説明

マイクロホンユニット、及び、それを備えた音声入力装置

【課題】音声入力装置の多機能化に対応しやすい小型なマイクロホンユニットを提供する。
【解決手段】マイクロホンユニット1は、第1の振動部14と、第2の振動部15と、第1の振動部14及び第2の振動部15から得られた電気信号を処理する電気回路部16と、第1の振動部14、第2の振動部15及び電気回路部16を収容すると共に、第1の音孔132と第2の音孔133とが設けられる筐体10と、を備える。筐体10には、第1の音孔132から入力される音圧を第1の振動板142の一方の面142aに伝達すると共に、第2の振動板152の一方の面152aに伝達する第1の音道41と、第2の音孔133から入力される音圧を第2の振動板152の他方の面152bに伝達する第2の音道42と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力音を電気信号に変換して出力する機能を備えたマイクロホンユニットに関する。また、本発明は、そのようなマイクロホンユニットを備える音声入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイプの音声入力装置(例えば、携帯電話機やトランシーバ等の音声通信機器、音声認証システム等の入力された音声を解析する技術を利用した情報処理システム、録音機器など)に、入力音を電気信号に変換して出力する機能を備えたマイクロホンユニットが適用されている。このようなマイクロホンユニットは、例えば背景雑音を抑圧して近接音のみを収音することが求められることもあれば、近接音のみならず遠方の音も含めて収音することが求められることもある。
【0003】
以下、マイクロホンユニットを備える音声入力装置の一例として携帯電話機を挙げて説明する。携帯電話機を用いて通話を行う場合、通常は、ユーザは携帯電話機を手で持ち、マイク部分に口を近づけて使用する。このため、携帯電話機に備えられるマイクロホンとしては、一般的に背景雑音を抑圧して近接音のみを収音する機能(接話マイクとしての機能)が求められる。
【0004】
しかし、近年の携帯電話機においては、例えば自動車の運転中等において手で持つことなく通話が行えるように、ハンズフリー機能が備えられたり、ムービー録画を行える機能が備えられたりしている。ハンズフリー機能を用いて携帯電話機を使用する場合には、ユーザの口の位置は携帯電話機から離れた位置にあるために、マイクロホンの機能として、近接音のみならず遠方の音も含めて収音する機能が求められる。また、ムービー録画を行う場合も、録画を行う場の雰囲気を録音する必要があるために、マイクロホンの機能として、近接音のみならず遠方の音も含めて収音する機能が求められる。
【0005】
すなわち、近年においては、携帯電話機の多機能化により、背景雑音を抑圧して近接音のみを収音する機能と、近接音のみならず遠方の音も含めて収音する機能との両方が求められることがある。このような要求に対応するために、接話マイクとしての機能を備えるマイクロホンユニットと、遠方の音も収音可能な全指向性のマイクロホンユニットと、を別々に搭載することが挙げられる。
【0006】
また、他の手法として、例えば特許文献1に開示されるマイクロホンユニットを携帯電話機に適用することが挙げられる。特許文献1に開示されるマイクロホンユニットは、音声を入力する2つの開口部のうちの一方を開閉機構によって開放状態と閉塞状態とに切り替えられるようになっている。そして、特許文献1に開示されるマイクロホンユニットは、2つの開口部が開放されている時には両指向性の差動マイクロホンとして機能し、2つの開口部の一方が閉塞されている時には全指向性マイクロホンとして機能する。
【0007】
両指向性の差動マイクロホンとして機能する場合には、背景雑音を抑圧して近接音のみを収音できるために、携帯電話機をユーザが手に持って使用する場合に適している。一方、全指向性マイクロホンとして機能する場合には、遠方の音も収音できるためにハンズフリー機能やムービー録画機能を使用する場合に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−135777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のように接話マイクとしての機能を備えるマイクロホンユニットと、全指向性のマイクロホンユニットと、を別々に搭載する場合、携帯電話機におけるマイクロホンユニットを実装する実装基板の面積を大きくする必要が生じる。近年においては、携帯電話機の小型化の要求が強いため、マイクロホンユニットを実装する実装基板の面積の拡大する必要がある上記対応は望ましくない。
【0010】
また、特許文献1の構成の場合、メカニカルな機構を用いて、両指向性の差動マイクロホンとしての機能を発揮させるか、全指向性マイクロホンとしての機能を発揮させるかを切り替える構成となっている。メカニカルな機構は、落下時の衝撃に弱く、また磨耗し易いために、耐久性の面で懸念がある。
【0011】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、音声入力装置の多機能化に対応しやすい小型なマイクロホンユニットを提供することである。また、本発明の他の目的は、そのようなマイクロホンを備える高品質の音声入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明のマイクロホンユニットは、第1の振動板の振動に基づいて音信号を電気信号に変換する第1の振動部と、第2の振動板の振動に基づいて音信号を電気信号に変換する第2の振動部と、前記第1の振動部及び前記第2の振動部を収容すると共に、第1の音孔と第2の音孔とが設けられる筐体と、を備え、前記筐体には、前記第1の音孔から入力される音圧を前記第1の振動板の一方の面に伝達すると共に、前記第2の振動板の一方の面に伝達する第1の音道と、前記第2の音孔から入力される音圧を前記第2の振動板の他方の面に伝達する第2の音道と、前記第1の振動板の他方の面に面する密閉空間と、が設けられていることを特徴としている。
【0013】
本構成のマイクロホンユニットによれば、第1の振動部を利用して近接音のみならず遠方の音も収音できる全指向性マイクロホンとしての機能が得られると共に、第2の振動部を利用して遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向性の差動マイクロホンとしての機能が得られる。このために、マイクロホンユニットが適用される音声入力装置(例えば携帯電話機等)の多機能化に対応しやすい。具体例を挙げると、例えば携帯電話機の接話モードでは両指向性の差動マイクロホンとしての機能を利用し、ハンズフリーモードやムービー録画モードでは全指向性マイクロホンとしての機能を利用するといった使い方が可能になる。そして、本構成のマイクロホンユニットは2つの機能を兼ね備えるために、2つのマイクロホンユニットを別々に搭載する必要なく、音声入力装置の大型化を抑制しやすい。
【0014】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記筐体は、前記第1の振動部及び前記第2の振動部を搭載する搭載部と、前記搭載部に被せられて前記搭載部と共に前記第1の振動部及び前記第2の振動部を収容する収容空間を形成する蓋部と、からなって、前記搭載部には、第1の開口部と、第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通する中空空間と、が形成され、前記蓋部には、前記第1の音孔と、前記第2の音孔と、前記第1の音孔と連通すると共に前記収容空間を形成する凹部空間と、が形成され、前記第2の振動部は、前記第1の開口部を覆い隠すように前記搭載部に配置され、前記第1の音道は、前記第1の音孔と前記収容空間とを用いて形成され、前記第2の音道は、前記第2の音孔と、前記第2の開口部と、前記中空空間と、前記第1の開口部とを用いて形成されていることとしてもよい。
【0015】
本構成によれば、マイクロホンユニットを構成する筐体を少ない部材で得られ、マイクロホンユニットの小型化や薄型化を図り易い。また、本構成によれば、2つの音孔を同一面に設ける構成とできるために、音声入力装置側の構造を複雑化することなく、マイクロホンユニットを音声入力装置に適用できる。
【0016】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記密閉空間は、前記第1の振動板と、前記搭載部の前記第1の振動板が搭載される搭載面との間に形成されていることしてもよい。
【0017】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記第1の振動部は、前記搭載部に形成される溝部の開口面を覆い隠すように配置され、前記溝部は前記密閉空間の一部となっていることとしてもよい。本構成によれば、第1の振動板の他方の面(音圧が伝達されない側の面)側に設けられる密閉空間(背室)の容積を増やせる。このために、第1の振動部のマイク感度を向上することができる。
【0018】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記搭載部には、一方の開口が前記第1の振動部で覆い隠され、他方の開口が前記第1の振動部の搭載側と反対側に配置される実装基板で覆い隠されることによって前記密閉空間の一部となる貫通孔が形成されていることとしてもよい。このように構成することによって、第1の振動部の背室の容積を大きくすることができ、第1の振動部のマイク感度を向上することができる。
【0019】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記筐体は、前記第1の振動部及び前記第2の振動部を搭載する搭載部と、前記搭載部に被せられて、前記搭載部と共に、前記第1の振動部を収容する第1の収容空間と前記第2の振動部を収容する第2の収容空間とを形成する蓋部と、からなって、前記搭載部には、第1の開口部と、第2の開口部と、第3の開口部と、前記第1の開口部及び前記第2の開口部と前記第3の開口部とを連通する中空空間と、が形成され、前記蓋部には、前記第1の音孔と、前記第2の音孔と、前記第1の収容空間を形成する第1の凹部空間と、前記第2の音孔と連通すると共に前記第2の収容空間を形成する第2の凹部空間と、が形成され、前記第1の振動部は、前記第1の開口部を覆い隠すように前記搭載部に配置され、前記第2の振動部は、前記第2の開口部を覆い隠すように前記搭載部に配置され、前記第1の音道は、前記第1の音孔と、前記第3の開口部と、前記中空空間と、前記第1の開口部と、前記第2の開口部と、を用いて形成され、前記第2の音道は、前記第2の音孔と、前記第2の収容空間と、を用いて形成され、前記密閉空間は、前記第1の収容空間を用いて形成されていることとしてもよい。このように構成しても、マイクロホンユニットを構成する筐体を少ない部材で得られ、マイクロホンユニットの小型化や薄型化を図り易い。また、本構成によれば、2つの音孔を同一面に設ける構成とできるために、音声入力装置側の構造を複雑化することなく、マイクロホンユニットを音声入力装置に適用できる。
【0020】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記搭載部が、ベースと、前記ベースに積層されて前記第1の振動部及び第2の振動部が実装されるマイク基板と、を含む構成としてもよい。本構成のように搭載部を複数部材とすることにより第2の音道の形成が容易となる。
【0021】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記第1の振動部から得られた電気信号を処理する第1の電気回路部と、前記第2の振動部から得られた電気信号を処理する第2の電気回路部と、を備えることとしてもよいし、前記第1の振動部及び前記第2の振動部から得られた電気信号を処理する1つの電気回路部を備えることとしてもよい。
【0022】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記電気回路部が1つである場合には、前記電気回路部は、前記第1の振動部と前記第2の振動部との間に挟まれるように配置されているのが好ましい。本構成によれば、2つの振動部のいずれも電気回路部に近接配置することが可能になる。このため、本構成のマイクロホンユニットによれば、電磁ノイズによる影響を抑制して良好なSNR(Signal to Noise Ratio)を確保し易い。
【0023】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、外部からスイッチ信号を入力するスイッチ用電極が設けられ、前記電気回路部には、前記スイッチ信号に基づいて切替動作を行う切替回路が含まれることとしてもよい。本構成によれば、例えば、第1の振動部に対応する信号と、第2の振動部に対応する信号とについて、いずれか一方を選択的に出力させたり、両者を出力する位置を切り替えて出力させたりすることが可能となる。
【0024】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記切替回路は、前記スイッチ信号に基づいて、前記第1の振動部に対応する信号と前記第2の振動部に対応する信号とのうち、いずれか一方が外部へと出力されるように切替動作を行うこととしてもよい。本構成によれば、マイクロホンユニットが適用される音声入力装置側において、両信号のいずれを使用するかを選択するための切替回路を設けなくてよい。
【0025】
上記構成のマイクロホンユニットにおいて、前記電気回路部は、前記第1の振動部に対応する信号と、前記第2の振動部に対応する信号とを、別々に出力することとしてもよい。本構成のように、両信号を別々に出力する構成とした場合には、マイクロホンユニットが適用される音声入力装置において、両信号を用いた演算処理を行って指向特性の制御を行うことも可能になる。
【0026】
上記目的を達成するために本発明は、上記構成のマイクロホンユニットを備える音声入力装置であることを特徴としている。
【0027】
本構成によれば、マイクロホンユニットが、遠方の音も収音できる全指向性マイクロホンとしての機能と、近接音を捕らえて遠方ノイズ抑圧性能に優れる両指向性の差動マイクロホンとしての機能とを兼ね備えるために、モード毎にマイクロホン機能を使い分けられる高品質の音声入力装置を提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、音声入力装置の多機能化に対応しやすい小型なマイクロホンユニットを提供できる。また、本発明によれば、そのようなマイクロホンユニットを備えた高品質の音声入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図
【図2】第1実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す分解斜視図
【図3】第1実施形態のマイクロホンユニットを構成する部材を上から見た概略平面図
【図4】図1のA−A位置における概略断面図
【図5】第1実施形態のマイクロホンユニットが備えるMEMSチップの構成を示す概略断面図
【図6】第1実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図
【図7】音圧Pと音源からの距離Rとの関係を示すグラフ
【図8】マイクロホンユニットの指向特性について説明するための図
【図9】マイクロホンユニット特性を説明するためのグラフ
【図10】第2実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図
【図11】第2実施形態のマイクロホンユニットが備えるマイク基板を上から見た場合の概略平面図
【図12】第3実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図
【図13】第3実施形態のマイクロホンユニットが備えるマイク基板を上から見た場合の概略平面図
【図14】第4実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図
【図15】第4実施形態のマイクロホンユニットが備えるマイク基板を上から見た場合の概略平面図
【図16】第4実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図
【図17】第5実施形態のマイクロホンユニットを構成する部材を上から見た概略平面図
【図18】第5実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図
【図19】第6実施形態のマイクロホンユニットを構成する部材を上から見た概略平面図
【図20】第6実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図
【図21】第1実施形態のマイクロホンユニットが適用される携帯電話機の実施形態の概略構成を示す図
【図22】図21のB−B位置における概略断面図
【図23】実施形態の音声入力装置の変形例を説明するためのブロック図
【図24】実施形態のマイクロホンユニットの変形例を説明するための概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明が適用されたマイクロホンユニット及び音声入力装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(マイクロホンユニット)
まず、本発明が適用されたマイクロホンユニットの実施形態について説明する。
【0032】
1.第1実施形態のマイクロホンユニット
図1は、第1実施形態のマイクロホンユニットの外観構成を示す概略斜視図である。図2は、第1実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す分解斜視図である。図3は、第1実施形態のマイクロホンユニットを構成する部材を上から見た概略平面図で、図3(a)は蓋体を上から見た図、図3(b)はMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップ及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)が搭載されたマイク基板を上から見た図、図3(c)はベースを上から見た図である。図4は、図1のA−A位置における概略断面図である。図5は、第1実施形態のマイクロホンユニットが備えるMEMSチップの構成を示す概略断面図である。図6は、第1実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図である。これらの図を参照しながら、第1実施形態のマイクロホンユニット1の構成について説明する。
【0033】
図1〜図4に示すように、第1実施形態のマイクロホンユニット1は、大きくは、ベース11と、ベース11上に積層されるマイク基板12と、マイク基板12の上面(ベース11と対向する面の反対面)側に被せられる蓋体13と、を備える構成となっている。
【0034】
ベース11は、例えば図2及び図3(c)に示すように、平面視略長方形状の板状部材からなり、その上面11aの長手方向の一端寄り(図3(c)において左寄り)には、平面視略T字状の第1の溝部111が形成されている。このベース11は、例えばFR−4等の基板材料を用いて形成してもよいし、例えばLCPやPPS等の樹脂を用いて樹脂成型によって得てもよい。FR−4等の基板材料でベース11を形成する場合には、第1の溝部111は例えばルータ等を用いて形成すればよい。
【0035】
マイク基板12は、例えば図2及び図3(b)に示すように、平面視略長方形状に形成され、その板状面(上面12a)のサイズはベース11の板状面(上面11a)のサイズと略同一となっている。このマイク基板12には、図2に示すように、その上面12aの中央寄りに第1の開口部121が形成され、その上面12aの長手方向の一端寄り(ベース11の第1の溝部111が形成された側と同じ側)に第2の開口部122が形成されている。
【0036】
第1の開口部121は、平面視略円形状の貫通孔からなり、ベース11にマイク基板12を積層した場合に、ベース11に形成される第1の溝部111の一部(より正確にはベース11の長手方向に対して平行に延びる部分の一部)と重なるように、その位置が決められている。第2の開口部122は、マイク基板12の短手方向(図3(b)の上下方向)が長手方向となる平面視略長方形状の貫通孔からなる。この第2の開口部122は、ベース11に形成される第1の溝部111の短手方向に延びる部分と重なり合うように、その位置及びサイズが決められている。
【0037】
なお、マイク基板12を構成する材料は、特に限定されるものではないが、基板材料として公知の材料が好適に使用され、例えばFR−4、セラミックス、ポリイミドフィルム等が用いられる。
【0038】
マイク基板12の上面12aには、図3(b)や図4に示すように、第1のMEMSチップ14と、第2のMEMSチップ15と、ASIC16とが搭載されている。ここで、マイク基板12に搭載されるMEMEチップ14、15とASIC16の構成について説明しておく。
【0039】
第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15とは、いずれもシリコンチップからなり、その構成は同一である。このため、第1のMEMSチップ14の場合を例に、MEMSチップの構成を説明する。なお、図5において、括弧で示した符号は第2のMEMSチップ15に対応する符号である。
【0040】
図5に示すように、第1のMEMSチップ14は、絶縁性の第1のベース基板141と、第1の振動板142と、第1の絶縁層143と、第1の固定電極144と、を有する。第1のベース基板141には平面視略円形状の開口141aが形成されている。第1のベース基板141の上に設けられる第1の振動板142は、音圧を受けて振動(図5において上下方向に振動)する薄膜で、導電性を有して電極の一端を形成している。
【0041】
第1の絶縁層143は、第1の振動板142と第1の固定電極114とが間隔Gpをあけて配置されるように設けられ、その中央部には平面視略円形状の貫通孔143aが形成されている。第1の絶縁層143の上に配置される第1の固定電極144は、第1の振動板142と略平行な状態で対向配置されており、第1の振動板142と第1の固定電極144との間でコンデンサ容量が形成される。なお、第1の固定電極144には音波が通過できるように複数の貫通孔144aが形成されており、第1の振動板142の上部側から来る音波が第1の振動板142の上面142aに到達するようになっている。
【0042】
このように、コンデンサ型のマイクロホンとして構成される第1のMEMSチップ14においては、音波の到来により第1の振動板142が振動すると、第1の振動板142と第1の固定電極144との間の静電容量が変化する。この結果、第1のMEMSチップ14に入射した音波(音信号)を電気信号として取り出せる。同様に、第2のベース基板151と、第2の振動板152と、第2の絶縁層153と、第2の固定電極154と、を備える第2のMEMSチップ15も、入射した音波(音信号)を電気信号として取り出せる。すなわち、第1のMEMSチップ14及び第2のMEMSチップ15は、音信号を電気信号に変換する機能を有する。
【0043】
なお、MEMSチップ14、15の構成は、本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、本実施形態では振動板142、152の方が固定電極144、154よりも下となっているが、これとは逆の関係(振動板が上で、固定電極が下となる関係)となるように構成しても構わない。
【0044】
ASIC16は、第1のMEMSチップ14の静電容量の変化(第1の振動板142の振動に由来する)に基づいて取り出される電気信号、及び、第2のMEMSチップ15の静電容量の変化(第2の振動板152の振動に由来する)に基づいて取り出される電気信号を増幅処理する集積回路である。
【0045】
図6に示すように、ASIC16は、第1のMEMSチップ14及び第2のMEMSチップ15にバイアス電圧を印加するチャージポンプ回路161を備える。チャージポンプ回路161は、電源電圧(例えば1.5〜3V程度)を昇圧(例えば6〜10V程度)して、第1のMEMSチップ14及び第2のMEMSチップ15にバイアス電圧を印加する。また、ASIC16は、第1のMEMSチップ14における静電容量の変化を検出する第1のアンプ回路162と、第2のMEMSチップ15における静電容量の変化を検出する第2のアンプ回路163と、を備える。第1のアンプ回路162及び第2のアンプ回路163で増幅された電気信号は、それぞれ、独立にASIC16から出力される。
【0046】
なお、本実施形態においては、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15とに共通のバイアス電圧が印加される構成となっているが、この構成に限られる趣旨ではない。例えば、チャージポンプ回路161を2つ設けて、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15に対して、別々にバイアス電圧を印加するようにしても構わない。このように構成することで、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15との間でクロストークが生じる可能性を低減できる。
【0047】
マイクロホンユニット1においては、図4に示すように、2つのMEMSチップ14、15は、振動板142、152がマイク基板12の上面12aにほぼ平行となる姿勢でマイク基板12に搭載される。また、マイクロホンユニット1においては、MEMSチップ14、15及びASIC16がマイク基板12の上面12aの長手方向(図3(b)、図4において左右方向)に一列に並んで搭載されており、その並び順は、図3及び図4を参照して、左側から順に、第2のMEMSチップ15、ASIC16、第1のMEMSチップ14となっている。
【0048】
第2のMEMSチップ15は、図3(b)及び図4を参照してわかるように、第2の振動板152がマイク基板12に形成される第1の開口部121を覆うと共に、第1の開口部121を覆い隠すように、マイク基板12の上面12aに搭載されている。
【0049】
2つのMEMSチップ14、15及びASIC16は、マイク基板12にダイボンディング及びワイヤボンディングにより実装されている。詳細には、第1のMEMSチップ14及び第2のMEMSチップ15は、図示しないダイボンド材(例えばエポキシ樹脂系やシリコーン樹脂系の接着剤等)によって、マイク基板12の上面12aと対向する底面の全体が隙間無く接合されている。このように接合することにより、マイク基板12の上面12aとMEMSチップ14、15の下面との間にできる隙間から音が漏れ込むという事態が発生しないようになっている。また、図3(b)に示すように、2つのMEMSチップ14、15の各々は、ワイヤ17によってASIC16に電気的に接続されている。
【0050】
また、ASIC16は図示しないダイボンド材によって、マイク基板12の上面12aと対向する底面が接合されている。また、図3(b)に示すように、ASIC16はワイヤ17によってマイク基板12の上面12aに形成される複数の電極端子18a、18b、18c、18dのそれぞれと電気的に接続されている。マイク基板12に形成される複数の電極端子18a〜18dは、電源電圧(VDD)入力用の電源用端子18aと、ASIC16の第1のアンプ回路162で増幅処理された電気信号を出力する第1の出力端子18bと、ASIC16の第2のアンプ回路163で増幅処理された電気信号を出力する第2の出力端子18cと、グランド接続用のGND端子18dと、からなる。
【0051】
なお、マイク基板12の上面12aに設けられる複数の電極端子18a〜18dの各々は、マイク基板12及びベース11に形成される図示しない配線(貫通配線含む)を介して、ベース11の下面11b(図4参照)に形成される外部接続用電極19(詳細には、電源用電極19a、第1の出力用電極19b、第2の出力用電極19c、GND用電極19d(図6参照)がある)に電気的に接続されている。この外部接続用電極19は、マイクロホンユニット1が実装される実装基板に形成される接続端子に接続するために使用される。
【0052】
また、以上では、2つのMEMSチップ14、15及びASIC16がワイヤボンディング実装される構成としたが、2つのMEMS14、15及びASIC16はフリップチップ実装しても勿論構わない。
【0053】
蓋体13は、図1から図4に示すように、外形が略直方体形状に設けられ、略直方体形状の凹部空間131が形成されている。この凹部空間131は、蓋体13の長手方向の一端側(図4において右側)近傍まで延びるが、他端側(図4において左側)近傍までは延びない構成となっている。蓋体13は、凹部空間131とマイク基板12との間で、2つのMEMSチップ14、15及びASIC16を収容する収容空間が形成されるように、凹部空間131とマイク基板12とが対向する姿勢とされてマイク基板12に被せられる。
【0054】
なお、蓋体13の長手方向(図3(a)の左右方向)及び短手方向(図3(a)の上下方向)の長さは、マイク基板12の上面12aのサイズと略同一に設けられている。したがって、ベース11にマイク基板12及び蓋体13を積層してなるマイクロホンユニット1は、その側面部が略面一となっている。
【0055】
蓋体上面13aの長手方向の一方端側(図3(a)においては右側)には、蓋体13の短手方向が長軸方向となる平面視略楕円形状の第1の長孔132が形成されている。この第1の長孔132は、例えば図4に示すように、蓋体13の凹部空間131へと連通している。また、蓋体上面13aの長手方向の他方端側(図3(a)においては左側)には、蓋体13の短手方向が長軸方向となる平面視略楕円形状の第2の長孔133が形成されている。この第2の長孔133は、例えば図4に示すように、蓋体13の上面13aから下面13bへと貫通する貫通孔である。
【0056】
なお、第2の長孔133は、蓋体13をマイク基板12に被せた際に、この第2の長孔133がマイク基板12に形成される第2の開口部122と連通するように、その位置が調整されている。
【0057】
また、蓋体13に形成される第1の長孔132と第2の長孔133は、ベース11、マイク基板12及び蓋体13によって形成される筐体10の内部に、音を導入するための孔であるために、以下では、第1の長孔132のことを第1の音孔132、第2の長孔133のことを第2の音孔133と表現する。
【0058】
また、蓋体13を構成する材料は、例えばLCP(Liquid Crystal Polymer;液晶ポリマ)やPPS(polyphenylene sulfide;ポリフェニレンスルファイド)等の樹脂とすることもできるし、例えばFR−4等のマイク基板12と同一の基板材料とすることもできる。
【0059】
以上のベース11、マイク基板12(2つのMEMSチップ14、15及びASIC16が実装されたもの)、蓋体13をこの順で下から順番に積層し、各部材間を例えば接着剤等で貼り合わせることで、図1に示すようなマイクロホンユニット1が得られる。このマイクロホンユニット1においては、図4に示すように、外部から第1の音孔132を介して入力された音波は、収容空間(蓋体13の凹部空間131とマイク基板12の上面12aとの間で形成される空間)を通って、第1の振動板142の上面142a及び第2の振動板152の上面152aに到達する。また、外部から第2の音孔133を介して入力された音波は、第2の開口部122、中空空間(ベース11の第1の溝部111とマイク基板12の下面12bとを用いて形成される空間)、第1の開口部121を通って第2の振動板152の下面152bに到達する。
【0060】
換言すると、マイクロホンユニット1には、第1の音孔132から入力される音圧を第1の振動板142の一方の面(上面142a)に伝達すると共に、第2の振動板152の一方の面(上面152a)に伝達する第1の音道41と、第2の音孔133から入力される音圧を第2の振動板152の他方の面(下面152b)に伝達する第2の音道42と、が設けられている。第1の振動板142の他方の面(下面142b)は、音響リークがない密閉空間(背室)Sに面している。
【0061】
なお、第1のMEMSチップ14は本発明の第1の振動部の実施形態である。第2のMEMSチップ15は本発明の第2の振動部の実施形態である。ASIC16は本発明の電気回路部の実施形態である。ベース11、マイク基板12及び蓋体13の3つを合わせたものは、本発明の筐体の実施形態である。ベース11及びマイク基板12を合わせたものは、本発明の搭載部の実施形態である。そして、ベース11の第1の溝部111とマイク基板12の下面12bとを利用して、本発明の中空空間(この空間は第1の開口部121と第2の開口部122とを連通する)の実施形態が得られる。
【0062】
また、本実施形態のマイクロホンユニット1では、筐体10を構成するベース11、マイク基板12、及び蓋体13を、いずれも基板材料であるFR−4としている。このように、筐体10を構成する材料を同一材料に統一すると、マイクロホンユニット1を実装基板にリフロー実装する場合において、構成部材の膨張係数差によってマイク基板12に搭載されるMEMSチップ14、15に不要な応力が加わるという事態を避けられる。すなわち、マイクロホンユニット1の特性の劣化を避けられる。
【0063】
また、本実施形態では、本発明の搭載部を構成するベース11を平板としているが、この形状に限定される趣旨ではない。すなわち、例えばベースの形状を、マイク基板12及び蓋体13を収容する収容凹部を有するような箱形状等としても構わない。このように構成することで、ベース11、マイク基板12及び蓋体13の位置合わせを容易とでき、マイクロホンユニット1の組み立てが容易となる。
【0064】
また、本実施形態では、ベース11に形成する第1の溝部111の形状を平面視略T字状としたが、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば平面視略矩形状(図3(c)に破線で示す構成)等としても構わない。ただし、本実施形態のように構成することによって、音道となる空間の断面積をある程度確保しつつ、ベース11によってマイク基板12を支持する面積を増やすことができる。これにより、マイク基板12が撓むことによって、マイク基板12の下面12bとベース11の第1の溝部111とを利用して形成される中空空間の断面積が小さくなるという事態を避け易い。
【0065】
また、本実施形態では、蓋体13に形成する第1の音孔132及び第2の音孔133を長孔形状としているが、この構成に限定されず、例えば平面視略円形状の孔等としても構わない。ただし、本構成のように、長孔形状とすることにより、例えばマイクロホンユニット1の長手方向(図4の左右方向が該当)の長さが大きくなるのを抑制しつつ、音孔の断面積を大きくできるので好ましい。
【0066】
そして、これと同様の趣旨で、マイク基板12に設けられる第2の開口部122も長孔形状としているが、この形状も適宜変更可能である。また、本実施形態では、第2の音孔133から入力した音波の通り道を、サイズの大きな1つの貫通孔(第2の開口部122)によって形成している。しかし、この構成に限らず、例えば、マイク基板12の短手方向(図3(b)の上下方向)に沿って並ぶ複数の小さな(本実施形態の第2の開口部122のサイズに比べて小さな)貫通孔からなる構成等としても構わない。このように構成することにより、第2の音孔133から入力した音波の通り道を確保するためにマイク基板12に設ける貫通孔を形成し易い。なお、貫通孔を複数とするのは、音道の断面積を大きくするためである。
【0067】
また、本実施形態では、ASIC16が2つのMEMSチップ14、15の間に挟まれるように配置する構成としたが、必ずしも、この構成に限定されない。ただし、本実施形態のように、ASIC16を2つのMEMSチップ14、15の間に挟まれるように構成した場合、ワイヤ17による各MEMSチップ14、15とASIC16との電気的な接続を行ない易い。また、各MEMSチップ14、15とASIC16との距離が短くなるために、マイクロホンユニット1から出力される信号について、電磁ノイズによる影響を抑制して良好なSNRを確保し易い。
【0068】
次に、第1実施形態のマイクロホンユニット1の作用効果について説明する。
【0069】
マイクロホンユニット1の外部で音が生じると、第1の音孔132から入力された音波が第1の音道41によって第1の振動板142の上面142aに到達し、第1の振動板142が振動する。これにより、第1のMEMSチップ14において静電容量の変化が生じる。第1のMEMSチップ14の静電容量の変化に基づいて取り出された電気信号は、第1のアンプ回路162によって増幅処理されて第1の出力用電極19bから出力される(図4及び図6参照)。
【0070】
また、マイクロホンユニット1の外部で音が生じると、第1の音孔132から入力された音波が第1の音道41によって第2の振動板152の上面152aに到達すると共に、第2の音孔133から入力された音波が第2の音道42によって第2の振動板152の下面152bに到達する。このために、第2の振動板152は、上面152aに加わる音圧と下面152bに加わる音圧との音圧差によって振動する。これにより、第2のMEMSチップ15において静電容量の変化が生じる。第2のMEMSチップ15の静電容量の変化に基づいて取り出された電気信号は、第2のアンプ回路163によって増幅処理されて第2の出力用電極19cから出力される(図4及び図6参照)。
【0071】
以上のように、マイクロホニンユニット1においては、第1のMEMSチップ14を用いて得られる信号と、第2のMEMSチップ15を用いて得られる信号とが、別々に外部へと出力されるようになっている。ところで、マイクロホンユニット1は、第1のMEMSチップ14のみを利用する場合と、第2のMEMSチップ15のみを利用する場合とで、異なった性質を示す。これについて、以下説明する。
【0072】
説明するに先立って、音波の性質について説明しておく。図7は、音圧Pと音源からの距離Rとの関係を示すグラフである。図7に示すように、音波は、空気等の媒質中を進行するにつれて減衰し、音圧(音波の強度・振幅)が低下する。音圧は、音源からの距離に反比例し、音圧Pと距離Rとの関係は、以下の式(1)のように表せる。なお、式(1)におけるkは比例定数である。
P=k/R (1)
【0073】
図7及び式(1)から明らかなように、音圧は音源に近い位置では急激に減衰(グラフの左側)し、音源から離れるほどなだらかに減衰(グラフの右側)する。すなわち、音源からの距離がΔdだけ異なる2つの位置(R1とR2、R3とR4)に伝達される音圧は、音源からの距離が小さいR1からR2においては大きく減衰する(P1−P2)が、音源からの距離が大きいR3からR4においてはあまり減衰しない(P3−P4)。
【0074】
図8は、マイクロホンユニットの指向特性について説明するための図で、図8(a)は第1のMEMSチップのみを利用する場合の指向特性を説明するための図、図8(b)は第2のMEMSチップのみを利用する場合の指向特性を説明するための図である。なお、図8においては、マイクロホンユニット1の姿勢は図4に示すのと同姿勢を想定している。
【0075】
音源から第1の振動板142までの距離が一定であれば、音源がどの方向にあっても第1の振動板142に加わる音圧は一定となる。すなわち、第1のMEMSチップ14のみを利用する場合、図8(a)に示すように、マイクロホンユニット1は、あらゆる方向から入射される音波を平等に受ける全指向特性を示す。
【0076】
一方、第2のMEMSチップ15のみを利用する場合、マイクロホンユニット1は、全指向性特性を示さず、図8(b)に示すように両指向特性を示す。音源から第2の振動板152までの距離が一定であれば、音源が0°又は180°の方向にある時に第2の振動板152に加わる音圧が最大となる。これは、音波が第1の音孔132から第2の振動板152の上面152aに至る距離と、音波が第2の音孔133から第2の振動板152の下面152bへと至る距離との差が最も大きくなるからである。
【0077】
これに対し、音源が90°又は270°の方向にある時に第2の振動板152に加わる音圧が最小(0)になる。これは、音波が第1の音孔132から第2の振動板152の上面152aに至る距離と、音波が第2の音孔133から第2の振動板152の下面152bへと至る距離との差がほぼ0となるからである。すなわち、第2のMEMSチップのみを利用する場合、マイクロホンユニット1は、0°及び180°の方向から入射される音波を受けやすく、90°及び270°の方向から入射される音波を受けにくい性質(両指向性)を示す。
【0078】
図9は、マイクロホンユニット特性を説明するためのグラフで、横軸は音源からの距離Rを対数に変換したもの、縦軸はマイクロホンユニットの振動板に加わる音圧レベルを示す。なお、図9において、Aは第1のMEMSチップ14のみを利用する場合のマイクロホンユニットの特性を示し、Bは第2のMEMSチップ15のみを利用する場合のマイクロホンユニットの特性を示す。
【0079】
第1のMEMSチップ14では、第1の振動板142は一方の面142aに加わる音圧によって振動するが、第2のMEMSチップ15では、第2の振動板152は両面152a、152bに加わる音圧差によって振動する。このために、図9に示すように、第1のMEMSチップ14のみを利用する場合に比べて第2のMEMSチップ15のみを利用する場合には、音源からの距離に対する振動振幅の低下も急となり、距離減衰が大きくなる。
【0080】
換言すると、第1のMEMSチップ14のみを利用する場合、第2のMEMSチップ15のみを利用する場合に比べて、マイクロホンユニット1は、マイクロホンユニット1から遠く離れた位置に音源がある遠距離音を収音する機能に優れる。一方、第2のMEMSチップ15のみを利用する場合には、マイクロホンユニット1は、マイクロホンユニット1の近傍で発生する目的音について、背景雑音(上記目的音でない音を指している)を除去して収音する機能に優れる。
【0081】
後者について、更に説明する。マイクロホンユニット1の近傍で発生する上記目的音の音圧は、第2の振動板152の上面152aと下面152bとの間で大きく減衰し、第2の振動板152の上面152aに伝達される音圧と、第2の振動板152の下面152bに伝達される音圧とは大きく異なる。一方、背景雑音は、上記目的の音に比べて音源が遠い位置にあるために、第2の振動板152の上面152aと下面152bとの間ではほとんど減衰せず、第2の振動板152の上面152aに伝達される音圧と、第2の振動板152の下面152bに伝達される音圧との音圧差は非常に小さくなる。なお、ここでは、音源から第1の音孔132までの距離と、音源から第2の音孔133までの距離とが異なる場合を前提としている。
【0082】
第2の振動板152にて受音される背景雑音の音圧差は非常に小さいために、背景雑音の音圧は第2の振動板152にてほぼ打ち消される。これに対して、第2の振動板152にて受音される上記目的音の音圧差は大きいために、上記目的音の音圧は第2の振動板152で打ち消されない。このため、第2の振動板152の振動によって得られた信号は、背景雑音が除去された上記目的音の信号であると見なせる。このため、第2のMEMSチップ15のみを利用する場合には、マイクロホンユニット1は、その近傍で発生する目的音について背景雑音を除去して収音する機能に優れることになる。
【0083】
上述のように、マイクロホンユニット1においては、第1のMEMSチップ14から取り出される信号と、第2のMEMSチップ15から取り出される信号とを、別々に処理(増幅処理)して、別々に外部に出力するようになっている。このため、このマイクロホンユニット1が適用される音声入力装置において、いずれかのMEMSチップ14、15から出力される信号を適宜選択して使うようにすれば、音声入力装置の多機能化に対応できる。
【0084】
具体例として、マイクロホンユニット1が携帯電話機に適用される場合を挙げて説明する。携帯電話機の通話時には、通常は、ユーザはマイクロホンユニット1近傍に口を近づけて話す。このために、携帯電話機の通話時の機能としては、背景雑音を除去して目的音のみを収音できることが望まれる。このため、例えば通話時には、マイクロホニンユニット1から出力される信号のうち、第2のMEMSチップ15から取り出される信号のみを使用するようにすればよい。
【0085】
上述のように、最近の携帯電話機は、ハンズフリー機能やムービー録画機能を備える。このようなモードで使用する場合は、マイクロホンユニット1から離れた遠方の音を収音できる必要がある。このために、例えば、携帯電話機のハンズフリー機能やムービー録画機能を用いる場合には、マイクロホニンユニット1から出力される信号のうち、第1のMEMSチップ14から取り出される信号のみを使用するようにすればよい。
【0086】
以上のように、本実施形態のマイクロホンユニット1は、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向特性の差動マイクロホンとしての機能と、マイクロホンユニット1から離れた位置に音源がある遠距離音を収音可能な全指向性マイクロホンとしての機能と、を兼ね備える構成となっている。このために、本実施形態のマイクロホンユニットによれば、マイクロホンユニットが適用される音声入力装置の多機能化に対応しやすい。そして、本実施形態のマイクロホンユニット1は2つの機能を兼ね備えるために、従来のように2つのマイクロホンユニットを別々に搭載する必要がなく、音声入力装置の大型化を抑制しやすい。
【0087】
また、本実施形態のマイクロホンユニット1は、ベース11、マイク基板12及び蓋体13といった3つの部材によって、第1の音道41と第2の音道42を形成する構成であり、その構成が簡単で組み立て易く、また小型化及び薄型化を図り易い。また、2つの音孔132、133を同一面13a(上面)に設ける構成であるために、このマイクロホンユニットが適用される音声入力装置の構成(音道の構成)も簡単な構成とし易い。
【0088】
なお、本実施形態のマイクロホンユニット1は、2つのMEMSチップ14、15を有する構成としているが、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向性の差動マイクロホンユニット(本発明者らが先行開発したマイクロホンユニット)に元々備えられる空間に、MEMSチップを追加配置する構成のために、MEMSチップの追加に伴うマイクロホンユニットの大型化を避けられる。以下、これについて説明する。
【0089】
本実施形態のマイクロホンユニット1において、第1のMEMSチップ14を取り除くと、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向性の差動マイクロホンユニットが得られる。このマイクロホンユニットでは、2つの音孔132、133の中心間距離が5mm程度であるのが好ましい。これは、次の理由による。
【0090】
第1の音孔132と第2の音孔133との距離が近すぎると第2の振動板152の上面152aと下面152bに加わる音圧の差が小さくなって第2の振動板152の振幅が小さくなり、ASIC16から出力される電気信号のSNRが悪くなる。このため、第1の音孔132と第2の音孔133との間の距離はある程度大きくするのが好ましい。一方で、第1の音孔132と第2の音孔133との中心間距離が大きく成りすぎると、音源から発せられた音波が、第1の音孔132及び第2の音孔133を通って第1の振動板152に到達するまでの時間差すなわち位相差が大きくなり、雑音除去性能が低下してしまう。このため、第1の音孔132と第2の音孔133との中心間距離は、4mm以上6mm以下とするのが好ましく、5mm程度がより好ましい。
【0091】
ところで、本実施形態のマイクロホンユニット1に使用されるMEMSチップ14、15の長手方向(2つの音孔132、133の中心を結ぶ線と平行な方向、図4で左右方向)の長さは例えば1mm程度、ASIC16の長手方向の長さは例えば0.7mm程度である。差動マイクロホンとして機能させる場合には、音波が第1の音孔132から第2の振動板152の上面152aへと至る時間と、音波が第2の音孔133から第2の振動板152の下面152bへと至る時間と、がほぼ同じとなるように構成するのが好ましい。このため、第2のMEMSチップ15は、収容空間(蓋体13の凹部空間131とマイク基板12の上面12aとの間で形成される空間)の第1の音孔132から離れた位置(図4では収容空間の左寄りの位置)に配置される。
【0092】
このため、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向性の差動マイクロホンユニットの収容空間には、第1のMEMSチップ14を配置可能な空間が元々存在している。したがって、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向性の差動マイクロホンとしての機能に、マイクロホンユニット1から離れた位置に音源がある遠距離音を収音可能な全指向性マイクロホンとしての機能を追加した、本実施形態のマイクロホンユニット1は小型とできる。
【0093】
なお、本実施形態において、第1のMEMSチップ14における静電容量の変化を検出する第1のアンプ回路162のアンプゲインと、第2のMEMSチップ15における静電容量の変化を検出する第2のアンプ回路163のアンプゲインとは、異なるゲインに設定して構わない。第2のMEMSチップ15の第2の振動板152は、両面152a、152bに加わる音圧差により振動するため、その振動振幅は、第1のMEMSチップ14の第1の振動板142の振動振幅よりも小さくなる。このため、例えば第2のアンプ回路163のアンプゲインを第1のアンプ回路162のアンプゲインよりも大きくしても構わない。これにより、第1のアンプ回路162からの出力信号振幅と第2のアンプ回路163からの出力信号振幅とをほぼ等しくすることができる。より具体的には、2つの音孔132、133の中心間距離が5mm程度である場合には、第2のアンプ回路163のアンプゲインは第1のアンプ回路162のアンプゲインよりも6〜14dB程度高い値に設定することが好ましい。
【0094】
2.第2実施形態のマイクロホンユニット
次に、第2実施形態のマイクロホンユニットについて説明する。第2実施形態のマイクロホンユニットの構成の大部分は第1実施形態のマイクロホンユニット1と同様である。以下、異なる部分についてのみ説明する。なお、第1実施形態のマイクロホンユニット1と重複する部分には同一の符号を付して説明する。
【0095】
図10は、第2実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図である。図10に示すように、第2実施形態のマイクロホンユニット2においては、外部(マイクロホンユニット2が実装される音声入力装置)からスイッチ信号を入力するためのスイッチ用電極19eが設けられ、このスイッチ用電極19eを介して与えられるスイッチ信号によってASIC16に設けられる切替回路164が動作するようになっている点で、第1実施形態のマイクロホンユニット1とは異なる。
【0096】
なお、このスイッチ用電極19eを設ける構成としたために、図11に示すように、マイク基板12の上面12aには、スイッチ用端子18eが設けられている。
【0097】
切替回路164は、図10に示すように、第1のアンプ回路162から出力される信号と、第2のアンプ回路163から出力される信号とのうち、いずれを外部へと出力するかを切り替える回路である。すなわち、第2実施形態のマイクロホンユニット2においては、マイクロホンユニット2から出力される信号は、第1のMEMSチップ14から取り出された信号と、第2のMEMSチップ15から取り出された信号のうちの、いずれか一方のみが出力されるようになっている。
【0098】
したがって、第1実施形態のマイクロホンユニット1と違って、第2実施形態のマイクロホンユニット2においては、ベース11の下面11bに設けられる外部接続用電極19に含まれる出力用電極が1つ(第1の出力用電極19b)となっている。また、このことに関連して、図11に示すように、マイク基板12の上面12aには第1の出力用端子18bのみが設けられ、第2の出力用端子18cは抹消されている(図3(b)も参照)。
【0099】
なお、スイッチ信号による切替回路164の切替動作は、例えば信号のH(ハイレベル)、L(ローレベル)を用いる構成等とすればよい。
【0100】
第2実施形態のマイクロホンユニット2の作用効果について説明する。
【0101】
マイクロホンユニット2の外部で音が生じると、第1の音孔132から入力された音波が第1の音道41によって第1の振動板142の上面142aに到達し、第1の振動板142が振動する。これにより、第1のMEMSチップ14において静電容量の変化が生じる。第1のMEMSチップ14の静電容量の変化に基づいて取り出された電気信号は、第1のアンプ回路162によって増幅処理される。増幅処理された信号は、スイッチ用電極19eに入力されるスイッチ信号に基づいて、切替回路164が第1のアンプ回路162と第1の出力用電極19bとを電気的に接続している場合には、第1の出力用電極19bから出力される(図10参照)。
【0102】
また、マイクロホンユニット2の外部で音が生じると、第1の音孔132から入力された音波が第1の音道41によって第2の振動板152の上面152aに到達すると共に、第2の音孔133から入力された音波が第2の音道42によって第2の振動板152の下面152bに到達する。このために、第2の振動板152は、上面152aに加わる音圧と下面152bに加わる音圧との音圧差によって振動する。これにより、第2のMEMSチップ15において静電容量の変化が生じる。第2のMEMSチップ15の静電容量の変化に基づいて取り出された電気信号は、第2のアンプ回路163によって増幅処理される。増幅処理された信号は、スイッチ用電極19eに入力されるスイッチ信号に基づいて、切替回路164が第2のアンプ回路163と第1の出力用電極19bとを電気的に接続している場合には、第1の出力用電極19bから出力される(図10参照)。
【0103】
第1実施形態の場合と同様に、第2実施形態のマイクロホンユニット2も、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向性の差動マイクロホンとしての機能と、マイクロホンユニット2から離れた位置に音源がある遠距離音を収音可能な全指向性マイクロホンとしての機能と、を兼ね備える構成となっている。ただし、第1実施形態の場合と異なり、マイクロホンユニット2においては、スイッチ信号に基づいて、前記2つの機能のいずれか一方の機能に対応した信号のみを出力するようになっている。このように構成する場合、第1実施形態の場合のように、マイクロホンユニット2を搭載する音声入力装置側で、入力された2つの音声信号のいずれを使用するかの切替動作を行わなくて済む。
【0104】
なお、本実施形態では、2つのアンプ回路162、163を設けて、アンプ回路162、163の後段に切替回路164を設けて、第1のMEMSチップ14に対応する信号と、第2のMEMSチップ15に対応する信号とを切り替えて出力する構成とした。ただし、第1のMEMSチップ14に対応する信号と、第2のMEMSチップ15に対応する信号とを切り替えて出力できればよいので、例えばアンプ回路を1つとし、アンプ回路と2つのMEMSチップ14、15との間にスイッチ信号によって切替動作を行う切替回路を配置する構成等としても構わない。
【0105】
また、本実施形態のように2つのアンプ回路162、163を設ける場合、2つのアンプ回路162、163のアンプゲインは、異なるゲインに設定して構わない。ここで、第2のアンプ回路163のアンプゲインを第1のアンプ回路162のアンプゲインよりも大きくすることが好ましい。
【0106】
また、本実施形態では、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15とに共通のバイアス電圧が印加される構成となっているが、これに限らず、他の構成としてもよい。すなわち、例えば、スイッチ信号及び切替回路を用いて、第1のMEMSチップ14及び第2のMEMSチップ15のうち、いずれがチャージポンプ回路161と電気的に接続されるかを切り替えられるようにしてもよい。このようにすれば、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15との間でクロストークが生じる可能性を低減できる。
【0107】
3.第3実施形態のマイクロホンユニット
次に、第3実施形態のマイクロホンユニットについて説明する。第3実施形態のマイクロホンユニットの構成の大部分は第1実施形態のマイクロホンユニット1と同様である。以下、異なる部分についてのみ説明する。なお、第1実施形態のマイクロホンユニット1と重複する部分には同一の符号を付して説明する。
【0108】
図12は、第3実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図である。図12に示すように、第3実施形態のマイクロホンユニット3においては、外部(マイクロホンユニット3が実装される音声入力装置)からスイッチ信号を入力するためのスイッチ用電極19eが設けられ、このスイッチ用電極19eを介して与えられるスイッチ信号によってASIC16に設けられる切替回路164が動作するようになっている点で、第1実施形態のマイクロホンユニット1とは異なる。
【0109】
なお、このスイッチ用電極19eを設ける構成としたために、図12に示すように、マイク基板12の上面12aには、スイッチ用端子18eが設けられている。
【0110】
切替回路164は、第1のアンプ回路162から出力される信号と、第2のアンプ回路163から出力される信号とが、2つの出力用電極19b、19c(外部接続用電極19の一部)のうち、いずれから出力されるかを切り替えられる構成となっている(第2実施形態の切替回路と異なる機能を有する)。
【0111】
すなわち、スイッチ用電極19eから入力されるスイッチ信号によって、切替回路164が第1のモードとなった場合には、第1の出力用電極19bからは第1のMEMSチップ14に対応した信号が出力され、第2の出力用電極19cからは第2のMEMSチップ15に対応した信号が出力される。一方、スイッチ信号によって、切替回路164が第2のモードとなった場合には、第1の出力用電極19bからは第2のMEMSチップ15に対応した信号が出力され、第2の出力用電極19cからは第1のMEMSチップ14に対応した信号が出力される。
【0112】
なお、スイッチ信号による切替回路164の切替動作は、例えば信号のH(ハイレベル)、L(ローレベル)を用いる構成等とすればよい。
【0113】
マイクロホンユニットと音声入力装置とを製造する製造者が異なる場合、音声入力装置を製造する製造者には、次のようなタイプの者が存在することが想定される。
(A)第1実施形態のマイクロホンユニット1のように、第1のMEMSチップ14に対応する信号と第2のMEMSチップ15に対応する信号の両方をマイクロホンユニットから出力して欲しいと考える者。
(B)第2実施形態のマイクロホニンユニット2のように、第1のMEMSチップ14に対応する信号と第2のMEMSチップ15に対応する信号とのうち、いずれか一方をスイッチ信号による切り替えによって、マイクロホンユニットから出力して欲しいと考える者。
【0114】
この点、第3実施形態のマイクロホンユニット3によれば、これ1つで、上記(A)、(B)のいずれの者にも対応できるので便利である。
【0115】
なお、本実施形態においても、2つのアンプ回路162、163のアンプゲインは、異なるゲインに設定して構わない。ここで、第2のアンプ回路163のアンプゲインを第1のアンプ回路162のアンプゲインよりも大きくすることが好ましい。
【0116】
4.第4実施形態のマイクロホンユニット
次に、第4実施形態のマイクロホンユニットについて説明する。第4実施形態のマイクロホンユニットの構成の大部分は第1実施形態のマイクロホンユニット1と同様である。以下、異なる部分についてのみ説明する。なお、第1実施形態のマイクロホンユニット1と重複する部分には同一の符号を付して説明する。
【0117】
図14は、第4実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図である。この図14の切断位置は図4と同様の位置を想定している。図15は、第4実施形態のマイクロホンユニットが備えるマイク基板を上から見た場合の概略平面図である。図16は、第4実施形態のマイクロホンユニットの構成を示すブロック図である。
【0118】
第4実施形態のマイクロホンユニット6と第1実施形態のマイクロホンユニット1との主な相違点は、マイク基板12上に搭載されるASICの数である。すなわち、第1実施形態では、1つのASIC16によって第1のMEMSチップ14及び第2のMEMSチップ15によって取り出される電気信号を増幅処理する構成としていた。しかし、第4実施形態のマイクロホンユニット6においては、第1のMEMSチップ14の静電容量の変化に基づいて取り出される電気信号は第1のASIC21によって増幅処理し、第2のMEMSチップ15の静電容量の変化に基づいて取り出される電気信号は第2のASIC22によって増幅処理するようになっている。
【0119】
図15に示すように、第4実施形態のマイクロホンユニット6においては、第1のASIC21は第1のMEMSチップ14に対して短手方向(マイク基板12の短手方向)に並ぶように配置され、第2のASIC22は第2のMEMSチップ15に対して長手方向に並ぶように配置されている。ただし、2つのASIC21、22をどこに配置するかは適宜変更可能である。第1のMEMSチップ14は第1のASIC21に、第2のMEMSチップ15は第2のASIC22に、各々、ワイヤ17によって電気的に接続されている。
【0120】
図16に示すように、第1のASIC21は、第1のMEMSチップ14にバイアス電圧を印加するチャージポンプ回路212を備える。チャージポンプ回路211は、電源電圧VDDを昇圧して第1のMEMSチップ14にバイアス電圧を印加する。また、第1のASIC21は、第1のMEMSチップ14における静電容量の変化を検出するアンプ回路212を備える。アンプ回路212で増幅された電気信号は第1のASIC21から出力される(OUT1)。同様に、第2のASIC22も第2のMEMSチップ15にバイアス電圧を印加するチャージポンプ回路221と、静電容量の変化を検出して増幅された電気信号を出力する(OUT2)アンプ回路222を備える。
【0121】
なお、図15に示すように、第1のASIC21は、ワイヤ17によってマイク基板12の上面12aに形成される複数の電極端子23a、23b、23cのそれぞれと電気的に接続されている。電極端子23aは電源電圧(VDD)入力用の電源用端子で、電極端子23bは第1のASIC21のアンプ回路212で増幅処理された電気信号を出力する第1の出力端子で、電極端子23cはグランド接続用のGND端子である。
【0122】
同様に、第2のASIC22は、ワイヤ17によってマイク基板12の上面12aに形成される複数の電極端子24a、24b、24cのそれぞれと電気的に接続されている。電極端子24aは電源電圧(VDD)入力用の電源用端子で、電極端子24bは第2のASIC22のアンプ回路222で増幅処理された電気信号を出力する第2の出力端子で、電極端子24cはグランド接続用のGND端子である。
【0123】
電源端子23a及び24aは、ベース11の下面11bに設けられる電源用電極パッド19a(外部接続用電極19に含まれる)に電気的に接続される。第1の出力端子23bは、ベース11の下面11bに設けられる第1の出力用電極パッド19b(外部接続用電極19に含まれる)に電気的に接続される。第2の出力端子24bは、ベース11の下面11bに設けられる第2の出力用電極パッド19c(外部接続用電極19に含まれる)に電気的に接続される。GND端子23c及び24cは、ベース11の下面11bに設けられるGND用電極パッド19dに電気的に接続される。
【0124】
また、第4実施形態のマイクロホンユニット6は、ベース11とマイク基板12とによって構成される搭載部内に設けられる音道(第2の音道42の一部)の壁面と、蓋体13の内壁と、にコーティング層CLが形成されている点においても、第1実施形態のマイクロホンユニット1とは異なる。
【0125】
例えばベース11、マイク基板12、蓋体13の材料として、その加工面(切断や切削等が施された面)から繊維状のダストが発生しやすい基板材料(例えばガラスエポキシ基板)を使用した場合、ダストがMEMEチップ14、15の固定電極144、154と振動板142、152との間の隙間(例えば1μm程度)に詰まってMEMSチップ14、15が正しく機能しなくなるといった問題が発生する場合がある。この点、第4実施形態のマイクロホンユニット6のようにコーティング層CLを施すと、微小なダストの発生を防止して、前記問題点を解消することができる。
【0126】
コーティング層CLは例えばメッキ処理技術を利用して得てもよく、より具体的には例えばCuメッキ処理によってコーティング層CLを得てもよい。また、コーティング層CLは、例えば露光現像可能なレジスト材料をカーテンコート処理することによって得てもよい。また、コーティング層CLは複数層で構成してもよい。
【0127】
なお、第4実施形態のマイクロホンユニット6では、搭載部(ベース11とマイク基板12とからなる)及び蓋体13にコーティング層CLを設ける構成としているが、この構成に限らず、例えば搭載部にのみコーティング層CLを設ける構成等としてもよい。また、搭載部及び蓋体13に設けられるコーティング層CL(具体例としてCuメッキ層)を固定電位(GND)に接続するようにしてもよい。このように構成することで、MEMSチップ14、15の上下を電磁シールドすることが可能になり、外部電磁界に対する耐性を向上させる(外部ノイズの混入を防止する)ことが可能になる。
【0128】
また、第4の実施形態のマイクロホンユニット6においては、蓋体13はLCP、PPS等の樹脂材、FR−4等のガラスエポキシ材、セラミックス材以外にも、アルミ、真鍮、鉄、銅などの導電性を有する金属材料で構成することも可能である、金属部を搭載部11あるいはユーザ基板のGND部と接続することで電磁シールドの効果を持たせることができる。また、樹脂材、ガラスエポキシ材、セラミックス材のような絶縁材料であっても表面に導電性メッキ処理を施すことによっても金属と同様の電磁シールドの効果を持たせることが可能である。具体的には、蓋体13の上部と側部の外壁面に導電性メッキ(金属メッキ)を施し、搭載部11あるいはユーザ基板のGND部と接続することで電磁シールドの効果を持たせることが可能である。
【0129】
マイクロホンユニット6を薄型化するためには、各構成部品の厚みを薄くする必要があるが、樹脂材、ガラスエポキシ材は0.2mm以下の厚みになると強度的に非常に弱くなり、壁面が外部音圧によって外壁が振動してマイク本来の収音機能に悪影響を与える等の問題が発生する。蓋体の外壁面に導電性の金属膜を形成することにより、蓋体13の機械的強度を高めて外部応力に対する耐性を高めることができ、また、不要な振動を抑えることでマイク本来の収音機能を発揮することができる。
【0130】
また、搭載部及び蓋体13に設けられるコーティング層CL(具体例としてCuメッキ層)を固定電位(GNDあるいは電源)に接続するようにしてもよい。搭載部に設けられるコーティング層CLにより、MEMSチップ14、15の下方からの外部電磁界に対する耐性を向上させることができる。また、蓋体13に設けられるコーティング層CLにより、MEMSチップ14、15の上方から到来する外部電磁界に対する耐性を向上させることができる。これらにより、MEMSチップ13、15の上下の両側から電磁シールドすることが可能になり、外部電磁界から到来する耐性を大幅に向上させる(外部電磁界ノイズの混入を防止する)ことが可能になる。
【0131】
なお、電磁シールドは、マイクロホンユニット6の筐体10を覆うようにシールドカバーを被せて得ても勿論よい。更に、上記コーティング層を用いたダスト対策は、第1から第3実施形態のマイクロホンユニット1〜3にも適用可能である。
【0132】
第4実施形態のマイクロホンユニット6においても、第1実施形態と同様に、第1のMEMSチップ14から取り出される信号と、第2のMEMSチップ15から取り出される信号とを、別々に処理(増幅処理)して、別々に外部に出力するようになっている。このため、このマイクロホンユニット6が適用される音声入力装置において、いずれかのMEMSチップ14、15から出力される信号を適宜選択して使うようにすれば、音声入力装置の多機能化に対応できる。
【0133】
なお、第1のMEMSチップ14における静電容量の変化を検出するアンプ回路212のアンプゲインと、第2のMEMSチップ15における静電容量の変化を検出するアンプ回路222のアンプゲインとは、異なるゲインに設定してよい。ここで、第2のASIC22のアンプ回路222のアンプゲインを、第1のASIC21のアンプ回路212のアンプゲインよりも大きくすることが好ましい。
【0134】
5.第5実施形態のマイクロホンユニット
次に、第5実施形態のマイクロホンユニットについて説明する。第5実施形態のマイクロホンユニットは、第4実施形態のマイクロホンユニット6と同様に、2つのMEMSチップ14、15及び2つのASIC21、22を有する。MEMSチップ14、15から電気信号を取り出す構成(電気的な処理構成)については、第4実施形態のマイクロホンユニット6と同様である。しかし、この第5実施形態のマイクロホンユニットでは、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15とが別々の空間に収容された構成となっている点で、第4実施形態のマイクロホンユニット6と大きく異なる。以下、この異なる点を中心に説明する。なお、第4実施形態のマイクロホンユニット6と重複する部分には同一の符号を付し、特に説明の必要がない場合には説明を省略する。
【0135】
図17は、第5実施形態のマイクロホンユニットを構成する部材を上から見た概略平面図で、図17(a)は蓋体を上から見た図、図17(b)はMEMSチップ及びASICが搭載されたマイク基板を上から見た図、図17(c)はベースを上から見た図である。図18は、第5実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図で、図18(a)は図17(a)のC−C位置における概略断面図(図17(a)〜図17(c)の各部材が積層された状態を想定した場合の断面図)で、図18(b)は図17(a)のD−D位置における概略断面図である。
【0136】
図17(c)に示すように、平面視略矩形状のベース71には、その上面71aの長手方向の一端寄り(図17(c)において左寄り)に、平面視略矩形状の第1の溝部711が形成されている。なお、第1の溝部711の形状は一例であり、適宜変更可能である。例えば、図3(c)に示すような平面視略T字状の溝をベース71の短手方向に2つ並べたような形状でも構わない。
【0137】
図17及び図18に示すように、平面視略矩形状のマイク基板72には、その上面72a中央寄りに、第1のMEMSチップ14によって覆われる第1の開口部721と、第2のMEMSチップ15によって覆われる第2の開口部722と、が形成されている。第1の開口部721と第2の開口部722とは、マイク基板72の短手方向に並ぶように配置される。また、マイク基板72の上面72aの長手方向の一端寄り(ベース71の第1の溝部711が形成された側と同じ側)に第3の開口部723が形成されている。
【0138】
第1の開口部721及び第2の開口部722は平面視略円形状の貫通孔からなり、ベース71にマイク基板72を積層した場合に、ベース71に形成される第1の溝部711と重なるように、その位置が決められている。第3の開口部723は、マイク基板72の短手方向(図17(b)の上下方向)が長手方向となる平面視略長方形状の貫通孔からなる。この第3の開口部722も、ベース71に形成される第1の溝部711と重なり合うように、その位置及びサイズが決められている。
【0139】
なお、本実施形態では、2つASIC21、22は、それぞれ、MEMSチップ14、15とマイク基板72の長手方向に並ぶように配置されているが、その位置は適宜変更してよい。
【0140】
略直方体形状に設けられる蓋体73には、図17(a)に示すように、平面視略矩形状の第1の凹部空間731aと、平面視略L字状の第2の凹部空間731bと、が形成されている。蓋体73がマイク基板72に被せられることにより、第1の凹部空間731aとマイク基板72との間で、第1のMEMSチップ14及び第1のASIC21を収容する第1の収容空間が得られ、第2の凹部空間731bとマイク基板72との間で、第2のMEMSチップ15及び第2のASIC22を収容する第2の収容空間が得られる。
【0141】
また、蓋体73には、長手方向の一端に第1の音孔732が、長手方向の他端に第2の音孔733が形成されている。第1の音孔732は、蓋体73の上面73aから下面73bへと貫通する平面視略楕円状の貫通孔で、蓋体73をマイク基板72に被せた際に、マイク基板72に形成される第3の開口部723と連通するように、その位置が調整されている。また、平面視略楕円状の第2の音孔733は、蓋体73の第2の凹部空間731bへと連通している。
【0142】
以上のベース71、マイク基板72(2つのMEMSチップ14、15及び2つのASIC21、22が実装されたもの)、蓋体73をこの順で下から順番に積層し、各部材間を例えば接着剤等で貼り合わせることで、図18に示すようなマイクロホンユニット7が得られる。このマイクロホンユニット7においては、外部から第1の音孔732を介して入力された音波は、第3の開口部723、中空空間(ベース71の第1の溝部711とマイク基板72の下面72bとを用いて形成される空間)、第1の開口部721を通って第1の振動板142の下面142bに到達する(図18(a)参照)とともに、第3の開口部723、先述の中空空間、第2の開口部722を通って第2の振動板152の下面152bに到達する(図18(b)参照)。また、外部から第2の音孔733を介して入力された音波は、第2の収容空間(蓋体73の第2の凹部空間731bとマイク基板72の上面72aとの間で形成される空間)を通って、第2の振動板152の上面152aに到達する(図18(b)参照)。
【0143】
換言すると、マイクロホンユニット7の筐体70には、第1の音孔732から入力される音圧を第1の振動板142の一方の面(下面142b)に伝達すると共に、第2の振動板152の一方の面(下面152b)に伝達する第1の音道41と、第2の音孔733から入力される音圧を第2の振動板152の他方の面(上面152a)に伝達する第2の音道42と、が設けられている。第1の振動板142の他方の面(下面142b)は、蓋体73の第2の収容空間(蓋体73の第1の凹部空間731aとマイク基板72の上面72aとの間で形成される空間)を用いて形成される、音響リークがない密閉空間(背室)に面している。
【0144】
第5実施形態のマイクロホンユニット7も、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向特性の差動マイクロホンとしての機能(第2のMEMSチップ15から取り出される信号を使用することにより得られる)と、遠距離音を収音可能な全指向性マイクロホンとしての機能(第1のMEMSチップ14から取り出される信号を使用することにより得られる)と、を兼ね備える構成となっている。このために、第5実施形態のマイクロホンユニット7も、マイクロホンユニットが適用される音声入力装置の多機能化に対応しやすい。また、本実施形態の場合、第1のMEMSチップ14における背室容積を大きくし易く、第1のMEMSチップ14を用いる場合のマイク感度を向上しやすい。
【0145】
なお、第5実施形態の構成を採用した場合において、ASICの数は1つとしてもよい。また、第5実施形態の構成を採用した場合においても、第4実施形態の構成と同様に、一部の音道や蓋体73の内部にコーティング層CLを設けて、ダスト対策を行ってもよい。
【0146】
6.第6実施形態のマイクロホンユニット
次に、第6実施形態のマイクロホンユニットについて説明する。第6実施形態のマイクロホンユニットは、第5実施形態のマイクロホンユニット7と同様に、2つのMEMSチップ14、15及び2つのASIC21、22を有し、第1のMEMSチップ14と第2のMEMSチップ15とが別々の空間に収容された構成となっている。ただし、第5実施形態では2つのMEMSチップ14、15がマイク基板72の短手方向に並ぶように配置されたが、第6実施形態では2つのMEMSチップ14、15がマイク基板の長手方向に並ぶように配置されている。以下、この異なる点を中心に説明する。なお、第5実施形態のマイクロホンユニット7と重複する部分には同一の符号を付し、特に説明の必要がない場合には説明を省略する。
【0147】
図19は、第6実施形態のマイクロホンユニットを構成する部材を上から見た概略平面図で、図19(a)は蓋体を上から見た図、図19(b)はMEMSチップ及びASICが搭載されたマイク基板を上から見た図、図19(c)はベースを上から見た図である。図20は、第6実施形態のマイクロホンユニットの構成を示す概略断面図である(図3と同様の位置で切断した断面図である)。
【0148】
図19(c)に示すように、平面視略矩形状のベース81には、その上面81aの中央部から少しずれた位置(長手方向にずれている)に、平面視略十字状の第1の溝部811が形成されている。なお、第1の溝部811の形状は一例であり、適宜変更可能である。例えば、平面視略矩形状等でも構わない。
【0149】
図19及び図20に示すように、平面視略矩形状のマイク基板82には、その上面82aに、第1のMEMSチップ14によって覆われる第1の開口部821と、第2のMEMSチップ15によって覆われる第2の開口部822と、が形成されている。第1の開口部821と第2の開口部822とは、マイク基板82の長手方向に並ぶように配置される。また、マイク基板82の上面82aには、第1の開口部821と第2の開口部822とに挟まれるように第3の開口部823が形成されている。
【0150】
平面視略円形状の貫通孔からなる第1の開口部821は、ベース81にマイク基板82を積層した場合に、ベース81に形成される第1の溝部811の長手方向に延びる部分の一方の端部側(図19及び図20で左側)と重なるように、その位置が決められている。また、平面視略円形状の貫通孔からなる第2の開口部822は、ベース81にマイク基板82を積層した場合に、ベース81に形成される第1の溝部811の長手方向に延びる部分の他方の端部側(図19及び図20で右側)と重なるように、その位置が決められている。第3の開口部823は、マイク基板82の短手方向(図19(b)の上下方向)が長手方向となる平面視略長方形状の貫通孔からなる。この第3の開口部822は、ベース81に形成される第1の溝部811の短手方向に延びる部分と重なり合うように、その位置及びサイズが決められている。
【0151】
なお、本実施形態では、第1のASIC21は第1のMEMSチップ14とマイク基板82の短手方向に並ぶように配置され、第2のASIC22は第2のMEMSチップ1515とマイク基板82の長手方向に並ぶように配置されているが、その位置は適宜変更してよい。
【0152】
略直方体形状に設けられる蓋体83には、図19(a)に示すように、長手方向に並ぶ、平面視略矩形状の第1の凹部空間831aと、平面視略矩形状の第2の凹部空間831bと、が形成されている。蓋体83がマイク基板82に被せられることにより、第1の凹部空間831aとマイク基板82との間で、第1のMEMSチップ14及び第1のASIC21を収容する第1の収容空間が得られ、第2の凹部空間831bとマイク基板82との間で、第2のMEMSチップ15及び第2のASIC22を収容する第2の収容空間が得られる。
【0153】
また、蓋体83には、第1の凹部空間831aと第2の凹部空間831bとの間に第1の音孔832が、長手方向の一方の端部(第2の凹部空間831bが設けられる側の端部)に第2の音孔833が形成されている。第1の音孔832は、蓋体83の上面83aから下面83bへと貫通する平面視略楕円状の貫通孔で、蓋体83をマイク基板82に被せた際に、マイク基板82に形成される第3の開口部823と連通するように、その位置が調整されている。また、平面視略楕円状の第2の音孔833は、蓋体83の第2の凹部空間831bへと連通している。
【0154】
以上のベース81、マイク基板82(2つのMEMSチップ14、15及び2つのASIC21、22が実装されたもの)、蓋体83をこの順で下から順番に積層し、各部材間を例えば接着剤等で貼り合わせることで、図20に示すようなマイクロホンユニット8が得られる。このマイクロホンユニット8においては、外部から第1の音孔832を介して入力された音波は、第3の開口部823、中空空間(ベース81の第1の溝部811とマイク基板82の下面82bとを用いて形成される空間)、第1の開口部821を通って第1の振動板142の下面142bに到達するとともに、第3の開口部823、先述の中空空間、第2の開口部822を通って第2の振動板152の下面152bに到達する。また、外部から第2の音孔833を介して入力された音波は、第2の収容空間(蓋体83の第2の凹部空間831bとマイク基板82の上面82aとの間で形成される空間)を通って、第2の振動板152の上面152aに到達する。
【0155】
換言すると、マイクロホンユニット8の筐体80には、第1の音孔832から入力される音圧を第1の振動板142の一方の面(下面142b)に伝達すると共に、第2の振動板152の一方の面(下面152b)に伝達する第1の音道41と、第2の音孔733から入力される音圧を第2の振動板152の他方の面(上面152a)に伝達する第2の音道42と、が設けられている。第1の振動板142の他方の面(下面142b)は、蓋体83の第2の収容空間(蓋体83の第1の凹部空間831aとマイク基板82の上面82aとの間で形成される空間)を用いて形成される、音響リークがない密閉空間(背室)に面している。
【0156】
第6実施形態のマイクロホンユニット8も、遠方ノイズ抑圧性能に優れた両指向特性の差動マイクロホンとしての機能(第2のMEMSチップ15から取り出される信号を使用することにより得られる)と、遠距離音を収音可能な全指向性マイクロホンとしての機能(第1のMEMSチップ14から取り出される信号を使用することにより得られる)と、を兼ね備える構成となっている。このために、第6実施形態のマイクロホンユニット8も、マイクロホンユニットが適用される音声入力装置の多機能化に対応しやすい。また、本実施形態の場合、第1のMEMSチップ14における背室容積を大きくし易く、第1のMEMSチップ14を用いる場合のマイク感度を向上しやすい。
【0157】
なお、第6実施形態の構成を採用した場合において、ASICの数は1つとしてもよい。また、第6実施形態の構成を採用した場合においても、第4実施形態の構成と同様に、一部の音道や蓋体83の内部にコーティング層CLを設けて、ダスト対策を行ってもよい。
【0158】
(本発明のマイクロホンユニットが適用された音声入力装置)
次に、本発明のマイクロホンユニットが、適用された音声入力装置の構成例について説明する。ここでは、音声入力装置が携帯電話機である場合を例に説明する。また、マイクロホンユニットが第1実施形態のマイクロホンユニットである場合を例に説明する。
【0159】
図21は、第1実施形態のマイクロホンユニットが適用される携帯電話機の実施形態の概略構成を示す図である。図22は、図21のB−B位置における概略断面図である。図21に示すように、携帯電話機5の筐体51の下部側には2つの音孔511、512が設けられており、この2つの音孔511、512を介してユーザの音声が筐体51内部に配置されるマイクロホンユニット1に入力されるようになっている。
【0160】
マイクロホンユニット1は、第1の音孔132が携帯電話機5の筐体51に形成される音孔511に重なり、第2の音孔133が携帯電話機5の筐体51に形成される音孔512に重なるように配置されている。このため、携帯電話機5の筐体51の外部で発生した音声は、マイクロホンユニット1が備える第1の音道41を通って、第1のMEMSチップ14の第1の振動板142の上面142aに到達する。また、携帯電話機5の筐体51の外部で発生した音声は、マイクロホンユニット1が備える第1の音道41を通って、第2のMEMSチップ15の第2の振動板152の上面152aに到達すると共に、第2の音道42を通って、第2のMEMSチップ15の第2の振動板152の下面152bに到達する。
【0161】
なお、本実施形態の携帯電話機5においては、筐体51とマイクロホンユニット1との間には弾性体(ガスケット)53が配置されている。弾性体53には、筐体51の外部で発生した音声が、マイクロホンユニット1が備える2つの音道41、42に対応して音声が独立に、効率的に入力されるように、開口531、532が形成されている。この弾性体53は、音響的なリークを生じることなく、気密性を保つように設けられている。
【0162】
マイクロホンユニット1は、図22に示すように、携帯電話機5の筐体51内に設けられる実装基板52に実装される。この実装基板52には、マイクロホンユニット1が備える複数の外部接続用電極19と電気的に接続される複数の電極パッドが設けられており、マイクロホンユニット1は例えば半田等を用いて実装基板52と電気的に接続される。そして、これにより、マイクロホンユニット1に電源電圧が与えられ、また、マイクロホンユニット1から出力される電気信号が、実装基板52に設けられる音声信号処理部(図示せず)へと送られる。
【0163】
音声信号処理部においては、例えば接話モードである場合には、マイクロホンユニット1から出力される信号のうち、第2のMEMSチップ15に対応した信号を使用した処理を行う。また、例えばハンズフリーモードやムービー録画モードである場合には、マイクロホンユニット1から出力される信号のうち、第1のMEMSチップ14に対応した信号を使用した処理を行う。これにより、各モードにおいて好ましい信号処理を行える。接話モードと、ハンズフリーモード(及び/又はムービー録画モード)との切り替えは、例えば、携帯電話機5にモード切替用のボタン(入力部)を設けることによって行えるようにすればよい。そして、この入力部によって選択されたモード情報を、音声信号処理部に出力されるように構成することで、各モードに適切に対応した信号処理が実現できる。
【0164】
なお、第2実施形態のマイクロホンユニット2が携帯電話機5に適用される場合には、例えば接話モードである場合には、そのことを知らせるスイッチ信号がマイクロホンユニット2に入力される。このため、切替回路164の働きにより、マイクロホンユニット2からは第2のMEMSチップ15に対応した信号が出力され、音声信号処理部は第2のMEMSチップ15に対応した信号を使用した処理を行うことになる。また、例えばハンズフリーモードやムービー録画モードである場合には、スイッチ信号が入力された切替回路164の働きにより、マイクロホンユニット2からは第1のMEMSチップ14に対応した信号が出力され、音声信号処理部は第1のMEMSチップ14に対応した信号を使用した処理を行うことになる。これにより、各モードにおいて好ましい信号処理を行える。
【0165】
また、携帯電話機5に適用されるマイクロホンユニットが第1実施形態や第3〜第6実施形態のように構成されて、第1のMEMSチップ14に対応した信号と、第2のMEMSチップ15に対応した信号との両方がマイクロホンユニット1、3、6、7、8から出力される場合(図23参照)には、音声信号処理部54において、両者の信号を用いた、加算、減算、或いはフィルタ処理を行うようにしてもよい。
【0166】
このような処理を行うことによって、音声入力装置の指向特性を制御し、特定のエリアの音声を収音するようにできる。例えば、全指向性、ハイパーカーディオイド、スーパーカーディオイド、単一指向性等の任意の指向特性を実現できる。
【0167】
なお、指向特性を制御する処理は、ここでは音声入力装置によって行われる構成としているが、例えばマイクロホンユニット1、3のASIC16に指向特性を制御する処理を行える処理部を設ける構成等としてもよい。
【0168】
(その他)
以上に示したマイクロホンユニット1、2、3、6、7、8や音声入力装置5は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で、以上に示した実施形態について種々の変更を行っても構わない。
【0169】
例えば、以上に示したマイクロホンユニット1、2、3、6について、図24に示すような構成としてもよい。すなわち、図24(a)に示すように、第1のMEMSチップ14が、マイク基板12に設けられる平面視略円形状の貫通孔123の上面を覆い隠すように配置されるようにしてもよい。このように構成することで、第1の振動板142の下面142b側の密閉空間(背室)が広くなるために、第1のMEMSチップ14のマイク感度が向上する。なお、マイク基板12に設けられる貫通孔123は、本発明の、ベース11とマイク基板12とからなる搭載部に設けられる溝部の実施形態であり、貫通孔123の上面が本発明の溝部の開口面の実施形態である。
【0170】
また、図24(b)のように、第1のMEMSチップ14が、マイク基板12に設けられる平面視略円形状の貫通孔123、及び、該貫通孔123と連通するようにベース11に設けられる平面視略円形状の溝部112を覆い隠すように配置されるようにしてもよい。このように構成することで、第1の振動板142の下面142b側の密閉空間(背室)が更に広くなる(図24(a)との比較)ために、第1のMEMSチップ14のマイク感度を更に向上できる。ベース11に設けられる溝部112の開口面積は、図24(b)に破線の楕円で囲んで示すように、貫通孔123の開口面積より大きく設けるのがより好ましい。なお、マイク基板12に設けられる貫通孔123、及び、ベース11に設けられる溝部112は、本発明の、ベース11とマイク基板12からなる搭載部に設けられる溝部の実施形態であり、貫通孔123の上面が本発明の溝部の開口面の実施形態である。
【0171】
また、図24(c)のように、マイク基板12及びベース11(搭載部)を貫通する平面視略円形状の貫通孔101(マイク基板12を貫通する貫通孔123と、ベース11を貫通する貫通孔113とが組み合わされたもの)を設けて、その一方の開口を第1のMEMSチップ14で覆い隠し、他方の開口をマイクロホンユニット1、2、3、6が実装される実装基板52で覆い隠して密閉するようにしても構わない。このように構成することで、第1の振動板142の下面142b側の密閉空間(背室)が更に広くなる(図24(a)及び図24(b)との比較)ために、第1のMEMSチップ14のマイク感度を更に向上できる。
【0172】
なお、この場合には、ベース11の下面11b側に貫通孔101の周囲を取り囲むように気密保持部102を設けて、背室の気密性を保つ必要がある。気密保持部102は、例えば貫通孔101の周囲を取り囲むように設けられる半田接合部とすることができる。このようすれば、マイクロホンユニット1、2、3、6を実装基板52に実装する際の半田接合処理によって、背室の気密性を確保できる。
【0173】
なお、第1および第6実施形態のマイクロホンユニットにおいて、ベース11、81の第1の溝部111は平面視略T字状あるいは十字形状としているが、その理由は、音の入り口となる部分(第2の音孔133あるいは第1の音孔832)の開口面積を広く確保しつつ、第2の音道42あるいは第1の音道41の持つ容積が小さくなるように構成するためである。これにより、第2の音道42あるいは第1の音道41が持つ音響的な共振周波数を高周波数側に設定することができ、マイク特性を良好にすることが可能である。
【0174】
ここで、共振周波数について補足説明する。一般的に、音響空間(音道)と、これに繋がる音の入り口が存在するモデルを考えた場合、モデル固有の音響的な共振周波数を持つ。この共振はヘルムホルツ共振と呼ばれるものである。定性的には、音の入り口の面積Sが大きくなるほど、音響空間の体積Vが小さくなるほど、共振周波数は高くなり、また音の入り口の面積Sが小さくなるほど、音響空間の体積Vが大きくなるほど、共振周波数は低くなる。共振周波数が低くなり、音声周波数帯域(〜10kHz)に近接してくると、マイクロホンの周波数特性、感度特性に悪影響を与える。したがって、共振周波数はできるだけ高く設定することが望ましい。
【0175】
上記において、第2の音道42あるいは第1の音道41を平面視略T字状あるいは十字形状としたが、この形状に限定されるものではなく、MEMSチップ及びASICの配置に応じて、第2の音道42あるいは第1の音道41の空間容積が最小となるように設計することが望ましい。
【0176】
また、以上に示した実施形態では、本発明の第1の振動部及び第2の振動部が、半導体製造技術を利用して形成されるMEMSチップ14、15である構成としたが、この構成に限定される趣旨ではない。例えば、第1の振動部及び/又は第2の振動部はエレクトレック膜を使用したコンデンサマイクロホン等であっても構わない。
【0177】
また、以上の実施形態では、本発明の第1の振動部及び第2の振動部の構成として、いわゆるコンデンサ型マイクロホンを採用した。しかし、本発明はコンデンサ型マイクロホン以外の構成を採用したマイクロホンユニットにも適用できる。例えば、動電型(ダイナミック型)、電磁型(マグネティック型)、圧電型等のマイクロホン等が採用されたマイクロホンユニットにも本発明は適用できる。
【0178】
また、以上の実施形態では、ASIC16、21、22(電気回路部)がマイクロホンユニット1、2、3、6、7、8内部に含まれる構成としたが、電気回路部はマイクロホンユニットの外部に配置しても構わない。また、以上に示した実施形態では、MEMSチップ14、15とASIC16、21、22とは別チップで構成したが、ASICに搭載される集積回路はMEMSチップを形成するシリコン基板上にモノリシックで形成するものであっても構わない。
【0179】
その他、マイクロホンユニットの形状は本実施形態の形状に限定される趣旨ではなく、種々の形状に変更可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明のマイクロホンユニットは、例えば携帯電話機に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0181】
1、2、3、6、7、8 マイクロホンユニット
5 携帯電話機(音声入力装置)
10、70、80 筐体
11、71、81 ベース(筐体の一部、搭載部の一部)
12、72、82 マイク基板(筐体の一部、搭載部の一部)
13、73、83 蓋体
14 第1のMEMSチップ(第1の振動部)
15 第2のMEMSチップ(第2の振動部)
16 ASIC(電気回路部)
19e スイッチ用電極
21 第1のASIC(第1の電気回路部)
22 第2のASIC(第2の電気回路部)
41 第1の音道
42 第2の音道
101 貫通孔(搭載部に形成される貫通孔)
111、711、811 第1の溝部(中空空間の構成要素)
112 溝部(搭載部に形成される溝部の構成要素)
121、721、821 第1の開口部
122、722、822 第2の開口部
123 貫通孔(搭載部に形成される溝部の構成要素)
131 凹部空間(収容空間の構成要素)
132、732、832 第1の音孔
133、733、833 第2の音孔
142 第1の振動板
142a 第1の振動板の上面(一方の面)
152 第2の振動板
152a 第2の振動板の上面(一方の面)
152b 第2の振動板の下面(他方の面)
164 切替回路
723、823 第3の開口部
731a、831a 第1の凹部空間(第1の収容空間の構成要素)
731b、831b 第2の凹部空間(第2の収容空間の構成要素)
S 密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の振動板の振動に基づいて音信号を電気信号に変換する第1の振動部と、
第2の振動板の振動に基づいて音信号を電気信号に変換する第2の振動部と、
前記第1の振動部及び前記第2の振動部を収容すると共に、第1の音孔と第2の音孔とが設けられる筐体と、を備え、
前記筐体には、
前記第1の音孔から入力される音圧を前記第1の振動板の一方の面に伝達すると共に、前記第2の振動板の一方の面に伝達する第1の音道と、
前記第2の音孔から入力される音圧を前記第2の振動板の他方の面に伝達する第2の音道と、
前記第1の振動板の他方の面に面する密閉空間と、が設けられていることを特徴とするマイクロホンユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記第1の振動部及び前記第2の振動部を搭載する搭載部と、前記搭載部に被せられて前記搭載部と共に前記第1の振動部及び前記第2の振動部を収容する収容空間を形成する蓋部と、からなって、
前記搭載部には、第1の開口部と、第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを連通する中空空間と、が形成され、
前記蓋部には、前記第1の音孔と、前記第2の音孔と、前記第1の音孔と連通すると共に前記収容空間を形成する凹部空間と、が形成され、
前記第2の振動部は、前記第1の開口部を覆い隠すように前記搭載部に配置され、
前記第1の音道は、前記第1の音孔と前記収容空間とを用いて形成され、
前記第2の音道は、前記第2の音孔と、前記第2の開口部と、前記中空空間と、前記第1の開口部とを用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロホンユニット。
【請求項3】
前記密閉空間は、前記第1の振動板と、前記搭載部の前記第1の振動板が搭載される搭載面との間に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマイクロホンユニット。
【請求項4】
前記第1の振動部は、前記搭載部に形成される溝部の開口面を覆い隠すように配置され、前記溝部は前記密閉空間の一部となっていることを特徴とする請求項2に記載のマイクロホンユニット。
【請求項5】
前記搭載部には、一方の開口が前記第1の振動部で覆い隠され、他方の開口が前記第1の振動部の搭載側と反対側に配置される実装基板で覆い隠されることによって前記密閉空間の一部となる貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマイクロホンユニット。
【請求項6】
前記筐体は、
前記第1の振動部及び前記第2の振動部を搭載する搭載部と、
前記搭載部に被せられて、前記搭載部と共に、前記第1の振動部を収容する第1の収容空間と前記第2の振動部を収容する第2の収容空間とを形成する蓋部と、
からなって、
前記搭載部には、第1の開口部と、第2の開口部と、第3の開口部と、前記第1の開口部及び前記第2の開口部と前記第3の開口部とを連通する中空空間と、が形成され、
前記蓋部には、前記第1の音孔と、前記第2の音孔と、前記第1の収容空間を形成する第1の凹部空間と、前記第2の音孔と連通すると共に前記第2の収容空間を形成する第2の凹部空間と、が形成され、
前記第1の振動部は、前記第1の開口部を覆い隠すように前記搭載部に配置され、
前記第2の振動部は、前記第2の開口部を覆い隠すように前記搭載部に配置され、
前記第1の音道は、前記第1の音孔と、前記第3の開口部と、前記中空空間と、前記第1の開口部と、前記第2の開口部と、を用いて形成され、
前記第2の音道は、前記第2の音孔と、前記第2の収容空間と、を用いて形成され、
前記密閉空間は、前記第1の収容空間を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロホンユニット。
【請求項7】
前記搭載部が、ベースと、前記ベースに積層されて前記第1の振動部及び第2の振動部が実装されるマイク基板と、を含むことを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
【請求項8】
前記第1の振動部から得られた電気信号を処理する第1の電気回路部と、前記第2の振動部から得られた電気信号を処理する第2の電気回路部と、を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
【請求項9】
前記第1の振動部及び前記第2の振動部から得られた電気信号を処理する1つの電気回路部を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
【請求項10】
前記電気回路部は、前記第1の振動部と前記第2の振動部との間に挟まれるように配置されていることを特徴とする請求項9に記載のマイクロホンユニット。
【請求項11】
外部からスイッチ信号を入力するスイッチ用電極が設けられ、
前記電気回路部には、前記スイッチ信号に基づいて切替動作を行う切替回路が含まれることを特徴とする請求項9又は10に記載のマイクロホンユニット。
【請求項12】
前記切替回路は、前記スイッチ信号に基づいて、前記第1の振動部に対応する信号と前記第2の振動部に対応する信号とのうち、いずれか一方が外部へと出力されるように切替動作を行うことを特徴とする請求項11に記載のマイクロホンユニット。
【請求項13】
前記電気回路部は、前記第1の振動部に対応する信号と、前記第2の振動部に対応する信号とを、別々に出力することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のマイクロホンユニット。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のマイクロホンユニットを備えることを特徴とする音声入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−151767(P2011−151767A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125530(P2010−125530)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】