マシンビジョン検査システム用の光学収差補正
【課題】 マシンビジョン検査システム用の光学収差補正を提供する。
【解決手段】 光学収差に対して表面高さ測定値を補正するためのシステムおよび方法が提供される。オートフォーカスツールによって決定される高さは、焦点関心領域(ROI)における表面特徴角度および視野におけるROI箇所に依存し得るが、新しい誤差校正に基づいて補正される。誤差校正データには、画像における異なる特徴角度用の、および視野における複数の箇所用の高さ補正値が含まれる。高さ補正値は、例えばROIにおいて決定された勾配(エッジ)角度分布に基づき、角度依存性の誤差校正データを重み付けし、組み合わせることによって決定される。視野における複数のROI用にZ高さが決定されると、グローバル画像スタックの特定の画像からの画像データの記憶は、特定の画像が、十分に合焦された「近ピーク」焦点画像であるかどうかを、処理の初期に決定することに基づいて、効率的に制御することが可能である。
【解決手段】 光学収差に対して表面高さ測定値を補正するためのシステムおよび方法が提供される。オートフォーカスツールによって決定される高さは、焦点関心領域(ROI)における表面特徴角度および視野におけるROI箇所に依存し得るが、新しい誤差校正に基づいて補正される。誤差校正データには、画像における異なる特徴角度用の、および視野における複数の箇所用の高さ補正値が含まれる。高さ補正値は、例えばROIにおいて決定された勾配(エッジ)角度分布に基づき、角度依存性の誤差校正データを重み付けし、組み合わせることによって決定される。視野における複数のROI用にZ高さが決定されると、グローバル画像スタックの特定の画像からの画像データの記憶は、特定の画像が、十分に合焦された「近ピーク」焦点画像であるかどうかを、処理の初期に決定することに基づいて、効率的に制御することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年10月31日出願の米国特許出願第11/263,002号の一部継続出願に対応するもので、その出願開示内容全体が、本明細書において参照される。
【0002】
発明の分野
本発明は、マシンビジョン計測システムに関し、特に、非点収差などのレンズ収差によって引き起こされる誤差(例えば、Z高さ測定誤差)を補正する高精度光学収差補正システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
精密マシンビジョン検査システム(または略して「ビジョンシステム」)を用いて、検査対象物の正確な寸法測定値を取得し、かつ様々な他の物性を検査することができる。かかるシステムには、コンピュータ、カメラおよび光学系、ならびに検査されているワークピースの特徴をカメラが走査できるようにするために多方向に移動可能な精密ステージを含んでもよい。市販されている1つの例示的な先行技術のシステムは、イリノイ州オーロラ(Aurora,IL)にあるMitutoyo America Corporation (MAC)から入手可能なPCベースビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよびQVPAK(登録商標)ソフトウェアである。ビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよびQVPAK(登録商標)ソフトウェアの特徴および動作は、例えば、2003年1月に発行されたQVPAK 3D CNC Vision Measuring Machine User's Guide、および1996年9月に発行されたthe QVPAK 3D CNC Vision Measuring Machine Operation Guideに一般的に説明されており、これらのそれぞれが、それらの全体において、参照により本明細書に援用されている。この製品は、QV302−PROモデルによって実証されているように、例えば、顕微鏡タイプの光学系を用いて様々な倍率でワークピースの画像を提供し、かつ必要に応じて、いかなる単一のビデオ画像の限界も超えてワークピース表面を横切るようにステージを移動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるシステムでは、ミクロン範囲の精度が望まれることが多い。(カメラシステムの光軸に沿った)Z高さ測定値は、一般に「最良焦点」位置から導出される。Z高さ測定値用に達成される精度および信頼性のレベルは、他の測定軸用に達成されるレベルより低いことが多い。マシンビジョン検査システムが、改善された精度および信頼性でZ高さ測定値を取得できることが望ましいであろう。さらに、あるマシンビジョン検査システムでは、オートフォーカスツールを用いて、最良焦点位置および結果としてのZ高さ測定値を取得することができる。オートフォーカスツールが、改善された精度および信頼性で自動的に動作することが望ましいであろう。本発明は、前述および他の欠点を克服できるシステムおよび方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
この概要は、以下において詳細な説明でさらに説明される概念の抜粋を簡略化された形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主な特徴を特定するようにも、特許請求される主題の範囲を決定する際における補助として用いられるようにも意図されていない。
【0006】
高精度光学収差補正システムおよび方法が提供される。より具体的には、本発明は、視野における「方向性」特徴の向きに対する依存性を含む焦点誤差および/またはZ高さ測定誤差を補正する高精度光学収差補正システムおよび方法に関する。かかる誤差は、非点収差などのレンズ収差、ならびにマシンビジョン光学システムの他の特徴または欠陥によって引き起こされ得る。非点収差において、レンズの焦点距離は、異なる平面でレンズを横切る光線によって異なる(これは、視野において異なる角度に位置する特徴−例えばエッジ−に対応する)。その結果、レンズの焦点(Z)位置は、視野におけるエッジの様々な(支配的な)方向によって異なる。
【0007】
より具体的には、本発明者は、著しいZ高さ測定変動(誤差)が、視野において「方向性」特徴を示す表面または特徴を測定する場合に発生し得ることを発見した。これらの変動は、方向性特徴の向き(例えば、視野における線テクスチャ、ライン、エッジなどの向き)に依存する。かかる方向性表面および特徴は、本明細書では異方性表面および特徴と呼ばれる。方向性特徴の向きに依存する、かかる変動(誤差)は、誤差の原因である根本的な物理プロセスにかかわらず、本明細書では一般に非点収差誤差と呼ばれる。
【0008】
視野における焦点関心領域(ROI)に対応する焦点位置が、焦点ROIにおいて可視のエッジまたはテクスチャ(性状)の方向(角度)に応じて特徴付けられ、次に、測定される表面が、それらの支配的なエッジ(または勾配)方向の点から特徴付けられる場合には、適切なZ補償が、当該焦点ROIにおいて測定される各表面用に適用されて、焦点ROIにおける支配的なエッジ方向に対応する焦点位置誤差を打ち消すことができる。これによって、全てのZ測定値は、焦点ROIにおけるエッジまたはテクスチャの方向に対する依存が低減され、名目上は無関係にされる。
【0009】
多くの場合に、テクスチャもしくはラインエッジおよび/または方向性が、より強いかまたはより明白であればなるほど、非点収差誤差は、それだけ著しくなる。さらに、非点収差誤差は、カメラ視野にわたって著しく変化し得ることが分かった。すなわち、視野全体を通して均一な方向性テクスチャが与えられたとすると、視野の一部分から(1つのROIから)の画像データに基づいた焦点動作は、視野の別の部分から(別のROIから)の画像データに基づいた焦点動作とは異なるZ高さ測定値をもたらし得る。かかるROI依存の非点収差誤差は、本明細書に開示するシステムおよび方法によって少なくとも部分的に補償または補正し、視野の全体を通してZ高さ測定精度を改善し、かつ測定変動を低減することが可能である。
【0010】
本明細書に開示する誤差補正システムおよび方法はまた、一般に、いかなる非点収差誤差とも無関係で、視野の測定箇所に依存する焦点変動および/またはZ高さ変動を補正可能である。例えば、かかる変動は、レンズの像面湾曲と、システムの光軸に対するカメラCCDの不完全な垂直性と、CCDの湾曲と、ビジョンシステムステージに対するビジョンシステムの光軸の不完全な垂直性と、視野にわたって最良焦点位置を変動させ得る同様の誤差源と、に起因し得る。かかる誤差は、一般に、誤差の原因である根本的な物理プロセスにかかわらず、本明細書では集合的に静的光学誤差と呼ばれる。静的光学誤差により、ワークピース表面がカメラ視野の異なる箇所で測定される場合には、方向性特徴を示さない表面またはパターンに対してさえ、固定高さを有するワークピース表面に対してZ高さ測定値が変動される。かかる「非方向性」表面およびパターンは、本明細書では等方性表面およびパターンと呼ばれる。
【0011】
本発明の一態様によれば、非点収差誤差は、それぞれの非点収差誤差成分を含むそれぞれのZ高さ測定値の基礎として異なるそれぞれの校正角度に向けられた方向性パターンを用いて、特徴付けられる。方向性パターンのかかるZ高さ測定値はまた、本明細書では異方性測定値と呼ばれる。
【0012】
異方性測定値には、一般に、非点収差誤差成分および静的光学誤差成分の両方、すなわち結合誤差が含まれることが理解されよう。異方性測定値におけるかかる結合誤差は、本明細書では異方性誤差と呼ばれる。本発明の一態様によれば、異方性誤差を決定してもよく、結果としての異方性誤差校正データを、将来のZ高さ測定値の異方性誤差を補償または補正するために記憶してもよい。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、視野の同じ箇所における、方向性パターンを用いるZ高さ測定値(異方性測定値)と、等方性Z高さ測定値(以下でさらに説明する)との間の差によって、当該箇所における非点収差誤差成分または非点収差誤差校正データを決定してもよい。結果としての非点収差誤差校正データは、将来のZ高さ測定値の非点収差誤差成分を補償または補正するために記憶してもよい。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、異方性誤差および/または非点収差誤差は、視野内の複数の箇所において特徴付けられる。結果としての校正データは、Z高さ測定値を決定するために用いられるデータを提供する視野内の箇所に補正の基礎を置くことを含めて、将来のZ高さ測定誤差を補償または補正するために記憶してもよい。様々な実施形態において、複数の異方性測定値および/もしくは異方性誤差、ならびに/または非点収差誤差は、視野における正確に知られている位置に対応して決定してもよく、次に、補間は、視野における任意の特定の箇所に関連する異方性測定値および/もしくは異方性誤差、ならびに/または非点収差誤差を推定するために行うことができる。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、異方性誤差および/または非点収差誤差は、マシンビジョンシステムにおいて用いられる各特定のレンズまたはレンズの組み合わせ(もしくは倍率)に対して特徴付けられる。結果としての校正データは、当該特定のレンズまたはレンズの組み合わせ(もしくは倍率)を用いる場合に、将来のZ高さ測定誤差を補償または補正するために記憶される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、構成基準器は、校正データを取得するために利用してもよい。構成基準器は、複数のそれぞれの異方性対象要素からなってもよく、これらの要素のそれぞれには、異なるそれぞれの角度方向に向けられた方向性パターンが含まれる。一実施形態において、それぞれの異方性対象要素は、別個の角度ステップで0°〜180°におよぶ異なるそれぞれの角度方向を提供してもよい。ステップサイズは、校正データの所望の分解能に依存して変化してもよい。例として、分解能は、5°または7.5°または15°などのステップサイズに対応してもよい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、静的光学誤差は、構成基準器を用いて提供されるZ高さ測定データを用いて特徴付けてもよい。一実施形態において、Z高さ測定値を提供するために、静的光学誤差は、異方性対象要素の一連の測定値を平均することに基づいて特徴付けられ、非点収差誤差成分が、事実上、平均化によって除去された。かかる平均化によって、静的光学誤差を決定するために使用可能な第1のタイプの等方性または非方向性測定値が提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、静的光学誤差は、視野内の複数の箇所において特徴付けられる。結果としての校正データは、静的光学誤差を決定するために用いられるデータを提供する視野内の箇所に補正の基礎を置くことを含めて、将来のZ高さ測定誤差を補償または補正するために記憶してもよい。一実施形態において、複数の等方性測定値および/または静的光学誤差は、視野における正確に知られている位置に対応して決定してもよく、次に、補間は、視野における任意の特定の箇所に関連する等方性測定値および/または静的光学誤差を推定するために行うことができる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、等方性対象要素、すなわち「方向性」を欠くパターンからなる対象要素を、構成基準器上に提供してもよい。等方性パターンを測定する場合には、これらのパターンの1つに合焦することによって、非点収差誤差が、最小限にされるかまたは除去されるので、もしあれば名目上静的光学誤差だけを含むZ高さ測定値を取得可能である。かかる等方性対象要素測定値によって、静的光学誤差を決定するために使用可能な第2のタイプの等方性または非方向性測定値が提供される。複数の等方性対象要素を提供してもよく、それらの、構成基準器上の位置が正確に知られているので、補間は、構成基準器における任意の特定の箇所に関連する等方性測定値および/または静的光学誤差を推定するために行うことができる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、以下でより詳細に概説するように、等方性測定値セットに基づいて「真の」または基準Z高さ測定値を決定することが可能である。すなわち、静的光学誤差も非点収差誤差も名目上含まない「真の」または基準Z高さ測定値を推定してもよい。同じ箇所における「真の」または基準Z高さ推定値と異方性Z高さ測定値との間の差によって、当該箇所における異方性誤差または異方性誤差校正データが決定される。同じ箇所における「真の」または基準Z高さ推定値と等方性Z高さ測定値との間の差によって、当該箇所における静的光学誤差成分または静的光学誤差校正データが決定される。静的光学誤差はまた、本明細書では「等方性誤差」と呼んでもよい。
【0021】
本発明の別の態様によれば、構成基準器は、複数の異なるサイズのそれぞれの対象要素のセットからなってもよい。各セット内において、各対象要素のそれぞれは、当該特定の対象要素セットが設計のときに予定した最低の倍率において、視野よりわずかに大きくなるように設計してもよい。さらに、各セット内において、対象要素パターン内における任意の異方性特徴(およびもし含まれる場合には等方性特徴)の密度または間隔は、それが設計のときに予定した倍率において、優れた校正を提供するように選択してもよく、例えば、特徴は、エイリアシングを防ぐために、カメラ画素間隔と比較して十分に「太く」すべきであり、かつ特に異方性対象要素用に視野における「強い」パターンを提供するために、視野には十分な特徴(例えば、ラインおよびスペース、テクスチャ「スクラッチ」など)が存在すべきである。
【0022】
本発明の別の態様によれば、校正データが取得された後で、視野内の特定の関心領域(ROI)用の(例えば、オートフォーカスツールを用いることによる)続くZ高さ測定中に、Z高さ測定値は、校正データを補間または外挿することによって補正され、関心領域の当該特定の箇所に対応する補正値を取得する。このプロセスの第1の部分には、既存の校正誤差補正データを再構成または増強して、視野におけるオートフォーカスツール関心領域の特定の位置に対応する値を推定することを含んでもよい。再構成または推定は、校正プロセス中に、視野内の別個の箇所において捕捉された誤差補正データの補間(例えば、双一次、双二次、双三次など)によって実行してもよい。このプロセスの第2の部分には、再構成または推定された誤差補正データを用いて、オートフォーカスルーチンによって決定された初期または生のZ位置に対するZ補正値を計算することを含んでもよい。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に従って校正データが取得された後で、例えばオートフォーカスツールに基づいた、視野内における特定の関心領域(ROI)用の続くZ高さ測定中に、Z補正値が、関心領域に存在する特徴の強度および/または向きに依存する1つもしくは複数の特徴または重み付け係数に従って重み付けされた校正誤差補正データに従って、計算および適用される。画像の関心領域に存在する特徴における強度および/または向きの特徴は、その形態にかかわらず、傾き角度依存性(orientation angle content characteristic)あるいは角度内容特徴等と包括的に呼んでもよい。一実施形態において、関心領域に存在する特徴の強度および/または向きは、関連する校正データを決定するために用いられる異方性対象要素の特徴の強度および/または向きと比較して決定される。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、様々な実施形態において、関心領域において決定された勾配(エッジ)方向のヒストグラムは、1つまたは複数の「方向性」重み付けまたは補間係数を決定するために用いてもよい。様々な実施形態において、関心領域において決定された勾配(エッジ)強度のヒストグラムは、1つまたは複数の「強度」重み付け係数を決定するために用いてもよい。
【0025】
本発明の別の態様によれば、ヒストグラムは、勾配の大きさおよび方向(というより、一実施形態において、誤差校正データセットにおけるエッジ方向データと一致させるために、勾配方向に垂直な方向)の両方を計算することによって形成してもよい。勾配計算は、オートフォーカスツール関心領域における各画素に対応して実行してもよい。勾配の大きさが、ある(低い)ノイズ閾値より小さい画素は、画像ノイズと比較して比較的「強い」エッジのみに対処することが望ましい実施形態では、考慮から除いてもよい。画像ノイズが著しい場合には、関心領域は、勾配の大きさおよび方向の計算の前に、空間的に小さな平均化フィルタでさらに平滑化することができる。次に、全ての残りの「適した」画素(すなわち、勾配の大きさが、適切なノイズ閾値を超える画素)用に勾配方向のヒストグラムを作成してもよく、それに応じて、校正データが重み付けされる。
【0026】
上記で概説した本発明の様々な態様によれば、校正データは、静的光学誤差を非点収差誤差から区別してもよい。かかる場合に、静的光学誤差は、関心測定領域が著しい方向性内容を欠く場合には、重み付け係数等に関連する追加的な計算の必要なしに、静的光学誤差校正データから直接補償してもよい。
【0027】
様々な実施形態において、視野の様々な箇所における異方性誤差および/または静的光学誤差を決定するために、現実的で一般的なモデルが、分析または実験に基づいて、構成基準器基板形状用に確立される。例えば、それは、平面で、かつ光学系軸に対して潜在的に傾斜していると仮定してもよい。あるいは、それはまた、1つまたは複数の方向に沿って湾曲していると仮定してもよい。以下でより詳細に説明するように、モデルに依存して、直線、曲線、または平面もしくは湾曲面が、複数の等方性Z高さ測定値に適合し得る。結果としての「最良適合」基板箇所は、その適用可能範囲全体を通して箇所における基準または真のZ高さ測定値の推定値として用いてもよい。様々な箇所における異方性Z高さ測定値と真のZ高さ値との間の差は、様々な箇所用の異方性誤差および関連する異方性誤差校正データを決定するために用いてもよい。様々な箇所における等方性Z高さ測定値と真のZ高さ値との間の差は、様々な箇所用の静的光学誤差および関連する静的光学誤差校正データを決定するために用いてもよい。
【0028】
本発明の別の態様によれば、本発明の誤差補正システムおよび方法は、複数の主要な関心領域(例えば、主要な関心領域は、グラフィカルユーザインタフェースにおけるビデオツール関心領域境界によって境界を定められた包括的な関心領域であってもよい)、および/または特定の主要な関心領域内のポイントに関連する複数のサブ領域に適用してもよい。このようなことは、あるタイプのオートフォーカスツール(例えば、マルチ領域またはマルチポイントオートフォーカスツール)が用いられる場合には、必要になり得る。マルチ領域オートフォーカスツールは、このツール用の複数のそれぞれの主要な焦点関心領域用のそれぞれのZ焦点位置および/または高さ座標を提供することに関連する動作を実行してもよい。マルチポイントオートフォーカスツールは、複数のそれぞれの第2の焦点関心領域またはサブ領域用のそれぞれのZ焦点位置または高さ値を提供することに関連する類似の動作を実行してもよく、これらの第2の焦点関心領域またはサブ領域は、このツール用の主要な関心領域内に位置するポイントに関連してもよい。マルチ領域およびマルチポイントオートフォーカスツールは、Z高さ測定用の基礎として、少なくとも表面タイプのオートフォーカス動作を提供し得る。
【0029】
(例えば、個別オートフォーカスツール用に)単一の関心領域だけを分析することと比較して、(例えば、マルチ領域またはマルチポイントオートフォーカスツール用に)高スループットで複数の関心領域および/またはサブ領域のZ高さを分析することに関連して、ならびに特に、本発明に従って異方性誤差に対して各Z高さを補正するために必要なメモリおよび/または処理動作を考慮した場合に、様々な困難が発生し得ることを理解されたい。例えば、複数の関心領域が分析されている場合に、各関心領域および/またはサブ領域に普遍的に当てはまる単一の「焦点」位置または「最良焦点」Z高さがもはや存在しないことを理解されたい。なぜなら、複数の関心領域および/またはサブ領域が、異なる高さを有し得るからである。さらに、各関心領域および/またはサブ領域用に別個のオートフォーカス画像セット(またオートフォーカス画像スタックとも呼ばれる)および/または別個の最終的な「最良焦点」オートフォーカス画像を提供するために、ワークピースステージまたはカメラを繰り返し移動させることは、非実用的であろう。なぜなら、必要な機械的な動作を提供することは、一般に、オートフォーカス高さ決定の最も時間を消費する(スループットを制限する)側面であるからである。これは、速度ボトルネックをもたらすことがあり、検査スループットに対する代償は、特に、分析すべき多数の関心領域および/またはサブ領域がある場合には、非常に高いものになり得る。さらに、いくつかの実施形態または用途において、複数の関心領域および/またはサブ領域の分析に必要なメモリおよび/またはハードウェア動作の量は、合理的なスループット予想およびリアルタイム検査動作に関して非実用的かまたは少なくとも望ましくいほど遅くなり得る。
【0030】
様々な実施形態において機械的な動作ボトルネックを回避するために、以下でより詳細に説明するように、単一のグローバル画像スタック(単一、フル、またはグローバル画像スタック等とも呼ばれる)を取得し、かつ全体的なマルチ領域および/またはマルチサブ領域(例えば、マルチポイントツールサブ領域)高さ決定プロセス用の基礎として用いることが有利になり得る。さらに、様々な実施形態において、(それぞれのZ高さ補正に関連して)本明細書で概説する配向角度分析動作を、可能な最良の焦点位置において別個に取得される追加の「可能な最良の」画像(例えば、決定されたZ高さまたは焦点曲線ピーク位置で取得される別個の画像)の部分にではなく、グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に基づかせることが、有利になり得る。
【0031】
グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に基づいて、それぞれのZ高さ補正値を決定することに関して、次のことを理解されたい。すなわち、Z高さ補正用の基礎として用いられる傾き角度依存性の最も正確または再現可能な決定を可能にするために、可能な最良の焦点画像(例えば、焦点曲線ピークで取得された画像)を用いてもよいが、いくつかの実施形態または用途では、傾き角度依存性は、任意の十分に合焦された画像に基づいて、十分な精度で決定または推定してもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、適切な十分に合焦された画像部分は、比較的優れた焦点に対応していることが知られている閾値を超える焦点メトリック(例えば、焦点特徴の任意の周知のタイプもしくは任意の他の適切なタイプにおける画像コントラストまたは鮮鋭度メトリック)を有する画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって、保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、画像スタックにおける他の画像と比較して、当該部分用に利用可能な最良の焦点メトリックを有する画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって、保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、当該部分用に決定された非補正最良焦点Z高さに十分に近いか最も近い、画像スタックの画像に含まれる画像部分を選択することによって、保証してもよい。これらの代替実施形態は、以下でより詳細に説明する。いずれの場合も、前述の方法のいずれもが、関心領域またはサブ領域に基づいた角度内容特徴を、当該関心領域用の最良焦点非補正Z高さに十分に近いZ高さに対応する画像から提供し、この角度内容特徴が、本発明に従って、様々な実施形態または用途において十分に正確なZ高さ補正値を提供できるようにすることが理解されよう。様々な実施形態において、前述の動作は、それぞれの関心領域またはサブ領域に対応する十分に合焦された画像を識別する近ピーク(near−peak)動作制御要素(例えば、回路またはルーチン)に関連してもよい。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素はまた、対応する傾き角度依存性および/またはZ高さ補正値を決定することに関連してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素はまた、ある条件メモリ管理動作に関連してもよい。「近ピーク」データおよび/または動作に基づいた条件メモリ管理動作は、大領域マルチポイントオートフォーカスツール、ならびに/または大きなメガピクセルカメラ画像、ならびに/または大きなオートフォーカスおよび/もしくは高さ変動走査範囲、ならびに/または多数の高解像度(例えば、ミクロンレベル)オートフォーカスおよび/もしくは高さ変動走査増分を必要とする実施形態または用途などの実施形態または用途においてメモリを節約するために特に有利であり得る。一般的に言えば、「近ピーク」データ(すなわち、焦点曲線ピークにほぼ対応する高さにおいて取得された画像からの画像データ)だけが、Z高さ補正動作に関して必要とされる。様々な実施形態において、近ピーク動作制御要素は、かかる近ピークデータを不必要なデータと区別し、不必要なデータおよび/または関連動作を除去してもよい。換言すれば、あるデータ記憶および/または処理は、そのデータが「近ピーク」データではないという条件下で、近ピークデータ制御要素によって除去するかまたは削除してもよい。様々な実施形態において、近ピークデータは、画像スタックのそれぞれの画像における特定の関心領域またはサブ領域用のそれぞれの焦点特徴または焦点メトリックに基づいて、非近ピークデータと区別してもよい。条件動作を管理する焦点特徴データの様々な使用法は、以下で説明する。しかしながら、様々な実施形態において、決定された焦点特徴またはメトリックのいくつかまたは全てはまた、対応する関心領域またはサブ領域用の「焦点曲線」を定義するデータポイントとして用いてもよいことを理解されたい。当業者には周知のように、焦点曲線は、一連のデータポイントに対応して定義してもよいが、これらの一連のデータポイントには、それぞれ、対応する周知の高さ(独立変数)において取得された画像における関心領域用に決定された焦点特徴または焦点メトリック値(従属変数)が含まれる。一般に、焦点特徴または焦点メトリックは、任意で周知のタイプの画像コントラストまたは鮮鋭度メトリック、または任意で他の適切なタイプの焦点特徴(例えば、ファジイ論理タイプの特徴など)であってもよい。次に、焦点曲線の補間されたピーク(例えば、焦点曲線データに適合する曲線のピーク)は、周知のオートフォーカスおよび/または高さ決定技術に従って決定してもよい。本明細書の他のところで説明するように、焦点曲線のかかる補間されたピークは、非補正Z高さ測定値に対応してもよいが、この非補正Z高さ測定値は、異方性誤差補正値と組み合わされて、本発明による、対応する補正Z高さを提供する。
【0033】
様々な実施形態において、本発明の一態様に従って、ある条件動作を管理する焦点特徴データの利用に関して、条件データ記憶および/または処理は、グローバル画像スタックの「現在の」画像用に分析される現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴が、「前の」画像における当該関心領域またはサブ領域用の、前に決定された焦点特徴より優れているか(例えば、焦点曲線ピークにより近いか)どうかに、基づいてもよい。いくつかの実施形態において、条件データ記憶および/または処理動作は、同様にまたは代替として、現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴が、十分に優れた焦点を示すデフォルトまたは閾値を超えるかどうか次第であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、現在の焦点特徴が、前に決定された「現行最良」焦点特徴より優れている(例えば、それが、前に決定された「現行最良」焦点メトリック値より大きな焦点メトリック値を有する)場合には、それは、当該関心領域またはサブ領域用の新しい「現行最良」焦点特徴として記憶されるか、または識別される。いくつかの実施形態において、グローバル画像スタック全体が、関心領域またはサブ領域用に分析された後で、最終的な現行最良焦点メトリックを用いて、(対応する関心領域またはサブ領域用の)画像スタックにおける最良焦点画像を識別してもよく、次に、これを用いて、対応するZ高さ補正値を決定するために用いられる、対応する傾き角度依存性を決定してもよい。他の実施形態において、新しい「現行最良」焦点特徴が、スタックの特定の画像における特定の領域またはサブ領域に対応して決定された場合には、この条件によって、Z高さ補正用の潜在的な将来の使用のために、当該特定の画像の対応する部分の記憶をトリガしてもよい。かかる実施形態において、記憶された新しい「現行最良」データは、前に記憶された同様の現行最良データと取って代わってもよく、次に、前に記憶された同様の現行最良データは、メモリを節約するために削除してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、新しい「現行最良」焦点特徴が、特定の画像における特定の領域またはサブ領域に対応して決定された場合には、この条件によって、同様にまたは代替として、当該特定の画像の当該部分に対応する角度内容特徴および/または結果としてのZ高さ補正値の決定および記憶をトリガしてもよい。いくつかの実施形態において、新しい現行最良焦点特徴に対応する角度内容特徴またはZ高さ補正値が記憶されると、記憶されたデータは、前に記憶された同様の現行最良データに取って代わってもよく、次に、前に記憶された現行最良データは、メモリを節約するために削除してもよい。上記で概説したように、現行最良角度内容特徴が記憶されるか、または識別された場合には、様々な異なる実施形態において、これは、対応する「現行最良」画像データの記憶または識別に関して前に上記で概説した動作の1つまたは複数を補足するか、それに取って代わるか、または入れ替わってもよいことが理解されよう。すなわち、本発明に従って、対応する異方性誤差補正値を提供するために、現行最良傾き角度依存性で十分であるので、対応する根本的な画像データは、処理中の任意の有利なときにメモリから削除してもよい。同様に、新しい「現行最良」異方性誤差補正値が記憶されると、それは、前に記憶された傾き角度依存性および/または前に記憶された異方性誤差補正値と入れ替わるかまたは取って代わってもよく、次に、これらの前に記憶されたものは、メモリを節約するために、処理中の任意の有利なときに削除してもよい。いくつかの実施形態において、画像スタック全体が、関心領域またはサブ領域用に分析された後で、結果としての「現行最良」異方性誤差補正値は、当該関心領域またはサブ領域用の対応する補正Z高さを決定する際に用いるために、すぐに利用可能である。
【0036】
先行技術の方法と比較して、上記で概説した条件動作方法のそれぞれにより、オートフォーカスZ高さ決定動作中に画像が取得および処理されるので、メモリおよび記憶装置要求が著しく低減され得ることが理解されよう。すなわち、画像データ(例えば、画像スタックの様々な画像における領域またはサブ領域データ)は、取得され、かつ画像スタック全体が完全に分析されるまで保持されるのではなく、最も早い有利なときに(例えば、順次的に、分析中に)除去するか、または削除してもよい。特定の例示的な一実施形態において、非重複関心領域またはサブ領域に対して、同時に記憶される情報の合計量は、単一画像のサイズを超えないほど小さくてもよい。さらに、上記で概説した条件動作方法はまた、特に、多数の測定サブ領域を備えたマルチポイントオートフォーカスツールにおいてZ高さ用の異方性誤差補正値を提供する場合には、Z高さ決定動作用の処理時間を著しく低減し、スループットを向上させ得る。さらに、ある実施形態における方法は、ある既存製品における現在のオートフォーカスツールとうまく統合される。
【0037】
様々な実施形態において、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するためのルーチンが提供される。ルーチンは、選択された関心領域またはサブ領域ROI(k)セット(k=1〜P)を定義することから開始し、このセットに対してZ高さが決定されることになる。上記のように、関心領域ROI(k)には、全体的なまたは主要な関心領域(例えば、マルチ領域オートフォーカスツールの場合)を含んでもよく、または第2のもしくはサブの関心領域(例えば、マルチポイントオートフォーカスツールの場合)を含んでもよいことが理解されよう。次に、関心領域ROI(k)セットを含み、かつ決定されることになるZ高さにわたる画像(i)(i=1〜N)の画像スタックセットが定義され、次に、画像スタックセットが取得される。焦点メトリック(k、i)が、画像(i)における関心領域またはサブ領域ROI(k)用に決定される。一実施形態において、焦点メトリックには、画像(i)における関心領域ROI(k)用の鮮鋭度測定を含んでもよい。最良焦点非補正Z高さが関心領域ROI(k)用に決定され、角度内容特徴が、関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに近いZ高さに対応する画像の関心領域ROI(k)用に決定される。一実施形態において、角度内容特徴は、勾配(エッジ)角度ヒストグラムに基づいて決定してもよい。Z高さ補正値は、関心領域ROI(k)用の角度内容特徴に基づいて、関心領域ROI(k)用に決定され、補正Z高さは、関心領域ROI(k)用のZ高さ補正値および最良焦点非補正Z高さに基づいて、関心領域ROI(k)用に決定される。ルーチンにはまた、前に概説し、かつ以下でより詳細に説明するデータ分析および/または記憶方法の1つまたは複数を含んでもよい。
【0038】
本発明の前述の態様および付随する利点の多くは、それらが、添付の図面と共に読まれたとき、以下の詳細な説明に関連してよりよく理解されるようになるにつれて、より容易に認識されるようになろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図面の簡単な説明
【図1】汎用マシンビジョン検査システムの様々な典型的構成要素を示す図である。
【図2】マシンビジョン検査システムの制御システム部およびビジョン構成要素部の図である。
【図3A】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図3B】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図3C】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図3D】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図4】測定値に関するZの変動を、図3A−3Dの表面における向きに応じて示すグラフである。
【図5】本発明に従って形成された例示的な一構成基準器を示す図である。
【図6】図5の構成基準器を用いて決定された非点収差誤差校正データの例示的な一群のグラフである。
【図7】レンズ視野内の異なる箇所、および[0,180°]の範囲で回転する方向性パターン用の異なる箇所で発生し得る、異なる異方性誤差校正データ結果を示す図である。
【図8A】図7の図の視野における個別の校正箇所間の箇所用に、誤差補正値を決定するために用い得る例示的な補間技術を示す図である。
【図8B】図7の図の視野における個別の校正箇所間の箇所用に、誤差補正値を決定するために用い得る例示的な補間技術を示す図である。
【図8C】図7の図の視野における個別の校正箇所間の箇所用に、誤差補正値を決定するために用い得る例示的な補間技術を示す図である。
【図9A】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図9B】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図9C】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図9D】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図10A】1つの例示的で不均一なテクスチャ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図10B】1つの例示的で不均一なテクスチャ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図11A】ストライプ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図11B】ストライプ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図12A】テクスチャ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図12B】テクスチャ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図13A】異常な向きのスクラッチを含む、粗いテクスチャの方向性表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図13B】異常な向きのスクラッチを含む、粗いテクスチャの方向性表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図14】本発明に従って補正Z高さ測定値を生成するためのランタイム動作用の例示的な一ルーチンを示す流れ図である。
【図15】図14の角度特徴決定およびルックアップテーブル再構成動作を実行するための例示的な一ルーチンを示す流れ図である。
【図16】図2と同様であり、かつオートフォーカスツール部、オートフォーカスツールセットおよび近ピーク動作制御要素を含むマシンビジョン検査システムの制御システム部およびビジョン構成要素部の図である。
【図17】本発明に従って、測定すべき関心領域セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための一般的で例示的な一ルーチンを示す流れ図である。
【図18A】図17のルーチンに類似した例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。
【図18B】図17のルーチンに類似した例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。
【図18C】図17のルーチンに類似した例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、本発明による1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。マシンビジョン検査システム10には、制御コンピュータシステム14とデータおよび制御信号を交換するために動作可能に接続されたビジョン測定マシン12が含まれる。制御するコンピュータシステム14は、さらに、モニタ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24およびマウス26とデータおよび制御信号を交換するために動作可能に接続される。モニタまたはディスプレイ16は、マシンビジョン検査システム10の動作を制御および/またはプログラミングするのに適したユーザインタフェースを表示してもよい。
【0041】
ビジョン測定マシン12には、移動可能なワークピースステージ32と、ズームレンズまたは交換レンズを含み得る光学撮像系34と、が含まれる。ズームレンズまたは交換レンズは、一般に、光学撮像系34によって提供される画像用に様々な倍率を提供する。マシンビジョン検査システム10は、一般に、上記のビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよびQVPAK(登録商標)ソフトウェア、ならびに同様の従来技術で市販の精密マシンビジョン検査システムに匹敵する。マシンビジョン検査システム10はまた、米国特許出願第10/978,227号に説明されており、この特許出願は、参照により本明細書に援用されている。
【0042】
図2は、本発明によるマシンビジョン検査システム100の制御システム部120およびビジョン構成要素部200の図である。以下でより詳細に説明するように、制御システム部120を用いて、ビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200には、光学アセンブリ部205、光源220、230および240、ならびに中央透明部212を有するワークピースステージ210が含まれる。ワークピースステージ210は、ワークピース20を配置可能なステージ表面と略平行な平面に位置するXおよびY軸に沿って制御可能に移動できる。光学アセンブリ部205には、カメラシステム260および交換可能な対物レンズ250が含まれ、かつタレットレンズアセンブリ280および同軸光源230を含んでもよい。タレットレンズアセンブリの代替として、固定または手動で交換可能な倍率変更レンズまたはズームレンズ構成等を含んでもよい。以下でさらに説明するように、光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることによって、XおよびY軸に略垂直なZ軸に沿って制御可能に移動できる。
【0043】
マシンビジョン検査システム100を用いて撮像されることになるワークピース20が、ワークピースステージ210上に配置される。光源220、230および240の1つまたは複数が、ワークピース20を照明するために使用可能な光源光222、232または242をそれぞれ放射する。光源220、230および/または240によって放射された光は、ワークピース20を照明し、ワークピース光255として反射または透過されるが、このワークピース光255は、交換可能な対物レンズ250およびタレットレンズアセンブリ280を通過し、カメラシステム260によって集光される。ワークピース20の画像は、カメラシステム260によって捕捉されるが、信号線262で制御システム部120に出力される。
【0044】
ワークピース20を照明するために用いられる光源220、230および240には、ステージライト220、同軸ライト230、およびリングライトまたはプログラム可能リングライトなどの表面ライト240を含むことができ、全ては、信号線またはバス221、231および241を介して、制御システム部120にそれぞれ接続される。マシンビジョン検査システム100の主要な光学アセンブリとして、光学アセンブリ部205には、前述の構成要素に加えて、同軸照明を提供するために必要になり得るような、開口部、ビームスプリッタなどの他のレンズおよび他の光学要素、または他の望ましいマシンビジョン検査システム機構を含んでもよい。タレットレンズアセンブリ280がマシンビジョン検査システム100の第2の光学アセンブリとして含まれる場合には、タレットレンズアセンブリ280には、少なくとも第1のタレットレンズ位置およびレンズ286、ならびに第2のタレットレンズ位置およびレンズ288が含まれる。制御システム部120は、信号線またはバス281を介して、少なくとも第1および第2のタレットレンズ位置間で、軸284に沿ってタレットレンズアセンブリ280の回転を制御する。
【0045】
ワークピースステージ210と光学アセンブリ部205との間の距離を調整して、カメラシステム260によって捕捉されるワークピース20の画像における焦点を変更することができる。特に、様々な例示的な実施形態において、光学アセンブリ部205は、ワークピースステージ210に対して垂直Z軸方向に移動可能であるが、この移動は、Z軸に沿って光学アセンブリ部205を移動させるアクチュエータ、接続ケーブル等を駆動する制御可能モータ294を用いて行われる。用語Z軸は、本明細書で用いられるように、光学アセンブリ部205によって取得される画像を合焦させるために用いられるように意図された軸を指す。制御可能モータ294は、用いられる場合には、信号線296を介して入力/出力インタフェース130に接続される。
【0046】
図2に示すように、様々な例示的な実施形態において、制御システム部120には、コントローラ125、入力/出力インタフェース130、メモリ140、パートプログラム生成器および実行器170、CADファイル特徴抽出器180、ならびに電源部190が含まれる。これらの構成要素、ならびに以下で説明する追加的な構成要素のそれぞれは、1つもしくは複数のデータ/制御バスおよび/またはアプリケーションプログラミングインタフェースによってか、または様々な要素間の直接接続によって、相互接続してもよいことが理解されよう。
【0047】
入力/出力インタフェース130には、撮像制御インタフェース131、動作制御インタフェース132、照明制御インタフェース133、およびレンズ制御インタフェース134が含まれる。動作制御インタフェース132には、位置制御要素132A、および速度/加速制御要素132Bが含まれる。しかしながら、様々な例示的な実施形態において、かかる要素を一体化するか、かつ/または区別できないようにしてもよいことを理解されたい。照明制御インタフェース133には、照明制御要素が含まれるが、これらの照明制御要素は、例えば、光源220、230および240など、マシンビジョン検査システム100の様々な対応する光源に対して、選択、光量、オンオフスイッチ、および適用可能の場合、ストローブパルスタイミングを制御する。
【0048】
メモリ140には、画像ファイルメモリ部141、1つまたは複数のパートプログラム等を含み得るパートプログラムメモリ部142、およびビデオツール部143が含まれる。ビデオツール部143には、対応するツールのそれぞれに対してGUI、画像処理動作などを決定するツール部143a−143mが含まれる。本発明の様々な例示的な実施形態において、ビデオツール部143にはまた、オートフォーカスツール145、オートフォーカス補正部148、ルックアップテーブル生成器148A、ルックアップテーブルメモリ部148B、補間部148C、および方向−強度決定部148Dが含まれる。以下でより詳細に説明するように、オートフォーカス補正部148は、非点収差誤差が存在する場合に、それらを補正することを含めて、オートフォーカスツール145の動作中に結果として生じるZ高さ測定誤差を補正可能である。
【0049】
ルックアップテーブル生成器148Aは、各特定のレンズおよび/または特定の倍率用に誤差補正校正データ(例えば、誤差補正校正データのルックアップテーブルまたは任意の他の代替の形態もしくは構成)を準備してもよい。一実施形態において、レンズ用の校正データには、レンズ/カメラ視野における複数のスポットに対する、方向性パターンの向きにおける0〜180°の範囲にわたる非点収差誤差用の補正を含む垂直(Z)補正値セットが含まれる。一実施形態において、校正データには、視野における複数のスポットに対する、静的光学誤差用の補正値セットおよび非点収差誤差用の補正値セットを含む垂直(Z)補正値を含んでもよい。別の実施形態において、校正データには、視野における多数のスポットに対する、異方性誤差用の補正値セットを含む垂直(Z)補正値を含んでもよい。ルックアップテーブルは、ルックアップテーブルメモリ部148Bに記憶される。誤差校正データは、「ルックアップテーブル」の形態で決定および記憶されるように、本明細書で一般的に説明されているが、かかる実施形態が、例示に過ぎず、限定的ではないことを理解されたい。より一般的には、「ルックアップテーブル」を生成または記憶するものとして本明細書で説明される任意の要素または方法は、より一般的な要素または方法、すなわち、本発明の原理に従ってZ高さ測定値を補正するために使用可能な誤差校正データの、任意の他の現在周知かまたは将来開発される形態または構成を生成または記憶可能な、より一般的な要素または方法の典型として理解されたい。
【0050】
補間部148Cは、現在の焦点関心領域、例えばオートフォーカスツール関心領域に対応する視野の位置に対する、ルックアップテーブルデータの補間、外挿または他の推定もしくは再構成のために用いられる。一般に、再構成は、ルックアップテーブルメモリ部148Bに記憶されたルックアップテーブルなどの誤差校正値の補間(例えば、双一次、双二次、双三次など)によって実行される。方向−強度(方向および強度)決定部148Dは、焦点関心領域における内容の方向(名目上の向き)および/または強度(例えば勾配の大きさ)の適切な測定を決定するために用いられる。一実施形態において、方向−強度決定部148Dは、現在の焦点関心領域に存在する勾配(エッジ)方向のヒストグラムを決定するが、このヒストグラムは、以下でより詳細に説明するように、適切な補正値を計算してZ高さ測定値に適用するために、再構成(補間)された誤差校正データと共に用いてもよい。
【0051】
ビデオツール部143には、さらに関心領域生成器143xが含まれるが、この関心領域生成器143xは、ビデオツール部143に含まれる様々なビデオツールにおいて操作可能な様々な関心領域を定義する自動、半自動、および/または手動動作を支援する。一般に、メモリ部140は、ビジョンシステム構成要素部200を操作してワークピース20の画像を捕捉または取得するために使用可能なデータを記憶して、ワークピース20の取得画像が所望の画像特徴を有するようにする。メモリ部140は、さらに、マシンビジョン検査システム100を操作して、取得画像に対する様々な検査および測定動作を手動または自動実行し、かつ入力/出力インタフェース130を介して結果を出力するために使用可能なデータを記憶する。
【0052】
ステージライト220、同軸ライト230および表面ライト240の信号線またはバス221、231および241は、それぞれ全て入力/出力インタフェース130に接続される。カメラシステム260からの信号線262、および制御可能モータ294からの信号線296は、入力/出力インタフェース130に接続される。画像データを伝達することに加えて、信号線262は、画像取得を開始するコントローラ125からの信号を伝達してもよい。
【0053】
1つまたは複数の表示装置136および1つまたは複数の入力装置138もまた、入力/出力インタフェース130に接続することができる。表示装置136および入力装置138は、パートプログラムを見るか、作成および/もしくは修正するために、カメラシステム260によって捕捉された画像を見るために、ならびに/またはビジョンシステム構成要素部200を直接制御するために用いることができる。所定のパートプログラムを有する完全に自動化されたシステムでは、表示装置136および/または入力装置138は、省略してもよい。
【0054】
CADファイル特徴抽出器180に関して、ワークピースを表すCADファイルなどの情報は、マシンビジョン検査システムの工業用アプリケーションにおいて利用可能であることが多い。CADファイル表現におけるエッジ、境界および/またはワークピース特徴パターンの位置は、手動、半自動方式、または完全に自動で決定してもよく、かかる情報は、ワークピースパートプログラミングまたは所望のワークピース特徴へのナビゲーションに役立ち得る。
【0055】
様々な例示的な実施形態において、ユーザが、マシンビジョン検査システム100を用いてワークピース20用のワークピース画像取得プログラムを作成する場合には、ユーザは、パートプログラミング言語を用いて、自動、半自動もしくは手動で命令を明示的に符号化することによってか、またはパートプログラム命令がティーチングシーケンスを取り込むように、画像取得ティーチングシーケンスを介してマシンビジョン検査システム100を動かすことにより命令を生成することによって、パートプログラム命令を生成する。このプロセスは、捕捉すべき画像セットにおける複数の画像に対して繰り返される。これらの命令は、実行された場合には、マシンビジョン検査システムに、ある速度でワークピースステージ210および/またはカメラシステム260を操作させて、ワークピース20の特定の部分が、カメラシステム260の視野内にあり、かつ取得すべき画像セットのそれぞれに対して所望の焦点状態であるようにする。カメラおよびワークピースの相対的動きを制御するプログラム命令に加えて、ワークピース画像取得プログラムはまた、各画像取得中にワークピース20の望ましい照明を提供するために、1つまたは複数の光源220−240を作動させるプログラム命令を含む必要がある。
【0056】
本発明の様々な例示的な実施形態において、ワークピース画像取得命令セットが定義されると、制御システム120は、命令を実行し、カメラシステム260に、命令に従ってワークピース20の1つまたは複数の画像を捕捉するように命じる。次に、制御システム120は、コントローラ125の制御下で、捕捉画像を入力/出力インタフェース130を介して入力し、捕捉画像をメモリ140に記憶する。コントローラ125はまた、捕捉画像を表示装置136に表示してもよい。
【0057】
制御システム部120は、さらに、捕捉および記憶されたワークピース検査画像を呼び出して、かかるワークピース検査画像におけるワークピース特徴を検査および分析し、かつ検査結果を記憶および/または出力するように使用可能である。これらの方法は、オートフォーカスツール145、エッジ/境界検出ツール、寸法測定ツール、座標マッチングツールなど、メモリ140のビデオツール部143に含まれる様々なビデオツールにおいて典型的に具体化される。これらのツールのいくつかは、ビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよび関連するQVPAK(登録商標)ソフトウェアなどの様々な市販のマシンビジョン検査システムにおいてごく普通に用いられている。
【0058】
これらのビデオツールの1つまたは複数を用いた画像検査/分析動作が完了した後で、制御システム120は、ビデオディスプレイ、プリンタなどの様々な表示装置136に出力するために、各分析/検査動作の結果を入力/出力インタフェースに出力する。制御システム120はまた、各検査動作の結果をメモリ140に記憶してもよい。
【0059】
図3A−3Dは、本発明に従ってZ高さを測定および補正可能な例示的な表面の図である。図3Aおよび3Bは、0°および90°の値をそれぞれ割り当てられた向きにおける方向性パターンを含む「理想的な」ストライプ表面300Aおよび300Bの図である。この向きの指示が任意であること、および他の向きの取り決めが、それが校正および後の誤差補正中に一貫して適用されるならば、使用可能であることが理解されよう。図3Cは、異方性テクスチャ表面300C(著しい方向性を示す表面)の図であり、一方で図3Dは、等方性テクスチャ表面300D(著しい方向性を示さない表面)の図である。図3A−3Dの表面の測定結果は、図4に関連して以下でより詳細に説明する。
【0060】
図3Aおよび3Bの理想的なストライプ表面は、本発明が対処するように意図されている基本的な測定問題を生じる方向性パターンを示す。より具体的には、多くの実際のマシンビジョンシステムにとって、コントラストメトリックなどに基づいて実行される高さ測定(Z位置)が、明白な向きを示すテクスチャまたはラインを提示する対象を測定する場合に、著しく変動することが実験的に判定された。従来のオートフォーカスツールは、典型的にはかかるコントラストメトリックを用いて、それらの最良焦点位置および関連するZ高さ測定値を決定する。したがって、本明細書に開示するように、かかるツールを用いて決定されるZ高さ測定値は、たとえ対象表面の真のZ高さが変化していない場合でさえ、図3Bの90°の向きと比較したときに、図3Aの0°の向きなど、方向性パターンを含む対象が異なるパターンに配置された場合には、著しく変動し得る。かかる望ましくない測定変動は、図4に関連して以下でより詳細に説明する。
【0061】
図4は、図3A−3Dの表面に対するZ高さ測定結果の変動を示すグラフ400である。3つのグラフ線410、412および414は、視野における同じ箇所で全て取られた生データに基づいている。生データは、ポイント(ゼロ度ポイントと名目上重複している180度ポイントより小さい)の各セットの平均値をグラフ400におけるゼロ値に対して割り当てることによって正規化された。以下でさらに説明する理由で、これは、グラフ線410、412および414が、事実上、生データのZ測定値のそれぞれに存在する非点収差誤差成分をほぼ反映することを意味する。グラフ線410は、様々な向き(回転角)において、図3Aおよび3Bの理想的なストライプ表面パターン用のZ高さ測定変動を示し、一方でグラフ線412は、様々な向き(回転角)において、図3Cのテクスチャ表面用のZ高さ測定変動を示し、グラフ線414は、様々な向き(回転角)において、図3Dの等方性表面用のZ高さ測定変動を示す。
【0062】
グラフ線410、412および414の変動する高さ測定値は、従来のオートフォーカスツールで取得される。測定値は、各表面パターンの名目上の向きが180°にわたって回転されるにつれて、視野における一貫した関心領域箇所で取得される。グラフ線410、412および414は、異方性表面パターンが180°を通して回転されるときに、非点収差誤差が、異方性表面パターン用の変動するZ高さ測定値(グラフ線410および412)をもたらすこと、および非点収差誤差が、等方性表面パターン用のZ高さ測定値(グラフ線414)にそれほど影響しないことを示す。図4に示すように、理想的なストライプおよびテクスチャ表面に対応するグラフ線410および412のZ高さ測定値は、それぞれ、向きに応じて著しいZ値変動を示し、「より強い」方向性パターン(理想的なストライプパターン−グラフ線410)は、「より弱い」方向性パターン(方向性テクスチャパターン−グラフ線412)より大きな非点収差誤差を示す。より具体的には、約0.26ミクロンの小さなZ高さ変動を示す、等方性表面用のグラフ線414と比較して、グラフ線410は、約5ミクロンのZ高さ変動を示し、一方でグラフ線412用のZ高さ変動は、約3.7ミクロンである。
【0063】
本発明は、非点収差誤差を補正するための方法を提供する。好ましい実施形態において、本方法はまた、もしあれば静的光学誤差を補正する。図5および6に関連して以下でより詳細に説明するように、誤差校正データ(例えばルックアップテーブル)が、各特定のレンズ組み合わせおよび/または特定の倍率のために準備される。一実施形態において、校正データには、レンズの視野における複数のスポットに対して、方向性パターンにおける向きの0〜180°範囲にわたる非点収差誤差用の補正値を含むZ高さ測定補正値セットを含んでもよい。校正データにはまた、レンズの視野における複数のスポットに対して、静的光学誤差用のZ高さ測定補正値を含んでもよい。好ましい実施形態において、校正データには、レンズの視野における複数のスポットに対して、方向性パターンにおける向きの0〜180°範囲にわたる異方性誤差用の補正値を含むZ高さ測定補正値セットを含んでもよい。次に、図7−10に関連して以下でより詳細に説明するように、オートフォーカスZ高さ測定中に、Z補正値が計算され適用される。Z補正値は、視野における現在の箇所に対応する校正ルックアップテーブルから再構成される、補間された校正データに従って決定してもよい。Z補正値には、現在のオートフォーカスツール関心領域に存在する勾配方向のヒストグラム(方向性表面特徴の傾き角度依存性を表わす)に基づいて、異方性誤差補正値または非点収差誤差補正値の大きさの調整、重み付けまたは選択を含んでもよい。
【0064】
図5は、本発明に従って形成されかつ使用可能である構成基準器500を概略的に示す図である。構成基準器500には、対象要素群500Aおよび500Bを含む平坦基板520を含んでもよい。以下でさらに説明するように、対象要素群500Aには、非点収差誤差校正データを生成するために用いられる異方性対象要素の6×4グリッドが含まれる。より具体的には、対象要素群500Aには、列512−517および行522−525に配置された矩形対象要素の6×4グリッドが含まれる。
【0065】
一実施形態において、矩形異方性対象要素のそれぞれには、特定の角度に向けられたストライプ表面パターン(例えば、図3Aおよび3Bに示すパターンと同様のパターン)を含んでもよい。例えば、列512および行522における「0°」矩形対象要素には、水平に向けられたストライプを含んでもよく、一方で列512および行524における90°矩形対象には、垂直に向けられたストライプを含んでもよい。他の矩形対象要素のそれぞれには、図5に示すそれぞれの角度に向けられた同一のストライプパターンが含まれる。これらは、一緒に、7.5度の別個のステップで配向角度の0°〜180°範囲におよぶ。180°方向が0°方向と等しいので、追加的な180°対象要素は、この実施形態には含まれない。様々な他の実施形態において、ステップサイズは、異方性もしくは非点収差誤差校正データまたはルックアップテーブルの所望の分解能に依存して変化することができる。図5において、分解能は7.5°である。矩形対象要素の全てには、図示の度数にそれぞれ向けられたストライプ表面パターン(図示せず)が含まれることが理解されよう。したがって、たとえ列514および行522における15°矩形対象要素が、数「15°」を有するように示されていても、実際の実施形態では、矩形対象要素が、15°に向けられたストライプ表面パターンを実際に含むことが理解されよう。他の実施形態において、異方性対象要素は、他のタイプの方向性パターン、例えば、検査ワークピース上でしばしば見られるパターンに一致するように選択されたテクスチャパターン、線テクスチャパターン、または異方性パターンを有してもよい。
【0066】
上記の異方性構成基準器は、汎用非点収差誤差構成基準器である。別のタイプの異方性構成基準器が、本明細書で一般的に仮定されている「表面オートフォーカス」とは対照的に、別の状況で、「エッジ焦点」タイプのオートフォーカス動作に存在し得る誤差を校正するために特に有用になり得る。エッジ焦点動作により、例えば、表面オートフォーカス動作に典型的に用いられる、より一般的なエリアベースのコントラスト測定ではなく、エッジを横断する輝度勾配を最大限にするZ高さを発見することができる。エッジ焦点非点収差誤差の補正を重要視する実施形態において、単一ストレートエッジ(明ゾーンと暗ゾーンとの間の境界)は、異方性対象要素として用いてもよい。かかる対象要素が非対称なので、校正用に用いられる配向角度の範囲は、前述の0〜180°範囲ではなく、0°〜360°が好ましい。
【0067】
対象要素群500Aにはまた、35の等方性対象要素510のセットが含まれる。以下でより詳細に説明するように、各それぞれの等方性対象要素510は、それらのそれぞれの箇所において、「等方性測定値」とも呼ばれる「等方性測定Z高さ」を見つけるために用いてもよい。等方性対象要素の中心を、この要素の箇所用の基準点として用いることが好都合であり得る。必要に応じて、隣接する異方性対象要素測定値に含まれる非点収差誤差成分は、以下で説明するように、適合する補間された等方性測定値を減算することによって分離し、非点収差誤差校正データを提供することができる。
【0068】
動作において、等方性パターン、例えば等方性対象要素510を測定する場合には、非点収差誤差が最小限にされるかまたは存在しないので、これらのパターンに対してオートフォーカス測定を実行することによって、名目上は非点収差誤差がない等方性測定値が提供される。構成基準器500における様々な箇所用の真のおよび/または基準Z高さ値を決定するための例示的な一動作セットにおいて、視野内の同じオートフォーカス関心領域位置(例えば視野の中心)が、等方性パターン510のそれぞれを測定するために用いられる場合には、静的光学誤差成分は、全てのかかる測定値に対して名目上同じである。したがって、この手順によって、各箇所が同じ「共通モード」静的光学誤差だけを含む、構成基準器500における等方性パターン510の箇所において、生のZ高さ測定値が提供される。したがって、かかるZ高さ測定値間の差は、名目上、構成基準器基板表面の様々な部分における真のZ高さの差のみによる。したがって、視野における同じポイントで取られた、かかる等方性Z高さ測定値の一セットは、構成基準器の位置、傾斜および/または歪みを反映する、構成基準器全体を通した真のZ高さ値のセットとして用いてもよい。
【0069】
一実施形態において、等方性対象は、構成基準器500から省略してもよく、異なるタイプの等方性測定値が、配向角度の範囲にわたって取られた異方性測定値セットを平均し、平均化により非点収差誤差成分が事実上除去されたZ高さ測定平均値を提供することによって、視野における任意の所定の(一定の)箇所用に提供し得る。次に、このタイプの等方性測定値は、上記のタイプの等方性測定値と同じように用いてもよい。
【0070】
いずれの場合も、各等方性測定値のX−Y位置が、正確に知られ得るので、追加的な真のZ高さ値は、実際の測定箇所間で推定してもよい。双一次補間が用いられる場合には、推定される真のZ高さ値は、構成基準器のいずれかのグローバルおよび/またはローカルな傾斜を反映し得る。より高次、例えば双二次、または他のより複雑な補間スキームが用いられる場合には、構成基準器の湾曲歪みは、より正確に反映可能である。
【0071】
基準または「ゼロ」Z平面は、他の全てのZ測定値が、この平面を基準に測定されるならば、いくらか任意に選択してもよいことが理解されよう。したがって、上記で概説したように、視野における同じポイントで決定された真のZ高さ値の任意の一セットは、構成基準器の位置、傾斜および/または歪みを反映する、構成基準器全体を通した基準Z高さ値として用いてもよい。構成基準器用の基準Z高さ値を提供する、視野におけるポイントとして、視野の中心を用いることは好都合であり得る。基準Z高さ値は、それらに非点収差誤差および静的光学誤差の両方がないかのように扱ってもよいことを理解されたい。
【0072】
本発明による一実施形態において、異方性誤差校正データは、視野の全体を通した様々な箇所で決定してもよい。このプロセスの例示的な一実施形態の説明は、本明細書では、視野の一箇所における一配向角度に対して、単一の異方性誤差校正値を決定するための例示的な動作セットから始まる。
【0073】
単一の異方性誤差校正値を決定するために、上記の異方性対象要素の最初の1つは、そのそれぞれの配向角度において、その異方性パターンで視野を満たすように位置決めしてもよい。次に、焦点関心領域の中心が、視野における所望の箇所に位置決めされる(これは、関心領域の中心が、その箇所用の基準点として用いられると仮定する)。次に、異方性測定値が、視野の当該箇所において、例えば焦点関心領域を用いてオートフォーカシングによって取得される。視野の当該箇所におけるそれぞれの配向角度の異方性測定値と、視野の当該同じ箇所における基準Z高さ値との間の差は、視野の当該箇所における当該それぞれの配向角度に関連すべき異方性誤差校正値を提供し得る。
【0074】
上記の異方性誤差校正ステップは、視野における当該同じ箇所で、各それぞれの異方性対象に対してそのそれぞれの配向角度において繰り返し、視野における当該箇所に対応する異方性誤差校正データの完全なセットを提供してもよい。視野における単一の箇所に対して収集された、かかる異方性校正データセットの特徴は、以下で図6の説明に基づいて、よりよく理解し得る。
【0075】
次に、上記の異方性誤差校正動作の全セットを、視野の全体を通していくつかの所望の箇所で繰り返し、これらの所望の箇所のそれぞれに対応する異方性誤差校正データの完全なセットを提供してもよい。次に、それぞれの配向角度のいずれかに対応する異方性誤差校正値またはデータは、上記で示すかまたは以下でさらに説明する補間技術に類似した様々な補間技術を用いることによって、視野における他の非測定箇所において推定してもよい。一般に、同じ配向角度に対応するが、しかし視野の異なる箇所における異方性誤差値によって表わされる異方性誤差「形状」は、構成基準器表面の形状より複雑になり得る。したがって、より高次タイプの補間が、より優れた精度を提供し得る。視野のそれぞれの箇所における異方性誤差校正データのそれぞれのセットの一例は、図7に関連して以下で説明する。
【0076】
必要に応じて、静的光学誤差を決定してもよい。視野における所望の箇所に関連する静的光学誤差を決定するための例示的な一動作セットにおいて、それぞれの周知の基準Z高さ値を有するそれぞれの等方性対象要素を、視野における所望の箇所に位置決めしてもよい。次に、焦点関心領域が、視野における当該箇所に設定され、新しい等方性測定値が、視野における当該箇所で取得される。当該等方性対象要素の周知の基準Z高さと、新しく取得された等方性測定Z高さとの間の差が、視野における当該箇所に関連する静的光学誤差である。必要に応じて、このプロセスは、それぞれの周知の基準Z高さ値を有する追加的な等方性対象要素を用いて、視野における当該箇所で繰り返してもよく、結果は、視野の当該箇所における静的光学誤差用のより洗練された値を提供するために平均してもよい。いずれの場合も、結果としての静的光学誤差は、必要に応じて、視野における当該箇所に対応する静的光学誤差校正データとして記憶してもよい。
【0077】
上記の静的光学誤差校正プロセスは、視野の全体を通してそれぞれの箇所で繰り返して、視野の全体を通したそれらの箇所に対応するそれぞれの静的光学誤差校正データを提供してもよい。次に、静的光学誤差校正値またはデータは、上記で示した補間技術に類似した、しかしこの場合には静的光学誤差を補間する様々な補間技術を用いることによって、視野における他の非測定箇所用に推定してもよい。一般に、静的光学誤差「形状」は、構成基準器表面の形状より複雑になり得、その結果、より高次タイプの補間が、より優れた精度を提供し得る。
【0078】
静的光学誤差が、視野の全体を通して様々な箇所で決定される場合には、必要に応じて、非点収差誤差校正データもまた、視野の全体を通して様々な箇所で決定してもよい。視野における各所望の箇所に対応する非点収差誤差校正データの完全なセットは、次のことを除いて、異方性誤差校正データを決定するための上記の方法で決定してもよい。すなわち、各箇所における各異方性測定値から、適合する基準Z高さ値を減算する代わりに、適合する等方性測定値が、各箇所における各異方性測定値から減算されることを除いて、上記の方法で決定してもよい。視野における単一箇所用に収集された非点収差校正データセットの特徴は、以下で図6の説明に基づいて、よりよく理解することが可能である。
【0079】
様々な実施形態において、焦点関心領域の箇所および配向角度内容に対応する異方性誤差値を、当該焦点関心領域に基づいて生のZ高さ測定値から減算し、補正Z高さ測定値を提供してもよい。補正Z高さ測定値は、名目上、ワークピースの測定領域の真のZ高さ値と同じである。あるいは、焦点関心領域の箇所および配向角度内容に対応する静的光学誤差値および非点収差誤差値の両方を減算することは、焦点関心領域の箇所および配向角度内容に対応する異方性誤差値を減算することと等価であることを理解されたい。したがって、本発明による様々な実施形態において、誤差校正データは、異なる形態において、同じ結果を伴って準備および適用することが可能である。
【0080】
たとえ非点収差誤差校正データおよび静的光学誤差校正データが分離されていても、非点収差誤差補正値および静的光学誤差補正値の両方を適用して、補正Z高さ測定値を決定するのが一般に有利であることが理解されよう。しかしながら、一般に、補正値のどちらかだけを用いることによって、やはり、生のZ高さ測定値より、視野の表面特徴および/または測定箇所からより独立した、少なくとも部分的に補正されたZ高さ測定値が提供される。したがって、補正値のどちらかだけを用いることによって、やはり、様々な用途において、ある利点を提供し得る。例えば、いくつかの特に巧妙に作製された精密マシンビジョン検査システムでは、静的光学誤差は僅かである場合があり、非点収差誤差校正および補正動作を用いることが、最も単純で最も有利な選択肢になり得る。
【0081】
図5に関連して上記で概説した誤差校正動作が、例示に過ぎず、多くの変形が可能であることが理解されよう。上記で決定された様々な値は、全て、等方性および異方性測定値の様々な組み合わせに基づいている。一般に、様々な要求された等方性および異方性測定値の全てを、任意の効率的な(または非効率的な)順序で取得し、続いて処理し、所望の異方性誤差校正値、非点収差誤差校正値、または静的光学誤差校正値等を任意の機能的に等価な方法で提供してもよい。
【0082】
さらに、上記の誤差校正データには、一般に、記憶された誤差値が含まれるが、誤差校正データには、あるいは、これらの誤差値を決定するために用いられた様々な測定値を含み得る。かかる一実施形態において、異なるタイプの測定値は、1つまたは複数のルックアップテーブルに記憶され、後で処理され、必要に応じて生のZ高さ測定値を補正してもよい。別の実施形態において、異なるタイプの測定値または誤差は、異なるタイプの測定値または誤差に対応する、異なる「表面」を説明する分析的表現として記憶してもよい。例えば、基準Z高さ表面、等方性測定表面、様々な配向角度に対応するいくつかの異方性測定表面等である。前述のデータ形態の全ては、あるタイプのZ高さ誤差校正データ、すなわち焦点関心領域における異方性画像内容の配向角度の変動に関連して、焦点関心領域に基づくZ高さ測定結果の変動を特徴付けるZ高さ誤差校正データ、と見なしてもよい。いずれの場合も、Z高さ誤差は、これらの形態のデータのいずれかを適切に用いることによって、生の測定値において補正してもよい。したがって、それぞれは、記憶された誤差校正データの一形態であると見なされる。様々な実施形態において、任意の等方性および異方性測定は、所望の多くの回数、繰り返すことができ、結果は、平均されて、単一の測定値の代わりに使用可能な、より信頼できかつ/または再現可能な値を提供することができる。これらおよび他の変形は、本開示に基づいて明らかになろう。
【0083】
図5に示された対象要素群500Bには、対象要素群500Aの要素に類似した要素が、より小さな規模においてではあるが、含まれることが理解されよう。したがって、対象要素群500Bは、対象要素群500Aに対して前に説明したのと同じ方法で、しかし対象要素群500Aが典型的に用いられる倍率より高い倍率を有するレンズ装置で、便利に用いられる。
【0084】
対象要素群500Aおよび500Bにおける異方性対象要素のそれぞれは、対象が設計のときに予定した最低の倍率において、レンズにおける視野よりわずかに大きいように設計され、方向性パターンは、指定の角度に向けられている。異方性対象要素内のラインまたは特徴の密度は、対象が設計のときに予定した全ての倍率において、オートフォーカス関心領域における優れた校正を提供するように選択される。より具体的には、ラインまたは特徴は、あまり細すぎ(これは、カメラ画素のエイリアシングを引き起こし得る)ないように設計され、かつまたオートフォーカス関心領域において十分なサイクルを有して、オートフォーカス関心領域の「強い」異方性パターンを提供するように設計される。特定の一例において、対象要素群500Aは、2.5倍対物レンズを備えた1倍および2倍タレットレンズアセンブリ設定において、100×100画素のオートフォーカス関心領域(640×480画素の視野サイズを仮定する)でうまく動作するように意図されている。この例において、対象要素群500Bは、6倍タレット位置において、100×100オートフォーカス関心領域でうまく動作するように意図されることになろう(対象要素群500Bは、対象要素群500Aの3分の1の大きさである)。
【0085】
図5の対象要素群500Aおよび500Bの特徴、構成、アスペクト比が、例示に過ぎず、図示のものと異なり得ることが理解されよう。例えば、一実施形態において、一般に、異方性対象要素のそれぞれのサイズは、対象要素群が用いられるときの予定の合計レンズ倍率および/または視野に依存する。異方性対象要素のそれぞれは、意図された最大の視野よりわずかに大きくされる。この制約によって、市販のマルチポイントオートフォーカスツールまたは動作を利用することで、全視野にわたり特定の配向角度に対して迅速に異方性測定値を収集することが可能になる。
【0086】
異方性対象要素の数は、非点収差補正用に用いられるルックアップテーブルの選択された分解能に依存して、より少なくまたはより多くすることができる。構成基準器500は、7.5°の分解能を有するが、しかし分解能は、校正の所望の精度および速度に依存して、より小さくまたはより大きくすることができる。非点収差誤差曲線の滑らかな性質ゆえに、様々な実施形態において、5°、7.5°、10°または15°間隔でデータを収集する分解能を用いることで、一般に十分である。異方性対象要素の数は、一般に、180°/分解能として計算することができる。
【0087】
異方性対象要素が、規則的なラインパターンを含む一実施形態において、次のようにラインピッチを選択することが望ましい。すなわち、視野よりはるかに小さなオートフォーカス関心領域(例えば640×480画素の視野における100×100画素)が、少なくとも2〜3のフルサイクルを含むように、しかし同時に、校正結果を歪め得るので、画素ピッチのエイリアシングを防ぐためにラインが細すぎ(例えば、5画素より細くない)ないように、ラインピッチを選択することが望ましい。例示的な一実施形態において、対象要素群500Aにおいて用いられるラインピッチは、5倍の倍率で、91×91オートフォーカスエリアにおいて約3フルサイクルを提供するように選択され、2.5倍の倍率で7.5画素ライン幅である。15倍の倍率で用いられることになる対象要素群500Bのスケーリングされたバージョンは、5倍の倍率に対して対象要素群500Aによって与えられるのと同数(約3)のサイクルを、オートフォーカス関心領域において提供する。ラインパターンにおける線幅対線間の比率は、1:1にすることができるが、この比率は変わってもよい。
【0088】
等方性対象要素510にはまた、図5に示す同心円とは異なるパターンを含むことができる。一実施形態において、支配的な勾配(エッジ)方向のない(すなわち、均一な勾配方向ヒストグラムを備えた)任意のパターンを用いてもよい。等方性パターンの数は、増加または低減することができ、またはそれらは省略してもよく、前述のように、異方性測定値の平均を用いて、それらの機能を提供してもよい。
【0089】
本発明による一実施形態において、図5に示すものなどの構成基準器は、用いられない。以下の校正手順は、より労働集約的であり、より多くの設備を必要とするという欠点を有するが、適切な誤差校正データが、結果として得られる。この実施形態において、回転テーブルが、マシンビジョン検査システム視野に配置され、その回転軸が、名目上、システムのZ軸と平行に整列される。構成基準器500の異方性対象要素の1つに用いられるものなどの異方性パターンを含む平坦表面は、マシンビジョン検査システムのX−Y平面と平行にレベリングされる。異方性パターンは、その配向角度にかかわらず、視野を満たすサイズを有してもよい。視野における所望の箇所用の異方性測定値を取得するために、回転テーブルの回転軸が、当該所望の箇所に配置される。次に、図5に関連して前に説明したものなどの配向角度セットによる別個のステップで回転テーブルを回転させることによって、異方性測定値セットが、視野における当該箇所で取られる。このプロセスは、視野における各所望の箇所で繰り返されるが、回転軸は、各所望の箇所に配置される。前述のように、視野における各箇所の異方性測定値セットを平均して、非点収差誤差成分の影響が、取り消され、事実上、視野における当該箇所の等方性測定値を提供するようにしてもよい。これらの異方性および等方性測定値は、図5に関連する動作に関連して前に説明した異方性および等方性測定値と同じ方法で用いてもよい。同じ校正データの全ては、かかる測定値から導出してもよい。
【0090】
図6は、図5に関連して前に説明したように取得可能な、かつルックアップテーブルとしてかまたは他の任意の好都合な形態で記憶可能な非点収差誤差校正データ600を示す図である。より具体的には、図6には、非点収差誤差データポイントが含まれるが、これらは、視野における焦点関心領域用の特定の箇所における、ストライプ異方性対象要素の様々な配向角度に対応する。誤差校正データを取得するために用いられる箇所と同じ視野の箇所に位置する焦点関心領域を用いる場合に、非点収差誤差成分を補正または除去するために、非点収差誤差校正データを用いて、ワークピースにおけるZ高さ測定値に適用すべきZ高さ調整を決定してもよい。焦点関心領域内容が、ストライプ異方性対象要素とほぼ同じ方向性内容を有する場合には、Z高さ調整、すなわち非点収差誤差補正値は、焦点関心領域内容に対応する配向角度において、グラフから直接取ってもよい。例えば、約2.5ミクロンの最大の正の誤差補正値が、約140°の配向角度に対して示されており、一方で約2.5ミクロンの最大の負の誤差補正値が、約60°の回転に対して示されている。
【0091】
視野における焦点関心領域用の同じ特定の箇所において、同じストライプ異方性対象要素の様々な配向角度に対応する異方性誤差校正データが、誤差校正データ(曲線)が、該当箇所における静的光学誤差量だけ垂直方向にシフトされるであろうことを除いて、非点収差誤差校正データ600と同一に見えるであろうことを理解されたい。かかる異方性誤差校正データを用いて、ワークピースにおけるZ高さ測定値に適用すべきZ高さ調整を決定して、誤差校正データを取得するために用いられた箇所と同じ視野の箇所に位置する焦点関心領域を用いる場合に異方性誤差(結合された非点収差および静的光学誤差)を補正または除去するようにしてもよい。焦点関心領域内容が、ストライプ異方性対象要素とほぼ同じ方向性内容を有する場合には、Z高さ調整、すなわち異方性誤差補正値は、焦点関心領域内容に対応する配向角度用のデータから直接取ってもよい。
【0092】
図7は、視野700における9つの箇所用に収集された、図6に類似した異方性誤差校正データセットの例示的な例を示す。一実施形態において、異方性誤差校正データの9セットは、双二次補間を用いて他の箇所における異方性誤差校正値を推定するために必要な最小数である。他の実施形態において、異方性誤差校正データセットは、様々なデータセット間で予想される変動量および所望の異方性誤差補正精度に依存して、より多くまたはより少数の箇所で提供してもよい。双三次補間は、16の箇所用に収集される異方性誤差校正データセットを必要とするであろう。
【0093】
図7に示すように、視野700内の様々な箇所における異方性誤差校正データの9セットは、グラフ710−790で表す。グラフ710、730、770および790は、視野の4つのコーナーにおける異方性測定値に基づき、一方でグラフ720、740、760および780は、視野の四辺の中央における異方性測定値に基づき、グラフ750は、視野の中心における異方性測定値に基づく。図7に反映された特定の異方性測定値は、ほぼ図示のように位置する100×100(正方形)のオートフォーカスツール関心領域を用いて収集された。グラフ710−790は、異方性誤差校正結果が、視野700内のこれらの箇所でどのようになり得るかを象徴的に示すために、例示だけを目的としていることが理解されよう。図8A−8Cに関連して以下でより詳細に説明するように、矩形部795は、視野700内の追加箇所に関し、誤差校正データの隣接セット間の補間を利用して、視野の任意の箇所における非点収差および静的光学誤差に対してZ高さ測定結果を補正するための異方性誤差校正値を推定可能であることを示す。
【0094】
小さな近傍では誤差表面が、ほぼ「区分的平面」になり得るので、実装によっては、4つの最も近い視野箇所に属する異方性誤差校正データセットの双一次補間を用いることで十分である。しかしながら、いくつかの実施形態において、より優れた精度のために、9つを超えるルックアップテーブル、および異方性誤差校正データの9つの最も近いセットの双二次補間を用いることが望ましい。
【0095】
図8A−8Cは、様々な補間技術を示す図である。一実施形態において、双一次補間は、構成基準器の傾斜/反り/たるみを補償するために用いられ、ランタイムにおいて双二次補間は、視野において収集された誤差校正ルックアップテーブルに関連して用いられ、視野内における現在のオートフォーカス関心領域箇所用のルックアップテーブルを推定する。
【0096】
図8Aは、双一次補間方式の概念を示す。4つのポイントA、B、CおよびDは、視野における矩形グリッド上の測定箇所に対応する。この場合にはまた、これらの4つのポイントのラベルA、B、CおよびDは、補間すべき値を表している。この特定の例において、値は、Z高さ測定値であると仮定されるが、しかし同じ原理は、任意のタイプの値に適用してもよい。矩形グリッドの水平ピッチはWであり、垂直ピッチはVである。ピッチWおよびVは、等しくする必要がない。すなわち、グリッドは、正方形である必要がないが、しかし正方形であってもよい。図8Aにおいて疑問符を付けられたポイントZ3において補間される値(Z)を推定(回復)することが望ましい。ポイントZ3の位置は、ポイントAに関連して表現されるが、ポイントAは、一時的なローカル座標系の原点として扱われる。ポイントZ3は、ポイントAからの水平距離mおよび垂直距離nを有する。
【0097】
4つのポイントA、B、CおよびDの双一次補間プロセスは、2つのステップからなる。第1のステップは、ポイントペア(A、B)および(C、D)を用いて水平方向に補間し、2つの水平に補間されたポイントZ1およびZ2(図8Aを参照)を取得することである。第2のステップは、前のステップで計算された補間ポイント(Z1、Z2)のペアを用いて垂直方向に補間し、最終的に補間された値Z3を取得することである。あるいは、このプロセスは、垂直方向における補間からスタートし、次に、水平方向に補間することができる。結果は、どちらの補間方向が最初であると考えられるかには依存しない。
【0098】
補助係数rおよびs(図8Aを参照)(ここで、r=m/Wおよびs=n/V)が用いられる場合には、ポイントZ1およびZ2は、基本的な線形比例(加重平均)
Z1=(r−1)A+rB (式1)
Z2=(r−1)C+rD (式2)
を用いて水平方向に補間することができる。
【0099】
Z1およびZ2を計算した後で、最終的な所望の結果(Z値)は、比例(加重平均)
Z3=(1−s)Z1+sZ2 (式3)
を用いて垂直方向に補間される。
【0100】
したがって、Z3は、(グリッド内のグリッドピッチ、およびポイントZ3の箇所から導出された)係数rおよびsによって特定された矩形グリッド内の箇所における、4つの初期値(A、B、CおよびD)の双一次補間の結果である。この補間方法は、箇所/ポイントA、B、CおよびDに関連する任意のタイプの値、例えば、同じ角度方向に対応する異方性測定値、等方性測定値、基準Z高さ値、静的光学誤差値、異方性誤差値または非点収差誤差値などのために用いてもよいことが理解されよう。
【0101】
図8Bは、双二次補間方式の概念を示す。双二次補間の基本原理は、図8Aの双一次補間において用いられる原理と同様である。すなわち、補間は、最初に水平方向に実行され、次に垂直方向に実行される。ただ一つの相違は、直線を伴うポイントを補間する代わりに、補間が、放物線で行われることである。これには、より多くの補間ポイントを必要とする。すなわち、3つの箇所における値が、各方向における補間用に必要であり、結果として、4つではなく9つのポイントが、双二次補間用に用いられる。
【0102】
図8Bに示すように、9つのポイントA、B、C、D、E、F、G、HおよびKが、視野における矩形グリッド上の測定箇所に対応する。これらの9つのポイントのラベルはまた、補間すべき値を表している。この特定の例において、値は、Z高さ測定値であると仮定される。ラベルKは、単に読みやすさを改善するために、Iの代わりに用いられる。矩形グリッドの水平ピッチはWであり、垂直ピッチはVである。図8Bにおいて疑問符を付けられたポイントZ4において補間される値(Z)を計算(回復)することが望ましい。ポイントZ4の位置は、ポイントEに関連して表現されるが、ポイントEは、一時的なローカル座標系の原点として扱われる。ポイントEを基準とするポイントZ4の水平座標はmであり、ポイントEを基準とするその垂直座標はnである。座標(m,n)は、図8Bに示すポイントZ4の相対的位置および座標系(x,y)軸の方向に依存して、正または負になり得る。
【0103】
9つのポイントA、B、C、D、E、F、G、HおよびKの双二次補間のプロセスは、2つのステップからなる。第1のステップは、水平に整列されたポイントの各セット(A、B、C)(D、E、F)および(G、H、K)に対して水平方向に補間し、3つの水平方向に補間されたポイントZ1、Z2およびZ3(図8Bを参照)を取得することである。第2のステップは、前のステップで計算された、3つの補間されたポイント(Z1、Z2、Z3)を用いて垂直方向に補間し、最終的な補間された値Z4を取得することである。あるいは、このプロセスは、垂直方向に補間することからスタートし、次に、水平方向に補間することができる。
【0104】
図8BにおけるポイントZ1、Z2、Z3およびZ4を補間するために、これらのポイントを通過する放物線のパラメータが計算されるが、これは、直線補間に対するよりもわずかに複雑である。単一の放物線を3つのポイントに適合させるための式が、図8Cに関連して以下で説明され、その後、図8B用の完全な双二次補間式が提示される。
【0105】
図8Cは、ZI、ZIIおよびZIIIに等しい所与のZ(垂直座標)座標を備えた3つのポイントを通過する放物線のセグメントを示す。放物線の式は、
f(x)=ax2+bx+c(式4)
および
f(−ΔX)=ZI (式5)
f(0)=ZII (式6)
f(ΔX)=ZIII (式7)
であり、これらから、放物線のパラメータa、bおよびcは、周知の方法に従って計算することができる。結果は、
【数1】
である。
【0106】
したがって、図8Cに示す3つのポイントを通過する放物線の完全な式は、
【数2】
と書くことができる。
【0107】
式11を用いれば、任意のx箇所を備えたポイントのZ座標を推定(補間)することができる。この補間方法は、箇所/ポイントA、B、C、D、E、F、G、HおよびKに関連する任意のタイプの値のために用いてもよいことが理解されよう。
【0108】
図8Bの双二次補間に戻ると、ポイントB、EおよびHを水平放物線の中心として処理すること、式11におけるΔxを水平グリッドピッチWで置き換え、値ZI、ZIIおよびZIIIを対応する水平ポイントトリオ((A、B、C)、(D、E、F)または(G、H、K))で置き換えること、および水平放物線の中心箇所に対するx変数としてポイントZ4の水平座標mを用いることによって、以下のとおりになる。
【数3】
【0109】
双二次補間の最終ステップとして、値Z4は、垂直放物線を上記で推定(補間)された3つのポイントに適合させることによって補間することができる。この場合には、式11の値ZI、ZIIおよびZIIIは、Z1、Z2、Z3で置き換えられ、Δxは、垂直グリッドピッチVで置き換えられ、x変数は、垂直放物線の中心位置(Z2)に対するポイントZ4の垂直座標nによって置き換えられる。Z4を計算する最終式は、以下のとおりである。
【数4】
【0110】
本発明による誤差校正方法の一実施形態において、図5の構成基準器と、図5および6に関連して説明した様々な異方性および等方性測定技術ならびに誤差校正データ決定技術と、図7および8に関連して説明した補間技術の1つまたは複数とは、視野の所望の位置におけるワークピースを検査するときに取得される生のZ高さ測定値に含まれる異方性誤差または非点収差誤差成分および/もしくは静的光学誤差成分を補正するために用いられる誤差校正データを提供するために用いてもよい。次に、検査目的に用いられる値は、異方性誤差または非点収差誤差成分および/もしくは静的光学誤差成分を補正することによって取得される補正Z高さ測定値である。上記で概説した全ての誤差校正ステップは、マシンビジョン検査システムによって用いられる各対物レンズおよびパワータレット位置の組み合わせに対して繰り返してもよい(なぜなら、異方性誤差、非点収差誤差および静的光学誤差は、様々な対物レンズとパワータレット位置との間で異なるからである)。
【0111】
マシンビジョン検査システムは、一般に、例えば、前に概説した原理に従って、自動でステップを実行して異方性および等方性構成基準器測定を繰り返し、かつ全ての必要な誤差校正データ値を決定するようにプログラムしてもよい。自動動作には、1つのレンズ組み合わせおよび/または倍率に対応する全ての誤差校正データ値を決定することと、次に自動で、倍率を変更し、当該倍率用の適切なサイズの異なる対象要素群を用いて、誤差校正動作を繰り返すことと、を含んでもよい。
【0112】
図9A−9Dは、焦点関心領域に存在する理想的なストライプ表面用のエッジ(または勾配)角度ヒストグラムの形成を示す。以下でより詳細に説明するように、ヒストグラムは、Z高さ補正プロセスの一部として用いてもよい。図9Aに示すように、理想的なストライプ表面900Aは、図9Bおよび9Dに関連して以下でより詳細に説明するように、名目上の配向角度を有する。図9Bに示すように、ヒストグラムは、図9Aの表面900Aにおける様々なストライプ部分に関連する実際のエッジ角度を決定することによって形成される。様々なエッジ角度は、周知の勾配方向分析法によって決定してもよい。勾配方向は、対応するエッジ配向角度に対して単に90度回転されるだけだが、必要に応じて、ヒストグラム用の基礎として、エッジ配向角度の代わりに用いてもよい。水平軸は、所望の角度「ステップサイズ」に対応して決定してもよい。垂直軸は、各角度ステップ用の正規化された出現頻度として決定してもよい。図9Bのヒストグラム900Bは、表面のストライプ部分のエッジが比較的一定しかつ平行なので、ある僅かな逸脱を伴って、ほとんどの出現がほぼ同じ配向角度で生じることをヒストグラムが示していることを例示する。
【0113】
図9Cは、ストライプ表面900A用のヒストグラムの形成中に角度の「中間に」適用される三角形カーネルの利用を示す図900Cである。以下でより詳細に説明するように、これは、エッジ(または勾配)角度の分布をより正確に反映するヒストグラムを結果として得られることがある。図9Dは、図9Cの三角形カーネルの利用を通して形成されたより正確なヒストグラムを示す。図9Dのヒストグラムは、図9Bのビン910B(第6のビン)と比較して、図9Dのヒストグラムにおけるビン910D(第6のビン)のより高い値が、パターンの実際の名目配向角度(これは、実際には2つのヒストグラムビンの中心の「中間に」ある)をよりよく反映していることから、三角形カーネルを用いなかった図9Bのヒストグラムより正確であると考えられる。
【0114】
図10Aおよび10Bは、テクスチャ表面用のヒストグラムの形成を示す。図10Aに示すように、焦点関心領域に対応可能なテクスチャ表面1000Aは、一般に配向角度の比較的狭い範囲にわたって分布されるテクスチャ特徴を含み、かつまた比較的狭い範囲に入らない少数の特徴を含む。図10Bに示すように、テクスチャ表面1000A用のヒストグラム1000Bは、特徴配向角度の分布があることを示すが、この分布は、ヒストグラムにおける第6のビンの角度範囲でピークに達し、次に、ヒストグラムのより大きな角度値のビンに対しては、より低い正規化された頻度へと徐々に減少する。以下でより詳細に説明するように、角度配向のこの分布は、異なる方向または異方性表面用の適切な非点収差誤差補正値を決定するために、非点収差誤差補正を、焦点関心領域に含まれる特徴エッジの様々な方向に適合させることが望ましいことから、ヒストグラムの有用性の一部を示す。
【0115】
一実施形態において、図9Dおよび10Bに示すものなどのヒストグラムは、オートフォーカスツール関心領域における全ての画素に対して勾配の大きさおよび方向を計算することによって形成される。勾配の大きさは、本明細書では、勾配の絶対値に等しいと理解される。一実施形態において、計算される方向は、それらを、図6のデータなどの、ルックアップテーブルにおけるエッジ方向データと一致させるために、勾配方向に直角である。勾配の大きさが、ある(低い)ノイズ閾値より小さい画素は、画像ノイズまたは表面収差と比較して比較的「強い」エッジのみに対処することが望ましい実施形態では、考慮から除いてもよい。画像ノイズが著しい場合には、関心領域は、勾配の大きさおよび方向の計算の前に、空間的に小さな平均化フィルタで追加的に平滑化することが可能である。次に、勾配方向のヒストグラムHが、全ての残りの画素用に作成される。次に、ヒストグラムHは、その全てのビンが合計1になるように、正規化される。
【0116】
一実施形態において、低勾配画素を廃棄することおよび/または勾配を計算する前に関心領域画像を平滑化することのオプションが重要ではないことが理解されよう。なぜなら、非常に弱い勾配(たいがい画像ノイズゆえである)を備えた画素に対して得られるランダム(ノイズ)勾配方向が、均一な分布(全ての勾配方向が同じようである)を形成し、したがって、ヒストグラムの形状も名目値も変化させずに、全てのヒストグラムビンに等しく影響し得るからである。しかしながら、いくつかの実装では、非常に弱い勾配の大きさを備えた画素をフィルタリングすることによって、アルゴリズムの性能を改善可能である。一実施形態において、勾配方向は、例えばソーベル演算子、または焦点関心領域の全体を通して勾配方向を決定するための任意の他の周知の方法を用いて、計算してもよい。
【0117】
異方性(または非点収差)誤差補正値を焦点関心領域の特定の表面に適合させるための一実施形態にであって、視野のある箇所における焦点関心領域用の勾配ヒストグラムH、および視野の当該箇所に対応するルックアップテーブルL(例えば、図6で表したルックアップテーブルと同様の)を備えた一実施形態おいて、合計または適合された異方性(または非点収差)誤差補正値Cは、従来のオートフォーカス動作によって決定された生のZ位置を補正するために用いてもよいが、
【数5】
として計算してもよく、
ここで、Nは、ヒストグラムにおけるビンの数(ルックアップテーブルLにおけるエントリ数に等しい)であり、Haは、ヒストグラムにおけるa番目のビンの値であり、Laは、対応する配向角度において記憶された異方性(または非点収差)誤差補正値(正もしくは負)またはルックアップテーブルLの値である。
【0118】
1つの重要な関係は、
【数6】
であり、
これは、ヒストグラムを正規化することに対応する。
【0119】
直観的には、適合された異方性(または非点収差)誤差補正値は、異なるエッジ配向角度に対応する異方性(または非点収差)補正値の加重和であり、重みは、オートフォーカス関心領域内の表面の「方向性エッジ内容」に比例する。したがって、(勾配方向ヒストグラムHとして表された)測定表面の方向性テクスチャ特徴は、異なるエッジ配向角度用の異方性(または非点収差)誤差補正値の相対的寄与に影響を及ぼすように用いられる。上記の定式によって、全てのタイプの表面用に合理的な異方性(または非点収差)誤差補正値を決定するための方法が提供されるが、これらの表面は、明確に定義された方向性構造(例えば、図3Aおよび3Bに示すパターンなどの「理想的な」ストライプパターン、または図3Cに示すパターンなどのテクスチャパターン)、ならびに支配的な勾配方向のない等方性表面(例えば、図3Dに示すパターンなどの等方性パターン)などである。この技術に従って非点収差誤差補正値を決定すること、および同じ箇所用の静的光学誤差補正値を加えることによって、この手順に従い同じ箇所用に異方性誤差補正値を決定することと等価な全体的誤差補正結果がもたらされるということを理解されたい。
【0120】
異方性(または非点収差)誤差補正値を焦点関心領域における特定の表面に適合させるためのさらなる実施形態において、例えば前述のように決定された各ヒストグラムビン値は、ビンに寄与する画素の勾配の大きさに基づいて、さらに調整することができる。勾配の大きさは、一般に、エッジの鮮鋭度または「強度」に対応してもよい。一実施形態において、ヒストグラムビンは、ビンの範囲内の勾配角度を備えた各画素用に1(勾配の絶対値に適用される0.0の冪指数)だけ増分される。別の実施形態において、ヒストグラムビンは、ビンの範囲内の勾配角度を備えた各画素用に、各画素の勾配絶対値の平方根(勾配の絶対値に適用される0.5の冪指数)だけ増分される。さらに別の実施形態において、ヒストグラムビンは、ビンの範囲内の勾配角度を備えた各画素の勾配の絶対値(勾配の絶対値に適用される1.0の冪指数)だけ増分される。勾配の絶対値だけビンを増分することは、おそらくオートフォーカスアルゴリズム(コントラスト計算)に最も強い影響がある、より強いエッジを強調する。しかしながら、オートフォーカス関心領域が2D構造で、勾配角度ヒストグラムが1Dアレイであることにより、焦点関心領域内のコントラストタイプの焦点メトリックに対する単一の画素の影響は、勾配角度ヒストグラムに対するその影響より小さい。これは、少数の高勾配画素だけが関心領域にある場合には、過剰補正につながり得る。したがって、いくつかの実施形態または用途では、各ビンにおいて、画素に対して勾配の絶対値の分数乗だけヒストグラムビンを増分することが望ましい。特定の一実装では、0.5の冪指数が用いられ、これは、勾配の絶対値の平方根だけヒストグラムビンを増分し、これは、望ましい結果をもたらすことが分かっている。
【0121】
ヒストグラム決定の前述の検討において、ヒストグラムは、オートフォーカスツール関心領域における全ての画素に対して勾配の大きさおよび方向を計算することによって形成される。しかしながら、別の実施形態において、ヒストグラムは、焦点関心領域全体を通して比較的均一に分布された画素のサブサンプルに対して勾配の大きさおよび方向を計算することによって形成してもよい。
【0122】
誤差校正および補正の前述の方法は、一般に、表面焦点動作に基づいて決定されたZ高さ測定値に適用されるように説明される。しかしながら、また、「エッジ焦点」方法またはツールが、マシンビジョン検査システムにおいて普通に利用可能である。エッジ焦点動作中に生じる異方性または非点収差誤差の取り扱いは、前述の方法と同様の方法で行うことができ、相違は、校正手順中およびワークピース検出動作中の両方で、表面焦点動作の各インスタンスをエッジ焦点動作と取り替えることである。誤差校正データが決定されて記憶されると、関心領域内の勾配方向を決定し、ヒストグラムを作成し、かつ合計適合Z補正値を計算するプロセスは、様々な実施形態においてオートフォーカス動作をそれほど遅くしない。このプロセスは、計算集約的ではなく、オートフォーカス関心領域は、通常、全視野のごく一部だけである。例示的な一実施形態において、実際の実装におけるオートフォーカスの観察された減速は、1%〜3%であり、選択されるオートフォーカス速度(より高速、より低い精度のオートフォーカス動作に対してはより多くの減速)およびオートフォーカス関心領域サイズ(より大きな関心領域に対しては多くの減速)に依存する。
【0123】
本発明は、ワークピース表面特徴およびそれらの配向角度から独立し、かつまた視野の測定箇所から独立した補正Z高さ測定値を提供するように意図されている。いくつかの実施形態において、補正Z高さ測定値は、実際のまたは理論的な最良焦点位置に対応するであろう測定値から逸脱し得る。この理由で、様々な誤差補正値を実際にはオートフォーカス動作に物理的に組み込まない検査測定結果として、補正Z高さ測定値を出力するか、または補正Z高さ値へマシンビジョン検査システムを動かすことが、一般に望ましい。例えば、オートフォーカス動作の主な目的は、単に、XおよびY測定用に優れた基礎を提供する鮮明に合焦された画像を提供することであることが多い。したがって、この目的にとっては、様々な誤差補正値に従って物理的な位置決めまたは移動動作を調整することは、逆効果であろう。いくつかの実施形態において、出力値のZ高さ補正は、手動または自動でスイッチオンおよびスイッチオフしてもよい。Z補正のオンおよびオフの切り替えは、ユーザによって動作されるオートフォーカスツールのタイプに依存して、自動で行うことが可能である。いくつかの市販のマシンビジョン検査システムには、「ポイント付きオートフォーカスツール」が含まれるが、このポイントは、「Z補正をオン」で用いることになろう。なぜなら、返されるかまたは出力される測定値が、寸法測定等に用いられる(X,Y,Z)座標であるからである。対照的に、「ポイントなしオートフォーカスツール」は、「Z補正をオフ」で用いることができる。なぜなら、このツールの第1の目標が、XおよびY測定用の鮮明な画像を取得することであり得るからである(測定座標は返されない)。
【0124】
図11−13は、異なる表面用の非補正および補正Z高さ測定結果を示す図である。図11A、12Aおよび13Aは、理想的なストライプ表面1100A、方向性テクスチャ表面1200A、および粗いテクスチャ表面1300Aをそれぞれ含む例示的な表面の図である。図11B、12Bおよび13Bは、それぞれ、視野の固定箇所における様々な配向角度用のそれぞれの表面の各々に対する非補正および補正Z高さ測定結果のグラフ1100B、1200Bおよび1300Bである。いずれの場合も、垂直軸の単位は、ミリメートルであり、水平軸は、配向角度を度で示す。図11Aのストライプ表面1100A用に図11Bに示すように、補正Z高さ測定結果は、非補正測定結果のオリジナルの4.9ミクロンのZ高さ変動と比較して、配向角度の全範囲にわたって0.7ミクロンだけのZ高さ変動をもたらす。図12Aのテクスチャ表面1200A用に図12Bに示すように、非補正測定結果は、非補正測定結果における4.0ミクロンのZ高さ変動と比較して、配向角度の全範囲にわたって0.9ミクロンだけのZ高さ変動を示す。図13Aの粗いテクスチャ表面1300A用に図13Bに示すように、補正測定結果は、非補正測定結果用のオリジナルの3.9ミクロンのZ高さ変動と比較して、配向角度の全範囲にわたって1.4ミクロンだけのZ高さ変動をもたらす。したがって、様々な異方性表面用のこれらの特定の例において、本発明の異方性誤差補正方法(換言すれば、非点収差+静的光学誤差補正方法)は、Z高さ非点収差誤差成分を、約40%〜80%低減した。
【0125】
図11B−13Bに示すデータセットに含まれるいかなる静的光学誤差も、各データセットの変動に寄与しない。なぜなら、視野における測定箇所が、各セットの全体を通して同じであるためである。すなわち、静的光学誤差は、もしあれば、各測定に等しく寄与する。しかしながら、静的光学誤差成分を分析した他のテストでは、非補正静的光学誤差による、視野の様々な箇所における測定変動は、数ミクロン以上のオーダであり、かつ前述の誤差校正および補正技術によって、極めて著しく低減された。
【0126】
図14は、図5に関連して、および本明細書の他のところで前に説明した方法に従って決定されて記憶された異方性誤差ルックアップテーブルを用いて、オートフォーカス関心領域に位置するワークピース表面に対して実行されるZ高さ測定用の異方性誤差補正値を決定するための1つの例示的なランタイムルーチン1500を示す流れ図である。この方法の様々な態様は、図7−10に関連して上記した様々な異方性誤差補正値決定動作の説明を参照することによって、よりよく理解することが可能である。図14に示すように、ブロック1510において、従来のオートフォーカス動作が、パートプログラムに従って実行され、結果としての生のZ高さ測定値(例えば、最良焦点、最良コントラスト位置)が、さらなる参照用に記憶される。ブロック1520において、現在のオートフォーカス関心領域中心位置(例えばXC、YC)に対して、推定異方性誤差ルックアップテーブルが、この箇所用に、現在のオートフォーカス関心領域に最も近い視野箇所用の記憶されたルックアップテーブルを補間することによって、決定される。双一次、双二次または双三次補間などの様々の適用可能な補間技術を用いてもよい。双一次補間が少なくとも4つの記憶されたルックアップテーブルを必要とし、双二次補間が9つのルックアップテーブルを必要とし、双三次補間が16のルックアップテーブルを必要とすることが注目される。
【0127】
ブロック1530において、オートフォーカス関心領域における表面画像の角度内容特徴、すなわち傾き角度依存性が、決定されるかまたは特徴付けられ、オートフォーカス関心領域における特定の表面に適合される推定異方性誤差補正値が、ブロック1520において推定された角度内容特徴および異方性誤差ルックアップテーブルに基づいて決定される。一実施形態において、角度内容特徴は、前述したヒストグラムの1つと同様の角度内容ヒストグラムで具体化してもよく、適合される異方性誤差補正値は、式16および17に関連して前に説明したように決定される。ブロック1540において、計算された(正または負の)補正値が、ブロック1510で記憶されたZ高さ測定値から減算され、補正Z高さ値は、補正Z高さ測定値として報告してもよい。
【0128】
図15は、例示的な一ルーチン1600を示す流れ図であるが、このルーチン1600は、図14のブロック1530の動作を実行するために用いてもよい。ブロック1610において、現在のオートフォーカス関心領域における各画像画素用に、勾配の大きさおよび勾配方向角度が決定される。一実施形態において、ソーベル演算子または同様の周知の演算子を用いて、勾配の大きさおよび角度を決定してもよい。ブロック1620において、第1の実施形態では、勾配方向角度ヒストグラムが、決定された勾配の絶対値を用いて構成される。別の実施形態では、勾配方向角度ヒストグラムの各ビンは、ビンにおける各画素用に、ゼロと1との間の所定の冪(指数値)で累乗された画素勾配の絶対値だけさらに増分される。第2の実施形態の修正では、増分の前に、指定された閾値Tより小さな絶対的な勾配の大きさを有する画素は、無視される。別の実施形態において、各画素の勾配の絶対値は、所定の冪(指数)で累乗してもよく、ヒストグラムは、これらの値に基づいて編集され、Z補正に対する単一の「方向性」画素の影響を、オートフォーカスコントラスト計算に対する当該画素の影響により近くしてもよい。所定の冪は、分析または実験によって決定してもよい。典型的には、それは、0〜2の範囲に入ってもよい。一実施形態において、それは、0.5に設定してもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、ヒストグラムビンの数は、ブロック1520で決定される異方性誤差校正ルックアップテーブル用に用いられる配向角度の数に等しくしてもよく、それらの中心値は、これらの配向角度に対応してもよい。より平滑なヒストグラムを取得し、かつビンの離散化による望ましくない影響を低減するために、ヒストグラムビンを編集および増分する一方で、三角形または他のカーネル(効果的にはカーネル推定器)を用いてもよい。
【0129】
ブロック1630において、ブロック1620で決定されたヒストグラムは、そのビン値の合計が1であるように正規化される。ブロック1640において、オートフォーカス関心領域における特定の表面に適合される異方性誤差補正値が、図14のブロック1520で決定された異方性誤差ルックアップテーブルからの各配向角度エントリを、ブロック1630で決定された正規化ヒストグラムにおける当該配向角度に対応するビン値で乗算し、結果としての積を合計することによって決定される。
【0130】
図16は、図2と同様であり、かつまたより明示的に示されたオートフォーカスツール部143fを含むマシンビジョン検査システム100’の制御システム部120およびビジョン構成要素部200の図であるが、このオートフォーカスツール部143fには、様々なオートフォーカスツール、近ピーク動作制御要素および関連要素が含まれる。一実施形態において、以下でより詳細に説明するように、図16のオートフォーカスツール143fb1、143fb2、143fcなどの1つまたは複数は、図2のオートフォーカスツール145に対応してもよい。以下で別段の指摘がなければ、図16の残りの構成要素が、図2の構成要素と同様であり、類推によって理解してもよいことが理解されよう。
【0131】
図16に示すように、本発明による様々な実施形態において、ビデオツール部143にはオートフォーカスツール部143fが含まれ、オートフォーカスツール部143fは、以下でより詳細に説明するように、マルチ領域およびマルチポイントオートフォーカス動作に関連する様々な動作および特徴を提供する。マルチ領域オートフォーカス動作用のオートフォーカスツール部143fのある部分が、2006年7月18日出願の米国特許出願第11/489,030号(’030出願)でより詳細に説明されているが、この特許出願は、本願と同一の譲受人に譲渡されたものであり、参照によりその全体において本明細書に援用されている。一実施形態において、オートフォーカスツール部143fには、オートフォーカスモード制御部143faと、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2および/または個別オートフォーカスツール143fcなどのビデオツールと、近ピーク動作制御要素143fdと、を含んでもよい。簡単に言えば、個別オートフォーカスツール143fcは、ツールの単一の全体的または主要な関心領域(例えば、グラフィカルユーザインタフェースにおいてビデオツール関心領域境界によって境界を定められた包括的な関心領域)用の単一のZ高さ測定値を提供することに関連する動作を実行する。個別オートフォーカスツール143fcはまた、カメラをオートフォーカスにして、最良焦点に対応するカメラ位置のZ高さを報告してもよい。マルチ領域オートフォーカスツール143fb1は、(例えば、’030出願によって説明されているように)マルチ領域オートフォーカスツールによって示された複数のそれぞれの主要な関心領域用に多数のそれぞれのZ高さ測定値を提供することに関連する同様のZ高さ測定動作を実行してもよい。マルチポイントオートフォーカスツール143fb2は、複数のそれぞれの第2の関心領域またはサブ領域用に複数のそれぞれのZ高さ測定値を提供することに関連する同様のZ高さ測定動作を実行してもよく、これらの第2の関心領域またはサブ領域は、マルチポイントオートフォーカスツールによって示された主要な関心領域内に位置するそれぞれの測定ポイントに関連してもよい。
【0132】
本明細書で概説するように、オートフォーカスモード制御部143faは、オートフォーカスツール(例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2または個別オートフォーカスツール143fc)および/またはツールモードのどれを作動させるかを決定および/または制御する動作を実行する。近ピーク動作制御要素143fdは、一般に、本発明によるZ高さ補正動作用に画像を使用できるように十分に合焦された画像を識別するように意図され、かつまた、画像スタックの「現在の」画像用に分析される、現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴が、当該関心領域またはサブ領域用に前に決定された焦点特徴より優れているかどうかに基づいて、ある条件データ記憶および/または処理動作を管理するか、または管理する際に支援するように意図されている。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdには、本明細書で概説するような近ピーク動作制御要素に関連する様々な機能を提供する別個の回路および/またはルーチンを含んでもよい。しかしながら、他の実施形態において、これらの近ピーク動作および制御機能は、あるいは、制御システム部120の他の部分と一体化されるか、または他の部分と区別できない要素によって提供してもよいことを理解されたい。
【0133】
いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdを用いて、必要メモリならびにあるデータ記憶および/または処理動作を低減または最小限にして、多数の測定位置用の補正Z高さ測定値を効率的に提供するようにしてもよい。一般に、最良焦点特徴は、焦点曲線のピーク近くにある焦点位置で生じる。「近ピーク」動作制御要素143fdの名前は、様々な実施形態において、焦点曲線のピークに隣接する、または対応するデータの記憶および/または分析に対してなされる強調を反映する。オートフォーカスおよび高さ測定動作に関連する焦点曲線の一般的な決定または利用は、例えば、米国特許第7,030,351号に詳細に説明されているように、当該技術分野では一般に周知であり、この特許は、参照によりその全体において本明細書に援用されている。
【0134】
オートフォーカスツール部143fの代替構成が可能であることを理解されたい。例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2、および個別オートフォーカスツール143fcは、別個のモード制御部143faを省略できるように、モード制御機能を含んでもよい。あるいは、オートフォーカスツール部143fは、1つまたは複数の一般的なオートフォーカスツール要素を提供してもよく、モード制御部143faは、マルチ領域オートフォーカスツール動作、マルチポイントオートフォーカスツール動作、または個別オートフォーカスツール動作が望ましいかどうかに依存する方法で、一般的なオートフォーカスツール要素のユーザインタフェースおよび相互関係を管理する動作を提供してもよい。かかる場合に、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2、および/または個別オートフォーカスツール143fcの動作を提供する回路、ルーチンまたはアプリケーションは、一体化するか、かつ/または区別できないようにしてもよい。より一般的には、マシンビジョン検査システム100と共に動作可能な、現在周知の任意の形態または将来開発される形態で本発明を実施して、様々なオートフォーカスZ高さ測定動作に関連して本明細書で開示される特徴を提供してもよい。
【0135】
マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の動作に関し、マルチ領域オートフォーカスモードは、ツールの複数のそれぞれの主要な関心領域(ROI)に対応する複数のそれぞれのZ高さ測定値を提供する。ユーザが、マルチ領域オートフォーカスツール動作モードを現在の動作モードとして選択(または継続)し、かつ新しいマルチ領域セットの第1のメンバ関心領域を定義する場合に、学習動作モード中に、主要な関心領域の新しいマルチ領域セットを定義および/または表示してもよい。次に、ユーザは、動作の現在モードがマルチ領域オートフォーカスツールモードである間に、セットの第2のメンバ関心領域を定義してもよい。ユーザは、マルチ領域オートフォーカスツールモードを中断し、このモードと無関係な動作を実行してもよい。ユーザは、続いて、マルチ領域オートフォーカスツールモードを再開し、セットの追加メンバを定義してもよい。一般に、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の特定のインスタンスに対応するセットメンバは、全て、単一の画像または視野において、(例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1のグラフィカルユーザインタフェースにおけるそれぞれの関心領域境界によって)定義または表現してもよい。したがって、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の特定のインスタンスに関連するそれぞれのZ高さ測定値の全ては、単一のグローバル画像スタックに基づいて決定してもよい。マルチ領域オートフォーカスツール143fb1は、それぞれが別個のZ高さになる傾向があり得る、視野における複数の別個の表面領域のより高速な測定に最も適していることがある。
【0136】
マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の動作に関し、マルチポイントオートフォーカスモードは、複数のそれぞれの第2の関心領域またはサブ領域に対応する複数のそれぞれのZ高さ測定値を提供するが、これらの第2の関心領域またはサブ領域は、マルチポイントオートフォーカスツールによって(例えば、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2のグラフィカルユーザインタフェースにおける「グローバル」関心領域境界によって)示される主要な関心領域内に位置する測定ポイントに関連してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の動作は、示された関心領域をZ高さ測定値ポイントのグリッドに自動または半自動で細分するが、この場合に、各測定ポイントは、当該ポイントに関連する、自動で定義された関心サブ領域に囲まれる。様々な実施形態において、関心サブ領域(第2の関心領域とも呼ばれる)は、ユーザに表示されない。いずれの場合も、特定の測定ポイント用に決定されるZ高さ測定値は、当該ポイントに関連する関心サブ領域に基づく(例えば、測定ポイントに中心を置いた5×5画素サブ領域)。いくつかの実施形態において、特定の測定ポイントに関連するサブ領域のサイズは、周囲の測定ポイントグリッドの密度(例えば、50画素、10画素、または5画素以下のグリッドピッチなど)に依存してもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、画素、もしくはXおよびYの測定単位において、または主要な関心領域内において返されるいくつかのポイントとして非明示的に、測定ポイントグリッド間隔を選択してもよい。
【0137】
第2のまたはサブの関心領域、およびグローバル、全体的または主要な関心領域の両方が、本明細書では「関心領域」またはROIとして呼ばれるが、マルチポイントオートフォーカスツールが論じられている場合には、言及される「関心領域」または「ROI」は、明示的にまたは文脈によって別段の指摘がなければ、一般に、それぞれのZ高さ測定ポイントに関連するそれぞれの関心サブ領域であることが理解されよう。学習動作モード中に、ユーザが、マルチポイントオートフォーカスツール動作モードを現在動作モードとして選択し、かつオートフォーカスツールの主要な関心領域の境界を引くかまたは定義する場合には、新しいマルチポイントグローバル関心領域を定義および/または表示してもよい。次に、いくつか(例えば「n×m」)のZ高さ測定ポイントおよび/または関心サブ領域が、ユーザによってかまたは自動デフォルト値に基づいて、主要な関心領域内に定義される。一般に、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の特定のインスタンスに対応する主要な関心領域は、全て、単一画像または視野において、(例えば、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2のグラフィカルユーザインタフェースにおけるそれぞれの関心領域境界によって)定義および表現してもよい。したがって、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の特定のインスタンスのそれぞれの測定ポイントおよび/またはサブ領域に関連するそれぞれのZ高さ測定値の全ては、単一画像スタックに基づいて決定してもよい。マルチポイントオートフォーカスツール143fb2は、視野内における表面領域の輪郭または3D形状を定義する多数の測定ポイントの高速測定に最も適していることがある。
【0138】
マルチ領域ツールのそれぞれの関心領域またはマルチポイントツールのそれぞれの関心サブ領域に関連するそれぞれのZ高さを決定するために用いられる「オートフォーカス」動作には、マルチ領域またはマルチポイントツールに対応する予想Z高さ値の複数または全てを含むように推定または定義されるZ高さサーチ範囲にわたる画像セット(また「スタック」)を分析することを含んでもよい。画像スタックは、Z高さサーチ範囲にわたる連続動作中に取得してもよい。サーチ範囲は、デフォルト範囲に設定するか、ユーザが定義するか、または学習モード中の動作に基づいて定義してもよい(例えば、マルチ領域もしくはマルチポイントセットを定義する間に用いられるZ高さ位置に基づくか、または1つまたは複数の自動オートフォーカス動作によるなど)。デフォルトサーチ範囲はまた、現在の光学構成に少なくとも部分的に基づいて決定してもよい。
【0139】
前に示したように、いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdは、本発明によるZ高さ補正動作用に画像が使用可能であるように十分に合焦された画像を識別するために用いてもよく、かついくつかの実施形態では、多数の測定位置用に補正Z高さ測定値を効率的に提供するために、必要メモリならびに/またはあるデータ記憶および/もしくは処理動作を低減する意図に基づいて、ある条件データ記憶および/または処理動作を管理するのを支援するように用いてもよい。近ピーク動作制御要素143fdは、マルチ領域オートフォーカスモードおよび/もしくはツールの文脈、またはマルチポイントオートフォーカスモードおよび/もしくはツールの文脈中で動作してもよい。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdの動作は、画像スタックの「現在の」画像に関し、現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴(例えば、画像鮮鋭度メトリック)が、画像スタックの異なる画像における、当該関心領域またはサブ領域用の、前に決定された焦点特徴より優れているかどうかに基づいてもよい。より優れた「現在の」焦点特徴は、以下でより詳細に説明するように、対応する「現在の」画像が、前に分析された画像と比較して、焦点曲線の最良焦点ピークにより近い高さに対応することを示す。
【0140】
前に概説したように、様々な困難が、(例えば、マルチ領域オートフォーカスツールまたはマルチポイントオートフォーカスツール用に)、高スループットで複数の関心領域および/またはサブ領域のZ高さを分析することに関連して生じ、特に、本発明に従って、異方性誤差用に各Z高さを補正するために必要なメモリおよび/または処理動作を考慮するときに生じ得る。例えば、複数の関心領域が分析されている場合には、複数の関心領域および/またはサブ領域のそれぞれが異なる高さを有し得るので、各関心領域および/またはサブ領域に普遍的に当てはまる単一の「焦点」位置または「最良焦点」Z高さが、もはや存在しないことを理解されたい。さらに、各関心領域および/またはサブ領域用に別個の画像スタックおよび/または別個の最終的な「最良焦点」オートフォーカス画像を提供するために、ワークピースステージまたはカメラを繰り返し移動させることは、非実用的であろう。なぜなら、必要な機械的な動作を提供することは、一般に、オートフォーカス高さ決定の最も時間を消費する(スループットを制限する)側面であるからである。さらに、いくつかの実施形態または用途において、複数の関心領域および/またはサブ領域を分析するために必要なメモリおよび/またはハードウェア動作の量は、合理的なスループット期待値およびリアルタイム検出動作に関して、非実用的かまたは少なくとも望ましくないほど遅くなり得る。したがって、様々な実施形態において機械的な動作のボトルネックを回避するために、以下でより詳細に説明するように、単一のグローバル画像スタックを取得し、マルチ領域および/またはマルチサブ領域高さ決定プロセス全体のための基礎として用いることが有利であり得る。さらに、様々な実施形態において、最良の可能な焦点位置において別個に取得される追加的な「可能な最良の」画像(例えば、決定されたZ高さまたは焦点曲線ピーク位置で取得される別個の画像)の部分にではなく、グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に、(それぞれのZ高さ補正値に関連する)本明細書で概説する配向角度分析動作を基づかせることが有利であり得る。
【0141】
グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に基づいてそれぞれのZ高さ補正値を決定することに関して、次のことを理解されたい。すなわち、可能な最良の焦点画像(例えば、焦点曲線ピークで取得される画像)によって、Z高さ補正用の基礎として用いられる傾き角度依存性の最も正確なまたは反復可能な決定が可能になるが、いくつかの実施形態または用途では、傾き角度依存性は、任意の十分に合焦された画像に基づいて、十分な精度で決定または推定し得ることを理解されたい。前に示したように、近ピーク動作制御要素143fd(例えば、回路またはルーチン)は、例えば以下で概説するように、かかる十分に合焦された画像を識別し、かつ/または関連動作を管理することができる。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdはまた、対応する傾き角度依存性および/またはZ高さ補正値を決定することに関連してもよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、適切で十分に合焦された画像部分は、近ピーク動作制御要素143fdが、比較的優れた焦点に対応すると知られている閾値(例えば、実験または分析によって確立された)を超える焦点メトリックを有する画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、画像スタックにおける他の画像と比較して、最も高い焦点メトリックを当該部分に利用できるようにしている画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、当該部分のために決定された非補正最良焦点Z高さに十分に近いかまたは最も近い画像スタックの画像に含まれる画像部分を選択することによって、保証してもよい。これらの代替実施形態は、以下でより詳細に説明する。いずれの場合も、前述の方法のいずれもが、関心領域またはサブ領域に基づいた角度内容特徴を、当該関心領域用の最良焦点非補正Z高さに近いZ高さに対応する画像から提供可能であり、これによって、本発明による様々な実施形態または用途において、十分に正確なZ高さ補正値を提供可能であることが理解されよう。
【0143】
いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdは、現在の焦点特徴が、前に決定された「現行最良」焦点特徴より優れている(例えば、それは、前に決定された「現行最良」焦点メトリック値より大きな焦点メトリック値を有する)場合には、それが、当該関心領域またはサブ領域用の新しい「現行最良」焦点特徴として記憶されるか、または識別される。いくつかの実施形態において、グローバル画像スタック全体が、関心領域またはサブ領域用に分析された後で、最終的な現行最良焦点メトリックを用いて、(対応する関心領域またはサブ領域用に)画像スタックにおける最良焦点画像を識別してもよく、次に、これを用いて、対応するZ高さ補正値を決定するために用いられる対応する傾き角度依存性を決定してもよい。他の実施形態において、スタックの特定の画像において、特定の領域またはサブ領域に対応する新しい「現行最良」焦点特徴が決定されると、当該条件によって、Z高さ補正値用の潜在的な将来の使用のために、当該特定の画像の対応する部分を記憶するように、近ピーク動作制御要素143fdをトリガしてもよい。かかる実施形態において、記憶された新しい「現行最良」データは、前に記憶された同様の現行最良データに取って代わってもよく、次に、前に記憶された現行最良データは、図18Aに関連して以下で説明するように、メモリを節約するために削除してもよい。
【0144】
かかる実施形態において、関心領域またはサブ領域の角度内容を特徴付けるための十分に合焦された画像を取得するために、ステージを「最良焦点」位置へ逆に移動する必要がないことが理解されよう。より正確に言えば、対応する記憶された「現行最良」焦点特徴および/または画像データに基づいて、関心領域またはサブ領域用に、角度内容を特徴付け、Z高さ補正値を決定してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態において、さらなるメモリ節約は、導出された「現行最良」角度内容特徴(例えば、角度内容ヒストグラムもしくは重み付け係数など)に関連する、より少量のデータ、またはさらには現行最良画像部分自体を記憶するのではなく、関心領域またはサブ領域用の結果としてのZ高さ補正値を記憶することによって、達成してもよい。この原理を用いるいくつかの例示的な実施形態は、図18Bおよび18Cに関連して以下で説明する。
【0146】
上記で概説した条件動作方法のそれぞれは、オートフォーカスZ高さ決定動作中に画像が取得および処理されるので、先行技術の方法と比較して、メモリおよび記憶装置要求が著しく低減され得ることが理解されよう。すなわち、画像データ(例えば、画像スタックの様々な画像における領域またはサブ領域データ)は、取得されて、画像スタック全体が完全に分析されるまで保持されるのではなく、最も早い有利なとき(例えば、順次的に、分析中に)に一部を除去するか、または削除してもよい。非重複関心領域またはサブ領域用の特定の例示的な一実施形態において、同時に記憶される情報の合計量は、単一画像のサイズを超えないほど小さくてもよい。実際には、これらの考慮は、ある既存の実際的なハードウェア/ソフトウェア制限(例えば、32ビットオペレーティングシステムによって課されるアプリケーションメモリ割り当て制限)ゆえに、特に重要になり得る。これらの制限を克服する他の選択肢(例えば、非標準ハードウェアおよび/またはソフトウェアアプローチを必要とする)は、技術的および実際的に魅力がないであろう。さらに、上記で概説した条件動作方法はまた、多数の測定ポイントまたはサブ領域を伴ってマルチポイントオートフォーカスツールにおいてZ高さ用の異方性誤差補正値を提供する場合には特に、処理時間を著しく低減し、Z高さ決定動作用のスループットを向上させることができる。さらに、ある実施形態における方法は、現在のオートフォーカスツール(例えば、ある既存製品におけるマルチ領域またはマルチポイントオートフォーカスツール)とうまく統合される。例えば、焦点メトリック用の現行最大値を維持すること、および関連画像データまたは角度内容特徴もしくはヒストグラムの条件記憶を管理することに関連する動作を追加することは、全ての必要な処理機能と共に、上記したあるQVPAK(登録商標)ビジョン検査システムにおける既存のソフトウェアオブジェクトおよび/またはオートフォーカスルーチンと適合できる。多数の測定位置に対する補正Z高さ測定値の効率的な決定に有利な、本発明の方法における特定の例示的な実装は、図17および18A−18Cに関連して以下でより詳細に説明する。
【0147】
図17は、本発明に従って、測定すべき関心領域セットROI(k)を定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための1つの一般的で例示的なルーチン1700を示す流れ図である。ブロック1705において、Z高さが決定されることになる関心領域(ROI)(k)(k=1〜P)を含む関心領域ROIセットが、定義または選択される。上記のように、関心領域ROI(k)には、主要な関心領域を含んでもよく(例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の場合)、または第2のまたはサブの関心領域を含んでもよい(例えば、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の場合)ことが理解されよう。ブロック1710において、画像(i)(i=1〜N)を含む、画像の画像スタックセットが定義される。画像スタックセットの視野には、関心領域ROI(k)セットを含んでもよく、画像スタックセットのZ範囲は、一般に、関心領域ROI(k)セット用に予想されるZ高さにわたる。ブロック1715において、対応する周知のZ高さZ(i)において取得されるメンバ画像(i)を含む画像スタックセットが取得される。Z高さZ(i)は、画像(i)の取得時にマシンビジョン検査システムによって示されるZ高さであり、画像(i)の合焦対物面位置に対応し、ワークピース表面が、当該合焦対物面に実際に位置するかどうかにはかかわらない。
【0148】
いくつかの実施形態において、他のブロックの動作がブロック1715と部分的に並行して実行される場合には、有利になり得る。すなわち、画像分析動作は、1つまたは複数の初期画像における1つもしくは複数の領域またはサブ領域が取得された後、任意の好都合なときに開始してもよい。ブロック1720において、処理ループが、第1の/次の関心領域ROI(k)(k=1〜P)に関連する処理動作に対して開始される。
【0149】
ブロック1730において、画像スタックセットにおける複数(例えば、ほとんどまたは全て)の画像に関し、現在の関心領域ROI(k)用の焦点メトリック(k、i)が決定され、各かかる焦点メトリック(k、i)および対応するZ(i)が、焦点ピーク決定データセット(例えば、焦点曲線データセット)に加えられる。前に概説したように、一実施形態において、焦点メトリックには、画像(i)における関心領域ROI(k)用の1つまたは複数の量的焦点メトリック、例えば画像の鮮鋭度またはコントラストメトリックを含んでもよい。
【0150】
ブロック1750において、最良焦点非補正Z高さが、ブロック1730において確立された焦点ピーク決定データセットに基づいて、関心領域ROI(k)用に(すなわち、現在の関心領域ROI(k)における表面または表面部分用に)決定される。例えば、非補正Z高さは、焦点ピーク決定データセットに適合する曲線のピークに対応してもよい。ブロック1760において、角度内容特徴が、関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに近い(例えば、前に概説したように、画像(i)が十分に合焦された画像であるように、最良焦点非補正Z高さに十分に近い)Z高さに対応する画像(i)に対して、関心領域ROI(k)用に決定される。関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに近いZ高さに対応する画像(i)を識別するために利用可能な動作の様々な特定の実施形態を、図18A−18Cに関連して以下で説明する。上記のように、一実施形態において、角度内容特徴は、勾配(エッジ)角度ヒストグラムに基づいて決定してもよい。ブロック1765において、Z高さ補正値は、ブロック1760において関心領域ROI(k)用に決定された角度内容特徴に基づいて、関心領域ROI(k)用に決定される。上記のように、ある実施形態におけるZ高さ補正値の決定は、角度内容特徴に基づいて、記憶された方向依存性校正データに重み付けすることを含んでもよい。ブロック1770において、補正Z高さは、ブロック1765で確立されたZ高さ補正値、およびブロック1750で確立された関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに基づいて、関心領域ROI(k)用に(すなわち、現在の関心領域ROI(k)における表面または表面部分用に)決定される。ブロック1780において、現在の関心領域ROI(k)が、処理すべき最後のROI(k)であるかどうかに関して、決定がなされる。処理すべき追加的な関心領域ROI(k)がある場合には、ルーチンは、ブロック1720において関心領域ROI(k)処理ループの初めに戻り、そうなければルーチンは終了する。図17に示す実施形態が、例示に過ぎず、限定的ではないことが理解されよう。例えば、様々な他の実施形態において、ブロック1730−1765に関連する様々な動作を、図示の順序以外の順序で実行可能であることが理解されよう。いずれの場合も、ルーチン1700(以下で説明するルーチン1700’−1700’’’と同様に)は、最良焦点高さにおいて取得される1つまたは複数の追加画像を必要とするのではなく、画像スタックからの十分に合焦された近ピーク画像(すなわち、ピーク焦点高さ近くの画像)に基づいて、角度内容特徴および結果としてのZ高さ補正値を提供し得ることが理解されよう。したがって、かかるルーチンおよび/または含まれる動作は、本発明による様々な実施形態において、動きおよび画像取得に関連する動作時間を著しく低減可能である。画像記憶用の必要メモリもまた、低減可能である。
【0151】
図18A−18Cは、図17のルーチンに類似しているか、またはそのインスタンスである例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。図18A−18Cのあるブロックおよび動作が、図17のあるブロックおよび動作と同様もしくは類似し、かつ/または互いに類似していることが理解されよう。同様もしくは類似したブロックまたは動作は、図17および図18A−18Cにおいて同一または同様の番号を付けられる(例えば、1760’は、1760と同様である)。かかる場合には、いくつかのかかるブロックは、以下で特に説明する必要がなく、別段の指摘がある場合を除いて、類推によって理解してもよい。
【0152】
図18Aは、本発明に従って、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための例示的なルーチン1700’の特定の実施形態を示す流れ図である。ルーチン1700’には、以下でより詳細に説明するように、近ピークデータを効率的に処理し記憶する条件動作が明示的に含まれる。ルーチン1700’は開始され、ブロック1705および1710は、図17に関連して前に説明したものと同様または同一であってもよい。ブロック1715’において、対応する周知のZ高さZ(i)で取得されるメンバ画像(i)を含む画像スタックセットを取得するために、動作が開始される。ブロック1717において、第1の/次の画像(i)に対する画像分析動作用の処理ループが、第1の/次の画像(i)の1つまたは複数の領域またはサブ領域が取得された後で、任意の好都合なときに開始してもよい。したがって、ルーチン1700’において、様々な動作(例えば、ループ動作1720’−1743の内の動作)は、動作時間および/またはメモリを節約するために、画像スタックセットの取得と並行して実行される。ブロック1720’において、処理ループが、現在の画像(i)における第1の/次の関心領域ROI(k)(k=1〜P)に関連する動作を処理するために開始される。
【0153】
ブロック1730’において、焦点メトリック(k、i)が、現在の画像(i)における現在の関心領域ROI(k)用に決定され、各かかる焦点メトリック(k、i)および対応するZ(i)が、焦点ピーク決定データセット(例えば、焦点曲線データセット)に加えられる。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れているかどうかに関して、決定ブロック1740において決定がなされる。デフォルトの現行最良焦点メトリックは、いくつかの実施形態において、Z高さ補正用の角度内容特徴を決定するために用いられる十分に合焦された画像を示す焦点メトリック用の閾値であってもよい。いくつかの実施形態において、デフォルトレベルは、学習モード動作中に、特定のワークピースタイプの特定の関心領域またはサブ領域用に決定または確立し、関連するパートプログラム等に記憶してもよい。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくないと、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、ブロック1741へ進み、そこで、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分が、メモリから削除される。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくない場合には、それは、Z高さ補正用に使用可能な「近ピーク」データとして適さない。したがって、それは、さらに分析する必要はなく、一部を除去するかまたは削除してもよい。ブロック1740において、現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れていると判定された場合には、ルーチンは、ブロック1742へ進み、そこで、現在の画像(i)の関心領域ROI(k)部分が、新しい現行最良角度内容ソース画像(k)として記憶される。以下説明するように、最終的な現行最良角度内容ソース画像(k)は(例えば、ブロック1744で終了するプロセスループを出た後で)、ブロック1760’で用いてもよい。ブロック1742または1741のいずれかから、動作は、決定ブロック1743に進んでもよく、ブロック1743において、現在の画像(i)用に処理すべき、これ以上の関心領域ROI(k)があるかどうかの決定がなされる。ある場合、動作は、ブロック1720’に戻り、そうでなければ、動作は、決定ブロック1744に進む。決定ブロック1744において、処理すべき別の画像(i)があるかどうかの決定がなされる。ある場合、動作は、ブロック1730’に戻り、そうでなければ、動作は、ブロック1750に進む。
【0154】
ブロック1750において、各ROI(k)(例えば、k=1〜P)に対し、最良焦点非補正Z高さが、当該ROI(k)用にブロック1730’で確立された焦点ピーク決定データセットに基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1760’に進み、そこで、各ROI(k)に対し、角度内容特徴が、当該ROI(k)用にブロック1742で確立された最新の現行最良角度内容ソース画像(k)に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1765に進み、そこで、各ROI(k)に対し、Z高さ補正値が、当該ROI(k)用にブロック1760’で確立された角度内容特徴に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1770に進み、そこで、各ROI(k)に対し、補正Z高さが、当該関心領域ROI(k)用にブロック1765で確立されたZ高さ補正値およびブロック1750で確立された最良焦点非補正Z高さに基づいて、当該関心領域ROI(k)用に決定される。補正Z高さが、ブロック1770において各所望のROI(k)用に決定されると、ルーチンは終了する。
【0155】
いくつかの実施形態において、ブロック1740−1742に関連して上記で概説した動作が、近ピーク動作制御要素の一部(例えば、前に概説した近ピーク動作制御要素143fd)に含まれてもよく、または一部を含んでもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態において、ブロック1760、1760’および/または1765に関連する動作はまた、近ピーク動作制御要素の一部に含まれてもよく、または一部を含んでもよい。以下で説明するように、図18A−18Cの実施形態間の主要な差は、一般に、これらのブロックに含まれる。
【0156】
図18Bは、本発明に従って、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための例示的なルーチン1700’’の特定の実施形態を示す流れ図である。ルーチン1700’と同様に、ルーチン1700’’には、以下でより詳細に説明するように、近ピークデータを効率的に処理および記憶する条件動作が明示的に含まれる。ルーチン1700’’が開始し、ブロック1705−1741は、図18Aに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくないと、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、以下で説明するブロック1741に進む。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れていると、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、ブロック1742’に進み、そこで、角度内容特徴が、現在の画像(i)の関心領域ROI(k)部分に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。ブロック1742’において、当該決定された角度内容特徴はまた、当該ROI(k)用の新しい現行最良角度内容特徴として記憶される。以下で説明するように、当該ROI(k)用の最終的な現行最良角度内容特徴は(例えば、ブロック1744で終了するプロセスループを出た後で)、ブロック1765で用いてもよい。ブロック1742’から、動作は、ブロック1741に進む。ブロック1740から到着しようと、またはブロック1742’から到着しようと、ブロック1741において、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分は、削除してもよい。ブロック1740からブロック1741への到着は、現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくなく、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分が、Z高さ補正に用いることができる「近ピーク」データとして適しておらず、したがって、メモリを節約するために削除してもよいほどであることを示す。ブロック1742’からブロック1741への到着は、Z高さ補正用に必要な関連する角度内容特徴が、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)用に既に決定および記憶されたことを示す。したがって、ROI(k)からの画像データは、現在の画像(i)用にもはや必要とされず、メモリを節約するために削除してもよい。
【0157】
ブロック1741から、動作は、決定ブロック1743に進む。ブロック1743−1750は、図18Aに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。ブロック1750から、動作は、ブロック1765に進み、そこで、各ROI(k)に対し、Z高さ補正値が、当該ROI(k)用にブロック1742’で確立された最新の現行最良角度内容特徴に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1770に進むが、ブロック1770は、図18Aに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよく、ブロック1770後に、ルーチンは終了する。
【0158】
図18Cは、本発明に従って、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための例示的なルーチン1700’’’の特定の実施形態を示す流れ図である。ルーチン1700’’と同様に、ルーチン1700’’’には、以下でより詳細に説明するように、近ピークデータを効率的に処理および記憶する条件動作が明示的に含まれる。ルーチン1700’’’が開始し、ブロック1705−1741は、図18Bに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくないと、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、以下で説明するブロック1741に進む。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れていると、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、ブロック1742’’に進み、そこで、Z高さ補正値が、焦点メトリック(k、i)に対応する画像部分における角度内容特徴を決定することに基づいて、決定される。ブロック1742’’において、当該決定されたZ高さ補正値はまた、現在の画像(i)における当該ROI(k)用の新しい現行最良Z高さ補正値として記憶される。以下で説明するように、当該ROI(k)用の最終的なZ高さ補正値は(例えば、ブロック1744で終了するプロセスループを出た後で)、ブロック1770’で用いてもよい。ブロック1742’’から、動作は、ブロック1741に進む。ブロック1740から到着しようと、またはブロック1742’’から到着しようと、ブロック1741において、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分は、削除してもよい。ブロック1740からブロック1741への到着は、現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくなく、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分が、Z高さ補正に用いることができる「近ピーク」データとして適しておらず、したがって、削除してもよいほどであることを示す。ブロック1742’’からブロック1741への到着は、必要なZ高さ補正が、既に現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)用に決定および記憶されたことを示す。したがって、ROI(k)からの画像データは、現在の画像(i)用にもはや必要とされず、メモリを節約するために削除してもよい。
【0159】
1741から、動作は、決定ブロック1743に進む。ブロック1743−1750は、図18Aまたは図18Bに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。ブロック1750から、動作は、ブロック1770’に進み、そこで、各ROI(k)に対し、補正Z高さが、当該関心領域ROI(k)用にブロック1742’’で確立されたZ高さ補正値およびブロック1750で確立された最良焦点非補正Z高さに基づいて、当該関心領域ROI(k)用に決定される。補正Z高さが、ブロック1770’において、各所望のROI(k)用に決定されると、ルーチンは終了する。
【0160】
図18Aのルーチン1700’と比較して、図18Bおよび18Cのルーチン1700’’および1700’’’は、それぞれ、画像データ用に必要なメモリ量を低減可能で、多数の関心領域またはサブ領域用の補正Z高さを決定するための効率的な処理を可能にすることが理解されよう。いくつかの実施形態において、画像データは、(例えばブロック1740、1742’、1742’’および1741において)非常に迅速な分析および削除が可能なので、画像データ用の必要メモリは、少数の画像またはそれより少ない画像(例えば、ほぼ単一画像)にさえ対応するメモリに制限してもよいが、はるかに大きな画像スタックを取得および分析してもよい。
【0161】
本発明の好ましい実施形態を図示し説明したが、動作の特徴およびシーケンスの、図示し説明した構成の多くの変形が、本開示に基づいて当業者に明らかになろう。本発明の様々な態様は、別個に、または明示的に開示したもの以外の組み合わせおよびシーケンスで用いてもよい。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書において様々な変更をなし得ることが理解されよう。
【符号の説明】
【0162】
10・・・マシンビジョン検査システム、12・・・ビジョン測定マシン、14・・・制御コンピュータシステム、16・・・モニタ、18・・・プリンタ、20・・・ワークピース、22・・・ジョイスティック、24・・・キーボード、26・・・マウス、32・・・ワークピースステージ、34・・・光学撮像系、100・・・マシンビジョン検査システム、100’・・・マシンビジョン検査システム、120・・・制御システム部、125・・・コントローラ、130・・・入力/出力インタフェース、131・・・撮像制御インタフェース、132・・・動作制御インタフェース、132A・・・位置制御要素、132B・・・速度/加速制御要素、133・・・照明制御インタフェース、134・・・レンズ制御インタフェース、136・・・表示装置、138・・・入力装置、140・・・メモリ、141・・・画像ファイルメモリ部、142・・・パートプログラムメモリ部、143・・・ビデオツール部、143a−143m・・・ツール部、143f・・・オートフォーカスツール部、143fa・・・オートフォーカスモード制御部、143fb1・・・マルチ領域オートフォーカスツール、143fb2・・・マルチポイントオートフォーカスツール、143fc・・・個別オートフォーカスツール、143fd・・・近ピーク動作制御要素、143x・・・関心領域生成器、145・・・オートフォーカスツール、148・・・オートフォーカス補正部、148A・・・ルックアップテーブル生成器部、148B・・・ルックアップテーブルメモリ部、148C・・・補間部、148D・・・方向−強度決定部、170・・・パートプログラム生成器および実行器、180・・・CADファイル特徴抽出器、190・・・電源部、200・・・ビジョン構成要素部、205・・・光学アセンブリ部、210・・・ワークピースステージ、212・・・中央透明部、220・・・光源、221・・・信号線またはバス、222・・・光源光、230・・・光源、231・・・信号線またはバス、232・・・光源光、240・・・光源、241・・・信号線またはバス、242・・・光源光、250・・・交換可能対物レンズ、255・・・ワークピース光、260・・・カメラシステム、262・・・信号線、280・・・タレットレンズアセンブリ、281・・・信号線またはバス、284・・・軸、286・・・第1のタレットレンズ位置およびレンズ、288・・・第2のタレットレンズ位置およびレンズ、294・・・制御可能モータ、296・・・信号線、300A・・・理想的なストライプ表面、300B・・・理想的なストライプ表面、300C・・・異方性テクスチャ表面、300D・・・等方性テクスチャ表面、400・・・グラフ、410、412、414・・・グラフ線、500・・・構成基準器、500A・・・対象要素群、500B・・・対象要素群、510・・・等方性対象要素、512−517・・・列、522−525・・・行、520・・・平坦基板、600・・・非点収差誤差校正データ、700・・・視野、710−790・・・グラフ、795・・・矩形部、900A・・・理想的なストライプ表面、900B・・・ヒストグラム、900C・・・三角形カーネルの利用を示す図、910B、910D・・・ビン、1000A・・・テクスチャ表面、1000B・・・ヒストグラム、1100A・・・理想的なストライプ表面、1100B・・・グラフ、1200A・・・方向性テクスチャ表面、1200B・・・グラフ、1300A・・・粗いテクスチャ表面、1300B・・・グラフ、1500・・・ランタイムルーチン、1510−1540・・・ブロック、1600・・・ルーチン、1610−1640・・・ブロック、1700、1700’、1700’’、1700’’’・・・ルーチン、1700−1780、1715’−1770’、1742・・・ブロック
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年10月31日出願の米国特許出願第11/263,002号の一部継続出願に対応するもので、その出願開示内容全体が、本明細書において参照される。
【0002】
発明の分野
本発明は、マシンビジョン計測システムに関し、特に、非点収差などのレンズ収差によって引き起こされる誤差(例えば、Z高さ測定誤差)を補正する高精度光学収差補正システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
精密マシンビジョン検査システム(または略して「ビジョンシステム」)を用いて、検査対象物の正確な寸法測定値を取得し、かつ様々な他の物性を検査することができる。かかるシステムには、コンピュータ、カメラおよび光学系、ならびに検査されているワークピースの特徴をカメラが走査できるようにするために多方向に移動可能な精密ステージを含んでもよい。市販されている1つの例示的な先行技術のシステムは、イリノイ州オーロラ(Aurora,IL)にあるMitutoyo America Corporation (MAC)から入手可能なPCベースビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよびQVPAK(登録商標)ソフトウェアである。ビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよびQVPAK(登録商標)ソフトウェアの特徴および動作は、例えば、2003年1月に発行されたQVPAK 3D CNC Vision Measuring Machine User's Guide、および1996年9月に発行されたthe QVPAK 3D CNC Vision Measuring Machine Operation Guideに一般的に説明されており、これらのそれぞれが、それらの全体において、参照により本明細書に援用されている。この製品は、QV302−PROモデルによって実証されているように、例えば、顕微鏡タイプの光学系を用いて様々な倍率でワークピースの画像を提供し、かつ必要に応じて、いかなる単一のビデオ画像の限界も超えてワークピース表面を横切るようにステージを移動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるシステムでは、ミクロン範囲の精度が望まれることが多い。(カメラシステムの光軸に沿った)Z高さ測定値は、一般に「最良焦点」位置から導出される。Z高さ測定値用に達成される精度および信頼性のレベルは、他の測定軸用に達成されるレベルより低いことが多い。マシンビジョン検査システムが、改善された精度および信頼性でZ高さ測定値を取得できることが望ましいであろう。さらに、あるマシンビジョン検査システムでは、オートフォーカスツールを用いて、最良焦点位置および結果としてのZ高さ測定値を取得することができる。オートフォーカスツールが、改善された精度および信頼性で自動的に動作することが望ましいであろう。本発明は、前述および他の欠点を克服できるシステムおよび方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
この概要は、以下において詳細な説明でさらに説明される概念の抜粋を簡略化された形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主な特徴を特定するようにも、特許請求される主題の範囲を決定する際における補助として用いられるようにも意図されていない。
【0006】
高精度光学収差補正システムおよび方法が提供される。より具体的には、本発明は、視野における「方向性」特徴の向きに対する依存性を含む焦点誤差および/またはZ高さ測定誤差を補正する高精度光学収差補正システムおよび方法に関する。かかる誤差は、非点収差などのレンズ収差、ならびにマシンビジョン光学システムの他の特徴または欠陥によって引き起こされ得る。非点収差において、レンズの焦点距離は、異なる平面でレンズを横切る光線によって異なる(これは、視野において異なる角度に位置する特徴−例えばエッジ−に対応する)。その結果、レンズの焦点(Z)位置は、視野におけるエッジの様々な(支配的な)方向によって異なる。
【0007】
より具体的には、本発明者は、著しいZ高さ測定変動(誤差)が、視野において「方向性」特徴を示す表面または特徴を測定する場合に発生し得ることを発見した。これらの変動は、方向性特徴の向き(例えば、視野における線テクスチャ、ライン、エッジなどの向き)に依存する。かかる方向性表面および特徴は、本明細書では異方性表面および特徴と呼ばれる。方向性特徴の向きに依存する、かかる変動(誤差)は、誤差の原因である根本的な物理プロセスにかかわらず、本明細書では一般に非点収差誤差と呼ばれる。
【0008】
視野における焦点関心領域(ROI)に対応する焦点位置が、焦点ROIにおいて可視のエッジまたはテクスチャ(性状)の方向(角度)に応じて特徴付けられ、次に、測定される表面が、それらの支配的なエッジ(または勾配)方向の点から特徴付けられる場合には、適切なZ補償が、当該焦点ROIにおいて測定される各表面用に適用されて、焦点ROIにおける支配的なエッジ方向に対応する焦点位置誤差を打ち消すことができる。これによって、全てのZ測定値は、焦点ROIにおけるエッジまたはテクスチャの方向に対する依存が低減され、名目上は無関係にされる。
【0009】
多くの場合に、テクスチャもしくはラインエッジおよび/または方向性が、より強いかまたはより明白であればなるほど、非点収差誤差は、それだけ著しくなる。さらに、非点収差誤差は、カメラ視野にわたって著しく変化し得ることが分かった。すなわち、視野全体を通して均一な方向性テクスチャが与えられたとすると、視野の一部分から(1つのROIから)の画像データに基づいた焦点動作は、視野の別の部分から(別のROIから)の画像データに基づいた焦点動作とは異なるZ高さ測定値をもたらし得る。かかるROI依存の非点収差誤差は、本明細書に開示するシステムおよび方法によって少なくとも部分的に補償または補正し、視野の全体を通してZ高さ測定精度を改善し、かつ測定変動を低減することが可能である。
【0010】
本明細書に開示する誤差補正システムおよび方法はまた、一般に、いかなる非点収差誤差とも無関係で、視野の測定箇所に依存する焦点変動および/またはZ高さ変動を補正可能である。例えば、かかる変動は、レンズの像面湾曲と、システムの光軸に対するカメラCCDの不完全な垂直性と、CCDの湾曲と、ビジョンシステムステージに対するビジョンシステムの光軸の不完全な垂直性と、視野にわたって最良焦点位置を変動させ得る同様の誤差源と、に起因し得る。かかる誤差は、一般に、誤差の原因である根本的な物理プロセスにかかわらず、本明細書では集合的に静的光学誤差と呼ばれる。静的光学誤差により、ワークピース表面がカメラ視野の異なる箇所で測定される場合には、方向性特徴を示さない表面またはパターンに対してさえ、固定高さを有するワークピース表面に対してZ高さ測定値が変動される。かかる「非方向性」表面およびパターンは、本明細書では等方性表面およびパターンと呼ばれる。
【0011】
本発明の一態様によれば、非点収差誤差は、それぞれの非点収差誤差成分を含むそれぞれのZ高さ測定値の基礎として異なるそれぞれの校正角度に向けられた方向性パターンを用いて、特徴付けられる。方向性パターンのかかるZ高さ測定値はまた、本明細書では異方性測定値と呼ばれる。
【0012】
異方性測定値には、一般に、非点収差誤差成分および静的光学誤差成分の両方、すなわち結合誤差が含まれることが理解されよう。異方性測定値におけるかかる結合誤差は、本明細書では異方性誤差と呼ばれる。本発明の一態様によれば、異方性誤差を決定してもよく、結果としての異方性誤差校正データを、将来のZ高さ測定値の異方性誤差を補償または補正するために記憶してもよい。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、視野の同じ箇所における、方向性パターンを用いるZ高さ測定値(異方性測定値)と、等方性Z高さ測定値(以下でさらに説明する)との間の差によって、当該箇所における非点収差誤差成分または非点収差誤差校正データを決定してもよい。結果としての非点収差誤差校正データは、将来のZ高さ測定値の非点収差誤差成分を補償または補正するために記憶してもよい。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、異方性誤差および/または非点収差誤差は、視野内の複数の箇所において特徴付けられる。結果としての校正データは、Z高さ測定値を決定するために用いられるデータを提供する視野内の箇所に補正の基礎を置くことを含めて、将来のZ高さ測定誤差を補償または補正するために記憶してもよい。様々な実施形態において、複数の異方性測定値および/もしくは異方性誤差、ならびに/または非点収差誤差は、視野における正確に知られている位置に対応して決定してもよく、次に、補間は、視野における任意の特定の箇所に関連する異方性測定値および/もしくは異方性誤差、ならびに/または非点収差誤差を推定するために行うことができる。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、異方性誤差および/または非点収差誤差は、マシンビジョンシステムにおいて用いられる各特定のレンズまたはレンズの組み合わせ(もしくは倍率)に対して特徴付けられる。結果としての校正データは、当該特定のレンズまたはレンズの組み合わせ(もしくは倍率)を用いる場合に、将来のZ高さ測定誤差を補償または補正するために記憶される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、構成基準器は、校正データを取得するために利用してもよい。構成基準器は、複数のそれぞれの異方性対象要素からなってもよく、これらの要素のそれぞれには、異なるそれぞれの角度方向に向けられた方向性パターンが含まれる。一実施形態において、それぞれの異方性対象要素は、別個の角度ステップで0°〜180°におよぶ異なるそれぞれの角度方向を提供してもよい。ステップサイズは、校正データの所望の分解能に依存して変化してもよい。例として、分解能は、5°または7.5°または15°などのステップサイズに対応してもよい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、静的光学誤差は、構成基準器を用いて提供されるZ高さ測定データを用いて特徴付けてもよい。一実施形態において、Z高さ測定値を提供するために、静的光学誤差は、異方性対象要素の一連の測定値を平均することに基づいて特徴付けられ、非点収差誤差成分が、事実上、平均化によって除去された。かかる平均化によって、静的光学誤差を決定するために使用可能な第1のタイプの等方性または非方向性測定値が提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、静的光学誤差は、視野内の複数の箇所において特徴付けられる。結果としての校正データは、静的光学誤差を決定するために用いられるデータを提供する視野内の箇所に補正の基礎を置くことを含めて、将来のZ高さ測定誤差を補償または補正するために記憶してもよい。一実施形態において、複数の等方性測定値および/または静的光学誤差は、視野における正確に知られている位置に対応して決定してもよく、次に、補間は、視野における任意の特定の箇所に関連する等方性測定値および/または静的光学誤差を推定するために行うことができる。
【0019】
本発明の別の態様によれば、等方性対象要素、すなわち「方向性」を欠くパターンからなる対象要素を、構成基準器上に提供してもよい。等方性パターンを測定する場合には、これらのパターンの1つに合焦することによって、非点収差誤差が、最小限にされるかまたは除去されるので、もしあれば名目上静的光学誤差だけを含むZ高さ測定値を取得可能である。かかる等方性対象要素測定値によって、静的光学誤差を決定するために使用可能な第2のタイプの等方性または非方向性測定値が提供される。複数の等方性対象要素を提供してもよく、それらの、構成基準器上の位置が正確に知られているので、補間は、構成基準器における任意の特定の箇所に関連する等方性測定値および/または静的光学誤差を推定するために行うことができる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、以下でより詳細に概説するように、等方性測定値セットに基づいて「真の」または基準Z高さ測定値を決定することが可能である。すなわち、静的光学誤差も非点収差誤差も名目上含まない「真の」または基準Z高さ測定値を推定してもよい。同じ箇所における「真の」または基準Z高さ推定値と異方性Z高さ測定値との間の差によって、当該箇所における異方性誤差または異方性誤差校正データが決定される。同じ箇所における「真の」または基準Z高さ推定値と等方性Z高さ測定値との間の差によって、当該箇所における静的光学誤差成分または静的光学誤差校正データが決定される。静的光学誤差はまた、本明細書では「等方性誤差」と呼んでもよい。
【0021】
本発明の別の態様によれば、構成基準器は、複数の異なるサイズのそれぞれの対象要素のセットからなってもよい。各セット内において、各対象要素のそれぞれは、当該特定の対象要素セットが設計のときに予定した最低の倍率において、視野よりわずかに大きくなるように設計してもよい。さらに、各セット内において、対象要素パターン内における任意の異方性特徴(およびもし含まれる場合には等方性特徴)の密度または間隔は、それが設計のときに予定した倍率において、優れた校正を提供するように選択してもよく、例えば、特徴は、エイリアシングを防ぐために、カメラ画素間隔と比較して十分に「太く」すべきであり、かつ特に異方性対象要素用に視野における「強い」パターンを提供するために、視野には十分な特徴(例えば、ラインおよびスペース、テクスチャ「スクラッチ」など)が存在すべきである。
【0022】
本発明の別の態様によれば、校正データが取得された後で、視野内の特定の関心領域(ROI)用の(例えば、オートフォーカスツールを用いることによる)続くZ高さ測定中に、Z高さ測定値は、校正データを補間または外挿することによって補正され、関心領域の当該特定の箇所に対応する補正値を取得する。このプロセスの第1の部分には、既存の校正誤差補正データを再構成または増強して、視野におけるオートフォーカスツール関心領域の特定の位置に対応する値を推定することを含んでもよい。再構成または推定は、校正プロセス中に、視野内の別個の箇所において捕捉された誤差補正データの補間(例えば、双一次、双二次、双三次など)によって実行してもよい。このプロセスの第2の部分には、再構成または推定された誤差補正データを用いて、オートフォーカスルーチンによって決定された初期または生のZ位置に対するZ補正値を計算することを含んでもよい。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に従って校正データが取得された後で、例えばオートフォーカスツールに基づいた、視野内における特定の関心領域(ROI)用の続くZ高さ測定中に、Z補正値が、関心領域に存在する特徴の強度および/または向きに依存する1つもしくは複数の特徴または重み付け係数に従って重み付けされた校正誤差補正データに従って、計算および適用される。画像の関心領域に存在する特徴における強度および/または向きの特徴は、その形態にかかわらず、傾き角度依存性(orientation angle content characteristic)あるいは角度内容特徴等と包括的に呼んでもよい。一実施形態において、関心領域に存在する特徴の強度および/または向きは、関連する校正データを決定するために用いられる異方性対象要素の特徴の強度および/または向きと比較して決定される。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、様々な実施形態において、関心領域において決定された勾配(エッジ)方向のヒストグラムは、1つまたは複数の「方向性」重み付けまたは補間係数を決定するために用いてもよい。様々な実施形態において、関心領域において決定された勾配(エッジ)強度のヒストグラムは、1つまたは複数の「強度」重み付け係数を決定するために用いてもよい。
【0025】
本発明の別の態様によれば、ヒストグラムは、勾配の大きさおよび方向(というより、一実施形態において、誤差校正データセットにおけるエッジ方向データと一致させるために、勾配方向に垂直な方向)の両方を計算することによって形成してもよい。勾配計算は、オートフォーカスツール関心領域における各画素に対応して実行してもよい。勾配の大きさが、ある(低い)ノイズ閾値より小さい画素は、画像ノイズと比較して比較的「強い」エッジのみに対処することが望ましい実施形態では、考慮から除いてもよい。画像ノイズが著しい場合には、関心領域は、勾配の大きさおよび方向の計算の前に、空間的に小さな平均化フィルタでさらに平滑化することができる。次に、全ての残りの「適した」画素(すなわち、勾配の大きさが、適切なノイズ閾値を超える画素)用に勾配方向のヒストグラムを作成してもよく、それに応じて、校正データが重み付けされる。
【0026】
上記で概説した本発明の様々な態様によれば、校正データは、静的光学誤差を非点収差誤差から区別してもよい。かかる場合に、静的光学誤差は、関心測定領域が著しい方向性内容を欠く場合には、重み付け係数等に関連する追加的な計算の必要なしに、静的光学誤差校正データから直接補償してもよい。
【0027】
様々な実施形態において、視野の様々な箇所における異方性誤差および/または静的光学誤差を決定するために、現実的で一般的なモデルが、分析または実験に基づいて、構成基準器基板形状用に確立される。例えば、それは、平面で、かつ光学系軸に対して潜在的に傾斜していると仮定してもよい。あるいは、それはまた、1つまたは複数の方向に沿って湾曲していると仮定してもよい。以下でより詳細に説明するように、モデルに依存して、直線、曲線、または平面もしくは湾曲面が、複数の等方性Z高さ測定値に適合し得る。結果としての「最良適合」基板箇所は、その適用可能範囲全体を通して箇所における基準または真のZ高さ測定値の推定値として用いてもよい。様々な箇所における異方性Z高さ測定値と真のZ高さ値との間の差は、様々な箇所用の異方性誤差および関連する異方性誤差校正データを決定するために用いてもよい。様々な箇所における等方性Z高さ測定値と真のZ高さ値との間の差は、様々な箇所用の静的光学誤差および関連する静的光学誤差校正データを決定するために用いてもよい。
【0028】
本発明の別の態様によれば、本発明の誤差補正システムおよび方法は、複数の主要な関心領域(例えば、主要な関心領域は、グラフィカルユーザインタフェースにおけるビデオツール関心領域境界によって境界を定められた包括的な関心領域であってもよい)、および/または特定の主要な関心領域内のポイントに関連する複数のサブ領域に適用してもよい。このようなことは、あるタイプのオートフォーカスツール(例えば、マルチ領域またはマルチポイントオートフォーカスツール)が用いられる場合には、必要になり得る。マルチ領域オートフォーカスツールは、このツール用の複数のそれぞれの主要な焦点関心領域用のそれぞれのZ焦点位置および/または高さ座標を提供することに関連する動作を実行してもよい。マルチポイントオートフォーカスツールは、複数のそれぞれの第2の焦点関心領域またはサブ領域用のそれぞれのZ焦点位置または高さ値を提供することに関連する類似の動作を実行してもよく、これらの第2の焦点関心領域またはサブ領域は、このツール用の主要な関心領域内に位置するポイントに関連してもよい。マルチ領域およびマルチポイントオートフォーカスツールは、Z高さ測定用の基礎として、少なくとも表面タイプのオートフォーカス動作を提供し得る。
【0029】
(例えば、個別オートフォーカスツール用に)単一の関心領域だけを分析することと比較して、(例えば、マルチ領域またはマルチポイントオートフォーカスツール用に)高スループットで複数の関心領域および/またはサブ領域のZ高さを分析することに関連して、ならびに特に、本発明に従って異方性誤差に対して各Z高さを補正するために必要なメモリおよび/または処理動作を考慮した場合に、様々な困難が発生し得ることを理解されたい。例えば、複数の関心領域が分析されている場合に、各関心領域および/またはサブ領域に普遍的に当てはまる単一の「焦点」位置または「最良焦点」Z高さがもはや存在しないことを理解されたい。なぜなら、複数の関心領域および/またはサブ領域が、異なる高さを有し得るからである。さらに、各関心領域および/またはサブ領域用に別個のオートフォーカス画像セット(またオートフォーカス画像スタックとも呼ばれる)および/または別個の最終的な「最良焦点」オートフォーカス画像を提供するために、ワークピースステージまたはカメラを繰り返し移動させることは、非実用的であろう。なぜなら、必要な機械的な動作を提供することは、一般に、オートフォーカス高さ決定の最も時間を消費する(スループットを制限する)側面であるからである。これは、速度ボトルネックをもたらすことがあり、検査スループットに対する代償は、特に、分析すべき多数の関心領域および/またはサブ領域がある場合には、非常に高いものになり得る。さらに、いくつかの実施形態または用途において、複数の関心領域および/またはサブ領域の分析に必要なメモリおよび/またはハードウェア動作の量は、合理的なスループット予想およびリアルタイム検査動作に関して非実用的かまたは少なくとも望ましくいほど遅くなり得る。
【0030】
様々な実施形態において機械的な動作ボトルネックを回避するために、以下でより詳細に説明するように、単一のグローバル画像スタック(単一、フル、またはグローバル画像スタック等とも呼ばれる)を取得し、かつ全体的なマルチ領域および/またはマルチサブ領域(例えば、マルチポイントツールサブ領域)高さ決定プロセス用の基礎として用いることが有利になり得る。さらに、様々な実施形態において、(それぞれのZ高さ補正に関連して)本明細書で概説する配向角度分析動作を、可能な最良の焦点位置において別個に取得される追加の「可能な最良の」画像(例えば、決定されたZ高さまたは焦点曲線ピーク位置で取得される別個の画像)の部分にではなく、グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に基づかせることが、有利になり得る。
【0031】
グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に基づいて、それぞれのZ高さ補正値を決定することに関して、次のことを理解されたい。すなわち、Z高さ補正用の基礎として用いられる傾き角度依存性の最も正確または再現可能な決定を可能にするために、可能な最良の焦点画像(例えば、焦点曲線ピークで取得された画像)を用いてもよいが、いくつかの実施形態または用途では、傾き角度依存性は、任意の十分に合焦された画像に基づいて、十分な精度で決定または推定してもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態において、適切な十分に合焦された画像部分は、比較的優れた焦点に対応していることが知られている閾値を超える焦点メトリック(例えば、焦点特徴の任意の周知のタイプもしくは任意の他の適切なタイプにおける画像コントラストまたは鮮鋭度メトリック)を有する画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって、保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、画像スタックにおける他の画像と比較して、当該部分用に利用可能な最良の焦点メトリックを有する画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって、保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、当該部分用に決定された非補正最良焦点Z高さに十分に近いか最も近い、画像スタックの画像に含まれる画像部分を選択することによって、保証してもよい。これらの代替実施形態は、以下でより詳細に説明する。いずれの場合も、前述の方法のいずれもが、関心領域またはサブ領域に基づいた角度内容特徴を、当該関心領域用の最良焦点非補正Z高さに十分に近いZ高さに対応する画像から提供し、この角度内容特徴が、本発明に従って、様々な実施形態または用途において十分に正確なZ高さ補正値を提供できるようにすることが理解されよう。様々な実施形態において、前述の動作は、それぞれの関心領域またはサブ領域に対応する十分に合焦された画像を識別する近ピーク(near−peak)動作制御要素(例えば、回路またはルーチン)に関連してもよい。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素はまた、対応する傾き角度依存性および/またはZ高さ補正値を決定することに関連してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素はまた、ある条件メモリ管理動作に関連してもよい。「近ピーク」データおよび/または動作に基づいた条件メモリ管理動作は、大領域マルチポイントオートフォーカスツール、ならびに/または大きなメガピクセルカメラ画像、ならびに/または大きなオートフォーカスおよび/もしくは高さ変動走査範囲、ならびに/または多数の高解像度(例えば、ミクロンレベル)オートフォーカスおよび/もしくは高さ変動走査増分を必要とする実施形態または用途などの実施形態または用途においてメモリを節約するために特に有利であり得る。一般的に言えば、「近ピーク」データ(すなわち、焦点曲線ピークにほぼ対応する高さにおいて取得された画像からの画像データ)だけが、Z高さ補正動作に関して必要とされる。様々な実施形態において、近ピーク動作制御要素は、かかる近ピークデータを不必要なデータと区別し、不必要なデータおよび/または関連動作を除去してもよい。換言すれば、あるデータ記憶および/または処理は、そのデータが「近ピーク」データではないという条件下で、近ピークデータ制御要素によって除去するかまたは削除してもよい。様々な実施形態において、近ピークデータは、画像スタックのそれぞれの画像における特定の関心領域またはサブ領域用のそれぞれの焦点特徴または焦点メトリックに基づいて、非近ピークデータと区別してもよい。条件動作を管理する焦点特徴データの様々な使用法は、以下で説明する。しかしながら、様々な実施形態において、決定された焦点特徴またはメトリックのいくつかまたは全てはまた、対応する関心領域またはサブ領域用の「焦点曲線」を定義するデータポイントとして用いてもよいことを理解されたい。当業者には周知のように、焦点曲線は、一連のデータポイントに対応して定義してもよいが、これらの一連のデータポイントには、それぞれ、対応する周知の高さ(独立変数)において取得された画像における関心領域用に決定された焦点特徴または焦点メトリック値(従属変数)が含まれる。一般に、焦点特徴または焦点メトリックは、任意で周知のタイプの画像コントラストまたは鮮鋭度メトリック、または任意で他の適切なタイプの焦点特徴(例えば、ファジイ論理タイプの特徴など)であってもよい。次に、焦点曲線の補間されたピーク(例えば、焦点曲線データに適合する曲線のピーク)は、周知のオートフォーカスおよび/または高さ決定技術に従って決定してもよい。本明細書の他のところで説明するように、焦点曲線のかかる補間されたピークは、非補正Z高さ測定値に対応してもよいが、この非補正Z高さ測定値は、異方性誤差補正値と組み合わされて、本発明による、対応する補正Z高さを提供する。
【0033】
様々な実施形態において、本発明の一態様に従って、ある条件動作を管理する焦点特徴データの利用に関して、条件データ記憶および/または処理は、グローバル画像スタックの「現在の」画像用に分析される現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴が、「前の」画像における当該関心領域またはサブ領域用の、前に決定された焦点特徴より優れているか(例えば、焦点曲線ピークにより近いか)どうかに、基づいてもよい。いくつかの実施形態において、条件データ記憶および/または処理動作は、同様にまたは代替として、現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴が、十分に優れた焦点を示すデフォルトまたは閾値を超えるかどうか次第であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、現在の焦点特徴が、前に決定された「現行最良」焦点特徴より優れている(例えば、それが、前に決定された「現行最良」焦点メトリック値より大きな焦点メトリック値を有する)場合には、それは、当該関心領域またはサブ領域用の新しい「現行最良」焦点特徴として記憶されるか、または識別される。いくつかの実施形態において、グローバル画像スタック全体が、関心領域またはサブ領域用に分析された後で、最終的な現行最良焦点メトリックを用いて、(対応する関心領域またはサブ領域用の)画像スタックにおける最良焦点画像を識別してもよく、次に、これを用いて、対応するZ高さ補正値を決定するために用いられる、対応する傾き角度依存性を決定してもよい。他の実施形態において、新しい「現行最良」焦点特徴が、スタックの特定の画像における特定の領域またはサブ領域に対応して決定された場合には、この条件によって、Z高さ補正用の潜在的な将来の使用のために、当該特定の画像の対応する部分の記憶をトリガしてもよい。かかる実施形態において、記憶された新しい「現行最良」データは、前に記憶された同様の現行最良データと取って代わってもよく、次に、前に記憶された同様の現行最良データは、メモリを節約するために削除してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、新しい「現行最良」焦点特徴が、特定の画像における特定の領域またはサブ領域に対応して決定された場合には、この条件によって、同様にまたは代替として、当該特定の画像の当該部分に対応する角度内容特徴および/または結果としてのZ高さ補正値の決定および記憶をトリガしてもよい。いくつかの実施形態において、新しい現行最良焦点特徴に対応する角度内容特徴またはZ高さ補正値が記憶されると、記憶されたデータは、前に記憶された同様の現行最良データに取って代わってもよく、次に、前に記憶された現行最良データは、メモリを節約するために削除してもよい。上記で概説したように、現行最良角度内容特徴が記憶されるか、または識別された場合には、様々な異なる実施形態において、これは、対応する「現行最良」画像データの記憶または識別に関して前に上記で概説した動作の1つまたは複数を補足するか、それに取って代わるか、または入れ替わってもよいことが理解されよう。すなわち、本発明に従って、対応する異方性誤差補正値を提供するために、現行最良傾き角度依存性で十分であるので、対応する根本的な画像データは、処理中の任意の有利なときにメモリから削除してもよい。同様に、新しい「現行最良」異方性誤差補正値が記憶されると、それは、前に記憶された傾き角度依存性および/または前に記憶された異方性誤差補正値と入れ替わるかまたは取って代わってもよく、次に、これらの前に記憶されたものは、メモリを節約するために、処理中の任意の有利なときに削除してもよい。いくつかの実施形態において、画像スタック全体が、関心領域またはサブ領域用に分析された後で、結果としての「現行最良」異方性誤差補正値は、当該関心領域またはサブ領域用の対応する補正Z高さを決定する際に用いるために、すぐに利用可能である。
【0036】
先行技術の方法と比較して、上記で概説した条件動作方法のそれぞれにより、オートフォーカスZ高さ決定動作中に画像が取得および処理されるので、メモリおよび記憶装置要求が著しく低減され得ることが理解されよう。すなわち、画像データ(例えば、画像スタックの様々な画像における領域またはサブ領域データ)は、取得され、かつ画像スタック全体が完全に分析されるまで保持されるのではなく、最も早い有利なときに(例えば、順次的に、分析中に)除去するか、または削除してもよい。特定の例示的な一実施形態において、非重複関心領域またはサブ領域に対して、同時に記憶される情報の合計量は、単一画像のサイズを超えないほど小さくてもよい。さらに、上記で概説した条件動作方法はまた、特に、多数の測定サブ領域を備えたマルチポイントオートフォーカスツールにおいてZ高さ用の異方性誤差補正値を提供する場合には、Z高さ決定動作用の処理時間を著しく低減し、スループットを向上させ得る。さらに、ある実施形態における方法は、ある既存製品における現在のオートフォーカスツールとうまく統合される。
【0037】
様々な実施形態において、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するためのルーチンが提供される。ルーチンは、選択された関心領域またはサブ領域ROI(k)セット(k=1〜P)を定義することから開始し、このセットに対してZ高さが決定されることになる。上記のように、関心領域ROI(k)には、全体的なまたは主要な関心領域(例えば、マルチ領域オートフォーカスツールの場合)を含んでもよく、または第2のもしくはサブの関心領域(例えば、マルチポイントオートフォーカスツールの場合)を含んでもよいことが理解されよう。次に、関心領域ROI(k)セットを含み、かつ決定されることになるZ高さにわたる画像(i)(i=1〜N)の画像スタックセットが定義され、次に、画像スタックセットが取得される。焦点メトリック(k、i)が、画像(i)における関心領域またはサブ領域ROI(k)用に決定される。一実施形態において、焦点メトリックには、画像(i)における関心領域ROI(k)用の鮮鋭度測定を含んでもよい。最良焦点非補正Z高さが関心領域ROI(k)用に決定され、角度内容特徴が、関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに近いZ高さに対応する画像の関心領域ROI(k)用に決定される。一実施形態において、角度内容特徴は、勾配(エッジ)角度ヒストグラムに基づいて決定してもよい。Z高さ補正値は、関心領域ROI(k)用の角度内容特徴に基づいて、関心領域ROI(k)用に決定され、補正Z高さは、関心領域ROI(k)用のZ高さ補正値および最良焦点非補正Z高さに基づいて、関心領域ROI(k)用に決定される。ルーチンにはまた、前に概説し、かつ以下でより詳細に説明するデータ分析および/または記憶方法の1つまたは複数を含んでもよい。
【0038】
本発明の前述の態様および付随する利点の多くは、それらが、添付の図面と共に読まれたとき、以下の詳細な説明に関連してよりよく理解されるようになるにつれて、より容易に認識されるようになろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図面の簡単な説明
【図1】汎用マシンビジョン検査システムの様々な典型的構成要素を示す図である。
【図2】マシンビジョン検査システムの制御システム部およびビジョン構成要素部の図である。
【図3A】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図3B】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図3C】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図3D】方向性ストライプ、方向性テクスチャおよび等方性テクスチャパターンを備えた平坦表面の図である。
【図4】測定値に関するZの変動を、図3A−3Dの表面における向きに応じて示すグラフである。
【図5】本発明に従って形成された例示的な一構成基準器を示す図である。
【図6】図5の構成基準器を用いて決定された非点収差誤差校正データの例示的な一群のグラフである。
【図7】レンズ視野内の異なる箇所、および[0,180°]の範囲で回転する方向性パターン用の異なる箇所で発生し得る、異なる異方性誤差校正データ結果を示す図である。
【図8A】図7の図の視野における個別の校正箇所間の箇所用に、誤差補正値を決定するために用い得る例示的な補間技術を示す図である。
【図8B】図7の図の視野における個別の校正箇所間の箇所用に、誤差補正値を決定するために用い得る例示的な補間技術を示す図である。
【図8C】図7の図の視野における個別の校正箇所間の箇所用に、誤差補正値を決定するために用い得る例示的な補間技術を示す図である。
【図9A】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図9B】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図9C】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図9D】1つの例示的で均一なストライプ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図10A】1つの例示的で不均一なテクスチャ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図10B】1つの例示的で不均一なテクスチャ表面用のヒストグラム結果を示す図である。
【図11A】ストライプ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図11B】ストライプ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図12A】テクスチャ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図12B】テクスチャ表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図13A】異常な向きのスクラッチを含む、粗いテクスチャの方向性表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図13B】異常な向きのスクラッチを含む、粗いテクスチャの方向性表面用の非補正および補正測定結果を示す図である。
【図14】本発明に従って補正Z高さ測定値を生成するためのランタイム動作用の例示的な一ルーチンを示す流れ図である。
【図15】図14の角度特徴決定およびルックアップテーブル再構成動作を実行するための例示的な一ルーチンを示す流れ図である。
【図16】図2と同様であり、かつオートフォーカスツール部、オートフォーカスツールセットおよび近ピーク動作制御要素を含むマシンビジョン検査システムの制御システム部およびビジョン構成要素部の図である。
【図17】本発明に従って、測定すべき関心領域セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための一般的で例示的な一ルーチンを示す流れ図である。
【図18A】図17のルーチンに類似した例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。
【図18B】図17のルーチンに類似した例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。
【図18C】図17のルーチンに類似した例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、本発明による1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。マシンビジョン検査システム10には、制御コンピュータシステム14とデータおよび制御信号を交換するために動作可能に接続されたビジョン測定マシン12が含まれる。制御するコンピュータシステム14は、さらに、モニタ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24およびマウス26とデータおよび制御信号を交換するために動作可能に接続される。モニタまたはディスプレイ16は、マシンビジョン検査システム10の動作を制御および/またはプログラミングするのに適したユーザインタフェースを表示してもよい。
【0041】
ビジョン測定マシン12には、移動可能なワークピースステージ32と、ズームレンズまたは交換レンズを含み得る光学撮像系34と、が含まれる。ズームレンズまたは交換レンズは、一般に、光学撮像系34によって提供される画像用に様々な倍率を提供する。マシンビジョン検査システム10は、一般に、上記のビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよびQVPAK(登録商標)ソフトウェア、ならびに同様の従来技術で市販の精密マシンビジョン検査システムに匹敵する。マシンビジョン検査システム10はまた、米国特許出願第10/978,227号に説明されており、この特許出願は、参照により本明細書に援用されている。
【0042】
図2は、本発明によるマシンビジョン検査システム100の制御システム部120およびビジョン構成要素部200の図である。以下でより詳細に説明するように、制御システム部120を用いて、ビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200には、光学アセンブリ部205、光源220、230および240、ならびに中央透明部212を有するワークピースステージ210が含まれる。ワークピースステージ210は、ワークピース20を配置可能なステージ表面と略平行な平面に位置するXおよびY軸に沿って制御可能に移動できる。光学アセンブリ部205には、カメラシステム260および交換可能な対物レンズ250が含まれ、かつタレットレンズアセンブリ280および同軸光源230を含んでもよい。タレットレンズアセンブリの代替として、固定または手動で交換可能な倍率変更レンズまたはズームレンズ構成等を含んでもよい。以下でさらに説明するように、光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることによって、XおよびY軸に略垂直なZ軸に沿って制御可能に移動できる。
【0043】
マシンビジョン検査システム100を用いて撮像されることになるワークピース20が、ワークピースステージ210上に配置される。光源220、230および240の1つまたは複数が、ワークピース20を照明するために使用可能な光源光222、232または242をそれぞれ放射する。光源220、230および/または240によって放射された光は、ワークピース20を照明し、ワークピース光255として反射または透過されるが、このワークピース光255は、交換可能な対物レンズ250およびタレットレンズアセンブリ280を通過し、カメラシステム260によって集光される。ワークピース20の画像は、カメラシステム260によって捕捉されるが、信号線262で制御システム部120に出力される。
【0044】
ワークピース20を照明するために用いられる光源220、230および240には、ステージライト220、同軸ライト230、およびリングライトまたはプログラム可能リングライトなどの表面ライト240を含むことができ、全ては、信号線またはバス221、231および241を介して、制御システム部120にそれぞれ接続される。マシンビジョン検査システム100の主要な光学アセンブリとして、光学アセンブリ部205には、前述の構成要素に加えて、同軸照明を提供するために必要になり得るような、開口部、ビームスプリッタなどの他のレンズおよび他の光学要素、または他の望ましいマシンビジョン検査システム機構を含んでもよい。タレットレンズアセンブリ280がマシンビジョン検査システム100の第2の光学アセンブリとして含まれる場合には、タレットレンズアセンブリ280には、少なくとも第1のタレットレンズ位置およびレンズ286、ならびに第2のタレットレンズ位置およびレンズ288が含まれる。制御システム部120は、信号線またはバス281を介して、少なくとも第1および第2のタレットレンズ位置間で、軸284に沿ってタレットレンズアセンブリ280の回転を制御する。
【0045】
ワークピースステージ210と光学アセンブリ部205との間の距離を調整して、カメラシステム260によって捕捉されるワークピース20の画像における焦点を変更することができる。特に、様々な例示的な実施形態において、光学アセンブリ部205は、ワークピースステージ210に対して垂直Z軸方向に移動可能であるが、この移動は、Z軸に沿って光学アセンブリ部205を移動させるアクチュエータ、接続ケーブル等を駆動する制御可能モータ294を用いて行われる。用語Z軸は、本明細書で用いられるように、光学アセンブリ部205によって取得される画像を合焦させるために用いられるように意図された軸を指す。制御可能モータ294は、用いられる場合には、信号線296を介して入力/出力インタフェース130に接続される。
【0046】
図2に示すように、様々な例示的な実施形態において、制御システム部120には、コントローラ125、入力/出力インタフェース130、メモリ140、パートプログラム生成器および実行器170、CADファイル特徴抽出器180、ならびに電源部190が含まれる。これらの構成要素、ならびに以下で説明する追加的な構成要素のそれぞれは、1つもしくは複数のデータ/制御バスおよび/またはアプリケーションプログラミングインタフェースによってか、または様々な要素間の直接接続によって、相互接続してもよいことが理解されよう。
【0047】
入力/出力インタフェース130には、撮像制御インタフェース131、動作制御インタフェース132、照明制御インタフェース133、およびレンズ制御インタフェース134が含まれる。動作制御インタフェース132には、位置制御要素132A、および速度/加速制御要素132Bが含まれる。しかしながら、様々な例示的な実施形態において、かかる要素を一体化するか、かつ/または区別できないようにしてもよいことを理解されたい。照明制御インタフェース133には、照明制御要素が含まれるが、これらの照明制御要素は、例えば、光源220、230および240など、マシンビジョン検査システム100の様々な対応する光源に対して、選択、光量、オンオフスイッチ、および適用可能の場合、ストローブパルスタイミングを制御する。
【0048】
メモリ140には、画像ファイルメモリ部141、1つまたは複数のパートプログラム等を含み得るパートプログラムメモリ部142、およびビデオツール部143が含まれる。ビデオツール部143には、対応するツールのそれぞれに対してGUI、画像処理動作などを決定するツール部143a−143mが含まれる。本発明の様々な例示的な実施形態において、ビデオツール部143にはまた、オートフォーカスツール145、オートフォーカス補正部148、ルックアップテーブル生成器148A、ルックアップテーブルメモリ部148B、補間部148C、および方向−強度決定部148Dが含まれる。以下でより詳細に説明するように、オートフォーカス補正部148は、非点収差誤差が存在する場合に、それらを補正することを含めて、オートフォーカスツール145の動作中に結果として生じるZ高さ測定誤差を補正可能である。
【0049】
ルックアップテーブル生成器148Aは、各特定のレンズおよび/または特定の倍率用に誤差補正校正データ(例えば、誤差補正校正データのルックアップテーブルまたは任意の他の代替の形態もしくは構成)を準備してもよい。一実施形態において、レンズ用の校正データには、レンズ/カメラ視野における複数のスポットに対する、方向性パターンの向きにおける0〜180°の範囲にわたる非点収差誤差用の補正を含む垂直(Z)補正値セットが含まれる。一実施形態において、校正データには、視野における複数のスポットに対する、静的光学誤差用の補正値セットおよび非点収差誤差用の補正値セットを含む垂直(Z)補正値を含んでもよい。別の実施形態において、校正データには、視野における多数のスポットに対する、異方性誤差用の補正値セットを含む垂直(Z)補正値を含んでもよい。ルックアップテーブルは、ルックアップテーブルメモリ部148Bに記憶される。誤差校正データは、「ルックアップテーブル」の形態で決定および記憶されるように、本明細書で一般的に説明されているが、かかる実施形態が、例示に過ぎず、限定的ではないことを理解されたい。より一般的には、「ルックアップテーブル」を生成または記憶するものとして本明細書で説明される任意の要素または方法は、より一般的な要素または方法、すなわち、本発明の原理に従ってZ高さ測定値を補正するために使用可能な誤差校正データの、任意の他の現在周知かまたは将来開発される形態または構成を生成または記憶可能な、より一般的な要素または方法の典型として理解されたい。
【0050】
補間部148Cは、現在の焦点関心領域、例えばオートフォーカスツール関心領域に対応する視野の位置に対する、ルックアップテーブルデータの補間、外挿または他の推定もしくは再構成のために用いられる。一般に、再構成は、ルックアップテーブルメモリ部148Bに記憶されたルックアップテーブルなどの誤差校正値の補間(例えば、双一次、双二次、双三次など)によって実行される。方向−強度(方向および強度)決定部148Dは、焦点関心領域における内容の方向(名目上の向き)および/または強度(例えば勾配の大きさ)の適切な測定を決定するために用いられる。一実施形態において、方向−強度決定部148Dは、現在の焦点関心領域に存在する勾配(エッジ)方向のヒストグラムを決定するが、このヒストグラムは、以下でより詳細に説明するように、適切な補正値を計算してZ高さ測定値に適用するために、再構成(補間)された誤差校正データと共に用いてもよい。
【0051】
ビデオツール部143には、さらに関心領域生成器143xが含まれるが、この関心領域生成器143xは、ビデオツール部143に含まれる様々なビデオツールにおいて操作可能な様々な関心領域を定義する自動、半自動、および/または手動動作を支援する。一般に、メモリ部140は、ビジョンシステム構成要素部200を操作してワークピース20の画像を捕捉または取得するために使用可能なデータを記憶して、ワークピース20の取得画像が所望の画像特徴を有するようにする。メモリ部140は、さらに、マシンビジョン検査システム100を操作して、取得画像に対する様々な検査および測定動作を手動または自動実行し、かつ入力/出力インタフェース130を介して結果を出力するために使用可能なデータを記憶する。
【0052】
ステージライト220、同軸ライト230および表面ライト240の信号線またはバス221、231および241は、それぞれ全て入力/出力インタフェース130に接続される。カメラシステム260からの信号線262、および制御可能モータ294からの信号線296は、入力/出力インタフェース130に接続される。画像データを伝達することに加えて、信号線262は、画像取得を開始するコントローラ125からの信号を伝達してもよい。
【0053】
1つまたは複数の表示装置136および1つまたは複数の入力装置138もまた、入力/出力インタフェース130に接続することができる。表示装置136および入力装置138は、パートプログラムを見るか、作成および/もしくは修正するために、カメラシステム260によって捕捉された画像を見るために、ならびに/またはビジョンシステム構成要素部200を直接制御するために用いることができる。所定のパートプログラムを有する完全に自動化されたシステムでは、表示装置136および/または入力装置138は、省略してもよい。
【0054】
CADファイル特徴抽出器180に関して、ワークピースを表すCADファイルなどの情報は、マシンビジョン検査システムの工業用アプリケーションにおいて利用可能であることが多い。CADファイル表現におけるエッジ、境界および/またはワークピース特徴パターンの位置は、手動、半自動方式、または完全に自動で決定してもよく、かかる情報は、ワークピースパートプログラミングまたは所望のワークピース特徴へのナビゲーションに役立ち得る。
【0055】
様々な例示的な実施形態において、ユーザが、マシンビジョン検査システム100を用いてワークピース20用のワークピース画像取得プログラムを作成する場合には、ユーザは、パートプログラミング言語を用いて、自動、半自動もしくは手動で命令を明示的に符号化することによってか、またはパートプログラム命令がティーチングシーケンスを取り込むように、画像取得ティーチングシーケンスを介してマシンビジョン検査システム100を動かすことにより命令を生成することによって、パートプログラム命令を生成する。このプロセスは、捕捉すべき画像セットにおける複数の画像に対して繰り返される。これらの命令は、実行された場合には、マシンビジョン検査システムに、ある速度でワークピースステージ210および/またはカメラシステム260を操作させて、ワークピース20の特定の部分が、カメラシステム260の視野内にあり、かつ取得すべき画像セットのそれぞれに対して所望の焦点状態であるようにする。カメラおよびワークピースの相対的動きを制御するプログラム命令に加えて、ワークピース画像取得プログラムはまた、各画像取得中にワークピース20の望ましい照明を提供するために、1つまたは複数の光源220−240を作動させるプログラム命令を含む必要がある。
【0056】
本発明の様々な例示的な実施形態において、ワークピース画像取得命令セットが定義されると、制御システム120は、命令を実行し、カメラシステム260に、命令に従ってワークピース20の1つまたは複数の画像を捕捉するように命じる。次に、制御システム120は、コントローラ125の制御下で、捕捉画像を入力/出力インタフェース130を介して入力し、捕捉画像をメモリ140に記憶する。コントローラ125はまた、捕捉画像を表示装置136に表示してもよい。
【0057】
制御システム部120は、さらに、捕捉および記憶されたワークピース検査画像を呼び出して、かかるワークピース検査画像におけるワークピース特徴を検査および分析し、かつ検査結果を記憶および/または出力するように使用可能である。これらの方法は、オートフォーカスツール145、エッジ/境界検出ツール、寸法測定ツール、座標マッチングツールなど、メモリ140のビデオツール部143に含まれる様々なビデオツールにおいて典型的に具体化される。これらのツールのいくつかは、ビジョンシステムのQUICK VISION(登録商標)シリーズおよび関連するQVPAK(登録商標)ソフトウェアなどの様々な市販のマシンビジョン検査システムにおいてごく普通に用いられている。
【0058】
これらのビデオツールの1つまたは複数を用いた画像検査/分析動作が完了した後で、制御システム120は、ビデオディスプレイ、プリンタなどの様々な表示装置136に出力するために、各分析/検査動作の結果を入力/出力インタフェースに出力する。制御システム120はまた、各検査動作の結果をメモリ140に記憶してもよい。
【0059】
図3A−3Dは、本発明に従ってZ高さを測定および補正可能な例示的な表面の図である。図3Aおよび3Bは、0°および90°の値をそれぞれ割り当てられた向きにおける方向性パターンを含む「理想的な」ストライプ表面300Aおよび300Bの図である。この向きの指示が任意であること、および他の向きの取り決めが、それが校正および後の誤差補正中に一貫して適用されるならば、使用可能であることが理解されよう。図3Cは、異方性テクスチャ表面300C(著しい方向性を示す表面)の図であり、一方で図3Dは、等方性テクスチャ表面300D(著しい方向性を示さない表面)の図である。図3A−3Dの表面の測定結果は、図4に関連して以下でより詳細に説明する。
【0060】
図3Aおよび3Bの理想的なストライプ表面は、本発明が対処するように意図されている基本的な測定問題を生じる方向性パターンを示す。より具体的には、多くの実際のマシンビジョンシステムにとって、コントラストメトリックなどに基づいて実行される高さ測定(Z位置)が、明白な向きを示すテクスチャまたはラインを提示する対象を測定する場合に、著しく変動することが実験的に判定された。従来のオートフォーカスツールは、典型的にはかかるコントラストメトリックを用いて、それらの最良焦点位置および関連するZ高さ測定値を決定する。したがって、本明細書に開示するように、かかるツールを用いて決定されるZ高さ測定値は、たとえ対象表面の真のZ高さが変化していない場合でさえ、図3Bの90°の向きと比較したときに、図3Aの0°の向きなど、方向性パターンを含む対象が異なるパターンに配置された場合には、著しく変動し得る。かかる望ましくない測定変動は、図4に関連して以下でより詳細に説明する。
【0061】
図4は、図3A−3Dの表面に対するZ高さ測定結果の変動を示すグラフ400である。3つのグラフ線410、412および414は、視野における同じ箇所で全て取られた生データに基づいている。生データは、ポイント(ゼロ度ポイントと名目上重複している180度ポイントより小さい)の各セットの平均値をグラフ400におけるゼロ値に対して割り当てることによって正規化された。以下でさらに説明する理由で、これは、グラフ線410、412および414が、事実上、生データのZ測定値のそれぞれに存在する非点収差誤差成分をほぼ反映することを意味する。グラフ線410は、様々な向き(回転角)において、図3Aおよび3Bの理想的なストライプ表面パターン用のZ高さ測定変動を示し、一方でグラフ線412は、様々な向き(回転角)において、図3Cのテクスチャ表面用のZ高さ測定変動を示し、グラフ線414は、様々な向き(回転角)において、図3Dの等方性表面用のZ高さ測定変動を示す。
【0062】
グラフ線410、412および414の変動する高さ測定値は、従来のオートフォーカスツールで取得される。測定値は、各表面パターンの名目上の向きが180°にわたって回転されるにつれて、視野における一貫した関心領域箇所で取得される。グラフ線410、412および414は、異方性表面パターンが180°を通して回転されるときに、非点収差誤差が、異方性表面パターン用の変動するZ高さ測定値(グラフ線410および412)をもたらすこと、および非点収差誤差が、等方性表面パターン用のZ高さ測定値(グラフ線414)にそれほど影響しないことを示す。図4に示すように、理想的なストライプおよびテクスチャ表面に対応するグラフ線410および412のZ高さ測定値は、それぞれ、向きに応じて著しいZ値変動を示し、「より強い」方向性パターン(理想的なストライプパターン−グラフ線410)は、「より弱い」方向性パターン(方向性テクスチャパターン−グラフ線412)より大きな非点収差誤差を示す。より具体的には、約0.26ミクロンの小さなZ高さ変動を示す、等方性表面用のグラフ線414と比較して、グラフ線410は、約5ミクロンのZ高さ変動を示し、一方でグラフ線412用のZ高さ変動は、約3.7ミクロンである。
【0063】
本発明は、非点収差誤差を補正するための方法を提供する。好ましい実施形態において、本方法はまた、もしあれば静的光学誤差を補正する。図5および6に関連して以下でより詳細に説明するように、誤差校正データ(例えばルックアップテーブル)が、各特定のレンズ組み合わせおよび/または特定の倍率のために準備される。一実施形態において、校正データには、レンズの視野における複数のスポットに対して、方向性パターンにおける向きの0〜180°範囲にわたる非点収差誤差用の補正値を含むZ高さ測定補正値セットを含んでもよい。校正データにはまた、レンズの視野における複数のスポットに対して、静的光学誤差用のZ高さ測定補正値を含んでもよい。好ましい実施形態において、校正データには、レンズの視野における複数のスポットに対して、方向性パターンにおける向きの0〜180°範囲にわたる異方性誤差用の補正値を含むZ高さ測定補正値セットを含んでもよい。次に、図7−10に関連して以下でより詳細に説明するように、オートフォーカスZ高さ測定中に、Z補正値が計算され適用される。Z補正値は、視野における現在の箇所に対応する校正ルックアップテーブルから再構成される、補間された校正データに従って決定してもよい。Z補正値には、現在のオートフォーカスツール関心領域に存在する勾配方向のヒストグラム(方向性表面特徴の傾き角度依存性を表わす)に基づいて、異方性誤差補正値または非点収差誤差補正値の大きさの調整、重み付けまたは選択を含んでもよい。
【0064】
図5は、本発明に従って形成されかつ使用可能である構成基準器500を概略的に示す図である。構成基準器500には、対象要素群500Aおよび500Bを含む平坦基板520を含んでもよい。以下でさらに説明するように、対象要素群500Aには、非点収差誤差校正データを生成するために用いられる異方性対象要素の6×4グリッドが含まれる。より具体的には、対象要素群500Aには、列512−517および行522−525に配置された矩形対象要素の6×4グリッドが含まれる。
【0065】
一実施形態において、矩形異方性対象要素のそれぞれには、特定の角度に向けられたストライプ表面パターン(例えば、図3Aおよび3Bに示すパターンと同様のパターン)を含んでもよい。例えば、列512および行522における「0°」矩形対象要素には、水平に向けられたストライプを含んでもよく、一方で列512および行524における90°矩形対象には、垂直に向けられたストライプを含んでもよい。他の矩形対象要素のそれぞれには、図5に示すそれぞれの角度に向けられた同一のストライプパターンが含まれる。これらは、一緒に、7.5度の別個のステップで配向角度の0°〜180°範囲におよぶ。180°方向が0°方向と等しいので、追加的な180°対象要素は、この実施形態には含まれない。様々な他の実施形態において、ステップサイズは、異方性もしくは非点収差誤差校正データまたはルックアップテーブルの所望の分解能に依存して変化することができる。図5において、分解能は7.5°である。矩形対象要素の全てには、図示の度数にそれぞれ向けられたストライプ表面パターン(図示せず)が含まれることが理解されよう。したがって、たとえ列514および行522における15°矩形対象要素が、数「15°」を有するように示されていても、実際の実施形態では、矩形対象要素が、15°に向けられたストライプ表面パターンを実際に含むことが理解されよう。他の実施形態において、異方性対象要素は、他のタイプの方向性パターン、例えば、検査ワークピース上でしばしば見られるパターンに一致するように選択されたテクスチャパターン、線テクスチャパターン、または異方性パターンを有してもよい。
【0066】
上記の異方性構成基準器は、汎用非点収差誤差構成基準器である。別のタイプの異方性構成基準器が、本明細書で一般的に仮定されている「表面オートフォーカス」とは対照的に、別の状況で、「エッジ焦点」タイプのオートフォーカス動作に存在し得る誤差を校正するために特に有用になり得る。エッジ焦点動作により、例えば、表面オートフォーカス動作に典型的に用いられる、より一般的なエリアベースのコントラスト測定ではなく、エッジを横断する輝度勾配を最大限にするZ高さを発見することができる。エッジ焦点非点収差誤差の補正を重要視する実施形態において、単一ストレートエッジ(明ゾーンと暗ゾーンとの間の境界)は、異方性対象要素として用いてもよい。かかる対象要素が非対称なので、校正用に用いられる配向角度の範囲は、前述の0〜180°範囲ではなく、0°〜360°が好ましい。
【0067】
対象要素群500Aにはまた、35の等方性対象要素510のセットが含まれる。以下でより詳細に説明するように、各それぞれの等方性対象要素510は、それらのそれぞれの箇所において、「等方性測定値」とも呼ばれる「等方性測定Z高さ」を見つけるために用いてもよい。等方性対象要素の中心を、この要素の箇所用の基準点として用いることが好都合であり得る。必要に応じて、隣接する異方性対象要素測定値に含まれる非点収差誤差成分は、以下で説明するように、適合する補間された等方性測定値を減算することによって分離し、非点収差誤差校正データを提供することができる。
【0068】
動作において、等方性パターン、例えば等方性対象要素510を測定する場合には、非点収差誤差が最小限にされるかまたは存在しないので、これらのパターンに対してオートフォーカス測定を実行することによって、名目上は非点収差誤差がない等方性測定値が提供される。構成基準器500における様々な箇所用の真のおよび/または基準Z高さ値を決定するための例示的な一動作セットにおいて、視野内の同じオートフォーカス関心領域位置(例えば視野の中心)が、等方性パターン510のそれぞれを測定するために用いられる場合には、静的光学誤差成分は、全てのかかる測定値に対して名目上同じである。したがって、この手順によって、各箇所が同じ「共通モード」静的光学誤差だけを含む、構成基準器500における等方性パターン510の箇所において、生のZ高さ測定値が提供される。したがって、かかるZ高さ測定値間の差は、名目上、構成基準器基板表面の様々な部分における真のZ高さの差のみによる。したがって、視野における同じポイントで取られた、かかる等方性Z高さ測定値の一セットは、構成基準器の位置、傾斜および/または歪みを反映する、構成基準器全体を通した真のZ高さ値のセットとして用いてもよい。
【0069】
一実施形態において、等方性対象は、構成基準器500から省略してもよく、異なるタイプの等方性測定値が、配向角度の範囲にわたって取られた異方性測定値セットを平均し、平均化により非点収差誤差成分が事実上除去されたZ高さ測定平均値を提供することによって、視野における任意の所定の(一定の)箇所用に提供し得る。次に、このタイプの等方性測定値は、上記のタイプの等方性測定値と同じように用いてもよい。
【0070】
いずれの場合も、各等方性測定値のX−Y位置が、正確に知られ得るので、追加的な真のZ高さ値は、実際の測定箇所間で推定してもよい。双一次補間が用いられる場合には、推定される真のZ高さ値は、構成基準器のいずれかのグローバルおよび/またはローカルな傾斜を反映し得る。より高次、例えば双二次、または他のより複雑な補間スキームが用いられる場合には、構成基準器の湾曲歪みは、より正確に反映可能である。
【0071】
基準または「ゼロ」Z平面は、他の全てのZ測定値が、この平面を基準に測定されるならば、いくらか任意に選択してもよいことが理解されよう。したがって、上記で概説したように、視野における同じポイントで決定された真のZ高さ値の任意の一セットは、構成基準器の位置、傾斜および/または歪みを反映する、構成基準器全体を通した基準Z高さ値として用いてもよい。構成基準器用の基準Z高さ値を提供する、視野におけるポイントとして、視野の中心を用いることは好都合であり得る。基準Z高さ値は、それらに非点収差誤差および静的光学誤差の両方がないかのように扱ってもよいことを理解されたい。
【0072】
本発明による一実施形態において、異方性誤差校正データは、視野の全体を通した様々な箇所で決定してもよい。このプロセスの例示的な一実施形態の説明は、本明細書では、視野の一箇所における一配向角度に対して、単一の異方性誤差校正値を決定するための例示的な動作セットから始まる。
【0073】
単一の異方性誤差校正値を決定するために、上記の異方性対象要素の最初の1つは、そのそれぞれの配向角度において、その異方性パターンで視野を満たすように位置決めしてもよい。次に、焦点関心領域の中心が、視野における所望の箇所に位置決めされる(これは、関心領域の中心が、その箇所用の基準点として用いられると仮定する)。次に、異方性測定値が、視野の当該箇所において、例えば焦点関心領域を用いてオートフォーカシングによって取得される。視野の当該箇所におけるそれぞれの配向角度の異方性測定値と、視野の当該同じ箇所における基準Z高さ値との間の差は、視野の当該箇所における当該それぞれの配向角度に関連すべき異方性誤差校正値を提供し得る。
【0074】
上記の異方性誤差校正ステップは、視野における当該同じ箇所で、各それぞれの異方性対象に対してそのそれぞれの配向角度において繰り返し、視野における当該箇所に対応する異方性誤差校正データの完全なセットを提供してもよい。視野における単一の箇所に対して収集された、かかる異方性校正データセットの特徴は、以下で図6の説明に基づいて、よりよく理解し得る。
【0075】
次に、上記の異方性誤差校正動作の全セットを、視野の全体を通していくつかの所望の箇所で繰り返し、これらの所望の箇所のそれぞれに対応する異方性誤差校正データの完全なセットを提供してもよい。次に、それぞれの配向角度のいずれかに対応する異方性誤差校正値またはデータは、上記で示すかまたは以下でさらに説明する補間技術に類似した様々な補間技術を用いることによって、視野における他の非測定箇所において推定してもよい。一般に、同じ配向角度に対応するが、しかし視野の異なる箇所における異方性誤差値によって表わされる異方性誤差「形状」は、構成基準器表面の形状より複雑になり得る。したがって、より高次タイプの補間が、より優れた精度を提供し得る。視野のそれぞれの箇所における異方性誤差校正データのそれぞれのセットの一例は、図7に関連して以下で説明する。
【0076】
必要に応じて、静的光学誤差を決定してもよい。視野における所望の箇所に関連する静的光学誤差を決定するための例示的な一動作セットにおいて、それぞれの周知の基準Z高さ値を有するそれぞれの等方性対象要素を、視野における所望の箇所に位置決めしてもよい。次に、焦点関心領域が、視野における当該箇所に設定され、新しい等方性測定値が、視野における当該箇所で取得される。当該等方性対象要素の周知の基準Z高さと、新しく取得された等方性測定Z高さとの間の差が、視野における当該箇所に関連する静的光学誤差である。必要に応じて、このプロセスは、それぞれの周知の基準Z高さ値を有する追加的な等方性対象要素を用いて、視野における当該箇所で繰り返してもよく、結果は、視野の当該箇所における静的光学誤差用のより洗練された値を提供するために平均してもよい。いずれの場合も、結果としての静的光学誤差は、必要に応じて、視野における当該箇所に対応する静的光学誤差校正データとして記憶してもよい。
【0077】
上記の静的光学誤差校正プロセスは、視野の全体を通してそれぞれの箇所で繰り返して、視野の全体を通したそれらの箇所に対応するそれぞれの静的光学誤差校正データを提供してもよい。次に、静的光学誤差校正値またはデータは、上記で示した補間技術に類似した、しかしこの場合には静的光学誤差を補間する様々な補間技術を用いることによって、視野における他の非測定箇所用に推定してもよい。一般に、静的光学誤差「形状」は、構成基準器表面の形状より複雑になり得、その結果、より高次タイプの補間が、より優れた精度を提供し得る。
【0078】
静的光学誤差が、視野の全体を通して様々な箇所で決定される場合には、必要に応じて、非点収差誤差校正データもまた、視野の全体を通して様々な箇所で決定してもよい。視野における各所望の箇所に対応する非点収差誤差校正データの完全なセットは、次のことを除いて、異方性誤差校正データを決定するための上記の方法で決定してもよい。すなわち、各箇所における各異方性測定値から、適合する基準Z高さ値を減算する代わりに、適合する等方性測定値が、各箇所における各異方性測定値から減算されることを除いて、上記の方法で決定してもよい。視野における単一箇所用に収集された非点収差校正データセットの特徴は、以下で図6の説明に基づいて、よりよく理解することが可能である。
【0079】
様々な実施形態において、焦点関心領域の箇所および配向角度内容に対応する異方性誤差値を、当該焦点関心領域に基づいて生のZ高さ測定値から減算し、補正Z高さ測定値を提供してもよい。補正Z高さ測定値は、名目上、ワークピースの測定領域の真のZ高さ値と同じである。あるいは、焦点関心領域の箇所および配向角度内容に対応する静的光学誤差値および非点収差誤差値の両方を減算することは、焦点関心領域の箇所および配向角度内容に対応する異方性誤差値を減算することと等価であることを理解されたい。したがって、本発明による様々な実施形態において、誤差校正データは、異なる形態において、同じ結果を伴って準備および適用することが可能である。
【0080】
たとえ非点収差誤差校正データおよび静的光学誤差校正データが分離されていても、非点収差誤差補正値および静的光学誤差補正値の両方を適用して、補正Z高さ測定値を決定するのが一般に有利であることが理解されよう。しかしながら、一般に、補正値のどちらかだけを用いることによって、やはり、生のZ高さ測定値より、視野の表面特徴および/または測定箇所からより独立した、少なくとも部分的に補正されたZ高さ測定値が提供される。したがって、補正値のどちらかだけを用いることによって、やはり、様々な用途において、ある利点を提供し得る。例えば、いくつかの特に巧妙に作製された精密マシンビジョン検査システムでは、静的光学誤差は僅かである場合があり、非点収差誤差校正および補正動作を用いることが、最も単純で最も有利な選択肢になり得る。
【0081】
図5に関連して上記で概説した誤差校正動作が、例示に過ぎず、多くの変形が可能であることが理解されよう。上記で決定された様々な値は、全て、等方性および異方性測定値の様々な組み合わせに基づいている。一般に、様々な要求された等方性および異方性測定値の全てを、任意の効率的な(または非効率的な)順序で取得し、続いて処理し、所望の異方性誤差校正値、非点収差誤差校正値、または静的光学誤差校正値等を任意の機能的に等価な方法で提供してもよい。
【0082】
さらに、上記の誤差校正データには、一般に、記憶された誤差値が含まれるが、誤差校正データには、あるいは、これらの誤差値を決定するために用いられた様々な測定値を含み得る。かかる一実施形態において、異なるタイプの測定値は、1つまたは複数のルックアップテーブルに記憶され、後で処理され、必要に応じて生のZ高さ測定値を補正してもよい。別の実施形態において、異なるタイプの測定値または誤差は、異なるタイプの測定値または誤差に対応する、異なる「表面」を説明する分析的表現として記憶してもよい。例えば、基準Z高さ表面、等方性測定表面、様々な配向角度に対応するいくつかの異方性測定表面等である。前述のデータ形態の全ては、あるタイプのZ高さ誤差校正データ、すなわち焦点関心領域における異方性画像内容の配向角度の変動に関連して、焦点関心領域に基づくZ高さ測定結果の変動を特徴付けるZ高さ誤差校正データ、と見なしてもよい。いずれの場合も、Z高さ誤差は、これらの形態のデータのいずれかを適切に用いることによって、生の測定値において補正してもよい。したがって、それぞれは、記憶された誤差校正データの一形態であると見なされる。様々な実施形態において、任意の等方性および異方性測定は、所望の多くの回数、繰り返すことができ、結果は、平均されて、単一の測定値の代わりに使用可能な、より信頼できかつ/または再現可能な値を提供することができる。これらおよび他の変形は、本開示に基づいて明らかになろう。
【0083】
図5に示された対象要素群500Bには、対象要素群500Aの要素に類似した要素が、より小さな規模においてではあるが、含まれることが理解されよう。したがって、対象要素群500Bは、対象要素群500Aに対して前に説明したのと同じ方法で、しかし対象要素群500Aが典型的に用いられる倍率より高い倍率を有するレンズ装置で、便利に用いられる。
【0084】
対象要素群500Aおよび500Bにおける異方性対象要素のそれぞれは、対象が設計のときに予定した最低の倍率において、レンズにおける視野よりわずかに大きいように設計され、方向性パターンは、指定の角度に向けられている。異方性対象要素内のラインまたは特徴の密度は、対象が設計のときに予定した全ての倍率において、オートフォーカス関心領域における優れた校正を提供するように選択される。より具体的には、ラインまたは特徴は、あまり細すぎ(これは、カメラ画素のエイリアシングを引き起こし得る)ないように設計され、かつまたオートフォーカス関心領域において十分なサイクルを有して、オートフォーカス関心領域の「強い」異方性パターンを提供するように設計される。特定の一例において、対象要素群500Aは、2.5倍対物レンズを備えた1倍および2倍タレットレンズアセンブリ設定において、100×100画素のオートフォーカス関心領域(640×480画素の視野サイズを仮定する)でうまく動作するように意図されている。この例において、対象要素群500Bは、6倍タレット位置において、100×100オートフォーカス関心領域でうまく動作するように意図されることになろう(対象要素群500Bは、対象要素群500Aの3分の1の大きさである)。
【0085】
図5の対象要素群500Aおよび500Bの特徴、構成、アスペクト比が、例示に過ぎず、図示のものと異なり得ることが理解されよう。例えば、一実施形態において、一般に、異方性対象要素のそれぞれのサイズは、対象要素群が用いられるときの予定の合計レンズ倍率および/または視野に依存する。異方性対象要素のそれぞれは、意図された最大の視野よりわずかに大きくされる。この制約によって、市販のマルチポイントオートフォーカスツールまたは動作を利用することで、全視野にわたり特定の配向角度に対して迅速に異方性測定値を収集することが可能になる。
【0086】
異方性対象要素の数は、非点収差補正用に用いられるルックアップテーブルの選択された分解能に依存して、より少なくまたはより多くすることができる。構成基準器500は、7.5°の分解能を有するが、しかし分解能は、校正の所望の精度および速度に依存して、より小さくまたはより大きくすることができる。非点収差誤差曲線の滑らかな性質ゆえに、様々な実施形態において、5°、7.5°、10°または15°間隔でデータを収集する分解能を用いることで、一般に十分である。異方性対象要素の数は、一般に、180°/分解能として計算することができる。
【0087】
異方性対象要素が、規則的なラインパターンを含む一実施形態において、次のようにラインピッチを選択することが望ましい。すなわち、視野よりはるかに小さなオートフォーカス関心領域(例えば640×480画素の視野における100×100画素)が、少なくとも2〜3のフルサイクルを含むように、しかし同時に、校正結果を歪め得るので、画素ピッチのエイリアシングを防ぐためにラインが細すぎ(例えば、5画素より細くない)ないように、ラインピッチを選択することが望ましい。例示的な一実施形態において、対象要素群500Aにおいて用いられるラインピッチは、5倍の倍率で、91×91オートフォーカスエリアにおいて約3フルサイクルを提供するように選択され、2.5倍の倍率で7.5画素ライン幅である。15倍の倍率で用いられることになる対象要素群500Bのスケーリングされたバージョンは、5倍の倍率に対して対象要素群500Aによって与えられるのと同数(約3)のサイクルを、オートフォーカス関心領域において提供する。ラインパターンにおける線幅対線間の比率は、1:1にすることができるが、この比率は変わってもよい。
【0088】
等方性対象要素510にはまた、図5に示す同心円とは異なるパターンを含むことができる。一実施形態において、支配的な勾配(エッジ)方向のない(すなわち、均一な勾配方向ヒストグラムを備えた)任意のパターンを用いてもよい。等方性パターンの数は、増加または低減することができ、またはそれらは省略してもよく、前述のように、異方性測定値の平均を用いて、それらの機能を提供してもよい。
【0089】
本発明による一実施形態において、図5に示すものなどの構成基準器は、用いられない。以下の校正手順は、より労働集約的であり、より多くの設備を必要とするという欠点を有するが、適切な誤差校正データが、結果として得られる。この実施形態において、回転テーブルが、マシンビジョン検査システム視野に配置され、その回転軸が、名目上、システムのZ軸と平行に整列される。構成基準器500の異方性対象要素の1つに用いられるものなどの異方性パターンを含む平坦表面は、マシンビジョン検査システムのX−Y平面と平行にレベリングされる。異方性パターンは、その配向角度にかかわらず、視野を満たすサイズを有してもよい。視野における所望の箇所用の異方性測定値を取得するために、回転テーブルの回転軸が、当該所望の箇所に配置される。次に、図5に関連して前に説明したものなどの配向角度セットによる別個のステップで回転テーブルを回転させることによって、異方性測定値セットが、視野における当該箇所で取られる。このプロセスは、視野における各所望の箇所で繰り返されるが、回転軸は、各所望の箇所に配置される。前述のように、視野における各箇所の異方性測定値セットを平均して、非点収差誤差成分の影響が、取り消され、事実上、視野における当該箇所の等方性測定値を提供するようにしてもよい。これらの異方性および等方性測定値は、図5に関連する動作に関連して前に説明した異方性および等方性測定値と同じ方法で用いてもよい。同じ校正データの全ては、かかる測定値から導出してもよい。
【0090】
図6は、図5に関連して前に説明したように取得可能な、かつルックアップテーブルとしてかまたは他の任意の好都合な形態で記憶可能な非点収差誤差校正データ600を示す図である。より具体的には、図6には、非点収差誤差データポイントが含まれるが、これらは、視野における焦点関心領域用の特定の箇所における、ストライプ異方性対象要素の様々な配向角度に対応する。誤差校正データを取得するために用いられる箇所と同じ視野の箇所に位置する焦点関心領域を用いる場合に、非点収差誤差成分を補正または除去するために、非点収差誤差校正データを用いて、ワークピースにおけるZ高さ測定値に適用すべきZ高さ調整を決定してもよい。焦点関心領域内容が、ストライプ異方性対象要素とほぼ同じ方向性内容を有する場合には、Z高さ調整、すなわち非点収差誤差補正値は、焦点関心領域内容に対応する配向角度において、グラフから直接取ってもよい。例えば、約2.5ミクロンの最大の正の誤差補正値が、約140°の配向角度に対して示されており、一方で約2.5ミクロンの最大の負の誤差補正値が、約60°の回転に対して示されている。
【0091】
視野における焦点関心領域用の同じ特定の箇所において、同じストライプ異方性対象要素の様々な配向角度に対応する異方性誤差校正データが、誤差校正データ(曲線)が、該当箇所における静的光学誤差量だけ垂直方向にシフトされるであろうことを除いて、非点収差誤差校正データ600と同一に見えるであろうことを理解されたい。かかる異方性誤差校正データを用いて、ワークピースにおけるZ高さ測定値に適用すべきZ高さ調整を決定して、誤差校正データを取得するために用いられた箇所と同じ視野の箇所に位置する焦点関心領域を用いる場合に異方性誤差(結合された非点収差および静的光学誤差)を補正または除去するようにしてもよい。焦点関心領域内容が、ストライプ異方性対象要素とほぼ同じ方向性内容を有する場合には、Z高さ調整、すなわち異方性誤差補正値は、焦点関心領域内容に対応する配向角度用のデータから直接取ってもよい。
【0092】
図7は、視野700における9つの箇所用に収集された、図6に類似した異方性誤差校正データセットの例示的な例を示す。一実施形態において、異方性誤差校正データの9セットは、双二次補間を用いて他の箇所における異方性誤差校正値を推定するために必要な最小数である。他の実施形態において、異方性誤差校正データセットは、様々なデータセット間で予想される変動量および所望の異方性誤差補正精度に依存して、より多くまたはより少数の箇所で提供してもよい。双三次補間は、16の箇所用に収集される異方性誤差校正データセットを必要とするであろう。
【0093】
図7に示すように、視野700内の様々な箇所における異方性誤差校正データの9セットは、グラフ710−790で表す。グラフ710、730、770および790は、視野の4つのコーナーにおける異方性測定値に基づき、一方でグラフ720、740、760および780は、視野の四辺の中央における異方性測定値に基づき、グラフ750は、視野の中心における異方性測定値に基づく。図7に反映された特定の異方性測定値は、ほぼ図示のように位置する100×100(正方形)のオートフォーカスツール関心領域を用いて収集された。グラフ710−790は、異方性誤差校正結果が、視野700内のこれらの箇所でどのようになり得るかを象徴的に示すために、例示だけを目的としていることが理解されよう。図8A−8Cに関連して以下でより詳細に説明するように、矩形部795は、視野700内の追加箇所に関し、誤差校正データの隣接セット間の補間を利用して、視野の任意の箇所における非点収差および静的光学誤差に対してZ高さ測定結果を補正するための異方性誤差校正値を推定可能であることを示す。
【0094】
小さな近傍では誤差表面が、ほぼ「区分的平面」になり得るので、実装によっては、4つの最も近い視野箇所に属する異方性誤差校正データセットの双一次補間を用いることで十分である。しかしながら、いくつかの実施形態において、より優れた精度のために、9つを超えるルックアップテーブル、および異方性誤差校正データの9つの最も近いセットの双二次補間を用いることが望ましい。
【0095】
図8A−8Cは、様々な補間技術を示す図である。一実施形態において、双一次補間は、構成基準器の傾斜/反り/たるみを補償するために用いられ、ランタイムにおいて双二次補間は、視野において収集された誤差校正ルックアップテーブルに関連して用いられ、視野内における現在のオートフォーカス関心領域箇所用のルックアップテーブルを推定する。
【0096】
図8Aは、双一次補間方式の概念を示す。4つのポイントA、B、CおよびDは、視野における矩形グリッド上の測定箇所に対応する。この場合にはまた、これらの4つのポイントのラベルA、B、CおよびDは、補間すべき値を表している。この特定の例において、値は、Z高さ測定値であると仮定されるが、しかし同じ原理は、任意のタイプの値に適用してもよい。矩形グリッドの水平ピッチはWであり、垂直ピッチはVである。ピッチWおよびVは、等しくする必要がない。すなわち、グリッドは、正方形である必要がないが、しかし正方形であってもよい。図8Aにおいて疑問符を付けられたポイントZ3において補間される値(Z)を推定(回復)することが望ましい。ポイントZ3の位置は、ポイントAに関連して表現されるが、ポイントAは、一時的なローカル座標系の原点として扱われる。ポイントZ3は、ポイントAからの水平距離mおよび垂直距離nを有する。
【0097】
4つのポイントA、B、CおよびDの双一次補間プロセスは、2つのステップからなる。第1のステップは、ポイントペア(A、B)および(C、D)を用いて水平方向に補間し、2つの水平に補間されたポイントZ1およびZ2(図8Aを参照)を取得することである。第2のステップは、前のステップで計算された補間ポイント(Z1、Z2)のペアを用いて垂直方向に補間し、最終的に補間された値Z3を取得することである。あるいは、このプロセスは、垂直方向における補間からスタートし、次に、水平方向に補間することができる。結果は、どちらの補間方向が最初であると考えられるかには依存しない。
【0098】
補助係数rおよびs(図8Aを参照)(ここで、r=m/Wおよびs=n/V)が用いられる場合には、ポイントZ1およびZ2は、基本的な線形比例(加重平均)
Z1=(r−1)A+rB (式1)
Z2=(r−1)C+rD (式2)
を用いて水平方向に補間することができる。
【0099】
Z1およびZ2を計算した後で、最終的な所望の結果(Z値)は、比例(加重平均)
Z3=(1−s)Z1+sZ2 (式3)
を用いて垂直方向に補間される。
【0100】
したがって、Z3は、(グリッド内のグリッドピッチ、およびポイントZ3の箇所から導出された)係数rおよびsによって特定された矩形グリッド内の箇所における、4つの初期値(A、B、CおよびD)の双一次補間の結果である。この補間方法は、箇所/ポイントA、B、CおよびDに関連する任意のタイプの値、例えば、同じ角度方向に対応する異方性測定値、等方性測定値、基準Z高さ値、静的光学誤差値、異方性誤差値または非点収差誤差値などのために用いてもよいことが理解されよう。
【0101】
図8Bは、双二次補間方式の概念を示す。双二次補間の基本原理は、図8Aの双一次補間において用いられる原理と同様である。すなわち、補間は、最初に水平方向に実行され、次に垂直方向に実行される。ただ一つの相違は、直線を伴うポイントを補間する代わりに、補間が、放物線で行われることである。これには、より多くの補間ポイントを必要とする。すなわち、3つの箇所における値が、各方向における補間用に必要であり、結果として、4つではなく9つのポイントが、双二次補間用に用いられる。
【0102】
図8Bに示すように、9つのポイントA、B、C、D、E、F、G、HおよびKが、視野における矩形グリッド上の測定箇所に対応する。これらの9つのポイントのラベルはまた、補間すべき値を表している。この特定の例において、値は、Z高さ測定値であると仮定される。ラベルKは、単に読みやすさを改善するために、Iの代わりに用いられる。矩形グリッドの水平ピッチはWであり、垂直ピッチはVである。図8Bにおいて疑問符を付けられたポイントZ4において補間される値(Z)を計算(回復)することが望ましい。ポイントZ4の位置は、ポイントEに関連して表現されるが、ポイントEは、一時的なローカル座標系の原点として扱われる。ポイントEを基準とするポイントZ4の水平座標はmであり、ポイントEを基準とするその垂直座標はnである。座標(m,n)は、図8Bに示すポイントZ4の相対的位置および座標系(x,y)軸の方向に依存して、正または負になり得る。
【0103】
9つのポイントA、B、C、D、E、F、G、HおよびKの双二次補間のプロセスは、2つのステップからなる。第1のステップは、水平に整列されたポイントの各セット(A、B、C)(D、E、F)および(G、H、K)に対して水平方向に補間し、3つの水平方向に補間されたポイントZ1、Z2およびZ3(図8Bを参照)を取得することである。第2のステップは、前のステップで計算された、3つの補間されたポイント(Z1、Z2、Z3)を用いて垂直方向に補間し、最終的な補間された値Z4を取得することである。あるいは、このプロセスは、垂直方向に補間することからスタートし、次に、水平方向に補間することができる。
【0104】
図8BにおけるポイントZ1、Z2、Z3およびZ4を補間するために、これらのポイントを通過する放物線のパラメータが計算されるが、これは、直線補間に対するよりもわずかに複雑である。単一の放物線を3つのポイントに適合させるための式が、図8Cに関連して以下で説明され、その後、図8B用の完全な双二次補間式が提示される。
【0105】
図8Cは、ZI、ZIIおよびZIIIに等しい所与のZ(垂直座標)座標を備えた3つのポイントを通過する放物線のセグメントを示す。放物線の式は、
f(x)=ax2+bx+c(式4)
および
f(−ΔX)=ZI (式5)
f(0)=ZII (式6)
f(ΔX)=ZIII (式7)
であり、これらから、放物線のパラメータa、bおよびcは、周知の方法に従って計算することができる。結果は、
【数1】
である。
【0106】
したがって、図8Cに示す3つのポイントを通過する放物線の完全な式は、
【数2】
と書くことができる。
【0107】
式11を用いれば、任意のx箇所を備えたポイントのZ座標を推定(補間)することができる。この補間方法は、箇所/ポイントA、B、C、D、E、F、G、HおよびKに関連する任意のタイプの値のために用いてもよいことが理解されよう。
【0108】
図8Bの双二次補間に戻ると、ポイントB、EおよびHを水平放物線の中心として処理すること、式11におけるΔxを水平グリッドピッチWで置き換え、値ZI、ZIIおよびZIIIを対応する水平ポイントトリオ((A、B、C)、(D、E、F)または(G、H、K))で置き換えること、および水平放物線の中心箇所に対するx変数としてポイントZ4の水平座標mを用いることによって、以下のとおりになる。
【数3】
【0109】
双二次補間の最終ステップとして、値Z4は、垂直放物線を上記で推定(補間)された3つのポイントに適合させることによって補間することができる。この場合には、式11の値ZI、ZIIおよびZIIIは、Z1、Z2、Z3で置き換えられ、Δxは、垂直グリッドピッチVで置き換えられ、x変数は、垂直放物線の中心位置(Z2)に対するポイントZ4の垂直座標nによって置き換えられる。Z4を計算する最終式は、以下のとおりである。
【数4】
【0110】
本発明による誤差校正方法の一実施形態において、図5の構成基準器と、図5および6に関連して説明した様々な異方性および等方性測定技術ならびに誤差校正データ決定技術と、図7および8に関連して説明した補間技術の1つまたは複数とは、視野の所望の位置におけるワークピースを検査するときに取得される生のZ高さ測定値に含まれる異方性誤差または非点収差誤差成分および/もしくは静的光学誤差成分を補正するために用いられる誤差校正データを提供するために用いてもよい。次に、検査目的に用いられる値は、異方性誤差または非点収差誤差成分および/もしくは静的光学誤差成分を補正することによって取得される補正Z高さ測定値である。上記で概説した全ての誤差校正ステップは、マシンビジョン検査システムによって用いられる各対物レンズおよびパワータレット位置の組み合わせに対して繰り返してもよい(なぜなら、異方性誤差、非点収差誤差および静的光学誤差は、様々な対物レンズとパワータレット位置との間で異なるからである)。
【0111】
マシンビジョン検査システムは、一般に、例えば、前に概説した原理に従って、自動でステップを実行して異方性および等方性構成基準器測定を繰り返し、かつ全ての必要な誤差校正データ値を決定するようにプログラムしてもよい。自動動作には、1つのレンズ組み合わせおよび/または倍率に対応する全ての誤差校正データ値を決定することと、次に自動で、倍率を変更し、当該倍率用の適切なサイズの異なる対象要素群を用いて、誤差校正動作を繰り返すことと、を含んでもよい。
【0112】
図9A−9Dは、焦点関心領域に存在する理想的なストライプ表面用のエッジ(または勾配)角度ヒストグラムの形成を示す。以下でより詳細に説明するように、ヒストグラムは、Z高さ補正プロセスの一部として用いてもよい。図9Aに示すように、理想的なストライプ表面900Aは、図9Bおよび9Dに関連して以下でより詳細に説明するように、名目上の配向角度を有する。図9Bに示すように、ヒストグラムは、図9Aの表面900Aにおける様々なストライプ部分に関連する実際のエッジ角度を決定することによって形成される。様々なエッジ角度は、周知の勾配方向分析法によって決定してもよい。勾配方向は、対応するエッジ配向角度に対して単に90度回転されるだけだが、必要に応じて、ヒストグラム用の基礎として、エッジ配向角度の代わりに用いてもよい。水平軸は、所望の角度「ステップサイズ」に対応して決定してもよい。垂直軸は、各角度ステップ用の正規化された出現頻度として決定してもよい。図9Bのヒストグラム900Bは、表面のストライプ部分のエッジが比較的一定しかつ平行なので、ある僅かな逸脱を伴って、ほとんどの出現がほぼ同じ配向角度で生じることをヒストグラムが示していることを例示する。
【0113】
図9Cは、ストライプ表面900A用のヒストグラムの形成中に角度の「中間に」適用される三角形カーネルの利用を示す図900Cである。以下でより詳細に説明するように、これは、エッジ(または勾配)角度の分布をより正確に反映するヒストグラムを結果として得られることがある。図9Dは、図9Cの三角形カーネルの利用を通して形成されたより正確なヒストグラムを示す。図9Dのヒストグラムは、図9Bのビン910B(第6のビン)と比較して、図9Dのヒストグラムにおけるビン910D(第6のビン)のより高い値が、パターンの実際の名目配向角度(これは、実際には2つのヒストグラムビンの中心の「中間に」ある)をよりよく反映していることから、三角形カーネルを用いなかった図9Bのヒストグラムより正確であると考えられる。
【0114】
図10Aおよび10Bは、テクスチャ表面用のヒストグラムの形成を示す。図10Aに示すように、焦点関心領域に対応可能なテクスチャ表面1000Aは、一般に配向角度の比較的狭い範囲にわたって分布されるテクスチャ特徴を含み、かつまた比較的狭い範囲に入らない少数の特徴を含む。図10Bに示すように、テクスチャ表面1000A用のヒストグラム1000Bは、特徴配向角度の分布があることを示すが、この分布は、ヒストグラムにおける第6のビンの角度範囲でピークに達し、次に、ヒストグラムのより大きな角度値のビンに対しては、より低い正規化された頻度へと徐々に減少する。以下でより詳細に説明するように、角度配向のこの分布は、異なる方向または異方性表面用の適切な非点収差誤差補正値を決定するために、非点収差誤差補正を、焦点関心領域に含まれる特徴エッジの様々な方向に適合させることが望ましいことから、ヒストグラムの有用性の一部を示す。
【0115】
一実施形態において、図9Dおよび10Bに示すものなどのヒストグラムは、オートフォーカスツール関心領域における全ての画素に対して勾配の大きさおよび方向を計算することによって形成される。勾配の大きさは、本明細書では、勾配の絶対値に等しいと理解される。一実施形態において、計算される方向は、それらを、図6のデータなどの、ルックアップテーブルにおけるエッジ方向データと一致させるために、勾配方向に直角である。勾配の大きさが、ある(低い)ノイズ閾値より小さい画素は、画像ノイズまたは表面収差と比較して比較的「強い」エッジのみに対処することが望ましい実施形態では、考慮から除いてもよい。画像ノイズが著しい場合には、関心領域は、勾配の大きさおよび方向の計算の前に、空間的に小さな平均化フィルタで追加的に平滑化することが可能である。次に、勾配方向のヒストグラムHが、全ての残りの画素用に作成される。次に、ヒストグラムHは、その全てのビンが合計1になるように、正規化される。
【0116】
一実施形態において、低勾配画素を廃棄することおよび/または勾配を計算する前に関心領域画像を平滑化することのオプションが重要ではないことが理解されよう。なぜなら、非常に弱い勾配(たいがい画像ノイズゆえである)を備えた画素に対して得られるランダム(ノイズ)勾配方向が、均一な分布(全ての勾配方向が同じようである)を形成し、したがって、ヒストグラムの形状も名目値も変化させずに、全てのヒストグラムビンに等しく影響し得るからである。しかしながら、いくつかの実装では、非常に弱い勾配の大きさを備えた画素をフィルタリングすることによって、アルゴリズムの性能を改善可能である。一実施形態において、勾配方向は、例えばソーベル演算子、または焦点関心領域の全体を通して勾配方向を決定するための任意の他の周知の方法を用いて、計算してもよい。
【0117】
異方性(または非点収差)誤差補正値を焦点関心領域の特定の表面に適合させるための一実施形態にであって、視野のある箇所における焦点関心領域用の勾配ヒストグラムH、および視野の当該箇所に対応するルックアップテーブルL(例えば、図6で表したルックアップテーブルと同様の)を備えた一実施形態おいて、合計または適合された異方性(または非点収差)誤差補正値Cは、従来のオートフォーカス動作によって決定された生のZ位置を補正するために用いてもよいが、
【数5】
として計算してもよく、
ここで、Nは、ヒストグラムにおけるビンの数(ルックアップテーブルLにおけるエントリ数に等しい)であり、Haは、ヒストグラムにおけるa番目のビンの値であり、Laは、対応する配向角度において記憶された異方性(または非点収差)誤差補正値(正もしくは負)またはルックアップテーブルLの値である。
【0118】
1つの重要な関係は、
【数6】
であり、
これは、ヒストグラムを正規化することに対応する。
【0119】
直観的には、適合された異方性(または非点収差)誤差補正値は、異なるエッジ配向角度に対応する異方性(または非点収差)補正値の加重和であり、重みは、オートフォーカス関心領域内の表面の「方向性エッジ内容」に比例する。したがって、(勾配方向ヒストグラムHとして表された)測定表面の方向性テクスチャ特徴は、異なるエッジ配向角度用の異方性(または非点収差)誤差補正値の相対的寄与に影響を及ぼすように用いられる。上記の定式によって、全てのタイプの表面用に合理的な異方性(または非点収差)誤差補正値を決定するための方法が提供されるが、これらの表面は、明確に定義された方向性構造(例えば、図3Aおよび3Bに示すパターンなどの「理想的な」ストライプパターン、または図3Cに示すパターンなどのテクスチャパターン)、ならびに支配的な勾配方向のない等方性表面(例えば、図3Dに示すパターンなどの等方性パターン)などである。この技術に従って非点収差誤差補正値を決定すること、および同じ箇所用の静的光学誤差補正値を加えることによって、この手順に従い同じ箇所用に異方性誤差補正値を決定することと等価な全体的誤差補正結果がもたらされるということを理解されたい。
【0120】
異方性(または非点収差)誤差補正値を焦点関心領域における特定の表面に適合させるためのさらなる実施形態において、例えば前述のように決定された各ヒストグラムビン値は、ビンに寄与する画素の勾配の大きさに基づいて、さらに調整することができる。勾配の大きさは、一般に、エッジの鮮鋭度または「強度」に対応してもよい。一実施形態において、ヒストグラムビンは、ビンの範囲内の勾配角度を備えた各画素用に1(勾配の絶対値に適用される0.0の冪指数)だけ増分される。別の実施形態において、ヒストグラムビンは、ビンの範囲内の勾配角度を備えた各画素用に、各画素の勾配絶対値の平方根(勾配の絶対値に適用される0.5の冪指数)だけ増分される。さらに別の実施形態において、ヒストグラムビンは、ビンの範囲内の勾配角度を備えた各画素の勾配の絶対値(勾配の絶対値に適用される1.0の冪指数)だけ増分される。勾配の絶対値だけビンを増分することは、おそらくオートフォーカスアルゴリズム(コントラスト計算)に最も強い影響がある、より強いエッジを強調する。しかしながら、オートフォーカス関心領域が2D構造で、勾配角度ヒストグラムが1Dアレイであることにより、焦点関心領域内のコントラストタイプの焦点メトリックに対する単一の画素の影響は、勾配角度ヒストグラムに対するその影響より小さい。これは、少数の高勾配画素だけが関心領域にある場合には、過剰補正につながり得る。したがって、いくつかの実施形態または用途では、各ビンにおいて、画素に対して勾配の絶対値の分数乗だけヒストグラムビンを増分することが望ましい。特定の一実装では、0.5の冪指数が用いられ、これは、勾配の絶対値の平方根だけヒストグラムビンを増分し、これは、望ましい結果をもたらすことが分かっている。
【0121】
ヒストグラム決定の前述の検討において、ヒストグラムは、オートフォーカスツール関心領域における全ての画素に対して勾配の大きさおよび方向を計算することによって形成される。しかしながら、別の実施形態において、ヒストグラムは、焦点関心領域全体を通して比較的均一に分布された画素のサブサンプルに対して勾配の大きさおよび方向を計算することによって形成してもよい。
【0122】
誤差校正および補正の前述の方法は、一般に、表面焦点動作に基づいて決定されたZ高さ測定値に適用されるように説明される。しかしながら、また、「エッジ焦点」方法またはツールが、マシンビジョン検査システムにおいて普通に利用可能である。エッジ焦点動作中に生じる異方性または非点収差誤差の取り扱いは、前述の方法と同様の方法で行うことができ、相違は、校正手順中およびワークピース検出動作中の両方で、表面焦点動作の各インスタンスをエッジ焦点動作と取り替えることである。誤差校正データが決定されて記憶されると、関心領域内の勾配方向を決定し、ヒストグラムを作成し、かつ合計適合Z補正値を計算するプロセスは、様々な実施形態においてオートフォーカス動作をそれほど遅くしない。このプロセスは、計算集約的ではなく、オートフォーカス関心領域は、通常、全視野のごく一部だけである。例示的な一実施形態において、実際の実装におけるオートフォーカスの観察された減速は、1%〜3%であり、選択されるオートフォーカス速度(より高速、より低い精度のオートフォーカス動作に対してはより多くの減速)およびオートフォーカス関心領域サイズ(より大きな関心領域に対しては多くの減速)に依存する。
【0123】
本発明は、ワークピース表面特徴およびそれらの配向角度から独立し、かつまた視野の測定箇所から独立した補正Z高さ測定値を提供するように意図されている。いくつかの実施形態において、補正Z高さ測定値は、実際のまたは理論的な最良焦点位置に対応するであろう測定値から逸脱し得る。この理由で、様々な誤差補正値を実際にはオートフォーカス動作に物理的に組み込まない検査測定結果として、補正Z高さ測定値を出力するか、または補正Z高さ値へマシンビジョン検査システムを動かすことが、一般に望ましい。例えば、オートフォーカス動作の主な目的は、単に、XおよびY測定用に優れた基礎を提供する鮮明に合焦された画像を提供することであることが多い。したがって、この目的にとっては、様々な誤差補正値に従って物理的な位置決めまたは移動動作を調整することは、逆効果であろう。いくつかの実施形態において、出力値のZ高さ補正は、手動または自動でスイッチオンおよびスイッチオフしてもよい。Z補正のオンおよびオフの切り替えは、ユーザによって動作されるオートフォーカスツールのタイプに依存して、自動で行うことが可能である。いくつかの市販のマシンビジョン検査システムには、「ポイント付きオートフォーカスツール」が含まれるが、このポイントは、「Z補正をオン」で用いることになろう。なぜなら、返されるかまたは出力される測定値が、寸法測定等に用いられる(X,Y,Z)座標であるからである。対照的に、「ポイントなしオートフォーカスツール」は、「Z補正をオフ」で用いることができる。なぜなら、このツールの第1の目標が、XおよびY測定用の鮮明な画像を取得することであり得るからである(測定座標は返されない)。
【0124】
図11−13は、異なる表面用の非補正および補正Z高さ測定結果を示す図である。図11A、12Aおよび13Aは、理想的なストライプ表面1100A、方向性テクスチャ表面1200A、および粗いテクスチャ表面1300Aをそれぞれ含む例示的な表面の図である。図11B、12Bおよび13Bは、それぞれ、視野の固定箇所における様々な配向角度用のそれぞれの表面の各々に対する非補正および補正Z高さ測定結果のグラフ1100B、1200Bおよび1300Bである。いずれの場合も、垂直軸の単位は、ミリメートルであり、水平軸は、配向角度を度で示す。図11Aのストライプ表面1100A用に図11Bに示すように、補正Z高さ測定結果は、非補正測定結果のオリジナルの4.9ミクロンのZ高さ変動と比較して、配向角度の全範囲にわたって0.7ミクロンだけのZ高さ変動をもたらす。図12Aのテクスチャ表面1200A用に図12Bに示すように、非補正測定結果は、非補正測定結果における4.0ミクロンのZ高さ変動と比較して、配向角度の全範囲にわたって0.9ミクロンだけのZ高さ変動を示す。図13Aの粗いテクスチャ表面1300A用に図13Bに示すように、補正測定結果は、非補正測定結果用のオリジナルの3.9ミクロンのZ高さ変動と比較して、配向角度の全範囲にわたって1.4ミクロンだけのZ高さ変動をもたらす。したがって、様々な異方性表面用のこれらの特定の例において、本発明の異方性誤差補正方法(換言すれば、非点収差+静的光学誤差補正方法)は、Z高さ非点収差誤差成分を、約40%〜80%低減した。
【0125】
図11B−13Bに示すデータセットに含まれるいかなる静的光学誤差も、各データセットの変動に寄与しない。なぜなら、視野における測定箇所が、各セットの全体を通して同じであるためである。すなわち、静的光学誤差は、もしあれば、各測定に等しく寄与する。しかしながら、静的光学誤差成分を分析した他のテストでは、非補正静的光学誤差による、視野の様々な箇所における測定変動は、数ミクロン以上のオーダであり、かつ前述の誤差校正および補正技術によって、極めて著しく低減された。
【0126】
図14は、図5に関連して、および本明細書の他のところで前に説明した方法に従って決定されて記憶された異方性誤差ルックアップテーブルを用いて、オートフォーカス関心領域に位置するワークピース表面に対して実行されるZ高さ測定用の異方性誤差補正値を決定するための1つの例示的なランタイムルーチン1500を示す流れ図である。この方法の様々な態様は、図7−10に関連して上記した様々な異方性誤差補正値決定動作の説明を参照することによって、よりよく理解することが可能である。図14に示すように、ブロック1510において、従来のオートフォーカス動作が、パートプログラムに従って実行され、結果としての生のZ高さ測定値(例えば、最良焦点、最良コントラスト位置)が、さらなる参照用に記憶される。ブロック1520において、現在のオートフォーカス関心領域中心位置(例えばXC、YC)に対して、推定異方性誤差ルックアップテーブルが、この箇所用に、現在のオートフォーカス関心領域に最も近い視野箇所用の記憶されたルックアップテーブルを補間することによって、決定される。双一次、双二次または双三次補間などの様々の適用可能な補間技術を用いてもよい。双一次補間が少なくとも4つの記憶されたルックアップテーブルを必要とし、双二次補間が9つのルックアップテーブルを必要とし、双三次補間が16のルックアップテーブルを必要とすることが注目される。
【0127】
ブロック1530において、オートフォーカス関心領域における表面画像の角度内容特徴、すなわち傾き角度依存性が、決定されるかまたは特徴付けられ、オートフォーカス関心領域における特定の表面に適合される推定異方性誤差補正値が、ブロック1520において推定された角度内容特徴および異方性誤差ルックアップテーブルに基づいて決定される。一実施形態において、角度内容特徴は、前述したヒストグラムの1つと同様の角度内容ヒストグラムで具体化してもよく、適合される異方性誤差補正値は、式16および17に関連して前に説明したように決定される。ブロック1540において、計算された(正または負の)補正値が、ブロック1510で記憶されたZ高さ測定値から減算され、補正Z高さ値は、補正Z高さ測定値として報告してもよい。
【0128】
図15は、例示的な一ルーチン1600を示す流れ図であるが、このルーチン1600は、図14のブロック1530の動作を実行するために用いてもよい。ブロック1610において、現在のオートフォーカス関心領域における各画像画素用に、勾配の大きさおよび勾配方向角度が決定される。一実施形態において、ソーベル演算子または同様の周知の演算子を用いて、勾配の大きさおよび角度を決定してもよい。ブロック1620において、第1の実施形態では、勾配方向角度ヒストグラムが、決定された勾配の絶対値を用いて構成される。別の実施形態では、勾配方向角度ヒストグラムの各ビンは、ビンにおける各画素用に、ゼロと1との間の所定の冪(指数値)で累乗された画素勾配の絶対値だけさらに増分される。第2の実施形態の修正では、増分の前に、指定された閾値Tより小さな絶対的な勾配の大きさを有する画素は、無視される。別の実施形態において、各画素の勾配の絶対値は、所定の冪(指数)で累乗してもよく、ヒストグラムは、これらの値に基づいて編集され、Z補正に対する単一の「方向性」画素の影響を、オートフォーカスコントラスト計算に対する当該画素の影響により近くしてもよい。所定の冪は、分析または実験によって決定してもよい。典型的には、それは、0〜2の範囲に入ってもよい。一実施形態において、それは、0.5に設定してもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、ヒストグラムビンの数は、ブロック1520で決定される異方性誤差校正ルックアップテーブル用に用いられる配向角度の数に等しくしてもよく、それらの中心値は、これらの配向角度に対応してもよい。より平滑なヒストグラムを取得し、かつビンの離散化による望ましくない影響を低減するために、ヒストグラムビンを編集および増分する一方で、三角形または他のカーネル(効果的にはカーネル推定器)を用いてもよい。
【0129】
ブロック1630において、ブロック1620で決定されたヒストグラムは、そのビン値の合計が1であるように正規化される。ブロック1640において、オートフォーカス関心領域における特定の表面に適合される異方性誤差補正値が、図14のブロック1520で決定された異方性誤差ルックアップテーブルからの各配向角度エントリを、ブロック1630で決定された正規化ヒストグラムにおける当該配向角度に対応するビン値で乗算し、結果としての積を合計することによって決定される。
【0130】
図16は、図2と同様であり、かつまたより明示的に示されたオートフォーカスツール部143fを含むマシンビジョン検査システム100’の制御システム部120およびビジョン構成要素部200の図であるが、このオートフォーカスツール部143fには、様々なオートフォーカスツール、近ピーク動作制御要素および関連要素が含まれる。一実施形態において、以下でより詳細に説明するように、図16のオートフォーカスツール143fb1、143fb2、143fcなどの1つまたは複数は、図2のオートフォーカスツール145に対応してもよい。以下で別段の指摘がなければ、図16の残りの構成要素が、図2の構成要素と同様であり、類推によって理解してもよいことが理解されよう。
【0131】
図16に示すように、本発明による様々な実施形態において、ビデオツール部143にはオートフォーカスツール部143fが含まれ、オートフォーカスツール部143fは、以下でより詳細に説明するように、マルチ領域およびマルチポイントオートフォーカス動作に関連する様々な動作および特徴を提供する。マルチ領域オートフォーカス動作用のオートフォーカスツール部143fのある部分が、2006年7月18日出願の米国特許出願第11/489,030号(’030出願)でより詳細に説明されているが、この特許出願は、本願と同一の譲受人に譲渡されたものであり、参照によりその全体において本明細書に援用されている。一実施形態において、オートフォーカスツール部143fには、オートフォーカスモード制御部143faと、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2および/または個別オートフォーカスツール143fcなどのビデオツールと、近ピーク動作制御要素143fdと、を含んでもよい。簡単に言えば、個別オートフォーカスツール143fcは、ツールの単一の全体的または主要な関心領域(例えば、グラフィカルユーザインタフェースにおいてビデオツール関心領域境界によって境界を定められた包括的な関心領域)用の単一のZ高さ測定値を提供することに関連する動作を実行する。個別オートフォーカスツール143fcはまた、カメラをオートフォーカスにして、最良焦点に対応するカメラ位置のZ高さを報告してもよい。マルチ領域オートフォーカスツール143fb1は、(例えば、’030出願によって説明されているように)マルチ領域オートフォーカスツールによって示された複数のそれぞれの主要な関心領域用に多数のそれぞれのZ高さ測定値を提供することに関連する同様のZ高さ測定動作を実行してもよい。マルチポイントオートフォーカスツール143fb2は、複数のそれぞれの第2の関心領域またはサブ領域用に複数のそれぞれのZ高さ測定値を提供することに関連する同様のZ高さ測定動作を実行してもよく、これらの第2の関心領域またはサブ領域は、マルチポイントオートフォーカスツールによって示された主要な関心領域内に位置するそれぞれの測定ポイントに関連してもよい。
【0132】
本明細書で概説するように、オートフォーカスモード制御部143faは、オートフォーカスツール(例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2または個別オートフォーカスツール143fc)および/またはツールモードのどれを作動させるかを決定および/または制御する動作を実行する。近ピーク動作制御要素143fdは、一般に、本発明によるZ高さ補正動作用に画像を使用できるように十分に合焦された画像を識別するように意図され、かつまた、画像スタックの「現在の」画像用に分析される、現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴が、当該関心領域またはサブ領域用に前に決定された焦点特徴より優れているかどうかに基づいて、ある条件データ記憶および/または処理動作を管理するか、または管理する際に支援するように意図されている。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdには、本明細書で概説するような近ピーク動作制御要素に関連する様々な機能を提供する別個の回路および/またはルーチンを含んでもよい。しかしながら、他の実施形態において、これらの近ピーク動作および制御機能は、あるいは、制御システム部120の他の部分と一体化されるか、または他の部分と区別できない要素によって提供してもよいことを理解されたい。
【0133】
いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdを用いて、必要メモリならびにあるデータ記憶および/または処理動作を低減または最小限にして、多数の測定位置用の補正Z高さ測定値を効率的に提供するようにしてもよい。一般に、最良焦点特徴は、焦点曲線のピーク近くにある焦点位置で生じる。「近ピーク」動作制御要素143fdの名前は、様々な実施形態において、焦点曲線のピークに隣接する、または対応するデータの記憶および/または分析に対してなされる強調を反映する。オートフォーカスおよび高さ測定動作に関連する焦点曲線の一般的な決定または利用は、例えば、米国特許第7,030,351号に詳細に説明されているように、当該技術分野では一般に周知であり、この特許は、参照によりその全体において本明細書に援用されている。
【0134】
オートフォーカスツール部143fの代替構成が可能であることを理解されたい。例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2、および個別オートフォーカスツール143fcは、別個のモード制御部143faを省略できるように、モード制御機能を含んでもよい。あるいは、オートフォーカスツール部143fは、1つまたは複数の一般的なオートフォーカスツール要素を提供してもよく、モード制御部143faは、マルチ領域オートフォーカスツール動作、マルチポイントオートフォーカスツール動作、または個別オートフォーカスツール動作が望ましいかどうかに依存する方法で、一般的なオートフォーカスツール要素のユーザインタフェースおよび相互関係を管理する動作を提供してもよい。かかる場合に、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2、および/または個別オートフォーカスツール143fcの動作を提供する回路、ルーチンまたはアプリケーションは、一体化するか、かつ/または区別できないようにしてもよい。より一般的には、マシンビジョン検査システム100と共に動作可能な、現在周知の任意の形態または将来開発される形態で本発明を実施して、様々なオートフォーカスZ高さ測定動作に関連して本明細書で開示される特徴を提供してもよい。
【0135】
マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の動作に関し、マルチ領域オートフォーカスモードは、ツールの複数のそれぞれの主要な関心領域(ROI)に対応する複数のそれぞれのZ高さ測定値を提供する。ユーザが、マルチ領域オートフォーカスツール動作モードを現在の動作モードとして選択(または継続)し、かつ新しいマルチ領域セットの第1のメンバ関心領域を定義する場合に、学習動作モード中に、主要な関心領域の新しいマルチ領域セットを定義および/または表示してもよい。次に、ユーザは、動作の現在モードがマルチ領域オートフォーカスツールモードである間に、セットの第2のメンバ関心領域を定義してもよい。ユーザは、マルチ領域オートフォーカスツールモードを中断し、このモードと無関係な動作を実行してもよい。ユーザは、続いて、マルチ領域オートフォーカスツールモードを再開し、セットの追加メンバを定義してもよい。一般に、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の特定のインスタンスに対応するセットメンバは、全て、単一の画像または視野において、(例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1のグラフィカルユーザインタフェースにおけるそれぞれの関心領域境界によって)定義または表現してもよい。したがって、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の特定のインスタンスに関連するそれぞれのZ高さ測定値の全ては、単一のグローバル画像スタックに基づいて決定してもよい。マルチ領域オートフォーカスツール143fb1は、それぞれが別個のZ高さになる傾向があり得る、視野における複数の別個の表面領域のより高速な測定に最も適していることがある。
【0136】
マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の動作に関し、マルチポイントオートフォーカスモードは、複数のそれぞれの第2の関心領域またはサブ領域に対応する複数のそれぞれのZ高さ測定値を提供するが、これらの第2の関心領域またはサブ領域は、マルチポイントオートフォーカスツールによって(例えば、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2のグラフィカルユーザインタフェースにおける「グローバル」関心領域境界によって)示される主要な関心領域内に位置する測定ポイントに関連してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の動作は、示された関心領域をZ高さ測定値ポイントのグリッドに自動または半自動で細分するが、この場合に、各測定ポイントは、当該ポイントに関連する、自動で定義された関心サブ領域に囲まれる。様々な実施形態において、関心サブ領域(第2の関心領域とも呼ばれる)は、ユーザに表示されない。いずれの場合も、特定の測定ポイント用に決定されるZ高さ測定値は、当該ポイントに関連する関心サブ領域に基づく(例えば、測定ポイントに中心を置いた5×5画素サブ領域)。いくつかの実施形態において、特定の測定ポイントに関連するサブ領域のサイズは、周囲の測定ポイントグリッドの密度(例えば、50画素、10画素、または5画素以下のグリッドピッチなど)に依存してもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、画素、もしくはXおよびYの測定単位において、または主要な関心領域内において返されるいくつかのポイントとして非明示的に、測定ポイントグリッド間隔を選択してもよい。
【0137】
第2のまたはサブの関心領域、およびグローバル、全体的または主要な関心領域の両方が、本明細書では「関心領域」またはROIとして呼ばれるが、マルチポイントオートフォーカスツールが論じられている場合には、言及される「関心領域」または「ROI」は、明示的にまたは文脈によって別段の指摘がなければ、一般に、それぞれのZ高さ測定ポイントに関連するそれぞれの関心サブ領域であることが理解されよう。学習動作モード中に、ユーザが、マルチポイントオートフォーカスツール動作モードを現在動作モードとして選択し、かつオートフォーカスツールの主要な関心領域の境界を引くかまたは定義する場合には、新しいマルチポイントグローバル関心領域を定義および/または表示してもよい。次に、いくつか(例えば「n×m」)のZ高さ測定ポイントおよび/または関心サブ領域が、ユーザによってかまたは自動デフォルト値に基づいて、主要な関心領域内に定義される。一般に、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の特定のインスタンスに対応する主要な関心領域は、全て、単一画像または視野において、(例えば、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2のグラフィカルユーザインタフェースにおけるそれぞれの関心領域境界によって)定義および表現してもよい。したがって、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の特定のインスタンスのそれぞれの測定ポイントおよび/またはサブ領域に関連するそれぞれのZ高さ測定値の全ては、単一画像スタックに基づいて決定してもよい。マルチポイントオートフォーカスツール143fb2は、視野内における表面領域の輪郭または3D形状を定義する多数の測定ポイントの高速測定に最も適していることがある。
【0138】
マルチ領域ツールのそれぞれの関心領域またはマルチポイントツールのそれぞれの関心サブ領域に関連するそれぞれのZ高さを決定するために用いられる「オートフォーカス」動作には、マルチ領域またはマルチポイントツールに対応する予想Z高さ値の複数または全てを含むように推定または定義されるZ高さサーチ範囲にわたる画像セット(また「スタック」)を分析することを含んでもよい。画像スタックは、Z高さサーチ範囲にわたる連続動作中に取得してもよい。サーチ範囲は、デフォルト範囲に設定するか、ユーザが定義するか、または学習モード中の動作に基づいて定義してもよい(例えば、マルチ領域もしくはマルチポイントセットを定義する間に用いられるZ高さ位置に基づくか、または1つまたは複数の自動オートフォーカス動作によるなど)。デフォルトサーチ範囲はまた、現在の光学構成に少なくとも部分的に基づいて決定してもよい。
【0139】
前に示したように、いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdは、本発明によるZ高さ補正動作用に画像が使用可能であるように十分に合焦された画像を識別するために用いてもよく、かついくつかの実施形態では、多数の測定位置用に補正Z高さ測定値を効率的に提供するために、必要メモリならびに/またはあるデータ記憶および/もしくは処理動作を低減する意図に基づいて、ある条件データ記憶および/または処理動作を管理するのを支援するように用いてもよい。近ピーク動作制御要素143fdは、マルチ領域オートフォーカスモードおよび/もしくはツールの文脈、またはマルチポイントオートフォーカスモードおよび/もしくはツールの文脈中で動作してもよい。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdの動作は、画像スタックの「現在の」画像に関し、現在の関心領域またはサブ領域用の焦点特徴(例えば、画像鮮鋭度メトリック)が、画像スタックの異なる画像における、当該関心領域またはサブ領域用の、前に決定された焦点特徴より優れているかどうかに基づいてもよい。より優れた「現在の」焦点特徴は、以下でより詳細に説明するように、対応する「現在の」画像が、前に分析された画像と比較して、焦点曲線の最良焦点ピークにより近い高さに対応することを示す。
【0140】
前に概説したように、様々な困難が、(例えば、マルチ領域オートフォーカスツールまたはマルチポイントオートフォーカスツール用に)、高スループットで複数の関心領域および/またはサブ領域のZ高さを分析することに関連して生じ、特に、本発明に従って、異方性誤差用に各Z高さを補正するために必要なメモリおよび/または処理動作を考慮するときに生じ得る。例えば、複数の関心領域が分析されている場合には、複数の関心領域および/またはサブ領域のそれぞれが異なる高さを有し得るので、各関心領域および/またはサブ領域に普遍的に当てはまる単一の「焦点」位置または「最良焦点」Z高さが、もはや存在しないことを理解されたい。さらに、各関心領域および/またはサブ領域用に別個の画像スタックおよび/または別個の最終的な「最良焦点」オートフォーカス画像を提供するために、ワークピースステージまたはカメラを繰り返し移動させることは、非実用的であろう。なぜなら、必要な機械的な動作を提供することは、一般に、オートフォーカス高さ決定の最も時間を消費する(スループットを制限する)側面であるからである。さらに、いくつかの実施形態または用途において、複数の関心領域および/またはサブ領域を分析するために必要なメモリおよび/またはハードウェア動作の量は、合理的なスループット期待値およびリアルタイム検出動作に関して、非実用的かまたは少なくとも望ましくないほど遅くなり得る。したがって、様々な実施形態において機械的な動作のボトルネックを回避するために、以下でより詳細に説明するように、単一のグローバル画像スタックを取得し、マルチ領域および/またはマルチサブ領域高さ決定プロセス全体のための基礎として用いることが有利であり得る。さらに、様々な実施形態において、最良の可能な焦点位置において別個に取得される追加的な「可能な最良の」画像(例えば、決定されたZ高さまたは焦点曲線ピーク位置で取得される別個の画像)の部分にではなく、グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に、(それぞれのZ高さ補正値に関連する)本明細書で概説する配向角度分析動作を基づかせることが有利であり得る。
【0141】
グローバル画像スタック内で利用可能なそれぞれの画像部分に基づいてそれぞれのZ高さ補正値を決定することに関して、次のことを理解されたい。すなわち、可能な最良の焦点画像(例えば、焦点曲線ピークで取得される画像)によって、Z高さ補正用の基礎として用いられる傾き角度依存性の最も正確なまたは反復可能な決定が可能になるが、いくつかの実施形態または用途では、傾き角度依存性は、任意の十分に合焦された画像に基づいて、十分な精度で決定または推定し得ることを理解されたい。前に示したように、近ピーク動作制御要素143fd(例えば、回路またはルーチン)は、例えば以下で概説するように、かかる十分に合焦された画像を識別し、かつ/または関連動作を管理することができる。いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdはまた、対応する傾き角度依存性および/またはZ高さ補正値を決定することに関連してもよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、適切で十分に合焦された画像部分は、近ピーク動作制御要素143fdが、比較的優れた焦点に対応すると知られている閾値(例えば、実験または分析によって確立された)を超える焦点メトリックを有する画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、画像スタックにおける他の画像と比較して、最も高い焦点メトリックを当該部分に利用できるようにしている画像部分を、グローバル画像スタックから選択することによって保証してもよい。他の実施形態において、十分に合焦された画像部分は、当該部分のために決定された非補正最良焦点Z高さに十分に近いかまたは最も近い画像スタックの画像に含まれる画像部分を選択することによって、保証してもよい。これらの代替実施形態は、以下でより詳細に説明する。いずれの場合も、前述の方法のいずれもが、関心領域またはサブ領域に基づいた角度内容特徴を、当該関心領域用の最良焦点非補正Z高さに近いZ高さに対応する画像から提供可能であり、これによって、本発明による様々な実施形態または用途において、十分に正確なZ高さ補正値を提供可能であることが理解されよう。
【0143】
いくつかの実施形態において、近ピーク動作制御要素143fdは、現在の焦点特徴が、前に決定された「現行最良」焦点特徴より優れている(例えば、それは、前に決定された「現行最良」焦点メトリック値より大きな焦点メトリック値を有する)場合には、それが、当該関心領域またはサブ領域用の新しい「現行最良」焦点特徴として記憶されるか、または識別される。いくつかの実施形態において、グローバル画像スタック全体が、関心領域またはサブ領域用に分析された後で、最終的な現行最良焦点メトリックを用いて、(対応する関心領域またはサブ領域用に)画像スタックにおける最良焦点画像を識別してもよく、次に、これを用いて、対応するZ高さ補正値を決定するために用いられる対応する傾き角度依存性を決定してもよい。他の実施形態において、スタックの特定の画像において、特定の領域またはサブ領域に対応する新しい「現行最良」焦点特徴が決定されると、当該条件によって、Z高さ補正値用の潜在的な将来の使用のために、当該特定の画像の対応する部分を記憶するように、近ピーク動作制御要素143fdをトリガしてもよい。かかる実施形態において、記憶された新しい「現行最良」データは、前に記憶された同様の現行最良データに取って代わってもよく、次に、前に記憶された現行最良データは、図18Aに関連して以下で説明するように、メモリを節約するために削除してもよい。
【0144】
かかる実施形態において、関心領域またはサブ領域の角度内容を特徴付けるための十分に合焦された画像を取得するために、ステージを「最良焦点」位置へ逆に移動する必要がないことが理解されよう。より正確に言えば、対応する記憶された「現行最良」焦点特徴および/または画像データに基づいて、関心領域またはサブ領域用に、角度内容を特徴付け、Z高さ補正値を決定してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態において、さらなるメモリ節約は、導出された「現行最良」角度内容特徴(例えば、角度内容ヒストグラムもしくは重み付け係数など)に関連する、より少量のデータ、またはさらには現行最良画像部分自体を記憶するのではなく、関心領域またはサブ領域用の結果としてのZ高さ補正値を記憶することによって、達成してもよい。この原理を用いるいくつかの例示的な実施形態は、図18Bおよび18Cに関連して以下で説明する。
【0146】
上記で概説した条件動作方法のそれぞれは、オートフォーカスZ高さ決定動作中に画像が取得および処理されるので、先行技術の方法と比較して、メモリおよび記憶装置要求が著しく低減され得ることが理解されよう。すなわち、画像データ(例えば、画像スタックの様々な画像における領域またはサブ領域データ)は、取得されて、画像スタック全体が完全に分析されるまで保持されるのではなく、最も早い有利なとき(例えば、順次的に、分析中に)に一部を除去するか、または削除してもよい。非重複関心領域またはサブ領域用の特定の例示的な一実施形態において、同時に記憶される情報の合計量は、単一画像のサイズを超えないほど小さくてもよい。実際には、これらの考慮は、ある既存の実際的なハードウェア/ソフトウェア制限(例えば、32ビットオペレーティングシステムによって課されるアプリケーションメモリ割り当て制限)ゆえに、特に重要になり得る。これらの制限を克服する他の選択肢(例えば、非標準ハードウェアおよび/またはソフトウェアアプローチを必要とする)は、技術的および実際的に魅力がないであろう。さらに、上記で概説した条件動作方法はまた、多数の測定ポイントまたはサブ領域を伴ってマルチポイントオートフォーカスツールにおいてZ高さ用の異方性誤差補正値を提供する場合には特に、処理時間を著しく低減し、Z高さ決定動作用のスループットを向上させることができる。さらに、ある実施形態における方法は、現在のオートフォーカスツール(例えば、ある既存製品におけるマルチ領域またはマルチポイントオートフォーカスツール)とうまく統合される。例えば、焦点メトリック用の現行最大値を維持すること、および関連画像データまたは角度内容特徴もしくはヒストグラムの条件記憶を管理することに関連する動作を追加することは、全ての必要な処理機能と共に、上記したあるQVPAK(登録商標)ビジョン検査システムにおける既存のソフトウェアオブジェクトおよび/またはオートフォーカスルーチンと適合できる。多数の測定位置に対する補正Z高さ測定値の効率的な決定に有利な、本発明の方法における特定の例示的な実装は、図17および18A−18Cに関連して以下でより詳細に説明する。
【0147】
図17は、本発明に従って、測定すべき関心領域セットROI(k)を定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための1つの一般的で例示的なルーチン1700を示す流れ図である。ブロック1705において、Z高さが決定されることになる関心領域(ROI)(k)(k=1〜P)を含む関心領域ROIセットが、定義または選択される。上記のように、関心領域ROI(k)には、主要な関心領域を含んでもよく(例えば、マルチ領域オートフォーカスツール143fb1の場合)、または第2のまたはサブの関心領域を含んでもよい(例えば、マルチポイントオートフォーカスツール143fb2の場合)ことが理解されよう。ブロック1710において、画像(i)(i=1〜N)を含む、画像の画像スタックセットが定義される。画像スタックセットの視野には、関心領域ROI(k)セットを含んでもよく、画像スタックセットのZ範囲は、一般に、関心領域ROI(k)セット用に予想されるZ高さにわたる。ブロック1715において、対応する周知のZ高さZ(i)において取得されるメンバ画像(i)を含む画像スタックセットが取得される。Z高さZ(i)は、画像(i)の取得時にマシンビジョン検査システムによって示されるZ高さであり、画像(i)の合焦対物面位置に対応し、ワークピース表面が、当該合焦対物面に実際に位置するかどうかにはかかわらない。
【0148】
いくつかの実施形態において、他のブロックの動作がブロック1715と部分的に並行して実行される場合には、有利になり得る。すなわち、画像分析動作は、1つまたは複数の初期画像における1つもしくは複数の領域またはサブ領域が取得された後、任意の好都合なときに開始してもよい。ブロック1720において、処理ループが、第1の/次の関心領域ROI(k)(k=1〜P)に関連する処理動作に対して開始される。
【0149】
ブロック1730において、画像スタックセットにおける複数(例えば、ほとんどまたは全て)の画像に関し、現在の関心領域ROI(k)用の焦点メトリック(k、i)が決定され、各かかる焦点メトリック(k、i)および対応するZ(i)が、焦点ピーク決定データセット(例えば、焦点曲線データセット)に加えられる。前に概説したように、一実施形態において、焦点メトリックには、画像(i)における関心領域ROI(k)用の1つまたは複数の量的焦点メトリック、例えば画像の鮮鋭度またはコントラストメトリックを含んでもよい。
【0150】
ブロック1750において、最良焦点非補正Z高さが、ブロック1730において確立された焦点ピーク決定データセットに基づいて、関心領域ROI(k)用に(すなわち、現在の関心領域ROI(k)における表面または表面部分用に)決定される。例えば、非補正Z高さは、焦点ピーク決定データセットに適合する曲線のピークに対応してもよい。ブロック1760において、角度内容特徴が、関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに近い(例えば、前に概説したように、画像(i)が十分に合焦された画像であるように、最良焦点非補正Z高さに十分に近い)Z高さに対応する画像(i)に対して、関心領域ROI(k)用に決定される。関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに近いZ高さに対応する画像(i)を識別するために利用可能な動作の様々な特定の実施形態を、図18A−18Cに関連して以下で説明する。上記のように、一実施形態において、角度内容特徴は、勾配(エッジ)角度ヒストグラムに基づいて決定してもよい。ブロック1765において、Z高さ補正値は、ブロック1760において関心領域ROI(k)用に決定された角度内容特徴に基づいて、関心領域ROI(k)用に決定される。上記のように、ある実施形態におけるZ高さ補正値の決定は、角度内容特徴に基づいて、記憶された方向依存性校正データに重み付けすることを含んでもよい。ブロック1770において、補正Z高さは、ブロック1765で確立されたZ高さ補正値、およびブロック1750で確立された関心領域ROI(k)用の最良焦点非補正Z高さに基づいて、関心領域ROI(k)用に(すなわち、現在の関心領域ROI(k)における表面または表面部分用に)決定される。ブロック1780において、現在の関心領域ROI(k)が、処理すべき最後のROI(k)であるかどうかに関して、決定がなされる。処理すべき追加的な関心領域ROI(k)がある場合には、ルーチンは、ブロック1720において関心領域ROI(k)処理ループの初めに戻り、そうなければルーチンは終了する。図17に示す実施形態が、例示に過ぎず、限定的ではないことが理解されよう。例えば、様々な他の実施形態において、ブロック1730−1765に関連する様々な動作を、図示の順序以外の順序で実行可能であることが理解されよう。いずれの場合も、ルーチン1700(以下で説明するルーチン1700’−1700’’’と同様に)は、最良焦点高さにおいて取得される1つまたは複数の追加画像を必要とするのではなく、画像スタックからの十分に合焦された近ピーク画像(すなわち、ピーク焦点高さ近くの画像)に基づいて、角度内容特徴および結果としてのZ高さ補正値を提供し得ることが理解されよう。したがって、かかるルーチンおよび/または含まれる動作は、本発明による様々な実施形態において、動きおよび画像取得に関連する動作時間を著しく低減可能である。画像記憶用の必要メモリもまた、低減可能である。
【0151】
図18A−18Cは、図17のルーチンに類似しているか、またはそのインスタンスである例示的なルーチンの特定の実施形態を示す流れ図である。図18A−18Cのあるブロックおよび動作が、図17のあるブロックおよび動作と同様もしくは類似し、かつ/または互いに類似していることが理解されよう。同様もしくは類似したブロックまたは動作は、図17および図18A−18Cにおいて同一または同様の番号を付けられる(例えば、1760’は、1760と同様である)。かかる場合には、いくつかのかかるブロックは、以下で特に説明する必要がなく、別段の指摘がある場合を除いて、類推によって理解してもよい。
【0152】
図18Aは、本発明に従って、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための例示的なルーチン1700’の特定の実施形態を示す流れ図である。ルーチン1700’には、以下でより詳細に説明するように、近ピークデータを効率的に処理し記憶する条件動作が明示的に含まれる。ルーチン1700’は開始され、ブロック1705および1710は、図17に関連して前に説明したものと同様または同一であってもよい。ブロック1715’において、対応する周知のZ高さZ(i)で取得されるメンバ画像(i)を含む画像スタックセットを取得するために、動作が開始される。ブロック1717において、第1の/次の画像(i)に対する画像分析動作用の処理ループが、第1の/次の画像(i)の1つまたは複数の領域またはサブ領域が取得された後で、任意の好都合なときに開始してもよい。したがって、ルーチン1700’において、様々な動作(例えば、ループ動作1720’−1743の内の動作)は、動作時間および/またはメモリを節約するために、画像スタックセットの取得と並行して実行される。ブロック1720’において、処理ループが、現在の画像(i)における第1の/次の関心領域ROI(k)(k=1〜P)に関連する動作を処理するために開始される。
【0153】
ブロック1730’において、焦点メトリック(k、i)が、現在の画像(i)における現在の関心領域ROI(k)用に決定され、各かかる焦点メトリック(k、i)および対応するZ(i)が、焦点ピーク決定データセット(例えば、焦点曲線データセット)に加えられる。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れているかどうかに関して、決定ブロック1740において決定がなされる。デフォルトの現行最良焦点メトリックは、いくつかの実施形態において、Z高さ補正用の角度内容特徴を決定するために用いられる十分に合焦された画像を示す焦点メトリック用の閾値であってもよい。いくつかの実施形態において、デフォルトレベルは、学習モード動作中に、特定のワークピースタイプの特定の関心領域またはサブ領域用に決定または確立し、関連するパートプログラム等に記憶してもよい。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくないと、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、ブロック1741へ進み、そこで、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分が、メモリから削除される。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくない場合には、それは、Z高さ補正用に使用可能な「近ピーク」データとして適さない。したがって、それは、さらに分析する必要はなく、一部を除去するかまたは削除してもよい。ブロック1740において、現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れていると判定された場合には、ルーチンは、ブロック1742へ進み、そこで、現在の画像(i)の関心領域ROI(k)部分が、新しい現行最良角度内容ソース画像(k)として記憶される。以下説明するように、最終的な現行最良角度内容ソース画像(k)は(例えば、ブロック1744で終了するプロセスループを出た後で)、ブロック1760’で用いてもよい。ブロック1742または1741のいずれかから、動作は、決定ブロック1743に進んでもよく、ブロック1743において、現在の画像(i)用に処理すべき、これ以上の関心領域ROI(k)があるかどうかの決定がなされる。ある場合、動作は、ブロック1720’に戻り、そうでなければ、動作は、決定ブロック1744に進む。決定ブロック1744において、処理すべき別の画像(i)があるかどうかの決定がなされる。ある場合、動作は、ブロック1730’に戻り、そうでなければ、動作は、ブロック1750に進む。
【0154】
ブロック1750において、各ROI(k)(例えば、k=1〜P)に対し、最良焦点非補正Z高さが、当該ROI(k)用にブロック1730’で確立された焦点ピーク決定データセットに基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1760’に進み、そこで、各ROI(k)に対し、角度内容特徴が、当該ROI(k)用にブロック1742で確立された最新の現行最良角度内容ソース画像(k)に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1765に進み、そこで、各ROI(k)に対し、Z高さ補正値が、当該ROI(k)用にブロック1760’で確立された角度内容特徴に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1770に進み、そこで、各ROI(k)に対し、補正Z高さが、当該関心領域ROI(k)用にブロック1765で確立されたZ高さ補正値およびブロック1750で確立された最良焦点非補正Z高さに基づいて、当該関心領域ROI(k)用に決定される。補正Z高さが、ブロック1770において各所望のROI(k)用に決定されると、ルーチンは終了する。
【0155】
いくつかの実施形態において、ブロック1740−1742に関連して上記で概説した動作が、近ピーク動作制御要素の一部(例えば、前に概説した近ピーク動作制御要素143fd)に含まれてもよく、または一部を含んでもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態において、ブロック1760、1760’および/または1765に関連する動作はまた、近ピーク動作制御要素の一部に含まれてもよく、または一部を含んでもよい。以下で説明するように、図18A−18Cの実施形態間の主要な差は、一般に、これらのブロックに含まれる。
【0156】
図18Bは、本発明に従って、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための例示的なルーチン1700’’の特定の実施形態を示す流れ図である。ルーチン1700’と同様に、ルーチン1700’’には、以下でより詳細に説明するように、近ピークデータを効率的に処理および記憶する条件動作が明示的に含まれる。ルーチン1700’’が開始し、ブロック1705−1741は、図18Aに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくないと、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、以下で説明するブロック1741に進む。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れていると、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、ブロック1742’に進み、そこで、角度内容特徴が、現在の画像(i)の関心領域ROI(k)部分に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。ブロック1742’において、当該決定された角度内容特徴はまた、当該ROI(k)用の新しい現行最良角度内容特徴として記憶される。以下で説明するように、当該ROI(k)用の最終的な現行最良角度内容特徴は(例えば、ブロック1744で終了するプロセスループを出た後で)、ブロック1765で用いてもよい。ブロック1742’から、動作は、ブロック1741に進む。ブロック1740から到着しようと、またはブロック1742’から到着しようと、ブロック1741において、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分は、削除してもよい。ブロック1740からブロック1741への到着は、現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくなく、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分が、Z高さ補正に用いることができる「近ピーク」データとして適しておらず、したがって、メモリを節約するために削除してもよいほどであることを示す。ブロック1742’からブロック1741への到着は、Z高さ補正用に必要な関連する角度内容特徴が、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)用に既に決定および記憶されたことを示す。したがって、ROI(k)からの画像データは、現在の画像(i)用にもはや必要とされず、メモリを節約するために削除してもよい。
【0157】
ブロック1741から、動作は、決定ブロック1743に進む。ブロック1743−1750は、図18Aに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。ブロック1750から、動作は、ブロック1765に進み、そこで、各ROI(k)に対し、Z高さ補正値が、当該ROI(k)用にブロック1742’で確立された最新の現行最良角度内容特徴に基づいて、当該ROI(k)用に決定される。次に、動作は、ブロック1770に進むが、ブロック1770は、図18Aに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよく、ブロック1770後に、ルーチンは終了する。
【0158】
図18Cは、本発明に従って、測定すべき関心領域ROI(k)セットを定義し、かつ補正Z高さ測定値を生成するための例示的なルーチン1700’’’の特定の実施形態を示す流れ図である。ルーチン1700’’と同様に、ルーチン1700’’’には、以下でより詳細に説明するように、近ピークデータを効率的に処理および記憶する条件動作が明示的に含まれる。ルーチン1700’’’が開始し、ブロック1705−1741は、図18Bに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくないと、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、以下で説明するブロック1741に進む。現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)より優れていると、決定ブロック1740において判定された場合には、ルーチンは、ブロック1742’’に進み、そこで、Z高さ補正値が、焦点メトリック(k、i)に対応する画像部分における角度内容特徴を決定することに基づいて、決定される。ブロック1742’’において、当該決定されたZ高さ補正値はまた、現在の画像(i)における当該ROI(k)用の新しい現行最良Z高さ補正値として記憶される。以下で説明するように、当該ROI(k)用の最終的なZ高さ補正値は(例えば、ブロック1744で終了するプロセスループを出た後で)、ブロック1770’で用いてもよい。ブロック1742’’から、動作は、ブロック1741に進む。ブロック1740から到着しようと、またはブロック1742’’から到着しようと、ブロック1741において、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分は、削除してもよい。ブロック1740からブロック1741への到着は、現在の焦点メトリック(k、i)が、前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリック(k)ほどよくなく、現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)部分が、Z高さ補正に用いることができる「近ピーク」データとして適しておらず、したがって、削除してもよいほどであることを示す。ブロック1742’’からブロック1741への到着は、必要なZ高さ補正が、既に現在の画像(i)の現在の関心領域ROI(k)用に決定および記憶されたことを示す。したがって、ROI(k)からの画像データは、現在の画像(i)用にもはや必要とされず、メモリを節約するために削除してもよい。
【0159】
1741から、動作は、決定ブロック1743に進む。ブロック1743−1750は、図18Aまたは図18Bに関連して前に説明したブロックと同様または同一であってもよい。ブロック1750から、動作は、ブロック1770’に進み、そこで、各ROI(k)に対し、補正Z高さが、当該関心領域ROI(k)用にブロック1742’’で確立されたZ高さ補正値およびブロック1750で確立された最良焦点非補正Z高さに基づいて、当該関心領域ROI(k)用に決定される。補正Z高さが、ブロック1770’において、各所望のROI(k)用に決定されると、ルーチンは終了する。
【0160】
図18Aのルーチン1700’と比較して、図18Bおよび18Cのルーチン1700’’および1700’’’は、それぞれ、画像データ用に必要なメモリ量を低減可能で、多数の関心領域またはサブ領域用の補正Z高さを決定するための効率的な処理を可能にすることが理解されよう。いくつかの実施形態において、画像データは、(例えばブロック1740、1742’、1742’’および1741において)非常に迅速な分析および削除が可能なので、画像データ用の必要メモリは、少数の画像またはそれより少ない画像(例えば、ほぼ単一画像)にさえ対応するメモリに制限してもよいが、はるかに大きな画像スタックを取得および分析してもよい。
【0161】
本発明の好ましい実施形態を図示し説明したが、動作の特徴およびシーケンスの、図示し説明した構成の多くの変形が、本開示に基づいて当業者に明らかになろう。本発明の様々な態様は、別個に、または明示的に開示したもの以外の組み合わせおよびシーケンスで用いてもよい。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書において様々な変更をなし得ることが理解されよう。
【符号の説明】
【0162】
10・・・マシンビジョン検査システム、12・・・ビジョン測定マシン、14・・・制御コンピュータシステム、16・・・モニタ、18・・・プリンタ、20・・・ワークピース、22・・・ジョイスティック、24・・・キーボード、26・・・マウス、32・・・ワークピースステージ、34・・・光学撮像系、100・・・マシンビジョン検査システム、100’・・・マシンビジョン検査システム、120・・・制御システム部、125・・・コントローラ、130・・・入力/出力インタフェース、131・・・撮像制御インタフェース、132・・・動作制御インタフェース、132A・・・位置制御要素、132B・・・速度/加速制御要素、133・・・照明制御インタフェース、134・・・レンズ制御インタフェース、136・・・表示装置、138・・・入力装置、140・・・メモリ、141・・・画像ファイルメモリ部、142・・・パートプログラムメモリ部、143・・・ビデオツール部、143a−143m・・・ツール部、143f・・・オートフォーカスツール部、143fa・・・オートフォーカスモード制御部、143fb1・・・マルチ領域オートフォーカスツール、143fb2・・・マルチポイントオートフォーカスツール、143fc・・・個別オートフォーカスツール、143fd・・・近ピーク動作制御要素、143x・・・関心領域生成器、145・・・オートフォーカスツール、148・・・オートフォーカス補正部、148A・・・ルックアップテーブル生成器部、148B・・・ルックアップテーブルメモリ部、148C・・・補間部、148D・・・方向−強度決定部、170・・・パートプログラム生成器および実行器、180・・・CADファイル特徴抽出器、190・・・電源部、200・・・ビジョン構成要素部、205・・・光学アセンブリ部、210・・・ワークピースステージ、212・・・中央透明部、220・・・光源、221・・・信号線またはバス、222・・・光源光、230・・・光源、231・・・信号線またはバス、232・・・光源光、240・・・光源、241・・・信号線またはバス、242・・・光源光、250・・・交換可能対物レンズ、255・・・ワークピース光、260・・・カメラシステム、262・・・信号線、280・・・タレットレンズアセンブリ、281・・・信号線またはバス、284・・・軸、286・・・第1のタレットレンズ位置およびレンズ、288・・・第2のタレットレンズ位置およびレンズ、294・・・制御可能モータ、296・・・信号線、300A・・・理想的なストライプ表面、300B・・・理想的なストライプ表面、300C・・・異方性テクスチャ表面、300D・・・等方性テクスチャ表面、400・・・グラフ、410、412、414・・・グラフ線、500・・・構成基準器、500A・・・対象要素群、500B・・・対象要素群、510・・・等方性対象要素、512−517・・・列、522−525・・・行、520・・・平坦基板、600・・・非点収差誤差校正データ、700・・・視野、710−790・・・グラフ、795・・・矩形部、900A・・・理想的なストライプ表面、900B・・・ヒストグラム、900C・・・三角形カーネルの利用を示す図、910B、910D・・・ビン、1000A・・・テクスチャ表面、1000B・・・ヒストグラム、1100A・・・理想的なストライプ表面、1100B・・・グラフ、1200A・・・方向性テクスチャ表面、1200B・・・グラフ、1300A・・・粗いテクスチャ表面、1300B・・・グラフ、1500・・・ランタイムルーチン、1510−1540・・・ブロック、1600・・・ルーチン、1610−1640・・・ブロック、1700、1700’、1700’’、1700’’’・・・ルーチン、1700−1780、1715’−1770’、1742・・・ブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する焦点関心領域に基づき、マシンビジョン検査システムによって決定された少なくとも1つのZ高さ測定値を補正して、少なくとも1つの補正Z高さ測定値を提供する方法であって、
(a)対応する焦点関心領域に基づいてZ高さ測定値を決定するステップと、
(b)前記対応する焦点関心領域の十分に合焦された画像において、前記対応する焦点関心領域における画像内容用の傾き角度依存性を決定するステップと、
(c)校正用に用いられる焦点関心領域に基づいて、校正用に用いられる前記焦点関心領域における異方性画像内容の配向角度の変動に関連した、Z高さ測定結果の変動の特徴を含むZ高さ誤差校正データにアクセスするステップと、
(d)前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記Z高さ誤差校正データに基づいて、Z高さ誤差補正値を決定するステップと、
(e)前記Z高さ誤差補正値を用いて前記Z高さ測定値を補正して、前記補正Z高さ測定値を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記Z高さ誤差補正値が、前記Z高さ測定値に含まれる(i)非点収差誤差成分、(ii)非点収差誤差成分および静的光学誤差成分、および(iii)異方性誤差の少なくとも1つを補正する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対応する焦点関心領域に基づいて前記Z高さ測定値を決定するステップが、前記マシンビジョン検査システムに含まれる(i)表面タイプオートフォーカスツール、および(ii)エッジタイプオートフォーカスツールの1つを用いるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記Z高さ誤差校正データが、前記マシンビジョン検査システムの視野内における複数のそれぞれの箇所に対応するそれぞれのデータセットを含み、前記それぞれの箇所の各々に対し、前記それぞれの誤差校正データセットが、当該箇所における校正用に用いられる焦点関心領域に基づいて、当該箇所における校正用に用いられる前記焦点関心領域における異方性画像内容の配向角度の変動に関連した、Z高さ測定結果の変動を特徴付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記Z高さ誤差校正データに基づいてZ高さ誤差補正値を決定するステップが、
前記対応する焦点関心領域の箇所に最も近いそれぞれの箇所に対応する複数の前記それぞれの誤差校正データセットを識別するステップと、
前記識別された複数のそれぞれの誤差校正データセットに基づいて、前記対応する焦点関心領域の前記箇所に対応する補間された誤差校正データセットを推定するステップと、
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記対応する焦点関心領域の前記箇所に対応する前記補間された誤差校正データセットに基づいて、前記Z高さ誤差補正値を決定するステップと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別された複数のそれぞれの誤差校正データセットが、前記それぞれの誤差校正データセットの全てを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Z高さ誤差校正データが、前記マシンビジョン検査システムの第1の光学構成に対応する、視野内における複数のそれぞれの箇所に対応するそれぞれのデータセットの第1の群、および前記マシンビジョン検査システムの少なくとも第2の光学構成に対応する、視野内における複数のそれぞれの箇所に対応するそれぞれのデータセットの第2の群を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
配向角度の前記変動が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された配向角度セットを含み、
前記Z高さ誤差校正データが、前記配向角度セットの各それぞれの配向角度に対応するそれぞれの誤差値を含み、各それぞれの誤差値が、(a)非点収差誤差成分値、(b)非点収差誤差成分値プラス静的光学誤差成分値、および(c)異方性誤差値の1つを含み、
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記Z高さ誤差校正データに基づいて、前記Z高さ誤差補正値を決定するステップが、
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性に基づいて決定された重み付け係数によって、各それぞれの配向角度に対応する前記それぞれの誤差値を重み付けするステップと、
前記重み付けされたそれぞれの誤差値を合計して前記Z高さ誤差補正値を決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の傾き角度依存性を決定するステップが、
前記焦点関心領域の全体を通して分布された複数の画素のそれぞれに対応する勾配方向および勾配の大きさを決定するステップと、
前記配向角度セットに対応する配向角度ビンセットを有するヒストグラムを決定するステップであって、各ビンが、当該ビンの配向角度範囲に対応する勾配方向を有する、前記焦点関心領域全体を通して分布された前記複数の画素からの画素数によって少なくとも部分的に決定されたビン値を有するステップと、を含み、
前記重み付け係数によって、各それぞれの配向角度に対応する前記それぞれの誤差値に重み付けするステップが、各それぞれの配向角度に対応する前記それぞれの誤差値に、当該それぞれの配向角度に対応する前記ビン値に依存する値を乗算するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記焦点関心領域の前記画像内容が、少なくとも最も高い空間周波数を除去するためにフィルタリングされ、その後、前記勾配方向および大きさが決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記焦点関心領域の全体を通して分布された前記複数の画素からの画素が、その勾配の絶対値が所定のノイズ閾値より小さい場合には、前記ビン値を少なくとも部分的に決定する前記画素数には含まれない、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
各ビン値がまた、前記ビン値を少なくとも部分的に決定する前記画素数に含まれる画素用の前記勾配の絶対値に少なくとも部分的に依存する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒストグラムが、そのビン値の合計が1.0であるように正規化される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像が、前記対応する焦点関心領域用の最良焦点Z高さであるZ高さに対応して取得された画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像が、前記対応する焦点関心領域用の最良焦点Z高さに近いZ高さに対応して取得された画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのメンバ画像が、前記対応する焦点関心領域における表面用の最良焦点Z高さに近いZ高さに対応して取得された画像であるように、前記方法が、前記マシンビジョン検査システムの対応する周知のZ高さにおいて取得されたメンバ画像を含む画像スタックセットを取得するステップを含み、
ステップ「(a)」が、前記画像スタックセットに基づいて実行され、
前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像が、前記画像スタックセットから選択されたメンバである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記画像スタックセットの複数のそれぞれのメンバ用に、前記焦点関心領域に対応するそれぞれの焦点メトリックを決定するステップと、
前記対応する焦点関心領域における十分に合焦された画像を示す焦点メトリックを有する前記画像スタックセットのメンバである、前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像を選択するステップと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対応する焦点関心領域用の前記最良焦点メンバ画像であるということを示す焦点メトリックを有する画像スタックセットのメンバである、前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像を選択するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記画像スタックセットのそれぞれのメンバにおける前記焦点関心領域に対応する現在のそれぞれの焦点メトリックが、当該焦点関心領域用の前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリックより優れているかどうかを決定するステップと、
前記現在のそれぞれの焦点メトリックが、前記前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリックほどよくない場合には、前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に対応する画像データを、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素から削除するように、条件動作を実行するステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に対応する画像データを前記メモリ要素から削除するステップが、前記画像スタックセットの全てのメンバ画像の取得を完了する前に当該画像データを削除するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
条件動作を実行するステップであって、前記現在のそれぞれの焦点メトリックが、前記前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリックより優れている場合には、前記条件動作が、(a)前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に対応する画像データを、現行最良角度内容ソース画像として、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素に記憶するステップと、(b)前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に基づいて前記傾き角度依存性を決定し、当該傾き角度依存性を、現行最良傾き角度依存性として、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素に記憶するステップと、(c)前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に基づいて、傾き角度依存性および結果としてのZ高さ誤差補正値を決定し、前記Z高さ誤差補正値を、現行最良Z高さ誤差補正値として、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素に記憶するステップと、の少なくとも1つを含むように、条件動作を実行するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ステップa〜eを複数回実行して、複数のそれぞれの対応する焦点関心領域用に複数のそれぞれの補正Z高さ測定値を決定するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
各それぞれの対応する関心領域が、前記マシンビジョン検査システムのビデオツールによって定義される、全体的な関心領域、主要な関心領域、第2の関心領域、または関心サブ領域の少なくとも1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記ビデオツールが、オートフォーカスツール、マルチ領域オートフォーカスツール、またはマルチポイントオートフォーカスツールの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項25】
マシンビジョン検査システムによって決定されたZ高さ測定値を補正するために使用可能なZ高さ誤差校正データを提供するための方法であって、
(a)校正用に用いられる焦点関心領域を、前記マシンビジョン検査システムの視野における校正箇所に位置決めするステップと、
(b)校正用に用いられる異方性画像内容を提供するステップと、
(c)前記異方性画像内容を、校正用に用いられる前記焦点関心領域に位置決めするステップと、
(d)校正用に用いられる前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の配向角度の変動を提供するステップと、
(e)校正用に用いられる前記焦点関心領域に基づいて、Z高さ測定結果を決定するステップであって、前記Z高さ測定結果が、校正用に用いられる前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の前記配向角度の前記変動に関連する変動を含むステップと、
(f)視野における前記対応する校正箇所に対応するZ高さ誤差校正データを決定するステップであって、前記Z高さ誤差校正データが、校正用に用いられる前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の前記配向角度の前記変動に関連する、Z高さ測定結果の前記変動の特徴を含むステップと、
(g)視野における前記対応する校正箇所に対応する前記Z高さ誤差校正データを、前記マシンビジョン検査システムによってアクセス可能な記憶媒体に記憶するステップと、
を含む方法。
【請求項26】
Z高さ測定結果の前記変動の前記特徴が、前記Z高さ測定結果に含まれる(a)非点収差誤差成分、(b)非点収差誤差成分および静的光学誤差成分、および(c)異方性誤差の少なくとも1つを特徴付ける、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の配向角度の変動を提供するステップが、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された配向角度セットを提供するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(b)が、構成基準器を提供するステップを含み、前記構成基準器が、それぞれの配向角度において前記異方性画像内容を提供するそれぞれの異方性対象要素のセットを含み、前記それぞれの配向角度が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(d)が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットに対応する前記それぞれの異方性対象要素のそれぞれを位置決めして、前記要素の異方性画像内容が、前記要素のそれぞれの配向角度において、校正用に用いられる前記焦点関心領域に現れるようにするステップを含み、
ステップ(e)が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットに対応する前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれに対してZ高さ測定結果を決定するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
Z高さ測定結果を決定するステップが、校正用に用いられる前記焦点関心領域に基づいてオートフォーカス動作を実行するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれのための真のZ高さを決定するステップと、
前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれのために測定された前記Z高さ測定結果および前記真のZ高さに基づいて、前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれに対応する異方性誤差を決定するステップと、
をさらに含み、
ステップ(f)が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットに関連して、前記異方性誤差の特徴を含むZ高さ誤差校正データを決定するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記構成基準器が、等方性画像内容を提供する、それぞれの等方性対象要素のセットをさらに含み、
前記方法が、
それぞれの等方性対象要素の前記セットを各メンバを位置決めして、前記メンバの等方性画像内容が、校正用に用いられる前記焦点関心領域に現れるようにするステップと、
それぞれの等方性対象要素の前記セットの前記位置決めされたメンバに対応する等方性Z高さ測定値セットを決定するステップと、
前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれのための前記真のZ高さを決定する際に前記等方性Z高さ測定値セットを用いるステップと、をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(f)において、Z高さ誤差校正データを決定するステップが、
ステップ(e)の前記Z高さ測定結果を決定する間に用いられるそれぞれの配向角度のセットに対応するそれぞれの異方性誤差のセットを決定するステップと、
前記それぞれの配向角度に関連する前記それぞれの異方性誤差の表示を含む異方性誤差校正データを決定するステップと、
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(a)〜(g)が、前記視野における複数の異なる校正箇所において繰り返され、
全ての前記校正箇所からの前記それぞれの異方性誤差の平均値が、全ての前記校正箇所からの前記それぞれの異方性誤差のそれぞれから減算されて、それぞれの結果としての値を提供し、
前記異方性誤差校正データにおいて、前記それぞれの結果としての値が、前記それぞれの配向角度に関連する前記それぞれの異方性誤差の前記表示において用いられる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(a)〜(g)が、前記視野における複数の異なる校正箇所において繰り返される、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
請求項24に記載の方法が、前記マシンビジョン検査システムの複数の異なる光学構成用に繰り返される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
マシンビジョン検査システム用のZ高さ誤差校正データを提供するための方法において用いられる構成基準器であって、前記構成基準器が、
平坦基板と、
前記平坦基板に配置されたそれぞれの異方性対象要素の第1のセットであって、各それぞれの異方性対象要素が同様の異方性特徴を含むセットと、
を含み、
前記同様の異方性特徴が、異なるそれぞれの異方性対象要素において異なるそれぞれの配向角度に配置される構成基準器。
【請求項38】
前記異なるそれぞれの配向角度が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された配向角度セットを含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項39】
前記均一に離間されたステップが、15度以下離れている、請求項38に記載の構成基準器。
【請求項40】
前記均一に離間されたステップが、7.5度以下離れている、請求項39に記載の構成基準器。
【請求項41】
前記均一に離間されたステップが、5度、7.5度および15度の1つであるステップサイズを含む、請求項38に記載の構成基準器。
【請求項42】
前記異方性対象要素のそれぞれが、前記異方性対象要素によって校正されるように意図された光学構成の視野よりわずかに大きいように設計される、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項43】
前記同様の異方性特徴が、平行線のパターンを含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項44】
前記同様の異方性特徴が、(a)平行線のパターンと、(b)テクスチャパターンと、(c)線テクスチャパターンと、(d)明領域と暗領域との間の単一境界線と、の1つを含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項45】
それぞれの等方性対象要素の第1のセットをさらに含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項46】
前記それぞれの等方性対象要素のそれぞれが、交互する同心のより明るい円およびより暗い円のパターンを含む、請求項45に記載の構成基準器。
【請求項47】
それぞれの等方性対象要素の前記第1のセットに、それぞれの異方性対象要素の前記第1のセットが点在している、請求項45に記載の構成基準器。
【請求項48】
それぞれの等方性対象要素の前記第1のセットおよびそれぞれの異方性対象要素の前記第1のセットが、前記構成基準器の第1の要素群を形成し、前記構成基準器が、前記第1の要素群と同様の第2の要素群をさらに含むが、しかしこの第2の要素群では全ての寸法が、前記第1の要素群と比較して、1.0倍未満だけスケーリングされる、請求項47に記載の構成基準器。
【請求項49】
それぞれの等方性対象要素の前記第1のセットが、前記構成基準器の第1の要素群を形成し、前記構成基準器が、前記第1の要素群と同様の第2の要素群をさらに含むが、しかしこの第2の要素群では全ての寸法が、前記第1の要素群と比較して、0.5倍以下だけスケーリングされる、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項1】
対応する焦点関心領域に基づき、マシンビジョン検査システムによって決定された少なくとも1つのZ高さ測定値を補正して、少なくとも1つの補正Z高さ測定値を提供する方法であって、
(a)対応する焦点関心領域に基づいてZ高さ測定値を決定するステップと、
(b)前記対応する焦点関心領域の十分に合焦された画像において、前記対応する焦点関心領域における画像内容用の傾き角度依存性を決定するステップと、
(c)校正用に用いられる焦点関心領域に基づいて、校正用に用いられる前記焦点関心領域における異方性画像内容の配向角度の変動に関連した、Z高さ測定結果の変動の特徴を含むZ高さ誤差校正データにアクセスするステップと、
(d)前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記Z高さ誤差校正データに基づいて、Z高さ誤差補正値を決定するステップと、
(e)前記Z高さ誤差補正値を用いて前記Z高さ測定値を補正して、前記補正Z高さ測定値を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記Z高さ誤差補正値が、前記Z高さ測定値に含まれる(i)非点収差誤差成分、(ii)非点収差誤差成分および静的光学誤差成分、および(iii)異方性誤差の少なくとも1つを補正する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対応する焦点関心領域に基づいて前記Z高さ測定値を決定するステップが、前記マシンビジョン検査システムに含まれる(i)表面タイプオートフォーカスツール、および(ii)エッジタイプオートフォーカスツールの1つを用いるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記Z高さ誤差校正データが、前記マシンビジョン検査システムの視野内における複数のそれぞれの箇所に対応するそれぞれのデータセットを含み、前記それぞれの箇所の各々に対し、前記それぞれの誤差校正データセットが、当該箇所における校正用に用いられる焦点関心領域に基づいて、当該箇所における校正用に用いられる前記焦点関心領域における異方性画像内容の配向角度の変動に関連した、Z高さ測定結果の変動を特徴付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記Z高さ誤差校正データに基づいてZ高さ誤差補正値を決定するステップが、
前記対応する焦点関心領域の箇所に最も近いそれぞれの箇所に対応する複数の前記それぞれの誤差校正データセットを識別するステップと、
前記識別された複数のそれぞれの誤差校正データセットに基づいて、前記対応する焦点関心領域の前記箇所に対応する補間された誤差校正データセットを推定するステップと、
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記対応する焦点関心領域の前記箇所に対応する前記補間された誤差校正データセットに基づいて、前記Z高さ誤差補正値を決定するステップと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別された複数のそれぞれの誤差校正データセットが、前記それぞれの誤差校正データセットの全てを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Z高さ誤差校正データが、前記マシンビジョン検査システムの第1の光学構成に対応する、視野内における複数のそれぞれの箇所に対応するそれぞれのデータセットの第1の群、および前記マシンビジョン検査システムの少なくとも第2の光学構成に対応する、視野内における複数のそれぞれの箇所に対応するそれぞれのデータセットの第2の群を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
配向角度の前記変動が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された配向角度セットを含み、
前記Z高さ誤差校正データが、前記配向角度セットの各それぞれの配向角度に対応するそれぞれの誤差値を含み、各それぞれの誤差値が、(a)非点収差誤差成分値、(b)非点収差誤差成分値プラス静的光学誤差成分値、および(c)異方性誤差値の1つを含み、
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性、および前記Z高さ誤差校正データに基づいて、前記Z高さ誤差補正値を決定するステップが、
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の前記傾き角度依存性に基づいて決定された重み付け係数によって、各それぞれの配向角度に対応する前記それぞれの誤差値を重み付けするステップと、
前記重み付けされたそれぞれの誤差値を合計して前記Z高さ誤差補正値を決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記対応する焦点関心領域における前記画像内容用の傾き角度依存性を決定するステップが、
前記焦点関心領域の全体を通して分布された複数の画素のそれぞれに対応する勾配方向および勾配の大きさを決定するステップと、
前記配向角度セットに対応する配向角度ビンセットを有するヒストグラムを決定するステップであって、各ビンが、当該ビンの配向角度範囲に対応する勾配方向を有する、前記焦点関心領域全体を通して分布された前記複数の画素からの画素数によって少なくとも部分的に決定されたビン値を有するステップと、を含み、
前記重み付け係数によって、各それぞれの配向角度に対応する前記それぞれの誤差値に重み付けするステップが、各それぞれの配向角度に対応する前記それぞれの誤差値に、当該それぞれの配向角度に対応する前記ビン値に依存する値を乗算するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記焦点関心領域の前記画像内容が、少なくとも最も高い空間周波数を除去するためにフィルタリングされ、その後、前記勾配方向および大きさが決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記焦点関心領域の全体を通して分布された前記複数の画素からの画素が、その勾配の絶対値が所定のノイズ閾値より小さい場合には、前記ビン値を少なくとも部分的に決定する前記画素数には含まれない、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
各ビン値がまた、前記ビン値を少なくとも部分的に決定する前記画素数に含まれる画素用の前記勾配の絶対値に少なくとも部分的に依存する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒストグラムが、そのビン値の合計が1.0であるように正規化される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像が、前記対応する焦点関心領域用の最良焦点Z高さであるZ高さに対応して取得された画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像が、前記対応する焦点関心領域用の最良焦点Z高さに近いZ高さに対応して取得された画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのメンバ画像が、前記対応する焦点関心領域における表面用の最良焦点Z高さに近いZ高さに対応して取得された画像であるように、前記方法が、前記マシンビジョン検査システムの対応する周知のZ高さにおいて取得されたメンバ画像を含む画像スタックセットを取得するステップを含み、
ステップ「(a)」が、前記画像スタックセットに基づいて実行され、
前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像が、前記画像スタックセットから選択されたメンバである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記画像スタックセットの複数のそれぞれのメンバ用に、前記焦点関心領域に対応するそれぞれの焦点メトリックを決定するステップと、
前記対応する焦点関心領域における十分に合焦された画像を示す焦点メトリックを有する前記画像スタックセットのメンバである、前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像を選択するステップと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対応する焦点関心領域用の前記最良焦点メンバ画像であるということを示す焦点メトリックを有する画像スタックセットのメンバである、前記対応する焦点関心領域の前記十分に合焦された画像を選択するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記画像スタックセットのそれぞれのメンバにおける前記焦点関心領域に対応する現在のそれぞれの焦点メトリックが、当該焦点関心領域用の前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリックより優れているかどうかを決定するステップと、
前記現在のそれぞれの焦点メトリックが、前記前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリックほどよくない場合には、前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に対応する画像データを、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素から削除するように、条件動作を実行するステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に対応する画像データを前記メモリ要素から削除するステップが、前記画像スタックセットの全てのメンバ画像の取得を完了する前に当該画像データを削除するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
条件動作を実行するステップであって、前記現在のそれぞれの焦点メトリックが、前記前に記憶されたかまたはデフォルトの現行最良焦点メトリックより優れている場合には、前記条件動作が、(a)前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に対応する画像データを、現行最良角度内容ソース画像として、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素に記憶するステップと、(b)前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に基づいて前記傾き角度依存性を決定し、当該傾き角度依存性を、現行最良傾き角度依存性として、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素に記憶するステップと、(c)前記画像スタックの当該それぞれのメンバにおける当該焦点関心領域に基づいて、傾き角度依存性および結果としてのZ高さ誤差補正値を決定し、前記Z高さ誤差補正値を、現行最良Z高さ誤差補正値として、前記マシンビジョン検査システムのメモリ要素に記憶するステップと、の少なくとも1つを含むように、条件動作を実行するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ステップa〜eを複数回実行して、複数のそれぞれの対応する焦点関心領域用に複数のそれぞれの補正Z高さ測定値を決定するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
各それぞれの対応する関心領域が、前記マシンビジョン検査システムのビデオツールによって定義される、全体的な関心領域、主要な関心領域、第2の関心領域、または関心サブ領域の少なくとも1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記ビデオツールが、オートフォーカスツール、マルチ領域オートフォーカスツール、またはマルチポイントオートフォーカスツールの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項25】
マシンビジョン検査システムによって決定されたZ高さ測定値を補正するために使用可能なZ高さ誤差校正データを提供するための方法であって、
(a)校正用に用いられる焦点関心領域を、前記マシンビジョン検査システムの視野における校正箇所に位置決めするステップと、
(b)校正用に用いられる異方性画像内容を提供するステップと、
(c)前記異方性画像内容を、校正用に用いられる前記焦点関心領域に位置決めするステップと、
(d)校正用に用いられる前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の配向角度の変動を提供するステップと、
(e)校正用に用いられる前記焦点関心領域に基づいて、Z高さ測定結果を決定するステップであって、前記Z高さ測定結果が、校正用に用いられる前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の前記配向角度の前記変動に関連する変動を含むステップと、
(f)視野における前記対応する校正箇所に対応するZ高さ誤差校正データを決定するステップであって、前記Z高さ誤差校正データが、校正用に用いられる前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の前記配向角度の前記変動に関連する、Z高さ測定結果の前記変動の特徴を含むステップと、
(g)視野における前記対応する校正箇所に対応する前記Z高さ誤差校正データを、前記マシンビジョン検査システムによってアクセス可能な記憶媒体に記憶するステップと、
を含む方法。
【請求項26】
Z高さ測定結果の前記変動の前記特徴が、前記Z高さ測定結果に含まれる(a)非点収差誤差成分、(b)非点収差誤差成分および静的光学誤差成分、および(c)異方性誤差の少なくとも1つを特徴付ける、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記焦点関心領域における前記異方性画像内容の配向角度の変動を提供するステップが、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された配向角度セットを提供するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(b)が、構成基準器を提供するステップを含み、前記構成基準器が、それぞれの配向角度において前記異方性画像内容を提供するそれぞれの異方性対象要素のセットを含み、前記それぞれの配向角度が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(d)が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットに対応する前記それぞれの異方性対象要素のそれぞれを位置決めして、前記要素の異方性画像内容が、前記要素のそれぞれの配向角度において、校正用に用いられる前記焦点関心領域に現れるようにするステップを含み、
ステップ(e)が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットに対応する前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれに対してZ高さ測定結果を決定するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
Z高さ測定結果を決定するステップが、校正用に用いられる前記焦点関心領域に基づいてオートフォーカス動作を実行するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれのための真のZ高さを決定するステップと、
前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれのために測定された前記Z高さ測定結果および前記真のZ高さに基づいて、前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれに対応する異方性誤差を決定するステップと、
をさらに含み、
ステップ(f)が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された前記配向角度セットに関連して、前記異方性誤差の特徴を含むZ高さ誤差校正データを決定するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記構成基準器が、等方性画像内容を提供する、それぞれの等方性対象要素のセットをさらに含み、
前記方法が、
それぞれの等方性対象要素の前記セットを各メンバを位置決めして、前記メンバの等方性画像内容が、校正用に用いられる前記焦点関心領域に現れるようにするステップと、
それぞれの等方性対象要素の前記セットの前記位置決めされたメンバに対応する等方性Z高さ測定値セットを決定するステップと、
前記位置決めされたそれぞれの異方性対象要素のそれぞれのための前記真のZ高さを決定する際に前記等方性Z高さ測定値セットを用いるステップと、をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(f)において、Z高さ誤差校正データを決定するステップが、
ステップ(e)の前記Z高さ測定結果を決定する間に用いられるそれぞれの配向角度のセットに対応するそれぞれの異方性誤差のセットを決定するステップと、
前記それぞれの配向角度に関連する前記それぞれの異方性誤差の表示を含む異方性誤差校正データを決定するステップと、
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(a)〜(g)が、前記視野における複数の異なる校正箇所において繰り返され、
全ての前記校正箇所からの前記それぞれの異方性誤差の平均値が、全ての前記校正箇所からの前記それぞれの異方性誤差のそれぞれから減算されて、それぞれの結果としての値を提供し、
前記異方性誤差校正データにおいて、前記それぞれの結果としての値が、前記それぞれの配向角度に関連する前記それぞれの異方性誤差の前記表示において用いられる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(a)〜(g)が、前記視野における複数の異なる校正箇所において繰り返される、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
請求項24に記載の方法が、前記マシンビジョン検査システムの複数の異なる光学構成用に繰り返される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
マシンビジョン検査システム用のZ高さ誤差校正データを提供するための方法において用いられる構成基準器であって、前記構成基準器が、
平坦基板と、
前記平坦基板に配置されたそれぞれの異方性対象要素の第1のセットであって、各それぞれの異方性対象要素が同様の異方性特徴を含むセットと、
を含み、
前記同様の異方性特徴が、異なるそれぞれの異方性対象要素において異なるそれぞれの配向角度に配置される構成基準器。
【請求項38】
前記異なるそれぞれの配向角度が、ゼロ度から少なくとも180度マイナス1ステップまでの範囲にわたって、均一に離間されたステップによって分離された配向角度セットを含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項39】
前記均一に離間されたステップが、15度以下離れている、請求項38に記載の構成基準器。
【請求項40】
前記均一に離間されたステップが、7.5度以下離れている、請求項39に記載の構成基準器。
【請求項41】
前記均一に離間されたステップが、5度、7.5度および15度の1つであるステップサイズを含む、請求項38に記載の構成基準器。
【請求項42】
前記異方性対象要素のそれぞれが、前記異方性対象要素によって校正されるように意図された光学構成の視野よりわずかに大きいように設計される、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項43】
前記同様の異方性特徴が、平行線のパターンを含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項44】
前記同様の異方性特徴が、(a)平行線のパターンと、(b)テクスチャパターンと、(c)線テクスチャパターンと、(d)明領域と暗領域との間の単一境界線と、の1つを含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項45】
それぞれの等方性対象要素の第1のセットをさらに含む、請求項37に記載の構成基準器。
【請求項46】
前記それぞれの等方性対象要素のそれぞれが、交互する同心のより明るい円およびより暗い円のパターンを含む、請求項45に記載の構成基準器。
【請求項47】
それぞれの等方性対象要素の前記第1のセットに、それぞれの異方性対象要素の前記第1のセットが点在している、請求項45に記載の構成基準器。
【請求項48】
それぞれの等方性対象要素の前記第1のセットおよびそれぞれの異方性対象要素の前記第1のセットが、前記構成基準器の第1の要素群を形成し、前記構成基準器が、前記第1の要素群と同様の第2の要素群をさらに含むが、しかしこの第2の要素群では全ての寸法が、前記第1の要素群と比較して、1.0倍未満だけスケーリングされる、請求項47に記載の構成基準器。
【請求項49】
それぞれの等方性対象要素の前記第1のセットが、前記構成基準器の第1の要素群を形成し、前記構成基準器が、前記第1の要素群と同様の第2の要素群をさらに含むが、しかしこの第2の要素群では全ての寸法が、前記第1の要素群と比較して、0.5倍以下だけスケーリングされる、請求項37に記載の構成基準器。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【公開番号】特開2011−153905(P2011−153905A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−15420(P2010−15420)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15420(P2010−15420)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
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