説明

マイクロバブル発生用ノズル

【課題】オリフィスに設けた小孔が絞り部に相当し、ノズルを洗浄用に用い、特に湯水に洗浄剤を入れて湯水を循環させる場合には、湯水中に混入したゴミの除去が不十分であると、小孔にゴミが詰まり小孔を閉塞させ、1〜2個の小孔が閉塞されただけでも、充分にマイクロバブルを発生させることができなくなる、という従来の問題点に鑑み、たとえゴミが絞り部に詰まっても容易に除去することのできるマイクロバブル発生用ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル本体11の底部中央からノズル本体11内に加圧された湯水を導入する入水口10を設けると共に、周面に開口31を備えた中子3をノズル本体11内に挿入し、中子3の底部外周の角部3aとノズル本体11の底部内周の角部11aとの間に絞り部を形成させ、この絞り部を通過した湯水を中子3の周面の開口31を通して中子3の内部32内に導き、マイクロバブルが発生した湯水を外部へ吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に洗浄するために湯水にマイクロバブルを発生させるためのマイクロバブル発生用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルを発生させるためにはいくつかの方式が提案させており、そのうちの一つとして、空気などの気体を溶解した湯水を加圧し、絞り部を通過させて減圧することにより、溶解していた気体をマイクロバブルとして湯水中に出現させるものがある。
【0003】
このような絞り部を用いたマイクロバブル発生用ノズルとして、絞り部として機能する適数の小孔を備えたオリフィスをノズル本体内に内蔵したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3762404号公報(段落0024、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のノズルでは、オリフィスに設けた小孔が絞り部に相当する。このような小孔を絞り部とするノズルを洗浄用に用いる場合であって、特に湯水に洗浄剤を入れて循環させる場合には、湯水中に混入したゴミの除去が不十分であると、小孔にゴミが詰まり小孔を閉塞させるおそれが生じる。小孔の数は比較的少数であると思われるので、1〜2個の小孔が閉塞されただけでもマイクロバブルの発生状況に大きな影響が出て、充分にマイクロバブルを発生させることができなくなる。また、湯水を加圧するポンプのモータへの負荷が増加し、モータの寿命が短くなるという不具合も生じる。
【0005】
このような不具合を解消するためには、ノズルを分解してオリフィスを交換し、あるいはオリフィスの小孔を清掃する必要があるが、このような分解清掃は使用現場で容易に行うことができず、清掃毎に使用を長時間停止させなければならない。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、たとえゴミが絞り部に詰まっても容易に除去することのできるマイクロバブル発生用ノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるマイクロバブル発生用ノズルは、加圧された湯水を絞り部を通過させて減圧し、湯水に溶解している気体をマイクロバブルとして出現させるマイクロバブル発生用ノズルにおいて、有底筒状のノズル本体を備え、このノズル本体の底部中央からノズル本体内に加圧された湯水を導入する入水口を設けると共に、周面に開口を備えた有底筒状の中子をノズル本体の内面との間に所定の間隔を確保した状態でノズル本体内に挿入し、中子の底部外周の角部とノズル本体の底部内周の角部との間に上記絞り部を形成させ、この絞り部を通過した湯水を中子の周面の開口を通して中子内に導き、マイクロバブルが発生した湯水を中子内から外部へ吐出させることを特徴とする。
【0008】
従来のノズルでは絞り部は小孔であったが、上記構成では中子の底部外周の角部とノズル本体の底部内周の角部との間に形成される隙間を絞り部とした。したがって,この絞り部は小孔ではなく環状になる。
【0009】
上記中子は挿入方向に所定の付勢力で付勢されており、上記絞り部にゴミなどによる閉塞が生じた場合に、入水口から導入される湯水の圧力により中子を付勢力に抗して挿入方向に対して反対方向に移動させ、絞り部の間隔を広げることにより閉塞を解除し得るように構成すれば、定期的にノズルを分解して清掃する必要が無く、万一絞り部にゴミが詰まっても自動的にゴミが除去される。
【0010】
なお、上記中子を挿入方向に対して反対方向に引くための把持部を設け、この把持部を引くことにより上記付勢力に抗して中子を強制的に移動させ、絞り部の閉塞を解除し得るように構成すれば、ノズルを分解することなく定期的に絞り部を清掃することができる。
【0011】
また、中子の挿入方向の位置を移動させ、上記絞り部の間隔を増減調節し得るように構成すれば、圧力の変動や湯水の温度変化などによりマイクロバブルの発生条件が変動しても、絞り部の間隔をその場で微調整することができる。
【0012】
上記ノズル本体の底部内面と中子の底部外面との間隔を、上記入水口から絞り部に向かって狭めれば、絞り部に湯水が到達する前に湯水の圧力が低下することを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、絞り部が環状に形成されるので、小孔を絞り部としていた従来のものよりゴミによる絞り部の閉塞が生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1を参照して、1は本発明によるマイクロバブル発生用ノズル(以下、ノズルという)である。このノズル1はポンプユニット2に接続されており、ポンプユニット2から供給される加圧された湯水中にマイクロバブルを発生させてシンク21に吐出するものである。被洗浄物をシンク21内にセットしておき、ノズル1から吐出されるマイクロバブルを含んだ湯水を被洗浄物にかけて洗浄を行う。
【0015】
湯水はシンク21からフィルタ22に吸引され、ゴミが除去された後、タンク23に回収される。タンク23内の湯水はポンプ24に吸引されるが、その際エアフィルタ25を介して吸引される空気とタンク23から吸引される湯水とがポンプ24内で撹拌混合され、気液分離タンク26に送られる。
【0016】
ポンプ24内で空気と湯水とが撹拌混合されるので、湯水中に空気が熔解するが、熔解しきれず気泡状態で残留する空気は気液分離タンクで湯水から分離されて排気される。気泡が分離された湯水はヒータ27で適温に加熱された後、再びノズル1に送られる。
【0017】
図2を参照して、ノズル1は有底円筒状のノズル本体11を備えており、このノズル本体11の底部中央に開口する入水口10から加圧された湯水がノズル本体11内に圧送される。ノズル本体11内には有底円筒状の中子3が取り付けられている。中子3の周面には全周にわたって開口31が開設されており、入水口10を通って圧送されてきた湯水はノズル本体11の内周面と中子3の外周面との間を通って開口31に至り、開口31を通って中子3の内部32に入って外部へと吐出される。
【0018】
ノズル本体11の先端には蓋12が取り付けられており、この蓋12と中子3との間にはコイルバネ13が取り付けられている。したがって,このコイルバネ13の付勢力によって中子3は常に入水口10側に向かって付勢されている。一方、ノズル本体11の内部には段部14が形成されており、中子3の外周から突出した段部33がその段部14に当接して、中子3の入水口10側への移動のストッパとして機能している。図縄値、上記コイルバネ13によって中子3の段部33がノズル本体11の段部14に押し付けられている状態になっている。
【0019】
このように、中子3の段部33がノズル本体11の段部14に押し付けられている状態で、中子3の角部3aとノズル本体11の角部11aとの間に隙間が形成されるように設定し、その隙間が絞り部となるようにした。したがって、上述のように入水口10から圧送されてくる加圧された湯水が、この絞り部を通過することによって湯水中にマイクロバブルが出現する。そして、このようにマイクロバブルが出現した湯水は中子3の内部32を通って外部に吐出される。
【0020】
上記構成では絞り部が環状に形成されるので、仮に絞り部にゴミが引っかかっても絞り部全体が閉塞することはない。また、ゴミの引っかかり量が増加し、湯水の通過できる面積が減少すると、湯水の圧力で中子3が押されて、コイルバネ13の付勢力に抗して中子3が図において右側に移動する。すると、絞り部として機能している隙間が拡がるので引っかかっていたゴミは湯水によって押し流され、自動的に清掃される。ゴミが除去されると中子3は再び図に示す状態に復帰する。
【0021】
なお、中子3の先端に補助筒4を取り付け、補助筒4の先端に折りたたみ自在の取手41を設けた。ゴミが絞り部に引っかかると上述のように自動的に除去されるが、この取手41を引けば中子3が強制的に移動されるので、絞り部にゴミが大量に引っかかる前に強制的にゴミを除去することができる。
【0022】
また、ノズル本体11の底部内面11bを、入水口10から角部11aに向かって傾斜させ、中子3の底部開弁との間隔がノズル部に向かって狭くなるように構成した。仮に、湯水の通路となるこの間隔が一定であると、湯水の通路は絞り部に向かうにしたがって円周が拡がるので実質的に通路面積が増加し、そのため湯水の圧力が絞り部に向かうにしたがって低下することになる。そのため、図示のように底部内面11bを傾斜させることにより、湯水が入水口10から絞り部に向かう途中で湯水の圧力が低下しないようにした。
【0023】
ところで、マイクロバブルの発生量を使用中に増減させる場合には絞り部の間隔を増減させればよい。ところが、上記図2に示したノズルでは絞り部の間隔を調節することができない。そこで、絞り部の間隔を調節したい場合には、図3に示す構成を採用することができる。
【0024】
図3に示す構成では、中子3の先端を蓋12より前方に突出させ、その先端にダイヤル5を螺合させた。また段部14を後退させ、段部14に段部33が当接しないように構成すると共に、中子3が回転しないように回り止め15をノズル本体11側に設けた。
【0025】
このように構成することにより、ダイヤル5を回動すると、中子3の前後方向の位置が移動し、絞り部の間隔を増減することができる。なお、本構成でもゴミが絞り部に多量に引っかかると中子3は自動的に移動してゴミを自動的に除去することができ、また、ダイヤル5に設けた取手51を引くことによりゴミを強制的に除去することができる。
【0026】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】ノズルの構造を示す断面図
【図3】ノズルの他の構造を示す断面図
【符号の説明】
【0028】
1 ノズル
2 ポンプユニット
3 中子
3a 角部
10 入水口
11 ノズル本体
11a 角部
13 コイルバネ
14 段部
15 回り止め
22 フィルタ
24 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された湯水を絞り部を通過させて減圧し、湯水に溶解している気体をマイクロバブルとして出現させるマイクロバブル発生用ノズルにおいて、有底筒状のノズル本体を備え、このノズル本体の底部中央からノズル本体内に加圧された湯水を導入する入水口を設けると共に、周面に開口を備えた有底筒状の中子をノズル本体の内面との間に所定の間隔を確保した状態でノズル本体内に挿入し、中子の底部外周の角部とノズル本体の底部内周の角部との間に上記絞り部を形成させ、この絞り部を通過した湯水を中子の周面の開口を通して中子内に導き、マイクロバブルが発生した湯水を中子内から外部へ吐出させることを特徴とするマイクロバブル発生用ノズル。
【請求項2】
上記中子は挿入方向に所定の付勢力で付勢されており、上記絞り部にゴミなどによる閉塞が生じた場合に、入水口から導入される湯水の圧力により中子を付勢力に抗して挿入方向に対して反対方向に移動させ、絞り部の間隔を広げることにより閉塞を解除し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロバブル発生用ノズル。
【請求項3】
上記中子を挿入方向に対して反対方向に引くための把持部を設け、この把持部を引くことにより上記付勢力に抗して中子を強制的に移動させ、絞り部の閉塞を解除し得るように構成したことを特徴とする請求項2に記載のマイクロバブル発生用ノズル。
【請求項4】
中子の挿入方向の位置を移動させ、上記絞り部の間隔を増減調節し得るように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロバブル発生用ノズル。
【請求項5】
上記ノズル本体の底部内面と中子の底部外面との間隔を、上記入水口から絞り部に向かって狭めたことを特徴とする請求項1から請求項4に記載のマイクロバブル発生用ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−273990(P2009−273990A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126362(P2008−126362)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(506095777)有限会社ターレス (7)
【出願人】(508143270)
【Fターム(参考)】