説明

マルチレイヤ構造でQoSを保証するための方法

【課題】マルチレイヤ構造を使用する無線移動通信システムにおいてQoSを保証し、データを效率的に管理するためのデータ処理方法を実現する。
【解決手段】無線移動通信システムにおける送信端におけるデータ処理方法であって、特定プロトコル層において上位層からデータブロックを受信することと、特定プロトコル層において上位層からデータブロックの削除に関連する情報を受信することと、データブロックのいずれの部分も受信端に送信されていない場合、特定プロトコル層において情報に従ってデータブロックを削除することと、を有し、削除に関連する情報は、データブロックの削除を示す、または、データブロックの削除を指示するのに用いられる、ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線移動通信システムに係り、より詳細には、無線移動通信システムで端末(User Equipment;UE)がデータを処理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project;3GPP)無線アクセスネットワーク標準に基づく無線プロトコルは、開放型システム相互接続(Open System Interconnection;OSI)参照モデルの下位の3層に基づいてL1(レイヤ1)、L2(レイヤ2)およびL3(レイヤ3)に分けることができる。該無線プロトコルのレイヤ2には、メディアアクセス制御(Medium Access Control;MAC)層、無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層、パケットデータ収束プロトコル(Packet Data Convergence Protocol;PDCP)層などが存在する。レイヤ3の最下部には無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層が存在する。
【0003】
RLC層は、各無線ベアラ(Radio Bearer;RB)のサービス品質(Quality of Service;QoS)の保証、およびこのQoSによるデータ伝送を担当する。RLC層は、RB固有のQoSを保証するために、RBごとに一つまたは二つの独立したRLCエンティティ(Entity)を有している。また、様々なQoSを支援するために、透過モード(Transparent Mode;TM)、非確認モード(Unacknowledged Mode;UM)および確認モード(Acknowledged Mode;AM)という3つのRLCモードを提供する。
【0004】
PDCP層は、RLC層の上位に存在しており、IPv4やIPv6などのIPパケットを介して伝送されるデータに対してヘッダ圧縮(Header Compression)を行うことができる。PDCP層は、パケット交換ドメインにのみ存在し、RB当たり一つのPDCPエンティティが存在する。
【0005】
RRC層は、QoSを満たすために、無線プロトコルのレイヤ1およびレイヤ2、各チャネルの様々な特性、動作方法およびパラメータなどを設定する。具体的には、RRC層は、PDCP層についてどのヘッダ圧縮手法を使用するかを決定し、RLC層についてどの動作モードを使用するか、RLC PDUの大きさはどのぐらいにするか、各種プロトコルパラメータ値をどのぐらいにするかなどを決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
QoSとは、無線移動通信システムを通じて送受信されるサービスの品質のことを意味する。QoSに影響を及ぼす要素の代表として、遅延時間(Delay)、エラー率(Error Ratio)およびビットレート(Bit Rate)などがある。QoSは、サービスの種類によって適切に決定される。
【0007】
無線移動通信システムを用いたVoIPまたはストリーミングなどのリアルタイムサービスの場合、伝達遅延が重大だと画面の中断や音声の歪みが生じるという問題につながる。すなわち、データが相手側に伝達されたとしても、伝達に一定時間以上かかる場合には品質において問題が生じうる。実際に、一定時間以後に受信されたデータは、大部分のアプリケーションにおいて利用されない。したがって、許容伝達時間を越えたデータブロックの伝送を試みたり、バッファに格納したりすることは、オーバーヘッドの発生およびリソースの浪費につながる。
【0008】
PDCP層を参照してより具体的に説明すると、L2の外部から伝達されたデータはPDCPのバッファに格納される。これらのデータは、相手側に伝達されるまでPDCP層に保管される。ところが、あるPDCP SDUに対して、該PDCP SDUに関するデータブロックの伝送が下位層で遅延した場合、このPDCP SDUがPDCP層のバッファに留まるべき時間は延びる。特に、データ量が多い場合、外部から続けてデータが取り込まれる場合、または、あるPDCP SDUの伝達が継続して遅れる場合、バッファ容量が足りなくなることがある。特に、バッファが完全に満たされた場合、外部からの新しいデータが保管される場所がないので、この新しいデータは直ちに削除されるが、これはサービス品質に直接影響を及ぼすことになる。
【0009】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、マルチレイヤ構造を使用する無線移動通信システムにおいてQoS(Quality of Service)を保証し、データを效率的に管理するためのデータ処理方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、端末または基地局の特定プロトコル層が削除するデータを決定し、それを下位層に指示する方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、端末または基地局の特定プロトコル層によりデータ削除が指示された場合、下位層のデータ削除方法を提供することにある。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、下記の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者には明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様として、無線移動通信システムにおける端末のデータ処理方法において、上位層から第1データブロックを受信する段階と、特定プロトコル層で第1データブロックを含む第2データブロックを下位層に伝達する段階と、所定の時間が経過すると、特定プロトコル層に存在する第1データブロックおよび第2データブロックを削除する段階と、第2データブロックの削除に関する情報を当該下位層に伝達する段階と、を含むデータ処理方法が提供される。好ましくは、上位層はRRC層である。好ましくは、下位層はRLC層である。好ましくは、特定プロトコル層はPDCP層である。
【0014】
本発明の他の態様として、無線移動通信システムにおける端末または基地局のデータ処理方法において、上位層から第1データブロックを受信すると、特定プロトコル層で第1データブロックのためのタイマを動作させる段階と、特定プロトコル層で第1データブロックを含む第2データブロックを下位層に伝達する段階と、タイマが満了すると、特定プロトコル層に存在する第1データブロックおよび第2データブロックを削除する段階と、第2データブロックの削除に関する情報を当該下位層に伝達する段階と、を含むデータ処理方法が提供される。好ましくは、上位層はRRC層である。好ましくは、下位層はRLC層である。好ましくは、特定プロトコル層はPDCP層である。
【0015】
本発明のさらに他の態様として、無線移動通信システムにおける端末または基地局のデータ処理方法において、上位層からデータブロックを受信する段階と、上位層からデータブロックの削除の指示を受信する段階と、データブロックのいかなる部分も伝送されなかった場合、特定プロトコル層でデータブロックを削除する段階と、を含むデータ処理方法が提供される。好ましくは、上位層はPDCP層である。好ましくは、特定プロトコル層はRLC層である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例によると、下記の効果が得られる。
【0017】
第一に、マルチレイヤ構造を使用する無線移動通信システムでQoSを保証し、かつ、データを效率的に管理することができる。
【0018】
第二に、端末または基地局の特定プロトコル層はデータを削除するか否かを決定し、それを下位層に指示することができる。
【0019】
第三に、端末または基地局の特定プロトコル層によりデータの削除が指示された場合、下位層は、指示されたデータを削除することができる。
【0020】
本発明により得られる効果は以上言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者には明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】E−UMTSのネットワーク構造を示す図である。
【図2】発展型無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network;E−UTRAN)の概略構成図である。
【図3A】端末(UE)とE−UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)の制御プレーンの構造を示す図である。
【図3B】端末(UE)とE−UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)のユーザプレーンの構造を示す図である。
【図4】E−UMTSシステムに用いられる物理チャネル構造の一例を示す図である。
【図5】E−UMTSシステムに用いられるPDCP層のブロック図である。
【図6】E−UMTSシステムに用いられるRLC層におけるAMエンティティのブロック図である。
【図7】本発明の一実施例によって端末または基地局で行われるプロトコル層の動作例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例によって端末または基地局で行われるプロトコル層の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付図面は、本発明の実施例を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【0023】
以下、添付の図面に基づいて説明される本発明の実施例により、本発明の構成、作用および他の特徴を容易に理解することができる。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が発展型ユニバーサル移動電話システム(Evolved Universal Mobile Telecommunications System;E−UMTS)に適用された例とする。
【0024】
図1は、本発明の一実施例が適用されるE−UMTSのネットワーク構造を示す図である。E−UMTSシステムは、既存のWCDMA UMTSシステムから発展したシステムで、現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project;3GPP)で基礎的な標準化作業が進行されている。E−UMTSは、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution;LTE)システムとも呼ばれる。UMTSおよびE−UMTSの技術仕様書(technical specification)の詳細な内容はそれぞれ、「3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network」のリリース7(Release 7)とリリース8(Release 8)を参照すればよい。
【0025】
図1を参照すると、E−UMTSは、主に、端末(User Equipment;UE)と、基地局(,eNBまたはeNodeB)と、ネットワーク(E−UTRAN)の終端に設けられて、外部ネットワークと接続されるアクセスゲートウェイ(Access Gateway;AG)と、で構成される。一般に、基地局は、ブロードキャストサービス、マルチキャストサービスおよび/またはユニキャストサービスのために複数のデータストリームを同時送信することができる。AGは、ユーザトラフィック処理を担当する部分と、制御トラフィックを処理する部分とに分けることもできる。この時、新しいユーザトラフィック処理のためのAGと制御トラフィックを処理するAGとの間に新しいインターフェースを用いて互いに通信することができる。一つのeNBには一つまたは複数のセル(cell)が存在する。eNB同士間では、ユーザトラフィックまたは制御トラフィックの伝送のためのインターフェースを用いることができる。コアネットワーク(Core Network;CN)は、AGおよびUEのユーザ登録などのためのネットワークノードなどで構成することができる。E−UTRANとCNとを区別するためのインターフェースが使用されてもよい。AGは、トラッキングエリア(Tracking Area;TA)単位で端末の移動を管理する。TAは、複数のセルで構成され、端末は、特定TAから他のTAに移動する場合、AGに自体の位置しているTAが変更されたことを知らせる。
【0026】
図2は、本発明の一実施例が適用される移動通信システムである発展型無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network;E−UTRAN)システムのネットワーク構造を示す図である。E−UTRANシステムは、既存のUTRANシステムから発展したシステムである。E−UTRANは、基地局で構成され、これらのeNBはX2インターフェースを通じて接続される。eNBは無線インターフェースを通じて端末と接続され、S1インターフェースを通じて発展型パケットコア(Evolved Packet Core;EPC)に接続される。
【0027】
図3Aおよび図3Bは、3GPP無線アクセスネットワーク標準に基づく端末とUMTS無線アクセスネットワーク(UMTS Terrestrial Radio Access Network;UTRAN)との間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)の制御プレーン(Control Plane)およびユーザプレーン(U-Plane、User-Plane)の構造をそれぞれ示す図である。無線インターフェースプロトコルは、水平方向には、物理層(Physical Layer)、データリンク層(Data Link Layer)およびネットワーク層(Network Layer)に分けられ、垂直方向には、データ情報伝送のためのユーザプレーン(User Plane)と制御信号(Signaling)伝達のための制御プレーン(Control Plane)とに分けられる。図3Aおよび図3Bのプロトコル層は、通信システムで広く知られた開放型システム相互接続(Open System Interconnection;OSI)参照モデルの下位の3層に基づいてL1(レイヤ1)、L2(レイヤ2)およびL3(レイヤ3)に分けることができる。
【0028】
制御プレーンは、端末およびネットワークが呼を管理するために用いる制御メッセージが伝送される通信路を意味する。ユーザプレーンは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データまたはインターネットパケットデータなどが伝送される通信路を意味する。以下、無線プロトコルの制御プレーンとユーザプレーンの各層について説明する。
【0029】
レイヤ1である物理層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報伝送サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位にあるメディアアクセス制御(Medium Access Control)層とトランスポートチャネル(Transport Channel)を通じて接続されており、このトランスポートチャネルを通じてメディアアクセス制御層と物理層との間のデータが移動する。そして、互いに異なる物理層、すなわち、送信側の物理層と受信側の物理層との間は、物理チャネルを通じてデータが移動する。この物理チャネルは直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)方式で変調され、時間(time)および周波数(frequency)を無線リソースとして用いる。
【0030】
レイヤ2のメディアアクセス制御(Medium Access Control;以下、「MAC」という)層は、論理チャネル(Logical Channel)を通じて上位層である無線リンク制御(Radio Link Control)層にサービスを提供する。レイヤ2の無線リンク制御(Radio Link Control;以下、「RLC」という)層は、信頼性のあるデータの伝送を支援する。RLC層の機能がMAC内部の機能ブロックとして具現されてもよい。この場合は、RLC層は省かれてもよい。レイヤ2のPDCP層は、IPv4やIPv6などのIPパケットの伝送時に、帯域幅の小さい無線区間で効率的に伝送するために余分な制御情報を減らすヘッダ圧縮(Header Compression)機能を実行する。
【0031】
レイヤ3の最下部に位置している無線リソース制御(Radio Resource Control;以下、「RRC」という)層は、制御プレーンでのみ定義され、無線ベアラ(Radio Bearer;以下、「RB」という)の設定(Configuration)、再設定(Re-configuration)および解放(Release)について、論理チャネル、トランスポートチャネルおよび物理チャネルの制御を担当する。ここで、RBは、端末とUTRANとの間のデータ通信のためにレイヤ2により提供されるサービスを意味する。このために、端末のRRC層とネットワークのRRC層とは、RRCメッセージを互いに交換する。端末のRRCと無線ネットワークのRRC層との間にRRC接続(RRC Connected)がある場合、端末はRRC接続状態(Connected Mode)にあり、そうでない場合はRRCアイドル状態(Idle Mode)にあることとなる。
【0032】
RRC層の上位に位置する非アクセスストラタム(Non-Access Stratum;NAS)層は、セッション管理(Session Management)とモビリティ管理(Mobility Management)などの機能を果たす。
【0033】
eNBを構成する一つのセルは、1.25、2.5、5、10、20Mhzなどの帯域幅のうちの一つに設定されて、様々な端末に下りまたは上り伝送サービスを提供する。この場合、互いに異なるセルは互いに異なる帯域幅を提供するように設定することができる。
【0034】
ネットワークから端末にデータを伝送する下りトランスポートチャネルには、システム情報を伝送するブロードキャストチャネル(Broadcast Channel;BCH)、ページングメッセージを伝送するページングチャネル(Paging Channel;PCH)、その他ユーザトラフィックや制御メッセージを伝送する下り共有チャネル(Shared Channel;SCH)がある。下りマルチキャストまたはブロードキャストサービスのトラフィックまたは制御メッセージの場合、下りSCHを通じて伝送されてもよく、または、別の下りマルチキャストチャネル(Multicast Channel;MCH)を通じて伝送されてもよい。一方、端末からネットワークにデータを伝送する上りトランスポートチャネルには、初期制御メッセージを伝送するランダムアクセスチャネル(Random Access Channel;RACH)とその他ユーザトラフィックや制御メッセージを伝送する上り共有チャネル(Shared Channel;SCH)がある。
【0035】
トランスポートチャネルの上位に位置し、トランスポートチャネルにマッピングされる論理チャネル(Logical Channel)には、ブロードキャストチャネル(Broadcast Control Channel;BCCH)、ページング制御チャネル(Paging Control Channel;PCCH)、共通制御チャネル(Common Control Channel;CCCH)、マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel;MCCH)、マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic Channel;MTCH)などがある。
【0036】
図4は、E−UMTSシステムで使用する物理チャネル構造の一例を示す図である。物理チャネルは、時間軸上にある複数のサブフレームと、周波数軸上にある複数のサブキャリア(Sub-carrier)と、で構成される。ここで、1サブフレーム(Sub-frame)は、時間軸上にある複数のシンボル(Symbol)で構成される。1サブフレームは、複数のリソースブロック(Resource Block)で構成され、1リソースブロックは、複数のシンボルと複数のサブキャリアとで構成される。また、各サブフレームは、物理ダウンリンク制御チャネル(Physical Downlink Control ChannelPDCCH)、すなわち、L1/L2制御チャネルのために該当のサブフレームの特定シンボル(例えば、1番目のシンボル)の特定サブキャリアを用いることができる。図4に、L1/L2制御情報伝送領域(PDCCH)とデータ伝送領域(PDSCH)を示す。現在検討中の発展型ユニバーサル移動電話システム(Evolved Universal Mobile Telecommunications System;E−UMTS)では、10msの無線フレーム(radio frame)を使用し、1無線フレームは、10個のサブフレーム(subframe)で構成される。また、1サブフレームは、2つの連続するスロットで構成される。1スロットの長さは0.5msである。また、1サブフレームは、複数のOFDMシンボルで構成され、複数のOFDMシンボルのうちの一部のシンボル(例えば、1番目のシンボル)は、L1/L2制御情報を伝送するために使用することができる。データが伝送される単位時間である送信時間間隔(Transmission Time Interval;TTI)は1msである。
【0037】
基地局および端末は、一般に、特定の制御信号または特定のサービスデータを除けば、殆どはトランスポートチャネルDL−SCHを用いた物理チャネルPDSCHを通じてデータをそれぞれ送信および受信する。また、どのPDSCHのデータが端末(1つまたは複数の端末)に伝送されるか、また、これらの端末がどのようにPDSCHデータを受信しデコーディングをしなければならないかに関する情報などは、物理チャネルPDCCHに含まれて伝送される。
【0038】
例えば、特定PDCCHが「A」という無線ネットワーク一時識別子(Radio Network Temporary Identity;RNTI)でCRCマスキング(masking)されており、伝送されるデータに関する情報が、「B」という無線リソース(例えば、周波数位置)および「C」という伝送形式情報(例えば、伝送ブロックサイズ、変調方式、コーディング情報等)を用いて特定サブフレームを通じて伝送されると仮定する。この場合、該当のセルにある一つまたは複数の端末は、自体の持っているRNTI情報を用いて当該PDCCHをモニタリングし、該当の時点に「A」というRNTIを持っている一つまたは複数の端末があると、これらの端末は、当該PDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報に基づいて「B」と「C」により指示されるPDSCHを受信する。
【0039】
図5は、E−UMTSシステムに用いられるPDCP層のブロック図を示す。図5のブロックは、機能ブロックであり、実際の具現形態とは異なることがある。このPDCP層は、特定具現例に限定されない。
【0040】
図5を参照すると、PDCP層は、L2構造の最上位に位置し、その上にはコンピュータなどのデバイスが主に接続されて、IPパケットをやり取りする。したがって、PDCP層は、外部から受信したIPパケットの一次的な格納および保管を担当する。
【0041】
PDCPエンティティは、その上にはRRC層またはユーザアプリケーションが接続され、下にはRLC層が接続されている。PDCPエンティティが上位層とやり取りするデータブロックをPDCP SDUという。
【0042】
一つのPDCPエンティティは、図5に示すように、送信側と受信側とからなっている。左側の送信側は、上位層から受信したSDUまたはPDCPエンティティ内部で生成した制御情報からPDUを構築し、ピア(peer)PDCPエンティティの受信側に伝送する。右側の受信側は、ピアPDCPエンティティの送信側から受信したPDCP PDUからPDCP SDUまたは制御情報を取り出す。
【0043】
上述したように、PDCPエンティティの送信側が生成するPDUは、データPDUと制御PDUの2種類がある。PDCPデータPDUは、上位層から受信したSDUをPDCPが加工して生成するデータブロックである。PDCP制御PDUは、PDCPがピアエンティティに制御情報を伝達するためにPDCPが内部で生成するデータブロックである。
【0044】
PDCPデータPDUは、ユーザプレーン(User Plane)と制御プレーン(Control Plane)のRBの両方で生成される。しかし、PDCPの一部の機能は、使用するプレーンによって選択的に適用される。すなわち、ヘッダ圧縮(Header Compression)機能は、ユーザプレーンデータにのみ適用される。セキュリティ機能のうち保全性保護(Integrity Protection)機能は、制御プレーンデータにのみ適用される。セキュリティ機能には、データセキュリティのための暗号化(Ciphering)機能もある。この暗号化機能はユーザプレーンおよび制御プレーンデータの両方に適用される。
【0045】
PDCP制御PDUは、制御プレーンRBでのみ生成される。このPDCP制御PDUには、主に、PDCP受信バッファ状況を送信側に知らせるためのPDCP状態報告(Status Report)とヘッダ復元部(Header Decompressor)の状況をヘッダ圧縮部(Header Compressor)に知らせるためのヘッダ圧縮(Header Compression;HC)フィードバックパケットの2種類がある。
【0046】
図6は、E−UMTSシステムに使用されるRLC層におけるAMエンティティのブロック図である。図6のブロックは機能ブロックであり、実際の具現形態とは異なることがある。このRLC層は特定具現例に限定されない。
【0047】
RLC層には、TM、UMおよびAMという3つのモードがあるが、TMはRLCで行う機能がほとんどなく、UMエンティティは再伝送機能がない点以外はAMエンティティと略同様なので、これらの別途図示は省く。
【0048】
UM RLCは、各PDUにシーケンス番号(Sequence Number;SN)を含めたPDUヘッダを付けて送ることによって、どのPDUが伝送中に消失されたかを受信側が確認できるようにする。この機能により、UM RLCは、主に、ユーザプレーンではブロードキャスト/マルチキャストデータの伝送やパケットサービス領域(Packet Service domain;PSドメイン)の音声(例:VoIP)やストリーミングなどのリアルタイムパケットデータの伝送を担当する。また、UM RLCは、制御プレーンでセル内の特定端末または特定端末グループに伝送するRRCメッセージのうち、受信確認応答が要らないRRCメッセージの伝送を担当する。
【0049】
AM RLCは、UM RLCと同様に、PDU構築時に、SNを含むPDUヘッダを付けてPDUを構築する。しかし、UM RLCとは違い、送信側が送信したPDUに対して受信側が確認応答(Acknowledgement)をするという顕著な相違がある。AM RLCで受信側が確認応答をする理由は、自体が受信できなかったPDUについて送信側が再伝送(Retransmission)をするよう要求するためであり、この再伝送機能がAM RLCの最も重要な特徴である。結局、AM RLCは、再伝送を通じて誤りのない(error-free)データ伝送を保証することにその目的がある。この目的のために、AM RLCは、主に、ユーザプレーンではPSドメインのTCP/IPなどの非リアルタイムパケットデータの伝送を担当し、制御プレーンでは、セル内の特定端末に伝送するRRCメッセージのうち、受信確認応答を必要とするRRCメッセージの伝送を担当する。
【0050】
通信方向については、UM RLCは、単方向(uni-directional)通信に使用されるのに対し、AM RLCは、受信側からのフィードバック(feedback)があるため、双方向(bi-directional)通信に使用される。構造的な面でも相違があり、UM RLCは、一つのRLCエンティティが送信または受信のいずれか一方の構造とされているが、AM RLCは、一つのRLCエンティティ中に送信側および受信側の両方が存在する。
【0051】
AM RLCが複雑な理由は、再伝送機能のためである。再伝送管理のためにAM RLCは送受信バッファの他に再伝送バッファを設けており、流れ制御のための送受信ウィンドウの使用、送信側がピアRLCエンティティの受信側に状態情報を要求するポーリング(Polling)、受信側がピアRLCエンティティの送信側に自体のバッファ状態を報告する状態情報報告(Status Report)、状態情報を搬送するための状態PDU(Status PDU)の構築などの様々な機能を実行する。また、これらの機能を支援するために、AM RLCは、様々なプロトコルパラメータ、状態変数およびタイマを必要とする。この状態情報報告または状態PDUなどのAM RLCでデータ伝送を制御するために使用されるPDUを制御PDUといい、ユーザデータを伝達するために使用されるPDUをデータPDUという。
【0052】
ところが、AM RLCにおいて、RLCデータPDUは、具体的に、AMD PDUとAMD PDUセグメントとに分類される。各AMD PDUセグメントは、AMD PDUに属するデータの一部を有する。LTEでは毎回端末が伝送するデータブロックの最大の大きさが変わる。したがって、ある時点で送信側AM RLCエンティティが、大きさが200バイトであるAMD PDUを構築して伝送した後、受信側AM RLCからNACKを受信し、送信側のAMD PDUを再伝送しようとする時、実際に伝送できるデータブロックの最大の大きさが100バイトであれば、AMD PDUをそのまま再伝送することはできない。この場合に使われるのがAMD PDUセグメントであり、AMD PDUセグメントは、該当のAMD PDUが小さい単位に分けられたものを意味する。この過程で、送信側AM RLCエンティティは、AMD PDUをAMD PDUセグメントに分けて複数の時間にわたって伝送し、受信側AM RLCエンティティは、受信したAMD PDUセグメントからAMD PDUを復元する。
【0053】
全体としての観点から、RLCエンティティの機能は、分割と再組立(Segmentation and Reassembly;SAR)といえよう。すなわち、送信側RLCは、上位から受信したRLC SDUと下位のMACで指定するMAC PDUの大きさの調整を担当する。すなわち、下位エンティティで指定したMAC PDU、すなわち、RLC PDUのサイズに応じて、上位から伝達されたRLC SDUを分割および結合させて、RLC PDUを構築する。この時、RLC PDUのヘッダには、RLC SDUの分割(segmentation)または結合(Concatenation)等の情報が含まれる。この情報に基づいて、受信側は、受信したRLC PDUからRLC SDUを復元する。
【0054】
L2で行われるデータ伝送過程を総合的に説明すると、外部で生成されたデータ(例:IPパケット)は、まず、PDCPエンティティに伝達され、PDCP SDUに変換される。PDCPエンティティは、PDCP SDUを、伝送が完了するまで自体のバッファに格納する。PDCPエンティティは、PDCP SDUを処理し、この時に生成されたPDCP PDUをRLCエンティティに伝達する。RLCエンティティにとって上位から受信したデータブロックはRLC SDUであり、これはPDCP PDUと同一である。RLCエンティティは、RLC SDUに適切な処理をした後、RLC PDUを構築して伝送する。
【0055】
本発明の一実施例によるプロトコル層の一般的な動作例
本発明の一実施例は、基地局と端末が、設定された無線ベアラのサービス品質(Quality of Service;QoS)を満たしながら、同時にデータを效果的に管理する方法を提示する。このために、本発明の一実施例は、送信側プロトコル層エンティティが収容できるバッファの最大の大きさ、データの最大許容遅延値(Maximum allowed Delay)または許容伝達時間などを考慮して、当該プロトコル層に格納されたデータを削除するか否かを決定する。好ましくは、このプロトコル層はPDCP層である。以下、PDCP層を中心に本発明の一実施例による一般的な動作例を詳細に説明する。ここで、「削除(discard)」という用語は、「消去(deletion)」、「廃棄(delete)」、「放棄(abandon)」、「抹消(erase)」または「除去(remove)」などの等価の用語と混用することができる。
【0056】
本発明の一実施例で、PDCPエンティティは、設定された無線ベアラのサービス品質を保証するために、PDCP SDUの伝送において所定の時間が経過した場合、該PDCP SDUを削除(Discard)するか否かを決定することができる。ここで、所定の時間は、伝送しようとするデータの種類を考慮して柔軟に設定することができる。所定の時間は、ネットワークにより設定することができる。好ましくは、所定の時間は、PDCPの上位層(例、RRC層)により設定することができる。必要に応じて、所定の時間が経過しても、該当のPDCP SDUおよび/またはPDCP PDUを削除しなくてもよい。
【0057】
一具現例として、PDCPエンティティは、特定のPDCP SDUを上位層から受信すると、このPDCP SDUに対してタイマを動作させる。好ましくは、上位層は無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層である。タイマは、それぞれのPDCP SDUごとに独立して動作させることができる。また、タイマは、一定の数、一定のグループのPDCP SDUに対して共通して動作させることもできる。例えば、関連した一定の数または一定のグループのPDCP SDUがある場合、最初のPDCP SDUに対してのみタイマを動作させることができる。
【0058】
タイマが動作している途中に、RLCエンティティがRLC SDU(すなわち、PDCP PDU)に関して伝送の成功を知らせると、PDCPエンティティは、PDCP PDUを削除することができる。具現例によって、PDCPエンティティは、PDCP PDUよりも小さいシーケンス番号を有するPDCP PDUがすべて正常に伝達された場合、当該PDCP PDUを削除することができる。また、PDCPエンティティは、PDCP PDUと関連したPDCP SDUよりも前のPDCP SDUがすべて正常に伝達された場合、該PDCP PDUを削除することができる。PDCP PDUを削除した場合、このPDCP PDUと関連したPDCP SDUのタイマを中止する。好ましくは、タイマを中止したPDCP SDUは削除される。
【0059】
RLCエンティティからPDCP PDUの伝送の成否に関して何の通知も受けていない状態で、タイマが満了すると、PDCPエンティティは、タイマと関連したPDCP SDUを削除することを決定することができる。タイマは機能によって様々に命名することができる。本発明の一実施例で、タイマはPDCP層のデータ削除と関連しているので、削除_タイマ(Discard_timer)と命名する。
【0060】
一具現例として、タイマの値はネットワークにより設定することができる。好ましくは、タイマの値は、PDCPの上位層(例、RRC層)により設定することができる。タイマの値は、タイマに関する設定を意味する。例えば、タイマの値は、タイマをPDCP SDUまたはPDCP PDUのうちいずれを基準にしてタイマを動作させるかを指示することがある。また、タイマの値は、PDCP層で行われるどの動作を基準にしてタイマを動作させるかを指示することがある。また、タイマの値は、タイマを動作させた後、いつ終了させるか、すなわち、タイマ満了時間に関する情報を含むことがある。タイマ満了時間は、IPパケットの伝送に関するあらゆる時間(例、PDCPエンティティとRLCエンティティに留まっている時間、伝送時間、データの最大許容遅延値等)を考慮して設定することができる。
【0061】
また、IPパケットまたはPDCP PDUはすべて同等な重要度を有するものではないから、タイマ満了時間をデータタイプによって柔軟に設定することができる。例えば、フル(Full)ヘッダパケットは、ヘッダ圧縮のコンテクスト(context)の形成に必須である。したがって、パケットの特性または属性にしたがって、タイマの設定値を別々に指定することができる。また、特別に指定されたパケットまたはPDCP PDU/SDUに対してはタイマを動作させないか、満了時点を無限大に設定することができる。また、特別に指定されたパケットまたはPDCP PDU/SDUに対してはタイマが満了しても削除過程を行わなくてもよい。
【0062】
PDCPエンティティが特定PDCP SDUを削除することを決定し、該PDCP SDUと関連したPDCP PDUがまだRLCエンティティに伝達されていなければ、PDCPエンティティは、RLCエンティティに何の通知もせずに、PDCP SDUを削除する。好ましくは、PDCPエンティティは、PDCP SDUと一緒にPDCP SDUと関連したPDCP PDUも削除する。
【0063】
PDCPエンティティが特定PDCP SDUを削除することを決定し、該PDCP SDUと関連したPDCP PDUが既にRLCエンティティに伝達されたとすれば、PDCPエンティティは、PDCP SDUおよび/またはPDCP PDUの削除に関する情報をRLCエンティティに伝達し、PDCP SDUを削除する。好ましくは、PDCPエンティティは、PDCP SDUと一緒にPDCP SDUと関連したPDCP PDUも削除する。削除に関する情報は、どのPDCP PDUまたはPDCP SDU(すなわち、RLD SDU)が削除されたかを知らせるための情報でありうる。また、削除に関する情報は、関連したRLC SDUを削除するように指示する情報、または、関連したRLC SDUを削除するように指示するのに用いられる情報でありうる。
【0064】
上記の過程で、PDCP SDUが削除されると、関連したPDCP PDUは正常に伝達されたと見なされて、上位層に報告される。
【0065】
上記の過程で、PDCPエンティティから特定PDCP SDUおよび/またはPDCP PDU(すなわち、RLD SDU)の削除に関する情報を受信したRLCエンティティは、関連したRLC SDUを削除するための動作を行う。
【0066】
UM RLCエンティティの場合、上記関連したRLC SDUを削除し、該RLC SDUと関連したRLC PDUの伝送をそれ以上試みない。
【0067】
AM RLCエンティティの場合、上記関連したRLC SDUを削除するための動作を行う。好ましくは、この動作は、当該RLC SDUがそれ以上伝送されないことを指示する命令を、送信側RLCエンティティが受信側RLCエンティティに知らせることを含む。この場合、送信側AM RLCエンティティは、受信側AM RLCエンティティに、削除されたRLC SDUと関連して受信RLCウィンドウまたは送信RLCウィンドウの下方境界のシーケンス番号を知らせることができる。また、バイト−オフセットに関する情報も一緒に知らせることができる。
【0068】
好ましくは、RLCエンティティは、PDCPから指示されたRLC SDUのいかなる部分も伝送しなかった場合に、該RLC SDUを削除することができる。例えば、このRLC SDUが少なくとも一つのセグメントに分割(segmented)された場合、このRLC SDUのいかなるセグメントも伝送されなかった場合に該RLC SDUを削除することができる。RLC SDUの一部が伝送されたか否かは、RLC SDUの少なくとも一部が実際に伝送されたか否かにより決定することができる。受信側で関連データを実際に受信したか否かは問わない。すなわち、送信側は、自体の立場でのみ関連データが伝送されたか否かを判断する。
【0069】
好ましくは、RLC SDUの一部が伝送されたか否かは、RLC SDUの少なくとも一部がRLC PDU、好ましくは、RLCデータPDUにマッピング(mapped)されたか否かにより決定することができる。例えば、上位層により削除が指示されたRLC SDUは、このRLC SDUのいかなるセグメントもRLCデータPDUにマッピングされなかった場合にのみ削除されてもよい。
【0070】
また、上位層により指示されたRLC SDUが少なくとも一つのRLC PDUに構築された場合、関連したRLC PDUが一切伝送されなかった場合にのみ該RLC SDUを削除することができる。また、RLC SDUが特定RLC PDUに含まれ、これらのRLC PDUのうち一つでも無線インターフェースを通じて伝送が試みられたとすれば、該RLC SDUを削除しなくてもよい。また、RLC SDUが、特定RLC PDUに含まれていない、または、特定RLC PDUに含まれたとしても、これらRLC PDUのうちのいずれも無線インターフェースを通じて伝送が試みられなかった場合に限っては、このRLC SDUを削除することができる。当該RLC PDUが無線インターフェースを通じて伝送が試みられたか否かは、RLC SDUの少なくとも一部がRLC PDU、好ましくは、RLCデータPDUにマッピング(mapped)されたか否かにより決定することができる。
【0071】
上記では、便宜上、PDCP SDUを中心に動作を説明したが、PDCP SDUの代わりにPDCP PDUを中心に動作を構成することもできる。すなわち、PDCP PDUに対しタイマを動作させ、これによって関連動作を行うこともできる。
【0072】
図7は、本発明の一実施例によって端末または基地局で行われるプロトコル層の動作例を示す図である。
【0073】
図7を参照すると、パケットAおよびBが上位層からPDCP層に伝達される(S710)。パケットAおよびBのPDCP SDUがPDCPバッファに格納され、これらのパケットのそれぞれに対して削除_タイマ(Discard_timer)が開始される(S770)。MAC層は、RLC層に新しいMAC SDUs(RLC PDUs)を伝達するように要請する(S720)。RLC層が新しく伝送するデータを有していないと、RLC層は、PDCP層に新しいRLC SDUs(PDCP PDUs)を伝達するように要請する(S730)。PDCP層は、パケットAのPDCP SDUsに対してヘッダ圧縮、暗号化、ヘッダ付加などを行って、パケットAのPDCP PDUsを生成する(S740)。PDCP層は、これらのパケットAのPDCP PDUsをRLC層に伝達する(S750)。RLC層は、パケットAのPDCP PDU(すなわち、RLC SDU)をRLCバッファに格納する。RLC層は、受信したパケットAのRLC SDUからRLC PDUを構築して、MAC層に伝達する。MAC/PHY層はこのRLC PDUの伝送を行う(S760)。
【0074】
図7では、PDCP層がRLC層から、パケットAのPDCP PDUが受信側に正常に伝送されたという情報を、パケットAのPDCP SDUに対する削除_タイマが満了するまで受信できなかったと仮定する。また、パケットBの削除_タイマもほとんど同時に満了したと仮定する。
【0075】
パケットAとBに対する削除_タイマが満了したので、PDCP層は、パケットAとBをバッファから削除することを決定する(S770)。パケットBは未だSNが割り当てられず、圧縮または暗号化されていないので、該パケットBはPDCPエンティティから除去され、RLCエンティティにはパケットBの削除に関して通知されない。
【0076】
一方、パケットAは、SNが割り当てられ、圧縮されてRLCエンティティに既に伝達されているので、PDCP層はRLC層にパケットAと関連したRLC SDUを削除するように指示する(S780)。この通知によって、RLC層はRLC SDUを削除するための動作を行う。RLC層の削除動作については図8でより詳細に例示される。
【0077】
図8は、本発明の他の実施例によって端末または基地局で行われるプロトコル層の動作例を示す図である。
【0078】
図8を参照すると、PDCP層は、上位層からIPパケットなどのデータブロックを受信する(811〜813)。PDCP層は、受信したブロックにSNを付加した後、PDCP SDUバッファに格納する(821〜823)。PDCP層は、下位層からの要求がある場合、PDCP SDUをPDCPデータPDUに変換して、RLC層に伝達する(831,832,834)。この場合、PDCP層は、ヘッダ圧縮に関するフィードバック情報などをPDCP制御PDUに含めて生成することができる(833)。RLC層は、受信したRLC SDUをRLC SDUバッファに格納する(831〜834)。RLC層は、下位層からの要求時に、該RLC SDUを分割/結合(segmentation/concatenation)して、複数のRLC PDUを構築することができる(841〜844)。
【0079】
図8には図示しないが、PDCP層がデータブロックを受信したり、PDCP SDUバッファにデータを格納したりすると、それぞれのPDCP SDU、一定の数のPDCP SDUまたは一定グループのPDCP SDUに対して削除_タイマが始動する。削除_タイマは、PDCP PDUを基準にして動作させることもできる。
【0080】
PDCP層でPDCP SDUを削除するか否かを決定する過程は、図7における過程と略同様である。以下では、他の実施例として、PDCP制御PDUと関連したPDCP層の動作例をさらに説明する。その後、PDCP層の指示によってRLC層がRLC SDUを削除する動作を中心に例示する。RLC層のRLC SDU削除過程は、図7および図8の両方に適用される。
【0081】
図8を参照すると、PDCP SDUと関連してPDCPデータPDU831,832,834とPDCP制御PDU833が生成される。図8で、PDCP制御PDU833は、ヘッダ圧縮に関するフィードバック情報を含んでいる。
【0082】
PDCP制御PDUは、PDCP SDUと関連して生成されるという点を考慮すると、特定PDCP SDUが削除される場合に、関連したPDCP制御PDUも削除されてもよい。例えば、PDCPデータPDUは、あるPDCP SDUに対してヘッダ圧縮がなされた直後に生成される。この場合、PDCP制御PDUも生成されてもよい。ここで、PDCP制御PDUとPDCPデータPDUは、PDCP SDUと関連しているから、一緒に削除されてもよい。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、該PDCP制御PDUと同時に生成されたPDCP SDUが削除される時、このPDCP制御PDUは削除される。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、このPDCP制御PDUの直前に生成されたPDCP SDUが削除される時にこのPDCP制御PDUは削除される。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、該PDCP制御PDUの次に生成されたPDCP SDUが削除される時にこのPDCP制御PDUは削除される。好ましくは、このPDCP制御PDUはヘッダ圧縮パケットを含む。
【0083】
また、すべてのPDCP制御PDUがPDCP SDUと関連しているとは限らないという点を考慮すれば、特定PDCP SDUが削除されても、当該PDCP制御PDUは削除されないことがある。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、該PDCP制御PDUと同時に生成されたPDCP SDUが削除されても、このPDCP制御PDUは削除されない。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、該PDCP制御PDUの直前に生成されたPDCP SDUが削除されても、このPDCP制御PDUは削除されない。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、該PDCP制御PDUの次に生成されたPDCP SDUが削除されても、このPDCP制御PDUは削除されない。好ましくは、このPDCP制御PDUは、PDCP状態情報報告(Status Report)である。
【0084】
また、PDCP制御PDUに対しても別のタイマを動作させることができる。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、別のタイマが当該PDCP制御PDUについて開始され、このタイマが満了するとPDCP制御PDUは削除される。好ましくは、PDCP制御PDUが生成されると、PDCPデータPDUに適用されるものと同じタイマがPDCP制御PDUについて開始され、このタイマが満了するとPDCP制御PDUは削除される。この場合、タイマの設定値は、PDCPデータPDUとPDCP制御PDUに対してそれぞれ設定することができる。
【0085】
上記過程で、PDCP制御PDUが削除されると、PDCPエンティティはその事実をRLC層に知らせる。すなわち、PDCPエンティティは、QoS保証のために削除するデータを決定し、下位層であるRLCエンティティに該当のRLC SDUを削除するように指示する。以下、PDCP層から特定RLC SDUの削除の指示を受けたRLC層が、RLC SDUを削除する過程について例示する。
【0086】
再び図8を参照すると、一つのRLC SDUは複数のRLC PDUに分けて伝送される、または、一つのRLC PDUは複数のRLC SDUを含むことができる。
【0087】
PDCP層の指示により特定RLC SDUを削除する過程で、一つのRLC PDUが複数のRLC SDUを含み、そのうちの一部のRLC SDUのみを削除しなければならない場合、このRLC PDUそのものを廃棄することは浪費とされる。この場合、AM RLCエンティティの送信側は、PDCP層の指示により削除されたRLC SDUに対してのみ伝送をそれ以上試みてはならず、他の部分に対しては受信側RLCエンティティが正常に受信したことを知らせてもらうまで再伝送を試みなければならない。このために、RLCエンティティの送信側は、当該RLC PDU、特に、AM RLCデータPDUを分割して、当該削除されたRLC SDUを含まないAM RLCデータPDUセグメントを構築し、受信側に伝送することができる。すなわち、あるRLC SDUが削除されると、削除されたRLC SDUからなるAM RLCデータPDUセグメントはそれ以上伝送されない。
【0088】
PDCP層の指示による特定RLC SDUの削除過程で、UM RLCエンティティは、該RLC SDUを含むすべてのRLC PDUを削除し、これら削除されたRLC PDUをそれ以上伝送しない。また、UM RLCエンティティは、当該RLC SDUを削除し、関連しているRLC PDUをそれ以上伝送しない。
【0089】
好ましくは、PDCP層により特定RLC SDUの削除が指示されても、該RLC SDUのいかなる部分に対しても伝送が試みられなかったり伝送されなかったりした場合にのみ、このRLC SDUはRLCバッファから削除されてもよい。すなわち、RLCが複数のセグメントに分割された場合、このRLCのいかなるセグメントも伝送が試みられなかったり伝送されなかったりした場合にのみ、このRLC SDUはRLCバッファから削除されてもよい。例えば、RLC SDUのいかなるセグメントもRLCデータPDUにマッピングされなかった場合にのみ、このRLC SDUはRLCバッファから削除されてもよい。
【0090】
本発明の実施例によると、設定された無線ベアラのサービス品質を満たし、かつ、多重プロトコル層においてデータを効果的に管理することができる。
【0091】
以上で説明された実施例は、本発明の構成要素と特徴が所定の形態で組み合わせられたものである。各構成要素または特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と組み合わせない形態で実施されることもある。また、一部の構成要素および/または特徴を組み合わせて本発明の実施例を構成することも可能である。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は他の実施例に含まれてもよく、または、他の実施例の対応する構成または特徴に取って代わってもよい。特許請求の範囲で明示的な引用関係を有しない請求項を組み合わせて実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりすることができることは自明である。
【0092】
本文書では、本発明の実施例を、主に、端末と基地局とのデータ送受信関係を中心に説明した。本文書で、基地局により行われると説明された特定動作は、場合によっては、その上位ノード(upper node)により行われてもよい。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる多様な動作は、基地局または基地局以外のネットワークノードにより行われてもよいことは自明である。「基地局」は固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語に置き換えることもできる。また、「端末」はユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などの用語にしてもよい。
【0093】
本発明による実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの結合などにより具現されてもよい。ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、一つまたはそれ以上の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuits;ASICs)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processors;DSP)、デジタル信号処理装置(digital signal processing devices;DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic devices;PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate arrays;FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどにより具現されてもよい。
【0094】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明された機能または動作を行うモジュール、手順、関数などの形態で具現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶されてプロセッサにより駆動されてもよい。このメモリユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられ、既に公知の様々な手段によりプロセッサとデータを交換することができる。
【0095】
本発明は、本発明の特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態に具体化できることは、当業者にとっては自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制約的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈により定められるべきであり、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線移動通信システムにおける送信端におけるデータ処理方法であって、
特定プロトコル層において上位層からデータブロックを受信することと、
前記特定プロトコル層において前記上位層から前記データブロックの削除に関連する情報を受信することと、
前記データブロックのいずれの部分も受信端に送信されていない場合、前記特定プロトコル層において前記情報に従って前記データブロックを削除することと、を有し、
前記削除に関連する情報は、前記データブロックの削除を示す、または、前記データブロックの削除を指示するのに用いられる、データ処理方法。
【請求項2】
前記上位層は、パケットデータ収束プロトコル(PDCP)層である、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記データブロックは、無線リンク制御(RLC)サービスデータユニット(SDU)である、請求項2に記載のデータ処理方法。
【請求項4】
前記特定プロトコル層は、RLC層である、請求項2に記載のデータ処理方法。
【請求項5】
前記RLC層は、確認モード(AM)または非確認モード(UM)で動作する、請求項4に記載のデータ処理方法。
【請求項6】
前記データブロックがセグメントに分割されている場合、前記データブロックのいずれのセグメントも送信されていないとき、前記データブロックは削除される、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項7】
前記データブロックのいずれかの部分が送信されたか否かは、前記データブロックのいずれかの部分が前記特定プロトコル層のデータプロトコルデータユニット(PDU)にマッピングされたか否かに基づいて決定される、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項8】
無線移動通信システムにおいて使用される装置であって、
上位層エンティティと、
前記上位層の下位に配置された特定プロトコル層エンティティと、を有し、
前記特定プロトコル層エンティティは、
前記上位層からデータブロックを受信し、
前記上位層から前記データブロックの削除に関連する情報を受信し、
前記データブロックのいずれの部分も受信端に送信されていない場合、前記情報に従って前記データブロックを削除するよう構成され、
前記削除に関連する情報は、前記データブロックの削除を示す、または、前記データブロックの削除を指示するのに用いられる、装置。
【請求項9】
前記上位層は、パケットデータ収束プロトコル(PDCP)層である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記データブロックは、無線リンク制御(RLC)サービスデータユニット(SDU)である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記特定プロトコル層は、RLC層である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記RLC層は、確認モード(AM)または非確認モード(UM)で動作する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記データブロックがセグメントに分割されている場合、前記データブロックのいずれのセグメントも送信されていないとき、前記データブロックは削除される、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記データブロックのいずれかの部分が送信されたか否かは、前記データブロックのいずれかの部分が前記特定プロトコル層のデータプロトコルデータユニット(PDU)にマッピングされたか否かに基づいて決定される、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−235493(P2012−235493A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151205(P2012−151205)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2010−519877(P2010−519877)の分割
【原出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】