説明

マイクロコンピュータ

【課題】回路規模を大きくすることなく、複数の動作モードに対して各々異なる動作保障最低電圧を保障するマイクロコンピュータを提供する。
【解決手段】ファームウェアは、CPUが実行可能な複数の動作モードのうちの1つの動作モードをCPUに実行させる。電圧検出回路は、1つの動作モードが実行されるときの電源電圧VDDが動作保障最低電圧以下である場合、1つの動作モードの実行を停止させるための割込信号50をCPUに出力する。電圧検出回路は、複数の動作モードのそれぞれに対する分圧比の中から、1つの動作モードに対応する対応分圧比を選択し、複数の分圧電圧の中から、電源電圧VDDの対応分圧比を表す分圧電圧を選択分圧電圧VLVIとして選択する。この選択分圧電圧VLVIが基準電圧VREF(動作保障最低電圧の1/L)以下である場合、割込信号50を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で電圧を検出するマイクロコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンピュータでは、CPU(Central Processing Unit)が、例えばフラッシュメモリに対してデータを書き込む動作(書き込み動作)を行う動作モードを実行するとき、電源電圧よりも高い電圧が書き込み電圧として供給されるため、大電流を必要とする。しかし、CPUが書き込み動作を行うときに使用される電圧(書き込み電圧又は電源電圧)が所定の電圧範囲ではない場合、書き込み動作が正常に行われない可能性があり、データの信頼性に大きく影響する。
【0003】
特開平9−213088号公報には、CPUが書き込み動作を行うときに、書き込み電圧を検出する技術が記載されている。
【0004】
図1は、第1従来例のマイクロコンピュータとして、特開平9−213088号公報に記載された技術の構成を示している。
【0005】
第1従来例のマイクロコンピュータは、フラッシュメモリ202dと、RAM(Random Access Memory)202bと、CPU202aと、第1の電圧検出回路207と、トランジスタ208と、第2の電圧検出回路209とを具備している。
【0006】
フラッシュメモリ202dには、電源電圧VCCとして5Vが供給され、データが書き込まれるとき(又は消去されるとき)に書き込み電圧Vppが供給される。
【0007】
CPU202aは、クロック信号に応じて動作し、フラッシュメモリ202d又はRAM202bに対するデータの読み出し動作、書き込み動作(消去を含む)を行う。
【0008】
第1の電圧検出回路207は、フラッシュメモリ202dに供給される電源電圧VCCが4.7V以上である場合、動作制御信号を出力する。
【0009】
トランジスタ208は、動作制御信号に応じてオンして、書き込み電圧Vppとして12Vをフラッシュメモリ202dに供給する。
【0010】
第2の電圧検出回路209は、書き込み電圧Vppが12V±0.5Vの範囲から外れた場合、フラッシュメモリ202dに対する書き込み動作を停止させるための割込信号をCPU202aに出力する。
【0011】
このように、第1従来例のマイクロコンピュータでは、CPU202aが書き込み動作を行うときに使用される書き込み電圧が所定の電圧範囲ではない場合、第2の電圧検出回路209がCPU202aに対して書き込み動作を停止させる。
【0012】
特開2009−37456号公報には、CPUと他の機能(後述のリアルタイムクロック生成回路)との動作電圧の違いにより、CPU、他の機能に使用される電源電圧を検出する技術が記載されている。
【0013】
図2は、第2従来例のマイクロコンピュータとして、特開2009−37456号公報に記載された技術の構成を示している。
【0014】
第2従来例のマイクロコンピュータは、フラッシュROM(Read Only Memory)131と、RAM132と、CPU130と、周辺回路150と、リアルタイムクロック生成回路140と、第1の電圧検出回路110と、第2の電圧検出回路120とを具備している。
【0015】
フラッシュROM131、RAM132、CPU130、リアルタイムクロック生成回路140には、第1、2電源電圧として電源電圧VDD、接地電圧が供給される。
【0016】
CPU130は、クロック信号に応じて動作し、フラッシュROM131又はRAM132に対するデータの読み出し動作、書き込み動作(消去を含む)を行う。
【0017】
周辺回路150は、CPU130に対してデータの入出力を行う。
【0018】
リアルタイムクロック生成回路140は、CPU130が動作可能な電圧よりも低い電圧で動作可能であり、クロック信号をCPU130に出力する。
【0019】
第1の電圧検出回路110は、電源電圧VDDが第1の動作保障最低電圧以下になった場合、CPU130の動作を停止させるための割込信号である第1のリセット信号RST1をCPU130に出力する。
【0020】
第2の電圧検出回路120は、電源電圧VDDが第1の動作保障最低電圧よりも低い第2の動作保障最低電圧以下になった場合、リアルタイムクロック生成回路140の動作を停止させるための割込信号である第2のリセット信号RST2をリアルタイムクロック生成回路140に出力する。
【0021】
第1の電圧検出回路110は、第1の基準電圧源111と、抵抗素子R111、R112と、第1のコンパレータ112と、第1のインバータ113とを備えている。
【0022】
第1の基準電圧源111は、電源電圧VDDと接地電圧間で第1の動作保障最低電圧の1/A(Aは1以上の正数)の電圧を生成し、第1の基準電圧として出力する。抵抗素子R111、R112は、直列接続され、電源電圧VDDを分圧し、第1の分圧電圧VAとして生成する。第1のコンパレータ112は、第1の分圧電圧VAと第1の基準電圧とを比較し、第1の分圧電圧VAが第1の基準電圧以下である場合、出力信号の信号レベルをハイレベル“H”にする。第1のインバータ113は、第1のコンパレータ112の出力信号の信号レベルがハイレベル“H”である場合、第1の割込信号RST1の出力として、CPU130に出力する出力信号の信号レベルをロウレベル“L”にする。
【0023】
第2の電圧検出回路120は、第2の基準電圧源121と、抵抗素子R121、R122と、第2のコンパレータ122と、第2のインバータ123とを備えている。
【0024】
第2の基準電圧源121は、電源電圧VDDと接地電圧間で第2の動作保障最低電圧の1/B(Bは1以上の正数)の電圧を生成し、第2の基準電圧として出力する。抵抗素子R121、R122は、直列接続され、電源電圧VDDを分圧し、第2の分圧電圧VBとして生成する。第2のコンパレータ122は、第2の分圧電圧VBと第2の基準電圧とを比較し、第2の分圧電圧VBが第2の基準電圧以下である場合、出力信号の信号レベルをハイレベル“H”にする。第2のインバータ123は、第2のコンパレータ122の出力信号の信号レベルがハイレベル“H”である場合、第2の割込信号RST2の出力として、リアルタイムクロック生成回路140に出力する出力信号の信号レベルをロウレベル“L”にする。
【0025】
このように、第2従来例のマイクロコンピュータでは、CPU130、リアルタイムクロック生成回路140に使用される電源電圧VDDが所定の電圧範囲ではない場合、第1の電圧検出回路110、第2の電圧検出回路120は、それぞれ、CPU130、リアルタイムクロック生成回路140の動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開平9−213088号公報
【特許文献2】特開2009−37456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
CPUは、フラッシュメモリに対する書き込み動作を行う動作モードや、それ以外の動作を行う動作モードも実行する。このように、CPUが実行可能な複数の動作モードに対しても、その動作モードに適した対処(エラー要因が電圧低下であるのか否かの確認や、該当するメモリへの影響があるのか否かの確認、等)を行う必要がある。
【0028】
しかしながら、第1従来例のマイクロコンピュータでは、第2の電圧検出回路209は、CPU202aが実行可能な1つの動作モードに対して書き込み電圧を検出している。このため、書き込み動作を行う動作モード以外の動作モードについては適用できない。
【0029】
一方、第2従来例のマイクロコンピュータでは、第1の電圧検出回路110は、CPU130が実行可能な1つの動作モードに対して電源電圧VDDを検出している。しかし、複数の動作モードの各々に対して動作保障最低電圧が異なる場合は実現できない。
【0030】
これを実現させるためには、第2従来例のマイクロコンピュータでは、複数の動作モードのそれぞれに対応するように、第1の電圧検出回路110を複数個設けなければならない。この場合、回路規模が大きくなってしまう。
【0031】
このように、回路規模を大きくすることなく、複数の動作モードに対して各々異なる動作保障最低電圧を保障することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0032】
以下に、発明を実施するための形態で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0033】
本発明のマイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)(31)と、ファームウェア(34)と、電圧検出回路(36)とを具備している。ファームウェア(34)は、CPU(31)が実行可能な複数の動作モードのうちの1つの動作モードをCPU(31)に実行させる。電圧検出回路(36)は、1つの動作モードが実行されるときの電源電圧(VDD)が動作保障最低電圧以下である場合、1つの動作モードの実行を停止させるための割込信号(50)をCPU(31)に出力する。電圧検出回路(36)は、レジスタ(46)と、モードセレクタ(48)と、電圧選択回路(49)と、コンパレータ(45)とを備えている。レジスタ(46)には、複数の動作モードのそれぞれに対する分圧比を表す情報が格納されている。モードセレクタ(48)は、レジスタ(46)に格納された複数の動作モードのそれぞれに対する分圧比の中から、1つの動作モードに対応する対応分圧比を選択する。電圧選択回路(49)は、複数の分圧電圧の中から、電源電圧(VDD)の対応分圧比を表す分圧電圧を選択分圧電圧(VLVI)として選択する。コンパレータ(45)は、選択分圧電圧(VLVI)が、動作保障最低電圧の1/L(Lは1以上の正数)を表す基準電圧(VREF)以下である場合、割込信号(50)をCPU(31)に出力する。
【発明の効果】
【0034】
本発明のマイクロコンピュータでは、第1の効果として、CPU(31)が実行可能な複数の動作モードの各々に対して電源電圧(VDD)の分圧比を切り替えることにより、複数の動作モードのうちの1つの動作モードに適した処理(選択分圧電圧(VLVI)と基準電圧(VREF)との比較や、割込信号(50)の出力)を実行することができる。これにより、回路規模を大きくすることなく、複数の動作モードに対して各々異なる動作保障最低電圧を保障することができる。
【0035】
また、本発明のマイクロコンピュータでは、第2の効果として、CPU(31)が実行可能な複数の動作モードのうちの1つの動作モードで割込信号(50)が出力された場合、その動作モードに適した対処(エラー要因が電圧低下であるのか否かの確認や、該当するメモリへの影響があるのか否かの確認、等)を行うことができる。
【0036】
また、本発明のマイクロコンピュータでは、第3の効果として、内部の回路で電源電圧(VDD)の低下を検出するため、システムへの負荷(外部からの回路追加による製造コスト、基板面積、製造工程)が軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、第1従来例のマイクロコンピュータとして、特開平9−213088号公報に記載された技術の構成を示している。
【図2】図2は、第2従来例のマイクロコンピュータとして、特開2009−37456号公報に記載された技術の構成を示している。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータの構成を示している。
【図4】図4は、図3の電圧検出回路36の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態によるマイクロコンピュータについて詳細に説明する。
【0039】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータの構成を示している。
【0040】
本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータは、フラッシュメモリ32と、RAM(Random Access Memory)33と、CPU(Central Processing Unit)31と、周辺回路35と、ファームウェア34と、電圧検出回路36とを具備している。
【0041】
フラッシュメモリ32、RAM33、CPU31、電圧検出回路36には、第1、2電源電圧として電源電圧VDD、接地電圧が供給される。
【0042】
CPU31は、クロック信号に応じて動作し、フラッシュメモリ32又はRAM33に対するデータの読み出し動作、書き込み動作(消去を含む)を行う。
【0043】
周辺回路35は、CPU31に対してデータを入出力する入出力動作を行う。
【0044】
ファームウェア34は、フラッシュ書き換えモード又は通常動作モードをCPU31に実行させる。
【0045】
フラッシュ書き換えモードは、フラッシュメモリ32に対する書き込み動作を行うモードであり、大電流を必要とする。
【0046】
通常動作モードは、フラッシュメモリ32に対する書き込み動作以外の動作を行うモードであり、大電流よりも小さい低消費電流で充分である。通常動作モードは、フラッシュメモリ32に対する読み出し動作と、RAM33に対する読み出し動作、書き込み動作と、周辺回路35に対する入出力動作とを含んでいる。
【0047】
電圧検出回路36は、フラッシュ書き換えモード又は通常動作モードが実行されるときの電源電圧VDDが動作保障最低電圧以下である場合、フラッシュ書き換えモード又は通常動作モードの実行を停止させるための割込信号50をCPU31に出力する。
【0048】
図4は、図3の電圧検出回路36の構成を示している。
【0049】
電圧検出回路36は、電圧生成回路40と、基準電圧源42と、レジスタ46と、モードセレクタ48と、電圧選択回路49と、コンパレータ45と、トランジスタ43とを具備している。
【0050】
電圧生成回路40は、直列接続された抵抗素子により電源電圧VDDを分圧して複数の分圧電圧を生成する。
【0051】
基準電圧源42は、動作保障最低電圧の1/L(Lは1以上の正数)を表す電圧を生成し、基準電圧VREFとして出力する。
【0052】
レジスタ46には、フラッシュ書き換えモード、通常動作モードのそれぞれに対する分圧比である1/M、1/N(M、Nは1以上であり、M<Nを満たす正数)を表す情報が格納されている。
【0053】
ファームウェア34は、CPU31に実行させるモードとしてフラッシュ書き換えモード又は通常動作モードを表す動作モード信号47を電圧検出回路36に出力する。例えば、動作モード信号47は、それぞれフラッシュ書き換えモード、通常動作モードを表している場合、その信号レベルは、それぞれハイレベル“H”、ロウレベル“L”であるものとする。
【0054】
そこで、動作モード信号47の信号レベルがハイレベル“H”である場合、モードセレクタ48は、レジスタ46に格納されたフラッシュ書き換えモードに対する分圧比として1/Mを選択する。
【0055】
一方、動作モード信号47の信号レベルがロウレベル“L”である場合、モードセレクタ48は、レジスタ46に格納された通常動作モードに対する分圧比として1/Nを選択する。
【0056】
電圧選択回路49は、複数の分圧電圧の中から、電源電圧VDDの1/M又は1/Nを表す分圧電圧を選択分圧電圧VLVIとして選択する。
【0057】
コンパレータ45は、選択分圧電圧VLVIと基準電圧VREFとを比較し、選択分圧電圧VLVIが基準電圧VREF以下である場合、割込信号50の出力として、出力信号の信号レベルをハイレベル“H”にする。
【0058】
このコンパレータ45は、トランジスタ43から電源電圧VDDが供給されているときに動作する。
【0059】
トランジスタ43は、P型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)FET(Field Effect Transistor)であり、そのソースに電源電圧VDDが供給され、そのドレインにコンパレータ45が接続されている。
【0060】
ファームウェア34は、その信号レベルがハイレベル“H”又はロウレベル“L”である信号をトランジスタ43のゲートに供給する。その信号の信号レベルがロウレベル“L”である場合、その信号“L”は動作許可信号41としてトランジスタ43のゲートに供給される。トランジスタ43は、動作許可信号41“L”が供給されているときにオンし、電源電圧VDDをコンパレータ45に供給する。この場合、コンパレータ45は、トランジスタ43からの電源電圧VDDに応じて、選択分圧電圧VLVIと基準電圧VREFとの比較を行い、その結果として、出力信号の信号レベルをハイレベル“H”又はロウレベル“L”にする。
【0061】
例えば、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータの動作として、フラッシュ書き換えモード、通常動作モードが実行されるときの電源電圧VDDがそれぞれ2.0V、1.8V以下であるときに、電圧検出回路36は割込信号50をCPU31に出力するものとする。この場合、Mは、M=(10/9)×Nにより表される。
【0062】
以上の説明により、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータによれば、回路規模を大きくすることなく、CPU31が実行可能な複数の動作モードに対して各々異なる動作保障最低電圧を保障することができる。
【0063】
その理由として、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータでは、CPU31が実行可能な複数の動作モード(フラッシュ書き換えモード、通常動作モード)の各々に対して異なる分圧比(1/M、1/N)をレジスタ46に設定(格納)している。このため、ファームウェア34が、複数の動作モードのうちの1つの動作モードをCPU31に実行させる場合、モードセレクタ48が、レジスタ46に格納された複数の動作モードの各々に対する分圧比の中から、上記1つの動作モードに対応する対応分圧比を選択し、電圧選択回路49が、複数の分圧電圧の中から、電源電圧VDDの対応分圧比を表す分圧電圧を選択分圧電圧VLVIとして選択し、選択分圧電圧VLVIが基準電圧VREF(動作保障最低電圧の1/L)以下である場合、コンパレータ45が、上記1つの動作モードの実行を停止させるための割込信号50をCPU31に出力する。
【0064】
このように、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータでは、第1の効果として、CPU31が実行可能な複数の動作モードの各々に対して電源電圧VDDの分圧比を切り替えることにより、複数の動作モードのうちの1つの動作モードに適した処理(選択分圧電圧VLVIと基準電圧VREFとの比較や、割込信号50の出力)を実行することができる。これにより、回路規模を大きくすることなく、複数の動作モードに対して各々異なる動作保障最低電圧を保障することができる。
【0065】
また、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータでは、第2の効果として、CPU31が実行可能な複数の動作モードのうちの1つの動作モードで割込信号50が出力された場合、その動作モードに適した対処(エラー要因が電圧低下であるのか否かの確認や、該当するメモリへの影響があるのか否かの確認、等)を行うことができる。
【0066】
また、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータでは、第3の効果として、内部の回路で電源電圧VDDの低下を検出するため、システムへの負荷(外部からの回路追加による製造コスト、基板面積、製造工程)が軽減する。
【0067】
また、本発明の第1実施形態によるマイクロコンピュータでは、第4の効果として、コンパレータ45の動作をトランジスタ43で制御することにより、複数の動作モードのうちの少なくとも1つの動作モードを選択的に実行することができる。例えば、複数の動作モードのうちのフラッシュ書き換えモード、通常動作モードを有効にする場合、フラッシュ書き換えモード、通常動作モードのときにトランジスタ43をオンさせ、フラッシュ書き換えモードだけを有効にする場合、フラッシュ書き換えモードのときにトランジスタ43をオンさせればよい。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明については省略する。
【0069】
本発明の第2実施形態によるマイクロコンピュータでは、CPU31が実行可能な複数の動作モードが動作周波数によるものであっても、各々異なる動作保障最低電圧を保障することができる。
【0070】
この場合、第1実施形態におけるフラッシュ書き換えモード、通常動作モードを、それぞれ、低速モード、高速モードに代えればよい。
【0071】
低速モードは、クロック信号に応じて第1の動作周波数で動作するモードである。
【0072】
高速モードは、クロック信号に応じて第1の動作周波数よりも高い第2の動作周波数で動作するモードである。
【0073】
本発明の第2実施形態によるマイクロコンピュータでは、CPU31が実行可能な複数の動作モード(高速モード、低速モード)の各々に対して異なる分圧比(1/M、1/N)をレジスタ46に設定(格納)している。このため、ファームウェア34が、複数の動作モードのうちの1つの動作モードをCPU31に実行させる場合、モードセレクタ48が、レジスタ46に格納された複数の動作モードの各々に対する分圧比の中から、上記1つの動作モードに対応する対応分圧比を選択し、電圧選択回路49が、複数の分圧電圧の中から、電源電圧VDDの対応分圧比を表す分圧電圧を選択分圧電圧VLVIとして選択し、選択分圧電圧VLVIが基準電圧VREF(動作保障最低電圧の1/L)以下である場合、コンパレータ45が、上記1つの動作モードの実行を停止させるための割込信号50をCPU31に出力する。
【0074】
例えば、本発明の第2実施形態によるマイクロコンピュータの動作として、高速モード(20MHz)、低速モード(5.0MHz)が実行されるときの電源電圧VDDがそれぞれ2.7V、1.8V以下であるときに、電圧検出回路36は割込信号50をCPU31に出力するものとする。この場合、Mは、M=(3/2)×Nにより表される。
【0075】
以上の説明により、本発明の第2実施形態によるマイクロコンピュータによれば、第1実施形態における第1〜4の効果を実現する。
【0076】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1、2実施形態と重複する説明については省略する。
【0077】
本発明の第3実施形態によるマイクロコンピュータとして、第2従来例のマイクロコンピュータの構成に対して、第1の電圧検出回路110に代えて、電圧検出回路36を設けてもよい。
【0078】
この場合、本発明の第3実施形態によるマイクロコンピュータでは、第1、2実施形態における第1〜4の効果と、第2従来例のマイクロコンピュータにおける効果とを実現する。
【0079】
なお、本発明の第1〜3実施形態によるマイクロコンピュータでは、複数の動作モードに対して各々異なる動作保障最低電圧を保障する場合、電源電圧VDDの分圧比を切り替えるのではなく、動作保障最低電圧に対して分圧比を切り替えても実現可能である。この場合、複数の分圧電圧の中から、動作保障最低電圧の対応分圧比を表す分圧電圧を基準電圧VREFとして選択することになるが、基準電圧源42にも電圧生成回路40のような回路を設ける必要があるため、回路規模が大きくなる。従って、本発明の第1〜3実施形態によるマイクロコンピュータでは、CPU31が実行可能な複数の動作モードのそれぞれに対して電源電圧VDDの分圧比を切り替える方式のほうが好ましい。
【符号の説明】
【0080】
31 CPU、
32 フラッシュメモリ、
33 RAM、
34 ファームウェア、
35 周辺回路、
36 電圧検出回路、
40 電圧生成回路、
41 動作許可信号、
42 基準電圧源、
43 トランジスタ、
45 コンパレータ、
46 レジスタ、
47 動作モード信号、
48 モードセレクタ、
49 電圧選択回路、
50 割込信号、
VDD 電源電圧、
VLVI 選択分圧電圧、
VREF 基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU(Central Processing Unit)と、
前記CPUが実行可能な複数の動作モードのうちの1つの動作モードを前記CPUに実行させるファームウェアと、
前記1つの動作モードが実行されるときの電源電圧が動作保障最低電圧以下である場合、前記1つの動作モードの実行を停止させるための割込信号を前記CPUに出力する電圧検出回路と
を具備し、
前記電圧検出回路は、
前記複数の動作モードのそれぞれに対する分圧比を表す情報が格納されたレジスタと、
前記レジスタに格納された前記複数の動作モードのそれぞれに対する前記分圧比の中から、前記1つの動作モードに対応する対応分圧比を選択するモードセレクタと、
複数の分圧電圧の中から、前記電源電圧の前記対応分圧比を表す分圧電圧を選択分圧電圧として選択する電圧選択回路と、
前記選択分圧電圧が、前記動作保障最低電圧の1/L(Lは1以上の正数)を表す基準電圧以下である場合、前記割込信号を前記CPUに出力するコンパレータと
を備えたマイクロコンピュータ。
【請求項2】
フラッシュメモリ
を更に具備し、
前記CPUは、前記フラッシュメモリに対するデータの読み出し動作、書き込み動作を行い、
前記ファームウェアは、
前記複数の動作モードのうちの、前記フラッシュメモリに対する前記書き込み動作を行うフラッシュ書き換えモード、又は、前記フラッシュメモリに対する前記書き込み動作以外の動作を行う通常動作モードを前記1つの動作モードとして前記CPUに実行させ、
前記CPUに実行させるモードとして前記フラッシュ書き換えモード又は前記通常動作モードを表す動作モード信号を前記電圧検出回路に出力し、
前記電圧検出回路において、
前記レジスタには、前記フラッシュ書き換えモード、前記通常動作モードのそれぞれに対する前記分圧比である1/M、1/N(M、Nは1以上であり、M<Nを満たす正数)を表す情報が格納され、
前記モードセレクタは、前記動作モード信号が前記フラッシュ書き換えモードを表している場合、前記レジスタに格納された前記フラッシュ書き換えモードに対する前記1/Mを前記対応分圧比として選択し、前記動作モード信号が前記通常動作モードを表している場合、前記レジスタに格納された前記通常動作モードに対する前記1/Nを前記対応分圧比として選択し、
前記電圧選択回路は、前記複数の分圧電圧の中から、前記電源電圧の前記1/M又は1/Nを表す分圧電圧を前記選択分圧電圧として選択し、前記コンパレータに出力する
請求項1に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項3】
RAM(Random Access Memory)
を更に具備し、
前記CPUは、更に、前記フラッシュメモリ又は前記RAMに対する前記読み出し動作、前記書き込み動作を行い、
前記通常動作モードは、前記フラッシュメモリに対する前記読み出し動作と、前記RAMに対する前記読み出し動作、前記書き込み動作とを含む
請求項2に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項4】
前記CPUに対してデータを入出力する入出力動作を行う周辺回路
を更に具備し、
前記通常動作モードは、前記フラッシュメモリに対する前記読み出し動作と、前記RAMに対する前記読み出し動作、前記書き込み動作と、前記周辺回路に対する前記入出力動作とを含む
請求項3に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項5】
前記ファームウェアは、
クロック信号に応じて第1の動作周波数で動作する低速モード、又は、前記クロック信号に応じて前記第1の動作周波数よりも高い第2の動作周波数で動作する高速モードを前記CPUに実行させ、
前記CPUに実行させるモードとして前記高速モード又は前記低速モードを表す動作モード信号を前記電圧検出回路に出力し、
前記電圧検出回路において、
前記レジスタには、前記高速モード、前記低速モードのそれぞれに対する前記分圧比である1/M、1/N(M、Nは1以上であり、M<Nを満たす正数)を表す情報が格納され、
前記モードセレクタは、前記動作モード信号が前記高速モードを表している場合、前記レジスタに格納された前記高速モードに対する前記1/Mを前記対応分圧比として選択し、前記動作モード信号が前記低速モードを表している場合、前記レジスタに格納された前記低速モードに対する前記1/Nを前記対応分圧比として選択し、
前記電圧選択回路は、前記複数の分圧電圧の中から、前記電源電圧の前記1/M又は1/Nを表す分圧電圧を前記選択分圧電圧として選択し、前記コンパレータに出力する
請求項1に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項6】
前記電圧検出回路は、
直列接続された抵抗素子により前記電源電圧を分圧して前記複数の分圧電圧を生成する電圧生成回路
を更に備えた請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロコンピュータ。
【請求項7】
前記電圧検出回路は、
前記動作保障最低電圧の1/Lを表す電圧を生成し、前記基準電圧として出力する基準電圧源
を更に備えた請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロコンピュータ。
【請求項8】
前記電圧検出回路は、
そのゲートに動作許可信号が供給されているときにオンし、前記電源電圧を前記コンパレータに供給するトランジスタ
を更に備え、
前記コンパレータは、前記トランジスタから前記電源電圧が供給されているときに動作する
請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロコンピュータ。
【請求項9】
CPU(Central Processing Unit)を具備するマイクロコンピュータの動作方法であって、
前記CPUが実行可能な複数の動作モードのうちの1つの動作モードを前記CPUに実行させるステップと、
前記1つの動作モードが実行されるときの電源電圧が動作保障最低電圧以下である場合、前記1つの動作モードの実行を停止させるための割込信号を前記CPUに出力するステップと
を具備し、
前記割込信号を出力するステップは、
前記複数の動作モードのそれぞれに対する分圧比の中から、前記1つの動作モードに対応する対応分圧比を選択するステップと、
複数の分圧電圧の中から、前記電源電圧の前記対応分圧比を表す分圧電圧を選択分圧電圧として選択するステップと、
前記選択分圧電圧が、前記動作保障最低電圧の1/L(Lは1以上の正数)を表す基準電圧以下である場合、前記割込信号を前記CPUに出力するステップと
を備えたマイクロコンピュータの動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−210152(P2011−210152A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79354(P2010−79354)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】