説明

マルチローブリングカムを有する流体作動機械

再生可能エネルギー発生装置用の流体作動機械であり、1つのリングカムと複数の作動チャンバとを備えた流体作動機械であって、リングカムはリングカムの回転軸の回りに延びる環状の作動表面を有し、環状の作動表面は複数の波形を画定し、各作動チャンバはピストンを有し、各ピストンはリングカムの作動表面と操作係合し、リングカムおよび作動チャンバは互いに対して回転するように取り付けられ、それによって、作動チャンバ容積のサイクルが、作動チャンバに対するリングカムの回転に関係付けられる流体作動機械において、リングカムの作動表面の個々の波形が非対称の形状を有することを特徴とする流体作動機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体作動機械用のマルチローブリングカムと、そのようなリングカムを含む流体作動機械とに関する。本発明は、流体作動機械が、例えば、風力タービンのような再生可能エネルギー抽出装置における大型のポンプまたはモータである場合に、特に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
流体作動機械には、ポンプ、モータ、および、異なる運転モードにおいてポンプまたはモータのいずれかとして機能し得る機械のような、流体によって駆動される機械および/または流体を駆動する機械が包含される。
【0003】
流体作動機械がポンプとして作動する場合は、低圧マニホルドが、通常、作動流体の正味の流体源として作用し、高圧マニホルドが、通常、作動流体の正味の流体溜めとして作用する。流体作動機械がモータとして作動する場合は、高圧マニホルドが、通常、作動流体の正味の流体源として作用し、低圧マニホルドが、通常、作動流体の正味の流体溜めとして作用する。本明細書および添付の特許請求の範囲においては、「高圧」および「低圧」という用語は相対的なものであり、特定の用途に応じて変化する。いくつかの実施形態においては、低圧の作動流体を大気圧より高い圧力とすることがあり、いくつかの場合には大気圧とすることがある。しかし、あらゆる場合に、低圧の作動流体は、高圧の作動流体より低圧である。流体作動機械は1つ以上の低圧マニホルドおよび1つ以上の高圧マニホルドを有することができる。
【0004】
大排除量のリングカム式流体作動機械(すなわち、大きな環状の回転カムを有する流体作動機械であって、その環状の回転カムが、カムの回りに配置される複数の半径方向ピストンを駆動し、各ピストンが通常カムの1回転当たり多数回往復動作するような流体作動機械)が知られており、低速度の回転入力しかないが、相対的に高速度の発電機が用いられるような再生可能エネルギーの用途に使用するものとして提案されている(Rampen、TaylorおよびRiddoch著「風力タービン用のギヤレス変速機(Gearless transmissions for wind turbines)」、2006年12月、DEWEK、Bremen)。リングカム式流体作動機械は、通常、波形形状のカムの上を転がりかつピストンに操作連結される複数のローラを有する。各ピストンはシリンダ内に摺動可能に係合しており、シリンダおよびピストンが、一緒に、作動流体を閉じ込める作動チャンバであって1つ以上の弁を介して高圧および低圧マニホルドと連絡する作動チャンバを画定する。ピストンは、それぞれ、シリンダ内部において往復動作するように操作可能であり、それによって、カムが回転すると、作動チャンバの容積のサイクルが実行されてその間に作動流体が排除され得るように、作動チャンバの容積を変化させることができる。
【0005】
リングカム式流体作動機械は、ピストンおよびシリンダがリングカムの内側に位置するように、すなわち、リングカムが内側に向く作動表面を有するように構成するか、あるいは、リングカムが外側に向く作動表面を有してピストンおよびシリンダの内側に位置するように構成することができる。実際に、どちらの構成のリングカム式流体作動機械も知られており、しかもその場合、リングカム、あるいはピストンおよびシリンダのいずれかがが回転する。リングカムが内側および外側に向く作動表面の両者を有することも可能である。その場合は、リングカムは、ピストンおよびシリンダの内側および外側のリングの間に配置される。さらに、ピストンおよびシリンダを回転軸とほぼ平行に配列すること、および、リングカムが1つ以上の軸方向に面する作動表面を有することも可能である。
【0006】
リングカム式流体作動機械を含む多シリンダの流体作動機械は、可変排除量の流体作動機械(ポンプまたはモータのいずれか、あるいは、ポンプまたはモータのどちらとしても運転可能な機械)とすることができる。この流体作動機械においては、各作動チャンバは、作動流体の正味の排除量が存在する作動チャンバ容積のアクティブ(または部分アクティブ)なサイクル、または、作動流体の正味の排除量が実質的に存在しないアイドルサイクルを、作動チャンバ容積の1サイクルの間にその作動チャンバによって実行するように選択可能である。これによって、低圧マニホルドから高圧マニホルドへのまたはその逆の流体の時間平均正味排除量を調整することができる。
【0007】
(再生可能エネルギーの発生に適したもののような)大型の流体作動機械は、通常、特の高い内力または圧力を受ける。例えば、風力タービン用に適したサイズの大型のリングカム式流体作動機械の高圧作動流体の圧力は(かつ実際には低圧作動流体の圧力も)特に高い。その結果、リングカムがローラから受ける力も高く、リングカムの作動表面が劣化することが知られている。大型のリングカムをいくつかのセグメントから構成することが提案されてきたが、セグメント間の接合面においてローラの圧力の下で作動表面に出現する不連続性のために、ローラおよび作動表面に過度の摩耗が生じることが知られている。
【0008】
特に、リングカム式流体作動機械の運転圧力が非常に高い(例えば300バールより高い)場合は、リングカムおよびローラにおける繰り返し表面応力(ヘルツ応力)が、リングカムの長期の稼動寿命を可能にするレベル(例えば1.5GPa)を超える可能性がある。さらに、速度増倍率(speed multiplication factor)(作動チャンバサイクルの周波数が軸の回転速度に対して増加する率)を増大するために、リングカム上に多数のローブ(最小波長)を設けることが望ましいが、作動表面におけるヘルツ応力は、リングカム表面の傾斜の増大と共に増加する。すなわち、ピストンはいずれにしても同じ面積上においてローラに力を加えるだけであるので、同じサイズのピストンに対してローラを大きくすることは簡単には可能ではなく、また、より大きくまたはより高い振幅の波形を設けることも容易ではない。そうすれば、機械が大きくなりかつ重くなるであろう。また、カムの曲率も、それがカムおよびローラ間の接触を決定するという点で重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の状況から、最小重量と、最大速度増倍率と、長い稼動寿命とを有する、流体作動機械およびラジアル型流体作動機械用のリングカムに対する必要性がなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、再生可能エネルギー発生装置用の流体作動機械が提供される。この流体作動機械は、1つのリングカムと複数の作動チャンバとを備え、そのリングカムはリングカムの回転軸の回りに延びる環状の作動表面を有し、この環状の作動表面は複数の波形を画定する。各作動チャンバはピストンを有し、各ピストンは、(通常、それぞれのピストンに組み込まれるローラまたはピストンシューのようなカム係合要素を介して)リングカムの作動表面と操作係合する。リングカムおよび作動チャンバは互いに対して回転するように取り付けられ、それによって、作動チャンバ容積のサイクルが、作動チャンバに対するリングカムの回転に関係付けられる。以上のような流体作動機械において、リングカムの作動表面の個々の波形が非対称の形状を有することが特徴である。
【0011】
非対称の形状を有するリングカムの作動表面の個々の波形という表現によって、発明者らは、最高点または最低点に関して反射させた場合に対称でない個々の波形の形状(すなわち作動表面)のことを言っている。複数の波形の形状は、通常、相互に同じであり、従って、(複数の波形を含む)作動表面は、回転的には対称であると言える。
【0012】
このため、機械の使用中において、個々の作動チャンバ容積の1サイクルの間の作動チャンバ容積の変化は時間において対称ではない。これは、対称的な形状を有する波形を備えた作動表面を含む既知の機械と対照的に異なる点である。対称波形を有する既知の機械においては、作動チャンバの排出ストロークおよび吸引ストロークの持続時間は同じであり、作動チャンバの容積の変化速度の大きさも、排出ストロークおよび吸引ストロークについて、対応する時間においては同じである。
【0013】
流体作動機械は第1の運転モードを有する。第1の運転モードはポンプ運転(pumping)とすることができる。第1の運転モードをモータ運転(motoring)としてもよい。流体作動機械は第1運転モードだけを有することができるが、流体作動機械は第2運転モードを有することもできる。第1運転モードがポンプ運転であれば、第2運転モードをモータ運転とすることができ、第1運転モードがモータ運転であれば、第2運転モードをポンプ運転とすることができる。リングカムは、第1および第2運転モードの両者において、作動チャンバに対して同じ向きに回転することができる。この場合、第1運転モードは、通常支配的な運転モードである。従って、流体作動機械を、リングカムが、時間の大部分作動チャンバに対して第1の向きに回転するように運転するものとして設計することができる。しかし、流体作動機械は、リングカムが作動チャンバに対して第2の向きに回転するようにも使用可能であるようにすることができる。例えば、流体作動機械を、支配的な運転モードにおいてはポンプとして運転することができるが、モータとしても使用可能であり、そのモータ運転の場合は、リングカムは、作動チャンバに対して反対の向きに回転する。このような流体作動機械は、例えば、正規用途においてはポンプとしてブレードによって駆動することができるが、時にはブレードを所望の形態に緩慢に駆動するために用いることもできるような風力タービンのナセルにおいて有用である。このような機械は、リングカムの波形の形状によって、第2の運転モードよりは第1の運転モードにおいて、より効率的に運転される、あるいはより長い稼動寿命を有する機械とすることができる。従って、リングカムの波形の形状を、支配的な運転モードにおいて使用するものとして最適化することができるが、この機械は、リングカムが作動チャンバに対して反対の向きに回転する第2運転モードにおいても、通常効率は低下するが、運転可能とすることができる。
【0014】
この機械は、それが第2モードで運転される時間よりも、10倍より長い時間、好ましくは100倍より長い時間、支配的なモードにおいて運転することができる。
【0015】
リングカムの作動表面は、回転軸に対する半径の最小点および最大点を有する複数の波形を含む。作動チャンバ容積は、カム係合要素が下死点(BDC)においてリングカムと係合する時の最大値と、カム係合要素が上死点(TDC)においてリングカムと係合する時の最小値との間において循環的に変化する。典型的な形態として、外側に向くリングカムの作動表面の場合には、複数のピストンがリングカムの外側に配置され、半径の最小値が作動チャンバ容積のサイクルの下死点(BDC)を規定し、半径の最大値が作動チャンバ容積のサイクルの上死点(TDC)を規定する。典型的な形態として、内側に向くリングカムの作動表面の場合には、複数のピストンがリングカムの内側に配置され、半径の最大値が作動チャンバ容積のサイクルの下死点(BDC)を規定し、半径の最小値が作動チャンバ容積のサイクルの上死点(TDC)を規定する。リングカムは、内側および外側に向くリングカム作動表面の両者を有することができる。従って、流体作動機械は、通常、ラジアル型のピストン機械である。しかし、リングカムは、全体としてリングカムの回転軸に平行に配置される複数のピストンと、側方を向く1つ以上の作動表面とを有することができる。複数のピストンは、通常、リングカムの回りに半径方向に、通例は等間隔に配置される。
【0016】
各作動チャンバは、それぞれのピストンの往復動作によって循環的に変化する容積を有することが望ましい。また、各ピストンは、シリンダおよびピストンの間に作動チャンバが画定されるように、シリンダ内部に摺動可能に組み込まれることが望ましい。通常、流体作動機械は本体を含み、前記または各シリンダをその本体内に形成することができる。例えば、本体はシリンダブロックを含む、あるいは、シリンダブロックから構成することができる。いくつかの実施形態においては、前記または各シリンダ、あるいは、前記または各ピストンを、(通常、球面軸受を介して)関節連結することができる。前記または各ピストンは本体内に拘束される。
【0017】
作動チャンバの容積はリングカムの回転と共に循環的に変化する。流体作動機械は、低圧マニホルドおよび高圧マニホルド、並びに、各作動チャンバと低圧および高圧マニホルドとの間の流体の流れを制御するための複数の弁を含む。この複数の弁は、その弁を通過する圧力によって一方向に開放可能な圧力操作型のチェック弁とすることが望ましい。高圧弁(すなわち、高圧マニホルドおよび作動チャンバ間の流れを制御する弁)は、好ましくは、当該作動チャンバ内の圧力が高圧マニホルド内の圧力を超える時に、その作動チャンバから高圧マニホルド内への流体の流れを可能にするように開放可能である。また、低圧弁(すなわち、低圧マニホルドおよび作動チャンバ間の流れを制御する弁)は、好ましくは、当該作動チャンバ内の圧力が当該低圧マニホルド内の圧力より低くなった時に、その低圧マニホルドから作動チャンバ内への流体の流れを可能にするように開放可能である。
【0018】
通常、各作動チャンバに付属する前記弁の少なくとも1つは電子制御弁である。流体作動機械は、通常、各容積サイクルにおいて各作動チャンバによって排除される作動流体の正味の容積を選択するために、この1つ以上の電子制御弁を、作動チャンバ容積の各サイクルにおいて、かつ、作動チャンバ容積のサイクルに対して位相ずれした関係において制御するように操作可能な制御器を含む。各作動チャンバに付属する前記少なくとも1つの電子制御弁は、通常、電子制御ポペット弁である。この電子制御弁を、直接作動の急速動作型面シールポペット弁であって、相当な圧力差に対して開放可能でない(例えば10バールの圧力に対して操作可能でない)ポペット弁とすることはあり得ることである。従って、通常、制御器は、前記電子制御高圧弁を開または閉に選択的に保持するように操作可能であるが、その弁を高圧マニホルド内の圧力に対抗して開くようには操作可能でなく、かつ、制御器は、前記電子制御低圧弁を選択的に閉じるまたは閉に保持するように操作可能であるが、その弁を作動チャンバ内の圧力に対抗して開くようには操作可能でない。
【0019】
低圧弁が、作動チャンバ容積の完全サイクルの間、開に保持される場合は、作動チャンバは、低圧および高圧マニホルド間に流体の正味の排除が存在しないアイドルストロークを遂行する。低圧マニホルドから高圧マニホルドに流体を移送するためには、制御器は、作動チャンバの収縮ストロークにおいて低圧弁を選択的に閉じなければならない。これによって、高圧弁が開かれ、いわゆるポンプ運転ストロークにおいて、流体が高圧マニホルドに排出される。電子制御高圧弁が用いられる場合は、制御器は、いわゆるモータ運転ストロークにおいて、高圧マニホルドから流体を受け入れるために、引き続く吸引ストロークの間、前記高圧弁を選択的に開に保持する。
【0020】
制御器は、支配的な運転モードにおいては、ポンプ運転ストロークまたはモータ運転ストロークのいずれかのみを選択的に実行するように操作可能であることが望ましい(但し、モータ運転ストロークが非常に小さいポンプ運転ストロークと共に開始されることが望ましい場合を除く)。いくつかの実施形態においては、制御器は、代わりの運転モードにおいて、ポンプ運転ストロークまたはモータ運転ストロークのもう一方の方を選択的に実行するように操作可能である。
【0021】
波形は、反対側に位置する第1面および第2面を有し、各面は1つの最高点と隣接する最低点との間に広がっている。各波形について、第1面および第2面が異なる弧の長さを有することはあり得ることである。この場合、リングカムは、通常、作動チャンバに対して実質的に一定の角速度で回転するので、吸引ストロークおよび排出ストロークが異なる持続時間を有することになるであろう。
【0022】
通常、すべての波形は同じ形状を有し、各第1面の弧長は同じであり、各第2面の弧長は同じである。しかし、いくつかまたはすべての波形が異なる弧長の第1面を有することはあり得ることであり、いくつかまたはすべての波形が異なる弧長の第2面を有することはあり得ることである。
【0023】
第1面および第2面のいずれかが、作動チャンバ内の圧力が低圧マニホルド内の圧力を大きく超える時にカム追随要素が当接する作動面であり、もう一方の面はブリージング面であることが望ましい。
【0024】
作動面の弧長はブリージング面の弧長より大きいことが望ましく、作動面の弧長は、ブリージング面の弧長より10%より多く大きいこと、好ましくは20%大きいことが望ましい。作動面は、リングカムの弧の1/2より多くにわたって(典型的にはリングカムの弧の>55%または>60%にわたって)広がることが望ましく、ブリージング面はリングカムの弧の1/2未満に(典型的には作動表面の<45%または<40%にわたって)広がることが望ましい。作動面はリングカムの弧の2/3より小さい範囲にわたって広がることが望ましい。
【0025】
従って、作動面の弧長は通常ブリージング面の弧長より大きいので、作動面の平均的な傾斜は、ブリージング面の傾斜より小さい。このため、リングカム式流体作動機械の作動表面におけるヘルツ応力(例えば、平均ヘルツ応力またはピークヘルツ応力)は、作動面およびブリージング面が同様の弧長を有する既知の流体作動機械の場合より低い。シリンダに対するピストンの側面負荷も低減される。
【0026】
ポンプとしての機械、または支配的な運転モードがポンプ運転であるような機械であり、外側に向くリングカム作動表面を有する機械においては、作動面は、作動チャンバ半径の最大点と、相対的な回転方向(作動チャンバが固定されてリングカムが回転する場合は、リングカムが作動チャンバに対して動く向きであり、リングカムが固定されて作動チャンバが回転する場合は、作動チャンバの回転と反対の向き)においてリングカムの周囲の作動チャンバ半径の次の最小点との間に広がる。リングカムの作動表面が内側を向く場合は、作動面は、作動チャンバ半径の最小点と、相対的な回転方向においてリングカムの周囲の作動チャンバ半径の次の最大点との間に広がる。
【0027】
この場合、各作動チャンバの排出ストロークは、作動面に当接するカム係合要素と合致する。作動面がブリージング面より大きい弧長を有することが望ましい。従って、排出ストロークは吸引ストロークよりも長いことが望ましい。
【0028】
モータとしての機械、または支配的な運転モードがモータ運転であるような機械であり、外側に向くリングカム作動表面を有する機械においては、作動面は、作動チャンバ半径の最小点と、相対的な回転方向においてリングカムの周囲の作動チャンバ半径の次の最大点との間に広がる。リングカムの作動表面が内側を向く場合は、作動面は、作動チャンバ半径の最大点と、相対的な回転方向においてリングカムの周囲の作動チャンバ半径の次の最小点との間に広がる。
【0029】
この場合、各作動チャンバの吸引ストロークは、作動面に当接するカム係合要素と合致する。再度、作動面がブリージング面より大きい弧長を有することが望ましい。従って、吸引ストロークは排出ストロークよりも長いことが望ましい。
【0030】
それぞれのカム係合要素がブリージング面の最初の部分(カム係合要素が最初に当接する部分)に当接しているのに、作動チャンバ内部の圧力が低圧マニホルドの圧力をかなり超えたままであることはあり得ることである。それぞれのカム係合要素が作動面の最初の部分(カム係合要素が最初に当接する部分)に当接しているのに、作動チャンバ内部の圧力が低圧マニホルドの圧力に近いかまたはそれ未満のままであることはあり得ることである。これは、実際の作動流体の(僅かな)圧縮性によって生じる可能性がある。従って、作動チャンバ内部の圧力の時間による変化率は、それぞれのカム係合要素が上死点または下死点を過ぎた後、全波形の弧長の1.0〜10.0%を過ぎた時にゼロに達することがある。
【0031】
流体作動機械は、(例えば流体作動機械がポンプである実施形態においては、)それぞれの作動チャンバが膨張している時に(あるいはその時にのみ)、カム係合要素がブリージング面に当接するように構成することができる。また、流体作動機械は、(例えば流体作動機械がモータである実施形態においては、)それぞれの作動チャンバが収縮している時に(あるいはその時にのみ)、カム係合要素がブリージング面に当接するように構成することができる。(流体作動機械が、例えば、第1の回転方向においてはポンプ運転モードとして、第2の回転方向においてはモータとして運転可能なポンプ/モータであるような実施形態においては、)その流体作動機械は、回転が第1の方向である場合は、それぞれの作動チャンバが膨張している時に(あるいはその時にのみ)、カム係合要素がブリージング面に当接し、回転が第2の方向である場合は、それぞれの作動チャンバが収縮している時に(あるいはその時にのみ)、カム係合要素がブリージング面に当接するように構成することができる。
【0032】
最大点および最小点の間の半径の変動は、一般的に、リングカムの直径に比べると小さい。例えば、最大点における半径と最小点における半径との間の差異は、通常、リングカムの平均半径の<5%である。
【0033】
本明細書においては、リングカムの作動表面の傾斜として、回転軸に対する角度位置に関する半径の変化、すなわちdr/dαに言及する。角度に関する傾斜の変化率dr/dαは連続であることが望ましい。これは、角度に関する傾斜の変化率が、リングカムの作動表面上に転がるまたは摺動するカム係合要素の加速度を規定するので重要な点である。角度に関する傾斜の変化率は、リングカムの作動表面上に転がるまたは摺動するカム追随が作動表面から離脱する結果を生じるほど十分に負であってはならない。このため、(dr/dα)×(dα/dt)(dα/dtは回転角速度)は、作動表面に対してカム係合要素を付勢する付勢力を、ピストンおよびカム係合要素の組み合わせ質量で除した値よりも小さいことが望ましい。傾斜が一定である領域、例えば、最低点または最高点におけるまたはそれに隣接する無傾斜のランド部分、あるいは、第1または第2面内部の、例えば第1または第2面の中央部分における一定傾斜の領域を設けることができる。
【0034】
最大点および最小点の間の半径の差異は、通常、リングカムの半径に比べると小さいので、角度に関する傾斜の変化率は、通常、作動表面の「曲率」、すなわち作動表面の半径の第2次導関数の絶対値、つまり|dr/dα|にほぼ同じである。外側に面するリングカムは、dr/dα<0である作動表面の凸部分と、dr/dα>0である作動表面の凹部分とを有し、一方、内側に面するリングカムの場合は逆になる。
【0035】
少なくともいくつかの(通常は各)波形について、最低点および隣接する最高点の中間における作動表面の傾斜の大きさの最大点または領域(通常傾斜の変曲点または領域)は、その最低点およびその最高点から、同じ弧長の位置にはない。
【0036】
従って、作動チャンバ容積の変化速度のピークは(従って通常は流量のピークも)、各最低点および最高点の間の時間的に1/2の位置とは別の点にある(但し、作動チャンバに対するリングカムの回転速度が実質的に一定と仮定した場合)。
【0037】
各第1面は凸部分および凹部分を有し、傾斜の大きさの最大点または領域がそれらの部分の中間に位置することが望ましい。また、各第2面は凸部分および凹部分を有し、傾斜の大きさの最大点または領域がそれらの部分の中間に位置することが望ましい。各作動面は凸部分および凹部分を有し、傾斜の大きさの最大点または領域がそれらの部分の中間に位置することが望ましい。各ブリージング面は凸部分および凹部分を有し、傾斜の大きさの最大点または領域がそれらの部分の中間に位置することが望ましい。
【0038】
作動面の凸部分の最大曲率は、ブリージング面の凸部分の最大曲率より小さいことが望ましい。通常、作動面の凸部分の最大曲率は、ブリージング面の凸部分の最大曲率の1/2未満、または1/3未満である。
【0039】
通常、作動面の凹部分の最大曲率は、ブリージング面の最大曲率と同じかまたはそれよりも大きい。
【0040】
カム係合要素は、それがピストンへ伝達する作動力に比べた場合、作動表面に対して角度をなすので、作動表面におけるヘルツ応力は作動表面の傾斜の増加と共に増大する。さらに、作動表面の曲率が、それが、作動表面と作動表面の上を通過するローラ(カム係合要素の1つの例である)との間の接触面積を決定するという点で重要である。従って、作動面の凹部分の最大曲率を凸部分よりも大きくすることによって、接触面積が最小となりヘルツ応力が大きくなる凸部分の曲率を、作動表面が特定の角距離および回転軸からの半径の特定の差異の最大値および最小値を有するという制約があるとすれば、他の形の場合に必要となるものよりも小さくすることができる。
【0041】
作動面の凸部分の最大曲率は作動面の凹部分の最大曲率より小さいことが望ましい。通常、作動面の凸部分の最大曲率は、作動面の凹部分の最大曲率の1/2未満、または1/3未満である。
【0042】
従って、各作動チャンバを介しての高圧マニホルドへのまたはそれからの流量、すなわち、回転可能なリングカムに印加されるトルクは、時間および角度において非対称であることが望ましい。これは、偏心カムを用いる従来型の流体作動機械と対照的に異なる点である。従来型の流体作動機械においては、通常、複数の作動チャンバからの高圧マニホルドへのまたはそれからのより平準な合計流量を実現するために、各作動チャンバによる流量が時間および角度において対称に設計されるのである。
【0043】
作動面の傾斜の大きさの最大点または領域と、隣接するBDCとの間の角距離(C)は、作動面の傾斜の大きさのその最大点または領域と、隣接するTDCとの間の角距離(D)より小さいことが望ましい。さらに好ましくは、C/D<90%である。従って、排出ストロークの間の最大流量は、通常、それぞれの作動チャンバ容積が上死点および下死点における作動チャンバ容積の平均値になる前に生起する。
【0044】
作動表面の最大曲率は半径の最大点または最小点にないことが望ましい。作動表面の最大曲率は、半径の最大点または最小点から、波形の角距離の1.0〜10.0%だけ角距離としてずれていることが望ましい。作動表面の最大曲率は、半径の各最大点または最小点から、相対的な回転の向きに反対の向きに(すなわち、カム係合要素がTDCまたはBDCのすぐ後に最大曲率点に当接するように)、波形の角距離の1.0〜10.0%だけ角距離としてずれていることが望ましい。
【0045】
最低点および隣接する最高点の中間の最大曲率点が、その最高点および最低点の間の角距離として1/2の位置にはないことはあり得ることである。また、作動表面の最大曲率が半径の最大点または最小点にないことはあり得ることである。作動表面の曲率の最大点は、半径の最大点または最小点から、通常、相対的な回転の方向に反対の向きに、波形の角度の広がりの1.0〜10.0%だけ角距離としてずらすことができる。
【0046】
流体作動機械は、通常、液圧回路の一部分である(例えば、それは、液圧回路を巡るように流体を駆動するポンプである場合があり、あるいは、液圧回路内部において流体によって駆動されるモータである場合がある)。液圧回路は、通常、本発明によれば流体作動機械でもあり得るさらに別の流体作動機械を含む。液圧回路は、通常、流体アキュムレータをさらに含む。流体アキュムレータは、作動流体を貯留し、流体作動機械が必要なものとして作動流体をその貯留部分から受け取ることを可能にする。液圧回路の残りの部分における作動流体の全容積を変化させるアキュムレータの能力によって、液圧回路が、流体作動機械による作動流体の排除量と、液圧回路における別の流体作動機械による作動流体の排除量との間の時間的な差異に対処することが可能になる。
【0047】
作動チャンバは、通常、傾けられている。例えば、作動チャンバは、リングカムの平面内にあるが、真っ直ぐ半径方向の外向きには延びないようにすることができる。作動チャンバは、最大容積点および最小容積点の間のピストンの動きの軸が、ブリージング面に対してよりも作動面に対して垂直に近くなるような方向に傾けることが望ましい。
【0048】
リングカムの作動表面の半径の形状は、少なくとも支配的な運転モードにおける使用においては、作動面が最低のピーク応力を受けるように、かつ、ピストンが作動表面と操作係合することによって惹起される弁(特に低圧弁)通過流体の流れが、最小のエネルギー損失しか生じないように選択するのが望ましい。
【0049】
制御器は、作動チャンバ容積の各サイクルの間において、作動チャンバからの作動流体の非対称流れから生じるトルクおよび流量の変動を打ち消すために、電子制御弁の開または閉のタイミングを制御するように操作可能である。制御器は、通常、再生可能エネルギー装置の位置、速度および加速度のような物理的特性のフィードバック値を受け取り、そのフィードバック値を弁の開および閉を選択するために用いるであろう。この弁の開および閉の選択は、すなわち、その弁に関係する選択された作動チャンバによるリングカムへのトルクの印加(と、高圧マニホルドへの流れの吐出または受け入れと)の時間および角度を定めることであり、それによって、その非対称流れの影響を能動的に相殺するためのものである。
【0050】
流体作動機械は、流体コンプライアンスを含む液圧回路の一部であることが望ましい。流体コンプライアンスは、通常、1つ以上の気体アキュムレータを含む。使用中の1つの作動チャンバによって流体的に伝達されるエネルギーが、慣性負荷(または慣性源)において具現化されるエネルギーよりも大幅に小さくなる(例えば1/100または1/1000)ように、リングカムは、大きな慣性負荷(または大きな慣性源)に連結することが望ましい。通常、この大きな慣性源は、風力タービンまたは潮流エネルギー装置のハブおよびブレードアセンブリである。
【0051】
従って、各作動チャンバを介しての高圧マニホルドへのまたはそれからの流量、すなわち、回転可能なリングカムに印加されるトルクは、時間および角度(すなわち作動チャンバに対するリングカムの方位)において非対称とすることができ、そのため、流体作動機械が使用中に変化する合計流量およびトルクを生成することが可能になるが、上記の技術および機器を用いることによって、再生可能エネルギー装置への影響は無視し得るものに抑えることができるのである。
【0052】
通常、各ローラまたは他のカム係合要素はリングカムの作動表面に対して付勢される。例えば、各ローラまたは他のカム係合要素を、スプリングのような弾性部材によって作動表面に対して付勢することができる。通常、弾性部材は、各ピストンを各ローラまたは他のカム係合要素に対して付勢し、それによって、そのローラ(または他のカム係合要素)を作動表面に対して付勢する。代替的に、または追加的に、各ローラ(または他のカム係合要素)および/または各ピストンを、それぞれの作動チャンバ内部からの流体圧力によって、作動チャンバ容積のサイクルの一部の間またはそのすべてを通して、作動表面に対して付勢する。通常、それぞれの作動チャンバ内部からの流体は、各ローラまたは他のカム係合要素とも直接連絡しており、それによって、そのローラまたは他のカム係合要素を作動表面に対して付勢し、そしてさらに、そのローラまたは他のカム係合要素をピストンから分離する。例えば、その各ピストンは、作動チャンバから延び出して、ローラおよびピストンの隣接表面と流体連絡する径路を画定することができ、その結果、ピストンおよびローラの間に高圧の流体プールが形成されて、自己均衡型の流体軸受として機能する。
【0053】
実際には、使用中の各カム係合要素に印加される力は相当なものになる可能性がある。この力は、作動チャンバ容積のサイクルの間、周期的に変化する(そして、いくつかの実施形態においては、制御器によって選択される作動チャンバ容積の特定のサイクルにおいて、作動チャンバによって排除されるべき流体の容積によって変化する)。
【0054】
本発明は、第2の態様において、複数の波形を規定する環状の作動表面を有するリングカムを含む部品一式を対象としている。リングカムの作動表面の個々の波形は非対称の形状を有し、作動チャンバを装着する筺体は複数のシリンダまたはシリンダ取り付け部を含み、それらの一式は、本発明の第1態様による流体作動機械を形成するように組み立てることができる。
【0055】
第3の態様においては、本発明の第1態様による流体作動機械を含む再生可能エネルギー発生装置(例えば風力タービン)が提供される。流体作動機械は、再生可能エネルギー源(例えば風)からエネルギーを受け取るために、再生可能エネルギー捕捉装置によって駆動される駆動軸、例えば風力タービンのブレードに結合される軸に連結することができる。本明細書および添付の特許請求の範囲においては、再生可能エネルギー発生装置という用語を、特に、風力タービンのように風から、あるいは、潮流タービンまたは水力発電タービンのように流水から電気を生成する機械を含むように用いている。
【0056】
本発明の第4の態様によれば、回転軸と、複数の波形を規定する環状の作動表面とを有するリングカムが提供される。このリングカムの作動表面の個々の波形は非対称の形状を有する。オプションとして設けられるリングカムの作動表面の特徴と、その波形とは、本発明の第1および第2の態様に関連して上記に述べた特徴に合致する。
【0057】
本発明は、また、第5の態様において、流体作動機械の運転方法であって、本発明の第1の態様による流体作動機械を用意するステップと、リングカムを作動チャンバに対して回転するステップと、それによって、作動チャンバの容積を循環的に変化させるステップとを含む運転方法を対象としている。
【0058】
作動チャンバが固定されたままであり、リングカムが回転されることはあり得ることである。リングカムが固定されたままであり、作動チャンバが回転されることはあり得ることである。また、リングカムおよび作動チャンバの両者が回転されることもあり得ることである。
【0059】
吸引ストロークおよび排出ストロークの持続時間が異なることはあり得ることである。
排出ストロークの間の作動流体の流量は、それぞれの作動チャンバの容積が上死点および下死点におけるその容積の平均値に達する前にピークに達することが望ましい。
【0060】
本発明に5つの態様の任意の態様に関係して述べたオプションとして設けられる特徴は、本発明の5つの態様の任意の1つの態様の、オプションとして設けられる特徴である。
【0061】
次に、本発明を、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】電力網に接続され、本発明を実行する風力タービン発電機を示す。
【図2】図1の風力タービン発電機に使用する本発明によるポンプの断面図である。
【図3】図2のポンプに使用するリングカムの作動表面の形状を示す。
【図4】図3のリングカムの形状を用いた場合の図2のポンプの単一の作動チャンバへのおよびそれからの流量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、再生可能エネルギー装置として作動し、電力網(101)に接続される風力タービン発電機(Wind Turbine Generator:WTG 100)の形態における本発明の典型的な実施形態を表現している。WTGは、タワー(105)に回転可能に取り付けられるナセル(103)を含み、そのナセル(103)には、3枚のブレード(109)を支持するハブ(107)が取り付けられるが、それらは一括してロータ(110)として知られている。ナセルの外部に装着される風力計(111)が、測定される風速信号(113)を制御器(112)に供給する。ナセルにおけるロータ速度センサー(115)が制御器にロータの速度信号(117)を供給する。この典型的なシステムにおいては、各ブレードの風に対する迎え角はピッチアクチュエータ(119)によって変えることが可能である。ピッチアクチュエータ(119)は、ピッチ作動信号およびピッチ検出信号(121)を制御器と交換する。本発明は、ピッチアクチュエータを含まないWTGにも適用できる。
【0064】
ハブは、ロータの回転方向(127)に回転するロータ軸(125)であって回転可能軸として作用するロータ軸(125)を介して直接ポンプ(129)に接続される。ポンプは、図2に関して説明するタイプのものであることが望ましく、好ましくは欧州特許第0494236号明細書に記載されるタイプの液圧モータ(131)と流体接続される。ポンプおよび液圧モータ間の流体接続は、それぞれそれらの高圧ポートおよび低圧ポートに接続される高圧マニホルド(133)および低圧マニホルド(135)を介して行われ、流れを制限する中間介在弁が存在しないという意味で直接的である。ポンプおよび液圧モータは、直接相互に組み付けて、高圧マニホルドおよび低圧マニホルドがその間に形成されかつそれらの内部にあるようにすることが望ましい。装入ポンプ(137)が、流体を貯留容器(139)から連続的に引き抜いて、低圧アキュムレータ(141)に接続される低圧マニホルドに送り込む。低圧リリーフ弁(143)が、流体を、低圧マニホルドから貯留容器に熱交換器(144)を経由して戻す。この熱交換器(144)は、作動流体の温度を変化させるように操作可能であり、熱交換器制御ライン(146)を介して制御器によって制御可能である。ポンプおよび液圧モータ間の高圧マニホルドには、平準化アキュムレータ(145)が接続される。また、高圧マニホルドには、第1の高圧アキュムレータ(147)および第2の高圧アキュムレータ(149)(これらが一緒に流体コンプライアンスとして作用する)が、それぞれ第1の絶縁弁(148)および第2の絶縁弁(150)を介して接続される。第1および第2高圧アキュムレータは異なる封入圧力を有することができ、封入圧力の幅がさらに広い追加的な高圧アキュムレータを設けることができる。第1および第2絶縁弁の状態は、それぞれ第1(151)および第2絶縁弁信号(152)を介して制御器によって設定される。高圧マニホルド内の流体圧力は、制御器に高圧マニホルド圧力信号(154)を供給する圧力センサー(153)によって測定される。この圧力センサーは、オプションとしては、流体温度をも測定して、流体温度信号を制御器に供給するものでもよい。高圧リリーフ弁(155)が高圧マニホルドおよび低圧マニホルドを接続する。
【0065】
液圧モータは、負荷として作用する発電機(157)に発電機軸(159)を介して接続される。発電機は接触器(161)を経て電力網に接続されるが、この接触器(161)は、発電機および接触器制御器(163)から接触器制御信号(162)を受け取り、発電機を選択的に電力網に接続するあるいは電力網から切り離すように操作可能である。発電機および接触器制御器は、それぞれ電気供給センサー(168)および発電機出力センサー(170)によって測定される電気供給信号(167)および発電機出力信号(169)から電圧、電流および周波数の測定値を受け取り、それらを制御器(112)に連絡し、かつ、制御器からの発電機および接触器の制御信号(175)に従って磁界電圧発生器の制御信号(165)を調節することによって、発電機の出力を制御する。
【0066】
ポンプおよびモータは、それらのそれぞれの軸の瞬時的な角度位置および回転速度と、液圧オイルの温度および圧力とを制御器に報知し、制御器は、それらの各弁の状態を、ポンプ作動およびポンプ軸信号(171)とモータ作動信号およびモータ軸信号(173)とを介して設定する。制御器は、ピッチ作動信号、絶縁弁信号、ポンプ作動およびモータ作動信号を増幅するため、パワーアンプ(180)を用いる。
【0067】
WTGは、さらに、ブレードの振動を、ブレードセンサー信号(187)を介して制御器に連絡するブレードセンサー(185)(加速度計、位置センサー、速度センサーまたは音響センサーのいずれか1つ以上を含む)を含む。
【0068】
図2は、電子切換弁と本発明によるリングカムとを含むポンプ(129)の一部分(301)を、模式的な形態で表現している。ポンプは、半径方向に配置された複数の同様の作動チャンバ(303)から構成され、図2の部分図においては、その内の3つの作動チャンバのみが示されている。各作動チャンバは、シリンダ(305)の内表面とピストン(306)とによって画定される容積を有し、ピストン(306)は、ローラ(308)を介してリングカム(307)によって駆動され、作動チャンバの容積を循環的に変化させるようにシリンダ内部において往復動する。リングカムは、ロータ軸(125)に堅固に結合される軸(322)の上に取り付けられるセグメントに分割してもよい。半径方向に配置される1列より多い列の作動チャンバ、あるいは軸に沿って軸方向に配置される作動チャンバを設けることができる。リングカムを取り巻く圧力より高い低圧マニホルド内部の流体圧力、すなわち作動チャンバ内部の流体圧力が、あるいは、代わりの方式としてはスプリング(図示されていない)が、ローラをリングカムに接触した状態に維持する。軸の位置および速度センサー(309)が、軸の瞬時的な角度位置および回転速度を決定して、それを、電気接続ライン(311、ポンプ作動およびポンプ軸信号171のいくつかである)を介して制御器(112)に伝達する。これによって、制御器が、各個別作動チャンバのサイクルの瞬時的位相を決定することが可能になる。制御器は、通常、使用中の保存プログラムを実行するマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラである。制御器は、分散型とすることができる複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラであって、制御器の全機能の部分機能を個別に実行する複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラの形態とすることが可能である。
【0069】
軸方向に間隔配置される1列より多いリングカムであって、その表面が一緒に回転するリングカムを設けることができる。
【0070】
各作動チャンバは、電子作動の面シールポペット弁(313)の形態の低圧弁(low pressure valve:LPV)を含む。この弁(313)は、作動チャンバに向かって内向きに面しており、作動チャンバから低圧導管(314)に延びる流路を選択的にシール遮断するように操作可能である。この低圧導管(314)は、一般的に、(ポンプ運転モードにおいては)使用中の正味の流体源として(あるいはモータ運転の場合は流体溜めとして)機能する。低圧導管は低圧マニホルド(135)に流体接続される。LPVは、吸引ストロークの間に、作動チャンバを低圧マニホルドと流体連絡させるために、作動チャンバ内部の圧力が低圧導管内部の圧力よりも低い時に受動的に開く通常開のソレノイド閉止弁である。しかし、LPVは、電気的LPV制御信号(315、ポンプ作動およびポンプ軸信号171のいくつかである)を介しての制御器の能動的制御の下で選択的に閉止可能であり、それによって、作動チャンバを低圧マニホルドから流体遮断する。代替方式として、通常閉のソレノイド開放弁のような電子制御弁を使用してもよい。
【0071】
作動チャンバは、さらに、圧力作動の吐出弁の形態の高圧弁(high pressure valve:HPV、317)を含む。HPVは、作動チャンバから外向きに面しており、作動チャンバから高圧導管(319)に延びる流路をシール遮断するように操作可能である。この高圧導管(319)は、使用中流体の正味の流体源または流体溜めとして機能し、高圧マニホルド(133)と流体連絡している。HPVは、作動チャンバ内部の圧力が高圧マニホルド内部の圧力を超えた時に受動的に開く通常閉の圧力開放チェック弁として機能する。HPVは、また、制御器が、HPV制御信号(321、ポンプ作動およびポンプ軸信号171のいくつかである)を介して選択的に開に保持することができる通常閉のソレノイド開放チェック弁であって、HPVが一旦開かれると作動チャンバ内部の圧力によって開に保持される通常閉のソレノイド開放チェック弁として機能するものでもよい。HPVは、高圧マニホルドには圧力が存在するが、作動チャンバには存在しない時には、制御器の制御の下で開放可能とすることができるか、あるいは、部分的に開放可能とすることができる。
【0072】
先行技術(例えば、欧州特許第0361927号明細書、同第0494236号明細書および同第1537333号明細書)に記述される通常の運転モードにおいては、制御器が、液圧ポンプによる流体の高圧マニホルドへの正味の排除速度を選択するが、この排除速度の選択は、通常、関係する作動チャンバのサイクルにおける最大容積点に近い1つ以上のLPVを能動的に閉じて、低圧マニホルドへの径路を閉止し、それによって、引き続く収縮ストロークにおいて関係するHPVから流体を導出することによって行われる。制御器は、選択された正味の排除速度を満たすように流れを生成するかあるいはトルクを軸(322)に印加するために、LPV閉止の個数および順序を選択する。サイクルごとのベースにおいてLPVを閉止するべきか否か、あるいは開に保持するべきか否かを決定するのと同様に、制御器は、可変作動チャンバ容積に関してLPV閉止の正確な位相決めを変化させるように、それによって、低圧マニホルドから高圧マニホルドへの流体の正味の排除速度を選択するように操作可能である。
【0073】
ポンプは、選択的に作動させるポンプ運転ストロークの支配的な運転モードを有し、その間、リングカムは図2に示すように時計回りの方向に回転する(図2は、図1の表現と反対の方向から見たポンプを示している点に留意されたい)。いくつかの実施形態においては、ポンプは、カムが反対方向に回転する間、ポンプ運転を含み、どちらかの方向に回転する間、モータ運転を含むような代替的な運転モードを有する。
【0074】
制御器は、弁の開閉のタイミングを選択するために、すなわち、作動チャンバによるリングカムへのトルクの印加(と高圧マニホルドへの流れの吐出または受け入れと)を時間および角度において定めるために、ブレードセンサー信号(187)を利用するように操作可能である。このための1つの可能な技術がGB第1003000.5号明細書に開示されている。この特許出願の内容は、参照によって本願に組み込まれる。
【0075】
ポンプの作動チャンバは傾けられている。作動チャンバは真っ直ぐ半径方向の外向きにはない。図2においては、作動チャンバは時計回りの方向に約10°傾けられている。
【0076】
図3は、図2のポンプのカムの形状(200)の一部分を示す。このカム形状(200)の上に使用中のローラ(308)が転がる。この形状は、各リングカムの列において、通常15〜25回繰り返され、有効な連続作動表面をリングカムの回りに形成する。カムの形状は、リングカムの回転中心からのmm表示の半径(202)と、ポンプの作動チャンバ容積の1サイクル全体に及ぶ任意の基準点(206)からの角度(204)とによって画定される。図3の各軸の相対的な尺度は、明確化の点から選択されているので、最高点(TDC)および隣接する次の最低点(BDC)の間のピッチ(A)、あるいは最低点(BDC)および次の最高点(TDC)の間のピッチ(B)に比較して形状の深さを正確には描写していない。図3は、また、本発明によるリングカムと従来型のリングカムとの間の差異を表現するため、基準(正弦波)のカム形状(208)をも示している。
【0077】
この形状は凸部分(210)および凹部分(212)を含んでおり、この両者は作動面の変曲点(214)およびブリージング面の変曲点(216)で合体している。作動表面は作動領域(218)を含み、この作動領域(218)は、支配的な運転モードにおいて、制御器の制御の下で低圧弁および高圧弁(313、317)の選択的な開閉によって作動チャンバ内の圧力が低圧マニホルド内の圧力を大幅に超える時、例えばそれが100バールを超える時にはいつでもローラが転がる作動表面の部分に広がっている。また、作動表面はブリージング領域(220)をも含み、このブリージング領域(220)は、支配的な運転モードにおいて、相当に高い作動チャンバの圧力からの力を受けない作動表面の部分に広がっている。
【0078】
作動領域は、領域Bに広がる作動表面の大部分の面(作動面として機能する)を形成し、ブリージング領域は、領域Aに広がる作動表面の大部分の面(ブリージング面として機能する)を含む。しかし、それらは、通常の作動流体、例えば液圧オイルの圧縮性のために完全には合致しない。選択されたポンプ運転ストロークの開始時点において、低圧弁が閉じた後(この弁閉止は通常BDCにおいて生起するが、ローラが領域Bに当接している時にはどの箇所でも生起する可能性がある)、作動チャンバの圧力は僅かな角度にわたって単調に上昇するが、これは、作動領域がBDCを僅かに超えて始まることを意味している。選択されたポンプ運転ストロークの後、TDCにおいて高圧弁が閉じた後、作動チャンバは僅かな角度の間なお加圧されており、これによって、作動領域がTDCを僅かに超えて広がる。以上によって、作動チャンバの高圧および低圧マニホルドへの交互の切り換えが、弁を通過する大きな圧力なしに生起することが可能になり、流体作動機械/ポンプの効率が向上し、運転ノイズが低減される。
【0079】
この典型的な実施形態においては、最高点(TDC)および隣接する次の最低点(BDC)の間のピッチ(角距離A)は、最低点(BDC)および次の最高点(TDC)の間のピッチ(角距離B)よりも小さい。
【0080】
従って、支配的な運転モードにおいては、排出ストロークが吸引ストロークより長い。さらに、支配的な運転モードにおける使用においては、作動面の傾斜はブリージング面の傾斜より小さい。このため、作動面およびブリージング面が同様の長さを有する先行技術の機械に比べて、作動表面におけるヘルツ応力が低減される。シリンダ(305)に対するピストンの側面負荷も、作動面の傾斜の低減によって低下する。
【0081】
作動面の変曲点(傾斜の大きさの最大点になる)と隣接するBDCとの間の角距離(C)は、作動面の変曲点と隣接するTDCとの間の角距離(D)よりも小さく、この実施形態においては、C/D<90%である。従って、排出(ポンプ運転)ストロークの間の最大流量は、作動チャンバ容積が上死点および下死点におけるその容積の平均値になる前に生起する。
【0082】
この典型的な実施形態においては、作動面の凸部分の最大曲率は、ブリージング面の凸部分の最大曲率の1/2より小さい。また、作動面の凸部分の最大曲率は、作動面の凹部分の最大曲率の1/2より小さい。
【0083】
作動面上の相対的にフラットな凸領域は、その凸形状の程度によるヘルツ応力の増大を抑える低い曲率を有する。対照的に、相対的に急峻な凹領域は、その急峻さによるヘルツ応力の増大を抑える高い曲率を有する。作動チャンバが傾いているために、作動面の変曲点領域におけるヘルツ応力は、作動面の変曲点近傍における作動表面への垂直線に近い作動チャンバの摺動軸によって最小化される。
【0084】
曲率が低い凸表面は必然的に、曲率が高い凹表面よりも(包含される弧および作動表面積の点で)大きくなり、このため、各作動チャンバを経由しての高圧マニホルドへのまたはそれからの流量、従って、回転可能なリングカムに印加されるトルクは時間および角度において非対称である。これは、偏心カムを用いる従来型の流体作動機械と対照的に異なる点である。従来型の流体作動機械においては、通常、複数の作動チャンバからの高圧マニホルドへのまたはそれからのより平準な合計流量を実現するために、各作動チャンバによる流量が時間および角度において対称になるように設計されるのである。
【0085】
本発明によるリングカムおよび流体作動機械は、その作動表面の応力が低く、従って、先行技術によるリングカムよりも長い寿命を有する。
【0086】
図4は、図3のリングカムの形状を用いた場合の、図2のポンプの単一の作動チャンバへのおよびそれからの理論的な流量(400)を表現している。縦軸(402)は流量(L/分表示で)を表し、それが、図3におけるBDCからの角度(404)に対して表現されている。正の値は、支配的な運転モードにおける収縮ストロークを表し(すなわち、ポンプ運転でない場合は低圧マニホルドに流れ、ポンプ運転の場合は高圧マニホルドに流れる)、一方、負の値は吸引ストロークを表す。
【0087】
図4に示す典型的な実施形態においては、排出ストロークの間の作動流体の流量は、それぞれの作動チャンバの容積がTDCおよびBDCにおけるその容積の平均値に達する前にピークに達する。排出ストロークの間の作動流体の流量は、作動面の凸領域および凹領域の曲率が異なるために、作動ストロークの角度の中点に関して非対称であり、かつ、この流量は、表現されるTDCおよびBDC点に関しても非対称である。
【0088】
また、吸引ストロークの間のリングカムの傾斜は一定であり、これによって、流量が相対的に一定の時間間隔(410)が生じる。従って、(支配的な運転モードにおける)低圧弁を通る平均の圧力低下(一般的に流量の2乗に関係する)は、よりピーク化された形状が選択された場合よりも低くなり、低圧弁を通して流体を作動チャンバにまたはそれから動かすことによる消費エネルギーが低減される。
【0089】
図4に表現される理論的な流量は、流体の圧縮性、作動チャンバからの流体の漏洩、並びに高圧弁および低圧弁の動力学のために、使用中の実際の流量とは異なっている。さらに、図4の理論的な流量の形状は、ローラの有限サイズと、その結果として変化する接触角とのために、図3のカムの形状の傾斜と正確には符合していない。
【0090】
図3のリングカムの作動表面の半径の形状は、少なくともポンプ運転の支配的運転モードと時計回りの回転とにおける使用中に、作動面が最も低いピークまたは平均応力を受けるように、そして、作動表面とのピストンの操作係合によって惹起される弁(特に低圧弁)を通る流体の流れが最小のエネルギー損失をもたらすように選択されたものである。これらの基準と他の競合基準(例えば合計流量の平準度)との間のトレードオフの最適化は、熟練設計者の技量の範囲内である。
【0091】
第1および第2高圧アキュムレータ(147、149、流体コンプライアンスとして作用する)と、リングカムのハブおよびブレードアセンブリ(大きな慣性源として作用する)への連結とによって、非対称のリングカム波形による可変合計流量およびトルクのWTGへの影響は無視し得るものになる。さらに、制御器(112)は、使用中のポンプの作動チャンバからの作動流体の非対称流れから生じるトルクおよび流量の変動を打ち消すために、少なくともポンプの電子制御弁の開閉のタイミングを制御するように操作可能である。この場合、この弁の開および閉のタイミングを選択するために、すなわち、リングカムへのトルクの印加(と、高圧マニホルドへの流れの吐出または受け入れと)の時間および角度を定めるために、さらに、それによって、その非対称流れの影響を能動的に相殺するために、ブレードセンサー信号(187)が用いられる。
【0092】
いくつかの実施形態においては、作動面およびブリージング面の変曲点を引き伸ばすことができる―すなわち、形状の一部を非曲線にすることができる。非曲線部分は、通常、形状の凹部および凸部の間に位置する。
【0093】
いくつかの実施形態においては、カムは、一連の通常同一のセグメントであって、当接して1つの有効な連続的作動表面または複数の表面を形成するセグメントを含む。作動表面は、通常、例えば窒化技法を用いて硬化処理される。
【0094】
さらなる修正および変更を、本明細書に記載した本発明の範囲内においてなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのリングカムと複数の作動チャンバとを備えた、再生可能エネルギー発生装置用の流体作動機械であって、前記リングカムはリングカムの回転軸の回りに延びる環状の作動表面を有し、この環状の作動表面は複数の波形を画定し、各作動チャンバはピストンを有し、各ピストンは前記リングカムの作動表面と操作係合し、前記リングカムおよび作動チャンバは互いに対して回転するように取り付けられ、それによって、作動チャンバ容積のサイクルが、前記作動チャンバに対する前記リングカムの回転に関係付けられる流体作動機械において、前記リングカムの作動表面の個々の波形が非対称の形状を有する、ことを特徴とする流体作動機械。
【請求項2】
前記複数の波形の形状が相互に同じであり、かつ、前記作動表面が回転対称である、流体作動機械。
【請求項3】
第1運転モードと、前記リングカムが前記作動チャンバに対して反対の向きに回転する第2運転モードとを有する、請求項1または2に記載の流体作動機械。
【請求項4】
前記リングカムの波形の形状のために、前記第2運転モードよりも前記第1運転モードにおいて、より効率的に作動するか、あるいはより長い期待稼動寿命を有する、請求項3に記載の流体作動機械。
【請求項5】
前記リングカムの作動表面が、回転軸に対して半径の最小点および最大点を有する複数の波形を含み、前記作動チャンバの容積が、カム係合要素が下死点において前記リングカムと係合する時の最大値と、カム係合要素が上死点において前記リングカムと係合する時の最小値との間において循環的に変化する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項6】
前記作動チャンバの容積が前記リングカムの回転と共に循環的に変化する流体作動機械であって、低圧マニホルドおよび高圧マニホルド、並びに、各作動チャンバとその低圧および高圧マニホルドとの間の流体の流れを制御するための複数の弁を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項7】
前記複数の弁が、その弁を通過する圧力によって一方向に開放可能な圧力操作型のチェック弁である、請求項6に記載の流体作動機械。
【請求項8】
各作動チャンバに関係する少なくとも1つの前記弁が電子制御されるポペット弁である、請求項6または7に記載の流体作動機械。
【請求項9】
前記波形が、反対側に位置する第1面および第2面を有し、各面は1つの最高点と隣接する最低点との間に広がっており、さらに、各波形について、その第1面および第2面が異なる弧の長さを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項10】
前記波形が、反対側に位置する第1面および第2面を有し、各面は1つの最高点と隣接する最低点との間に広がっており、さらに、その第1面および第2面のいずれかが、前記作動チャンバ内の圧力が前記低圧マニホルド内の圧力を大きく超える時にカム追随要素が当接する作動面であり、もう一方の面はブリージング面である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項11】
前記作動面の弧長が前記ブリージング面の弧長より大きい、請求項10に記載の流体作動機械。
【請求項12】
前記作動面が前記ブリージング面より大きい弧長を有する、請求項10または11に記載の流体作動機械。
【請求項13】
前記それぞれのカム係合要素が前記ブリージング面の最初の部分に当接しているのに、作動チャンバ内部の圧力が、使用中の前記低圧マニホルドの圧力をかなり超えたままである、請求項10〜12のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項14】
前記作動面の凸部分の最大曲率が、前記ブリージング面の凸部分の最大曲率より小さい、請求項10〜13のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項15】
前記作動面の凹部分の最大曲率が、前記ブリージング面の最大曲率と同じかまたはそれより大きい、請求項10〜14のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項16】
少なくともいくつかの波形について、最低点および隣接する最高点の中間における前記作動表面の傾斜の大きさの最大点または領域が、その最低点およびその最高点から、同じ弧長の位置にはない、請求項1〜15のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項17】
前記作動面の凸部分の最大曲率が、その作動面の凹部分の最大曲率より小さい、請求項10〜16のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項18】
前記作動面の傾斜の大きさの最大点または領域と、隣接するBDCとの間の角距離が、前記作動面の傾斜の大きさのその最大点または領域と、隣接するTDCとの間の角距離より小さい、請求項10〜17のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項19】
最低点および隣接する最高点の中間の最大曲率点が、その最高点および最低点の間の角距離として1/2の位置にない、請求項1〜18のいずれか一項に記載の流体作動機械。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の流体作動機械を含む液圧回路であって、さらに別の流体作動機械と流体アキュムレータとを含む、液圧回路。
【請求項21】
複数の波形を規定する環状の作動表面を有するリングカムを含む部品一式であって、そのリングカムの作動表面の個々の波形は非対称の形状を有し、作動チャンバを装着する筺体は複数のシリンダまたはシリンダ取り付け部を含み、それらの一式は、請求項1〜19のいずれか一項に記載の流体作動機械を形成するように組み立てることができる、部品一式。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の流体作動機械を含む、再生可能エネルギー発生装置。
【請求項23】
風力タービンである、請求項22に記載の再生可能エネルギー発生装置。
【請求項24】
本発明の第1の態様による流体作動機械を用意するステップと、前記リングカムを前記作動チャンバに対して回転するステップと、それによって、前記作動チャンバの容積を循環的に変化させるステップとを含む、流体作動機械の運転方法。
【請求項25】
前記作動チャンバが固定されたままであり、前記リングカムが回転される、請求項24に記載の流体作動機械の運転方法。
【請求項26】
吸引ストロークおよび排出ストロークの持続時間が異なる、請求項24または25に記載の流体作動機械の運転方法。
【請求項27】
排出ストロークの間の作動流体の流量が、それぞれの作動チャンバの容積が上死点および下死点におけるその容積の平均値に達する前にピークに達する、請求項24〜26のいずれか一項に記載の流体作動機械の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516574(P2013−516574A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547539(P2012−547539)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051359
【国際公開番号】WO2012/022924
【国際公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【出願人】(509066031)アルテミス インテリジェント パワー リミティド (25)
【氏名又は名称原語表記】ARTEMIS INTELLIGENT POWER LIMITED
【Fターム(参考)】