説明

マトリックス材料中におけるナノ粒子の分散のための高効率な分散剤

樹枝状マクロ開始剤組成物は、一般式Fx−[G−n]−Iの化合物を含んで提供され、ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Iは、開始基である。これらのマクロ開始剤から製造されたハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーは、マトリックス材料中におけるナノ粒子の範囲のための高効率な分散剤として作用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤に関する。特に、本発明は、ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの分子ライブラリーに関しており、該コポリマーは、マトリックス材料中におけるナノ粒子の範囲のための高効率な分散剤として作用し得る。
【背景技術】
【0002】
マトリックス材料中におけるナノ粒子の効率的な分散は、出現する多くの技術における重大な着眼点となっており、分散効率を高めたり最大にしたりするための一般的な合成の発展は、種々の学術的及び産業的な適用のための重要な利点を提供し得る。例えば、ポリマーの熱化学的な応答は、その実質的な使用に対する制限を与え得るが、微量のナノ粒子1の添加によって好ましく変更される。同様に、ポリマー材料に高屈折なナノ粒子を添加することによって、ナノコンポジット2全体の屈折率は劇的に増加し得る。両方の場合において、特性増大の程度及び有用性は、ナノ粒子の分散の程度に直接関係する。光学的なナノコンポジットが不透明となる等、特性低下を招くため、ナノ粒子の凝集を引き起こす不均一な分散は、望ましくない。ナノ粒子の分散に対する従来のアプローチには、小分子リガンド/界面活性剤3または、ブロックコポリマー4のような官能化されたポリマーかのいずれかを使用することが含まれている。しかし、これらの分散剤を伴った挑戦が、数多く存在する。小分子誘導体では、もつれ状態の欠如、及びポリマーマトリックスとの好ましい相互作用の欠如により、しばしば分散効率が低くなる。それに対し、ポリマー分散剤は、ポリマーマトリックスとの好ましい相互作用及びもつれ状態を有し得るが、これら材料の充填程度は、しばしば極めて高く、また、さらにはナノ粒子システムの高い比表面積によって悪化する。そして、分散剤の重量百分率が重要となり、これは性能の低下につながる。
【0003】
従って、小分子の特異性及び高い結合力をポリマー分散剤の好ましい相互作用と結び付けるところの分散剤を設計するための、一般的なアプローチを改良するための重要な機会が存在している。これらの問題を処理するために、ナノ粒子の表面に付着するための表面活性基と、ポリマーマトリックスにおける分散を促進するマトリックス相互作用基との両方を最適に表すところのマクロ分子構造に基づいて、新たな分散剤が設計された。ハイブリッド樹枝状直鎖状のブロックコポリマー5、6、7、8は、ナノ粒子表面と相互作用する“頭部”基として使用される樹枝状ユニットを伴ってこれら基準を満たしており、一方で、直鎖状ブロックが、ポリマーマトリックスともつれ状態となり、相互作用することが可能となる。樹枝状のマクロ分子は、ナノ粒子形成のための安定化剤として広く使用されてきたが、これらの研究は全て、樹枝状ポリマーを、樹枝状の枠組み9内でのナノ粒子の局所的な成長のためのナノ反応体として利用してきた。ナノ粒子の表面を安定化させるための、ハイブリッド樹枝状直鎖状ブロックコポリマーの使用についての記載については、これらのシステムの表面活性が良く知られている10にもかかわらず、それを報告する研究はなかった。特に、樹枝状ポリマーの鎖末端において多くの反応基が、表面との相互作用のための最適な構造となることが示されてきた11、12、13、14。官能化された直鎖状の鎖と比較したとき、鎖の折りたたみや鎖のダイナミクスの欠如によって、ブロックポリマーの極めて低い充填でナノ粒子とのはるかに強い相互作用、及び、ナノ粒子のより広範な覆いが導かれることも、期待される。先に、フレチェット15は、ハイブリッド構造に基づくポリ(エチレングリコール)が、自己組織化及び物理吸着性との組み合わせによって、非常に低濃度でセルロース繊維の表面を覆い得ることを示した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの製造に使用されることが可能であり、一般式Fx−[G−n]−I(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Iは、開始基である)の化合物を含む樹枝状マクロ開始剤組成物を、提供する。
【0005】
また、本発明は、i)一般式Fx−[G−n]−Y(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Yは、開始基が接着される反応基である)のアセトニド保護化樹枝状ポリマーのエステル化反応を行うこと、及び、ii)ジチオ安息香酸におけるアニオンをカップリングすること、を含む樹枝状マクロ開始剤の製造方法を提供する。
【0006】
より好ましい実施形態では、上記工程は、さらに、上記マクロ開始剤の樹枝状ユニットを多岐に成長させるための、一連の脱保護及びカップリング反応を含む。
【0007】
他の実施形態では、一般式Fx−[G−n]−Pz(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Pは、直鎖状ポリマーの繰り返し単位、zは、直鎖状ポリマーの繰り返し単位数である)の化合物を含むハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの組成物が、提供される。
【0008】
さらに別の実施形態では、リビングラジカル重合を使用し、一般式Fx−[G−n]−I(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Iは、リビングフリーラジカル重合のための開始基である)を含む樹枝状マクロ開始剤を伴ってビニルモノマーの重合を行うことを含むハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの製造方法が提供される。
【0009】
より好ましい実施形態では、上述したハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの製造工程は、さらに重合開始剤を添加することを含んで提供される。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態では、上述したハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの製造工程は、さらに脱保護及び官能化反応を含んで提供される。より好ましい実施形態では、官能化反応は、a)カルボキシルハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを生成するための無水コハク酸との反応;b)ジスルフィド終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを製造するための、酸無水物を用いたヒドロキシル鎖末端のエステル化反応;c)ホスフィンオキシド終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを製造するための、5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸無水物との反応;または、d)ホスホン酸終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを製造するためのクリック反応、のいずれかである。
【0011】
別の実施形態では、上記官能化反応によって製造されたポリマー製造物が、提供される。
【0012】
さらに別の実施形態では、ナノ粒子の溶液を有すること;ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの溶液を添加すること;及び、ポリマーの溶液と混合すること、を含み、マトリックス材料中においてナノ粒子を分散するためにハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを使用する方法が、提供される。
【0013】
本発明のより完全な理解のために、添付された図面と合わせて以下の記載が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、末端基(A)、直鎖状ブロック(B)の変動、または、樹枝状ブロックの生成数の変化、[G−1](C)、[G−2](D)及び[G−3](E)による、ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの構造におけるモジュール変化を図で示す。
【図2】図2は、樹枝状マクロ開始剤の成長のための、第1生成物RAFT剤の合成の反応式を示す。
【図3】図3は、中心部分での単一ジチオエステルRAFT開始剤を伴った樹枝状マクロ開始剤の合成の反応式を示す。
【図4】図4は、第2生成物たる樹枝状マクロ開始剤,7を伴ったメタクリル酸エステルモノマーのRAFT重合の反応式を示す。
【図5】図5は、第2生成物たる樹枝状マクロ開始剤,7を伴ったスチレンのRAFT重合の反応式を示す。
【図6】図6は、第2生成物たる樹枝状ポリマー,7を伴ったメタクリル酸メチルのRAFT重合によって得られたハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマー,8a(Mn=6200、PDI=1.19)のサイズ排除クロマトグラフィを示す。
【図7】図7は、対応するアセトニド誘導体,8aの脱保護化、これに引き続く無水マレイン酸を伴った官能化による、カルボキシル終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマー,10aの合成の反応式を示す。
【図8】図8は、Auナノ粒子の分散のためのジスルフィド終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマー,12の合成の反応式を示す。
【図9】図9は、5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸無水物,13の合成の反応式を示す。
【図10】図10は、テトラ官能性ホスフィンオキシドPMMA誘導体,16の合成の反応式を示す。
【図11】図11は、(ホスフィンオキシド)4−[G−2]−PMMA,16の1H(左)及び31P(右)NMRスペクトルを示す。
【図12】図12は、ホスホン酸官能化樹枝状分散剤,19のオルトゴナル合成の反応式を示す。
【図13】図13は、粉砕実験の手順を示す。
【図14】図14は、いかなる分散剤も存在することなく、ポリ(メタクリル酸メチル)を伴ったTiO2ナノ粒子のTEM像を示す。
【図15】図15は、市販の分散剤(ディスパービック−170(左)及びディスパービック−180(右)。)の存在している状態での、ポリ(メタクリル酸メチル)を伴ったTiO2ナノ粒子のTEM像を示す。
【図16】図16は、濃度の異なる市販の分散剤、ディスパービック−111(10%(左)、5%(中央)、及び2.5%(右))の存在している状態での、ポリ(メタクリル酸メチル)を伴ったTiO2ナノ粒子のTEM像を示す。
【図17】図17は、未修飾(TTO−51N)ナノ粒子(HOOC)2−G1−PMMA(左)、(HOOC)4−G2−PMMA(中央)、(HOOC)8−G3−PMMA(右)を伴ったカルボキシル官能化分散剤の、異なる生成物のTEM像を示す。
【図18】図18は、ホスホン酸官能化分散剤の異なる生成物たる、(H2PO44−G2−PMMA(左)、(H2PO48−G3−PMMA(右)のTEM像を示す。
【図19】図19は、作用剤たる、(HO)4−G2−PMMA(上左)、ディスパービック−111(上右)、(HOOC)4−G2−PMMA(下左)、及び(H2PO44−G2−PMMA(下右)を伴った、異なる分散剤のTEM像を示す。
【図20】図20は、異なる分散剤における、固形分濃度に対する粘度のヒストグラムを示す。
【図21】図21は、分散剤たる(チオクト酸)4−G2−PMMAを伴った場合(左)及び分散剤を伴わない場合(右)における、クロロホルム水混合物中でのクエン酸安定化金粒子の写真を示す。
【図22】図22は、分散剤で栓をされた金ナノ粒子の合成の反応式を示す。
【図23】図23は、PMMAに分散された金ナノ粒子のTEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
マトリックス中におけるナノ粒子のための高効率な分散剤である、ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーのモジュールが、提供される。
これらのハイブリッドコポリマーは、樹枝状鎖末端基を有しており、この鎖末端基は、直鎖状ポリマー鎖の繰り返し単位と同様、容易に変化され得る。
【0016】
これらのハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマー(ここではまた樹枝状ポリマーとして言及される)のモジュールの性質は、樹枝状ポリマーの鎖末端での、直鎖状ポリマー及び/または官能基の性質及び長さが樹枝状ポリマーの鎖末端で簡単に変化させられることを可能とし、本質的にいかなるナノ粒子及びマトリックスに対する戦略の作成を許容する。図1は、末端基(A)、直鎖状ブロック(B)の長さ、または、樹枝状ブロックの生成数の変化、[G−1](C)、[G−2](D)及び[G−3](E)による、ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの構造におけるモジュール変化を図で示す。
【0017】
直鎖状ブロック(B)は、限定されないが、スチレン系、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルやアクリロニトリル等から誘導されたビニルポリマーや、ラクトン、エポキシドやノルボルネン等から誘導された開環ポリマーのようなコポリマーであり得る。
【0018】
好ましいコポリマーは、スチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、ブタジエン及びイソプレンに基づくランダムコポリマーである。
【0019】
これらのハイブリッドコポリマー内部の樹枝状鎖末端/官能性基の例は、限定されないが、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、アルコール、アミン、チオール、スルフィド、アミドやピリジンである。
【0020】
提供されるハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーのモジュールライブラリーは、単一分散樹枝状マクロ開始剤から始まるRAFT重合によって調製され得る。ここで、用語“樹枝状マクロ開始剤”は、中心部分でのRFTA剤、及び、付着される樹枝状ポリマーを指すために使用される 。
【0021】
これらの樹枝状マクロ開始剤は、一般式Fx−[G−n]−Iの化合物を含むことができ、ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Iは、開始基である。鎖末端基として、xは、2から128、より好ましくは2から16であり;n(生成数)は、1から7、より好ましくは1から4であり;そして、z(繰り返し単位数)は、2から10000、より好ましくは2から100である。
【0022】
直鎖状ブロックの分子量、樹枝状ポリマーの生成数、及び、樹枝状鎖末端の性質を精密に制御することにより、これらのハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの、ナノ粒子の範囲のための分散剤としての性能が、最適化された。二酸化チタンナノ粒子のために、直鎖状ポリ(メタクリル酸メチル)における最適な分散が、4つのカルボン酸末端基を含有する第2生成物たる樹枝状ポリマーを伴って達成され、分散の質は、TiO2のための市販の分散剤よりも向上した。樹枝状鎖末端基の数及び最適発現を良く特定することにより、ジスルフィド及びホスフィンオキシド末端基に基づくAu及びCdSeナノ粒子を分散するめに、新規なハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤を調製することも、可能となる。
【0023】
ハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマーの設計において、これらの市場での入手可能性17及び広範な使用により、2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸(ビス−MPA)16が選択され、一方、直鎖状の鎖は、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RFTA)1819によって調製された。樹枝状RFTA剤の合成は、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を介した、アセトニドで保護されたトリメチロールプロパン,1とα−ブロモフェニル酢酸,2とのエステル化反応で開始する。ジチオ安息香酸を伴った生成物3のカップリングは、臭化フェニルマグネシウムの炭素ジスルフィドとの反応によって調製され、それによって、所望のジチオエステル,4となり、全収率は、90%を超える(図2参照)20
【0024】
そして、官能基の操作に対するジチオエステル剤の安定性は、典型的な一連の脱保護及びカップリング反応(図3参照)により生成物4から樹枝状ユニットが分岐して成長することによって、示される。脱保護反応は、メタノール中において酸性のダウエックスを利用して行い21、付加反応は、アセトニドに保護されたビス−MPAの無水物を伴ったヒドロキシル鎖末端のエステル化反応によって成し遂げられた22。両工程は、容易に進行し、10〜20gバッチにおいて精製された収率が90%を超え、該バッチは、第1生成物,5から第4生成物,6への樹枝状ポリマーが、中心部分で単一ジチオエステルRAFT剤を伴って調製されることを可能とした。
【0025】
次の工程で、RFTA重合により、樹枝状ポリマーの中心部分において、ポリマーは、単一ジチオエステルRAFT基から成長する。ジチオエステルのα−炭素に付着した、フェニル置換基及びエステル基の両方の存在により、これらの樹枝状マクロ開始剤は、種々のモノマーの重合のために使用されることができ、当該モノマーには、バルクにおいて700℃で 開始剤としてAlBNを伴ったメタクリル酸エステル(図4参照)、または、バルクにおいて110℃でスチレンを伴ったメタクリル酸エステル(図5参照)が含まれる。それぞれの場合において、RAFTマクロ開始剤による重合の効率性は、生成数に依存して75〜95%であることが判明し、正確な百分率は、出発RFTAマクロ開始剤のGPCピークが狭いことによって、独自に同定され、定量され得た。また、樹枝状RAFT開始剤の安定性は、精製の間において利点があり、その利益は、ブロックコポリマーが簡単な操作及び/またはカラムクロマトグラフィによって、及び、GPC(図6)によって確認される残留マクロ開始剤が無くても、精製されることを可能とした。重要なことには、全ての場合において、重合は、制御された条件下で生じ、直鎖状ブロックの重合度が精密に制御されることを可能とした。これが、直鎖状鎖の長さ及び樹枝状ブロックの生成数が精密に制御され得るところのハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマーの範囲を与え(表1参照、下記)、ここで、MMAは、メタクリル酸メチルであり、Bz−TEMAは、メタクリル酸ベンジルチオエチルである。
【0026】
【表1】

【0027】
そのような重合反応で得られるハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマーは、一般式Fx−[G−n]−Pzを含み、ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Pは、直鎖状ポリマーの繰り返し単位、zは、直鎖状ポリマーの繰り返し単位数である。
【0028】
この合成アプローチのモジュールの性質は、さらに鎖末端基の操作によって増加する。この目的のために、出発樹枝状−直鎖状システム,8aのアセトン保護化末端基を、酸性ダウエックス樹脂で量的に除去されることにより、ヒドロキシル官能性分散剤,9aを生成する。そして、ヒドロキシル基が、さらに無水コハク酸と反応することにより、カルボキシル官能性分散剤を生成する。
【0029】
このモジュールシステムを使用して分散され得るナノ粒子の範囲を広げるために、酸無水物を使用するヒドロキシル鎖末端のエステル化反応によって、樹枝状鎖の改変を実行し得る。この重要な特性を示すために、Au及びCdSeナノ粒子を、その特異的な表面化学特性によって試験媒体として選択した。Auナノ粒子のために、(±)−チオクト酸,11から誘導された酸無水物を伴って生成物9のヒドロキシル鎖末端が反応することによって、チオクト酸エステル鎖末端を有する分散剤を調製し、これによってテトラ(ジスルフィド)誘導体,12を生成した(図8参照)。
【0030】
同様の性質において、CdSeナノ粒子のためにハイブリッド分散剤が設計され、この場合、CdSeの表面との相互作用のためにホスフィンオキシド鎖末端が必要であった。酸無水物官能化アプローチを用いるためには、5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸無水物,13が必要であり、これを、オクチルマグネシウムイオダイド14を伴ったジ−n−ブチルホスファート,14の初期アルキル化によって合成し、引き続きAlBNを使用した4−ペンテン酸を伴った反応を行い、これにより、DCC参照)を使用して望ましい酸無水物,13に転換されるところの、5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸,15を生成した。それから、酸無水物を、9aの鎖末端を官能化するために使用し、これによりホスフィンオキシド官能化樹枝状−直鎖状コポリマー,16を生成した(図10参照)。
【0031】
上記全ての例において、ハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマーを、NMR、及び、GCPと対応するMALDI分光法によって、十分に特徴づけた。これら誘導体の十分に特定された構造によって、合成戦略と十分に一致する鎖基の正確な同定及び定量が可能となる。例えば、図11に、ホスフィンオキシド官能化分散剤((ホスフィンオキシド)4−[G−2]−PMMA,16)の1H及び31P NMRデータを示すが、カルボニルへのメチレン基アルファのための独特な共振が、2.25ppmでの1H NMRで観察され、ホスフィンオキシド基に対応する31P NMRスペクトルにおいて単一共振が観察された。
【0032】
鎖末端修飾物の特性及びこのアプローチのモジュール性という重要な特性によって、樹枝状分散剤の末端基の全てが高効率を伴って、たとえあるとしても僅かな副反応を伴って官能化されることが、保障されることになる。酸無水物を使用したエステル化反応によって上記にように、官能化が高度になることが示され、ナノ粒子表面の変化のための高度に望ましいホスホン酸末端基の合成を、この戦略を用いて成し遂げることができた。可能な鎖末端の配列をさらに拡張するために、アジドと、反応性官能基16をより許容する終端アセチレン(クリック反応)と、の間において、銅(I)の触媒作用を及ぼされた1,3−ジ極性シクロ化付加環化に基づきオルトゴナルアプローチを発展させた。このアプローチの多用途性を示すために、4−アジドブタン酸,17から誘導された酸無水物を伴ったヒドロキシル鎖末端のエステル化反応を通じてアジド末端基を最初に導入することによって、クリックケミストリー17によるホスホン酸末端基の導入を研究した。それから、それに対応するアセチレン誘導体を、アジド−終端化誘導体,18を伴って結合され得るところのトリエチルアミン中での亜リン酸とヨウ化物とを用いたプロパギルアルコールの反応により調製することによって、望ましいホスホン酸官能化ハイブリッド樹枝状−直鎖状ジブロックコポリマー,19(図12参照)を生成した18
【0033】
分散研究
そして、構造特性の範囲にわたる正確な制御を伴ったハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤のライブラリーの合成によって、これらの新規システムの分散活性についての詳細な研究が可能となる。初期テストのプラットフォームとして、高分子量ポリ(メタクリル酸メチル)マトリックス中のTiO2ナノ粒子の分散を、詳細に試験した。全ての分散実験として、遊星ボールミルと3mmのジルコニア粉砕ボールを伴ったジルコニア粉砕ジャーとを使用し、最初に50重量%のポリマー及び分散剤を粉砕ジャーに添加し、引き続き50重量%の溶媒、TiO2ナノ粒子及び粉砕ビーズを添加した。それから、この混合物を、650rpmで1時間粉砕し、残りのポリマー及び溶媒を添加し、続けて650rpmで1時間粉砕した(図13参照)。
【0034】
分散実験を、PMMA(150,000Da)マトリックス中に、(TTO−51N)ではなく(TTO−51(A))アルミナコーティングが施された市場で入手可能なTiO2ナノ粒子を用いて、クロロホルム(20重量%固体)中で実行した。ナノ粒子の分散を、動的光散乱(DLS)、透過型電子顕微鏡(TEM)及びレオメトリー研究を伴って分析した。評価目的として、ハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤の性能を、TiO2のような無機ナノ粒子の分散のために広く使用されてきており、市場で入手可能なディスパービック−111、ディスパービック−170、ディスパービック−180剤と比較した。
【0035】
最初のTEM研究により、いずれかの分散剤が欠落している場合には、両タイプのTiO2ナノ粒子は、大きな表面積及びポリ(メタクリル酸メチル)との低い適合性(図14参照)によって予期されるように、大きなクラスターのナノ粒子となることが観察されるに過ぎずなかった。同様の結果が、2つの市販の分散剤(ディスパービック−170、ディスパービック−180)についても観察された一方、ディスパービック−111については、種々異なる濃度によって高品質な分散を伴ったより良い結果が観察されることが示された(図16参照)。
【0036】
ハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤で終端化されたヒドロキシル、カルボキシル及びホスホン酸については、均一なDP=50のPMMAブロックを伴った生成物1〜3を最初に試験し、樹枝状基の最適な生成数を測定するために同じ系内で比較した。各系において、生成物1から生成物2への進行において分散の程度が増加し、その後生成物3への進行において減少することが、図17に視覚的に見ることができる。生成物2の樹枝状頭部基の最適なサイズは、PET及びセルロース9の表面への樹枝状−直鎖状コポリマーについてのフレチェットによる先駆的研究と同様である。異なる系間の比較により、末端基の性質による重大な影響を示し、ヒドロキシル終端化誘導体では、凝集において存在するナノ粒子のうちの大多数を伴って、わずかな分散活性が示されたに過ぎなかった。ホスホン酸終端化ハイブリッド構造によって性能が改良されたが、それでも凝集物と個々のナノ粒子との混合を観察することができた(図18)。カルボキシ鎖末端を伴った樹枝状−直鎖状ブロックコポリマーについてのみ、個々のナノ粒子と優勢である小さな凝集物とを伴った、優れた分散が観察される。最も良く作用する市販の分散剤、ディスパービック−111との比較は、注目に値するものであり、この比較は、同じ分散条件下で10aと比較したとき定量的に低い性能を示した(図19参照)。
【0037】
ハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤の定性的な性能のさらなる標準規格が、異なる分散剤における固形物(CHCl3中に10〜30%の固形物)の濃度に対する粘度の体系的な研究から観察された。図20に見ることができるように、ナノ粒子懸濁液の粘度は、市販の分散剤、BYK−170の使用によって減少した。これに対し、BYK−111と、直鎖状PMMA及びカルボキシル酸末端基を伴った第2生成物たる樹枝状ポリマーとに基づくハイブリッド構造と、の両者により、より低い粘度が得られ、該低い粘度によって良好な分散及び大きなナノ粒子の凝集物がないことが再び示される。
【0038】
分散剤としてのハイブリッド樹枝状−直鎖状マクロ分子の性能について定量的なデータを得るために、動的光散乱(DLS)を、TEM測定値の補完として使用した。従って、試料を、DLS用に原濃度の0.5%に希釈し、輝度の相間関数を、5つの異なる角度で収集した(30、60、90、110及び130度)。それから、2つの指数の合計を、輝度相間関数にフィッティングし、そのフィッティングから減衰率を得た。
【0039】
金ナノ粒子の分散研究
ハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤の金ナノ粒子への適用性を評価するために、ターケビッチら19の方法を用いて、平均粒径12nmのクエン酸安定化金粒子を水溶液中で調製した。チオクト酸官能ハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤を含有するテトラヒドロフランの溶液(2.5mLのテトラヒドロフラン中に7mgの分散剤)を、ガラス製バイアル中において金粒子の小さな試料(5.5gの水中に1mgの金)に添加し、全ての金粒子に分散剤を確実に付着させるために混合し、表面クエン酸基に取って代えた。2mLのクロロホルムを添加し、その2相システムに混合し、シラーら20の方法に従って、ポリマー安定化金ナノ粒子をクロロホルム相(図21)中に相移動させた。
【0040】
金ナノ粒子を、15,000rpmで20分間遠心分離することによって濃縮し、上澄液(過剰の分散剤を含む)を除去した。残留しているクロロホルムを、減圧下で金粒子から除去した。最終的に、金ナノ粒子を、既に述べた分散研究において使用された同じ高分子量ポリ(メタクリル酸メチル)の10gと共に、1mLのベンゼン中に再分散させた。
【0041】
ポリマー安定化金ナノ粒子の合成
チオクト酸官能化ハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤の有効性をさらに試験するために、この材料を、疎水性金ナノ粒子の合成における安定化剤として用いた。ここで使用した合成アプローチ(図22)は、種々の有機溶媒中において低温で単一分散金ナノ粒子を生成することを示すチェンら21のものであった。本研究において、チオクト酸官能化分散剤は、粒子合成で通常用いられる小分子表面安定化基(すなわち、アルカンチオール)に取って代わる。金前駆体(AuPPh3Cl、10mg)及びチオクト酸官能化分散剤(50mg)を、ベンゼン(2mL)に溶解させた。還元剤、tert−ブチルアミン−水素化ホウ素(18mg)を、ベンゼン(2mL)にそれぞれ溶解させ、それから、金溶液を添加し、混合物を室温で、溶液が濃い紫色に変化する時間を超えるところの16時間攪拌した。金粒子を、メタノールで沈殿させることによって精製し、ベンゼンに十分に再分散させた。TEMによる分析により、3〜7nmの範囲のサイズを有する金粒子であることが明らかになった。
【0042】
金粒子のベンゼン溶液にPMMA(金の10重量%)を添加することにより、金粒子をPMMAマトリックス中に分散させた。その溶液をTEMグリッド上に液滴流延したところ、TEMによって、金粒子がPMMAマトリックスに良く分散されていることが示される(図23)。
【0043】
結論
【0044】
分子構造を正確に制御する能力は、樹枝状RFTAマクロ開始剤を使用する新規合成戦略に基づいたハイブリッド樹枝状−直鎖状ブロックコポリマーのライブラリーを調製するために使用されてきた。これによって、直鎖状ブロックの重合度を、樹枝状ポリマーの生成数と同様に、制御することが可能となる。この容易な鎖末端修飾化学と連結された戦略によって、 これらの新規分散剤を、TiO2、Au及びCdSeのような種々の無機ナノ粒子のために調整することが、可能となった。TiO2に対して最適な構造は、カルボキシル酸鎖末端を伴った第2生成物の樹枝状頭部基であることが示され、これらのハイブリッド構造に基づく分散剤は、市場で入手可能な材料と比較したとき、より優れた分散剤であることが示された。同様の結果が、ジスルフィド(Auに対して)及びホスフィンオキシド(CdSeに対して)を含むハイブリッド樹枝状−直鎖状分散剤について得られ、各場合において、分離しているナノ粒子の均一な分散が、溶液及びポリマーマトリックスの両方において見られた。これらの結果は、ナノ粒子の適用において重要である界面相互作用を制御するために良く特定された、マクロ分子構造の力を示す。
【実施例】
【0045】
実験
【0046】
一般的な方法
シリカゲルGF254(0.24mm厚み)で被覆されたメルクプレート上で、TLC分析を行った。フラッシュクロマトグラフィのためのシリカゲルを、メルクキーゼルゲル60(230〜400メッシュ、ASTM)とした。1H NMR(400MHz)及び13C NMRの測定を、室温で、ブルカーAC200顕微鏡によって行った。サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を、室温で、溶出液(流速:1mL/分)としてTHFを使用し、ウォーターズ410示差屈折計及び6つのウォーターズスチラゲル(登録商標)カラム(5つのHR−5μm及びHMV−20μm)と連結されたウォーターズクロマトグラフィによって行った。ウォーターズ410示差屈折計及び996フォトダイオードアレイ検出器を用いた。ポリマーの分子量を、直鎖状ポリスチレン標準と比較して計算した。粘度を、34mmΦ容器と、長さ33.3mm、32mmΦボブと、を備えたコケット試験構成を用いて、TAアレスレオメーターによって測定した。実験を、時計回り及び反時計回りの両回転で、25℃、1〜10(1/s)で30秒間行った。測定の間において溶媒の蒸発を避けるために、ジェレスト社のシリコーンオイル(DMS−T05、5.00cSt)を試料の上部から霧状に添加した。動的光散乱(DLS)分析を、パワーモジュールを伴った10mW HeNeレーザーを備えたBI−APDアヴァランシェフォトダイオード検出器(ブルックヘブン研究所、ニューヨーク)を伴って、BI−9000ATデジタルオートコリレータによって、行った。多重散乱効果を避けるために、試料を、DLS測定用に原濃度の0.5%に希釈した。輝度相関関数を、5つの異なる角度(30、60、90、110及び130度)で集めた。それから、2つの指数の合計を、図7に示すように、輝度相間関数にフィッティングさせ、該フィッティング(P2及びP4)から減衰率を得た。2つの指数の合計を使用することにより、2つの異なる粒子サイズ分布に対応する2つの異なるモデルが導かれる。これがなされたのは、粒子サイズ分布が非常に大きいことと、単一の指数関数を用いたに過ぎない場合よりもフィッティングがさらに良くなり得ることと、による。それから、スキャッティングベクター,qに対して減衰率をプロットする。データを、全て直線にフィッティングすると、この直線の傾きは、ストーク−アインシュタイン式によって粒子の流体力学的半径を計算するために使用され得る、拡散係数となる。
【0047】
例1
【0048】
樹枝状マクロ開始剤の製造のための一般的な手順
【0049】
材料
【0050】
Cu(PPh3322、アセトニド保護化ビス−MPA10、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−p−トルエンスルホナート(DPTS)23、及び4−アジドブタン酸24を、前述の手順に従って合成した。ナノ粒子(TTO−51(A)、TTO−51N)を、石原産業株式会社から入手した。他の全ての試薬を、アルドリッチから入手し、そのまま使用した。
【0051】
アセトニド−2,2−ビス(メチロール)プロパノール。アセトン(100mL)中にトリメチロールプロパン(TMP)(50.0g、373mmol)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に、p−トルエンスルホン酸(p−TSA)(1.39g、7.46mmol)及び2,2−ジメチロールプロパン(58.2g、560mmol)を添加した。その反応を、1晩攪拌し、NH4OH/エタノール(50/50v/v)で冷却し、アセトンを蒸発させた。その生成物をそのまま、CH2Cl2(1000mL)に溶解させ、水(100mL)で3回抽出し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、無色のオイルを生成した(56.5g、87%)。1H NMR (CDCl3): δ0.79 (t, CH2CH3, J=7.6Hz, 3H), 1.30 (q, CH2CH3, J=7.6Hz, 2H), 1.38 (s, CCH3, 3H), 1.41 (s, CCH3, 3H), 2.70 (t, -OH, J=7.4Hz, 1H), 3.54 (s, CH2OH, 2H), 3.65 (s, CH2O, 2H), 3.68 (s, CH2O, 2H)。13C NMR (CDCl3):δ7.00 (s, CH2CH3, 1C), 20.17 (s, CH2CH3, 1C), 23.74 (s, CCH3, 1C), 27.30 (s, CCH3, 1C), 36.91 (s, C(CH2)4, 1C), 62.51 (s, CH2OH, 1C), 65.15 (s, CH2O, 2C), 98.16 (s C(CH3)2, 1C)。
【0052】
(アセトニド−2,2−ビス(メチロール)プロピル)−2−ブロモ−2−フェニルアセテート。CH2Cl2(25mL)中に2,2−ビス(メチロール)プロパノール(5.00g、28.7mmol)、α−ブロモフェニル酢酸、及びDPTS23(1.69g、5.70mmol)を含有する溶液に、CH2Cl2(25mL)中にN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(8.90g、43.1mmol)を含有する溶液を滴下した。その反応混合物を、室温で24時間攪拌し、ろ過し、その生成物をそのまま、ヘキサンから10:90のエチルアセテート:ヘキサンへと溶出させつつカラムクロマトグラフィによって精製して、無色のオイルとしての純粋な生成物(7.80g、73%)を生成した。1H NMR (CDCl3): δ0.76 (t, CH2CH3, J = 7.6 Hz, 3H)1 1.24 (q, CH2CH3, J=7.6Hz, 2H), 1.37 (s, CCH3, 3H), 1.40 (s, CCH3, 3H),3.57 (s, CH2O, 4H), 4.29 (s, CH2OOC, 2H), 5.37 (s, Br-CHAr, 1H), 7.29-7.55 (m, o,m,p-ArH, 5H), 13C NMR (CDCl3): δ 6.91 (s, CH2CH3, 1C), 20.50 (s, CH2CH3, 1C), 23.81 (s, CCH3, 1C), 26.88 (s, CCH3, 1C), 36.22 (s, C(CH2)4, 1C), 46.95 (s, CHBr, 1C), 64.91 (s, CH2O, 2C), 65.81 (s, CH2OOC, 1C), 98.29 (s C(CH3)2, 1C), 128.65-129.31 (3s, ArC, 5C), 135.77(s, ArCCHBr, 1C), 168.06 (s, COOCH2, 1C)。
【0053】
(アセトニド−2,2−ビス(メチロール)プロピル)−2−フェニル−2−(フェニルカルボノチオイル)チオアセテート(アセトニド−G1−RAFT)。炭素ジスルフィド(5.00mL、82.8mmol)を、乾燥テトラヒドロフランの100mL中に臭化フェニルマグネシウム(ジエチルエーテル12.0mL中に3.0M、33.1mmol)を含有する溶液に滴下した。その混合物を、濃褐色の液体を形成するまで50℃で攪拌し、それから、20mLのTHF中に(2,2−ビス(メチロール)プロピル)2−ブロモ−2−フェニルアセテート(10.2g、27.6mmol)を含有する溶液を添加した。その反応混合物を、80℃で24時間加熱し、シリカゲル上で溶媒を蒸発させ、その生成物をそのまま、7.5:92.5のエチルアセテート:ヘキサンへと徐々に増加するヘキサンで溶出させつつカラムクロマトグラフィによって精製して、赤色のオイルとしての生成物1,RATF剤(6.80g、55%)を生成した。1H NMR (CDCl3): δ0.74 (t, CH2CH3, J=7.6 Hz, 3H), 1.27 (q, CH2CH3, J=6.0Hz, 2H), 1.36 (s, CCH3, 3H), 1.39 (s, CCH3, 3H),3.61 (m, CH2O, 4H), 4.27 (m, CH2COO, 2H), 5.76 (s, PhCH, 1H), 7.27-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, 8H), 7.99 (dd, J=7.4 Hz, o-ArHCSS, 2H)。13C NMR (CDCl3): 13C NMR (CDCl3): δ 7.01 (s, CH2CH3, 1C), 21.11 (s, CH2CH3, 1C), 23.85 (s, CCH3, 1C), 26.37 (s, CCH3, 1C), 36.24 (S, C(CH2)4, 1C), 58.75 (s, CHSSCAr, 1C), 64.99 (s, CH2O, 2C), 65.67 (s, CH2OOC, 1C), 98.28 (s C(CH3)2, 1C), 126.98-132.88 (6s, ArC, 10C), 133.51 (S1 ArCCHS, 1C), 144.01 (s, ArCCSS, 1C), 168.78 (s, COOCH2, 1C)。
例2
【0054】
アセトニド保護基の脱保護のための一般的な手順−2,2−ビス(メチロール)プロピル)−2−フェニル−2−(フェニルカルボノチオイル)チオアセテート(OH−G1−RAFT)の製造
【0055】
300mLのMeOH中にアセトニド−G1−RAFT(5.00g、11.2mmol)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液にダウエックス、50X200樹脂(10.0g)を添加した。その反応を、50℃で8時間攪拌し、ろ過し、有機相を濃縮して、赤色のオイルとしてのHO−G1−RAFTを生成したところ、該オイルは実質的に純粋であり、さらなる精製は必要なかった(4.13g、91%)。1H NMR (CDCl3): δ 0.84 (t, CH2CH3, J=6.4Hz, 3H), 1.22 (q, CH2CH3, J=7.0Hz, 2H), 3.24 (t, OH, J=7.0Hz, 2H), 3.51 (m, CH2OH, 4H), 4.19 (q, CH2OOC, J=7.0Hz, 2H), 5.74 (s, PhCH, 1H), 7.27-7.52 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, 8H) 7.98 (dd, J=7.2Hz, o-ArHCSS, 2H)。13C NMR (CDCl3): 13C NMR (CDCl3): δ 7.30 (S, CH2CH3, 1C), 22.18 (s, CH2CH3, 1C), 29.67 (s, C(CH2)4, 1C), 58.96 (s, CHSSCAr, 1C), 64.88 (s, CH2OH, 2C), 65.92 (s, CH2OOC, 1C), 126.88-132.94 (6s, ArC, 10C), 133.03 (s, ArCCHS, 1C), 143.76 (s, ArCCSS, 1C), 169.56 (s, COOCH2, 1C)。
【0056】
HO−G2−RAFT。赤い付着性の固体(87%)。1H NMR (MeOD): δ 0.83 (t, CH2CH3, J=7.6Hz, 3H), 1.08 (s, CCH3, 6H), 1.42 (q, CH2CH3, J=7.2Hz, 2H), 3.22 (s, OH, J=7.0Hz, 4H), 4.27 (m, CH2COO, 2H,及びCH2O, 4H), 5.73 (s, PhCH, 1H), 7.20-7.55 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, 8H), 7.96 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS, 2H)。13C NMR (MeOD): δ 6.45 (s, CH2CH3, 1C), 16.13 (s, CCH3, 2C), 22.46 (s, CH2CH3, 1C), 41.31 (s, C(CH2)4, 1C), 50.31 (s, CCH2OH, 2C) 58.88 (s, CHSSCAr, 1C), 63.04 (s, CH2O, 2C), 64.48 (s, CCH2OH, 4C), 64.79 (s, CH2OOC, 1C), 126.56-129.05 (6s, ArC, 1OC), 132.96 (s, ArCCHS, 1C), 143.87 (s, ArCCSS, 1C), 168.49 (s, COOCH2, 1C), 174.70 (s, COO, 2C)。
例3
【0057】
アセトニド保護基を伴った樹枝状成長のための一般的な手順−2,2−ビス(メトキシ)プロピオン酸(アセトニド−G2−RAFT)の製造
【0058】
CH2Cl2(10mL)中にHO−G1−RAFT(0.60g、1.48mmol)、DMAP(72g、0.59mmol、0.2eq/OH)及びピリジン(11.7g、14.8mmol、5eq/OH)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に、アセトニド−2,2−ビス(メトキシ)プロパン酸無水物(1.47g、4.45mmol、1.5eq/OH)を添加し、その反応混合物を、アルゴン下、室温で1晩攪拌した。残留する酸無水物を、2時間激しく攪拌しながら約10mLの水と反応させることによって、冷却した。それから、その反応混合物を、約150mLのジクロロメタン中に溶解させ、NaHSO4(50mmL)で3回抽出し、最終的に1度塩水で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、生成物をそのまま、25/85の酢酸/ヘキサンへと徐々に増加するヘキサンで溶出させつつ、フラッシュクロマトグラフィによって精製し、赤色の粘着性オイルとしての第2生成物誘導体,8a(0.94g、89%)を生成した。1H NMR (CDCl3): δ0.83 (t, CH2CH3, J=6.2Hz, 3H), 1.10 (s, CCH3, 6H), 1.32 (s, CCH3, 6H), 1.39 (s, CCH3, 6H), 1.44 (q, CH2CH3, J=6.0Hz, 2H), 3.59 (m, CH2O, 4H), 4.27 (m, CH2COO, 2H, CH2O, 4H,及びCH2O, 4H), 5.69 (s, PhCH, 1H), 7.29-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, 8H), 7.97 (dd, J=7.0Hz, o-ArHCSS, 2H)。13C NMR (CDCl3): δ 7.31 (s, CH2CH3, 1C), 18.27 (s, CCH3, 2C), 21.18 (s, CH2CH3, 1C), 23.23 (s, CCH3, 2C), 26.07 (s, CCH3, 2C), 41.58 (s, C(CH2)4, 1C), 42.16 (s, CCH2O, 2C), 58.82 (s, CHSSCAr, 1C), 63.18 (s, CH2O, 2C), 64.83 (s, CCH2OH, 4C), 65.93 (s, CH2OOC, 1C), 98.13 (s C(CH3)2, 1C), 126.85-132.94 (6s, ArC, 10C), 132.94 (s, ArCCHS, 1C), 143.77 (s, ArCCSS, 1C), 168.26 (s, COOCH2, 1C), 174.12 (s, COO, 2C)。
【0059】
アセトニド−G3−RAFT。40/60の酢酸エチル/ヘキサンへと徐々に増加するヘキサンを使用しつつMPLCによって精製させて、赤い粘着性固体としての生成物を生成した(88%)。1H NMR (CDCl3): δ 0.82 (t, CH2CH3, J=6.2Hz, 3H), 1.12 (s, CCH3, 12H), 1.34 (s, CCH3, 12H), 1.40 (s, CCH3, 12H), 1.45 (q, CH2CH3, J=6.0Hz, 2H), 3.58 (m, CH2O, 8H), 4.00-4.30 (m, CH2COO, 2H, CH2O, 4H, CH2O, 8H,及びCH2O, 8H), 5.68 (s, PhCH, 1H), 7.30-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, 8H), 7.99 (dd, J=7.0Hz, o-ArHCSS, 2H)。13C NMR (CDCl3): δ 7.44 (s, CH2CH3, 1C), 17.83 (s, CCH3, 2C), 18.62 (s, CCH3, 4C), 21.23 (s, CH2CH3, 1C), 22.12 (s, CCH3, 4C), 25.36 (s, CCH3, 4C), 41.58 (s, C(CH2)4, 1C), 42.16 (s, CCH2O, 4C), 47.03 (s, CCH2O, 2C), 58.93 (s, CHSSCAr, 1C), 63.98 (s, CH2O, 2C), 64.94 (s, CCH2OH, 4C), 66.05 (s, CCH2OH, 8C) 66.11 (s, CH2OOC, 1C), 98.23 (s C(CH3)2, 1C), 127.08-129.35 (6s, ArC, 10C), 133.08 (s, ArCCHS, 1C), 143.93 (s, ArCCSS, 1C), 168.29 (s, COOCH2, 1C), 172.09 (s, COO, 2C), 173.61 (s, COO, 4C)。
例4
【0060】
重合のための一般的な手順−アセトニド−G1−PMMAの製造
【0061】
アセトノド−G1−RAFT(890mg、2.00mmol)、AlBN(33mg、0.20mμmol)を、ガラス管内でそのままのMMA(5.00g、49.9mmol)中に溶解させた。その管を、凍結−吸引−解凍サイクルで脱気し、真空下で封をした。70℃2時間重合を行ってから冷却した。そのポリマーをそのまま、酢酸エチルへと除々に増加するヘキサンを使用しつつMPLCによって精製し、桃色の固体としての生成物を生成した。そのままのポリマー溶液の1H NMRによって転換を評価し、SECによって分子量及び多分散性インデックスを測定した(収率=67%、Mn=5000g/mol、PDI=1.21)。1H NMR δ 0.55 (t, CH2CH3) 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 1.11 (s, CCH3)1.32 (s, CCH3), 3.1-3.8 (ブロード m, CH2O, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 7.12, 16.34, 18.35, 21.03, 42.10, 44.43, 44.78, 45.43, 51.77, 52.67, 54.28, 60.31, 64.27, 65.93, 97.98, 126.62, 128.28, 173.52, 176.90, 177.75, 178.33。
【0062】
アセトニド−G2−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.7-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 1.11 (s, CCH3)1.32 (s, CCH3), 3.1-3.8 (ブロード m, CH2O, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2COO及びCH2O), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 7.09, 14.15, 16.32, 18.35, 21.00, 42.00, 44.43, 44.78, 45.43, 51.77, 52.67, 54.28, 60.31, 64.27, 65.93, 97.98, 126.62, 128.28, 173.52, 176.90, 177.75, 178.33。
【0063】
アセトニド−G3−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.7-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 1.12 (s, CCH3)1.34 (s, CCH3), 3.1-3.8 (ブロード m, CH2O, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2COO,及びCH2O,), 7.25-7.50 (m, m,p- ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 7.13, 14.14, 17.06, 17.58, 18.38, 20.99, 21.84, 25.25, 30.88, 41.95, 42.10, 44.41, 45.41, 46.77, 54.31, 60.29, 64.67, 65,88, 98.13, 126.60, 128.27, 144.73, 173.39, 177.03, 177.77, 178.02。
【0064】
アセトニド−G4−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.7-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 1.10 (s, CCH3)1.33 (s, CCH3), 3.1-3.8 (ブロード m, CH2O, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2COO,及びCH2O, ), 7.25-7.50 (m, m,p- ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 7.11 , 14.12, 17.06, 17.42, 17.93, 18.48, 20.87, 21.82, 25.25, 30.78, 41.92, 42.10, 44.39, 45.41 , 54.31, 60.29, 64.69, 65.72, 98.16, 126.63, 128.27, 144.73, 173.39, 174.32, 177.03, 177.73, 178.32。
【0065】
(HO)2−G1−PMMA。ポリマーをTHFに溶解させ、ポリマーを沈殿させることなく等量のMeOHを添加すること以外は一般的な脱保護手順に従って、アセトニドを脱保護した。その生成物は、桃色の固体であった(95%)。1H NMR δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2OH, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 7.12, 16.38, 18.69, 21.02, 44.50, 44.84, 45.49, 51.82, 52.86, 54.38, 62.76, 126.68, 128.32, 128.74, 176.97, 177.81, 178.10。
【0066】
(HO)4−G2−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (CH2OH, CH2COO,及びCH2O), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 7.01 , 16.32, 17.08, 18.64, 26.68, 30.01, 44.46, 44.81 , 45.46, 49.72, 51.80, 52.83, 54.31, 58.54, 62.63, 67.68, 72.73, 126.65, 128.30, 175.14, 176.94, 177.79, 178.08, 178.36。
【0067】
(HO)8−G3−PMMA。1H (CDCl3) NMR δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2OH, CH2COO,及びCH2O), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 7.21, 16.33, 17.08, 17.94, 18.64, 20.98, 26.62, 29.97, 44.45, 44.80, 45.45, 46.51 , 49.83, 51.80, 52.70, 54.35, 58.53, 58.90, 62.57, 64.69, 66.61, 72.72, 126.64, 127.67, 128.29, 132.48, 144.77, 172.46, 174.91, 176.93, 177.09, 178.08, 178.36。
【0068】
アセトニド−G1−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1.12 (s, CCH3), 1.34 (s, CCH3), 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA)), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 13.86, 17.02, 18.78, 19.38, 29.12, 29.25, 36.26, 36.33, 44.80, 45.16, 54.14, 63.80, 126.74, 127.26, 128.67, 128.97, 137.96, 176.38, 177.12, 177.96。
【0069】
アセトニド−G2−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1.12 (s, CCH3), 1.34 (s, CCH3), 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA)), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 16.92, 18.68, 19.37, 29.11, 29.11, 29.24, 36.25, 36.32, 44.80, 45.16, 63.78, 127.25, 128.66, 128.96, 137.95, 176.33, 177.10, 177.46。
【0070】
アセトニド−G3−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1.12 (s, CCH3), 1.34 (s, CCH3), 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA)), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 16.98, 18.53, 19.37, 29.11, 29.25, 36.25, 26.32, 42.05, 44.81, 45.16, 54.17, 63.80, 65.95, 98.12, 127.25, 128.66, 128.96, 137.96, 138.30, 176,38, 177.11 , 177.45。
【0071】
(HO)2−G1−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1 , 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA)), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, O-/WΗCSS)。
【0072】
(HO)4−G2−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz- TEMA)), 1 , 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA)), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4 Hz, o-ArHCSS)。
【0073】
(HO)8−G3−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1 , 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA),), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。
【0074】
(HOOC)2−G1−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1 , 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA), CH2CH2COOH), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7,4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 17.00, 18.78, 19.37, 29.10, 29.23, 30.35, 36.24, 36.31, 44.80, 45.15, 54.11, 63.81, 127.26, 128.96, 137.95, 176.37, 177.34, 177.47。
【0075】
(HOOC)4−G2−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1 , 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA), CH2CH2COO H), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 16.90, 18.68, 29.11, 29.24, 30.35, 36.32, 44.80, 45.12, 54.16, 63.79, 127.26, 128.67, 128.96, 138.00, 176.38, 177.32, 177.47。
【0076】
(HOOC)8−G3−P(Bz−TEMA)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.1 (ブロード m, P(Bz-TEMA)), 1 , 2.2-2.6 (ブロード s, P(Bz-TEMA), CH2CH2COOH), 3.1-4.2 (ブロード m, CH2O, CH2COO P(Bz-TEMA)), 6.7-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, P(Bz-TEMA)), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 16.93, 28.41, 29.15, 29.58, 30.33, 36.29, 44.78, 45.11, 51.83, 63.78, 124.20, 127.20, 128.65, 128.95, 137.95, 175.84, 177.12, 177.47。
【0077】
アセトニド−G2−P(FA513−MS)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.4 (ブロード m, P(FA513-MS)), 1.12 (s, CCH3), 1.34 (s, CCH3), 3.5-4.3 (m, CH2O, CH2COO), 4.3-4.5 (ブロード s, P(FA513-MS)) 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 17.34, 18.27, 27.74, 29.49, 31.75, 32.00, 38.03, 39.50, 42.96, 45.06, 45.48, 47.44, 53.44, 124.81, 128.30, 176.60, 177.31, 177.60。
【0078】
(HO)4−G2−P(FA513−MS)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.4 (ブロード m, P(FA513-MS)), 3.5-4.3 (m, CH2O, CH2COO), 4.3-4.5 (ブロード s, P(FA513-MS)) 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 18.45, 27.75, 29.44, 31.75, 32.01, 37.94, 39.49, 42.95, 45.07, 45.46, 47.43, 67.96, 177.28。
【0079】
(HOOC)4−G2−P(FA513−MS)。1H NMR (CDCl3) δ 0.3-2.4 (ブロード m, P(FA513-MS)), 2.3-2.5 (ブロード s, CH2CH2COOH)3.5-4.3 (m, CH2O, CH2COO), 4.3-4.5 (ブロード s, P(FA513-MS)) 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。
【0080】
アセトニド−G2−PS。1H NMR δ 0.55 (t, CH2CH3) 0.7-2.3 (ブロード m, PS CH, CH2), 1.11 (s, CCH3)1.32 (s, CCH3), 3.5-4.3 (m, CH2O, CH2COO), 6-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, PS ArH), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 18.48, 40.39, 44.22, 66.01, 68.02, 98.11, 125.68, 127.69, 128.00, 145.31。
【0081】
(HO)4−G2−PS。1H NMR δ 0.55 (t, CH2CH3) 0.7-2.3 (ブロード m, PS CH, CH2), 3.5-4.3 (m, CH2O, CH2COO), 6-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p- Ar, PS ArH), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 25.64, 30.35, 40.43, 68.01 , 125.66, 127.68, 127.99, 145.22。
【0082】
(HOOC)4−G2−PS。1H NMR δ 0.55 (t, CH2CH3) 0.7-2.3 (ブロード m, PS CH, CH2), 2.3-2.5 (ブロード s, CH2CH2COOH), 3.5-4.3 (m, CH2O, CH2COO), 6-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar, PS ArH), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 40.47, 44.23, 45.94, 125.59, 126.28, 127.73, 128.05, 145.18, 145.71。
例5
【0083】
カルボキシル酸を伴った官能化のための一般的な手順−(HOOC)2−G1−PMMAの製造
【0084】
10mLのCH2Cl2中にHO−G1−PMMA(1.45g、0.29mmol)、DMAP(14mg、0.06mmol、0.2eq/OH.)及びピリジン(0.23g、2.90mmol、5eq/OH)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に無水コハク酸(0.29g、2.90mmol、5eq/OH.)を添加した。その反応を、室温で1晩攪拌した。残留している酸無水物を、数時間激しく攪拌しながら約10mLの水と反応させることによって、冷却した。それから、その反応混合物を、約150mLのジクロロメタン中に溶解させ、NaHSO4(50mmL)で3回抽出し、塩水(50mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、生成物をそのまま、少量のCH2Cl2に溶解させ、ヘキサン中で沈殿させ、ろ過し、乾燥して、桃色の固体としての生成物を生成した(94%)。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 2.3-2.5 (ブロード s, CH2CH2COOH) 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 11.42, 14.11, 16.37, 18.68, 20.68, 22.63, 25.25, 29.03, 31.56, 34.49, 34.63, 44.49, 44.83, 45.48, 51.81, 52.70, 54.37, 126.66, 128.31, 176.95, 177.81, 178.09。
【0085】
(HOOC)4−G2−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 2.3-2.5 (ブロード s, CH2CH2COOH) 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p- Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 11.42, 14.11, 14.31, 16.36, 18.74, 16.36, 18.74, 20.43, 20.68, 22.64, 25.25, 28.83, 31.57, 34.64, 36.05, 41.32, 44.51, 44.85, 46.46, 51.81, 52.71, 54.40, 126.68, 128.32, 171.37, 176.97, 177.81, 178.10。
【0086】
(HOOC)8−G3−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3), 2.3-2.5 (ブロード s, CH2CH2COOH) 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-AM0SS及びo,m,p- Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS)。13C NMR (CDCl3): δ 11.45, 14.13, 16.43, 17.58, 18.70, 20.70, 22.60, 25.27, 28.85, 29.05, 31.59, 34.66, 44.52, 44.86, 46.47, 51.84, 54.33, 128.34, 171.61, 171.99, 177.01, 177.43, 177.33, 178.12。
【0087】
チオクト酸無水物。ジクロロメタン(25mL)中にチオクト酸(5.00g、24.2mmol)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(2.50g、12.1mmol)を添加した。その反応混合物を、室温で1晩攪拌し、ろ過し、蒸発させることによって乾燥した。蒸発後、生成物が、黄色の固体として生成された(4.7g、98%)。1H NMR (CDCl3): δ 1.1-2.0 (ブロード m, CH2CH2COO, CH2CH2CH2COO, CH2CHSS, CH2CH2SS, 14HH), 2.3-2.5 (m, CH2CH2COO CH2CH2SS, 6H), 3.0-3.3 (m, CH2CH2SS, 4H), 3.5 (m, CHSS, 2H)。13C NMR (CDCl3). δ 23.92 (s, CH2 CH2COO, 2C), 28.45 (s, CH2 CH2CH2COO, 2C), 34.57 (s, CH2CH2COO, 2C), 35.10 (s, CH2CHSS, 2C), 38.50 (s, CH2 CH2SS, 2C), 40.22 (s, CH2 CH2SS, 2C)1 56.21 (S, CHSS, 2C), 169.21 (s, COO, 2C)。
【0088】
(チオクト酸)4−G2−PMMA。10mLのCH2Cl2中にHO−G2−PMMA(1.00g、0.20mmol)、DMAP(20mg、0.08mmol、0.2eq/OH)及びピリジン(0.32g、4.00mmol、5eq/OH)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液にチオクト酸無水物(1.58g、4.00mmol、5eq/OH)を添加した。その反応を、室温で1晩攪拌した。残留している酸無水物を、数時間激しく攪拌しながら約10mLの水と反応させることによって、冷却した。それから、その反応混合物を、約150mLのジクロロメタン中に溶解させ、NaHSO4(50mmL)で3回抽出し、塩水(50mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、生成物をそのまま、酢酸エチルへと徐々に増加する60/40の酢酸エチル/ヘキサンに溶出させつつ、フラッシュクロマトグラフィによって精製し、濃縮し、少量のCH2Cl2に溶解させ、ヘキサンで沈殿させ、ろ過し、乾燥して、白色の固体としての生成物を生成した(87%)。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3, ブロード m, CH2CH2COO, CH2CH2CH2COO, CH2CHSS, CH2CH2SS), 2.3-2.5 (ブロード m, CH2CH2COO CH2CH2SS) 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3, CH2CH2SS, CHSS), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO)。13C NMR (CDCl3): δ 11.42, 14.11, 16.42, 18.75, 22.64, 24.55, 25.27, 28.71, 29.05, 31.57, 34.65, 38.49, 40.24, 44.53, 44.88, 51.80, 54.45, 56.32, 172.43, 176.96, 177.78。
【0089】
5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸。ジ−n−オクチルホスフィンオキシド(5.00g、18.2mmol)、4−ペンテン酸(2.28g、22.8mmol、1.25eq.)を混合し、3回の凍結吸引解凍サイクルによって脱気した。その反応を、アルゴン下、80℃で攪拌した。その生成物をそのまま、5/95メタノール/酢酸エチルへと増加する酢酸エチルに溶出させつつ、フラッシュクロマトグラフィによって精製し、濃縮し、その後、10/90メタノール/クロロホルムへと徐々に増加するクロロホルムに溶解させながら、フラッシュクロマトグラフィによって精製した。その生成物をそのまま、白色のオイルとして得た(3.76g、55%)。1H NMR (CDCl3): δ0.89 (t, J=6.6Hz, CH3, 6H), 1.25-1.90 (ブロード m, オクチル CH2, PCH2CH2及びPCH2CH2, 32H), 2.34 (t, J=6.0Hz, CH2COO, 2H)。13C NMR (CDCl3): δ 14.08, 21.07, 21.57, 22.62, 26.50, 26.74, 27.82, 28.04, 29.05, 30.93, 31.21, 31.78, 33.83, 175.56。31P NMR (CDCl3): δ 52.88。
【0090】
5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸無水物。ジクロロメタン(20mL)中に5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸(3.76g、10.1mmol)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.04g、5.05mmol)を添加した。その反応混合物を、室温で1晩攪拌し、ろ過し、蒸発させることによって乾燥した。その副生成物を、エーテル(20mL)中での沈殿及びろ過によって単離した。蒸発後、生成物が、黄色の固体として生成された(3.19g、87%)。1H NMR (CDCl3): δ 0.92 (t, J=6.4Hz, CH3, 12H), 1.20-1.95 (ブロード m, オクチル CH2, PCH2CH2及びPCH2CH2, 64H), 2.51 (t, J=6.8Hz, CH2COO, 4H)。13C NMR (CDCl3): δ 14.05, 21.08, 21.74, 22.58, 25.41, 27.37, 28.26, 28.66, 29.06, 31.00, 31.75, 34.67, 34.89, 168.86。31P NMR (CDCl3):δ 48.11。
【0091】
(ホスフィンオキシド)4−G2−PMMA。10mLのCH2Cl2中にHO−G2−PMMA(0.5g、0.10mmol)、DMAP(2mg、0.04mmol、0.2eq/OH.)及びピリジン(0.16g、2.00mmol、5eq/OH)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸無水物(1.46g、2.00mmol、5eq/OH)を添加した。その反応を、室温で1晩攪拌した。残留している酸無水物を、数時間激しく攪拌しながら約5mLの水と反応させることによって、冷却した。それから、その反応混合物を、約20mLのジクロロメタン中に溶解させ、NaHSO4(50mmL)で3回抽出し、塩水(20mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、DMF(10mL)に溶解させ、セントリプラス遠心式フィルター(3000MWカットオフ)でろ過し、水中で沈殿させ、少量のCH2Cl2に溶解させ、ヘキサン中で沈殿させ、ろ過し、乾燥して、白色の固体として生成物を生成した(0.10g、17%)。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.0 (ブロード m, PMMA CH, CH2, CH3, オクチル CH2, PCH2CH2及びPCH2CH2), 2.63 (t, J=7.2Hz, CH2COO) 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO) 13C NMR (CDCl3): δ 13.93, 16.31, 18,62, 21.52, 22.45, 24.86, 28 89, 30.88, 31.15, 31.62, 44.36, 44.71, 51.64, 54.24, 176.77, 177.65, 177.93。31P NMR (CDCl3): δ 48.70。
【0092】
4−アジドブタン酸無水物。ジクロロメタン(50mL)中に4−アジドブタン酸(14.35g、111.1mmol)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(11.46g、55.7mmol)を添加した。その反応混合物を、室温で1晩攪拌し、ろ過し、蒸発させることによって乾燥した。その副生成物を、エーテル(20mL)中での沈殿及びろ過によって単離した。その生成物の蒸発後、無色のオイルが得られた(12.9g、97%)。1H NMR (CDCl3): δ 1.94 (クイン, J=7.0Hz, CH2CH2-N3, 4H), 2.54 (t, J=7.0Hz, CH2CH2-N3, 4H), 3.40 (t, J=6.6Hz, CH2COO, 4H)。13C NMR (CDCl3): δ23.54 (s, CH2CH2-N3, 2C), 32.08 (s, CH2CH2-N3, 2C), 50.15 (s, CH2COO, 2C), 168.41 (s, CH2COO, 2C)。
例6
【0093】
アジドを伴った官能化のための一般的な手順−(N32−G1−PMMAの製造
【0094】
CH2CI2中にHO−G1−PMMA(2.03g、0.41mmol)、DMAP(20mg、0.16mmol、0.2eq/OH.)及びピリジン(0.32g、4.1mmol、5eq/OH)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液に4−アジドブタン酸無水物(0.97g、4.10mmol、5eq/OH.)を添加した。その反応を、室温で1晩攪拌した。残留している酸無水物を、数時間激しく攪拌しながら約10mLの水と反応させることによって、冷却した。それから、その反応混合物を、約150mLのジクロロメタン中に溶解させ、NaHSO4(50mmL)で3回抽出し、最終的に1度塩水で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させ、生成物をそのまま、少量のCH2Cl2に溶解させ、ヘキサン中で沈殿させ、ろ過し、乾燥して、桃色の固体としての生成物を生成した(93%)。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, CH2CH2-N3, PMMA CH, CH2, CH3), 2.4 (t, CH2CH2-N3,) , 3.4 (t, CH2COO, ), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 14.22, 16.61, 18.82, 22.75, 31.96, 44.62, 44.97, 51.90, 54.56, 177.00, 177.91, 178.21。
【0095】
(N34−G2−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, CH2CH2-N3, PMMA CH, CH2, CH3), 2.4 (t, CH2CH2-N3,) , 3.4 (t, CH2COO, ), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3):δ14.22, 18.86, 22.75, 24.40, 31.68, 44.62, 44.96, 50.58, 51.91, 177.91, 178.21。
【0096】
(N38−G2−PMMA。1H NMR (CDCl3) δ 0.8-2.1 (ブロード m, CH2CH2-N3, PMMA CH, CH2, CH3), 2.4 (t, CH2CH2-N3,) , 3.4 (t, CH2COO, ), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 13C NMR (CDCl3): δ 14.19, 16.37, 17.83, 18.81, 22.72, 24.18, 30.90, 31.65, 44.60, 44.94, 50.56, 51.88, 54.47, 65.17, 172.18, 177.05, 177.88, 178.17。
例7
【0097】
ホスホン酸を伴った官能化のための一般的な手順−(H2PO44−G2−PMMAの製造
【0098】
DMF中にプロパルギルホスホン酸(174mg、128mmol、2eq/N3)N3、N3−G2−PMMA(800mg、0.016mmol)及びジイソプロピレンアミン(DIPEA)(410mg、3.2mmol)を含有する溶液を攪拌しながら、該溶液にCu(PPh33(15mg、0.016mmol)を添加した。そのポリマーをそのまま、ヘキサン中で沈殿させ、ろ過し、10mLのCH2Cl2に溶解させ、1M HCl(5mL)で3回抽出し、NaHCO3(5mL)で3回、1M HCl(5mL)で3回、抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、蒸発させ、少量のCH2Cl2に溶解させ、ヘキサン中で沈殿させ、ろ過し、乾燥して、桃色の固体を生成した(24%)。1H NMR (DMSO) δ 0.8-2.1 (ブロード m, CH2CH2-, PMMA CH, CH2, CH3), 2.4 (t, CH2CH2-) , 3.4 (t, CH2COO, ), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p-ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 31P NMR (DMSO): δ -1.01 , -1.31。
【0099】
(H2PO48−G3−PMMA。1H NMR (DMSO) δ 0.8-2.1 (ブロード m, CH2CH2-, PMMA CH, CH2, CH3), 2.4 (t, CH2CH2-,) , 3.4 (t, CH2COO, ), 3.1-3.8 (ブロード m, PMMA OCH3), 3.9-4.1 (m, CH2O, CH2COO), 7.25-7.50 (m, m,p- ArHCSS及びo,m,p-Ar,), 8.0 (dd, J=7.4Hz, o-ArHCSS) 31P NMR (DMSO): δ -0.99, -1.33。
【0100】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの製造に使用されることが可能であり、一般式Fx−[G−n]−I(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Iは、開始基である)の化合物を含む樹枝状マクロ開始剤組成物。
【請求項2】
xが、2から128であり、nが、1から7である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
xが、2から16であり、nが、1から4である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
i)一般式Fx−[G−n]−Y(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Yは、開始基が接着される反応基である)のアセトニド保護化樹枝状ポリマーのエステル化官能を行うこと、及び、
ii)ジチオ安息香酸におけるアニオンをカップリングすること、
を含む樹枝状マクロ開始剤の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記マクロ開始剤の樹枝状ユニットを多岐に成長させるための、一連の脱保護及びカップリング反応を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法によって製造された製造物。
【請求項7】
一般式Fx−[G−n]−Pz(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Pは、直鎖状ポリマーの繰り返し単位、zは、直鎖状ポリマーの繰り返し単位数である)の化合物を含むハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの組成物。
【請求項8】
リビングフリーラジカル重合を使用し、一般式Fx−[G−n]−I(ここで、Fは、樹枝状ポリマーの鎖末端官能基、xは、鎖末端官能基の数、Gは、樹枝状ポリマー、nは、樹枝状ポリマーの生成数、Iは、リビングフリーラジカル重合のための開始基である)を有する樹枝状マクロ開始剤を伴ってビニルモノマーの重合を行うことを含むハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの製造方法。
【請求項9】
さらに重合開始剤を添加することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項8に記載の製法によって製造されたハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマー。
【請求項11】
さらに、脱保護及び官能化反応を含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記官能化反応が、
a)カルボキシル樹枝状−直鎖状コポリマーを生成するための無水コハク酸を伴った反応;
b)ジスルフィド終端化ハイブリッド−直鎖状コポリマーを製造するための、酸無水物を使用するヒドロキシル鎖末端のエステル化反応;
c)ホスフィンオキシド終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを製造するための、5−(ジオクチルホスホリル)ペンタン酸無水物を伴った反応;または、
d)ホスホン酸終端化ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを製造するためのクリック反応;のいずれかである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項12に記載のaの方法によって製造されたハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマー。
【請求項14】
請求項12に記載のbの方法によって製造されたハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマー。
【請求項15】
請求項12に記載のcの方法によって製造されたハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマー。
【請求項16】
請求項12に記載のdの方法によって製造されたハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマー。
【請求項17】
a)ナノ粒子の溶液を有すること;
b)ハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーの溶液を添加すること;及び
c)ポリマーの溶液を混合すること;
を含み、マトリックス材料中においてナノ粒子を分散するためにハイブリッド樹枝状−直鎖状コポリマーを使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図20】
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【図22】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図23】
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【公表番号】特表2011−522087(P2011−522087A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511676(P2011−511676)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/041136
【国際公開番号】WO2009/148712
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】