説明

ポータブルデジタルデバイスの方向設定

ポータブルデジタルデバイスの少なくとも2つの動作機能を制御する少なくとも2つの制御デバイスと、情報を表示するデジタルディスプレイと、プロセッサと、を有するポータブルデジタルデバイス。プロセッサは、ポータブルデジタルデバイスを第1の方向と第2の方向の両方において使用することができるように、右利き用の方向から左利き用の方向と、この逆の方向とに情報を回転させ、少なくとも2つの制御デバイスを、それらの動作機能が入れ替わるように再マッピングする。再マッピング時に、「順方向にスキップ」動作機能と「逆方向にスキップ」動作機能とが交換され、「音量アップ」動作機能と「音量ダウン」動作機能とが交換され、「メニュー表示を左へ移動」動作機能と「メニュー表示を右へ移動」動作機能とが交換される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ポータブルデジタルデバイスの方向設定に関し、具体的には、以下に限定されないが、右利き用及び左利き用にすることができるようにする、ポータブルデジタルデバイスの機能面(functional aspect)の方向設定に関する。機能面は、ディスプレイ若しくはコントロールボタン類、又はその両方を含んでいることができる。
【発明の背景】
【0002】
デジタルデバイスの表示の方向設定に関して多数の提案が存在している。これらの提案は、通常、機能上の多数の入力用コントロールボタン類を有する、より大きなデバイス、例えば、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、PDA、携帯電話などを対象としている。
【0003】
ポータブルデジタルデバイス、特に小型又は携帯型のポータブルデジタルデバイス、例えば、CDプレーヤー、MP3プレーヤーなどの場合、右利き用又は左利き用とすることができるように、デジタルディスプレイを物理的に取り外して180°回転させることができる。しかしながら、これは、難しく時間のかかるプロセスである。また、このプロセスでは、より使いやすくすることができるようにコントロールボタン類が変更されることはない。従って、そのようなデバイスを左手で使用する人は、コントロールボタン類が右利き用に設定されているため、操作しずらいと感じることがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の側面によると、ポータブルデジタルデバイスの少なくとも2つの動作機能を制御する少なくとも2つの制御デバイスと、情報を表示するデジタルディスプレイと、プロセッサと、を有するポータブルデジタルデバイスが提供される。プロセッサは、第1の方向から第2の方向に情報を回転させ、少なくとも2つの制御デバイスを、それらの動作機能が入れ替わるように再マッピングする。これにより、ポータブルデジタルデバイスを第1の方向と第2の方向の両方において使用することができる。
【0005】
更なる側面においては、本発明は、ポータブルデジタルデバイスを第1の方向から第2の方向に再構成する(reorient)方法であって、ポータブルデジタルデバイスのデジタルディスプレイに表示する情報を第1の回転位置から第2の回転位置に回転させるステップと、ポータブルデジタルデバイスの少なくとも2つの制御デバイスの少なくとも2つの動作機能を、少なくとも1つの動作機能から少なくとも1つの別の動作機能に再マッピングするステップと、を含んでいる、方法、を提供する。
【0006】
どちらの側面においても、再マッピング時に、「順方向にスキップ」動作機能と「逆方向にスキップ」動作機能とを交換することができ、「音量アップ」動作機能と「音量ダウン」動作機能とを交換することができ、「メニュー表示を左へ移動」動作機能と「メニュー表示を右へ移動」動作機能とを交換することができる。第1の方向を、ポータブルデジタルデバイスの右利き用とすることができ、第2の方向を、ポータブルデジタルデバイスの左利き用とすることができ、回転を180°とすることができる。少なくとも2つの動作機能は、「順方向にスキップ」、「逆方向にスキップ」、「音量アップ」、「音量ダウン」とすることができる。情報は、ビットマップとすることができ、従って、情報の回転によってデジタルディスプレイ上の情報のレイアウトが変化しない。
【0007】
キーマップと、第1の方向に対応する第1のテーブルと、第2の方向に対応する第2のテーブルと、を含んでいるメモリを更に含めることができる。
【0008】
本発明を完全に理解して実施することができるように、本発明を制限することのない一例としてのみの本発明の好ましい実施形態について、添付の説明上の図面を参照しながら説明する。
【詳細な説明】
【0009】
最初に図1〜図4を参照する。これらの図は、例えば、弊社の以前の米国特許出願第10/100,351号(出願日:2002年3月18日)「音声再生モードを有するメモリモジュール(Memory Module With Audio Playback Mode)」に開示されているものなど、ポータブルデジタルデバイス10を示しており、この文書の内容は、本文書に参考とすることにより組み込まれている。
【0010】
デバイス10は、再生を開始する、及び再生を一時停止する再生・一時停止ボタン12を含んでいる。ボタン12は、再生を停止させるためと、オン・オフスイッチとして使用することもできる。デジタルディスプレイ14も設けられている。このディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ(「LCD」)とすることができる。デバイス10は、音量アップボタン16と、音量ダウンボタン18と、メニューコントロールつまみ20も有する。つまみ20は、中央位置を基準にばねで負荷をかけることができ、左及び右に回転させて、ディスプレイ14に表示されているメニューページ上でカーソルを右及び左に動かすことができ、また、つまみ20を押して、メニューページと、各メニューページ内の様々な機能を表しているアイコンとを選択することができる。つまみ20は、トラックを順方向と逆方向の両方にスキップする目的にも使用することができる。
【0011】
装置10は、イヤフォン・ヘッドフォンジャック22と、内臓マイクロフォン24も有する。
【0012】
図3に示したように、ディスプレイ14には、ユーザが右手を使用してボタン16,18,20の制御面(control aspect)を使用して表示15が読み取られるような方向にデータ15が表示される。これは、右利きのユーザの場合の通常の状況である。
【0013】
図4は、デバイス10がユーザの左手によって使用されている場合にディスプレイ14にデータ15が逆に表示されている状態のデバイス10を示しており、これは、ユーザが左利きである場合の通常の状況である。表示データ15は、ビットマップとして表示されている。ビットマップを180°回転させることによって、表示が左利き用に「反転」する。この反転プロセスは、表示データ15を左利き用から右利き用に回転させる目的で使用される。
【0014】
図5において、ディスプレイ14は、オペレーティングシステムを有するプロセッサ26によって制御される。メモリ28は、不揮発性メモリであることが好ましい。コントロールボタン類12,16,18,20のマッピング可能な制御機能も、プロセッサ26によって制御される。プロセッサ26によって制御されるデジタル増幅器・音声回路25も、設けることができる。
【0015】
これによって、ユーザは正しい方向で表示15を見ることができるが、コントロールボタン類16,18,20は、依然として右利き用に設定されている。
【0016】
従って、図5〜図8に示したように、コントロールボタン類16,18,20を、左利き用に再マッピングする。
【0017】
図5及び図6を参照する。ステップ30においてデバイス10を起動した後、ステップ32において、コントロールつまみ20を使用することにより、様々なメニュー項目をディスプレイ14に表示させ、つまみ20を使用して選択することができる。ステップ34において、つまみ20を押すことによって正しいメニュー機能が選択されると、オペレーティングシステム26は、現在使用されているキーマップ及びテーブルの使用を停止する(ステップ36)。このキーマップ及びテーブルは、例えば、通常又は右利き用キーマップ及びテーブル1とすることができる。ステップ38において、オペレーティングシステム26は、他方のキーマップ及びテーブルをメモリ28から取得し、ステップ40において、それをオペレーティングシステム26にロードする。これは、キーマップ及びテーブル2とすることができる。これによって、コントロールボタン類16,18,20が他方の動作に変換される。変換前に右利き用であった場合、コントロールボタン類は左利き用に再マッピングされる。左利き用であった場合、コントロールボタン類は右利き用に再マッピングされる。左利き用に再マッピングされると、ボタン16の音量アップ機能が音量ダウンボタン18に関連付けられるように再マッピングされ、ボタン18の音量ダウン機能が音量アップボタン16に関連付けられるように再マッピングされる。すなわち、ボタン16,18の機能が交換される。
【0018】
ステップ34には、所定の時間(例:5秒、10秒、15秒など)以内にメニュー機能が選択されない場合にはメニューが「ホーム」に戻るように、タイムアウトを組み入れることができる。
【0019】
メニューコントロールつまみ20については、その動作が逆になり、機能が交換される。従って、右に回転させるとメニューが右に移動し、左に回転させるとメニューが左に移動する。この場合も、ステップ42においてオペレーティングシステム26に送られる。すると、ディスプレイ14に表示されているデータ15が、左利き動作用に「反転する」、又は180°回転する。しかしながら、表示15のレイアウトは変更されない。従って、位置インジケータ17は、どちらの方向においてもバッテリレベルインジケータ19の「上」のままである。このようにして、レイアウトは同じままである。表示15は、1つのエンティティとして回転する。
【0020】
図5において、オペレーティングシステム26は、コントロールボタン類12,16,18,20の動作を制御する。つまみ20については、この制御は、順方向・逆方向(左右への移動)機能と選択機能とに分けることができ、なぜなら、順方向・逆方向機能は再マッピングすることができるが、選択機能は再マッピングすることができないためである。
【0021】
図7及び図8に示したように、キーマップ(図6)は、様々な制御機能に対する行及び列を有する。代替キーマップ及びテーブル2が選択されているときには、制御機能はテーブル2のとおりである。キーマップ及びテーブル1が選択されているときには、制御機能はテーブル1のとおりである。従って、R2C1(第2行第1列)における制御ボタン16は、その機能が変更される。それ以外のマッピング可能な制御機能すべてについても同様である。
【0022】
このようにして、ユーザは、数個のボタンを押すことによって、ディスプレイ14とコントロールボタン類16,18,20とを、右利き用から左利き用に、及び左利き用から右利き用に再マッピングすることができる。
【0023】
表示15の回転は、任意の好適な公知の手段によって行うことができる。
【0024】
MP3プレーヤーを示したが、本発明は、デジタル機能を有する任意のポータブルデバイスに等しく適用することができる。
【0025】
上記の説明においては、本発明の好ましい実施形態について説明したが、関連する技術分野の当業者には、デザイン、構造、又は動作の細部における多数の変形形態或いは修正形態を、本発明から逸脱することなく考案できることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ポータブルデジタルデバイスの第1の実施形態の斜視図である。
【図2】ポータブルデジタルデバイスの第1の実施形態の側面図である。
【図3】第1の方向における第1の実施形態の斜視図である。
【図4】第2の方向における第1の実施形態の斜視図である。
【図5】システムのアーキテクチャを示している。
【図6】方向を変更するプロセスの全体的なフローチャートである。
【図7】機能動作のキーマップである。
【図8】2つの方向に対応するキーマップの代替テーブルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルデジタルデバイスの少なくとも2つの動作機能を制御する少なくとも2つの制御デバイスと、
情報を表示するデジタルディスプレイと、
前記情報を第1の方向から第2の方向に回転させ、前記少なくとも2つの制御デバイスを、それらの動作機能が入れ替わるように再マッピングして、前記ポータブルデジタルデバイスを前記第1の方向と前記第2の方向の両方において使用することができるようにする、プロセッサと、
を有するポータブルデジタルデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも2つの動作機能が、順方向にスキップ、逆方向にスキップ、音量アップ、音量ダウン、メニュー表示を左へ移動、メニュー表示を右へ移動、から成る群から選択される、請求項1に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項3】
再マッピング時に、前記「音量アップ」動作機能と前記「音量ダウン」動作機能とが交換される、請求項2に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項4】
再マッピング時に、前記「メニュー表示を右へ移動」動作機能と前記「メニュー表示を左へ移動」動作機能とが交換される、請求項2に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項5】
再マッピング時に、前記「音量アップ」動作機能と前記「音量ダウン」動作機能とが交換される、請求項4に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項6】
前記回転が180°である、請求項1に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項7】
前記第1の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの右利き用であり、前記第2の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの左利き用である、請求項1に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項8】
前記回転が180°である、請求項5に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項9】
前記第1の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの右利き用であり、前記第2の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの左利き用である、請求項8に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項10】
キーマップと、前記第1の方向に対応する第1のテーブルと、前記第2の方向に対応する第2のテーブルと、を含んでいるメモリ、が更に含まれている、請求項1に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項11】
前記情報がビットマップとして表示され、従って、前記情報の回転によって前記デジタルディスプレイ上の前記情報のレイアウトが変化しない、請求項1に記載のポータブルデジタルデバイス。
【請求項12】
ポータブルデジタルデバイスを第1の方向から第2の方向に再構成する方法であって、
(a)ポータブルデジタルデバイスのデジタルディスプレイに表示する情報を第1の回転位置から第2の回転位置に回転させるステップと、
(b)前記ポータブルデジタルデバイスの少なくとも2つの制御デバイスの少なくとも2つの動作機能を、少なくとも1つの動作機能から少なくとも1つの別の動作機能に再マッピングするステップと、
を含んでいる、方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つの動作機能が、順方向にスキップ、逆方向にスキップ、音量アップ、音量ダウン、メニュー表示を左へ移動、メニュー表示を右へ移動、から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
再マッピング時に、前記「音量アップ」動作機能と前記「音量ダウン」動作機能とが交換される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
再マッピング時に、前記「メニュー表示を右へ移動」動作機能と前記「メニュー表示を左へ移動」動作機能とが交換される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
再マッピング時に、前記「音量アップ」動作機能と前記「音量ダウン」動作機能とが交換される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記回転が180°である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの右利き用であり、前記第2の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの左利き用である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記回転が180°である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの右利き用であり、前記第2の方向が前記ポータブルデジタルデバイスの左利き用である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
キーマップと、前記第1の方向に対応する第1のテーブルと、前記第2の方向に対応する第2のテーブルと、を含んでいるメモリ、が更に含まれている、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記情報がビットマップとして表示され、従って、前記情報の回転によって前記デジタルディスプレイ上の前記情報のレイアウトが変化しない、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−504508(P2007−504508A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525308(P2006−525308)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000275
【国際公開番号】WO2005/024776
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(500035487)クリエイティブ テクノロジー リミテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】CREATIVE TECHNOLOGY LTD
【Fターム(参考)】