説明

マイクロコンピュータ及び画像表示装置

【課題】LCDダイレクトドライブのための制御にハードウェアを用いることで、ユーザプログラム作成の負担軽減を図る。
【解決手段】クロック信号を形成可能なタイマパルスユニット(103)と、表示用データを液晶ディスプレイへDMA転送可能なDMAコントローラ(110)と、上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを選択的に上記液晶ディスプレイのクロック入力端子へ伝達可能なセレクタ(105)とを設ける。また上記セレクタの選択状態を設定可能なレジスタ(106)と、上記レジスタの設定情報に基づいて、上記セレクタの選択状態を上記DMA転送に同期して制御するための制御論理(107)とを設ける。ユーザプログラムにおいては、LCDダイレクトドライブのための制御に関して上記レジスタへの設定を行うだけで良いので、ユーザプログラム作成の負担を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコンピュータからLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)へ表示用データをDMA(Direct Memory Access)転送して表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、データバスの使用に関する制御回路を内蔵した集積回路において入出力ピン数を削減するための技術が記載されている。それによれば、パラレル・シリアル変換部10はDMAデバイス4が出力するリクエスト信号DREQ0〜3を直列化リクエスト信号SREQに変換してLSI16に入力する。LSI16ではシリアル・パラレル変換部14がこの直列化リクエスト信号SREQより各DMAデバイス4に対応するリクエスト信号CREQ0〜3を生成しDMAコントローラ12に供給する。一方、DMAコントローラ12が出力するアクノリッジ信号CACK0〜3は、エンコード部24により2ビットデジタル信号EACKに変換されてLSI16より出力され、デコード部26はこのデジタル信号より各DMAデバイス4へのアクノリッジ信号DACK0〜3を生成する。
【0003】
特許文献2には、表示データの転送方式を改善し、低消費電力が少く大容量表示に適したマトリクス型表示制御装置を提供するための技術が記載されている。それによれば、モジュール・コントローラ100は、低周波発振回路110、その低周波クロックfLを基に走査スタート信号YD等を生成するタイミング信号発生回路120、ホストMPU10との通信とシステムバス14aを監視しVRAM12内の表示データ更新に対し間欠動作開始制御信号STを作成するスタンバイ回路130を有する。そして低周波クロックfL に位相同期する高周波クロックを作成する高周波発振回路140、VRAM12から専用バス14bを介して表示データをダイレクトメモリアクセスで読み出し、データバス17を介してXドライバ250−1〜250−Nのフレームメモリ252へ転送するDMA回路150を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−250002号公報
【特許文献2】特開平06−130910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、LCDコントローラを使わずにマイクロコンピュータからLCDへデータをDMA転送して表示する技術(「LCDダイレクトドライブ」という)について検討した。LCDダイレクトドライブ機能を有するマイクロコンピュータは、内部データ転送用のDMACとは別に、LCDへの画像データ転送と同時にCPUによる制御/処理を可能にするDMAC(これを「EXDMAC」という)を搭載し、このEXDMACを使うことで、内部バスと外部バスをそれぞれ独立に動作させ、LCDコントローラを使わずにLCDを制御することが可能となる。このようなLCDダイレクトドライブ機能を有するマイクロコンピュータは、所定の端子を介してLCDへのデータ転送と、当該データのLCDへの表示との制御を行うようにしている。
【0006】
LCDダイレクトドライブのための制御においては、表示用データをLCDにDMA転送する場合のクロック信号と、転送された表示用データを表示するためのクロック信号とを、マイクロコンピュータ側で切り替える必要がある。マイクロコンピュータからLCDに供給されるクロック信号の周波数は、マイクロコンピュータに結合されるLCDの仕様によって異なるため、LCDに供給されるクロック信号の切り替えは、マイクロコンピュータで実行されるソフトウェア(ユーザプログラム)によって行われる。このため、ユーザプログラムの作成において、LCDダイレクトドライブのための制御を考慮しなければならず、ユーザプログラム作成に手間がかかった。尚、このような課題は、特許文献1,2記載の技術では解決することはできない。
【0007】
本発明の目的は、LCDダイレクトドライブのための制御にハードウェアを用いることで、ユーザプログラム作成の負担軽減を図ることにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、マイクロコンピュータには、クロック信号を形成可能なタイマパルスユニットと、上記タイマパルスユニットからの割り込み要求に応じて起動され、表示用データを液晶ディスプレイへDMA転送可能なDMAコントローラと、上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを選択的に上記液晶ディスプレイのクロック入力端子へ伝達可能なセレクタとを設ける。また上記マイクロコンピュータは、上記セレクタの選択状態を設定可能なレジスタと、上記レジスタの設定情報に基づいて、上記セレクタの選択状態を上記DMA転送に同期して制御するための制御論理とを設ける。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0012】
すなわち、LCDダイレクトドライブのための制御にハードウェアを用いることで、ユーザプログラム作成の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかるマイクロコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【図2】上記マイクロコンピュータを含む画像表示装置の構成例ブロック図である。
【図3】上記マイクロコンピュータに含まれるPFCRレジスタの設定例の説明図である。
【図4】上記マイクロコンピュータに含まれるEXDMACの構成例ブロック図である。
【図5】上記マイクロコンピュータに含まれるTPUの構成例ブロック図である。
【図6】上記TPUの設定例を示すフローチャートである。
【図7】上記TPUにおけるコンペアマッチによる信号出力例の説明図である。
【図8】上記画像表示装置におけるLCD表示のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0015】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係るマイクロコンピュータ(10)は、クロック信号を形成可能なタイマパルスユニット(103)と、上記タイマパルスユニットからの割り込み要求に応じて起動され、表示用データを液晶ディスプレイへDMA転送可能なDMAコントローラ(110)とを含む。また上記マイクロコンピュータは、上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを選択的に上記液晶ディスプレイのクロック入力端子へ伝達可能なセレクタ(105)とを含む。さらに上記マイクロコンピュータは、上記セレクタの選択状態を設定可能なレジスタ(106)と、上記レジスタの設定情報に基づいて、上記セレクタの選択状態を上記DMA転送に同期して制御するための制御論理(107)とを含む。
【0016】
上記の構成によれば、上記レジスタの設定により、LCDのクロック入力端子に供給されるクロック信号の周波数を、当該LCDの仕様に対応させることができるので、ユーザプログラムにおいては、LCDダイレクトドライブのための制御に関して上記レジスタへの設定を行うだけで良いので、ユーザプログラム作成の負担が軽減される。
【0017】
〔2〕上記〔1〕において、上記制御論理(107)は、上記レジスタの設定情報に基づいて、DMA転送開始時とDMA転送終了時に上記セレクタ(105)の選択状態を切り替えるように構成することができる。これにより、上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを適切に切り替えることができる。
【0018】
〔3〕上記〔2〕において、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理を反転してから上記セレクタに伝達可能な論理反転回路(104)を設けることができる。これにより、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理をLCDの仕様に対応させることができる。
【0019】
〔4〕上記〔3〕において、上記レジスタ(106)は、上記DMAコントローラから出力された信号の論理反転を指示するためのビットを含み、上記論理反転回路は、上記ビットの論理状態に従って、上記DMAコントローラから出力された信号の論理を反転するように構成することができる。このようにすることで、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理を上記レジスタ(106)の設定により容易に行うことができる。
【0020】
〔5〕本発明の代表的な実施の形態に係る画像表示装置(200)は、液晶ディスプレイ(11)と、表示用データを格納可能なメモリ(12)と、上記メモリ内の表示用データを上記液晶ディスプレイにDMA転送して表示させる機能を有するマイクロコンピュータ(10)とを含む。このとき、上記マイクロコンピュータ(10)には、クロック信号を形成可能なタイマパルスユニット(103)と、上記タイマパルスユニットからの割り込み要求に応じて起動され、上記表示用データを液晶ディスプレイへDMA転送可能なDMAコントローラ(110)とを含む。また、上記マイクロコンピュータには、上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを選択的に上記液晶ディスプレイのクロック入力端子へ伝達可能なセレクタ(105)とを設けることができる。さらに上記マイクロコンピュータ(10)には、上記セレクタの選択状態を設定可能なレジスタ(106)と、上記レジスタの設定情報に基づいて、上記セレクタの選択状態を上記DMA転送に同期して制御するための制御論理(107)とを設けることができる。
【0021】
上記の構成によれば、上記レジスタの設定により、LCDのクロック入力端子に供給されるクロック信号の周波数を、当該LCDの仕様に対応させることができるので、ユーザプログラムにおいては、LCDダイレクトドライブのための制御に関して上記レジスタへの設定を行うだけで良いので、ユーザプログラム作成の負担が軽減される。
【0022】
〔6〕上記〔5〕において、上記制御論理(107)は、上記レジスタの設定情報に基づいて、DMA転送開始時とDMA転送終了時に上記セレクタの選択状態を切り替えるように構成することができる。これにより、上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを適切に切り替えることができる。
【0023】
〔7〕上記〔6〕において、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理を反転してから上記セレクタに伝達可能な論理反転回路(104)を設けることができる。これにより、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理をLCDの仕様に対応させることができる。
【0024】
〔8〕上記〔7〕において、上記レジスタ(106)は、上記DMAコントローラから出力された信号の論理反転を指示するためのビットを含み、上記論理反転回路(104)は、上記ビットの論理状態に従って、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理を反転するように構成することができる。このようにすることで、上記DMAコントローラ(110)から出力された信号の論理を上記レジスタ(106)の設定により容易に行うことができる。
【0025】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0026】
《実施の形態1》
図2には、本発明にかかる画像表示装置の構成例が示される。図2に示される画像表示装置200は、特に制限されないが、プリンターや冷蔵庫などの各種家電製品に搭載することができ、マイクロコンピュータ10、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)11、SRAM(Static Random Access Memory)12、タッチパネル13、及び入力回路14を含んで成る。
【0027】
マイクロコンピュータ10は、特に制限されないが、公知の半導体集積回路製造技術により、単結晶シリコン基板などのひとつの半導体基板に形成され、SRAM12内の表示用データをLCD11にDMA(Direct Memory Access)転送して表示させる機能(LCDダイレクトドライブ機能)を有する。SRAM12内の表示用データは、マイクロコンピュータ10によって更新される。マイクロコンピュータ10は、表示用データD〔15:0〕の出力端子、アドレス信号ADDRESSの出力端子、ライトイネーブル信号WEの出力端子、チップセレクト信号CSの出力端子、LCDダイレクトドライブ信号LDDの出力端子、イネーブル信号ENABLEの出力端子、クロック信号TIOCB3の出力端子、垂直同期信号Vsyncの出力端子、アナログ信号AN0〜AN3の入力端子を含む。表示用データD〔15:0〕は、RGBに対応するデータ群D15−D11,D10−D5, D4−D0を含む。データ群D15−D11,D10−D5, D4−D0は、LCD11における表示用入力データ群R5−R1,G5−G0,B5−B1に対応する。LCD11のピクセルデータは、R(5bit)、G(6bit)、B(5bit)であり、上記表示用入力データ群R5−R1,G5−G0,B5−B1に対応する。アドレス信号ADDRESSは、SRAM12へのデータ書き込みや、SRAM12からのデータ読み出しの際に、SRAM12に伝達される。マイクロコンピュータ10によってチップセレクト信号CSがアサートされることにより、SRAM12が選択される。マイクロコンピュータ10によってライトイネーブル信号WEがアサートされることで、SRAM12への表示用データの書き込みが指示される。マイクロコンピュータ10によってライトイネーブル信号WEがネゲートされた状態では、SRAM12からのデータ読み出しが可能とされる。LCDダイレクトドライブ信号LDDは、LCD11におけるクロック信号CLKの入力端子に伝達される。LCDダイレクトドライブ信号LDDは、上記DMA転送に用いられるクロック信号と、上記LCD11への画像表示に用いられるクロック信号とを含む。上記DMA転送に用いられるクロック信号は、上記DMA転送に適切な周波数に設定される。上記LCD11への表示に用いられるクロック信号は、LCD11での画像表示に適切な周波数に設定される。イネーブル信号ENABLEは、LCD11におけるイネーブル信号ENABLEの入力端子に伝達される。このイネーブル信号ENABLEがマイクロコンピュータ10によってイネーブル状態にされることで、LCD11への表示用データの転送や当該データの表示が可能とされる。クロック信号TIOCB3は、水平同期信号Hsyncとして、LCD11における水平同期信号Hsyncの入力端子に伝達され、垂直同期信号Vsyncは、LCD11における垂直同期信号Vsyncの入力端子に伝達される。また、LCD11には、グランドGNDを基準とする電源電圧Vccが供給される。
【0028】
タッチパネル13は、特に制限されないが、LCD11の表示画面に重ねて配置され、操作者の指のタッチにより、マイクロコンピュータ12に対する情報入力が可能とされる。このマイクロコンピュータ12に対する情報入力は、アナログ信号AN0〜AN3の形式で行われる。入力回路14は、タッチパネル13からのアナログ信号AN0〜AN3の入力を可能にするための直流電圧を印加する回路や、アナログ信号AN0〜AN3へのノイズ混入を阻止するためのノイズフィルタが含まれる。
【0029】
図1には、マイクロコンピュータ10の構成例が示される。
【0030】
マイクロコンピュータ10は、DMAC101、割り込みコントローラ102、TPU(タイマパルスユニット)103、論理反転回路104、セレクタ105、PFCRレジスタ106、制御論理107、スイッチ108、バスコントローラ109、EXDMAC110、CPU(中央処理装置)111、ADC(アナログデジタル変換器)112を含む。マイクロコンピュータ10は、更にROM(リードオンリーメモリ)113、RAM(ランダムアクセスメモリ)114を含む。DMAC101、CPU111、ADC112、ROM113、RAM114は、マイクロコンピュータ10の内部に設けられたデータバス(「内部データバス」という)115によって互いに結合されている。CPU111は、ユーザプログラムを実行する。ADC112は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。タッチパネル13からのアナログ信号は、ADC112によってデジタル信号に変換される。ROM113は、上記CPU111で実行されるユーザプログラムを格納するために設けられる。特に制限されないが、このROM113には、フラッシュメモリを適用することができる。RAM114は、CPU111でユーザプログラムが実行される際の作業領域などに利用される。
【0031】
TPU103は、それぞれ所定の条件でタイマパルスを形成可能な複数のタイマチャネルを有する。TPU103は、所定の条件が成立したとき、EXDMAC110の起動割り込み要求を発生させる。また、TPU103における複数チャネルのうちの特定チャネル、例えばチャネル3,4,5によって形成されたクロック信号TIOCB3,TIOCB4,TIOCB5が出力されるようになっている。クロック信号TIOCB3は、LCD11の水平同期信号Vsyncとして、LCD11に伝達される。クロック信号TIOCB4,TIOCB5は、セレクタ105に伝達される。
【0032】
DMAC101は、マイクロコンピュータ10内で、内部データバス115を介して行われるDMA転送を制御する。割り込みコントローラ102は、各種デバイスからの割り込み要求を所定の優先順位に従って調整してからCPU111に通知する。EXDMAC110は、マイクロコンピュータ10の外部に配置されたバス(「外部バス」という)を用いて行われるデータ転送専用のDMACであり、内部データバス115に結合されたDMAC101とは別に設けられている。このEXDMAC110は、EDACK(DMA転送通知)付き外部デバイスと外部メモリとの間の転送をCPU111に代わって高速に行うことができる。本例において、LCD11は、上記EDACK(DMA転送通知)付き外部デバイスの一例とされる。また本例において、SRAM12は、上記外部メモリの一例とされる。EXDMAC110は、転送モードとして、デュアルアドレスモードとシングルアドレスモードとを有する。EXDMAC110は、シングルアドレスモードにおいて、シングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3を出力する。このシングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3は、EXDMAC110から出力された状態ではローアクティブの信号であるが、後段の論理反転回路104で信号の論理が反転されることにより、ハイアクティブの信号に変更することができる。論理反転回路104は、EXDMAC110から出力されたシングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3の論理を反転して出力するインバータ104Aと、このインバータ104Aの入出力信号を選択するためのセレクタ104Bとを含んで成る。論理反転回路104から出力されるシングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3は、セレクタ104Bによってインバータ104Aの入力信号が選択された場合にはローアクティブの信号になり、セレクタ104Bによってインバータ104Aの出力信号が選択された場合にはハイアクティブの信号となる。セレクタ104Bの選択状態は、PFCRレジスタ106における所定ビット設定に基づく制御信号EDACKRSよって決定される。
【0033】
セレクタ105は、制御論理107の出力に基づいて、TPU103からのクロック信号TIOCB4,TIOCB5と、論理反転回路104からのシングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3の中からひとつの信号を選択し、それをLCDダイレクトドライブ信号LDDとして、LCD11におけるクロック信号CLKの入力端子に伝達する。セレクタ105の選択状態は、制御論理107からの制御信号によって決定される。制御論理107は、EXDMAC110から出力されるシングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3の出力開始タイミングを示す選択制御信号EDACK_selと、EXDMA転送終了を示す信号ETENDと、PFCRレジスタ106における特定ビットに基づいて形成されたLCDダイレクト制御信号LCDDIRECT〔1:0〕とに基づいて上記セレクタ105の選択動作を制御する。
【0034】
バスコントローラ109は、マイクロコンピュータ10の外部に配置されたバス(「外部バス」という)を管理する。バスコントローラ109は、EXDMAC110からのバス権要求に応じて外部バスの使用をEXDMAC110に許可する。外部バスには、データD〔15:0〕を伝達するためのデータバス、アドレス信号ADDRESSを伝達するためのアドレスバス、チップセレクト信号CSやライトイネーブル信号WEを伝達するためのコントロールバスが含まれる。上記外部バスは、LCD11やSRAM12に結合される。上記チップセレクト信号CSは、スイッチ108によって切り替えられる。SRAM12への表示用データの書き込みにおいては、バスコントローラ109から出力されたチップセレクト信号CSがスイッチ108によって選択されてSRAM12に伝達される。また、LCDダイレクトモードにおいては、LCDダイレクトドライブ信号LDDに同期してSRAM12を選択する必要があるため、セレクタ105の選択出力がスイッチ108によって選択され、それがチップセレクト信号CSとしてSAM12に伝達される。
【0035】
尚、LCD11に供給される垂直同期信号Vsyncやイネーブル信号ENABLEは、CPU111の制御下で形成される。
【0036】
図3には、PFCRレジスタ106の構成例が示される。
【0037】
PFCRレジスタ106は、8ビット構成とされる。PFCRレジスタ106のビット5は、EDACKRS信号の論理設定に割り当てられる。ビット5が論理値“0”の場合、シングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3はローアクティブとされ、ビット5が論理値“1”の場合、シングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3はハイアクティブとされる。PFCRレジスタ106のビット5の初期値は論理値“0”とされる。
【0038】
PFCRレジスタ106のビット6とビット7は、LCDダイレクト制御信号LCDDIRECT〔1:0〕の論理設定に割り当てられる。PFCRレジスタ106のビット6とビット7が論理値“0” “0”の場合、セレクタ105による切り替えは行われない。PFCRレジスタ106のビット6とビット7が論理値“0” “1”に設定された場合、制御論理107の制御により、セレクタ105による選択状態は、EXDMAC転送開始時にTIOCB4からEDACK3に切り替えられ、EXDMAC転送終了時にEDACK3からTIOCB4に戻される。PFCRレジスタ106のビット6とビット7が論理値“1” “0”に設定された場合、制御論理107の制御により、セレクタ105による選択状態は、EXDMAC転送開始時にTIOCB4からTIOCB5に切り替えられ、EXDMAC転送終了時にTIOCB5からTIOCB4に戻される。尚、本例において、PFCRレジスタ106のビット0からビット4はリザーブビットとされる。
【0039】
図4には、EXDMAC110の構成例が示される。
【0040】
EXDMAC110は、データバッファ1101、アドレスバッファ1102、演算器1103、コントロールロジック1105、及び各種レジスタEDSAR,EDDAR,EDTCRを含み、複数の転送チャネルを有する。アドレスバッファ1102、演算器1103、及び各種レジスタEDSAR,EDDAR,EDTCRは、モジュールデータバス1104によって互いに結合される。データバッファ1101及びアドレスバッファ1102は、バスコントローラ109に結合される。EDSARは転送元のアドレスを指定するためのXDMAソースアドレスレジスタ、EDDARは転送先のアドレスを指定するためのEXDMAデスティネーションアドレスレジスタ、EDTCRは転送回数を設定するためのEXDMA転送カウントレジスタである。コントロールロジック1105は、レジスタEDMDR、EDACRを含む。EDMDRは、EXDMAC110の動作を制御するEXDMAモードコントロールレジスタである。EDACRは、アドレスレジスタの増減、リピートエリア機能を指定するEXDMAアドレスコントロールレジスタである。コントロールロジック1105には、外部デバイスからのリクエスト信号EDREQが伝達される。コントロールロジック1105は、転送要求を受け付けたことを確認する信号EDARK、EXDMA転送終了を示す信号ETEND、シングルアドレス転送アクノレッジ信号EDACK、及びEXDMAC110から出力されるシングルアドレス転送アクノリッジ信号EDACK3の出力開始タイミングを示す選択制御信号EDACK_selが出力される。また、コントロールロジック1105からは、チャネル毎にCPU111への割り込み要求信号が出力される。
【0041】
図5には、TPU103の構成例が示される。
【0042】
TPU103は、チャネル0〜5に対応する6チャネルの16ビットタイマユニット50〜55と、そのコントロールロジック54,55と、共通回路56とを含む。コントロールロジック54は、16ビットタイマユニット50〜52の動作を制御し、コントロールロジック55は、16ビットタイマユニット53〜55の動作を制御する。16ビットタイマユニット50は、タイマコントローラレジスタTCR、タイマI/OコントロールレジスタTIORH、タイマインタラプトイネーブルレジスタTIER、タイマモードレジスタTMDR、タイマI/OコントロールレジスタTIORL、タイマステータスレジスタTSR、タイマカウンタTCNT、タイマジェネラルレジスタTGRA, TGRB, TGRC, TGRDを含む。16ビットタイマユニット51は、タイマコントローラレジスタTCR、タイマI/OコントロールレジスタTIOR、タイマインタラプトイネーブルレジスタTIER、タイマモードレジスタTMDR、タイマステータスレジスタTSR、タイマカウンタTCNT、タイマジェネラルレジスタTGRA, TGRBを含む。16ビットタイマユニット53は、16ビットタイマユニット50と同一構成とされる。16ビットタイマユニット52,54,55は、16ビットタイマユニット51と同一構成とされる。共通回路56は、コントロールロジック561、タイマスタートレジスタTSTR、タイマシンクロレジスタTSYR、及びバスインタフェース562を含む。上記16ビットタイマユニット50〜55や共通回路56は、モジュールデータバス57を介して互いに結合されている。共通回路56には、内部クロック信号φ/1,φ/4,φ/16,φ/64,φ/256,φ/1024,φ/4096や、外部クロックTCLKA,TCLKB,TCLKC,TCLKDが入力される。バスインタフェース562は、内部データバス115に結合される。共通回路56は、A/D変換開始要求信号やPPG出力トリガ信号を出力する。また、チャネル毎に信号を取り込むための複数の入力端子、及び割り込み要求信号を出力するための複数の出力端子が設けられる。本例では、特に制限されないが、16ビットタイマユニット53,54,55が使用される。16ビットタイマユニット53の出力信号TIOCB3によってLCD11における水平同期信号Hsyncが形成される。16ビットタイマユニット54,55は、クロック信号生成に用いられ、それらの出力信号TIOCB4,TIOCB5がセレクタ105に伝達される。
【0043】
図6には、TPU103の設定例が示される。
【0044】
TPU103への各種設定は、ユーザプログラムの記述に基づいてCPU111が実行する。
【0045】
先ず、TIERに割り込み要求(TGIEB)許可が設定される(601)。TIORにより初期値の論理値“0”出力又は論理値“1”出力又はトグル出力が選択される(602)。最初のコンペアマッチが発生するまでの期間、TIOC端子には、設定された初期値が出力される。TGRBにコンペアマッチを発生させるタイミングが設定される(603)。そしてTSTRのCSTビットを論理値“1”にセットしてカウント動作が開始される(604)。
【0046】
図7にはTPU103におけるコンペアマッチによる信号出力例が示される。
【0047】
TGRBにコンペアマッチを発生させるタイミングが設定され(603)、TSTRのCSTビットが論理値“1”にセットされてカウント動作が開始されると(604)、TGRBのコンペアマッチでカウンタクリアが行われ、TIOCBのトグル出力(クロック信号出力)が行われる。このようにして、16ビットタイマユニット53,54,55によって、TIOCB3,TIOCB4,TIOCB5(クロック信号)が得られる。TIOCB3,TIOCB4,TIOCB5の周波数は、対応するTGRBの設定値によって決定される。つまり、接続されるLCD11の仕様に応じて、TGRBを設定することで、TIOCB3,TIOCB4,TIOCB5の周波数をLCD11の仕様に容易に合わせることができる。
【0048】
図8には、LCD表示タイミングが示される。
【0049】
LCD11における1フレーム表示動作は、垂直同期信号Vsyncと、水平同期信号Hsyncとに同期して行われる。バックポーチとフロントポーチとの間に1フレームデータ転送期間が設けられる。この1フレームデータ転送は、SRAM12からLCD11へのEXDMA転送によって行われる。つまり、SRAM12から表示用データが外部データバスD〔15:0〕に出力されるのと同じバスサイクルでそのデータがLCDに取り込まれる。1フレームデータ転送期間において、複数回の1ラインデータ転送が行われる。1ラインデータ転送期間においては、図8において拡大して示されるように、LCD11のクロック信号CLK入力端子に伝達されるクロック信号の切り替え(マイクロコンピュータ10におけるポート切り替え)が行われる。この切り替えは、次のように行われる。
【0050】
TPU103におけるタイマユニット53(チャネル3)でのTGRBコンペアマッチにより、EXDMAC110の起動割り込み要求が発生される。このEXDMAC110の起動割り込み要求に基づくCPU111での割り込み処理により、EXDMAC110が起動されて、表示用データ1ライン分のEXDMA転送が開始される。EXDMAC110が起動され、EXDMAC110からEDACK3が出力されるタイミングに同期して、制御論理107によりセレクタ105の選択状態の切り替えが行われる。
【0051】
例えばPFCRレジスタ106のビット6とビット7が論理値“0” “1”に設定されている場合、制御論理107の制御により、セレクタ105による選択状態は、EXDMAC転送開始時(801のタイミング)にTIOCB4からEDACK3に切り替えられ、EXDMAC転送終了時(802のタイミング)にEDACK3からTIOCB4に戻される。この場合、表示用データ1ライン分のEXDMA転送は、EDACK3に基づいて行われる。このとき、EDACK3の論理は、PFCRレジスタ106におけるビット5の設定により決定される。
【0052】
また、PFCRレジスタ106のビット6とビット7が論理値“1” “0”に設定されている場合、制御論理107の制御により、セレクタ105による選択状態は、EXDMAC転送開始時(801のタイミング)にTIOCB4からTIOCB5に切り替えられ、EXDMAC転送終了時(802のタイミング)にTIOCB5からTIOCB4に戻される。この場合、表示用データ1ライン分のEXDMA転送は、TIOCB5に基づいて行われる。
【0053】
このようにPFCRレジスタ106の設定により、LCD11のクロック信号CLKの入力端子に供給されるクロック信号の周波数を、LCD11の仕様に対応させることができるので、ユーザプログラムにおいては、LCDダイレクトドライブのための制御に関してPFCRレジスタ106への設定を行うだけで良いので、ユーザプログラム作成の負担が軽減される。
【0054】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
10 マイクロコンピュータ
11 LCD
12 SRAM
13 タッチパネル
14 入力回路
101 DMAC
102 割り込みコントローラ
103 TPU
104 論理反転回路
104A インバータ
104B セレクタ
105 セレクタ
106 PFCRレジスタ
107 制御論理
108 スイッチ
109 バスコントローラ
110 EXDMAC
111 CPU
112 ADC
113 ROM
114 RAM
115 内部データバス
200 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を形成可能なタイマパルスユニットと、
上記タイマパルスユニットからの割り込み要求に応じて起動され、表示用データを液晶ディスプレイへDMA転送可能なDMAコントローラと、
上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを選択的に上記液晶ディスプレイのクロック入力端子へ伝達可能なセレクタと、
上記セレクタの選択状態を設定可能なレジスタと、
上記レジスタの設定情報に基づいて、上記セレクタの選択状態を上記DMA転送に同期して制御するための制御論理と、を含むことを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項2】
上記制御論理は、上記レジスタの設定情報に基づいて、DMA転送開始時とDMA転送終了時に上記セレクタの選択状態を切り替える請求項1記載のマイクロコンピュータ。
【請求項3】
上記DMAコントローラから出力された信号の論理を反転してから上記セレクタに伝達可能な論理反転回路を含む請求項2記載のマイクロコンピュータ。
【請求項4】
上記レジスタは、上記DMAコントローラから出力された信号の論理反転を指示するためのビットを含み、上記論理反転回路は、上記ビットの論理状態に従って、上記DMAコントローラから出力された信号の論理を反転する請求項3記載のマイクロコンピュータ。
【請求項5】
液晶ディスプレイと、
表示用データを格納可能なメモリと、
上記メモリ内の表示用データを上記液晶ディスプレイにDMA転送して表示させる機能を有するマイクロコンピュータと、を含む画像表示装置であって、
上記マイクロコンピュータは、
クロック信号を形成可能なタイマパルスユニットと、
上記タイマパルスユニットからの割り込み要求に応じて起動され、上記表示用データを液晶ディスプレイへDMA転送可能なDMAコントローラと、
上記DMA転送に用いられる第1クロック信号と、上記液晶ディスプレイへの表示に用いられる第2クロック信号とを選択的に上記液晶ディスプレイのクロック入力端子へ伝達可能なセレクタと、
上記セレクタの選択状態を設定可能なレジスタと、
上記レジスタの設定情報に基づいて、上記セレクタの選択状態を上記DMA転送に同期して制御するための制御論理と、を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
上記制御論理は、上記レジスタの設定情報に基づいて、DMA転送開始時とDMA転送終了時に上記セレクタの選択状態を切り替える請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
上記DMAコントローラから出力された信号の論理を反転してから上記セレクタに伝達可能な論理反転回路を含む請求項6記載の画像表示装置。
【請求項8】
上記レジスタは、上記DMAコントローラから出力された信号の論理反転を指示するためのビットを含み、上記論理反転回路は、上記ビットの論理状態に従って、上記DMAコントローラから出力された信号の論理を反転する請求項7記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−232800(P2011−232800A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99810(P2010−99810)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】