説明

マイコンシステム

【課題】ASICの端子数を増加することなく、動作クロックの仕様が異なるマイコンを同一のASICと組合わせて使えるマイコンシステムを提供する。
【解決手段】マイコン1と、ASIC2と、基準クロック発生装置3と、システムリセット処理装置4とを備え、ASIC2により基準クロックを分周/逓倍してマイコン1の動作クロックを出力するマイコンシステムにおいて、マイコン1は電源投入時にASIC2に設定された動作クロックの設定値に基づき、所望の動作クロックで動作しているか否かを判定する動作クロック判定部101を設けてあり、ASIC2は、動作クロック判定部101での動作クロック設定値が所望の動作クロック周波数で無いと判断されたら、マイコン1からの指令で動作クロック周波数を切替える動作クロック切替部201と、システムリセット処理装置4にシステムリセット要求信号を出力する出力端子202を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコン、ASIC、基準クロック発生装置、システムリセット処理装置とから構成されるマイコンシステムであって、特にそのクロック切替に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ASICは組み合わせて使用するマイコンの仕様を想定して設計され、マイコンの動作クロックは固定の周波数である。あるいは、ASICに動作クロック周波数を設定するための複数の信号入力端子を用意し、組合わせるマイコンの動作クロックの仕様に合わせて、信号入力端子の信号状態を設定した回路設計をして、動作クロックの異なるマイコンとの組合わせを可能にしている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平7―28662号公報(明細書4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来技術では、動作クロックの異なるマイコンを使用する場合は、ASICからの動作クロック供給ができなくなるため、別途動作クロックを供給する回路を用意する必要があるが、部品数が増え、コスト、サイズが増大すると言う問題がある。
あるいは、ASICの端子に動作クロック周波数を設定するための複数の信号入力を用意する必要があり、ASICの端子数が増加する、さらに端子数の増加に伴いASICが大型化すると言う問題がある。
電源投入後、マイコンのプログラムにより、ASICの動作クロック周波数の設定を変えることが考えられるが、動作クロックの切替り時にマイコンが動作不良を起こす可能性があると言う問題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ASICの端子数を増加することなく、動作クロックの仕様が異なるマイコンを同一のASICと組合わせて使えるマイコンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のようにしたのである。
請求項1に記載の発明は、マイコンと、前記マイコンと組み合わせて用いられるASICと、前記ASICに電源投入と共に基準クロックを供給する基準クロック発生装置と、前記ASICあるいは前記マイコンをリセットするためのシステムリセット信号を入力するシステムリセット処理装置とを備え、前記ASICにより前記基準クロックを分周または逓倍して前記マイコンの動作クロックを出力するようにしたマイコンシステムにおいて、 前記マイコンは、電源投入時に前記ASICに設定されている動作クロックの設定値に基づいて、所望の動作クロックで動作しているか否かを判定する動作クロック判定手段を設けてあり、前記ASICは、前記動作クロック判断部での動作クロック設定値が所望の動作クロック周波数で無いと判断された場合に、前記マイコンから指令を受けて動作クロック周波数を切替える処理を行う動作クロック切替手段と、前記システムリセット処理装置にシステムリセットを要求する信号を出力する出力端子を設けてあり、前記マイコンが前記ASICに動作クロックを変更するよう指令を送った場合に、前記ASICによる動作クロック周波数切替は、前記システムリセット処理装置による初期化より優先して行われることを特徴としている、
また、請求項2に記載の発明は、マイコンと、前記マイコンと組み合わせて用いられるASICと、前記ASICに電源投入と共に基準クロックを供給する基準クロック発生装置と、前記ASICあるいは前記マイコンをリセットするためのシステムリセット信号を入力するシステムリセット処理装置とを備え、前記ASICにより前記基準クロックを分周または逓倍して前記マイコンの動作クロックを出力するようにしたマイコンシステムにおいて、前記マイコンは、電源投入時に前記ASICに設定されている動作クロックの設定値に基づいて、所望の動作クロックで動作しているか否かを判定する動作クロック判定手段と、前記システムリセット処理装置にシステムリセットを要求する信号を出力する出力端子を設けてあり、前記ASICは、前記動作クロック判断部での動作クロック設定値が所望の動作クロック周波数で無いと判断された場合に、前記マイコンから指令を受けて動作クロック周波数を切替える処理を行う動作クロック切替手段を設けてあり、前記マイコンが前記ASICに動作クロックを変更するよう指令を送った場合に、前記ASICは一定の時間遅れを持って動作クロック周波数を切り替える動作を行うと共に、前記マイコンは動作クロックが切替る前に前記システムリセット処理装置にシステムリセットを要求する信号を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明によると、電源投入時にマイコンがASICの動作クロック周波数を切替えるように該ASICに指令を送り、ASICが動作クロックを切替えた後にシステムリセットするので、マイコンが動作不良になることが無く、動作クロックの異なるマイコンをASICと組合わせて使用することができる、
また、請求項2に記載の発明によると、マイコンがASICの動作クロック周波数を切替えた後、ASICが一定時間待って、動作クロックを切替えるので、その間にマイコンがシステムリセットを行うことができ、動作クロックの異なるマイコンをASICと組合わせて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の第1実施例を示すマイコンシステムの構成を示すブロック図である。
本発明の特徴は以下のとおりである。
図において、1はマイコン、2はマイコン1と組み合わせて用いられるASIC、3はASIC2に電源投入と共に基準クロックを供給する基準クロック発生装置、4はASIC2あるいはマイコン1をリセットするためのシステムリセット信号を入力するシステムリセット処理装置である。
マイコンシステムは、ASIC2により基準クロックを分周または逓倍してマイコン1の動作クロックを出力するようになっている。マイコン1は電源投入時にASIC2に設定されている動作クロックの設定値に基づいて、所望の動作クロックで動作しているか否かを判定する動作クロック判定部101を設けてある。また、ASIC2は、動作クロック判断部101での動作クロック設定値が所望の動作クロック周波数で無いと判断された場合に、マイコン1から指令を受けて動作クロック周波数を切替える処理を行う動作クロック切替部201と、システムリセット処理装置4にシステムリセットを要求する信号を出力する出力端子202を設けてある。さらに、マイコン1がASIC2に動作クロックを変更するよう指令を送った場合に、ASIC2による動作クロック周波数切替は、システムリセット処理装置4による初期化より優先して行われるようになっている。
【0008】
次に、動作を説明する。
電源投入とともにASIC2に基準クロックを供給する。ASIC2は、基準クロックを分周または逓倍して、マイコン1へ動作クロックを供給する。マイコン1は、動作クロック設定状態を見て、所望のクロックで動作しているかどうかを動作クロック判定部101で判定する。所望のクロックで動作していない場合は、ASIC2の動作クロック切替部201に対して所望の動作クロックに設定する指令を送る。ASIC2は、動作クロック切替部201の設定変更に応じて、動作クロック7の周波数を変更するとともに、システムリセット処理装置4に対してシステムリセットするシステムリセット要求信号8を出力する。動作クロック切替部201の設定値は、システムリセットで初期化されず、設定値を保持する用に設計されており、システムリセット後に動作を再開したマイコン1は、所望の動作クロックで動作することができる。このように所望の動作クロックで動作していることを判定したマイコン1は、通常の処理を行うことができる。
【実施例2】
【0009】
図2は、本発明の第2実施例を示すマイコンシステムの構成を示すブロック図である。なお、第2実施例が第1実施例と同じ構成要素について説明を省略し、異なる点のみを説明する。
第2実施例が第1実施例と異なる点は、システムリセット処理装置4にシステムリセットを要求する信号を出力する出力端子を、ASIC1に設ける構成に替えてマイコン1に設けた点である。該出力端子を102とする。また、マイコン1がASIC2に動作クロックを変更するよう指令を送った場合に、ASIC2は一定の時間遅れを持って動作クロック周波数を切り替える動作を行うと共に、マイコン1は動作クロックが切替る前にシステムリセット処理装置4にシステムリセットを要求する信号を出力するようになっている。
【0010】
次に、動作を説明する。
マイコン1が所望の動作クロック周波数で動作していないと判定した場合、ASIC2の動作クロック周波数の設定を変更する。ASIC2は、動作クロック周波数の設定を一定時間待つ。その間にマイコン1は、システムリセット要求信号8により、システムリセット処理装置4にシステムリセットを要求する。システムリセット後には、ASIC2は所望の動作クロック7を出力しており、マイコン1は所望の動作クロックで動作を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
マイコン組み込み型の製品を開発するときに、既存のシステムを流用しつつ、マイコンを変える場合に、マイコンの動作クロックが従来と異なる場合にも従来から使用しているASICを外部に部品を追加すること無しに使用するという用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例を示すマイコンシステムのブロック図
【図2】本発明の第2実施例を示すマイコンシステムのブロック図
【符号の説明】
【0013】
1 マイコン
2 ASIC
3 基準クロック発生装置
4 システムリセット処理装置
5 システムリセット
6 基準クロック
7 動作クロック
8 システムリセット要求信号
101 動作クロック判定部
102 出力端子
201 動作クロック切替部
202 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコンと、
前記マイコンと組み合わせて用いられるASICと、
前記ASICに電源投入と共に基準クロックを供給する基準クロック発生装置と、
前記ASICあるいは前記マイコンをリセットするためのシステムリセット信号を入力するシステムリセット処理装置と
を備え、前記ASICにより前記基準クロックを分周または逓倍して前記マイコンの動作クロックを出力するようにしたマイコンシステムにおいて、
前記マイコンは、電源投入時に前記ASICに設定されている動作クロックの設定値に基づいて、所望の動作クロックで動作しているか否かを判定する動作クロック判定手段を設けてあり、
前記ASICは、前記動作クロック判断部での動作クロック設定値が所望の動作クロック周波数で無いと判断された場合に、前記マイコンから指令を受けて動作クロック周波数を切替える処理を行う動作クロック切替手段と、前記システムリセット処理装置にシステムリセットを要求する信号を出力する出力端子を設けてあり、
前記マイコンが前記ASICに動作クロックを変更するよう指令を送った場合に、前記ASICによる動作クロック周波数切替は、前記システムリセット処理装置による初期化より優先して行われることを特徴とするマイコンシステム。
【請求項2】
マイコンと、
前記マイコンと組み合わせて用いられるASICと、
前記ASICに電源投入と共に基準クロックを供給する基準クロック発生装置と、
前記ASICあるいは前記マイコンをリセットするためのシステムリセット信号を入力するシステムリセット処理装置と
を備え、前記ASICにより前記基準クロックを分周または逓倍して前記マイコンの動作クロックを出力するようにしたマイコンシステムにおいて、
前記マイコンは、電源投入時に前記ASICに設定されている動作クロックの設定値に基づいて、所望の動作クロックで動作しているか否かを判定する動作クロック判定手段と、前記システムリセット処理装置にシステムリセットを要求する信号を出力する出力端子を設けてあり、
前記ASICは、前記動作クロック判断部での動作クロック設定値が所望の動作クロック周波数で無いと判断された場合に、前記マイコンから指令を受けて動作クロック周波数を切替える処理を行う動作クロック切替手段を設けてあり、
前記マイコンが前記ASICに動作クロックを変更するよう指令を送った場合に、前記ASICは一定の時間遅れを持って動作クロック周波数を切り替える動作を行うと共に、前記マイコンは動作クロックが切替る前に前記システムリセット処理装置にシステムリセットを要求する信号を出力することを特徴とするマイコンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−26242(P2007−26242A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209437(P2005−209437)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】