説明

マルチアミド成分を含むフォトレジスト

【課題】サブクオーターミクロン(<0.25μm)寸法の高解像の像を提供できる新たなフォトレジストを提供する。
【解決手段】光酸不安定基を有する樹脂、光酸発生剤化合物、およびフォトレジスト塗膜層の未露光領域への望まれない光発生酸拡散を低減させる様に機能しうる2以上のアミド基を含むマルチアミド成分、を含む新規のフォトレジスト組成物であり、特に、アミドカルボニル基同士の間に3〜8原子の間隔を有するマルチアミド化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2011年9月9日に出願された米国仮出願第61/533,128号に対する35U.S.C.§119(e)の下での優先権の利益を主張し、その出願の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は2以上のアミド基を含む成分を含むフォトレジスト組成物に関する。本発明の好ましいフォトレジストは光酸不安定基(photoacid−labile)を有する樹脂;光酸発生剤化合物;およびフォトレジスト塗膜層の未露光領域への、望まれない光発生酸の拡散を低減させるように機能しうるマルチアミド成分を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体に像を転写するための感光膜である。それはネガもしくはポジの像を形成する。基体上にフォトレジストをコーティングした後で、このコーティングはパターン形成されたフォトマスクを通して活性化エネルギー源、例えば、紫外光に露光されて、フォトレジスト塗膜内に潜像を形成する。このフォトマスクは下にある基体に転写されることが望まれる像を画定する活性化放射線に対して不透明な領域および透明な領域を有する。
【0003】
既知のフォトレジストは多くの既存の商業的な用途に充分な解像度およびサイズを有するフィーチャを提供することができる。
【0004】
機能性を向上させるようにフォトレジスト組成物の構成を変えようと様々な試みがなされてきた。とりわけ、フォトレジスト組成物に使用するための様々な塩基性化合物が報告されてきた。例えば、米国特許第6,607,870号および第7,379,548号、並びに特開昭61−219951号を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,607,870号明細書
【特許文献2】米国特許第7,379,548号明細書
【特許文献3】特開昭61−219951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、多くの他の用途については、サブクオーターミクロン(<0.25μm)寸法の高解像の像を提供できる新たなフォトレジストについての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、樹脂と、光酸発生剤化合物(光酸発生剤、すなわち「PAG」)と、下記式のマルチアミド成分を含む酸拡散制御剤とを含むフォトレジスト組成物を提供する:
【化1】

式中、R、R、RおよびRは独立して、H、(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキルから選択され;RとR、もしくはRとRもしくはRとRはそれらが結合している原子と共に一緒になって5員〜12員複素環を形成していてよく;並びに、Lはカルボニル基同士の間に3〜8原子の間隔を提供する連結基であり;当該マルチアミド化合物はヒドロキシル基を含まない。このマルチアミド成分は1より多いアミド基を含む。このフォトレジストはポジ型またはネガ型であることができ、好ましくはポジ型である。
好ましい形態においては、本発明のフォトレジストは193nmでの像形成のような短波長像形成用途に使用される。
特に好ましい本発明のフォトレジストは液浸リソグラフィ用途に使用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は線状、分岐および環式アルキルを含む。用語「(メタ)アクリラート」はアクリラートおよびメタクリラートの双方を含む。同様に用語「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを含む。以下の略語は以下の意味を有するものとする:℃=摂氏度;nm=ナノメートル;μm=ミクロン=マイクロメートル;cm=センチメートル;mJ=ミリジュール;重量%=重量パーセント;およびPAG=光酸発生剤。
【0009】
本発明者は、フォトレジスト組成物、例えば、化学増幅型フォトレジスト組成物における特定のマルチアミド(multi−amide)化合物の使用がレジストのレリーフ像(例えば、微細ライン)の解像度を有意に高めることができることを見いだした。特に、本発明者はアミドカルボニル基同士の間に3〜8原子の間隔を有するマルチアミド化合物が、その代わりに1つのアミド基もしくは異なる配置の複数のアミド基を有する添加剤を含むか、または複数アミンを含有する化合物のような他の種類の塩基性添加剤を含むが、そのほかの点では同じである同等のフォトレジストよりも、有意に向上したリソグラフィ結果をもたらすことを見いだした。本発明のマルチアミド化合物の使用は、この化合物を含むフォトレジストに良好な貯蔵寿命も与えうる。理論に拘束されるものではないが、マルチアミド化合物添加剤は、単一のアミド部分を含む同等の添加剤により提供される複合体形成と比較して、より効果的にフォトレジスト層の露光領域において光発生酸と複合体形成でき、それにより未露光レジスト層領域へのその酸の望まれない移動を妨げることができると考えられる。すなわち、本マルチアミド化合物はリソグラフィの際に光発生酸のためのクエンチャー(quencher)として適切に機能する。
【0010】
本発明のマルチアミド化合物は2以上のアミド部分を含む。好ましくは、本発明のマルチアミド化合物は2〜6個のアミド基、より好ましくは2〜4個のアミド基、さらにより好ましくは2〜3個のアミド基、および最も好ましくは2個のアミド基を有する。これらマルチアミド化合物はリソグラフィの条件下で光発生酸と複合体形成するように機能し、かつ使用されるフォトレジスト配合物中に充分に可溶性もしくは分散可能である。
【0011】
本発明における使用に適するマルチアミド化合物は式:
【化2】

を有し、
式中、R、R、RおよびRは独立して、H、(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキルから選択され;RとR、もしくはRとRもしくはRとRはそれらが結合している原子と共に一緒になって5員〜12員複素環を形成していてよく;並びに、Lはカルボニル基同士の間に3〜8原子の間隔を提供する二価連結基であり;当該マルチアミド化合物はヒドロキシル基を含まない。
【0012】
好ましくは、R、R、RおよびRは独立して、H、(C−C10)アルキル、およびアミド置換(C−C10)アルキルから選択され;より好ましくは、R、R、RおよびRは独立して、H、(C−C)アルキル、およびアミド置換(C−C)アルキルから選択され;並びに、さらにより好ましくはR、R、RおよびRは独立して、H、(C−C)アルキル、およびアミド置換(C−C)アルキルから選択される。Lはアミドカルボニル同士の間に3〜8原子を提供する適切な連結基でありうる。好ましくは、Lは(C−C12)アルキレン、((C−C)アルキレン−O)(C−C)アルキレン(式中、n=1〜5)、および6員〜8員複素環から選択される。より好ましくは、Lは(C−C12)アルキレンであり、さらにより好ましくはLは(C−C)アルキレンであり、さらにより好ましくはLは(C−C)アルキレンであり、最も好ましくはLは(C−C)アルキレンである。好ましくは、n=1〜4、より好ましくはn=1〜3、最も好ましくはn=1または2である。
【0013】
場合によっては、R〜Rの(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキル基、並びにLの(C−C12)アルキレン、((C−C)アルキレン−O)(C−C)アルキレン、および6員〜8員複素環は、カルボキシル(「−COH」)、カルボキシ(C−C30)アルキル、(C−C30)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトから選択される1以上の基で置換されうる。好ましい置換基はカルボキシル、カルボキシ(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトであり;並びに、より好ましくはカルボキシル、カルボキシ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトである。好ましいエステル基(カルボキシアルキル)はカルボキシ(C−C)アルキルである。好ましいアルコキシ基は(C−C)アルコキシ、より好ましくは(C−C)アルコキシである。「置換」とはマルチアミド化合物のアルキル基もしくはアミドアルキル基上の1以上の水素が1以上の上記置換基で置き換えられることを意味する。このような置換基の混合が使用されうる。このような置換基の存在はマルチアミド化合物に所望の溶解度を付与することができ、またはマルチアミド化合物のクエンチング能力を調節するために使用されうる。好ましくは、R〜Rの(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキル基、並びにLの(C−C12)アルキレン、((C−C)アルキレン−O)(C−C)アルキレン、および6員〜8員複素環は置換されていない。
【0014】
とR、もしくはRとR、もしくはRとRがそれらが結合している原子と共に一緒になって複素環を形成する場合には、それらは単一の複素環、または使用されうる多重環、またはスピロ環を形成しうる。RとR、もしくはRとR、もしくはRとRがそれらが結合している原子と共に一緒になる場合には、5員〜10員環が形成されるのが好ましく、より好ましくは5員〜8員環、さらにより好ましくは5員〜6員環である。RとRがそれらが結合している原子と共に一緒になって環を形成する場合にはラクタムが形成されることが当業者に認識されるであろう。RとRは環を形成するためにそれらが結合している原子と共に一緒にならないことが好ましい。RとRおよびRとRは環を形成するためにそれらが結合している原子と共に一緒にならないことがさらに好ましい。
【0015】
式(I)のアミド置換(C−C30)アルキル基は1以上のアミド基を含むことができる。好適なアミド基は下記式(II)もしくは(III)のいずれを有することができる:
【化3】

式中、R、RおよびRは独立して、H、(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキルから選択され;並びに、Qは(C−C30)アルキル残基である。好ましくは、R、RおよびRは独立して、H、(C−C10)アルキル、およびアミド置換(C−C10)アルキルから選択され、より好ましくはH、(C−C)アルキル、およびアミド置換(C−C)アルキルから選択され、さらにより好ましくはH、および(C−C)アルキルから選択される。式(I)のアミド置換(C−C30)アルキル基は1〜3個のアミド基を含むのが好ましく、より好ましくは1〜2個のアミド基を含み、最も好ましくは1個のアミド基を含む。式(I)のアミド置換(C−C12)アルキル基はアミド置換(C−C)アルキル基であるのが好ましく、より好ましくはアミド置換(C−C)アルキル基である。
【0016】
式(I)の適切なL基には、限定されないが、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、シクロヘキシレン、へプチレン、オクチレン、2−メチルプロピレン、2,2−ジメチルプロピレン、2,3−ジメチルブチレン、2,3−ジエチルブチレン、2,2−ジメチルペンチレン、2,5−ジメチルヘキシレン、3,4−ジメチルヘキシレン、−CH−c−C10−CH−、および−C−c−C10−C−が挙げられる。
【0017】
本発明のフォトレジストにおける使用に好ましいマルチアミド化合物はシクロアルキル環上にトランス配置でアミド基を有することができ、例えば、アミド基はシクロヘキシル環の置換基であって、かつトランス配置に配置されている。あるいは、本発明のフォトレジストにおける使用に好ましいマルチアミド化合物はシクロアルキル環上にシス配置でアミド基を有することができ、例えば、アミド基はシクロヘキシル環の置換基であって、かつシス配置に配置されている。
【0018】
本発明において有用な典型的なマルチアミド化合物には、限定されないが以下の1種以上が挙げられる:N,N,N’,N’−テトラブチルアジパミド、N,N’−ジブチル−N,N’−ジメチルデカンジアミド、シス−N,N,N’,N’−テトラブチルシクロヘキサン−1,4−ジカルボキサミド、およびトランス−N,N,N’,N’−テトラブチルシクロヘキサン−1,4−ジカルボキサミド。
【0019】
フォトレジストにおける使用に好ましい本発明のマルチアミド化合物はポリマー型もしくは非ポリマー型であってよく、非ポリマー型マルチアミド化合物は多くの用途に好ましい。好ましいマルチアミド化合物は比較的低い分子量、例えば、3000以下、より好ましくは2500以下、2000以下、1500以下、1000以下、800以下、またはさらにより好ましくは500以下の分子量を有する。
【0020】
本発明において有用なマルチアミド化合物は概して市販されており、または容易に合成されうる。例えば、アルキルアミド化合物が反応させられて、第2のアミド基を提供することができる。
【0021】
好ましくは、本発明のマルチアミド化合物はポジ型もしくはネガ型化学増幅型フォトレジストにおいて、すなわち、光酸促進架橋反応を受けてレジストの塗膜層の露光領域を未露光領域よりも現像剤可溶性を低くするネガ型レジスト組成物、および1以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けてレジストの塗膜層の露光領域を未露光領域よりも水性現像剤により可溶性にするポジ型レジスト組成物において使用される。エステルのカルボキシル酸素に共有結合したターシャリー非環式アルキル炭素もしくはターシャリー脂環式炭素を含むエステル基は本発明のフォトレジストにおいて使用される樹脂の一般的に好ましい光酸不安定基である。アセタール基も好適な光酸不安定基である。
【0022】
本発明のフォトレジストは典型的には樹脂バインダー(ポリマー)、光酸発生剤のような光活性成分、および上述のようなマルチアミド化合物を含む。好ましくは、樹脂バインダーはフォトレジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーが好ましい。好ましくは、樹脂バインダーはレジスト組成物中にアルカリ水溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量で使用される。
【0023】
本発明のフォトレジストの好ましい像形成波長にはサブ−300nmの波長、例えば、248nm、およびより好ましくはサブ−200nmの波長、例えば193nmおよびEUVが挙げられる。
【0024】
本発明の特に好ましいフォトレジストは液浸リソグラフィ用途で使用されうる。例えば、好ましい液浸リソグラフィフォトレジストおよび方法の議論については、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズに対する米国特許出願公開第2006/0246373号を参照。液浸適用における使用に好ましいフォトレジストは、光酸不安定基を有する主たる樹脂とは別個で(共有結合されておらず)かつ異なる樹脂(これはフッ素化されていてよくおよび/または光酸不安定基を有していてもよい)を含むことができる。よって、本発明には、好ましい形態において、1)光酸不安定基を有する第1の樹脂;2)1種以上の光酸発生剤化合物;3)前記第1の樹脂とは別個でかつ異なる第2の樹脂、当該第2の樹脂はフッ素化されていてよくおよび/または光酸酸基を有していてよい;並びに、4)1種以上のマルチアミド化合物:を含むフォトレジストが挙げられる。
【0025】
本発明の特に好ましいフォトレジストは像形成有効量の1種以上のPAGおよび本明細書に開示されるような1種以上のマルチアミド化合物、並びに以下の群から選択される樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよび(メタ)アクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、ここにおいて、重合された(メタ)アクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的な(メタ)アクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式(メタ)アクリラートが挙げられ、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号(参照により本明細書に組み込まれる)におけるポリマーである:ii)ビニルフェノール、場合によって置換されている(ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まない)ビニルフェニル(例えばスチレン)、および上記ポリマーi)で記載されたデブロッキング基を有するもののような(メタ)アクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたポリマー:並びに、iii)光酸と反応しうるアセタールもしくはケタール部分を含む繰り返し単位、および場合によってフェニルもしくはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;
【0026】
2)サブ−200nmの波長、例えば、193nmで像形成するのに特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、フェニル基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)芳香族でない環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号に記載されたポリマー:ii)(メタ)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式(メタ)アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号に記載されている。この種のポリマーは好ましい形態においては、ヒドロキシナフチルのような特定の芳香族基を含むことができる。
【0027】
サブ−200nm、例えば、193nmで像形成されるフォトレジストにおける使用に好ましい樹脂は次の一般式(I)、(II)および(III)の単位を含む:
【化4】

式中、Rは(C−C)アルキル基であり;Rは(C−C)アルキレン基であり;Lはラクトン基であり;およびnは1もしくは2である。
【0028】
一般式(I)の単位は、活性化放射線への露光および熱処理により光酸促進脱保護反応を受ける酸不安定基を含む。これはマトリックスポリマーの極性を切り替えて、有機現像剤中でのポリマーおよびフォトレジスト組成物の溶解度の変化をもたらすことを可能にする。式(I)の単位を形成するのに好適なモノマーには、例えば、以下のものが挙げられる:
【化5】

【0029】
一般式(II)の単位はマトリックスポリマーおよびフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するのに有効なラクトン部分を含む。一般式(II)の単位を形成するのに好適なモノマーには、例えば、以下のものが挙げられる:
【化6】

【0030】
式(III)の単位は極性基を提供し、この極性基は樹脂およびフォトレジスト組成物のエッチング耐性を高め、かつ樹脂およびフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するための追加の手段を提供する。式(III)の単位を形成するためのモノマーには、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(HAMA)および好ましくは、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(HADA)が挙げられる。
【0031】
樹脂は、第1の単位とは異なる、一般式(I)、(II)および/または(III)の1種以上の追加の単位を含むことができる。追加のこのような単位が樹脂中に存在する場合には、その単位は好ましくは式(I)の追加の脱離基含有単位および/または式(II)のラクトン含有単位を含むことができる。
【0032】
上記重合単位に加えて、樹脂は、一般式(I)、(II)もしくは(III)のものではない1種以上の追加の単位を含むことができる。例えば、特に好適なラクトン基含有単位は以下の一般式(IV)のものである:
【化7】

式中、Lはラクトン基であり;一般式(IV)の単位は一般式(II)の単位とは異なる。以下の典型的なモノマーは一般式(IV)の追加のラクトン単位の形成に使用するのに好適である。
【化8】

【0033】
好ましくは、一般式(II)の単位におけるL、および一般式(IV)の単位におけるLは以下のラクトン基から独立して選択される:
【化9】

【0034】
典型的には、この樹脂のための追加の単位は、一般式(I)、(II)もしくは(III)の単位を形成するために使用されるモノマーに使用されるものと同じかもしくは類似の重合性基を含むことができるが、同じポリマー骨格中に、場合によって置換されたノルボルネンのような非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)もしくはビニルの重合単位を含むもののような別の異なる重合性基を含むこともできる。サブ−200nmの波長、例えば、193nmでの像形成については、樹脂は典型的にはフェニル、ベンジルもしくは他の芳香族基(このような基は放射線を高度に吸収する)を実質的に(すなわち、15モル%未満しか)含まない。ポリマーに好適な追加のモノマー単位には、例えば、以下のものの1種以上が挙げられる:エーテル、ラクトンもしくはエステルを含むモノマー単位、例えば、2−メチル−アクリル酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸3−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、および2−メチル−アクリル酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;極性基を有するモノマー単位、例えば、アルコールおよびフッ素化アルコール、例えば、2−メチル−アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、2−メチル−アクリル酸2−ヒドロキシ−エチルエステル、6−ビニル−ナフタレン−2−オール、2−メチル−アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、2−メチル−アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル、および2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−プロパン−2−オール;ポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した酸不安定部分、例えば、t−ブチルのようなターシャリー非環式アルキル炭素、またはメチルアダマンチルもしくはエチルフェンキルのようなターシャリー脂環式炭素を含むエステル基を有するモノマー単位、2−メチル−アクリル酸2−(1−エトキシ−エトキシ)−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸2−エトキシメトキシ−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸2−メトキシメトキシ−エチルエステル、2−(1−エトキシ−エトキシ)−6−ビニル−ナフタレン、2−エトキシメトキシ−6−ビニル−ナフタレン、および2−メトキシメトキシ−6−ビニル−ナフタレン。使用される場合には、追加の単位は典型的には10〜30モル%の量でポリマー中に存在する。
【0035】
典型的に好ましい樹脂には、例えば、以下のものが挙げられる:
【化10】

式中、0.3<a<0.7;0.3<b<0.6;および0.1<c<0.3である;
【化11】

式中、0.3<a<0.7;0.1<b<0.4;0.1<c<0.4;および0.1<d<0.3である;
【化12】

式中、0.1<a<0.5;0.1<b<0.5;0.2<c<0.6;および0.1<d<0.3である;並びに
【化13】

【0036】
2種以上の樹脂のブレンドが本発明の組成物において使用されうる。樹脂は所望の厚さの均一な塗膜を得るのに充分な量でレジスト組成物中に存在する。典型的には、樹脂はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして70〜95重量%の量で組成物中に存在する。有機現像剤中での樹脂の向上した溶解特性のせいで、樹脂に有用な分子量はより小さな値に限定されず、非常に広範囲をカバーする。例えば、ポリマーの重量平均分子量Mは典型的には100,000未満、例えば、5000〜50,000、より典型的には6000〜30,000、または7,000〜25,000である。
【0037】
樹脂を形成するのに使用される好適なモノマーは市販されておりおよび/または既知の方法を用いて合成されうる。樹脂は既知の方法および他の市販の出発材料を用いて、このモノマーを使用して、当業者によって容易に合成されうる。
【0038】
本発明のフォトレジストは単一種のPAGまたは異なるPAGの混合物、典型的には2もしくは3種の異なるPAGの混合物、より典型的には合計2種類の異なるPAGからなる混合物を含むこともできる。フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層内に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光酸発生剤(PAG)を含む。例えば、光酸発生剤はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして約1〜20重量%の量で好適に存在しうる。典型的には、化学増幅型ではない物質と比較して、より少ない量のPAGが化学増幅型レジストのためには好適であろう。
【0039】
好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野で知られており、例えば、これに限定されないが、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
【0040】
本発明のフォトレジストは1種以上のマルチアミド化合物を広範囲の量で、例えば、PAGの重量を基準にして0.005〜15重量%、好ましくは0.01〜15重量%、さらにより好ましくは0.01〜10重量%で含む。添加されるマルチアミド成分は、PAGに対して0.01、0.05、0.1、0.02、0.3、0.4、0.5もしくは1から10もしくは15重量%の量で好適に、より典型的には0.01、0.05、0.1、0.02、0.3、0.4、0.5もしくは1から5、6、7、8、9もしくは10重量パーセントの量で使用される。
【0041】
本発明のフォトレジスト組成物は典型的には溶媒を含む。好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸メチルおよび乳酸エチル;プロピオン酸エステル、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチルエトキシプロピオナート、およびメチル−2−ヒドロキシイソブチラート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンおよびキシレン;並びにケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。溶媒のブレンド、例えば、上述の溶媒の2種類、3種類もしくはそれより多い種類のブレンドも好適である。溶媒はフォトレジスト組成物の全重量を基準にして典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0042】
フォトレジスト組成物は他の任意物質を含むこともできる。例えば、組成物は化学線およびコントラスト染料(actinic and contrast dyes)、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤などの1種以上を含むことができる。このような任意の添加剤は、使用される場合には、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%のような少量で組成物中に存在する。
【0043】
本発明のフォトレジストは概して既知の手順に従って製造される。例えば、本発明のフォトレジスト組成物はフォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解させることによって製造されうる。本発明のフォトレジストの樹脂バインダー成分は典型的には露光されたレジストの塗膜層をアルカリ水溶液を用いるなどして現像可能にするのに充分な量で使用される。より具体的には、樹脂バインダーはレジストの全固形分の50〜90重量パーセントを好適に構成しうる。光活性成分はレジストの塗膜層内における潜像の発生を可能にするのに充分な量で存在すべきである。より具体的には、光活性成分はフォトレジストの全固形分の1〜40重量パーセントの量で好適に存在することができる。典型的には、より少ない量の光活性成分が化学増幅型レジストに好適であろう。
【0044】
本発明のフォトレジスト組成物の望まれる全固形分量は、組成物中の具体的なポリマー、最終層厚さおよび露光波長などの要因に応じて変化しうる。典型的には、フォトレジストの固形分量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%で変化する。
【0045】
本発明の好ましいネガ型組成物は酸への曝露の際に硬化、架橋または固化しうる物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。特に好ましいネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号、並びに米国特許第5,128,232号(Thackerayら)に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好ましいフェノール系樹脂には、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば、上述したものが挙げられる。好ましい架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質、および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般的に最も好ましい。このような架橋剤は市販されており、例えば、メラミン樹脂はサイメル(Cymel)300、301および303の商品名でアメリカンシアナミドによって販売されている。グリコールウリル樹脂はサイメル1170、1171、1172の商品名でアメリカンシアナミドによって販売されており;尿素ベースの樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名で販売されており;並びに、ベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名で販売されている。
【0046】
本発明のフォトレジストは既知の手順に従って使用されうる。本発明のフォトレジストはドライフィルムとして適用されうるが、本発明のフォトレジストは好ましくは液体コーティング組成物として基体上に適用され、加熱により乾燥させられ、好ましくは塗膜層が粘着性でなくなるまで溶媒を除去し、フォトマスクを通して活性化放射線に露光され、場合によっては露光後ベークされて、レジスト塗膜層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出すかまたは大きくし、次いで、好ましくは水性アルカリ現像剤で現像されてレリーフ像を形成する。本発明のレジストが適用され好適に処理される基体は、マイクロエレクトロニクスウェハのような、フォトレジストを伴うプロセスに使用されるあらゆる基体であり得る。例えば、基体は、ケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェハでありうる。ガリウムヒ素、セラミック、石英または銅基体も使用されうる。液晶ディスプレイおよび他のフラットパネルディスプレイ用途に使用される基体、例えば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物コーティング基体なども好適に使用される。液体コーティングレジスト組成物はスピニング、ディッピング、またはローラーコーティングのようなあらゆる標準的な手段で適用されうる。
【0047】
露光エネルギーは、感放射線システムの光活性成分を効果的に活性化して、レジスト塗膜層にパターン形成された像を生じさせるのに充分であるべきである。好適な露光エネルギーは典型的には約1〜300mJ/cmの範囲である。上述のように、好ましい露光波長には、サブ200nm、例えば、193nmが挙げられる。
【0048】
フォトレジスト層は(存在する場合には、上塗りバリア組成物層と共に)好ましくは液浸リソグラフィシステム(すなわち、露光ツール(特に投影レンズ)と基体をコーティングするフォトレジストとの間の空間が液浸流体、例えば、水または1種以上の添加剤、例えば、向上した屈折率の流体を提供できる硫酸セシウムと混合された水で占有されている)において露光されうる。好ましくは、液浸流体(例えば、水)は気泡を回避するために処理されており、例えば、水はナノバブルを回避するために脱ガスされうる。
【0049】
本明細書において「液浸露光」または他の類似の用語についての言及は、露光が、露光ツールと、被覆されたフォトレジスト組成物層との間に挿入されるこのような流体層(例えば、水もしくは添加剤を含む水)を用いて行われることを示す。
【0050】
露光後に、化学増幅型フォトレジストについては典型的には熱処理が使用される。好適な露光後ベーク温度は約50℃以上、より具体的には50〜140℃である。酸硬化性ネガ型レジストについては、望まれる場合には、現像により形成されたレリーフ像をさらに硬化させるために100〜150℃の温度で数分間以上で現像後ベークが使用されうる。現像および何らかの現像後硬化の後で、現像によって露出させられた基体表面は、次いで、選択的に処理されることができ、例えば、フォトレジストが除かれた基体領域を、当該技術分野で知られている手順に従って化学エッチングまたはめっきすることができる。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングが挙げられる。
【0051】
本発明は、サブクオーターμm寸法またはそれより小さい、例えば、サブ−0.2、またはサブ−0.1μm寸法の高解像のパターン形成されたフォトレジスト像(例えば、本質的に垂直の側壁を有するパターン形成されたライン)を形成する方法をはじめとする、本発明のフォトレジストのレリーフ像を形成する方法も提供する。
【0052】
本発明は、本発明のレリーフ像およびフォトレジストを基体上にコーティングしたフラットパネルディスプレイ基体もしくはマイクロエレクトロニクスウェハのような基体を含む製造物品をさらに提供する。
【実施例】
【0053】
実施例1
ポジ型化学増幅型フォトレジスト組成物が、以下のポリマー(樹脂)
【化14】

(示されるモノマー量はモルパーセンテージである)と、以下の光酸発生剤(PAG):トリフェニルスルホニウムヘキサヒドロ−4,7−エポキシイソベンゾフラン−1(3H)−オン,6−(2,2’−ジフルオロ−2−スルホナト酢酸エステル)(TPS−ODOT−DFMS)(全固形分の6.523%);およびt−ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4−アダマンタンカルボキシル−1,1,2,2−テトラフルオロブタンスルホナート(TBPTMS−Ad−TFBS)(全固形分の10.085%)の混合物とを一緒にすることにより製造された。以下の表1からのマルチアミドクエンチャーの所定量も組成物に添加された。添加されたクエンチャーの量は、PAG:マルチアミド化合物のモル比=3.42を維持するのに充分であった。このフォトレジスト組成物は、固形分の全量を基準にして3重量%の量のフッ素化メタクリラート表面平滑化剤も含んでいた。このフォトレジスト組成物はプロピレングリコールメチルエーテルアセタート/メチル−2−ヒドロキシ−イソ−ブチラート/シクロヘキサノン(20/65/15重量%)の溶媒ブレンド中で配合された。このフォトレジスト配合物の全固形分量は3〜4%であった。
【0054】
表1において、「n」はアミドカルボニル基同士の間の原子の数を表す。
【0055】
【表1】

【0056】
例2
本発明のマルチアミド化合物クエンチャーが表2に示されるクエンチャーに代えられたことを除いて、実施例1を繰り返すことにより、比較フォトレジスト配合物(比較)が製造された。これら比較のクエンチャーはPAGのモル数と比較して等モル量で使用された。表2において、「n」はアミドカルボニル基同士の間の原子の数を表す。
【0057】
【表2】

【0058】
【化15】

【0059】
実施例3
TEL CLEAN TRACK(商標)LITHIUS(商標)(テルクリーントラックリシウス)i+コータ/デベロッパにおいて、300mmシリコンウェハがAR(商標)26N反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされて、第1の反射防止塗膜(BARC)を形成した。このウェハは60秒間205℃でベークされ、77nmの厚さの第1のBARC膜を生じさせた。次いで、この第1のBARC上に、AR(商標)124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて第2のBARC層がコーティングされ、205℃で60秒間ベークされて、23nmの上部BARC層を生じさせた。次いで、TEL CLEAN TRACK(商標)LITHIUS(商標)i+コータ/デベロッパにおいて、この二重BARCコートしたウェハ上に実施例1または例2のフォトレジスト配合物がコーティングされ、110℃で60秒間ソフトベークされて、110nmの厚さのレジスト層を提供した。次いで、OC2000(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を使用して、フォトレジスト層上に30nmの液浸上部反射防止層をスピンコートした。
【0060】
このフォトレジストコートされたウェハは45nmラインおよび90nmピッチを有するマスクを通してASML TWINSCAN(ツインスキャン)(商標)XT:1900i液浸スキャナで、1.30NA、0.97アウターシグマ、0.77インナーシグマおよびX偏光の2極照明(dipole illumination)を用いて露光された。露光されたウェハは95℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのテトラメタアンモニウムヒドロキシドを用いて現像された。
【0061】
リソグラフィの結果は表3に報告される。
【0062】
【表3】

【0063】
Es(サイズのためのエネルギー)はベストフォーカス(+0.01μm)時に、特定のフィーチャ(45nmライン/スペースパターン、90nmピッチ)を像形成するのに必要な193nmの波長の放射線のmJ/cm単位での露光線量である。
【0064】
EL(露光寛容度)は露光線量に対するライン幅の感度である。より大きな%ELが望まれる。
【0065】
MEEF(マスクエラー増大因子)はマスクでのライン幅の変化と比較した、ウェハ上に印刷されたフィーチャのライン幅の変化(倍率で正規化される)である。例えば、2.0のMEEFはマスクでのあらゆる1nmの変化についてウェハ上で2nmの変化をもたらすであろう(倍率によって正規化される)。1以下のMEEF値が好ましい。与えられた例については、MEEFは以下のように計算される。
Esがアレイの中心付近である露光アレイが像形成される。線量増分はEsの〜3%である。43nm、44nm、45nm、46nmおよび47nmライン(すべて90nmピッチ)について露光寛容度プロットが作られる。次いで、この5つのプロットのそれぞれについて、0.8×CD〜1.2×CD(CDはターゲットライン幅である)の範囲にわたって二次多項式フィット(second order polynomial fits)がなされる。サイジング線量であるEsが45nmラインフィーチャについて計算される。このEs値において、二次多項式フィットを用いて43nm、44nm、46nmおよび47nmラインについてライン幅が計算される。計算されたライン幅値は、次いで、43nm、44nm、45nm、46nmおよび47nmのマスクライン幅に対してプロットされる。次いで、5つの点に対して線形フィットが作られ、その傾きがMEEFである。
【0066】
ライン/スペースパターンについてのPCM(パターン倒壊マージン;Pattern Collapse Margin)は、倒壊しなかった過剰露光(線量>Es)での最も小さいライン測定値である。L/Sパターンについては、より低いPCMがより良好である。溝パターンについては、より高いPCMがより良好である。表3における比較サンプルのPCM値は倒壊しなかった最も小さなラインであった。比較のフォトレジストを用いてプリントされたより小さなラインは倒壊したことが認められた。これに対して、本発明の1−1〜1−4のサンプルについてのPCM値はプリントされた最も小さいラインであった。本発明のフォトレジストを用いてプリントされたどのラインも倒壊しなかった。よって、本発明のサンプルについてのPCM値はプリントされた最も小さなライン未満(すなわち、「<」)であった。
【0067】
上記データから認められうるように、本発明のマルチアミド化合物クエンチャーは、従来のモノアミド化合物クエンチャーおよび本発明の部分ではないマルチアミドクエンチャーと比較して、向上したリソグラフィ性能(Es、%EL、MEEFおよびPCM)を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上の樹脂、
(b)1種以上の光酸発生剤化合物、および
(c)1種以上の下記式のマルチアミド化合物
【化1】

[式中、R、R、RおよびRは独立して、H、(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキルから選択され;RとR、もしくはRとRもしくはRとRはそれらが結合している原子と共に一緒になって5員〜12員複素環を形成していてよく;並びに、Lはカルボニル基同士の間に3〜8原子の間隔を提供する連結基であり;当該マルチアミド化合物はヒドロキシル基を含まない]、
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記1種以上のマルチアミド化合物が非ポリマー型である請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記1種以上のマルチアミド化合物がポリマー型である請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
、R、RおよびRが独立して、H、(C−C10)アルキル、およびアミド置換(C−C10)アルキルから選択される請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
Lが(C−C12)アルキレン、((C−C)アルキレン−O)(C−C)アルキレン(式中、n=1〜5)、および6員〜8員複素環から選択される請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
Lが(C−C12)アルキレンから選択される請求項5に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
〜Rの(C−C30)アルキル、およびアミド置換(C−C30)アルキル基、並びにLの(C−C12)アルキレン、((C−C)アルキレン−O)(C−C)アルキレン、および6員〜8員複素環が、カルボキシル、カルボキシ(C−C30)アルキル、(C−C30)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトから選択される1以上の基で置換されうる請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記1種以上のマルチアミド化合物がN,N,N’,N’−テトラブチルアジパミド、N,N’−ジブチル−N,N’−ジメチルデカンジアミド、シス−N,N,N’,N’−テトラブチルシクロヘキサン−1,4−ジカルボキサミド、およびトランス−N,N,N’,N’−テトラブチルシクロヘキサン−1,4−ジカルボキサミドから選択される請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
(a)請求項1のフォトレジスト組成物の塗膜層を基体上に適用し、
(b)前記フォトレジスト塗膜層を、パターン化された活性化放射線に露光し、そして露光されたフォトレジスト層を現像してレリーフ像を提供する、
ことを含むフォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト塗膜層が液浸露光される請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2013−65011(P2013−65011A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196334(P2012−196334)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】