説明

マイクロリアクタライン洗浄システム

【課題】マイクロリアクタを包含するマイクロリアクタラインのインライン洗浄が可能なマイクロリアクタライン洗浄システムを提供する。
【解決手段】マイクロリアクタ20と、前記マイクロリアクタ20が介装された第1の流路12と、前記第1の流路12の前記マイクロリアクタ20の上流側で合流し、前記マイクロリアクタ20及び前記第1の流路12に洗剤44、すすぎ水52、揮発性溶剤60の順に流通させる洗浄機構(第1の流路12に合流する第2の流路36、第2の流路36に合流する第1の供給手段38乃至第5の供給手段70等)と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合・乳化・化学反応装置としてのマイクロリアクタに関し、特にリアクタ本体及びライン中の構成部品・機器を分解することなく、効率的にインライン洗浄するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリアクタは、直径数μmから数百μmの微細な流路を有する構造体である。またマイクロリアクタの流路内は層流で安定した流れが形成され、比表面積の割合が大きい。よって原料の混合特性、熱伝達特性が大きく向上するため原料の反応効率が向上することになる。このような特性を有するマイクロリアクタは、混合・乳化・化学反応を行なうためのデバイスとして近年注目を集めている。
【0003】
マイクロリアクタは、流路が微細であるためにマイクロリアクタ1台当たりの流量は小さい。このため生産装置としての生産量を増やすために複数台のリアクタを並列に配置(ナンバリングアップ)して用いるのが通常である(特許文献1参照)。
【0004】
マイクロリアクタの運転過程では、原料中の成分あるいは反応生成物・副生成物が流路内に吸着・析出し流路の壁面に堆積することによって、時間の経過とともに流路が閉塞する可能性がある。そのような場合、ライン中の圧力が上昇し、構成部品・機器が破損したり、また反応条件の変化により生成物の品質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
上記の事態を回避するためには、マイクロリアクタを洗浄し、流路内に堆積した汚れを除去しなければならない。一般にナンバリングアップにより機器構成が複雑化しており、ライン中の構成部品・機器を全て分解することが非常に煩雑であることや、また洗浄を実施した直後に運転を再開することができれば生産効率が向上することから、洗浄方法としては、マイクロリアクタ本体やライン構成部品・機器の分解・組み立て作業が不要なインライン洗浄(定置洗浄またはCIP:Cleaning In Place)が望ましい。
【0006】
図2に従来技術に係るマイクロ化学反応システムを示す。図2に示すように特許文献1においては、2種以上の原料を供給する原料供給部102と、それぞれが前記2種以上の原料を合成させることによって反応を進行させるマイクロ化学チップ104とを有する複数の反応ライン106を並列に設置したマイクロ化学反応システム100であって、前記反応ライン106は定常的に稼動する定常ライン108と少なくとも1つの予備ライン110を有し、前記定常ライン108にはそれぞれ定常ライン108が異常状態であることを検出する状態検出手段112、114、116が設けられ、前記原料供給部102と前記複数の反応ライン106の間には定常ライン108が異常状態となったときに原料を予備ライン110へ流すための供給切替弁118が設けられた構成が開示されている。
【0007】
また特許文献2においては、反応後のマイクロ化学デバイスに酸化剤水溶液を通液する方法が開示されている。
しかし、特許文献1においては具体的な洗浄方法については明示されておらず、また通常状態であれば予備ライン110を用いないので、予備ライン110を設けた分だけ生産効率が低下する問題がある。また特許文献2においては洗浄方法も具体的に示されているが、洗浄後リアクタ内に残存した洗浄液・すすぎ液の影響については述べられておらず、長時間マイクロリアクタを使用しない場合は、微生物発生や構成部品の侵食を引き起こす虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−222849号公報
【特許文献2】特開2000−144634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に着目し、マイクロリアクタ本体及びマイクロリアクタが介装されたライン中の構成部品・機器を任意の時間・条件により自動でインライン洗浄して流路内の汚れを除去し、マイクロリアクタ及びラインを初期状態に回復させ効率的にラインを製造工程に復帰させるマイクロリアクタの洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため、本発明に係るマイクロリアクタの洗浄システムは、第1には、マイクロリアクタと、前記マイクロリアクタが介装された流路と、前記流路の前記マイクロリアクタの上流側で合流し、前記マイクロリアクタ及び前記流路に洗剤、すすぎ水、揮発性溶剤の順に流通させる洗浄機構と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記構成により、洗剤によりマイクロリアクタ及びマイクロリアクタが介装された流路を洗浄するとともに、洗剤をすすぎ液により流路から排出し、洗剤により落としきれなかった流路内の被洗浄成分を、揮発性溶剤を用いて洗浄することになる。よって、マイクロリアクタ及び流路を分解することなく確実に洗浄することができる。
【0012】
第2には、前記洗浄機構は、前記流路の前記マイクロリアクタの上流側で合流する第2の流路と、前記流路と前記第2の流路の合流位置に介装され、前記マイクロリアクタの上流側を前記流路の上流側及び前記第2の流路のいずれか一方に接続可能な第1の接続切替弁と、前記第2の流路に合流し、前記第2の流路に洗剤を供給可能な第1の供給手段と、前記第2の流路に合流し、前記第2の流路にすすぎ液を供給可能な第2の供給手段と、前記第2の流路に合流し、前記第2の流路に揮発性溶剤を供給可能な第3の供給手段と、前記第1の接続切替弁を前記第2の流路側に接続したのち、前記第1の供給手段、前記第2の供給手段、前記第3の供給手段の順に切り替え駆動させ、前記洗剤、前記すすぎ液、前記揮発性溶剤をそれぞれ前記流路に供給する制御を行なう制御手段と、を有することを特徴とする。
上記構成により、流路に洗剤、すすぎ水、揮発性溶剤の順でこれらの流体を確実に流通させることができる。
【0013】
第3には、前記流路の前記マイクロリアクタの下流側には、前記マイクロリアクタの下流側を前記流路の下流側及び前記第1の供給手段側のいずれか一方に接続可能な第2の接続切替弁が介装され、前記制御手段は、前記第1の供給手段の駆動時に前記第2の接続切替弁を前記第1の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、洗剤は流路と第2の流路との間で循環させることができるので、洗剤の消費量を節約しつつマイクロリアクタ及び流路の洗浄を確実に行うことができる。
【0014】
第4には、前記制御手段は、前記第1の供給手段を駆動させたのち所定時間経過後に前記第2の接続切替弁を前記第1の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、洗剤を流通させた直後に発生する大量の被洗浄成分を流路から排出したのち流路と第2の流路との間で洗剤を循環させることになる。よって循環させる洗剤の被洗浄成分による劣化を抑制して、効率よく洗浄を行うことができる。
【0015】
第5には、前記第2の流路には、前記第2の流路に第2の洗剤を供給する第4の供給手段が介装され、前記制御手段は、前記洗剤の供給後且つ前記すすぎ液を供給する前に前記第2の接続切替弁を前記流路の下流側に接続するとともに前記第4の供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、被洗浄成分を含有する洗剤を第2の洗剤により流路から排出することになる。よって被洗浄成分と第2の供給手段が供給するすすぎ液とが混ざり合い、被洗浄成分が流路に再付着する、または被洗浄成分が変質し流路に再付着することを防止して流路の洗浄度の劣化を防止することができる。
【0016】
第6には、前記流路の前記マイクロリアクタの下流側には、前記マイクロリアクタの下流側を前記流路の下流側及び前記第3の供給手段側のいずれか一方に接続可能な第3の接続切替弁が介装され、前記制御手段は、前記第3の供給手段の駆動時に前記第3の接続切替弁を前記第3の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、揮発性溶剤は流路と第2の流路との間で循環させることができるので、揮発性溶剤の消費量を節約しつつマイクロリアクタ及び流路の洗浄を確実に行うことができる。
【0017】
第7には、前記制御手段は、前記第3の供給手段を駆動させたのち所定時間経過後に前記第3の接続切替弁を前記第3の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、揮発性溶剤を流通させた直後に発生する大量の被洗浄成分を流路から排出したのち流路と第2の流路との間で揮発性溶剤を循環させることになる。よって循環させる揮発性溶剤の被洗浄成分による劣化を抑制して、効率よく洗浄を行うことができる。
【0018】
第8には、前記第2の流路には、前記第2の流路に第2の揮発性溶剤を供給する第5の供給手段が介装され、前記制御手段は、前記揮発性溶剤の供給後に前記第5の供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、被洗浄成分を含有する揮発性溶剤を第2の揮発性溶剤により流路から排出することになる。よって被洗浄成分が流路に再付着することを防止して流路の洗浄度の劣化を防止することができる。
【0019】
第9には、前記第2の流路には、前記第2の流路に流路乾燥用のエアを供給するエア供給手段が介装され、前記制御手段は、前記第5の供給手段を駆動させたのち、前記エア供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、第2の揮発性溶剤を短時間に蒸発させ速やかに製造工程に移行させるとともに、製造工程において原料液と第2の揮発性溶剤との混合を防止して高品質な生成物を製造することができる。
【0020】
第10には、前記流路には、前記流路内の圧力を測定し、圧力の情報を前記制御手段に出力する圧力計が設けられ、前記制御手段は、前記圧力が所定の圧力値になったときに前記第1の接続切替弁を前記第2の流路側に接続して各供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、各供給手段による洗浄を自動で行うことができるので、マイクロリアクタを介装した流路において洗浄工程を包含した製造工程を効率よく行なうことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るマイクロリアクタライン洗浄システムによれば、マイクロリアクタの効率的なインライン洗浄が可能となり、装置としての生産性・メンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システムの模式図である。
【図2】従来技術に係るマイクロ化学反応システムの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0024】
図1に本実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システム10を示す。本実施形態に係るマイクロリアクタライン洗浄システム10は、マイクロリアクタ20と、前記マイクロリアクタ20が介装された流路(第1の流路12)と、前記第1の流路12の前記マイクロリアクタ20の上流側で合流し、前記マイクロリアクタ20及び前記第1の流路12に洗剤44、すすぎ水52、揮発性溶剤60の順に流通させる洗浄機構(後述の第1の供給手段38乃至第5の供給手段70、制御手段82等)と、を有するものである。
【0025】
また本実施形態のマイクロリアクタライン洗浄システム10は、製造工程においてマイクロリアクタラインである第1の流路12の圧力値を測定し、圧力値が基準値を超えた場合に製造工程を中断して洗浄工程に移行させ、洗浄工程が終了したのちに再び製造工程に復帰させるものである。
【0026】
本実施形態の適用対象となる第1の流路12は、上流から、原料タンク14、配管12a、第1の接続切替弁となる第1の三方弁26、配管12b、ポンプ18、配管12c、マイクロリアクタ20、配管12d、第2の接続切替弁となる第2の三方弁28、配管12e、第3の接続切替弁となる第3の三方弁30、配管12f、第4の三方弁32、配管12g、受給タンク22の順に接続した構成を有している。そして原料タンク14及びポンプ18に一つの流路として共有する2つの(3つ以上でも良い)配管12cはマイクロリアクタ20において合流する。そして原料タンク14から供給された原料液16はマイクロリアクタ20で合流して所定の生成物24(生成物を包含する液体)が生成され、マイクロリアクタ20の下流側から生成物24が供出され、受給タンク22に蓄えられる。
【0027】
マイクロリアクタ20は、例えば2つのプレートを張り合わせた態様の構造を有し、プレートの貼り合わせる面の互いに対向する位置に断面が半円形の溝が形成され、この溝を対向させた状態でプレートを貼り合わせることにより断面が円形のマイクロ流路がチップ内に形成されている。
【0028】
マイクロリアクタ20を用いた製造工程においては、さまざまな単位操作及び反応操作が行なわれる。例えば単位操作としては、混合、分離、分級、ろ過、加熱、冷却、熱交換、抽出、晶析、溶解、蒸発、蒸留、吸収、吸着等があり、また反応操作としては、無機物質や有機物質を対象としてイオン反応、酸化還元反応、電界反応、硝化反応、燃焼反応、焼成反応、焙燃反応、ハロゲン化反応、スルホン化反応、アルキル化反応、エステル化反応、醗酵反応、熱反応、触媒反応、ラジカル反応、重合反応等がある。これらの操作を行なうため、マイクロリアクタの材料としては、セラミック、ガラス、シリコーン、樹脂などの材料を用いることができる。またマイクロリアクタ20に高い熱伝導性を求めるのであれば金属等を用いることができる。なお、マイクロリアクタ20には温度調整器(不図示)が取り付けられ、後述の制御手段等により上述の単位操作のためのマイクロリアクタ内の温度の最適化がなされる。
【0029】
第1の三方弁26は配管12bを原料タンク14側の配管12a及び第2の流路36を構成する配管36aのいずれか一方に接続可能な構成を有し、後述の制御手段82により接続先の切り替え制御が行なわれる。
【0030】
第2の三方弁28は、配管12dを、第3の三方弁30と接続する配管12e及び後述の第1の供給手段38に接続する配管28aのいずれか一方に接続可能な構成を有し、後述の制御手段82により接続先の切り替え制御が行なわれる。第3の三方弁30は、配管12eを第4の三方弁32に接続する配管12f(第1の流路12側)及び後述の第3の供給手段54に接続する配管30a(第2の流路36側)のいずれか一方に接続可能な構成を有し、後述の制御手段82により接続先の切り替え制御が行なわれる。なお第1の流路12において第2の三方弁28と第3の三方弁30の取り付け位置を互いに取り替えて介装してもよい。第4の三方弁32は、配管12fを受給タンクに接続する配管12g(第1の流路12側)及び廃液タンク34に接続する配管34aのいずれか一方に接続可能な構成を有し、後述の制御手段82により接続先の切り替え制御が行なわれる。
【0031】
第1の流路12において、ポンプ18とマイクロリアクタ20との間(配管12c)には圧力計80が設けられている。圧力計80は圧力値の情報を後述の制御手段に出力する。マイクロリアクタ20の流路の内径は、第1の流路12全体を構成する配管の内径より小さいので、ポンプ18とマイクロリアクタ20との間(配管12c)において一定の圧力が発生する。特にマイクロリアクタ20内の内壁に生成物が付着するとマイクロリアクタ20内の流路径が小さくなるので、圧力計80が検知する圧力は増加することになる。
【0032】
第2の流路36は、第1の流路12に第1の流路12を洗浄するための流体(洗剤44、第2の洗剤68、すすぎ液52、揮発性溶剤60、第2の揮発性溶剤76、乾燥空気等)を供給するものである。第2の流路36は第1の三方弁26に近い順に、第1の三方弁26に接続する配管36a、第1の供給手段38、配管36b、第4の供給手段62、配管36c、第2の供給手段46、配管36d、第3の供給手段54、配管36e、第5の供給手段70、配管36f、コンプレッサー78が接続された構成を有している。
【0033】
第1の供給手段38は、洗剤44で満たされた第1の供給タンク40と、第2の流路36に介装された第5の三方弁42を有する。第5の三方弁42は、第1の三方弁26に接続する配管36aを、第1の供給タンクに接続する配管40a及び第4の供給手段62に接続する配管36bのいずれか一方に接続可能とされ、後述の制御手段82により接続先の切替え制御が行なわれる。第1の供給タンク40に満たされる洗剤44は、第1の流路12に流通させる原料に応じて適宜選択されるが、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウム等を含有するアルカリ性水溶液や界面活性剤等が用いられる。また原料液16が油脂状のものであれば有機溶剤等も用いることができる。ここで第1の三方弁26を第2の流路36側に接続し、第5の三方弁42を第1の供給タンク40側に接続することにより、洗剤44はポンプ18により吸引されてマイクロリアクタ20を含め第1の流路12を流通させることができる。なお、洗浄効率を高めるため、第1の供給タンク40に蓄えられた洗剤44を加熱手段(不図示)により加熱しても良い。
【0034】
さらに、第1の供給タンク40は上述の第2の三方弁28と配管28aにより接続されている。さらに後述の制御手段82により第5の三方弁42が配管40aに接続したときに、第2の三方弁28を配管28bに接続するように制御することができる。よって、第1の供給タンク40から第2の流路36に供給された洗剤44は第1の三方弁26を介して第1の流路12を流通したのち、第2の三方弁28を介して再び第1の供給タンク40に戻り、洗剤44は第1の流路12と第2の流路36との間を循環することになる。このように洗剤44を循環させることにより洗剤44の消費を節約してランニングコストを抑制することができる。
【0035】
第2の供給手段46は、すすぎ液52(例えば純水)で満たされた第2の供給タンク48と、第6の三方弁50を有する。第6の三方弁50は、第4の供給手段に接続する配管36cを第2の供給タンク48に接続する配管48a及び第3の供給手段54に接続する配管36dのいずれか一方に接続可能とされ、後述の制御手段82により接続先の切替え制御が行なわれる。そして後述の制御手段82により第1の三方弁26を第2の流路36側に接続し、第6の三方弁50を配管48aに接続することにより、すすぎ液52はポンプ18により吸引されてマイクロリアクタ20を含め第1の流路12に流通させることができる。
【0036】
第3の供給手段54は、揮発性溶液60で満たされた第3の供給タンク56と、第2の流路36に介装された第7の三方弁58を有する。第7の三方弁58は、第6の三方弁50に接続する配管36dを第3の供給タンク56に接続する配管56a及び第5の供給手段70に接続する配管36eのいずれか一方に接続可能とされ、後述の制御手段82により接続先の切替え制御が行なわれる。そして後述の制御手段82により第1の三方弁26を第2の流路36側に接続し、第7の三方弁58を配管56aに接続することにより、揮発性溶剤60はポンプ18により吸引されてマイクロリアクタ20を含め第1の流路12に流通させることができる。ここで揮発性溶液60は、第1の流路12内の水分や被洗浄成分による残存汚れを取り込むために用いられ、揮発性溶液60としてアルコール等の両親媒性のものを用いることが望ましい。
【0037】
さらに、第3の供給タンク56は上述の第3の三方弁30に接続する配管30aに接続されている。そして後述の制御手段82により第7の三方弁58が配管56aに接続したときに、第3の三方弁30を配管30aに接続するように制御することができる。よって第3の供給タンク56から第2の流路36に供給された揮発性溶剤60は第1の三方弁26を介して第1の流路12を流通したのち、第3の三方弁30を介して再び第3の供給タンク56に戻り、揮発性溶剤60は第1の流路12と第2の流路36との間を循環することになる。このように揮発性溶剤60を循環させることにより揮発性溶剤60の消費を節約してランニングコストを抑制することができる。
【0038】
第4の供給手段62は、第2の洗剤68で満たされた第4の供給タンク64と、第2の流路に介装された第8の三方弁66を有する。第8の三方弁66は、配管36bを第4の供給タンク64に接続する配管64a及び第6の三方弁50に接続する配管36cのいずれか一方に接続可能とされ、後述の制御手段82により接続先の切替え制御が行なわれる。第4の供給タンク64に満たされる第2の洗剤68は、上述の洗剤44と同一材料であることが望ましいが異なる材料を用いてもよい。ここで第1の三方弁26を第2の流路36側に接続し、第8の三方弁66を配管64aに接続することにより、第2の洗剤68はポンプ18により吸引されてマイクロリアクタ20を含め第1の流路12に流通させることができる。なお、洗浄効率を高めるため、第4の供給タンク64に蓄えられた第2の洗剤68を加熱手段により加熱しても良い。
【0039】
第4の供給手段62は後述の制御手段82により、第1の供給手段38の駆動後第2の供給手段46の駆動前に駆動する。すなわち第2の洗剤68は、上述の洗剤44を供給後、被洗浄成分を含有し第1の流路12に残留した洗剤44を第1の流路12から排出する役割を有する。これにより、被洗浄成分と第2の供給手段46が供給するすすぎ液52とが混ざり合い、被洗浄成分が第1の流路12に再付着する、または被洗浄成分が変質し第1の流路12に再付着することを防止して第1の流路12の洗浄度の劣化を防止することができる。
【0040】
第5の供給手段70は、第2の揮発性溶剤76で満たされた第5の供給タンク72と、第2の流路36に介装された第9の三方弁74を有する。第9の三方弁74は、配管36eを第5の供給タンク72に接続された配管72a及び後述のコンプレッサー78に接続する配管36fのいずれか一方に接続可能とされ、後述の制御手段82により接続先の切替え制御が行なわれる。そして後述の制御手段82により第1の三方弁26を第2の流路36側に接続し、第9の三方弁74を配管72aに接続することにより、第2の揮発性溶剤76はポンプ18により吸引されてマイクロリアクタ20を含め第1の流路12に流通させることができる。ここで第2の揮発性溶剤76は、上述の揮発性溶剤60と同一材料を用いることが望ましいが、異なる材料を用いてもよい。
【0041】
第5の供給手段70は、後述の制御手段82により第3の供給手段54の駆動後に駆動する。すなわち第2の揮発性溶剤76は、第3の供給手段54により供給され被洗浄成分を包含する揮発性溶剤60を第1の流路12から排出する役割を有する。よって、揮発性溶剤60に含有する被洗浄成分が第1の流路12に再付着することを防止して第1の流路12の洗浄度の劣化を防止することができる。
【0042】
エア供給手段となるコンプレッサー78は、後述の制御手段82により第5の供給手段70を駆動したのちに駆動され、乾燥空気や窒素等の流路乾燥用のエアを第1の流路12に供給して第1の流路12内を乾燥させるものである。コンプレッサー78は後述の制御手段82によりその駆動が制御され、第1の三方弁26を第2の流路36側に接続し、第5の三方弁42、第6の三方弁50、第7の三方弁58、第8の三方弁66、第9の三方弁74を全てコンプレッサー78側に接続したときに駆動する。これにより、第2の揮発性溶剤76を短時間に蒸発させ速やかに製造工程に移行させるとともに、製造工程において原料液16と第2の揮発性溶剤76との混合を防止して高品質な生成物24を製造することができる。なお、エア供給手段としてはコンプレッサー78以外にもガスボンベ(不図示)を用いてもよい。そして、後述の制御手段82は、例えば配管36fに設けられたバルブ(不図示)の開閉制御が可能な構成にすればよい。
【0043】
制御手段82は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、PCにインストールされたアプリケーション、及びPCの周辺機器であって、本実施形態の洗浄工程において、圧力計80から入力される圧力値の情報をもとに、第1の三方弁26乃至第9の三方弁74の切替制御、ポンプ18、コンプレッサー78のオンオフ制御を一定の順序で行なうものである。そして制御手段82は、第1の三方弁26乃至第9の三方弁74、ポンプ18、コンプレッサー78の駆動を、駆動信号を個別に出力することによりそれぞれ駆動させ、出力した駆動信号を個別に停止することにより、それぞれの駆動を停止させることができる。
【0044】
なお、制御手段82からの駆動信号がない場合において、第1の三方弁26はマイクロリアクタ20の上流側(配管12b)に接続し、第2の三方弁28、第3の三方弁30、第4の三方弁32は受給タンク22側に接続し、第5の三方弁42、第6の三方弁50、第7の三方弁58、第8の三方弁66、第9の三方弁74はコンプレッサー78側に接続するものとする。さらに制御手段82は、通常の製造工程においてはマイクロリアクタ20の温度調整、ポンプ18の出力等を調整することができるものとする。
【0045】
制御手段82において、第1の供給手段38を駆動させる場合は、第1の三方弁26、第2の三方弁28、第4の三方弁32、第5の三方弁42に駆動信号を出力する。第2の供給手段46を駆動させる場合は、第1の三方弁26、第4の三方弁32、第6の三方弁50に駆動信号を出力する。第3の供給手段54を駆動させる場合は、第1の三方弁26、第3の三方弁30、第4の三方弁32、第7の三方弁58に駆動信号を出力する。
【0046】
第4の供給手段62を駆動させる場合は、第1の三方弁26、第4の三方弁32、第8の三方弁66に駆動信号を出力する。第5の供給手段70を駆動させる場合は、第1の三方弁26、第4の三方弁32、第9の三方弁74に駆動信号を出力する。
【0047】
コンプレッサー78を駆動させる場合は、第1の三方弁26、第4の三方弁32、コンプレッサー78に駆動信号を出力する。なお制御手段82は、ポンプ18への駆動信号を、各三方弁の切り替え直前に一旦停止させ、切り替え終了後に再び出力するものとする。また各三方弁の駆動・停止を行なう際に引き続き駆動させる他の三方弁については、制御手段82は駆動信号を停止せずに継続して出力するものとする。
【0048】
制御手段82にはキー操作等により、圧力値の基準値が入力される。圧力値の基準値は、圧力計が測定した圧力値と比較する値である。マイクロリアクタ20の内壁には被洗浄成分が付着するとマイクロリアクタ20の流通断面積が小さくなるので、ポンプ18とマイクロリアクタ20との間の圧力は上昇する。よって圧力値の基準値はマイクロリアクタ20において生成物24を有効に生成可能な運転状態を表わす指標となっている。したがって本実施形態のマイクロリアクタの洗浄システムにおいて、前記第1の流路12には、前記第1の流路12内の圧力を測定し、圧力の情報を前記制御手段82に出力する圧力計80が設けられ、前記制御手段82は、前記圧力が所定の圧力値になったときに前記第1の三方弁26を前記第2の流路36側に接続して各供給手段(第1の供給手段38、第4の供給手段62、第2の供給手段46、第3の供給手段54、第5の供給手段70)を駆動する制御を行なうことになる。これにより、各供給手段による洗浄を自動で行うことができるので、マイクロリアクタ20を介装した第1の流路12において洗浄工程を包含した製造工程を効率よく行なうことができる。
【0049】
第1の供給手段38乃至第5の供給手段70の各供給手段においては、必要とされる駆動時間がそれぞれ設けられており、制御手段82は、各供給手段においてそれぞれ設けられた駆動時間に対応して各供給手段及びポンプ18に駆動信号を出力するものとする。
【0050】
マイクロリアクタ20を包含する第1の流路12内において洗浄やすすぎがどの程度進行したかを判断するためには、第1の流路12中の流体における被洗浄成分の濃度や洗剤の濃度が製造工程に支障のない程度の値に達するまでの時間を測定することにより行なわれる。
【0051】
被洗浄成分の濃度の測定は、クロマトグラフィー等の計測装置を第1の流路12に介装することにより行なう。被洗浄成分の濃度の測定は他に分光スペクトル計、TOC(全有機炭素)計等を用いても良い。被洗浄成分の濃度の経過測定は、第1の供給手段38、第3の供給手段54、第4の供給手段62、第5の供給手段70の駆動時に行う。なお、クロマトグラフィーを用いる場合において、洗剤44(第2の洗剤68)を流通させるときは水が媒質であり、揮発性溶剤60(第2の揮発性溶剤)を流通させるときは揮発性溶剤60そのものが媒質となる。よって媒質に対応してクロマトグラフィーのキャリア・使用カラムなどを取り替えるものとする。
【0052】
洗剤44(第2の洗剤68)の濃度の測定は、第2の供給手段46の駆動時に行なわれるが、例えば第1の流路12から排出されるすすぎ液52を上述のTOC計や電気伝導度計を用いて測定することもできる。また、洗剤44が酸性或いはアルカリ性を有する場合はpH計を用いることができる。そして本実施形態では、第1の供給手段38、第4の供給手段62、第2の供給手段46、第3の供給手段54、第5の供給手段70の順に駆動させるので、この順に従って濃度を測定することが望ましい。
【0053】
第1の供給手段38は、洗剤44を第1の流路12と第2の流路36との間を循環させるので、第1の供給手段38を駆動させると、時間経過とともに被洗浄成分の濃度は上昇する。よって洗剤44として充分に被洗浄成分の洗浄ができたとする濃度に達するまでの時間を測定し、この時間を第1の供給手段38の駆動時間とする。
【0054】
第4の供給手段62は、第2の洗剤68により被洗浄成分を含有する洗剤44をすすぎ、第1の流路12から洗剤44及び第2の洗剤68を排出するので、第4の供給手段62を駆動させると、時間経過とともに被洗浄成分の濃度は低下する。よって第2の洗剤68として充分に被洗浄成分の洗浄ができたとする濃度以下になるまでの時間を測定し、この時間を第4の供給手段62の駆動時間とする。
【0055】
第2の供給手段46は、すすぎ液52により洗剤44(第2の洗剤68)を第1の流路12から排出するので、第2の供給手段46を駆動すると、時間経過とともに洗剤44(第2の洗剤68)の濃度が低下する。よってすすぎ液52として充分に洗剤44(第2の洗剤68)のすすぎができたとする濃度以下になるまでの時間を測定し、この時間を第2の供給手段46の駆動時間とする。
【0056】
第3の供給手段54は、揮発性溶剤60を第1の流路12と第2の流路36との間で循環させるので、第3の供給手段54を駆動させると、時間経過とともに被洗浄成分の濃度は上昇する。よって揮発性溶剤60として充分に被洗浄成分の洗浄ができたとする濃度に達するまでの時間を測定し、この時間を第3の供給手段54の駆動時間とする。
【0057】
第5の供給手段70は、第2の揮発性溶剤76により被洗浄成分を含有する揮発性溶剤60をすすぎ、第1の流路12から揮発性溶剤60及び第2の揮発性溶剤76を排出する。よって、第5の供給手段70を駆動させると、時間経過とともに被洗浄成分の濃度は低下する。したがって第2の揮発性溶剤76として充分に被洗浄成分の洗浄ができたとする濃度以下になるまでの時間を測定し、この時間を第5の供給手段70の駆動時間とする。このようにして求められた各供給手段の駆動時間を、キー操作等により制御手段82を構成するプログラムに書き込む。
【0058】
本実施形態のマイクロリアクタライン洗浄システム10の洗浄工程について説明する。本実施形態の洗浄工程は、第1の供給手段38及び第4の供給手段62による洗剤送液工程、第2の供給手段46によるすすぎ液送液工程、第3の供給手段54及び第5の供給手段70による揮発性溶剤送液工程(コンプレッサー78による乾燥工程含む)の順に行なわれる。
【0059】
まず、製造工程において、制御手段82はポンプ18を駆動させ原料液16をマイクロリアクタ20に導入し、マイクロリアクタ20において原料液16を合流させて所定の生成物24を生成するとともに、圧力計80から圧力値の情報を入力している。
【0060】
そして制御手段82は、製造工程中に入力された圧力値が、予め入力された圧力値の基準値を超えた場合にポンプ18への駆動信号を一旦停止させ、洗浄工程に移行する。そこで制御手段82は、第1の供給手段38を駆動させる。すなわち第1の三方弁26を第2の流路36側に切り替え接続し、第4の三方弁32を廃液タンク34側に切り替え接続し、第5の三方弁42及びポンプ18へ駆動信号を出力する。これにより第1の流路12に洗剤44が導入されてマイクロリアクタ20を含む第1の流路12の洗浄が開始し、第1の流路12を流通後の洗剤44は被洗浄成分等を含有した状態で廃液タンク34に排出される。このとき第1の流路12において初期に洗剤44に大量に含有する被洗浄成分は第1の流路12から排出される。
【0061】
そして所定時間経過後にポンプ18への駆動信号を停止して第2の三方弁28を駆動する。そして再びポンプ18に駆動信号を出力して第1の流路12と第2の流路36との間で洗剤44を循環させて第1の流路12の洗浄を進行させる。なお以後の工程においても、各三方弁の切り替え直前にポンプ18の駆動を一旦停止させ、切り替え終了後に再びポンプ18を駆動させるので、各三方弁の切り替え時のポンプ18の駆動の記載を省略する。そして制御手段82は、第5の三方弁42(ポンプ18でもよい)を駆動させたのち、上述の計測により求められた駆動時間経過後に第2の三方弁28、第5の三方弁42への駆動信号を停止させ、第1の供給手段38による工程を終了する。
【0062】
次に制御手段82は、第4の供給手段62を駆動させる。すなわち、第8の三方弁66を駆動させて第2の洗剤68を第1の流路12に流通させ、第1の流路12に残留し被洗浄成分を包含する洗剤44および第2の洗剤68を第1の流路12から廃液タンク34に排出する。そして上述の計測により求められた駆動時間経過後に第8の三方弁66の駆動を停止させ、第4の供給手段62による工程を終了する。
【0063】
次に制御手段82は、第2の供給手段46を駆動させる。すなわち、第6の三方弁50を駆動させてすすぎ液52を第1の流路12に流通させ、第1の流路12に残留した洗剤44(第2の洗剤68)を第1の流路12から廃液タンク34に排出する。そして上述の計測により求められた駆動時間経過後に第6の三方弁50の駆動を停止させ、第2の供給手段46による工程を終了する。
【0064】
次に制御手段82は、第3の供給手段54を駆動させる。すなわち、第7の三方弁58を駆動させ、第1の流路12に揮発性溶剤60を導入する。これによりマイクロリアクタ20を含む第1の流路12の揮発性溶剤60による洗浄が開始し、第1の流路12を流通後の揮発性溶剤60は被洗浄成分等を含有した状態で廃液タンク34に排出される。このとき第1の流路12において初期に揮発性溶剤60に大量に含有する被洗浄成分は第1の流路12から排出される。
【0065】
そして所定時間経過後に第3の三方弁30を駆動し、第1の流路12と第2の流路36との間で揮発性溶剤60を循環させて第1の流路12の洗浄を進行させる。そして制御手段82は、第7の三方弁58(ポンプ18でもよい)を駆動させたのち、上述の計測により求められた駆動時間経過後に第3の三方弁30、第7の三方弁58への駆動信号を停止させ、第3の供給手段54による工程を終了する。
【0066】
次に制御手段82は、第5の供給手段70を駆動させる。すなわち、第9の三方弁74を駆動させて第2の揮発性溶液76を第1の流路12に流通させ、第1の流路12に残留した揮発性溶剤60と第2の揮発性溶剤76を第1の流路12から廃液タンク34に排出する。そして上述の計測により求められた駆動時間経過後に第9の三方弁74の駆動を停止させ、第5の供給手段70による工程を終了する。
【0067】
最後に制御手段82は、コンプレッサー78に駆動信号を出力し、第1の流路12に乾燥空気等を供給し、マイクロリアクタ20を含む第1の流路12内の乾燥を行ない、所定時間経過後にコンプレッサー78、ポンプ18、第1の三方弁26、第4の三方弁32への駆動信号を停止することにより全ての洗浄工程を終了させ、再びポンプ18を駆動させることにより製造工程を再開させる。
【0068】
このように本実施形態のマイクロリアクタライン洗浄システムは、洗剤44によりマイクロリアクタ20及びマイクロリアクタ20が介装された第1の流路12を洗浄するとともに、洗剤44により落としきれなかった第1の流路12内の被洗浄成分を揮発性溶剤60を用いて洗浄することになるので、マイクロリアクタ20及び第1の流路12を分解することなく確実に洗浄することができる。また洗浄機構を構成する第2の流路に第1の供給手段38乃至第5の供給手段70を設けたので、流路に洗剤44、第2の洗剤68、すすぎ水52、揮発性溶剤60、第2の揮発性溶剤76の順でこれらの流体を確実に流通させることができる。
【0069】
なお、本実施形態においては洗浄工程が定期的に行われることになるが、洗浄の進行具合は洗浄工程を繰り返すうちに変化するので、上述の駆動時間を求めるための測定も定期的に行なうことが望ましい。
【0070】
なお、本実施形態において、第4の供給手段62、第5の供給手段70が第2の流路に介装されている。しかし、洗剤44に混入した被洗浄成分とすすぎ液52が混合しても被洗浄成分の変質や再付着等の問題が発生しない場合は、第4の供給手段62を省略することができる。また第1の流路12に流通する揮発性溶剤60中の被洗浄成分の濃度が充分に低い場合は、第5の供給手段70を省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
効率的なインライン洗浄を効率的に行うことが可能なマイクロリアクタライン洗浄システムとして利用できる。
【符号の説明】
【0072】
10………マイクロリアクタライン洗浄システム、12………第1の流路、12a………配管、12b………配管、12c………配管、12d………配管、12e………配管、12f………配管、12g………配管、14………原料タンク、16………原料液、18………ポンプ、20………マイクロリアクタ、22………受給タンク、24………生成物、26………第1の三方弁、28………第2の三方弁、28a………配管、30………第3の三方弁、32………第4の三方弁、34………廃液タンク、34a………配管、36………第2の流路、36a………配管、36b………配管、36c………配管、36d………配管、36e………配管、38………第1の供給手段、40………第1の供給タンク、40a………配管、42………第5の三方弁、44………洗剤、46………第2の供給手段、48………第2の供給タンク、48a………配管、50………第6の三方弁、52………すすぎ液、54………第3の供給手段、56………第3の供給タンク、56a………配管、58………第7の三方弁、60………揮発性溶剤、62………第4の供給手段、64………第4の供給タンク、64a………配管、66………第8の三方弁、68………第2の洗剤、70………第5の供給手段、72………第5の供給タンク、74………第9の三方弁、76………第2の揮発性溶剤、78………コンプレッサー、80………圧力計、82………制御手段、100………マイクロ化学反応システム、102………原料供給部、104………マイクロ化学チップ、106………反応ライン、108………定常ライン、110………予備ライン、112………状態検出手段、114………状態検出手段、116………状態検出手段、118………供給切替弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリアクタと、
前記マイクロリアクタが介装された流路と、
前記流路の前記マイクロリアクタの上流側で合流し、前記マイクロリアクタ及び前記流路に洗剤、すすぎ水、揮発性溶剤の順に流通させる洗浄機構と、を有することを特徴とするマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項2】
前記洗浄機構は、
前記流路の前記マイクロリアクタの上流側で合流する第2の流路と、
前記流路と前記第2の流路の合流位置に介装され、前記マイクロリアクタの上流側を前記流路の上流側及び前記第2の流路のいずれか一方に接続可能な第1の接続切替弁と、
前記第2の流路に合流し、前記第2の流路に洗剤を供給可能な第1の供給手段と、
前記第2の流路に合流し、前記第2の流路にすすぎ液を供給可能な第2の供給手段と、
前記第2の流路に合流し、前記第2の流路に揮発性溶剤を供給可能な第3の供給手段と、
前記第1の接続切替弁を前記第2の流路側に接続したのち、前記第1の供給手段、前記第2の供給手段、前記第3の供給手段の順に切り替え駆動させ、前記洗剤、前記すすぎ液、前記揮発性溶剤をそれぞれ前記流路に供給する制御を行なう制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項3】
前記流路の前記マイクロリアクタの下流側には、前記マイクロリアクタの下流側を前記流路の下流側及び前記第1の供給手段側のいずれか一方に接続可能な第2の接続切替弁が介装され、
前記制御手段は、前記第1の供給手段の駆動時に前記第2の接続切替弁を前記第1の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする請求項2に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の供給手段を駆動させたのち所定時間経過後に前記第2の接続切替弁を前記第1の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする請求項3に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項5】
前記第2の流路には、前記第2の流路に第2の洗剤を供給する第4の供給手段が介装され、
前記制御手段は、前記洗剤の供給後且つ前記すすぎ液を供給する前に前記第2の接続切替弁を前記流路の下流側に接続するとともに前記第4の供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする請求項3または4に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項6】
前記流路の前記マイクロリアクタの下流側には、前記マイクロリアクタの下流側を前記流路の下流側及び前記第3の供給手段側のいずれか一方に接続可能な第3の接続切替弁が介装され、
前記制御手段は、前記第3の供給手段の駆動時に前記第3の接続切替弁を前記第3の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第3の供給手段を駆動させたのち所定時間経過後に前記第3の接続切替弁を前記第3の供給手段側に接続する制御を行なうことを特徴とする請求項6に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項8】
前記第2の流路には、前記第2の流路に第2の揮発性溶剤を供給する第5の供給手段が介装され、
前記制御手段は、前記揮発性溶剤の供給後に前記第5の供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする請求項6または7に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項9】
前記第2の流路には、前記第2の流路に流路乾燥用のエアを供給するエア供給手段が介装され、
前記制御手段は、
前記第5の供給手段を駆動させたのち、前記エア供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする請求項8に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。
【請求項10】
前記流路には、前記流路内の圧力を測定し、圧力の情報を前記制御手段に出力する圧力計が設けられ、
前記制御手段は、前記圧力が所定の圧力値になったときに前記第1の接続切替弁を前記第2の流路側に接続して各供給手段を駆動する制御を行なうことを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載のマイクロリアクタライン洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−212548(P2011−212548A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81716(P2010−81716)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】