説明

マスキング部材及びめっき方法

【課題】 ワークを段積みして電気めっきにより一括してめっき皮膜を形成するに際し、より均一な膜厚及び膜質を得られると共に、より短時間でめっき皮膜を形成し得るマスキング部材及びめっき方法を提供すること。
【解決手段】 貫通した開口部を有するワークWを、当該開口部が互いに連通するように複数段積みにして各々の前記ワークの前記開口部の内周面にめっき皮膜を電気めっきにより一括析出する際に、隣接する前記ワーク間に液密に介挿されるマスキング部材10において、前記開口部と略同形状の穴部と、前記穴部を規定する端縁12の両側部にそれぞれ形成され、当該端縁の両側部を前記ワークと離間させる切り欠き13と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のワークを段積みして電気めっきによりめっき皮膜を一括して形成する際に、各ワーク間に介挿されるマスキング部材及びこれを用いためっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンのシリンダ内周面のような摺動面には、その耐磨耗性を確保するために電気めっきにより各種のめっき皮膜が形成される。電気めっきによりめっき皮膜を形成する場合の問題点として、被めっき箇所の形状に依存して膜厚や膜質の不均一を生じることが知られている。これは、例えば、被めっき箇所が平坦な部分とエッジ状の部分とで電極からの電流密度が局所的に異なるために生じるものであり、エッジ状の部分においては電流密度が大きくなるため、めっきが多く析出してしまって狙った膜厚よりも厚い膜厚が形成されたり、析出しためっき粒子が粗くなる。このような現象は、比較的厚みの厚いめっき皮膜を形成する場合に傾向にあり、また、Crめっきのようにより大きな電流密度が必要とされるめっき皮膜の形成時に顕著に現れる。膜厚や膜質の不均一が発生すると、これを改善するためのめっき後の機械加工に手間がかかると共に、めっき皮膜を破損しかねない。
【0003】
このような問題の改善方法として、エッジ部分近傍にワークと導通した補助電極部材を設けて、この補助電極に意図的にめっきを析出させる一方でエッジ部分の電流密度を下げる方法、陽極とワークのエッジ部分との間においてエッジ部分に流れ込む電流を減少させる遮蔽物を配置する方法等が提案されており、実用化されている。しかし、これらの方法はワークの形状によっては補助電極部材や遮蔽物の設置が困難となり、採用できない場合がある。
【0004】
別の改善方法としては例えば特許文献1に記載されるように電極の極性を所定の間隔で反転させるPR法と呼ばれるめっき法も提案されている。このPR法では、電極の極性を反転することでめっき皮膜の析出とエッチングとを交互に行なうものであり上記の問題を改善し得るものであるが、めっき皮膜のエッチングが行なわれるため、意図する膜厚のめっき皮膜が析出されるまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
ところで、ワークが貫通した開口部を有する筒状をなし、その内周面にめっき皮膜を形成する場合には、工程数の削減のため、複数のワークをその開口部が同芯上に位置するように上下に段積みし、相互に連通した開口部内に電極を設けると共に開口部内にめっき液を流し込み、各ワークの内周面にめっき皮膜を一括析出する方法が採用される場合がある。この方法では複数のワークに一括してめっき皮膜を形成できるだけでなく、めっき浴槽の小型化を図れると共に、めっき浴槽の小型化に伴って排水処理が比較的簡易であるという利点を有する。また、この方法では段積みされたワーク間にめっき液が漏出することを防止するため並びに複数のワーク間に跨ってめっき皮膜が連続して形成されることを防止するために、ワーク間をシールするマスキング部材が併用される。マスキング部材はワークの開口部と略同形状の穴部を有すると共に、非導電性の材料を用いて形成され、ワークの開口部内に露出するマスキング部材の端縁にめっき皮膜が形成されないようにされる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−107751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、マスキング部材の穴部の形状をワークの開口部の形状と完全に一致させることはそもそも容易ではないが、仮に両者の形状を完全に一致させて開口部の内周面とマスキング部材の端縁とを面一にできたとしても、隣接する各ワーク間の境界部分において電流密度が局所的に小さくなり、開口部の内周面の他の部分と比べて当該境界部分においてめっき皮膜が薄くなる。また、マスキング部材の端縁が開口部内に突出すると、その周囲にガス溜まりが生じてワークの境界部分において緻密なめっき皮膜が得られない場合がある。逆に、マスキング部材の端縁が開口部の内周面から引っ込む場合には、隣接する各ワーク間の境界部分に空隙を生じてエッジ状の部分が生じ、電流密度が局所的に大きくなってめっき皮膜が過剰に析出されてしまう。
【0008】
従って、本発明の目的は、ワークを段積みして電気めっきにより一括してめっき皮膜を形成するに際し、より均一な膜厚及び膜質を得られると共に、より短時間でめっき皮膜を形成し得るマスキング部材及びめっき方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、貫通した開口部を有するワークを、当該開口部が互いに連通するように複数段積みにして各々の前記ワークの前記開口部の内周面にめっき皮膜を電気めっきにより一括析出する際に、隣接する前記ワーク間に液密に介挿されるマスキング部材において、前記開口部と略同形状の穴部と、前記穴部を規定する端縁の両側部にそれぞれ形成され、当該端縁の両側部を前記ワークと離間させる切り欠きと、を有することを特徴とするマスキング部材が提供される。
【0010】
本発明のマスキング部材によれば、前記穴部を前記開口部と略同形状とする一方で前記端縁の両側部に前記切り欠きを設けることで、段積みされた前記ワークの境界部分に作用する電流の電流密度の大きさを、他の部分に作用する電流の電流密度の大きさに略一致させることができ、より均一な膜厚及び膜質を得られる。また、前記境界部分に過剰なめっき皮膜が析出されることを防止するために上記のPR法のような電極の極性の反転は必要なく、より短時間でめっき皮膜が形成できる。
【0011】
本発明においては、前記切り欠きがテーパ形状の切り欠き又は断面が略L字型の切り欠きである構成を採用できる。このような切り欠きであれば、前記境界部分に作用する電流の電流密度の大きさをより簡易に調整できる。
【0012】
また、本発明においては、前記マスキング部材は複数枚の板状の部材を積層して形成されたものである構成を採用できる。この構成によれば、前記切り欠きをより簡易に形成できる。
【0013】
また、本発明においては、前記マスキング部材は、独立気泡構造の発泡樹脂からなる構成を採用できる。この構成によれば、前記マスキング部材の液密性と非導電性とを簡易に得られる。
【0014】
また、本発明によれば、貫通した開口部を有するワークを、当該開口部が互いに連通するように複数段積みにして各々の前記ワークの前記開口部の内周面にめっき皮膜を電気めっきにより一括析出するめっき方法において、隣接する前記ワーク間に液密にマスキング部材を介挿し、該マスキング部材が、前記開口部と略同形状の穴部と、前記穴部を規定する端縁の両側部にそれぞれ形成され、当該端縁の両側部を前記ワークと離間させる切り欠きと、を有することを特徴とするめっき方法が提供される。
【0015】
本発明のめっき方法によれば、前記穴部を前記開口部と略同形状とする一方で前記端縁の両側部に前記切り欠きを設けることで、段積みされた前記ワークの境界部分に作用する電流の電流密度の大きさを、他の部分に作用する電流の電流密度の大きさに略一致させることができ、より均一な膜厚及び膜質を得られる。また、前記境界部分に過剰なめっき皮膜が析出されることを防止するために上記のPR法のような電極の極性の反転は必要なく、より短時間でめっき皮膜が形成できる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べた通り、本発明によれば、ワークを段積みして電気めっきにより一括してめっき皮膜を形成するに際し、より均一な膜厚及び膜質を得られると共に、より短時間でめっき皮膜を形成し得るマスキング部材及びめっき方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明のめっき方法を実施可能な電気めっき設備Aの構成概略図である。電気めっき設備Aは、めっき皮膜を形成する対象となるワークW1〜W10(総称するときは単にワークWという。)が載置される中空の載置部1と、ワークWの上方に配設される蓋部2と、載置部1の下方に配設され、めっき液が貯留される浴槽3と、浴槽3内のめっき液を圧送するポンプ4と、ポンプ4から圧送されるめっき液を蓋部2周囲に導く円筒状の配管5と、配管5の外周に配設された円筒状の電極6と、電極6とワークWとの間に電流を流す電源回路7と、を備える。
【0018】
ワークW1乃至W10はいずれも同種のワークであり、上下方向に段積みされている。隣接するワーク間にはマスキング部材10が介挿されている。図2はワークW及びマスキング部材10の斜視図である。ワークWは本実施形態ではロータリエンジンのロータハウジングを想定している。ワークWはその互いに向かい合う端面間を貫通する開口部Waを有する筒状をなしており、開口部Waの内周面(ワークWの内周面)がめっき皮膜の形成対象となる。
【0019】
マスキング部材10は平板状の部材からなり、開口部Waと略同形状の穴部11を有する。本実施形態ではワークWの端面が略平坦面である場合を想定しているため、マスキング部材10を平板状の部材から構成しているが、ワークWの端面に凹凸がある場合は、その端面形状に即した形状に構成できる。また、本実施形態では開口部Waの断面形状がワークWの厚み方向の各箇所でいずれも略等しい場合を想定するが、開口部Waの断面形状がワークWの厚み方向の各箇所で異なる場合、穴部11の形状は開口部Waの端部の断面形状と略同形状に設定される。
【0020】
穴部11を規定するマスキング部材10の端縁12の両側部(図2では上下側部)には切り欠き13が形成されている。本実施形態では切り欠き13はその断面が略L字型の切り欠きとして形成され、端縁12はその両側部に厚みの段差が付けられた段付き形状になっている。図1に示すように、ワークW1〜W10はそれぞれの開口部Waが互いに連通するように段積みされ、全体として筒状をなして、配管5及び電極6を内包するようにして載置部1上に載置される。隣接するワークW間にはそれぞれマスキング部材10がその穴部11と開口部Waとが略一致するように介挿され、ボルト(不図示)による締結等によりワークWとマスキング部材10とが一体的に固定される。切り欠き13は、マスキング部材10の端縁のうち、最端面12aはワークWの開口部Waの表面と略面一か、開口部Waの中心側へ僅かに突出するように、また、切り欠き13により形成された奥側端面12bは、開口部Waの表面よりも奥まった位置(ワークW及びマスキング部材10の外周側)に位置するように形成される。切り欠き13を設けたことにより、端縁12の両側部はワークWの端面から離間している。
【0021】
マスキング部材10はワークW間で圧接状態とされ、隣接するワークWの端面間にめっき液が漏出しないように液密に介挿される。マスキング部材10はワークW間のシール材として機能すると共に端縁12にめっき皮膜が形成されないように非導電性を有することが必要となる。従って、一定の弾性を有する非導電性材料から構成されることが望ましく、例えば、独立気泡構造の発泡樹脂から構成すれば気泡の存在により弾性を有して液密性を発揮し、また、非導電性の物質であることからマスキング部材10の液密性と非導電性とを簡易に得られる。
【0022】
しかして、図1に示すように、ワークWの内周面にめっき皮膜を形成する場合には、ポンプ4により浴槽3からめっき液を圧送する。めっき液は電極6とワークWの内周面との空隙を通って上昇し、蓋部2の内部に至る。めっき液は蓋部2から配管5を通って流れ落ち、浴槽3へ還流し、再びポンプ4により圧送されることになる。このようにしてめっき液が循環する。また、電源回路7により電極6を正電位にワークWを負電位に設定して通電することで、電極6からワークWの内周面に向けて電流が流れ、各ワークWの内周面にめっき皮膜が一括して析出されることになる。
【0023】
次に、マスキング部材10の端縁12に切り欠き13を設けたことによる作用について説明する。図3(a)はマスキング部材10の端縁12周辺の電流分布を示す図であり、矢印が電流の経路を示す。図3(b)及び(c)は比較例として切り欠き13の無い従来のマスキング部材20、30を用いた場合の端縁周辺の電流分布を示す図であり、図3(b)はマスキング部材20の端面をワークWの内周面と略面一にした場合、図3(c)はマスキング部材30の端面をワークWの内周面よりも奥側にした場合を示す。
【0024】
まず、図3(b)の例では、マスキング部材20に電流が流れないので、ワークWの内周面のうち、ワークWの端面近傍では電流密度が他の箇所よりも小さくなる。なお、図3(b)では、マスキング部材20に近づくに従って矢印の間隔が大きくなっているが、これは電流密度が減少していることを表している。従って、形成されるめっき皮膜は、線Lbでその輪郭を示すようにワークWの端面近傍において他の箇所よりも薄くなってしまい、狙った膜厚が得られない。従って、ワークWの内周面に略均一な所定膜厚のめっき皮膜を形成するのに大幅な処理時間を要することになる。
【0025】
次に、図3(c)の例では、マスキング部材30の端面がワークWの内周面よりも奥側に位置していることからワークWnとワークWn+1との境界部分においてエッジ状の部分が生じ、内周面のみならずワークWnの上端面、ワークWn+1の下端面にも電流が流れ込む。このため、ワークWの端面近傍では電流密度が他の箇所よりも大きくなる。なお、図3(c)では、マスキング部材20に近づくに従って矢印の間隔が小さくなっているが、これは電流密度が高まっていることを表している。従って、形成されるめっき皮膜は、線Lcでその輪郭を示すようにワークWの端面近傍において他の箇所よりも厚くなってしまい、やはり狙った膜厚が得られない。また、電流密度が大きいのでめっき析出粒子が粗大化して、めっき処理後の研削加工時に欠けてしまう虞もある。
【0026】
一方、図3(a)に示すように本実施形態のマスキング部材10では、切り欠き13を設けたことにより、ワークWnとワークWn+1との境界部分においてエッジ状の部分が生じるので内周面のみならずワークWnの上端面、ワークWn+1の下端面にも電流が流れるが、切り欠き13に挟まれる部分の存在により、図3(c)の場合よりも流れる電流は小さくなる。従って、図3(b)の例のようにワークWの端面近傍において電流密度が他の箇所よりも小さくならず、かつ、図3(b)のように大きくもならない。なお、図3(a)では、マスキング部材20に近づくか否かに関わらず、矢印の間隔が略均等となっているが、これは電流密度にほとんど変化がないことを表している。しかして、形成されるめっき皮膜は線Laでその輪郭を示すようにワークWの端面近傍も他の箇所と略同じ膜厚となり、狙った膜厚が得られる。つまり、切り欠き13の、マスキング部材10の厚み方向の幅を調整することでワークWの端面近傍の電流密度を調整でき、めっき皮膜の膜厚を最適化できる。
【0027】
以上のように、本実施形態では、マスキング部材10の穴部11を開口部Waと略同形状とする一方で端縁12の両側部に切り欠き13を設けることで、段積みされたワークWの境界部分に作用する電流の電流密度の大きさを、他の部分に作用する電流の電流密度の大きさに略一致させることができ、より均一な膜厚及び膜質を得られる。また、PR法のような電極の極性の反転は必要なく、より短時間でめっき皮膜が形成できる。
【0028】
<他の実施形態>
上記実施形態では、切り欠き13をその断面が略L字型の切り欠きとして形成したが、ワークWと端縁12とを離間させることができればどのような形状でもよく、例えば、図4(a)に示すように、端縁12の厚みを穴部11側へ向かうにつれて小さくするテーパ形状の切り欠き13’としてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、マスキング部材10を一体成形品の板状の部材としたが、複数枚の板状の部材を積層して形成してもよい。図4(b)はその例を示すマスキング部材10’の部分断面図であり、面方向の幅が異なる板状の部材10a、10bを用い、部材10bの両側に部材10aを配設して積層した例である。この構成によれば、切り欠き13をより簡易に形成できる。
【0030】
<実施例>
以下、図3(a)に示す切り欠き13を有するマスキング部材10を用いた場合の実施例について、図3(c)に示す切り欠きが無くかつ端面がワークWの内周面よりも奥側に位置しているマスキング30を用いた場合を比較例として説明する。
【0031】
1.めっき液の浴組成(単位:g/l)
CrO3:260
2SO4:2.9
Mo:60
Cr23:4(±3)
Fe3+:5以下
【0032】
2.マスキング部材
板厚:3mm
切り欠き13:厚み方向に1mm、面方向に3mm
なお、マスキング部材30の端面はワークWの内周面から3mm奥側とした。
【0033】
3.ワーク
12個のワークWを段積みにして一括してめっき皮膜を形成した。なお、ワークWの内周面の幅は約80mmである。
【0034】
4.めっき条件
めっき液の浴温を摂氏45度(±1度)維持し、ワークWを3分間予熱した後にワークWの内周面の下地処理(表面エッチング)として、電流密度56.6A/dm2で3分間逆電(電極6を負電位、ワークWを正電位)し、その後、更に、ワークWの内周面の下地処理(めっきの密着性向上)として、電流密度48.5A/dm2で2分間正電した。
【0035】
次に、めっき皮膜を析出するために、電流密度30.3A/dm2で6.5時間正電した。その後、ワークWの内周面に油溜まりを形成するため、電流密度30.3A/dm2で3.5分間逆電した。
【0036】
5.結果
各ワークWの内周面のめっき皮膜の厚みを、ワークWの上下の各端部、中央部にて計測し、前者の平均値と後者の値との差分を算出した。図5は算出した差分(膜厚差)をマスキング部材30を用いた比較例と、マスキング部材10を用いた実施例と、でまとめたものである。なお、各ワークWの内周面のめっき皮膜の厚みは、めっき皮膜の実測値とめっきの形成前に計測した各ワークWの内周面の表面粗さとの合成値としている。図5に示すように、実施例では比較例よりも膜厚差が格段に小さくなっていると共に、各ワーク間の膜厚差のバラツキも低減している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のめっき方法を実施可能な電気めっき設備Aの構成概略図である。
【図2】ワークW及びマスキング部材10の斜視図である。
【図3】(a)はマスキング部材10の端縁12周辺の電流分布を示す図、(b)及び(c)は比較例として切り欠き13の無い従来のマスキング部材20、30を用いた場合の端縁周辺の電流分布を示す図である。
【図4】(a)及び(b)は本発明のマスキング部材の他の実施形態を示す図である。
【図5】実施例の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
A 電気めっき設備
W ワーク
Wa 開口部
10 マスキング部材
11 穴部
12 端縁
13 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通した開口部を有するワークを、当該開口部が互いに連通するように複数段積みにして各々の前記ワークの前記開口部の内周面にめっき皮膜を電気めっきにより一括析出する際に、隣接する前記ワーク間に液密に介挿されるマスキング部材において、
前記開口部と略同形状の穴部と、
前記穴部を規定する端縁の両側部にそれぞれ形成され、当該端縁の両側部を前記ワークと離間させる切り欠きと、
を有することを特徴とするマスキング部材。
【請求項2】
前記切り欠きがテーパ形状の切り欠き又は断面が略L字型の切り欠きであることを特徴とする請求項1に記載のマスキング部材。
【請求項3】
前記マスキング部材は複数枚の板状の部材を積層して形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスキング部材。
【請求項4】
前記マスキング部材は、独立気泡構造の発泡樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマスキング部材。
【請求項5】
貫通した開口部を有するワークを、当該開口部が互いに連通するように複数段積みにして各々の前記ワークの前記開口部の内周面にめっき皮膜を電気めっきにより一括析出するめっき方法において、
隣接する前記ワーク間に液密にマスキング部材を介挿し、
該マスキング部材が、
前記開口部と略同形状の穴部と、
前記穴部を規定する端縁の両側部にそれぞれ形成され、当該端縁の両側部を前記ワークと離間させる切り欠きと、
を有することを特徴とするめっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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