説明

マイコトキシンが混在した備蓄貯蔵庫の処理方法

【課題】容易であり、比較的安価であり、有効である脱混在化方法の提供。
【解決手段】本発明は、穀物、オイル生産植物、ドライフルーツ、または乾燥野菜を備蓄するためのマイコトキシンが混在化した貯蔵庫を、オイゲノールまたはチョウジオイルによって処理する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコトキシン、及び/またはそれらを生産する真菌若しくはカビが混在した、ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物の備蓄のための貯蔵庫の処理のための、オイゲノールまたはチョウジオイルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
世界規模で、約25%の食料品にマイコトキシンが混在している。マイコトキシンは、食料に混在する特定の真菌によって生産される非常に毒性の、ある場合には発ガン性の分子である。
【0003】
食料品に一般的に混在し、ヒト及び/または動物に危険であるマイコトキシンは約10種程度存在する。
【0004】
今日最も周知のものは、アフラトキシン、オクラトキシン、Fusarium由来のトキシン、例えばゼアラレノン、トリコテセン、及びフモニシン、またはパツリンである。
【0005】
開始材料は、温度及び湿度、生育条件、株の存在等の特定の条件下で、フィールドにおいてまたは備蓄の間で混在する。
【0006】
関与する真菌は、Fusarium、Penicillium、及びAspergillusのような特定の寄生性真菌またはカビである。ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物は、最も一般的な混在製品である。
【0007】
非常に抵抗性であるマイコトキシンは、最終製品で見出される;それらは冷却でも熱でも破壊されない;それらは各種の変換工程の間で安定である。
【0008】
ヒトにおける急性の中毒の場合は中世以来知られている。産業国でのヒトにおける急性の中毒は現在では稀であるが、低量の規則的な消化に関連して、特に肝臓及び腎臓に対して損傷を展開し、またはガンを罹患する無視できない危険が存在する。
【0009】
これらのマイコトキシンが家畜動物により消費される場合、それらは未変性形態、または場合により初期のマイコトキシンより毒性である化合物に変換されて、肉(特に筋肉及び内臓)及び乳において見出され得る。
【0010】
中毒の場合は、ゼアラレノンによる繁殖力の問題、デオキシニバレノールによる動物の食欲不振、またはオクラトキシンAによる急性の腎臓毒性のように、家畜のコロニーにおいて記録される。それ故、生産されると食料から除くことが不可能であるマイコトキシンの罹患は、重大な経済的影響で、全ての食物連鎖に対して問題を導き得る。
【0011】
それ故、これらのマイコトキシンでの混在を防止することを可能にする組成物を提供することが必須である。
【0012】
更に、食料品の特定の脱混在化のために、これらの組成物を非毒性で栄養的に許容可能とすることが重要である。
【0013】
オイゲノールはチョウジオイルから由来するテルペンである。貯蔵寿命を伸長する目的で収穫後の果実及び野菜の処理のためオイゲノールを含む組成物を使用することは、特許出願FR 98 08 995に記載されている。記載された方法は、果実及び野菜に対する前記組成物の適用を含む。
【0014】
更に、オイゲノールを使用するジャガイモの発芽の阻害方法は、特許出願FR 98 15 305に記載されている。この方法は、浸液またはスプリンクラー処理、あるいは熱噴霧処理によるジャガイモに対する前記組成物の適用を含む。
【特許文献1】FR 98 08 995
【特許文献2】FR 98 15 305
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、マイコトキシン、及び/またはそれらを生産する真菌若しくはカビが混在したドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物を備蓄するための貯蔵庫の処理のためのオイゲノールの潜在的な使用は、今日まで記載も示唆もされていない。
【0016】
かくして本発明者は、穀物サイロのような備蓄貯蔵庫が、Penicillium、Aspergillus、またはFusariumのような、マイコトキシンの生産者である真菌若しくはカビで高度に汚染されていることを示した。この混在は、サイロが空である場合でさえ維持され、新たな収穫物が再び混在化されるでのある。
【0017】
それ故、これらのサイロを脱混在化することが可能であることが重要である。しかしながら、これらの貯蔵庫の大きさ(数百トンまで)を考慮すると、極端に強力な活性剤が必要である。サイロの壁は多孔性であり、マイコトキシン、及び/またはそれらを生産するカビ若しくは真菌がその中でそのまま滞在し、環境の空気の単純な脱混在化に耐える点で、サイロの脱混在化は特に困難である。それ故、サイロの壁の孔部においてでさえ活性剤を適用するための非常に有効な方法を提供することが必要である。
【0018】
ここで、容易であり、比較的安価であり、有効である脱混在化方法は、今日まで見出されていない。
【0019】
本発明者は、マイコトキシン、及び/またはそれらを生産する真菌若しくはカビが混在したドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物のための備蓄貯蔵庫の処理を可能にする活性を、オイゲノールまたはチョウジオイルが示すことを全く予期せぬことに発見し、これが本発明の主題の一つである。
【0020】
更に、オイゲノールは天然起源の製品であるため、それは特に食料品の脱混在化に適している。
【課題を解決するための手段】
【0021】
それ故本発明は、ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物を備蓄するための貯蔵庫の、マイコトキシン、及び/またはそれらの生産する真菌若しくはカビでの混在化を脱混在化または防止するための方法であって、ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物を備蓄するまたはそれらの備蓄を企図する前記貯蔵庫に、オイゲノール、イソオイゲノール、それらの栄養的に許容可能な塩の一つ、及びまたはチョウジオイル、またはそれらの混合物を含む組成物の適用を含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
好ましくは前記マイコトキシンは、オクラトキシンA、デオキシニバレノール、アフラトキシン(B1、B2、G1、G2、M1、M2)、ゼアラレノン、トリコテセン(DAS、D2毒素、ニバレノール、フサレノンX)、フモニシン(B1及びB2)、シトリニン、ペニシリン酸、ボミトキシン、及びパツリンから選択され、とりわけオクラトキシンAである。
【0023】
本発明の別の特徴点によれば、前記マイコトキシンは、Fusarium、Penicillium、及びAspergillus属の真菌によって生産される。
【0024】
これらの属によるカビの発生は種依存性であってよく、特定の条件下で発現されても良い。
【0025】
とりわけPenicillia及びAspergilliは一般的に、ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物のための備蓄貯蔵庫で発生する。Penicilliaとしては、オクラトキシンA及び/またはシトリニンを生産できるPenicillium verrucosum、ペニシリン酸及び/またはオクラトキシンAを生産するPenicillium orantiogriseum、シトリニン及び/またはパツリンを生産するPenicillium citrinum及びexpansumが挙げられる。Aspergilliとしては、オクラトキシンAを生産するAspergillus ochraceus、Aspergillus carbonarius及びAspergillus nigerが挙げられる。
【0026】
とりわけFusariaは植物、特にコムギ植物に混在する。
【0027】
本発明に係る方法で実施される穀物としては、コムギ、トウモロコシ、コメ、及びオオムギが挙げられる。
【0028】
オイル生産植物としては、ヒマワリ、アブラナ、及びナンキンマメが挙げられる。
【0029】
穀物またはオイル生産植物は、粉砕物、発芽体、種子、または植物体の形態であることができる。
【0030】
ドライフルーツ及び乾燥野菜としては、ブドウ、コーヒー、カカオ、エンドウマメ、及びヒラマメが挙げられる。
【0031】
穀物及びオイル生産植物が特に好ましい。
【0032】
本発明に係る組成物は、スプリンクラー処理または熱噴霧処理によって適用できる。熱噴霧処理による適用が特に好ましい。
【0033】
特に有利な特徴点によれば、本発明に係る方法は、サイロの混在化を脱混在化または防止するために実施される;好ましくは、ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物で充填する前に、またはサイロが充填されてから若しくは一部充填されてから、またはサイロを前記ドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物で充填しながら、前記組成物が貯蔵庫に適用される。
【0034】
特に好ましい特徴点によれば、前記組成物は空のサイロに適用される。
【0035】
本発明によれば、用語「オイゲノール、イソオイゲノール、またはチョウジオイルを含む組成物」は、純粋な形態のこれらの成分、またはこれらの成分を含むいずれかの希釈組成物を意味するように企図される。かくして、本発明に係る方法のための組成物は、重量パーセンテージとして、
−15%から100%の前記活性成分;
−0%から10%の活性成分の蒸発を減少するための一つ以上の試薬;
−0%から85%のアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物から選択される界面活性剤;及び
−0%から80%の水、(C−C)アルカノール、(C−C)アルキレングリコール、ポリ(C−C)アルキレングリコール、(C−C)アルカン酸の(C−C)アルキルエステル、並びにこれらの混合物から選択される溶媒
を含む。
【0036】
より好ましくは、一般的に約85%のオイゲノールを含む純粋なオイゲノールまたは純粋なチョウジオイルが使用される。
別法として、以下の組成物を使用することもできる:
−15%から60%の活性成分;
−1%から8%の蒸発を減少する一つ以上の試薬;
−25%から60%の界面活性剤;及び
−0から30%の前記溶媒。
とりわけ以下の製剤Aが使用できる:
−オイゲノール:30%;
−ジプロピレングリコール(DPG):50%;
−界面活性剤:5%;
−水:15%。
【0037】
これらの組成物に関連する利点の一つは、高含量の活性成分を含むことである。
【0038】
上述の文脈及び以下では、パーセンテージは組成物の全容量に対する重量/容量単位である。
【0039】
処理組成物の処方は、その適用方法に依存する。
【0040】
活性成分の蒸発を減少する試薬は当該技術分野で既知であり、水分散性ポリテルペン、マツ樹脂のグリセロールエステル、ラッカーゴム、レシチン、乾燥油、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルカリ金属ポリカーボネート、及びアラビアゴムから特に選択できる。
【0041】
各種の界面活性剤または乳化剤がそれ自体既知である。
【0042】
本発明によれば、用語「乳化剤」は、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化アルキルフェノール、またはいずれかの他の非イオン性製品のような、この目的のために通常使用されるいずれかのタイプの試薬を意味するように企図される。
【0043】
本発明の文脈で好ましく使用される界面活性剤は、アニオン性または非イオン性界面活性剤である。
【0044】
本発明によって使用できる非イオン性界面活性剤の例は、特に以下のものである:
−好ましくはC−C22であり、C−Cアルキレンオキシドを有する脂肪族脂肪アルコールの縮合物の製品。C−Cアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのいずれかの割合の混合物であることができる。そのような界面活性剤の例として、30モルのエチレンオキシドを有するラウリルアルコール(またはn−ドデシルアルコール)の縮合物の製品が挙げられる。
−アルキル鎖がC−C22であり、C−Cアルキレンオキシドを有するアルキルフェノールの縮合物の製品。この場合も、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはエチレンオキシドのプロピレンオキシドのいずれかの割合の混合物を有する縮合物の製品がまた有利である。そのような界面活性剤の例として、10モルのエチレンオキシドを有するn−ノニルフェノールの縮合物の製品が挙げられる。
−好ましくはC−C22であり、C−Cアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのいずれかの割合の混合物を有する脂肪酸の縮合物の製品。これらの縮合物製品は、カルボン酸基のヒドロキシル官能基でアルコキシル化鎖を有する。この群の好ましい界面活性剤は、10モルのエチレンオキシドを有するリシノール酸から得られる縮合物製品である。
【0045】
本発明によって使用できるアニオン性界面活性剤の例は、特に以下のものである:
−長鎖アルキルスルフェートの水溶性塩、特に(C−C24)アルキルスルフェートの水溶性塩、例えばアルカリ金属ラウリルスルフェート、とりわけナトリウムラウリルスルフェート;及び
−アルキルアリールスルホネートの水溶性塩、(C−C24)アルキル(C−C10)アリールスルホネートの水溶性塩、例えばアルカリ金属ドデシルベンゼンスルホネート、とりわけナトリウムドデシルベンゼンスルホネート。
【0046】
しかしながら本発明は、これらの特定の界面活性剤の使用に制限されない。
【0047】
処理組成物で使用されて良い溶媒は、特にC−C12脂肪族アルコール、グリコール、及びカルボン酸のアルキルエステルから選択される。
【0048】
とりわけ本発明の文脈では、グリコールはアルキレングリコール、及びポリアルキレングリコールを表す。
【0049】
用語「アルキレングリコール」は、二つの水素原子の二つのヒドロキシル基での置換によって脂肪族炭化水素から由来するジヒドロキシル化アルコールを意味するように企図される。エチレングリコール及びプロピレングリコールのような(C−C)アルキレングリコールが好ましい。
【0050】
用語「ポリアルキレングリコール」は下式の化合物を意味するように企図される:
HO−(C2pO)−H
[式中、p及びnは2から6の間の整数である]。
【0051】
例としてジプロピレングリコールが挙げられる。
【0052】
本発明によれば、C2pO基は直鎖状または分枝状である。本発明に従って好ましいポリアルキレングリコールはジプロピレングリコールである。
【0053】
好ましいカルボン酸のアルキルエステルは、(C−C)アルカン酸の(C−C)アルキルエステル、例えばブチルアセテートである。
【0054】
処理組成物が栄養的に許容可能な塩を含む場合、後者は塩の形態または中性形態で、好ましいように組成物中に導入できる。後者の場合、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)のような適切な塩基の添加によりin situで塩が形成される。
【0055】
適用されなければならない本発明に係る溶液の量は、選択される適用方法に必須に依存する。より一般的には、適用される活性成分の量は、備蓄の期間に従って調節される。
【0056】
処理組成物は、任意に攪拌しながらその成分を単純に混合することによって、それ自体従来の態様で調製される。
【0057】
本発明に係る組成物は、一度以上適用されるべきである。有利な特徴点によれば、好ましくは充填前のサイトにおいて、または収穫直後のドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物に対して処理が実施される。
【0058】
適用されなければならない処理組成物の量は、問題となるドライフルーツ、乾燥野菜、穀物、またはオイル生産植物の性質、並びに選択される適用方法に依存する。一般的に貯蔵庫のm当たり1から200cmの間、好ましくは10から100cm/mの間が適用され、この量は純粋なオイゲノールに関するものと解される。
【0059】
前記組成物は、スプリンクラー処理または熱噴霧処理によって特に適用できる。熱噴霧処理による適用がとりわけ好ましい。ここで前記溶液は、組成物の性質に依存して150℃から250℃の間の温度で適用される。かくして純粋なオイゲノールが適用される場合、前記温度は好ましくは約230℃である。組成物Aが適用される場合、熱噴霧処理は好ましくは約180℃で実施される。この方法はそれ自体既知であり、FR 98 015305及びFR 99 04534に記載されている。
【0060】
熱噴霧処理は、非常に小さい霧(小滴がマイクロメートルのオーダーのサイズを有する)を適用することからなる方法であり、当該小滴は熱気流中での液体の噴射によって生産され、熱気流は前記処理組成物に対するキャリアーとして機能する。かくして生産された霧は均一な適用を可能にする。
【0061】
熱噴霧処理は有利には、FR 87 04 960に記載され、Electrofog Xeda(登録商標)の名称で市販されている熱噴霧処理装置を使用して実施されて良い。この電気的熱噴霧処理機械は、高圧ファン、電気抵抗器、及び生産される霧の特徴の厳格な規則性を確保し、貯蔵チェンバー内への処理組成物の非常に段階的な導入を確保する容量測定ポンプからなる。
【0062】
従来では、熱噴霧処理によって生産される霧の特徴である、0.5から10ミクロンの、特に1ミクロンのオーダーの小滴サイズを得るための条件は、液体を噴射する前に400℃から650℃の温度に空気を加熱することを含む。
【0063】
本発明によれば、熱噴霧処理装置を離れる霧の温度は、110℃から300℃の間、好ましくは150℃から260℃の間、例えば170℃から250℃の間で有利には選択される。
【0064】
この変形例は、特に特許出願FR 94 15 329に記載されている。
【0065】
一般的には、サイロにおける熱噴霧処理は、サイロのチェンバーに、好ましくはサイロの上半分に熱噴霧処理装置を配置することによって、例えばチェンバーのトップに配置したプラットフォームに熱噴霧処理装置を配置することによって実施される。
【0066】
前記適用は、貯蔵期間の過程にわたり連続的または断続的であって良い。
【0067】
好ましくは前記適用は、充填前に貯蔵チェンバーで実施され、またはほぼ二ヵ月後に繰り返される。
【0068】
以下の実施例は、本発明の非制限的な説明のために与えられる。
【実施例】
【0069】
実施例1
プロトコール
1.種子停留場(Nogent-sur-Seine)の空のセルの自然の混在化の事前特徴づけ
6種のセル(「20」、「L」、「12」、「F」、「8」、及び「I」と記載)を研究した。それらは円錐形の底部(完全に空のセルの底部であり、次の収穫物を貯蔵する前に破片やゴミをより簡単に除去したもの)を有するコンクリートセルである。数字によって示されるセルは350トンの容量を有し、文字によって示されるセルは50トンの容量を有する。6種のセルの混在化のレベルを、セルのベースに配置したアクセスハッチを介してセルに導入したAirtestを使用して混在化した胞子または粒子をトラップすることによって評価した。
【0070】
Airtestに配置し、トラップを構成する90mmの直径のペトリ皿は、マルトアガー+トリトン培地を含んだ;トリトンの添加は真菌コロニーの形成を調節し、それはコンパクトなままでカウントが容易である。Airtestを通過する空気の容量は、4種の異なる容量の空気(10l、20l、40l、100l)を試験して一つのセルを除いて100lにセットした。各態様について3回繰り返して実施した(3のペトリ皿)。
【0071】
大気トラップと貯蔵セルでのトラップという二つのタイプのトラップを実施した。実際これらの壁はラフなパッチを有し、カビの胞子または感染した粒子を維持することができる。Airtestを壁から約5mmに配置した。
【0072】
穀物貯蔵セルの混在化のレベルを評価するために、外部の混在化コントロール(4回の繰り返し)との比較を、サイロの外部(サイロの建物から約50m)での大気トラップによって実施した。
【0073】
2.オイゲノール処理の前後での二つの空のセルに関する研究
大気トラップ法と壁でのトラップ法を、自然の混在化のレベルが研究1で十分に示された二つのセルで、オイゲノールでの熱噴霧処理による処理の直前と10日後で実施した。5回の繰り返しを各態様で実施した(5のペトリ皿)。
【0074】
オイゲノール熱噴霧処理を、熱噴霧処理装置を設置したプラットフォームで実施した。熱噴霧処理の後、セルを10日間閉じたままにし、処理が十分に有効であることを確保した。
【0075】
サイロと同じくらい混在化した環境中のペトリ皿を扱う困難性を考慮して、更なるコントロール(「ハンドリングコントロール」)を実施した。4回の繰り返し(4のペトリ皿)をこのコントロールのために実施した。
【0076】
結果
1.6種の空のセルの自然の混在化の事前特徴づけ
研究された6種のセルは、Penicillium spp.での非常に高レベルの混在化を示す。Aspergillus属のカビでの混在化はセル12で記載される。平均して、それぞれ77及び85のAspergillus spp.が、セル12の環境と壁から由来するペトリ皿で検出される一方、最も一般的には0で多くとも17が他のセルで検出される(表1)。この混在化は、Penicillium spp.での混在化よりずっと低いものであるが、Aspergillus spp.も潜在的なオクラトキシンA生産菌であるため無視できない。
【0077】
空のセルのPenicillium spp.の混在化の外部コントロールとの比較は顕著である(表1)。平均して、わずか1.25のPenicillium spp.のコロニーと、0のAspergillus spp.のコロニーが検出される。外部の大気トラップから形成される主たるコロニーはCladosporium spp.である。
【0078】
Penicillium spp.の混在化の度合いは6種のセルで非常に高いものであるとしても、セルL及びFは他のものより、特にその壁で高い混在化を示すようである(表1)。一般的に、壁でのトラップは、セル8を除いて大気トラップよりも多いPenicillium spp.コロニーを与えた。それ故貯蔵セルの壁は、混在化の重要な供給源を構成する。
【0079】
【表1】

【0080】
他の真菌(Cladosporium spp.)及び細菌及び酵母もこれらのセルで混在化するが、その度合いはPenicillium spp.よりも低い。トラップしたコロニーの数に対するAirtestにおいて循環してる空気の容量の増加の効果をセルIで研究した(表2)。
【0081】
【表2】

【0082】
研究1は、これらの6種のセルのPenicillium spp.の混在化のレベルが非常に高く、セルの処理の効果を容易に試験することが可能であることを示した。混在化のレベルが極端に高いためセルLを選択し、別のカビの属であるAspergillus spp.の存在のためセル12を選択した研究2の目的がこれである。
【0083】
2.処理の前後のセルLと12の研究
それぞれ4lと20lのオイゲノールを、セルL(〜50m)及びセル12(〜350m)に230℃(約3/4時間について)で熱噴霧処理に供した。
処理の後の混在化の評価は、2種のセルにおける処理でPenicillium spp.の混在化のレベルの明らかな減少を検出する(表3)。
セル12におけるAspergillus spp.の混在化は、処理により完全に制御される。
【0084】
【表3】

【0085】
活性物質はセルの底部に蓄積し得ることに注意すべきである。まだ貯蔵セルに存在し、混在化の重要な供給源であるチリやゴミの小片もそこに蓄積するため、このことは完全に有利である。かくしてそれらは有効に処理できる。
【0086】
結論
上記の結果は、セルにおけるオイゲノールの熱噴霧処理の方法が、穀物貯蔵セルに存在するPenicillium spp.及びAspergillus spp.であるオクラトキシンAを潜在的に生産するカビに対して非常に有効であることが見出されることを示す。この有効性は、セルにおける大気の混在化と壁の混在化の両者に関連する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物、ドライフルーツ、乾燥野菜、またはオイル生産植物を備蓄するための貯蔵庫の、マイコトキシン、及び/またはそれらを生産する真菌若しくはカビでの混在化を脱混在化または防止する方法であって、オイゲノール、イソオイゲノール、またはそれらの栄養的に許容可能な塩の一つ、及び/またはチョウジオイル、あるいはそれらの混合物を含む組成物を前記貯蔵庫に適用することを含む方法。
【請求項2】
オイゲノール、イソオイゲノール、チョウジオイル、またはそれらの栄養的に許容可能な塩の一つ、あるいはそれらの混合物を、貯蔵庫のm当たり1から200cmの間のオイゲノールの用量で適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイコトキシンが、オクラトキシンA、デオキシニバレノール、アフラトキシン、ゼアラレノン、トリコテセン、フモシニン、シトリニン、ペニシリン酸、ボミトキシン、及びパツリンから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マイコトキシンがオクラトキシンAから選択される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、空の備蓄貯蔵庫に適用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、貯蔵した穀物、ドライフルーツ、乾燥野菜、またはオイル生産植物を含む備蓄貯蔵庫に適用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記貯蔵庫に、前記穀物、ドライフルーツ、乾燥野菜、またはオイル生産植物を充填しながら、前記組成物が適用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が熱噴霧処理によって提供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、重量パーセンテージとして、
−15%から100%の前記活性成分;
−0%から10%の活性成分の蒸発を減少するための一つ以上の試薬;
−0%から85%のアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物から選択される界面活性剤;及び
−0%から80%の水、(C−C)アルカノール、(C−C)アルキレングリコール、ポリ(C−C)アルキレングリコール、(C−C)アルカン酸の(C−C)アルキルエステル、並びにこれらの混合物から選択される溶媒
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が純粋なオイゲノールまたは純粋なチョウジオイルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記貯蔵庫が、PenicilliumまたはAspersillusで混在化されている、または混在化の危険が存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記穀物が、コムギ、トウモロコシ、コメ、及びオオムギから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記穀物がコムギである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オイル生産植物が、ヒマワリ、アブラナ、及びナンキンマメから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記穀物またはオイル生産植物が、粉砕物、植物体、種子、または発芽体の形態で存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
穀物、オイル生産植物、ドライフルーツ、または乾燥野菜を備蓄するための貯蔵庫の、マイコトキシン、及び/またはそれらを生産する真菌若しくはカビでの混在化を脱混在化または防止するための、オイゲノール、イソオイゲノール、またはそれらの栄養的に許容可能な塩の一つ、及び/またはチョウジオイル、あるいはそれらの混合物を含む組成物の使用。

【公開番号】特開2007−325584(P2007−325584A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−116044(P2007−116044)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(507138446)クセダ・アンテルナシオナル (2)
【Fターム(参考)】