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マグロール用樹脂複合材料および、それを用いたマグロール用成型品
説明

マグロール用樹脂複合材料および、それを用いたマグロール用成型品

【課題】 高磁力化が求められるマグロール用樹脂複合材料に使用される磁性粉末として、高い磁気特性を示す異方性NdFeB系磁製粉末を単体で使用した場合には、その樹脂複合材料を使用して得られるマグロールの表面磁力波形は直線性が著しく悪く、そのリップル特性が非常に悪いものであった。
【解決手段】マグロール用樹脂複合材料に使用される磁性粉末として、異方性NdFeB系磁性粉末と等方性NdFeB系磁性材料を組み合わせて使用すると、異方性NdFeBのみを含む樹脂複合材料を使用した場合に比較して、リップル特性が大幅に改善された高特性のマグロール用成型品を得ることの出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に装着されるマグロール用樹脂複合材料および、それを用いたマグロール用成型品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタなどの電子写真方式を用いた画像機器に対する高画質化のニーズは強くなっており、それに対応して使用されるマグロールの表面磁束密度もより高いものが求められるようになってきている。こうした背景から、使用される樹脂複合材料の磁気特性にも高特性化が求められている。
【0003】
このような要望に対して、希土類系の磁性粉末を含む樹脂複合材料を用いて製造された、1本もしくは複数本の成型品が組み合わせられたマグロールが提案されている。例えば、等方性希土類磁性粉末を含んだ樹脂複合材料を使用したマグロールが提案されている。(例えば、特許文献1)
【0004】
さらにできるだけ高磁力を得るために、30MGOe以上の高い最大エネルギー積を示す異方性NdFeB系、異方性SmFeN系磁性粉末を含む樹脂複合材料を使用したマグロールも提案されている。(特許文献2)
【0005】
ここで、異方性SmFeN系磁性粉末は高い磁気特性を発現させるために、平均粒径が4〜5μmにまで微粉砕する必要がある。したがってその比表面積が非常に大きいため、バインダ樹脂と複合化した際に得られる樹脂複合材料の流動性が低くなりやすい傾向がある。一方異方性NdFeB系磁性粉末は、そのような必要が無いために、その平均粒径が約100μm程度と非常に大きいままでも利用可能であり、バインダ樹脂と複合化した際に高い流動性が得られやすいという特徴がある。
【0006】
異方性NdFeBや異方性SmFeNなどの異方性磁性粉末は、成型工程において外部より印加された磁場によって含まれる磁性粉末の磁力線の向きをそろえる、磁場配向が必要である。その際に樹脂複合材料の流動性が高いことは、より高い特性を得るために有利である。流動性が不十分な樹脂複合材料では、磁場配向において樹脂複合材料が本来持っている能力を十分に引き出すことができず、磁力不足を引き起こしたり、リップル不良と呼ばれる、部分的に磁力が不均一になったりする現象による品質上の不具合につながりやすくなってしまう。こうした観点から異方性NdFeB系樹脂複合材料は、SmFeN系のマグロールよりも高磁力化、小径化などの可能性が高いことが期待される。
【0007】
また、使用される磁性粉末を2種以上組み合わせた樹脂複合材料を使用したマグロールに関する技術も開示されている。(例えば、特許文献3)この中では異方性フェライトと等方性NdFeBを組み合わせて使用した樹脂複合材料について開示されており、この文献においては高磁力と低コストを両立させるための手段として高磁力で高価な等方性NdFeB系磁性粉末と低磁力で廉価なフェライト系磁性粉末を組み合わせているに過ぎずない。この場合には使用される磁性粉末がフェライトと等方性NdFeBであり、そもそもそれぞれ単独で使用されたとしても磁力波形の乱れが非常に小さいという事情から、磁力波形を改善するという本願の課題に関して考慮する必要がなく、当然にそのような効果に関してなんら示唆するような記載も見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−313205
【特許文献2】特開2002−108103
【特許文献3】特開2000−298400
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
複写機等においては、マグロール長手方向の磁力波形における磁気リップルが小さいことは、均質な画像を得るために求められる最も重要な品質の一つである。
【0010】
異方性SmFeN系磁性粉末のみを含む樹脂複合材料を使用したマグロールの磁力波形は、図1に示すように非常に滑らかであるが、一方異方性NdFeB系磁性粉末のみを含む樹脂複合材料を使用したマグロールでは、図2に示すようにその磁力波形の平滑性が悪く、つまり磁力に山谷があり、品質的に大きな課題となっていた。磁力波形の平滑性はリップル特性と呼ばれ、例えば数1に示される数式で算出される各位置における磁力リップルの最大値で評価される。
【0011】
【数1】

【0012】
ここで、Xn+1、Xnはそれぞれ直線上の測定位置n、n+1mm(nは整数)における磁束密度であり、位置nにおける磁力リップル値Rnは、その位置における磁束密度とその位置から1mm先の測定点における磁束密度との差異の絶対値であり、成型品の測定範囲におけるRnの最大値で定義される。例えば直径10mmのマグロール成型品の表面からの距離1.0mmで測定されるリップル値は1.0mT以下であることが求められる。例えばSmFeN系樹脂複合材料を用いたマグロールでは、が約0.3mT程度であるのに対して、異方性NdFeB系樹脂複合材料を用いたマグロールでは1.5mT以上であり、これが品質上の大きな課題となっている。
【0013】
本発明は、上述した異方性NdFeB系樹脂複合材料における課題を解決し、リップル特性に優れたマグロール用樹脂複合材料及びそれを用いたマグロール用成型体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明のマグロール用樹脂複合材料は異方性NdFeB系磁性粉末と等方性NdFeB系磁性粉末とを組み合わせて使用したものである。
【0015】
より具体的には第一の発明として、NdFeB系磁性粉末と熱可塑性樹脂からなるマグロール用樹脂複合材料において、NdFeB系磁性粉末が異方性NdFeBと等方性NdFeBを組み合わせたことが特徴のマグロール用樹脂複合材料である。
【0016】
さらに第二の発明として、NdFeB系磁性粉末に含まれる等方性NdFeB系磁性粉末の比率が2〜99重量%であることが特徴の第一の発明に記載されたマグロール用樹脂複合材料である。
【0017】
さらに第三の発明として、第一の発明または第二の発明に記載された発明のマグロール用樹脂複合材料を用いて製造されたことが特徴のマグロールである。
【0018】
さらに第四の発明として、使用されるNdFeB系磁性粉末が異方性NdFeB系磁性粉末と等方性NdFeB系磁性粉末を組み合わせたものである樹脂複合材料を使用して得られた成型品であり、測定ギャップ1mmにおいて測定されたリップル値が1.0mT以下であることが特徴のマグロール用成型品である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のマグローラ用樹脂複合材料を用いることにより、成型品長手方向の磁力バラツキが低減され、リップル特性の良いマグロール用成型品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】磁性粉末として異方性SmFeNのみを含む樹脂複合材料を使用して得られたマグロール用成型品の表面磁力波形である。
【0021】
【図2】比較例1の樹脂複合材料を使用して得られたマグロール用成型品の表面磁力波形である。
【0022】
【図3】実施例2の樹脂複合材料を使用して得られたマグロール用成型品の表面磁力波形である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましいしい実施の形態について説明する。
【0024】
本発明における異方性NdFeBは特に限定は無く、主にNd、Fe、Bの元素からなり、磁気異方性を示す磁製粉末であれば良い。また、磁性粉末の製法に関しても特に限定は無いが、例えばHDDR法、d−HDDR法、温間押し出し法などで製造された異方性NdFeB系磁性粉末などが例示される。
【0025】
また、本発明における等方性NdFeBに関しても特に限定は無く、主にNd、Fe、Bの元素からなり、磁気異方性を示さないNdFeB系の磁性粉末であればよく、例えばNd2Fe14Bなどが挙げられる。またFeの一部を例えば、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Znなどの各種遷移金属で置換されたものや、Ndの一部を例えば、La、Ce、Pr、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu各種希土類元素で置換されたものでも良い。ソフト磁性相とハード磁性相からなる磁気交換スプリング磁石なども採用できる。また、磁性粉末の製法に関しては、メルトスピン法やストリップキャスト法などが挙げられる。
【0026】
本発明における、樹脂複合材料へ配合される異方性NdFeBと等方性NdFeBの比率は、樹脂複合材料へ配合する磁性粉末の合計に対する等方性NdFeBの比率(以下、「等方性NdFeB配合比」という)が1重量%以上であれば、異方性NdFeBのみを使用した場合に比べてリップル特性を約1/2のレベルにまで改善する効果が見られる。さらに等方性NdFeB配合比が2重量%以上であると、リップル特性が1.0mT以下となり実用性が高くなるため好ましい。さらに等方性NdFeB配合比が2重量%以上であれば、リップル特性が0.5mT以下となり、実用性がさらに高くなるため好ましい。
【0027】
一方、本発明の趣旨が従来の等方性NdFeBのみ磁性粉末として使用したマグロールに比べて磁気特性の高いマグロールの実現という点であることから考えると、等方性NdFeB系磁性粉末のみを含む樹脂複合材料に相当する、つまり等方性NdFeB配合比が100重量%の場合は適当でないと考えられる。従って等方性NdFeB配合比は99%以下であることが好ましい。
【0028】
例えばバインダ樹脂としてPA12を選択した場合には、得られる樹脂複合材料の流動性や加工性を考慮すると、磁性粉末のトータル充填率は94〜95wt%程度が実用的である。例えばこの範囲の磁性粉末のトータル充填率であれば、等方性NdFeB配合比が30%以下の場合に、最大エネルギー積が15MGOe以上を達成することが出来るため、好ましい。
【0029】
例えば、磁性粉末のトータル充填率が93.5重量%で、バインダがPA12で、等方性NdFeB配合比10重量%の場合では、成型加工性に優れ、リップル特性が非常に良く、最大エネルギー積が17MGOeを示す磁気特性の高い樹脂複合材料が得られるため、さらに好ましい。
【0030】
また、マグロール用成型品は一般に細長い形状であり、射出成型や押し出し成型においては、長手方向の成型品の均一性が求められる。従って、等方性NdFeB比率を出来るだけ低く設計することは使用される磁性粉末の平均磁気特性を高くすることになる。例えば得られる成型品に関して所定の磁気特性を実現しようとする際には、使用される樹脂複合材料の磁性粉末の充填率をより低く設計することができるため、結果的により成形性の良い樹脂複合材料が得られるため好ましい。
【0031】
例えば、磁性粉の充填率が89.2重量%で、バインダ樹脂がPA12で、等方性NdFeB配合比が5重量%の場合では、成型加工性に優れ、リップル特性が非常に良く、最大エネルギー積が11MGOeを示す磁気特性の高いとした樹脂複合材料が得られる。
【0032】
また、一般的な射出成型用に使用される等方性NdFeBのみを含む樹脂複合材料の場合には、実用的な加工性のある樹脂複合材料の最大エネルギー積は8〜9MGOe程度である。従って、これ以上の磁気特性を達成できる様に各磁性粉末のおよびバインダ樹脂の配合比率を選定することが実用上好ましい。これらの配合比率は等方性NdFeB配合比と、磁性粉末のトータル充填率の設計によって決まるため、慎重に選定する必要がある。
【0033】
本発明に使用される磁性粉末は必ずしも表面処理を必要とせず、そのままバインダ樹脂と複合化させても良いが、必要によっては各種表面処理をしてから使用しても良い。例えば、流動性や分散性向上の目的などでカップリング処理を行っても良い。また錆発生を低減するための防錆処理や、熱安定性向上のための安定化処理などを行っても良い。これらの表面処理は2種以上の表面処理を組み合わせても良い。
【0034】
本発明の樹脂複合材料に使用されるバインダ樹脂に関しては、押し出し成型や射出成型などの成型加工が出来るような熱可塑性樹脂であれば良く、例えばポリアミド12やポリアミド6などのポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂のほか、ポリアミド12エラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどが採用でき、これらの1種または2種以上を混合して使用しても良い。特に吸湿の少ないポリアミド12は、本来錆に弱いNdFeBの吸湿による錆発生を少なくできるため好ましい。またポリアミド12エラストマーやEEA、EVAなどのポリオレフィン系エラストマーなどのエラストマー樹脂は、得られる成型品に柔軟性を持たせることが出来、成型品の後加工での取り扱い性に優れるために好ましい。
【0035】
本発明の樹脂複合材料には、分散材、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、熱老化防止剤など各種添加剤を配合しても良い。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を示しながら発明の内容を説明するが、発明の内容は実施例の内容に限定されるものではない。
【0037】
(樹脂複合材料の製造)
0.3重量%のアミノシランカップリング剤で表面処理された異方性NdFeB粉末と、0.3重量%のアミノカップリング剤で表面処理された等方性NdFeB粉末と、バインダ樹脂と添加剤を所定重量だけ計量し、これらを万能ミキサへ投入した後に均一混合した。得られた混合物を二軸押し出し機で混練押し出しを行い、ペレット状にカットして射出成型用樹脂複合材料を得た。二軸押し出し機のシリンダ設定温度は180℃から220℃とした。
【0038】
(リップル特性評価用サンプルの作製)
リップル評価用の成型品は下記の手順で準備した。
型板へ磁場配向用の励磁コイルが設置されている磁場成型機(日本製鋼所 J30MEII)を使用して、18mm×78mm×3.2mm(配向方向は3.2mm方向)の板状の成型品を成型し、リップル特性評価用サンプルとした。
【0039】
(リップル特性測定)
板状のサンプルを水平な測定台へ設置し、磁力測定プローブを長手方向(78mm方向)にスキャンさせながら磁束密度を0.1mm間隔で測定し、得られた磁束密度を測定位置に対してプロットして磁力波形を得た。測定距離はサンプル表面から0.1mmとした。
【0040】
比較例1(異方性NdFeB系磁性粉末単体)の樹脂複合材料を使用した成型品の表面磁力波形を図2に示す。そのリップル値は2.1mTと非常に大きい値であり、実用性の点で問題となる。一方、実施例2(等方性NdFeB比が5重量%)の樹脂複合材料を使用した成型品の表面磁力波形を図3に示す。そのリップル値は0.4mTであり、非常に小さくなっていることがわかる。この値は0.5mT以下であるため、実用性があるといえる。
【0041】
実施例及び比較例の樹脂複合材料の配合比率、および得られた樹脂複合材料を用いた成型品について測定したリップル値を表1および表2にまとめた。なお、表中の磁性粉末重量比は、カップリング処理された磁性粉末の重量比である。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明はマグロールのほか、磁力リップルの小さい精密な磁力波形が要求されるようなセンサー、モーターや各種アクチュエーター用の磁石成型品にも利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NdFeB系磁性粉末と熱可塑性樹脂からなるマグロール用樹脂複合材料において、NdFeB系磁性粉末が異方性NdFeBと等方性NdFeBからなることが特徴のマグロール用樹脂複合材料。
【請求項2】
NdFeB系磁性粉末に含まれる等方性NdFeB系磁性粉末の比率が2〜98重量%であることが特徴の請求項1記載のマグロール用樹脂複合材料。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のマグロール用樹脂複合材料を用いて製造されたことが特徴のマグロール用成型品。
【請求項4】
少なくとも異方性NdFeBと等方性NdFeBとバインダ樹脂からなる樹脂複合材料を用いて成型されたマグロール用成型品であって、測定ギャップ1mmにおいて測定されたリップル値が1.0mT以下であることが特徴のマグロール用成型品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−112837(P2011−112837A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268572(P2009−268572)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(594020961)株式会社メイト (8)
【Fターム(参考)】