流体ポンプが動作している状態で機能でき、ポンプを断続的に停止させる必要はない。一実施形態において、装置400はカセット‐ベースであってよく、流体ヒータの上流および/または下流に配置することができる。
【0243】
本明細書において説明した現時点の好ましい実施形態について、種々の変更および修正が当業者にとって明らかであることを理解すべきである。そのような変更および修正は、本発明の技術的思想および技術的範囲から離れることなく、かつそれらの意図する利点を損なうことなく可能である。したがって、そのような変更および修正も、添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】図1は、バルブ駆動およびポンプ駆動組立体の一実施形態の両面の図であり、バルブ・マニホールドおよび複数のポンプ・アクチュエータを組み合わせて収容してなるバルブ/ポンプ・ハウジングを有している。
【図2】図2は、バルブ駆動およびポンプ駆動組立体の一実施形態の両面の図であり、バルブ・マニホールドおよび複数のポンプ・アクチュエータを組み合わせて収容してなるバルブ/ポンプ・ハウジングを有している。
【図3】図3は、本発明において使用されるバルブ・アクチュエータの一実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、図1に示したバルブ/ポンプ・ハウジングについて、ハウジングの一部を切除して残る表面の斜視図であり、真空および大気の流路が示されている。
【図5】図5は、バルブ/ポンプ・ハウジングについて、図4に示した面と反対の面の斜視図であり、複数のバルブ・プランジャ空洞が示されている。
【図6】図6は、本発明の機械式および空気圧駆動のポンプの立面断面図であり、流体ポンプ・カセットと組み合わせて示されている。
【図7】図7は、本発明の機械式および空気圧駆動のポンプの他の実施形態の立面断面図であり、流体ポンプ・カセットと組み合わせて示されている。
【図8】図8は、本発明の電機式駆動のポンプの立面断面図であり、流体ポンプ・カセットに操作可能に接続されている。
【図9】図9は、本発明の空気圧および機械式駆動のポンプのさらに他の実施形態の立面断面図である。
【図10】図10は、本発明の空気圧および機械式駆動のバルブの一実施形態の立面断面図である。
【図11】図11は、本発明の空気圧および機械式駆動のバルブの一実施形態の立面断面図である。
【図12】図12は、透析用ハードウェア装置の斜視図であり、使い捨てカセットの組み込み、および本発明の自動整列の特徴についての一実施形態が示されている。
【図13】図13は、それぞれ図12の線XIII‐XIIIおよびXIV‐XIVを通って得た立面断面図であり、本発明のカセット自動整列の特徴を示している。
【図14】図14は、それぞれ図12の線XIII‐XIIIおよびXIV‐XIVを通って得た立面断面図であり、本発明のカセット自動整列の特徴を示している。
【図15】図15は、本発明による改善されたポンプ膜材料の種々の実施形態を示している。
【図16】図16は、本発明による改善されたポンプ膜材料の種々の実施形態を示している。
【図17】図17は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図18】図18は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図19】図19は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図20】図20は、本発明のバルブ配置について一実施形態を示しており、複数の流体を同じ流体ポンプ・チャンバに送ることができ、同じ流体ポンプ・チャンバから送出することができる。
【図21】図21は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムについて、複数の溶液、複数のポンプ、および複数の流体送り先の間のさまざまな流体流通接続を示した概略のプロセス・フロー図である。
【図22】図22は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムについて、流体ポンプに考えられる状態を概略的に示したダイアグラムである。
【図23】図23は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムについて、流通の制御のために実装されるソフトウェア・ルールの一例のリストである。
【図24】図24は、図21の流体流通接続、図22の状態ダイアグラム、および図23に実測されたソフトウェア・ルールの結果の一部であるポンプ動作モジュールを示した概略のダイアグラムである。
【図25】図25は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムおよび方法の一実施形態を概略的に示したプロセス・フロー・ダイアグラムである。
【図26】図26は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムおよび方法の一実施形態を概略的に示したプロセス・フロー・ダイアグラムである。
【図27】図27は、図30に示した流体流通スケジュールを出力するために本発明のエキスパート・ポンプ・システムによって使用される種々の入力、出力、およびアルゴリズムを示している。
【図28】図28は、図30に示した流体流通スケジュールを出力するために本発明のエキスパート・ポンプ・システムによって使用される種々の入力、出力、およびアルゴリズムを示している。
【図29】図29は、図30に示した流体流通スケジュールを出力するために本発明のエキスパート・ポンプ・システムによって使用される種々の入力、出力、およびアルゴリズムを示している。
【図30】図30は、本発明のエキスパート・ポンプ・システムおよび方法の流体流通スケジュールの一部を示した表であり、このスケジュールが、所望の期間にわたり種々の流体について種々の送り先への所望の流速および体積を達成するため、種々のポンプからの流体の流れを管理している。
【図31】図31は、使い捨てカセットの剛体部の斜視切断図であり、本発明の排気ポートについて種々の実施形態が示されている。
【図32】図32は、容量式流体体積検出を使用する空気分離チャンバの一実施形態の立面切断図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析用カセットを動作させるための組立体であって、以下:
ハウジング;
該ハウジングと連通したポンプ・アクチュエータ;
該ハウジングによって規定された流路;
該ハウジングに組み合わせられ、かつ該流路と連通している、少なくとも1つのバルブ;および
該流路と連通した入口、
を備える組立体。
【請求項2】
前記流路に連通した複数の入口を備える、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記入口が、前記流路の対向する両端に配置される、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記バルブが、前記ハウジングの持ち上げられた部分に配置され、該持ち上げられた部分が、前記流路の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記ハウジングが、少なくとも部分的に、金属およびプラスチックからなる群より選択される材料から構成される、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
請求項1に記載の組立体であって、前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのセンサを備え、該センサが、圧力センサ、温度センサ、流体体積センサ、液体レベルセンサ、空気検出センサ、気泡センサ、濁度センサ、導電率センサ、pHセンサ、化学センサ、色検出センサ、および粒子検出センサからなる群より選択される、組立体。
【請求項7】
前記ハウジングが、各バルブの下に開口部を規定し、ここで、バルブ・プランジャが、該バルブから該ハウジングの反対側に配置され、該プランジャが、該開口部の周囲に配置される、請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
前記バルブが、空気圧源からの流体路を開閉する、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
前記バルブが、大気からの流体路を開閉する、請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記バルブが電気的に駆動される、請求項1に記載の組立体。
【請求項11】
前記バルブが3方弁である、請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
前記ポンプ・アクチュエータが、リニアモータ、回転モータ、およびばねからなる群より選択される、請求項1に記載の組立体。
【請求項13】
前記流路が第1の流路であり、本体が第2の流体流路を規定し、かつ少なくとも1つのバルブが該第2の経路と連通している、請求項1に記載の組立体。
【請求項14】
前記第1の流路が真空の経路であり、かつ前記第2の流路が大気の経路である、請求項13に記載の組立体。
【請求項15】
透析治療を実行する装置に配置され、該治療が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される、請求項1に記載の組立体。
【請求項16】
前記カセットと協働して、動作のために該カセットを自動的に整列させる、請求項1に記載の組立体。
【請求項17】
透析用カセットを動作させるためのシステムであって、以下:
流体流路を規定するハウジングと、ポンプ・アクチュエータと、該ハウジングに組み合わせられた複数のバルブとを備え、該バルブが、該流体流路と連通している、組立体;
該流体流路と連通している空気圧源;
該バルブとともに動作可能な複数のバルブ・プランジャ;および
該ポンプ・アクチュエータとともに動作可能なポンプ・ピストン、
を備える、システム。
【請求項18】
前記ポンプ・アクチュエータが前記空気圧源と連通している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記バルブのそれぞれと協働可能なばねを備え、前記空気圧源が、該ばねを圧縮する負の圧力源である、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記バルブ・プランジャのそれぞれと前記ハウジングとの間に配置されるばねを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記ばねが、前記バルブ・プランジャを押して前記透析用カセット内の少なくとも1つの流路を閉じるように、前記バルブが、エネルギーを与えられない状態において前記空気圧源からの流れを許容しない、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記バルブの少なくとも1つを通じて大気と連通する第2の流体路を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
前記バルブが、エネルギーを与えられない状態において、大気に対して開き、かつ前記空気圧源に対して閉じている、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記組立体が、前記ハウジングに組み合わせられた少なくとも1つのプレートを備え、該プレートが、前記バルブ・プランジャの少なくとも一部を収容する、請求項17に記載のシステム。
【請求項25】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
該患者ラインと連通する使い捨てカセット;および
該使い捨てカセットに操作可能に接続される組立体であって、該組立体は、流体流路を規定するハウジングと、該流体路と連通する複数のバルブとを備える、組立体、
を備える、システム。
【請求項26】
前記カセットのポンプ部と連通するポンプ・アクチュエータを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記バルブが、前記カセットのバルブ部と連通する、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記カセットが、流体加熱経路を備え、前記システムが、該加熱経路の下流に気体分離チャンバを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
ハウジング;
ハウジングと連通する負の圧力源;および
該ハウジングに組み合わせられ、該負の圧力源と連通する、複数のバルブ、
を備える、システム。
【請求項30】
前記ハウジングに組み合わせられたポンプ・アクチュエータを備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記バルブおよび前記ポンプ・アクチュエータの少なくとも1つが、ばねと協働する、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記バルブが、ポリオレフィンを含む材料で作られた膜に接触するように前記バルブ・プランジャを動かす、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
医療用流体ポンプであって、以下:
ピストン・ヘッドを有するポンプ・ピストン;
医療用流体をポンプで送るように動く、可撓膜;
該ピストン・ヘッドを該可撓膜に向かって押すように付勢された、ばね;および
該ピストンとともに動き、該ばねを圧縮する負の圧力が適用されることを可能にする、ダイアフラム、
を備える、医療用流体ポンプ。
【請求項34】
前記ダイアフラムが前記ピストンに密閉式に組み合わせられる、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項35】
前記ばねが、前記ピストンに組み合わせられ、圧縮された場合に前記ピストンを動かす、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項36】
前記ばねを圧縮して前記ピストンを動かす場合に、前記膜を前記ピストン・ヘッドに向かって引くために負の圧力を使用する、請求項35に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項37】
前記ばねが空洞内に配置され、該空洞が、少なくとも部分的に前記ダイアフラムによって規定され、そして該空洞に前記負の圧力が適用される、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項38】
前記負の圧力が、前記ばねを圧縮するための第1のレベルで適用され、そして該ばねが前記膜へ向かって前記ピストン・ヘッドを付勢し、前記ダイアフラムを所望の位置に保持する場合には、該負の圧力が、第2のレベルで適用される、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項39】
前記第2の真空レベルが、前記第1の真空レベルよりも低い、請求項38に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項40】
前記膜が、使い捨てカセットの剛体部に取り付けられ、前記流体が、該膜と該剛体部との間でポンプで送られる、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項41】
前記ばねが、前記剛体部へ向かって前記膜を付勢する、請求項40に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項42】
請求項33に記載の医療用流体ポンプであって、前記ダイアフラムが第1のダイアフラムであり、そして該ポンプが、前記ピストンとともに動いて前記ピストン・ヘッドと前記膜との間に負の圧力が適用されることを可能にする第2のダイアフラムを備える、医療用流体ポンプ。
【請求項43】
前記第2のダイアフラムが前記ピストンに密閉式に組み合わせられる、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項44】
前記ピストン・ヘッドと前記膜との間に適用される前記負の圧力が、前記ピストンが動く場合に、前記第2のダイアフラムを所望の配向に保持する、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項45】
前記第1および第2のダイアフラムの間に空間を備え、該空間が大気圧または正の圧力に保たれる、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項46】
前記負の圧力が、前記第1のダイアフラムに対して、前記ばねを圧縮するための第1のレベルで適用され、かつ該ばねが前記膜へ向かって前記ピストン・ヘッドを付勢し、該第1のダイアフラムを所望の位置に保持する場合には、該負の圧力が第2のレベルで適用される、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項47】
前記負の圧力が、前記ばねを圧縮しかつ前記膜を前記ピストン・ヘッドへと引くため、協調的に適用される、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項48】
協調する負の圧力を適用する複数の負の圧力源を備える、請求項47に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項49】
医療用流体ポンプであって、以下:
医療用流体をポンプで送るように可動である、可撓膜;
シリンダ;
該シリンダ内に配置されたばねで負荷されたピストンであって、一端に基部を有し他端にピストン・ヘッドを有し、該ばねが、前記膜に向かって該ヘッドを押すように付勢される、ピストン;および
該ばねを圧縮すべく該シリンダ内に圧力を加える圧力源
を備える、医療用流体ポンプ。
【請求項50】
前記圧力が、前記ばねを圧縮すべく前記基部に加えられる負の圧力である、請求項49に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項51】
前記ばねを圧縮して前記ピストンを動かす場合に、前記膜を前記ピストン・ヘッドに向かって引くため、負の圧力がさらに適用される、請求項50に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項52】
前記圧力が、前記ばねを圧縮すべく前記ピストンの前記ピストン・ヘッド端の付近に適用される正の圧力である、請求項49に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項53】
前記ばねを圧縮して前記ピストンを動かす場合に前記膜を前記ピストン・ヘッドに向かって引くため、負の圧力を適用する負の圧力源を備える、請求項52に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項54】
医療用流体バルブであって、以下:
バルブ・プランジャ;
流体流を許容および制限すべく移動する可撓膜;
該プランジャを該可撓膜に向かって押すべく付勢された、ばね;および
該プランジャとともに移動して、該ばねを圧縮する負の圧力が適用されることを可能にする、ダイアフラム、
を備える、医療用流体バルブ。
【請求項55】
前記プランジャが、該プランジャが前記膜へと密着することを助けるための順応性のある部材を備える、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項56】
前記ダイアフラムが前記プランジャに密閉式に組み合わせられる、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項57】
前記ばねが、チャンバ内に配置され、該チャンバが、少なくとも部分的に前記ダイアフラムによって規定され、該チャンバに前記負の圧力が適用される、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項58】
前記ばねが、前記プランジャに組み合わせられ、圧縮された場合に前記プランジャを動かす、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項59】
前記ばねを圧縮して前記プランジャを動かす場合に、前記膜を該プランジャに向かって引くため、負の圧力がさらに適用される、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項60】
前記負の圧力が、前記ばねを圧縮するため、前記膜を引くための大きさとは異なる大きさで適用される、請求項59に記載の医療用流体バルブ。
【請求項61】
前記膜が、使い捨て部の剛体部に取り付けられ、該膜が、該剛体部から離れるように引かれる場合、該剛体部によって規定された開口部間に流路を生成する、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項62】
前記膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られている、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項63】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
該患者ラインと連通する使い捨てカセット;
ポンプ・ヘッドを付勢して、該カセットのポンプ部と接触させる、ポンプばね;
バルブ・プランジャを付勢して、該カセットのバルブ部と接触させる、バルブばね;および
該ポンプばねおよび該バルブばねを圧縮して、流体が該カセットの該ポンプ部を通ってポンプで送られ、かつ該カセットの該バルブ部を通って流れることができるようにするため、負の圧力を適用する供給源、
を備える、システム。
【請求項64】
前記ばねを圧縮する場合に、前記カセットの膜を前記ポンプ・ヘッドおよび前記バルブ・プランジャに向かって引くため、負の圧力がさらに適用される、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記ポンプばねおよび前記バルブばねのために、密閉された真空チャンバを少なくとも部分的に生成する少なくとも1つのダイアフラムを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項66】
前記カセットに接触する、ばねで負荷された複数のポンプ・ヘッドを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項67】
前記カセットに接触する複数のバルブ・プランジャを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項68】
前記カセットの対向する両側に取り付けられた複数の膜を備え、少なくとも1つのバルブ・プランジャが、それぞれの膜と連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項69】
前記使い捨てカセットが、流体供給源および流体再生ラインの少なくとも1つと流体連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項70】
連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される透析治療を実行する、請求項63に記載のシステム。
【請求項71】
前記カセットの前記ポンプ部が、少なくとも2つの流体源と連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項72】
前記カセットの前記ポンプ部が、少なくとも2つの流体送り先と連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項73】
前記ポンプ・ヘッドが、ポンプ送出を開始する前に前記カセットに自動的に整列する、請求項63に記載のシステム。
【請求項74】
前記カセットが、一体的に形成された排気ポートを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項75】
一度にただ1種の流体が前記ポンプ部を通過して流れるように前記バルブ・プランジャを制御する、請求項63に記載のシステム。
【請求項76】
前記ポンプばねが各ポンプ・ストロークにおいて完全に延びるように、該ポンプばねを制御する、請求項63に記載のシステム。
【請求項77】
透析を実行するための方法であって、以下:
(a)ポンプ・チャンバの体積を減少させて流体を吐出するため、付勢された第1のばねを解放する工程;
(b)入口バルブを閉じるため、付勢された第2のばねを解放する工程;および
(c)出口バルブを開いて、該ポンプ・チャンバから吐出された流体が患者へと流れることができるようにするため、第3のばねを圧縮すべく負の圧力を加える工程、
を包含する、方法。
【請求項78】
可撓膜を移動させて、前記出口バルブを開くため、負の圧力をさらに適用する工程を包含する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
ダイアフラムを所望の構成に保持するため、前記第1のばねを収容する真空チャンバに負の圧力を適用する工程を包含する、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも1つの前記出口バルブを、前記ポンプ・チャンバと協働できるポンプ・アクチュエータと同じハウジングに配置する工程、を包含する、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
請求項77に記載の方法であって、以下:
(d)前記出口バルブを閉じるように付勢された第3のばねを解放する工程、および
(e)前記ポンプ・チャンバの体積を増加させて流体で満たすため、および前記入口バルブを開いて流体を前記チャンバに供給できるようにするため、前記第1および第2のばねを圧縮すべく負の圧力を適用する工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項82】
可撓膜を移動させ、前記ポンプ・チャンバの体積を増加させ、そして前記入口バルブを開くため、負の圧力さらに適用する工程を包含する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
請求項81に記載の方法であって、ここで、前記ポンプ・チャンバ、前記入口バルブおよび前記出口バルブが、第1のポンプ・チャンバ、第1の入口バルブおよび第1の出口バルブであり、該方法が、流体接続された第2のポンプ・チャンバ、第2の入口バルブおよび第2の出口バルブを包含し、そして該第2のポンプ・チャンバおよび該第2のバルブについて、工程(a)〜(c)を実行する一方で、前記第1のポンプ・チャンバおよび前記第1のバルブについて、工程(d)および(e)を実行することを包含する、方法。
【請求項84】
前記第2のポンプ・チャンバおよび前記第2のバルブについて工程(d)および(e)を実行する一方で、前記第1のポンプ・チャンバおよび前記第1のバルブについて工程(a)〜(c)を実行することを包含する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第1および第2のポンプ・チャンバが、ソフトウェアに格納された少なくとも1つのポンプ動作のルールにもとづくポンプ動作スケジュールに従って動作する、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
使い捨てカセットを透析装置内で整列させるための方法であって、以下:
ポンプ・ヘッドを該使い捨てカセットに向かって動かし、該使い捨てカセットのポンプ部を移動させて該ヘッドに整列させる工程;および
該使い捨てカセットをその位置に固定する工程、
を包含する、方法。
【請求項87】
前記ポンプ・ヘッドを動かす工程が、ポンプ・ピストンを動かす工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
複数のポンプ・ヘッドを前記使い捨てカセットに向かって動かす工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記ポンプ・ヘッドを動かす工程が、正または負の圧力源を使用する工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記ポンプ・ヘッドを動かす前に、ドアをロックして前記使い捨てカセットを閉じ込める工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記使い捨てカセットの前記ポンプ部が、少なくとも1つの可撓膜を備える、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記使い捨てカセットを所定の位置に固定する工程が、部材を機械的に動かす工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
前記使い捨てカセットを所定の位置に固定する工程が、袋を膨張させる工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
前記使い捨てカセットによって生じる前記ポンプ・ヘッドの移動に対する抵抗を検出して、該抵抗に基づいて応答を生じる工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項95】
前記応答が、治療を進めるための出力、使い捨てカセットの位置ずれを示す出力、および使い捨てカセットの統合性に問題があることを示す出力からなる群より選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
透析装置における、使い捨てカセットの位置ずれによる統合性の問題を検出するための方法であって、以下:
ポンプ・ヘッドを前記使い捨てカセットに向かって動かす工程;および
該使い捨てカセットによって生じる該ポンプ・ヘッドの移動に対する抵抗を感知する工程、
を包含する、方法。
【請求項97】
使い捨てカセット位置ずれエラー・メッセージを患者へと送信する工程を包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
感知された前記抵抗を予想される抵抗と比較して、感知された該抵抗および該比較に基づいて使い捨てカセット位置ずれ出力を送信する工程を包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
透析装置において、使用される使い捨てカセットの統合性の問題を診断するための方法であって、以下:
ポンプ・ヘッドを前記使い捨てカセットに向かって動かす工程;
該使い捨てカセットによって生じる該ポンプ・ヘッドの移動に対する抵抗を感知する工程;および
感知された該抵抗に基づいて、使い捨てカセット統合性問題出力を送信する工程、
を包含する、方法。
【請求項100】
使い捨てカセット統合性問題エラー・メッセージを患者へと送信する工程を包含する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
感知された前記抵抗を予想される抵抗と比較して、感知された該抵抗および該比較に基づいて使い捨てカセット統合性問題出力を送信する工程を包含する、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
透析処置を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
使い捨てカセットの可撓部を備える、流体を該患者ラインへとポンプで送るポンプ;および
該ポンプに操作可能に接続されるコントローラであって、流体がポンプで送られ得るように該使い捨てカセットを固定する前に、ポンプ・ヘッドを該可撓部に接触させて、該ポンプ・ヘッドに対して整列するように該可撓部を動かす、コントローラ、
を備える、システム。
【請求項103】
請求項102に記載のシステムであって、ここで、前記患者ラインが充填ラインであり、該システムは、流体を患者から再生装置へと戻す、帰還患者ラインを備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
複数の可撓ポンプ使い捨てカセット部およびポンプ・ヘッド、プログラムであって、必要であれば、前記使い捨てカセットを固定する前に、それぞれの可撓ポンプ部に接触して動かすようにポンプ・ヘッドに指令するプログラム、を備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項105】
前記コントローラに操作可能に接続された表示装置、および該表示装置によって表示されるメッセージを備え、該メッセージが、前記ポンプ・ヘッドの動きに対する前記可撓部による抵抗に基づく、請求項102に記載のシステム。
【請求項106】
前記処置が、連続フロー腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項102に記載のシステム。
【請求項107】
前記ポンプが、正または負の圧力を介して動かされるポンプばねを備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項108】
前記ポンプへと流体接続される少なくとも1つのさらなる流体ラインを備え、該さらなる流体ラインが、再生ライン、透析液供給ライン、濃縮物添加ライン、限外濾過液ライン、および排出ラインからなる群より選択される、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
前記ポンプのポンプ動作を制御するため、前記コントローラが少なくとも1つのポンプ動作ルールを適用する、請求項107に記載のシステム。
【請求項110】
流体ポンプ機構であって、以下:
流体レザバー;および
該流体レザバーの一部を覆って広がる単層フィルム、
を備え、該フィルムの第1の位置から第2の位置への移動によって、流体が該レザバーを通って移動し、前記フィルムが第1のポリオレフィンを含む、機構。
【請求項111】
前記第1のポリオレフィンが、2〜20個の炭素原子を含む第1のアルファ‐オレフィンを重合させることによって得られる単独重合体および共重合体からなる群より選択される、請求項110に記載の機構。
【請求項112】
前記第1のポリオレフィンが、エチレンの単独重合体およびエチレンの共重合体から選択される、請求項110に記載の機構。
【請求項113】
前記エチレンの共重合体が、エチレンと第2のアルファ‐オレフィンの共重合体である、請求項112に記載の機構。
【請求項114】
前記第2のアルファ‐オレフィンが、4〜8個の炭素を有する、請求項113に記載の機構。
【請求項115】
前記エチレンと第2のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、0.915g/cc未満の密度を有する、請求項114に記載の機構。
【請求項116】
前記エチレンと第2のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、0.910g/cc未満の密度を有する、密度を有している請求項114に記載の機構。
【請求項117】
前記エチレンと第2のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、0.905g/cc未満の密度を有する、請求項114に記載の機構。
【請求項118】
前記エチレンの共重合体が、エチレンと、低級アルキル・アクリレート、低級アルキル置換アルキル・アクリレートおよびビニル・アセテートの群から選択されるコモノマーとの共重合体である、請求項112に記載の機構。
【請求項119】
前記第1のポリオレフィンが、プロピレンの単独重合体およびプロピレンの共重合体からなる群より選択される、請求項111に記載の機構。
【請求項120】
前記流体レザバーが、ポンプ・カセットによって規定される、請求項111に記載の機構。
【請求項121】
前記フィルムが、ガンマ照射またはエチレンオキシド滅菌によって滅菌され得る、請求項110に記載の機構。
【請求項122】
前記フィルムが熱成形される、請求項110に記載の機構。
【請求項123】
前記フィルムが、約5%〜約40%の伸びを有する、請求項110に記載の機構。
【請求項124】
前記フィルムがドーム形の部位を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項125】
前記フィルムが、20,000psi未満の弾性係数を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項126】
前記フィルムが、ピストンによって変形させられて、最初のストロークから10,000回目のストロークまで15体積%より大きく変動しない率で、前記レザバーを通じて流体を動し得る、請求項110に記載の機構。
【請求項127】
前記フィルムが、5ミルの厚さを有するフィルムについて、0.20ワット/分‐ケルビンよりも大きい熱伝達係数を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項128】
前記フィルムが、ざらつき仕上げを有する、請求項110に記載の機構。
【請求項129】
前記フィルムが、5〜40℃の温度範囲にわたって事実上一定の弾性係数を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項130】
前記フィルムが、プランジャにて第1の位置から第2の位置まで動かされ、該プランジャが、該フィルムに貼り付くことがない、請求項110に記載の機構。
【請求項131】
前記ポンプ・カセットが、環状オレフィン含有ポリマーの単独重合体および共重合体、ならびに架橋多環炭化水素含有ポリマーの単独重合体および共重合体からなる群より選択される第1のポリマーから作られる、請求項120に記載の機構。
【請求項132】
前記カセットが、ノルボルネンの単独重合体および共重合体から選択される、請求項131に記載の機構。
【請求項133】
前記ポンプ・カセットが、ノルボルネンと第3のアルファ‐オレフィンとの共重合体である、請求項132に記載の機構。
【請求項134】
前記第3のアルファ‐オレフィンがエチレンである、請求項133に記載の機構。
【請求項135】
前記カセットが、ノルボルネンとエチレンとの共重合体である第1の成分と、エチレンと第4のアルファ‐オレフィンとの共重合体である第2の成分とのポリマー・ブレンドから作られる、請求項134に記載の機構。
【請求項136】
前記第4のアルファ‐オレフィンが、4〜8個の炭素を有する、請求項135に記載の機構。
【請求項137】
前記第4のアルファ‐オレフィンが、6個の炭素を有する、請求項136に記載の機構。
【請求項138】
前記第1の成分が、前記ブレンドの30重量%〜約99重量%の重量で存在し、前記第2の成分が、前記ブレンドの1重量%〜約70重量%の重量で存在する、請求項135に記載の機構。
【請求項139】
前記流体レザバーと流体連通するチューブをさらに備える、請求項110に記載の機構。
【請求項140】
前記チューブが、第2のポリオレフィンから作られる、請求項139に記載の機構。
【請求項141】
前記第2のポリオレフィンが、2〜20個の炭素原子を含む第5のアルファ‐オレフィンを重合することによって得られる単独重合体および共重合体からなる群より選択される、請求項140に記載の機構。
【請求項142】
前記第2のポリオレフィンが、エチレンの単独重合体およびエチレンの共重合体から選択される、請求項141に記載の機構。
【請求項143】
前記エチレンの共重合体が、エチレンと第6のアルファ‐オレフィンとの共重合体である、請求項142に記載の機構。
【請求項144】
前記第6のアルファ‐オレフィンが、4〜8個の炭素を有する、請求項143に記載の機構。
【請求項145】
前記エチレンと第6のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、メタロセン触媒を使用して得られる、請求項143に記載の機構。
【請求項146】
前記第2のポリオレフィンが、ポリオレフィン・ポリマーのブレンドである、請求項142に記載の機構。
【請求項147】
前記第2のポリオレフィンが、2つのm‐ULDPE樹脂のブレンドである、請求項146に記載の機構。
【請求項148】
前記第2のポリオレフィンが、3つのm‐ULDPE樹脂のブレンドである、請求項146に記載の機構。
【請求項149】
前記チューブが、0.915g/cc未満の密度を有する材料から作られる、請求項139に記載の機構。
【請求項150】
前記チューブが、押し出し成形プロセスによって形成される、請求項139に記載の機構。
【請求項151】
前記チューブが、ガンマ照射またはエチレンオキシド滅菌によって滅菌され得る、請求項139に記載の機構。
【請求項152】
連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される治療において使用される、請求項110に記載の機構。
【請求項153】
流体ポンプ機構であって、以下:
流体レザバー;および
該流体レザバーの一部を覆って広がる多層フィルムであって、該フィルムの第1の位置から第2の位置への動きによって流体が該レザバーを通って移動し、該フィルムは内側層および外側層を備え、該内側層がエチレン含有ポリマーを含む、多層フィルム、
を備える、機構。
【請求項154】
前記内側層が、エチレンの単独重合体またはエチレンの共重合体である、請求項153に記載の機構。
【請求項155】
前記内側層が、エチレン・アルファ‐オレフィン共重合体であり、該共重合体が0.915g/cc未満の密度を有する、請求項154に記載の機構。
【請求項156】
前記外側層が、ポリマー、金属箔、または紙である、請求項155に記載の機構。
【請求項157】
前記流体レザバーが、フレームによって規定され、前記フィルムが該フレームに取り付けられる、請求項153に記載の機構。
【請求項158】
前記フィルムが、熱シールによって前記フレームに取り付けられる、請求項157に記載の機構。
【請求項159】
前記レザバーと流体連通するチューブをさらに備える、請求項153に記載の機構。
【請求項160】
前記レザバーが、フレームによって規定され、前記チューブが、溶剤結合によって該フレームに接続される、請求項159に記載の機構。
【請求項161】
連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される治療において使用される、請求項153に記載の機構。
【請求項162】
透析処置を実施するためのシステムであって、以下:
流体ポンプ;
該流体ポンプと連通する第1および第2の入口経路;
該第1および第2の入口経路それぞれの中に流れる第1および第2の流体;
該第1および第2の入口経路とそれぞれ連通する第1および第2の導入バルブ;
該流体ポンプと連通する第1および第2の出口経路;
該第1および第2の出口経路とそれぞれ連通する第1および第2の排出バルブ;および
ポンプで送られる該第1および第2の流体の割合を制御するため、該バルブを順次に開くコントローラ、
を備える、システム。
【請求項163】
前記コントローラが、前記第1および第2の出口経路を通って流れる流体の割合をさらに制御する、請求項162に記載のシステム。
【請求項164】
剛体部と該剛体部に取り付けられた少なくとも1つの可撓膜とを有する使い捨てカセットを備え、前記ポンプが該膜と協働可能である、請求項162に記載のシステム。
【請求項165】
前記バルブの少なくとも1つが前記膜と協働可能である、請求項164に記載のシステム。
【請求項166】
前記可撓膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られる、請求項164に記載のシステム。
【請求項167】
前記第1の流体に対する前記第2の流体の比が、0.2%〜3%であるように制御される、請求項162に記載のシステム。
【請求項168】
前記第1および第2の出口経路を出る流体の比が、0.1%〜7%であるように制御される、請求項162に記載のシステム。
【請求項169】
前記第1および第2の入口経路ならびに前記第1および第2の出口経路の少なくとも1つが、それぞれ前記ポンプの上流および下流に接続される、請求項162に記載のシステム。
【請求項170】
前記第1および第2の入口経路ならびに前記第1および第2の排出経路の少なくとも1つが、前記ポンプへと直接供給を行なう、請求項162に記載のシステム。
【請求項171】
複数のポンプを備え、該ポンプのそれぞれが、第1および第2の入口経路、第1および第2の導入バルブ、第1および第2の出口経路、ならびに第1および第2の排出バルブと連通する、請求項162に記載のシステム。
【請求項172】
少なくとも1つの第1の入口経路、第2の入口経路、第1の出口経路、および第2の出口経路が、前記複数のポンプのそれぞれに流体接続される、請求項171に記載のシステム。
【請求項173】
第1および第2のポンプが、(i)両者が第1の流体を導入する、(ii)それぞれ第1および第2の流体を導入する、(iii)それぞれ第2および第1の流体を導入する、ならびに(iv)両者が第2の流体を導入する、ことからなる群より選択される少なくとも1つの様式で作動する、請求項171に記載のシステム。
【請求項174】
第1および第2のポンプが交互に動作する、請求項171に記載のシステム。
【請求項175】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第1の入口経路および前記第1の導入バルブを通じて第1の流体を引きこむ一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第1の出口経路および前記第1の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項176】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第1の入口経路および前記第1の導入バルブを通じて第1の流体を引き込む一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第2の出口経路および前記第2の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項177】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第2の入口経路および前記第2の導入バルブを通じて第2の流体を引き込む一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第1の出口経路および前記第1の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項178】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第2の入口経路および前記第2の導入バルブを通じて第2の流体を引き込む一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第2の出口経路および前記第2の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項179】
前記処置が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項162に記載のシステム。
【請求項180】
前記第1および第2の入口経路の少なくとも1つが、再生装置と、少なくとも1つの透析液供給源と、少なくとも1つの添加剤供給源と、患者とからなる群より選択される供給源と流体流通する、請求項162に記載のシステム。
【請求項181】
前記第1および第2の出口経路の少なくとも1つが、患者と、サンプル・コンテナと、限外濾過液バッグとからなる群より選択される送り先と流体連通する、請求項162に記載のシステム。
【請求項182】
前記第1および第2の経路の少なくとも1つが、流れが2つの方向に移動できるようにする複数の流体用管腔を備える、請求項162に記載のシステム。
【請求項183】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
ポンプと連通する第1および第2の入口経路;
該第1および第2の入口経路とそれぞれ連通する第1および第2の導入バルブ;
該流体ポンプと連通する第1および第2の出口経路;
該第1および第2の出口経路とそれぞれ連通する第1および第2の排出バルブ;および
該バルブを選択的に開くコントローラ、
を備える、システム。
【請求項184】
前記コントローラが、前記第1および第2の出口経路を通って流れる流体の割合を制御する、請求項183に記載のシステム。
【請求項185】
前記コントローラが、前記第1および第2の入口経路からポンプで送られる第1および第2の流体の割合を制御する、請求項183に記載のシステム。
【請求項186】
使い捨てカセットの複数の部位を備え、該使い捨てカセットの複数の部位は、対応する複数の流体ポンプの一部を形成し、該流体ポンプが、前記第1および第2の入口経路、前記第1および第2の導入バルブ、前記第1および第2の出口経路、ならびに前記第1および第2の排出バルブと連通する、請求項183に記載のシステム。
【請求項187】
前記カセットが、前記第1および第2の導入バルブならびに前記第1および第2の排出バルブの少なくとも1つの流体流部を規定する、請求項186に記載のシステム。
【請求項188】
前記カセットが、排気ポートの少なくとも一部を規定する、請求項186に記載のシステム。
【請求項189】
少なくとも1つの前記カセットに接続する可撓膜を備え、該膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られる、請求項186に記載のシステム。
【請求項190】
前記コントローラが、ポンプ動作の開始前に、前記カセットに整列するように前記流体ポンプを動かす、請求項186に記載のシステム。
【請求項191】
前記コントローラが、前記ポンプを動作させるために少なくとも1つのポンプ動作ルールを使用する、請求項183に記載のシステム。
【請求項192】
複数の流体源および複数の流体送り先を備え、前記コントローラが、少なくとも1つの流体源から少なくとも1つの送り先へとポンプで送るため、ポンプ動作スケジュールに従ってポンプを運転する、請求項183に記載のシステム。
【請求項193】
前記入口経路の少なくとも1つが、透析液の供給源と連通する、請求項183に記載のシステム。
【請求項194】
前記入口経路の少なくとも1つが、流体再生装置と連通する、請求項183に記載のシステム。
【請求項195】
透析を実行するための方法であって、以下:
(a)透析流体を、第1の導入バルブを通してポンプへと送る工程;
(b)透析添加剤流体を、第2の導入バルブを通して該ポンプへと送る工程;
(c)該透析流体を、該ポンプから第1の排出バルブを通じて患者へと送出する工程;および
(d)該透析流体を、該ポンプから第2の排出バルブを通じて別の送り先へと送出する工程、
を包含する、方法。
【請求項196】
工程(a)〜(d)が、それぞれ異なる時点で実行される、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
工程(a)および(d)が、一緒に実行される、請求項195に記載の方法。
【請求項198】
工程(b)および(c)が、一緒に実行される、請求項195に記載の方法。
【請求項199】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(a)が、透析流体を第2のポンプから患者へと送出しつつ行なわれる請求項195に記載の方法。
【請求項200】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(a)が、透析流体を第2のポンプから他の送り先へと送出しつつ行なわれる、請求項195に記載の方法。
【請求項201】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(b)が、透析添加剤流体を第2のポンプへと送りつつ行なわれる、請求項195に記載の方法。
【請求項202】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(d)が、第2のポンプから他の送り先へと送出しつつ行なわれる、請求項195に記載の方法。
【請求項203】
工程(b)および(d)の少なくとも1つにおいて送られる流体の体積が、部分的ポンプ・ストロークによって制御される、請求項195に記載の方法。
【請求項204】
前記他の送り先が、限外濾過除去コンテナ、サンプル・コンテナ、ドレイン、およびアキュムレータからなる群より選択される、請求項195に記載の方法。
【請求項205】
流体を患者から前記第1の出口バルブを通じて送る工程を包含する、請求項195に記載の方法。
【請求項206】
前記添加剤を送る前に、複数のポンプ・ストロークにわたって透析流体を送る工程を包含する、請求項195に記載の方法。
【請求項207】
前記他の送り先へと送出する前に、多くのポンプ・ストロークにわたって流体を患者へと送る工程を包含する、請求項195に記載の方法。
【請求項208】
医療用流体ポンプを運転するための方法であって、以下:
複数の流体源を、複数の導入バルブを介してポンプへと流体接続する工程;
複数の流体送り先を、複数の排出バルブを介して該ポンプへと流体接続する工程;および
該ポンプを通る該流体源から該送り先への流体流を、ポンプ動作スケジュールを使用して制御する工程、
を包含する、方法。
【請求項209】
少なくとも1つの入力パラメータを受け取ったのちに、ポンプ動作スケジュールを作成する工程を包含する、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
前記供給源および前記送り先を複数のポンプへと流体接続し、該ポンプを通る流れを前記スケジュールによって制御する工程を包含する、請求項208に記載の方法。
【請求項211】
前記バルブを、該バルブに組み合わせられたバルブばねを圧縮することによって制御する工程を包含する、請求項208に記載の方法。
【請求項212】
医療用流体ポンプ・システムを運転するための方法であって、以下:
少なくとも1つの患者パラメータを入力する工程;
該入力されたパラメータに基づき、少なくとも1つの値を計算する工程;
該計算された値および少なくとも1つの流れ制限ルールを使用し、ポンプ動作スケジュールを作成する工程;および
該スケジュールに従って少なくとも1つの医療用流体ポンプを運転する工程、
を包含する、方法。
【請求項213】
前記パラメータの入力が、該パラメータのための値の範囲から選択された値を入力する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項214】
複数のパラメータの入力を促す工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項215】
前記パラメータを入力する工程が、該入力されたパラメータが運転上安全であることを確認する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項216】
前記パラメータが、(i)総治療時間、(ii)サイクル治療時間、(iii)透析液流速、(iv)添加濃縮物流速、(v)限外濾過液除去流速、(vi)患者の限外濾過液生成速度、および(vii)透析液流速とアキュムレータ流速との間の比からなる群より選択される、請求項212に記載の方法。
【請求項217】
前記値を計算する工程が、ポンプ・ストロークの数を計算する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項218】
前記値を計算する工程が、第1の型のポンプ・ストロークの第1の数および第2の型のポンプ・ストロークの第2の数を計算する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項219】
前記値が、ストローク時間、患者ストロークの数、アキュムレータ・ストロークの数、濃縮物添加ストロークの数、および限外濾過液除去ストロークの数からなる群より選択される、請求項212に記載の方法。
【請求項220】
前記医療用流体ポンプ・システムの物理的制限に基づく少なくとも1つのルールを実施する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項221】
前記医療用流体ポンプ・システムの治療上の制限に基づく少なくとも1つのルールを実施する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項222】
前記スケジュールに従って、所望の流体源からの送出のため少なくとも1つのポンプを運転する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項223】
前記スケジュールに従って、所望の流体送り先への送出のため少なくとも1つのポンプを運転する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項224】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、医療用流体を、患者から、再生装置を通って再び患者へと再循環させる工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項225】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、多数のタイダル・フロー部分流体交換を実行する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項226】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、該ポンプを使用した血液透析または血液濾過を実行する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項227】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、ばね、可動ダイアフラムに対するばねが組み合わせられたシール、ばねで負荷されたピストン・シリンダ、直線アクチュエータ、および回転/直線運動変換器に接続された回転モータからなる群から選択される装置を制御する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項228】
透析治療を実行するためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの流体ポンプ;
少なくとも1つの流体溶液;
少なくとも1つの流体送り先;および
少なくとも1つのユーザ入力パラメータと、前記供給源、ポンプ、および送り先の間の流体接続に基づく少なくとも1つのソフトウェア制約とを使用し、該溶液から該送り先への流体の送出を制御する、コントローラ、
を包含する、システム。
【請求項229】
前記コントローラが、前記治療にもとづく少なくとも1つのソフトウェア制約を使用し、前記流体の送出をさらに制御する、請求項228に記載のシステム。
【請求項230】
前記コントローラが、ポンプ動作状態の制限を使用し、前記流体の送出をさらに制御する、請求項228に記載のシステム。
【請求項231】
前記流体ポンプを形成するため集合的に動作するポンプ・アクチュエータおよび使い捨てカセットを備える、請求項228に記載のシステム。
【請求項232】
前記ポンプ・アクチュエータが、少なくとも1つの空気圧バルブとともにハウジングに取り付けられている、請求項231に記載のシステム。
【請求項233】
前記流体溶液が、流体供給源、再生装置、患者、アキュムレータ、添加剤供給源、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項228に記載のシステム。
【請求項234】
前記流体送り先が、患者、再生装置、アキュムレータ、サンプル・コンテナ、限外濾過液コンテナ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項228に記載のシステム。
【請求項235】
前記流体接続の制約が、前記ポンプにいくつの溶液が流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項236】
前記流体接続の制約が、前記溶液にいくつのポンプが流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項237】
前記流体接続の制約が、前記ポンプにいくつの送り先が流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項238】
前記流体接続の制約が、前記送り先にいくつのポンプが流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項239】
ヒータおよび該ヒータの下流に位置する気体分離チャンバを備える、請求項228に記載のシステム。
【請求項240】
透析治療を実行するためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの流体ポンプ;
少なくとも1つの流体溶液;
少なくとも1つの流体送り先;および
少なくとも1つのユーザ入力パラメータと、治療にもとづく少なくとも1つのソフトウェア制約とを使用し、該溶液から該送り先への流体の送出を制御するコントローラ、
を備える、システム。
【請求項241】
前記コントローラが、ポンプ動作状態の制限を使用し、前記流体の送出をさらに制御する、請求項240に記載のシステム。
【請求項242】
前記治療の制約が、(i)同じポンプから2つ以上の送り先への同時送出の禁止、(ii)2つ以上の溶液から同じポンプへの同時送出の禁止、(iii)同じ溶液から2つ以上のポンプへの同時送出の禁止、(iv)2つ以上のポンプから同じ送り先への同時送出の禁止、(v)流体供給源からドレインへの直接送出の禁止、(vi)添加剤供給源から限外濾過液容器への送出の禁止、(vii)所定の場所から同じ場所への送出の禁止、および(viii)これらの任意の組み合わせ、からなる群より選択される、請求項240に記載のシステム。
【請求項243】
前記ポンプが、ポリオレフィンを含む材料で作られた可撓膜を動かす、請求項240に記載のシステム。
【請求項244】
少なくとも1つのポンプ、少なくとも1種の流体溶液、および少なくとも1つの流体送り先を有する医療用流体システムのための流れポンプ動作スケジュールであって、該スケジュールは、以下:
少なくとも1つの患者パラメータを入力する工程、
該入力されたパラメータに基づき、少なくとも1つの値を計算する工程、および
コンピュータプログラムにおいて、該計算した値および少なくとも1つの流れ制限ルールを使用する工程であって、該プログラムが、該スケジュールを作成する、工程、
を包含するプロセスによって調製される、スケジュール。
【請求項245】
多数のエントリを含み、該エントリが、ポンプ・ストロークの継続時間に従って分類される、請求項244に記載のスケジュール。
【請求項246】
複数のエントリを含み、各エントリが、少なくとも1つのポンプを、流体源からの送出または流体送り先への送出を行なうように割り当てる、請求項244に記載のスケジュール。
【請求項247】
使い捨て透析用カセットであって、以下:
剛体部;
該剛体部に取り付けられた少なくとも1つの膜;
該剛体部と一体的に形成された排気ポート開口部;および
該開口部を横切って配置されたフィルタ、
を備える、使い捨てカセット。
【請求項248】
前記剛体部から一体的に延びる排気ポートを備え、該ポートが前記開口部を規定する、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項249】
ブシュを備え、前記フィルタが該ブシュに固定され、該ブシュが前記剛体部に固定される、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項250】
前記フィルタが、疎水性膜である、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項251】
前記フィルタが、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリアミド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される材料で作られる、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項252】
1対の可撓ポンプ膜が、前記剛体部の対向する両側に配置される、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項253】
前記フィルタが、前記膜によって覆われていない前記剛体部の縁から延びる排気ポートに配置される、請求項252に記載の使い捨てカセット。
【請求項254】
前記膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られる、請求項252に記載の使い捨てカセット。
【請求項255】
前記排気ポートが、前記剛体部に接続された患者流体ラインと流体連通する、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項256】
前記剛体部から一体的に延びるフレア状の排気ポートを備え、該ポートが前記開口部を規定する、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項257】
前記フィルタが、接着、熱シール、機械的固定、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法によって取り付けられる、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項258】
透析治療を実行するためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの流体ポンプ;
該流体ポンプと連通する患者ライン;
該ポンプに接して配置され、ポートを規定する使い捨て部材;および
該ポートの端部に配置された排気フィルタ、
を備える、システム。
【請求項259】
前記ポートが、前記ポンプおよび前記患者ラインの少なくとも1つと連通する、請求項258に記載のシステム。
【請求項260】
前記ポンプに操作可能に接続されるコントローラを備え、該コントローラおよびポンプが水通し手順を実行し、前記排気フィルタが、該水通し手順の間に空気を逃がす、請求項258に記載のシステム。
【請求項261】
前記コントローラが、前記水通し手順の開始前に前記部材を適切に整列させるため、該部材に向かって動くように前記ポンプに指令する、請求項258に記載のシステム。
【請求項262】
前記ポンプが流体を流体供給源から前記患者ラインへと送出する場合に、前記排気フィルタが空気を逃がす、請求項258に記載のシステム。
【請求項263】
請求項262に記載のシステムであって、ここで、前記供給源が第1の流体供給源であり、該システムが、第2の流体供給源を前記ポンプと連通して備える、システム。
【請求項264】
請求項258に記載のシステムであって、ここで、前記患者ラインが、前記ポンプから前記患者へと流体を運ぶラインであり、該システムが、該患者から流体を運ぶ第2の患者ラインを備える、システム。
【請求項265】
前記第2の患者ラインに接続する流体再生装置を備える、請求項264に記載のシステム。
【請求項266】
前記治療が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項258に記載のシステム。
【請求項267】
請求項258に記載のシステムであって、ここで、前記ポンプが第1のポンプであり、該システムが、前記ポートに連通する第2のポンプを備える、システム。
【請求項268】
使い捨て透析用カセットを製造する方法であって、以下:
複数の流体チャネルおよび排気開口部を規定するための剛体部を成形する工程;
該剛体部に少なくとも1つの可撓膜を取り付ける工程;および
該開口部に排気フィルタを配置する工程、
を包含する、方法。
【請求項269】
前記膜を前記剛体部に熱シールする工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項270】
前記排気フィルタを、前記開口部を規定し、前記剛体部と一体的に形成されるポートに接続する工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項271】
前記ポートを、円錐形状を有するように成型する工程を包含する、請求項270に記載の方法。
【請求項272】
前記フィルタをブシュに接続し、該ブシュを前記開口部を規定するポートに接続する工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項273】
前記膜を使用して、前記フィルタを前記剛体部に少なくとも部分的に固定する工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項274】
透析治療において使用するための気体分離チャンバであって、以下:
ハウジングであって、流体入口と、該ハウジングの流体収集部の近傍に配置された流体流出口と、該ハウジングの気体収集部の近傍に配置された排気開口部とを有する、ハウジング;および
該ハウジング内の気体の量を示す出力を作製する容量センサ、
を備える、気体分離チャンバ。
【請求項275】
前記流体入口に進入する流体を逸らすため、前記ハウジング内に配置された部材を備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項276】
前記バルブ開口部を通る漏れから流体を少なくとも部分的にブロックするように、前記ハウジング内に配置された部材を備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項277】
前記排気開口部と連通するバルブを備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項278】
前記排気開口部と連通する複数のバルブを備えている請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項279】
前記排気開口部と流体連通する排気膜を備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項280】
前記膜が、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリイミド、およびこれらの任意の組み合わせである疎水性膜および透析用使い捨て物からなる群より選択される材料である、請求項279に記載の気体分離チャンバ。
【請求項281】
前記容量センサが、複数の金属プレートを備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項282】
前記流体収集部が、前記チャンバの底部に配置される、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項283】
前記気体収集部が、前記ハウジングの上部に配置される、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項284】
前記治療が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項285】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
該患者ラインへと流体を送出するポンプ;
該ポンプと該患者流体ラインとの間に位置する該流体を加熱するヒータ;
該ポンプと組み合わせられた第1の空気分離装置;および
該ヒータの下流に位置する第2の空気分離装置、
を備える、システム。
【請求項286】
前記第2の空気分離装置が、前記患者流体ラインの上流に配置される、請求項285に記載のシステム。
【請求項287】
前記第1の空気分離装置が、前記患者ラインに流体接続された使い捨てカセット内に配置される、請求項285に記載のシステム。
【請求項288】
前記使い捨てカセットが、前記ポンプの一部の少なくとも1つ、および前記ヒータのための流体加熱経路を収容する、請求項287に記載のシステム。
【請求項289】
前記使い捨てカセットが、排気ポートを規定する剛体部を備える請求項285に記載のシステム。
【請求項290】
前記第2の空気分離装置が、少なくとも1つの容量センサを備える、請求項285に記載のシステム。
【請求項291】
前記第2の空気分離装置が、順次に動作する複数の流体バルブを備える、請求項285に記載のシステム。
【請求項292】
前記第2の空気分離装置が、少なくとも1つの排出バルブに操作可能に組み合わせられる、請求項285に記載のシステム。
【請求項293】
前記排出バルブが、前記第2の空気分離装置と排気膜の間に配置される、請求項292に記載のシステム。
【請求項294】
前記第2の空気分離装置と排気膜との間に配置される流体トラップを備える、請求項285に記載のシステム。
【請求項295】
前記ポンプが、複数の入口経路および複数の出口経路に操作可能に接続される、請求項285に記載のシステム。
【請求項296】
前記ポンプが、ばねおよび真空によって駆動される、請求項285に記載のシステム。
【請求項297】
前記ポンプが、ポリオレフィンを含む材料から作られる可撓膜を動かす、請求項285に記載のシステム。
【請求項298】
透析システムを運転する方法であって、以下:
透析用流体をポンプで送る工程;
該ポンプで送られた流体から気体を除去する工程;
該流体を加熱する工程;および
該加熱された流体から放出された気体を除去する工程、
を包含する、方法。
【請求項299】
前記流体を流体供給源からポンプで送る工程を包含する、請求項298に記載の方法。
【請求項300】
前記流体を再循環ループへとポンプで送る工程を包含する、請求項298に記載の方法。
【請求項301】
放出された気体を除去する工程が、チャンバ内における気体の量の感知に基づいて排気口を開く工程を包含する、請求項298に記載の方法。
【請求項302】
気体の量の感知が、容量感知を含む、請求項301に記載の方法。
【請求項303】
前記チャンバ内における、第2のより少ない量の気体の感知に基づいて前記排気口を閉じる工程をさらに包含する、請求項301に記載の方法。
【請求項304】
放出された気体を除去する工程が、直列に配置された複数のバルブを順次に開くことを含んでいる請求項298に記載の方法。
【請求項305】
透析システムの運転方法であって、以下:
透析用流体をポンプで送る工程;および
該ポンプで送られた流体の体積を決定するために容量感知を使用する工程;および
該ポンプで送られた流体から放出された気体の体積を決定するために容量感知を使用する工程、
を包含する、方法。
【請求項306】
加熱を介して前記流体から放出された気体を感知するために容量感知を使用する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項307】
水通しの間に前記流体から放出された気体を感知するために容量感知する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項308】
気体が設定体積に達した場合に、放出された流体の体積を排気する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項309】
特定の時点において放出された流体の体積を排気する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項310】
透析システムの運転方法であって、以下:
透析用流体をポンプで送る工程、および
前記流体をポンプで送りつつ、該流体から放出された所定の体積の気体を排気する工程、
を包含する、方法。
【請求項311】
複数のバルブを順次に動作させることによって前記体積を排気する工程を包含する、請求項310に記載の方法。
【請求項312】
バルブ間で放出された前記体積から残余の透析用流体を集める工程を包含する、請求項311に記載の方法。
【請求項313】
透析システムであって、以下:
排気開口部を一体的に規定する剛体部を有するポンプ・カセット;および
該カセットと接するばね駆動式ポンプ・ピストン、
を備える、透析システム。
【請求項314】
透析システムであって、以下:
ハウジング、ポンプ・アクチュエータ、および該ハウジングに固定される複数の空気圧バルブ;ならびに
前記ポンプ・アクチュエータによって操作されるポンプ・チャンバを備える該バルブのそれぞれ1つを介して複数の医療用流体と連通する、複数の入口経路、
を備える、透析システム。
【請求項315】
透析システムであって、以下:
ポリオレフィンを含む材料から作られる少なくとも1つの可撓膜を備える、カセット;および
該カセットによって規定される少なくとも1つのポンプ・チャンバを通って少なくとも1つの送り先へと至る、少なくとも1つの流体の流れを計画するために、少なくとも1つの流れ制限ルールを使用するコントローラ;
を備える、透析システム。
【請求項1】
透析用カセットを動作させるための組立体であって、以下:
ハウジング;
該ハウジングと連通したポンプ・アクチュエータ;
該ハウジングによって規定された流路;
該ハウジングに組み合わせられ、かつ該流路と連通している、少なくとも1つのバルブ;および
該流路と連通した入口、
を備える組立体。
【請求項2】
前記流路に連通した複数の入口を備える、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記入口が、前記流路の対向する両端に配置される、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記バルブが、前記ハウジングの持ち上げられた部分に配置され、該持ち上げられた部分が、前記流路の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記ハウジングが、少なくとも部分的に、金属およびプラスチックからなる群より選択される材料から構成される、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
請求項1に記載の組立体であって、前記ハウジングに取り付けられた少なくとも1つのセンサを備え、該センサが、圧力センサ、温度センサ、流体体積センサ、液体レベルセンサ、空気検出センサ、気泡センサ、濁度センサ、導電率センサ、pHセンサ、化学センサ、色検出センサ、および粒子検出センサからなる群より選択される、組立体。
【請求項7】
前記ハウジングが、各バルブの下に開口部を規定し、ここで、バルブ・プランジャが、該バルブから該ハウジングの反対側に配置され、該プランジャが、該開口部の周囲に配置される、請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
前記バルブが、空気圧源からの流体路を開閉する、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
前記バルブが、大気からの流体路を開閉する、請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記バルブが電気的に駆動される、請求項1に記載の組立体。
【請求項11】
前記バルブが3方弁である、請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
前記ポンプ・アクチュエータが、リニアモータ、回転モータ、およびばねからなる群より選択される、請求項1に記載の組立体。
【請求項13】
前記流路が第1の流路であり、本体が第2の流体流路を規定し、かつ少なくとも1つのバルブが該第2の経路と連通している、請求項1に記載の組立体。
【請求項14】
前記第1の流路が真空の経路であり、かつ前記第2の流路が大気の経路である、請求項13に記載の組立体。
【請求項15】
透析治療を実行する装置に配置され、該治療が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される、請求項1に記載の組立体。
【請求項16】
前記カセットと協働して、動作のために該カセットを自動的に整列させる、請求項1に記載の組立体。
【請求項17】
透析用カセットを動作させるためのシステムであって、以下:
流体流路を規定するハウジングと、ポンプ・アクチュエータと、該ハウジングに組み合わせられた複数のバルブとを備え、該バルブが、該流体流路と連通している、組立体;
該流体流路と連通している空気圧源;
該バルブとともに動作可能な複数のバルブ・プランジャ;および
該ポンプ・アクチュエータとともに動作可能なポンプ・ピストン、
を備える、システム。
【請求項18】
前記ポンプ・アクチュエータが前記空気圧源と連通している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記バルブのそれぞれと協働可能なばねを備え、前記空気圧源が、該ばねを圧縮する負の圧力源である、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記バルブ・プランジャのそれぞれと前記ハウジングとの間に配置されるばねを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記ばねが、前記バルブ・プランジャを押して前記透析用カセット内の少なくとも1つの流路を閉じるように、前記バルブが、エネルギーを与えられない状態において前記空気圧源からの流れを許容しない、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記バルブの少なくとも1つを通じて大気と連通する第2の流体路を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
前記バルブが、エネルギーを与えられない状態において、大気に対して開き、かつ前記空気圧源に対して閉じている、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記組立体が、前記ハウジングに組み合わせられた少なくとも1つのプレートを備え、該プレートが、前記バルブ・プランジャの少なくとも一部を収容する、請求項17に記載のシステム。
【請求項25】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
該患者ラインと連通する使い捨てカセット;および
該使い捨てカセットに操作可能に接続される組立体であって、該組立体は、流体流路を規定するハウジングと、該流体路と連通する複数のバルブとを備える、組立体、
を備える、システム。
【請求項26】
前記カセットのポンプ部と連通するポンプ・アクチュエータを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記バルブが、前記カセットのバルブ部と連通する、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記カセットが、流体加熱経路を備え、前記システムが、該加熱経路の下流に気体分離チャンバを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
ハウジング;
ハウジングと連通する負の圧力源;および
該ハウジングに組み合わせられ、該負の圧力源と連通する、複数のバルブ、
を備える、システム。
【請求項30】
前記ハウジングに組み合わせられたポンプ・アクチュエータを備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記バルブおよび前記ポンプ・アクチュエータの少なくとも1つが、ばねと協働する、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記バルブが、ポリオレフィンを含む材料で作られた膜に接触するように前記バルブ・プランジャを動かす、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
医療用流体ポンプであって、以下:
ピストン・ヘッドを有するポンプ・ピストン;
医療用流体をポンプで送るように動く、可撓膜;
該ピストン・ヘッドを該可撓膜に向かって押すように付勢された、ばね;および
該ピストンとともに動き、該ばねを圧縮する負の圧力が適用されることを可能にする、ダイアフラム、
を備える、医療用流体ポンプ。
【請求項34】
前記ダイアフラムが前記ピストンに密閉式に組み合わせられる、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項35】
前記ばねが、前記ピストンに組み合わせられ、圧縮された場合に前記ピストンを動かす、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項36】
前記ばねを圧縮して前記ピストンを動かす場合に、前記膜を前記ピストン・ヘッドに向かって引くために負の圧力を使用する、請求項35に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項37】
前記ばねが空洞内に配置され、該空洞が、少なくとも部分的に前記ダイアフラムによって規定され、そして該空洞に前記負の圧力が適用される、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項38】
前記負の圧力が、前記ばねを圧縮するための第1のレベルで適用され、そして該ばねが前記膜へ向かって前記ピストン・ヘッドを付勢し、前記ダイアフラムを所望の位置に保持する場合には、該負の圧力が、第2のレベルで適用される、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項39】
前記第2の真空レベルが、前記第1の真空レベルよりも低い、請求項38に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項40】
前記膜が、使い捨てカセットの剛体部に取り付けられ、前記流体が、該膜と該剛体部との間でポンプで送られる、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項41】
前記ばねが、前記剛体部へ向かって前記膜を付勢する、請求項40に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項42】
請求項33に記載の医療用流体ポンプであって、前記ダイアフラムが第1のダイアフラムであり、そして該ポンプが、前記ピストンとともに動いて前記ピストン・ヘッドと前記膜との間に負の圧力が適用されることを可能にする第2のダイアフラムを備える、医療用流体ポンプ。
【請求項43】
前記第2のダイアフラムが前記ピストンに密閉式に組み合わせられる、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項44】
前記ピストン・ヘッドと前記膜との間に適用される前記負の圧力が、前記ピストンが動く場合に、前記第2のダイアフラムを所望の配向に保持する、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項45】
前記第1および第2のダイアフラムの間に空間を備え、該空間が大気圧または正の圧力に保たれる、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項46】
前記負の圧力が、前記第1のダイアフラムに対して、前記ばねを圧縮するための第1のレベルで適用され、かつ該ばねが前記膜へ向かって前記ピストン・ヘッドを付勢し、該第1のダイアフラムを所望の位置に保持する場合には、該負の圧力が第2のレベルで適用される、請求項42に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項47】
前記負の圧力が、前記ばねを圧縮しかつ前記膜を前記ピストン・ヘッドへと引くため、協調的に適用される、請求項33に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項48】
協調する負の圧力を適用する複数の負の圧力源を備える、請求項47に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項49】
医療用流体ポンプであって、以下:
医療用流体をポンプで送るように可動である、可撓膜;
シリンダ;
該シリンダ内に配置されたばねで負荷されたピストンであって、一端に基部を有し他端にピストン・ヘッドを有し、該ばねが、前記膜に向かって該ヘッドを押すように付勢される、ピストン;および
該ばねを圧縮すべく該シリンダ内に圧力を加える圧力源
を備える、医療用流体ポンプ。
【請求項50】
前記圧力が、前記ばねを圧縮すべく前記基部に加えられる負の圧力である、請求項49に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項51】
前記ばねを圧縮して前記ピストンを動かす場合に、前記膜を前記ピストン・ヘッドに向かって引くため、負の圧力がさらに適用される、請求項50に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項52】
前記圧力が、前記ばねを圧縮すべく前記ピストンの前記ピストン・ヘッド端の付近に適用される正の圧力である、請求項49に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項53】
前記ばねを圧縮して前記ピストンを動かす場合に前記膜を前記ピストン・ヘッドに向かって引くため、負の圧力を適用する負の圧力源を備える、請求項52に記載の医療用流体ポンプ。
【請求項54】
医療用流体バルブであって、以下:
バルブ・プランジャ;
流体流を許容および制限すべく移動する可撓膜;
該プランジャを該可撓膜に向かって押すべく付勢された、ばね;および
該プランジャとともに移動して、該ばねを圧縮する負の圧力が適用されることを可能にする、ダイアフラム、
を備える、医療用流体バルブ。
【請求項55】
前記プランジャが、該プランジャが前記膜へと密着することを助けるための順応性のある部材を備える、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項56】
前記ダイアフラムが前記プランジャに密閉式に組み合わせられる、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項57】
前記ばねが、チャンバ内に配置され、該チャンバが、少なくとも部分的に前記ダイアフラムによって規定され、該チャンバに前記負の圧力が適用される、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項58】
前記ばねが、前記プランジャに組み合わせられ、圧縮された場合に前記プランジャを動かす、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項59】
前記ばねを圧縮して前記プランジャを動かす場合に、前記膜を該プランジャに向かって引くため、負の圧力がさらに適用される、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項60】
前記負の圧力が、前記ばねを圧縮するため、前記膜を引くための大きさとは異なる大きさで適用される、請求項59に記載の医療用流体バルブ。
【請求項61】
前記膜が、使い捨て部の剛体部に取り付けられ、該膜が、該剛体部から離れるように引かれる場合、該剛体部によって規定された開口部間に流路を生成する、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項62】
前記膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られている、請求項54に記載の医療用流体バルブ。
【請求項63】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
該患者ラインと連通する使い捨てカセット;
ポンプ・ヘッドを付勢して、該カセットのポンプ部と接触させる、ポンプばね;
バルブ・プランジャを付勢して、該カセットのバルブ部と接触させる、バルブばね;および
該ポンプばねおよび該バルブばねを圧縮して、流体が該カセットの該ポンプ部を通ってポンプで送られ、かつ該カセットの該バルブ部を通って流れることができるようにするため、負の圧力を適用する供給源、
を備える、システム。
【請求項64】
前記ばねを圧縮する場合に、前記カセットの膜を前記ポンプ・ヘッドおよび前記バルブ・プランジャに向かって引くため、負の圧力がさらに適用される、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記ポンプばねおよび前記バルブばねのために、密閉された真空チャンバを少なくとも部分的に生成する少なくとも1つのダイアフラムを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項66】
前記カセットに接触する、ばねで負荷された複数のポンプ・ヘッドを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項67】
前記カセットに接触する複数のバルブ・プランジャを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項68】
前記カセットの対向する両側に取り付けられた複数の膜を備え、少なくとも1つのバルブ・プランジャが、それぞれの膜と連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項69】
前記使い捨てカセットが、流体供給源および流体再生ラインの少なくとも1つと流体連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項70】
連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される透析治療を実行する、請求項63に記載のシステム。
【請求項71】
前記カセットの前記ポンプ部が、少なくとも2つの流体源と連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項72】
前記カセットの前記ポンプ部が、少なくとも2つの流体送り先と連通する、請求項63に記載のシステム。
【請求項73】
前記ポンプ・ヘッドが、ポンプ送出を開始する前に前記カセットに自動的に整列する、請求項63に記載のシステム。
【請求項74】
前記カセットが、一体的に形成された排気ポートを備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項75】
一度にただ1種の流体が前記ポンプ部を通過して流れるように前記バルブ・プランジャを制御する、請求項63に記載のシステム。
【請求項76】
前記ポンプばねが各ポンプ・ストロークにおいて完全に延びるように、該ポンプばねを制御する、請求項63に記載のシステム。
【請求項77】
透析を実行するための方法であって、以下:
(a)ポンプ・チャンバの体積を減少させて流体を吐出するため、付勢された第1のばねを解放する工程;
(b)入口バルブを閉じるため、付勢された第2のばねを解放する工程;および
(c)出口バルブを開いて、該ポンプ・チャンバから吐出された流体が患者へと流れることができるようにするため、第3のばねを圧縮すべく負の圧力を加える工程、
を包含する、方法。
【請求項78】
可撓膜を移動させて、前記出口バルブを開くため、負の圧力をさらに適用する工程を包含する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
ダイアフラムを所望の構成に保持するため、前記第1のばねを収容する真空チャンバに負の圧力を適用する工程を包含する、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも1つの前記出口バルブを、前記ポンプ・チャンバと協働できるポンプ・アクチュエータと同じハウジングに配置する工程、を包含する、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
請求項77に記載の方法であって、以下:
(d)前記出口バルブを閉じるように付勢された第3のばねを解放する工程、および
(e)前記ポンプ・チャンバの体積を増加させて流体で満たすため、および前記入口バルブを開いて流体を前記チャンバに供給できるようにするため、前記第1および第2のばねを圧縮すべく負の圧力を適用する工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項82】
可撓膜を移動させ、前記ポンプ・チャンバの体積を増加させ、そして前記入口バルブを開くため、負の圧力さらに適用する工程を包含する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
請求項81に記載の方法であって、ここで、前記ポンプ・チャンバ、前記入口バルブおよび前記出口バルブが、第1のポンプ・チャンバ、第1の入口バルブおよび第1の出口バルブであり、該方法が、流体接続された第2のポンプ・チャンバ、第2の入口バルブおよび第2の出口バルブを包含し、そして該第2のポンプ・チャンバおよび該第2のバルブについて、工程(a)〜(c)を実行する一方で、前記第1のポンプ・チャンバおよび前記第1のバルブについて、工程(d)および(e)を実行することを包含する、方法。
【請求項84】
前記第2のポンプ・チャンバおよび前記第2のバルブについて工程(d)および(e)を実行する一方で、前記第1のポンプ・チャンバおよび前記第1のバルブについて工程(a)〜(c)を実行することを包含する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第1および第2のポンプ・チャンバが、ソフトウェアに格納された少なくとも1つのポンプ動作のルールにもとづくポンプ動作スケジュールに従って動作する、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
使い捨てカセットを透析装置内で整列させるための方法であって、以下:
ポンプ・ヘッドを該使い捨てカセットに向かって動かし、該使い捨てカセットのポンプ部を移動させて該ヘッドに整列させる工程;および
該使い捨てカセットをその位置に固定する工程、
を包含する、方法。
【請求項87】
前記ポンプ・ヘッドを動かす工程が、ポンプ・ピストンを動かす工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
複数のポンプ・ヘッドを前記使い捨てカセットに向かって動かす工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記ポンプ・ヘッドを動かす工程が、正または負の圧力源を使用する工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記ポンプ・ヘッドを動かす前に、ドアをロックして前記使い捨てカセットを閉じ込める工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記使い捨てカセットの前記ポンプ部が、少なくとも1つの可撓膜を備える、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記使い捨てカセットを所定の位置に固定する工程が、部材を機械的に動かす工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
前記使い捨てカセットを所定の位置に固定する工程が、袋を膨張させる工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
前記使い捨てカセットによって生じる前記ポンプ・ヘッドの移動に対する抵抗を検出して、該抵抗に基づいて応答を生じる工程を包含する、請求項86に記載の方法。
【請求項95】
前記応答が、治療を進めるための出力、使い捨てカセットの位置ずれを示す出力、および使い捨てカセットの統合性に問題があることを示す出力からなる群より選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
透析装置における、使い捨てカセットの位置ずれによる統合性の問題を検出するための方法であって、以下:
ポンプ・ヘッドを前記使い捨てカセットに向かって動かす工程;および
該使い捨てカセットによって生じる該ポンプ・ヘッドの移動に対する抵抗を感知する工程、
を包含する、方法。
【請求項97】
使い捨てカセット位置ずれエラー・メッセージを患者へと送信する工程を包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
感知された前記抵抗を予想される抵抗と比較して、感知された該抵抗および該比較に基づいて使い捨てカセット位置ずれ出力を送信する工程を包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
透析装置において、使用される使い捨てカセットの統合性の問題を診断するための方法であって、以下:
ポンプ・ヘッドを前記使い捨てカセットに向かって動かす工程;
該使い捨てカセットによって生じる該ポンプ・ヘッドの移動に対する抵抗を感知する工程;および
感知された該抵抗に基づいて、使い捨てカセット統合性問題出力を送信する工程、
を包含する、方法。
【請求項100】
使い捨てカセット統合性問題エラー・メッセージを患者へと送信する工程を包含する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
感知された前記抵抗を予想される抵抗と比較して、感知された該抵抗および該比較に基づいて使い捨てカセット統合性問題出力を送信する工程を包含する、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
透析処置を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
使い捨てカセットの可撓部を備える、流体を該患者ラインへとポンプで送るポンプ;および
該ポンプに操作可能に接続されるコントローラであって、流体がポンプで送られ得るように該使い捨てカセットを固定する前に、ポンプ・ヘッドを該可撓部に接触させて、該ポンプ・ヘッドに対して整列するように該可撓部を動かす、コントローラ、
を備える、システム。
【請求項103】
請求項102に記載のシステムであって、ここで、前記患者ラインが充填ラインであり、該システムは、流体を患者から再生装置へと戻す、帰還患者ラインを備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
複数の可撓ポンプ使い捨てカセット部およびポンプ・ヘッド、プログラムであって、必要であれば、前記使い捨てカセットを固定する前に、それぞれの可撓ポンプ部に接触して動かすようにポンプ・ヘッドに指令するプログラム、を備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項105】
前記コントローラに操作可能に接続された表示装置、および該表示装置によって表示されるメッセージを備え、該メッセージが、前記ポンプ・ヘッドの動きに対する前記可撓部による抵抗に基づく、請求項102に記載のシステム。
【請求項106】
前記処置が、連続フロー腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項102に記載のシステム。
【請求項107】
前記ポンプが、正または負の圧力を介して動かされるポンプばねを備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項108】
前記ポンプへと流体接続される少なくとも1つのさらなる流体ラインを備え、該さらなる流体ラインが、再生ライン、透析液供給ライン、濃縮物添加ライン、限外濾過液ライン、および排出ラインからなる群より選択される、請求項107に記載のシステム。
【請求項109】
前記ポンプのポンプ動作を制御するため、前記コントローラが少なくとも1つのポンプ動作ルールを適用する、請求項107に記載のシステム。
【請求項110】
流体ポンプ機構であって、以下:
流体レザバー;および
該流体レザバーの一部を覆って広がる単層フィルム、
を備え、該フィルムの第1の位置から第2の位置への移動によって、流体が該レザバーを通って移動し、前記フィルムが第1のポリオレフィンを含む、機構。
【請求項111】
前記第1のポリオレフィンが、2〜20個の炭素原子を含む第1のアルファ‐オレフィンを重合させることによって得られる単独重合体および共重合体からなる群より選択される、請求項110に記載の機構。
【請求項112】
前記第1のポリオレフィンが、エチレンの単独重合体およびエチレンの共重合体から選択される、請求項110に記載の機構。
【請求項113】
前記エチレンの共重合体が、エチレンと第2のアルファ‐オレフィンの共重合体である、請求項112に記載の機構。
【請求項114】
前記第2のアルファ‐オレフィンが、4〜8個の炭素を有する、請求項113に記載の機構。
【請求項115】
前記エチレンと第2のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、0.915g/cc未満の密度を有する、請求項114に記載の機構。
【請求項116】
前記エチレンと第2のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、0.910g/cc未満の密度を有する、密度を有している請求項114に記載の機構。
【請求項117】
前記エチレンと第2のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、0.905g/cc未満の密度を有する、請求項114に記載の機構。
【請求項118】
前記エチレンの共重合体が、エチレンと、低級アルキル・アクリレート、低級アルキル置換アルキル・アクリレートおよびビニル・アセテートの群から選択されるコモノマーとの共重合体である、請求項112に記載の機構。
【請求項119】
前記第1のポリオレフィンが、プロピレンの単独重合体およびプロピレンの共重合体からなる群より選択される、請求項111に記載の機構。
【請求項120】
前記流体レザバーが、ポンプ・カセットによって規定される、請求項111に記載の機構。
【請求項121】
前記フィルムが、ガンマ照射またはエチレンオキシド滅菌によって滅菌され得る、請求項110に記載の機構。
【請求項122】
前記フィルムが熱成形される、請求項110に記載の機構。
【請求項123】
前記フィルムが、約5%〜約40%の伸びを有する、請求項110に記載の機構。
【請求項124】
前記フィルムがドーム形の部位を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項125】
前記フィルムが、20,000psi未満の弾性係数を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項126】
前記フィルムが、ピストンによって変形させられて、最初のストロークから10,000回目のストロークまで15体積%より大きく変動しない率で、前記レザバーを通じて流体を動し得る、請求項110に記載の機構。
【請求項127】
前記フィルムが、5ミルの厚さを有するフィルムについて、0.20ワット/分‐ケルビンよりも大きい熱伝達係数を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項128】
前記フィルムが、ざらつき仕上げを有する、請求項110に記載の機構。
【請求項129】
前記フィルムが、5〜40℃の温度範囲にわたって事実上一定の弾性係数を有する、請求項110に記載の機構。
【請求項130】
前記フィルムが、プランジャにて第1の位置から第2の位置まで動かされ、該プランジャが、該フィルムに貼り付くことがない、請求項110に記載の機構。
【請求項131】
前記ポンプ・カセットが、環状オレフィン含有ポリマーの単独重合体および共重合体、ならびに架橋多環炭化水素含有ポリマーの単独重合体および共重合体からなる群より選択される第1のポリマーから作られる、請求項120に記載の機構。
【請求項132】
前記カセットが、ノルボルネンの単独重合体および共重合体から選択される、請求項131に記載の機構。
【請求項133】
前記ポンプ・カセットが、ノルボルネンと第3のアルファ‐オレフィンとの共重合体である、請求項132に記載の機構。
【請求項134】
前記第3のアルファ‐オレフィンがエチレンである、請求項133に記載の機構。
【請求項135】
前記カセットが、ノルボルネンとエチレンとの共重合体である第1の成分と、エチレンと第4のアルファ‐オレフィンとの共重合体である第2の成分とのポリマー・ブレンドから作られる、請求項134に記載の機構。
【請求項136】
前記第4のアルファ‐オレフィンが、4〜8個の炭素を有する、請求項135に記載の機構。
【請求項137】
前記第4のアルファ‐オレフィンが、6個の炭素を有する、請求項136に記載の機構。
【請求項138】
前記第1の成分が、前記ブレンドの30重量%〜約99重量%の重量で存在し、前記第2の成分が、前記ブレンドの1重量%〜約70重量%の重量で存在する、請求項135に記載の機構。
【請求項139】
前記流体レザバーと流体連通するチューブをさらに備える、請求項110に記載の機構。
【請求項140】
前記チューブが、第2のポリオレフィンから作られる、請求項139に記載の機構。
【請求項141】
前記第2のポリオレフィンが、2〜20個の炭素原子を含む第5のアルファ‐オレフィンを重合することによって得られる単独重合体および共重合体からなる群より選択される、請求項140に記載の機構。
【請求項142】
前記第2のポリオレフィンが、エチレンの単独重合体およびエチレンの共重合体から選択される、請求項141に記載の機構。
【請求項143】
前記エチレンの共重合体が、エチレンと第6のアルファ‐オレフィンとの共重合体である、請求項142に記載の機構。
【請求項144】
前記第6のアルファ‐オレフィンが、4〜8個の炭素を有する、請求項143に記載の機構。
【請求項145】
前記エチレンと第6のアルファ‐オレフィンとの共重合体が、メタロセン触媒を使用して得られる、請求項143に記載の機構。
【請求項146】
前記第2のポリオレフィンが、ポリオレフィン・ポリマーのブレンドである、請求項142に記載の機構。
【請求項147】
前記第2のポリオレフィンが、2つのm‐ULDPE樹脂のブレンドである、請求項146に記載の機構。
【請求項148】
前記第2のポリオレフィンが、3つのm‐ULDPE樹脂のブレンドである、請求項146に記載の機構。
【請求項149】
前記チューブが、0.915g/cc未満の密度を有する材料から作られる、請求項139に記載の機構。
【請求項150】
前記チューブが、押し出し成形プロセスによって形成される、請求項139に記載の機構。
【請求項151】
前記チューブが、ガンマ照射またはエチレンオキシド滅菌によって滅菌され得る、請求項139に記載の機構。
【請求項152】
連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される治療において使用される、請求項110に記載の機構。
【請求項153】
流体ポンプ機構であって、以下:
流体レザバー;および
該流体レザバーの一部を覆って広がる多層フィルムであって、該フィルムの第1の位置から第2の位置への動きによって流体が該レザバーを通って移動し、該フィルムは内側層および外側層を備え、該内側層がエチレン含有ポリマーを含む、多層フィルム、
を備える、機構。
【請求項154】
前記内側層が、エチレンの単独重合体またはエチレンの共重合体である、請求項153に記載の機構。
【請求項155】
前記内側層が、エチレン・アルファ‐オレフィン共重合体であり、該共重合体が0.915g/cc未満の密度を有する、請求項154に記載の機構。
【請求項156】
前記外側層が、ポリマー、金属箔、または紙である、請求項155に記載の機構。
【請求項157】
前記流体レザバーが、フレームによって規定され、前記フィルムが該フレームに取り付けられる、請求項153に記載の機構。
【請求項158】
前記フィルムが、熱シールによって前記フレームに取り付けられる、請求項157に記載の機構。
【請求項159】
前記レザバーと流体連通するチューブをさらに備える、請求項153に記載の機構。
【請求項160】
前記レザバーが、フレームによって規定され、前記チューブが、溶剤結合によって該フレームに接続される、請求項159に記載の機構。
【請求項161】
連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液濾過、および血液透析からなる群より選択される治療において使用される、請求項153に記載の機構。
【請求項162】
透析処置を実施するためのシステムであって、以下:
流体ポンプ;
該流体ポンプと連通する第1および第2の入口経路;
該第1および第2の入口経路それぞれの中に流れる第1および第2の流体;
該第1および第2の入口経路とそれぞれ連通する第1および第2の導入バルブ;
該流体ポンプと連通する第1および第2の出口経路;
該第1および第2の出口経路とそれぞれ連通する第1および第2の排出バルブ;および
ポンプで送られる該第1および第2の流体の割合を制御するため、該バルブを順次に開くコントローラ、
を備える、システム。
【請求項163】
前記コントローラが、前記第1および第2の出口経路を通って流れる流体の割合をさらに制御する、請求項162に記載のシステム。
【請求項164】
剛体部と該剛体部に取り付けられた少なくとも1つの可撓膜とを有する使い捨てカセットを備え、前記ポンプが該膜と協働可能である、請求項162に記載のシステム。
【請求項165】
前記バルブの少なくとも1つが前記膜と協働可能である、請求項164に記載のシステム。
【請求項166】
前記可撓膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られる、請求項164に記載のシステム。
【請求項167】
前記第1の流体に対する前記第2の流体の比が、0.2%〜3%であるように制御される、請求項162に記載のシステム。
【請求項168】
前記第1および第2の出口経路を出る流体の比が、0.1%〜7%であるように制御される、請求項162に記載のシステム。
【請求項169】
前記第1および第2の入口経路ならびに前記第1および第2の出口経路の少なくとも1つが、それぞれ前記ポンプの上流および下流に接続される、請求項162に記載のシステム。
【請求項170】
前記第1および第2の入口経路ならびに前記第1および第2の排出経路の少なくとも1つが、前記ポンプへと直接供給を行なう、請求項162に記載のシステム。
【請求項171】
複数のポンプを備え、該ポンプのそれぞれが、第1および第2の入口経路、第1および第2の導入バルブ、第1および第2の出口経路、ならびに第1および第2の排出バルブと連通する、請求項162に記載のシステム。
【請求項172】
少なくとも1つの第1の入口経路、第2の入口経路、第1の出口経路、および第2の出口経路が、前記複数のポンプのそれぞれに流体接続される、請求項171に記載のシステム。
【請求項173】
第1および第2のポンプが、(i)両者が第1の流体を導入する、(ii)それぞれ第1および第2の流体を導入する、(iii)それぞれ第2および第1の流体を導入する、ならびに(iv)両者が第2の流体を導入する、ことからなる群より選択される少なくとも1つの様式で作動する、請求項171に記載のシステム。
【請求項174】
第1および第2のポンプが交互に動作する、請求項171に記載のシステム。
【請求項175】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第1の入口経路および前記第1の導入バルブを通じて第1の流体を引きこむ一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第1の出口経路および前記第1の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項176】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第1の入口経路および前記第1の導入バルブを通じて第1の流体を引き込む一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第2の出口経路および前記第2の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項177】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第2の入口経路および前記第2の導入バルブを通じて第2の流体を引き込む一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第1の出口経路および前記第1の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項178】
前記第1のポンプが、該第1のポンプと連通する前記第2の入口経路および前記第2の導入バルブを通じて第2の流体を引き込む一方で、前記第2のポンプが、該第2のポンプと連通する前記第2の出口経路および前記第2の排出バルブを通じて流体を排出する、請求項174に記載のシステム。
【請求項179】
前記処置が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項162に記載のシステム。
【請求項180】
前記第1および第2の入口経路の少なくとも1つが、再生装置と、少なくとも1つの透析液供給源と、少なくとも1つの添加剤供給源と、患者とからなる群より選択される供給源と流体流通する、請求項162に記載のシステム。
【請求項181】
前記第1および第2の出口経路の少なくとも1つが、患者と、サンプル・コンテナと、限外濾過液バッグとからなる群より選択される送り先と流体連通する、請求項162に記載のシステム。
【請求項182】
前記第1および第2の経路の少なくとも1つが、流れが2つの方向に移動できるようにする複数の流体用管腔を備える、請求項162に記載のシステム。
【請求項183】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
ポンプと連通する第1および第2の入口経路;
該第1および第2の入口経路とそれぞれ連通する第1および第2の導入バルブ;
該流体ポンプと連通する第1および第2の出口経路;
該第1および第2の出口経路とそれぞれ連通する第1および第2の排出バルブ;および
該バルブを選択的に開くコントローラ、
を備える、システム。
【請求項184】
前記コントローラが、前記第1および第2の出口経路を通って流れる流体の割合を制御する、請求項183に記載のシステム。
【請求項185】
前記コントローラが、前記第1および第2の入口経路からポンプで送られる第1および第2の流体の割合を制御する、請求項183に記載のシステム。
【請求項186】
使い捨てカセットの複数の部位を備え、該使い捨てカセットの複数の部位は、対応する複数の流体ポンプの一部を形成し、該流体ポンプが、前記第1および第2の入口経路、前記第1および第2の導入バルブ、前記第1および第2の出口経路、ならびに前記第1および第2の排出バルブと連通する、請求項183に記載のシステム。
【請求項187】
前記カセットが、前記第1および第2の導入バルブならびに前記第1および第2の排出バルブの少なくとも1つの流体流部を規定する、請求項186に記載のシステム。
【請求項188】
前記カセットが、排気ポートの少なくとも一部を規定する、請求項186に記載のシステム。
【請求項189】
少なくとも1つの前記カセットに接続する可撓膜を備え、該膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られる、請求項186に記載のシステム。
【請求項190】
前記コントローラが、ポンプ動作の開始前に、前記カセットに整列するように前記流体ポンプを動かす、請求項186に記載のシステム。
【請求項191】
前記コントローラが、前記ポンプを動作させるために少なくとも1つのポンプ動作ルールを使用する、請求項183に記載のシステム。
【請求項192】
複数の流体源および複数の流体送り先を備え、前記コントローラが、少なくとも1つの流体源から少なくとも1つの送り先へとポンプで送るため、ポンプ動作スケジュールに従ってポンプを運転する、請求項183に記載のシステム。
【請求項193】
前記入口経路の少なくとも1つが、透析液の供給源と連通する、請求項183に記載のシステム。
【請求項194】
前記入口経路の少なくとも1つが、流体再生装置と連通する、請求項183に記載のシステム。
【請求項195】
透析を実行するための方法であって、以下:
(a)透析流体を、第1の導入バルブを通してポンプへと送る工程;
(b)透析添加剤流体を、第2の導入バルブを通して該ポンプへと送る工程;
(c)該透析流体を、該ポンプから第1の排出バルブを通じて患者へと送出する工程;および
(d)該透析流体を、該ポンプから第2の排出バルブを通じて別の送り先へと送出する工程、
を包含する、方法。
【請求項196】
工程(a)〜(d)が、それぞれ異なる時点で実行される、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
工程(a)および(d)が、一緒に実行される、請求項195に記載の方法。
【請求項198】
工程(b)および(c)が、一緒に実行される、請求項195に記載の方法。
【請求項199】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(a)が、透析流体を第2のポンプから患者へと送出しつつ行なわれる請求項195に記載の方法。
【請求項200】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(a)が、透析流体を第2のポンプから他の送り先へと送出しつつ行なわれる、請求項195に記載の方法。
【請求項201】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(b)が、透析添加剤流体を第2のポンプへと送りつつ行なわれる、請求項195に記載の方法。
【請求項202】
前記ポンプが第1のポンプであり、工程(d)が、第2のポンプから他の送り先へと送出しつつ行なわれる、請求項195に記載の方法。
【請求項203】
工程(b)および(d)の少なくとも1つにおいて送られる流体の体積が、部分的ポンプ・ストロークによって制御される、請求項195に記載の方法。
【請求項204】
前記他の送り先が、限外濾過除去コンテナ、サンプル・コンテナ、ドレイン、およびアキュムレータからなる群より選択される、請求項195に記載の方法。
【請求項205】
流体を患者から前記第1の出口バルブを通じて送る工程を包含する、請求項195に記載の方法。
【請求項206】
前記添加剤を送る前に、複数のポンプ・ストロークにわたって透析流体を送る工程を包含する、請求項195に記載の方法。
【請求項207】
前記他の送り先へと送出する前に、多くのポンプ・ストロークにわたって流体を患者へと送る工程を包含する、請求項195に記載の方法。
【請求項208】
医療用流体ポンプを運転するための方法であって、以下:
複数の流体源を、複数の導入バルブを介してポンプへと流体接続する工程;
複数の流体送り先を、複数の排出バルブを介して該ポンプへと流体接続する工程;および
該ポンプを通る該流体源から該送り先への流体流を、ポンプ動作スケジュールを使用して制御する工程、
を包含する、方法。
【請求項209】
少なくとも1つの入力パラメータを受け取ったのちに、ポンプ動作スケジュールを作成する工程を包含する、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
前記供給源および前記送り先を複数のポンプへと流体接続し、該ポンプを通る流れを前記スケジュールによって制御する工程を包含する、請求項208に記載の方法。
【請求項211】
前記バルブを、該バルブに組み合わせられたバルブばねを圧縮することによって制御する工程を包含する、請求項208に記載の方法。
【請求項212】
医療用流体ポンプ・システムを運転するための方法であって、以下:
少なくとも1つの患者パラメータを入力する工程;
該入力されたパラメータに基づき、少なくとも1つの値を計算する工程;
該計算された値および少なくとも1つの流れ制限ルールを使用し、ポンプ動作スケジュールを作成する工程;および
該スケジュールに従って少なくとも1つの医療用流体ポンプを運転する工程、
を包含する、方法。
【請求項213】
前記パラメータの入力が、該パラメータのための値の範囲から選択された値を入力する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項214】
複数のパラメータの入力を促す工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項215】
前記パラメータを入力する工程が、該入力されたパラメータが運転上安全であることを確認する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項216】
前記パラメータが、(i)総治療時間、(ii)サイクル治療時間、(iii)透析液流速、(iv)添加濃縮物流速、(v)限外濾過液除去流速、(vi)患者の限外濾過液生成速度、および(vii)透析液流速とアキュムレータ流速との間の比からなる群より選択される、請求項212に記載の方法。
【請求項217】
前記値を計算する工程が、ポンプ・ストロークの数を計算する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項218】
前記値を計算する工程が、第1の型のポンプ・ストロークの第1の数および第2の型のポンプ・ストロークの第2の数を計算する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項219】
前記値が、ストローク時間、患者ストロークの数、アキュムレータ・ストロークの数、濃縮物添加ストロークの数、および限外濾過液除去ストロークの数からなる群より選択される、請求項212に記載の方法。
【請求項220】
前記医療用流体ポンプ・システムの物理的制限に基づく少なくとも1つのルールを実施する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項221】
前記医療用流体ポンプ・システムの治療上の制限に基づく少なくとも1つのルールを実施する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項222】
前記スケジュールに従って、所望の流体源からの送出のため少なくとも1つのポンプを運転する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項223】
前記スケジュールに従って、所望の流体送り先への送出のため少なくとも1つのポンプを運転する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項224】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、医療用流体を、患者から、再生装置を通って再び患者へと再循環させる工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項225】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、多数のタイダル・フロー部分流体交換を実行する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項226】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、該ポンプを使用した血液透析または血液濾過を実行する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項227】
前記医療用流体ポンプを運転する工程が、ばね、可動ダイアフラムに対するばねが組み合わせられたシール、ばねで負荷されたピストン・シリンダ、直線アクチュエータ、および回転/直線運動変換器に接続された回転モータからなる群から選択される装置を制御する工程を包含する、請求項212に記載の方法。
【請求項228】
透析治療を実行するためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの流体ポンプ;
少なくとも1つの流体溶液;
少なくとも1つの流体送り先;および
少なくとも1つのユーザ入力パラメータと、前記供給源、ポンプ、および送り先の間の流体接続に基づく少なくとも1つのソフトウェア制約とを使用し、該溶液から該送り先への流体の送出を制御する、コントローラ、
を包含する、システム。
【請求項229】
前記コントローラが、前記治療にもとづく少なくとも1つのソフトウェア制約を使用し、前記流体の送出をさらに制御する、請求項228に記載のシステム。
【請求項230】
前記コントローラが、ポンプ動作状態の制限を使用し、前記流体の送出をさらに制御する、請求項228に記載のシステム。
【請求項231】
前記流体ポンプを形成するため集合的に動作するポンプ・アクチュエータおよび使い捨てカセットを備える、請求項228に記載のシステム。
【請求項232】
前記ポンプ・アクチュエータが、少なくとも1つの空気圧バルブとともにハウジングに取り付けられている、請求項231に記載のシステム。
【請求項233】
前記流体溶液が、流体供給源、再生装置、患者、アキュムレータ、添加剤供給源、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項228に記載のシステム。
【請求項234】
前記流体送り先が、患者、再生装置、アキュムレータ、サンプル・コンテナ、限外濾過液コンテナ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項228に記載のシステム。
【請求項235】
前記流体接続の制約が、前記ポンプにいくつの溶液が流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項236】
前記流体接続の制約が、前記溶液にいくつのポンプが流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項237】
前記流体接続の制約が、前記ポンプにいくつの送り先が流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項238】
前記流体接続の制約が、前記送り先にいくつのポンプが流体接続されるかに基づく、請求項228に記載のシステム。
【請求項239】
ヒータおよび該ヒータの下流に位置する気体分離チャンバを備える、請求項228に記載のシステム。
【請求項240】
透析治療を実行するためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの流体ポンプ;
少なくとも1つの流体溶液;
少なくとも1つの流体送り先;および
少なくとも1つのユーザ入力パラメータと、治療にもとづく少なくとも1つのソフトウェア制約とを使用し、該溶液から該送り先への流体の送出を制御するコントローラ、
を備える、システム。
【請求項241】
前記コントローラが、ポンプ動作状態の制限を使用し、前記流体の送出をさらに制御する、請求項240に記載のシステム。
【請求項242】
前記治療の制約が、(i)同じポンプから2つ以上の送り先への同時送出の禁止、(ii)2つ以上の溶液から同じポンプへの同時送出の禁止、(iii)同じ溶液から2つ以上のポンプへの同時送出の禁止、(iv)2つ以上のポンプから同じ送り先への同時送出の禁止、(v)流体供給源からドレインへの直接送出の禁止、(vi)添加剤供給源から限外濾過液容器への送出の禁止、(vii)所定の場所から同じ場所への送出の禁止、および(viii)これらの任意の組み合わせ、からなる群より選択される、請求項240に記載のシステム。
【請求項243】
前記ポンプが、ポリオレフィンを含む材料で作られた可撓膜を動かす、請求項240に記載のシステム。
【請求項244】
少なくとも1つのポンプ、少なくとも1種の流体溶液、および少なくとも1つの流体送り先を有する医療用流体システムのための流れポンプ動作スケジュールであって、該スケジュールは、以下:
少なくとも1つの患者パラメータを入力する工程、
該入力されたパラメータに基づき、少なくとも1つの値を計算する工程、および
コンピュータプログラムにおいて、該計算した値および少なくとも1つの流れ制限ルールを使用する工程であって、該プログラムが、該スケジュールを作成する、工程、
を包含するプロセスによって調製される、スケジュール。
【請求項245】
多数のエントリを含み、該エントリが、ポンプ・ストロークの継続時間に従って分類される、請求項244に記載のスケジュール。
【請求項246】
複数のエントリを含み、各エントリが、少なくとも1つのポンプを、流体源からの送出または流体送り先への送出を行なうように割り当てる、請求項244に記載のスケジュール。
【請求項247】
使い捨て透析用カセットであって、以下:
剛体部;
該剛体部に取り付けられた少なくとも1つの膜;
該剛体部と一体的に形成された排気ポート開口部;および
該開口部を横切って配置されたフィルタ、
を備える、使い捨てカセット。
【請求項248】
前記剛体部から一体的に延びる排気ポートを備え、該ポートが前記開口部を規定する、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項249】
ブシュを備え、前記フィルタが該ブシュに固定され、該ブシュが前記剛体部に固定される、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項250】
前記フィルタが、疎水性膜である、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項251】
前記フィルタが、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリアミド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される材料で作られる、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項252】
1対の可撓ポンプ膜が、前記剛体部の対向する両側に配置される、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項253】
前記フィルタが、前記膜によって覆われていない前記剛体部の縁から延びる排気ポートに配置される、請求項252に記載の使い捨てカセット。
【請求項254】
前記膜が、ポリオレフィンを含む材料で作られる、請求項252に記載の使い捨てカセット。
【請求項255】
前記排気ポートが、前記剛体部に接続された患者流体ラインと流体連通する、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項256】
前記剛体部から一体的に延びるフレア状の排気ポートを備え、該ポートが前記開口部を規定する、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項257】
前記フィルタが、接着、熱シール、機械的固定、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法によって取り付けられる、請求項247に記載の使い捨てカセット。
【請求項258】
透析治療を実行するためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの流体ポンプ;
該流体ポンプと連通する患者ライン;
該ポンプに接して配置され、ポートを規定する使い捨て部材;および
該ポートの端部に配置された排気フィルタ、
を備える、システム。
【請求項259】
前記ポートが、前記ポンプおよび前記患者ラインの少なくとも1つと連通する、請求項258に記載のシステム。
【請求項260】
前記ポンプに操作可能に接続されるコントローラを備え、該コントローラおよびポンプが水通し手順を実行し、前記排気フィルタが、該水通し手順の間に空気を逃がす、請求項258に記載のシステム。
【請求項261】
前記コントローラが、前記水通し手順の開始前に前記部材を適切に整列させるため、該部材に向かって動くように前記ポンプに指令する、請求項258に記載のシステム。
【請求項262】
前記ポンプが流体を流体供給源から前記患者ラインへと送出する場合に、前記排気フィルタが空気を逃がす、請求項258に記載のシステム。
【請求項263】
請求項262に記載のシステムであって、ここで、前記供給源が第1の流体供給源であり、該システムが、第2の流体供給源を前記ポンプと連通して備える、システム。
【請求項264】
請求項258に記載のシステムであって、ここで、前記患者ラインが、前記ポンプから前記患者へと流体を運ぶラインであり、該システムが、該患者から流体を運ぶ第2の患者ラインを備える、システム。
【請求項265】
前記第2の患者ラインに接続する流体再生装置を備える、請求項264に記載のシステム。
【請求項266】
前記治療が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項258に記載のシステム。
【請求項267】
請求項258に記載のシステムであって、ここで、前記ポンプが第1のポンプであり、該システムが、前記ポートに連通する第2のポンプを備える、システム。
【請求項268】
使い捨て透析用カセットを製造する方法であって、以下:
複数の流体チャネルおよび排気開口部を規定するための剛体部を成形する工程;
該剛体部に少なくとも1つの可撓膜を取り付ける工程;および
該開口部に排気フィルタを配置する工程、
を包含する、方法。
【請求項269】
前記膜を前記剛体部に熱シールする工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項270】
前記排気フィルタを、前記開口部を規定し、前記剛体部と一体的に形成されるポートに接続する工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項271】
前記ポートを、円錐形状を有するように成型する工程を包含する、請求項270に記載の方法。
【請求項272】
前記フィルタをブシュに接続し、該ブシュを前記開口部を規定するポートに接続する工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項273】
前記膜を使用して、前記フィルタを前記剛体部に少なくとも部分的に固定する工程を包含する、請求項268に記載の方法。
【請求項274】
透析治療において使用するための気体分離チャンバであって、以下:
ハウジングであって、流体入口と、該ハウジングの流体収集部の近傍に配置された流体流出口と、該ハウジングの気体収集部の近傍に配置された排気開口部とを有する、ハウジング;および
該ハウジング内の気体の量を示す出力を作製する容量センサ、
を備える、気体分離チャンバ。
【請求項275】
前記流体入口に進入する流体を逸らすため、前記ハウジング内に配置された部材を備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項276】
前記バルブ開口部を通る漏れから流体を少なくとも部分的にブロックするように、前記ハウジング内に配置された部材を備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項277】
前記排気開口部と連通するバルブを備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項278】
前記排気開口部と連通する複数のバルブを備えている請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項279】
前記排気開口部と流体連通する排気膜を備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項280】
前記膜が、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、Teflon(登録商標)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリビニリデン、ポリイミド、およびこれらの任意の組み合わせである疎水性膜および透析用使い捨て物からなる群より選択される材料である、請求項279に記載の気体分離チャンバ。
【請求項281】
前記容量センサが、複数の金属プレートを備える、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項282】
前記流体収集部が、前記チャンバの底部に配置される、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項283】
前記気体収集部が、前記ハウジングの上部に配置される、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項284】
前記治療が、連続フロー腹膜透析、自動化腹膜透析、タイダル・フロー腹膜透析、血液透析、および血液濾過からなる群より選択される、請求項274に記載の気体分離チャンバ。
【請求項285】
透析を実行するためのシステムであって、以下:
患者ライン;
該患者ラインへと流体を送出するポンプ;
該ポンプと該患者流体ラインとの間に位置する該流体を加熱するヒータ;
該ポンプと組み合わせられた第1の空気分離装置;および
該ヒータの下流に位置する第2の空気分離装置、
を備える、システム。
【請求項286】
前記第2の空気分離装置が、前記患者流体ラインの上流に配置される、請求項285に記載のシステム。
【請求項287】
前記第1の空気分離装置が、前記患者ラインに流体接続された使い捨てカセット内に配置される、請求項285に記載のシステム。
【請求項288】
前記使い捨てカセットが、前記ポンプの一部の少なくとも1つ、および前記ヒータのための流体加熱経路を収容する、請求項287に記載のシステム。
【請求項289】
前記使い捨てカセットが、排気ポートを規定する剛体部を備える請求項285に記載のシステム。
【請求項290】
前記第2の空気分離装置が、少なくとも1つの容量センサを備える、請求項285に記載のシステム。
【請求項291】
前記第2の空気分離装置が、順次に動作する複数の流体バルブを備える、請求項285に記載のシステム。
【請求項292】
前記第2の空気分離装置が、少なくとも1つの排出バルブに操作可能に組み合わせられる、請求項285に記載のシステム。
【請求項293】
前記排出バルブが、前記第2の空気分離装置と排気膜の間に配置される、請求項292に記載のシステム。
【請求項294】
前記第2の空気分離装置と排気膜との間に配置される流体トラップを備える、請求項285に記載のシステム。
【請求項295】
前記ポンプが、複数の入口経路および複数の出口経路に操作可能に接続される、請求項285に記載のシステム。
【請求項296】
前記ポンプが、ばねおよび真空によって駆動される、請求項285に記載のシステム。
【請求項297】
前記ポンプが、ポリオレフィンを含む材料から作られる可撓膜を動かす、請求項285に記載のシステム。
【請求項298】
透析システムを運転する方法であって、以下:
透析用流体をポンプで送る工程;
該ポンプで送られた流体から気体を除去する工程;
該流体を加熱する工程;および
該加熱された流体から放出された気体を除去する工程、
を包含する、方法。
【請求項299】
前記流体を流体供給源からポンプで送る工程を包含する、請求項298に記載の方法。
【請求項300】
前記流体を再循環ループへとポンプで送る工程を包含する、請求項298に記載の方法。
【請求項301】
放出された気体を除去する工程が、チャンバ内における気体の量の感知に基づいて排気口を開く工程を包含する、請求項298に記載の方法。
【請求項302】
気体の量の感知が、容量感知を含む、請求項301に記載の方法。
【請求項303】
前記チャンバ内における、第2のより少ない量の気体の感知に基づいて前記排気口を閉じる工程をさらに包含する、請求項301に記載の方法。
【請求項304】
放出された気体を除去する工程が、直列に配置された複数のバルブを順次に開くことを含んでいる請求項298に記載の方法。
【請求項305】
透析システムの運転方法であって、以下:
透析用流体をポンプで送る工程;および
該ポンプで送られた流体の体積を決定するために容量感知を使用する工程;および
該ポンプで送られた流体から放出された気体の体積を決定するために容量感知を使用する工程、
を包含する、方法。
【請求項306】
加熱を介して前記流体から放出された気体を感知するために容量感知を使用する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項307】
水通しの間に前記流体から放出された気体を感知するために容量感知する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項308】
気体が設定体積に達した場合に、放出された流体の体積を排気する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項309】
特定の時点において放出された流体の体積を排気する工程を包含する、請求項305に記載の方法。
【請求項310】
透析システムの運転方法であって、以下:
透析用流体をポンプで送る工程、および
前記流体をポンプで送りつつ、該流体から放出された所定の体積の気体を排気する工程、
を包含する、方法。
【請求項311】
複数のバルブを順次に動作させることによって前記体積を排気する工程を包含する、請求項310に記載の方法。
【請求項312】
バルブ間で放出された前記体積から残余の透析用流体を集める工程を包含する、請求項311に記載の方法。
【請求項313】
透析システムであって、以下:
排気開口部を一体的に規定する剛体部を有するポンプ・カセット;および
該カセットと接するばね駆動式ポンプ・ピストン、
を備える、透析システム。
【請求項314】
透析システムであって、以下:
ハウジング、ポンプ・アクチュエータ、および該ハウジングに固定される複数の空気圧バルブ;ならびに
前記ポンプ・アクチュエータによって操作されるポンプ・チャンバを備える該バルブのそれぞれ1つを介して複数の医療用流体と連通する、複数の入口経路、
を備える、透析システム。
【請求項315】
透析システムであって、以下:
ポリオレフィンを含む材料から作られる少なくとも1つの可撓膜を備える、カセット;および
該カセットによって規定される少なくとも1つのポンプ・チャンバを通って少なくとも1つの送り先へと至る、少なくとも1つの流体の流れを計画するために、少なくとも1つの流れ制限ルールを使用するコントローラ;
を備える、透析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公表番号】特表2006−512138(P2006−512138A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564788(P2004−564788)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/032571
【国際公開番号】WO2004/060449
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504031746)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (30)
【出願人】(504375581)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/032571
【国際公開番号】WO2004/060449
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504031746)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (30)
【出願人】(504375581)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (26)
【Fターム(参考)】
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